(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】ドレス方法、及び、ドレスユニット
(51)【国際特許分類】
B24B 53/00 20060101AFI20231017BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20231017BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20231017BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B24B53/00 K
B24B53/12 Z
B24B27/06 M
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2019218443
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】田中 万平
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-092237(JP,A)
【文献】特開2016-000434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0123705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00
B24B 53/12
B24B 27/06
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一切削ブレードを有した第一切削ユニットと、該第一切削ブレードに対面する第二切削ブレードを有した第二切削ユニットと、を有した対向式切削機構と、
該対向式切削機構で切削する被加工物を保持する保持テーブルと、
該対向式切削機構に対して該保持テーブルを加工送りする加工送り機構と、
を備えた切削装置において該第一切削ブレードと該第二切削ブレードをドレスするドレス方法であって、
環状フレームの開口を覆うように貼着されたテープ上に該第一切削ブレードをドレスする第一ドレスボードが貼着されるとともに、該第二切削ブレードをドレスする第二ドレスボードが該第一ドレスボードに隣接して貼着されたドレスユニットを準備する準備ステップと、
該ドレスユニットの該第一ドレスボードが該第一切削ユニットに対応するとともに該第二ドレスボードが該第二切削ユニットに対応するよう該ドレスユニットを該保持テーブルで保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、該第一切削ブレードと該第二切削ブレードをそれぞれ該第一ドレスボードと該第二ドレスボードに切り込ませつつ該保持テーブルを加工送りすることで該第一切削ブレードと該第二切削ブレードとをそれぞれドレスするドレスステップと、を備え、
該環状フレームには、該環状フレームの向きを特定するための基準が設けられ、
該基準に対する第一の相対位置に該第一ドレスボードが配置され、
該基準に対する第二の相対位置に該第二ドレスボードが配置され、
該第一切削ユニットと該第二切削ユニットが接触しない状態で互いに最も近接させた時の該第一切削ブレードと該第二切削ブレードの間の距離をブレード間最小距離とし、
該第一ドレスボードと該第二ドレスボードは、該テープ上で該ブレード間最小距離以上離れて貼着されている、ドレス方法。
【請求項2】
第一切削ブレードを有した第一切削ユニットと、該第一切削ブレードに対面する第二切削ブレードを有した第二切削ユニットと、を有した対向式切削機構と、該対向式切削機構で切削する被加工物を保持する保持テーブルと、該対向式切削機構に対して該保持テーブルを加工送りする加工送り機構と、を備えた切削装置において該第一切削ブレードと該第二切削ブレードをドレスするためのドレスユニットであって、
環状フレームと、
該環状フレームの開口を覆うように貼着されたテープと、
該テープ上に貼着された該第一切削ブレードをドレスするための第一ドレスボードと、
該第一ドレスボードに隣接して該テープ上に貼着され、該第二切削ブレードをドレスするための第二ドレスボードと、を備え、
該環状フレームには、該環状フレームの向きを特定するための基準が設けられ、
該基準に対する第一の相対位置に該第一ドレスボードが配置され、
該基準に対する第二の相対位置に該第二ドレスボードが配置され、
該第一切削ユニットと該第二切削ユニットが接触しない状態で互いに最も近接させた時の該第一切削ブレードと該第二切削ブレードの間の距離をブレード間最小距離とし、
該第一ドレスボードと該第二ドレスボードは、該テープ上で該ブレード間最小距離以上離れて貼着されている、
ドレスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向式切削装置において第一切削ブレードと第二切削ブレードをドレスするドレス方法、及びドレスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されるように、2つの切削ブレードを同一直線上において対向させる対向式切削装置が知られている。
【0003】
特許文献1では、第一ブレードをV溝ブレード、第二ブレードを切削ブレードとし、まず先に第一ブレードを半導体ウェーハのストリートに位置付け、保持テーブルをX軸方向に移動させて、半導体ウェーハの表面のX軸方向にV溝を形成し、次いで、V溝が形成された位置に第二ブレードを位置付けるとともに、V溝の切削を行うことで、表面がテーパー状に面取りされたチップを形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステップカットを実施するために用いられる各ブレードは、砥石やボンドの種類が異なるため、ドレス工程(ドレッシング工程)により真円出しや目立てを行う際には、各ブレードに対応する互いに異なるドレスボードを準備し、各ブレードについて順次ドレス工程が実施されるものであった。
【0006】
しかしながら、各ブレードについて順次ドレス工程を実施すると、ドレス工程が完了するまでに長時間を要し、また、順次ドレスボードを配置する必要があるなど作業性も悪く、改善が望まれていた。
【0007】
本発明は以上の問題に鑑み、異なる二種類のブレードについて同時にドレス工程を実施することを可能とする新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、
第一切削ブレードを有した第一切削ユニットと、該第一切削ブレードに対面する第二切削ブレードを有した第二切削ユニットと、を有した対向式切削機構と、
該対向式切削機構で切削する被加工物を保持する保持テーブルと、
該対向式切削機構に対して該保持テーブルを加工送りする加工送り機構と、
を備えた切削装置において該第一切削ブレードと該第二切削ブレードをドレスするドレス方法であって、
環状フレームの開口を覆うように貼着されたテープ上に該第一切削ブレードをドレスする第一ドレスボードが貼着されるとともに、該第二切削ブレードをドレスする第二ドレスボードが該第一ドレスボードに隣接して貼着されたドレスユニットを準備する準備ステップと、
該ドレスユニットの該第一ドレスボードが該第一切削ユニットに対応するとともに該第二ドレスボードが該第二切削ユニットに対応するよう該ドレスユニットを該保持テーブルで保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、該第一切削ブレードと該第二切削ブレードをそれぞれ該第一ドレスボードと該第二ドレスボードに切り込ませつつ該保持テーブルを加工送りすることで該第一切削ブレードと該第二切削ブレードとをそれぞれドレスするドレスステップと、を備えた、ドレス方法とする。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、
第一切削ブレードを有した第一切削ユニットと、該第一切削ブレードに対面する第二切削ブレードを有した第二切削ユニットと、を有した対向式切削機構と、該対向式切削機構で切削する被加工物を保持する保持テーブルと、該対向式切削機構に対して該保持テーブルを加工送りする加工送り機構と、を備えた切削装置において該第一切削ブレードと該第二切削ブレードをドレスするためのドレスユニットであって、
環状フレームと、
該環状フレームの開口を覆うように貼着されたテープと、
該テープ上に貼着された該第一切削ブレードをドレスするための第一ドレスボードと、
該第一ドレスボードに隣接して該テープ上に貼着され、該第二切削ブレードをドレスするための第二ドレスボードと、を備えたドレスユニットとする。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、
該環状フレームには、該環状フレームの向きを特定するための基準が設けられ、
該基準に対する第一の相対位置に該第一ドレスボードが配置され、
該基準に対する第二の相対位置に該第二ドレスボードが配置される、こととする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、
該第一切削ユニットと該第二切削ユニットが接触しない状態で互いに最も近接させた時の該第一切削ブレードと該第二切削ブレードの間の距離をブレード間最小距離とし、
該第一ドレスボードと該第二ドレスボードは、該テープ上で該ブレード間最小距離以上離れて貼着されている、こととする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によれば、異なる二種類のブレードについて同時にドレス工程を実施することが可能となり、ドレス工程に要する時間が短縮され切削装置のダウンタイムを削減することができ、また、各ドレスボードを順次配置する手間がなく、作業性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る切削装置の一側の外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る切削装置の他側の外観斜視図である。
【
図3】ブレード間最小距離について説明する図である。
【
図4】(A)ドレスユニットの構成等について説明する図である。(B)別実施形態のドレスユニットの構成等について説明する図である。
【
図5】(A)はドレスステップについて説明する図である。(B)はブレード間最小距離を離して2つのドレスボードが配置される様子について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1,
図2は本発明の一実施形態に係る切削装置2の外観斜視図である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、切削装置2の機構部は、複数のパネルを組み合わせて形成された外装カバー4内に収容されている。
【0016】
切削装置2は、被加工物を保持する保持テーブル6を有する。保持テーブル6は、その下方に設けられる図示せぬ回転駆動機構により、Z軸を中心とするθ方向に回転可能に設けられる。また、保持テーブル6は、その下方に設けられる図示せぬ加工送り機構により、加工送り方向となるX軸方向に移動可能に構成される。保持テーブル6の周囲には、ウェーハユニット30の環状フレーム36を挟持するクランプ機構7が設けられている。
【0017】
切削装置2は、第一切削ユニット10と第二切削ユニット20をY軸方向に対向して配置されることで、対向式切削機構を有する構成としている。このような対向式切削機構を有する切削装置2は、デュアルダイサーとも称される。第一切削ユニット10及び第二切削ユニット20は、Y軸方向に移動可能であるとともに、Z軸方向にも移動可能に設けられる。
【0018】
切削装置2は、内部に複数枚のウェーハ32を収容したカセット57を載置するカセット載置台56を有する。カセット載置台56は、上下方向(Z軸方向)に移動可能に構成されている。
【0019】
切削装置2は、カセット57に収容されたウェーハユニット30を保持テーブル6に搬送するための搬送装置42を有する。
【0020】
ウェーハユニット30は、被加工物であるウェーハ32と、ウェーハ32が貼着されるテープ34と、ウェーハ32を取り囲むようにテープ34に貼着される環状フレーム36と、を有して構成される。
【0021】
切削装置2は、切削加工が終了したウェーハ32を洗浄するための洗浄装置46を有する。
【0022】
切削装置2は、切削装置2の稼動状況を表示する表示ランプ58を有する。表示ランプ58、切削装置2が正常作動時には例えば緑色で点灯し、何らかの故障が生じた場合には赤色が点滅する。
【0023】
切削装置2は、タッチパネル式の表示モニタ60を有する。表示モニタ60を通じてオペレータは装置の操作指令を入力できるとともに、装置の稼働状況が表示モニタ60上に表示される。
【0024】
図3に示すように、第一切削ユニット10と第二切削ユニット20は対向して配置され、それぞれ回転駆動される第一切削ブレード12、第二切削ブレード22によってウェーハ32に対する切削加工が行なわれる。
【0025】
図3に示すように、切削加工においては、まず、第一切削ブレード12によりウェーハ32に所定の深さの溝が形成され、次いで、第一切削ブレードよりも薄い第二切削ブレード22により溝の底を貫通させるフルカットを行うことで、ダイシング(個片化)がされる。
【0026】
このような切削加工は、ステップ加工と言われるものであり、
図3に示すように、第一切削ユニット10と第二切削ユニット20は適宜Y軸方向に移動され、第一切削ブレード12及び第二切削ブレード22が順次分割予定ラインに位置付けられる。
【0027】
図3は、第一切削ブレード12と第二切削ブレード22が最も近づいた状態について示すものである。第一切削ブレード12と第二切削ブレード22は、それぞれ、ブレードカバー11,21に囲まれるように構成されている。
【0028】
ブレードカバー11,21の間には、設計上最も近づけた状態で、互いに接触しないようにするための隙間が確保されるように構成される。さらに、この隙間に加え、第一切削ユニット10と第二切削ユニット20のY軸方向の位置付け精度を踏まえた余裕代を設定することで、ブレードカバー11,21同士の接触が確実に防止されるように構成される。
【0029】
そして、このような隙間及び余裕代を確保した上で、第一切削ブレード12と第二切削ブレード22が最も近づいたときの両者間の距離が、ブレード間最小距離Wと定義される。
【0030】
図3に示すように、第一切削ブレード12と第二切削ブレード22は、それぞれ、ブレードカバー11,21に囲まれるように構成されている。ブレードカバー11,21は、第一切削ブレード12と第二切削ブレード22の上部を覆うとともに、冷却用の切削水を供給する機能を備えるものである。
【0031】
次に切削ブレードの目立てや真円出しのためのドレス(ドレッシング)に関する内容について説明する。
図4(A)は、本発明の一実施形態に係るドレスユニット70について示す図である。
【0032】
図4(A)に示すように、ドレスユニット70は、環状フレーム78と、環状フレーム78の開口を覆うように貼着されるテープ76と、テープ76に貼着される第一ドレスボード71、第二ドレスボード72と、を有して構成される。
【0033】
図4(A)に示すドレスユニット70は、
図1,2に示されるウェーハユニット30と同様に、カセット57に収容されることで、保持テーブル6に自動で搬送されることができる。ドレスユニット70の環状フレーム78は、ウェーハユニット30の環状フレーム36と同一の構成とすることができる。
【0034】
図4(A)に示すように、第一ドレスボード71は、第一切削ブレード12をドレスするために最適な素材により製作され、かつ、ドレスに最適な硬度となるように製作された板状の部材である。
【0035】
図4(A)に示すように、第二ドレスボード72は、第二切削ブレード22をドレスするために最適な素材により製作され、また、ドレスに最適な硬度となるように製作された板状の部材である。
【0036】
図4(A)に示すように、各ドレスボード71,72は、加工送り方向であるX軸方向を長辺とする長方形状にて構成されている。なお、
図4(A)の構成では、詳しくは後述するようにブレード間最小距離Wの間隔を開けてドレスボード71,72を配置するものであるが、
図4(B)のドレスユニット70Aに示すように、間隔を開けずにドレスボード71,72を配置する構成としてもよい。
【0037】
そして、
図5(A)に示すように、各切削ブレード12,22を各ドレスボード71,72に切り込ませる高さに位置付けるとともに、保持テーブル6をX軸方向(
図4(A))に移動させることで、ドレスが行われる。
【0038】
ここで、各切削ブレード12,22の切込み深さや回転数は、各切削ブレード12,22ごとに個別に設定することができ、2つの切削ブレード12,22について同時にドレスを行いつつも、各切削ブレード12,22にとって最適な条件でドレスを行うことができる。
【0039】
図5(A)に示すように、各切削ブレード12,22において、Y軸方向の一位置における切込みが終えたら、各切削ブレード12,22を上昇させ、各ドレスボード71,72において使用されていない箇所(切込みがされていないエリア)に移動して、再度各切削ブレード12,22を下降させることで、未使用箇所を利用したドレスが行われる。このようにして、各切削ブレード12,22について複数回のドレスを実施することができる。
【0040】
図4(A)に示すように、第一ドレスボード71を第一切削ブレード12に対応させ、第二ドレスボード72を第二切削ブレード22に対応させるために、環状フレーム78に対する各ドレスボード71,72の相対位置が予め規定されている。
【0041】
図4(A)に示すように、本実施例では、環状フレーム78に設けられる切欠部75が、環状フレーム78の向きを特定する基準77として機能するように利用されるものとしており、当該基準77に対する第一の相対位置に第一ドレスボード71が配置され、当該基準77に対する第二の相対位置に第二ドレスボード72が配置されるように設計される。
【0042】
図4(A)に示すように、ドレスユニット70は、環状フレーム78に設けられる切欠部75を基準として向きが特定されるものであり、切欠部75の向きを所定の向きに揃えてカセット57(
図1)に収容することで、ドレスユニット70が保持テーブル6に対し、常に所定の方向で保持されるようになっている。
【0043】
なお、基準77に対する各ドレスボード71,72の相対位置が誤って逆に配置されている場合や、カセット57(
図1)に誤った方向にドレスユニット70が収容された場合を想定し、ドレス前に各ドレスボード71,72の配置が正しいことを自動で確認することしてもよい。例えば、各ドレスボード71,72において、識別情報となり得る着色やマークを付与しておき、当該識別情報をカメラで認識し、各ドレスボード71,72の配置が逆になっていないかを確認するものである。
【0044】
以上のように構成することで、
図4(A)に示すように、ドレスユニット70が保持テーブル6に保持されると、第一ドレスボード71が第一切削ブレード12に対応する位置に配置され、第二ドレスボード72が第二切削ブレード22に対応する位置に配置される。
【0045】
なお、
図4(A)に示す構成において、環状フレーム78に設けられる切欠部75を環状フレーム78の向きを特定する基準77として利用する他、環状フレーム78に貼付するシールや、ケガキなどにより、環状フレーム78に基準を構成することとしてもよい。
【0046】
図5(A)に示すように、ドレスを行う際には、例えば、各切削ブレード12,22を離れた位置から近づける方向に移動させ、
図5(B)に示すように、第一切削ブレード12と第二切削ブレード22の間の距離が最も小さくなるブレード間最小距離Wに到達させるようにしてもよい。逆に、ブレード間最小距離Wの位置から各切削ブレード12,22を互いに遠ざける方向に移動させることとしてもよい。
【0047】
この場合、ブレード間最小距離Wについては、各ドレスボード71,72を配置する必要がなく、各ドレスボード71,72の体積を少なく抑えることができ、コスト削減を図ることが可能となる。
【0048】
以上のようにして本発明を実施することができる。
即ち、
図1乃至
図5に示すように、
第一切削ブレード11を有した第一切削ユニット10と、第一切削ブレード11に対面する第二切削ブレード21を有した第二切削ユニット20と、を有した対向式切削機構と、
対向式切削機構で切削する被加工物を保持する保持テーブル6と、
対向式切削機構に対して保持テーブル6を加工送りする加工送り機構と、
を備えた切削装置2において第一切削ブレード11と第二切削ブレード21をドレスするドレス方法であって、
環状フレーム78の開口を覆うように貼着されたテープ76上に第一切削ブレード11をドレスする第一ドレスボード71が貼着されるとともに、第二切削ブレード21をドレスする第二ドレスボード72が第一ドレスボード71に隣接して貼着されたドレスユニット70を準備する準備ステップと、
ドレスユニット70の第一ドレスボード71が第一切削ユニット10に対応するとともに第二ドレスボード72が第二切削ユニット20に対応するようドレスユニット70を保持テーブル6で保持する保持ステップと、
保持ステップを実施した後、第一切削ブレード11と第二切削ブレード21をそれぞれ第一ドレスボード71と第二ドレスボード72に切り込ませつつ保持テーブル6を加工送りすることで第一切削ブレード11と第二切削ブレード21とをそれぞれドレスするドレスステップと、を備えた、ドレス方法とするものである。
【0049】
これにより、異なる二種類のブレードについて同時にドレス工程を実施することが可能となり、ドレス工程に要する時間が短縮され切削装置のダウンタイムを削減することができ、また、各ドレスボードを順次配置する手間がなく、作業性の向上が図られる。
【0050】
また、
図1乃至
図5に示すように、
第一切削ブレード11を有した第一切削ユニット10と、第一切削ブレード11に対面する第二切削ブレード21を有した第二切削ユニット20と、を有した対向式切削機構と、対向式切削機構で切削する被加工物を保持する保持テーブル6と、対向式切削機構に対して保持テーブル6を加工送りする加工送り機構と、を備えた切削装置2において第一切削ブレード11と第二切削ブレード21をドレスするためのドレスユニット70であって、
環状フレーム78と、
環状フレーム78の開口を覆うように貼着されたテープ76と、
テープ76上に貼着された第一切削ブレード11をドレスするための第一ドレスボード71と、
第一ドレスボード71に隣接してテープ76上に貼着され、第二切削ブレード21をドレスするための第二ドレスボード72と、を備えたドレスユニット70とするものである。
【0051】
このように構成するドレスユニット70を用いることにより、異なる二種類のブレードについて同時にドレス工程を実施することが可能となり、ドレス工程に要する時間が短縮され切削装置のダウンタイムを削減することができ、また、各ドレスボードを順次配置する手間がなく、作業性の向上が図られる。
【0052】
また、
図4(A)に示すように、
環状フレーム78には、環状フレーム78の向きを特定するための基準77が設けられ、
基準77に対する第一の相対位置に第一ドレスボード71が配置され、
基準77に対する第二の相対位置に第二ドレスボード72が配置される、こととするものである。
【0053】
これにより、各ドレスボード71,72の配置が逆になることがなく、第一ドレスボード71を第一切削ブレード12に対応する位置に配置させ、第二ドレスボード72を第二切削ブレード22に対応する位置に配置させることが可能となる。
【0054】
また、
図4(A)及び
図5(A)(B)に示すように、
第一切削ユニット10と第二切削ユニット20が接触しない状態で互いに最も近接させた時の第一切削ブレード11と第二切削ブレード21の間の距離をブレード間最小距離Wとし、
第一ドレスボード71と第二ドレスボード72は、テープ76上でブレード間最小距離W以上離れて貼着されている、こととするものである。
【0055】
ブレード間最小距離Wについては、各ドレスボード71,72を配置する必要がなく、各ドレスボード71,72の体積を少なく抑えることができ、コスト削減を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
2 切削装置
6 保持テーブル
10 第一切削ユニット
11 ブレードカバー
12 第一切削ブレード
20 第二切削ユニット
21 ブレードカバー
22 第二切削ブレード
30 ウェーハユニット
32 ウェーハ
34 テープ
36 環状フレーム
57 カセット
70 ドレスユニット
71 第一ドレスボード
75 切欠部
76 テープ
77 基準
78 環状フレーム
W ブレード間最小距離