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特許7366234処理チャンバ部品のための保護用多層コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】処理チャンバ部品のための保護用多層コーティング
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/34 20060101AFI20231013BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20231013BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231013BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20231013BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
C23C16/34
C23C16/40
H01L21/302 101H
H01L21/205
H01L21/31 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022507807
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2020038873
(87)【国際公開番号】W WO2021029970
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】201941032296
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バジャージ, ギーティカ
(72)【発明者】
【氏名】パリーク, ヨギタ
(72)【発明者】
【氏名】タカレ, ダルシャン
(72)【発明者】
【氏名】ゴラディア, プレルナ ソンサリア
(72)【発明者】
【氏名】カダム, アンクル
(72)【発明者】
【氏名】パプケ, ケヴィン エー.
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-522104(JP,A)
【文献】特開2018-190985(JP,A)
【文献】特開2009-272355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/34
C23C 16/40
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバに用いられるチャンバ部品であって、
金属合金またはセラミックを含む表面を有するチャンバ部品と、
前記チャンバ部品の前記表面上に堆積された保護用コーティングと
を含み、前記保護用コーティングは、
約10nmと約200nmとの間の厚さを有する金属窒化物層と、
前記金属窒化物層上に堆積され、約1nmと約1μmとの間の厚さを有する酸化物層と
約0.5nmと約10nmとの間の厚さを有する酸素窒化物中間層と
を含み、
前記金属窒化物層および前記酸化物層は、ALDプロセスによって前記チャンバ部品の前記表面上に堆積された、チャンバ部品。
【請求項2】
約1nmと約100nmとの間の厚さを有するオキシフッ化物層を更に含む、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項3】
前記金属窒化物層が、窒化アルミニウム、窒化チタン、および、窒化タンタルのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項4】
前記酸化物層が、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、または、酸化チタンのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項5】
前記保護用コーティングは、約1nmと約1500nmとの間の厚さを有する、請求項1に記載のチャンバ部品。
【請求項6】
処理チャンバ部品上に金属窒化物層、酸化物層および酸素窒化物中間層を含むコーティングを形成する方法であって、
約10nmと約200nmとの間の厚さを有する金属窒化物層を、前記処理チャンバ部品の表面上にALDによって堆積させることと、
約1nmと約1μmとの間の厚さを有する酸化物層を前記金属窒化物層上にALDによって堆積させることと、
約275℃から約375℃の範囲内の温度に前記金属窒化物層および前記酸化物層をアニーリングして前記金属窒化物層および前記酸化物層の間に酸素窒化物中間層を形成することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記金属窒化物層および前記酸化物層を堆積させる前に、前記処理チャンバ部品の前記表面を、約200℃と約300℃との間の温度まで加熱することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属窒化物層を堆積させることは、
金属含有種を含み約40℃と約80℃との間の温度まで加熱された第1の前駆体を、約150msと約800sとの間の長さの時間の間、前記処理チャンバ内へ流し込むことと、
窒素含有種を含み約20℃と約25℃との間の温度まで加熱された第2の前駆体を、約2sと約25sとの間の長さの時間の間、前記処理チャンバ内へ流し込むことと
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の前駆体が、TBTDET、TDEAT、TDMAT、TEMAT、TMA、および、PDMATを含むグループから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の前駆体が、NH、N、CH(NH)(NH)、C、C12、C、C、および、CHを含むグループから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記処理チャンバ内へ前記第1の前駆体を流し込んだ後に、そして、前記処理チャンバ内へ前記第2の前駆体を流し込んだ後に、前記処理チャンバをパージすることを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化物層を堆積させることは、
約40℃と約80℃との間の温度まで加熱された第3の前駆体を、約150msと約800sとの間の長さの時間の間、前記処理チャンバ内へ流し込むことと、
酸素含有種を含み約20℃と約25℃との間の温度まで加熱された第4の前駆体を、約2sと約25sとの間の長さの時間の間、前記処理チャンバ内へ流し込むことと
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記第3の前駆体が、TMA、TDEAT、TDMAT、TDMAH、TDMAZ、[Ce(thd)]、[Ce(thd)phen]、[Ce(Cp)3]、[Ce(CpMe)3]、および、[Ce(iprCp)3]を含むグループから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第4の前駆体が、NO、O、O、HO、CO、および、COを含むグループから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化物層をフッ素含有ガスに曝し、前記酸化物層上にオキシフッ化物層を形成することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
処理チャンバ内で使用するためのチャンバ部品上に金属窒化物層、酸化物層および酸素窒化物中間層を含むコーティングを形成する方法であって、
第1のALDプロセスによって処理チャンバ部品の表面上に金属窒化物層を堆積させることと、
第2のALDプロセスによって前記金属窒化物層上に酸化物層を堆積させることと
約275℃から約375℃の範囲内の温度に前記金属窒化物層および前記酸化物層をアニーリングして前記金属窒化物層および前記酸化物層の間に酸素窒化物中間層を形成することと
を含み、
前記第1のALDプロセスは、
前記処理チャンバ部品の前記表面を約200℃と約300℃との間の温度まで加熱することと、
金属含有種を含み約40℃と約80℃との間の温度まで加熱された第1の前駆体を、約150msと約800sとの間の長さの時間の間、前記処理チャンバ内へ流し込むことと、
窒素含有種を含み約20℃と約25℃との間の温度まで加熱された第2の前駆体を、約2sと約25sとの間の長さの時間の間、前記処理チャンバ内へ流し込むことと
を含み、
前記第2のALDプロセスは、
約40℃と約80℃との間の温度まで加熱された第3の前駆体を、約150msと約800sとの間の長さの時間の間、前記処理チャンバ内へ流し込むことと、
前記第2の前駆体は酸素含有種を含み、約20℃と約25℃との間の温度まで加熱された第4の前駆体を、約2sと約25sとの間の長さの時間の間、前記処理チャンバ内へ流し込むことと
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1の前駆体が、TBTDET、TDEAT、TDMAT、TEMAT、TMA、および、PDMATを含むグループから選択され、前記第2の前駆体が、NH、N、CH(NH)(NH)、C、C12、C、C、および、CHを含むグループから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第3の前駆体が、TMA、TDEAT、TDMAT、TDMAH、TDMAZ、[Ce(thd)]、[Ce(thd)phen]、[Ce(Cp)3]、[Ce(CpMe)3]、および、[Ce(iprCp)3]を含むグループから選択され、前記第4の前駆体が、NO、O、O、HO、CO、および、COを含むグループから選択される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、保護用コーティングに関する。特に、本開示の実施形態は、半導体装置製造の分野で用いられる処理チャンバおよびチャンバ部品のための保護用多層スタックを形成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしば、半導体装置の処理設備およびその部品(例えば、処理チャンバ本体および処理チャンバ部品)は、金属合金またはセラミック材料によって形成される。そのような設備および部品のための材料は、望ましい機械的および化学的性質(すなわち、引張強さ、密度、延性、成形性、加工性、および、耐食性)を提供するように選択される。アルミニウム、炭素、鉄、シリコン、および、イットリウムの主要元素に加えて、とりわけ、処理チャンバ部品において利用される材料は、典型的には、コバルト、銅、クロム、マグネシウム、マンガン、ニッケル、スズ、タングステン、亜鉛、および、それらの組み合わせのような添加元素を含む。これらの添加元素は、結果として得られる設備または部品の機械的および/または化学的性質を望まれるように改善するように選ばれる。
【0003】
残念なことに、半導体基板処理(例えば、シリコンウエハ処理)の間、添加元素は、処理チャンバまたは処理チャンバ部品の表面から他の表面に望ましくなく移動する可能性がある。例えば、微量金属が処理チャンバ内で処理されている基板の表面に移動し、結果として基板表面上の微量金属汚染となる。微量金属汚染は、基板の上に形成される電子デバイス(例えば、半導体装置)に有害であり、しばしば装置を機能しなくし、装置性能の低下の一因となり、かつ/または、その使用可能な寿命を短縮する。
【0004】
処理チャンバおよび処理チャンバ部品の表面からの元素の移動または浸出を防止する従来の方法は、それらの表面をバリア層でコーティングすることを含む。しばしば、そのような表面上に形成されるバリア層は、基板処理の間に処理チャンバ内に存在する環境の反応性または腐食性のために、処理チャンバまたは処理チャンバ部品の有効寿命が終わるかなり前に腐食する傾向がある。バリア層の腐食は、処理チャンバ内で望ましくない粒子を形成して、バリア層の下の設備または部品の表面を望ましくなく露出させる。上述の微量金属のように、上記の粒子は、基板表面に移動する可能性があり、基板上に形成される装置を、それらの装置の意図された目的に適合しなくする場合がある。
【0005】
したがって、処理チャンバ表面および処理チャンバ部品のための改善された保護用コーティング、および、その保護用コーティングを形成する方法が当該技術分野において必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、一般に、処理チャンバ表面および処理チャンバ部品のための保護用コーティング、および、その保護用コーティングを形成する方法に関する。
【0007】
1つの実施形態においては、プラズマ処理チャンバに用いられるチャンバ部品が提供される。チャンバ部品は、金属合金またはセラミックによって形成される表面、および、その表面上に堆積されたコーティングを含む。更に、コーティングは、金属窒化物層、および、この金属窒化物層上に堆積された酸化物層を含む。
【0008】
1つの実施形態においては、処理部品が設けられている。この処理部品は、金属合金またはセラミックにより形成される基材、基材に堆積された金属窒化物層、金属窒化物層上に堆積されている酸素窒化物層、および、この酸素窒化物中間層上に堆積されている酸化物層を含む。
【0009】
1つの実施形態においては、チャンバ部品上にコーティングを形成する方法が提供される。この方法は、チャンバ部品の表面上に金属窒化物層を堆積させること、および、酸化物層を金属窒化物層上に堆積させることを含む。
【0010】
本開示の前述の特徴が詳細に理解され得るように、(上に簡潔に要約された)本開示のより詳細な説明が複数の実施形態を参照して為され得る。実施形態の幾つかは添付の図面に図示される。しかしながら、添付の図面は代表的な実施形態のみを例示する。したがって、添付の図面は本開示の技術範囲の限定であるとみなされるべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態にも通じ得るものであることに留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書において記述されている1つの実施形態による、代表的な処理チャンバの概略断面図である。
図2A】本明細書において記述されている1つの実施形態による、保護用多層コーティングの概略断面図である。
図2B】本明細書において記述されている1つの実施形態による、保護用多層コーティングの概略断面図である。
図3】本明細書において記述されている1つの実施形態による、保護用多層コーティングを基材上に堆積させる方法のフローダイアグラムである。
図4】本明細書において記述されている1つの実施形態による、保護用多層コーティングを基材上に堆積させる方法のフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするべく、複数の図面に共通である同じ要素を示すために、可能な所では、同じ参照符号が使われている。1つの実施形態の要素および特徴は、更なる記述無しで他の実施形態に有益に組み入れられ得ると考えられる。
【0013】
本開示は、処理チャンバおよび処理チャンバ部品のための保護用多層コーティングに関する。1つの実施形態においては、多層保護用コーティングは、金属窒化物層、および、金属窒化物層の上に堆積された酸化物層を含む。1つの実施形態においては、多層保護用コーティングは、酸素窒化物中間層および/またはオキシフッ化物層を更に含む。多層保護用コーティングは、例えば、電子デバイス製造(例えば、半導体装置製造)の分野で用いられる処理チャンバまたは処理チャンバ部品のような、金属合金またはセラミックの基材上に形成され得る。1つの実施形態においては、金属窒化物層および酸化物層は、原子層堆積によって基材上に堆積される。
【0014】
図1は、1つの実施形態による、代表的な処理チャンバ、および、処理チャンバと共に利用され得る処理部品の例の概略断面図である。図1は、例えば、プラズマエンハンスト堆積チャンバ(plasma enhanced deposition chamber)およびプラズマエンハンストエッチングチャンバ(plasma enhanced etch chamber)のような、高温処理チャンバによって利用される様々の処理部品を有する処理チャンバ100を示す。しかしながら、本明細書において記述されている保護用多層コーティングが、熱抵抗の増加および拡散の減少が要求される、任意の処理チャンバ、処理部品、または、基材表面のために利用され得ることも更に考えられる。
【0015】
処理チャンバ100は、少なくとも部分的に処理容積110を定める、チャンバリッド104、1つまたは複数の側壁106、および、チャンバ底部108を有するチャンバ本体102を含む。1つの実施形態においては、チャンバリッド104を通して配置された1つまたは複数の入口112を通して、あるいは、1つまたは複数の側壁106を貫通して配置された1つまたは複数のガス注入ポート114を通して、あるいは、それら両方を通して、処理ガスが処理容積110に放出される。幾つかの実施形態においては、チャンバリッド104はシャワーヘッド116に結合される。処理ガスを処理容積110内に一様に分散させるために、シャワーヘッド116は、シャワーヘッド116を貫通して配置された複数の開口118を有する。
【0016】
図1にて図示するように、処理チャンバ100は、チャンバリッド104に近接して配置された誘導結合プラズマ(ICP)コイルアセンブリ120を含む。ICPコイルアセンブリ120は、RF出力ジェネレータ124によって駆動される1つまたは複数の誘導コイルアンテナ122を含む。ICPコイルアセンブリ120は、誘導コイルアンテナ122によって発生された電磁場を用いて、処理容積110に流れ込んだ処理ガスからプラズマ126を発生させ、維持させるために使用される。他の実施形態においては、処理チャンバ100は、容量結合プラズマ(CCP)アセンブリまたはマイクロ波プラズマジェネレータを含む。例えば、処理容積110内で容量結合プラズマを生成するために、RF出力ジェネレータ124はシャワーヘッド116に直接連結され得る。更に別の実施形態においては、処理容積110に放出される前に処理容積110から遠隔でプラズマを生成するために、処理チャンバ100は遠隔プラズマ源(図示せず)を含む。
【0017】
1つの実施形態においては、処理容積110は、排気口128を通して真空源162(例えば、真空ポンプ)に連結される。真空源162は、処理容積110から(他のガスと共に)処理ガスを排出し、処理容積110を大気圧より低い圧力状態に維持するように設定される。基板支持体130は、処理容積110内に可動に配置され、更にチャンバ底部108の開口134を密封貫通して延長される支持シャフト132に連結される。1つの実施形態においては、支持シャフト132は、チャンバ底部108の下の領域においてベローズ(図示せず)によって囲まれている。更に、支持シャフト132は、処理容積110を通して支持シャフト132を、したがって、基板支持体130を駆動させるために、リフトサーボ136に連結される。1つの実施形態においては、1つまたは複数の側壁106のスリットバルブ138を通しての基板支持体130への/からの基板Wの移動を容易にするために、基板支持体130は、処理容積110内において第1の位置から第2の位置まで移動可能である。
【0018】
処理チャンバ100は、チャンバ本体102の1つまたは複数の内表面142に沿って動径方向内側に配置された1つまたは複数の着脱可能なライナ140を含む。幾つかの実施形態においては、処理チャンバ100は更に、1つまたは複数のシールド(例えば、第1のシールド144および第2のシールド146)を含む。図1に示されるように、第1のシールド144は、基板支持体130および支持シャフト132を取り囲み、第2のシールド146は、第1のシールド144の上方に、1つまたは複数の側壁106の動径方向内側に配置される。シールド144、146は、プラズマ126を処理容積110の所望領域に限定するために、または、処理容積110内の処理ガスのためのフロー経路を定めるために、または、それらの組み合わせのために利用され得る。幾つかの実施形態においては、上述の1つまたは複数の部品(例えば、チャンバ本体102、および、チャンバ本体102内に配置された、または、チャンバ本体102と共に利用される処理部品)は、金属合金またはセラミックにより形成され、(例えば、図2Aおよび図2Bを参照して記述されるような)保護用多層コーティングを含む。
【0019】
図2Aは、1つの実施形態により基材202の上に形成された保護用多層コーティング200を例示する。保護用多層コーティング200は、処理チャンバ(例えば、処理チャンバ100)内に定期的に発生する反応性または腐食性の環境による攻撃に対する抵抗性を高めると共に、基材202からの微量金属の浸出を防ぐ。したがって、コーティングの下にある設備または部品の劣化、および、その設備または部品からの微量金属の浸出は、減らされ得るか、または、回避され得る。典型的に、基材202またはその表面は、セラミックまたは金属合金から形成される。例えば、基材202は、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al)、パイロリティックボロンナイトライド(PBN)、イットリア(Y)等を含むことができる。他の例では、基材202は、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、および、亜鉛(Zn)を含むことができる。基材202は、任意のタイプの処理チャンバ設備またはその部品であり得る。基材202は、(リフトピン、ヒータ、静電チャック、エッジリング、ドーム、または、他の処理チャンバ部品と同様に)図1に記載されているものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0020】
図2Aに示されるように、保護用多層コーティング200は、基材202上に堆積された金属窒化物層210、および、金属窒化物層210を覆って堆積された酸化物層230を含む。幾つかの実施形態においては、金属窒化物層210は、窒化アルミニウム(AlN)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)等のうちの1つまたは複数を含む。幾つかの実施形態においては、酸化物層230は、酸化アルミニウム(Al)、酸化ランタン(La)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化チタン(TiO)等のうちの1つまたは複数を含む。更なる実施形態においては、保護用多層コーティング200は、金属窒化物層210と酸化物層230との間に形成される酸素窒化物中間層220を含む。酸素窒化物中間層220は、酸化物層230の形成の後に保護用多層コーティング200をアニーリングすることによって形成され得、したがって、酸化物層230と金属窒化物層210との間に界面層を作る。
【0021】
保護用多層コーティング200の個々の層は、一般に、約1nmと約1500nmとの間の厚さを有する。例えば、金属窒化物層210は、約250nmより小さい(例えば、約1nmと約225nmとの間の)第1の厚さT(1)を有する。幾つかの実施形態においては、金属窒化物層210の厚さT(1)は、約10nmと約200nmとの間にある。例えば、約25nmと約175nmとの間、約40nmと約160nmとの間、約50nmと約150nmとの間、約75nmと約125nmとの間、または、約90nmと約110nmとの間にある。例えば、金属窒化物層210の厚さT(1)は約100nmである。1つの例においては、酸化物層230は、約1nmと約1250nmとの間(例えば、約10nmと約1000nmとの間)の第2の厚さT(2)を有する。幾つかの実施形態においては、酸化物層230の厚さT(2)は約20nmと約900nmとの間にある。例えば、約50nmと約800nmとの間、約100nmと約700nmとの間、約200nmと約600nmとの間、または、約300nmと約500nmとの間にある。例えば、酸化物層230の厚さT(2)は約400nmである。更なる1つの実施形態においては、酸素窒化物中間層220は、約0.5nmと約10nmとの間(例えば、約1nmと約8nmとの間)の第3の厚さT(3)を有する。例えば、酸素窒化物中間層220は、約2nmと約6nmとの間(例えば、約4nm)の第3の厚さT(3)を有する。
【0022】
図2Bは、基材202(例えば、上の図1に記載されている処理部品)上に1つの実施形態により形成される保護用多層コーティング201を示す。ここで、保護用多層コーティング201は、図2Aに記載されている金属窒化物層210および酸化物層230を含む。保護用多層コーティング201は、酸化物層230上に堆積されたオプションのオキシフッ化物層240を更に含み、保護用多層コーティング201の耐食性を改善する。オキシフッ化物層240は、酸化物層230の形成の後で酸化物層230をフッ素化させることによって形成される。例えば、オキシフッ化物層240は、一定の時間の間、高温で、堆積された酸化物層230の表面をフッ素含有ガス(例えば、フッ化水素酸(HF)、三フッ化窒素(NF)、フッ素(F)、NFプラズマ、Fラジカル等)に曝すことによって形成される。上記一定の時間は、幾つかの実施形態では、約0.1から24時間でもよい。1つの例においては、オキシフッ化物層240は、約1nmと約100nmとの間(例えば、約10nmと約80nmとの間)の第4の厚さT(4)を有する。例えば、酸素窒化物中間層220は、約20nmと約70nmとの間(例えば、約30nmと約60nmとの間、例えば、約40nmと約50nmとの間)の第3の厚さT(3)を有する。
【0023】
図3は、1つの実施形態により処理チャンバ内で保護用多層コーティングを基材上に堆積させる方法300を記載するフローダイアグラムである。方法300は、複数の処理部品(例えば、図1に記載されているような、チャンバ本体102、および、チャンバ本体102と共に利用される処理部品)のうちの任意の1つ、または、任意の組み合わせの上に、図2Aおよび図2Bに記載した保護用多層コーティングのうちの任意の1つ、または、任意の組み合わせを形成するために用いられ得る。
【0024】
オペレーション310において、方法300は、金属窒化物層を基材上に堆積させることを含む。金属窒化物層は金属窒化物層210でもよく、基材は基材202でもよい。1つの例においては、金属窒化物層は、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタル等のうちの1つまたは複数を含むことができる。幾つかの実施形態においては、金属窒化物層210は、高温の蒸着およびスパッタリングを含むコーティングプロセス(原子層堆積(ALD)、プラズマALD(PEALD)、物理的気相堆積(PVD)、プラズマPVD(PEPVD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、ハイブリッドCVD、電子ビーム蒸着、または、処理設備、または、その処理部品上にコーティングを堆積させるための他の適切な方法)を用いて堆積される。
【0025】
1つの実施形態においては、金属窒化物層は、上記基材を、第1の前駆体および第2の前駆体に交互に曝すことを含むALDプロセスを使用して堆積される。例えば、第1の前駆体は金属含有前駆体で、第2の前駆体は窒素含有前駆体である。基材が非平面状の表面形状を呈する場合、ALDプロセスの共形性の結果としてALDプロセスは有利に実行され得る。ALDプロセスは、実質的に平面状の表面上の堆積にも適している。
【0026】
1つの実施形態においては、第1の前駆体は、(例えば、アルミニウム、チタン、タンタル等の)金属の窒化物フィルムを形成するための任意の適切な金属含有前駆体を含む。幾つかの実施形態においては、第1の金属含有前駆体は、(tert-ブチルイミド)トリス(ジエチルアミド)タンタル(TBTDET)、テトラキス(ジエチルアミド)チタン(TDEAT)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン(TEMAT)、トリメチルアルミニウム(TMA)、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(V)(PDMAT)、および、それらの組み合わせを含むグループから選択される。幾つかの実施形態においては、金属含有前駆体はフッ素を含有しない。適切な第2の前駆体の例は、窒素含有前駆体(例えば、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、メチルヒドラジン(CH(NH)NH)、ジメチルヒドラジン(C)、T-ブチルヒドラジン(C12)、フェニルヒドラジン(C)、アゾイソブタン(C)、アジ化エチル(CH)、および、それらの組み合わせ)を含む。
【0027】
ALDプロセスによって金属窒化物層210が堆積される幾つかの実施形態において、金属窒化物層210の堆積の前に基材202は加熱される。例えば、基材202は、約100℃から約400℃までの範囲内(例えば、約200℃と約300℃との間)の温度(例えば、約250℃)まで加熱される。金属窒化物層210の堆積の間、処理チャンバは、約200℃から約350℃までの範囲内(例えば、約225℃と約325℃との間)の温度(例えば、約275℃)まで加熱される。熱式ALDプロセスのためには、処理チャンバは、約300℃と約350℃との間の温度(例えば、約325℃)に維持され得る。プラズマALDプロセスのためには、処理チャンバは、約200℃と約275℃との間の温度(例えば、約250℃)に維持され得る。
【0028】
金属窒化物層のための第1の前駆体は、約200sccmから約1000sccmまでの範囲内の流量(例えば、約400sccmと約800sccmとの間の流量)で処理チャンバ内に流し込まれる。幾つかの実施形態においては、第1の前駆体は、キャリアガス(例えば、窒素のような不活性ガス)によって処理チャンバ内へ導入される。更に、第1の前駆体は、処理チャンバ内に間欠的に導入され得る。本明細書において用いられる「間欠的」という用語は、断続的に、または、非連続的に処理チャンバの反応ゾーンに導入される特定の化合物の量に関するものであることを意図する。第1の前駆体の間欠的導入の結果として、基材上には、第1の前駆体の単層が形成され得る。幾つかの実施形態においては、第1の前駆体は、約100msから約10sまでの範囲内(例えば、約150msと約800msとの間、例えば、約200msと約250msとの間)の持続時間の間、処理チャンバ内に間欠的に導入される。第1の前駆体は、処理チャンバ内へ流し込まれる前に、約25℃と約125℃との間の温度まで加熱され得る。例えば、第1の前駆体は、約40℃と約80℃との間の温度(例えば、約65℃)まで加熱され得る。
【0029】
処理チャンバ内へ第1の前駆体を流し込んだ後に、処理チャンバ内に残留する全ての第1の前駆体を除去するために第1のパージプロセスが実行され得る。第1のパージプロセスは、約500msと約10sとの間(例えば、約1sと約5sとの間)の持続時間(例えば、約3s)の間に処理チャンバ内へパージガス(例えば、アルゴンまたは窒素ガス)を間欠的に導入することを含むことができる。
【0030】
それから、第2の前駆体(例えば、窒素含有前駆体)が、約150msと約30sとの間(例えば、約2sと約25sとの間)の持続時間(例えば、約10s)の間に処理チャンバ内へ間欠的に導入される。第2の前駆体は、約50sccmから約1000sccmまでの範囲内(例えば、約200sccmと約800sccmとの間)の流量で処理チャンバ内へ流し込まれる。第2の前駆体は、処理チャンバ内へ流し込まれる前に、略室温まで加熱され得る。例えば、第2の前駆体は、約20℃と約25℃との間の温度まで加熱され得る。幾つかの実施形態においては、窒素含有の第2の前駆体が処理チャンバ内に流されている間に、処理チャンバ内でプラズマが発生される。プラズマは、プラズマジェネレータ(例えば、図1を参照して記載されているICPコイルアセンブリ120またはCCPアセンブリ)にRF電力を印加することによって発生し得る。例えば、NHプラズマRFジェネレータは、13.56MHzとの間の周波数で約100Wから約300Wまでの間(例えば、約200W)のRF電力をICPコイルアセンブリまたはCCPアセンブリに印加し得る。
【0031】
第2の前駆体の間欠的導入の後に第2のパージプロセスが実行され得る。第2のパージプロセスは、処理チャンバ内に残留する全ての第2の前駆体を除去するために実行され得る。第1のパージプロセスと同様に、第2のパージプロセスは、約500msと約60sとの間(例えば、約1sと約30sとの間)の持続時間(例えば、約15s)の間に処理チャンバ内へパージガス(例えば、アルゴン)を間欠的に導入することを含むことができる。
【0032】
第1の前駆体および第2の前駆体の処理チャンバ内への間欠的導入は、1つのサイクルであり得、このサイクルは、処理チャンバ内へ第1の前駆体を流し込んだ後に、そして、処理チャンバ内へ第2の前駆体を流し込んだ後に、第1および第2のパージプロセスを含むことができる。上記サイクルは、金属窒化物層を成長させるために繰り返される。サイクルの数は、最終的な金属窒化物層の所望の厚さに基づく。金属窒化物層の成長速度は、1サイクルにつき約0.2Aから約2Aの範囲であり得る。例えば、金属窒化物層の成長速度は、利用される前駆体物質により、1サイクルにつき約1Aである場合もある。金属窒化物層の最終厚さは、約5nmと約250nmとの間(例えば、約10nmと約200nmとの間)であり得る。金属窒化物層の最終厚さは、例えば、約25nmと約175nmとの間(例えば、約50nmと約150nmとの間、約75nmと約125nmとの間、約90nmと約110nmとの間)であり、例えば、約100nmである。
【0033】
オペレーション320において、方法300は、酸化物層を金属窒化物層上に堆積させることを含む。酸化物層は、図2Aまたは図2Bにおいて示される酸化物層230でもよい。1つの例においては、酸化物層230は、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等のうちの1つまたは複数を含むことができる。幾つかの実施形態においては、酸化物層230は、高温の蒸着およびスパッタリングを含む金属窒化物層210の方法と同様の方法を利用して堆積させる。例えば、酸化物層230は、ALD、PEALD、PVD、PEPVD、CVD、PECVD、ハイブリッドCVD、電子ビーム蒸着、または、処理設備またはその処理部品上にコーティングを堆積させるための他の適切な方法によって堆積され得る。
【0034】
1つの実施形態においては、酸化物層は、前述のように金属窒化物を形成するために利用されるALDプロセスと同様に、基材を第3の前駆体および第4の前駆体に交互に曝すことを含むALDプロセスを使用して堆積される。例えば、第3の前駆体は金属またはセラミック含有前駆体であり、第4の前駆体は酸素含有前駆体である。第3の前駆体は、上記酸化皮膜を形成するための任意の適切な金属前駆体(例えば、TMA、TDEAT、TDMAT、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(Hf(NMe2)4)(TDMAH)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(Zr(NMe2)4)(TDMAZ)、[Ce(thd)]、[Ce(thd)phen]、[Ce(Cp)3]、[Ce(CpMe)3]、[Ce(iprCp)3]、および、それらの組み合わせ)を含む。適切な第4の前駆体の例は、亜酸化窒素(NO)、酸素(O)、オゾン(O)、蒸気(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)等のような酸素含有前駆体を含む。
【0035】
その上に堆積された金属窒化物層を既に有する基材は、酸化物層の堆積の前に加熱され得る。例えば、その上に形成された金属窒化物層210を有する基材202は、約100℃と約400℃との間(例えば、約150℃と約350℃との間、例えば、約200℃と約300℃との間)の温度まで加熱される。酸化物層230の堆積の間に、処理チャンバは、約150℃から約300℃までの範囲内(例えば、約175℃と約275℃との間)の温度(例えば、200℃)まで加熱される。
【0036】
第3の前駆体は、約200sccmから約1000sccmの範囲の流量(例えば、約400sccmと約800sccmとの間の流量)で処理チャンバ内へ流し込まれる。幾つかの実施形態においては、第3の前駆体は、キャリアガス(例えば、窒素のような不活性ガス)によって処理チャンバ内へ導入される。幾つかの実施形態においては、酸化物層の形成のために利用される第3の前駆体は、約100msから約10sまでの範囲内(例えば、約150msと約800msとの間、例えば、約200msと約250msとの間)の持続時間の間、処理チャンバ内に間欠的に導入され得る。第3の前駆体は、処理チャンバ内へ流し込まれる前に、約25℃と約125℃との間の温度まで加熱され得る。例えば、第3の前駆体は、約40℃と約80℃との間の温度(例えば、約65℃)まで加熱され得る。
【0037】
処理チャンバ内へ第3の前駆体を流し込んだ後に、処理チャンバ内に残留する全ての第3の前駆体を除去するために第3のパージプロセスが実行され得る。第1および第2のパージプロセスと同様に、第3のパージプロセスは、約500msと約10sとの間(例えば、約1sと約5sとの間)の持続時間(例えば、約3s)の間に処理チャンバ内へパージガスを間欠的に導入することを含むことができる。
【0038】
それから、第4の前駆体(例えば、酸素含有前駆体)が、約150msと約30sとの間(例えば、約2sと約25sとの間)の持続時間(例えば、約10s)の間に処理チャンバ内へ間欠的に導入される。第4の前駆体は、約50sccmと約1000sccmとの間(例えば、約200sccmと約800sccmとの間)の流量で処理チャンバ内へ流し込まれる。第2の窒素含有前駆体と同様に、第4の酸素含有前駆体は、処理チャンバ内へ流し込まれる前に、略室温(例えば、約20℃と約25℃との間)の温度まで加熱され得る。
【0039】
第4の前駆体の間欠的導入の後に、処理チャンバ内に残留する全ての第4の前駆体を除去するために、第4のパージプロセスが実行され得る。先のパージプロセスと同様に、第4のパージプロセスは、約500msと約60sとの間(例えば、約1sと約30sとの間)の持続時間(例えば、約15s)の間に処理チャンバ内へパージガスを間欠的に導入することを含むことができる。
【0040】
第3の前駆体および第4の前駆体の処理チャンバ内への間欠的導入は、1つのサイクルであり得、このサイクルは、処理チャンバ内へ第3の前駆体を流し込んだ後に、そして、処理チャンバ内へ第4の前駆体を流し込んだ後に、第3および第4のパージプロセスを含むことができる。上記サイクルは、酸化物層を成長させるために繰り返される。サイクルの数は、最終的な酸化物層の所望の厚さに基づく。サイクル当たりの成長速度は、第3および第4の前駆体のために用いられる材料により、1サイクルにつき約0.2Aから約2Aの範囲であり得る。酸化物層の最終厚さは、約10nmと約1μmとの間(例えば、約100nmと約750nmとの間)であり得る。金属窒化物層の最終厚さは、例えば、約150nmと約700nmとの間(例えば、約200nmと約600nmとの間、約300nmと約500nmとの間、約350nmと約450nmとの間)であり、例えば、約400nmである。
【0041】
オペレーション330において、方法300は、金属窒化物層およびその上に形成された酸化物層を有する基材(例えば、金属窒化物層210およびその上に形成された酸化物層230を有する基材202)をアニーリングすることをオプションとして含む。1つの実施形態においては、基材202は、約200℃を超える温度を有する加熱プロセスに曝される。例えば、基材202は、約275℃から約375℃の範囲内(例えば、約300℃と約350℃との間)の温度(例えば、約325℃)に加熱される。オペレーション330の基材202のアニーリングは、金属窒化物層と酸化物層との間に酸素窒化物中間層(例えば、酸素窒化物中間層220)を形成する。これにより、保護用多層コーティングの性能および抵抗が更に改善される。
【0042】
図4は、1つの実施形態により処理チャンバ内で保護用多層コーティングを基材上に堆積させる方法400を記載するフローダイアグラムである。方法400は、複数の処理部品(例えば、図1に記載されているような、チャンバ本体102、および、チャンバ本体102と共に利用される処理部品)のうちの任意の1つ、または、任意の組み合わせの上に、図2Aおよび図2Bに記載した保護用多層コーティングのうちの任意の1つ、または、任意の組み合わせを形成するために用いられ得る。
【0043】
オペレーション410および420は、オペレーション310および320と実質的に同様であり、したがって、更に詳細に記述はしない。しかしながら、オペレーション430においては、方法300とは異なり、方法400は、金属窒化物層およびその上に形成された酸化物層を有する基材(例えば、金属窒化物層210およびその上に形成された酸化物層230を有する基材202)をフッ素化することをオプションとして含む。1つの実施形態においては、オキシフッ化物層(例えば、オキシフッ化物層240)は、酸化物層230をフッ化物処理用ガスまたはプラズマに曝して酸化物層230の上部を変化させることによって形成される。他の実施形態においては、オキシフッ化物層240は、基材202をフッ化物ALDプロセスに曝すことによって形成され、したがって、共形オキシフッ化物フィルムを酸化物層230上に堆積させる。オペレーション430のオキシフッ化物層240の形成は、保護用多層コーティングのパフォーマンスおよび耐食性を更に改善する。
【0044】
以上まとめると、本開示の保護用多層コーティングは、微量金属の浸出に抵抗し、かつ、半導体チャンバの処理環境における反応種による攻撃に(化学的にまたは物理的に)抵抗する。これにより、コーティング下の材料の劣化および腐食を減少させる。したがって、本明細書において開示される金属窒化物層および酸化物層は、熱バリアおよび拡散バリアとして機能することによって、処理チャンバ設備およびその部品の保護を改善する。
【0045】
以上の説明は本開示の実施形態に向けられたものであるが、本開示の他のそして更なる実施形態は、本開示の基本的な技術範囲を逸脱しない範囲で考案されることができ、本開示の技術範囲は以下に続く請求項によって決定される。
図1
図2A
図2B
図3
図4