(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】光源装置の製造方法および光源装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20231016BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20231016BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20231016BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/64
H01L33/48
(21)【出願番号】P 2019110484
(22)【出願日】2019-06-13
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2018240933
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】原田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】三枝 福太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 良幸
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-088744(JP,A)
【文献】特開2013-082784(JP,A)
【文献】特開2016-184714(JP,A)
【文献】特開2015-012006(JP,A)
【文献】特開2007-194383(JP,A)
【文献】国際公開第2014/038331(WO,A1)
【文献】特開2016-072408(JP,A)
【文献】特開2018-107421(JP,A)
【文献】特開2007-149976(JP,A)
【文献】特開2005-109484(JP,A)
【文献】特開2008-109059(JP,A)
【文献】米国特許第09780056(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第101350381(CN,A)
【文献】国際公開第2019/097790(WO,A1)
【文献】特開2014-99584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0001617(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01S 5/00 - 5/50
H01L 21/52
H01L 21/58
H05K 3/32 - 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性を有する第1基板上に、第1金属を含むバンプを配置する工程と、
前記バンプ上に、前記第1金属の融点以下の融点を有する第2金属を含む接合部材を配置する工程と、
前記バンプおよび前記接合部材上に発光素子を配置する工程と、
前記バンプ、前記接合部材および前記発光素子を配置した前記第1基板を前記第1金属の融点以下の温度で加熱する工程と、
を備え、
前記第1金属は、Agであり、
前記バンプの高さは35μm以上50μm以下である光源装置の製造方法。
【請求項2】
熱伝導性を有する第1基板上に、第2金属を含む接合部材を配置する工程と、
前記接合部材上に、前記第2金属の融点以上の融点を有する第1金属を含むバンプが設けられた発光素子を配置する工程と、
前記接合部材および前記バンプが設けられた発光素子を配置した前記第1基板を前記第1金属の融点以下の温度で加熱する工程と、
を備え、
前記第1金属は、Agであり、
前記バンプの高さは35μm以上50μm以下である光源装置の製造方法。
【請求項3】
前記バンプは、少なくとも前記接合部材の外縁部および前記接合部材の中央部に配置される請求項1
または2に記載の光源装置の製造方法。
【請求項4】
前記接合部材は、平面視で方形形状を有し、
前記バンプは、前記接合部材の角部および対角線の交点に配置される請求項1~
3のいずれか1つに記載の光源装置の製造方法。
【請求項5】
熱伝導性を有する第1基板上に、第1金属を含むバンプを配置する工程と、
前記バンプ上にAu-Sn合金を含む接合部材を配置する工程と、
前記バンプおよび前記接合部材上に発光素子を配置する工程と、
前記バンプ、前記接合部材および前記発光素子を配置した前記第1基板を加熱する工程と、
前記発光素子を絶縁性の第2基板に接続する工程と、
を備え、
前記発光素子は、前記第2基板を介して、前記バンプおよび前記接合部材上に配置される光源装置の製造方法。
【請求項6】
熱伝導性を有する第1基板上に、第1金属を含むバンプを配置する工程と、
前記バンプ上に、前記第1金属の融点以下の融点を有する第2金属を含む接合部材を配置する工程と、
前記バンプおよび前記接合部材上に発光素子を配置する工程と、
前記バンプ、前記接合部材および前記発光素子を配置した前記第1基板を前記第1金属の融点以下の温度で加熱する工程と、
前記発光素子を絶縁性の第2基板に接続する工程と、
を備え、
前記発光素子は、前記第2基板を介して、前記バンプおよび前記接合部材上に配置される光源装置の製造方法。
【請求項7】
熱伝導性を有する第1基板上に、第2金属を含む接合部材を配置する工程と、
前記接合部材上に、前記第2金属の融点以上の融点を有する第1金属を含むバンプが設けられた発光素子を配置する工程と、
前記接合部材および前記バンプが設けられた発光素子を配置した前記第1基板を前記第1金属の融点以下の温度で加熱する工程と、
前記発光素子を絶縁性の第2基板に接続する工程と、
を備え、
前記発光素子は、前記第2基板を介して、前記バンプおよび前記接合部材上に配置される光源装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光素子は、前記バンプおよび前記接合部材上に直接載置される請求項1~
4のいずれか1つに記載の光源装置の製造方法。
【請求項9】
熱伝導性を有する第1基板上に、第1金属を含むバンプを配置する工程と、
前記バンプ上に第2金属を含む接合部材を配置する工程と、
前記バンプおよび前記接合部材上に発光素子を配置する工程と、
前記バンプ、前記接合部材および前記発光素子を配置した前記第1基板を加熱し、前記第2金属を焼結する工程と、
を備え、
前記第1金属は、Agであり、
前記バンプの高さは35μm以上50μm以下である光源装置の製造方法。
【請求項10】
熱伝導性を有する第1基板と、
発光素子と、
前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、
を備え、
前記接合層は、
Agを含む第1部分であるバンプと、
Au-Sn合金を含む第2部分と、
を含み、
前記バンプは、前記第2部分によって周囲を取り囲まれ、
前記接合層の厚さは、35μm以上である光源装置。
【請求項11】
前記第1部分は、平面視で、少なくとも前記接合層の外縁部および前記接合層の中央部に配置された請求項
10記載の光源装置。
【請求項12】
前記接合層は、平面視で方形形状を有し、
前記第1部分は、少なくとも前記接合
層の角部および対角線の交点に配置された請求項
11記載の光源装置。
【請求項13】
熱伝導性を有する第1基板と、
発光素子と、
前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、
を備え、
前記接合層は、
Ag、AuおよびSnを含む合金であり、AuまたはSnの濃度よりAgの濃度が高い部分と、AuまたはSnの濃度よりAgの濃度が低い部分と、を有する光源装置。
【請求項14】
熱伝導性を有する第1基板と、
発光素子と、
前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、
を備え、
前記接合層は、第1金属を含む第3部分であるバンプと、第2金属の焼結体を含む第4部分と、を有し、
前記第1金属は、Agであり、
前記接合層の厚さは、35μm以上である光源装置。
【請求項15】
熱伝導性を有する第1基板と、
発光素子と、
前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、
を備え、
前記接合層は、
Agを含む第1部分と、
Au-Sn合金を含む第2部分と、
を含み、
前記発光素子と前記接合層との間に設けられた絶縁性の第2基板をさらに備えた光源装置。
【請求項16】
熱伝導性を有する第1基板と、
発光素子と、
前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、
を備え、
前記接合層は、
Ag、AuおよびSnを含む合金であり、AuまたはSnの濃度よりAgの濃度が高い部分と、AuまたはSnの濃度よりAgの濃度が低い部分と、を有し、
前記発光素子と前記接合層との間に設けられた絶縁性の第2基板をさらに備えた光源装置。
【請求項17】
熱伝導性を有する第1基板と、
発光素子と、
前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、
を備え、
前記接合層は、第1金属を含む第3部分と、第2金属の焼結体を含む第4部分と、を有し、
前記発光素子と前記接合層との間に設けられた絶縁性の第2基板をさらに備えた光源装置。
【請求項18】
前記発光素子は、前記接合層に直接接合された請求項
10~
17のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項19】
前記第1部分は、球形状または円柱形状を有する請求項
10~
12のいずれか1つに記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光源装置の製造方法および光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子(Light Emitting Diode、LED)は、機能、性能の向上により、産業用途や自動車用途等にも応用が拡大している。
【0003】
実際の応用においては、高輝度化に応じて発生する熱をどのように処理するかを十分考慮する必要がある。ヒートシンクを兼ねたモジュール基板を設けて、このモジュール基板にLEDを実装して高い放熱性能を実現することが検討されている。
【0004】
モジュール基板にLEDを実装した場合には、モジュール基板とLEDを実装する実装基板との線膨張係数の相違によって生じる応力によって接合材料の破損、破断等することを防止し、接合強度を確保する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-185685号公報
【文献】特開2010-135503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態は、発光素子とモジュール基板との間の接合強度を向上させた光源装置の製造方法および光源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る光源装置の製造方法は、熱伝導性を有する第1基板上に、第1金属を含むバンプを配置する工程と、前記バンプ上にAu-Sn合金を含む接合部材を配置する工程と、前記バンプおよび前記接合部材上に発光素子を配置する工程と、前記バンプ、前記接合部材および前記発光素子を配置した前記第1基板を加熱する工程と、を備える。
【0008】
実施形態に係る光源装置の製造方法は、熱伝導性を有する第1基板上に、第1金属を含むバンプを配置する工程と、前記バンプ上に前記第1金属よりも融点の低い第2金属を含む接合部材を配置する工程と、前記バンプおよび前記接合部材上に発光素子を配置する工程と、前記バンプ、前記接合部材および前記発光素子を配置した前記第1基板を前記第2金属の融点以上前記第1金属の融点以下の温度で加熱する工程と、を備える。
【0009】
実施形態に係る光源装置の製造方法は、熱伝導性を有する第1基板上に、第1金属を含むバンプを配置する工程と、前記バンプ上に第2金属を含む接合部材を配置する工程と、前記バンプおよび前記接合部材上に発光素子を配置する工程と、前記バンプ、前記接合部材および前記発光素子を配置した前記第1基板を加熱し、前記第2金属を焼結する工程と、を備える。
【0010】
実施形態に係る光源装置の製造方法は、熱伝導性を有する第1基板上に、第2金属を含む接合部材を配置する工程と、前記接合部材上に前記第2金属よりも融点の高い第1金属を含むバンプが設けられた発光素子を配置する工程と、前記接合部材および前記バンプが設けられた発光素子を配置した前記第1基板を前記第2金属の融点以上前記第1金属の融点以下の温度で加熱する工程と、を備える。
【0011】
実施形態の光源装置は、熱伝導性を有する第1基板と、発光素子と、前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、を備える。前記接合層は、Agを含む第1部分と、Au-Sn合金を含む第2部分と、を含む。
【0012】
実施形態の光源装置は、熱伝導性を有する第1基板と、発光素子と、前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、を備える。前記接合層は、Ag、AuおよびSnを含む合金であり、AuまたはSnの濃度よりAgの濃度が高い部分と、AuまたはSnの濃度よりAgの濃度が低い部分と、を有する。
【0013】
実施形態の光源装置は、熱伝導性を有する第1基板と、発光素子と、前記第1基板と前記発光素子との間に設けられた接合層と、を備える。前記接合層は、第1金属を含む第3部分と、第2金属の焼結体を含む第4部分と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本実施形態では、発光素子とモジュール基板との間の接合強度を向上させた光源装置の製造方法および光源装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】第1の実施形態に係る光源モジュールを例示する模式的な平面図である。
【
図1B】
図1AのIB-IB’線における模式的な断面図である。
【
図2A】第1の実施形態の光源モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図2B】第1の実施形態の光源モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図2C】第1の実施形態の光源モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図2D】第1の実施形態の光源モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図3A】第2の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な平面図である。
【
図3B】
図3AのIIIB-IIIB’線における模式的な断面図である。
【
図4A】第2の実施形態の発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図4B】第2の実施形態の発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図4C】第2の実施形態の発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図4D】第2の実施形態の発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図4E】第2の実施形態の発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図5A】第3の実施形態に係る光源モジュールを例示する模式的な断面図である。
【
図5B】
図5Aの光源モジュールの一部を例示する模式的な拡大断面図である。
【
図6A】第3の実施形態における接合部材の形成方法を例示する模式的な断面図である。
【
図7A】第3の実施形態における接合部材の形成方法を例示する模式的な断面図である。
【
図8A】第3の実施形態における接合部材の形成方法を例示する模式的な断面図である。
【
図9A】第3の実施形態における接合部材の形成方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10】第4の実施形態に係る光源モジュールを例示する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1Aは、本実施形態に係る光源モジュールを例示する模式的な平面図である。
図1Bは、
図1AのIB-IB線における模式的な断面図である。
図1Aおよび
図1Bに示すように、本実施形態の光源モジュール(光源装置)1は、モジュール基板10と、接合層20と、発光モジュール50と、を備える。接合層20は、モジュール基板10と発光モジュール50との間に設けられている。発光モジュール50は、実装基板30と、発光素子40と、を備え、接合層20によって、モジュール基板10に接合されている。
【0018】
接合層20は、接合部材22と、バンプ24と、を含む。バンプ24は、第1金属を含んでいる。第1金属はたとえばAgである。接合部材22は第2金属を含んでいる。第2金属はたとえばAu-Sn合金である。Au-Sn合金は、Auが85重量%以下70重量%以上、Snが15重量%以上30重量%以下であることが好ましく、Auが80重量%程度、Snが20重量%程度であることが特に好ましい。Au-Sn合金を所定の重量比にすることでバンプ24に用いる金属材料(Ag、Cu等)の融点よりも遙かに低い温度の融点とすることができるからである。
【0019】
バンプ(第1部分)24は、接合部材22の外縁部および接合部材22の中央部に配置されることが好ましく、平面視で前記接合部材の角部および対角線の交点に配置されることがより好ましい。また、
図1Aでは、5つのバンプ24を、モジュール基板10と実装基板30との間にそれぞれ設けた例を示しているが、バンプ24は4か所でもよいし、6か所以上であってもよい。また、平面視において、バンプ24が設けられている箇所の面積は、実装基板30の面積の10%以下であることが好ましい。コストを抑えつつ、接合強度を確保することができるからである。
【0020】
バンプ24の高さは、接合層20の厚さに応じて適切な寸法に設定される。バンプ24は、好ましくは、ボール形状を有するボールバンプである。ボールバンプに限らず、他の形状、たとえば円柱形状等であってもよい。バンプ24の高さは、好ましくは、35μm~50μmである。バンプ24の平面視での直径は、70μm程度である。
【0021】
バンプ24は、接合部材22の融点よりも十分高い融点を有する部材である。バンプ24は、バンプ24の間に溶融した接合部材22を充填させた場合に、合金化しにくい材質であることが好ましい。バンプ24は、上述したようにたとえばAgを含む。Agの融点は962℃であり、Au-Sn合金よりも高い融点を有する。また、Ag以外であっても、Au-Sn合金よりも高い融点を有するものであれば使用することができ、金属であることがより好ましい。
【0022】
接合部材(第2部分)22は、モジュール基板10と実装基板30との間を充填し、かつ、モジュール基板10とバンプ24との間を充填し、かつ、バンプ24と実装基板30との間を充填するように設けられている。したがって、接合層20は、モジュール基板10と実装基板30との間を隙間なく充填している。
【0023】
接合部材22は、モジュール基板10、実装基板30およびバンプ24それぞれの間を隙間なく充填されることによって、モジュール基板10と実装基板30との間の熱抵抗を低減し、光源モジュール1の放熱性能を向上させる。
【0024】
接合部材22が、モジュール基板10、実装基板30およびバンプ24それぞれの間を隙間なく充填されることによって、製品使用時の熱ストレスの印加による、接合部材22にクラック等が生じることを防止する。
【0025】
接合部材22は、光源モジュール1の動作温度範囲および保存温度範囲よりも十分高い融点を有する高熱伝導性の部材である。たとえばAu-Sn共晶ハンダのようなAu-Sn合金を含む接合用の部材は、高熱伝導であるとともに、耐熱疲労性に優れているので好ましく用いられる。
【0026】
接合部材22がAu-Sn合金の場合には、接合層20の厚さは、好ましくは35μm以上である。接合層20の厚さを35μm以上とすることによって、産業用途や自動車用途等で要求される、-40℃~+125℃の温度サイクル試験条件においても十分な接合強度を確保することができる。
【0027】
接合層20は、金属製のモジュール基板10と絶縁性の実装基板30とを接合する。接合層20は、Au-Snを含み十分な厚さを有するので、2つの基板の線膨張係数の相違を起因として発生する応力によるクラック等を生ずることなく、接合を維持することができる。
【0028】
モジュール基板(第1基板)10は、高い熱伝導性を有する板状部材である。モジュール基板10の面積および厚さは、搭載する発光モジュール50の発熱および光源モジュール1が用いられる環境の温度によって適切に設定される。モジュール基板10は、たとえばCuまたはCuの合金を含む金属の板材である。
【0029】
実装基板(第2基板)30は、一方の面に発光素子40を搭載し、発光素子40とともに発光モジュール50を構成する。実装基板30には、図示しない接合部材、たとえば接着剤を介して、発光素子40が固定されている。搭載される発光素子40には、制限はなく、GaN、AlGaAs、GaAsP、InGaN等を含むものとすることができる。発光色についても制限はなく、可視光、赤外線、紫外線等とすることができる。
【0030】
実装基板30は、発光素子40を搭載した面に、発光素子40のための接続端子44a,44bを含む。実装基板30は、発光素子40やその他の回路素子を相互に接続するための配線を含んでもよい。実装基板30は、発光素子40を搭載し、発光素子40のためのアノード側およびカソード側の接続端子44a,44bを設けることができる程度の形状および寸法とされる。この例では、実装基板30は、直方体形状の発光素子40を搭載するスペースおよび2つの長方形の接続端子44a,44bを含むほぼ方形の形状を有する板状部材である。実装基板30の寸法は、モジュール基板10よりも小さく設定されている。
【0031】
実装基板30は、他方の面で、接合層20を介してモジュール基板10に接合されている。実装基板30は、たとえばセラミック基板であり、AlN、Al2O3、あるいはムライト等を含む。
【0032】
実装基板30のアノード側の接続端子44aには、アノード側の接続配線34aの一端が接続され、接続配線34aの他端には、モジュール基板10のアノード側の外部接続端子32aが接続されている。実装基板30のカソード側の接続端子44bには、カソード側の接続配線34bの一端が接続され、接続配線34bの他端には、モジュール基板10のカソード側の外部接続端子32bが接続されている。光源モジュール1は、外部接続端子32a,32bを介して、外部から電力を供給されて、発光素子40が発光する。
【0033】
光源モジュール1は、発光モジュール50がモジュール基板10に搭載され、モジュール基板10が高熱伝導度を有する部材であるため、高い放熱性能を有する。
【0034】
なお、上述のようにして製造された光源モジュール1は、実際に使用され、熱ストレスが印加された後には、接合層20において、接合部材22およびバンプ24の間で合金化が進むことがある。たとえば、バンプ24がAgバンプの場合には、Agが接合部材22中に拡散して、原形とは異なる形状となることがある。つまり、接合層20は、AuまたはSnの濃度よりAgの濃度が高い部分と、AuまたはSnの濃度よりもAgの濃度が低い部分と、を有する層となる。
【0035】
本実施形態の光源モジュール1の製造方法について説明する。
図2A~
図2Dは、本実施形態の光源モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図2Aに示すように、モジュール基板10上にバンプ24が形成される。以下、バンプ24が、平面視で、実装基板30の4つの角の位置および対角線の交点の位置に形成されたときの製造方法について説明する。なお、バンプ24の高さは、接合層20を35μm以上とする場合には、35μm~50μmとすることが好ましい。
【0036】
バンプ24は、Au-Sn箔22aの融点よりも十分高い融点を有し、好ましくは50℃以上高い融点を有する。また、バンプ24は、高熱伝導である必要から金属性であることが好ましいが、Au-Sn箔22aが溶融したときに、Au-Sn共晶合金と合金を生成しにくいことが望ましい。Agの融点は962℃程度であり、Au-Sn共晶合金と合金を生成しにくいことが知られており、バンプ24の材料に含まれることが好ましい。
【0037】
図2Bに示すように、5つのバンプ24上にAu-Sn箔(接合部材)22aを載置する。Au-Sn箔22aの平面視での形状および寸法は、実装基板30の平面視での形状および寸法とほぼ同一となるように設定されている。Au-Sn箔22aは、4つの角の位置を、平面視で方形の4つの角に配置されたバンプ24の位置に合わせて載置される。
【0038】
バンプ24は、Au-Sn箔22aが溶融したときに、実装基板30の外縁から溶融物が流れ出さないような位置に配置される。上述の位置に限らず、たとえば、バンプ24は、実装基板30の平面視での形状および寸法と同一の形状および寸法を有するAu-Sn箔22aの外縁に沿う任意の位置に任意の個数が配置されてもよい。
【0039】
図2Cに示すように、平面視で実装基板30の4つの角を、Au-Sn箔22aの4つの角に合わせて実装基板30に発光素子40が実装された発光モジュール50を載置する。発光モジュール50の上方から圧力F1を印加しつつ、全体をAu-Sn箔22aの融点以上、かつ、バンプ24の融点よりも十分低い温度で加熱する。Au-Sn箔22aの融点は、Au-Sn箔22aのAu-Sn共晶合金の組成によって異なる温度となる。たとえば、加熱設定温度は、Au-Sn共晶合金組成が20wt%Snであり、融点が962℃のAgを含むバンプ24の場合には、280℃以上、たとえば350℃以下とすることが好ましい。
【0040】
Au-Sn箔22aの融点以上の温度に加熱されることによって、Au-Sn箔22aは、溶融し、バンプ24の周囲および発光モジュール50とAu-Sn箔22aとの隙間を充填する。圧力F1は、Au-Sn箔22aが溶融して、バンプ24の周囲および発光モジュール50とAu-Sn箔22aとの間に生じる隙間の空気を排出する程度の値に設定される。An-Sn箔22aの溶融時に圧力F1を印加することによって、Au-Sn合金の凝固時にボイドが生成されることが抑制される。
【0041】
図2Dに示すように、モジュール基板10、接合部材22、バンプ24および発光モジュール50を冷却して、接合層20を形成し、モジュール基板10および発光モジュール50を接続する。
【0042】
モジュール基板10と実装基板30とを先に接合し、接合された実装基板30上に、発光素子40が接続されるようにしてもよい。このとき、実装基板30と発光素子40との接合に熱硬化性接着剤を用いる場合には、接合層20がAu-Sn合金を含んでいるので、Au-Sn合金の融点よりも十分低い硬化温度を有する接着剤、たとえばエポキシ系の接着剤等が用いられる。
【0043】
本実施形態の光源モジュール1は、モジュール基板10と発光モジュール50との接合に、Au-Sn合金を含む接合層20を用いる。モジュール基板10は、光源モジュール1の放熱性能を向上させるために、金属製の板材が用いられており、Cu材の場合には線膨張係数は、16.8×10-6[K-1]程度である。一方、実装基板は、配線や接続端子形成のためのAlN等の絶縁性の部材を用いており、AlNの場合には線膨張係数は、5×10-6[K-1]程度である。つまり、モジュール基板10および実装基板30の線膨張係数は3倍以上も相違しており、温度サイクル試験等の熱ストレス印加時には、接合層20に大きな応力が印加される。接合層20は、低温から高温まで動作温度範囲や環境温度範囲が広い産業用装置の応用においても、クラック等の破断等生じることのない十分な接合強度を有する必要がある。
【0044】
本実施形態の光源モジュール1は、モジュール基板10と発光モジュール50との間にバンプ24を設けているので、接合層20を十分厚くすることができる。そのため、モジュール基板10および発光モジュール50間の熱ストレスを吸収し、モジュール基板10と発光モジュール50との間の接合強度を十分高くすることができる。
【0045】
本実施形態の光源モジュール1の製造方法では、Au-Sn箔22aを載置する位置にあらかじめバンプ24が形成されている。そのため、Au-Sn箔22aおよび発光モジュール50を精度よく配置することができる。
【0046】
バンプ24は、Au-Sn箔22aの融点よりも十分高い融点を有する金属材料、たとえばAgを含む金属材料を用いる。そのため、Au-Sn箔22aが溶融するときに、バンプ24のハンダ濡れ性、およびバンプとの相互の摩擦保持力等によって、Au-Sn共晶合金の溶融物がバンプ24の配置位置から流れ出すことを防止することができる。したがって、接合層20の厚さはバンプの高さ以上に保持され、バンプ24の高さを適切に設定することによって、接合層20を所望の厚さとすることができる。
【0047】
バンプ24をAgバンプとし、高さを35μm~50μmとすることによって、接合層20の厚さを35μm以上とすることができる。接合層20の厚さを35μm以上とすることによって、-40℃~+125℃の温度サイクル試験で3000サイクル以上の耐量を有するようにすることができる。温度サイクル試験は、たとえば、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)やIEC(International Electrotechnical Commission)、AEC(Automotive Electronics Council)等の標準規格に準拠して行われる。
【0048】
本実施形態の光源モジュール1の製造方法では、バンプ24を、Au-Sn箔22aの4つの角のほか、Au-Sn箔22aの対角線の交点の位置にも設けている。そのため、5つのバンプのうちの1つに高さ異常がある場合であっても、発光モジュール50の上面がモジュール基板10の底面に対して大きく傾くことなく、発光モジュール50を載置することができる。
【0049】
上述では、産業用機器や自動車用機器等に要求される温度範囲で光源モジュールを使用する場合において、Au-Sn共晶合金を含むAu-Sn箔22aを接合部材22として用いることについて説明した。光源モジュールの使用温度範囲等の仕様によっては、接合部材については、異なる厚さとしたり、異なる材料を用いたりすることもできる。たとえば、より狭い温度範囲で光源モジュールを用いる場合には、Au-Sn箔の厚さをより薄くし、Au-Sn箔の厚さに応じて、バンプの高さも低くしてもよい。さらに狭い温度範囲で光源モジュールを用いる場合には、Au-Sn共晶合金よりも低い融点の合金を用い、その合金よりも十分高い融点を有する金属を含むバンプを用いてもよい。
【0050】
(第2の実施形態)
以下説明する実施形態では、発光素子を金属のバンプおよび金属を含む接合部材上に直接載置し、高い実装精度で実装基板に搭載することによって、発光モジュールの一層の小型化をはかることができる。
図3Aは、本実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な平面図である。
図3Bは、
図3AのIIIB-IIIB’線における模式的な断面図である。
図3Aおよび
図3Bに示すように、発光モジュール(光源装置)250は、実装基板230と、接合層220と、複数の発光素子240と、を備える。接合層220は、実装基板230と複数の発光素子240との間にそれぞれ設けられ、実装基板230および複数の発光素子240をそれぞれ接合する。
【0051】
本実施形態では、発光素子240をバンプ224が設けられた実装基板230上に載置して、バンプ224および接合部材222によって接合させる。そのため、発光素子240の実装後の位置ズレは、発光素子240とバンプ224との相互の摩擦保持力等によって低減される。したがって、発光素子240の実装基板230に対する実装精度が向上され、より狭ピッチで複数の発光素子240を実装基板230上に実装することができる。また、平面視において、バンプ224が設けられている箇所の面積は、発光素子240の面積の5%以下であることが好ましい。コストを抑えつつ、接合強度を確保することができるからである。
【0052】
発光素子240は、実装基板230の実装領域232に実装される。実装領域232は、発光素子240を実装基板230上に配置する際に、配置される発光素子240を投影した形状を有する。この例では、4つの発光素子240を一列に配列させているので、4つの発光素子240に応じた長方形状を有する。実装領域232には、発光素子240のアノード端子およびカソード端子に対応するランドが設けられている。発光素子240のアノード端子およびカソード端子は、ランドを介して、他の電気回路に電気的に接続される。この例では、4つの発光素子240が配列している方向に沿って、アノード端子に対応するランド、カソード端子に対応するランドのように配列されている。各ランドは、各発光素子240の接続およびその他の回路との接続に応じて相互に配線される。
【0053】
接合層220は、発光素子240のアノード端子の形状およびこのアノード端子に対応するランドの形状に応じて形成されている。同様に接合層220は、発光素子240のカソード端子の形状およびこのカソード端子に対応するランドの形状に応じて形成されている。この例では、4つの発光素子240は直列に接続されているので、発光素子240のカソード端子および対応するランドに形成された接合層は、隣接する発光素子240のアノード端子および対応するランドに形成された接合層と連続しており、電気的にも接続されている。
【0054】
バンプ224は、複数の発光素子240それぞれの外縁部に配置されることが好ましい。この例のように、平面視で、各発光素子240の角部に配置されることがより好ましい。発光素子240の平面視の寸法が大きい場合には、上述した他の実施形態の場合のように、発光素子の対角線の交点にバンプ224を設けるようにしてもよい。発光素子の下に多数のバンプを配置することにより、バンプの寸法誤差等による発光素子載置時の傾き等を吸収することができ、十分な実装精度を確保することが可能になる。バンプ224は、上述の他の実施形態の場合と同様に、接合層220を構成する接合部材222の融点よりも十分高い融点を有する金属材料によって形成されており、たとえばAgを含む。
【0055】
実装基板230上には、接合層220を介して発光素子240が設けられている。発光素子240は、接合層220によって直接的に実装基板230と接合されている。
【0056】
接合層220は、接合部材222と、バンプ224と、を含む。接合部材222は、実装基板230と発光素子240との間を充填し、かつ、実装基板230とバンプ224との間を充填し、バンプ224と発光素子240との間を充填するように設けられている。したがって、接合層220は、実装基板230、バンプ224および発光素子240それぞれの間を隙間なく充填している。接合層220が隙間なく充填されることによって、発光モジュール250の熱抵抗を低減し、熱ストレスによる接合層220のクラック等を防止することができる。
【0057】
接合部材222は、発光モジュール250の動作温度範囲および保存温度範囲よりも十分高い融点を有する高熱伝導性の部材であり、たとえばAu-Sn共晶合金を含む接合用の部材である。
【0058】
接合部材222がAu-Sn共晶合金の場合には、接合層220の厚さは、好ましくは35μm以上である。接合層220の厚さを35μm以上とすることによって、産業用途や自動車用途等で要求される、-40℃~+125℃の温度サイクル試験条件においても十分な接合強度を確保することができる。
【0059】
接合層220は、実装基板230と発光素子240との接合をはかるとともに、2つの部材の線膨張係数の相違による耐応力性能を有する。Au-Snを含む接合層220が十分な厚さを有することによって、2つの部材の線膨張係数の相違による応力によってクラック等を生ずることなく、接合強度を確保することができる。
【0060】
本実施形態の発光モジュール250の製造方法について説明する。
図4A~
図4Eは、本実施形態の発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図4Aに示すように、実装基板230上にバンプ224が形成される。以下、バンプ224が、Agバンプであり、各発光素子240の平面視で4つの角の位置に形成されたときの製造方法について説明する。
【0061】
図4Bに示すように、すべてのバンプ224を覆うようにAu-Sn箔222aを載置する。Au-Sn箔222aは、Au-Sn箔222aの4つの角の位置を、実装領域232の4つの角に配置されたバンプ224の位置に合わせて載置される。Au-Su箔222aは、発光素子240の平面視における実装領域とほぼ同じ方形形状を有する。
【0062】
また、
図4Cに示すように、実装領域とほぼ同じ長方形形状を有するAu-Sn箔222aを実装基板230上に配置するようにしてもよい。この場合には、バンプは、発光素子側にあらかじめ形成されている。
【0063】
図4Dに示すように、平面視で発光素子240を、Au-Sn箔222a上に載置する。発光素子240は、たとえば、端部の発光素子240から順次載置される。発光素子240が載置される際には、バンプ224の位置に合わせるように載置される。発光素子240の上方から圧力F2を印加しつつ、全体を高温に加熱する。加熱する温度は、第1の実施形態の場合と同様に、Au-Sn箔222aのAu-Sn共晶合金の組成およびバンプ224の融点にもとづいて設定される。たとえば、設定温度は、Au-Sn共晶合金の組成が20wt%Snの場合には、280℃以上350℃以下とすることが好ましい。
【0064】
Au-Sn箔222aの融点以上の温度によって、Au-Sn箔222aは、バンプ224の周囲および発光素子240とAu-Sn箔222aとの隙間を充填するように溶融する。圧力F2は、Au-Sn箔222aが溶融して、バンプ224の周囲および発光素子240とAu-Sn箔222aとの間に生じる隙間の空気を排出してボイドが生成されるのを抑制する。
【0065】
図4Eに示すように、Au-Sn箔222aは、溶融すると、ハンダ濡れ性により各発光素子240のアノード端子を、そのアノード端子に対応する実装領域232上のランドに接合する。同様に、Au-Sn箔222aは、その発光素子240のカソード端子を、そのカソード端子に対応する実装領域232上のランドに接合する。
【0066】
実装基板230、接合部材222、バンプ224および発光素子240を冷却して、溶融した接合部は、接合層220を形成し、実装基板230および発光素子240を接続する。
【0067】
本実施形態の発光モジュール250は、実装基板230と発光素子240との間にバンプ224を設けているので、接合層220を十分厚くすることができる。そのため、実装基板230と発光素子240との接合強度を十分高くすることができる。
【0068】
本実施形態では、発光素子240をバンプ224および接合部材222によって実装基板230に接続しているので、実装精度を向上させることが可能になり、発光素子240をより狭ピッチで実装することが可能になる。
【0069】
(第3の実施形態)
図5Aは、本実施形態に係る光源モジュールを例示する模式的な断面図である。
図5Bは、
図5Aの光源モジュールの一部を例示する模式的な拡大断面図である。
図5Aおよび
図5Bに示すように、本実施形態の光源モジュール301は、モジュール基板10と、接合層320と、発光モジュール50と、を備える。本実施形態の光源モジュール301では、接合層320の構成が、上述した他の実施形態の場合と相違する。以下では、同一の構成要素には同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。
【0070】
発光モジュール50は、実装基板30上に発光素子40が設けられている。接合層320は、モジュール基板10と実装基板30との間に設けられている。
【0071】
接合層320は、接合部材322と、バンプ24と、を含む。バンプ(第3部分)24は、第1金属を含んでいる。第1金属は、たとえばAu、AgおよびCuからなる群より選択された1種以上の金属を含む。
【0072】
接合部材(第4部分)322は、金属部分322aと、樹脂部分322bと、を含む。金属部分322aは、複数の金属粉322a1が結合して形成されている。金属部分322aは、金属を含み、たとえば、純金属からなる。金属部分322aは、たとえば、Au、AgおよびCuからなる群より選択された1種以上の金属を含む。バンプ24と同一の金属であってもよいし、異なる金属であってもよい。
【0073】
樹脂部分322bは、樹脂材料を含む。樹脂部分322bの一部は、金属粉322a1の間に配置されている。樹脂材料は、後述するように、熱硬化性樹脂であり、たとえばエポキシ樹脂等である。
【0074】
接合部材322内では、樹脂部分322bは、必ずしも設けられていない箇所があってもよい。金属粉322a1間に樹脂部分322bが設けられていない箇所には、エアギャップが形成されていてもよい。
【0075】
接合部材322bは、たとえば樹脂バインダにAg粒子を分散させた、いわゆるAgペーストを加熱処理したものである。この場合には、バンプ24は、たとえばAgを含んでいてもよい。
【0076】
本実施形態における接合部材322の形成方法について説明する。
図6Aは、本実施形態における接合部材の形成方法を例示する模式的な断面図である。
図6Bは、
図6Aの一部を拡大した模式的な断面図である。
図7Aは、本実施形態における接合部材の形成方法を例示する模式的な断面図である。
図7Bは、
図7Aの一部を拡大した模式的な断面図である。
図8Aは、本実施形態における接合部材の形成方法を例示する模式的な断面図である。
図8Bは、
図8Aの一部を拡大した模式的な断面図である。
図9Aは、本実施形態における接合部材の形成方法を例示する模式的な断面図である。
図9Bは、
図9Aの一部を拡大した模式的な断面図である。
【0077】
図6Aおよび
図6Bに示すように、樹脂液322b1中に金属粉322a1が分散されたペースト(接合部材)322cが準備され、バンプが配置されたモジュール基板10上にペースト322cが塗布される。
図2Aにおいてすでに説明したように、バンプが配置されたモジュール基板10が準備されている。バンプの配置位置やバンプの高さは、上述の他の実施形態の場合と同様である。
【0078】
ペースト322cは、モジュール基板10側に塗布するのに代えて、実装基板30側に塗布してもよいし、モジュール基板10および実装基板30の両方に塗布してもよい。ペースト322cは、たとえば樹脂バインダにAg粒子を分散させた、いわゆるAgペーストである。
【0079】
ペースト322cの樹脂液322b1は、樹脂材料および有機溶剤等を含む。金属粉322a1は金属を含み、たとえば、純金属からなり、たとえば、Au、AgおよびCuからなる群より選択された1種以上の金属を含む。金属粉322a1の粒径は、たとえば、1μm以下であり、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。粒径を小さくすることで、金属粒子を焼結させやすくなる。塗布されたペースト322cでは、樹脂液322b1中に金属粉322a1がほぼ均一に分散されている。
【0080】
図7A、
図7B、
図8Aおよび
図8Bに示すように、ペースト322c中の有機溶剤を揮発させるとともに、ペースト322c中の樹脂材料を硬化させる。たとえば、ペースト322cが塗布されたモジュール基板10および実装基板30からなる構造体を、実装基板30の側から圧力F3をかけつつ、200℃以下の温度に加熱する。圧力および加熱によって、樹脂液322b1から有機溶剤が除去されて、金属粉322a1同士が接触し、樹脂液322b1中の樹脂材料が硬化して固体状の樹脂部分322bが形成される。それとともに、金属粉322a1同士の接点を介して、金属粉322a1間で金属が拡散する。
【0081】
図9Aおよび9Bに示すように、金属粉322a1を焼結させる。たとえば、金属粉322a1、樹脂部分322b、モジュール基板10および実装基板30からなる構造体を、実装基板30の側から圧力F3をかけつつ、金属粉322a1の融点未満の温度、たとえば、180℃以上250℃以下の温度に加熱する。これにより、金属粉322a1同士が焼結され、金属部分322aが形成される。このとき、樹脂部分322bの一部は、金属粉322a1間に残留する。このようにして、接合部材322が形成され、モジュール基板10および実装基板30が接合される。
【0082】
図7A~
図9Bの工程は、一連の工程として連続的に行うことができる。たとえば、実装基板30の側からかける圧力を一定に維持したまま、周囲の温度を次第に上昇させることによって、接合部材322を形成することができる。
【0083】
本実施形態の光源モジュール301では、金属粉322a1を含むペースト322cは、樹脂および有機溶剤を含んでいる。そのため、接合する部材に容易に塗布することができ、接合する部材間の仮の接続を確保することができるので、製造工程をより簡便にすることができる。
【0084】
本実施形態では、接合部材にAu-Sn箔を用いる場合に比べて、より低い温度で接合層320を形成することができる。そのため、発光素子40等におよぼす製造時の熱ストレスを低減させることができる。
【0085】
本実施形態の光源モジュール301では、金属粉322a1の焼結によって、緻密な金属粉の焼結体である金属部分322aを形成することができるので、低い熱抵抗を実現することができる。
【0086】
本実施形態の光源モジュール301の金属部分322aでは、金属部分322aに含まれる金属粉322a1間には、樹脂部分322bおよび空隙が存在するので、温度ストレス等による応力を吸収することができる。そのため、温度ストレス等にともなう耐環境性を向上させることができる。
【0087】
(第4の実施形態)
第2の実施形態においても、第3の実施形態で説明した接合部材を適用することが可能である。
図10は、本実施形態に係る光源モジュールを例示する模式的な断面図である。
図10に示すように、発光モジュール(光源装置)450は、実装基板230と、接合層420と、複数の発光素子240と、を備える。接合層420は、実装基板230と複数の発光素子240との間にそれぞれ設けられ、実装基板230および複数の発光素子240をそれぞれ接合する。
【0088】
本実施形態では、接合層420は、第3の実施形態の場合の接合層420と実質的に同じものである。接合層420は、接合部材322と、バンプ224と、を含む。
図5Bにおいてすでに説明したように、接合部材322は、金属部分322aと、樹脂部分322bと、を含む。接合部材322の構成は、このように、第3の実施形態の場合と同様である。また、接合部材322以外の構成要素は、第2の実施形態の場合と同様である。つまり、本実施形態では、発光素子240は、接合層420を介して、実装基板230に接合することができる。
【0089】
接合層420は、第3の実施形態の場合と同様にして形成することができる。
【0090】
以上説明した実施形態によれば、発光素子とモジュール基板との接合強度を向上させた光源装置の製造方法および光源装置を実現することができる。
【0091】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組合せて実施することができる。
【符号の説明】
【0092】
1,301 光源モジュール、10 モジュール基板、20,220,320,420 接合層、22,222,322 接合部材、22a,222a Au-Sn箔、24,224 バンプ、30,230 実装基板、32a,32b 外部接続端子、34a,34b 接続配線、40,240 発光素子、44a,44b 接続端子、50,250,450 発光モジュール、322a 金属部分、322a1 金属粉、322b 樹脂部分、322b1 樹脂液、322c ペースト