(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】集塵処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/02 20060101AFI20231017BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20231017BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20231017BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B01D46/02 Z
B24B55/06
B23Q11/00 M
B01D39/16 A
B01D39/16 C
(21)【出願番号】P 2019183604
(22)【出願日】2019-10-04
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダン ヴァン トアン
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幹
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-125416(JP,A)
【文献】特開2017-114363(JP,A)
【文献】特開2004-001118(JP,A)
【文献】特開2013-066832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
B01D 46/00-46/54
B24B 53/00-57/04
B23Q 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵を含むエアを吸引し、塵とエアとを分離する集塵処理装置であって、
該エアの入口を側板に備える中空円柱状の本体と、該本体の上板の上を覆い吸引源に連通された吸引箱と、
該本体の該上板に形成された上開口から垂下するように該本体の内部に配設されるフィルタユニットと、該吸引箱の内部に配設され該フィルタユニットの内部に水を噴射する水噴射ノズルと、該本体の下部に形成された開口から垂下した排水管と、該排水管の下端を水封させる排水箱と、該排水箱の内部の水をオーバフローさせるオーバフロー管とを備え、
該フィルタユニットは、該上板に支持されるツバ部と、該ツバ部から垂下する環状の骨と、該骨の外側に巻きつけられた水によって溶ける材質からなるフィルタとを備え、
該水噴射ノズルから水を噴射させて、該フィルタを溶かして該ツバ部と該骨だけになった該フィルタユニットを該本体から抜きとり可能な集塵処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削砥石を用いて被加工物を研削加工した後には、研削面の凹凸を除去するために研磨パッドを用いて研削面を研磨加工している。研磨加工には、研磨液を用いて研磨するCMP研磨と、乾式研磨とがある。
【0003】
乾式研磨では、研磨パッドを被加工物に接触させて研磨するため、研磨パッドの粉と被加工物の粉との塵が発生する。研磨装置には、これらの塵を加工室から取り除くために、特許文献1に開示のような集塵処理装置が付設されている。
この集塵処理装置は内部に筒状のフィルタを備えており、フィルタに塵を捕集させて集塵を行っている。フィルタに塵が付着すると集塵処理能力が低下するため、フィルタを定期的に交換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のフィルタの交換において集塵処理装置からフィルタを抜きとる際に、周囲に塵をまき散らして、研磨装置及び集塵処理装置が設置されている部屋の内部を汚染させてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、塵を含むエアを吸引し、塵とエアとを分離する集塵処理装置であって、該エアの入口を側板に備える中空円柱状の本体と、該本体の上板の上を覆い吸引源に連通された吸引箱と、該本体の該上板に形成された上開口から垂下するように該本体の内部に配設されるフィルタユニットと、該吸引箱の内部に配設され該フィルタユニットの内部に水を噴射する水噴射ノズルと、該本体の下板に形成された開口から垂下した排水管と、該排水管の下端を水封させる排水箱と、該排水箱の内部の水をオーバフローさせるオーバフロー管とを備え、該フィルタユニットは、該上板に支持されるツバ部と、該ツバ部から垂下する環状の骨と、該骨の外側に巻きつけられた水によって溶ける材質からなるフィルタとを備え、該フィルタユニットを交換する際は、該水噴射ノズルから該フィルタユニットの内部に水を噴射させて、該フィルタを溶かして該ツバ部と該骨とだけになった該フィルタユニットを該本体から抜きとり可能な集塵処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
流水によってフィルタを溶かしているため、フィルタの側面に付着した塵をフィルタとともに排出口から排出させることができる。これにより、フィルタユニット交換時に、研磨装置及び集塵処理装置が設置されている部屋が汚染されるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】集塵処理装置を備える研磨装置全体を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 研磨装置
図1に示す研磨装置1は、被加工物Wを研磨する乾式の研磨装置である。以下、研磨装置1について説明する。
図1に示すように、研磨装置1は、Y軸方向に延設されたベース10と、ベース10の+Y方向側に立設されたコラム11とを備えている。
【0010】
研磨装置1は、保持テーブル30を備えている。保持テーブル30は円板形状を有しており、その上面は被加工物Wが保持される保持面30aとなっている。
【0011】
保持テーブル30は、図示しない吸引手段に接続されている。保持面30aに被加工物Wが載置された状態で吸引手段等を用いて吸引力を生み出すことによって、生み出された吸引源が保持面30aに伝達され、保持面30aに被加工物Wを吸引保持することができる。
保持テーブル30の下方には、図示しない水平移動手段が配設されている。保持テーブル30は、該水平移動手段によりY軸方向に移動可能となっている。また、ベース10の上には蛇腹31が配設されている。保持テーブル30がY軸方向に移動することにより、蛇腹31が伸縮することとなる。
保持テーブル30は、図示しない回転手段に接続されており、保持テーブル30の中心を通るZ軸方向の回転軸35を軸に回転可能となっている。
【0012】
コラム11の-Y方向側の側面には、研磨手段6をZ軸方向に研磨送りする研磨送り手段7が配設されている。研磨送り手段7は、Z軸方向の回転軸75を有するボールネジ70と、ボールネジ70に対して平行に配設された一対のガイドレール71と、回転軸75を軸にしてボールネジ70を回転させるモータ72と、内部のナットがボールネジ70に螺合し側部がガイドレール71に摺接する昇降板73と、昇降板73に連結され研磨手段6を保持するホルダ74とを備えている。
モータ72を用いて、回転軸75を軸にボールネジ70を回転させると、昇降板73がガイドレール71にガイドされながらZ軸方向に昇降移動するとともに、ホルダ74に支持されている研磨手段6がZ軸方向に昇降移動することとなる。
【0013】
研磨手段6は、Z軸方向の回転軸65を有するスピンドル60と、スピンドル60を回転可能に支持するハウジング61と、回転軸65を軸にしてスピンドル60を回転させるモータ62と、スピンドル60の下端に接続された円板状のマウント63と、マウント63の下面に着脱可能に取り付けられた円板状の研磨パッド64と、を備えている。
研磨パッド64は、例えば、フェルト等の不織布又はウレタン等の材質を有しており、適宜の大きさの砥粒を含有している。例えば、研磨パッド64の直径は被加工物Wの直径よりも大きく、研磨加工時には、被加工物Wの被研磨面Waの全面に研磨パッド64の研磨面64aが接触することとなる。
【0014】
ベース10の上における研磨手段6の下方には、直方体状の加工室5が配設されている。
加工室5は、底板50と、底板50の外周に連結されZ軸方向に立設されている側壁51a~51dと、底板50に対面し側壁51a~側壁51dの上端に接続されている天板52とを備えている。
底板50の略中央部には、保持テーブル30よりも僅かに大きな直径を有する円形状の開口500が形成されており、開口500から保持テーブル30が突出している。
【0015】
-Y方向側の側壁51aは、例えば略長方形状に切り欠かれて形成された図示しない搬入出口を有している。
また、側壁51aには、Z軸方向へと昇降移動して搬入出口を開閉するシャッター510と、シャッター510の昇降移動をガイドするガイドレール511とが配設されており、シャッター510は、エアシリンダ等のシャッター可動手段512によって上下動可能になっている。
例えば、シャッター510が上昇して搬入出口が開放されている状態で、図示しない水平移動手段を用いて保持テーブル30をY軸方向に移動させることにより、保持テーブル30を加工室5の内部に移動させたり、加工室5の外部へと移動させたりできる。
加工室5は、被加工物Wの研磨加工が行われる部屋となっている。
【0016】
+Y方向側の側壁51dには、通気口56が形成されている。
【0017】
天板52の略中央部には、マウント63及び研磨パッド64よりも僅かに大きな直径を有する円形状の第2開口520が形成されており、その周囲にはシーリング部材520aが配設されている。研磨送り手段7により駆動されて研磨手段6が-Z方向に下降すると、研磨パッド64が加工室5の内部に収容されることとなる。
研磨パッド64が加工室5の内部に収容された状態においては、マウント63とシーリング部材520aとによって第2開口520は密に塞がれた状態となる。
【0018】
研磨装置1を用いて被加工物Wを研磨加工する際には、まず、保持テーブル30の保持面30aに被加工物Wをその被研磨面Waを上にして載置して、図示しない吸引手段を作動させることにより保持面30aに被加工物Wを吸引保持する。
そして、シャッター可動手段512を用いてシャッター510を+Z方向に移動させてシャッター510を開くとともに、図示しないY軸方向移動手段を用いて保持テーブル30を+Y方向に移動させる。これにより、保持テーブル30及び保持テーブル30の保持面30aに保持されている被加工物Wが加工室5の内部に収容されて、研磨パッド64の下方に位置付けられる。
【0019】
その後、シャッター可動手段512を用いてシャッター510を-Z方向に移動させてシャッター510を閉じる。
次いで、図示しない回転手段を用いて回転軸35を軸にして保持テーブル30を回転させる。さらに、モータ62を用いて回転軸65を軸にしてスピンドル60を回転させる。これにより、スピンドル60に連結されているマウント63及びマウント63に装着されている研磨パッド64が回転軸65を軸にして回転する。
【0020】
被加工物Wが回転軸35を軸にして回転し、かつ、研磨パッド64が回転軸65を軸にして回転している状態で、研磨送り手段7を用いて研磨パッド64を-Z方向に下降させる。これにより、研磨パッド64の研磨面64aが被加工物Wの被研磨面Waに当接して、被加工物Wが研磨加工される。研磨パッド64により被加工物Wが研磨加工されると研磨屑が生じる。
このとき、研磨パッド64が加工室5の内部に収容されており、マウント63とシーリング部材520aとによって第2開口520は密に塞がれた状態となっているため、研磨加工によって生じる研磨屑等が、第2開口520から加工室5の外部へと飛散するのを防ぐことができる。
【0021】
2 集塵処理装置
上記の研磨装置1は、被加工物Wの研磨加工によって生じる研磨屑等を集塵する集塵処理装置8を備えている。以下、集塵処理装置8について説明する。
【0022】
集塵処理装置8は直方体状の装置ハウジング81を備えている。装置ハウジング81の上面810には、円形の開口810aが形成されている。装置ハウジング81の内部の空間、及び装置ハウジング81の上には、集塵処理装置8に備える種々の部品等が配設されている。
【0023】
装置ハウジング81の下面には、装置ハウジング81の移動を容易にするキャスター82が装着されている。
【0024】
集塵処理装置8は本体83を備えている。本体83は、例えばサイクロン式の分離手段の本体部分であり、塵とエアとを分離する機能を有している。
本体83は中空円柱状であり、材質として例えばSUS等の金属材を有している。
【0025】
本体83は外筒831を備えている。外筒831の直径は、装置ハウジング81の上面810に形成されている円形の開口810aの直径に対応している。外筒831は、装置ハウジング81の上に、例えば装置ハウジング81の上面810の開口810aと外筒831の底面とが一致している状態で配設されており、上面810と外筒831との間には隙間がないものとする。
【0026】
外筒831には、エアが入る入口831aが形成されており、入口831aには通気管871が接続されている。通気管871の入口831aに接続されていない側の端部は、加工室5の+Y方向側の側壁51dに形成されている通気口56に連結されている。
【0027】
本体83は上板833を備えている。上板833は外筒831の上面に対応する円板形状を有している。上板833には、複数(
図1において3つ)の上開口833aが形成されている。
【0028】
本体83の上板833の上には、例えば上板833の直径と略同一な直径を有する円筒状の吸引箱86が、上板833の上を覆うように配設されている。
吸引箱86の側板861には出口861aが形成されており、出口861aには連結管872が接続されている。連結管872は吸気ダクト875に連結されており、吸気ダクト875は吸気配管840に連結されている。また、吸気配管840は吸引源84に接続されている。つまり、吸引箱86は、連結管872と、吸気ダクト875と、吸気配管840とを介して吸引源84に連通されている。
【0029】
吸引源84には、排気管841が接続されており、排気管841の吸引源84に接続されていない側には、排気ダクト877が連結されている。排気ダクト877の排気管841に連結されていない側の端部は排気口877aなっている。
なお、吸引源84、吸気配管840、及び排気管841は装置ハウジング81の内部に配設されている。
吸引源84は、例えば図示しない吸引モータ等を有している。吸引源84を作動させることにより、吸引箱86及び本体83を介して加工室5の内部の空気を吸引するとともに、吸引された空気を排気ダクト877の排気口877aから集塵処理装置8の外部の空間へと排気することができる。
【0030】
吸引箱86の内部には、複数(
図1において3つ)の水噴射ノズル92が配設されている。水噴射ノズル92は、例えば各々の噴射口が-Z方向に向けられて上板833の上開口833aの上に配置されている。また、水噴射ノズル92は、バルブ90を介して水供給源9に接続されている。加えて、例えば装置ハウジング81の側面にはバルブ90の開閉状態を制御するバルブ制御部900が配設されている。
バルブ制御部900を用いてバルブ90を開いて、水供給源9から水を供給することによって、水噴射ノズル92から上板833の上開口833aに向けて水を噴射することができる。
【0031】
本体83の内部には、例えば上開口833aの数に対応する数(
図1において3つ)のフィルタユニット2が着脱可能に配設される。
【0032】
図2に示すように、フィルタユニット2は円環状のツバ部20を備えている。ツバ部20の略中央には開口200が形成されている。
フィルタユニット2は、中空円柱状の骨21を備えている。骨21の側面21cには多数の細孔210が形成されている。骨21はツバ部20から垂下されており、ツバ部20と骨21とは一体化している。
フィルタユニット2は、PVA等の水に溶ける材質からなる布または多孔質材のフィルタ22を備えている。フィルタ22は蛇腹状の筒であり、その略中央に形成されている円柱状の中空220に骨21が挿入されて固定されることにより、骨21の側面21cの外側にフィルタ22が巻きつけられた状態になる。
【0033】
図3に示すように、フィルタユニット2は、上開口833aから本体83の内部に進入させられて、ツバ部20が上板833に支持されることとなる。
【0034】
本体83とフィルタユニット2との間には、例えば、内筒832が配設されている。内筒832は、例えばその上端832aが上板833の下面側に連結されて固定され、上板833に支持されている。外筒831と内筒832とは、例えばZ軸方向の中心軸835を共有している。内筒832の長さは、外筒831の長さよりも短いものとする。
【0035】
外筒831と内筒832との間の領域における上部には、例えば、シャワーノズル91が配設されており、シャワーノズル91は水供給源9に接続されている。水供給源9から供給される水をシャワーノズル91から噴射させて、内筒832の外側面及び本体83の内側面に当てることにより、内筒832の外側面及び本体83の内側面に付着している塵を洗い流すことができる。
【0036】
なお、本体83の内部には内筒832が配設されていなくてもよい。本体83の内部に内筒832が配設されていない場合は、本体83の内部の上部にシャワーノズル91が配設されていなくてもよい。
【0037】
本体83の下部には、漏斗状の排水受け部834が設けられている。排水受け部834は、外筒831の下端に連結されており、装置ハウジング81の内部に配設されている。排水受け部834には、下開口834aが形成されており、下開口834aから垂下されるようにして、排水管851が接続されている。
【0038】
排水管851の下方には、桶状の排水箱852が、排水箱852の側面852cの上端の高さ位置よりも排水管851の下端851bの高さ位置の方が低くなるように配設されている。排水管851及び排水箱852は装置ハウジング81の内部に配設されている。排水箱852には、水Lが、その水面Laの高さ位置が排水管851の下端851bの高さ位置よりも低くなるように蓄えられており、排水管851の下端851bが水面Laにより水封されている。
【0039】
排水箱852の側面852cには、側面開口852aが形成されており、側面開口852aには、排水箱852の内部に蓄えられている水Lをオーバフローさせるオーバフロー管853が接続されている。
【0040】
オーバフロー管853の側面開口852aに接続されていない側の端部は、排水口854に接続されている。排水箱852からオーバフローした水Lは、オーバフロー管853を通って排水口854から外部へと排水されることとなる。
【0041】
上記の集塵処理装置8を用いて
図1に示した加工室5の内部の塵を集塵処理する際には、吸引源84を作動させて吸引力を発揮させる。
吸引源84により生み出された吸引力により、加工室5の内部の塵を含むエアは、まず、通気口56から流出して通気管871を通り、本体83の外筒831に形成されている入口831aから本体83の内部へと流入する。
【0042】
入口831aから本体83の内部に流入した塵を含むエアは、本体83の内部において、中心軸835を軸にして旋回させられて、例えば
図3に示した内筒832と外筒831との間を螺旋状に下降していく。内筒832の下端832bに到達した塵を含むエアは、内筒832の下端832bから内筒832の内部に流入すると、内筒832の内部において中心軸835を軸にして螺旋状に上昇していく。
【0043】
このとき、塵を含むエアは遠心力の作用により、例えば外筒831の内側面、又は内筒832の内側面若しくは外側面に衝突する。これにより、塵が旋回方向の運動量を失って排水受け部834へと落下していき、排水受け部834に形成されている下開口834aから本体83の外部へと流出して、排水管851の内部を通過して排水箱852に溜められる。
【0044】
また、内筒832の内部に流入した塵を含むエアはフィルタ22の外側面22cに接触する。これにより、塵がフィルタ22に捕集されるとともに、エアがフィルタ22を貫通してフィルタ22の内部に流入し、塵とエアとが分離される。
【0045】
塵と分離されたエアは、
図2に示した骨21の細孔210から骨21の内部へと流入して骨21の内部の空間を上昇していき、ツバ部20の開口200から
図1に示した吸引箱86の内部に流出する。
【0046】
そして、吸引箱86の側板861に形成されている出口861aから連結管872、吸気ダクト875、及び吸気配管840を通じて吸引源84に吸引されて、排気管841を通じて排気ダクト877の排気口877aから集塵処理装置8の外部の空間に排気される。
【0047】
集塵処理装置8を用いて、上記のように加工室5の内部の塵を集塵処理することにより、フィルタ22に塵が付着して、集塵処理装置8における塵を捕集する機能が損なわれていく。そこで、フィルタユニット2のフィルタ22の交換が必要となる。
【0048】
フィルタ22の交換の際には、まず、
図1に示したバルブ制御部900を用いてバルブ90を開き、水供給源9から水噴射ノズル92に水を供給して、水噴射ノズル92からフィルタユニット2の内部に水を噴射する。水噴射ノズル92から噴射された水は、ツバ部20の開口200から
図2に示した骨21の内部に流入して、骨21の側面21cに形成されている多数の細孔210から骨21の外側へと流出する。
【0049】
水が骨21の外側へと流出すると、水が骨21の外側に巻きつけられているフィルタ22に接触して、フィルタ22が水によって溶ける。溶けたフィルタ22を含む水溶液は、-Z方向へと落下していき、排水受け部834及び排水管851を通じて排水箱852に溜められる。
【0050】
また、例えば排水管851に図示しない排水バルブを設けて、該排水バルブを閉めてから水噴射ノズル92から水を噴射することにより本体83の内部に水を溜める。これにより、本体83の内部においてフィルタ22を水没させて溶かしてから、排水バルブを開けて排水箱852に排水してもよい。
【0051】
骨の外側に巻きつけられていたフィルタ22が全て水に溶けると、フィルタユニット2は、ツバ部20と骨21とだけになる。ツバ部20と骨21とだけになったフィルタユニット2のツバ部20を持って、本体83から+Z方向に引き抜くことによって、フィルタユニット2を本体83から抜きとることができる。
【0052】
その後、新たなフィルタユニット2を上開口833aから挿入する。これにより、ツバ部20が上板833に支持されて、新たなフィルタユニット2が本体83に装着される。
なお、フィルタユニット2の交換時期を遅らせるために、水噴射ノズル92にエアのみを噴出する機能を備え、定期的に水噴射ノズル92からエアを噴射させ、フィルタユニット2の外側面に付着した塵を吹き飛ばせてもよい。
また、集塵処理装置8は、連通路872内の負圧を、例えば、出口861aに配設した圧力計で測定してフィルタの交換時期を認識してもよい。
【0053】
このようにして、水によって溶けるPVA等の材質から成るフィルタ22を流水によって溶かすことによって、フィルタ22の交換時にフィルタ22に付着している塵が周囲にまき散るのを防ぐことができ、研磨装置1及び集塵処理装置8が設置されている部屋が汚染されるのを防止できる。
【符号の説明】
【0054】
1 研磨装置 10:ベース 11:コラム
2:フィルタユニット 20:ツバ部 20a:上面 200:開口
21:骨 21a:上面 21c:側面 210:細孔 22:フィルタ
22c:側面 220:フィルタの中空
30:保持テーブル 30a:保持面 31:蛇腹 35:回転軸
5:加工室 50:底板 500:開口 51a~51d:側壁 510:シャッター
511:ガイドレール 512:シャッター可動手段
52:天板 520:第2開口 520a:シーリング部材 56:通気口
6:研磨手段 60:スピンドル 61:ハウジング 62:モータ 63:マウント
64:研磨パッド 64a:研磨面 65:回転軸
7:研磨送り手段 70:ボールネジ 71:ガイドレール 72:モータ
73:昇降板 74:ホルダ 75:回転軸
8:集塵処理装置 81:装置ハウジング 810:上面 810a:開口
82:キャスター 83:本体 831:外筒 831a:入口
832:内筒 832a:内筒の上端 832b:内筒の下端
833:上板 833a:上開口 834:排水受け部 834a:下開口
835:中心軸 84:吸引源 840:吸気配管 841:排気管
851:排水管 851b:排水管の下端 852:排水箱 852a:側面開口
852c:側面 853:オーバフロー管 854:排水口
86:吸引箱 861a:出口
871:通気管 872:連絡管 875:通気ダクト 877:排気ダクト
9:水供給源 90:バルブ 900:バルブ制御手段 91:シャワーノズル
92:水噴射ノズル L:水 La:水面 W:被加工物 Wa:被研磨面