(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】組成物、硬化物、光学フィルタ及び硬化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 59/68 20060101AFI20231016BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
C08G59/68
G02B5/22
(21)【出願番号】P 2020532242
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2019025977
(87)【国際公開番号】W WO2020021969
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2018141724
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018248687
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智美
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-190333(JP,A)
【文献】特開2003-096184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0025991(US,A1)
【文献】特開2011-246606(JP,A)
【文献】特開2019-070106(JP,A)
【文献】特開2000-239648(JP,A)
【文献】特開2013-165192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/68
G02B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン重合性化合物と、
光酸発生剤と、
アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物と、を含
み、
増感剤としてアルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物のみを含み、
前記アルコキシベンゼン化合物が、下記一般式(3-1)で表される化合物であり、
前記ベンゾカルバゾール化合物が、下記一般式(4-1)、(4-2)又は(4-3)で表される化合物であり、
前記ジアルコキシカルバゾール化合物が、下記一般式(1000-1)で表される化合物であり、
前記カチオン重合性化合物は、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の両者を含み、脂肪族エポキシ化合物の含有量が、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の合計100質量部中に、15質量部以上40質量部以下である組成物。
【化1】
(式中、R
11
及びR
12
は、それぞれ独立に、炭素原子数1~3のアルキル基又は前記アルキル基の水素原子が、水酸基及びカルボキシル基の少なくとも1つで置換された基を表す。)
【化2】
(式中、R
155
は炭素原子数3~15のアルキル基又は炭素原子数7~15のアリールアルキル基を表し、
R
156
、R
157
、R
158
、R
159
、R
160
、R
161
、R
162
、R
163
、R
164
及びR
165
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【化3】
(式中、R
255
は炭素原子数3~15のアルキル基又は炭素原子数7~15のアリールアルキル基を表し、
R
256
、R
257
、R
258
、R
259
、R
260
、R
261
、R
262
、R
263
、R
264
及びR
265
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【化4】
(式中、R
355
は炭素原子数3~15のアルキル基又は炭素原子数7~15のアリールアルキル基を表し、
R
356
、R
357
、R
358
、R
359
、R
360
、R
361
、R
362
、R
363
、R
364
及びR
365
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【化5】
(式中、R
1001
は水素原子又は炭素原子数1~15のアルキル基を表し、
R
1002
、R
1003
、R
1004
、R
1005
、R
1006
、R
1007
、R
1008
及びR
1009
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表し、
R
1002
、R
1003
、R
1004
及びR
1005
中の少なくとも1つの基が、炭素原子数1~30のアルコキシ基であり、かつ、R
1006
、R
1007
、R
1008
及びR
1009
中の少なくとも1つの基が、炭素原子数1~30のアルコキシ基である。)
【請求項2】
前記アルコキシベンゼン化合物、前記ベンゾカルバゾール化合物及び前記ジアルコキシカルバゾール化合物の合計の含有量が、前記光酸発生剤100質量部に対して5質量部以上90質量部以下である請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カチオン重合性化合物が、脂環式エポキシ化合物を含み、
前記脂環式エポキシ化合物の含有量が、前記カチオン重合性化合物100質量部中に、20質量部以上である請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、更に色素を含む請求項1~
3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、光学フィルタ形成用である請求項1~
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の組成物の硬化物。
【請求項7】
請求項
6に記載の硬化物を含む光吸収層を有する光学フィルタ。
【請求項8】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の組成物を硬化する工程を含む硬化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤と、特定の増感剤とを含む組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特定の光に対して強度の大きい吸収を有する化合物は、CD-R、DVD-R、DVD+R、BD-R等の光学記録媒体の記録層や、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置の光学要素として用いられている。
【0003】
特許文献1には、プラズマディスプレイにおけるリモコン誤動作防止及びプラズマディスプレイで発生するネオンオレンジ光吸収を目的とする光学フィルタ形成用組成物として、特定のアクリル系樹脂及び380~780nmに極大吸収を有する色素を含有する樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、短波半導体レーザの発信波長に対して高感度な画像記録材料として、350~850nmに吸収極大を有する増感色素を含有するラジカル重合性の感光性組成物が開示されている。
特許文献3には、固体撮像素子等の光学フィルタの形成に用いられる組成物として、700~1100nmに吸収極大を有するレーキ色素を含有する硬化性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US7241404
【文献】特開2006-259558号公報
【文献】US7820254
【発明の概要】
【0005】
画像表示装置の色再現性向上の方法として、各色の発光光の色純度を向上する方法が知られている。
例えば、緑色光及び赤色光の重なり領域の波長の光を吸収する光学フィルタを用いることで、画像表示装置は、緑色光及び赤色光の色純度向上を図ることができる。
本発明者らは、上述の光学フィルタの形成に用いるベース組成物として、カチオン重合性化合物、光酸発生剤及び増感剤を含むカチオン重合性組成物を用いることを検討しているが、硬化感度及び組成物の分散安定性の両者に優れるカチオン重合性組成物とすることができない場合があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を提供することにある。
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、カチオン重合性化合物及び光酸発生剤と、特定の増感剤と、を組み合わせて用いることで、上述の課題を解決できることを見出し、本発明に至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤と、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物と、を含む組成物を提供するものである。
【0009】
組成物がアルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物(以下、特定増感剤と称する場合がある。)から選ばれる少なくとも一つの化合物を有することで、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなる。
【0010】
本発明においては、上記アルコキシベンゼン化合物が、下記一般式(3-1)で表される化合物であり、上記ベンゾカルバゾール化合物が、下記一般式(4-1)、(4-2)又は(4-3)で表される化合物であり、上記ジアルコキシカルバゾール化合物が、下記一般式(1000-1)で表される化合物であることで、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるため好ましい。
【0011】
【化1】
(式中、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、炭素原子数1~30のアルキル基又は前記アルキル基の水素原子が、水酸基及びカルボキシル基の少なくとも1つで置換された基を表す。)
【0012】
【化2】
(式中、R
155は水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、
R
156、R
157、R
158、R
159、R
160、R
161、R
162、R
163、R
164及びR
165は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【0013】
【化3】
(式中、R
255は水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、
R
256、R
257、R
258、R
259、R
260、R
261、R
262、R
263、R
264及びR
265は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【0014】
【化4】
(式中、R
355は水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、
R
356、R
357、R
358、R
359、R
360、R
361、R
362、R
363、R
364及びR
365は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【0015】
【化5】
(式中、R
1001は水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、
R
1002、R
1003、R
1004、R
1005、R
1006、R
1007、R
1008及びR
1009は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表し、
R
1002、R
1003、R
1004及びR
1005中の少なくとも1つの基が、炭素原子数1~30のアルコキシ基であり、かつ、R
1006、R
1007、R
1008及びR
1009中の少なくとも1つの基が、炭素原子数1~30のアルコキシ基である。)
【0016】
本発明においては、上記一般式(3-1)中のR11及びR12が、それぞれ独立に、炭素原子数1~3のアルキル基又は前記アルキル基の水素原子が、水酸基及びカルボキシル基の少なくとも1つで置換された基であり、上記一般式(4-1)中のR155が、炭素原子数3~15のアルキル基又は炭素原子数7~15のアリールアルキル基であり、上記一般式(4-2)中のR255が、炭素原子数3~15のアルキル基又は炭素原子数7~15のアリールアルキル基であり、上記一般式(4-3)中のR355が、炭素原子数3~15のアルキル基又は炭素原子数7~15のアリールアルキル基であり、前記一般式(1000-1)中のR1001が、水素原子又は炭素原子数1~15のアルキル基であることが好ましい。上記特定増感剤が、上述の化合物であることで、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0017】
本発明においては、特定増感剤の合計の含有量が、上記光酸発生剤100質量部に対して5質量部以上90質量部以下であることが好ましい。特定増感剤の含有量が、上述の範囲であることで、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0018】
本発明においては、特定増感剤の合計の含有量が、上記特定増感剤と、それ以外の増感剤と、の合計100質量部中に、50質量部以上であることが好ましい。特定増感剤の含有量が、上述の範囲であることで、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0019】
本発明においては、上記カチオン重合性化合物が、脂環式エポキシ化合物を含み、上記脂環式エポキシ化合物の含有量が、上記カチオン重合性化合物100質量部中に20質量部以上であることが好ましい。カチオン重合性化合物の種類及び含有量が、上述の範囲であることで、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0020】
本発明においては、上記組成物が、色素を含むことが好ましい。上記組成物は、光学フィルタ形成用として有用なものとなるからである。
【0021】
本発明においては、上記組成物が、光学フィルタ形成用であることが好ましい。上述の硬化感度及び分散安定性に優れるとの効果を、より効果的に発揮できるからである。
【0022】
本発明は、上述の組成物の硬化物を提供する。
【0023】
上記硬化物は、上述の組成物を硬化させたものであるため、例えば、組成物が色素を含む場合に、色素のブリードアウト等が少なく、色素の分散状態が良好なものとすることができる。
【0024】
本発明は、上述の硬化物を含む光吸収層を有する光学フィルタを提供する。
【0025】
上記光吸収層が上述の組成物の硬化物を含むことにより、画像表示装置の色再現性に優れた光学フィルタとなる。また、経時安定性に優れたものとなる。
【0026】
本発明は、組成物を硬化する工程を含む硬化物の製造方法を提供する。
【0027】
上記硬化物の製造方法は、上述の組成物を硬化させるものであるため、例えば、硬化物の形成が容易なものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、組成物、その硬化物、光学フィルタ及び硬化物の製造方法に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0029】
A.組成物
まず、本発明の組成物について説明する。
本発明の組成物は、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤と、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物と、を含むことを特徴とするものである。
【0030】
本発明の組成物は、カチオン重合性化合物及び光酸発生剤と、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物(以下、特定増感剤と称する場合がある。)から選ばれる少なくとも一つの化合物と、を組み合わせて用いることにより、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなる。
【0031】
カチオン重合性化合物及び光酸発生剤と、上記特定増感剤とを組み合わせることで、硬化感度及び分散安定性が優れたものとなる理由については、以下のように推察される。
特定増感剤が有する芳香環構造により、カチオン重合性化合物及び光酸発生剤の凝集が抑制され、組成物は各成分の分散安定性に優れたものとなる。そして、組成物中の各成分が良好に分散した状態となる結果、特定増感剤は光を効率的に吸収可能となる。さらに、特定増感剤はHOMOとLUMOのエネルギー準位が光酸発生剤よりも高いため、光酸発生剤への電子移動が効率的に行われる。このため、組成物は、カチオン重合性化合物及び光酸発生剤と、特定増感剤とを含むことで、硬化感度に優れたものとなる。
【0032】
本発明の組成物は、硬化感度に優れることから、十分に硬化した硬化物を得ることができるものであり、該組成物が色素を含む場合に、色素のブリードアウト等が少ない硬化物を容易に得ることができる。さらに、本発明の組成物は、分散安定性に優れることから、該組成物が色素を含む場合に、色素の分散状態が良好な硬化物を安定的に製造することが可能である。
以下、本発明の組成物の各成分について、詳細に説明する。
【0033】
1.アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物
本発明の組成物は、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むものである。
【0034】
(1)アルコキシベンゼン化合物
上記アルコキシベンゼン化合物は、ベンゼン環に共有結合で直接結合するアルコキシ基を1つ以上有する化合物であればよい。
このようなアルコキシベンゼン化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物(以下、化合物1と称する場合がある。)を挙げることができる。
【0035】
【化6】
(式中、Rは、炭素原子数1~30のアルキル基又は上記アルキル基の水素原子が、水酸基及びカルボキシル基の少なくとも1つで置換された基を表し、nは、1~6の整数を表す。なお、Rは、nが2以上の場合は、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。)
【0036】
上記一般式(3)中のRで表される炭素原子数1~30のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,4-ジメチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルヘキシル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、4-エチルオクチル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、1,3,5,7-テトラメチルオクチル基、n-トリデシル基、1-ヘキシルヘプチル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を挙げることができる。
【0037】
本発明においては、炭素原子数1~30のアルキル基の構造は、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐であることが好ましく、特に、直鎖であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
【0038】
本発明において、アルキル基の炭素原子数は、1~5であることが好ましく、なかでも、1~3であることが好ましく、中でも特に、1~2であることが好ましく、なかでも特に、1であることが好ましい。上記Rが上述の基であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0039】
上記一般式(3)中のRで表される、アルキル基の水素原子が水酸基及びカルボキシル基の少なくとも1つで置換された基(以下、置換アルキル基と称する場合がある。)の水素原子を置換する原子又は基は、水酸基及びカルボキシル基から選択することができるが、水酸基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
上記置換アルキル基に用いられるアルキル基の好ましい構造、好ましい炭素原子数については、上記炭素原子数1~30のアルキル基と同様とすることができる。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
【0040】
本発明においては、上記Rは、炭素原子数1~15のアルキル基又は置換アルキル基であることが好ましく、中でも、炭素原子数1~5のアルキル基又は置換アルキル基であることが好ましく、特に、炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましく、中でも特に、炭素原子数1~2のアルキル基又は置換アルキル基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1のアルキル基又は置換アルキル基であることが好ましい。上記Rが上述の基であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
また、上記Rは、nが2以上である場合には、それぞれ独立に選択することができ、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0041】
上記一般式(3)中において、nは、1~6の整数であるが、1~3の整数であることが好ましく、なかでも、2~3の整数であることが好ましく、特に、2であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
また、nが2である場合、上記化合物1は、下記一般式(3-1)で表される化合物(以下、化合物3-1と称する場合がある。)であること、すなわち、2つのアルコキシ基がパラ位で置換している化合物であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0042】
【化7】
(式中、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、炭素原子数1~30のアルキル基又は上記アルキル基の水素原子が、水酸基及びカルボキシル基の少なくとも1つで置換された基を表す。)
【0043】
上記一般式(3-1)中のR11及びR12で表される炭素原子数1~30のアルキル基及び置換アルキル基は、上記一般式(3)中のRで表される炭素原子数1~30のアルキル基及び置換アルキル基と同様である。
【0044】
上記R11及びR12は、それぞれ独立に、直鎖又は分岐の炭素原子数1~30のアルキル基であることが好ましく、中でも、直鎖のアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
上記R11及びR12は、同じ基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0045】
本発明においては、上記R11及びR12は、それぞれ独立に、直鎖の炭素原子数1~15のアルキル基又は置換アルキル基であることが好ましく、中でも、直鎖の炭素原子数1~10のアルキル基又は置換アルキル基であることが好ましく、特に、炭素原子数1~5のアルキル基又は置換アルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0046】
(2)ベンゾカルバゾール化合物
上記ベンゾカルバゾール化合物は、ベンゾカルバゾール構造を有する化合物であればよい。
このようなベンゾカルバゾール化合物としては、下記一般式(4-1)、(4-2)又は(4-3)で表される化合物を挙げることができる。中でも、下記一般式(4-1)で表される化合物であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0047】
【化8】
(式中、R
155は水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、R
156、R
157、R
158、R
159、R
160、R
161、R
162、R
163、R
164及びR
165は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【0048】
【化9】
(式中、R
255は水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、R
256、R
257、R
258、R
259、R
260、R
261、R
262、R
263、R
264及びR
265は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【0049】
【化10】
(式中、R
355は水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、R
356、R
357、R
358、R
359、R
360、R
361、R
362、R
363、R
364及びR
365は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【0050】
上記一般式(4-1)~(4-3)中のR155、R255及びR355(以下、R155等と称する場合がある。)で表される炭素原子数1~30のアルキル基は、上記一般式(1)中のRで表される炭素原子数1~30のアルキル基と同様である。
【0051】
上記一般式(4-1)~(4-3)中のR155等で表される炭素原子数6~30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、3,4,5-トリメトキシフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基及びフェナントリル基等を挙げることができる。
上記炭素原子数6~30のアリール基は、基中の水素原子の1つ又は2つ以上が、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシアルキル基、アルカノイルオキシ基、又はアルコキシカルボニル基で置換されている、置換基を有する炭素原子数6~30のアリール基であってもよい。
なお、基の炭素原子数は、基中の水素原子が置換基で置換されている場合、その置換基の炭素原子数を含めた合計の炭素原子数を規定する。例えば、上記炭素原子数6~30のアリール基の水素原子が置換基で置換されている場合、炭素原子数6~30とは、その置換基の炭素原子数を含めた合計の炭素原子数を指し、水素原子が置換される前の炭素原子数を指すのではない。
【0052】
上記一般式(4-1)~(4-3)中のR156、R157、R158、R159、R160、R161、R162、R163、R164及びR165、R256、R257、R258、R259、R260、R261、R262、R263、R264及びR265並びにR356、R357、R358、R359、R360、R361、R362、R363、R364及びR365(以下、R156等と称する場合がある。)で表される炭素原子数1~30のアルキル基及び炭素原子数6~30のアリール基は、上記R156等で表される炭素原子数1~30のアルキル基及び炭素原子数6~30のアリール基と同様である。
上記一般式(4-1)~(4-3)中のR156等で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を挙げることができる。
【0053】
上記一般式(4-1)~(4-3)中のR155等で表される炭素原子数7~30のアリールアルキル基としては、例えば、上述のアルキル基中の水素原子の1つ又は2つ以上がアリール基で置換された基等を挙げることができ、例えば、ベンジル基、フルオレニル基、インデニル基、9-フルオレニルメチル基、α-メチルベンジル基、α,α-ジメチルベンジル基、フェニルエチル基及びナフチルプロピル基等が挙げられる。
【0054】
上記一般式(4-1)~(4-3)中のR155等は、炭素原子数1~30のアルキル基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基であることが好ましく、中でも、炭素原子数3~15のアルキル基又は炭素原子数7~15のアリールアルキル基であることが好ましく、特に、炭素原子数5~12のアルキル基又は炭素原子数7~12のアリールアルキル基であることが好ましく、中でも特に、炭素原子数6~10のアルキル基又は炭素原子数7~10のアリールアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
また、上記一般式(4-1)~(4-3)中のR155等が炭素原子数1~30のアルキル基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基である場合、直鎖又は分岐のアルキル基、又は、直鎖又は分岐のアリールアルキル基であることが好ましく、中でも、分岐のアルキル基又は直鎖のアリールアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
本発明においては、上記一般式(4-1)~(4-3)中のR155等は、分岐の炭素原子数3~15のアルキル基又は直鎖の炭素原子数7~15のアリールアルキル基であることが好ましく、特に、分岐の炭素原子数5~12のアルキル基又は直鎖の炭素原子数7~12のアリールアルキル基であることが好ましく、中でも特に、分岐の炭素原子数6~10のアルキル基又は直鎖の炭素原子数7~10のアリールアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0055】
本発明においては、上記一般式(4-1)~(4-3)中のR156等が、水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基であることが好ましく、中でも、水素原子であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0056】
(3)ジアルコキシカルバゾール化合物
上記ジアルコキシカルバゾール化合物は、カルバゾール骨格を有し、さらに、カルバゾール骨格中の2つのベンゼン環のそれぞれにアルコキシ基を有するジアルコキシカルバゾール構造を有する化合物であればよい。
このようなジアルコキシカルバゾール化合物としては、下記一般式(1000-1)で表される化合物を挙げることができる。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0057】
【0058】
(式中、R1001は水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、R1002、R1003、R1004、R1005、R1006、R1007、R1008及びR1009は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表し、R1002、R1003、R1004及びR1005中の少なくとも1つの基が、炭素原子数1~30のアルコキシ基であり、かつ、R1006、R1007、R1008及びR1009中の少なくとも1つの基が、炭素原子数1~30のアルコキシ基である。)
【0059】
上記一般式(1000-1)中のR1001で表される炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基及び炭素原子数7~30のアリールアルキル基については、上記一般式(4-1)~(4-3)中のR155等で表される炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基及び炭素原子数7~30のアリールアルキル基と同様である。
上記一般式(1000-1)中のR1002~R1009(以下、R1002等と称する場合がある。)に用いられる炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、ハロゲン原子については、上記一般式(4-1)~(4-3)中のR156等で表される炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基及びハロゲン原子と同様である。
上記一般式(1000-1)中のR1002等で表される炭素原子数1~30のアルコキシ基としては、上記炭素原子数1~30のアルキル基のベンゼン環側末端のメチレン基が酸素原子で置換された基を挙げることができ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0060】
上記一般式(1000-1)中のR1001は、水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基であることが好ましく、中でも、水素原子又は炭素原子数1~15のアルキル基であることが好ましく、特に、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基であることが好ましく、中でも特に、水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましく、なかでも特に、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0061】
上記一般式(1000-1)中のR1002、R1003、R1004及びR1005の少なくとも1つの基と、R1006、R1007、R1008及びR1009の少なくとも1つの基は、炭素原子数1~30のアルコキシ基である。
本発明においては、R1002、R1003、R1004及びR1005のうち、R1003が、R1006、R1007、R1008及びR1009のうち、R1008が、それぞれ独立に、炭素原子数1~30のアルコキシ基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数1~15のアルコキシ基であることが好ましく、特に、炭素原子数1~10のアルコキシ基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1~5のアルコキシ基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1~3のアルコキシ基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0062】
上記一般式(1000-1)中のR1002等で表される、アルコキシ基以外の原子又は基としては、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基が好ましく、なかでも、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、特に、水素原子が好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
本発明においては、R1003及びR1008が、それぞれアルコキシ基である場合、R1002、R1004及びR1005並びにR1006、R1007及びR1009が、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基であることが好ましく、なかでも、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基であることが好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0063】
(4)その他
本発明の組成物は、アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物のいずれか一方のみを含むものであってもよく、両方を含むものであってもよい。
本発明においては、硬化感度及び分散安定性のバランスに優れるとの観点から、ベンゾカルバゾール化合物を含むことが好ましい。
【0064】
上記組成物が、アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物の両方を含む場合、ベンゾカルバゾール化合物の含有量は、これらの化合物の合計100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、特に、90質量部以上であることが好ましく、95質量部以上であることが最も好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0065】
本発明の組成物におけるアルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物の合計の含有量としては、上記光酸発生剤100質量部に対して5質量部以上90質量部以下であることが好ましく、10質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上70質量部以下であることが更に好ましく、30質量部以上65質量部以下であることが特に好ましく、40質量部以上60質量部以下であることが最も好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0066】
上記アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物の合計の含有量としては、これらの化合物と、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤との合計100質量部中に、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることが更に好ましく、0.7質量部以上2質量部以下であることが特に好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0067】
上記アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物の合計の含有量としては、上記組成物100質量部中に、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下であることが更に好ましく、0.4質量部以上1.8量部以下であることが特に好ましく、0.5質量部以上1.5質量部以下であることが最も好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0068】
上記アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物の合計の含有量としては、上記アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物と、これら以外の増感剤と、の合計100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることが更に好ましく、95質量部以上であることが特に好ましく、100質量部、すなわち、上記組成物が増感剤として特定増感剤のみを含むものであることが最も好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0069】
本発明の組成物は、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物から選ばれるいずれか1つの化合物のみを含むものであってもよく、2つ以上の化合物を含むものであってもよい。
本発明においては、硬化感度及び分散安定性のバランスに優れるとの観点から、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
また、硬化感度及び分散安定性のバランスに優れるとの観点から、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物のうち、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物のみを含むことが好ましい。
【0070】
本発明の組成物における、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物の合計の含有量としては、上記光酸発生剤100質量部に対して5質量部以上90質量部以下であることが好ましく、10質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上70質量部以下であることが更に好ましく、30質量部以上65質量部以下であることが特に好ましく、40質量部以上60質量部以下であることが最も好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0071】
上記アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物の合計の含有量としては、これらの化合物と、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤との合計100質量部中に、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることが更に好ましく、0.7質量部以上2質量部以下であることが特に好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0072】
上記アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物の合計の含有量としては、上記組成物100質量部中に、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下であることが更に好ましく、0.4質量部以上1.8量部以下であることが特に好ましく、0.5質量部以上1.5質量部以下であることが最も好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
【0073】
上記アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物の合計の含有量としては、上記アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物と、これら以外の増感剤と、の合計100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることが更に好ましく、95質量部以上であることが特に好ましく、100質量部、すなわち、上記組成物が増感剤として特定増感剤のみを含むものであることが最も好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れたものとなるからである。
特定増感剤の含有量の対象である、特定増感剤と特定増感剤以外の増感剤の合計に用いられる、特定増感剤以外の増感剤としては、具体的には、後述する「5.その他の増感剤」の項に記載の増感剤を挙げることができ、より具体的には、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物、複素環化合物としてのカルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、チオキサンテン化合物、複素環化合物としてのフェノチアジン誘導体及びアミン化合物としてのトリフェニルアミン化合物が挙げられる。
【0074】
2.カチオン重合性化合物
本発明の組成物は、カチオン重合性化合物を含むものである。
上記カチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生した酸により重合反応又は架橋反応を起こす化合物であればよく、特に限定されるものではない。
このようなカチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及びオキセタン化合物等の環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物並びにビニルエーテル化合物等を挙げることができる。カチオン重合性化合物として、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
【0075】
本発明においては、硬化感度及び分散安定性が良好となる観点から、上記カチオン重合性化合物として環状エーテル化合物を用いることが好ましい。
環状エーテル化合物の含有量は、カチオン重合性化合物100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることが更に好ましく、95質量部以上であることが特に好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0076】
上記環状エーテル化合物としては、エポキシ化合物及びオキセタン化合物が好ましく、特に、エポキシ化合物が好ましい。エポキシ化合物を含むことで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性が優れたものとなるからである。
【0077】
上記エポキシ化合物には、エポキシ基を含む全ての化合物が含まれるものとする。例えば、エポキシ基およびオキセタン基の両者を含む化合物は、エポキシ化合物に該当するものとなる。
このようなエポキシ化合物としては、例えば、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0078】
上記脂環式エポキシ化合物は、シクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド化合物のように、脂肪族環とエポキシ環とが環構造の一部を共有するシクロアルケンオキサイド構造を有する化合物である。
【0079】
上記シクロアルケンオキサイド構造を有する化合物としては、下記一般式(5-1)で表される化合物のような、2以上のシクロヘキセンオキサイド構造を有する化合物を挙げることができる。このような化合物を含むことで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
【0080】
【化12】
(式中、X
5は、直接結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を表す。)
【0081】
X5で表される連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素-炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、及びこれらが複数連結した基等が挙げられる。
【0082】
上記二価の炭化水素基としては、直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭素原子数1~20のアルキレン基を挙げることができる。
【0083】
上記直鎖又は分岐のアルキレン基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、t-アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の、炭素原子数1~20の直鎖又は分岐のアルキル基から水素原子を1つ除いた基を挙げることができる。
上記二価の炭化水素基としての、炭素原子数1~20の直鎖又は分岐のアルキレン基としては、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等を挙げることができる。
【0084】
上記シクロアルキル環としては、単環式炭化水素基、架橋炭化水素環基等を挙げることができる。
上記単環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、テトラメチルシクロヘキシル基、ペンタメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基等を挙げることができ、中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。
上記架橋炭化水素環基としては、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[4.3.1]デシル基、ビシクロ[3.3.1]ノニル基、ボルニル基、ボルネニル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル基、トリシクロブチル基、アダマンチル基が挙げられる。
【0085】
X5で表されるシクロアルキル環を有するアルキル基としては、上記シクロアルキル基と、上記直鎖又は分岐のアルキル基とを組み合わせた基を挙げることができる。例えば、直鎖又は分岐のアルキル基中の水素原子の1つ又は2つ以上が、上記シクロアルキル基で置換された基、直鎖又は分岐のアルキル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が、上記シクロアルキル基から水素原子を1つ除いた基で置換された基、上記シクロアルキル基の水素原子の1つ又は2つ以上が、上記直鎖又は分岐のアルキル基で置換された基等が挙げられる。
具体的には、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
【0086】
上記炭素-炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(以下、「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある。)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2~8の直鎖又は分岐のアルケニレン基等が挙げられる。
【0087】
本発明においては、X5が連結基であることが好ましく、二価の炭化水素基、エステル結合、又はこれらが複数連結した基であることが好ましく、特に、二価の炭化水素基とエステル結合とが連結した基であることが好ましい。このような化合物を用いることで、組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
また、本発明においては、X5で表される二価の炭化水素基が、炭素原子数1~18の直鎖又は分岐のアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキレン基であることがより好ましく、炭素原子数1~5の直鎖のアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキレン基であることが更に好ましく、特に、炭素原子数1~3の直鎖のアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキレン基であることが好ましい。上記炭素原子数が上述の範囲内であることで、組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
【0088】
上記脂環式エポキシ化合物として、より具体的には、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシ-2-エポキシエチルシクロヘキサン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0089】
本発明においては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及び3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート等が好ましい。このような化合物を含むことで、組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
【0090】
上記脂環式エポキシ化合物として好適に使用できる市販品としては、例えば、特許第6103653号公報等に記載されたものを挙げることができる。
【0091】
上記脂環式エポキシ化合物の含有量は、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を得ることができるものであれば制限はないが、例えば、カチオン重合性化合物の合計100質量部中に、20質量部以上とすることができ、30質量部以上95質量部以下であることがより好ましく、40質量部以上90質量部以下であることが更に好ましく、50質量部以上90質量部以下であることが特に好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0092】
上記芳香族エポキシ化合物は、芳香族環及びエポキシ基を有し、シクロアルケンオキサイド構造を有しないものである。
このような芳香族エポキシ化合物としては、例えば、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらにアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル、及びエポキシノボラック樹脂等が挙げられる。
また、レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のポリグリシジルエステル;安息香酸やトルイル酸、ナフトエ酸等の安息香酸類のグリシジルエステル;スチレンオキサイド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられる。
本発明においては、フェノール類のポリグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル、安息香酸類のグリシジルエステル及び多塩基酸類のポリグリシジルエステルが好ましく、特に、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテルが好ましい。このような化合物を含むことで、硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0093】
上記芳香族エポキシ化合物の含有量は、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を得ることができるものであればよいが、例えば、カチオン重合性化合物の合計100質量部中に、0質量部以上60質量部以下であることが好ましく、10質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0094】
上記脂肪族エポキシ樹脂は、エポキシ基を有し、シクロアルケンオキサイド構造及び芳香族環を含まないものである。
このような脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル;脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル;グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー;グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。
代表的な化合物として、ジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル等の、多価アルコールのグリシジルエーテル、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、及び脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、又はこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル及びエポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
また、上記脂肪族エポキシ化合物として、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物の水素添加物も用いることができる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物等の、エポキシシクロアルキル環に由来するシクロアルキル環にオキシラニル基が直接単結合で結合した構造を構成単位として有し、エポキシシクロアルキル環のエポキシ基同士が重合した構造を主鎖構造として有する化合物も用いることができる。
【0095】
上記脂肪族エポキシ化合物として用いられる、ジオールのジグリシジルエーテルとしては、下記一般式(5-2)で表される化合物を好ましく用いることができる。上記化合物を用いることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0096】
【化13】
(式中、Y
5は、二価の炭化水素基を示す。)
【0097】
Y5で表される二価の炭化水素基としては、例えば、直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭素原子数1~30のアルキレン基が挙げられる。
上記炭素原子数1~30のアルキレン基のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-で置き換わっていてもよい。
【0098】
Y5で表される直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭素原子数1~30のアルキレン基としては、上記X5で表される直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭素原子数1~30のアルキレン基と同様の基を用いることができる。
本発明においては、Y5が、分岐を有する基であることが好ましい。上記構造を有することで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
本発明においては、Y5が、直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭素原子数2~30のアルキレン基であることが好ましく、直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭素原子数3~28のアルキレン基であることがより好ましく、特に、直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭素原子数4~26のアルキレン基であることが好ましい。また、Y5が、直鎖又は分岐のアルキレン基であり、メチレン基が-O-で置き換わっていないアルキレン基である場合、その炭素原子数は、4~10であることが好ましい。上記Y5が、直鎖または分岐であり、メチレン基が-O-で置き換わっているアルキレン基である場合、Y5は、炭素原子数が10~26であり、ポリアルキレングリコールから両末端の水酸基を除いた構造を有するアルキレン基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数が10~26であり、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールから両末端の水酸基を除いた構造を有するアルキレン基であることが好ましい。Y5が、シクロアルキル環を有するアルキレン基である場合、Y5は、炭素原子数が13~20であり、シクロアルキル環を2つ有するアルキレン基であることが好ましく、特に、下記一般式(5-3)で表される基であることが好ましい。Y5が上述の構造を有することで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0099】
【化14】
(式中、R
5a及びR
5bは、水素原子またはメチル基を表し、*は、結合箇所を表す。)
【0100】
上記一般式(5-2)で表される脂肪族ジオール化合物のジグリシジルエーテル化物としては、具体的には、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル化物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメチロールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,9-ノナンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、Y5がシクロアルキル環を有するものとしては、例えば、水添ビスフェノールのジオールのジグリシジルエーテル化物、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールBジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールCジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールEジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールGジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールMジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールPジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールTMCジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールZジグリシジルエーテル、ビス[4-(グリシジルオキシ)シクロヘキシル]エーテル、4,4’-ビシクロヘキサノールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0101】
上記脂肪族エポキシ化合物の含有量は、硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることができるものであれば制限はないが、例えば、カチオン重合性化合物の合計100質量部中に、10質量部以上とすることができ、15質量部以上90質量部以下であることが好ましく、20質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、25質量部以上60質量部以下であることが特に好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0102】
上記カチオン重合性化合物は、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の両者を含むことが好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
上記カチオン重合性化合物が、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の両者を含む場合、上記脂肪族エポキシ化合物の含有量は、上記脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の合計100質量部中に、5質量部以上90質量部以下であることが好ましく、なかでも、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、特に、15質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
【0103】
上記芳香族及び脂肪族エポキシ化合物として好適に使用できる市販品としては、例えば、特許第6103653号公報等に記載されるものを挙げることができる。
【0104】
上記オキセタン化合物は、オキセタン環を有し、エポキシ基を含まないものである。
このようなオキセタン化合物としては、例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-(メタ)アリルオキシメチル-3-エチルオキセタン、(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4-フルオロ-[1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4-メトキシ-[1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-エチルヘキシル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-テトラブロモフェノキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-トリブロモフェノキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシプロピル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、3,3’-(1,3-(2-メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス-(3-エチルオキセタン)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等を挙げることができる。
【0105】
上記オキセタン化合物が有するオキセタン環の数としては、1以上であればよいが、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることが好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0106】
上記オキセタン化合物の含有量としては、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を得ることができるものであれば制限はないが、例えば、カチオン重合性化合物の合計100質量部中に、60質量部以下とすることができ、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0107】
上記カチオン重合性化合物としては、チイラン化合物、チエタン化合物等のその他の化合物も用いることができる。
カチオン重合性化合物として用いることができる、その他の化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物及びビニルエーテル化合物等については、特許第6103653号公報等に記載の内容と同様とすることができる。
【0108】
上記カチオン重合性化合物は、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を得ることができるものであればよく、低分子量化合物、高分子量化合物のいずれも用いることができる。
上記カチオン重合性化合物は、組成物の塗工容易性等の観点からは、低分子量化合物を含むことが好ましい。また、低分子量化合物は、組成物中への分散性又は溶解性等に優れるため、透明性に優れた硬化物を得ることができることから好ましい。
上記低分子量化合物の分子量は、所望の塗工性等が得られるものであれば制限はなく、例えば、1000以下とすることができる。
【0109】
上記低分子量化合物の含有量は、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を得ることができるものであれば制限はないが、例えば、カチオン重合性化合物の合計100質量部中に、10質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが更に好ましく、70質量部以上であることが特に好ましく、80質量部以上であることが最も好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0110】
上記カチオン重合性化合物の含有量は、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られるものであれば制限はないが、例えば、アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物と、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤との合計100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましく、90質量部以上であることが特に好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
上記カチオン重合性化合物の含有量は、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られるものであれば制限はないが、例えば、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物と、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤との合計100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましく、90質量部以上であることが特に好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0111】
上記カチオン重合性化合物の含有量は、上記組成物100質量部中に、30質量部以上とすることができ、40質量部以上80質量部以下であることが好ましく、特に、50質量部以上70質量部以下であることが好ましい。硬化感度及び分散安定性がより優れた組成物を得ることが容易となるからである。
【0112】
3.光酸発生剤
本発明の組成物は、光酸発生剤を含むものである。
上記光酸発生剤は、紫外線照射等の光照射により酸を発生させることが可能な化合物であればよく、特に限定されるものではないが、紫外線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、又はその誘導体であることが好ましい。硬化感度に優れたものとなるからである。このような化合物の代表的なものとしては、下記一般式(11)で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
【0113】
【0114】
一般式(11)中の陽イオン[A]m+は、オニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式(11A)で表すことができる。
【0115】
【0116】
ここで、R3は炭素原子数が1~60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいても構わない有機基である。aは1~5の整数である。a個のR3は各々独立で、同一でも異なっていても構わない。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記有機基であることが好ましい。上記R3が上述の基であることで、上記組成物は、硬化感度により優れたものとなるからである。
QはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a-qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
【0117】
また、陰イオン[B]m-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式(11B)で表すことができる。上記陰イオンが上述の構造であることで、上記組成物は、硬化感度により優れたものとなるからである。
【0118】
【0119】
ここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基である。bは3~7の整数である。また、陰イオン[B]m-中のLの原子価をpとしたとき、m=b-pなる関係が成り立つことが必要である。
【0120】
上記一般式の陰イオン[LXb]m-の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(C6F5)4B]-、テトラフルオロボレート(BF4)-、ヘキサフルオロホスフェート(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-、トリス(ペンタフルオロメチル)トリフルオロリン酸イオン(FAPアニオン)等を挙げることができる。
【0121】
また、陰イオン[B]m-は、下記一般式(11B-1)で表される構造のものも好ましく用いることができる。組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。
【0122】
【0123】
ここで、L、X、bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4)-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3)-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3)-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
【0124】
本発明においては、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)~(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4-メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
【0126】
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
【0127】
(ハ)下記群I又は群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
【0128】
【0129】
【0130】
また、その他好ましいものとしては、(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)〔(1,2,3,4,5,6-η)-(1-メチルエチル)ベンゼン〕-アイアン-ヘキサフルオロホスフェート等の鉄-アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げることができる。上記組成物は、硬化感度等により優れたものとなるからである。
【0131】
これらの中でも、実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄-アレーン錯体を用いることが好ましく、下記一般式(2)で表される芳香族スルホニウム塩が、硬化感度の点から更に好ましい。
【0132】
【0133】
(式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29及びR30は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又は炭素原子数2~10のエステル基を表し、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、R35は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基又は下記化学式(A)~(C)より選択されるいずれかの置換基を表し、Anq-はq価の陰イオンを表し、pは電荷を中性にする係数を表す。)
【0134】
【化22】
(式中、R
121、R
122、R
123、R
124、R
125、R
126、R
127、R
128、R
129、R
130、R
131、R
132、R
133、R
134、R
136、R
137、R
138、R
139、R
145、R
146、R
147、R
148及びR
149は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又は炭素原子数2~10のエステル基を表し、R
140、R
141、R
142、R
143及びR
144は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
*は、式(2)中のSとの結合位置を表す。)
【0135】
上記一般式(2)で表される化合物において、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143、R144、R145、R146、R147、R148及びR149で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0136】
R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143、R144、R145、R146、R147、R148及びR149で表される炭素原子数1~10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s-ブチル、t-ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、エチルオクチル、2-メトキシエチル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、2-ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3-メトキシブチル、2-メチルチオエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、メトキシメチル、1,2-エポキシエチル、メトキシエチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、エトキシエチル、ブトキシメチル、t-ブチルチオメチル、4-ペンテニルオキシメチル、トリクロロエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、メトキシシクロヘキシル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、1-メチル-1-メトキシエチル、エチルジチオエチル、トリメチルシリルエチル、t-ブチルジメチルシリルオキシメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、t-ブトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、t-ブトキシカルボニルメチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシエチル、2-メチル-2-アダマンチルオキシカルボニルメチル、アセチルエチル、2-メトキシ-1-プロペニル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、1,2-ジヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0137】
R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R145、R146、R147、R148及びR149で表される炭素原子数1~10のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s-ブチルオキシ、t-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソアミルオキシ、t-アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、2-メトキシエチルオキシ、3-メトキシプロピルオキシ、4-メトキシブチルオキシ、2-ブトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエトキシエチルオキシ、3-メトキシブチルオキシ、2-メチルチオエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
【0138】
R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R145、R146、R147、R148及びR149で表される炭素原子数2~10のエステル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、クロロアセチルオキシ、ジクロロアセチルオキシ、トリクロロアセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ、t-ブチルカルボニルオキシ、メトキシアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
【0139】
上記一般式(2)中のpAnq-で表されるq価の陰イオンとしては、上述の陰イオン[B]m-として挙げたものと同様とすることができる。
【0140】
上記光酸発生剤の含有量は、所望の硬化感度及び分散安定性が得られるものであればよく、上記組成物100質量部中に、0.01質量部以上10質量部以下とすることができ、0.5質量部以上4質量部以下であることが好ましく、特に、1質量部以上3質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。
【0141】
上記光酸発生剤の含有量は、所望の硬化感度及び分散安定性が得られるものであればよく、上記カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上4質量部以下であることがより好ましく、特に、1質量部以上3質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。
【0142】
4.色素
上記組成物は、必要に応じて色素を含むことができる。
上記組成物は、色素を含むことで、例えば、光学フィルタ形成用として好ましく用いることができる。
上記色素としては、顔料、染料等が挙げられる。
【0143】
本発明においては、分散安定性に優れるとの効果をより効果的に発揮する観点からは、上記色素が、顔料、染料を含むことが好ましく、なかでも染料を含むことが好ましい。上記色素を用いることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。また、上記組成物は、所望の波長を選択的に吸収可能な光学フィルタを容易に形成することが可能なものとなるからである。
また、染料は、カチオン重合性化合物と組み合わせて用いることで、所望の波長範囲に急峻な吸収ピークを有する硬化物、すなわち、吸収ピークの範囲幅が狭い硬化物を得ることが容易となるからである。
【0144】
上記顔料としては、例えば、ニトロソ化合物;ニトロ化合物;アゾ化合物;ジアゾ化合物;キサンテン化合物;キノリン化合物;アントラキノン化合物;クマリン化合物;フタロシアニン化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;キナクリドン化合物;アンタンスロン化合物;ペリノン化合物;ペリレン化合物;ジケトピロロピロール化合物;チオインジゴ化合物;ジオキサジン化合物;トリフェニルメタン化合物;キノフタロン化合物;ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法又はサーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整又は被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂で分散処理し、20~200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のもの、950℃における揮発分中のCO及びCO2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上であるもの;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー、体質顔料等の有機又は無機顔料を用いることができる。これらの顔料は単独で、或いは複数を混合して用いることができる。
【0145】
上記顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ-ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0146】
上記染料としては、アントラキノン系色素、インジゴイド系色素、アリザリン系色素、アクリジン系色素、スチルベン系色素、チアゾール系色素、ナフトール系色素、キノリン系色素、ニトロ系色素、インダミン系色素、オキサジン系色素、フタロシアニン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ピロメテン系色素、アゾ系色素、テトラアザポルフィリン系色素、キサンテン系色素、トリアリールメタン系色素等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。このような染料としては、例えば、特開2017-68221号公報に記載のものを用いることができる。
【0147】
上記染料は、分散安定性に優れるとの効果をより効果的に発揮する観点からは、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ピロメテン系色素、アゾ系色素、テトラアザポルフィリン系色素、キサンテン系色素、トリアリールメタン系色素であることが好ましく、なかでも、シアニン系色素、テトラアザポルフィリン系色素、トリアリールメタン系色素、であることが好ましい。上記染料を用いることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。また、上記組成物は、所望の波長を選択的に吸収可能な光学フィルタを容易に形成可能となるからである。
また、上記染料は、カチオン重合性化合物と組み合わせて用いることで、所望の波長範囲に急峻な吸収ピークを有する硬化物、すなわち、吸収ピークの範囲幅が狭い硬化物を得ることが容易となるからである。
【0148】
上記テトラアザポルフィリン系色素としては、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られるものであればよいが、下記一般式(1)で表される色素を好ましく用いることができる。
上記テトラアザポルフィリン系色素は、カチオン重合性化合物と組み合わせて用いることで、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られると共に、所望の波長範囲に急峻な吸収ピークを有する硬化物、すなわち、吸収ピークの範囲幅が狭い硬化物を得ることが容易となるからである。
【0149】
【化23】
(式(1)中、R
1~R
8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数2~30のヘテロアリール基、又はこれらの基中の水素原子が置換基で置換された基を表し、R
1とR
2、R
3とR
4、R
5とR
6及びR
7とR
8は、互いに連結してピロール環の炭素原子を含む脂環構造を形成していてもよい。ただし、R
1~R
8の全てが水素原子であることはない。Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、又は3価若しくは4価の金属化合物を表す。)
【0150】
上記R1~R8は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
例えば、R1とR2、R3とR4、R5とR6及びR7とR8は、それぞれ同一の基であってもよく、それぞれ異なる種類の基であってもよい。
【0151】
上記R1~R8で示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
【0152】
上記R1~R8で表されるアミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基のいずれでもよい。
第二級アミノ基及び第三級アミノ基としては、それぞれアミノ基の水素原子の1つ又は2つが炭素原子数1~30のアルキル基で置換されているものを挙げることができる。
【0153】
上記第二級アミノ基としては、例えば、アミノ基、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-n-ブチルアミノ基、N-シクロヘキシルアミノ基、N-n-オクチルアミノ基、N-n-デシルアミノ基、N-ベンジルアミノ基、N-フェニルアミノ基、N-(3-メチルフェニル)アミノ基、N-(4-メチルフェニル)アミノ基、N-(4-n-ブチルフェニル)アミノ基、N-(4-メトキシフェニル)アミノ基、N-(3-フルオロフェニル)アミノ基、N-(4-クロロフェニル)アミノ基、N-(1-ナフチル)アミノ基、N-(2-ナフチル)アミノ基を挙げることができる。
【0154】
上記第三級アミノ基としては、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-ジ-n-ブチルアミノ基、N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ基、N,N-ジ-n-オクチルアミノ基、N,N-ジ-n-デシルアミノ基、N,N-ジ-n-ドデシルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-エチル-N-n-ブチルアミノ基、N-メチル-N-フェニルアミノ基、N-エチル-N-フェニルアミノ基、N-n-ブチル-N-フェニルアミノ基、N-ベンジル-N-フェニルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ジ(3-メチルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-メチルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-エチルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-n-ヘキシルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-メトキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-エトキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-n-ブトキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(1-ナフチル)アミノ基、N,N-ジ(2-ナフチル)アミノ基、N-フェニル-N-(3-メチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-メチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-オクチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-メトキシフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-エトキシフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-フルオロフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(1-ナフチル)アミノ基、N-フェニル-N-(2-ナフチル)アミノ基、N-フェニル-N-(3-フェニルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-フェニルフェニル)アミノ基、N-カルバゾリル基、N-フェノキサジイル基、N-フェノチアジイル基等も挙げることができる。
【0155】
上記R1~R8で表される炭素原子数1~30のアルキル基は、炭素原子数1~12のアルキル基であることが好ましく、特に、炭素原子数1~8のアルキル基であることが好ましい。上述の基であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
また、上記R1~R8は、炭素原子数1~30のアルキル基中の水素原子が置換基で置換された基、すなわち、置換基を有する炭素原子数1~30のアルキル基であってもよい。
【0156】
上記炭素原子数1~30のアルキル基、すなわち、置換基を有しない炭素原子数1~30のアルキル基としては、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,4-ジメチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルヘキシル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、4-エチルオクチル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、1,3,5,7-テトラメチルオクチル基、n-トリデシル基、1-ヘキシルヘプチル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の直鎖、分岐または環状のアルキル基を挙げることができる。
【0157】
上記置換基を有する炭素原子数1~30のアルキル基としては、アルキル基中の水素原子の1つ又は2つ以上が置換基に置換されているものが挙げられる。
上記水素原子を置換する置換基としては、例えば、ビニル、アリル、アクリル、メタクリル等のエチレン性不飽和基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2-クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4-トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、n-オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2-エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N-メチル-アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2-ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N-ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N-ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t-ブトキシカルボニルアミノ、n-オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N-メチル-メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N-ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等のアミノ基含有基;スルホンアミド基、スルホニル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、リン酸基又はスルホ基、ホスホン酸基、リン酸基の塩等を挙げることができる。
また、上記水素原子を置換する置換基は、上述のアルキル基、後述するアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基等であってもよい。
【0158】
このような置換基を有する炭素原子数1~30のアルキル基としては、例えば、アラルキル基、直鎖、分岐又は環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐又は環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐又は環状のアルコキシアルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、直鎖、分岐又は環状のハロゲノアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
【0159】
上記のアラルキル基としては、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α-エチルベンジル基、α,α-ジメチルベンジル基、α-フェニルベンジル基、α,α-ジフェニルベンジル基、フェネチル基、α-メチルフェネチル基、β-メチルフェネチル基、α,α-ジメチルフェネチル基、4-メチルフェネチル基、4-メチルベンジル基、3-メチルベンジル基、2-メチルベンジル基、4-エチルベンジル基、2-エチルベンジル基、4-イソプロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、2-tert-ブチルベンジル基、4-tert-ペンチルベンジル基、4-シクロヘキシルベンジル基、4-n-オクチルベンジル基、4-tert-オクチルベンジル基、4-フェニルベンジル基、4-(4’-メチルフェニル)ベンジル基、4-(4’-tert-ブチルフェニル)ベンジル基、4-(4’-メトキシフェニル)ベンジル基、4-メトキシベンジル基、3-メトキシベンジル基、2-エトキシベンジル基、4-n-ブトキシベンジル基、4-n-ヘプチルオキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、4-フルオロベンジル基、2-フルオロベンジル基、4-クロロベンジル基、3-クロロベンジル基、2-クロロベンジル基、3,4-ジクロロベンジル基、2-フルフリル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基などを挙げることができる。
【0160】
上記の直鎖、分岐又は環状のハロゲノアルキル基としては、フルオロメチル基、3-フルオロプロピル基、6-フルオロヘキシル基、8-フルオロオクチル基、トリフルオロメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロエチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-プロピル基、1,1,3-トリヒドロ-パーフルオロ-n-プロピル基、2-ヒドロ-パーフルオロ-2-プロピル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ブチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ペンチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ヘキシル基、6-フルオロヘキシル基、4-フルオロシクロヘキシル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-オクチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-デシル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ドデシル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-テトラデシル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ヘキサデシル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ-n-プロピル基、パーフルオロ-n-ペンチル基、パーフルオロ-n-ヘキシル基、2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロピル基、ジクロロメチル基、2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基、4-クロロシクロヘキシル基、7-クロロヘプチル基、8-クロロオクチル基、2,2,2-トリクロロエチル基などを挙げることができる。
【0161】
上記の直鎖、分岐又は環状のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-ブトキシメチル基、n-ペンチルオキシメチル基、n-ヘキシルオキシメチル基、(2-エチルブチルオキシ)メチル基、n-ヘプチルオキシメチル基、n-オクチルオキシメチル基、n-デシルオキシメチル基、n-ドデシルオキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-プロポキシエチル基、2-イソプロポキシエチル基、2-n-ブトキシエチル基、2-n-ペンチルオキシエチル基、2-n-ヘキシルオキシエチル基、2-(2’-エチルブチルオキシ)エチル基、2-n-ヘプチルオキシエチル基、2-n-オクチルオキシエチル基、2-(2’-エチルヘキシルオキシ)エチル基、2-n-デシルオキシエチル基、2-n-ドデシルオキシエチル基、2-n-テトラデシルオキシエチル基、2-シクロヘキシルオキシエチル基、2-メトキシプロピル基、3-メトキシプロピル基、3-エトキシプロピル基、3-n-プロポキシプロピル基、3-イソプロポキシプロピル基、3-n-ブトキシプロピル基、3-n-ペンチルオキシプロピル基、3-n-ヘキシルオキシプロピル基、3-(2’-エチルブトキシ)プロピル基、3-n-オクチルオキシプロピル基、3-(2’-エチルヘキシルオキシ)プロピル基、3-n-デシルオキシプロピル基、3-n-ドデシルオキシプロピル基、3-n-テトラデシルオキシプロピル基、3-シクロヘキシルオキシプロピル基、4-メトキシブチル基、4-エトキシブチル基、4-n-プロポキシブチル基、4-イソプロポキシブチル基、4-n-ブトキシブチル基、4-n-ヘキシルオキシブチル基、4-n-オクチルオキシブチル基、4-n-デシルオキシブチル基、4-n-ドデシルオキシブチル基、5-メトキシペンチル基、5-エトキシペンチル基、5-n-プロポキシペンチル基、5-n-ペンチルオキシペンチル基、6-メトキシヘキシル基、6-エトキシヘキシル基、6-イソプロポキシヘキシル基、6-n-ブトキシヘキシル基、6-n-ヘキシルオキシヘキシル基、6-n-デシルオキシヘキシル基、4-メトキシシクロヘキシル基、7-メトキシヘプチル基、7-エトキシヘプチル基、7-イソプロポキシヘプチル基、8-メトキシオクチル基、8-エトキシオクチル基、9-メトキシノニル基、9-エトキシノニル基、10-メトキシデシル基、10-エトキシデシル基、10-n-ブトキシデシル基、11-メトキシウンデシル基、11-エトキシウンデシル基、12-メトキシドデシル基、12-エトキシドデシル基、12-イソプロポキシドデシル基、14-メトキシテトラデシル基、テトラヒドロフルフリル基などを挙げることができる。
【0162】
上記の直鎖、分岐又は環状のアルコキシアルコキシアルキル基としては、(2-メトキシエトキシ)メチル基、(2-エトキシエトキシ)メチル基、(2-n-ブチルオキシエトキシ)メチル基、(2-n-ヘキシルオキシエトキシ)メチル基、(3-メトキシプロピルオキシ)メチル基、(3-エトキシプロピルオキシ)メチル基、(3-n-ブチルオキシプロピルオキシ)メチル基、(3-n-ペンチルオキシプロピルオキシ)メチル基、(4-メトキシブチルオキシ)メチル基、(6-メトキシヘキシルオキシ)メチル基、(10-エトキシデシルオキシ)メチル基、2-(2’-メトキシエトキシ)エチル基、2-(2’-エトキシエトキシ)エチル基、2-(2’-n-ブトキシエトキシ)エチル基、3-(2’-エトキシエトキシ)プロピル基、3-(2’-メトキシプロピルオキシ)プロピル基、3-(2’-イソプロピルオキシプロピルオキシ)プロピル基、3-(3’-メトキシプロピルオキシ)プロピル基、3-(3’-エトキシプロピルオキシ)プロピル基などを挙げることができる。
【0163】
上記アリールオキシアルキル基としては、フェニルオキシメチル基、4-メチルフェニルオキシメチル基、3-メチルフェニルオキシメチル基、2-メチルフェニルオキシメチル基、4-エチルフェニルオキシメチル基、4-n-プロピルフェニルオキシメチル基、4-n-ブチルフェニルオキシメチル基、4-tert-ブチルフェニルオキシメチル基、4-n-ヘキシルフェニルオキシメチル基、4-n-オクチルフェニルオキシメチル基、4-n-デシルフェニルオキシメチル基、4-メトキシフェニルオキシメチル基、4-エトキシフェニルオキシメチル基、4-ブトキシフェニルオキシメチル基、4-n-ペンチルオキシフェニルオキシメチル基、4-フルオロフェニルオキシメチル基、3-フルオロフェニルオキシメチル基、2-フルオロフェニルオキシメチル基、3,4-ジフルオロフェニルオキシメチル基、4-クロロフェニルオキシメチル基、2-クロロフェニルオキシメチル基、4-フェニルフェニルオキシメチル基、1-ナフチルオキシメチル基、2-ナフチルオキシメチル基、2-フリルオキシメチル基、1-フェニルオキシエチル基、2-フェニルオキシエチル基、2-(4’-メチルフェニルオキシ)エチル基、2-(4’-エチルフェニルオキシ)エチル基、2-(4’-n-ヘキシルフェニルオキシ)エチル基、2-(4’-メトキシフェニルオキシ)エチル基、2-(4’-n-ブトキシフェニルオキシ)エチル基、2-(4’-フルオロフェニルオキシ)エチル基、2-(4’-クロロフェニルオキシ)エチル基、2-(4’-ブロモフェニルオキシ)エチル基、2-(1’-ナフチルオキシ)エチル基、2-(2’-ナフチルオキシ)エチル基、2-フェニルオキシプロピル基、3-フェニルオキシプロピル基、3-(4’-メチルフェニルオキシ)プロピル基、3-(2’-ナフチルオキシ)プロピル基、4-フェニルオキシブチル基、4-(2’-エチルフェニルオキシ)ブチル基、4-フェニルオキシペンチル基、5-フェニルオキシペンチル基、5-(4’-tert-ブチルフェニルオキシ)ペンチル基、6-フェニルオキシヘキシル基、6-(2’-クロロフェニルオキシ)ヘキシル基、8-フェニルオキシオクチル基、10-フェニルオキシデシル基、10-(3’-メチルフェニルオキシ)デシル基などを挙げることができる。
【0164】
上記アラルキルオキシアルキル基としては、ベンジルオキシメチル基、フェネチルオキシメチル基、4-メチルベンジルオキシメチル基、3-メチルベンジルオキシメチル基、4-n-プロピルベンジルオキシメチル基、4-n-オクチルベンジルオキシメチル基、4-メトキシベンジルオキシメチル基、4-エトキシベンジルオキシメチル基、4-n-ブトキシベンジルオキシメチル基、4-フルオロベンジルオキシメチル基、3-フルオロベンジルオキシメチル基、2-フルオロベンジルオキシメチル基、4-クロロベンジルオキシメチル基、4-フェニルベンジルオキシメチル基、2-ベンジルオキシエチル基、2-フェネチルオキシエチル基、2-(4’-メチルベンジルオキシ)エチル基、2-(2’-メチルベンジルオキシ)エチル基、2-(4’-フルオロベンジルオキシ)エチル基、2-(4’-クロロベンジルオキシ)エチル基、3-ベンジルオキシプロピル基、3-(4’-メトキシベンジルオキシ)プロピル基、4-ベンジルオキシブチル基、4-(4’-フェニルベンジルオキシ)ブチル基、5-(4’-メチルベンジルオキシ)ペンチル基、6-ベンジルオキシヘキシル基、8-ベンジルオキシオクチル基などを挙げることができる。
【0165】
上記の直鎖、分岐又は環状のハロゲノアルコキシアルキル基としては、フルオロメチルオキシメチル基、3-フルオロ-n-プロピルオキシメチル基、6-フルオロ-n-ヘキシルオキシメチル基、トリフルオロメチルオキシメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロエチルオキシメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-プロピルオキシメチル基、2-ヒドロ-パーフルオロ-2-プロピルオキシメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ブチルオキシメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ペンチルオキシメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ヘキシルオキシメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-オクチルオキシメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-デシルオキシメチル基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-テトラデシルオキシメチル基、2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロピルオキシメチル基、3-クロロ-n-プロピルオキシメチル基、2-(8-フルオロ-n-オクチルオキシ)エチル基、2-(1,1-ジヒドロ-パーフルオロエチルオキシ)エチル基、2-(1,1,3-トリヒドロ-パーフルオロ-n-プロピルオキシ)エチル基、2-(1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ペンチルオキシ)エチル基、2-(6-フルオロ-n-ヘキシルオキシ)エチル基、2-(1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-オクチルオキシ)エチル基、3-(4-フルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル基、3-(1,1-ジヒドロ-パーフルオロエチルオキシ)プロピル基、3-(1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ドデシルオキシ)プロピル基、4-(パーフルオロ-n-ヘキシルオキシ)ブチル基、4-(1,1-ジヒドロ-パーフルオロエチルオキシ)ブチル基、6-(2-クロロエチルオキシ)ヘキシル基、6-(1,1-ジヒドロ-パーフルオロエチルオキシ)ヘキシル基などの直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基などを挙げることができる。
【0166】
上記R1~R8で表される炭素原子数1~30アルコキシ基としては、炭素原子数1~12のアルコキシ基であることが好ましく、特に、炭素原子数1~8のアルコキシ基であることが好ましい。上述の基であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
また、上記R1~R8は、炭素原子数1~30のアルコキシ基中の水素原子が置換基で置換された基、すなわち、置換基を有する炭素原子数1~30のアルコキシ基であってもよい。
【0167】
上記炭素原子数1~30のアルコキシ基、すなわち、置換基を有しない炭素原子数1~30のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、3,3-ジメチルブチルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-エイコシルオキシ基、n-トリコシルオキシ基、n-テトラコシルオキシ基等を挙げることができる。
【0168】
上記置換基を有する炭素原子数1~30のアルコキシ基としては、アルコキシ基中の水素原子の1つ又は2つ以上が置換基に置換されているものが挙げられる。
上記水素原子を置換する置換基としては、上記アルキル基中の水素原子を置換する置換基として挙げたもの等を挙げることができる。
上記置換基を有する炭素原子数1~30のアルコキシ基としては、より具体的には、アラルキルオキシ基、直鎖、分岐又は環状のハロゲノアルコキシ基等を挙げることができる。
【0169】
上記アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、α-メチルベンジルオキシ基、α-エチルベンジルオキシ基、α,α-ジメチルベンジルオキシ基、α-フェニルベンジルオキシ基、α,α-ジフェニルベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α-メチルフェネチルオキシ基、β-メチルフェネチルオキシ基、α,α-ジメチルフェネチルオキシ基、4-メチルフェネチルオキシ基、4-メチルベンジルオキシ基、3-メチルベンジルオキシ基、2-メチルベンジルオキシ基、4-エチルベンジルオキシ基、2-エチルベンジルオキシ基、4-イソプロピルベンジルオキシ基、4-tert-ブチルベンジルオキシ基、2-tert-ブチルベンジルオキシ基、4-tert-ペンチルベンジルオキシ基、4-シクロヘキシルベンジルオキシ基、4-n-オクチルベンジルオキシ基、4-tert-オクチルベンジルオキシ基、4-フェニルベンジルオキシ基、4-(4’-メチルフェニル)ベンジルオキシ基、4-(4’-tert-ブチルフェニル)ベンジルオキシ基、4-(4’-メトキシフェニル)ベンジルオキシ基、4-メトキシベンジルオキシ基、3-メトキシベンジルオキシ基、2-エトキシベンジルオキシ基、4-n-ブトキシベンジルオキシ基、4-n-ヘプチルオキシベンジルオキシ基、3,4-ジメトキシベンジルオキシ基、4-フルオロベンジルオキシ基、2-フルオロベンジルオキシ基、4-クロロベンジルオキシ基、3-クロロベンジルオキシ基、2-クロロベンジルオキシ基、3,4-ジクロロベンジルオキシ基、2-フルフリルオキシ基、1-ナフチルメチルオキシ基、2-ナフチルメチルオキシ基等を挙げることができる。
【0170】
上記直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基としては、フルオロメチルオキシ基、3-フルオロプロピルオキシ基、6-フルオロヘキシルオキシ基、8-フルオロオクチルオキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロエチルオキシ基、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-プロピルオキシ基、1,1,3-トリヒドロ-パーフルオロ-n-プロピルオキシ基、2-ヒドロ-パーフルオロ-2-プロピルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ブチルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ペンチルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ヘキシルオキシ基、6-フルオロヘキシルオキシ基、4-フルオロシクロヘキシルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-オクチルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-デシルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ドデシルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-テトラデシルオキシ基、1,1-ジヒドロ-パーフルオロ-n-ヘキサデシルオキシ基、パーフルオロエチルオキシ基、パーフルオロ-n-プロピルオキシ基、パーフルオロ-n-ペンチルオキシ基、パーフルオロ-n-ヘキシルオキシ基、2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロピルオキシ基、ジクロロメチルオキシ基、2-クロロエチルオキシ基、3-クロロプロピルオキシ基、4-クロロシクロヘキシルオキシ基、7-クロロヘプチルオキシ基、8-クロロオクチルオキシ基、2,2,2-トリクロロエチルオキシ基等を挙げることができる。
【0171】
上記R1~R8で示される炭素原子数6~30のアリール基としては、炭素原子数6~20のアリール基であることが好ましく、特に、炭素原子数6~16のアリール基であることが好ましい。上述の基であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
また、上記R1~R8は、炭素原子数6~30のアリール基中の水素原子が置換基で置換された基、すなわち、置換基を有する炭素原子数6~30のアリール基であってもよい。
上記置換基を有する炭素原子数6~30のアリール基としては、アリール基中の水素原子の1つ又は2つ以上が置換基に置換されているものが挙げられる。
上記水素原子を置換する置換基としては、上記アルキル基の水素原子を置換する置換基として挙げたもの等を挙げることができる。
【0172】
上記炭素原子数6~30のアリール基、すなわち、置換基を有しない炭素原子数6~30のアリール基、及び上記置換基を有する炭素原子数6~30のアリール基としては、例えば、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-n-プロピルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基、4-イソブチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-n-ペンチルフェニル基、4-イソペンチルフェニル基、4-tert-ペンチルフェニル基、4-n-ヘキシルフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、4-n-ヘプチルフェニル基、4-n-オクチルフェニル基、4-n-ノニルフェニル基、4-n-デシルフェニル基、4-n-ウンデシルフェニル基、4-n-ドデシルフェニル基、4-n-テトラデシルフェニル基、4-n-ヘキサデシルフェニル基、4-n-オクタデシルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、2,3,5,6-テトラメチルフェニル基、5-インダニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-ナフチル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-n-プロポキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、4-n-ブトキシフェニル基、4-イソブトキシフェニル基、4-n-ペンチルオキシフェニル基、4-n-ヘキシルオキシフェニル基、4-シクロヘキシルオキシフェニル基、4-n-ヘプチルオキシフェニル基、4-n-オクチルオキシフェニル基、4-n-ノニルオキシフェニル基、4-n-デシルオキシフェニル基、4-n-ウンデシルオキシフェニル基、4-n-ドデシルオキシフェニル基、4-n-テトラデシルオキシフェニル基、4-n-ヘキサデシルオキシフェニル基、4-n-オクタデシルオキシフェニル基、2,3-ジメトキシフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基、2,5-ジメトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3,5-ジエトキシフェニル基、2-メトキシ-4-メチルフェニル基、2-メトキシ-5-メチルフェニル基、3-メトキシ-4-メチルフェニル基、2-メチル-4-メトキシフェニル基、3-メチル-4-メトキシフェニル基、3-メチル-5-メトキシフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、2-クロロ-4-メチルフェニル基、3-クロロ-4-メチルフェニル基、2-クロロ-4-メトキシフェニル基、3-メトキシ-4-フルオロフェニル基、3-メトキシ-4-クロロフェニル基、3-フルオロ-4-メトキシフェニル基、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、2-フェニルフェニル基、4-(4’-メチルフェニル)フェニル基、4-(4’-メトキシフェニル)フェニル基、3,5-ジフェニルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、4-メチル-1-ナフチル基、4-エトキシ-1-ナフチル基、6-n-ブチル-2-ナフチル基、6-メトキシ-2-ナフチル基、7-エトキシ-2-ナフチル基、2-フリル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、4-アミノフェニル基、3-アミノフェニル基、2-アミノフェニル基、4-(N-メチルアミノ)フェニル基、3-(N-メチルアミノ)フェニル基、4-(N-エチルアミノ)フェニル基、2-(N-イソプロピルアミノ)フェニル基、4-(N-n-ブチルアミノ)フェニル基、2-(N-n-ブチルアミノ)フェニル基、4-(N-n-オクチルアミノ)フェニル基、4-(N-n-ドデシルアミノ)フェニル基、4-N-ベンジルアミノフェニル基、4-N-フェニルアミノフェニル基、2-N-フェニルアミノフェニル基、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基、3-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基、2-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル基、2-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)フェニル基、4-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-1-ナフチル基、4-ピロリジノフェニル基、4-ピペリジノフェニル基、4-モルフォリノフェニル基、4-ピロリジノ-1-ナフチル基、4-(N-ベンジル-N-メチルアミノ)フェニル基、4-(N-ベンジル-N-フェニルアミノ)フェニル基、4-(N-メチル-N-フェニルアミノ)フェニル基、4-(N-エチル-N-フェニルアミノ)フェニル基、4-(N-n-ブチル-N-フェニルアミノ)フェニル基、4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル基、2-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(3’-メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-エチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-tert-ブチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-メトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-エトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ブトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(4’-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(1’-ナフチル)アミノ〕フェニル基、4-〔N,N-ジ(2’-ナフチル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(3’-メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-オクチルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-メトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-エトキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-n-ヘキシルオキシフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-フルオロフェニル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(1’-ナフチル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(2’-ナフチル)アミノ〕フェニル基、4-〔N-フェニル-N-(4’-フェニルフェニル)アミノ〕フェニル基、4-(N,N-ジフェニルアミノ)-1-ナフチル基、6-(N,N-ジフェニルアミノ)-2-ナフチル基、4-(N-カルバゾリル)フェニル基、4-(N-フェノキサジイル)フェニル基等を挙げることができる。
【0173】
上記R1~R8で示される炭素原子数6~30のアリールオキシ基としては、炭素原子数6~20のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素原子数6~16のアリールオキシ基であることが好ましい。上述の基であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
また、上記R1~R8は、炭素原子数6~30のアリールオキシ基中の水素原子が置換基で置換された基、すなわち、置換基を有する炭素原子数6~30のアリールオキシ基であってもよい。
上記置換基を有する炭素原子数6~30のアリールオキシ基としては、アリールオキシ基中の水素原子の1つ又は2つ以上が置換基に置換されているものが挙げられる。
上記水素原子を置換する置換基としては、上記アルキル基の水素原子を置換する置換基として挙げたもの等を挙げることができる。
【0174】
上記炭素原子数6~30のアリールオキシ基、すなわち、置換基を有しない炭素原子数6~30のアリールオキシ基、及び置換基を有する炭素原子数6~30のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2-メチルフェニルオキシ基、3-メチルフェニルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、3-エチルフェニルオキシ基、4-エチルフェニルオキシ基、4-n-プロピルフェニルオキシ基、4-イソプロピルフェニルオキシ基、4-n-ブチルフェニルオキシ基、4-イソブチルフェニルオキシ基、4-tert-ブチルフェニルオキシ基、4-n-ペンチルフェニルオキシ基、4-イソペンチルフェニルオキシ基、4-tert-ペンチルフェニルオキシ基、4-n-ヘキシルフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルフェニルオキシ基、4-n-ヘプチルフェニルオキシ基、4-n-オクチルフェニルオキシ基、4-n-ノニルフェニルオキシ基、4-n-デシルフェニルオキシ基、4-n-ウンデシルフェニルオキシ基、4-n-ドデシルフェニルオキシ基、4-n-テトラデシルフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルフェニルオキシ基、4-n-オクタデシルフェニルオキシ基、2,3-ジメチルフェニルオキシ基、2,4-ジメチルフェニルオキシ基、2,5-ジメチルフェニルオキシ基、2,6-ジメチルフェニルオキシ基、3,4-ジメチルフェニルオキシ基、3,5-ジメチルフェニルオキシ基、3,4,5-トリメチルフェニルオキシ基、2,3,5,6-テトラメチルフェニルオキシ基、5-インダニルオキシ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-ナフチルオキシ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチルオキシ基等を挙げることができる。
【0175】
置換基を有する炭素原子数6~30のアリールオキシ基としては、2-メトキシフェニルオキシ基、3-メトキシフェニルオキシ基、4-メトキシフェニルオキシ基、3-エトキシフェニルオキシ基、4-エトキシフェニルオキシ基、4-n-プロポキシフェニルオキシ基、4-イソプロポキシフェニルオキシ基、4-n-ブトキシフェニルオキシ基、4-イソブトキシフェニルオキシ基、4-n-ペンチルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘキシルオキシフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘプチルオキシフェニルオキシ基、4-n-オクチルオキシフェニルオキシ基、4-n-ノニルオキシフェニルオキシ基、4-n-デシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ウンデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ドデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-テトラデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-オクタデシルオキシフェニルオキシ基、2,3-ジメトキシフェニルオキシ基、2,4-ジメトキシフェニルオキシ基、2,5-ジメトキシフェニルオキシ基、3,4-ジメトキシフェニルオキシ基、3,5-ジメトキシフェニルオキシ基、3,5-ジエトキシフェニルオキシ基、2-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、2-メトキシ-5-メチルフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、2-メチル-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メチル-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メチル-5-メトキシフェニルオキシ基等も挙げることができる。
【0176】
また、2-フルオロフェニルオキシ基、3-フルオロフェニルオキシ基、4-フルオロフェニルオキシ基、2-クロロフェニルオキシ基、3-クロロフェニルオキシ基、4-クロロフェニルオキシ基、4-ブロモフェニルオキシ基、4-トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3-トリフルオロメチルフェニルオキシ基、2,4-ジフルオロフェニルオキシ基、3,5-ジフルオロフェニルオキシ基、2,4-ジクロロフェニルオキシ基、3,4-ジクロロフェニルオキシ基、3,5-ジクロロフェニルオキシ基、2-メチル-4-クロロフェニルオキシ基、2-クロロ-4-メチルフェニルオキシ基等も挙げることができる。
【0177】
さらに、3-クロロ-4-メチルフェニルオキシ基、2-クロロ-4-メトキシフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-フルオロフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-クロロフェニルオキシ基、3-フルオロ-4-メトキシフェニルオキシ基、4-フェニルフェニルオキシ基、3-フェニルフェニルオキシ基、2-フェニルフェニルオキシ基、4-(4’-メチルフェニル)フェニルオキシ基、4-(4’-メトキシフェニル)フェニルオキシ基、3,5-ジフェニルフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、4-エトキシ-1-ナフチルオキシ基、6-n-ブチル-2-ナフチルオキシ基、6-メトキシ-2-ナフチルオキシ基、7-エトキシ-2-ナフチルオキシ基等も挙げることができる。
【0178】
上記R1~R8で示される炭素原子数2~30のヘテロアリール基としては、例えば、ヘテロ原子として、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を少なくとも1つ以上含む芳香族ヘテロ環が挙げられる。
また、上記R1~R8は、炭素原子数2~30のヘテロアリール基中の水素原子が置換基で置換された基、すなわち、置換基を有する炭素原子数2~30のヘテロアリール基であってもよい。
上記置換基を有する炭素原子数2~30のヘテロアリール基としては、ヘテロアリール基中の水素原子の1つ又は2つ以上が置換基に置換されているものが挙げられる。
上記水素原子を置換する置換基としては、上記アルキル基の水素原子を置換する置換基として挙げたもの等を挙げることができる。
【0179】
上記炭素原子数2~30のヘテロアリール基、すなわち、置換基を有しない炭素原子数6~30のヘテロアリール基、及び置換基を有する炭素原子数2~30のヘテロアリール基としては、例えば、フラニル基、ピロリル基、3-ピロリノ基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、1,2,3-オキサジアゾリル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、1,3,4-チアジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピペラジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、チオナフセニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアゾ-ル-2-イル基、ベンゾトリアゾール-1-イル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、クマリニル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基、フェナントロニリル基、フェノチアジニル基、フラボニル基、フタルイミド基、ナフチルイミド基等を挙げることができる。
【0180】
上記R1とR2、R3とR4、R5とR6又はR7とR8が互いに連結して形成する脂環構造としては、R1等が結合しているピロール環の炭素原子を含んで形成された、炭素原子数3~20の脂環式炭化水素基を挙げることができ、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、t-ブチルシクロヘキサン、シアノシクロヘキサン、ジクロロシクロヘキサン等の脂環構造を挙げることができる。
【0181】
本発明においては、上記R1~R8は、水素原子、置換基を有しない若しくは置換基を有する炭素原子数1~30のアルキル基、置換基を有しない若しくは置換基を有する炭素原子数1~30のアルコキシ基、又は置換基を有しない若しくは置換基を有する炭素原子数6~30のアリール基であることが好ましい。上述の基であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
R1とR2、R3とR4、R5とR6及びR7とR8の組合せとしては、所望の波長の光を吸収可能なものであればどのような組み合わせでもよいが、具体的には、(i)水素原子と、アルキル基との組み合わせ、(ii)アルキル基と、アルコキシ基との組み合わせ、(iii)アルキル基と、アリール基との組み合わせ等であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
また、R1、R3、R5及びR7は、異なる基であってもよいが、同一の基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
さらに、R2、R4、R6及びR8は、異なる基であってもよいが、同一の基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
上記(i)の組み合わせとしては、水素原子と、置換基を有しない若しくは置換基を有する炭素原子数1~30のアルキル基との組み合わせが好ましく、水素原子と、置換基を有しない炭素原子数1~10のアルキル基との組み合わせがより好ましく、特に、水素原子と、置換基を有しない炭素原子数2~5のアルキル基との組み合わせが好ましい。上述の組み合わせであることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
本発明においては、R1、R3、R5及びR7が、水素原子であり、かつ、R2、R4、R6及びR8が、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基等の置換基を有しない炭素原子数3~5の分岐のアルキル基であることが最も好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
【0182】
上記Mで示される2価の金属原子としては、例えば、周期律表第3族~第15族に属する金属原子が挙げられる。具体的には、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Pb、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Pb等を挙げることができる。
Mで示される1価の金属原子としては、例えば、例えば、Na、K、Liなどを挙げることができる。
また、Mで示される3価若しくは4価の金属化合物としては、例えば、周期律表第3族~第15族に属する3価又は4価の金属の、ハロゲン化物、水酸化物及び酸化物等が挙げられる。上記金属化合物としては、具体的には、AlCl、AlOH、InCl、FeCl、MnOH、SiCl2、SnCl2、GeCl2、Si(OH)2、Si(OCH3)2、Si(OPh)2、Si(OSiCH3)2、Sn(OH)2、Ge(OH)2、VO、TiO等を挙げることができる。
上記Mとしては、なかでも、Cu、Zn、Co、Ni、Pb、Pd、Pt、Mn、VO、TiOであることが好ましく、特に、Cu、Co、Ni、Pd、VOであることが好ましい。
【0183】
上記一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン系色素としては、より具体的には、特開2017-68221号公報に記載の一般式(1)の具体例として挙げられているものと同様とすることができる。
【0184】
上記テトラアザポルフィリン系色素の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、J. Gen. Chem. USSR vol.47, 1954-1958 (1977)に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0185】
上記テトラアザポルフィリン系色素の市販品としては、例えば、PD-311S、PD-320、NC-35、SNC-8(以上、山本化成株式会社製)、FDG-004、FDG-007(以上、山田化学工業株式会社)等を挙げることができる。
【0186】
上記トリアリールメタン系色素としては、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られるものであればよく、例えば、下記一般式(301)で表される色素を好ましく用いることができる。
上記トリアリールメタン系色素は、カチオン重合性化合物と組み合わせて用いることで、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られると共に、所望の波長範囲に急峻な吸収ピークを有する硬化物、すなわち、吸収ピークの範囲幅が狭い硬化物を得ることが容易となるからである。
【0187】
【化24】
(式中、R
301、R
302、R
303、R
304、R
305、R
306、R
307、R
308、R
309及びR
310は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は水酸基を表すか、炭素原子数1~8のアルキル基若しくは該アルキル基中の水素原子がハロゲン原子で置換されている基、又は炭素原子数1~8のアルコキシ基若しくは該アルコキシ基中の水素原子がハロゲン原子で置換されている基を表し、
R
311、R
312、R
313、R
314、R
315及びR
316は、それぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表すか、炭素原子数1~8のアルキル基若しくは該アルキル基中の水素原子がシアノ基、ニトロ基、水酸基若しくはハロゲン原子で置換されている基、フェニル基若しくは該フェニル基中の水素原子が炭素原子数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基若しくはビニル基で置換されている基、又はベンジル基若しくは該ベンジル基中の水素原子が炭素原子数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基若しくはビニル基で置換されている基を表し、
R
301とR
311、R
302とR
312、R
305とR
313、R
306とR
314、R
309とR
315及びR
310とR
316は、連結して6員環を形成していてもよく、
R
311とR
312、R
313とR
314、及びR
315とR
316は、連結して3~6員環の複素環を形成していてもよく、
R
303とR
304及びR
307とR
308は、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CR
317R
318、CO、NR
319、PR
320又はSO
2を介して連結して環を形成していてもよく、
R
304とR
305、R
306とR
307は、連結して6員環を形成していてもよく、
Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CR
317R
318、CO、NR
319、PR
320又はSO
2を表し、
R
317及びR
318は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基若しくは該アルキル基中の水素原子がハロゲン原子で置換されている基、又は炭素原子数1~8のアルコキシ基若しくは該アルコキシ基中の水素原子がハロゲン原子で置換されている基を表し、
R
319及びR
320は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基若しくは該アルキル基中の水素原子がハロゲン原子で置換されている基を表し、
An
q1-はq1価の陰イオンを表し、q1は1又は2を表し、p1は電荷を中性に保つ係数を表す。)
【0188】
上記一般式(301)におけるR301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309、R310、R311、R312、R313、R314、R315及びR316並びにXがCR317R318で表されるときのR317及びR318、XがNR319で表されるときのR319、XがPR320で表されるときのR320で表される炭素原子数1~8のアルキル基としては、上記R1~R8で表されるアルキル基のうち、所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
上記一般式(301)におけるR301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309、R310、R311、R312、R313、R314、R315及びR316並びにXがCR317R318で表されるときのR317及びR318、XがNR319で表されるときのR319、XがPR320で表されるときのR320で表される、基中の水素原子がシアノ基、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されている炭素原子数1~8のアルキル基としては、上記炭素原子数1~8のアルキル基中の水素原子の一部又は全部が、シアノ基、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されている基が挙げられる。
上記一般式(301)におけるR301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309、R310、R311、R312、R313、R314、R315及びR316並びにXがCR317R318で表されるときのR317及びR318、XがNR319で表されるときのR319、XがPR320で表されるときのR320で表される炭素原子数1~8のアルコキシ基としては、上記R1~R8で表されるアルコキシ基のうち、所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
上記一般式(301)におけるR301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309、R310、R311、R312、R313、R314、R315及びR316並びにXがCR317R318で表されるときのR317及びR318、XがNR319で表されるときのR319、XがPR320で表されるときのR320で表される、基中の水素原子がハロゲン原子で置換されている炭素原子数1~8のアルコキシ基としては、上記炭素原子数1~8のアルコキシ基中の水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置換されている基が挙げられる。
上記一般式(301)におけるR301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309、R310、R311、R312、R313、R314、R315及びR316で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記一般式(301)におけるR311、R312、R313、R314、R315及びR316で表される炭素原子数1~4のアルキル基としては、上記R1~R8で表されるアルキル基のうち、所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
【0189】
上記一般式(301)におけるR301とR311、R302とR312、R305とR313、R306とR314、R309とR315及びR310とR316が連結して形成し得る6員環としては、ピペリジン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環等が挙げられる。
上記一般式(301)におけるR311とR312、R313とR314、及びR315とR316が連結して形成し得る3~6員環の複素環としては、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられる。
上記一般式(301)におけるR304とR305、R306とR307が連結して形成し得る6員環としてはベンゼン環が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしていても構わない。
【0190】
上記一般式(301)中のAnq1-で表される陰イオンとしては、例えば、一価の陰イオン又は二価の陰イオンが挙げられる。
例えば一価の陰イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオン;過塩素酸イオン、塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の無機系陰イオン;メタンスルホン酸イオン、ドデシルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ジフェニルアミン-4-スルホン酸イオン、2-アミノ-4-メチル-5-クロロベンゼンスルホン酸イオン、2-アミノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸イオン、フタロシアニンスルホン酸イオン、重合性置換基を有するスルホン酸イオン、特開平10-235999号公報、特開平10-337959号公報、特開平11-102088号公報、特開2000-108510号公報、特開2000-168223号公報、特開2001-209969号公報、特開2001-322354号公報、特開2006-248180号公報、特開2006-297907号公報、特開平8-253705号公報、特表2004-503379号公報、特開2005-336150号公報、国際公開2006/28006号等に記載されたスルホン酸イオン等の有機スルホン酸系陰イオン;オクチルリン酸イオン、ドデシルリン酸イオン、オクタデシルリン酸イオン、フェニルリン酸イオン、ノニルフェニルリン酸イオン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスホン酸イオン等の有機リン酸系陰イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドイオン、パーフルオロ-4-エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボ陰イオン等が挙げられる。
二価の陰イオンとしては、例えば、ベンゼンジスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン等が挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャー陰イオンやシクロペンタジエニル環にカルボキシル基やホスホン酸基、スルホン酸基等の陰イオン性基を有するフェロセン、ルテオセン等のメタロセン化合物陰イオン等も、必要に応じて用いることができる。
また、p1は、分子全体で電荷が中性となるように選択される。
【0191】
上記のクエンチャー陰イオンとしては、例えば、特開昭60-234892号公報、特開平5-43814号公報、特開平5-305770号公報、特開平6-239028号公報、特開平9-309886号公報、特開平9-323478号公報、特開平10-45767号公報、特開平11-208118号公報、特開2000-168237号公報、特開2002-201373号公報、特開2002-206061号公報、特開2005-297407号公報、特公平7-96334号公報、国際公開98/29257号等に記載されたような陰イオンが挙げられる。
【0192】
上記一般式(301)中のAnq1-で表される陰イオンとしては、一価の有機スルホン酸系陰イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドイオン、パーフルオロ-4-エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、ベンゼンジスルホン酸イオン又はナフタレンジスルホン酸イオンが耐熱性の点から好ましく、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオンがさらに好ましい。
上記陰イオンとしては、所望の波長範囲に急峻な吸収ピークを有する硬化物が得られるとの観点からは、上記無機系陰イオンであることが好ましい。
【0193】
上記一般式(301)で表される化合物のカチオン部分の具体例としては、国際公開第2014/196464号に記載の化合物No.1~No.62を挙げることができる。
【0194】
本発明においては、溶媒への溶解性の点から、R311、R312、R313、R314、R315及びR316が、炭素原子数1~8のアルキル基又は該アルキル基中の水素原子が極性基、特に水酸基で置換されている基であることが好ましく、炭素原子数1~8のアルキル基であることがより好ましく、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基等の炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましく、中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等の炭素原子数1~5の直鎖のアルキル基であることが好ましい。550nm以上610nm以下の範囲に急峻な吸収ピークを有し、吸収ピークの半値幅が狭いものとすることができるからである。
本発明においては、550nm以上610nm以下の範囲に急峻な吸収ピークを有し、吸収ピークの半値幅が狭いものとすることができる観点から、R301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309及びR310が、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基であることが好ましく、中でも、水素原子又はハロゲン原子であることが好ましい。
本発明においては、550nm以上610nm以下の範囲に急峻な吸収ピークを有し、吸収ピークの半値幅が狭いものとすることができる観点から、R304、R307が、ハロゲン原子であり、R301、R302、R303、R305、R306、R308、R309及びR310が、水素原子であることが好ましい。
また、Xは、入手容易性の点から、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましい。
【0195】
上記一般式(301)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば国際公開第2014/196464号に記載の方法と同様の方法を用いることができる。
【0196】
上記シアニン系色素としては、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られるものであればよく、例えば、下記一般式(401)で表される色素を好ましく上げることができる。
上記シアニン系色素は、カチオン重合性化合物と組み合わせて用いることで、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られると共に、所望の波長範囲に急峻な吸収ピークを有する硬化物、すなわち、吸収ピークの範囲幅が狭い硬化物を得ることが容易となるからである。
【0197】
【化25】
(式中、環A及びA’は、それぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環又はピリジン環を表し、
R
411及びR
411’は、それぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-SO
3H、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メタロセニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
X
411及びX
411’は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-CR
423R
424-、炭素原子数3~6のシクロアルカン-1,1-ジイル基又は-NR
425-を表し、
R
423、R
424及びR
425は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-SO
3H、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メタロセニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
Y
411及びY
411’は、それぞれ独立に、水素原子、又は水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-SO
3H、カルボキシル基、アミノ基、アミド基若しくはメタロセニル基で置換されている場合がある炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基若しくは炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
Qは、炭素原子数1~9のメチン鎖を構成し、鎖中に環構造を含んでいる場合がある連結基を表し、
r2及びr2’は、0又は環A及び環A’において置換可能な数を表し、
An
q2-はq2価の陰イオンを表し、q2は1又は2を表し、p2は電荷を中性に保つ係数を表す。)
【0198】
上記一般式(401)におけるR411、R411’、Y411、Y411’、X411、X411’、R423、R424、R425、Q、RR’で表される基としては、例えば、特開2017-095558号公報に記載のR11、R11’、Y11、Y11’、X11、X11’、R23、R24及びR25、Q、RR’で表される官能基と同様の官能基を用いることができる。
例えば、上記一般式(401)におけるR411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0199】
上記一般式(401)におけるR411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425で表されるアミノ基としては、上記R1~R8で表されるアミノ基を用いることができる。
【0200】
上記一般式(401)におけるR411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425で表されるアミド基としては、ホルムアミド、アセトアミド、エチルアミド、イソプロピルアミド、ブチルアミド、オクチルアミド、ノニルアミド、デシルアミド、ウンデシルアミド、ドデシルアミド、ヘキサデシルアミド、オクタデシルアミド、(2-エチルヘキシル)アミド、ベンズアミド、トリフルオロアセトアミド、ペンタフルオロベンズアミド、ジホルムアミド、ジアセトアミド、ジエチルアミド、ジイソプロピルアミド、ジブチルアミド、ジオクチルアミド、ジノニルアミド、ジデシルアミド、ジウンデシルアミド、ジドデシルアミド、ジ(2-エチルヘキシル)アミド、ジベンズアミド、ジトリフルオロアセトアミド、ジペンタフルオロベンズアミド等が挙げられる。
【0201】
上記一般式(401)におけるR411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425で表されるメタロセニル基としては、フェロセニル、ニッケロセニル、ジルコノセニル、チタノセニル、ハフノセニル等が挙げられる。
【0202】
上記一般式(401)におけるR411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425で表される炭素原子数6~30のアリール基としては、上記R1~R8で示される炭素原子数6~30のアリール基と同様の基を用いることができる。
【0203】
上記一般式(401)におけるR411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425で表される炭素原子数7~30のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2-フェニルプロパン-2-イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル、フェロセニルメチル、フェロセニルプロピル等が挙げられる。
【0204】
上記一般式(401)におけるR411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425で表される炭素原子数1~8のアルキル基としては、上記R1~R8で表される炭素原子数1~30のアルキル基のうち所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
【0205】
上記R411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425で表されるアリール基、アリールアルキル基及びアルキル基等の基は、上記基中の水素原子の1つ又は2つ以上が、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-SO3H基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基又はメタロセニル基で置換されている場合がある。
R411、R411’、Y411、Y411’、R423、R424及びR425で表されるアリール基、アリールアルキル基、アルキル基の水素原子を置換してもよいハロゲン原子、アミノ基、アミド基及びメタロセニル基としては、R411等の説明で例示したものが挙げられる。
また、上記R411、R411’、Y411、Y411’並びにX411及びX411’中のR423、R424及びR425におけるアリールアルキル基及びアルキル基等の基は、上記基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO2-、-NH-、-CONH-、-NHCO-、-N=CH-又は二重結合で置き換えられている場合がある。
【0206】
上記一般式(401)において、X411及びX411’で表される炭素原子数3~6のシクロアルカン-1,1-ジイル基としては、シクロプロパン-1,1-ジイル、シクロブタン-1,1-ジイル、2,4-ジメチルシクロブタン-1,1-ジイル、3,3-ジメチルシクロブタン-1,1-ジイル、シクロペンタン-1,1-ジイル、シクロヘキサン-1,1-ジイル等が挙げられる。
【0207】
本発明においては、上記R411、R411’が、ニトロ基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
本発明においては、上記Y411、Y411’が、炭素原子数1~8のアルキル基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数2~7のアルキル基であることが好ましく、特に、炭素原子数4~6のアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
また、上記Y411、Y411’がアルキル基である場合、直鎖のアルキル基であってもよいが、分岐のアルキル基であることが好ましく、なかでも、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基等の炭素原子数4~6の分岐のアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
本発明においては、上記X411及びX411’が-CR423R424-であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
本発明においては、上記R423、R424及びR425が、炭素原子数1~8のアルキル基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましく、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
本発明においては、上記環A及び環A’が、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、なかでも、ベンゼン環であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
【0208】
上記一般式(401)におけるQで表わされる、炭素原子数1~9のメチン鎖を構成し、鎖中に環構造を含む場合がある連結基としては、下記(Q-1)~(Q-11)で表される基が、製造が容易であるため好ましい。炭素原子数1~9のメチン鎖における炭素原子数には、メチン鎖及びメチン鎖中に含まれる環構造をさらに置換する基の炭素原子(例えば、連結基(Q-1)~(Q-11)における両末端の炭素原子、Z’又はR14~R19が炭素原子を含む場合にはその炭素原子)を含まない。
【0209】
【化26】
(式中、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19及びZ’は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、-NRR’、アリール基、アリールアルキル基又はアルキル基を表し、-NRR’、アリール基、アリールアルキル基及びアルキル基の水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基又は-NRR’で置換されていてもよく、-NRR’、アリール基、アリールアルキル基及びアルキル基中のメチレン基は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO
2-、-NH-、-CONH-、-NHCO-、-N=CH-又は-CH=CH-で置換されていてもよく、
R及びR’は、アリール基、アリールアルキル基又はアルキル基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0210】
上記R14、R15、R16、R17、R18、R19及びZ’で表わされるハロゲン原子、アリール基、アリールアルキル又はアルキル基としては、R411等の説明で例示したものが挙げられ、R及びR’で表されるアリール基、アリールアルキル基又はアルキル基としてはR411等の説明で例示したものが挙げられる。
【0211】
Qで表わされる、炭素原子数1~9のメチン鎖の水素原子を置換していてもよいアリール基、アリールアルキル基、アルキル基、及びハロゲン原子としては、R411等の説明で例示したものが挙げられ、これらのアリール基、アリールアルキル基、アルキル基の水素原子を置換してもよいハロゲン原子としてはR11等の説明で例示したものが挙げられる。
【0212】
本発明においては、上記Qで表わされる、炭素原子数1~9のメチン鎖が上記一般式(Q-1)で表される基であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
本発明においては、上記Z’が、水素原子、アルキル基であることが好ましく、なかでも、水素原子であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性に優れたものとなるからである。
【0213】
上記一般式(401)中のAnq2-で表されるq2価の陰イオンとしては、上記Anq1-の説明で例示した陰イオンを挙げることができる。
【0214】
本発明で用いられるシアニン系色素の具体例としては、例えば、特開2017-095558号公報に記載の化合物No.1~104が挙げられる。
【0215】
上記色素の含有量としては、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物が得られるものであればよく、組成物の用途等に応じて異なるものであるが、組成物100質量部中に、0.01質量部以上10質量部以下とすることができる。上記含有量が上述の範囲であることで、上記組成物は硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。
本発明においては、上記組成物が光学フィルタ形成用である場合、上記色素の含有量は、組成物100質量部中に、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上3質量部以下であることがより好ましく、特に、0.10質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、色調整の容易なものとなるからである。
【0216】
5.その他の増感剤
上記組成物は、上述のアルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物以外の増感剤(以下、第2増感剤と称する場合がある。)を含むことができる。
上記第2増感剤としては、照射された光を吸収して、光酸発生剤からの酸の発生効率を向上できるものであればよく、例えば、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、チオキサンテン化合物、ウラニル化合物、ハロゲン化合物、従来公知のラジカル重合開始剤、遷移金属化合物、アミン化合物、リン化合物、複素環化合物、縮合環含有化合物の他、アルコキシ基で置換されたベンゼン等が挙げられる。
【0217】
なお、上記第2増感剤として挙げた化合物同士は、明確に分離できない場合がある。例えば、ベンゾフェノン誘導体等は、ラジカル重合開始剤に該当するものが含まれる場合がある。また、複素環化合物の中には、縮合環含有化合物に該当するものが含まれる場合がある。
【0218】
上記アントラセン系化合物としては、アントラセン構造を有する化合物であればよく、例えば下式(IIIa)で表されるものが挙げられる。
【0219】
【化27】
(式中、R
201及びR
202は、それぞれ独立に、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数2~12のアルコキシアルキル基を表し、R
203は水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表す。)
【0220】
R201、R202及びR203で表される炭素原子数1~6のアルキル基としては、上記一般式(1)中のR1等で表される炭素原子数1~30のアルキル基のうち、所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
R201及びR202で表される炭素原子数2~12のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、メトキシブチル、エトキシプロピル、プロポキシエチル、メトキシペンチル、エトキシブチル、プロポキシプロピル、ブトキシエチル、ペントキシエチル、ブトキシプロピル、ヘキソキシエチル、ペントキシプロピル等が挙げられる。
【0221】
本発明においては、R201及びR202が、炭素原子数2~5のアルキル基であることが好ましい。上記官能基であることで、上記組成物は、硬化性に優れたものとなるからである。また、上記組成物は、耐透湿性等にも優れたものとなるからである。
本発明においては、R203が、水素原子であることが好ましい。
【0222】
上記式(IIIa)で表されるアントラセン系化合物の具体例としては、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジイソプロポキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジペンチルオキシアントラセン、9,10-ジヘキシルオキシアントラセン、9,10-ビス(2-メトキシエトキシ)アントラセン、9,10-ビス(2-エトキシエトキシ)アントラセン、9,10-ビス(2-ブトキシエトキシ)アントラセン、9,10-ビス(3-ブトキシプロポキシ)アントラセン、2-メチル-9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、2-メチル-9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、2-メチル-9,10-ジプロポキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジプロポキシアントラセン、2-メチル-9,10-ジイソプロポキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジイソプロポキシアントラセン、2-メチル-9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン、2-メチル-9,10-ジペンチルオキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジペンチルオキシアントラセン、2-メチル-9,10-ジヘキシルオキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジヘキシルオキシアントラセン等を挙げることができる。
【0223】
上記ナフタレン系化合物としては、ナフタレン構造を有する化合物であればよく、例えば、下式(IIIb)で表されるものが挙げられる。
【0224】
【化28】
(式中、R
204及びR
205は、それぞれ独立に、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。)
【0225】
R204及びR205で表される炭素原子数1~6のアルキル基としては、上記一般式(1)中のR1等で表される炭素原子数1~30のアルキル基のうち、所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
【0226】
本発明においては、なかでも、R204及びR205が、炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましい。上記官能基であることで、上記組成物は、硬化性に優れたものとなるからである。また、上記組成物は、耐透湿性等にも優れたものとなるからである。
【0227】
上記式(IIIb)で表されるナフタレン系化合物の具体例としては、4-メトキシ-1-ナフトール、4-エトキシ-1-ナフトール、4-プロポキシ-1-ナフトール4-ブトキシ-1-ナフトール、4-ヘキシルオキシ-1-ナフトール、1,4-ジメトキシナフタレン、1-エトキシ-4-メトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジプロポキシナフタレン、1,4-ジブトキシナフタレン等が挙げられる。
【0228】
上記ベンゾイン誘導体としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン、2,4-ジクロロベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
上記チオキサントン誘導体としては、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0229】
上記ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0230】
上記光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ビスイミダゾール系化合物、アクリジン系化合物、アシルホスフィン系化合物、オキシムエステル化合物等を好ましいものとして例示することができる。
【0231】
上記アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、4’-イソプロピル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p-ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p-アジドベンザルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等が挙げられる。
【0232】
上記ベンジル系化合物としては、ベンジル等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。
【0233】
上記チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
【0234】
上記ビスイミダゾール系化合物としては、ヘキサアリールビスイミダゾール(HABI、トリアリール-イミダゾールの二量体)を挙げることができ、具体的には、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,4,5,2’,4’,5’-ヘキサフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3-メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-ビスイミダゾール、2,5,2’,5’-テトラキス(2-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’-ビス(2,6-ジクロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-ニトロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ジ-o-トリル-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-エトキシフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾールおよび2,2’-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、5’-テトラ(p-ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(o-クロロフェニル-4,4’,5,5’-テトラ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール)、2,2’-ビス(p-メチルチオフェニル)-4,5,4’,5’-ジフェニル-1,1’-ビイミダゾール、ビス(2,4,5-トリフェニル)-1,1’-ビイミダゾール、5,5’-テトラ(p-クロルナフチル)ビイミダゾール等や特公昭45-37377号公報に開示される1,2’-、1,4’-、2,4’-で共有結合している互変異性体、WO00/52529号パンフレットに記載の化合物などが挙げられる。
【0235】
上記アクリジン系化合物としては、アクリジン、9-フェニルアクリジン、9-(p-メチルフェニル)アクリジン、9-(p-エチルフェニル)アクリジン、9-(p-iso-プロピルフェニル)アクリジン、9-(p-n-ブチルフェニル)アクリジン、9-(p-tert-ブチルフェニル)アクリジン、9-(p-メチキシフェニル)アクリジン、9-(p-エトキシフェニル)アクリジン、9-(p-アセチルフェニル)アクリジン、9-(p-ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9-(p-シアノフェニルフェニル)アクリジン、9-(p-クロルシフェニル)アクリジン、9-(p-ブロモフェニル)アクリジン、9-(m-メチルフェニル)アクリジン、9-(m-n-プロピルフェニル)アクリジン、9-(m-iso-プロピルフェニル)アクリジン、9-(m-n-ブチルフェニル)アクリジン、9-(m-tert-ブチルフェニル)アクリジン、9-(m-メチキシフェニル)アクリジン、9-(m-エトキシフェニル)アクリジン、9-(m-アセチルフェニル)アクリジン、9-(m-ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9-(m-ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9-(シアノフェニル)アクリジン、9-(m-クロルフェニル)アクリジン、9-(m-ブロモフェニル)アクリジン、9-メチルアクリジン、9-エチルアクリジン、9-n-プロピルアクリジン、9-iso-プロピルアクリジン、9-シアノエチルアクリジン、9-ヒドロキシエチルアクリジン、9-クロロエチルアクリジン、9-ブロモアクリジン、9-ヒドロキシアクリジン、9-ニトロアクリジン、9-アミノアクリジン、9-メトキシアクリジン、9-エトキシアクリジン、9-n-プロポキシアクリジン、9-iso-プロポキシアクリジン、9-クロロエトキシアクリジン、4,6-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン、10-酢酸アクリジン、10-メチルアセテートアクリジン、3,6-ジメチルアクリジン、7,13-ジメチルアクリジン、7,13-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン、3,6-ジメチル-10-酢酸アクリジン、3,5-ジメチル-10-メチルアセテートアクリジン、7,13-ジメチル-10-酢酸アクリジン、7,13-ジメチル-10-メチルアセテートアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパン、2,7-ジベンゾイル-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(α-ヒドロキシベンジル)-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(α-アセトキシベンジル)-9-フェニルアクリジン、2,7-ジメチル-9-(4-メチルフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(3,4-ジメチル-ベンゾイル)-9-(3,4-ジメチルフェニル)アクリジン、2,7-ビス(α-アセトキシ-4-tert-ブチルベンジル)-9-(4-tert-ブチルフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-(3,4-ジクロロフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-(4-ベンゾイルフェニル)アクリジン、2,7-ビス(2-クロロベンゾイル)-9-(2-クロロフェニル)アクリジン、2-(α-ヒドロキシ-3-ブロモベンジル)-6-メチル-9-(3-ブロモフェニル)アクリジン、2,5-ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)-9-(4-tert-ブチルフェニル)アクリジン、1,4-ビス(2,7-ジメチル-9-アクリジニル)ベンゼン、2,7-ビス(α-フェニルアミノカルボニルオキシ-3,4-ジメチルベンジル)-9-(3,4-ジメチルフェニル)アクリジン及び2,7-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-4′-フルオロジフェニルメチル)-9-(4-フルオロフェニル)アクリジン、9,10-ジヒドロアクリジン、1-メチルアクリジン、4-メチルアクリジン、2,3-ジメチルアクリジン、1-フェニルアクリジン、4-フェニルアクリジン、1-ベンジルアクリジン、4-ベンジルアクリジン、1-クロロアクリジン、2,3-ジクロロアクリジン、10-ブチル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン、10-プロピル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン、10-ブチル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン1,2-ビス(9-アクリジニル)エタン、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパン、1,4-ビス(9-アクリジニル)ブタン、1,6-ビス(9-アクリジニル)ヘキサン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,8-ビス(9-アクリジニル)オクタン、1,9-ビス(9-アクリジニル)ノナン、1,10-ビス(9-アクリジニル)デカン、1,11-ビス(9-アクリジニル)ウンデカン、1,12-ビス(9-アクリジニル)ドデカン、1,14-ビス(9-アクリジニル)テトラデカン、1,16-ビス(9-アクリジニル)ヘキサデカン、1,18-ビス(9-アクリジニル)オクタデカン、1,20-ビス(9-アクリジニル)エイコサン、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-チアプロパン、1,5-ビス(9-アクリジニル)-3-チアペンタン7-メチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-エチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-プロピル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ブチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ペンチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘキシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘプチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-オクチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ノニル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-デシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ウンデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ドデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-トリデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-テトラデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ペンタデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘキサデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘプタデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-オクタデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ノナデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、1,1-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)メタン、1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エタン、1,3-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)プロパン、1,4-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ブタン、1,5-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ペンタン、1,6-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘキサン、1,7-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘプタン、1,8-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)オクタン、1,9-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ノナン、1,10-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)デカン、1,11-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ウンデカン、1,12-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ドデカン、1,13-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)トリデカン、1,14-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)テトラデカン、1,15-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ペンタデカン、1,16-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘキサデカン、1,17-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘプタデカン、1,18-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)オクタデカン、1,19-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ノナデカン、1,20-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エイコサン、7-フェニル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(2-クロルフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(4-メチルフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(4-ニトロフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、1,3-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ベンゼン、1,4-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ベンゼン、7-〔1-プロペン-3-イル(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7-〔1-エチルペンチル-(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7-〔8-ヘプタデセニル-(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7,8-ジフェニル-1,14-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)テトラデカン、1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エチレン、1-メチル-1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エチレン、7-スチリル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(1-プロペニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(1-ペンテニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、9-(2-ピリジル)アクリジン,9-(3-ピリジル)アクリジン,9-(4-ピリジル)アクリジン,9-(4-ピリミジニル)アクリジン,9-(2-ピラジニル)アクリジン,9(5-メチル-2-ピラジニル)アクリジン,9-(2-キノリニル)アクリジン,9-(2-ピリジル)-2-メチル-アクリジン,9-(2-ピリジル)-2-エチルアクリジン,9-(3-ピリジル)-2-メチル-アクリジン,9-(3-ピリジル)-2,4-ジエチル-アクリジン、3,6-ジアミノ-アクリジンスルフォン酸塩、3,6-ビス-(ジメチルアミノ)-アクリジンスルフォン酸塩、3,6-ジアミノ-10-メチル-アクリジニウムクロライド、9-アクリジンカルボン酸等が挙げられる。
【0236】
上記アシルホスフィン系化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(LucirinTPO;BASF社製)、イソブチリル-メチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、2-エチルヘキサノイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p-トルイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、o-トルイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4-ジメチルベンゾイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、p-三級ブチルベンゾイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-エチルヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、o-トルイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、p-三級ブチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、3-ピリジルカルボニル-ジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-フェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイル-ビス-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、p-トルイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、4-(三級ブチル)-ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-メチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-メチル-2-エチルヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、1-メチル-シクロヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル及びピバロイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、4-オクチルフェニルホスフィンオキサイド、テレフタロイル-ビス-ジフェニルホスフィンオキサイド、1-メチル-シクロヘキシルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド、バーサトイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソブトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure819;BASF社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロル-3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロル-3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メトキシ-1-ナフトイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-クロル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジオクチルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソプロポキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジヘキシルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2-プロポキシ-4-メチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソペンチルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-ビフェニリルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)、6-トリメチルベンゾイル-エチル-フェニル-フォスフィネート(SPEEDCURETPO-L;Lambson社製)等が挙げられる。
【0237】
上記オキシムエステル化合物としては、例えば、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、1-〔9-エチル-6-ベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-〔9-n-ブチル-6-(2-エチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0238】
上記熱ラジカル重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物系開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらは1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0239】
上記遷移金属化合物は遷移金属を含有する化合物であり、遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Cu、Cr、Ag等が挙げられる。
【0240】
上記アミン化合物としては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン等の1級アミン、2級アミン、3級アミンを用いることができる。
上記1級アミンとしては、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、2-エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、アニリン、p-メチルアニリン等が挙げられる。
上記2級アミンとしては、例えばジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジヒドロキシエチルアミン等が挙げられる。
上記3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、ジブチルベンジルアミン、トリナフチルアミン、N-エチル-N-メチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N-フェニル-N-メチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-4-ブロモアニリン、N,N-ジメチル-4-メトキシアニリン、N-フェニルピペリジン、N-(4-メトキシフェニル)ピペリジン、N-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、6-ベンジルオキシ-N-フェニル-7-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(2-メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2-{2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、なかでもトリフェニルアミン誘導体が好ましい。
【0241】
トリフェニルアミン誘導体としては、以下の一般式(V)で表されるものが挙げられる。
【0242】
【化29】
(式中、R
211、R
212、R
213、R
214、R
215、R
216、R
217、R
218、R
219、R
220、R
221、R
222、R
223、R
224及びR
225は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
【0243】
R211、R212、R213、R214、R215、R216、R217、R218、R219、R220、R221、R222、R223、R224及びR225で表されるハロゲン原子及び炭素原子数1~10のアルキル基としては、上記一般式(1)中のR1等で表されるハロゲン原子及び炭素原子数1~30のアルキル基のうち所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
R211、R212、R213、R214、R215、R216、R217、R218、R219、R220、R221、R222、R223、R224及びR225で表される炭素原子数6~20のアリール基としては、フェニル基、トリル基、3,4,5-トリメトキシフェニル基、4-第三ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
【0244】
硬化性の点から、式(V)中の3つのベンゼン環の何れか1つがハロゲン原子を有していることが好ましく、3つのベンゼン環がいずれもハロゲン原子を有していることが特に好ましく、R213、R218及びR223がハロゲン原子であるものが最も好ましい。上記組成物は、硬化性に優れたものとなるからである。
【0245】
上記リン化合物としては、ホスフィンオキシド、ホスフィン、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸、ホスフィン酸、亜ホスフィン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等が挙げられる。
【0246】
上記複素環化合物における複素環は、単環及び縮合環のいずれであってもよい。複素環化合物としては、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、ピロリドン誘導体、ピロール誘導体、フェナントリジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェナジン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、イソオキサゾール誘導体、ベンゾイソオキサゾール誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリダジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピラン誘導体、ピラゾリン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、イソキノリン誘導体、イミダゾール誘導体、インドール誘導体、ピロリジン誘導体、ピペリドン誘導体、ジオキサン誘導体、ジベンゾジオキシン誘導体等が挙げられる。
上記の複素環化合物の中でも、窒素原子又は酸素原子を含有する縮合環含有化合物が好ましく、特に入手容易性の点等からカルバゾール誘導体、ジベンゾジオキシン誘導体が好ましく、とりわけ硬化性の点で、が好ましい。上記組成物は、硬化性に優れたものとなるからである。
【0247】
上記カルバゾール誘導体としては、カルバゾール構造を有し、かつ、ベンゼン環に結合するアルコキシ基を有しない化合物を挙げることができ、下記(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0248】
【化30】
(式中、R
226は水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6~20のアリール基を表す。R
227、R
228、R
229、R
230、R
231、R
232、R
233及びR
234は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基を表す。)
【0249】
R226、R227、R228、R229、R230、R231、R232、R233及びR234で表されるハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基及び炭素原子数6~20のアリール基の例としては、上記一般式(1)中のR1等で表されるハロゲン原子、炭素原子数1~30のアルキル基及び炭素原子数6~30のアリール基のうち所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
【0250】
本発明においては、R226が、炭素原子数1~10のアルキル基であることが好ましい。上記組成物は、硬化性に優れたものとなるからである。
本開示においては、R227、R228、R229、R230、R231、R232、R233及びR234が、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基であることが好ましく、なかでも、水素原子であることが好ましい。上記組成物は、硬化性に優れたものとなるからである。
【0251】
例えば、ジベンゾジオキシン誘導体としては、ジベンゾジオキシン構造を有するものであればよく、以下の一般式(VIII)で表されるものが挙げられる。
【0252】
【化31】
(式中、R
268、R
269、R
270、R
271、R
272、R
273、R
274及びR
275は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基を表す。)
【0253】
R268、R269、R270、R271、R272、R273、R274及びR275で表されるハロゲン原子及び炭素原子数1~10のアルキル基としては、上記一般式(1)中のR1等で表されるハロゲン原子及び炭素原子数1~30のアルキル基のうち所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
【0254】
上記縮合環含有化合物としては、上記の複素環化合物として例示した縮合環含有化合物の他に、フルオレン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、アントラキノン誘導体、ペリレン誘導体、ベンゾアントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、トリフェニレン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。縮合環含有化合物としては、窒素原子又は酸素原子を有する縮合環含有化合物が好ましく、また、ペリレン誘導体が吸収波長域の点で好ましい。
【0255】
ペリレン誘導体としては、以下の一般式(IX)で表されるものが挙げられる。
【0256】
【化32】
(式中、R
276、R
277、R
278、R
279、R
280、R
281、R
282、R
283、R
284、R
285、R
286及びR
287は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基を表す。)
【0257】
R276、R277、R278、R279、R280、R281、R282、R283、R284、R285、R286及びR287で表されるハロゲン原子及び炭素原子数1~10のアルキル基としては、上記一般式(1)中のR1等で表されるハロゲン原子及び炭素原子数1~30のアルキル基のうち所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
【0258】
上記第2増感剤の含有量としては、カチオン重合性化合物同士の重合を促進可能なものであればよく、上記特定増感剤の合計100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましく、0.5質量部以下であることが特に好ましく、0.1質量部以下であることが最も好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。
より具体的には、第2増感剤として、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物、複素環化合物としてのカルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、チオキサンテン化合物、複素環化合物としてのフェノチアジン誘導体及びアミン化合物としてのトリフェニルアミン化合物の合計の含有量が、上記特定増感剤の合計100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましく、0.5質量部以下であることが特に好ましく、0.1質量部以下であることが最も好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。
【0259】
6.溶剤
上記組成物は、必要に応じて溶剤を含むことができる。
上記溶剤は、組成物中の各成分を分散又は溶解可能なものである。
上記溶剤は、上記酸発生剤の作用により、上記カチオン重合性化合物と重合しないものである。
したがって、常温(25℃)大気圧下で液状であっても、上記「2.カチオン重合性化合物」の項に記載されるカチオン重合性化合物は、上記溶剤には含まれない。
また、上記溶剤は、上記組成物の各成分を分散又は溶解するために用いられるものであるため、上記「1.アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物」、「3.光酸発生剤」に記載の光酸発生剤、「4.色素」に記載の色素、「5.その他の増感剤」に記載の第2増感剤等も、常温大気圧下で液状であっても、上記溶剤には含まれない。
【0260】
このような溶剤としては、水、有機溶剤のいずれも用いることができるが、有機溶剤を好ましく用いることができる。
【0261】
上記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、イソ-又はn-プロパノール、イソ-又はn-ブタノール、アミルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、1-t-ブトキシ-2-プロパノール、3-メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート等のエーテルエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;テレピン油、D-リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶剤;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;カルビトール系溶剤、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶剤は1種又は2種以上の混合溶剤として使用することができる。これらの中でも、ケトン類、エーテルエステル系溶剤等、特にプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、シクロヘキサノン等が挙げられ、これらの溶剤は1種又は2種以上の混合溶剤として使用することができる。
上記有機溶剤の中でも、ケトン類、アルコール系溶剤、エーテルエステル系溶剤、芳香族系溶剤等であることが好ましく、なかでも、エーテルエステル系溶剤、アルコール系溶剤であることが好ましい。上記組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。
【0262】
上記溶剤の含有量は、所望の硬化感度及び分散安定性が得られるものであればよく、上記組成物100質量部中に、1質量部以上99質量部以下とすることができ、10質量部以上80質量部以下であることが好ましく、15質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上40質量部以下であることが特に好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、上記組成物は、硬化感度及び分散安定性により優れたものとなるからである。
【0263】
7.ラジカル重合性化合物
上記組成物は、必要に応じてラジカル重合性化合物を含むことができる。
上記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有するものである。
上記ラジカル重合性基としては、ラジカルにより重合可能なものであればよく、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等のエチレン性不飽和基等を挙げることができる。
なお、本発明においては、ビニルエーテル基は、ラジカル重合性基としてのビニル基には該当しないものとする。
上記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を1以上有するものとすることができ、ラジカル重合性基を1つ有する単官能化合物、ラジカル重合性基を2以上有する多官能化合物を用いることができる。
【0264】
上記ラジカル重合性化合物としては、酸価を有する化合物、酸価を有しない化合物等を用いることができる。
上記酸価を有する化合物としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸等のカルボキシル基等を有するアクリレート化合物、メタクリレート化合物等を挙げることができる。
上記酸価を有しない化合物としては、ウレタンアクリレート樹脂、ウレタンメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシメタクリレート樹脂、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル等のカルボキシル基等を有しないアクリレート化合物、メタクリレート化合物を挙げることができる。
上記ラジカル重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。例えば、ラジカル重合性化合物は、エチレン性不飽和基を有し、酸価を有する化合物及びエチレン性不飽和基を有し、酸価を有しない化合物を組み合わせて使用することができる。
ラジカル重合性化合物は、2種以上を混合して使用する場合には、それらを予め共重合して共重合体として使用してもよい。
このようなラジカル重合性化合物等としては、より具体的には、特開2016-176009号公報に記載されるラジカル重合性化合物等を挙げることができる。
【0265】
本発明においては、半値幅の狭い光学フィルタを得るために用いるとの観点からは、上記ラジカル重合性化合物の含有量が少ないことが好ましい。
上記ラジカル重合性化合物の含有量は、アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物と、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤と、ラジカル重合性化合物と、の合計100質量部中に、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましく、0.5質量部以下であることが特に好ましく、0質量部であること、すなわち、ラジカル重合性化合物を含まないことが最も好ましい。
上記ラジカル重合性化合物の含有量は、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物と、カチオン重合性化合物と、光酸発生剤と、ラジカル重合性化合物と、の合計100質量部中に、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましく、0.5質量部以下であることが特に好ましく、0質量部であること、すなわち、ラジカル重合性化合物を含まないことが最も好ましい。
【0266】
8.添加剤
上記組成物は、カチオン重合性化合物、光酸発生剤、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物、ジアルコキシカルバゾール化合物、色素、その他の増感剤、溶剤、ラジカル重合性化合物以外にも、必要に応じて、添加剤を含むことができる。
また、上記添加剤としては、各種添加剤を挙げることができる。
このような添加剤としては、国際公開2017/098996号公報等に記載のものと同様とすることができる。
【0267】
上記添加剤の合計の含有量は、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を形成可能であればよいが、例えば、添加剤と、カチオン重合性化合物、光酸発生剤、アルコキシベンゼン化合物及びベンゾカルバゾール化合物との合計100質量部中に、30質量部以下であることが好ましい。硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を容易に得ることができるからである。
上記添加剤の合計の含有量は、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を形成可能であればよいが、例えば、添加剤と、カチオン重合性化合物、光酸発生剤、アルコキシベンゼン化合物、ベンゾカルバゾール化合物及びジアルコキシカルバゾール化合物との合計100質量部中に、30質量部以下であることが好ましい。硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を容易に得ることができるからである。
【0268】
9.組成物
上記組成物の製造方法としては、上記各成分を所望量含む組成物を形成可能な方法であればよく、公知の混合手段を用いる方法を挙げることができる。
上記製造方法は、溶剤を準備し、溶剤中に、カチオン重合性化合物、光酸発生剤、特定増感剤等を混合しながら、順次添加する方法を挙げることができる。
【0269】
本発明の組成物の用途としては、光学フィルタ、塗料、コーティング剤、ライニング剤、接着剤、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基板、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機エレクトロルミネッセンス(EL)用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、プリント基板、或いはカラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、プラズマ表示パネル用の電極材料、印刷インク、歯科用組成物、光造形用樹脂、液状及び乾燥膜の双方、微小機械部品、ガラス繊維ケーブルコーティング、ホログラフィ記録用材料の各種の用途を挙げることができる。
【0270】
上記光学フィルタとしては、光学フィルタを透過する光のスペクトル形状の変化が要求されるものとすることができ、例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、CCDイメージセンサ、CMOSセンサ、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置用、分析装置用、半導体装置製造用、天文観測用、光通信用、眼鏡レンズ、窓等の用途に用いることができる。
【0271】
本発明においては、上記組成物が、光学フィルタ形成用であることが好ましく、画像表示装置用の光学フィルタ形成用であることがより好ましく、画像表示装置の色調整フィルタ形成用であることが更に好ましく、2種類の発色の可視光間の重なりを低減する画像表示装置の色調整フィルタ形成用であることが最も好ましい。上記組成物は、上述の硬化感度及び分散安定性に優れるとの効果を、より効果的に発揮できるからである。
また、上記組成物の用途としては、フレキシブル性が要求される用途も挙げることができる。
具体的には、上記組成物は、フレキシブル性を有する画像表示装置用の光学フィルタの形成等に好ましく用いることができる。
【0272】
B.硬化物
次に、本発明の硬化物について説明する。
本発明の硬化物は、上述の組成物の硬化物であることを特徴とするものである。
【0273】
上記硬化物は、上述の組成物を硬化させたものであるため、例えば、上記組成物が、色素を含む場合に、色素のブリードアウト等が少なく、色素の分散状態が良好なものとすることができる。
【0274】
本発明の硬化物は、上述の組成物を用いるものである。
以下、本発明の硬化物について詳細に説明する。
なお、上記組成物については、上記「A.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0275】
上記硬化物は、通常、カチオン重合性化合物等の重合性化合物の重合物を含むものである。
上記重合性化合物の重合物の含有量は、上記「A.組成物」の項に記載のカチオン重合性化合物の含有量と同様とすることができる。
【0276】
上記硬化物の平面視形状、厚み等については、上記硬化物の用途等に応じて適宜設定することができる。
上記厚みとしては、例えば、0.05μm以上300μm以下等とすることができる。
【0277】
上記硬化物の製造方法としては、上記組成物の硬化物を所望の形状となるように形成できる方法であれば特に限定されるものではない。
このような製造方法としては、例えば、後述する「D.硬化物の製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0278】
上記硬化物の用途等については、上記「A.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0279】
C.光学フィルタ
次に、本発明の光学フィルタについて説明する。
本発明の光学フィルタは、上述の硬化物を含む光吸収層を有することを特徴とするものである。
【0280】
本発明によれば、上記光吸収層が上述の組成物の硬化物を含むことにより、画像表示装置の色再現性に優れたものとなる。また、経時安定性に優れたものとなる。
【0281】
本発明の光学フィルタは、上記光吸収層を有するものである。
以下、本発明の光学フィルタに含まれる光吸収層について詳細に説明する。
【0282】
1.光吸収層
上記光吸収層は、上述の組成物の硬化物を含むものである。
上記光吸収層に含まれる上記硬化物の含有量は、通常、光吸収層100質量部中に、100質量部である。すなわち、上記光吸収層は、上記硬化物のみからなるものとすることができる。
上記硬化物については、上記「B.硬化物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明において、上記硬化物は、通常、色素を含むもの、すなわち、特定増感剤、カチオン重合性化合物及び光酸発生剤と共に、色素を含む組成物を用いて形成されたものである。
【0283】
上記光吸収層の平面視形状、面積及び厚み等の形状については、光学フィルタの用途等に応じて適宜設定することができる。
上記光吸収層の形成方法としては、所望の形状、厚みの光吸収層を形成可能なものであればよく、公知の塗膜の形成方法を用いることができる。上記形成方法としては、例えば、後述する「D.硬化物の製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0284】
2.光学フィルタ
上記光学フィルタは、上記光吸収層のみを含むものであってもよく、上記光吸収層以外のその他の層を含むものであってもよい。
上記その他の層としては、透明支持体、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、粘着剤層等を挙げることができる。
このような各層の内容及びその形成方法等については、光学フィルタに一般的に用いられるものとすることができ、例えば、特開2011-144280号公報、国際公開第2016/158639号等に記載の内容と同様とすることができる。
上記光吸収層は、例えば、上記透明支持体及び任意の各層の間を接着する接着層等として用いられるものであっても構わない。
また、その際には、上記光学フィルタは、接着層としての光吸収層の表面に密着した、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の公知のセパレータフィルムを設けることもできる。
【0285】
上記光学フィルタは、画像表示装置用として用いる場合、通常ディスプレイの前面に配置することができる。例えば、光学フィルタをディスプレイの表面に直接貼り付けても問題はなく、ディスプレイの前に前面板や電磁波シールドが設けられている場合は、前面板又は電磁波シールドの表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルタを貼り付けても構わない。
上記光学フィルタは、例えば、画像表示装置に含まれる各部材、例えば、カラーフィルタ、偏光板等の光学部材として用いられるものであっても構わない。
また、上記光学フィルタは、上記画像表示装置に含まれる各部材に直接積層されるものであっても構わない。
【0286】
D.硬化物の製造方法
次に、本発明の硬化物の製造方法について説明する。
本発明の硬化物の製造方法は、上述の組成物を硬化する工程を含むことを特徴とするものである。
【0287】
本発明によれば、上述の組成物を硬化させるものであるため、例えば、硬化物の形成が容易なものとなる。
【0288】
本発明の硬化物の製造方法は、上記硬化する工程を含むものである。
以下、本発明の硬化物の製造方法の各工程について詳細に説明する。
なお、上記組成物は、上記「A.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0289】
1.硬化する工程
上記硬化する工程は、上述の組成物を硬化する工程である。
上記組成物の硬化方法としては、光酸発生剤から酸を発生させることで、カチオン重合性化合物同士を重合できる方法であればよい。
上記硬化方法としては、より具体的には、上記組成物に対して、紫外線等のエネルギー線を照射するエネルギー線照射処理を行う方法を用いることができる。
上記エネルギー線及びエネルギー線への暴露時間としては、国際公開2013/172145号公報等に記載の内容と同様とすることができる。
上記エネルギー線のエネルギー線源としては、超高、高、中、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー、YAGレーザー、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線等を挙げることができる。
上記エネルギー線の暴露時間は、エネルギー線の強度、塗膜厚やカチオン重合性化合物の種類等によるが、例えば、0.1秒~10秒程度とすることができる。
【0290】
2.その他の工程
上記製造方法は、必要に応じてその他の工程を有するものであっても構わない。
このような工程としては、組成物を硬化する工程の前に、上記組成物を塗布する工程等を挙げることができる。
組成物を塗布する方法としては、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の方法を用いることができる。
上記基材としては、硬化物の用途等に応じて適宜設定することができ、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等を含むものを挙げることができる。
また、上記硬化物は、基材上で形成された後、基材から剥離して用いても、基材から他の被着体に転写して用いても構わない。
【0291】
3.硬化物
本発明の製造方法により製造される硬化物及び用途等については、上記「B.硬化物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0292】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0293】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0294】
[製造例1]
化合物C-1の製造方法
2,7,12,17-テトラ-tert-ブチル-5,10,15,20-テトラアザ-21H,23H-ポルフィリン(アルドリッチ試薬)0.538g(1mmol)と、酢酸銅(II)0.2g(1.1mmol)と、DBU0.52g(3.3mmol)をノルマルペンタノール10gと混合し、140℃で8時間反応させた。その後、残差を液体クロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、減圧乾燥させて目的物C-1を得た。質量分析にて目的物の分子量であることを確認した。
【0295】
【0296】
[製造例2]
国際公開第2014/196464号に記載の方法により、下記式(C―5)で表される化合物を得た。
【0297】
【0298】
[参考例1~27及び実施例1~3]
下記表1及び2に記載の配合に従って、カチオン重合性化合物、酸発生剤、色素、ラジカル重合性化合物、光ラジカル開始剤、溶剤及び添加剤を配合して組成物を得た。
また、各成分は以下の材料を用いた。
なお、表中の配合量は、各成分の質量部を表すものである。
【0299】
(カチオン重合性化合物)
A1-1:脂肪族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(ADEKA社製ED-523T)
A1-2:脂肪族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(ADEKA社製ED-506)
A1-3:芳香族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(ADEKA社製EP-4100E)
A1-4:芳香族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(ADEKA社製EP-4901)
A1-5:芳香族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(ADEKA社製EP-4000)
A1-6:脂環族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(ADEKA社製EP-4080E)
A1-7:シクロヘキセンオキシド構造を有する脂環族エポキシ化合物、低分子量化合物(ダイセル社製セロキサイド2021P)
A1-8:脂肪族エポキシ化合物、高分子量化合物(ダイセル社製EHPE-3150)
A1-9:芳香族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、高分子量化合物(日本化薬社製NC-3000)
A1-10:芳香族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、高分子量化合物(三菱化学株式会社製JER1001)
A1-11:オキセタン化合物、低分子量化合物(東亜合成社製OXT-101)
A1-12:オキセタン化合物、低分子量化合物(東亜合成社製OXT-211)
A1-13:脂環族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(下記式(A1-13)で表される化合物)
【0300】
【0301】
(ラジカル重合性化合物)
A2-1:ラジカル重合性化合物(日本化薬社製カヤラッドDPHA(ジペンタエリスリトール ペンタ及びヘキサアクリレートの混合物))
(熱可塑性樹脂)
A3-1:熱可塑性樹脂(メタクリル樹脂、住友化学社製スミペックスLG)
【0302】
(酸発生剤)
B1-1:光酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(下記式(B1-1)で表される化合物)
B1-2:光酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(下記式(B1-2)で表される化合物)
B1-3:光酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(下記式(B1-3)で表される化合物)
B1-4:光酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(下記式(B1-4)で表される化合物)
B1-5:光酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(サンアプロ社製CPI-150)
B1-6:光酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(サンアプロ社製CPI-100P)
B1-7:光酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(サンアプロ社製CPI-210S)
B1-8:熱酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(三新化学工業株式会社製SI-110)
【0303】
【0304】
(ラジカル開始剤)
B2-1:熱ラジカル開始剤(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE184))
【0305】
(色素)
C-1:テトラアザポルフィリン、一般式(1)で表される化合物(M=Cu)(製造例1で製造された上記式(C-1)で表される化合物)
C-2:テトラアザポルフィリン、一般式(1)で表される化合物(山田化学工業製FDG-006
C-3:テトラアザポルフィリン、一般式(1)で表される化合物(M=バナジウム)(山本化成社製PD-320)
C-4:シアニン、(下記式(C-4)で表される化合物)
C-5:トリアリールメタン系色素、一般式(301)で表される化合物(製造例2で製造された上記式(C-5)で表される化合物)
【0306】
【0307】
(添加剤)
D-1:レベリング剤(東レダウコーニング社製SH-29P Paint aditive)
D-2:界面活性剤(ビックケミー社製BYK-333)
D-3:酸化防止剤(ADEKA社製AO-60)
D-4:酸化防止剤(ADEKA社製AO-20)
D-5:増感剤(下記式(D-5)で表される化合物)
D-6:増感剤(下記式(D-6)で表される化合物)
D-7:増感剤(下記式(D-7)で表される化合物)
D-8:増感剤(下記式(D-8)で表される化合物、特定増感剤)
【0308】
【0309】
(溶剤)
E-1:メチルエチルケトン(MEK)
E-2:トルエン
E-3:ジアセトンアルコール
E-4:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)
【0310】
[評価]
各種の測定については、以下の方法に従って行った。
【0311】
評価1.硬化物の最大吸収波長
以下の方法により評価用サンプルを準備し、日本分光製可視紫外吸光度計V-670を用いて、透過スペクトルを測定し、450nm~700nmの範囲における透過率の最小値(透過率)とその時の波長(最大吸収波長:λmax)を得た。結果を下記表1及び2に示す。
【0312】
(評価用サンプルの作製方法)
(1)上記組成物を、基材(東洋紡製PETフィルムA9300、100μm)に、バーコート法で塗布した。
塗膜の厚みは、硬化後の最大吸収波長での透過率が5%程度(3%以上7%以下)となるように調整した。
(2)次いで、オーブンにて塗膜を、80℃、5分間の条件で乾燥処理して溶剤を除去した。
(3)次いで、各実施例及び比較例毎に以下の硬化処理を行った。
(3-1)参考例1~16、参考例18~23及び実施例1~3では、乾燥処理後の塗膜に対して高圧水銀ランプを用いて紫外線を700mJ/cm2照射して硬化処理を行い、評価用サンプルを得た。
(3-2)参考例17では、オーブンにて乾燥処理後の塗膜に対して、100℃、20分の加熱処理を行って硬化処理を行い、評価用サンプルを得た。
(3-3)参考例24及び参考例26では、オーブンにて乾燥処理後の塗膜に対して、120℃、20分の加熱処理を行って硬化処理を行い、評価用サンプルを得た。
(3-4)参考例25及び参考例27では、乾燥処理後の塗膜(基材付き)を、評価用サンプルとした。
【0313】
評価2.硬化物の半値幅
上記「評価1.硬化物の最大吸収波長」で得られた透過スペクトルから、半値((100%-最大吸収波長での透過率(%))/2)を算出した。
次いで、得られた透過スペクトルと、半値の算出結果と、から半値となる波長を最大吸収波長より長波長側と、短波長側とでそれぞれ求め、両者の波長の差の絶対値を半値幅として算出した。結果を下記表1及び2に示す。
なお、半値幅が狭いと、例えば、硬化物を光学フィルタとして用いた際に各色の発光強度の低下を抑制できる点で優れることを示す。
【0314】
評価3.タック性
上記「評価1.硬化物の最大吸収波長」と同様の方法で作製した評価用サンプルの作製直後における、表面のタック性を触診にて評価し、以下の基準で評価した。結果を下記表1及び2に示す。
++:タックフリー(ベタツキ無)
+:ベタツキ有だが、12時間放置後はタックフリー(ベタツキ無)
なお、タック性評価が「++」であると、硬化物は、硬化速度が速いことを示す。
【0315】
評価4.カール性
上記「評価1.硬化物の最大吸収波長」と同様の方法で作製した評価用サンプルを10cm角に切り取り、目視で反り返りがあるかを評価し、以下の基準で評価した。結果を下記表1及び2に示す。
++:反り返りなし
-:反り返りあり
なお、カール性評価が「++」であると、硬化物は、カールが少なく、カール性に優れることを示す。
【0316】
評価5.可撓性
上記「評価1.硬化物の最大吸収波長」と同様の方法で作製した評価用サンプルを10cm角に切り取り、直径10mmの金属棒に巻き付けてクラックが入らないかどうかを目視にて以下の基準で評価した。結果を下記表1及び2に示す。
++:クラック無し
-:クラック有り
なお、可撓性評価が「++」であると、硬化物は、可撓性に優れることを示す。
【0317】
評価6.耐溶剤性
上記「評価1.硬化物の最大吸収波長」と同様の方法で作製した評価用サンプルの、上記組成物の硬化膜に、アセトンを染み込ませた綿棒を擦り付け、10往復後の染料の色移りを目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を下記表1及び2に示す。
++:色移り無し
-:色移り有り
なお、耐溶剤性が「++」であると、硬化物は、経時的な色変化が少ない点で優れることを示す。
【0318】
評価7.色素単体の最大吸収波長及び半値幅
色素(C-1~C-5)を、溶解後の最大吸収波長での透過率が5%程度(3%以上7%以下)となるように、クロロホルムに溶解して、色素溶液を調製した。
次いで、素溶液を、石英セル(光路長10mm、厚み1.25mm)に充填し、分光光度計(例えば、日本分光製可視紫外吸光度計V-670)を用いて透過率を測定し、450nm~700nmの範囲における透過率の最小値(透過率)とその時の波長(最大吸収波長:λmax)を得た。
また、上記評価2と同様の方法により、半値幅(色素単体半値幅)を算出した。
結果を、下記表3に示す。
【0319】
評価8.タック性2
実施例1~16及び18並びに実施例19~26について、照射する紫外線量を700mJ/cm2から100mJ/cm2に変更した以外は、上記「評価1.硬化物の最大吸収波長」と同様の方法で作製した評価用サンプルの作製直後における、表面のタック性を触診にて評価し、以下の基準で評価した。結果を下記表1及び2に示す。
++:タックフリー(ベタツキ無)
+:ベタツキ有だが、12時間放置後はタックフリー(ベタツキ無)
なお、タック性評価が「++」であると、硬化物は、硬化速度が速いことを示す。
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
表1~2及び表3より、参考例1~19の組成物は、550nm以上610nm以下に最大吸収波長を有することが確認できた。
参考例1~19は、ラジカル重合性化合物を含む参考例24及び参考例26と比較して、硬化物の半値幅と色素単体半値幅との差が小さいことが確認できた。具体的には、参考例1~19では、半値幅の差を50nm以下とすることができた。これに対して、参考例24及び参考例26では、半値幅の差が50nmより大きいものとなった。すなわち、実施例1~19の組成物は、550nm以上610nm以下の波長範囲等の所望の波長範囲に急峻な吸収ピークを有することが確認できた。
また、表には記載しないが、参考例1の色素の含有量を0.05質量部、0.1質量部、0.2質量部とした参考例(参考例1-1、参考例1-2、参考例1-3)と、参考例24の色素の含有量を0.05質量部、0.1質量部、0.2質量部とした比較例(参考例24-1、参考例24-2、参考例24-3)について、上記「評価2.硬化物の半値幅」に記載の評価を行った。
その結果、参考例1-1~1-3は、それぞれ色素の含有量が同量の参考例24-1~24-3よりも、硬化物の半値幅と色素単体半値幅との差が10nm以上小さいことが確認できた。
その結果、参考例1~19の組成物は、緑色発光及び赤色発光の色純度を高めることが可能であり、画像表示装置の色再現性に優れた光学フィルタに特に有用であることが確認できた。
【0324】
参考例1~19と参考例24及び参考例26とのカール評価から、参考例1~19の組成物は、硬化収縮が少なく、密着性等に優れたものとなることが推察された。
参考例1~19と参考例24及び参考例26との可撓性評価から、参考例1~19の組成物は、可撓性が良好であり、例えば、フレキシブル性を有する画像表示装置に用いられる光学フィルタ等に特に有用であることが確認できた。
参考例1~19と参考例25及び参考例27との耐溶剤性の評価より、参考例1~19の組成物は、カチオン重合性化合物を含むことで、三次元架橋された塗膜を形成でき、色素の保持性能等の耐久性に優れた硬化物を得られることが確認できた。
参考例17と他の参考例との比較より、光酸発生剤は熱酸発生剤より硬化速度が速いことが確認できた。また、熱酸発生剤を使用することで、硬化処理(加熱処理)後に、他の部材との貼り合わせを容易に行うことができることが確認できた。
参考例20~23及び実施例1~3と、参考例3等とのタック性2の評価から、増感剤を含む組成物は、カチオン重合性化合物として重合性に優れたA1-7の含有量が低い場合でも、優れた硬化性を発揮できることが確認できた。
【0325】
[実施例101~138及び比較例101~111]
下記表4~7に記載の配合に従って、カチオン重合性化合物、光酸発生剤、色素、ラジカル重合性化合物、光ラジカル開始剤、増感剤、溶剤及び添加剤を配合し、1時間攪拌して組成物を得た。
また、各成分は以下の材料を用いた。
なお、表中の配合量は、各成分の質量部を表すものである。
【0326】
[製造例11]
氷冷下、NaH(41.6g、1.04mol)をDMF300mlに加え、ベンゾカルバゾール(150.7g、0.69mol)のDMF(600ml)溶液を滴下して加えた。
次いで、1-ブロモ-2-エチルヘキサン(267.9g、1.38mol)を滴下して加え、60℃に昇温し2時間攪拌した。反応終了後、1300gの氷水に反応液を注ぎ、塩酸を用いてpH3に調整して、クロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、濃縮した。残渣をエタノール/ヘキサンで晶析し、目的物(下記式(E11)で表される化合物)である白色結晶を得た。質量分析にて目的物の分子量であることを確認した。
【0327】
[製造例12]
E15合成例
氷冷下、NaH(41.6g、1.04mol)をDMF300mlに加え、7H-ベンゾ[c]カルバゾール(150.7g、0.69mol)のDMF(600ml)溶液を滴下して加えた。
次いで、1-ブロモ-2-エチルヘキサン(267.9g、1.38mol)を滴下して加え、60℃に昇温し2時間攪拌した。反応終了後、1300gの氷水に反応液を注ぎ、塩酸を用いてpH3に調整して、クロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、濃縮した。残渣をトルエン/ヘキサンでカラム精製し、目的物(下記式(E15)で表される化合物)である透明オイル状物を得た。NMR分析にて目的の化合物であることを確認した。
【0328】
[製造例13]
E16合成例
氷冷下、NaH(41.6g、1.04mol)をDMF300mlに加え、11H-ベンゾ[a]カルバゾール (150.7g、0.69mol)のDMF(600ml)溶液を滴下して加えた。
次いで、ベンジルブロマイド(17.8g、0.104mol)を滴下して加え、60℃に昇温し2時間攪拌した。反応終了後、1300gの氷水に反応液を注ぎ、塩酸を用いてpH3に調整して、クロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、濃縮した。残渣をエタノール/ヘキサンで晶析し、目的物(下記式(E16)で表される化合物)である白色結晶を得た。NMR分析にて目的の化合物であることを確認した。
【0329】
[製造例14]
E18合成例
氷冷下、NaH(4.16g、0.1mol)をDMF30mlに加え、3,6-ジメトキシ-9H-カルバゾール(15.7g、0.069mol)のDMF(60ml)溶液を滴下して加えた。
次いで、ブロモエタン(1.09g、0.01mol)を滴下して加え、60℃に昇温し2時間攪拌した。反応終了後、130gの氷水に反応液を注ぎ、塩酸を用いてpH3に調整して、クロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、濃縮した。残渣をエタノールで晶析し、目的物(下記式(E18)で表される化合物)である白色結晶を得た。NMR分析にて目的の化合物であることを確認した。
【0330】
[製造例15]
E20合成例
室温にてヒドロキノン(10.0g、0.09mol)と水酸化カリウム(20.4g、0.364mol)をDMSO(80ml)に溶解させた。1-ブロモ-2-エチルヘキサン(32.5g、0.182mol)を滴下して加え、80℃に昇温し2日間攪拌した。反応終了後、ジクロロエタンで抽出し、水洗後、有機層を濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製し、目的物(下記式(E20)で表される化合物)である黄色オイル状物を得た。NMR分析にて目的の化合物であることを確認した。
【0331】
(カチオン重合性化合物)
A11:シクロヘキセンオキシド構造を有する脂環式エポキシ化合物、低分子量化合物(下記式(A11)で表される化合物、ダイセル社製セロキサイド2021P、一般式(5-1)で表される化合物)
A12:脂肪族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(下記式(A12)で表される化合物、一般式(5-2)で表される化合物)
A13:脂肪族エポキシ化合物、高分子量化合物(下記式(A13)で表される化合物、ダイセル社製EHPE-3150、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物)
A14:脂肪族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(下記式(A14)で表される化合物、一般式(5-2)で表される化合物)
A15:脂肪族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(下記式(A15)で表される化合物、n≒6、一般式(5-1)で表される化合物)
A16:芳香族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(下記式(A16)で表される化合物)
A17:オキセタン化合物、低分子量化合物(下記式(A17)で表される化合物、東亜合成社製OXT-211)
A18:グリシジルフェニルエーテル、芳香族エポキシ化合物、グリシジルエーテル型化合物、低分子量化合物(下記式(A18)で表される化合物)
【0332】
【0333】
(酸発生剤)
B11:光酸発生剤、芳香族スルホニウム塩(上記式(B1-4)で表される化合物50質量%と、下記式(B11B)で表される化合物50質量%との混合物のプロピレンカーボネート溶液、固形分50%)
【0334】
【0335】
(色素)
C11:テトラアザポルフィリン、一般式(1)で表される化合物(M=Cu)(製造例1で製造された上記式(C-1)で表される化合物)
C12:シアニン、(上記式(C-4)で表される化合物)
C13:トリアリールメタン系色素、一般式(301)で表される化合物(製造例2で製造された上記式(C-5)で表される化合物)
【0336】
(添加剤)
D11:レベリング剤(東レダウコーニング社製SH-29P Paint aditive)
【0337】
(特定増感剤)
E11:ベンゾカルバゾール化合物、一般式(4-1)で表される化合物、製造例11で製造された下記式(E11)で表される化合物
E12:アルコキシベンゼン化合物、一般式(3-1)で表される化合物、下記式(E12)で表される化合物
E13:アルコキシベンゼン化合物、一般式(3-1)で表される化合物、下記式(E13)で表される化合物
E14:アルコキシベンゼン化合物、一般式(3-1)で表される化合物、下記式(E14)で表される化合物
E15:増感剤(一般式(4-3)で表される化合物、製造例12で製造された下記式(E15)で表される化合物、特定増感剤)
E16:増感剤(一般式(4-1)で表される化合物、製造例13で製造された下記式(E16)で表される化合物、特定増感剤)
E17:増感剤(一般式(1000-1)で表される化合物、下記式(E17)で表される化合物、特定増感剤、TCI製D4833(3,6-ジメトキシ-9H-カルバゾール)
E18:増感剤(一般式(1000-1)で表される化合物、製造例14で製造された下記式(E18)で表される化合物、特定増感剤)
E19:増感剤(一般式(3-1)で表される化合物、下記式(E19)で表される化合物、特定増感剤、TCI製D1065(1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン)
E20:増感剤(一般式(3-1)で表される化合物、製造例15で製造された下記式(E20)で表される化合物、特定増感剤)
【0338】
【0339】
(増感剤)
F11:アントラセン化合物、下記式(F11)で表される化合物
F12:アントラセン化合物、下記式(F12)で表される化合物
F13:ナフタレン化合物、下記式(F13)で表される化合物
F14:カルバゾール化合物、下記式(F14)で表される化合物
F15:カルバゾール化合物、下記式(F15)で表される化合物
F16:ベンゾフェノン化合物、下記式(F16)で表される化合物
F17:キサントン化合物、下記式(F17)で表される化合物
F18:チオキサンテン化合物、下記式(F18)で表される化合物
F19:フェノチアジンカルバゾール化合物、下記式(F19)で表される化合物
F20:トリフェニルアミン化合物、下記式(F20)で表される化合物
【0340】
【0341】
(溶剤)
G11:ジアセトンアルコール(アルコール系溶剤)
G12:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、エーテルエステル系溶剤)
【0342】
[評価]
各種の測定については、以下の方法に従って行った。
【0343】
評価A1.溶解性
各増感剤0.2gに溶剤5mlを添加した後、シェイカーを用いて混合した際の溶解に要する時間から、増感剤の溶解性を評価した。結果を下記表4~7に示す。
++:10分以内に溶解
+:10分以上30分以内に溶解
-:溶解までに30分以上要する、又は、溶解しない
なお、増感剤に添加した溶剤は、実施例及び比較例で使用した溶剤と同じである。
溶解までに要する時間が短い程、溶剤との相溶性が良好であり、例えば、樹脂組成物との相溶性優れ、分散安定性に優れると判断できる。
【0344】
評価A2.分散安定性
実施例及び比較例の組成物の製造方法として、特定増感剤(E11~E20)及び非特定増感剤(F11~F20)以外の成分を混合して樹脂組成物を調製した後、特定増感剤及び非特定増感剤を添加し、シェイカーを用いて混合した。樹脂組成物に特定増感剤及び非特定増感剤が溶解するまでの時間を測定し、分散安定性を評価した。結果を下記表4~6に示す。
++:15分以内に溶解
+:15分以上60分以内に溶解。
-:溶解までに60分以上要する、又は、溶解しない
溶解までに要する時間が短い程、樹脂組成物と増感剤との相溶性が良好であり、分散安定性に優れると判断できる。
【0345】
評価A3.硬化感度
実施例及び比較例で得られた組成物を、基材(ガラス基板、10cm角、100μm)に、塗膜の厚みが3μmとなるようにスピンコート法で塗布した後、90℃1分乾燥することで、溶剤を除去し、乾燥塗膜を得た。
次いで、乾燥塗膜に対して、365nmに輝線をもつLED光源を用いた露光を行い、塗膜表面がタックフリーとなるのに要する露光量を測定し、下記基準で評価を行った。結果を下記表4~7に示す。
++:300mJ/cm2未満
+:300mJ/cm2以上1200mJ/cm2未満
-:1200mJ/cm2以上又はタックフリーとならない
タックフリーとなるのに要する露光量が少ない程、硬化感度に優れると判断できる。
【0346】
評価A4.耐湿熱性
実施例及び比較例で得られた組成物を、基材(ガラス基板、100μm)に、塗膜の厚みが3μmとなるようにバーコート法で塗布した後、150℃10分乾燥することで、溶剤を除去し、乾燥塗膜を得た。
次いで、乾燥塗膜に対して、無電極紫外光ランプを用いて1500mJ/cm2の露光量となるように、紫外線照射を行い、硬化膜を得た。
得られた硬化膜を基材に積層した状態で、恒温恒湿槽内で80℃、80RH%の条件下で24時間保存した後に、硬化膜表面を顕微鏡観察した。
硬化膜表面の1cm×1cmの範囲における、色素に由来する析出物により覆われる面積割合を測定した。この測定を硬化膜表面の任意の10か所で行い、10か所の平均を求め、以下の判断基準で評価を行った。結果を下記表4~7に示す。
++:10%未満
+:10%以上30%未満
-:30%以上
色素に由来する析出物により覆われる面積割合が少ない程、耐湿熱性に優れると判断できる。
【0347】
【0348】
【0349】
【0350】
【0351】
[まとめ]
上記表4~7より、特定増感剤を含むことにより、硬化感度及び分散安定性の両者に優れることが確認できた。
アルコキシベンゼン化合物は、アルコキシ基の炭素原子数が1であるものは、炭素原子数が2~5のものよりも、硬化感度及び分散安定性の両者に優れることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0352】
本発明によれば、硬化感度及び分散安定性に優れた組成物を提供することができる。