IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

特許7366813処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法
<>
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図1
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図2
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図3
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図4
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図5
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図6
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図7
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図8
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図9
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図10
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図11
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図12
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図13
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図14
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図15
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図16A
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図16B
  • 特許-処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20231016BHJP
   B24B 27/00 20060101ALI20231016BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20231016BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B24B45/00 A
B24B27/00 A
B23Q3/155 K
B23Q3/155 F
B25J15/04 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020048834
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021146446
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】織田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂井 智哉
(72)【発明者】
【氏名】山川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】内村 知行
(72)【発明者】
【氏名】日比野 圭祐
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-290359(JP,A)
【文献】実開平05-086463(JP,U)
【文献】特開2000-202771(JP,A)
【文献】特開平09-091044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B24B 27/00
B23Q 3/155
B25J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物の表面を処理する処理部が着脱可能に取り付けられるグラインダと、
前記グラインダが取り付けられ、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を前記処理対象物に押し付けるように構成されるマニピュレータと、
前記グラインダの前記処理部を交換するための処理部交換装置と、
前記グラインダ及び前記マニピュレータの動作を制御する制御装置と、を有し、
前記グラインダは、外周面にねじ溝を有して前記処理部とねじ係合する回転軸と、前記回転軸を正方向及び逆方向に回転可能な駆動装置と、前記回転軸を固定する固定機構と、を有し、
前記処理部交換装置は、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を、前記マニピュレータと協働して取り外すように構成されるハンドを有する、処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載された処理システムにおいて、
前記グラインダは、
前記駆動装置の駆動軸と、
前記駆動軸の回転を前記回転軸に伝達する回転伝達機構と、を有し、
前記固定機構は、前記駆動軸の回転を固定するロック機構を含む、処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された処理システムにおいて、
前記ハンドは、前記グラインダの前記回転軸に取り付けられた前記処理部の回転方向の動きを制限するように構成される、処理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された処理システムにおいて、
前記処理部交換装置は、
交換用の前記処理部を保管するように構成されるストッカと、
前記グラインダの前記回転軸に交換用の前記処理部を取り付けるときに前記処理部が配置される交換場所を備える交換台と、を有する、処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載された処理システムにおいて、
前記処理部交換装置は、
前記グラインダの前記回転軸に着脱可能な第1磁石と、
前記第1磁石に吸着された交換用の前記処理部を前記第1磁石から取り外すための邪魔板と、を有し、
前記交換台は、
鉛直方向及び水平方向に対して傾斜した支持面と、
交換用の前記処理部を投入する投入口と、
前記投入口に投入された交換用の前記処理部を前記支持面に沿って前記交換場所にガイドするレールと、
前記レールによってガイドされた交換用の前記処理部を前記交換場所に停止させるストッパと、を有する、処理システム。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載された処理システムにおいて、
前記処理部交換装置は、上面と下面とを有する処理部設置台を有し、
前記下面には、前記処理部を吸着するための第2磁石が設けられる、処理システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された処理システムにおいて、
前記処理部交換装置は、前記グラインダに前記処理部が取り付けられているか否かを検出するように構成される第1センサを有する、処理システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載された処理システムにおいて、
前記処理部交換装置は、前記処理部交換装置に前記処理部が補充された旨を示す信号を前記制御装置に送信するように構成される補充状態送信部を有する、処理システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された処理システムにおいて、
前記処理部の交換の要否を判定する処理部判定装置を有し、
前記処理部判定装置は、
前記処理部の処理面の画像データを取得する撮像装置と、
前記処理部の交換の要否を判定する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記撮像装置が取得した前記画像データを解析装置に送信する送信部と、
前記解析装置から前記画像データの解析結果を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記解析結果に基づいて前記処理部の交換の要否を判定する判定部と、を有する、処理システム。
【請求項10】
請求項9に記載された処理システムにおいて、
前記処理部判定装置は、
前記グラインダの前記回転軸に取り付けられた前記処理部を内部に投入するための開口を有する筐体と、
前記筐体に配置され、前記筐体の内部に位置する前記処理部を照らす照明と、を有し、
前記撮像装置は、前記筐体内に設けられる、処理システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載された処理システムにおいて、
前記グラインダを交換するためのグラインダ交換装置を有し、
前記グラインダ交換装置は、
前記マニピュレータに取り付けられた前記グラインダを設置する第1位置と、
前記マニピュレータに取り付ける交換用の前記グラインダを設置する第2位置と、
前記第1位置と前記第2位置にそれぞれ設置された前記グラインダの、前記マニピュレータとの接続部分を覆うための蓋と、を有する、処理システム。
【請求項12】
請求項11に記載された処理システムにおいて、
前記グラインダ交換装置は、前記第1位置又は前記第2位置における前記グラインダの有無を検知する第2センサを有する、処理システム。
【請求項13】
処理対象物の表面を処理する処理部が着脱可能に取り付けられるグラインダと、
前記グラインダが取り付けられ、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を前記処理対象物に押し付けるように構成されるマニピュレータと、
前記処理部の交換の要否を判定する処理部判定装置と、
前記グラインダ及び前記マニピュレータの動作を制御する制御装置と、を有し、
前記処理部判定装置は、
前記処理部の処理面の画像データを取得する撮像装置と、
前記処理部の交換の要否を判定する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記撮像装置が取得した前記画像データを解析装置に送信する送信部と、
前記解析装置から前記画像データの解析結果を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記解析結果に基づいて前記処理部の交換の要否を判定する判定部と、
前記グラインダに取り付けられた前記処理部を内部に投入するための開口を備える筐体と、
前記筐体に配置され、前記筐体の内部に位置する前記処理部を照らす照明と、を有し、
前記撮像装置は、前記筐体内に設けられる、処理システム。
【請求項14】
グラインダの処理部を交換するための処理部交換装置であって、
前記グラインダの回転軸に取り付けられた前記処理部の回転方向の動きを制限するように構成されるハンドと、
交換用の前記処理部を保管するように構成されるストッカと、
前記グラインダの前記回転軸に交換用の前記処理部を取り付けるときに前記処理部が配置される交換場所を備える交換台と、を有する、処理部交換装置。
【請求項15】
請求項14に記載された処理部交換装置において、
前記グラインダの前記回転軸に着脱可能な第1磁石と、
前記第1磁石に吸着された交換用の前記処理部を前記第1磁石から取り外すための邪魔板と、を有し、
前記交換台は、
鉛直方向及び水平方向に対して傾斜した支持面と、
交換用の前記処理部を投入する投入口と、
前記投入口に投入された交換用の前記処理部を前記支持面に沿って前記交換場所にガイドするレールと、
前記レールによってガイドされた交換用の前記処理部を前記交換場所に停止させるストッパと、を有する、処理部交換装置。
【請求項16】
グラインダの処理部を交換するための処理部交換装置であって、
前記グラインダの回転軸に取り付けられた前記処理部の回転方向の動きを制限するように構成されるハンドと、
上面と下面とを有する処理部設置台と、を有し、
前記下面には、前記処理部を吸着するための第2磁石が設けられる、処理部交換装置。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一項に記載された処理部交換装置において、
前記グラインダに前記処理部が取り付けられているか否かを検出するように構成される第1センサを有する、処理部交換装置。
【請求項18】
請求項1から12のいずれか一項に記載された処理システムを用いてグラインダの処理部の交換作業を行う方法であって、
前記処理部交換装置の前記ハンドで前記グラインダの前記処理部の回転方向の動きを制限し、
前記グラインダの前記回転軸を固定し、
前記マニピュレータが、前記処理部と前記回転軸とのねじ係合が緩む方向に、前記グラインダを前記回転軸を中心に回転させ、
前記グラインダが、前記処理部が前記回転軸から外れる方向に前記回転軸を回転させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システム、処理部交換装置、処理部判定装置、及び処理システムを用いてグラインダの処理部を交換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造などで成形された対象物の表面を処理するために、研磨作業が行われる。従来、このような研磨作業は、例えばグラインダを用いて、作業員により行われることがある。しかしながら、研磨作業は、例えば90dBを超えるような騒音環境、及び粉塵が飛散した環境で行われることが多い。また、作業員は同じ姿勢で長時間に渡って研磨作業を行うこともある。このため、一部の作業現場では、作業員への健康被害が発生する可能性が懸念されている。これに対して、このような研磨作業を作業員に代わって行うロボットが知られている(例えば、引用文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載されるロボットは、マニピュレータと、ツール(研削機械)と、ツールに加えられる力を制御するためのハンドリング装置を有する。ツールは、ハンドリング装置を介してマニピュレータに接続される。マニピュレータは、研削対象物にツールを押し付けることで、研削対象物を研削する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-508051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グラインダに用いられる砥石は、ある程度使用すると交換する必要がある。従来では、対象物の研磨がロボットによって自動的に行われている一方で、砥石の交換作業、具体的には、砥石の交換が必要か否かの確認、グラインダからの砥石の取り外し、グラインダへの新たな砥石の装着については作業員による手作業で行われていた。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものである。その目的の一つは、砥石の交換作業の少なくとも一部を自動化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態によれば、処理システムが提供される。処理システムは、処理対象物の表面を処理する処理部が着脱可能に取り付けられるグラインダと、前記グラインダが取り付けられ、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を前記処理対象物に押し付けるように構成されるマニピュレータと、前記グラインダの前記処理部を交換するための処理部交換装置と、前記グラインダ及び前記マニピュレータの動作を制御する制御装置と、を有する。前記グラインダは、外周面にねじ溝を有して前記処理部とねじ係合する回転軸と、前記回転軸を正方向及び逆方向に回転可能な駆動装置と、前記回転軸を固定する固定機構と、を有する。前記処理部交換装置は、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を、前記マニピュレータと協働して取り外すように構成されるハンドを有する。
【0008】
本発明の他の一形態によれば、処理システムが提供される。処理システムは、処理対象物の表面を処理する処理部が着脱可能に取り付けられるグラインダと、前記グラインダが取り付けられ、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を前記処理対象物に押し付け
るように構成されるマニピュレータと、前記処理部の交換の要否を判定する処理部判定装置と、前記グラインダ及び前記マニピュレータの動作を制御する制御装置と、を有する。前記処理部判定装置は、前記処理部の処理面の画像データを取得する撮像装置と、前記処理部の交換の要否を判定する制御部と、を有する。前記制御部は、前記撮像装置が取得した前記画像データを解析装置に送信する送信部と、前記解析装置から前記画像データの解析結果を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記解析結果に基づいて前記処理部の交換の要否を判定する判定部と、を有する。
【0009】
本発明の他の一形態によれば、グラインダの処理部を交換するための処理部交換装置が提供される。処理部交換装置は、前記グラインダの前記回転軸に取り付けられた前記処理部の回転方向の動きを制限するように構成されるハンドと、交換用の前記処理部を保管するように構成されるストッカと、前記グラインダの前記回転軸に交換用の前記処理部を取り付けるときに前記処理部が配置される交換場所を備える交換台と、を有する。
【0010】
本発明の他の一形態によれば、グラインダに取り付けられた処理部の交換の要否を判定する処理部判定装置が提供される。処理部判定装置は、前記処理部の処理面の画像データを取得する撮像装置と、前記処理部の交換の要否を判定する制御部と、を有する。前記制御部は、前記撮像装置が取得した前記画像データを解析装置に送信する送信部と、前記解析装置から前記画像データの解析結果を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記解析結果に基づいて前記処理部の交換の要否を判定する判定部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る処理システムを示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る処理システムの制御ブロック図である。
図3】グラインダの斜視図である。
図4】グラインダの一部を除外した斜視図である。
図5】エアモータ近傍の拡大図である。
図6】固定機構の斜視図である。
図7】砥石交換装置の斜視図である。
図8】砥石交換装置の側面図である。
図9】砥石判定装置の斜視図である。
図10】砥石判定装置の正面図である。
図11】グラインダ交換装置の斜視図である。
図12】砥石交換装置の他の例を示す斜視図である。
図13】砥石設置台の上面の拡大図である。
図14】砥石設置台の下面の拡大図である。
図15】センサの拡大図である。
図16A】砥石を検出している状態のセンサの上面図である。
図16B】砥石を検出していない状態のセンサの上面図である。
図17】補充状態送信部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は、本実施形態に係る処理システムを示す斜視図である。処理システム100は、グラインダ10と、マニピュレータ30と、砥石交換装置40と、砥石判定装置60と、グラインダ交換装置80と、回転台90と、を有する。
【0013】
マニピュレータ30は、アームセグメント32,34,36を有する。マニピュレータ30は、好ましくは6自由度を有する。これにより、先端のアームセグメント36を3次
元空間の任意の位置に移動させることができる。グラインダ10は、マニピュレータ30の先端のアームセグメント36に着脱可能に取り付けられる。マニピュレータ30は、グラインダ10に取り付けられた砥石を、回転台90に載置された処理対象物200に押し付けることができる。図1に示した例では、斜流ポンプのインペラが処理対象物200として示されている。
【0014】
砥石交換装置40は、グラインダ10に取り付けられた砥石を交換するように構成される。砥石判定装置60は、グラインダ10に取り付けられた砥石の交換の要否を判定するように構成される。グラインダ交換装置80は、マニピュレータ30に取り付けられたグラインダ10を交換するために用いられる。回転台90は、処理対象物200を載置するための載置台92を有し、載置台92は、例えば図示しないモータ等により鉛直方向の軸回りで任意の角度を回転するように構成される。
【0015】
図2は、本実施形態に係る処理システム100の制御ブロック図である。図示のように、処理システム100は、グラインダ10、マニピュレータ30、砥石交換装置40、砥石判定装置60、グラインダ交換装置80、及び回転台90と通信可能な制御装置120を有する。制御装置120は、例えば、グラインダ10、マニピュレータ30、砥石交換装置40、砥石判定装置60、グラインダ交換装置80、及び回転台90の動作プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体と、記録媒体のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等を有する。また、制御装置120は、少なくとも電源ユニット、CPU、動作プログラムを記憶したメモリ、及び入出力ユニットを含むPLC(Programmable Logic Controller)を含んでもよい。
【0016】
制御装置120は、処理対象物200の形状に応じた動作プログラムに従ってグラインダ10及びマニピュレータ30の動作を制御し、それにより、処理システム100は、回転台90に載置された処理対象物200を自動的に研磨することができる。また、処理システム100は、グラインダ10に取り付けられた砥石の交換作業の少なくとも一部を自動的に行うことができる。具体的には本実施形態では、制御装置120が砥石交換装置40及び砥石判定装置60を制御することにより、処理システム100は、適切なタイミングでグラインダ10に取り付けられた砥石を自動的に交換することができる。さらに、制御装置120がグラインダ交換装置80を制御することにより、処理システム100は、マニピュレータ30に取り付けられたグラインダ10を自動的に交換することができる。
【0017】
図2に示すように、砥石判定装置60は、制御部61と、送信部62と、受信部63とを有する。制御部61、送信部62、及び受信部63の機能については後述する。
【0018】
次に、処理システム100を構成するグラインダ10、砥石交換装置40、砥石判定装置60、グラインダ交換装置80について詳細に説明する。
【0019】
<グラインダ10>
図3は、グラインダ10の斜視図である。図4は、グラインダ10の一部を除外した斜視図である。図5はエアモータ近傍の拡大図である。図6は固定機構の斜視図である。図3に示すように、グラインダ10は、アーム11と、支持部材14と、シリンダ装置13と、砥石19と、エアモータ18と、を有する。アーム11は、第1端部11aと第2端部11bを有し、所定の方向に延びる例えば金属等の剛体である。図示の例では、アーム11は直線状の剛体であるが、これに限らず、例えばL字形、U字形、湾曲形等であってもよく、剛体ではなく所定の弾性を有するフレキシブルな材料であってもよい。
【0020】
支持部材14は、図1に示したマニピュレータ30のアームセグメント36と着脱可能
に接続される接続部分15を有する。図3に示すように、接続部分15は、例えばフランジ形状を有し得る。また、支持部材14は、接続部分15の逆側の端部において、アーム11に枢動可能に接続される。具体的には、支持部材14とアーム11は、アーム11の延びる方向と直交する方向に延びる支持ピン16により枢動可能に接続される。支持ピン16は、アーム11の第1側部11cから第2側部11dまで延びる。図3に示す例では、支持部材14は、一対のC形チャンネル鋼であり得る。支持部材14はこれに限らず、支持ピン16と接続可能な任意の形状及び材質の部材であり得る。また、図3に示す状態では、支持部材14は、アーム11の延びる方向及び支持ピン16の延びる方向と直交する方向に延びて示される。しかしながら、支持部材14はアーム11に対して枢動可能に接続されているので、アーム11に対する支持部材14の角度は、シリンダ装置13の伸縮に応じて変化し得る。
【0021】
シリンダ装置13は、例えば、エアシリンダと、ピストンとを有する。シリンダ装置13の一端は、支持ピン16よりもアーム11の第2端部11b側に位置する部分に支持ピン17により枢動可能に取り付けられ、他端が支持部材14に図示しない支持ピンにより枢動可能に取り付けられる。支持ピン17及び図示しない支持ピンは、支持ピン16と同一の方向、即ちアーム11及び支持部材14の延びる方向と直交する方向に延びる。
【0022】
シリンダ装置13はエアシリンダを有するので、砥石19が処理対象物200(図1参照)に押し付けられているときに、空気ばねの弾性によりシリンダ装置13が伸縮することができる。また、図2に示した制御装置120は、シリンダ装置13のエアシリンダに供給される空気の空気圧を制御することができる。具体的には、砥石19で処理対象物200(図1参照)を研磨しているときに、制御装置120がエアシリンダの空気圧を制御することで、シリンダ装置13の伸縮量を制御して、支持部材14に対するアーム11の角度を調整することができる。同様に、制御装置120がエアシリンダの空気圧を制御することで、エアシリンダの空気ばねの弾性を変更して、砥石19の押付力を制御することができる。なお、シリンダ装置13はエアシリンダに限らず、水圧シリンダ又は油圧シリンダ等を採用することもできる。また、エアシリンダによって位置調整や押付力調整を行う必要のない作業を行う場合には、エアシリンダに代えて一定の力を与えるバネを用いて、より簡易的な装置とすることができる。
【0023】
図5に示すように、エアモータ18は、エアモータ18により回転される第1シャフト18a(駆動軸の一例に相当する)と、第1シャフト18aに取り付けられた第1プーリ24と、を有する。図4に示すように、グラインダ10は、処理対象物200(図1参照)に押し付けられる砥石19(処理部の一例に相当する)と、第2シャフト20(回転軸の一例に相当する)と、第2シャフト20に取り付けられた第2プーリ21と、を有する。第2シャフト20は、図示しないが、その外周面にねじ溝を有し、砥石19とねじ係合するように構成される。したがって、グラインダ10には、砥石19が着脱可能に取り付けられ得る。具体的には、砥石19は処理面(図3中下面)と反対側にナットを有し、このナットに第2シャフト20を螺合することで砥石19と第2シャフト20とがねじ係合される。また、第2シャフト20に取り付けられた砥石19を、第2シャフト20に対して反対方向に回すことで、砥石19を第2シャフト20から取り外すことができる。なお、本実施形態では、グラインダ10は砥石19を備えているが、これに限らず、サンドペーパ、研磨用パッド等の比較的柔らかい研磨用部材、又はスポンジ又はブラシ等の、処理対象物200の表面を洗浄する洗浄部材を備えていてもよい。
【0024】
図4に示すように、グラインダ10は、第1プーリ24と第2プーリ21とを連結するベルトの張力を適切に維持するテンショナ22を有する。これにより、エアモータ18の駆動力が図示しないベルトを介して第2シャフト20に伝達され、砥石19が周方向に回転する。なお、本実施形態では、第1プーリ24、第2プーリ21、図示しないベルトが
、第1シャフト18aの回転を第2シャフト20に伝達する回転伝達機構を構成しているが、回転を伝達する機構はこれに限られない。例えば、グラインダ10は、第1プーリ24及び第2プーリ21に代えてスプロケットを採用し、ベルトに代えてスプロケットと係合するチェーンを採用し得る。しかしながら、耐粉塵性の観点からは、本実施形態のようにベルトを採用することが好ましい。
【0025】
エアモータ18は、第1シャフト18aを正方向及び逆方向に回転させることができる。したがって、エアモータ18は、第1シャフト18aの回転の向きに応じて、砥石19も正方向及び逆方向に回転することができる。グラインダ10は、エアモータ18に代えて、主軸を正方向及び逆方向に回転可能な任意の駆動源、例えば、電気モータ、水圧モータ、又は油圧モータ等を有してもよい。
【0026】
エアモータ18は、第1シャフト18aの先端側に、固定用歯車26を有する。固定用歯車26は、例えば止めねじ又はキー係合により、第1シャフト18aに固定される。言い換えれば、固定用歯車26は、第1シャフト18aとともに回転し、固定用歯車26の回転が制限されることで第1シャフト18aの回転も制限される。
【0027】
図3に示すように、砥石19は、支持ピン16よりもアーム11の第1端部11a側に取り付けられる。具体的には、図示の例では、砥石19は、アーム11の図中下側、即ち支持部材14とは反対側に設けられる。しかしながら、これに限らず、砥石19は、アーム11の図中上側、即ち支持部材14と同一側に設けることもできる。
【0028】
エアモータ18はその構造上、エアが供給されていない状態においては第1シャフト18aが外部の力により回転し得る。そこで、本実施形態のグラインダ10は、図5及び図6に示すように、エアモータ18の第1シャフト18aを固定する固定機構25を有する。固定機構25は、ベース板28と、シリンダ27a及びピストン27bと、プッシャ23と、フック29(ロック機構の一例に相当する)と、を有する。ベース板28は、グラインダ10のアーム11に取り付けられる。シリンダ27a及びピストン27bは、ベース板28に取り付けられる。フック29は、一端がベース板28に設けられたボルト28aに対して枢動可能に取り付けられ、他端に固定用歯車26と係合する爪を有する。プッシャ23は、ピストン27bの先端に取り付けられる。
【0029】
図6に示すように、シリンダ27aにエアが供給されるとピストン27bが変位し、プッシャ23がフック29を固定用歯車26に向けて押さえつける。このとき、フック29の爪が固定用歯車26と係合し、固定用歯車26を固定する。その結果、固定用歯車26が取り付けられた第1シャフト18aも固定することができる。フック29は、図示しないばね等により、固定用歯車26から離れる方向に付勢され得る。これにより、シリンダ27aへのエアの供給が停止されると、図示しないばねによりフック29が固定用歯車26から離間し、固定用歯車26及び第1シャフト18aの固定を解除することができる。なおこのとき、シリンダ27aに負圧を加えることによりピストン27bを縮めるように変位させて、フック29が固定用歯車26から離間するようにしてもよい。
【0030】
なお、固定機構25は、エアモータ18の第1シャフト18aを固定することができる任意の機構、例えば第1シャフト18aを把持するクランプ等を有することができる。
【0031】
<砥石交換装置40>
図7は、砥石交換装置40の斜視図である。図8は、砥石交換装置40の側面図である。図7及び図8に示すように砥石交換装置40は、4本の支柱41と、ストッカ42と、ハンド43と、回収箱44とを有する。4本の支柱41は、鉛直上方に延び、隣接する支柱41同士が互いに連結される。ストッカ42は、支柱41の上端に設けられる水平板4
5と、水平板45から鉛直方向に延びる筒状部材46とを有する。筒状部材46は、その上端に設けられた開口46aと、上端と下端との間に延びる切欠部46bとを有する。ストッカ42は、水平板45と筒状部材46に囲まれる空間に交換用の砥石19を保管するように構成される。
【0032】
ハンド43は、本実施形態では、ストッカ42の水平板45から水平方向に延びる。ハンド43は、これに限らず任意の位置に設けることができる。ハンド43は、その先端が分岐するように一対の指部43aを有しており、その指部43aの間に砥石19のナットを挟み込むことができるように設計される。図7に示すように、ハンド43の指部43a間の距離が先端に向かって大きくなるように設計されることが好ましい。ハンド43の指部43a間に、グラインダ10に取り付けられた砥石19のナットが入り込むことで、ハンド43は砥石19の回転方向の動きを制限することができる。言い換えれば、ハンド43は、砥石19のナットを第2シャフト20から緩めるためのレンチ又はスパナの機能を有する。回収箱44は、使用済の砥石19を回収するための箱であり、ハンド43の下方に位置することが好ましい。
【0033】
砥石交換装置40は、グラインダ10の第2シャフト20に交換用の砥石19を取り付けるときに、この砥石19が配置される交換場所47aを有する交換台47を有する。交換台47は、支柱41の側部に取り付けられる支持面48と、支持面48上に配置される一対のレール49と、一対のレール49の間に形成される投入口50と、支持面48に配置される一対のストッパ51とを有する。支持面48は、鉛直方向及び水平方向に対して傾斜するように設けられる。また、投入口50は、ストッカ42に保管された交換用の砥石19を支持面48上に投入するために用いられる。一対のレール49は、投入口50から投入された交換用の砥石19を支持面48に沿って交換場所47aにガイドする。図7に示す例では、交換場所47aに交換用の砥石19が配置された状態が示される。
【0034】
一対のストッパ51は、レール49によってガイドされた交換用の砥石19を交換場所47aに停止させるように構成される。図示の例では一対のストッパ51は、一対のレール49の下端にそれぞれ接続され、ストッパ51間の距離が下方に向けて徐々に狭まるように配置される。これに限らず、ストッパ51は、交換用の砥石19を交換場所47aに停止させることのできる任意の構造を有し得る。
【0035】
砥石交換装置40は、さらに、グラインダ10の第2シャフト20に着脱可能な磁石52(第1磁石の一例に相当する)を有する。図示の例では、磁石52は水平板45上に配置されるが、任意の場所に配置され得る。磁石52は、例えば、その上面に第2シャフト20を挿入可能な穴を有する。磁石52は、穴の内部にクイックカップリング等の構造を有し、第2シャフト20を穴に挿入することで磁石52が第2シャフト20に取り付けられ、所定の力で磁石52を第2シャフト20から引っ張ると磁石52が第2シャフト20から取り外され得る。グラインダ10は、第2シャフト20に磁石52を取り付けた状態で、ストッカ42に保管されている交換用の砥石19の一つを磁石52で吸着し、保持することができる。
【0036】
砥石交換装置40は、磁石52に吸着された交換用の砥石19を磁石52から取り外すための邪魔板53を有する。図示の例では、邪魔板53は一対のレール49に取り付けられる。
【0037】
次に、砥石交換装置40において砥石19を交換する方法について説明する。以下の各部の制御は制御装置120によって行われる。まず、グラインダ10に取り付けられた砥石19がグラインダ10から取り外される。具体的には、マニピュレータ30は、グラインダ10の砥石19に設けられたナットをハンド43の一対の指部43aの間に差し込む
。これにより、ハンド43がナット及び砥石19の回転方向の動きを制限することができる。
【0038】
続いて、ナット及び砥石19の回転方向の動きがハンド43により制限された状態で、マニピュレータ30は、砥石19が緩む方向にグラインダ10自体を回転させる。このとき、固定機構25が第1シャフト18aを固定することで第2シャフト20がグラインダ10に対して回転しないように固定される。これにより、第2シャフト20にねじ係合されていた砥石19が緩む。その後、グラインダ10は、回収箱44の上方において、エアモータ18によって第2シャフト20から砥石19が外れる方向に、第2シャフト20を回転させる。これにより、第2シャフト20から砥石19が完全に外れ、回収箱44内に砥石19が落下する。したがって、ハンド43は、グラインダ10に取り付けられた砥石19を、マニピュレータ30と協働して取り外すように構成される。
【0039】
マニピュレータ30は、グラインダ10の第2シャフト20に磁石52を装着する。具体的には、マニピュレータ30は、グラインダ10の第2シャフト20が磁石52の上面の穴に挿入されるように、グラインダ10を移動させる。続いて、マニピュレータ30は、ストッカ42内に保管された交換用の砥石19を磁石52で吸着して保持する。具体的には、マニピュレータ30は、切欠部46bからグラインダ10のアーム11の第1端部11aを挿入して交換用の砥石19を磁石52で吸着して引き上げ、開口46aから交換用の砥石19を取り出す。
【0040】
マニピュレータ30は、磁石52に吸着した交換用の砥石19を投入口50に移動させる。この状態で、砥石19の一部を邪魔板53に引っ掛けることで、磁石52から砥石19が剥がされて投入口50に投入される。投入口50に投入された砥石19は、レール49によって支持面48に沿って交換場所47aに向かってガイドされ、ストッパ51によって交換場所47aに停止する。
【0041】
マニピュレータ30は、グラインダ10に装着された磁石52を、水平板45上の元の位置に戻す。具体的には例えば、マニピュレータ30は、水平板45上に設けられた図示しない係止部に磁石52の一部を係止させて、グラインダ10の第2シャフト20を磁石52の上面の穴から引き抜くことで、第2シャフト20から磁石52を取り外す。
【0042】
続いて、マニピュレータ30は、グラインダ10の第2シャフト20を、交換場所47aに配置された砥石19のナットに差し込み、エアモータ18を駆動させて第2シャフト20を回転させる。これにより、第2シャフト20に砥石19がねじ係合され、砥石19が交換される。
【0043】
なお、本実施形態では、砥石交換装置40は、ナット及び砥石19の回転方向の動きを制限するために指部43aを備えたハンド43を有しているがこれに限られない。即ち、砥石交換装置40は、ハンド43に代えて、砥石19の回転方向の動きを制限することができるクランプ等の公知の機構を有してもよい。
【0044】
<砥石判定装置60>
続いて、砥石判定装置60について説明する。図9は、砥石判定装置60の斜視図である。図10は、砥石判定装置60の正面図である。砥石判定装置60は、全体的に直方体の筐体64と、カメラ65と、照明66と、を有する。筐体64は、筐体64内に外部の光が入り込むこと防止するように、光不透過性の材料で形成される。また、筐体64は、マニピュレータ30に装着されたグラインダ10のアーム11の第1端部11aを筐体64の内部に投入するための開口64aを有する。筐体64は、開口64aの上下それぞれにカーテン等の図示しない遮光部材を有し得る。これにより、筐体64の内部へのアーム
11の出入りを可能にしながら、筐体64内を遮光することができる。
【0045】
本実施形態では、一対のカメラ65(撮像装置の一例に相当する)が筐体64内部の上側及び下側に設けられる。具体的には、上側に設けられたカメラ65は、このカメラ65よりも下方に位置するグラインダ10のアーム11の第1端部11aの上面側を撮影することができる。また、下側に設けられたカメラ65は、このカメラ65よりも上方に位置するグラインダ10のアーム11の第1端部11aの下面側を撮影することができる。上述したように、グラインダ10のアーム11の上側又は下側に砥石19を取り付けることができる。このため、例えばアーム11の上側に砥石19が取り付けられて、砥石19の処理面がアーム11の上側を向く場合は、上方のカメラ65により砥石19の処理面の画像データを取得することができる。同様に、例えばアーム11の下側に砥石19が取り付けられて、砥石19の処理面がアーム11の下側を向く場合は、下方のカメラ65により砥石19の処理面の画像データを取得することができる。カメラ65は上方又は下方のいずれかのみに配置されてもよいし、筐体64内の任意の位置に配置されてもよい。
【0046】
照明66は、例えばLED照明であり、他の任意の照明を採用することもできる。本実施形態では、図9及び図10に示すように、筐体64の鉛直方向中央部よりもやや上側及びやや下側において、筐体64の開口64a側に左右一対の照明66と、筐体64の奥側に左右一対の照明66が配置される。即ち、本実施形態では、合計8の照明66が筐体64内に配置され、筐体64内に位置するグラインダ10のアーム11の第1端部11aを照らすことができる。照明66の数及び配置は任意である。
【0047】
次に、砥石判定装置60において砥石19の交換の要否を判定する方法について説明する。以下の各部の制御は制御装置120によって行われる。まず、例えばグラインダ10が処理対象物200であるインペラの翼の一つの上面又は下面を研磨すると、マニピュレータ30は、グラインダ10のアーム11の第1端部11aを砥石判定装置60の筐体64内に移動させる。砥石判定装置60は、制御装置120が有する、砥石19がアーム11の第1端部11aの上側と下側のいずれに取り付けられているかについての情報に基づいて上方又は下方のカメラ65のいずれかを作動させて砥石19の処理面の画像データを取得する。
【0048】
図2に示した制御部61は、カメラ65が取得した画像データに適宜画像処理を行ってもよい。図2に示した砥石判定装置60の送信部62は、カメラ65が取得した画像データを外部の解析装置に送信する。解析装置は、例えば交換が必要な砥石19の多数の画像データと、交換が不要な砥石19の多数の画像データを学習させたAI(Artificial Intelligence)を備えていてもよい。解析装置は、例えば、送信部62から受信した画像データに対する任意のスコアを判定する。図2に示した受信部63は、解析装置から画像データの解析結果を受信する。具体的には例えば、解析装置が判定したスコアを受信する。制御部61は、受信した解析結果に基づいて砥石19の交換の要否を判定する。具体的には例えば、制御部61は、解析装置から受信したスコアが所定の閾値を超えているか否か又は下回っているか否かに基づいて砥石19の交換の要否を判定する。
【0049】
制御部61は、判定結果を制御装置120に送信する。制御装置120は、砥石19の交換が不要であるとの結果を受信した場合、処理対象物200の研磨を継続するようにマニピュレータ30及びグラインダ10を制御することができる。また、制御装置120は、砥石19の交換が必要であるとの結果を受信した場合、砥石交換装置40において砥石19を交換するように、マニピュレータ30、グラインダ10、及び砥石交換装置40を制御する。
【0050】
<グラインダ交換装置80>
続いて、グラインダ交換装置80について説明する。図11は、グラインダ交換装置80の斜視図である。グラインダ交換装置80は、脚部81と、交換台82とを有する。脚部81は鉛直方向に延び、交換台82を下方から支持する。交換台82は、グラインダ10を設置することができる第1位置83と、第2位置84とを有する。図示の例では、第2位置84に交換用のグラインダ10が設置されている。また、図示の例では、第1位置83は、マニピュレータ30に取り付けられたグラインダ10を設置するための位置である。
【0051】
グラインダ交換装置80は、第1位置83及び第2位置84に設置されたグラインダ10の接続部分15を覆うための蓋85と、蓋85を開閉するためのロータリーアクチュエータ86とを有する。蓋85は、ロータリーアクチュエータ86によってその軸を中心に回転される水平軸87に接続される。ロータリーアクチュエータ86が水平軸87を回転させることで、蓋85も水平軸87を中心に回転する。図示の例では、蓋85が開いた状態、即ち蓋85が第1位置83又は第2位置84に設置されるグラインダ10の接続部分15を覆っていない状態が示される。
【0052】
グラインダ交換装置80は、第1位置83又は第2位置84に設置されるグラインダ10の有無を検知するセンサ88(第2センサの一例に相当する)を有する。センサ88は、第1位置83又は第2位置84にグラインダ10が設置されているか否かの情報を制御装置120に送信する。センサ88は例えば、交換台82の下面から上面に延びたピン状のセンサ88であってもよく、第1位置83又は第2位置84にグラインダ10が設置されたときにピン状のセンサ88が押下されることにより、グラインダ10の有無を検知することができる。
【0053】
次に、グラインダ交換装置80においてグラインダ10を交換する方法について説明する。以下の各部の制御は制御装置120によって行われる。例えば、処理対象物200であるインペラの全ての翼の圧力面(表面)の研磨が完了して、続いて翼の負圧面(裏面)の研磨を開始するときに、グラインダ10の交換が行われ得る。具体的にはこの場合、アーム11の下側に砥石19が取り付けられたグラインダ10から、アーム11の上側の砥石19が取り付けられたグラインダ10に交換を行う。
【0054】
まず、マニピュレータ30は、グラインダ10をグラインダ交換装置80の第1位置83に設置する。制御装置120は、センサ88から第1位置83にグラインダ10が設置されたことを示す情報を受信すると、マニピュレータ30からグラインダ10を取り外す。続いて、マニピュレータ30は、第2位置84に設置されているグラインダ10の接続部分15と接続し、グラインダ10を交換台82から持ち上げる。制御装置120は、センサ88から第2位置84にグラインダ10が存在しないことを示す情報を受信すると、第1位置83に設置されたグラインダ10の接続部分15を蓋85が覆うようにロータリーアクチュエータ86を作動させる。
【0055】
再びグラインダ10を交換する場合は、制御装置120は、蓋85が開くようにロータリーアクチュエータ86を制御し、マニピュレータ30は、グラインダ10をグラインダ交換装置80の第2位置84に設置する。その後は、前述したプロセスと同様に、第1位置83に設置されたグラインダ10をマニピュレータ30で持ち上げて蓋85で第2位置84に設置されたグラインダ10の接続部分15を覆う。
【0056】
以上で説明したように、本実施形態の処理システム100は、砥石交換装置40又は当石判定装置により、砥石19の交換作業の少なくとも一部を自動化することができる。より具体的には、処理システム100によれば、砥石19をグラインダ10から取り外す作業、交換用の砥石19をグラインダ10に取り付ける作業、及び砥石19に交換が必要か
否かを判定する作業の少なくとも一つを自動的に行うことができる。また、本実施形態の処理システム100によれば、グラインダ10の交換作業を自動的に行うこともできる。
【0057】
次に、図7及び図8に示した砥石交換装置40の別の形態例について説明する。図12は、砥石交換装置の他の例を示す斜視図である。図12に示す砥石交換装置140は、図7及び図8に示した砥石交換装置40に代えて図1に示した処理システム100に採用することができる。
【0058】
図12に示すように、砥石交換装置140は、4本の支柱141と、砥石設置台142(処理部設置台の一例に相当する)と、ハンド143と、センサ144(第1センサの一例に相当する)と、補充状態送信部145とを有する。4本の支柱41は、鉛直上方に延びる。砥石設置台142の数は任意であるが、本実施形態においては、3つの砥石設置台142が砥石交換装置140に設けられる。砥石設置台142の各々は、鉛直方向に均等に離間するように支柱141に取り付けられる。ハンド143は、例えば3つの砥石設置台142の内の最も下方に位置する砥石設置台142から水平方向に延びる。ハンド143は、これに限らず任意の位置に設けることができる。センサ144は、例えば4本の支柱141の一つに取り付けられる。補充状態送信部145は、例えば図2に示した制御装置120と通信可能なスイッチであり得る。補充状態送信部145は、例えば4本の支柱141の一つに取り付けられ、好ましくはセンサ144が取り付けられる支柱141とは異なる支柱141に取り付けられる。
【0059】
ハンド143は、図7に示したハンド43と同様に、その先端が分岐するように一対の指部143aを有しており、その指部143aの間に砥石19のナットを挟み込むことができるように設計される。ハンド143は、図7に示したハンド43と同様の機能を有するので、詳細の説明は省略する。
【0060】
砥石設置台142の各々は、上面142aと下面142bとを有し、それぞれに砥石19が配置され得る。図13は、砥石設置台142の上面142aの拡大図である。図13に示すように、砥石設置台142の上面142aには、砥石19を所定位置に設置するためのガイド150が設けられる。図示の例では、3つのガイド150により、砥石19の外径に近い略円形の凹部が形成され、砥石設置台142の上面142aに設置される砥石19を所定位置にガイドすることができる。砥石19は、処理面が下方を向くようにして砥石設置台142の上面142aに設置され得る。
【0061】
図14は、砥石設置台142の下面142bの拡大図である。図14に示すように、砥石設置台142の下面142bには、上面142aと同様に、砥石19を所定位置に設置するためのガイド150が設けられる。また、下面142bには、ガイド150によって下面142bの所定位置に設置された砥石19(第2磁石の一例に相当する)を吸着するための磁石151が設けられる。磁石151は、砥石19をガイドする3つのガイド150の略中央部に設けられた凹部に接着剤等により貼り付けられる。砥石19は、処理面が上方を向くようにして砥石設置台142の下面142bに設置され得る。
【0062】
図3に示したように、砥石19がアーム11の支持部材14とは反対側に取り付けられ得る場合には、アーム11には、砥石設置台142の上面142aに設置された砥石19が取り付けられ得る。他方、砥石19がアーム11の支持部材14と同一側に取り付けられ得る場合には、アームには、砥石設置台142の下面142bに設置された砥石19が取り付けられ得る。
【0063】
図15は、センサ144の拡大図である。センサ144は、グラインダ10に砥石19取り付けられているか否かを検出するように構成される、例えば非接触型の光電センサで
あり得る。図14に示すように、センサ144は、支柱141から略水平に延び、互いに鉛直方向に離間する2本の支持梁153a,153bと、投光部154aと、受光部154bと、を有する。投光部154a及び受光部154bの各々は、支持梁153a,153bのいずれかに設けられる。図示の例では、投光部154aは、上方の支持梁153aに取り付けられ、受光部154bは下方の支持梁153bに取り付けられる。投光部154aと受光部154bとの間に障害物がない場合、投光部154aからの光は受光部154bに到達する。受光部154bは受け取った光を電気信号に変換し、例えば図2に示した制御装置120に送信するように構成される。
【0064】
図16Aは、砥石19を検出している状態のセンサ144の上面図である。図16Bは、砥石19を検出していない状態のセンサ144の上面図である。図2に示した制御装置120は、グラインダ10のアーム11がセンサ144の近傍に位置するようにマニピュレータ30を制御する。例えば、グラインダ10のアーム11に交換用の新たな砥石19を取り付けた後、アーム11に砥石19が取り付けられているかを確認するために、アーム11がセンサ144の近傍に移動する。このとき、制御装置120は、光を発するように投光部154aを制御する。図16Aに示すように、砥石19がアーム11に取り付けられている場合、投光部154aからの光が受光部154bに到達しないように砥石19が光を遮断する。受光部154bは、投光部154aからの光を受け取らなかったこと示す信号を制御装置120に送信する。制御装置120は、光を受け取らなかった旨を示す信号を受光部154bから受信することにより、砥石19がアーム11に取り付けられていることを確認することができる。
【0065】
他方、図16Bに示すように、アーム11に砥石19が取り付けられていない場合は、投光部154aからの光が受光部154bに到達する。受光部154bは、投光部154aからの光を受け取った旨を示す信号を制御装置120に送信する。制御装置120は、光を受け取った旨を示す信号を受光部154bから受信することにより、砥石19がアーム11に取り付けられていないことを確認することができる。
【0066】
センサ144は、図7及び図8に示した砥石交換装置40に設けることもできる。また、図15に示したセンサ144は非接触型の光電センサであるが、これに限らずアーム11に砥石19が取り付けられているか否かを判別することができる、接触型又は非接触型の任意のセンサであってもよい。
【0067】
図17は、補充状態送信部145の斜視図である。補充状態送信部145は、上面用スイッチ157aと、下面用スイッチ157bと、を有する。砥石19は、例えば作業員により砥石設置台142に設置され得る。作業員が砥石設置台142の上面142aに所定の数の砥石19を設置した後、上面用スイッチ157aを押下すると、上面用スイッチ157aは、制御装置120に信号を送信する。制御装置120は、上面用スイッチ157aから信号を受信することで、砥石設置台142の上面142aに砥石19が補充されたことを確認することができる。また、作業員が砥石設置台142の下面142bに所定の数の砥石19を設置した後、下面用スイッチ157bを押下すると、下面用スイッチ157bは、制御装置120に信号を送信する。制御装置120は、下面用スイッチ157bから信号を受信することで、砥石設置台142の下面142bに砥石19が補充されたことを確認することができる。
【0068】
補充状態送信部145は、図7及び図8に示した砥石交換装置40に設けることもできる。その場合、作業者がストッカ42に砥石19を補充したときに作業者が補充状態送信部145が備えるスイッチを押下することにより、補充状態送信部145は制御装置120に信号を送信するように構成され得る。
【0069】
次に、砥石交換装置140において砥石19を交換する方法について説明する。以下の各部の制御は制御装置120によって行われる。まず、グラインダ10に取り付けられた砥石19がグラインダ10から取り外される。具体的には、マニピュレータ30は、グラインダ10の砥石19に設けられたナットをハンド143の一対の指部143aの間に差し込み、ハンド43に関して上述した方法で砥石19をグラインダ10から取り外す。
【0070】
その後、砥石19がグラインダ10から取り外されたことをセンサ144で確認してもよい。即ち、マニピュレータ30は、図16Bに示したようにグラインダ10のアーム11をセンサ144の近傍に移動させる。センサ144の投光部154aは光を発し、受光部154bがその光を受け取る。受光部154bは、光を受け取った旨を示す信号を制御装置120に送信する。制御装置120は、その信号を受信することにより、砥石がアーム11から取り外されたことを確認することができる。
【0071】
マニピュレータ30は、グラインダ10の第2シャフト20を、砥石設置台142の上面142a又は下面142bに設置された砥石19のナットに差し込み、エアモータ18を駆動させて第2シャフト20を回転させる。これにより、第2シャフト20に砥石19がねじ係合され、砥石19が交換される。
【0072】
続いて、砥石19がグラインダ10に取り付けられたことをセンサ144で確認してもよい。即ち、マニピュレータ30は、図16Aに示したようにグラインダ10のアーム11をセンサ144の近傍に移動させる。センサ144の投光部154aは光を発し、その光は砥石19により遮断される。受光部154bは、光を受け取らなかった旨を示す信号を制御装置120に送信する。制御装置120は、その信号を受信することにより、砥石がアーム11に取り付けられていることを確認することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【0074】
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
第1形態によれば、処理システムが提供される。処理システムは、処理対象物の表面を処理する処理部が着脱可能に取り付けられるグラインダと、前記グラインダが取り付けられ、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を前記処理対象物に押し付けるように構成されるマニピュレータと、前記グラインダの前記処理部を交換するための処理部交換装置と、前記グラインダ及び前記マニピュレータの動作を制御する制御装置と、を有する。前記グラインダは、外周面にねじ溝を有して前記処理部とねじ係合する回転軸と、前記回転軸を正方向及び逆方向に回転可能な駆動装置と、前記回転軸を固定する固定機構と、を有する。前記処理部交換装置は、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を、前記マニピュレータと協働して取り外すように構成されるハンドを有する。
【0075】
第2形態は、第1形態の処理システムにおいて、前記グラインダは、前記駆動装置の駆動軸と、前記駆動軸の回転を前記回転軸に伝達する回転伝達機構と、を有し、前記固定機構は、前記駆動軸の回転を固定するロック機構を含む、ことを要旨とする。
【0076】
第3形態は、第1形態又は第2形態の処理システムにおいて、前記ハンドは、前記グラインダの前記回転軸に取り付けられた前記処理部の回転方向の動きを制限するように構成される、ことを要旨とする。
【0077】
第4形態は、第1形態から第3形態のいずれかの処理システムにおいて、前記処理部交換装置は、交換用の前記処理部を保管するように構成されるストッカと、前記グラインダの前記回転軸に交換用の前記処理部を取り付けるときに前記処理部が配置される交換場所を備える交換台と、を備える、ことを要旨とする。
【0078】
第5形態は、第4形態の処理システムにおいて、前記処理部交換装置は、前記グラインダの前記回転軸に着脱可能な第1磁石と、前記第1磁石に吸着された交換用の前記処理部を前記第1磁石から取り外すための邪魔板と、を有し、前記交換台は、鉛直方向及び水平方向に対して傾斜した支持面と、交換用の前記処理部を投入する投入口と、前記投入口に投入された交換用の前記処理部を前記支持面に沿って前記交換場所にガイドするレールと、前記レールによってガイドされた交換用の前記処理部を前記交換場所に停止させるストッパと、を有する、ことを要旨とする。
【0079】
第6形態は、第1形態から第3形態のいずれかの処理システムにおいて、前記処理部交換装置は、上面と下面とを有する処理部設置台を有し、前記下面には、前記処理部を吸着するための第2磁石が設けられる、ことを要旨とする。
【0080】
第7形態は、第1形態から第6形態のいずれかの処理システムにおいて、前記処理部交換装置は、前記グラインダに前記処理部が取り付けられているか否かを検出するように構成される第1センサを有する、ことを要旨とする。
【0081】
第8形態は、第1形態から第7形態のいずれかの処理システムにおいて、前記処理部交換装置は、前記処理部交換装置に前記処理部が補充された旨を示す信号を前記制御装置に送信するように構成される補充状態送信部を有する、ことを要旨とする。
【0082】
第9形態は、第1形態から第8形態のいずれかの処理システムにおいて、前記処理部の交換の要否を判定する処理部判定装置を備え、前記処理部判定装置は、前記処理部の処理面の画像データを取得する撮像装置と、前記処理部の交換の要否を判定する制御部と、を有し、前記制御部は、前記撮像装置が取得した前記画像データを解析装置に送信する送信部と、前記解析装置から前記画像データの解析結果を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記解析結果に基づいて前記処理部の交換の要否を判定する判定部と、を有する、ことを要旨とする。
【0083】
第10形態は、第9形態の処理システムにおいて、前記処理部判定装置は、前記グラインダの前記回転軸に取り付けられた前記処理部を内部に投入するための開口を備える筐体と、前記筐体に配置され、前記筐体の内部に位置する前記処理部を照らす照明と、を有し、前記撮像装置は、前記筐体内に設けられる、ことを要旨とする。
【0084】
第11形態は、第1形態から第10形態のいずれかの処理システムにおいて、前記グラインダを交換するためのグラインダ交換装置を有し、前記グラインダ交換装置は、前記マニピュレータに取り付けられた前記グラインダを設置する第1位置と、前記マニピュレータに取り付ける交換用の前記グラインダを設置する第2位置と、前記第1位置と前記第2位置にそれぞれ設置された前記グラインダの、前記マニピュレータとの接続部分を覆うための蓋と、を有する、ことを要旨とする。
【0085】
第12形態は、第11形態の処理システムにおいて、前記グラインダ交換装置は、前記第1位置又は前記第2位置における前記グラインダの有無を検知する第2センサを有する、ことを要旨とする。
【0086】
第13形態によれば、処理システムが提供される。処理システムは、処理対象物の表面を処理する処理部が着脱可能に取り付けられるグラインダと、前記グラインダが取り付けられ、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を前記処理対象物に押し付けるように構成されるマニピュレータと、前記処理部の交換の要否を判定する処理部判定装置と、前記グラインダ及び前記マニピュレータの動作を制御する制御装置と、を有する。前記処理部判定装置は、前記処理部の処理面の画像データを取得する撮像装置と、前記処理部の交換の要否を判定する制御部と、を有し、前記制御部は、前記撮像装置が取得した前記画像データを解析装置に送信する送信部と、前記解析装置から前記画像データの解析結果を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記解析結果に基づいて前記処理部の交換の要否を判定する判定部と、を有する。
【0087】
第14形態は、第13形態の処理システムにおいて、前記処理部判定装置は、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を内部に投入するための開口を備える筐体と、前記筐体に配置され、前記筐体の内部に位置する前記処理部を照らす照明と、を有し、前記撮像装置は、前記筐体内に設けられる、ことを要旨とする。
【0088】
第15形態は、グラインダの処理部を交換するための処理部交換装置が提供される。処理部交換装置は、前記グラインダの回転軸に取り付けられた前記処理部の回転方向の動きを制限するように構成されるハンドと、交換用の前記処理部を保管するように構成されるストッカと、前記グラインダの前記回転軸に交換用の前記処理部を取り付けるときに前記処理部が配置される交換場所を備える交換台と、を有する。
【0089】
第16形態は、第15形態の処理部交換装置において、前記グラインダの前記回転軸に着脱可能な第1磁石と、前記第1磁石に吸着された交換用の前記処理部を前記第1磁石から取り外すための邪魔板と、を有し、前記交換台は、鉛直方向及び水平方向に対して傾斜した支持面と、交換用の前記処理部を投入する投入口と、前記投入口に投入された交換用の前記処理部を前記支持面に沿って前記交換場所にガイドするレールと、前記レールによってガイドされた交換用の前記処理部を前記交換場所に停止させるストッパと、を有する、ことを要旨とする。
【0090】
第17形態によれば、グラインダの処理部を交換するための処理部交換装置が提供される。処理部交換装置は、前記グラインダの回転軸に取り付けられた前記処理部の回転方向の動きを制限するように構成されるハンドと、上面と下面とを有する処理部設置台と、を有する。前記下面には、前記処理部を吸着するための第2磁石が設けられる。
【0091】
第18形態は、第15形態から第17形態のいずれかの処理部交換装置において、前記グラインダに前記処理部が取り付けられているか否かを検出するように構成される第1センサを有する、ことを要旨とする。
【0092】
第19形態は、グラインダに取り付けられた処理部の交換の要否を判定する処理部判定装置が提供される。処理部判定装置は、前記処理部の処理面の画像データを取得する撮像装置と、前記処理部の交換の要否を判定する制御部と、を有する。前記制御部は、前記撮像装置が取得した前記画像データを解析装置に送信する送信部と、前記解析装置から前記画像データの解析結果を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記解析結果に基づいて前記処理部の交換の要否を判定する判定部と、を有する。
【0093】
第20形態は、第19形態の処理部判定装置において、前記グラインダに取り付けられた前記処理部を内部に投入するための開口を備える筐体と、前記筐体に配置され、前記筐体の内部に位置する前記処理部を照らす照明と、を有し、前記撮像装置は、前記筐体内に設けられる、ことを要旨とする。
【0094】
第21形態によれば、第1形態から第12形態のいずれかの処理システムを用いてグラインダの処理部の交換作業を行う方法が提供される。前記処理部交換装置の前記ハンドで前記グラインダの前記処理部の回転方向の動きを制限し、前記グラインダの前記回転軸を固定し、前記マニピュレータが、前記処理部と前記回転軸とのねじ係合が緩む方向に、前記グラインダを前記回転軸を中心に回転させ、前記グラインダが、前記処理部が前記回転軸から外れる方向に前記回転軸を回転させる、方法。
【符号の説明】
【0095】
10 :グラインダ
15 :接続部分
18 :エアモータ
18a :第1シャフト
19 :砥石
20 :第2シャフト
25 :固定機構
29 :フック
30 :マニピュレータ
40,140 :砥石交換装置
42 :ストッカ
43,143 :ハンド
47 :交換台
47a :交換場所
48 :支持面
49 :レール
50 :投入口
51 :ストッパ
52 :磁石
53 :邪魔板
60 :砥石判定装置
61 :制御部
62 :送信部
63 :受信部
64 :筐体
64a :開口
65 :カメラ
66 :照明
80 :グラインダ交換装置
83 :第1位置
84 :第2位置
85 :蓋
88 :センサ
100 :処理システム
120 :制御装置
142 :砥石設置台
142a :上面
142b :下面
144 :センサ
145 :補充状態送信部
200 :処理対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17