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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム源
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/06 20060101AFI20231016BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20231016BHJP
   H01J 1/148 20060101ALI20231016BHJP
   H01J 1/18 20060101ALI20231016BHJP
   H01J 9/02 20060101ALI20231016BHJP
   H01J 9/04 20060101ALI20231016BHJP
   H01J 9/18 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H01J37/06 A
H01J37/28 B
H01J1/148
H01J1/18
H01J9/02 A
H01J9/04 C
H01J9/04 H
H01J9/18 A
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021048709
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2021153051
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】16/828,571
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クン リウ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ.ランドルフ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-166265(JP,A)
【文献】特開平02-306614(JP,A)
【文献】米国特許第03928783(US,A)
【文献】特開2017-157368(JP,A)
【文献】特開昭62-140331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01J 1/13ー 1/28
H01J 9/00- 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム源であって、
ベースに連結された導電性の支持部材と、
前記支持部材に連結され、ボアを画定する取り付け部材であって、前記取り付け部材はさらに、前記ボアと連通する前記取り付け部材の側壁に画定された開口部を備え、前記開口部は、前記取り付け部材の自由端部から前記支持部材に向かう方向にオフセットされている、取り付け部材と、
前記ボア内に受容されたエミッタ部材であって、前記ボア内の前記エミッタ部材の周りに流される固定材料層によって保持されており、前記固定材料層の固定材料は前記開口部内に受容されている、エミッタ部材と、を備える、荷電粒子ビーム源。
【請求項2】
前記取り付け部材が、長手方向軸を画定し、
前記ボアが、前記長手方向軸に沿って延在する、請求項1に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項3】
前記取り付け部材が、その長さに沿って離間した複数のチャネルと、前記エミッタ部材の周りに延在する少なくとも1つの保持部分と、を備え、前記固定材料層が前記複数のチャネルを通って前記ボア内に流入する、請求項1に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項4】
前記エミッタ部材が、六ホウ化ランタン(LaB)または六ホウ化セシウム(CeB)を含む、請求項1に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項5】
電子ビーム源として構成されている、請求項1に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項6】
前記エミッタ部材が、前記荷電粒子ビーム源の他の構成要素によってクランプされていない、請求項1に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項7】
請求項1に記載の荷電粒子ビーム源を備える走査型電子顕微鏡。
【請求項8】
荷電粒子ビーム源を作製する方法であって、
取り付け部材内にボアを形成することであって、前記取り付け部材は、ベースに連結された導電性の支持部材に連結される、ことと、
前記取り付け部材の前記ボア内にエミッタ部材を挿入することと、
コロイド液体を前記エミッタ部材および前記取り付け部材の周りに流して、前記ボア内に前記エミッタ部材を保持する固定材料層を形成することと、を含む方法。
【請求項9】
請求項1に記載の荷電粒子ビーム源を使用する方法であって、
前記エミッタ部材を加熱して荷電粒子ビームを生成することと、
前記荷電粒子ビームをターゲットに指向することと、を含む方法。
【請求項10】
荷電粒子ビーム源であって、
ベースに連結された導電性の支持部材と、
前記支持部材に連結され、ボアを画定する取り付け部材と、
前記ボア内に受容されたエミッタ部材であって、コロイド液の分散相から形成されている固定材料層によって保持されているエミッタ部材と、を備え、
前記取り付け部材が、前記エミッタ部材の周りに延在する保持部分を備え
前記荷電粒子ビーム源は、前記取り付け部材内に画定されたチャネルをさらに備え、前記固定材料層が前記チャネルを通って前記ボア内に流入する、荷電粒子ビーム源。
【請求項11】
前記エミッタ部材は、前記固定材料層でコーティングされたものである、請求項10に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項12】
前記固定材料層が、グラファイトを含む、請求項10に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項13】
前記ボアおよび前記エミッタ部材がそれぞれ、長方形の断面を備える、請求項10に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項14】
荷電粒子ビーム源であって、
ベースに連結された導電性の支持部材と、
前記支持部材に連結され、ボアを画定する取り付け部材であって、前記取り付け部材は、前記取り付け部材の自由端部から前記支持部材に向かう方向にオフセットされている、前記取り付け部材の側壁に画定された開口部を備え、前記開口部は前記ボアと連通している取り付け部材と、
前記ボア内に受容されたエミッタ部材であって、前記取り付け部材の前記開口部内に受容され、前記ボア内の前記エミッタ部材をコーティングしている固定材料層によって前記ボア内に保持されたエミッタ部材と、を備え、
前記ボアの断面が、前記エミッタ部材の断面よりも大きい、荷電粒子ビーム源。
【請求項15】
前記エミッタ部材が、前記取り付け部材によってクランプされていない、請求項14に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項16】
前記取り付け部材および前記エミッタ部材の外面が、前記固定材料層によってコーティングされたものである、請求項14に記載の荷電粒子ビーム源。
【請求項17】
前記固定材料層が、グラファイトを含む、請求項14に記載の荷電粒子ビーム源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子ビーム源などの荷電粒子ビーム源、ならびにそれを製造するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型および/または透過型電子顕微鏡内で使用されるものなどの荷電粒子ビーム(CPB)源は、通常、電気的にバイアスされる、および/または熱的に加熱されると(例えば、ショットキーエミッタの場合)、荷電粒子のビームを放出するフィラメントなどのビーム生成要素を含む。このようなフィラメントは、通常、結晶性タングステンまたはレニウムなどの金属材料、六臭化ランタン(LaB)または六臭化セシウム(CeB)などの化合物材料、および/または低い仕事関数を有する他の材料から作製される。しかしながら、低仕事関数の化合物材料で作製されたフィラメントをタングステンヘアピンなどの発熱体に連結することは、これらの材料が、通常、電気スポット溶接で取り付けられ得ないため、問題があり得る。したがって、化合物材料から作製された既存のCPB源は、通常、摩擦係合、またはフォーゲルマウント内のグラファイトシート間にフィラメントをクランプすることによるなど、発熱体構造の一部によるエミッタフィラメントへの圧縮力の印加に依存する。他のアプローチとしては、エミッタフィラメントの厚さがナノメートルからマイクロメートルの厚さである場合に、集束イオンビーム(FIB)溶接によってフィラメントを固定することが挙げられる。これらのアプローチの各々では、エミッタフィラメントを正確に位置合わせすることが困難で、時間がかかる。フォーゲルマウントはまた、通常、エミッタを洗浄するため、および/またはソースの動作中にビーム生成を開始するために比較的高い電気加熱電流を必要とし、このことが、例えば、熱安定性の問題を引き起こす可能性がある。FIB溶接は時間がかかり、技術的に複雑であり、通常、真空下で実行されなければならず、比較的高い製造コストおよび低い生産性をもたらす。したがって、改善されたCPB源の構造および製造技術の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の特定の実施形態は、電子顕微鏡などの荷電粒子ビームシステム内で使用するための荷電粒子ビーム源またはモジュールに関する。代表的な実施形態では、荷電粒子ビーム源は、ベースに連結された導電性支持部材と、支持部材に連結され、ボアを画定する取り付け部材と、ボア内に受容されたエミッタ部材であって、エミッタ部材の周りに流される固定材料層によって保持される、エミッタ部材と、を含み得る。
【0004】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、取り付け部材は、長手方向軸を画定し、ボアは、この長手方向軸に沿って延在する。
【0005】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、取り付け部材は、取り付け部材の自由端部から長手方向にオフセットされた、取り付け部材の長さに沿った開口部を備え、開口部は、ボアと連通している。固定材料層の固定材料が、開口部内に受容される。
【0006】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、開口部は、取り付け部材内に形成されたチャネルである。
【0007】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、取り付け部材は、その長さに沿って離間した複数のチャネルと、エミッタ部材の周りに延在する複数の保持部分と、を備える。
【0008】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、取り付け部材は、支持部材に連結された第1の端部を備え、自由端部は、自由な第2の端部であり、開口部は、自由な第2の端部から第1の端部に向かってオフセットされている。
【0009】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、エミッタ部材は、六臭化ランタン(LaB)または六臭化セシウム(CeB)、もしくはスポット溶接可能でない他のエミッタ材料を含む。
【0010】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、固定材料層は、コロイド液体の分散相から形成される。
【0011】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、固定材料層は、グラファイトを含む。
【0012】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、荷電粒子ビーム源は、電子ビーム源として構成されている。
【0013】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、エミッタ部材は、荷電粒子ビーム源の他の構成要素によってクランプされていない。
【0014】
別の代表的な実施形態では、走査型電子顕微鏡は、開示された実施形態のいずれかまたはすべての荷電粒子ビーム源を備え得る。
【0015】
別の代表的な実施形態では、荷電粒子ビーム源を作製する方法は、取り付け部材内にボアを形成することと、エミッタ部材を取り付け部材のボア内に挿入することと、コロイド液体をエミッタ部材および取り付け部材の周りに流して固定材料層を形成することと、を含む。
【0016】
別の代表的な実施形態では、荷電粒子ビーム源を使用する方法は、エミッタ部材を加熱して荷電粒子ビームを生成することと、荷電粒子ビームをターゲットに指向することと、を含む。
【0017】
別の代表的な実施形態では、荷電粒子ビーム源は、ベースに連結された導電性支持部材と、支持部材に連結され、ボアを画定する取り付け部材と、ボア内に受容されたエミッタ部材と、を備え、取り付け部材は、エミッタ部材の周りに延在する保持部分を備える。
【0018】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、エミッタ部材は、ボア内のエミッタ部材の周りに流される固定材料層によってボア内に保持される。
【0019】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、固定材料層は、コロイド液体の分散相から形成される。
【0020】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、荷電粒子ビーム源は、保持部分の間に画定されたチャネルをさらに備え得る。
【0021】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、ボアおよびエミッタ部材はそれぞれ、長方形の断面を備える。
【0022】
別の代表的な実施形態では、帯電粒子ビーム源は、ベースに連結された導電性支持部材と、支持部材に連結され、ボアを画定する取り付け部材と、ボア内に受容され、固定材料層によってボア内に保持されたエミッタ部材と、を備え、ボアの断面は、エミッタ部材の断面よりも大きい。
【0023】
開示された実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、エミッタ部材は、取り付け部材によってクランプされていない。
【0024】
開示された技術の前述および他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、添付図面を参照してより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態による、荷電粒子ビームシステムの代表的な実施形態の概略図である。
図2】一実施形態による、荷電粒子ビーム源の側面図である。
図3図2の荷電粒子ビーム源の取付部材およびエミッタ部材の拡大斜視図である。
図4】ボアおよびチャネルを形成する前の、図2の取り付け部材の側面図である。
図5】一実施形態による、軸方向ボアと、軸方向に離間したチャネルと、を形成した後の図2の取付部材の自由端部の拡大斜視図である。
図6】軸方向ボア内に受容されたエミッタ部材を示す、図2の取付部材の自由端部の拡大斜視図である。
図7】エミッタ部材をボア内に固定するために適用された固定材料層を示す、図2の取付部材の自由端部の拡大斜視図である。
図8】エミッタ部材を成形する前の、図2の取付部材の自由端部およびエミッタ部材の斜視図である。
図9】一実施形態による、冷電界エミッタとして構成されたエミッタ部材を示す、図2の取り付け部材の自由端部およびエミッタ部材の拡大斜視図である。
図10図9のエミッタ部材の一部の拡大斜視図である。
図11】取付部材のボアの断面に重ね合わされた図2のエミッタ部材の断面を示す概略図である。
図12】一実施形態による、荷電粒子顕微鏡の一部内に取り付けられた図2の荷電粒子ビーム源を示す断面図である。
図13】一実施形態による、荷電粒子ビーム源を作製する方法を示すプロセスフロー図である。
図14】円周方向に互いにオフセットされた2つのチャネルを備える、図2の取り付け部材の自由端部の拡大斜視図である。
図15】単一チャネルを含む、図2の取付部材の自由端部の拡大斜視図である。
図16】複数の円形開口部を含む、図2の取付部材の自由端部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、電子ビーム源、フィールドエミッタ、電子銃などのような荷電粒子ビーム(CPB)源の実施形態、ならびにそれらを製造するためのシステムおよび方法に関する。本明細書に開示されるCPB源は、CPB顕微鏡などのCPBシステムの文脈で説明されるが、電子ホログラフィ、X線源、平面ディスプレイ、ジェット推進などの他の用途においても有用であり得る。本明細書に記載のCPB源は、一対の電極に連結されたタングステンヘアピンなどの導電性(例えば、金属)支持部材と、支持部材の頂点に連結され、この頂点から延在する金属(例えば、タングステン)製取り付け部材と、を含み得る。取り付け部材は、LaBまたはCeBフィラメントなどのエミッタ部材が受容される軸方向ボアを画定し得る。取り付け部材は、取り付け部材の側面にあり、取り付け部材の自由端から軸方向にオフセットされた少なくとも1つの開口部、アパーチャ、またはチャネルをさらに画定し得る。エミッタ部材は、ボアの内面、エミッタ部材の対応する表面、および/または取り付け部材の外面が固定材料層によってコーティングされるように、取り付け部材の周りに流され、少なくとも1つのチャネルを通ってボア内に流入する固定材料層によって、取り付け部材のボア内に保持され得る。本明細書に開示されるCPB源は、重大な劣化なしに、かつ構造の他の要素によって加えられる圧縮力でエミッタを所定の位置にクランプまたは保持する必要なしに、ビーム生成エミッタとCPBシステムの光軸との改善された位置合わせ、ならびに高温での長期の安定した信頼性のある動作を提供し得る。
【0027】
実施例1
図1は、ビームカラム102を備える荷電粒子ビーム(CPB)システム100の代表的な実施形態を示す。ビームカラム102は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、または走査型透過電子顕微鏡(combination scanning and transmission electron microscope)(STEM)などの荷電粒子顕微鏡であり得る。例示の実施形態では、参照を容易にするために、限定するものではないが、ビームカラム102は、走査型電子顕微鏡(SEM)として構成されている。SEM102は、集光レンズ116および対物レンズ106などの1つ以上のCPBレンズを備え得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のCPBレンズは、磁気レンズであり得、特に、対物レンズ106は、磁気対物レンズであり得る。SEM102は、ターゲットまたはワークピースWの画像を生成するために位置付けられている。
【0028】
SEM102は、ワークピースWを保持および移動するための位置決めシステム110を収容する真空チャンバ108に、または真空チャンバ108内に取り付けられ得る。真空チャンバ108は、真空ポンプ(図示せず)を使用して排気され得る。
【0029】
SEM102は、本明細書に記載のCPB源の実施形態のいずれかに従って構成され得るCPB源112を備え得る。SEM102は、CPB源112からの「生の」放射ビームを操作して、放射ビームに対して集光、収差緩和、クロッピング(開口を使用して)、フィルタリング、走査などの操作を実行するように構成され得る。例えば、CPB源112は、粒子光軸115に沿って伝播する入力荷電粒子のビーム(例えば、電子ビーム)114を生成し得る。SEM102は、一般に、ビーム114をワークピースWに集束させるための集光レンズ116および対物レンズ106などの1つ以上のレンズ(例えば、CPBレンズ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、SEM102は、ビーム114を操縦するように構成することができる偏向ユニット118を備え得る。例えば、ビーム114は、調査されているサンプルまたは処理されるべきワークピースを横切って走査運動(例えば、ラスターまたはベクトル走査)で操縦され得る。特定の実施例では、他のレンズ、デフレクタ、スティグメータ、および/またはアパーチャなどの追加のCPB構成要素が使用されているが、説明の便宜上、図示されていない。
【0030】
CPBシステム100は、とりわけ、偏向ユニット118、荷電粒子ビーム(CPB)レンズ106、116、位置決めシステム110、および検出器(図示せず)を制御するための、およびワークピースもしくはその一部の画像、位置情報、またはシステム制御データなどの、検出器から収集された情報を表示ユニットに表示するためのコンピュータ処理装置ならびに/またはコントローラ128をさらに備え得る。場合によっては、制御コンピュータ130が、様々な励起を確立し、画像データを記録し、そして一般に、SEM、位置決めシステムなどの動作を制御するために提供される。
【0031】
実施例2
図2および3は、一実施形態による、荷電粒子ビーム(CPB)源の構成要素、モジュール、またはアセンブリ200を示す。CPB源200は、絶縁本体202と、絶縁本体202内に配設された、または埋め込まれた2つの電極204および206と、を備えるベース201を備え得る。特定の実施形態では、絶縁本体202は、様々なセラミック材料(例えば、アルミナ、窒化ホウ素、ガラス、機械加工可能なガラスセラミックなど)のいずれかなどの高温絶縁材料からなり得る。
【0032】
CPB源200は、絶縁本体202の片側で2つの電極204および206を相互接続する湾曲したまたは角度の付いた支持部材208(「ヘアピン」とも呼ばれる)をさらに備え得る。例示の実施形態では、支持部材208は、頂点214で一緒に連結された第1の部分210と、第2の部分212と、を備え得る。支持部材208の第1の部分210は、電極204に連結または電気的に接続され得、支持部材の第2の部分212は、電極206に連結または電気的に接続され得る。特定の実施例では、第1および第2の部分210および212は、頂点214を絶縁本体202の長手方向軸(例えば、軸218)に位置合わせするように、それぞれの電極204および206の反対側に(例えば、円周方向に180°オフセットされた円筒形電極の表面上の点に)連結され得る。しかしながら、他の実施形態では、部分210および212は、システムの特定の要件に応じて、電極の互いに同じ側に連結され得る。
【0033】
CPB源200は、支持部材208の頂点214に連結され、頂点214から延在する取り付け部材216をさらに備え得る。図3は、取り付け部材216をより詳細に示す。例示の実施形態では、取り付け部材216は、支持部材208の頂点214に連結された第1の端部220と、自由な第2の端部222と、を含む円筒体として構成されているが、他の実施形態では、取り付け部材は、任意の形状を有してもよい。取り付け部材216は、長手方向軸218を画定し得る。取り付け部材216は、別個に形成されて、支持部材208に(例えば、溶接によって)取り付けられてもよいか、または支持部材と取り付け部材とが単一構造であるように、支持部材と一体的に形成されてもよい。本明細書で使用される場合、「一体的に形成された」および「単一構造」という用語は、別々に形成された材料片を互いに対して固定するための任意の溶接、留め具、または他の手段を含まない構造を指す。
【0034】
図5を参照すると、取り付け部材216は、取り付け部材内に形成され、自由な第2の端部222から長手方向軸218(図3)に沿った方向に延在するシャフト/ルーメン/キャビティ/ボア226をさらに備え得る。例えば、例示の実施形態では、ボア226は、自由な第2の端部222の自由縁に開口部228を含み、以下でさらに説明するように、エミッタ部材またはフィラメント224を受容するように構成され得る。特定の実施形態では、ボア226は、例えば、エミッタ部材224の長さに応じて、取り付け部材216の長さのうちの任意の部分に沿って延在し得る。例示の実施形態では、ボア226は、エミッタ部材224の長方形の断面に対応する長方形の断面を有するが、他の実施形態では、ボアは、エミッタの形状に応じて、丸いまたは円形の断面などの任意の断面形状を有してもよい。
【0035】
特定の実施形態では、取り付け部材216は、その長さに沿って離間し、チャネル/凹部/トレンチ/スロット230として構成された1つまたは複数の開口部を備え得る。チャネル230は、取り付け部材216の第2の端部222内に形成され得、取り付け部材の断面を通って少なくとも部分的に延在し得る。図3および5を参照すると、以下でより詳細に説明される固定材料層242を適用する前に、チャネル230は、ボア226と流体連通であり得る。特定の実施形態では、チャネル230は、長手方向軸218(図3)に垂直に延在し得、取り付け部材216の長さに沿って互いに軸方向に離間され得る。
【0036】
特定の実施形態では、チャネル230は、自由な第2の部分222内に形成され得る。例えば、例示の実施形態では、自由な第2の端部222は、長手方向軸218に沿って互いに軸方向に離間し、取り付け部材の厚さのほぼ中間まで延在する2つのチャネル230Aおよび230Bを備える。自由な第2の端部222は、連続するチャネル230の間、および/または特定の実施形態では、自由な第2の端部222の端面に配設された保持部材/部分232として構成された湾曲した突起または延長部をさらに備え得る。例えば、図5に示される実施形態では、取り付け部材216は、チャネル230Aと230Bとの間の湾曲した保持部分232Aと、チャネル230Bの遠位に位置する湾曲した保持部分232Bと、を備える。ボア226は、保持部分232Aおよび232Bを通って延在し得る。
【0037】
図5をさらに参照すると、例示の実施形態では、取り付け部材216は、保持部分230Bから軸方向に(例えば、遠位に)延在する延長部分またはクレードル部分234をさらに備え得る。クレードル部分234は、ボア226と軸方向に位置合わせされ、(少なくともエミッタ部材224の挿入および固定材料層242の適用の前に)ボア226と流体連通している長手方向に延在する凹部またはチャネル236を画定し得る。特定の実施形態では、クレードル部分234は、一緒にノッチ246を画定し得る、3つの軸方向に延在する尖った突起248、250、および252を備え得る。
【0038】
特定の実施形態では、チャネル230は、例示の実施形態のように、互いに円周方向に位置合わせされ得るか、または円周方向にオフセットされ得る。例えば、特定の実施形態では、チャネル230は、取り付け部材216の円周の周りのどこにでも形成され得、任意の角度間隔を有し得る。例えば、図14は、チャネル230Aおよび230Bが、互いに円周方向に180°オフセットされている別の実施例を示す。チャネル230はまた、システムの特定の要件に応じて、例示のように均一な軸方向間隔で、またはチャネル間で異なる軸方向間隔で、形成され得る。チャネル230はまた、軸方向で測定された任意の幅を有し得、取り付け部材の円周の任意の割合の周りに延在し得る。チャネルも、同じ幅または円周長を有する必要はない。他の実施形態では、取り付け部材は、図15に示されるように、単一のチャネル230のみを含んでもよい。さらに他の実施形態では、チャネル230は、ボア226と流体連通する任意のサイズおよび/または形状の開口部またはアパーチャであり得、固定剤をボア内に入れるために、取り付け部材216に沿って、および/または取り付け部材216の周りに任意の数および任意の位置に形成され得る。例えば、図16は、示されるように互いに角度的におよび長手方向に位置合わせされ得るか、または任意の配置で角度的におよび/または長手方向にオフセットされ得る、複数の丸いアパーチャ260を含む取り付け部材216を示す。取り付け部材はまた、取り付け部材に沿って軸方向に離間されたそのようなアパーチャ260の複数の列またはバンドを含み得る。さらに他の実施形態では、エミッタ部材224は、支持部材208内に、例えば、頂点に形成されたボア内に受容され得、取り付け部材を含む必要はない。
【0039】
上記のように、CPB源は、取り付け部材216に連結されたエミッタ部材224をさらに備え得る。より具体的には、エミッタ部材224のベースまたは第1の端部238(図6)が、取り付け部材216のボア226内に受容され得、エミッタ部材は、取り付け部材の自由な第2の端部222から長手方向軸218(図3)に沿った方向に、軸方向に延在し得る。特定の実施形態では、エミッタ部材224の先端または自由端部は、鋭利または先が尖っていてもよい。例示の実施形態では、エミッタ部材224は、長方形のボア226に対応する長方形の断面を有しているが、エミッタ部材224およびボア226は、任意の断面形状を有してもよい。
【0040】
エミッタ部材224は、比較的低い仕事関数(例えば、2.6eV以下などの、2.93eV以下)を示す様々な材料のいずれかからなり得る。例示的な材料としては、結晶性六臭化ランタン(LaB)、六臭化セシウム(CeB)、結晶性タングステン(例えば、W(100))、ZrO被覆結晶性タングステン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノコーン、ZnOナノベルト、WOxナノワイヤー、または他の金属ナノワイヤーなどが挙げられる。
【0041】
特定の実施形態では、エミッタ部材224およびボア226は同じ断面形状を有しているが、ボア226の断面(例えば、断面積)は、エミッタ部材の第1の端部238の断面(例えば、断面積)よりも大きくてもよい。このことが図11に示されており、エミッタ部材224の第1の端部238の断面が、ボア226の断面に概略的に重ねて示されている。したがって、エミッタ部材224を取り付け部材216に固定する、あるいは取り付ける前に、エミッタ部材は、ボア226内で取り付け部材に対して長手方向に自由に移動し得る。したがって、既存のフォーゲルタイプのCPB源と異なり、例示の実施形態では、取り付け部材216は、エミッタ部材を所定の位置に保持するために、エミッタ部材224をクランプしたり、またはエミッタ部材224に圧縮力を印加したりしない。
【0042】
したがって、エミッタ部材224をボア226内の所定の位置に固定するために、固定材料、結合剤、または固定または結合剤手段が使用され得る。特定の実施形態では、固定材料は、エミッタ部材224を取り付け部材216に固定する/結合する/留める/連結する/取り付ける材料の層の形態であり得、本明細書では固定材料層242と呼ばれる(図3および7)。特定の実施形態では、固定材料層242は、コロイド液体またはゾルの分散相などの液体状態または流動可能な状態で適用される材料であり得る。特定の実施形態では、固定材料層242は、コロイド状グラファイト混合物の液相または液媒の蒸発後に残されたグラファイトの層を含み得る。特定の実施形態では、固定材料層242は、エミッタ部材224をボア内の所定の位置に接合または固定するために、ボア226内のエミッタ部材224の周囲の周り、および/または取り付け部材216の外側の周りに少なくとも部分的に延在し得る。
【0043】
固定材料層242を形成するために使用され得る例示的な材料としては、グラファイト、グラフェン、バッキーボール(例えば、C60)、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボンなどが挙げられる。そのような材料は、液相が、水(例えば、水性コロイド状混合物)、アルコール(例えば、イソプロパノール)、アセトンなどのいずれかを含むコロイド状混合物の一部(例えば、分散相)として適用され得る。他の実施形態では、エミッタ部材224は、タングステン、レニウム、モリブデン、タンタルなどの比較的高い溶融温度を有する他の材料、および/または集束イオンビーム(FIB)溶接を含む他のプロセス、電子ビーム蒸着、熱蒸発、スパッタリング、化学蒸着、原子層堆積などのさまざまな薄膜蒸着技術のいずれかを使用して、所定の位置に固定され得る。
【0044】
特定の実施形態では、支持部材208および/または取り付け部材216は、比較的高い融点を有する様々な金属のいずれかなど、任意の導電性の高温材料で作製され得る。非限定的な例として、タングステン(W)(例えば、多結晶タングステン)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)、ニオブ(Nb)など、および/またはそのような金属の組み合わせまたは合金が挙げられる。
【0045】
図4~9は、一実施形態による、CPB源200を作製する代表的なプロセスを示す。図4は、ボアおよびチャネルを形成する前の機械加工されていない状態の、支持部材208に取り付けられた取り付け部材216を示す。特定の実施形態では、取り付け部材216の自由な第2の端部222は、尖った先端244を備え得る。特定の実施形態では、支持部材208および/または絶縁本体202は、適切な固定具に取り付けられ得、ボア226は、例えば、レーザービーム加工、集束イオンビームミリングなどの様々なミリングまたはマイクロマシニング技術のいずれかによって形成され得る。チャネル230は、同様の方法で、および/または化学エッチング(例えば、湿式または乾式エッチング)、フォトリソグラフィなどを含む他の技術によって形成され得る。
【0046】
図5は、ボア226およびチャネル230を形成した後の取り付け部材216を示す。例示の実施形態では、尖った先端244(図4)の一部が部分的にミリングで除去されて、クレードル部分234および突起248~252を形成し得る。他の実施形態では、尖った先端244は、ミリングされないままであってもよいか、またはミリングで完全に除去されてもよい。図6を参照すると、次に、エミッタ部材224が、例えば、マイクロマニピュレータを使用して、矢印254の方向にボア226内に挿入され得る。ボア内に受容されると、エミッタ部材が保持部分の位置において取り付け部材の材料によって囲まれるように、保持部分232Aおよび232Bが、エミッタ部材224の周りまたは上に延在し得る。
【0047】
図7を参照すると、次に、固定材料層242を適用することによって、エミッタ部材224が、所定の位置に固定され得る。特定の実施形態では、固定材料層242が、コロイド状グラファイトの場合のように、液体状態で適用(例えば、ピペットを使用して注入)され得る。コロイド液体が、チャネル230の周りに、およびチャネル230を通って、ボア226(図5)内およびエミッタ部材224の周りに流れ得、その結果、エミッタ部材224およびボアの内面が、ボア226の実質的に全長に沿って、コロイド液体によって湿潤される。コロイド液体の液媒または液相が蒸発することが可能になり、エミッタ部材、ボア、および取り付け部材の表面をコーティングしている/被覆している/封入している/包んでいる固定材料層(例えば、グラファイト層)を残して、エミッタ部材224を所定の位置に保持し得る。特定の実施形態では、図7および8に示されるように、固定材料層242が、エミッタ部材224と、大き過ぎるボア226との間の間隙または空洞を充填し得る。特定の実施形態では、固定材料層242と、取り付け部材216とが高温で一緒に接合/融合/溶着し、固定材料層が炭素またはグラファイトを含み、取り付け部材がタングステンを含む実施形態などで、エミッタ部材224を取り付け部材に固定するのにさらに役立ち得る。このような融合または溶着は、通常の顕微鏡操作中、および/またはアセンブリが加熱される慣らし運転期間中に起こり得る。
【0048】
図8は、取り付け部材216に固定されたエミッタ部材224を示す。特定の実施形態では、エミッタ部材224は、次に、冷電界エミッタ、ショットキーエミッタなどとして動作するための追加の処理または成形ステップを経ることができる。例えば、特定の実施形態では、エミッタ部材224は、取り付け部材216を超えて指定された距離(例えば、特定の実施形態では200μm)延在するように短縮され得る。特定の実施形態では、エミッタ部材224の先端または自由端部はまた、所望の特定の特性に応じて、先が尖るように、または他の指定された形状に成形/機械加工/ミリングされ得る。例えば、図9および10は、角錐(図9)およびナノロッド(例えば、円筒形または実質的に円筒形)(図10)として構成されたエミッタ部材224を示す。このようなエミッタは、冷電界エミッタまたはショットキーエミッタとして動作するように構成され得る。
【0049】
図12は、本明細書に記載のCPBシステムのいずれかに従って構成され得る、荷電粒子顕微鏡300内に取り付けられたCPB源200の断面図を示す。顕微鏡300内に取り付けられると、エミッタ部材224は、顕微鏡の粒子光軸302に沿って正確に位置合わせされ得る。(エミッタが冷電界エミッタとして構成されているか、ショットキーエミッタとして構成されているかに応じて)(例えば、支持部材208を通して電流を流すことにより)エミッタ部材224を電気的にバイアスおよび/または加熱することにより、エミッタ部材224が、荷電粒子のビームを放出し得、このビームが、上記のように、ビームカラムのさまざまな要素によって操作および集束され得る。図12では、断面の平面の後ろに位置する支持部材208の第2の部分212の一部のみが見える。
【0050】
本明細書に記載の実施形態のうちの1つ以上は、既存のCPB源を超える重要な利点を提供し得る。例えば、エミッタ部材を取り付け部材のボア内に挿入し、固定材料をボア内に流すことによってエミッタ部材を所定の位置に固定することにより、従来のフォーゲルマウントを使用して可能であるよりも著しく小さいCPB源の製造が可能になる。本明細書に記載のCPB源の取り付け部材216は、直径が数十マイクロメートル以下であり得る一方、匹敵するフォーゲルマウントは、数百マイクロメートルから数ミリメートルまでの直径または主寸法を有するタングステンベースマウントまたはクランプ部材を必要とする可能性がある。したがって、本明細書で説明されるように構成されたCPB源のビーム生成部分は、フォーゲルマウントを含む匹敵するCPB源よりも10倍小さくあり得る。これにより、エミッタフィラメントを動作温度まで加熱するために必要な電流を減らすこともでき、対応する熱安定性の向上がもたらされる。
【0051】
さらに、本明細書に記載のCPB源を製造するために必要な時間が、同等もしくはより優れた性能を提供しながら、既存のソースと比較して大幅に短縮され得る。より具体的には、ボア226が、取り付け部材216の軸と正確に位置合わせされて形成され得るので、エミッタ部材224は、ボア内に受容されたときに、自動的にこの軸に正確に位置合わせされ得、複雑な位置合わせ手順および固定具は必要ない。さらに、エミッタ部材は、フォーゲルマウントのように支持構造体によって印加される圧縮力によって所定の位置にクランプまたは保持されないので、エミッタ部材224を取り付ける複雑さ、および必要な時間も大幅に短縮され得る。特に、本明細書に記載のCPB源の構成は、作業のすべてが組み立ておよび位置合わせを複雑にする、エミッタフィラメントを受容するために、支持構造体のクランプ部材をバラバラに広げることも、グラファイトシートなどの部材をクランプ部材と、エミッタフィラメントとの間に配置することも必要としない。
【0052】
さらに、ボアの形成、チャネルの形成、エミッタ部材の配置、および/または固定材料層の適用のいずれかまたはすべてが、周囲実験室条件(例えば、「空気中」)で行われ得、真空下で実施される必要がない。これにより、既存のビーム源、特に真空下での構成要素のFIB溶接または固定を必要とするものと比較して、CPB源200の製造に必要な時間が、大幅に低減され得る。本明細書に記載のCPB源の製造はまた、自動化され得、および/または商業規模で実施され得る。
【0053】
本明細書に記載の構造を有するCPB源が、荷電粒子顕微鏡内で10-6トールの圧力で約1時間、2200Kの温度に加熱され、機械的ドリフトも、固定材料層からの材料損失も実質的に全く観察されず、本明細書に記載のCPB源の実施形態が堅牢で信頼できることが示された。
【0054】
本明細書に記載のCPB源は、そのような顕微鏡が、集束イオンビーム(FIB)ミルなどの他のビームカラムと組み合わされるマルチビームシステムを含む、上記のSEM、TEM、またはSTEMなどの様々な荷電粒子ビームシステムのいずれかで使用され得る。
【0055】
図13は、CPB源200を作製する代表的な方法を示す。プロセスブロック400において、ベース部材202がチャックまたは固定具に取り付けられた状態で、ボア226が、例えば、パルス波または連続波の集束または非集束レーザービームを用いて、取り付け部材216内に形成され得る。プロセスブロック402において、開口部/アパーチャ/チャネル230が、例えば、パルス波または連続波の集束または非集束レーザービーム、エッチング、またはフォトリソグラフィプロセスによって、取り付け部材216の自由な第2の端部222に形成され得る。プロセスブロック404において、ベース部材202が1つの固定具に保持され、エミッタ部材224がマイクロマニピュレータなどの別の固定具に保持された状態で、エミッタ部材が、ボア226と位置合わせされ、ボア226内に挿入され得る。プロセスブロック406において、液体がチャネル230を通ってボア226内およびエミッタ部材224の周りに流れて、エミッタ部材、ボア、保持部分、および取り付け部材の他の部分の表面をコーティングするように、コロイド状グラファイト液体を取り付け部材の自由な第2の端部222にピペッティングすることによってなどで、固定材料層242が適用され得る。コロイド液体の液相が蒸発したときに、ソースが使用されるCPBシステムの特定の要件に応じて、エミッタ部材224のさらなる成形が実行され得る。代替的に、固定材料層は、上記のように、薄膜蒸着などによってなど、他の方法で適用され得る。
【0056】
用語の説明
本出願および特許請求の範囲において使用される、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。加えて、「含む」という用語は、「備える」を意味する。さらに、「結合された」という用語は、結合された項目間の中間要素の存在を排除するものではない。
【0057】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、多少なりとも制限的なものとして解釈されるべきではない。そうではなく、本開示は、単独で、ならびに互いとの様々な組合せおよびに部分的組合せによる、様々な開示された実施形態のすべての新規かつ非自明な特徴および態様に関する。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様または特徴、もしくはこれらの組合せに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つ以上の特定の利点が存在する、または問題が解決されることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0058】
開示された方法のいくつかの動作は、提示の便宜上、特定の順序で記載されているが、本明細書に記載される具体的な言葉によって特定の順序付けが要求されない限り、この説明方法が並び替えを包含することが、理解されるべきである。例えば、順に記載される動作は、いくつかの場合において、並び替えられるかまたは同時に実施され得る。さらに、単純化のために、添付の図面は、開示されたシステム、方法、および装置が、他のシステム、方法、および/または装置と共に使用され得る様々な方法を示さない場合がある。加えて、説明は、開示された方法を説明するために、「生成する」および「提供する」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実行される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施態様に応じて、様々であり、当業者には容易に認識可能である。
【0059】
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低」、「最良」、「最小」などと呼ばれる。そのような記載は、多くの使用される機能的選択肢からの選択が可能であることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも優れている(better)、小さい(smaller)、または他の点で望ましい(otherwise preferable)必要はないことが理解されよう。
【0060】
特定の例は、「上に」、「下に」、「上の」、「下の」などとして示される方向を参照して説明されることがある。これらの用語は、説明の便宜上使用されているが、特定の空間的方向性を示唆するものではない。
【0061】
本明細書に記載されている様々な構成要素、パラメータ、動作条件などの代替案があるが、それは、それらの代替案が必ずしも同等であり、および/または同等に良好に機能することを意味するものではない。また、特に明記されていない限り、代替案が好ましい順で列挙されることも意味しない。
【0062】
開示された技術の原理が適用され得る多数の可能な実施形態に照らして、例示の実施形態は単なる例であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないと認識すべきである。むしろ、開示の範囲は、少なくとも以下の特許請求の範囲、およびその中に記載された特徴の等価物と同程度の広さである。したがって、私たちはこれらの主張の範囲および趣旨に含まれるすべてのものを主張する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
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図16