IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許-テープマウンタ 図1
  • 特許-テープマウンタ 図2
  • 特許-テープマウンタ 図3
  • 特許-テープマウンタ 図4
  • 特許-テープマウンタ 図5
  • 特許-テープマウンタ 図6
  • 特許-テープマウンタ 図7
  • 特許-テープマウンタ 図8
  • 特許-テープマウンタ 図9
  • 特許-テープマウンタ 図10
  • 特許-テープマウンタ 図11
  • 特許-テープマウンタ 図12
  • 特許-テープマウンタ 図13
  • 特許-テープマウンタ 図14
  • 特許-テープマウンタ 図15
  • 特許-テープマウンタ 図16
  • 特許-テープマウンタ 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】テープマウンタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231017BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20231017BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20231017BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01L21/68 N
G01N21/892 A
G01N21/88 Z
G01N21/956 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019134431
(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公開番号】P2021019114
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 昌大
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 奈王久
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3220069(JP,U)
【文献】特開平10-221905(JP,A)
【文献】特開2017-204615(JP,A)
【文献】特開2015-220365(JP,A)
【文献】特開2016-008104(JP,A)
【文献】特開2011-054715(JP,A)
【文献】特開2018-049913(JP,A)
【文献】特開平07-311312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
G01N 21/892
G01N 21/88
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リングフレームを保持するリングフレーム保持テーブルと、該リングフレームの開口内でウェーハを保持するウェーハ保持テーブルと、該リングフレーム保持テーブルに保持された該リングフレームの上面と該ウェーハ保持テーブルに保持されたウェーハの上面とに円形のテープを貼着する貼着手段と、を備えるテープマウンタであって、
該リングフレームの上面で該テープが貼着されているべき領域の測定点に測定光を投光する投光部と、該測定点で反射した反射光を受光する受光部と、からなるセンサと、
該受光部が受光する受光量についての基準値を設定する設定部と、
該受光部が受光した受光量が該基準値より小さい場合は該測定点に該テープが貼着されていると判断し、該受光部が受光した受光量が該基準値以上の場合は、該測定点にテープが貼着されていないと判断する判断部と、を備え
該テープが貼着されているべき領域は、該テープの中心がリングフレームの中心と一致して貼着されている場合における、該テープのリングフレームに貼着されている環状の領域であって、
該測定点は、少なくとも2箇所設定されており、該テープの送り方向において該リングフレームの開口の中心を中心として対称に設定されるテープマウンタ。
【請求項2】
該測定点を、該テープの送り方向に直交する方向において、該リングフレームの中心を中心として対称に2箇所を追加設定する、請求項1記載のテープマウンタ。
【請求項3】
前記測定光を前記リングフレームの上面で反射させた反射光を前記受光部が受光した際の受光量を記憶する記憶部を備え、
前記設定部は、該記憶部に記憶された値を前記基準値として設定する請求項1又は2記載のテープマウンタ。
【請求項4】
前記センサは、
前記リングフレームの上面に対し斜め上方向から前記測定点に向かって前記測定光を投光する前記投光部と、
該測定点に対し該投光部と対称位置に配置され該測定点で反射した該測定光を回帰反射させる回帰反射板と、
該回帰反射板で反射した反射光が該測定点でさらに反射した反射光を該投光部の近傍で受光する前記受光部と、からなる請求項1、2又は3記載のテープマウンタ。
【請求項5】
前記センサは、
前記リングフレームの上面に対し斜め上方向から前記測定点に向かって前記測定光を投光する前記投光部と、
該測定点に対し該投光部と対称位置に配置され該測定点で反射した反射光を受光する前記受光部と、からなる請求項1、2又は3記載のテープマウンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープマウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
テープマウンタは、ウェーハの直径よりも大きい直径の開口を備えるリングフレームとリングフレームの開口に位置づけたウェーハとに円形のダイシングテープを貼着して一体化し、ウェーハをリングフレームを介してハンドリング可能な状態にする。
【0003】
テープマウンタのリングフレーム保持手段は、リングフレームの下面を吸引保持する。そして、テープマウンタのウェーハ保持手段は、リングフレームの開口内で、ウェーハの下面を吸引保持する。そして、転動するローラ等の貼着手段が、リングフレームの上面とウェーハの上面とに円形のダイシングテープを貼着する。
【0004】
また、リングフレームには、平行に向かい合った2つの第1平坦面と、第1平坦面に対して直交する方向で平行に向かい合った2つの第2平坦面とが外周側面に形成されている。そして、特許文献1又は特許文献2に開示されているように、ウェーハの中心とリングフレームの開口の中心とを一致させるために、リングフレーム保持手段は、リングフレームの一対の第1平坦面、及び一対の第2平坦面をリングフレームの外周側から挟むことで、リングフレームを目標位置に位置決め(センタリング)している。
【0005】
上記の様に位置決めされたウェーハとリングフレームとに貼着されるダイシングテープの直径は、リングフレームの内径(開口の直径)より大きくリングフレームの外径以下である。そして、ダイシングテープは、ダイシングテープの中心とリングフレームの開口の中心とが合致するようにリングフレームに貼着され、さらに、ダイシングテープの中心は、リングフレームの開口内のウェーハの中心とも合致される(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-082045号公報
【文献】特開2011-036968号公報
【文献】特開2016-008104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウェーハを切削ブレードでダイシングするダイシング装置は、ウェーハを保持するチャックテーブルの保持面よりリングフレームの上面が低くなるようにリングフレームを引き下げて保持し、切削ブレードがリングフレームに接触しないようにしている。ここで、ダイシングテープがリングフレームに互いの中心がずれて貼着されていると、リングフレームを引き下げて保持した際に、ダイシングテープがリングフレームから剥がれるという問題がある。
したがって、テープマウンタにおいては、リングフレームにダイシングテープを貼着した後、ダイシングテープの中心がリングフレームの中心と一致して貼着されているか否かを確認できるようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、リングフレームを保持するリングフレーム保持テーブルと、該リングフレームの開口内でウェーハを保持するウェーハ保持テーブルと、該リングフレーム保持テーブルに保持された該リングフレームの上面と該ウェーハ保持テーブルに保持されたウェーハの上面とに円形のテープを貼着する貼着手段と、を備えるテープマウンタであって、該リングフレームの上面で該テープが貼着されているべき領域の測定点に測定光を投光する投光部と、該測定点で反射した反射光を受光する受光部と、からなるセンサと、該受光部が受光する受光量についての基準値を設定する設定部と、該受光部が受光した受光量が該基準値より小さい場合は、該測定点に該テープが貼着されていると判断し、該受光部が受光した受光量が該基準値以上の場合は、該測定点にテープが貼着されていないと判断する判断部と、を備え、該テープが貼着されているべき領域は、該テープの中心がリングフレームの中心と一致して貼着されている場合における、該テープのリングフレームに貼着されている環状の領域であって、該測定点は、少なくとも2箇所設定されており、該テープの送り方向において該リングフレームの開口の中心を中心として対称に設定されるテープマウンタである。
該測定点は、少なくとも2箇所設定されており、該テープの送り方向において該リングフレームの開口の中心を中心として対称に設定してもよい。
【0009】
前記測定光を前記リングフレームの上面で反射させた反射光を前記受光部が受光した際の受光量を記憶する記憶部を備え、前記設定部は、該記憶部に記憶された値を前記基準値として設定すると好ましい。
【0010】
前記センサは、前記リングフレームの上面に対し斜め上方向から前記測定点に向かって前記測定光を投光する前記投光部と、該測定点に対し該投光部と対称位置に配置され該測定点で反射した該測定光を回帰反射させる回帰反射板と、該回帰反射板で反射した反射光が該測定点でさらに反射した反射光を該投光部の近傍で受光する前記受光部と、からなると好ましい。
【0011】
前記センサは、前記リングフレームの上面に対し斜め上方向から前記測定点に向かって前記測定光を投光する前記投光部と、該測定点に対し該投光部と対称位置に配置され該測定点で反射した反射光を受光する前記受光部と、からなると好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るテープマウンタは、リングフレームの上面でテープが貼着されているべき領域の測定点に測定光を投光する投光部と、測定点で反射した反射光を受光する受光部と、からなるセンサと、受光部が受光する受光量についての基準値を設定する設定部と、判断部と、を備え、判断部が、受光部が受光した受光量が基準値より小さい場合は、測定点にテープ(例えば、ダイシングテープ)が貼着されていると判断し、受光部が受光した受光量が基準値以上の場合は、測定点にテープが貼着されていないと判断することができ、テープの中心がリングフレームの中心と一致して貼着されているか否かを確認できる。即ち、従来は、透過型センサで、リングフレームのテープが貼られていない箇所を確認することができていたが、テープの中心がリングフレームの中心と一致して貼着されているか否か、換言すれば、リングフレームの開口の周囲においてテープの貼り付け面積が部分的に狭くなっているところが有るか否かは確認することができなかった。しかし、本発明に係るテープマウンタは、例えば、センサが測定する測定点を、リングフレームの開口より少し外側の領域(テープが貼り付けられているべき領域)内に設定し、リングフレームに対するテープの貼り付け面積が狭くなっている箇所(測定点にテープが貼り付られていない箇所)があれば、受光部が受光するリングフレームからの反射光の受光量が基準値以上となり、判断部が、テープの貼り付け面積が部分的に狭くなっているところが有り、テープがリングフレームから剥がれやすくなっている箇所があると判断できる。
【0013】
本発明に係るテープマウンタは、測定光をリングフレームの上面で反射させた反射光を受光部が受光した際の受光量を記憶する記憶部を備え、設定部は、記憶部に記憶された値を基準値として設定することで、判断部がダイシングテープの中心がリングフレームの中心と一致して貼着されているか否かを判断するための基準値を、適切にテープマウンタに設定できる。
【0014】
本発明に係るテープマウンタにおいて、センサは、リングフレームの上面に対し斜め上方向から測定点に向かって測定光を投光する投光部と、測定点に対し投光部と対称位置に配置され測定点で反射した測定光を回帰反射させる回帰反射板と、回帰反射板で反射した反射光が測定点でさらに反射した反射光を投光部の近傍で受光する受光部と、からなることで、ダイシングテープが透明なテープであっても、又は不透明なテープであっても、判断部が、受光部が受光した受光量が基準値より小さい場合は、測定点にテープが貼着されていると判断し、受光部が受光した受光量が基準値以上の場合は、測定点にテープが貼着されていないと判断することができ、ダイシングテープの中心がリングフレームの中心と一致して貼着されているか否かを判断できる。
【0015】
本発明に係るテープにおいて、センサは、リングフレームの上面に対し斜め上方向から測定点に向かって測定光を投光する投光部と、測定点に対し投光部と対称位置に配置され測定点で反射した反射光を受光する受光部と、からなることで、ダイシングテープが不透明なテープであっても、判断部が、受光部が受光した受光量が基準値より小さい場合は、測定点にテープが貼着されていると判断し、受光部が受光した受光量が基準値以上の場合は、測定点にテープが貼着されていないと判断することができ、ダイシングテープの中心がリングフレームの中心と一致して貼着されているか否かを判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】テープマウンタの一例を示す斜視図である。
図2】リングフレーム保持テーブル及びウェーハ保持テーブルの一例を示す斜視図である。
図3】テープマウンタにおいて、リングフレームとウェーハとにテープが貼着し始められる状態を説明する側面図である。
図4】テープマウンタにおいて、リングフレームとウェーハとにテープが貼着し始められた状態を説明する側面図である。
図5】テープマウンタにおいて、リングフレームとウェーハとにテープが貼着されウェーハセットが作製された状態を説明する側面図である。
図6】実施形態1のセンサの下方に位置するリングフレーム保持テーブルにおいて、テープの中心がリングフレームの中心と合致してテープがリングフレームに貼着されている場合を説明する平面図である。
図7】実施形態1のセンサの下方に位置するリングフレーム保持テーブルにおいて、テープの中心がリングフレームの中心とずれてテープがリングフレームに貼着されている場合を説明する平面図である。
図8】テープの中心がリングフレームの中心と合致している場合において、実施形態1のセンサで投光部が第1測定点に測定光を照射して受光部が反射光を受光する状態を説明する説明図である。
図9】実施形態1のセンサの受光部の受光量を示すグラフである。
図10】テープの中心がリングフレームの中心とずれている場合において、実施形態1のセンサで投光部が第1測定点に測定光を照射して受光部が反射光を受光する状態を説明する説明図である。
図11】テープの中心がリングフレームの中心とずれている場合において、実施形態1のセンサで投光部が第2測定点に測定光を照射して受光部が反射光を受光する状態を説明する説明図である。
図12】実施形態2のセンサの下方に位置するリングフレーム保持テーブルにおいて、テープの中心がリングフレームの中心と合致してテープがリングフレームに貼着されている場合を説明する平面図である。
図13】テープの中心がリングフレームの中心と合致している場合において、実施形態2のセンサで投光部が第1測定点に測定光を照射して受光部が反射光を殆ど受光していない状態を説明する説明図である。
図14】実施形態2のセンサの受光部の受光量を示すグラフである。
図15】実施形態2のセンサの下方に位置するリングフレーム保持テーブルにおいて、テープの中心がリングフレームの中心とずれてテープがリングフレームに貼着されている場合を説明する平面図である。
図16】テープの中心がリングフレームの中心とずれている場合において、実施形態2のセンサで投光部が第1測定点に測定光を照射して受光部が反射光を受光している状態を説明する説明図である。
図17】テープの中心がリングフレームの中心とずれている場合において、実施形態2のセンサで投光部が第2測定点に測定光を照射して受光部が反射光を殆ど受光していない状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す本発明に係るテープマウンタ1は、後述する各発明構成要素が配設され長手方向がX軸方向である基台10を備えており、基台10の上面は水平面となっている。基台10の後方側(+X方向側)の上方には、テープロールTRが配設されている。
【0018】
テープロールTRは、帯状の粘着テープと、帯状のシートT1とが貼り合わせられた構造となっている。粘着テープは、例えばポリオレフィン系樹脂等からなる基材と基材の粘着剤層とからなり、粘着剤層側にシートT1が貼着されている。粘着テープは、予め貼着対象となるリングフレームFの径に応じて円形状に複数プリカットされており、シートT1に粘着テープがプリカットされて形成されたテープT2(ダイシングテープT2)が複数、シートT1の長手方向に等間隔を空けて貼着された状態になっている。なお、テープT2及びシートT1は、特に材質などが限定されない。例えば、本実施形態において、テープT2は、可視光に対して透明なテープであるが、着色がされており可視光に対して不透明なテープであってもよい。
テープロールTRは、図1に示すように巻筒19にテープT2を内側にしてロール状に巻回された状態となっている。テープT2は、リングフレームFの円形の開口Fc(図2参照)の内径よりも大径で、かつリングフレームFの外径よりも小径となっている。
【0019】
図2に示すように、リングフレームFは、所定の金属(例えば、SUS等)で構成されており環状平板状となっており、ウェーハWの外径よりも大きい内径の円形の開口Fcを備えている。また、リングフレームFは、例えば、その外周の一部をフラットに切欠くことで、平行に向かい合った2つの第1平坦面Fdと、第1平坦面Fdに対して直交する方向で平行に向かい合った2つの第2平坦面Feとが形成されている。第1平坦面Fd及び第2平坦面Feは、リングフレームFの位置決めに使用される。
【0020】
ウェーハWは、例えば、シリコン母材等からなる円形の半導体ウェーハであり、図1において下方を向いているウェーハWの表面Wa(下面Wa)は、格子状に区画された領域に複数のデバイスが形成されており、図示しない保護テープが貼着されて保護されている。ウェーハWの裏面Wb(上面Wb)は、テープT2が貼着される面となる。なお、ウェーハWはシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、セラミックス、樹脂、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、矩形のパッケージ基板等であってもよい。
【0021】
図1に示すテープロールTRの斜め下方となる位置には、引き出されたシートT1を屈曲させシートT1からテープT2を剥離させるピールプレート15が配設されている。ピールプレート15は、例えば、Y軸方向から見た場合に側面視三角形状となる斜板であり、シートT1の幅(Y軸方向長さ)以上の長さでY軸方向に延在している。図3図4に示すように、ピールプレート15が、その先端側でシートT1を押圧して鋭角に屈曲させることにより、シートT1からテープT2を剥離することができる。
【0022】
図1、3に示すように、ピールプレート15によってテープT2が剥離されたシートT1は、ピールプレート15の後方(+X方向)に送られる。そして、モータ等の回転駆動源によりY軸方向の回転軸を軸に回転するシート巻き取りローラ16によって、シートT1はロール状に巻き取られる。シート巻き取りローラ16の該回転駆動源は、例えば、トルク制御でテープロールTRからのシートT1の引き出し速度を制御する。
【0023】
シート巻き取りローラ16とピールプレート15との間には、シート支持ローラ160が配設されており、シート支持ローラ160によって、テープT2が剥離されたシートT1が弛まないようにされている。
【0024】
テープマウンタ1は、リングフレームFを保持するリングフレーム保持テーブル20と、リングフレームFの開口Fc内でウェーハWを保持するウェーハ保持テーブル21と、リングフレーム保持テーブル20に保持されたリングフレームFの上面Faとウェーハ保持テーブル21に保持されたウェーハWの上面Wbとに円形のテープT2を貼着する貼着手段22と、を備える。
【0025】
図2に示すリングフレーム保持テーブル20は、例えば、平面視正方形状に形成されており、その中央に形成された凹部200内にウェーハ保持テーブル21を収容している。リングフレーム保持テーブル20の上面20aは、平坦面であるリングフレーム保持面となる。リングフレーム保持テーブル20の上面20aには、開口を有し凹状の例えば4つの吸盤収容部201が設けられている。これら4つの吸盤収容部201には、それぞれリングフレームFを吸着可能な吸盤25が配設されている。吸盤25は、例えば、変形可能なゴム等の弾性材を平面視円形状に形成したものである。各吸盤25は、真空発生装置等の図示しない吸引源に連通している。
なお、リングフレーム保持テーブル20の外形や構造等は、本実施形態に限定されるものではない。
【0026】
リングフレーム保持テーブル20の上面20aには、リングフレームFを上面20a上で位置決め(センタリング)するための、第1の固定位置決め部23、および、第1の固定位置決め部23に向かい合う第1の可動位置決め部24が配置されている。さらに、上面20aには、第2の固定位置決め部26、および、第2の固定位置決め部26に向かい合う第2の可動位置決め部27が配置されている。
例えば、第1の固定位置決め部23と第1の可動位置決め部24とが向かい合う方向と、第2の固定位置決め部26と第2の可動位置決め部27とが向かい合う方向とは、互いに略直交している。
【0027】
第1の固定位置決め部23は、例えば、2本の円柱状の第1固定ピン23a、23bとからなり、第1固定ピン23a、第1固定ピン23bは、平面視で、リングフレーム保持テーブル20のX軸方向に平行な中心線を対称軸として互いに対称に配置されている。
【0028】
第1の可動位置決め部24は、例えば、円柱状の第1可動ピン24aと、第1可動ピン24aを支持する第1可動ブロック24bと、第1可動ブロック24bをX軸方向に移動させる図示しないシリンダーとを備えている。
【0029】
第2の固定位置決め部26は、例えば、2本の円柱状の第2固定ピン26a、26bとからなり、第2固定ピン26a、第2固定ピン26bは、平面視で、リングフレーム保持テーブル20のY軸方向に平行な中心線を対称軸として互いに対称に配置されている。
第2の可動位置決め部27は、例えば、円柱状の第2可動ピン27aと、第2可動ピン27aを支持する第2可動ブロック27bと、第2可動ブロック27bをY軸方向に移動させる図示しないシリンダーとを備えている。
【0030】
本実施形態においては、第1の固定位置決め部23および第1の可動位置決め部24と、第2の固定位置決め部26および第2の可動位置決め部27との少なくともいずれか一方が、リングフレームFにおける2つの第1平坦面Fdおよび2つの第2平坦面Feの少なくともいずれか一方を挟んで、リングフレームFを、リングフレーム保持テーブル20の上面20a上で目標位置に位置決め(センタリング)する。リングフレーム保持テーブル20上でセンタリングされたリングフレームFの開口Fcの中心とウェーハ保持テーブル21の保持面210aの中心とは略合致する。その後、各吸盤25でリングフレームFが吸引保持される。
【0031】
ウェーハ保持テーブル21は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなりウェーハWを吸着する吸着部210と、縦断面が凹形状となっており吸着部210を支持する枠体211とを備える。枠体211の凹部にはめ込まれた状態の吸着部210は、図示しない吸引源に連通している。吸着部210の上面であり平坦面である保持面210aに吸引源が生み出す吸引力が伝達されることで、ウェーハ保持テーブル21は保持面210a上でウェーハWを吸引保持する。
【0032】
例えば、リングフレーム保持テーブル20の上面20aの高さは、ウェーハWをウェーハ保持テーブル21の保持面210aで保持し、リングフレーム保持テーブル20の上面20aでリングフレームFを保持した場合に、リングフレームFの上面FaとウェーハWの上面Wbとが略同一の高さになるように設定されている。
【0033】
図1に示すように、基台10上には、ウェーハ保持テーブル21及びリングフレーム保持テーブル20をX軸方向に往復移動させるテーブル移動手段13が配設されている。テーブル移動手段13は、X軸方向の軸心を有するボールネジ130と、ボールネジ130と平行に配設されたガイドレール131と、ボールネジ130に連結しボールネジ130を回動させるモータ132と、を備え、リングフレーム保持テーブル20は、その下面側に備える図示しないナットがボールネジ130に螺合している。そして、モータ132がボールネジ130を回動させると、これに伴いウェーハ保持テーブル21及びリングフレーム保持テーブル20がガイドレール131にガイドされてX軸方向に往復移動する。
【0034】
リングフレーム保持テーブル20移動経路の上方の位置で、かつ、ピールプレート15の先端近傍となる位置には、貼着手段22が配設されている。貼着手段22は、例えば、リングフレーム保持テーブル20のY軸方向の幅以上の長さを備えた回転可能な貼着ローラである。貼着手段22は、例えば、リングフレーム保持テーブル20をY軸方向に横断するように配設されており、図示しない移動手段によって、上下方向に移動可能となっている。なお、貼着手段22は、上下方向に移動可能となっていなくてもよい。
【0035】
リングフレーム保持テーブル20上にリングフレームFがセンタリングされた状態で吸引保持され、かつ、ウェーハ保持テーブル21上でウェーハWがその中心が保持面210aの中心に略合致した状態で吸引保持される。そして、図4、5に示すように、テーブル移動手段13によってリングフレーム保持テーブル20を-X方向に移動させて貼着手段22の下方を通過させる。その結果、ピールプレート15によってシートT1から剥離されたテープT2が、貼着手段22によって、基材面側である上側からリングフレーム保持テーブル20に保持されているリングフレームFの上面Fa、及びウェーハ保持テーブル21に保持されているウェーハWの上面Wbに押圧されていくことで、テープT2は、リングフレームF及びリングフレームFの開口Fc内に位置づけられたウェーハWに貼着される。そして、ウェーハWをリングフレームFを介してハンドリング可能な、ウェーハW、テープT2、及びリングフレームFからなる図5に示すウェーハセットが作製される。
【0036】
上記のようにウェーハセットが形成された後に、テープT2の中心がリングフレームFの中心(開口Fcの中心)と一致して貼着されているか否かを確認するために、図1図5、及び図6に示すように、テープマウンタ1は、リングフレームFの上面FaでテープT2が貼着されているべき領域の測定点に測定光を投光する投光部60(図6のみ図示)と、測定点で反射した反射光を受光する受光部61(図6のみ図示)と、からなるセンサ6と、受光部61が受光する受光量についての基準値を設定する設定部90と、テープT2の中心がリングフレームFの中心(開口Fcの中心)と一致して貼着されているか否かを判断する判断部92とを備えている。
センサ6を以下に、実施形態1のセンサ6とする。
【0037】
図6は、テープT2の中心がリングフレームFの中心(開口Fcの中心)と一致して貼着されている場合を示している。そして、図7は、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていない場合、即ち、図示の例においては、テープT2の中心がリングフレームFの中心に対して+X方向側にずれてしまっている場合を示している。
【0038】
図6に示すように、リングフレームFの上面Faに設定され、センサ6が測定光を投光する測定点は、例えば、開口Fcの周囲のテープT2が貼着されているべき領域内に設定される第1測定点P1及び第2測定点P2である。テープT2が貼着されているべき領域は、実験的、経験的、又は理論的に定められており、テープT2の中心がリングフレームFの中心(開口Fcの中心)と一致して貼着されている場合における、テープT2のリングフレームFに貼着されている環状の領域となる。例えば、第1測定点P1及び第2測定点P2は、テープT2のリングフレームFに貼着されている環状の領域の幅の中点となる位置に設定されていると好ましい。
【0039】
測定点は、少なくとも、図1に示すシートT1の送り方向であるX軸方向においてリングフレームFの開口Fcの中心を中心として対称に設定された第1測定点P1及び第2測定点P2の2つである。
なお、測定点は、上記第1測定点P1及び第2測定点P2に加えて、図6に示すシートT1の送り方向であるX軸方向に水平面内で直交するY軸方向において開口Fcの中心を中心として対称に、図6に示す第3測定点P3及び第4測定点P4がさらに設定されていてもよい。なお、シートT1の送り方向に直交するY軸方向においては、テープT2のリングフレームFに対する貼着ずれはあまり生じないため、第3測定点P3及び第4測定点P4が設定されなくてもよい。
【0040】
図1、5、6に示すセンサ6は、例えば、貼着手段22を通過した位置まで-X方向に移動した状態のリングフレーム保持テーブル20の上方において、リングフレーム保持テーブル20の上面20aとZ軸方向において対向するように配設されている。
実施形態1のセンサ6は、例えば、回帰反射形の光電センサであり、リングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から測定点に向かって測定光を投光する投光部60と、測定点に対し投光部60と例えば対称位置に配置され測定点で反射した測定光を回帰反射させる回帰反射板62と、回帰反射板62で反射した反射光が測定点でさらに反射した反射光を投光部60の近傍で受光する受光部61と、からなる。
なお、測定光は、スポットタイプのレーザー光線を用いると細線状の測定光を測定点に照射することとなり、測定点にテープT2が貼着されているか否かの判断が容易になる。
【0041】
図6、8に示すように、センサ6は、例えば、外部光を遮光可能であると共に下部側に測定光を通過可能とする開口630が設けられた筐体63を備えており、筐体63は、例えば、テーブル移動手段13によるリングフレーム保持テーブル20の移動方向であるX軸方向に直交するY軸方向に延在している。
【0042】
投光部60及び受光部61は、例えば、図6、8において筐体63の+Y方向側の部位に、並べて配設されている。投光部60は、例えば、低出力の細線状のレーザー光を斜め下方に向かって一直線に照射できる。投光部60が照射したレーザ光は所定の入射角でセンサ6の下方に位置したリングフレームFに入射する。なお、例えば、レーザ光の入射角度及びレーザ光の集光点の高さ位置は、図示しない調整手段によって調整可能となっていてもよい。受光部61は、例えば、CCD等の受光素子で構成されている。
【0043】
例えば、リングフレーム保持テーブル20の上面20a上でセンタリングされた状態のリングフレームFに設定されている第1測定点P1及び第2測定点P2は、リングフレーム保持テーブル20のX軸方向に平行な中心線上に位置付けられている。そして、鏡面ミラー等の回帰反射板62は、例えば、リングフレーム保持テーブル20のX軸方向に平行な中心線を対称軸として、筐体63の-Y方向側の部位に配設されており、図1に示すテーブル移動手段13によってリングフレーム保持テーブル20が-X方向に移動されて、第1測定点P1が投光部60の光軸上に位置すると、第1測定点P1に対し投光部60とY軸方向において対称位置に配置された状態になる。
【0044】
例えば、図1に示すように、テープマウンタ1は、装置全体の制御、即ち、上記に説明したテーブル移動手段13、第1の可動位置決め部24、及び第2の可動位置決め部27、シート巻き取りローラ16、及びセンサ6等の各構成要素の動作を制御するCPU等からなる制御手段9を備えている。そして、本実施形態においては、受光部61が受光する受光量についての基準値を設定する設定部90、及び測定点にテープが貼着されているか否かを判断する判断部92が、制御手段9に含まれている。
【0045】
本実施形態におけるテープマウンタ1は、測定光をリングフレームFの上面Faで反射させた反射光、即ち、例えばテープT2が貼着されていない状態のリングフレームFの上面Faで反射させた反射光を受光部61が受光した際の受光量を記憶する記憶部95を備えている。記憶部95は、例えば、制御手段9に含まれ、制御プログラムや予め設定される加工情報等を格納するROM、及びセンサ6の測定結果等を格納するRAM等から構成されている。
【0046】
以下に、テープマウンタ1において、ウェーハW、リングフレームF、及びテープT2からなるウェーハセットのテープT2の中心がリングフレームFの中心(開口Fcの中心)と一致して貼着されているか否かの判断が行われる場合について説明する。
【0047】
図1に示す制御手段9は、テーブル移動手段13を制御することで、テープマウンタ1上におけるリングフレーム保持テーブル20のX軸座標位置を常に把握している。そして、図1に示すテーブル移動手段13によって-X方向に送られるリングフレーム保持テーブル20が貼着手段22を通過し、図5に示すように、テープT2がリングフレームFに貼着されてから、さらにリングフレーム保持テーブル20がX軸方向における所定の座標位置まで-X方向に移動する。
【0048】
リングフレームFは、リングフレーム保持テーブル20上でセンタリングされているため、リングフレーム保持テーブル20がX軸方向における所定の座標位置まで移動することで、制御手段9は、第1測定点P1が、X軸方向における予め把握された座標位置、即ち、図6、8に示すように、センサ6の投光部60の光軸上に位置づけられたと判断する。そして、制御手段9に電気的に接続されているセンサ6に対して、制御手段9から動作信号が送られ、センサ6の投光部60がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第1測定点P1に向かって細線状の測定光を投光する。
【0049】
図6に示すように、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されている場合には、図8に示すように、測定光がテープT2を透過して、リングフレームFの上面Faの第1測定点P1で反射する。リングフレームFの上面Faの第1測定点P1で反射した測定光は、第1測定点P1に対しY軸方向において投光部60と対称位置に配置された回帰反射板62で回帰反射され、第1測定点P1で再び反射して、投光部60の近傍で受光部61に受光される。第1測定点P1に対する投光によって受光部61が受光した図9に示す受光量V2は、図8に示す制御手段9の記憶部95の例えばRAMに記憶される。
【0050】
図6、8に示すリングフレーム保持テーブル20がさらに-X方向に移動されることで、制御手段9は、第2測定点P2がX軸方向における予め把握された座標位置、即ち、センサ6の投光部60の光軸上に位置づけられたと判断する。そして、センサ6の投光部60がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第2測定点P2に向かって細線状の測定光を投光する。
【0051】
図6に示すように、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されている場合には、測定光がテープT2を透過して、リングフレームFの上面Faの第2測定点P2で反射する。リングフレームFの上面Faで反射した測定光は、第2測定点P2に対しY軸方向において投光部60と対称位置に配置された回帰反射板62で回帰反射され、第2測定点P2で再び反射して、投光部60の近傍で受光部61に受光される。第2測定点P2に対する投光によって受光部61が受光した受光量は、図9に示す受光量V2である。
【0052】
過去の実験等によって得られ記憶部95のROMに記憶されているリングフレームFの上面Faで反射させた反射光を受光部61が受光した際の受光量、即ち、本実施形態においては、投光部60からリングフレームFの上面Faに投光され、リングフレームFの上面Faで反射した測定光が回帰反射板62で反射し、回帰反射板62で回帰反射した反射光を受光部61が受光した際の受光量は、例えば、図9に示す受光量V1となっている。
そして、本実施形態における図8に示す設定部90は、記憶部95に記憶されている受光量V1を、判断部92がテープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されているか否かの判断を行うために用いる、受光部61が受光する受光量についての基準値V1として判断部92に設定する。
【0053】
判断部92は、先ほど得られ記憶部95のRAMに記憶された第1測定点P1に対する投光によって受光部61が受光した受光量V2、及び第2測定点P2に対する投光によって受光部61が受光した受光量V2を、それぞれ、記憶部95に記憶されている受光量V1(基準値V1)と比較する。ここで、受光量V2は、投光部60が照射した測定光のテープT2の透過による減衰を経て受光部61で受光された反射光の量であるため、受光量V1よりも小さい値である。
したがって、判断部92は、図6に示す第1測定点P1に対する投光によって受光部61が受光した受光量V2、及び第2測定点P2に対する投光によって受光部61が受光した受光量V2が、基準値である受光量V1よりそれぞれ小さいと判断して、リングフレームFの上面Faの第1測定点P1及び第2測定点P2にテープT2が貼着されていると判断し、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていると判断する。
なお、本実施形態においては、第1測定点P1及び第2測定点P2に対する測定光の照射によって上記判断が行われているが、さらに、センサ6による第3測定点P3及び第4測定点P4に対する測定光の照射により得られたデータも加味して、判断部92は上記判断を行ってもよい。
【0054】
本実施形態においては、テープT2は、透明なテープであるが、テープT2が不透明なテープ(着色されたテープ)である場合には、図6に示す第1測定点P1に対する投光によって受光部61が受光した受光量は、図9に示す受光量V3となる。また、第2測定点P2に対する投光によって受光部61が受光した受光量は、図9に示す受光量V3となる。受光量V3は、投光部60が照射した測定光が不透明なテープによる吸収や散乱を経て受光部61で受光された反射光の量であるため、受光量V1や受光量V2よりも小さい値である。したがって、判断部92は、第1測定点P1に対する投光によって受光部61が受光した受光量V3、及び第2測定点P2に対する投光によって受光部61が受光した受光量V3が基準値である受光量V1よりそれぞれ小さいと判断して、第1測定点P1及び第2測定点P2にテープT2が貼着されていると判断し、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていると判断することができる。
【0055】
例えば、図8に示す判断部92による上記判断が実施された後に、ウェーハセットは、図示しない搬送手段によってウェーハカセットに収容される。ウェーハカセットは、複数の棚を備えており、該棚に一枚ずつウェーハセットが収容される。
【0056】
例えば、図7に示すように、ウェーハセットのテープT2の中心がリングフレームFの中心(開口Fcの中心)と一致して貼着されていない場合における、判断部92の判断について説明する。
図7に示すように、リングフレーム保持テーブル20がX軸方向における所定の座標位置まで移動することで、制御手段9は、第1測定点P1が、X軸方向における予め把握された座標位置に位置づけられた、即ち、図7図10に示すように、センサ6の投光部60の光軸上に位置づけられたと判断する。そして、センサ6に対して、動作信号が制御手段9から送られ、投光部60がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第1測定点P1に向かって細線状の測定光を投光する。
【0057】
図10に示すように、投光部60がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第1測定点P1に向かって細線状の測定光を投光すると、第1測定点P1上にテープT2が存在しないため、測定光は直にリングフレームFの上面Faの第1測定点P1で反射する。リングフレームFの上面Faで反射した測定光は、回帰反射板62で回帰反射され、第1測定点P1で再び反射して、投光部60の近傍で受光部61に受光される。受光部61が受光した受光量は、例えば、図9に示す受光量V1となる。これは、測定光のテープT2の透過に伴う減衰が起きないためである。受光量V1は、制御手段9の記憶部95のRAMに記憶される。
【0058】
図7に示すリングフレーム保持テーブル20がさらに-X方向に移動され、X軸方向における所定の座標位置まで移動することで、制御手段9は、図11に示すように、センサ6の投光部60の光軸上に第2測定点P2が位置づけられたと判断する。そして、センサ6の投光部60がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第2測定点P2に向かって細線状の測定光を投光する。
【0059】
図7に示すように、テープT2の中心がリングフレームFの中心に対して+X方向側にずれてしまっているため、図11に示すように、測定光がテープT2を透過して、リングフレームFの上面Faの第2測定点P2で反射する。リングフレームFの上面Faで反射した測定光は、回帰反射板62で回帰反射され、第2測定点P2で再び反射して、投光部60の近傍で受光部61に受光される。第2測定点P2に対する投光によって受光部61が受光した受光量は、投光部60が照射した測定光のテープT2の透過による減衰を経て受光部61で受光された反射光の量であるため、図9に示す受光量V2である。
【0060】
判断部92は、記憶部95のRAMに記憶された第1測定点P1に対する投光によって受光部61が受光した受光量V1、及び第2測定点P2に対する投光によって受光部61が受光した受光量V2を、それぞれ、記憶部95のROMに記憶されている基準値である受光量V1と比較する。そして、判断部92は、第1測定点P1に対する投光によって受光部61が受光した受光量V1が基準値である受光量V1以上(即ち、同じ)であると判断して、第1測定点P1にテープT2が貼られていないと判断し、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていないと判断する。
なお、本実施形態においては、第1測定点P1及び第2測定点P2に対する測定光の照射によって上記判断が行われているが、さらに、第3測定点P3及び第4測定点P4に対する測定光の照射により得られたデータも加味して、判断部92は上記判断を行ってもよい。
【0061】
判断部92は、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていないと判断した場合には、警報音を鳴らす又はエラーを表示する等して、作業者に該判断を通知する。判断部92による上記判断が実施された後に、該判断された不良なウェーハセットは、図示しない搬送手段によってウェーハカセットに収容されるが、作業者は該不良なウェーハセットが収容されているウェーハカセットの棚の位置を把握できるため、その後、該不良なウェーハセットをウェーハカセットから取り除くことができる。
例えば、制御手段9によって、不良なウェーハセットが収容されたウェーハカセットの棚の段数が記憶されてもよい。
また、不良なウェーハセットを載置する抜き取りテーブルを備え、図示しない搬送手段によって、該抜き取りテーブルに不良なウェーハセットを搬送させてもよい。
【0062】
上記のように本発明に係るテープマウンタ1は、リングフレームFの上面FaでテープT2が貼着されているべき領域の測定点に測定光を投光する投光部60と、測定点で反射した反射光を受光する受光部61と、からなるセンサ6と、受光部61が受光する受光量についての基準値を設定する設定部90と、判断部92と、を備え、判断部92が、受光部61が受光した受光量が基準値より小さい場合は、測定点にテープT2が貼着されていると判断し、受光部61が受光した受光量が基準値以上の場合は、測定点にテープT2が貼着されていないと判断することができ、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されているか否かを確認できる。即ち、従来は、透過型センサで、リングフレームFのテープT2が貼られていない箇所を確認することができていたが、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されているか否か、換言すれば、リングフレームFの開口Fcの周囲においてテープT2の貼り付け面積が部分的に狭くなっているところが有るか否かは確認することができなかった。しかし、本発明に係るテープマウンタ1は、例えば、センサ6が測定する測定点を、リングフレームFの開口Fcより少し外側の領域(テープT2が貼り付けられているべき領域)内に設定し、リングフレームFに対するテープT2の貼り付け面積が狭くなっている箇所(測定点上にテープT2が貼着されていない箇所)があれば、受光部61が受光するリングフレームFからの反射光の受光量が基準値以上となり、判断部92が、テープT2の貼り付け面積が部分的に狭くなっているところが有り、テープT2がリングフレームFから剥がれやすくなっている箇所があると判断できる。
【0063】
本発明に係るテープマウンタ1は、測定光をリングフレームFの上面Faで反射させた反射光を受光部61が受光した際の受光量を記憶する記憶部95を備え、設定部90は、記憶部95に記憶された値を基準値として設定することで、判断部92がテープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されているか否かを判断するための基準値を、適切に設定できる。
【0064】
本発明に係るテープマウンタ1において、実施形態1のセンサ6のように、センサ6は、リングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から測定点に向かって測定光を投光する投光部60と、測定点に対し投光部60と対称位置に配置され測定点で反射した測定光を回帰反射させる回帰反射板62と、回帰反射板62で反射した反射光が測定点でさらに反射した反射光を投光部60の近傍で受光する受光部61と、からなることで、テープT2が透明なテープであっても、又は不透明なテープであっても、判断部92が、受光部61が受光した受光量が基準値より小さい場合は、測定点にテープT2が貼着されていると判断し、受光部61が受光した受光量が基準値以上の場合は、測定点にテープT2が貼着されていないと判断することができ、テープT2の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されているか否かを判断できる。
【0065】
図1に示すテープマウンタ1は、例えば、リングフレームFに貼着したテープが、透明なテープT2ではなく、可視光に対して透明でない着色されたテープT3(図12参照)である場合には、実施形態1のセンサ6の代わりに、以下に説明する図12、13に示す実施形態2のセンサ6Aを備えていてもよい。
【0066】
実施形態2のセンサ6Aは、例えば、限定反射形の光電センサであり、リングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から測定点に向かって測定光を投光する投光部66と、測定点に対し投光部66と対称位置に配置され測定点で反射した反射光を受光する受光部67と、からなる。
【0067】
センサ6Aは、例えば、図1に示す貼着手段22を通過した位置まで-X方向に移動した状態のリングフレーム保持テーブル20の上方において、リングフレーム保持テーブル20の上面20aとZ軸方向において対向するように配設されている。投光部66は、例えば、図12に示すように筐体63の+Y方向側の部位に配設されている。例えば、投光部66は、内蔵する光源から出射された光を矩形のスリットを通し、このスリットの透過光をコリメータレンズを通して平行光(測定光)に変換し、測定光を所定の幅を保ちつつ、斜め下方に向かって照射できる。なお、例えば、所定幅の測定光の入射角度等は、図示しない調整手段によって調整可能となっていてもよい。また、測定光が所定の幅を直径とする円柱状を形成していてもよい。
【0068】
例えば、リングフレーム保持テーブル20の上面20a上でセンタリングされた状態のリングフレームFに設定されている第1測定点P1及び第2測定点P2は、リングフレーム保持テーブル20のX軸方向に平行な中心線上に位置付けられている。そして、受光部67は、例えば、リングフレーム保持テーブル20のX軸方向に平行な中心線を対称軸として、筐体63の-Y方向側の部位に配設されており、図1に示すテーブル移動手段13によってリングフレーム保持テーブル20が-X方向に移動されて、第1測定点P1が投光部66の光軸上に位置すると、第1測定点P1に対し投光部66とY軸方向において対称位置に配置された状態になる。
【0069】
以下に、実施形態2のセンサ6Aを備えるテープマウンタ1において、図12に示すテープT3の中心がリングフレームFの中心(開口Fcの中心)と一致して貼着されているか否かの判断が、判断部92によって行われる場合について説明する。
【0070】
図1に示す制御手段9による制御の下で、テーブル移動手段13によって-X方向に送られるリングフレーム保持テーブル20が貼着手段22を通過し、図12に示すテープT3がリングフレームFに貼着されてから、さらにリングフレーム保持テーブル20がX軸方向における所定の座標位置まで-X方向に移動する。
【0071】
リングフレームFは、リングフレーム保持テーブル20上でセンタリングされているため、リングフレーム保持テーブル20がX軸方向における所定の座標位置まで移動することで、制御手段9は、第1測定点P1が、X軸方向における予め把握された座標位置、即ち、図12図13に示すように、センサ6Aの投光部66の光軸上に位置づけられたと判断する。そして、制御手段9に電気的に接続されているセンサ6Aに対して、制御手段9から動作信号が送られ、投光部66がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第1測定点P1に向かって所定幅の測定光を投光する。
【0072】
限定反射形のセンサ6Aは、投光部66と受光部67とが同じ傾き角をもって交差しており、それぞれの光軸が交差する限られた領域、即ち、ある限定された距離の正反射光のみを受光部67は受光する。そして、投光部66と受光部67とは、例えば、予め、リングフレームFの上面Faで直に反射した反射光を受光部67が受光するように、その高さ位置等が設定されている。
したがって、図12に示すように、テープT3の中心がリングフレームFの中心(開口Fcの中心)と一致して貼着されている場合には、図13に示すように、測定光が第1測定点P1におけるリングフレームFの上面Faに貼着されたテープT3の上面で反射するため、受光部67は測定光の反射光を殆ど受光しない。よって、第1測定点P1に対する投光によって受光部67が受光した受光量は、例えば、図14に示す少ない受光量V4となる。測定された受光量V4は、制御手段9の記憶部95のRAMに記憶される。
【0073】
図12に示すリングフレーム保持テーブル20がさらに-X方向に移動され、X軸方向における所定の座標位置まで移動することで、制御手段9は、第2測定点P2がセンサ6Aの投光部66の光軸上に位置づけられたと判断する。そして、センサ6Aの投光部66がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第2測定点P2に向かって所定幅の測定光を投光する。
【0074】
図12に示すように、テープT3の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されている場合には、測定光が第2測定点P2におけるリングフレームFの上面Faに貼着されたテープT3の上面で反射するため、受光部67は測定光の反射光を殆ど受光しない。よって、第2測定点P2に対する投光によって受光部67が受光した受光量は、例えば、図14に示す受光量V4となる。
【0075】
過去の実験等によって得られ記憶部95のROMに記憶されている、投光部66が投光しリングフレームFの上面Faで反射させた反射光を受光部67が受光した際の受光量は、例えば、図14に示す受光量V5となっている。
そして、本実施形態における図13に示す設定部90は、記憶部95に記憶されている受光量V5を、判断部92がテープT3の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されているか否かの判断を行うために用いる、受光部67が受光する受光量についての基準値V5として判断部92に設定する。
【0076】
判断部92は、先ほど得られ記憶部95のRAMに記憶された第1測定点P1に対する投光によって受光部67が受光した受光量V4、及び第2測定点P2に対する投光によって受光部67が受光した受光量V4を、それぞれ、記憶部95に記憶されている受光量V5(基準値V5)と比較する。そして、判断部92は、図12、13に示す第1測定点P1に対する投光によって受光部67が受光した受光量V4、及び第2測定点P2に対する投光によって受光部67が受光した受光量V4が、基準値である受光量V5よりそれぞれ小さいと判断して、リングフレームFの上面Faの第1測定点P1及び第2測定点P2にテープT3が貼着されていると判断し、テープT3の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていると判断する。
なお、本実施形態においては、第1測定点P1及び第2測定点P2に対する測定光の照射によって上記判断が行われているが、さらに、センサ6Aによる第3測定点P3及び第4測定点P4に対する測定光の照射により得られたデータも加味して、判断部92は上記判断を行ってもよい。
【0077】
例えば、図13に示す判断部92による上記判断が実施された後に、ウェーハセットは、図示しない搬送手段によってウェーハカセットに収容される。ウェーハカセットは、複数の棚を備えており、該棚に一枚ずつウェーハセットが収容される。
【0078】
例えば、図15に示すように、ウェーハセットのテープT3の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていない場合について説明する。
図15、16に示すように、リングフレーム保持テーブル20がX軸方向における所定の座標位置まで移動することで、制御手段9は、第1測定点P1が、センサ6Aの投光部66の光軸上に位置づけられたと判断する。そして、図16に示すように、センサ6Aに対して、動作信号が制御手段9から送られ、センサ6Aの投光部66がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第1測定点P1に向かって所定幅の測定光を投光する。
【0079】
図16に示すように、投光部66がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第1測定点P1に向かって所定幅の測定光を投光すると、第1測定点P1上にテープT3が存在しないため、測定光はリングフレームFの上面Faの第1測定点P1で反射する。リングフレームFの上面Faで反射した測定光は、受光部67に受光される。受光部61が受光した受光量は、例えば、図14に示す受光量V5となる。受光量V5は、制御手段9の記憶部95のRAMに記憶される。
【0080】
図15に示すリングフレーム保持テーブル20がさらに-X方向に移動され、X軸方向における所定の座標位置まで移動することで、制御手段9は、図17に示すように、センサ6Aの投光部66の光軸上に第2測定点P2が位置づけられたと判断する。そして、センサ6Aの投光部66がリングフレームFの上面Faに対し斜め上方向から第2測定点P2に向かって所定幅の測定光を投光する。
【0081】
図17に示すように、測定光が第2測定点P2におけるリングフレームFの上面Faに貼着されたテープT3の上面で反射するため、受光部67は測定光の反射光を殆ど受光しない。よって、第2測定点P2に対する投光によって受光部67が受光した受光量は、例えば、図14に示す少ない受光量V4となる。
【0082】
図15に示す判断部92は、記憶部95のRAMに記憶された第1測定点P1に対する投光によって受光部67が受光した受光量V5、及び第2測定点P2に対する投光によって受光部67が受光した受光量V4を、それぞれ、記憶部95のROMに記憶されている基準値である受光量V5と比較する。そして、判断部92は、第1測定点P1に対する投光によって受光部67が受光した受光量V5が基準値である受光量V5以上(即ち、同じ)であると判断して、第1測定点P1にテープT3が貼られていないと判断し、テープT3の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていないと判断する。
なお、本実施形態においては、第1測定点P1及び第2測定点P2に対する測定光の照射によって上記判断が行われているが、さらに、第3測定点P3及び第4測定点P4に対する測定光の照射により得られたデータも加味して、判断部92は上記判断を行ってもよい。
【0083】
判断部92は、テープT3の中心がリングフレームFの中心と一致して貼着されていないと判断した場合には、警報音を鳴らす又はエラーを表示する等して、作業者に該判断を通知する。判断部92による上記判断が実施された後に、該判断された不良なウェーハセットは、図示しない搬送手段によってウェーハカセットに収容されるが、作業者は該不良なウェーハセットが収容されているウェーハカセットの棚の位置を把握できるため、その後、該不良なウェーハセットをウェーハカセットから取り除くことができる。
例えば、制御手段9によって、不良なウェーハセットが収容されたウェーハカセットの棚の段数が記憶されてもよい。
また、不良なウェーハセットを載置する抜き取りテーブルを備え、図示しない搬送手段によって、該抜き取りテーブルに不良なウェーハセットを搬送させてもよい。
【0084】
なお、本発明に係るテープマウンタ1は上記実施形態に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されている各構成等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0085】
1:テープマウンタ 10:基台
TR:テープロール T1:シート T2:テープ 19:巻筒
F:リングフレーム Fc:リングフレームの開口 Fd:第1平坦面 Fe:第2平坦面
W:ウェーハ Wa:ウェーハの下面 Wb:ウェーハの上面
15:ピールプレート 16:巻き取りローラ 160:シート支持ローラ
20:リングフレーム保持テーブル 20a:上面
200:凹部 201:吸盤収容部 25:吸盤
21:ウェーハ保持テーブル 210:吸着部 210a:保持面 211:枠体
22:貼着手段
23:第1の固定位置決め部 24:第1の可動位置決め部
26:第2の固定位置決め部 27:第2の可動位置決め部
13:テーブル移動手段 130:ボールネジ 131:ガイドレール 132:モータ
6:実施形態1のセンサ 60:投光部 61:受光部 62:回帰反射板
9:制御手段 90:設定部 92:判断部 95:記憶部
6A:実施形態2のセンサ 66:投光部 67:受光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17