(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】発光装置、線状光源およびその駆動方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20231018BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20231018BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20231018BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/50
H01L33/00 J
(21)【出願番号】P 2022068673
(22)【出願日】2022-04-19
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2021161752
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 尚人
(72)【発明者】
【氏名】森川 武
【審査官】八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-57385(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216801(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/393392(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および前記上面とは反対側に位置する下面を有する基材を含む基板であって、前記基材の前記上面は、第1方向に延びる短辺と前記第1方向に直交する第2方向に延びる長辺とによって規定される長方形状を有する、基板と、
前記基板上に前記第1方向に沿って一列に配置された第1発光素子および第2発光素子と
を備え、
前記基板は、
前記基材の前記上面上に配置された上面配線と、
前記基材の前記下面上に配置された下面配線と、
前記基材の内部に位置し、前記上面配線と前記下面配線とをつなぐ導電部と
を有し、
前記上面配線は、
前記第1方向に互いに間隔をあけて配置された第1配線および第2配線と、
前記第1方向に互いに間隔をあけて配置された第3配線および第4配線と
を含み、
前記第1配線および前記第3配線は、前記第2方向に沿って一列に配置され、前記第2配線および前記第4配線は、前記第2方向に沿って一列に配置されており、
前記下面配線は、前記第2方向に沿って配置された2以上の配線を含み、
前記導電部は、前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線および前記第4配線にそれぞれ接続されている第1導電部、第2導電部、第3導電部および第4導電部を含み、
前記第1発光素子は、前記第1配線および前記第3配線上に配置され、前記第1配線および前記第3配線と電気的に接続されており、
前記第2発光素子は、前記第2配線および前記第4配線上に配置され、前記第2配線および前記第4配線と電気的に接続されており、
前記第1導電部は、前記第2方向において前記第2導電部よりも前記基材の一方の端の近くに位置し、
前記第4導電部は、前記第2方向において前記第3導電部よりも前記基材の他方の端の近くに位置する、発光装置。
【請求項2】
前記下面配線は、互いに間隔をあけて前記第2方向に沿って一列に配置された第5配線、第6配線、第7配線および第8配線を含み、
前記第1導電部、前記第2導電部、前記第3導電部および前記第4導電部は、それぞれ、前記第5配線、前記第6配線、前記第7配線および前記第8配線に接続されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2導電部は、前記第2発光素子の下方に位置し、
前記第3導電部は、前記第1発光素子の下方に位置する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基板上に配置される光反射性部材をさらに備え、
前記光反射性部材の少なくとも一部は、前記第1発光素子の側面および前記第2発光素子の側面に対向する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1導電部は、前記光反射性部材の下方に位置し、
前記第4導電部は、前記光反射性部材の下方に位置する、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基板の前記第2方向における長さに対する、前記第1導電部から前記第3導電部までの前記第2方向における距離の比は、0.2以上0.7以下の範囲である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記基板の前記第2方向における長さに対する、前記第2導電部から前記第4導電部までの前記第2方向における距離の比は、0.2以上0.7以下の範囲である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記基板の前記第2方向における長さに対する、前記第2導電部と前記第3導電部との間の距離の比は、0.07以上0.5以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1導電部、前記第2導電部、前記第3導電部および前記第4導電部のそれぞれは、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向に直線的に延びている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1発光素子および前記第2発光素子の上方に位置し、波長変換部材を含有する透光性部材をさらに備える、請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1発光素子の発光ピーク波長は、前記第2発光素子の発光ピーク波長と異なる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項12】
それぞれが請求項11に記載の発光装置である、少なくとも2つの発光装置と、
支持基板と
備え、
前記少なくとも2つの発光装置は、第1発光装置および第2発光装置を含み、
前記第1発光装置および前記第2発光装置は、前記第2方向に沿って前記支持基板上に実装されている、線状光源。
【請求項13】
前記第1発光装置の前記第2配線および前記第4配線は、前記基材の上面上において前記第1配線および前記第3配線よりも前記支持基板の近くに位置し、
前記第2発光装置の前記第1配線および前記第3配線は、前記基材の上面上において前記第2配線および前記第4配線よりも前記支持基板の近くに位置する、請求項12に記載の線状光源。
【請求項14】
前記第1発光装置が有する前記第1発光素子と、前記第2発光装置が有する前記第1発光素子とは直列に接続されており、
前記第1発光装置が有する前記第2発光素子と、前記第2発光装置が有する前記第2発光素子とは電気的に直列に接続されており、
前記第1発光装置および前記第2発光装置を駆動する電流を供給する駆動回路と、
前記第1発光素子の第1電極に接続された第1端子と、
前記第2発光素子の第2電極に接続された第2端子と、
前記駆動回路の出力と前記第1端子との接続と、前記駆動回路の出力と前記第2端子との接続を切り替えるスイッチと、
前記スイッチの動作のタイミングを制御するタイミングコントローラと
を有する、請求項12に記載の線状光源。
【請求項15】
請求項14に記載の線状光源を駆動する方法であって、
前記駆動回路の前記出力が前記第1端子に接続されている第1期間の長さと、前記駆動回路の前記出力が前記第2端子に接続されている第2期間の長さとを異ならせる、および/または、
前記駆動回路の前記出力が前記第1端子に接続されている第1期間における前記駆動回路の出力の第1電流値の大きさと、前記駆動回路の前記出力が前記第2端子に接続されている第2期間における前記駆動回路の出力の第2電流値の大きさとを異ならせること
を包含する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置、線状光源およびその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1は、基板上に複数のLEDチップを配置した発光装置を開示している。特許文献1の
図18~
図21に記載のサイドビュー型発光装置では、基板の内部に複数の貫通ビアを配置し、貫通ビアにより、基板表面側の電極を裏面側の対応する電極に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイドビュー型あるいはトップビュー型の発光装置のバックライトユニットなどへの応用において、リフローなどの工程に起因する基板中の残留応力を低減できると、例えば発光素子を封止する部材の基板からの剥離を抑制し得るので有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある実施形態による発光装置は、上面および前記上面とは反対側に位置する下面を有する基材を含む基板であって、前記基材の前記上面は、第1方向に延びる短辺と前記第1方向に直交する第2方向に延びる長辺とによって規定される長方形状を有する、基板と、前記基板上に前記第1方向に沿って一列に配置された第1発光素子および第2発光素子とを備え、前記基板は、前記基材の前記上面上に配置された上面配線と、前記基材の前記下面上に配置された下面配線と、前記基材の内部に位置し、前記上面配線と前記下面配線とをつなぐ導電部とを有し、前記上面配線は、前記第1方向に互いに間隔をあけて配置された第1配線および第2配線と、前記第1方向に互いに間隔をあけて配置された第3配線および第4配線とを含み、前記第1配線および前記第3配線は、前記第2方向に沿って一列に配置され、前記第2配線および前記第4配線は、前記第2方向に沿って一列に配置されており、前記下面配線は、前記第2方向に沿って配置された2以上の配線を含み、前記導電部は、前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線および前記第4配線にそれぞれ接続されている第1導電部、第2導電部、第3導電部および第4導電部を含み、前記第1発光素子は、前記第1配線および前記第3配線上に配置され、前記第1配線および前記第3配線と電気的に接続されており、前記第2発光素子は、前記第2配線および前記第4配線上に配置され、前記第2配線および前記第4配線と電気的に接続されており、前記第1導電部は、前記第2方向において前記第2導電部よりも前記基材の一方の端の近くに位置し、前記第4導電部は、前記第2方向において前記第3導電部よりも前記基材の他方の端の近くに位置する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の実施形態によれば、実装時の加熱などに起因する、基板中の残留応力が低減されることにより信頼性の向上された発光装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1の実施形態による例示的な発光装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態による例示的な発光装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態による発光装置の、複数視点からの外観をあわせて示す図である。
【
図7】
図1および
図2に示す発光装置から基板を取り出して示す模式的な平面図である。
【
図8】
図1および
図2に示す発光装置から基板を取り出して示す模式的な斜視図である。
【
図9】
図7および
図8に示す基板から基材および絶縁層を取り除いた構造を示す模式的な斜視図である。
【
図10】下面配線の配置を説明するための模式的な背面図である。
【
図11】基材中の導電部の配置の例を説明するための模式的な背面図である。
【
図13】上面配線と下面配線との間の接続構造の他の例を示す模式的な斜視図である。
【
図14】第1発光素子および第2発光素子を支持する基板の他の例を示す模式的な背面図である。
【
図15】上面配線と下面配線との間の接続構造のさらに他の例を示す模式的な斜視図である。
【
図16】第1発光素子および第2発光素子を支持する基板のさらに他の例を示す模式的な背面図である。
【
図17】本開示の第1の実施形態による発光装置の他の変形例を示す斜視図である。
【
図18】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための模式的な平面図である。
【
図19】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための模式的な平面図である。
【
図20】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための模式的な平面図である。
【
図21】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための模式的な平面図である。
【
図22】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための模式的な平面図である。
【
図23】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための模式的な平面図である。
【
図24】本開示の第2の実施形態による線状光源の一例を示す模式的な正面図である。
【
図25】
図24に示す線状光源をその一部に含むバックライトユニットの一例を示す模式的な平面図である。
【
図26】
図24に示す4つの発光装置のうち、互いに隣り合う2つの発光装置を取り出して模式的に示す正面図である。
【
図27A】線状光源200aの駆動方法を説明するための模式図である。
【
図27B】線状光源200bの駆動方法を説明するための模式図である。
【
図28】駆動回路から発光装置に供給される駆動電流のタイミングチャートの例を示す図である。
【
図29】駆動回路から発光装置に供給される駆動電流のタイミングチャートの例を示す図である。
【
図30】バックライト装置300Aが有する線状光源200Aの構成を示す模式図である。
【
図31】バックライト装置300Bが有する線状光源200Bの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状などは、分かりやすさのために誇張されている場合があり、実際の発光装置における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略して模式的に示すことがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置を便宜的に示しているに過ぎない。それらの用語の使用は、本開示の発光装置の使用時の姿勢を限定する意図ではない。例えば、参照した図面における「上」、「下」などの用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置などにおいて、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0011】
本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面などが0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面などが90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0012】
(第1の実施形態)
図1および
図2は、本開示の第1の実施形態による発光装置の外観の一例を示す。なお、
図1および
図2には、説明の便宜のために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印をあわせて図示している。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示す矢印を図示することがある。
【0013】
図1および
図2に示す発光装置100Aは、X方向に長いおおむね直方体の形状を有する。発光装置100Aは、XY面に平行な正面100aを有している。発光装置100Aの正面100aは、Y方向と比較してX方向に長い長方形状を有する。以下、本明細書では、Y方向を第1方向、X方向を第2方向と呼ぶことがある。また、Z方向を第3方向と呼ぶことがある。
【0014】
発光装置100Aは、基板130Aと、光反射性部材140と、透光性部材150とを含む。後述するように、透光性部材150は、蛍光体などの波長変換部材を含有し得る。
図1および
図2に示すように、透光性部材150は、XY面に平行とされた光取出し面50aを有する。ここでは、光取出し面50aは、正面100aの一部である。光取出し面50aの周囲には、光反射性部材140が位置している。
【0015】
図3は、発光装置100Aを図の+Y方向、+Z方向、-Y方向、-Z方向および+X方向のそれぞれから見たときの外観を1つの図にあわせて示している。発光装置100Aは、正面100aとは反対側の背面100b側に下面配線30Rを有する。
図3に例示する構成において、下面配線30Rは、合計4つの配線、すなわち、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rを含む。第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、互いに間隔をあけてX方向(すなわち第2方向)に沿って一列に配置されている。なお、この例において、発光装置100Aの背面100bには、互いに隣り合う2つの端子間の短絡を防止するための絶縁層180が配置されている。
【0016】
図3に示すように、発光装置100Aは、第1発光素子121および第2発光素子122をさらに含む。第1発光素子121および第2発光素子122の一方は、例えば、青色発光するLEDである。これに対し、第1発光素子121および第2発光素子122の他方は、緑色発光するLEDであり得る。
【0017】
本開示の実施形態において、第1発光素子121および第2発光素子122は、Y方向(すなわち第1方向)に沿って一列に、発光装置中に配置される。
図3に示す例では、第2発光素子122に対して第1発光素子121が図の+Y方向側(発光装置100Aが配線基板などに実装された状態において上側)に位置する。しかしながら、発光装置中の第1発光素子121および第2発光素子122の配置は、
図3に示す例に限定されない。
【0018】
図4は、
図3のIV-IV断面を示し、
図5は、
図3のV-V断面を示す。
図6は、
図3のVI-VI断面を示す。基板130Aは、上面30aおよび上面30aとは反対側の下面30bを有する絶縁性の基材30Aと、基材30Aの上面30a上に位置する上面配線と、上述の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rとを有する。第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、基材30Aの下面30bに位置する。
【0019】
ここでは、上面30a上の上面配線は、第1配線31T~第4配線34Tの4つを含む。
図4に示すように、基板130Aは、それぞれが上面30aに位置する第1配線31Tおよび第3配線33Tを有する。また、
図5に示すように、基板130Aは、それぞれが上面30aに位置する第2配線32Tおよび第4配線34Tを有する。
【0020】
基板130Aは、さらに、それぞれが基材30Aの上面30aから下面30bに達し、上面配線と下面配線とをつなぐ複数の導電部を基材30A内部に有する。本実施形態では、基材30A内部に、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vの4つの導電部が配置される。
【0021】
図4に示すように、第1導電部31Vは、第1配線31Tと第5配線35Rとをつないでおり、これらを互いに電気的に接続する。第3導電部33Vは、第3配線33Tと第7配線37Rとをつないでおり、これらを互いに電気的に接続する。本実施形態では、第1導電部31Vおよび第3導電部33Vのうち、第3導電部33Vは、第1発光素子121の下方に位置している。
【0022】
図5に示すように、第2導電部32Vは、第2配線32Tと第6配線36Rとをつないでおり、これらを互いに電気的に接続する。第4導電部34Vは、第4配線34Tと第8配線38Rとをつないでおり、これらを互いに電気的に接続する。本実施形態では、第2導電部32Vおよび第4導電部34Vのうち、第2導電部32Vは、第2発光素子122の下方に位置している。
【0023】
図7および
図8は、発光装置100Aから基板130Aを取り出して模式的に示す。これらの図のうち
図7は、基材30Aの上面30a側からZ方向に基板130Aを見た平面図に相当する。
図7に示すように、基材30Aの上面30aは、Y方向と比較してX方向に長い長方形状を有する。ここでは、上面30aの長方形状の短辺は、Y方向に平行であり、上面30aの長方形状の長辺は、X方向に平行である。
【0024】
図8に示すように、基板130Aは、基材30Aの上面30aに上面配線30Tを有する。本実施形態において、上面配線30Tは、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tを含み、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tのそれぞれは、X方向に長い形状を有している。
図7に示すように、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、基材30Aの上面30aにおいて、互いに間隔をあけて2行2列に配置される。より詳細には、第1配線31Tと第2配線32Tとは、Y方向に沿って間隔をあけて隣り合い、第3配線33Tと第4配線34Tとは、Y方向に沿って間隔をあけて隣り合う。また、第1配線31Tと第3配線33Tとは、X方向に沿って間隔をあけて隣り合い、第2配線32Tと第4配線34Tとは、X方向に沿って間隔をあけて隣り合う。
【0025】
図7に例示する構成において、第1配線31Tは、長方形状のランド31mと、ランド31mとは反対側の端部に位置するランド31nとを有している。第3配線33Tは、長方形状のランド33mと、ランド33mとは反対側の端部に位置するT字状部33tとを有している。
図4および
図7から理解されるように、第1発光素子121は、基材30Aの上面30aにおいてX方向に隣り合う第1配線31Tと第3配線33Tとにまたがってこれら配線上に配置される。第1発光素子121は、半田などの接合部材161によって第1配線31Tのランド31mおよび第3配線33Tのランド33mに電気的に接続される。
【0026】
第2配線32Tは、長方形状のランド32mと、ランド32mとは反対側の端部に位置するT字状部32tとを有しており、第4配線34Tは、長方形状のランド34mと、ランド34mとは反対側の端部に位置するランド34nとを有している。
図5および
図7から理解されるように、第2発光素子122は、X方向に隣り合う第2配線32Tと第4配線34Tとにまたがってこれら配線上に配置される。第2発光素子122は、半田などの接合部材162によって第2配線32Tのランド32mおよび第4配線34Tのランド34mに電気的に接続される。
【0027】
基材30A中の導電部の配置に注目する。
図7に模式的に示すように、平面視において、第3導電部33Vは、ランド33mと重なる位置に設けられ、第1発光素子121と重なる位置にある。同様に、第2導電部32Vは、ランド32mと重なる位置に設けられ、第2発光素子122と重なる位置にある。これに対し、第1導電部31Vは、平面視において、第1配線31Tのうちランド31nと重なる位置に設けられる。第1導電部31Vは、第1発光素子121と重なりを有しない代わりに、光反射性部材140と重なりを有する。すなわち、本実施形態において第1導電部31Vは、光反射性部材140の下方に位置する(
図4を参照)。同様に、第4導電部34Vは、
図7に模式的に示すように、第4配線34Tのうちランド34nと重なる位置に設けられ、第2発光素子122と重なりを有しない。その代わりに、光反射性部材140と重なりを有する。本実施形態では、第4導電部34Vも光反射性部材140の下方に位置している(
図5を参照)。
【0028】
図8に例示する構成において、第1配線31Tは、ランド31m上に位置する凸部31pを有している。同様に、この例では、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、それぞれ、ランド32m上の凸部32p、ランド33m上の凸部33pおよびランド34m上の凸部34pを有している。
【0029】
図9は、
図7および
図8に示す基板130Aから基材30Aおよび絶縁層180を取り除いた構造を模式的に示す。基板130Aは、基材30A内部に位置する導電部30Vを有する。
図9に示す例において、導電部30Vは、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tを含んでいる。基材30Aの上面30a上の第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tのそれぞれは、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vのいずれか1つにより、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rのうち対応する1つに電気的に接続される。
【0030】
ここでは、基材30Aの下面30b上の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、X方向に沿って互いに間隔をあけて一列に配置されている。
図9に示す例において、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vによって、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rにそれぞれ電気的に接続される。
【0031】
本開示の実施形態では、基材内部の導電部により、上面配線を下面配線に接続している。
図8および
図9から理解されるように、ここでは、第1導電部31Vは、第2方向において第2導電部32Vよりも基材30Aの一方の端の近くに位置し、第4導電部34Vは、第2方向において第3導電部33Vよりも基材30Aの他方の端の近くに位置する。このように、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vを基材30A内部においてなるべく偏りなく分散して配置することにより、リフロー工程などにおける熱応力の、基板の一部の領域への集中を回避し得る。すなわち、基板中の残留応力の偏りを抑制でき、リフロー後の基板の反りなどを抑制し得る。例えば基板の反りが抑制される結果、基板からの部材(例えば発光素子または光反射性部材)の剥離が抑制され、発光装置の信頼性を向上させ得る。
【0032】
図10および
図11を参照しながら、本実施形態における、基材30A内部の導電部(すなわち第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34V)の配置をより詳細に説明する。
図10は、基板130Aを発光装置100Aの背面100b側から見たときの下面配線の例示的な配置を示す。
【0033】
図7を参照しながら説明したように、本実施形態では、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、基材30Aの上面30aにおいて2行2列の行列状の配置を有する。ここで、
図10に示すように、基材30Aの上面30aの長方形状の互いに直交する2辺のそれぞれについて仮想的な垂直二等分線を上面30a上に描いたとする。
図10では、基材30Aの上面30aの長方形状の短辺に関する垂直二等分線Vb1と、長辺に関する垂直二等分線Vb2とを二点鎖線により示している。第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tのそれぞれは、これらの垂直二等分線で区画された4つの領域のいずれか1つに位置し得る。
【0034】
他方、基材30Aの下面30b上の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、基材30Aの上面30aの長方形状の長辺に沿って互いに間隔をあけて一列に配置されている。ここで、本実施形態では、基材30Aの上面30a側の上面配線と下面30b側の下面配線とをつなぐ導電部は、上面30aの法線方向(Z方向)に見た平面視において、上述の垂直二等分線Vb1およびVb2で区画された4つの領域(これら垂直二等分線Vb1およびVb2を二次元デカルト座標系の座標軸とみなしたときの第1象限~第4象限に相当)のそれぞれ内に1つずつ配置されている。さらに、本実施形態では、Z方向に見た平面視において、これら導電部(すなわち第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34V)を“互い違い”となるように基材30A中に配置している。すなわち、
図10において垂直二等分線Vb1よりも上側に位置する第1導電部31Vおよび第3導電部33Vのうち第1導電部31Vを基材30Aの外縁の近くに配置していることに対して、第3導電部33Vを垂直二等分線Vb2の近くに配置している。また、垂直二等分線Vb1よりも下側に位置する第2導電部32Vおよび第4導電部34Vのうち第4導電部34Vを基材30Aの外縁の近くに配置していることに対して、第2導電部32Vを垂直二等分線Vb2の近くに配置している。
【0035】
仮に、基材30Aの上面30aの長方形状の長辺に沿った方向に関して、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vの配置を逆転させたとする。換言すれば、上面30aの長方形状の長辺に沿った方向において第3導電部33Vを基材30Aの外縁の近くに配置し、第4導電部34Vを垂直二等分線Vb2のより近くに配置したとする。その場合、第1導電部31Vと第3導電部33Vとの間に、上面30aの長方形状の長辺に沿って他の導電部の存在しない比較的に広い領域が形成されることになる。換言すれば、基板130A中に、基材30Aの材料のみによって占められる細長い領域が存在することになる。
【0036】
このような、絶縁性の材料によって占められる細長い領域が基板中に存在すると、加熱を伴う工程(リフローなど)を経ることにより、基板に反りが発生しやすくなる。特に、第2方向に関して第3導電部33Vおよび第4導電部34Vの配置を逆転させた場合には、相対的に熱伝導率の高い材料を含有する導電部が、垂直二等分線Vb1によって区画された2つの領域のうち下側の領域の中央付近に2つ配置されることになり、Y方向に関する反りが基板に生じやすくなってしまう。長尺状の基板の短手方向に極端な反りが生じると、発光素子、光反射性部材などの基板上の部材の剥離を惹起してしまう可能性がある。
【0037】
これに対し、本開示の実施形態では、基材30Aの上面30aの法線方向に見た平面視において、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vをいわば“互い違い”となるように基材30A中に配置している。
図10に示す例では、これら垂直二等分線Vb1およびVb2の交点を中心として4つの導電部を点対称に配置しているともいえる。別の言い方をすれば、
図10に示す例では、4つの導電部の配置が垂直二等分線Vb1あるいは垂直二等分線Vb2に関して線対称とはならないような配置を採用している。基材30Aの上面30a上の上面配線と、下面30b上の下面配線との間にこのような接続構造を採用することにより、加熱を伴う工程を経ることに起因する、基材30A中の残留応力の不均衡を低減し得る。その結果、発光素子を支持する基板の反りを抑制でき、基板上の部材の剥離あるいは脱落を抑制して発光装置の信頼性を向上させることが可能になる。
【0038】
図11は、基材30A中の導電部の配置の例を模式的に示す。
図11は、
図10と同様に、基板130Aを発光装置100Aの背面100b側から見たときの模式的な背面図に相当する。
図11に示す例において、基板130Aの第2方向における長さをW、第1導電部31Vから第3導電部33Vまでの第2方向における距離をD
13とすると、長さWに対する距離D
13の比(D
13/W)は、例えば、0.2以上0.7以下の範囲であり得る。
【0039】
ここで、長さWは、基板の第2方向における一方の端から他方の端までの距離である。導電部間の「第2方向における距離」は、2つの導電部の中心間距離ではなく、
図11中に実線の両矢印で模式的に示すように、基材の上面の法線方向(Z方向)に見たときの、一方の導電部の外縁から他方の導電部の外縁までの第2方向における最短距離を指す。なお、本明細書における「最短距離」は、基材の上面における距離を意味する。比(D
13/W)が0.2以上0.7以下の範囲となるように基材中の第1導電部31Vおよび第3導電部33Vの配置を調整することにより、基板中の残留応力の偏りをより効果的に抑制でき、例えばリフロー工程後における基板の反りなどを有利に抑制することが可能になる。リフロー工程後における基板の反りなどの抑制は、発光装置の信頼性の向上に貢献する。
【0040】
また、基材の上面の法線方向(Z方向)に見たときの、第2導電部32Vから第4導電部34Vまでの第2方向における距離をD24としたとき、長さWに対する距離D24の比(D24/W)が、0.2以上0.7以下の範囲となるようにしてもよい。比(D24/W)をこのような範囲にすることにより、比(D13/W)を0.2以上0.7以下の範囲としたときと同様に、基板中の残留応力の偏りをより効果的に抑制でき、例えばリフロー工程後の基板の反りなどを有利に抑制し得る。リフロー工程後における基板の反りなどの抑制は、発光装置の信頼性の向上に貢献する。
【0041】
第2導電部32Vと第3導電部33Vとの間の距離をD23としたとき、長さWに対する距離D23の比(D23/W)を0.07以上0.5以下の範囲としてもよい。ここで、距離D23は、基材の上面の法線方向(Z方向)に見たときの、第2導電部32Vの中心と第3導電部33Vの中心とを結ぶ方向に沿った、第2導電部32Vの外縁と第3導電部33Vの外縁との間の最短距離である。比(D23/W)を0.07以上0.5以下の範囲とした場合も、基板中の残留応力の偏りをより効果的に抑制でき、リフロー工程後の基板の反りなどを有利に抑制し得る。リフロー工程後における基板の反りなどの抑制は、発光装置の信頼性の向上に貢献する。
【0042】
以下、発光装置100A中の各部材の詳細を説明する。
【0043】
[基板130A]
基板130Aは、第1発光素子121および第2発光素子122が実装される支持部材である。上述したように、第1発光素子121および第2発光素子122は、第1方向(Y方向)に沿って一列に基板130A上に配置される。後述するように、本開示の実施形態では、第1発光素子121および第2発光素子122として、第1方向に対する第2方向(X方向)のアスペクト比が比較的大きな形状の素子が用いられ得る。これに対応して、基板130Aも、全体として第2方向に比較的長い形状を有し得る(例えば
図8を参照)。
【0044】
基板130Aの基材30Aは、その上面30aに第1配線31T、第2配線32T、第3配線33T、および第4配線34Tが配置される概ね直方体状の絶縁部材である。第1方向(ここでは上面30aの短手方向)における基材30Aの寸法は、例えば、400μm以上800μm以下の範囲である。第1方向における基材30Aの寸法が800μm以下であると、発光装置の小型化に有利である。第2方向(ここでは上面30aの長手方向)における基材30Aの寸法は、例えば、1800μm以上5000μm以下の範囲である。第2方向における基材30Aの寸法が5000μm以下であると、発光装置の小型化の観点から有益である。Z方向における基材30Aの寸法は、例えば、200μm以上1000μm以下の範囲である。Z方向における基材30Aの寸法が200μm以上であると基板130Aの強度を確保する観点から有利であり、Z方向における基材30Aの寸法が1000μm以下であると発光装置の小型化の観点から有益である。
【0045】
基材30Aの材料の例は、樹脂、セラミックスまたはガラスなどである。基材30Aの材料として、例えば、ビスマレイミドトリアジン(BT)を適用し得る。基材30Aは、繊維強化樹脂などの複合材料から形成されてもよく、例えばガラスエポキシ基板を基材30Aに適用してもよい。基材30Aの母材としては、その他に、エポキシ、ポリイミドなどを用いることができる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、または、これらの2種以上の混合物を適用できる。これらのセラミックスのうち、発光素子の線膨張係数に近い線膨張係数を有する材料を基材30Aの材料に用いると有利である。
【0046】
図8に示すように、基材30Aは、上面30aおよび下面30bに加えて、これらの面の間に位置する底面30mを有する。底面30mは、発光装置100Aをバックライトの光源に適用した際に配線基板の上面に対向させられる面である。
【0047】
図8に示す例では、基材30Aは、それぞれが下面30bと底面30mとに開口する複数の凹部30rを有する。凹部30rの個数は、典型的には、2以上である。この例では、基板130Aの下面配線が第5配線35R~第8配線38Rの4つを含むことに対応して、合計で4つの凹部30rが基材30Aに設けられている。
図8に示す例において、これら4つの凹部30rは、X方向に関し、基材30Aの中央に対称な配置を有している。
【0048】
例えば
図10を参照すれば理解されるように、第1方向および第2方向に垂直な方向に見た背面視における凹部30rの開口の形状は、半円形状または四分円状であり得る。また、凹部30rの開口の形状はすべてが半円形状であってもよい。凹部30rのそれぞれは、発光装置100Aを配線基板に実装する際に半田などの接合部材を配置する空間となる。ただし、後述するように、このような凹部30rが省略されることもあり得る。
【0049】
図8に例示する構成において、基材30Aの下面30b側の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rのそれぞれは、4つの凹部30rのうち対応する1つに重なる部分を含む。換言すれば、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rのそれぞれは、基板130Aの背面100bに現れた部分に加えて、4つの凹部30rのうち対応する1つの内側面を覆う部分を含んでいる。
図6に示すように、例えば第7配線37Rは、基材30Aの下面30b上に位置する第1部分37uと、凹部30rのうちの1つの内側面を覆う第2部分37vとを有している。
【0050】
基材30Aの下面30b側の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rの材料ならびに上面30a側の第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tの材料としては、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、白金、金、チタン、パラジウム、ロジウム、または、これらの1種以上を含有する合金を用いることができる。放熱性の観点からは、これらの配線の材料に銅または銅合金を適用することが有利である。上面配線および/または下面配線は、単層膜でも積層膜でもよい。これら上面配線および/または下面配線の最表面が、銀、白金、アルミニウム、ロジウムもしくは金、または、これらの1種以上を含有する合金であると、半田に対する良好な濡れ性を得られるので有益である。
【0051】
基板130Aは、基材30Aの内部に配置された複数の導電部をさらに有する。これら導電部のそれぞれは、基材30Aの上面30aから下面30bまで延び、上面配線(ここでは第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34T)を下面配線のいずれか1つに電気的に接続する。
図9に示すように、ここでは、基板130Aは、4つの導電部すなわち第1導電部31V~第4導電部34Vを含んでいる。第1導電部31Vは、第1配線31Tを第5配線35Rに接続し、第2導電部32Vは、第2配線32Tを第6配線36Rに接続する。第3導電部33Vは、第3配線33Tを第7配線37Rに接続し、第4導電部34Vは、第4配線34Tを第8配線38Rに接続する。
【0052】
第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vのそれぞれは、典型的には、基材30Aの内部において、第1方向と第2方向とに直交する第3方向(Z方向)に直線的に延びる(例えば
図4および
図5を参照)。第1導電部31V~第4導電部34VをXY面に平行に切断したときの各断面の形状は、例えば円形である。導電部の断面形状は、円形に限定されず、楕円形状、多角形状などであってもよい。なお、基材30Aの内部における各導電部の断面の形状または大きさがZ方向に沿って一定であることは必須ではない。例えば、上面30aから離れるに従って、あるいは、上面30aに近づく従って断面積が拡大するような導電部の形状も適用可能である。
【0053】
第1導電部31V~第4導電部34Vのそれぞれは、基材30Aに設けられた貫通孔内部の全体を占める導電部材であってもよいし、貫通孔の内側面に配置された導電膜と、絶縁性の充填部材との組み合わせであってもよい。貫通孔の内側面を覆う導電膜には、例えば、基材30Aの下面30b側の下面配線と同様の材料を適用できる。導電膜に囲まれた領域は、例えばエポキシ樹脂などの絶縁材料によって占められていてもよい。
図4および
図5に示す例では、第1導電部31V~第4導電部34Vのそれぞれは、基材30Aに設
けられた貫通孔の内側面を覆う導電膜37と、導電膜37に囲まれた領域に位置する絶縁部39とを含んでいる。
【0054】
図12は、基板130Aを基材30Aの下面30b側から見たときの例示的な外観を示す。
図12に模式的に示すように、基材30A内部の第1導電部31V~第4導電部34Vは、いずれも、背面視において基材30Aの凹部30rに重ならない位置に設けられ得る。
【0055】
図12に示すように、基板130Aは、基材30Aの下面30b側に位置する絶縁層180を有し得る。絶縁層180の材料としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が挙げられる。いわゆるソルダーレジストを絶縁層180に用いてもよい。
図12に模式的に示すように、絶縁層180は、基材30Aの下面30b上の下面配線(ここでは第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38R)のそれぞれの一部を覆う形状を有する。発光装置100Aの背面100b側にこのような絶縁層180を配置することにより、発光装置100Aの配線基板などへの実装の際の、半田を介した下面配線同士の短絡を防止する効果が得られる。
【0056】
[第1発光素子121および第2発光素子122]
第1発光素子121および第2発光素子122は、電流の供給により発光する半導体素子である。第1発光素子121の発光ピーク波長と第2発光素子122の発光ピーク波長とは、互いに異なっていてもよく、同じであってもよい。発光ピーク波長が互いに異なる場合、第1発光素子121および第2発光素子122の基本的な構造は、発光ピーク波長を除いて概ね共通であり得る。以下では、第2発光素子122の構成のうち第1発光素子121と共通する部分に関する説明を省略することがある。
【0057】
本開示の実施形態において、第1発光素子121および第2発光素子122は、第1配線31T~第4配線34Tを有する基板上にフリップチップ接続により実装される。
図4および
図5にそれぞれ示すように、第1発光素子は、基材30A上の第1配線31Tおよび第3配線33Tに電気的に接続され、第2発光素子は、基材30A上の第2配線32Tおよび第4配線34Tに電気的に接続される。
【0058】
図示が省略されているが、第1発光素子121は、その上面121aとは反対側の下面121b(
図6参照)に正極および負極を有し、第2発光素子122も、その上面122aとは反対側の下面122bに正極および負極を有する。これらの電極の材料の例は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル、または、これらの1種以上を含む合金である。
【0059】
第1発光素子121は、下面121b側の電極が半田などの接合部材161によって第1配線31Tおよび第3配線33Tに接続および固定されることにより、基板130A上に実装される。同様に、第2発光素子122は、下面122b側の電極が半田などの接合部材162によって第2配線32Tおよび第4配線34Tに接続および固定されることにより、基板130A上に実装される。典型的には、第1発光素子121は、下面121b側の電極が第1配線31Tの凸部31pおよび第3配線33Tの凸部33pに対向するようにして第1配線31Tおよび第3配線33Tに接続される。第2発光素子122は、下面122b側の電極が第2配線32Tの凸部32pおよび第4配線34Tの凸部34pに対向するようにして第2配線32Tおよび第4配線34Tに接続される。
【0060】
第1発光素子121および第2発光素子122のそれぞれは、半導体積層体を有する。半導体積層体は、n型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた発光層とを含む。発光層は、ダブルヘテロ接合または単一量子井戸(SQW)などの構造を有していてもよいし、多重量子井戸(MQW)のようにひとかたまりの活性層群をもつ構造を有していてもよい。半導体積層体は、複数の発光層を含んでいてもよい。例えば、半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層との間に2以上の発光層を含む構造を有していてもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造を有していてもよい。半導体積層体が複数の発光層を含む場合、複数の発光層の間で発光ピーク波長が異っていてもよいし、発光ピーク波長が同じ発光層が半導体積層体に含まれていてもよい。
【0061】
半導体積層体は、可視光または紫外光を発光可能に構成される。このような半導体積層体は、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含み得る。半導体積層体は、サファイアまたは窒化ガリウムなどの成長基板上に位置し得る。第1発光素子121がその一部に成長基板を含む場合、成長基板の上面が第1発光素子121の上面121aを構成する。同様に、第2発光素子122がその一部に成長基板を含む場合、成長基板の上面が第2発光素子122の上面122aを構成する。上述の正極および負極は、半導体積層体の、成長基板とは反対側の表面に設けられ、半導体積層体に所定の電流を供給する機能を有する。なお、第1発光素子121の半導体積層体と第2発光素子122の半導体積層体とがサファイアなどの単一の基板上に位置することもあり得る。
【0062】
第1発光素子121と第2発光素子122との間で、発光ピーク波長が異なる場合、例えば、第1発光素子121の発光ピーク波長を第2発光素子122の発光ピーク波長よりも短波長側とすることができる。バックライトへの応用において、例えば、主に青色光を出射する半導体積層体を第1発光素子121に適用し、主に緑色光を出射する半導体積層体を第2発光素子122に適用し得る。このような発光ピーク波長の選択によれば、発光スペクトルにおいて青色と緑色の波長域の両方に比較的に急峻なピークを含めることが可能になる。すなわち、純度の高い青色および緑色を表現できることにより、発光装置100Aを表示装置のバックライトに適用した場合に、広い色域を実現し得る。
【0063】
本開示の典型的な実施形態では、第1発光素子121および第2発光素子122として、第1方向と比較して第2方向に比較的に長い形状を有する素子が用いられる。第1発光素子121の上面121aの第1方向に沿った長さは、例えば150μm以上300μm以下の範囲であり、第2方向に沿った長さは、例えば400μm以上1500μm以下の範囲であり得る。第1発光素子121の上面121aの第1方向に沿った長さに対する、第2方向に沿った長さの比は、例えば1.1以上10以下の範囲である。第2発光素子122の上面122aの寸法に関しても同様である。第2方向に比較的に長い形状の第1発光素子121および第2発光素子122を第1方向に並べる(すなわち、第1方向に一列に配置する)ことにより、第2方向に関して発光素子の数を減らしながらも、高い光取出し効率を実現し得る。基板130Aの反りの低減は、このような長尺状の素子の基板130Aへの実装にも有利である。
【0064】
[透光性部材150]
透光性部材150は、第1発光素子121および第2発光素子122を保護する機能を有する板状の部材であり、その上面は、発光装置100Aの光取出し面50aを構成する(例えば
図1参照)。透光性部材150は、例えば、シリコーン樹脂などを母材とし、透光性を有する。
【0065】
透光性部材150は、典型的には、第1発光素子121の発光ピーク波長を有する光に対して、60%以上の透過率を有する。また、第2発光素子122の発光ピーク波長を有する光に対しても、60%以上の透過率を示し得る。光を有効に利用する観点から、第1発光素子121および第2発光素子122の少なくとも一方の発光ピーク波長における透光性部材150の透過率が70%以上であると有益であり、80%以上であるとより有益である。
【0066】
図6に示すように、本実施形態では、透光性部材150は、第1発光素子121の上面121aおよび第2発光素子122の上面122aの全体を一括して覆うようにして第1発光素子121の上方および第2発光素子122の上方に配置される。単一の透光性部材150が第1発光素子121および第2発光素子122の両方を覆うことにより、第1発光素子121からの光と第2発光素子122からの光とを透光性部材150の内部で効率よく混合し得る。
【0067】
透光性部材150の母材の例は、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの2種以上を含む樹脂である。波長変換層152の母材として、ガラスを選択してもよい。透光性部材150の母材に、蛍光体などの波長変換部材を含有させてもよい。
【0068】
図6に例示する構成において、透光性部材150は、保護層151と、波長変換層152とを含んでいる。保護層151は、波長変換層152よりも基板130Aから遠くに位置する。つまり、この例では、波長変換層152は、第1発光素子121および第2発光素子122の組と保護層151との間に位置している。
【0069】
波長変換層152は、波長変換部材を含有する板状の部材であり、入射した光の一部を波長変換して例えば波長の異なる光を出射する。波長変換層152の母材に含有させる波長変換部材としては、公知の蛍光体を用いることができる。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、または、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2またはAgInSe2)などを用いることができる。酸窒化物系蛍光体の代表例は、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)およびαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)などである。窒化物系蛍光体の代表例は、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)およびSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)などである。フッ化物系蛍光体の代表例は、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)およびMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)などである。
【0070】
例えば、第1発光素子121および第2発光素子122に、青色光を出射するLEDと緑色光を出射するLEDの組み合わせを適用する場合、波長変換層152中の蛍光体として、特に、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)もしくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)などのフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、または、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2またはAgInSe2)などを用いることができる。発光素子および蛍光体のこのような選択によれば、発光素子からの光の一部を波長変換層152が吸収して赤色の波長域の光を放出するので、波長変換層152を透過した青色光および緑色光との混合により、白色光を得ることができる。なお、青色光を出射するLEDと緑色光を出射するLEDの上方に、励起により赤色光を放出する蛍光体を含有する波長変換層を配置する場合、青色光を出射するLEDを選択的に波長変換層が覆う(換言すれば、緑色光を出射するLEDを波長変換層が覆わない)ような構成も適用可能である。ただし、より色むらが抑制された白色光を得る観点からは、青色光を出射するLEDと緑色光を出射するLEDの両方を覆うように波長変換層を配置することが有利である。
【0071】
波長変換層152には、上述した蛍光体のうちの1種を単体で含有させてもよいし、これらの蛍光体のうち2種以上を組み合わせて含有させてもよい。波長変換層152に2種以上の蛍光体を含有させる場合、それら蛍光体のうち、より短波長の光を放出する蛍光体が発光素子の近くに位置するように、波長変換層152中の波長変換部材の分布を調整すると有益である。あるいは、波長変換層を2層として、各層に互いに異なる種類の蛍光体を含有させてもよい。このとき、励起により放出する光がより短波長側にある蛍光体を、発光素子に近い側の層に含有させると有益である。
【0072】
波長変換層152の材料に、母材とは屈折率の異なる材料を分散させることにより、波長変換層152に光拡散の機能を付与してもよい。例えば、波長変換層152が、後述する光拡散材を含んでいてもよい。
【0073】
保護層151は、透光性部材150において第1発光素子121および第2発光素子122とは反対側の最表面に位置する透光性の層である。保護層151の上面は、透光性部材150の光取出し面50aを構成し、
図6に示す例において、保護層151の上面は、発光装置100Aの正面100aに整合している。
【0074】
保護層151の母材には、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂など、波長変換層152の母材と同様の材料を用いることができる。保護層151に効率的に光を導入する観点からは、保護層151の材料が波長変換層152の材料よりも高い屈折率を有すると有益である。母材とは異なる屈折率を有する光拡散材を母材中に分散させることにより、保護層151に光拡散機能を与えてもよい。
【0075】
図6に例示する構成において、発光装置100Aは、光拡散部材154をさらに有している。光拡散部材154は、第1発光素子121の上面121aおよび第2発光素子122の上面122aと透光性部材150との間に配置される板状の部材である。
【0076】
光拡散部材154は、透光性の母材と、母材中に分散された光拡散材とを含有する。保護層151と同様に、光拡散部材154の母材には、波長変換層152の母材と同様の材料を用いることができる。光拡散材としては、例えば、母材とは異なる屈折率を有する樹脂の粒子、または、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムもしくは酸化亜鉛の粒子などを用いることができる。母材中に分散させる光拡散材として、D50で定義される粒径が1nm以上100nm以下であるようなナノ粒子を用いてもよい。光拡散材にナノ粒子を用いることにより、光拡散部材154中の光散乱を増大させることができる。
【0077】
図6に例示するように、第1発光素子121および第2発光素子122の組と、波長変換層152との間に光拡散部材154を介在させることにより、第1発光素子121からの光と、第2発光素子122からの光とを光拡散部材154の内部で混合させた後に波長変換層152に導入させることが可能になる。波長変換層152および光拡散部材154の間のこのような配置は、光拡散部材154と発光素子との間に波長変換層152を配置した構成と比較して、輝度むらの抑制に有利である。例えば、第1発光素子121および第2発光素子122として、それぞれ、青色LEDおよび緑色LEDを適用し、励起により赤色光を出射するKSF系蛍光体などの波長変換部材を波長変換層152含有させた場合に、より色むらを抑制した白色光を得ることが可能になる。
【0078】
図4~
図6に例示する構成において、発光装置100Aは、導光部材170をさらに有する。導光部材170は、第1発光素子121の側面121c上に位置する部分および第2発光素子122の側面122c上に位置する部分を少なくとも含む。この例では、導光部材170により、第1発光素子121の上面121aおよび第2発光素子122の上面122aの上方に光拡散部材154が配置される。
【0079】
導光部材170の材料としては、透明な樹脂を母材として含む樹脂材料を用いることができる。導光部材170の母材には、例えば透光性部材150の母材と同様の材料を用いることができる。母材とは異なる屈折率を有する光拡散材が分散させられることにより、導光部材170が光拡散機能を有していてもよい。また、導光部材170の屈折率は、透光性部材150の屈折率よりも大きく、かつ、第1発光素子121および第2発光素子122の屈折率よりも小さく設定してもよい。導光部材170は、例えば屈折率が1.52以上1.60以下の材料で形成されてもよい。このような屈折率の関係を満足すると、第1発光素子121および第2発光素子122から透光性部材150へ屈折率が徐々に小さくなるので、第1発光素子121および第2発光素子122からの光が発光装置100Aの外部に出射される効率を向上させることができる。
【0080】
導光部材170は、第1発光素子121の側面121cと、光反射性部材140との間に位置する部分を含む。導光部材170を設けることにより、第1発光素子121が発する光のうち側面121cから出る光の一部を、導光部材170と光反射性部材140との界面での反射を利用して光拡散部材154(または透光性部材150)に入射させることができる。すなわち、導光部材170に入射した光は、導光部材170の外面170cの位置で光拡散部材154に向けて反射され、光拡散部材154および透光性部材150を介して発光装置100Aの外部に向けて出射する。第2発光素子122が発する光のうち側面122cから出る光の一部についても同様のことがいえる。導光部材170を設けることにより、発光装置100Aの光の取出し効率を向上させることができる。
【0081】
導光部材170の外面170cの断面視における形状は、曲線状または直線状などであり得る。外面170cの断面視における形状は、折れ線状、発光素子(第1発光素子121または第2発光素子122)に近づく方向に凸の曲線状、発光素子から離れる方向に凸の曲線状などであってもよい。外面170cの断面視における形状が、発光素子から離れる方向に凸の曲線状であると、導光部材170を通過した光のより多くをより効率的に透光性部材150側に導き得る。よって、光取り出し効率をより有利に向上させ得る。
【0082】
[光反射性部材140]
光反射性部材140は、基板130A上において、第1発光素子121および第2発光素子122の組と、透光性部材150を取り囲む。なお、本明細書において、「光反射性」とは、発光素子(第1発光素子121または第2発光素子122)の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光反射性部材140の、発光素子の発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
【0083】
光反射性部材140の材料としては、例えば、光拡散材が分散された樹脂材料が挙げられる。光反射性部材140の母材としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂もしくはこれらの変性樹脂、または、これらの2種以上を含む樹脂を用いることができる。光拡散材としては、母材よりも高い屈折率を有する、無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光拡散材の例は、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、酸化ケイ素、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)などの粒子である。光反射性部材140は、白色を呈し得る。
【0084】
図4~
図6に示すように、光反射性部材140は、透光性部材150の光取出し面50aを除き、基材30Aの上面30a上の構造を覆う。これらの図に例示する構成において、光反射性部材140は、保護層151の側面51c、波長変換層152の側面52cおよび光拡散部材154の側面54cに接している。また、光反射性部材140の少なくとも一部は、第1発光素子121の側面および第2発光素子122の側面に対向する。換言すれば、光反射性部材140の少なくとも一部は、第1発光素子121の側面121cと第2発光素子122の側面122cとに接し得る。
【0085】
光反射性部材140の一部は、第1発光素子121と基板130Aとの間、および、第2発光素子122と基板130Aとの間にも位置し得る。第1発光素子121の下面121b側および第2発光素子122の下面122b側に光反射性部材140を配置することにより、発光素子の下面側からの光の出射を抑制でき、光の利用効率向上の効果が得られる。
【0086】
(変形例)
本開示の実施形態において、上面配線の数と下面配線の数とが一致していることは必須ではない。基材の下面30b側の下面配線の数は、4つに限定されず、以下に説明するように、2以上であればよい。
【0087】
図13は、基材の上面配線と下面配線との間の接続構造の他の例を示す。
図13に示す例では、基材30Aの下面30b側の下面配線として、第5配線35R、第6配線36Rおよび第7配線37RがX方向に沿って配置されている。第3導電部33Vを介して第3配線33Tが第6配線36Rに接続され、第4導電部34Vを介して第4配線34Tが第7配線37Rに接続されていること以外は、これまでに説明した例と同様である。
【0088】
図13に示す接続構造を採用した場合の基板の外観は、
図8に示す例と同様であり得る。すなわち、この場合も、下面配線を支持する基材は、4つの凹部30rを有し得る。
図13に示す例では、第6配線36Rは、それぞれが凹部30rの内側面を覆う部分を2つ有している。
【0089】
図14は、第1発光素子121および第2発光素子122を支持する基板の他の例を示す。
図14に示す基板130Cは、発光装置の背面100b側に開口する3つの凹部30rが設けられた基材30Cを含む。
図14に示すように、基材に設けられる凹部30rの数は、例えば3つであってもよい。この場合、第5配線35R、第6配線36Rおよび第7配線37Rのそれぞれは、3つの凹部30rのうち対応する1つの内側を覆う部分を有し得る。なお、凹部30rの数が下面配線の数と一致していることは、本開示の実施形態において必須ではない。また、基材30Cに凹部30rは必須ではなく、凹部30rが省略されることもあり得る。
【0090】
図15は、上面配線と下面配線との間の接続構造のさらに他の例を示す。
図15に示す例では、基材の下面30bに、第5配線35Rおよび第6配線36Rの2つの下面配線がX方向に沿って配置されている。この例では、第1配線31Tと第2配線32Tとが第1導電部31Vおよび第2導電部32Vをそれぞれ介して第5配線35Rに接続され、第3配線33Tと第4配線34Tとが第3導電部33Vおよび第4導電部34Vをそれぞれ介して第6配線36Rに接続される。なお、
図13に示す例および
図15に示す例のいずれにおいても、第1発光素子121および第2発光素子122は、電気的に直列および電気的に並列のいずれにも接続され得る。
【0091】
図16は、第1発光素子121および第2発光素子122を支持する基板のさらに他の例を示す。
図16に示す基板130Dは、X方向に沿って2つの凹部30rが設けられた
基材30Dを含む。この例では、第5配線35Rは、2つの凹部30rのうち一方の内側を覆う部分を有し、第6配線36Rは、他方の凹部30rの内側を覆う部分を有している。基材30Dにおける凹部30rの位置は、
図16に例示するように、基材30Dの長手方向(ここではX方向)の両端部を避けた位置であってもよいし、基材30Dの長手方向の両端部であってもよい。基材30Dに設けられる凹部30rの数は、
図15に示すように例えば4つであってもよい。なお、基材30Dに凹部30rは必須ではなく、凹部30rが省略されることもあり得る。
【0092】
図17は、本開示の第1の実施形態による発光装置の他の変形例を示す。
図1~
図6を参照しながら説明した発光装置100Aと比較して、
図17に示す発光装置100Eは、基板130Aに代えて基板130Eを有する。基板130Eは、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rと、これら下面配線を支持する基材30Eとをその一部に含む。上述の基材30A~30Dとは異なり、基材30Eには、下面30bと底面30mとに開口する凹部30rが設けられていない。
【0093】
図17に例示する構成のように、発光装置の基板が凹部を有しないこともあり得る。
図17に示す例では、発光素子を支持する基板130Eの基材30Eに凹部30rが設けられていないことに対応して、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rのいずれも平板状とされている。換言すれば、この例では、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、凹部30rの内側を覆う部分を有しない。
【0094】
発光装置100Eは、いわゆるトップビュー型の発光装置として用いられ得る。換言すれば、表面に配線を有する支持基板などへの実装において、発光装置100Eは、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rを支持基板に向けた状態で支持基板上に配置され得る。
【0095】
(発光装置の例示的な製造方法)
次に、図面を参照しながら、発光装置100Aの例示的な製造方法を簡単に説明する。以下に説明するように、本開示の実施形態による発光装置は、複数の配線を有する集合基板上に複数の発光素子を実装し、透光性部材および光反射性部材をさらに配置した構造を個片化することによって効率的に製造できる。
【0096】
図18を参照する。まず、上面30aおよび下面30bを有する大判の基材30Sを準備する。次に、ドリリング、レーザ加工などにより、それぞれが下面30bから上面30aに達する複数の貫通孔15と、下面30bに開口を有する複数の穴部16とを基材30Sの所定の箇所に形成する。
図18に示すように、ここでは、各貫通孔15の開口の形状および各穴部16の開口の形状は、いずれも円形とされている。
【0097】
次に、めっきなどにより、基材30Sの上面30aおよび下面30bに導電膜を形成する。このとき、各貫通孔15の内側面、および、各穴部16の内側面にも導電膜を形成する。必要に応じて、各貫通孔15の内部のうち、導電膜で覆われた内側面で規定される空間を樹脂などの絶縁部材で充填する。これにより、基材30Sの、貫通孔15に対応した位置に導電部(第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vまたは第4導電部34V)を形成することができる。なお、絶縁部材に代えて、導電性の材料で各貫通孔15の内部を充填してもよい。換言すれば、絶縁部39(
図4および
図5を参照)を導電性の部材に置き換えることもできる。
【0098】
その後、導電膜のパターニングにより、基材30Sの上面30aおよび下面30bのそれぞれに所定の形状の配線を形成する。導電膜のパターニングにより、基材30Sの両面
に所定の形状の配線を有する集合基板が得られる。この集合基板は、貫通ビアとしての複数の導電部を基材30Sの内部に含んでいる。
【0099】
図19は、導電膜のパターニング後の基材30Sの上面30aの一例を示す。
図19は、導電膜のパターニングにより得られる集合基板130Sを基材30Sの上面30a側から見たときの外観を模式的に示している。
図19に示す例では、集合基板130Sは、それぞれが第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tを含む複数のセットを基材30Sの上面30aに有している。
図19に示すように、これら複数のセットは、上面30aにおいて複数の行および列に配置され得る。各セットにおいて、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、2行2列の配置を有する。
【0100】
図19中に拡大して模式的に示すように、ここでは、第1配線31Tには、ランド31mとは反対側の端部かつ第1導電部31Vと重なる位置にランド31nが設けられている。同様に、第4配線34Tは、ランド34mとは反対側の端部にランド34nを有しており、このランド34nは、第4導電部34Vと重なりを有する。他方、第2配線32Tのランド32mおよび第3配線33Tのランド33mは、それぞれ、平面視において第2導電部32Vと重なる位置および第3導電部33Vと重なる位置にある。この例では、第2配線32Tの、ランド32mとは反対側の端部には、T字状部32tが設けられており、第3配線33Tの、ランド33mとは反対側の端部にもT字状部33tが設けられている。
【0101】
図20は、導電膜のパターニング後の基材30Sの下面30bの一例を示す。
図20は、集合基板130Sを基材30Sの下面30b側から見たときの外観を模式的に示している。
図20に示す例では、集合基板130Sは、行方向(図のX方向)に沿って配置された、それぞれが列方向(図のY方向)に延びる帯状の複数の下面配線を基材30Sの下面30bに有している。これら複数の下面配線は、互いに平面視形状の異なる3種の下面配線ST1、ST2およびST3を含む。下面配線ST1、ST2およびST3のそれぞれは、列方向に沿って配置された複数のランドを有する。ここでは、各ランドは、1つの穴部16を含み、2つまたは4つの導電部と重なりを有している。
【0102】
次に、基材30Sの上面30a側に第1発光素子121および第2発光素子122の複数の組を実装する。ここでは、
図21に示すように、第1発光素子121が第1配線31Tおよび第3配線33Tに接続され、かつ、第2発光素子122が第2配線32Tおよび第4配線34Tに接続されるように、列方向に沿って第1発光素子121および第2発光素子122を交互に配置している。上面配線上への第1発光素子121および第2発光素子122の配置に使用する接合部材161、162としては、例えば、金、銀、銅などのバンプ、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウムなどの金属粉末と樹脂バインダとの混合物である導電性ペースト、または、錫-銀-銅(SAC)系もしくは錫-ビスマス(SnBi)系の半田を用いることができる。
【0103】
次に、第1発光素子121および第2発光素子122の上方に透光性部材150および光拡散部材154を配置する。例えば、第1発光素子121の上面121aおよび第2発光素子122の上面122aに透光性の接着剤を付与し、それぞれが透光性部材150および光拡散部材154を含む積層シート片をこれらの上面に接合する。接着剤の硬化により、接着剤から導光部材170を形成できる(
図6参照)。積層シート片は、例えば、蛍光体の粒子を含有する樹脂材料を、光拡散材を含有する透光性の樹脂シート上に付与した後に樹脂材料を硬化させて積層シートを得、積層シートを所定の寸法に切断することにより得ることができる。積層シート片は、保護層151をさらに有していてもよい。すなわち、積層シート片は、保護層151、波長変換層152および光拡散部材154の積層構
造を有していてもよい。
【0104】
次に、基材30Sの上面30a上に光反射性部材140の材料を付与し、硬化させることにより、第1発光素子121および第2発光素子122の複数の組を覆う光反射性樹脂層140Sを形成する。その後、研削加工などにより、光反射性樹脂層140Sの一部を除去して光反射性樹脂層140Sから透光性部材150の上面を露出させる(
図22参照)。
【0105】
次に、例えば、回転といし(ブレード)を利用した切削により、
図23中に破線DCで模式的に示すように、穴部16を通る位置で行方向および列方向に沿って集合基板130Sおよび光反射性樹脂層140S(
図22参照)を切断する。この個片化の工程により、集合基板130Sおよび光反射性樹脂層140Sから基板130Aおよび光反射性部材140をそれぞれ形成する。
図23中、網掛けで示す単位が基板130Aを構成する。
図23から理解されるように、個片化により、下面配線ST1から第5配線35Rおよび第8配線38Rを形成でき、下面配線ST2および下面配線ST3から第6配線36Rおよび第7配線37Rをそれぞれ形成できる。また、穴部16を通る位置で集合基板130Sを切断することにより、分割された穴部16から凹部30rを形成することができる。以上の工程により、それぞれが第1発光素子121および第2発光素子122を有する複数の発光装置100Aを得られる。
【0106】
(第2の実施形態)
図24は、本開示の第2の実施形態による線状光源の一例を示す。本開示の第2の実施形態による線状光源は、支持基板と、支持基板に実装された2以上の発光装置とを有する。
図24に示す線状光源200は、配線を有する支持基板230と、支持基板230上に配置された合計4つの発光装置とを含んでいる。支持基板230上の発光装置の数は、4つに限定されず、任意の数であってよい。支持基板230上の各発光装置は、支持基板230の配線に電気的に接続される。
【0107】
図24に示す例では、線状光源200は、発光装置100Aおよび発光装置100B(第1発光装置および第2発光装置)の2種を支持基板230上に2つずつ有している。これら発光装置100A、100Bは、光取出し面50aを同じ方向に向けて、X方向に沿って支持基板230上に交互に配置されている。線状光源200において、発光装置100Aの基材の上面の法線および発光装置100Bの基材の上面の法線は、いずれも、Z方向に平行とされている。
【0108】
発光装置100Aおよび発光装置100Bは、半田などの接合部材260により、支持基板230上の配線に接合される。接合部材260の少なくとも一部は、発光装置100Aおよび発光装置100Bの基材に設けられた凹部30rの内部に位置し得る。
【0109】
図25は、
図24に示す線状光源200をその一部に含むバックライトユニットの一例を示す。
図25に示すバックライトユニット300は、線状光源200の各発光装置に側面が対向させられた導光板290を有する。線状光源200の発光装置100A、100Bから出射され、導光板290の側面290cから導光板290に導入された光は、導光板290の上面290aから取り出される。
【0110】
線状光源200中の発光装置100Bの基本的な構成は、第1発光素子121および第2発光素子122の配置を除き、発光装置100Aと概ね共通である。
図26は、
図24に示す4つの発光装置のうち、互いに隣り合う発光装置100Aおよび発光装置100Bの組を取り出して模式的に示す。
【0111】
図26に示すように、発光装置100Aでは、基板130Aの第2配線32Tおよび第4配線34Tは、第1配線31Tおよび第3配線33Tよりも支持基板230の近くに位置する。すなわち、発光装置100Aでは、第2発光素子122の方が第1発光素子121よりも支持基板230の近くに位置する。他方、発光装置100Bは、基板130Aに代えて基板130Bを有しており、基板130Bの第1配線31Tおよび第3配線33Tは、第2配線32Tおよび第4配線34Tよりも支持基板230の近くに位置する。すなわち、発光装置100Aとは逆に、発光装置100Bでは、第1発光素子121の方が第2発光素子122よりも支持基板230の近くに位置している。
【0112】
本開示の典型的な実施形態においては、第1発光素子121および第2発光素子122として、互いに発光ピーク波長の異なる素子の組が用いられる。例えば、第1発光素子121は、青色光を出射する素子であり、第2発光素子122は、緑色光を出射する素子である。この場合、
図24から容易に理解されるように、青色光を出射する素子および緑色光を出射する素子のそれぞれが支持基板230上においてX方向に沿ってジグザグ状に配置されることになる。
【0113】
蛍光体などを含有する波長変換層を介して白色光が出射されるように構成された発光装置においては、互いに発光ピーク波長の異なる第1発光素子121および第2発光素子122を発光装置の短手方向(この例ではY方向)に並べることにより、高い輝度を実現し得る。さらに、
図24に示す例では、発光装置の長手方向に沿って互いに隣り合う2つの発光装置の間で、発光装置の短手方向に関して第1発光素子121および第2発光素子122の配置が逆となるようにしている。このように、複数の発光装置の間で第1発光素子121および第2発光素子122がX方向に沿って互い違いになるように発光装置100A、100Bを支持基板230上でY方向に一列に配置することにより、高い輝度を得ながら、より色むらの抑制された白色光を実現し得る。
【0114】
発光装置100Bは、
図18~
図23を参照しながら説明した工程により、発光装置100Aと同様にして得ることができる。
図21を参照しながら説明した例のように、集合基板130Sの上面30aにおいて第1発光素子121および第2発光素子122を列方向に沿って交互に実装し、
図23に示すように、穴部16を通るように集合基板130Sを切断した場合、発光装置100Aと発光装置100Bとが列方向に沿って交互に現れる。なお、集合基板130Sの上面30aへの第1発光素子121および第2発光素子122の実装の工程において、列方向に沿って2行おきに第1発光素子121と第2発光素子122とを交互に実装すれば、個片化後に発光装置100Aおよび発光装置100Bのいずれか一方を得ることができる。
【0115】
支持基板230上に実装する発光装置は、発光装置100Aおよび発光装置100Bに限定されない。例えば、
図17に示す発光装置100Eを、光取出し面50aが同じ方向に向くようにして第2方向に沿って1つの支持基板上に実装することにより、線状光源を実現することができる。この場合も、複数の発光装置の間で第1発光素子121および第2発光素子122が互い違いになるようにこれら発光装置を支持基板230上に実装してよい。
【0116】
【0117】
以下では、線状光源が有する複数の発光装置が電気的に直列に接続されている例を説明する。もちろん、本開示の実施形態による線状光源およびその駆動方法はこれに限られない。
【0118】
図27Aに示す線状光源200aおよび
図27Bに示す線状光源200bは、複数の発光装置100が電気的に直列に接続されている。発光装置100は、第1発光素子121と第2発光素子122とを有しており、複数の発光装置100が有する複数の第1発光素子121は配線262bを介して電気的に直列に接続されており、複数の第2発光素子122は配線262gを介して電気的に直列に接続されている。例えば、第1発光素子121に青色光を出射するLED、第2発光素子122に緑色光を出射するLED、第1発光素子121と第2発光素子122の少なくとも一方からの光を吸収して赤色の波長域の光を出射する波長変換層152とを用いることで、発光装置100からは白色光が出射される。
【0119】
第1発光素子121に供給する電力と第2発光素子122に供給する電力とは同じにしてもよく、異ならせてもよい。これらの電力を調整することで、所望の色度の白色光を得ることができる。例えば、
図27Aに示すように、第1発光素子121に駆動電流I
B(例えば12mA)を供給する駆動回路と、第2発光素子122に駆動電流I
G(例えば8mA)を供給する駆動回路との2つの駆動回路を設けて、それぞれに異なる電力を同時に供給することで白色光を得ることができる。
【0120】
また、別の駆動方法では、
図27Bに示すように、第1発光素子121用の駆動電流I
Bと、第2発光素子122用の駆動電流I
Gとを供給することができる1つの駆動回路を用意し、駆動回路からの出力(
図27B中の矢印)と、第1発光素子121の電極(例えばアノード)に接続された端子Tbと、第2発光素子122の電極(例えばアノード)に接続された端子Tgとの接続とを切り替える。第1発光素子121および第2発光素子122の他方の電極(例えばカソード)はともに接地されている(カソードコモン接続)。駆動回路の一部は、例えば、LEDドライバーICとして実現され得る。
【0121】
このとき、駆動回路の出力(駆動電流IBおよびIG)と、第1発光素子121の電極に接続された端子Tbと、第2発光素子122の電極に接続された端子Tgとの接続を切り替えるタイミングを制御する。具体的には、駆動回路の出力が端子Tbに接続されている第1期間tBの長さと、駆動回路の出力が端子Tgに接続されている第2期間tGの長さとを異ならせることができる。または、駆動回路の出力が端子Tbに接続されている第1期間tBにおける駆動回路の出力の電流値IBの大きさと、駆動回路の出力が端子Tgに接続されている第2期間tGにおける駆動回路の出力の電流値IGの大きさとを異ならせることができる。
【0122】
例えば、
図28に示すように、駆動回路から供給される駆動電流I
BおよびI
Gの電流値(例えばI
B=24mA、I
G=16mA)を異ならせ、駆動回路の出力が端子Tbに接続されている第1期間t
Bの長さと駆動回路の出力が端子Tgに接続されている第2期間t
Gの長さとは等しくする(t
B=t
G)ことができる。具体的には、駆動電流I
BとI
Gの電流値を調整することで、所望の色度の白色光を得ることができる。なお、第1期間t
Bと第2期間t
Gは例えば0.02ミリ秒以上、5ミリ秒以下とすることができる。より好ましくは、0.5ミリ秒以上、2ミリ秒以下とすることができる。このような期間とすることで、人間の目で見て白色光として認識できるバックライトに使用する線状光源とすることができる。
【0123】
あるいは、
図29に示すように、駆動回路から供給される駆動電流I
BおよびI
Gの電流値(例えばI
B=I
G=40mA)は等しくし、駆動回路の出力が端子Tbに接続されている第1期間t
Bの長さ(例えば1.8ミリ秒)と駆動回路の出力が端子Tgに接続されている第2期間t
Gの長さ(例えば1.2ミリ秒)とを異ならせることができる。例えば、第1期間t
Bと第2期間t
Gとの比(t
B:t
G)が、3:2などが挙げられる。具体的には、第1期間t
Bに対する第2期間t
Gの比(t
G/t
B)は、0.2以上1以下とすることができる。より好ましくは、0.4以上0.8以下とすることができる。このように、第1期間t
Bと第2期間t
Gとを調整することで、所望の色度の白色光を得ることができる。また、第1期間t
Bと第2期間tGは例えば0.01ミリ秒以上、10ミリ秒以下とすることができる。このような期間とすることで、人間の目で見て白色光として認識できるバックライトに使用する線状光源とすることができる。
【0124】
また、駆動回路から供給される駆動電流IBおよびIGの電流値を異ならせ、かつ、駆動回路の出力が端子Tbに接続されている第1期間tBの長さと駆動回路の出力が端子Tgに接続されている第2期間tGの長さとを異ならせてもよい。
【0125】
上述したような駆動方法で駆動される線状光源の例を
図30および
図31に示す。
図30に示すバックライト300Aが有する線状光源200Aは、
図24~
図26を参照して説明した線状光源200と同様に、発光装置100Aと発光装置100Bとが交互に配置されている。
図31に示すバックライト装置300Bが有する線状光源200Bは、発光装置100A(または100B)が1列に配置されている。
【0126】
線状光源200Aおよび200Bはいずれも、電気的に直列に接続された複数の発光装置100Aおよび/または100Bと、発光装置100Aおよび/または100Bを駆動する電流を供給する駆動回路210と、第1発光素子121の電極(例えばアノード)B1aに接続された端子(配線262bに接続されている)と、第2発光素子122の電極(例えばアノード)G1aに接続された端子(配線262gに接続されている)と、駆動回路210の出力とこれらの端子との接続の接続を切り替えるスイッチ240と、駆動回路210およびスイッチ240の動作のタイミングを制御するタイミングコントローラ220とを有している。4つの第1発光素子121の電極(アノードB1a、B2a、B3a、B4aおよびカソードB1c、B2c、B3c、B4c)および4つの第2発光素子122の電極(アノードG1a、G2a、G3a、G4aおよびカソードG1c、G2c、G3c、G4c)は、それぞれ配線262bまたは262gを介して電気的に直列に接続されている。なお、線状光源200Aおよび200Bが有する駆動回路210およびタイミングコントローラ220には、電源400から電力が供給される。
【0127】
このような構成を採用すると、駆動回路が1つで発光装置を駆動させることができることから、線状光源の小型化、低コスト化が可能になる。また、簡単に駆動条件を変更できるので、例えば、各発光素子の輝度や周囲温度に応じて、所望の色度の白色光を容易に出射することができる。
【0128】
また、本開示の実施形態による駆動方法を用いる線状光源を備えるバックライトユニットに、発光装置として、波長変換層中の蛍光体に、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)のいずれかを組み合わせた発光装置を用いることができる。これらの蛍光体は、他の蛍光体と比べて、点灯中の発光素子を消灯した後でも一定の期間発光する残光特性を有している。つまり、このような発光装置は、第1発光素子を点灯後に切り替えて、第1発光素子を消灯して第2発光素子を点灯した際に、赤色光が一定の期間発光するため、その期間は緑色光と赤色光とが混色された光が出射されることとなり、混色性のよい白色光を得ることができる。
【0129】
本開示によると、以下の項目に記載の発光装置、線状光源およびその駆動方法が提供される。
【0130】
[項目1]
上面および前記上面とは反対側に位置する下面を有する基材を含む基板であって、前記基材の前記上面は、第1方向に延びる短辺と前記第1方向に直交する第2方向に延びる長辺とによって規定される長方形状を有する、基板と、
前記基板上に前記第1方向に沿って一列に配置された第1発光素子および第2発光素子と
を備え、
前記基板は、
前記基材の前記上面上に配置された上面配線と、
前記基材の前記下面上に配置された下面配線と、
前記基材の内部に位置し、前記上面配線と前記下面配線とをつなぐ導電部と
を有し、
前記上面配線は、
前記第1方向に互いに間隔をあけて配置された第1配線および第2配線と、
前記第1方向に互いに間隔をあけて配置された第3配線および第4配線と
を含み、
前記第1配線および前記第3配線は、前記第2方向に沿って一列に配置され、前記第2配線および前記第4配線は、前記第2方向に沿って一列に配置されており、
前記下面配線は、前記第2方向に沿って配置された2以上の配線を含み、
前記導電部は、前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線および前記第4配線にそれぞれ接続されている第1導電部、第2導電部、第3導電部および第4導電部を含み、
前記第1発光素子は、前記第1配線および前記第3配線上に配置され、前記第1配線および前記第3配線と電気的に接続されており、
前記第2発光素子は、前記第2配線および前記第4配線上に配置され、前記第2配線および前記第4配線と電気的に接続されており、
前記第1導電部は、前記第2方向において前記第2導電部よりも前記基材の一方の端の近くに位置し、
前記第4導電部は、前記第2方向において前記第3導電部よりも前記基材の他方の端の近くに位置する、発光装置。
【0131】
[項目2]
前記下面配線は、互いに間隔をあけて前記第2方向に沿って一列に配置された第5配線、第6配線、第7配線および第8配線を含み、
前記第1導電部、前記第2導電部、前記第3導電部および前記第4導電部は、それぞれ、前記第5配線、前記第6配線、前記第7配線および前記第8配線に接続されている、項目1に記載の発光装置。
【0132】
[項目3]
前記第2導電部は、前記第2発光素子の下方に位置し、
前記第3導電部は、前記第1発光素子の下方に位置する、項目1または2に記載の発光装置。
【0133】
[項目4]
前記基板上に配置される光反射性部材をさらに備え、
前記光反射性部材の少なくとも一部は、前記第1発光素子の側面および前記第2発光素子の側面に対向する、項目1から3のいずれかに記載の発光装置。
【0134】
[項目5]
前記第1導電部は、前記光反射性部材の下方に位置し、
前記第4導電部は、前記光反射性部材の下方に位置する、項目4に記載の発光装置。
【0135】
[項目6]
前記基板の前記第2方向における長さに対する、前記第1導電部から前記第3導電部までの前記第2方向における距離の比は、0.2以上0.7以下の範囲である、項目1から5のいずれかに記載の発光装置。
【0136】
[項目7]
前記基板の前記第2方向における長さに対する、前記第2導電部から前記第4導電部までの前記第2方向における距離の比は、0.2以上0.7以下の範囲である、項目1から6のいずれかに記載の発光装置。
【0137】
[項目8]
前記基板の前記第2方向における長さに対する、前記第2導電部と前記第3導電部との間の距離の比は、0.07以上0.5以下である、項目1から7のいずれかに記載の発光装置。
【0138】
[項目9]
前記第1導電部、前記第2導電部、前記第3導電部および前記第4導電部のそれぞれは、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向に直線的に延びている、項目1から8のいずれかに記載の発光装置。
【0139】
[項目10]
前記第1発光素子および前記第2発光素子の上方に位置し、波長変換部材を含有する透光性部材をさらに備える、項目1から9のいずれかに記載の発光装置。
【0140】
[項目11]
前記第1発光素子の発光ピーク波長は、前記第2発光素子の発光ピーク波長と異なる、項目1から10のいずれかに記載の発光装置。
【0141】
[項目12]
それぞれが項目11に記載の発光装置である、少なくとも2つの発光装置と、
支持基板と
備え、
前記少なくとも2つの発光装置は、第1発光装置および第2発光装置を含み、
前記第1発光装置および前記第2発光装置は、前記第2方向に沿って前記支持基板上に実装されている、線状光源。
【0142】
[項目13]
前記第1発光装置の前記第2配線および前記第4配線は、前記基材の上面上において前記第1配線および前記第3配線よりも前記支持基板の近くに位置し、
前記第2発光装置の前記第1配線および前記第3配線は、前記基材の上面上において前記第2配線および前記第4配線よりも前記支持基板の近くに位置する、項目12に記載の線状光源。
【0143】
[項目14]
前記第1発光装置が有する前記第1発光素子と、前記第2発光装置が有する前記第1発光素子とは直列に接続されており、
前記第1発光装置が有する前記第2発光素子と、前記第2発光装置が有する前記第2発光素子とは電気的に直列に接続されており、
前記第1発光装置および前記第2発光装置を駆動する電流を供給する駆動回路と、
前記第1発光素子の第1電極に接続された第1端子と、
前記第2発光素子の第2電極に接続された第2端子と、
前記駆動回路の出力と前記第1端子との接続と、前記駆動回路の出力と前記第2端子との接続を切り替えるスイッチと、
前記スイッチの動作のタイミングを制御するタイミングコントローラと
を有する、項目12または13に記載の線状光源。
【0144】
[項目15]
項目14に記載の線状光源を駆動する方法であって、
前記駆動回路の前記出力が前記第1端子に接続されている第1期間の長さと、前記駆動回路の前記出力が前記第2端子に接続されている第2期間の長さとを異ならせる、および/または、
前記駆動回路の前記出力が前記第1端子に接続されている第1期間における前記駆動回路の出力の第1電流値の大きさと、前記駆動回路の前記出力が前記第2端子に接続されている第2期間における前記駆動回路の出力の第2電流値の大きさとを異ならせること
を包含する、方法。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本開示の実施形態は、各種照明用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源などに有用である。特に、液晶表示装置に向けられたバックライトユニットに有利に適用できる。
【符号の説明】
【0146】
15:貫通孔、16:穴部、30A~30E、30S:基材、30r:基材の凹部、31T:第1配線、31V:第1導電部、32T:第2配線、32V:第2導電部、33T:第3配線、33V:第3導電部、34T:第4配線、34V:第4導電部、35R:第5配線、36R:第6配線、37R:第7配線、38R:第8配線、100A、100B、100E:発光装置、121:第1発光素子、122:第2発光素子、130A~130E:基板、130S:集合基板、140:光反射性部材、150:透光性部材、151:保護層、152:波長変換層、154:光拡散部材、180:絶縁層、200:線状光源、210:駆動回路、220:タイミングコントローラ、230:支持基板、240:スイッチ、290:導光板、300:バックライトユニット、400:電源