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特許7366153低クロストークを有する多重荷電粒子ビーム装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】低クロストークを有する多重荷電粒子ビーム装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/09 20060101AFI20231013BHJP
   H01J 37/153 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H01J37/09 A
H01J37/153 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021568231
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2020063831
(87)【国際公開番号】W WO2020239505
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】62/853,677
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】シー,シンポ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-251440(JP,A)
【文献】特表2018-535525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0270438(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0032729(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
副光軸に関連する各径路を通る複数の二次荷電粒子ビームの周辺の荷電粒子をブロックするように構成された第1のアパーチャを含む第1の事前制限アパーチャプレートと、
前記副光軸に沿って移動可能とされるとともに、前記複数の二次荷電粒子ビームを削減するように構成された第2のアパーチャを含むビーム制限アパーチャアレイと、
を含む、電気光学システム。
【請求項2】
複数の検出要素を含む荷電粒子検出器をさらに含み、
前記複数の検出要素の各検出要素が、前記複数の二次荷電粒子ビームの対応する削減ビームと関連付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の事前制限アパーチャプレートと前記ビーム制限アパーチャアレイとの間の距離が、5mm以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の事前制限アパーチャプレートが、前記ビーム制限アパーチャアレイの上流に位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の事前制限アパーチャプレートが、前記ビーム制限アパーチャアレイの下流に位置決めされる、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
第2の事前制限アパーチャプレートをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の事前制限アパーチャプレートが、前記ビーム制限アパーチャアレイの上流に位置決めされ、前記第2の事前制限アパーチャプレートが、前記ビーム制限アパーチャアレイの下流に位置決めされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の二次荷電粒子ビームが、複数の一次荷電粒子ビームとサンプルとの間の相互作用に応答して前記サンプルから発生した二次電子又は後方散乱電子の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ビーム制限アパーチャアレイが、異なるサイズの複数のアパーチャを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のアパーチャの少なくとも2つが、同様のサイズを有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のアパーチャが、長方形、円形又は螺旋形のパターンに配列される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の二次荷電粒子ビームが重複して、電気光学システムの前記副光軸に垂直なクロスオーバー面上にクロスオーバーエリアが生じる、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ビーム制限アパーチャアレイが、前記クロスオーバー面の位置の範囲に又は範囲内に且つ前記副光軸に垂直に配置される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記クロスオーバー面の位置の前記範囲が、複数の一次荷電粒子ビームの着地エネルギーに基づいて決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
サンプルの画像を形成するために二次結像系によって実行される方法であって、
前記サンプルから複数の二次荷電粒子ビームを発生させることと、
事前制限アパーチャプレートを使用して前記複数の二次荷電粒子ビームの周辺の荷電粒子をブロックすることと、
前記二次結像系の副光軸に沿って移動可能とされるビーム制限アパーチャアレイのアパーチャを使用して前記複数の二次荷電粒子ビームを削減することと、
前記複数の削減された二次荷電粒子ビームを荷電粒子検出器の対応する検出要素に投影することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2019年5月28日に出願された米国特許出願第62/853,677号の優先権を主張し、同特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、マルチビーム装置を開示し、より具体的には、クロストークを低減するように構成されたアパーチャアレイの組合せを使用して撮像信号忠実性を向上させたマルチビーム荷電粒子顕微鏡を開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路(IC)の製造プロセスでは、未完成又は完成回路コンポーネントは、それらが設計に従って製造され、欠陥がないことを保証するために検査が行われる。走査電子顕微鏡(SEM)など、光学顕微鏡又は荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡を利用する検査システムを採用することができる。ICコンポーネントの物理的なサイズが縮小し続けるにつれて、欠陥検出における精度及び歩留まりがより重要になる。複数の電子ビームを使用してスループットを増大させることはできるが、荷電粒子検出器によって受信される撮像信号の忠実性における制限により、信頼できる欠陥検出及び分析に対して望ましい撮像分解能が制限され、検査ツールは、それらの所望の目的に見合わないものになる。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示のいくつかの実施形態では、多重荷電粒子ビーム装置の電気光学システムが開示される。電気光学システムは、サンプルからの複数の二次荷電粒子ビームの周辺の荷電粒子をブロックするように構成された第1のアパーチャを含む第1の事前制限アパーチャプレートと、複数の二次荷電粒子ビームを削減する(trim)ように構成された第2のアパーチャを含むビーム制限アパーチャアレイとを含み得る。電気光学システムは、複数の検出要素を含む荷電粒子検出器をさらに含み得、複数の検出要素の各検出要素は、複数の二次荷電粒子ビームの対応する削減ビームと関連付けられる。
【0005】
[0005] 第1の事前制限アパーチャプレートとビーム制限アパーチャアレイとの間の距離は、5mm以下であり得る。第1の事前制限アパーチャプレートは、ビーム制限アパーチャアレイの上流又は下流に位置決めすることができる。電気光学システムは、第2の事前制限アパーチャプレートを含み得る。第1の事前制限アパーチャプレートは、ビーム制限アパーチャアレイの上流に位置決めすることができ、第2の事前制限アパーチャプレートは、ビーム制限アパーチャアレイの下流に位置決めすることができる。ビーム制限アパーチャアレイは、異なるサイズの複数のアパーチャを含み得る。複数のアパーチャの少なくとも2つは、同様のサイズを有し得る。複数のアパーチャは、長方形、円形又は螺旋形のパターンに配列することができる。
【0006】
[0006] 複数の二次荷電粒子ビームは、複数の一次荷電粒子ビームとサンプルとの間の相互作用に応答してサンプルから発生した二次電子又は後方散乱電子の少なくとも1つを含み得る。複数の二次荷電粒子ビームが重複して、電気光学システムの副光軸に垂直なクロスオーバー面上にクロスオーバーエリアが生じ得る。ビーム制限アパーチャアレイは、クロスオーバー面の位置の範囲に又は範囲内に且つ副光軸に垂直に配置することができる。クロスオーバー面の位置の範囲は、サンプル上の複数の一次荷電粒子ビームの着地エネルギーに基づいて決定することができる。ビーム制限アパーチャアレイは、クロスオーバー面の位置の範囲に基づいて、副光軸に沿って動かすことができる。
【0007】
[0007] 第2のアパーチャは、クロスオーバーエリアに中心を置くことができる。第1及び第2のアパーチャの中心は、副光軸と位置合わせすることができる。ビーム制限アパーチャアレイは、複数のアパーチャの各アパーチャをクロスオーバーエリアと位置合わせするために動かすことができる。第1の事前制限アパーチャプレートの平面は、クロスオーバー面の位置の範囲の外側にあり得、ビーム制限アパーチャアレイ及び第1の事前制限アパーチャプレートの平面は、クロスオーバー面の位置の範囲内にあり得る。
【0008】
[0008] 本開示の別の実施形態では、多重荷電粒子ビーム装置が開示される。多重荷電粒子ビーム装置は、サンプルから荷電粒子検出器に複数の二次荷電粒子ビームを投影するための電気光学システムを含み得る。電気光学システムは、複数の二次荷電粒子ビームの周辺の荷電粒子をブロックするように構成された第1のアパーチャを含む第1の事前制限アパーチャプレートと、複数の二次荷電粒子ビームを削減するように構成された第2のアパーチャを含むビーム制限アパーチャアレイとを含み得る。荷電粒子検出器は、複数の検出要素を含み得、複数の検出要素の各検出要素は、複数の二次荷電粒子ビームの対応する削減ビームと関連付けることができる。
【0009】
[0009] 本開示のいくつかの実施形態では、サンプルの画像を形成するために二次結像系によって実行される方法が開示され得る。方法は、サンプルから複数の二次荷電粒子ビームを発生させることと、事前制限アパーチャプレートを使用して複数の二次荷電粒子ビームの周辺の荷電粒子をブロックすることと、ビーム制限アパーチャアレイのアパーチャを使用して複数の二次荷電粒子ビームを削減することと、複数の削減された二次荷電粒子ビームを荷電粒子検出器の対応する検出要素に投影することとを含み得る。
【0010】
[0010] 本開示の実施形態の他の利点は、添付の図面と併せて取り入れられる以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、例示及び例として、本発明のある特定の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
図2】[0012]本開示の実施形態と一致する、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部であり得る例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3】[0013]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の二次結像系の例示的な構成を示す概略図である。
図4】[0014]本開示の実施形態と一致する、図3の二次結像系のアパーチャアレイのアパーチャの例示的な配列を示す概略図である。
図5】[0015]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の二次結像系の例示的な構成を示す概略図である。
図6A】[0016]本開示の実施形態と一致する、図5の二次結像系のアパーチャアレイのアパーチャの例示的な配列を示す概略図である。
図6B】[0016]本開示の実施形態と一致する、図5の二次結像系のアパーチャアレイのアパーチャの例示的な配列を示す概略図である。
図6C】[0016]本開示の実施形態と一致する、図5の二次結像系のアパーチャアレイのアパーチャの例示的な配列を示す概略図である。
図6D】[0016]本開示の実施形態と一致する、図5の二次結像系のアパーチャアレイのアパーチャの例示的な配列を示す概略図である。
図7】[0017]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の二次結像系の例示的な構成を示す概略図である。
図8】[0018]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の二次結像系の例示的な構成を示す概略図である。
図9】[0019]本開示の実施形態と一致する、図5の二次結像系を使用してサンプルからの二次荷電粒子を検出する例示的な方法を表すプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0020] ここでは、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は、添付の図面に示されている。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表現がない限り、異なる図面における同じ番号は、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明において記載される実装形態は、すべての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、開示される実施形態に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。例えば、いくつかの実施形態は、電子ビームの利用に関する文脈において説明されているが、本開示は、そのように限定されない。他のタイプの荷電粒子ビームを同様に適用することができる。その上、光学撮像、写真検出、X線検出など、他の撮像システムを使用することができる。
【0013】
[0021] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路で構築される。多くの回路は、同じシリコン片上にまとめて形成することができ、集積回路又はICと呼ばれる。これらの回路のサイズは劇的に減少しており、その結果、さらに多くの回路を基板に適合させることができる。例えば、スマートフォンのICチップは、親指の爪ほどの大きさしかないが、それにもかかわらず、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪のサイズの1/1000未満である。
【0014】
[0022] これらの極めて小さなICの作成は、多大な時間を要する複雑且つ高価なプロセスであり、数百もの個々のステップを伴う場合が多い。1つのステップにおける誤差でさえ、完成ICに欠陥をもたらす可能性があり、完成ICは、無用なものとなる。従って、製造プロセスの目標の1つは、プロセスで作成される機能可能なICの数を最大化するため、すなわち、プロセスの総歩留まりを向上させるために、そのような欠陥を回避することである。
【0015】
[0023] 歩留まりを向上させる要素の1つは、十分な数の機能可能な集積回路を生産することを保証するために、チップ作成プロセスをモニタすることである。プロセスをモニタする方法の1つは、それらの形成の様々な段階でチップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して行うことができる。SEMは、これらの極めて小さな構造を撮像するために使用することができ、実際には、構造の「ピクチャ」を撮影する。画像は、構造が正しく形成されたかどうか、また、構造が正しい場所に形成されたかどうかを判断するために使用することができる。構造に欠陥がある場合は、欠陥が再発する可能性が低くなるようにプロセスを調整することができる。
【0016】
[0024] マルチビームSEMなどの多重荷電粒子ビーム撮像システムは、ウェーハ検査スループットの増大において有用であり得るが、マルチビームSEMの撮像分解能は、二次電子検出システムによって受信及び検出される撮像信号の質によって制限され得る。サンプル表面上で一次ビームレットの相互作用によって発生する電子ビームなどの二次荷電粒子ビームは、約50eVの大きなエネルギー幅及びサンプル表面の垂線に対して約90°の大きな放出角度範囲を有する二次電子を含み得る。発散したそのような電子ビームは、二次電子検出器上に大きな入射スポットを有し得る。従来のマルチビームSEMでは、発散した電子ビームは、二次電子検出器の複数の検出要素に入射し得る。言い換えれば、複数の検出要素の各々は、対応する二次電子ビーム及び他の隣接するビームから二次電子を受信し得る。結果的に、1つの検出要素の撮像信号は、対応する二次電子ビームから生じる主成分と、隣接する電子ビームから生じるクロストーク成分とを含み得る。クロストーク成分は、数ある中でも特に、撮像信号の忠実性を悪化し得る。従って、撮像分解能を向上させるために複数の検出要素間のクロストークを最小化することが望ましい。
【0017】
[0025] クロストークの発生を軽減するため、二次結像系において周辺の二次電子をブロックするためのアパーチャメカニズムを採用することができる。しかし、二次電子ビーム半径がアパーチャメカニズムの2つのアパーチャ間の距離より大きい場合は、二次電子ビームの電子の一部は、隣接するアパーチャを通じて漏れ出る可能性があり、その結果、二次電子検出器の検出要素間のクロストークが生じ得る。
【0018】
[0026] 二次電子ビームの大きな半径に対応するため、アパーチャは、間隔をさらに空けて配置することができ、アパーチャメカニズムは、二次結像系の光軸(z軸)に対してx軸及びy軸方向に動かすことができる。しかし、x軸及びy軸方向におけるアパーチャメカニズムの動きは、二次結像系内の空間制限が原因で制限され得、従って、アパーチャアレイ内のアパーチャの数が制限され得る。遭遇し得るいくつかの問題のうちの1つは、アパーチャメカニズムが撮像分解能を向上させるために最大数の二次電子の通過を可能にしながらクロストークを軽減することができない場合があることである。
【0019】
[0027] 本開示のいくつかの実施形態では、マルチビーム装置は、サンプルから荷電粒子検出器に複数の二次電子を投影するための電気光学システムを含み得る。電気光学システムは、周辺の二次電子をブロックするように構成された事前制限アパーチャプレートと、複数の二次電子を削減するように構成されたアパーチャを含むビーム制限アパーチャアレイとを含み得る。事前制限アパーチャプレートは、ビーム制限アパーチャアレイの上流に位置決めし、周辺の二次電子がビーム制限アパーチャアレイの意図せぬアパーチャに投射されないようにすることができ、ビーム制限アパーチャアレイは、さらに、周辺の二次電子が電子検出器の検出要素に投射されないようにすることができる。事前制限アパーチャプレートとビーム制限アパーチャアレイの組合せにより、検出要素間のクロストークを軽減することができ、従って、撮像分解能を向上させることができる。
【0020】
[0028] 図面では、コンポーネントの相対寸法は、明確にするために拡大され得る。以下の図面の説明内では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。本明細書で使用される場合、別段の具体的な記述がない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除いて、考えられるすべての組合せを包含する。例えば、コンポーネントがA又はBを含み得るということが記述されている場合は、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A又はB、或いはA及びBを含み得る。第2の例として、コンポーネントがA、B又はCを含み得るということが記述されている場合は、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、B及びCを含み得る。
【0021】
[0029] ここで図1を参照すると、図1は、本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を示している。図1に示されるように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20、電子ビームツール40及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。説明及び図面は電子ビームを対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するためには使用されないことが理解されている。
【0022】
[0030] EFEM 30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM 30は、追加の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、検査予定のウェーハ(例えば、半導体ウェーハ若しくは他の材料で作られたウェーハ)又はサンプルを含むウェーハ前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取る(以下では、ウェーハ及びサンプルは、集合的に「ウェーハ」と呼ばれる)。EFEM 30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20にウェーハを移送する。
【0023】
[0031] 装填・ロックチャンバ20は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、装填/ロック真空ポンプシステムは、大気圧を下回る第1の圧力に達するように装填・ロックチャンバ20内の気体分子を取り除く。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20からメインチャンバ10にウェーハを移送する。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、メインチャンバ真空ポンプシステムは、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するようにメインチャンバ10内の気体分子を取り除く。第2の圧力に達した後、ウェーハに対して、電子ビームツール40による検査が行われる。いくつかの実施形態では、電子ビームツール40は、シングルビーム検査ツールを含み得る。他の実施形態では、電子ビームツール40は、マルチビーム検査ツールを含み得る。
【0024】
[0032] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続することができ、また、他のコンポーネントにも電子的に接続することができる。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであり得る。また、コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20及びEFEM 30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもあり得ることが理解されている。
【0025】
[0033] 本開示は、電子ビーム検査システムを収納するメインチャンバ10の例を提供しているが、本開示の態様は、広い意味で、電子ビーム検査システムを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、他のチャンバにも適用できることが理解されている。
【0026】
[0034] ここで図2を参照すると、図2は、本開示の実施形態と一致する、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部であり得る例示的な電子ビームツール40を示す概略図を示している。電子ビームツール40(本明細書では、装置40とも呼ばれる)は、電子源101、ガンアパーチャ103を有するガンアパーチャプレート171、プレビームレット形成メカニズム172、集光レンズ110、供給源変換ユニット120、一次投影光学系130、サンプルステージ(図2には図示せず)、二次結像系150及び電子検出デバイス140を含む。一次投影光学系130は、対物レンズ131を含み得る。電子検出デバイス140は、複数の検出要素140_1、140_2、140_3を含み得る。ビームセパレータ160及び偏向走査ユニット132は、一次投影光学系130内に配置することができる。装置40の一般的に知られている他のコンポーネントを必要に応じて適切に追加/省略できることを理解することができる。
【0027】
[0035] 電子源101、ガンアパーチャプレート171、集光レンズ110、供給源変換ユニット120、ビームセパレータ160、偏向走査ユニット132及び一次投影光学系130は、装置40の主光軸100_1と位置合わせすることができる。二次結像系150及び電子検出デバイス140は、装置40の副光軸150_1と位置合わせすることができる。
【0028】
[0036] 電子源101は、カソード、抽出器又はアノードを含み得、一次電子は、カソードから放出し、次いで、抽出するか又は加速させ、クロスオーバー(虚像又は実像)101sを形成する一次電子ビーム102を形成することができる。一次電子ビーム102は、クロスオーバー101sから放出されると視覚化することができる。
【0029】
[0037] 供給源変換ユニット120は、像形成要素アレイ(図2には図示せず)、収差補償器アレイ(図示せず)、ビーム制限アパーチャアレイ(図示せず)及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイ(図示せず)を含み得る。像形成要素アレイは、一次電子ビーム102の複数のビームレットを用いてクロスオーバー101sの複数の平行像(虚像又は実像)を形成するために、複数のマイクロ偏向器又はマイクロレンズを含み得る。図2は、例として、3つのビームレット102_1、102_2、102_3を示しており、供給源変換ユニット120は、いかなる数のビームレットも取り扱えることが理解されている。
【0030】
[0038] いくつかの実施形態では、供給源変換ユニット120には、ビーム制限アパーチャアレイ及び像形成要素アレイ(両方とも図示せず)を提供することができる。ビーム制限アパーチャアレイは、ビーム制限アパーチャを含み得る。必要に応じて適切に、いかなる数のアパーチャも使用できることが理解されている。ビーム制限アパーチャは、一次電子ビーム102のビームレット102_1、102_2、102_3のサイズを制限するように構成することができる。像形成要素アレイは、主光軸100_1に向けて角度を変化させることによって、ビームレット102_1、102_2、102_3を偏向するように構成された像形成偏向器(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、偏向器は、主光軸100_1から離れるほど、ビームレットの偏向度は大きくなる。その上、像形成要素アレイは、複数の層(図示せず)を含み得、偏向器を別個の層に提供することができる。偏向器は、互いに無関係に個別に制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、偏向器は、サンプル1の表面に形成されるプローブスポット(例えば、102_1S、102_2S、102_3S)のピッチを調整するように制御することができる。本明細書で言及される場合、プローブスポットのピッチは、サンプル1の表面上の2つの直接隣接するプローブスポット間の距離として定義することができる。
【0031】
[0039] 像形成要素アレイの中央に位置する偏向器は、電子ビームツール40の主光軸100_1と位置合わせすることができる。従って、いくつかの実施形態では、中央の偏向器は、ビームレット102_1の軌道を真っすぐに維持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、中央の偏向器は、省略することができる。しかし、いくつかの実施形態では、一次電子源101は、必ずしも供給源変換ユニット120の中心と位置合わせされるとは限らない。その上、図2は、ビームレット102_1が主光軸100_1上に位置する装置40の側面図を示しているが、ビームレット102_1は、異なる側から観察した際に、主光軸100_1外に位置してもよいことが理解されている。すなわち、いくつかの実施形態では、ビームレット102_1、102_2、102_3はすべて、オフアクシスであり得る。オフアクシスコンポーネントは、主光軸100_1に対してオフセットを有するものであり得る。
【0032】
[0040] 偏向ビームレットの偏向角度は、1つ又は複数の基準に基づいて設定することができる。いくつかの実施形態では、偏向器は、半径方向外側に又は主光軸100_1から離れるように(図示せず)、オフアクシスビームレットを偏向することができる。いくつかの実施形態では、偏向器は、半径方向内側に又は主光軸100_1に向けて、オフアクシスビームレットを偏向するように構成することができる。ビームレットの偏向角度は、ビームレット102_1、102_2、102_3がサンプル1に垂直に着地するように設定することができる。レンズ(対物レンズ131など)に起因する像のオフアクシス収差は、レンズを通過するビームレットの経路を調整することによって低減することができる。従って、オフアクシスビームレット102_2及び102_3の偏向角度は、プローブスポット102_2S及び102_3Sが小さな収差を有するように設定することができる。ビームレットは、オフアクシスプローブスポット102_2S及び102_3Sの収差を減少するために、対物レンズ131の前焦点又はその近くを通過するように偏向することができる。いくつかの実施形態では、偏向器は、プローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sが小さな収差を有すると同時に、ビームレット102_1、102_2、102_3がサンプル1に垂直に着地するように設定することができる。
【0033】
[0041] 集光レンズ110は、一次電子ビーム102を集束させるように構成される。供給源変換ユニット120の下流のビームレット102_1、102_2、102_3の電流は、集光レンズ110の集束力を調整することによって又はビーム制限アパーチャアレイ内の対応するビーム制限アパーチャの半径サイズを変更することによって、変化させることができる。電流は、ビーム制限アパーチャの半径サイズと集光レンズ110の集束力の両方を変えることによって変更することができる。集光レンズ110は、その第1の主平面の位置を動かせるように構成することができる調整可能な集光レンズであり得る。調整可能な集光レンズは、磁性を持たせるように構成することができ、それにより、オフアクシスビームレット102_2及び102_3は、ある回転角度で供給源変換ユニット120に照射される。回転角度は、調整可能な集光レンズの集束力又は第1の主平面の位置と共に変更することができる。それに従って、集光レンズ110は、集光レンズ110の集束力を変更しながら、回転角度を変更しないまま維持するように構成することができる回転防止集光レンズであり得る。いくつかの実施形態では、集光レンズ110は、集光レンズ110の集束力及び第1の主平面の位置を変化させた際に回転角度を変更しない調整可能な回転防止集光レンズであり得る。
【0034】
[0042] 電子ビームツール40は、プレビームレット形成メカニズム172を含み得る。いくつかの実施形態では、電子源101は、一次電子を放出し、一次電子ビーム102を形成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ガンアパーチャプレート171は、クーロン効果を低減するために、一次電子ビーム102の周辺の電子をブロックするように構成することができる。いくつかの実施形態では、プレビームレット形成メカニズム172は、クーロン効果をさらに低減するために、一次電子ビーム102の周辺の電子をさらに削除する。一次電子ビーム102は、プレビームレット形成メカニズム172を通過した後、3つの一次電子ビームレット102_1、102_2、102_3(又は他の任意の数のビームレット)に削減することができる。電子源101、ガンアパーチャプレート171、プレビームレット形成メカニズム172及び集光レンズ110は、電子ビームツール40の主光軸100_1と位置合わせすることができる。
【0035】
[0043] プレビームレット形成メカニズム172は、クーロンアパーチャアレイを含み得る。プレビームレット形成メカニズム172の中央のアパーチャ(本明細書ではオンアクシスアパーチャとも呼ばれる)及び供給源変換ユニット120の中央の偏向器は、電子ビームツール40の主光軸100_1と位置合わせすることができる。プレビームレット形成メカニズム172には、複数の事前削減アパーチャ(例えば、クーロンアパーチャアレイ)を提供することができる。図2では、一次電子ビーム102が3つの事前削減アパーチャを通過した際に、3つのビームレット102_1、102_2、102_3が生成されており、一次電子ビーム102の残りの部分の大半は、削除されている。すなわち、プレビームレット形成メカニズム172は、3つのビームレット102_1、102_2、102_3を形成しない一次電子ビーム102からの電子の大半又は大部分を削減することができる。プレビームレット形成メカニズム172は、一次電子ビーム102が供給源変換ユニット120に入る前に、プローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sを形成するために最終的に使用されない電子を削除することができる。いくつかの実施形態では、初期の段階で電子を削除するために、ガンアパーチャプレート171を電子源101の近くに提供することができると同時に、複数のビームレットの周りの電子をさらに削除するために、プレビームレット形成メカニズム172も提供することができる。図2は、プレビームレット形成メカニズム172の3つのアパーチャを示しているが、必要に応じて適切に、いかなる数のアパーチャも存在し得ることが理解されている。
【0036】
[0044] いくつかの実施形態では、プレビームレット形成メカニズム172は、集光レンズ110の下方に配置することができる。プレビームレット形成メカニズム172を電子源101により近く配置するほど、クーロン効果をより効果的に低減することができる。いくつかの実施形態では、プレビームレット形成メカニズム172を電子源101の十分近くに位置付けることができると同時に依然として製造可能である際は、ガンアパーチャプレート171を省略することができる。
【0037】
[0045] 対物レンズ131は、検査のためにサンプル1上にビームレット102_1、102_2、102_3を集束させるように構成することができ、サンプル1の表面に3つのプローブスポット102_1s、102_2s、102_3sを形成することができる。ガンアパーチャプレート171は、クーロン相互作用効果を低減するために、一次電子ビーム102の未使用の周辺の電子をブロックすることができる。クーロン相互作用効果は、プローブスポット102_1s、102_2s、102_3sの各々のサイズを拡大し、従って、検査分解能を悪化させる恐れがある。
【0038】
[0046] ビームセパレータ160は、静電双極子場E1及び磁気双極子場B1(図2には両方とも図示せず)を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタタイプのビームセパレータであり得る。それらの場が印加された場合、静電双極子場E1によってビームレット102_1、102_2、102_3の電子にかかる力は、磁気双極子場B1によって電子にかかる力に対して、大きさは等しく、方向は反対方向である。従って、ビームレット102_1、102_2、102_3は、ビームセパレータ160をゼロ偏向角度で真っすぐに通過することができる。
【0039】
[0047] 偏向走査ユニット132は、サンプル1の表面のセクションの3つの小さな走査エリアにわたってプローブスポット102_1s、102_2s、102_3sを走査するために、ビームレット102_1、102_2、102_3を偏向することができる。ビームレット102_1、102_2、102_3がプローブスポット102_1s、102_2s、102_3sに入射することに応答して、3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seをサンプル1から放出することができる。二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seの各々は、二次電子(エネルギー≦50eV)及び後方散乱電子(50eVとビームレット102_1、102_2、102_3の着地エネルギーとの間のエネルギー)を含む、エネルギーが分配された電子を含み得る。ビームセパレータ160は、二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seを二次結像系150に向けて誘導することができる。二次結像系150は、二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seを電子検出デバイス140の検出要素140_1、140_2、140_3に集束させることができる。検出要素140_1、140_2、140_3は、対応する二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seを検出し、サンプル1の対応する走査エリアの画像を構築するために使用される対応する信号を生成することができる。
【0040】
[0048] 図2では、3つのプローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sによってそれぞれ発生した3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seは、主光軸100_1に沿って電子源101に向けて上方に移動し、対物レンズ131及び偏向走査ユニット132を相次いで通過する。3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seは、その副光軸150_1に沿って二次結像系150に入るように、ビームセパレータ160(ウィーンフィルタなど)によって方向転換される。二次結像系150は、3つの検出要素140_1、140_2、140_3を含む電子検出デバイス140に3つの二次電子ビーム102_1se~102_3seを集束させる。従って、電子検出デバイス140は、3つのプローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sによってそれぞれ走査された3つの走査領域の画像を同時に生成することができる。いくつかの実施形態では、電子検出デバイス140及び二次結像系150は、1つの検出ユニット(図示せず)を形成する。いくつかの実施形態では、これらに限定されないが、対物レンズ131、偏向走査ユニット132、ビームセパレータ160、二次結像系150及び電子検出デバイス140など、二次電子ビームの経路上の電子光学要素は、1つの検出システムを形成することができる。
【0041】
[0049] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、画像処理システムを含み得、画像処理システムは、画像取得器(図示せず)及びストレージ(図示せず)を含む。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイス及び同様のもの、又は、それらの組合せを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はそれらの組合せなどの媒体を通じて、装置40の電子検出デバイス140に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、画像取得器は、電子検出デバイス140から信号を受信し、画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル1の画像を取得することができる。また、画像取得器は、輪郭の生成、取得画像へのインジケータの重畳及び同様のものなどの様々な後処理機能を実行することもできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリ及び同様のものなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合し、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存したり、後処理された画像を保存したりするために使用することができる。
【0042】
[0050] いくつかの実施形態では、画像取得器は、電子検出デバイス140から受信された撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に相当し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージに格納することができる。単一の画像は、複数の領域に分割され得るオリジナルの画像であり得る。領域の各々は、サンプル1の特徴を含む撮像エリアを1つずつ含み得る。取得画像は、時系列にわたって複数回サンプリングされたサンプル1の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得る。複数の画像は、ストレージに格納することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、サンプル1の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを実行するように構成することができる。
【0043】
[0051] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、ウェーハ表面に入射した一次ビームレット102_1、102_2、102_3の各々の対応する走査経路データと組み合わせて、検査中のウェーハ構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル1の内部又は外部の構造の様々な特徴を明らかにするために使用することができ、従って、ウェーハに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0044】
[0052] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検査の間にサンプル1を動かすように電動ステージ(図示せず)を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、電動ステージが、ある方向に一定の速さで継続的にサンプル1を動かせるようにすることができる。他の実施形態では、コントローラ50は、電動ステージが、走査プロセスのステップに応じて、サンプル1が動く速さを経時的に変更できるようにすることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seの画像に基づいて、一次投影光学系130又は二次結像系150の構成を調整することができる。
【0045】
[0053] 図2は、電子ビームツール40が3つの一次電子ビームを使用することを示しているが、電子ビームツール40は、2つ以上の一次電子ビームを使用できることが理解されている。本開示は、装置40で使用される一次電子ビームの数を限定しない。
【0046】
[0054] ここで図3を参照すると、図3は、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の二次結像系の例示的な構成の概略図である。二次結像系150は、荷電粒子ビーム検査システム(例えば、図1の電子ビーム検査システム100)の一部であり得ることが理解されている。
【0047】
[0055] いくつかの実施形態では、二次結像系150は、図3に示されるように、検出システム全体と併せて示され、説明される。図3を参照すると、3つのプローブスポットに対する3つの二次電子ビームのみが示されているが、いかなる数の二次電子ビームも存在し得る。検出システム全体内では、サンプル1から始まり、第1の部分は、主光軸100_1に沿ったものであり、第2の部分は、副光軸150_1に沿ったものである。単なる例証を目的として、実際の構成とは似ても似つかないが、検出システム全体を真っすぐな1つの光軸に沿って示せるように、第1の部分は、副光軸150_1に沿うように回転されている。
【0048】
[0056] いくつかの実施形態では、図3に示されるように、二次結像系150は、ズームレンズ151、投影レンズ152、二次ビーム制限アパーチャアレイ155及び走査防止偏向ユニット(図示せず)を含み得、それらはすべて、副光軸150_1と位置合わせされる。電子検出デバイス140の検出要素140_1、140_2、140_3は、副光軸150_1に垂直な検出面SP3に配置することができる。ズームレンズ151、投影レンズ152及び対物レンズ131はまとめて、偏向走査ユニット132がオフの際に、サンプル1の表面を検出面SP3に投影する(すなわち、二次電子ビーム102_1se~102_3seを集束させて、検出要素140_1、140_2、140_3上に二次電子スポットをそれぞれ形成する)。
【0049】
[0057] いくつかの実施形態では、ズームレンズ151は、2つの静電レンズ151_11及び151_12を含み得る。ズームレンズ151の像面は、図3に示されるような転写面SP2にあり得る。投影レンズ152は、1つの静電レンズ及び1つの磁気レンズ(両方とも図示せず)を含み得、その像面は、検出面SP3にあり得る。サンプル1の表面から転写面SP2への第1の結像倍率M1は、対物レンズ131及びズームレンズ151によって実現することができ、転写面SP2から検出面SP3への第2の結像倍率M2は、投影レンズ152によって実現することができ、サンプル1の表面から検出面SP3への全結像倍率Mは、M1及びM2に基づいて決定することができる。具体的には、全結像倍率Mは、M1M2に基づき得る。
【0050】
[0058] いくつかの実施形態では、ズームレンズ151は、ズーム機能を実行するように構成することができる。2つの静電レンズ151_11及び151_12の集束力を調整することにより、第1の結像倍率Mlは、全結像倍率Mの所望の値を達成するように変化させることができる。投影レンズ152は、回転防止機能を実行するように構成することができる。磁気レンズの磁界及び静電レンズの集束力を調整することにより、検出面SP3における全像回転及び第2の結像倍率M2は、同じままであり得る。走査防止偏向ユニット(図示せず)は、走査防止機能を実行するように構成することができる。偏向走査ユニット132と同期的に二次電子ビームを偏向することにより、検出面SP3における3つの二次電子スポットの変位を実質的にキャンセルすることができる。結果的に、複数のプローブスポットと複数の検出要素との間の対応する関係を常に維持することができる。偏向走査ユニット132によって発生した二次電子ビームの偏向から生じるズームレンズ151及び投影レンズ152の追加の収差を低減するため、走査防止偏向ユニットは、ズームレンズ151の前に配置する方が良く、従って、二次電子ビームは、まるで偏向走査ユニット132がオフであるかのようにズームレンズ151及び投影レンズ152を通過することになる。しかし、この事例では、ズームレンズ151は、ビームセパレータ160から離れて配置され、結果的に、大きな初期の収差が生成され得る。
【0051】
[0059] 当技術分野では一般的に知られているように、二次電子の放出は、ランベルトの法則に従うものであり、大きなエネルギー幅を有する。二次電子のエネルギーは、最大で50eVであり得るが、大部分は、数ある中でも特に、サンプル材料に応じて、約5eVのエネルギーを有し得る。一次電子ビームレットの着地エネルギー(サンプルに着地した際のビームレット102_1のエネルギーなど)は、0.1keV~5keVの範囲であり得る。着地エネルギーは、一次電子源101のバイアスとサンプル1のバイアスのいずれか又は両方を変化させることによって調整することができる。従って、対物レンズ131の励磁は、3つのビームレットに対する対応する集束力を提供するように調整することができる。さらに、収差を低減するため、対物レンズ131は、磁気又は電磁複合レンズであり得、ビームレットを回転し、着地エネルギーに影響を及ぼすように構成される。検出要素140_1、140_2、140_3における二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seによって形成される二次電子スポットのサイズ、位置又は倍率は変化し得るため、二次電子スポットは、対応する検出要素に隣接する検出要素に部分的に入る場合がある。隣接する検出要素によって検出された二次電子は、画像重複をもたらし得、例えば、画像分解能を悪化し得る。1つの検出要素からの画像信号は、サンプル1の2つ以上の走査領域からの情報を含み得、クロストークに起因する分解能の損失が生じ得る。
【0052】
[0060] 例えば、EBIシステム100などのマルチビームSEMのクロストークは、例えば、102_1seなどの二次電子ビームの周辺の二次電子を削除するために二次ビーム制限アパーチャアレイ155を使用することによって軽減することができる。二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、複数のアパーチャを含み得る。図3は、2つのアパーチャ155_1及び155_2のみを示しているが、必要に応じて適切に、いかなる数のアパーチャも使用することができる。例えば、図4(後に説明する)に示される二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、6つのアパーチャ、155_1、155_2、155_3、155_4、155_5、155_6を含む。
【0053】
[0061] 一般に、二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャ(例えば、図3のアパーチャ155_1)のサイズが増大すると、二次電子検出器の全体的な収集効率は増大し得る。しかし、検出器の各検出要素の収集効率の差も増大し得、検出要素140_1、140_2、140_3間のクロストークもまた増大し得る。電子検出デバイス140の全体的な収集効率の増加はスループットを増大させるが、各検出要素140_1、140_2、140_3の収集効率の差により、二次電子ビーム102_1se~102_3seによって形成される画像のグレーレベルの差がさらに生じるようになり得る。グレーレベルの差に起因する検査エラーを取り除くため、1つ又は複数の追加プロセスを実行することができ、それにより、検査スループットの減少及びMBI装置の分解能の悪化が生じ得る。二次電子ビーム102_1se~102_3seの間のクロストークが増大すると、二次電子ビーム102_1se~102_3seによって形成される画像は低下し得る。すなわち、大きなクロストークは、MBI装置の検査分解能を悪化させる。
【0054】
[0062] いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャの各々は、均一又は不均一なサイズ、形状又は断面を有し得る。アパーチャの半径サイズが小さいほど、収集効率は低下し、検出要素140_1、140_2、140_3の撮像信号のクロストークが一般的に存在する。従って、アパーチャの半径サイズは、用途又は所望の結果に依存し得る。
【0055】
[0063] 対物レンズ131が非磁界界浸モードで機能するいくつかの実施形態では、新しく出現した二次電子の角速度は、サンプル表面上でゼロであり得る。そのような実施形態では、オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seの主光線は、対物レンズ131を出た後も依然としてメリディオナル方向(meridional)にあり、二次結像系150の副光軸150_1と交差し得る。その上、主光線は、二次結像系150の同じ場所(収差が考慮されない場合)で副光軸150_1と交差し得る。従って、二次電子ビーム102_1se~102_3seは、交差する共通のエリアで重複するように構成することができ、従って、比較的鋭い二次ビームクロスオーバーが形成され得る。交差する共通のエリア又は二次ビームクロスオーバーが位置する平面は、交差面又は二次ビームクロスオーバー面と呼ばれる。
【0056】
[0064] 図3は、1つの交差面上で二次ビーム102_1se~102_3seを完全に重複させることによって形成された例示的な比較的鋭い二次ビームクロスオーバー面を示しているが、二次電子ビームのうちの1つ又は複数は、交差面上で他の二次電子ビームとのオフセットを有し得、二次ビームクロスオーバーはそれほど鋭くはならず、副光軸150_1に沿って二次ビームクロスオーバー面の範囲が形成され得ることが理解されている。二次ビームクロスオーバー面の位置は、数ある中でも特に、一次ビームレットの着地エネルギー又は対物レンズ131の励磁に依存し得る。いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、二次ビームクロスオーバー面に位置決めすることができる。或いは、言い換えれば、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の平面は、二次ビームクロスオーバー面と一致し得る。いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の平面は、二次ビームクロスオーバー面の位置の移動範囲内にあり得る。二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、二次ビームクロスオーバー面に沿って動かすことができ、その結果、所望のアパーチャ又はアパーチャサイズを使用して、電子検出デバイス140に向けて誘導される周辺の二次電子をブロックすることができる。いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、二次ビームクロスオーバー面の位置の範囲内の最適な位置に配置することができる。
【0057】
[0065] ここで図4を参照すると、図4は、本開示の実施形態と一致する、二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャの例示的な配列の概略図を示している。図4では、サイズを変化させた6つのアパーチャを含むビーム制限アパーチャアレイ155が示されているが、いかなる数のアパーチャも使用することができる。
【0058】
[0066] 図4に示されるように、断面102seは、二次ビーム制限アパーチャアレイ155に入射した重複する二次電子ビーム102_1se~102_3seの断面を表す。いくつかの実施形態では、二次電子ビーム102_1se~102_3seは、鋭い二次ビームクロスオーバーを形成するために同じ交差面で重複させない場合があるが、代わりに、交差面の範囲を形成するように副光軸150_1に沿ってオフセットを設ける場合もある。そのような事例では、重複する二次電子ビーム102_1se~102_3seの断面102seは鋭くはならない。
【0059】
[0067] いくつかの実施形態では、クロストークの発生を最小化するため、155_2及び155_3などの2つの隣接するアパーチャ間の距離は、重複した二次電子ビーム102seの半径Rと2つのアパーチャのうちの大きい方の半径との総和より大きくすることができる。いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、等しいサイズの少なくとも2つのアパーチャを含み得、そのような事例では、155_2及び155_3などの2つの隣接するアパーチャ間の距離は、重複する二次電子ビーム102_1se~102_3seの断面102seの半径Rと2つのアパーチャのうちの1つの半径との総和より大きくすることができる。
【0060】
[0068] いくつかの実施形態では、重複する二次電子ビーム102_1se~102_3seの断面102seの半径Rは、一次ビームレットの着地エネルギー又は対物レンズ131の励磁に依存し得る。従って、重複する二次電子ビーム102_1se~102_3se(図4の断面102seによって表される)の広範な半径に対応するため、2つの隣接するアパーチャ間の距離は、半径Rの最大値に基づいて決定することができる。
【0061】
[0069] ここで図5を参照すると、図5は、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の電子ビームツール500の二次結像系150の例示的な構成を示している。図3の電子ビームツール40の二次結像系150と比べると、電子ビームツール500の二次結像系150は、事前制限アパーチャプレート155Pを含み得る。
【0062】
[0070] 図5に示されるように、事前制限アパーチャプレート155Pは、二次電子ビーム102_1se~102_3seの軸上の電子の通過を可能にしながら、周辺の電子をブロックするように構成されたアパーチャを有するプレートを含み得る。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pは、オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seの周辺の電子の大部分がブロックされるように、二次ビーム制限アパーチャアレイ155及び副光軸150_1と位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pは、二次電子が二次ビーム制限アパーチャアレイ155の意図せぬアパーチャに投射されないようにするように構成することができる。
【0063】
[0071] いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pは、図5に示されるように、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の上流に位置決めすることができる。この開示の文脈では、「~の上流」は、二次ビーム制限アパーチャアレイ155に投射される前に1つ又は複数の二次電子ビーム102_1se~102_3seが入射できるような事前制限アパーチャプレート155Pの位置を指す。
【0064】
[0072] 事前制限アパーチャプレート155Pは、事前制限アパーチャプレート155Pのアパーチャが二次ビーム制限アパーチャアレイ155の所望のアパーチャと位置合わせされるように、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の前に配置することができる。そのような事例では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155に入射する周辺の二次電子の数は、低減すること又は最小化することができる。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pは、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の他の意図せぬアパーチャに入射しないように周辺の二次電子をブロックするように構成することができ、従って、クロストークが低減される。また、そのような構成により、二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャは、互いに近づくように位置決めすることができ、それにより、クロストークの発生を軽減しながら、より多くのアパーチャをアパーチャアレイ155のより小さなエリアに配置することができる。
【0065】
[0073] 二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャのサイズ及び形状は、使用時間、材料、検査パラメータなどに基づいて、経時的に変化し得る。例えば、二次電子への暴露により、アパーチャの縁における汚染及びデブリ形成が生じ、従って、二次電子が通過できるアパーチャの有効サイズ及び形状が低減される。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pを二次ビーム制限アパーチャアレイ155の前に配置することにより、入射する周辺の二次電子の数を低減することによって二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャのサイズ及び形状の変動を低減すること又は最小化することができる。
【0066】
[0074] いくつかの実施形態では、図4に示されるように、二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャ155_1及び155_2は、事前制限アパーチャプレート155Pを通過した二次電子が二次ビーム制限アパーチャアレイ155の意図する1つのアパーチャのみを通過するように、互いに分離させることができる。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pは、周辺の電子が二次ビーム制限アパーチャアレイ155の意図するアパーチャと隣接するアパーチャを通過しないように、周辺の電子をブロックするように構成することができ、それにより、二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャを互いに近づくように位置決めすることができる。これにより、クロストークの発生を軽減しながら、アパーチャアレイ155のより小さなエリアにより多くのアパーチャサイズを含むアパーチャアレイの設計が可能になる。
【0067】
[0075] いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pは、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の下流(例えば、二次ビーム制限アパーチャアレイ155と電子検出デバイス140との間)に位置決めすることができる(この実施形態は図示せず)。この開示の文脈では、「~の下流」は、二次ビーム制限アパーチャアレイ155に投射された後に1つ又は複数の二次電子ビーム102_1se~102_3seが入射できるような事前制限アパーチャプレート155Pの位置を指す。事前制限アパーチャプレート155Pは、電子検出デバイス140よりも二次ビーム制限アパーチャアレイ155の方に近づくように位置決めすることができる。
【0068】
[0076] 図5には示されていないが、いくつかの実施形態では、二次結像系150は、2つ以上の事前制限アパーチャプレート155Pを含み得る。例えば、一次事前制限アパーチャプレート155P_1(図示せず)を二次ビーム制限アパーチャアレイ155の上流に位置決めすることができ、二次事前制限アパーチャプレート155P_2(図示せず)を二次ビーム制限アパーチャアレイ155の下流に位置決めすることができる。そのような構成では、一次事前制限アパーチャプレート155P_1は、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の意図せぬアパーチャに投射されないように大多数の周辺の二次電子をブロックするように構成することができ、二次事前制限アパーチャプレート155P_2は、一次事前制限アパーチャプレート155P_1によってブロックできなかった漂遊している周辺の二次電子をブロックするように構成することができ、従って、クロストークの発生が軽減される。事前制限アパーチャプレートの数及びそれらの配列の他の組合せも可能であることが理解されている。
【0069】
[0077] 事前制限アパーチャプレート155P及び二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、図5に示されるように、最適な距離155Gで分離することができる。周辺の二次電子が二次ビーム制限アパーチャアレイ155の他のアパーチャに漏れ出たり照射されたりする可能性を低減するために事前制限アパーチャプレート155Pと二次ビーム制限アパーチャアレイ155との間の距離155Gを最小化することが望ましいが、距離155Gは、事前制限アパーチャプレート155P及び二次ビーム制限アパーチャアレイ155の動きが制限されないように最適化することができる。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pと二次ビーム制限アパーチャアレイ155との間の距離は、5mmであり得る。いくつかの実施形態では、距離155Gは、数ある中でも特に、機械設計における考慮点、利用可能な空間、製造可能性及び費用効率に基づいて決定することができる。例えば、いくつかの技法を使用して、事前制限アパーチャプレート155Pと二次ビーム制限アパーチャアレイ155との間の3mm~5mmの距離を確実に且つ再現可能な方法で達成することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、距離155Gは、これらに限定されないが、空間利用可能性、設計制限、費用効率、材料及び意図する用途を含む因子に基づいて、5mmを超えるもの(例えば、10mm)であり得る。
【0070】
[0078] ここで図6A~6Dを参照すると、図6A~6Dは、本開示の実施形態と一致する、図5に示される電子ビームツール500の二次結像系150の二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャの例示的な配列を示す概略図である。アパーチャのサイズ、二次ビーム制限アパーチャアレイ155のサイズ、事前制限アパーチャプレート155Pの前の二次電子ビームサイズ、及び、事前制限アパーチャプレート155Pを通過した後に二次ビーム制限アパーチャアレイ155に入射する二次電子ビームサイズは、単なる例証を目的とし、原寸に比例しないことが理解されている。
【0071】
[0079] 図6A~6Dに示されるように、断面102seは、プローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sにおいてサンプルと相互作用した後に一次ビームレット(例えば、図2の一次ビームレット102_1、102_2、102_3)によって発生した二次電子のビームの輪郭をそれぞれ表す。
【0072】
[0080] 図6Aは、すべてのアパーチャの幾何学的中心が軸(例えば、x軸)に沿って位置合わせされるように一方向に配置された3つのアパーチャ155_1、155_2、155_3を含む二次ビーム制限アパーチャアレイ155Aを示す。3つのアパーチャのみが示されているが、いかなる数のアパーチャも使用することができる。いくつかの実施形態では、そのような構成のアパーチャの数は、二次結像系150において利用可能な物理的な空間に基づく二次ビーム制限アパーチャアレイ155Aの許容サイズによって制限され得る。事前制限アパーチャプレート155Pを使用するいくつかの利点のうちの1つは、検出のために使用されない二次ビーム制限アパーチャアレイ155Aのアパーチャに照射されないようにすべての周辺の二次電子をブロックすることによって、2つの隣接するアパーチャ間の分離距離の低減が可能になることである。それに加えて、事前制限アパーチャプレート155Pを使用することにより、クロストークを低減することができる。
【0073】
[0081] 2つの隣接するアパーチャ間の分離距離の低減は、図6Aに示されている。この文脈では、2つのアパーチャ間の分離距離は、2つの隣接するアパーチャの幾何学的中心間の直線距離と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、アレイを横断する2つのアパーチャ間の分離距離は、均一であり得る。例えば、アパーチャ155_1とアパーチャ155_2との間の分離距離は、アパーチャ155_2とアパーチャ155_3との間の分離距離と同様であり得る。いくつかの実施形態では、分離距離は、不均一であり得る。
【0074】
[0082] いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Aは、重複する二次電子ビームが通過できるアパーチャのサイズを調整するために、単軸(x軸など)に沿って動くように構成することができる。
【0075】
[0083] 図6Aに示されるように、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Aは、異なるサイズのアパーチャを含み得る。いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Aのアパーチャ155_1、155_2、155_3は、サイズ、形状、断面及びピッチにおいて均一であり得る。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pのアパーチャの半径は、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の最大アパーチャの半径よりわずかに大きいものであり得る。事前制限アパーチャプレート155P及び二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、事前制限アパーチャプレート155P及び二次ビーム制限アパーチャアレイ155のアパーチャの幾何学的中心が副光軸150_1と位置合わせされるように位置合わせすることができる。
【0076】
[0084] 図6Bは、x軸及びy軸に沿って長方形行列に配置された6つのアパーチャ155_1~155_6を含む二次ビーム制限アパーチャアレイ155Bを示す。いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Bは、異なるサイズのアパーチャを含み得る。いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Bは、同様のサイズの少なくとも2つのアパーチャを含み得る。断面102se_155Pは、一次ビームレット102_1、102_2、102_3によって発生した及び事前制限アパーチャプレート155Pを通過した二次電子のビーム(102seによって表される)の輪郭を表す。断面102se及び102se_155Pは、副光軸150_1に沿った異なる平面における二次電子ビームの輪郭を表すことが理解されている。
【0077】
[0085] いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Bは、重複する二次電子ビームが通過できるアパーチャのサイズを調整するために、x軸とy軸の両方に沿って動くように構成することができる。図6A及び6Bは、長方形の二次ビーム制限アパーチャアレイ(例えば、155A及び155B)を示しているが、これらに限定されないが、円形、三角形、楕円形などを含む他の形状も使用することができる。二次ビーム制限アパーチャアレイのサイズ及び形状は、利用可能な物理的な空間、機械設計における考慮点、費用効率などに基づいて決定できることが理解されている。
【0078】
[0086] ここで図6Cを参照すると、図6Cは、7つのアパーチャ155_1~155_7を含む円形の二次ビーム制限アパーチャアレイ155Cを示している。いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Cは、中央のアパーチャ155_1及び中央のアパーチャ155_1の周りで半径方向に配列された6つの中心から外れたアパーチャ155_2~155_7を含み得る。図6Cに示されるように、中心から外れたアパーチャは、中央のアパーチャ155_1の中心と中心から外れたアパーチャ155_2~155_7の各々の中心との間の分離距離が均一であるように、仮想円155Rに沿って位置決めすることができる。言い換えれば、中央のアパーチャ155_1の中心と中心から外れたアパーチャ155_2~155_7の各々の中心との間の分離距離は、155Rの半径と同様であるか又は実質的に同様であり得る。そのような実施形態では、分離距離又は仮想円155Rの半径は、断面102se_155Pの半径及び二次ビーム制限アパーチャアレイ155Cの最大アパーチャ(例えば、図6Cのアパーチャ155_6)の半径に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、分離距離は、断面102se_155Pの半径と二次ビーム制限アパーチャアレイ155Cの例えば最大アパーチャ155_6の半径との総和より大きくすることができる。
【0079】
[0087] 図6Cに示されるように、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Cは、異なるサイズのアパーチャを含み得る。中央のアパーチャ155_1は、中心から外れたアパーチャ155_2~155_7と比べて、サイズが異なり得る。いくつかの実施形態では、中心から外れたアパーチャの各々は、異なるサイズのものであり得、仮想円155Rの外周に沿ってランダムに配列することができる。
【0080】
[0088] いくつかの実施形態では、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Cは、重複する二次電子ビームが通過できるアパーチャのサイズを調整するために、x軸とy軸の両方に沿って動くように構成することができる。二次ビーム制限アパーチャアレイ155Cのアパーチャの円形配列のいくつかの利点のうちの1つは、x軸及びy軸方向における限られた動きで様々なアパーチャサイズにアクセスできることである。
【0081】
[0089] 図6Dは、7つのアパーチャ155_1~155_7を含む円形の二次ビーム制限アパーチャアレイ155Dを示す。図6Cと比べると、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Dの2つ以上のアパーチャのサイズは、同様であるか又は実質的に同様であり得る。例えば、中心から外れたアパーチャ155_3と155_7のサイズは同様である。図6Dは、同様のサイズを有する2つの中心から外れたアパーチャ155_3及び155_7を示しているが、任意の2つ以上のアパーチャが同様のサイズを有し得ることが理解されている。
【0082】
[0090] いくつかの実施形態では、アパーチャは、長時間の使用後、例えば、二次ビーム制限アパーチャアレイ155Dに入射した二次電子によって生成される粒子、デブリ及び気体が原因で、汚染される可能性がある。汚染により、アパーチャの有効サイズ又は形状が変更され得、それにより、電子検出デバイス140の検出要素(例えば、図3の140_1、140_2、140_3)の収集効率に影響が及び、従って、全スループット及び画像分解能にインパクトが及び得る。汚染の問題は、155_3などのより小さなアパーチャほど過大視され得るが、その理由の1つは、小さなアパーチャでは、より大きなアパーチャと比べて、アレイに入射する二次電子の大半がブロックされるためである。それに加えて、アパーチャが小さいほど円周は小さくなり、従って、より大きなアパーチャと比べて、二次電子への同じ暴露時間の間のアパーチャの有効サイズの低減率は大きくなり得る。同様のサイズの2つ以上のアパーチャを有するいくつかの利点のうちの1つは、メンテナンスによるツールダウンタイムの縮小であり得る。例えば、アパーチャのうちの1つが汚染された場合、同様のサイズの第2のアパーチャを使用することができ、それにより、途切れることのないツール使用が可能になり、その結果、ウェーハ検査の全スループットが向上する。
【0083】
[0091] ここで図7を参照すると、図7は、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の二次結像系150の例示的な構成700を示している。二次結像系150は、荷電粒子ビーム検査システム(例えば、図1の電子ビーム検査システム100)の一部であり得ることが理解されている。
【0084】
[0092] 図7に示されるように、二次結像系150は、x軸、y軸及びz軸に沿って3つの方向に動くように構成された可動二次ビーム制限アパーチャアレイ155を含み得る。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート155Pをその位置に固定しながら、二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、所望のアパーチャサイズを選択するためにx軸及びy軸に沿って動かし、二次ビームクロスオーバー面の位置と一致させるためにz軸に沿って動かすことができる。x軸及びy軸は、副光軸150_1に垂直であり得、z軸は、副光軸150_1に平行であり得る。
【0085】
[0093] いくつかの実施形態では、副光軸150_1に沿った二次ビームクロスオーバー面の位置は、これらに限定されないが、一次ビームレットの着地エネルギー及び対物レンズ131の励磁を含む因子に少なくとも基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、一次ビームレットの着地エネルギーの範囲に対する二次ビームクロスオーバー面の対応する位置は、シミュレーション及びデータモデリングアルゴリズムに基づいて決定することができる。
【0086】
[0094] 一次ビームレットの着地エネルギーに基づいて、二次電子ビームは、副光軸150_1に垂直な異なる平面で重複し得、従って、着地エネルギーの対応する範囲に対する二次ビームクロスオーバー面の位置の範囲が形成される。いくつかの実施形態では、クロスオーバー面の位置は、着地エネルギーのシミュレーションに基づいて決定することができ、従って、二次ビームクロスオーバー面の位置の範囲は、システムにおいて使用される着地エネルギーの範囲に基づいて決定することができる。例えば、ユーザ又はシステムは、アルゴリズムなどのシミュレーションに基づいて、一次ビームレットの着地エネルギーの所定の値に対する二次ビームクロスオーバー面の座標を理論的に決定することができる。
【0087】
[0095] いくつかの実施形態では、二次ビームクロスオーバー面の位置と位置合わせするために二次ビーム制限アパーチャアレイ155の位置がz軸に沿って調整される場合は、事前制限アパーチャプレート155Pの位置は、二次ビームクロスオーバー面の位置の範囲から外れる場合がある。これにより、二次ビーム制限アパーチャアレイ155に入射する二次電子ビーム(例えば、図6A~6Dの102se_155Pとして表される)のサイズが増加し得る。二次ビーム制限アパーチャアレイ155に入射する大きなビームサイズは電子検出デバイスの検知素子に入射する二次電子の数を増強するが、クロストークの発生の可能性も増大し得る。
【0088】
[0096] ここで図8を参照すると、図8は、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の二次結像系150の例示的な構成800を示している。二次結像系150は、荷電粒子ビーム検査システム(例えば、図1の電子ビーム検査システム100)の一部であり得ることが理解されている。
【0089】
[0097] 図8に示されるように、二次結像系150は、可動事前制限アパーチャプレート155P及び可動二次ビーム制限アパーチャアレイ155を含み得る。可動事前制限アパーチャプレート155Pは、x軸、y軸及びz軸に沿って3つの方向に独立して動くように構成することができる。いくつかの実施形態では、可動事前制限アパーチャプレート155Pは、距離155Gが維持されるように可動二次ビーム制限アパーチャアレイ155と連動して動くように構成することができる。
【0090】
[0098] いくつかの実施形態では、可動事前制限アパーチャプレート155P及び二次ビーム制限アパーチャアレイ155は、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の位置が二次ビームクロスオーバー面の位置と位置合わせされるように一緒に動かすことができる。そのようなシナリオでは、距離155G及びクロスオーバー位置の範囲に基づいて、事前制限アパーチャプレート155P及び二次ビーム制限アパーチャアレイ155は両方とも、クロスオーバー位置の範囲内に配置することができる。いくつかの実施形態では、周辺の電子を効果的にブロックしてクロストークの可能性を低減するため、副光軸150_1に沿ったクロスオーバー位置の範囲内に事前制限アパーチャプレート155P及び二次ビーム制限アパーチャアレイ155を有することが望ましい。
【0091】
[0099] ここで図9を参照すると、図9は、本開示の実施形態と一致する、サンプルの画像を形成するために二次結像系(例えば、図3の二次結像系150)によって実行される例示的な方法900を表すプロセスフローチャートを示している。方法900は、例えば、図1に示されるようなEBIシステム100のコントローラ50によって実行することができる。コントローラ50は、方法900の1つ又は複数のステップを実施するようにプログラムすることができる。例えば、コントローラ50は、荷電粒子ビームを生成するために荷電粒子源を起動するように荷電粒子ビーム装置のモジュールに指示することができ、荷電粒子ビームは、サンプルと相互作用した時点で二次荷電粒子ビームを発生させることができる。
【0092】
[00100] ステップ910では、一次ビームレット(例えば、図2の102_1、102_2、102_3)がサンプルのプローブスポット(例えば、図2の102_1S、102_2S、102_3S)と相互作用した時点で、サンプル(例えば、図2のサンプル1)から複数の二次電子ビーム(例えば、図3の102_1se、102_2se、102_3se)を発生させることができる。いくつかの実施形態では、発生する二次電子ビームの数は、サンプルに入射した一次ビームレットの数と等しいものであり得る。3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seは、その副光軸150_1に沿って二次結像系150に入るように、ウィーンフィルタなどのビームセパレータ(例えば、図2のビームセパレータ160)によって方向転換することができる。
【0093】
[00101] ステップ910は、副光軸に沿った交差する共通のエリアで重複するように二次電子ビーム102_1se~102_3seを誘導することをさらに含み得、従って、二次ビームクロスオーバー(例えば、比較的鋭い二次ビームクロスオーバーなど)が形成され得る。交差する共通のエリア又は二次ビームクロスオーバーが位置する平面は、交差面又は二次ビームクロスオーバー面と呼ばれる。ビーム制限アパーチャアレイ(例えば、図3の二次ビーム制限アパーチャアレイ155)は、二次ビームクロスオーバー面又はその近くに位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート(例えば、図5の事前制限アパーチャプレート155P)は、二次ビーム制限アパーチャアレイの前に配置することができる。
【0094】
[00102] ステップ920では、二次ビーム制限アパーチャアレイに照射する前に、事前制限アパーチャプレートを使用して、二次電子ビームの周辺の二次電子をブロックすることができる。事前制限アパーチャプレートは、二次電子ビームの軸上の電子の通過を可能にしながら、周辺の電子をブロックするように構成されたアパーチャを有するプレートを含み得る。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレートは、オフアクシス二次電子ビームの周辺の電子の大部分がブロックされるように、二次ビーム制限アパーチャアレイ及び副光軸と位置合わせすることができる。
【0095】
[00103] いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート及び二次ビーム制限アパーチャアレイは、最適な距離(例えば、図5に示されるような距離155G)で分離することができる。周辺の二次電子が二次ビーム制限アパーチャアレイの他の意図せぬアパーチャに漏れ出たり投射されたりする可能性を低減するために事前制限アパーチャプレートと二次ビーム制限アパーチャアレイとの間の距離を最小化することが望ましいが、距離155Gは、事前制限アパーチャプレート及び二次ビーム制限アパーチャアレイの動きが制限されないように最適化することができる。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレートと二次ビーム制限アパーチャアレイとの間の距離は、5mmであり得る。いくつかの実施形態では、距離は、数ある中でも特に、機械設計における考慮点、利用可能な空間、製造可能性及び費用効率に基づいて決定することができる。例えば、いくつかの技法を使用して、事前制限アパーチャプレート155Pと二次ビーム制限アパーチャアレイ155との間の3mm~5mmの距離を確実に且つ再現可能な方法で達成することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、距離は、これらに限定されないが、空間利用可能性、設計制限、費用効率、材料及び意図する用途を含む因子に基づいて、5mmを超えるもの(例えば、10mm)であり得る。
【0096】
[00104] ステップ930では、ビーム制限アパーチャアレイを使用して二次電子ビームをさらに削減することができる。二次ビーム制限アパーチャアレイは、二次ビームクロスオーバー面の位置の移動範囲に又は移動範囲内に配置することができる。二次ビーム制限アパーチャアレイは、二次ビームクロスオーバー面に沿って動かすことができ、その結果、所望のアパーチャ又はアパーチャサイズを使用して、荷電粒子検出要素(例えば、図3の電子検出デバイス140)に向けて誘導される周辺の二次電子をブロックすることができる。二次ビームクロスオーバー面の位置は、数ある中でも特に、一次ビームレットの着地エネルギー又は対物レンズ(例えば、図2の対物レンズ131)の励磁に依存し得る。二次ビーム制限アパーチャアレイは、二次ビームクロスオーバー面の移動範囲内の最適な位置に配置することができる。
【0097】
[00105] いくつかの実施形態では、ステップ920及び930の順番は、交換可能であり得る。例えば、事前制限アパーチャプレートは、二次ビーム制限アパーチャアレイの上流又は下流に配置することができ、その結果、二次電子ビーム102_1se~102_3seは、二次ビーム制限アパーチャアレイに投射される前又は後に事前制限アパーチャプレートにそれぞれ入射することができる。いくつかの実施形態では、事前制限アパーチャプレート(例えば、一次事前制限アパーチャプレート155P_1(図示せず))は、二次ビーム制限アパーチャアレイの上流に配置することができ、別の事前制限アパーチャプレート(例えば、事前制限アパーチャプレート155P_2(図示せず))は、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の下流に配置することができる。そのような構成では、一方の事前制限アパーチャプレート(例えば、155P_1)は、二次ビーム制限アパーチャアレイ155の意図せぬアパーチャに投射されないように大多数の周辺の二次電子をブロックするように構成することができ、別の事前制限アパーチャプレート(例えば、155P_2)は、第1の事前制限アパーチャプレートによってブロックできなかった漂遊している周辺の二次電子をブロックするように構成することができ、従って、クロストークの発生の可能性が軽減される。要望に応じて、事前制限アパーチャプレートの数及びそれらの配列の他の組合せも使用できることが理解されている。
【0098】
[00106] ステップ940では、サンプルの精査領域の画像を生成するために、削減された二次電子ビームを電子検出デバイスの検出要素(例えば、図3の140_1、140_2、140_3)に向けて投影することができる。
【0099】
[00107] 実施形態については、以下の条項を使用してさらに説明する。
1. サンプルからの複数の二次荷電粒子ビームの周辺の荷電粒子をブロックするように構成された第1のアパーチャを含む第1の事前制限アパーチャプレートと、
複数の二次荷電粒子ビームを削減するように構成された第2のアパーチャを含むビーム制限アパーチャアレイと
を含む、電気光学システム。
2. 複数の検出要素を含む荷電粒子検出器をさらに含む、条項1に記載のシステムであって、複数の検出要素の各検出要素が、複数の二次荷電粒子ビームの対応する削減ビームと関連付けられる、システム。
3. 第1の事前制限アパーチャプレートとビーム制限アパーチャアレイとの間の距離が、5mm以下である、条項1又は2に記載のシステム。
4. 第1の事前制限アパーチャプレートが、ビーム制限アパーチャアレイの上流又に位置決めされる、条項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
5. 第1の事前制限アパーチャプレートが、ビーム制限アパーチャアレイの下流に位置決めされる、条項2~4のいずれか一項に記載のシステム。
6. 第2の事前制限アパーチャプレートをさらに含む、条項1又は2に記載のシステム。
7. 第1の事前制限アパーチャプレートが、ビーム制限アパーチャアレイの上流に位置決めされ、第2の事前制限アパーチャプレートが、ビーム制限アパーチャアレイの下流に位置決めされる、条項6に記載のシステム。
8. 複数の二次荷電粒子ビームが、複数の一次荷電粒子ビームとサンプルとの間の相互作用に応答してサンプルから発生した二次電子又は後方散乱電子の少なくとも1つを含む、条項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
9. ビーム制限アパーチャアレイが、異なるサイズの複数のアパーチャを含む、条項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
10. 複数のアパーチャの少なくとも2つが、同様のサイズを有する、条項9に記載のシステム。
11. 複数のアパーチャが、長方形、円形又は螺旋形のパターンに配列される、条項9又は10に記載のシステム。
12. 複数の二次荷電粒子ビームが重複して、電気光学システムの副光軸に垂直なクロスオーバー面上にクロスオーバーエリアが生じる、条項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
13. ビーム制限アパーチャアレイが、クロスオーバー面の位置の範囲に又は範囲内に且つ副光軸に垂直に配置される、条項12に記載のシステム。
14. クロスオーバー面の位置の範囲が、サンプル上の複数の一次荷電粒子ビームの着地エネルギーに基づいて決定される、条項12又は13に記載のシステム。
15. 第2のアパーチャが、クロスオーバーエリアに中心を置く、条項12~14のいずれか一項に記載のシステム。
16. 第1及び第2のアパーチャの中心が、副光軸と位置合わせされる、条項12~15のいずれか一項に記載のシステム。
17. ビーム制限アパーチャアレイが、複数のアパーチャの各アパーチャをクロスオーバーエリアと位置合わせするために動かすことができる、条項12~16のいずれか一項に記載のシステム。
18. ビーム制限アパーチャアレイが、クロスオーバー面の位置の範囲に基づいて、副光軸に沿って動かすことができる、条項14~17のいずれか一項に記載のシステム。
19. 第1の事前制限アパーチャプレートの平面が、クロスオーバー面の位置の範囲の外側にある、条項12~18のいずれか一項に記載のシステム。
20. ビーム制限アパーチャアレイ及び第1の事前制限アパーチャプレートの平面が、クロスオーバー面の位置の範囲内にある、条項19に記載のシステム。
21. サンプルから荷電粒子検出器に複数の二次荷電粒子ビームを投影するための電気光学システム
を含む、多重荷電粒子ビーム装置であって、電気光学システムが、
複数の二次荷電粒子ビームの周辺の荷電粒子をブロックするように構成された第1のアパーチャを含む第1の事前制限アパーチャプレートと、
複数の二次荷電粒子ビームを削減するように構成された第2のアパーチャを含むビーム制限アパーチャアレイと
を含み、
荷電粒子検出器が、複数の検出要素を含み、複数の検出要素の各検出要素が、複数の二次荷電粒子ビームの対応する削減ビームと関連付けられる、多重荷電粒子ビーム装置。
22. 第1の事前制限アパーチャプレートとビーム制限アパーチャアレイとの間の距離が、5mm以下である、条項21に記載の装置。
23. 第1の事前制限アパーチャプレートが、ビーム制限アパーチャアレイの上流又に位置決めされる、条項21又は22に記載の装置。
24. 第1の事前制限アパーチャプレートが、ビーム制限アパーチャアレイの下流に位置決めされる、条項21~23のいずれか一項に記載の装置。
25. 第2の事前制限アパーチャプレートをさらに含む、条項21に記載の装置。
26. 第1の事前制限アパーチャプレートが、ビーム制限アパーチャアレイの上流に位置決めされ、第2の事前制限アパーチャプレートが、ビーム制限アパーチャアレイの下流に位置決めされる、条項25に記載の装置。
27. 複数の二次荷電粒子ビームが、複数の一次荷電粒子ビームとサンプルとの間の相互作用に応答してサンプルから発生した二次電子又は後方散乱電子の少なくとも1つを含む、条項21~26のいずれか一項に記載の装置。
28. ビーム制限アパーチャアレイが、異なるサイズの複数のアパーチャを含む、条項21~27のいずれか一項に記載の装置。
29. 複数のアパーチャの少なくとも2つが、同様のサイズを有する、条項28に記載の装置。
30. 複数のアパーチャが、長方形、円形又は螺旋形のパターンに配列される、条項28又は29に記載の装置。
31. 複数の二次荷電粒子ビームが重複して、電気光学システムの副光軸に垂直なクロスオーバー面上にクロスオーバーエリアが生じる、条項21~30のいずれか一項に記載の装置。
32. ビーム制限アパーチャアレイが、クロスオーバー面の位置の範囲に又は範囲内に且つ副光軸に垂直に配置される、条項31に記載の装置。
33. クロスオーバー面の位置の範囲が、サンプル上の複数の一次荷電粒子ビームの着地エネルギーに基づいて決定される、条項31又は32に記載の装置。
34. 第2のアパーチャが、クロスオーバーエリアに中心を置く、条項31~33のいずれか一項に記載の装置。
35. 第1及び第2のアパーチャの中心が、副光軸と位置合わせされる、条項31~34のいずれか一項に記載の装置。
36. ビーム制限アパーチャアレイが、複数のアパーチャの各アパーチャをクロスオーバーエリアと位置合わせするために動かすことができる、条項31~35のいずれか一項に記載の装置。
37. ビーム制限アパーチャアレイが、クロスオーバー面の位置の範囲に基づいて、副光軸に沿って動かすことができる、条項33~36のいずれか一項に記載の装置。
38. 第1の事前制限アパーチャプレートの平面が、クロスオーバー面の位置の範囲の外側にある、条項31~37のいずれか一項に記載の装置。
39. ビーム制限アパーチャアレイ及び第1の事前制限アパーチャプレートの平面が、クロスオーバー面の位置の範囲内にある、条項38に記載の装置。
40. サンプルの画像を形成するために二次結像系によって実行される方法であって、
サンプルから複数の二次荷電粒子ビームを発生させることと、
事前制限アパーチャプレートを使用して複数の二次荷電粒子ビームの周辺の荷電粒子をブロックすることと、
ビーム制限アパーチャアレイのアパーチャを使用して複数の二次荷電粒子ビームを削減することと、
複数の削減された二次荷電粒子ビームを荷電粒子検出器の対応する検出要素に投影することと
を含む、方法。
【0100】
[00108] 画像検査、画像取得、集光レンズ調整、荷電粒子源の起動、ビーム偏向、ビーム制限アパーチャアレイ(例えば、二次ビーム制限アパーチャアレイ155)の位置決め、事前制限アパーチャプレート(例えば、事前制限アパーチャプレート155P)の位置決めなどを行うためにコントローラ(例えば、図1のコントローラ50)のプロセッサに対する命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。非一時的な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ又は他の任意の磁気データ記憶媒体、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、他の任意の光データ記憶媒体、ホールのパターンを有する任意の物理的な媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去型プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュEPROM又は他の任意のフラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、及び、それらのネットワーク接続バージョンを含む。
【0101】
[00109] 本開示の実施形態は、上記で説明してきた及び添付の図面で示してきた通りの構造に限定されないことや、その範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行えることが理解されよう。本開示は、様々な実施形態と関連付けて説明しており、本明細書で開示される発明の仕様及び実践を考慮することから、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。仕様及び例は単なる例示と見なされ、本発明の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0102】
[00110] 上記の説明は、制限ではなく、例示を意図する。従って、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明されるように修正を行えることが当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9