IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】光学アイソレーションモジュール
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231016BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021173591
(22)【出願日】2021-10-25
(62)【分割の表示】P 2018515544の分割
【原出願日】2016-09-30
(65)【公開番号】P2022023906
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】14/970,402
(32)【優先日】2015-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/236,056
(32)【優先日】2015-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ダス,パラシュ,パリジャット
(72)【発明者】
【氏名】タオ,イエジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ダニエル,ジョン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シャフガンズ,アレクサンダー,アンソニー
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-158728(JP,A)
【文献】特開2014-041828(JP,A)
【文献】特表2015-525474(JP,A)
【文献】特表2015-525475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H05G 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外線(EUV)光源のための装置であって、
複数のダイクロイック光学要素であって、各々の前記ダイクロイック光学要素は、第1の波長帯域内に波長を有する光を第1のビームパス上に誘導し、且つ第2の波長帯域内に波長を有する光を第2のビームパス上に誘導するように構成され、前記複数のダイクロイック光学要素は、少なくとも第1のダイクロイック光学要素と、第2のダイクロイック光学要素とを含む、複数のダイクロイック光学要素と、
前記第1のダイクロイック光学要素と前記第2のダイクロイック光学要素との間に位置決めされるように構成され、入射光ビームのビーム直径を減少させるように構成された第1の光学配置と、
前記第1の光学配置と前記第2のダイクロイック光学要素との間に位置決めされるように構成された光学変調器と、
前記光学変調器と前記第2のダイクロイック光学要素との間に位置決めされるように構成され、入射光ビームの前記ビーム直径を増大させるように構成された第2の光学配置と、を備え、
前記光学変調器は、開状態と閉状態との間で調節可能であり、前記光学変調器は、前記開状態のときに入射光を透過させ、且つ前記閉状態のときに入射光を偏向させ、
前記第1のダイクロイック光学要素は、第1のパルス光ビーム及び第2のパルス光ビームを受け取るように位置決めされ、
前記第1のパルス光ビームの波長が前記第1の波長帯域内にあり、
前記第2のパルス光ビームの波長が前記第2の波長帯域内にある、
装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の光学配置と、前記光学変調器とは、前記第1のビームパス上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の光ビームはプレパルス光ビームを含み、前記第2の光ビームはメインパルス光ビームを含み、前記プレパルス光ビームは、初期ターゲットを整形済みターゲットに整形するように構成され、前記メインパルス光ビームは、前記整形されたターゲット内の少なくとも一部のターゲット材料を、極端紫外線(EUV)光を放出するプラズマに変換するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光学変調器は、少なくとも1つの音響光学変調器を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の光学配置及び前記第2の光学配置はそれぞれ、少なくとも1つのレンズを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
極端紫外線(EUV)光源のための装置であって、
複数のダイクロイック光学要素であって、各々の前記ダイクロイック光学要素は、第1の波長帯域内に波長を有する光を第1のビームパス上に誘導し、且つ第2の波長帯域内に波長を有する光を第2のビームパス上に誘導するように構成され、前記複数のダイクロイック光学要素は、少なくとも第1のダイクロイック光学要素と、第2のダイクロイック光学要素とを含む、複数のダイクロイック光学要素と、
前記第1のダイクロイック光学要素と前記第2のダイクロイック光学要素との間の前記第1のビームパス上に位置決めされるように構成された少なくとも1つの他の光学要素と、
前記第1のダイクロイック光学要素と前記第2のダイクロイック光学要素との間の前記第1のビームパス上に位置決めされるように構成された第1の光学変調器と、を備え、
前記第1の光学変調器は、開状態と閉状態との間で調節可能であり、前記第1の光学変調器は、前記開状態のときに入射光を前記第1のビームパス上に透過させ、且つ前記閉状態のときに入射光を前記第1のビームパスから除去し、
動作における使用中、
前記第1のダイクロイック光学要素は、第1のパルス光ビームの少なくとも第1のパルスと、第2のパルス光ビームの少なくとも第1のパルスとを受け取るように位置決めされ、
前記第1のパルス光ビームの波長が前記第1の波長帯域内にあり、前記第1のパルス光ビームの前記第1のパルスは、初期ターゲット内のターゲット材料の幾何学分布を修正して修正済みターゲットを形成するように構成され、
前記第1のダイクロイック光学要素及び前記第2のダイクロイック光学要素は、光生成モジュールの前置増幅器と、光学増幅器との間にあり、
前記第2のダイクロイック光学要素は、前記修正済みターゲットからの前記第1のパルス光ビームの反射が前記前置増幅器に到達することを前記光学変調器が実質的に防止するように、前記第1のパルス光ビームの前記反射を受け取り、且つ前記反射を前記第1のビームパス上に誘導するように位置決めされ、
前記第2のパルス光ビームの波長が前記第2の波長帯域内にあり、前記第2のパルス光ビームの前記第1のパルスは、前記修正済みターゲット内の前記ターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換するように構成される、
装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの他の光学要素は、前記第1のビームパス上の第1の光学配置を備え、前記第1の光学配置は、前記第1のダイクロイック光学要素と前記第1の光学変調器との間にあり、前記第1の光学配置は、前記第1の光ビームのビーム直径を減少させるように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
第2の光学変調器を更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の光学変調器は、前記第1のダイクロイック光学要素と前記第2のダイクロイック光学要素との間にある、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の光学変調器は、前記第1のビームパスと少なくとも部分的に区別される第2のビームパス上に位置決めされる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の光学変調器は第1の電気光学変調器であり、且つ/又は前記第2の光学変調器は第2の電気光学変調器である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の光学変調器は第1の音響光学変調器であり、前記第2の光学変調器は第2の音響光学変調器である、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の音響光学変調器は前記第のビームパス上にある、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年10月1日出願の「OPTICAL ISOLATION MODULE」という名称の米国仮出願第62/236,056号、及び2015年12月15日出願の「OPTICAL ISOLATION MODULE」という名称の米国出願第14/970,402号の利益を主張し、その両方が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、光学アイソレーションモジュールに関する。光学アイソレーションモジュールは、極端紫外線(EUV)光源において使用可能である。
【背景技術】
【0003】
極端紫外線(「EUV」)光、例えば、およそ50nm以下(ときには軟X線とも呼ばれる)の波長を有し、約13nmの波長の光を有する、電磁放射を、基板、例えばシリコンウェーハ内に極端に小さいフィーチャを生成するためのフォトリソグラフィプロセスで使用可能である。
【0004】
EUV光を生成するための方法は、必ずしも限定されないが、プラズマ状態でEUVレンジ内に輝線を伴う、元素、例えばキセノン、リチウム、又はスズを有する材料を変換することを含む。こうした一方法において、しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる必須プラズマを、ドライバレーザと呼ぶことが可能な増幅光ビームを用いて、例えば、材料の液滴、プレート、テープ、ストリーム、又はクラスタの形のターゲット材料を照射することによって、生成可能である。このプロセスの場合、プラズマは、典型的には、密閉容器、例えば真空チャンバ内で生成され、様々なタイプのメトロロジ機器を使用して監視される。
【発明の概要】
【0005】
一つの一般態様において、フォトリソグラフィツール用の光学源は、第1の光ビーム及び第2の光ビームを放出するように構成された放射源であって、第1の光ビームは第1の波長を有し、第2の光ビームは第2の波長を有し、第1の波長と第2の波長は異なる、放射源と、それぞれ、第1の増幅光ビーム及び第2の増幅光ビームを生成するために、第1の光ビーム及び第2の光ビームを増幅するように構成された、増幅器と、放射源と増幅器との間の光学アイソレータであって、複数のダイクロイック光学要素、及び、2つのダイクロイック光学要素の間の光学変調器を含む、光学アイソレータと、を含む。
【0006】
実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことが可能である。光学変調器は、音響光学変調器を含むことができる。ダイクロイック光学要素の各々は、第1の波長を有する光を反射するように、及び第2の波長を有する光を透過させるように、構成可能であり、音響光学変調器は2つのダイクロイック光学要素の間のビームパス上に位置決め可能であり、音響光学変調器は2つのダイクロイック光学要素から反射された光を受け取るように位置決め可能であり、音響光学変調器は、受け取った光が音響光学変調器に対して第1の方向に伝搬するときに、受け取った光を透過させるように、及び、受け取った光が音響光学変調器に対して第2の方向に伝搬するときに、受け取った光をビームパスから離れて偏向させるように、構成可能であり、第2の方向は第1の方向とは異なる。第1の光ビームと第2の光ビームは、パルス光ビームとすることができる。第1の増幅光ビームのエネルギーは、第2の増幅光ビームのエネルギーよりも小さい可能性がある。第1の増幅光ビームは、ターゲット材料液滴内のターゲット材料を修正済みターゲットに変形させるのに十分なエネルギーを有することが可能であり、修正済みターゲットは、ターゲット材料液滴内のターゲット材料の分布とは異なる幾何学分布のターゲット材料を含み、ターゲット材料は、プラズマ状態のときに極端紫外線(EUV)光を放出する材料を含み、第2の増幅光ビームは、修正済みターゲット内のターゲット材料のうちの少なくとも一部をEUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。
【0007】
音響光学変調器は、2つのダイクロイック光学要素の間のビームパス上に位置決め可能、及び2つのダイクロイック光学要素から反射された光を受け取るように位置決め可能であり、音響光学変調器はトリガ信号を受信するように構成可能であり、音響光学変調器は、トリガ信号の受信に応答してビームパスから受け取った光を偏向させるように、及びそうではなく受け取った光をビームパス上に透過させるように、構成可能である。
【0008】
光学源は、放射源と増幅器との間に第2の光学変調器を含むことも可能である。第2の光学変調器は2つのダイクロイック光学要素間にあり、第2の光学変調器は光学変調器とは異なるビームパス上にある。
【0009】
放射源は、レーザ源を含むことが可能である。放射源は、複数の放射源を含むことが可能であり、第1の光ビームは1つの放射源によって生成され、第2の光ビームは別の放射源によって生成される。放射源は1つ以上の前置増幅器を含むことができる。
【0010】
別の一般態様において、極端紫外線(EUV)光源のための装置は、複数のダイクロイック光学要素であって、ダイクロイック光学要素の各々は、第1の波長帯域内に波長を有する光を反射するように、及び第2の波長帯域内に波長を有する光を透過させるように構成された、複数のダイクロイック光学要素と、2つのダイクロイック光学要素の間のビームパス上に位置決めされた光学変調器であって、光学変調器は2つのダイクロイック光学要素から反射された光を受け取るように位置決めされ、光学変調器は、受け取った光がビームパス上を第1の方向に伝搬するときに、受け取った光を透過させるように、及び、受け取った光がビームパス上を第2の方向に伝搬するときに、受け取った光をビームパスから離れて偏向させるように、構成可能であり、第2の方向は第1の方向とは異なる、光学変調器と、を含み、第1の波長帯域はプレパルスビームの波長を含み、第2の波長帯域はメインビームの波長を含む。
【0011】
実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことが可能である。光学変調器は音響光学変調器とすることができる。装置は、音響光学変調器にトリガ信号を提供するように構成された制御システムを含むことが可能であり、音響光学変調器は、トリガ信号の受信に応答してビームパスから離れて光を偏向させるように、及び、そうではなく光をビームパス上に透過させるように、構成可能である。
【0012】
装置は、第2の光学変調器も含むことが可能であり、第2の光学変調器は2つのダイクロイック光学要素の間にあり、第2の光学変調器は、2つのダイクロイック光学要素によって透過された光を受け取るように位置決めされる。光学変調器及び第2の光学変調器は、同じ2つのダイクロイック光学要素の間にあることが可能であり、第2の光学変調器はビームパスとは異なる第2のビームパス上にあることが可能である。
【0013】
別の一般態様において、方法は、第1のダイクロイック光学要素で第1の光ビームを反射することであって、反射した第1の光ビームは、増幅された第1の光ビームを生成するために光学変調器及び増幅器を通過する、反射すること、増幅された第2のビームを生成するために、第1のダイクロイック光学要素、第2のダイクロイック光学要素、及び増幅器を介して、第2の光ビームを透過させること、第2のダイクロイック光学要素で、増幅された第1の光ビームの反射を受け取ることであって、増幅された第1の光ビームの反射と第2のダイクロイック光学要素との間の相互作用が、反射した増幅された第1の光ビームを光学変調器へと誘導する、受け取ること、及び、増幅された第1の光ビームの反射を光学変調器で偏向させることであって、それによって増幅された第1の光ビームの反射を第1の光ビームの放射源から離れて誘導する、偏向させること、を含む。
【0014】
実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことが可能である。トリガ信号は、第1の光ビームが光学変調器を通過した後、及び、増幅された第1の光ビームが光学変調器で反射する前に、光学変調器に提供可能である。トリガ信号は、光学変調器を、光学変調器が入射光を偏向させる状態にさせることが可能である。
【0015】
増幅された第1の光ビームは、初期のターゲット領域に向けて伝搬可能である。第1の増幅光ビームの反射は、第1の増幅光ビームと初期のターゲット領域内のターゲット材料液滴との間の相互作用を介して生成され得る。第2の増幅光ビームは、ターゲット領域に向けて伝搬可能であり、ターゲット材料と第2の増幅光ビームとの間の相互作用は、第2の増幅光ビームの反射を生成することが可能であり、方法は、第2の増幅光ビームの反射を第2のダイクロイック光学要素を介して透過させること、及び、第2の増幅光ビームの反射を第2の光学変調器で偏向させることであって、それによって第2の増幅光ビームの反射を第2の光ビームの放射源から離れて誘導する、偏向させること、を更に含む。第1の光ビームの放射源及び第2の光ビームの放射源は、同じ放射源とすることができる。第1の光ビームの放射源は、放射源内の第1の光学サブシステムとすることが可能であり、第2の光ビームの放射源は、放射源内の第2の光学サブシステムとすることが可能である。
【0016】
前述の技法のうちのいずれかの実装は、方法、プロセス、既存のEUV光源をレトロフィットするためのキット又は組み立て済みシステム、或いは装置を含むことができる。1つ以上の実装の細部は、添付の図面及び以下の説明に示されている。他の特徴は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示の光学システムを示すブロック図である。
図2】例示の光学システムを示すブロック図である。
図3】例示の光学アイソレータを示すブロック図である。
図4A図3及び図6の光学アイソレータ内で使用可能な例示の光学配置を示すブロック図である。
図4B図3及び図6の光学アイソレータ内で使用可能な例示の光学配置を示すブロック図である。
図5A】例示の光学変調器に関連付けられたタイミングプロットである。
図5B】例示の光学変調器に関連付けられたタイミングプロットである。
図6】例示の光学アイソレータを示すブロック図である。
図7】例示の制御システムを示すブロック図である。
図8A】極端紫外線(EUV)光源のためのドライブレーザシステムを示すブロック図である。
図8B】極端紫外線(EUV)光源のためのドライブレーザシステムを示すブロック図である。
図9】光学アイソレータを用いて及び用いないで収集した、実験データの例を示す図である。
図10A】光学アイソレータを用いないで収集した実験データの例を示す図である。
図10B】光学アイソレータを用いて収集した実験データの例を示す図である。
図11A】光学アイソレータを用いないで収集した実験データの例を示す図である。
図11B】光学アイソレータを用いて収集した実験データの例を示す図である。
図12A】光学アイソレータを用いないで収集した実験データの例を示す図である。
図12B】光学アイソレータを用いないで収集した実験データの例を示す図である。
図12C】光学アイソレータを用いないで収集した実験データの例を示す図である。
図13A】光学アイソレータを用いて収集した実験データの例を示す図である。
図13B】光学アイソレータを用いて収集した実験データの例を示す図である。
図13C】光学アイソレータを用いて収集した実験データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、例示的光学システム100のブロック図が示されている。光学システム100は、極端紫外線(EUV)光源の一部である。光学システム100は、光ビーム110を生成する光学源102を含む。光ビーム110は光学源102から放出され、ターゲット領域115に向かってz方向に、パス112に沿って伝搬する。
【0019】
ターゲット領域115は、プラズマに変換されるときにEUV光を放出する材料を含むターゲット120を受け取る。ターゲット120は、光ビーム110の波長又は複数の波長で反射する。ターゲット120が反射するため、光ビーム110がターゲット120と相互作用するとき、ビーム110のすべて又は一部は、z方向とは異なる方向にパス112に沿って反射可能である。ビーム110の反射した部分は、反射113と標示されている。反射113は、z方向と反対の方向にパス112上を進行し、光学源102内に戻ることが可能である。反射113などの、順方向ビーム(光学源102からターゲット領域115に向けて伝搬するビーム)の反射は、「後方反射」と呼ばれる。
【0020】
光学源102は、光生成モジュール104、光学アイソレータ106、及び光学増幅器108を含む。光生成モジュール104は、光の放射源(1つ以上のレーザ、ランプ、又はこうした要素の任意の組み合わせなど)である。光学増幅器108は、ビームパス112上にある利得媒体(図示せず)を有する。利得媒体が励振されるとき、利得媒体は光ビーム110に光子を提供し、光ビーム110を増幅して、増幅光ビーム110を生成する。光学増幅器108は、パス112上にそれぞれの利得媒体と共に配置された複数の光学増幅器を含むことができる。光学増幅器108は、図8Bのドライブレーザシステム880などの、ドライブレーザシステムのすべて又は一部とすることができる。
【0021】
光生成モジュール104は、光学アイソレータ106に向かってビームパス112上に光ビーム110を放射する。光学アイソレータ106は、光学増幅器108へz方向に、及びターゲット領域115に向かって、光ビーム110を渡す。しかしながら、光学アイソレータ106は後方反射113をブロックする。したがって、以下でより詳細に考察するように、光学アイソレータ106は後方反射が光生成モジュール104に入るのを防ぐ。後方反射が光生成モジュール104に入るのを防ぐことによって、付加的な光学パワーをターゲット120に送達することが可能であり、これが、生成されるEUV光の量の増加につながり得る。
【0022】
図2を参照すると、例示の光学源202を含むEUV光源200のブロック図が示されている。光学源202は、光学システム100(図1)内の光学源102の代わりに使用可能である。光学源202は、2つの光学サブシステム204a、204bを含む光生成モジュール204、光学増幅器108、及び光学アイソレータ106を含む。光学アイソレータ106は、パス112上、及び光学増幅器108と光生成モジュール204との間にある。
【0023】
光学サブシステム204a、204bは、それぞれ、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bを生成する。図2の例において、第1の光ビーム210aは実線で表され、第2の光ビーム210bは破線で表される。光学サブシステム204a、204bは、例えば2本のレーザとすることができる。図2の例において、光学サブシステム204a、204bは、2本の炭酸ガス(CO)レーザである。しかしながら、他の実装において、光学サブシステム204a、204bは異なるタイプのレーザである。例えば、光学サブシステム204aは固体レーザとすること、及び光学サブシステム204bはCOレーザとすることが可能である。
【0024】
第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bは、異なる波長を有する。例えば、光学サブシステム204a、204bが2本のCOレーザを含む実装において、第1の光ビーム210aの波長は約10.26マイクロメートル(μm)とすることができ、第2の光ビーム210bの波長は10.18μmから10.26μmの間とすることができる。第2の光ビーム210bの波長は、約10.59μmとすることができる。これらの実装において、光ビーム210a、210bはCOの異なる線から生成され、たとえ両方のビームが同じタイプの放射源から生成される場合であっても、結果として異なる波長を有する光ビーム210a、210bが生じることになる。光ビーム210a、210bは、異なるエネルギーを有することも可能である。
【0025】
光生成モジュール204は、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bをビームパス112上へ誘導する、ビームコンバイナ209も含む。ビームコンバイナ209は、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bをビームパス112上へ誘導することが可能な、任意の光学要素又は光学要素の集合とすることができる。例えば、ビームコンバイナ209はミラーの集合とすることが可能であり、そのうちのいくつかは第1のビーム210aをビームパス112上へ誘導するように位置決めされ、その他は第2の光ビーム210bをビームパス112上へ誘導するように位置決めされる。光生成モジュール204は、光生成モジュール204内の第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bを増幅する、前置増幅器207も含むことができる。
【0026】
第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bは異なる時点でパス112上を伝搬可能であるが、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bはパス112をたどり、両方のビーム210a、210bは実質的に同じ空間領域を光学アイソレータ106へ、及び光学増幅器108を介してトラバースする。図3及び図6に関して考察するように、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bは光学アイソレータ106内で分離され、その後、パス112上を光学増幅器108へと伝搬する。
【0027】
第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bは、ビーム送達システム225によって角度分配され、第1のビーム210aは初期のターゲット領域215aに向けて誘導され、第2のビーム210bは、初期のターゲット領域215aに対してy方向に変位された修正済みターゲット領域215bに向けて誘導される。いくつかの実装において、ビーム送達システム225は、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bを、それぞれ、初期及び修正済みのターゲット領域215a、215b内又はそれらの近くのロケーションにもフォーカスする。
【0028】
図2に示された例において、初期のターゲット領域215aは、初期ターゲット220a及び第1のビーム210aを受け取る。第1のビーム210aは、初期ターゲット220a内のターゲット材料の幾何学分布を、修正済みターゲット領域215b内で受け取られる修正済みターゲットに修正するために(又は、ターゲット材料の空間的再構成を開始するために)十分なエネルギーを有する。第2のビーム210bも、修正済みターゲット領域215b内で受け取られる。第2のビーム210bは、修正済みターゲット220b内のターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換するために十分なエネルギーを有する。この例において、第1のビーム210aは「プレパルス」と呼ぶことが可能であり、第2のビーム210bは「メインパルス」と呼ぶことが可能である。
【0029】
第1のビーム210aは初期ターゲット220aに反射可能であり、パス112に沿ってz方向以外の方向及び光学増幅器108内へと伝搬可能な、後方反射213aを生じさせる。第1のビーム210aは初期ターゲット220aの空間的特徴を修正するために使用され、初期ターゲット220aをEUV光を放出するプラズマに変換することは意図されていないため、第1のビーム210aは第2のビーム210bよりも低いエネルギーを有する。しかしながら、第1の光ビーム210aの反射は、第2の光ビーム201bの反射よりも多くのエネルギーを有することができる。
【0030】
第1のビーム210a(及び反射213a)は、第2のビーム210bの前に光学増幅器108を介して伝搬する。したがって、光学増幅器108の利得媒体は、反射213aが光学増幅器108の利得媒体を通過するときに、依然として励起されることが可能である。結果として、反射213aは増幅器108によって増幅可能である。更に、初期ターゲット220aは、実質的に球体の形状、稠密、及び高度に反射性であり得るが、修正済みターゲット220bはディスク様の形状(又は、他の非球体形状)、非稠密、及び低反射性であり得る。非球体形状に起因して、修正済みターゲット220bを、第2のビーム210bと修正済みターゲット220bとの間の相互作用に起因してパス112に後方反射する光の量を減少させるように位置決めすることができる。例えば、修正済みターゲット220bを、光ビーム210bの伝搬方向に対してx-z及び/又はy-z面内で傾けることができるか、又は修正済みターゲット220bを、第2のビーム210bのフォーカスから離すことができる。
【0031】
いくつかの実装において、修正済みターゲット220bはx-z及び/又はy-z面内で傾けられず、代わりに修正済みターゲット220bは、最大空間範囲を有する修正済みターゲット220bの側面が第2のビーム210bの伝搬の方向に垂直な平面内にあるように配向される。このように修正済みターゲット220bを配向すること(「フラット」ターゲット配向と呼ぶことができる)で、第2のビーム210bの吸収を高めることができる。いくつかの実装において、こうした配向は、修正済みターゲット220bが、第2のビーム210bの伝搬方向に対して垂直な平面に対して20度(°)傾けられるインスタンスに比べて、第2のビーム210bの吸収を約10%増加させることが可能である。修正済みターゲット220bをフラットな向きで配向することで、光学源202内へと後方に伝搬する反射される光の量を増加させることが可能である。しかしながら、光学源202は光学アイソレータ106を含むため、光学アイソレータ106はフラットな配向で修正済みターゲット220bから生じ得る反射の影響を減少させるように作用することから、修正済みターゲット220bはフラットな配向を有することができる。
【0032】
最終的に、第2のビーム210bは相対的に大きなエネルギーを有するため、増幅器108を介する第2のビーム210bの順方向伝搬は利得媒体を飽和状態にし、増幅器108が第2のビーム210bの後方反射に対して提供可能なエネルギーはほとんど残らない。したがって、たとえ第1のビーム210aが第2のビーム210bよりも少ないエネルギーを有する場合であっても、第1のビーム210aから生じる後方反射213aはかなり多く、第2のビーム210bから生じる後方反射よりも大きい可能性がある。
【0033】
以下で考察するように、光学アイソレータ106は、第1のビーム210aから生じる後方反射が光生成モジュール204に入るのを防ぐ。光学アイソレータ106は、第2のビーム210bから生じる後方反射が光生成モジュール204に入るのも防ぐことが可能であり、こうした実装の例が図6に示されている。光学アイソレータ106は、潜在的に損害を与える後方反射が光生成モジュール204に達するのを防ぐため、光生成モジュール204からエネルギーの大きい光ビームを生成すること可能であり、結果として、より多くのエネルギー及びより多くのEUV光が修正済みターゲット220bに送達されることになる。いくつかの実装において、生成されるEUV光の平均量は、光学アイソレータ106を使用することによって約20%増加することが可能である。
【0034】
図3を参照すると、例示的光学アイソレータ306のブロック図が示されている。光学アイソレータ306は、光学源102(図1)、光学源202(図2)、又は任意の他の光学源内で、光学アイソレータ106として使用可能である。光学源202に関して光学アイソレータ306を考察する。
【0035】
光学アイソレータ306は、ダイクロイック光学要素331、反射要素332、光学変調器335、及びダイクロイック要素336を含む。光学アイソレータ306は、光学配置333、334も含むことができる。ダイクロイック光学要素331及び336は、ビームパス112上にある。ダイクロイック要素331及び336は、その波長に従って光を分離又はフィルタリングすることが可能な任意の光学構成要素とすることができる。例えば、ダイクロイック要素331及び336は、ダイクロイックミラー、ダイクロイックフィルタ、ダイクロイックビームスプリッタ、又はこうした要素の組み合わせとすることができる。ダイクロイック要素331及び336は互いに同一であるか、又は異なる構成を有することができる。図3の例において、ダイクロイック要素331及び336は、第1のビーム210aの波長(又は複数の波長)を反射し、第2のビーム210bの波長(又は複数の波長)を透過させる。
【0036】
第1のビーム210aは、ダイクロイック要素331から、ダイクロイック要素331と336との間にあり、反射要素332によって画定される空間範囲及び形状を有する、ビームパス314へと反射される。ビームパス314はビームパス112とは異なる。したがって、光学アイソレータ306において、第1のビーム210aはビームパス112上には残らず、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bは互いに空間的に分離される。第1のビーム210aは光学配置333、334、及び光学変調器335を介してビームパス314上を伝搬した後、ダイクロイック要素336に到達し、これがビーム210aを反射してビームパス112上に戻す。第2のビーム210bは、ダイクロイック要素331及びダイクロイック要素336を通過し、光学アイソレータ306を介して伝搬している間、ビームパス112上のままである。
【0037】
光学変調器335は、ダイクロイック要素331と336との間のビームパス314上にある。光学変調器335は、入射光を経路314から離れて偏向させることが可能な光学要素である。光学変調器335は、光学変調器335が第1のビーム210aを透過させ、反射213a(初期ターゲット220aからの第1のビーム210aの反射)をブロックするように、開状態と閉状態との間で調節可能である。
【0038】
光学変調器335は、例えば、音響光学変調器(AOM)とすることができる。音響光学変調器は、トランスデューサ(ピエゾトランスデューサなど)に接続された媒体(クォーツ又はガラスなど)を含む。トランスデューサの動きが媒体内に音波を形成させ、空間的に変動する屈折率を媒体内に作成する。媒体が音波を含むとき、媒体上に入射する光は偏向される。媒体内に音波が存在しないとき、音響光学変調器は入射光を偏向なしに透過させる。変調器335として他の光学変調器を使用することが可能である。例えば、光学変調器335は、ファラデー回転子又は電気光学変調器(EOM)とすることができる。モジュレータ335は、こうしたデバイスの組み合わせとすることが可能であり、複数の同じタイプのデバイスを含むことが可能である。
【0039】
光学変調器335が音響光学変調器である実装において、トランスデューサは、反射213aがパス314に入ることが予測される時点で移動する。他の時点では、トランスデューサは移動又は振動しない。したがって、ビーム210a(順方向「プレパルス」)は光学変調器335を通過し、パス314上に残り、最終的にパス112と再接合する。しかしながら、反射213aはパス314から離れて偏向される(図3に偏向217aとして示される)。結果として、反射213aは光生成モジュール204(図2)に到達しない。
【0040】
光学変調器335は、ある時点でのみ入射光を透過するように構成可能であるため、光学アイソレータ306は、偏光に基づく技法とは対照的にアイソレーションに基づく時間ゲートを提供する。加えて、光学アイソレータ306は、偏光ベースのアイソレーション技法と組み合わせて使用可能である。例えば、後方反射の偏光は、順方向ビーム210a、210bの偏光とは異なるものとすることが可能であり、後方反射の付加的なブロックを提供するために、偏光要素(薄膜偏光子など)を含む偏光アイソレータ303を、光学アイソレータ306と光学増幅器108(図1及び図2)との間に配置することが可能である。偏光アイソレータ303の偏光要素は、第2の光ビーム210bの反射を主に阻止するように構成可能であり、光学アイソレータ306が、第1の光ビーム210aの反射を阻止するように調整可能である。第1の光ビーム210a及び第2の光ビーム210bの反射を阻止するために異なる技法を使用することによって、任意の放射源から光生成モジュール204に到達する反射の全体量を低減させることができる。
【0041】
いくつかの実装において、光学アイソレータ306は第1の光学配置333と第2の光学配置334を含む。第1のビーム210aは、光学変調器335に到達する前に、第1の光学配置333を通過する。第1の光学配置333は、第1の光ビーム210aのビーム直径を減少させる任意の光学要素又は光学要素の集合とすることができる。光学変調器335を通過した後、第1のビーム210aは第2の光学配置334を通過する。第2の光学配置334は、第2の光ビーム210bのビーム直径を拡大する任意の光学要素又は光学要素の集合とすることができる。光学変調器335が、開であること(入射光が光学変調器335によって透過される状態)と閉であること(入射光が光学変調器335によって偏向又はブロックされる状態)との間を遷移することが可能な速度は、ビーム直径が減少するにつれて増加する。したがって、第1のビーム210aの直径を減少させることによって、第1の光学配置333が、第1の光学配置333がない実装の場合よりも迅速に、光学変調器335が開であることと閉であることの間、及びその逆で、スイッチできるようにする。いくつかの実装において、ビーム210aのビーム直径を、約3ミリメートル(mm)まで減少させることが可能である。
【0042】
第2の光学配置334は、第1の光ビーム210aをパス112上に誘導するのに先立ち、第1の光ビーム210aの直径を拡大する。加えて、第2の光学配置334は、反射213aが光学変調器335に到達する前に、反射213aのビーム直径を減少させる。反射213aのビーム直径を減少させることによって、反射213aをブロックするために光学変調器335が開状態と閉状態との間で遷移しなければならない速度が低減される。
【0043】
図4A及び図4Bを参照すると、例示の光学配置433及び434のブロック図がそれぞれ示されている。光学配置433、434は、光学アイソレータ306(図3)において、それぞれ光学配置333、334として使用可能である。光学配置433、434は、1つの凸レンズ及び1つの凹レンズを有するガリレオ式望遠鏡である。光学配置433において、凹レンズ442は凸レンズ441と光学変調器335との間にある。光学配置434において、凹レンズ443は光学変調器335と凸レンズ444との間にある。構成433、434の両方が、光学変調器335に向かって伝搬するビームの直径を減少させる。光学配置433、434は、図3に示される構成内で共に使用されるとき、ビーム210aのビーム直径は光学変調器335上に入射するのに先立って減少され、ビーム210aのビーム直径は、光学変調器335を通過した後、光学配置434によって拡大される。反射213aのビーム直径は、光学変調器335に到達するのに先立って光学配置434によって減少される。光学変調器335はビームパス314から反射213aを偏向させるため、反射213aは光学配置433を通過しない。
【0044】
光学配置433及び434は、ガリレオ式望遠鏡とすることができるか、又は配置433及び434は異なる特徴(異なる焦点長さなど)を有するレンズを含むことができる。
【0045】
図5Aを参照すると、光学変調器335の状態を時間の関数として示す例示のプロットが示されている。図5Bは、図5Aに示されている同じ時間軸上のビーム510a及び反射513aのパルスの相対的配置を示す。パルス510aは、システム200が光学アイソレータ306(図3)を光学アイソレータ106として使用するように構成されたとき、システム200(図2)を介して伝搬するビームのパルスであり、反射513aは初期ターゲット220aからのパルス513aの反射である。パルス510aは、初期ターゲット220aを形状化するために「プレパルス」として使用される、パルス光ビームのパルスである。
【0046】
光学変調器335は、時間t1から時間t2まで閉である(光をパス314から偏向させるか、そうでなければ、入射光がパス314上に残るのを防ぐ)。時間t2で、光学変調器335は開状態への遷移を開始する。光学変調器335は時間t2からt3の間、開であり、この時間レンジの間、光学変調器335は入射光を透過させる。光学変調器335は時間t3で閉状態に遷移し、時間t4で再度開になる。上記で考察したように、遷移時間(時間t2とt3との間の時間及びt3とt4との間の時間)は、光学変調器335によってゲートされる光のビーム直径を減少させることによって、減少可能である。
【0047】
図5Bも参照すると、時間t2及びt3は、変調器335が開の時点でパルス510aが光学変調器335上に入射するように選択される。したがって、パルス510aは、初期ターゲット220aに到達するために光学変調器335を通過する。時間t3及びt4は、光学変調器335が、パルス510aを透過した後に閉じるのを開始し、反射513aが光学変調器335上に入射するときに閉となるように選択される。このようにして、光学変調器335は、プレパルス反射513aの時間ゲートベースのアイソレーションを提供する。
【0048】
いくつかの実装において、プレパルス510a及び反射513aのビーム直径は3mmとすることができる。光学変調器335が音響光学変調器である実装において、光学変調器が開から閉へ、及びその逆へ遷移するために要する時間は、入射光のビーム直径及び光学変調器の材料内での音の速度によって決定される。材料は、例えば、5500メートル/秒(m/s)の音波速度を有するゲルマニウム(Ge)とすることができる。この例では、遷移時間(光学変調器が閉から開へ遷移するための時間)は375ナノ秒(ns)である。プレパルス510aと反射513aとの間の遅延は、例えば400nsとすることができる。したがって、プレパルス510aは光学変調器335によって透過され、反射513aはパス314を外れて偏向される。
【0049】
いくつかの実装において、光学変調器335は、パルス510aが予測される時間期間を除いて閉である。他の時点で閉を維持することによって、光学変調器335は、反射513aが光生成モジュール204に入るのを防ぐ。加えて、閉を維持することによって、変調器335は、パルス510aの2次反射の影響も防ぐか又は減少させる。フィルタ、ピンホール、レンズ、及びチューブなどの、パス112上の要素は、閃光源であり、入射光を反射する。これらの要素はパルス510bを反射し、パス112及びパス314上を伝搬する2次反射を生じさせることが可能であり、これらの2次反射は反射513aに付加的である。パルス510aが変調器335上に入射するときを除いて、変調器335を閉のまま維持することによって、2次反射が光生成モジュール204に入るのも防がれる。更に、2次反射はパス314から除去され、したがってパス112上に戻って伝搬されることも防がれる。このようにして、2次反射は初期ターゲット領域215a、修正済みターゲット領域215b、又は領域215aと215bとの間の領域に到達することができない。2次反射がこれらの領域に到達できる場合、反射は、ターゲットが修正済みターゲット領域215bに到達する前に分裂することによって、ターゲットに害を与える可能性がある。2次反射は、逆パルス(FER)によって励振される順方向パルスと呼ぶことができる。光学アイソレータ306は、ターゲット領域215bに送達される光学パワーに関する最大値を制限できる、自己レージングの緩和を助けることができる。
【0050】
図6を参照すると、別の例示的光学アイソレータ606のブロック図が示されている。光学アイソレータ606は、システム100(図1)又はシステム200(図2)内で光学アイソレータ106の代わりに使用可能である。加えて、光学アイソレータ606は、後方反射が望ましい任意の他の光学システム内で使用可能である。光学アイソレータ606は、光学アイソレータ606がシステム200(図2)内で光学アイソレータ106として使用される構成に関して、考察される。光学アイソレータ606は、図3に関して上記で考察された偏光アイソレータ303と共に使用可能である。偏光アイソレータ303を含む実装において、偏光アイソレータ303は、後方反射の付加的ブロックを提供するために、光学アイソレータ606と光学増幅器108(図1及び図2)との間にある。
【0051】
光学アイソレータ606は、光学アイソレータ606が第2の光学変調器637を含むことを除いて、光学アイソレータ306(図3)と同様である。第2の光学変調器637はパス112上にあり、ダイクロイック光学要素331とダイクロイック光学要素336との間に位置決めされる。光学変調器335と同様に、第2の光学変調器637は、開状態のときに入射光を透過させ、閉状態のときに入射光を偏向させるか又はブロックする。第2の光ビーム210bは、光生成モジュール204から放出され、パス112上をダイクロイック光学要素331へと伝搬する。
【0052】
上記で考察したように、ダイクロイック光学要素331は第2の光ビーム210bの波長を透過させる。したがって、第2の光ビーム210bはダイクロイック光学要素331を通過し、第2の光学変調器637上に入射する。第2の光学変調器637は、第2の光ビーム210bが変調器637上に入射するときに開状態となるように制御され、第2の光ビーム210bは変調器637及びダイクロイック光学要素336を通過し、パス112上で維持され、修正済みターゲット領域215b(図2)に到達する。第2の光ビーム210bの一部は(ターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換することに加えて)修正済みターゲット220bから反射され、パス112に沿ってz方向以外の方向に反射213bとして伝搬可能である。
【0053】
反射213bは、ダイクロイック光学要素336によって透過され、パス112上で維持される。光学変調器637は、反射213bが変調器637上に入射するときに閉であり、反射213bは偏向光217bとしてパス112から偏向される。したがって、第2の変調器637は、反射213bが光生成モジュール204に到達するのを防ぐか、又は光生成モジュール204に到達する反射213bの量を減少させ、光生成モジュール404からの自己レージングを減少又は消去し、第2の光ビーム210bがより大きなエネルギーとなることを可能にする。いくつかの実装において、光学変調器637は、反射213bの30~40%を偏向する。光学変調器637が開である間の時間を減少させ、自己レージングの量を更に減少させることができる。例えば、開時間を20マイクロ秒(μs)から2μsに減少させることで、自己レージングを90%減少させることができる。
【0054】
第2の変調器637は、ビーム210bが予測される時間期間を除いて、閉である。他の時点でも閉を維持することによって、第2の変調器637は、反射213bが光生成モジュール204に入るのを防ぐ。加えて、閉を維持することによって、第2の変調器637は、第2のビーム210bからの2次反射の影響も防ぐか又は減少させる。フィルタ、ピンホール、レンズ、及びチューブなどの、パス112上の要素は、閃光源であり、入射光を反射する。これらの要素は第2のビーム210bを反射し、反射213b(第2のビーム210bと修正済みターゲット220bとの間の相互作用によって生じる)に付加的な2次反射を生じさせることが可能である。第2の光ビーム210bが変調器637上に入射するときを除いて、変調器637を閉のまま維持することによって、2次反射が光生成モジュール204に入るのも防がれ、2次反射はパス112から除去される。
【0055】
第2の光学変調器637は変調器335と同じとすることが可能であるか、又は、第2の光学変調器637及び変調器335は異なるタイプの変調器とすることが可能である。
【0056】
図7を参照すると、システム700のブロック図が示されている。システム700は、光生成モジュール704、制御システム740、及び光学変調器735を含む。光生成モジュール704は、光生成モジュール104(図1)、光生成モジュール204(図2)、又は、異なる波長を有する光ビームを生成する任意の他のシステムとすることが可能である。光学変調器735は、光学変調器335(図3)及び/又は光学変調器637(図6)とすることが可能である。
【0057】
制御システム740は、光学変調器735にトリガ信号747を提供する。トリガ信号747は、光学変調器735に状態を変更させるため又は状態の変更を開始させるために十分である。例えば、光学変調器735が音響光学変調器である実装において、トリガ信号747は、トランスデューサを振動させて変調器内に音波を形成することによって、変調器を閉状態に遷移させることができる。制御システム740は、信号741を介して光生成モジュール704からデータを受信することが可能であり、信号742を介して光生成モジュール704にデータを提供することが可能である。更に、制御システム740は、信号742を介して光学モジュール735からデータを受信することも可能である。
【0058】
制御システム740は、電子ストレージ743、電子プロセッサ744、及び入力/出力(I/O)インターフェース745を含む。電子プロセッサ744は、汎用又は特定用途向けのマイクロプロセッサなどのコンピュータプログラムの実行に好適な1つ以上のプロセッサ、及び、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、或いはその両方から、命令及びデータを受信する。電子プロセッサ744は、任意のタイプの電子プロセッサとすることができる。
【0059】
電子ストレージ743は、RAMなどの揮発性メモリ、又は不揮発性メモリとすることができる。いくつかの実装において、電子ストレージ743は又、不揮発性及び揮発性の両方の部分又は構成要素を含むことができる。電子ストレージ743は、光学変調器735の動作において使用されるデータ及び情報とすることができる。例えば、電子ストレージ743は、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bがシステム200(図2)を介して伝搬するものと予想されるときを指定する、タイミング情報を記憶することが可能である。電子ストレージ743は、恐らく、実行されたときに、プロセッサ744を制御システム740、光生成モジュール704、及び/又は光学変調器735内の、他の構成要素と通信させる、コンピュータプログラムとして、命令を記憶することも可能である。例えば命令は、電子ストレージ743上に記憶されたタイミング情報によって指定されるある時点で、電子プロセッサ744にトリガ信号747を光学変調器735に提供させる、命令とすることが可能である。
【0060】
I/Oインターフェース745は、制御システム740が、オペレータ、光生成モジュール704、光学変調器735、及び/又は別の電子デバイス上で動作する自動化プロセスを用いて、データ及び信号の受信及び/又は提供を可能にする、任意の種類の電子インターフェースである。例えばI/Oインターフェース745は、視覚ディスプレイ、キーボード、又は通信インターフェースのうちの1つ以上を含むことが可能である。
【0061】
図8Aを参照すると、LPP EUV光源800が示されている。光学システム100及び200は、放射源800などのEUV光源の一部とすることができる。LPP EUV光源800は、ターゲット混合物814に向かってビームパスに沿って移動する増幅光ビーム810を用いて、ターゲットロケーション805でターゲット混合物814を照射することによって形成される。放射サイトとも呼ばれるターゲットロケーション805は、真空チャンバ830の内部807にある。増幅光ビーム810がターゲット混合物814に当たると、ターゲット混合物814内のターゲット材料は、EUVレンジ内に輝線を伴う要素を有するプラズマ状態に変換される。作成されたプラズマは、ターゲット混合物814内のターゲット材料の組成に依存する、ある特徴を有する。これらの特徴は、プラズマによって生成されるEUV光の波長、並びに、プラズマから解放されるデブリのタイプ及び量を含むことができる。
【0062】
光源800は、液滴、液体ストリーム、固体の粒子又はクラスタ、液滴内に含まれる固体粒子、或いは、液体ストリーム内に含まれる固体粒子の形の、ターゲット混合物814を、送達、制御、及び誘導する、ターゲット材料送達システム825も含む。ターゲット混合物814は、例えば、水、スズ、リチウム、キセノン、又は、プラズマ状態に変換されたときにEUVレンジ内に輝線を有する任意の材料などの、ターゲット材料を含む。例えば元素スズは、純粋なスズ(Sn)として、化合物、例えばSnBr、SnBr、SnHとして、スズ合金、例えば、スズ-ガリウム合金、スズ-インジウム合金、スズ-インジウム-ガリウム合金、又はこれらの合金の任意の組み合わせとして、使用可能である。ターゲット混合物814は、非ターゲット粒子などの不純物も含むことができる。したがって、不純物が存在しない状況では、ターゲット混合物814はターゲット材料のみで構成される。ターゲット混合物814は、ターゲット材料送達システム825によって、チャンバ630の内部607及びターゲットロケーション605に送達される。
【0063】
光源800は、レーザシステム815の利得媒体又は媒体内での反転分布に起因して、増幅光ビーム810を生成する、ドライブレーザシステム815を含む。光源800は、レーザシステム815とターゲットロケーション805との間にビーム送達システムを含み、ビーム送達システムは、ビーム伝送システム820及びフォーカスアセンブリ822を含む。ビーム伝送システム820は、レーザシステム815から増幅光ビーム810を受け取り、増幅光ビーム810を必要に応じてステアリング及び修正し、増幅光ビーム810をフォーカスアセンブリ822に出力する。フォーカスアセンブリ822は、増幅光ビーム810を受け取り、ビーム810をターゲットロケーション805にフォーカスする。
【0064】
いくつかの実装において、レーザシステム815は、1つ以上のメインパルス、いくつかのケースでは1つ以上のプレパルスを提供するための、1つ以上の光学増幅器、レーザ、及び/又はランプを含むことができる。各光学増幅器は、高利得で所望の波長を光学的に増幅することが可能な利得媒体、励振源、及び内部光学系を含む。光学増幅器は、レーザキャビティを形成するレーザミラー又は他のフィードバックデバイスを有する場合、又は有さない場合がある。したがって、レーザシステム815は、たとえレーザキャビティが存在しない場合であっても、レーザ増幅器の利得媒体内の反転分布に起因して、増幅光ビーム810を生成する。更にレーザシステム815は、レーザシステム815に十分なフィードバックを提供するためにレーザキャビティが存在する場合、コヒーレントレーザビームである増幅光ビーム810を生成することが可能である。「増幅光ビーム」という用語は、単に増幅されるが必ずしもコヒーレントなレーザ発振ではないレーザシステム815からの光、及び、増幅されたコヒーレントなレーザ発振でもあるレーザシステム815からの光のうちの、1つ以上を包含する。
【0065】
レーザシステム815内の光学増幅器は、利得媒体として、COを含む充填ガスを含むことが可能であり、約9100から約11000nmの間の、及び特に約10600nmの波長の光を、800より大きいか又は等しい利得で、増幅することが可能である。レーザシステム815内での使用に適した増幅器及びレーザは、例えばDC又はRF励振を用いて、約9300nm又は約10600nmで放射線を生成し、相対的に高パワー、例えば10kW又はそれ以上で、高パルス繰り返し数、例えば40kHz又はそれ以上で動作する、パルスレーザデバイス、例えばパルスガス放電COレーザデバイスを含むことが可能である。レーザシステム815内の光学増幅器は、レーザシステム815がより高パワーで動作するときに使用可能な、水などの冷却システムも含むことができる。
【0066】
図8Bは、例示のドライブレーザシステム880のブロック図を示す。ドライブレーザシステム880は、放射源800内でドライブレーザシステム815の一部として使用可能である。ドライブレーザシステム880は、3つのパワー増幅器881、882、及び883を含む。パワー増幅器881、882、及び883のうちのいずれか又はすべては、内部光学要素(図示せず)を含むことができる。
【0067】
光884は、出力窓885を介してパワー増幅器881から出て、湾曲ミラー886で反射される。反射後、光884は空間フィルタ887を通過し、湾曲ミラー888で反射され、入力窓889を介してパワー増幅器882に入る。光884は、パワー増幅器882内で増幅され、光891として出力窓890を介してパワー増幅器882の外へ方向転換される。光891は、折り畳みミラー892を用いて増幅器883に向かって誘導され、入力窓893を介して増幅器883に入る。増幅器883は光891を増幅し、光891を出力ビーム895として出力窓894を介して増幅器883の外へ誘導する。折り畳みミラー896は、出力ビーム895を上方(ページの外)へ、及びビーム伝送システム820(図8A)に向かって誘導する。
【0068】
再度図8Bを参照すると、空間フィルタ887は開口897を画定し、これは例えば、約2.2mmから3mmの間の直径を有する円形とすることができる。湾曲ミラー886及び888は、例えば、それぞれ約1.7m及び2.3mの焦点長さを伴うオフアクシスパラボラミラーとすることができる。空間フィルタ887は、開口897がドライブレーザシステム880の焦点と一致するように、位置決めすることができる。
【0069】
再度図8Aを参照すると、光源800は、増幅光ビーム810が通過してターゲットロケーション805に到達できるようにするための開口840を有する、集光ミラー835を含む。集光ミラー835は、例えば、ターゲットロケーション805に1次フォーカスを有し、中間ロケーション845に2次フォーカス(中間フォーカスとも呼ばれる)を有する、楕円ミラーとすることが可能であり、中間ロケーション845でEUV光は光源800から出力され、例えば集積回路リソグラフィツール(図示せず)に入力されることが可能である。光源800は、増幅光ビーム810がターゲットロケーション805に到達可能である一方で、フォーカスアセンブリ822及び/又はビーム伝送システム820に入るプラズマ生成デブリの量を減少させるために、集光ミラー835からターゲットロケーション805に向かって細くなる、オープンエンドの中空円錐シュラウド850(例えば、ガスコーン)を含むこともできる。このために、ターゲットロケーション805に向かって誘導されるガスフローをシュラウド内に提供することができる。
【0070】
光源800は、液滴位置検出フィードバックシステム856、レーザ制御システム857、及びビーム制御システム858に接続される、マスタコントローラ855を含むこともできる。光源800は、例えばターゲットロケーション805に関して液滴の位置を示す出力を提供し、例えば、液滴ごと又は平均で液滴位置誤差を算出することができる液滴位置及び軌道を計算することが可能な、液滴位置検出フィードバックシステム856に、この出力を提供する、1つ以上のターゲット又は液滴イメージャ860を含むことができる。したがって、液滴位置検出フィードバックシステム856は、液滴位置誤差をマスタコントローラ855への入力として提供する。したがってマスタコントローラ855は、位置、方向、及びタイミング訂正信号を、例えばレーザタイミング回路を制御するために使用可能な、例えばレーザ制御システム857に提供すること、及び/又は、チャンバ830内のビーム焦点のロケーション及び/又は焦点パワーを変更するように、ビーム伝送システム820の増幅光ビームの位置及び形状を制御するために、ビーム制御システム858に提供することが、可能である。
【0071】
ターゲット材料送達システム825は、マスタコントローラ855からの信号に応答して、例えば、所望のターゲットロケーション805に到達する液滴内の誤差を訂正するために、ターゲット材料供給装置827によって解放される液滴の解放ポイントを修正するように動作可能な、ターゲット材料送達制御システム826を含む。
【0072】
加えて、光源800は、限定されないが、パルスエネルギー、波長の関数としてのエネルギー分布、波長の特定帯域内のエネルギー、波長の特定帯域外のエネルギー、並びに、EUV強度及び/又は平均パワーの角度分布を含む、1つ以上のEUV光パラメータを測定する、光源検出器865及び870を含むことができる。光源検出器865は、マスタコントローラ855によって使用するためのフィードバック信号を生成する。フィードバック信号は、例えば、効果的且つ有効なEUV光生成にとって正しい場所及び時間で、液滴を適切に遮断するために、レーザパルスのタイミング及びフォーカスなどのパラメータにおける誤差を示すことができる。
【0073】
光源800は、光源800の様々なセクションを位置合わせするため、又は、ターゲットロケーション805への増幅光ビーム810のステアリングを支援するために、使用可能な、ガイドレーザ875を含むことも可能である。ガイドレーザ875に関連して、光源800は、ガイドレーザ875及び増幅光ビーム810からの光の一部をサンプリングするために、フォーカスアセンブリ822内に配置された、メトロロジシステム824を含む。他の実装において、メトロロジシステム824は、ビーム伝送システム820内に配置される。メトロロジシステム824は、光のサブセットをサンプリング又は方向転換する、光学要素を含むことが可能であり、こうした光学要素は、ガイドレーザビーム及び増幅光ビーム810のパワーに耐えることが可能な、任意の材料で構成される。マスタコントローラ855は、ガイドレーザ875からサンプリングされた光を分析し、この情報を使用して、ビーム制御システム858を介してフォーカスアセンブリ822内の構成要素を調整するため、メトロロジシステム824及びマスタコントローラ855からビーム分析システムが形成される。
【0074】
したがって、要約すると、光源800は、ターゲットロケーション805でターゲット混合物814を照射し、混合物814内のターゲット材料をEUVレンジ内の光を放出するプラズマに変換するために、ビームパスに沿って誘導される、増幅光ビーム810を生成する。増幅光ビーム810は、レーザシステム815の設計及び特性に基づいて決定される特定の波長(ドライブレーザ波長とも呼ばれる)で動作する。加えて、増幅光ビーム810は、コヒーレントなレーザ光を提供するために、ターゲット材料がレーザシステム815内に十分なフィードバックを戻すとき、又は、ドライブレーザシステム815がレーザキャビティを形成するのに好適な光学フィードバックを含む場合、レーザビームとすることができる。
【0075】
図9を参照すると、光学アイソレータ306(図3)などの光学アイソレータについての例示のテストデータのプロット900が示されている。プロット900は、オン状態及びオフ状態での光学アイソレータを用いた、時間の関数としての逆方向プレパルスビームの測定されたパワーを示す。逆方向プレパルスビームは、上記で考察したような、第1のビーム210a(図2)と初期ターゲット220a(図2)との間の相互作用から生じる、反射213a(図2)などのビームとすることができる。オン状態において、光学アイソレータは、光生成モジュール204に到達する反射213aが減少又は消去されるように、反射213aのすべて又は一部をビームパス314から偏向させることによって、反射213aの影響をブロック又は減少させる。オン状態において、光学アイソレータは、例えば、図5A及び図5Bに関して考察したように動作可能である。オフ状態において、光学アイソレータはアクティブではなく、システムはあたかも光学アイソレータが存在しないかのように動作する。
【0076】
図9の例において、光学アイソレータは、時間905と910との間でオフ状態であり、それ以外ではオン状態である。光学アイソレータがオン状態のとき、光生成モジュール204に到達する反射213aのパワーは非常に低く、ゼロワット(W)に近い。例えば、光生成モジュール204に到達する反射213aのパワーは、約0.1W又はそれ未満とすることができる。上記で考察したように、光生成モジュール204に到達する反射213aのパワーを減少させることが望ましい。これに対して、光学アイソレータがオフ状態のとき、光生成モジュール204に到達する反射213aのパワーは0より大きく、約4.2Wから18.2Wの間とすることができる。更に、光学アイソレータがオフ状態のとき、光生成モジュール204に到達する反射213aのパワーはかなり変動し、これがシステムにおける不安定性につながる可能性がある。したがって、反射213aにおけるパワーの量を減少させることに加えて、光学アイソレータは反射のパワーの変動も減少させ、結果としてより安定したシステムとなる。
【0077】
図10A及び図10Bを参照すると、付加的な例示のテストデータが示されている。図10Aは、光学アイソレータ(光学アイソレータ306など)がシステム内に存在しないとき、パルス数の関数として生成されるEUV光のエネルギーを示し、図10Bは、光学アイソレータがシステム内に存在するとき、パルス数の関数として生成されるEUV光のエネルギーを示す。光学アイソレータが存在しないとき、EUV光の平均エネルギーは3.4ミリジュール(mJ)である。光学アイソレータが存在するとき、平均EUVエネルギーは4.1mJに増加する。
【0078】
図11A及び図11Bも参照すると、システム内に光学アイソレータが存在するとき、生成されるEUV光もより安定している。図11Aは、光学アイソレータが存在しないときに生成されるEUV光のエネルギーの特定値の分布を示し、図11Bは、光学アイソレータが存在するときに生成されるEUV光のエネルギーの特定値の分布を示す。図11Bのエネルギー値の分布(光学アイソレータが使用されるとき)は、より高いエネルギー値がより多く発生すること、及び、すべてのエネルギー値が、光学アイソレータを採用していないシステムに比べてより小さいレンジ内に含まれることを示す。したがって、光学アイソレータ(光学アイソレータ306など)を使用することが、結果として、より高いエネルギーのEUV光を生じさせ、更にまた、より安定した(変動の少ない)EUV光を生じさせることになる。
【0079】
図12A図12C及び図13A図13Cを参照すると、付加的な例示のテストデータが示されている。図12A図12Cは、光学アイソレータ306などの光学アイソレータがないシステムにおけるターゲット1200を3回示しており、図13A図13Cは、光学アイソレータ306などの光学アイソレータを含むシステムにおけるターゲット1300を3回示している。ターゲット1200及び1300は、プラズマ状態のときにEUV光を放出するターゲット材料を含む。ターゲット1200及び1300は、(図2の初期ターゲット領域215aなどの)プレパルスを受け取るロケーション、及び(図2の修正済みターゲット領域215bなどの)メインパルスを受け取るロケーションにあるターゲット1200及び1300に一致する時点で、示されている。
【0080】
図5A及び図5Bに関して上記で考察したように、光学アイソレータは、ピンホール、レンズ、チューブ、及び光学要素などのオブジェクトからの2次反射を減少又は消去することが可能である。2次反射は、存在する場合、ターゲットが初期ターゲット領域215aから修正済みターゲット領域215bへと移動する際に、ターゲットに到達することができる。図12A図12Cは、ターゲット1200と経時的に相互作用する2次反射の例を示す。図12Aに比べて図12B及び図12Cに示されるように、ターゲット1200は、時間が経過するにつれて空間的に拡散し分裂する。図13A図13Cは、2次反射を減少又は消去するために光学アイソレータ(光学アイソレータ306など)を使用する、システムの例を示す。ターゲット1200(図12A図12C)に比べて、ターゲット1300(図13A図13C)は、より明瞭な空間プロファイルを有し、これが入射光ビームの吸収が増加すること、及び、より多くのターゲット材料が第1のビーム210bとの相互作用に使用可能であること(及び、したがってより多くのEUV光が生成されること)につながる。加えて、ターゲット1300は光学アイソレータを含む光学源と共に使用されるため、ターゲット1300は、光学源上の後方反射及び2次反射の影響を依然として減少又は消去しながら、入射光ビームの伝搬方向に関してフラットな配向を有し得る。
【0081】
他の実装は、特許請求の範囲内にある。
【0082】
光学サブシステム204a、204b(図2)が異なるタイプの光学サブシステムである実装において、光学サブシステム204aは希土類ドーピング固体レーザ(Nd:YAG又はエルビウムドーピングファイバ(Er:glass)など)とすることが可能であり、第1の光ビーム210aの波長は1.06μmとすることが可能である。光学サブシステム204bはCOレーザとすることが可能であり、光ビーム210bの波長は、例えば10.26μmとすることが可能である。これらの実装において、第1の光ビーム210aと第2の光ビーム210bは別々の光学増幅器内で増幅可能であり、システム200を介する別々のパスをたどることが可能である。また、一方は第1の光ビーム210a及びその対応する反射のため、及び他方は光ビーム210b及びその対応する反射のための、2つの別々の光学アイソレータを使用することが可能である。
【0083】
前置増幅器207(図2)は、複数ステージを有することが可能である。言い換えれば、前置増幅器207は、直列に且つパス112上に配置された複数の増幅器を含むことができる。
【0084】
光ビーム110、210a、及び210bは、パルス光ビームとすることができる。第1の光ビーム210aのパルス(又は、パルス510a)のパワーは、例えば20~40ワット(W)とすることができる。第2の光ビーム210bのパルスのパワーは、例えば300~500Wとすることができる。
【0085】
第1の光ビーム210aは、修正済みターゲット220bを形成するために初期ターゲット220a上で作用することが可能な、任意のタイプの放射とすることができる。例えば、第1の光ビーム210は、レーザによって生成されるパルス光ビームとすることができる。第1の光ビーム210は、約1~10.6μmの波長を有することができる。第1の光ビーム210aのパルスの持続時間は、例えば、20~70ナノ秒(ns)、1ns未満、300ピコ秒(ps)、100~300psの間、10~50psの間、又は10~100psの間とすることができる。第1の光ビーム210aのパルスのエネルギーは、例えば、15~60ミリジュール(mJ)とすることができる。第1の光ビーム210aのパルスが1ns又はそれ未満の持続時間を有するとき、パルスのエネルギーは2mJとすることができる。第1の光ビーム210aのパルスと第2の光ビーム210bのパルスとの間の時間は、例えば1~3マイクロ秒(μs)とすることができる。
【0086】
初期ターゲット220a及びターゲット115は、ターゲット混合物814の任意の特徴を有することができる。例えば、初期ターゲット220a及びターゲット115は、スズを含むことができる。
【0087】
光学システム100及び200は、偏光アイソレータ303を含むことができる。光学システム100のこれらの実装において、偏光アイソレータ303は光学アイソレータ106と光学増幅器108との間にある。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C