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特許7368814電気機器および電気機器を備える電力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】電気機器および電気機器を備える電力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20231018BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20231018BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20231018BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/14 130
H02S50/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023059130
(22)【出願日】2023-03-31
【審査請求日】2023-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】日比野 寛
(72)【発明者】
【氏名】安田 善紀
(72)【発明者】
【氏名】山際 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】藤本 博志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 稔之
(72)【発明者】
【氏名】永井 栄寿
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/215022(WO,A1)
【文献】特開平09-042802(JP,A)
【文献】特開平07-190461(JP,A)
【文献】特開2006-353079(JP,A)
【文献】特開2017-118738(JP,A)
【文献】特開2005-182255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F11/00-11/89
F25B19/00-30/06
H02J3/00-5/00
H02J13/00
H02S50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池(11)の発電電力を直流電力または交流電力に変換可能に構成された電力変換器(12、13)から供給される直流電力または交流電力によって動作するように構成された電気機器(30)において、
前記電気機器(30)は、
前記太陽電池(11)の発電電力、もしくは、前記太陽電池(11)の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力を直接検出する電力検出手段(36)を備え、
前記太陽電池(11)の発電電力の変動量と当該電気機器(30)の消費電力の変動量との差が小さくなるよう、当該電気機器(30)の消費電力を調整する、電気機器。
【請求項2】
太陽電池(11)の発電電力を直流電力または交流電力に変換可能に構成された電力変換器(12、13)から供給される直流電力または交流電力によって動作するように構成された電気機器(30)において、
前記電気機器(30)は、
前記太陽電池(11)の発電電力、もしくは、前記太陽電池(11)の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力を直接検出する電力検出手段(36)を備え、
前記太陽電池(11)の発電電力の変動に基づいて、当該電気機器(30)以外に供給される電力の変動が小さくなるように、当該電気機器(30)の消費電力を調整する、電気機器。
【請求項3】
前記電気機器(30)は、前記太陽電池(11)の発電電力を電力変換した直流電力を供給されて動作する、
請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記電気機器(30)は、前記電力変換器(13)から供給される第1直流電力の一部、または、直流電源から供給される第2直流電力と前記第1直流電力を合わせた直流電力が供給されて動作する、
請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項5】
前記電気機器(30)は、前記電力変換器(12)から供給される第1交流電力の一部、または、交流電源から供給される第2交流電力と前記第1交流電力を合わせた交流電力が供給されて動作する、
請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項6】
前記電気機器(30)は、前記太陽電池(11)の発電電力、もしくは、前記太陽電池(11)の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力の検出信号が入力される信号入力部を備える、
請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項7】
前記電気機器(30)は、ヒートポンプを備えたヒートポンプ機器(31)である、
請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項8】
前記ヒートポンプ機器は、前記太陽電池(11)が設置された建物(H)の居室を温調する空気調和機(32)であり、
前記空気調和機(32)は、
前記建物(H)の屋外の温度を検出する温度検出手段(38)を備え、
前記電力検出手段(36)の検出値と、前記温度検出手段(38)の検出値とに基づいて、空調能力を調整する、
請求項に記載の電気機器。
【請求項9】
前記空気調和機(32)は、
前記電力検出手段(36)の検出値と、前記温度検出手段(38)の検出値とに基づいて、日射量を推定する日射量推定部(35D)を備え、
前記日射量推定部(35D)の出力に応じて前記空気調和機の空調能力を調整する、
請求項に記載の電気機器。
【請求項10】
太陽電池(11)の発電電力を直流電力または交流電力に変換可能に構成された電力変換器(12、13)から供給される直流電力または交流電力によって動作するように構成された電気機器(30)において、
前記電気機器(30)は、前記太陽電池(11)の発電電力、もしくは、前記太陽電池(11)の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力を直接検出する電力検出手段(36)と、前記太陽電池(11)が設置された建物(H)の屋外の温度を検出する温度検出手段(38)と、前記電力検出手段(36)の検出値と、前記温度検出手段(38)の検出値とに基づいて、日射量を推定する日射量推定部(35D)と、を備える、電気機器。
【請求項11】
前記電気機器(30)は、ヒートポンプを備えたヒートポンプ機器(31)であり、
前記ヒートポンプ機器は、前記建物(H)の居室を温調する空気調和機(32)であり、
前記空気調和機(32)は、前記日射量推定部(35D)の出力に応じて前記空気調和機の空調能力を調整する、請求項10に記載の電気機器。
【請求項12】
請求項1、2、または10に記載の電気機器(30)と、
太陽電池(11)の発電電力を直流電力または交流電力に変換して前記電気機器(30)に供給可能に構成され、前記電気機器(30)に直流電力または交流電力を供給する電力変換器(12、13)と、を備えた、電力システム。
【請求項13】
前記太陽電池(11)と前記電力変換器(12、13)との間、前記電力変換器(12、13)の内部、または、前記電力変換器(12、13)よりも電力供給の下流に設けられる電力センサ(19)と、
前記電力センサ(19)と前記電気機器(30)とを接続し、前記電力センサの検出信号を前記電気機器(30)に送信する信号線(20)と、を備える、
請求項12に記載の電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気機器および電気機器を備える電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池の発電電力に応じて、自身の消費電力や能力などを調整する電気機器が開示される。特許文献1では、電気機器とは別の機器制御装置が、太陽電池と他の電気機器の消費電力とに基づいて電気機器の電源を直流電力と交流電力との間において切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-078713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気機器には、電気機器とは別の制御器から太陽電池の出力に関する情報が伝えられるため、太陽電池の出力に関する情報が電気機器に伝わるまでに遅延がある。また、制御器などにより演算された太陽電池の発電量が電気機器に送信されるため、太陽電池の発電量に関する情報が欠落して電気機器に伝わる。このため、電気機器は、太陽電池の発電量を正確に把握できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決する第1観点の電気機器は、太陽電池の発電電力を直流電力または交流電力に変換可能に構成された電力変換器から供給される直流電力または交流電力によって動作するように構成された電気機器において、前記電気機器は、前記太陽電池の発電電力、もしくは、前記太陽電池の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力を直接検出する電力検出手段を備える。
この構成によれば、電気機器が太陽電池の発電電力、もしくは、太陽電池の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力を直接検出する電力検出手段を備えるため、電気機器が太陽電池の発電電力を適切に把握できる。
【0006】
第2観点の電気機器は、第1観点の電気機器において、前記電気機器は、前記太陽電池の発電電力を電力変換した直流電力を供給されて動作する。
この構成によれば、直流電力によって動作する電気機器において、太陽電池の発電電力を適切に把握できる。
【0007】
第3観点の電気機器は、第1または第2観点の電気機器において、前記電気機器は、前記電力変換器から供給される第1直流電力の一部、または、直流電源から供給される第2直流電力と前記第1直流電力を合わせた直流電力が供給されて動作する。
この構成によれば、電力変換器から供給される第1直流電力の一部、または、直流電源から供給される第2直流電力と第1直流電力を合わせた直流電力が供給されて動作する電気機器において、太陽電池の発電電力を適切に把握できる。
【0008】
第4観点の電気機器は、第1観点の電気機器において、前記電気機器は、前記電力変換器から供給される第1交流電力の一部、または、交流電源から供給される第2交流電力と前記第1交流電力を合わせた交流電力が供給されて動作する。
この構成によれば、電力変換器から供給される第1交流電力の一部、または、交流電源から供給される第2交流電力と前記第1交流電力を合わせた交流電力が供給されて動作する電気機器において、太陽電池の発電電力を適切に把握できる。
【0009】
第5観点の電気機器は、第1から第4観点のいずれか1つの電気機器において、前記電気機器は、前記太陽電池の発電電力、もしくは、前記太陽電池の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力の検出信号が入力される信号入力部を備える。
この構成によれば、電気機器は、信号入力部によって、太陽電池の発電電力、もしくは、太陽電池の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力を好適に取得できる。
【0010】
第6観点の電気機器は、第1観点の電気機器において、前記電気機器は、前記太陽電池の発電電力の変動に基づいて、当該電気機器の消費電力を調整する。
この構成によれば、電気機器は、太陽電池の発電電力の変動に応じて、電気機器の消費電力を変化させられる。
【0011】
第7観点の電気機器は、第6観点の電気機器において、前記電気機器は、前記太陽電池の発電電力の変動量と当該電気機器の消費電力の変動量との差が小さくなるよう、当該電気機器の消費電力を調整する。
この構成によれば、電気機器は、太陽電池の発電電力と当該電気機器の消費電力との差を小さくできるため、太陽電池の電力経路において、電気機器よりも下流の電力変動が小さくなる。
【0012】
第8観点の電気機器は、第1から第7観点のいずれか1つの電気機器において、前記電気機器は、ヒートポンプを備えたヒートポンプ機器である。
この構成によれば、ヒートポンプ機器において、太陽電池の発電電力を適切に把握できる。
【0013】
第9観点の電気機器は、第8観点の電気機器において、前記ヒートポンプ機器は、前記太陽電池が設置された建物の居室を温調する空気調和機であり、前記空気調和機は、前記建物の屋外の温度を検出する温度検出手段を備え、前記電力検出手段の検出値と、前記温度検出手段の検出値とに基づいて、空調能力を調整する。
この構成によれば、空気調和機は、太陽光発電の発電量と建物の屋外の温度とに応じて、空調能力を好適に調整できる。
【0014】
第10観点の電気機器は、第9観点の電気機器において、前記空気調和機は、前記電力検出手段の検出値と、前記温度検出手段の検出値とに基づいて、日射量を推定する日射量推定部を備え、前記日射量推定部の出力に応じて前記空気調和機の空調能力を調整する。
この構成によれば、空気調和機は、日射量に応じて、空気調和機の空調能力を好適に調整できる。
【0015】
第11観点の電力システムは、第1~第10観点のいずれか1つの観点の電気機器と、太陽電池の発電電力を直流電力または交流電力に変換して前記電気機器に供給可能に構成され、前記電気機器に直流電力または交流電力を供給する電力変換器と、を備える。
この構成によれば、電力システムは、太陽電池の発電電力を適切に把握できる。
【0016】
第12観点の電力システムは、第11観点の電力システムにおいて、前記太陽電池と前記電力変換器との間、前記電力変換器の内部、または、前記電力変換器よりも電力供給の下流に設けられる電力センサと、前記電力センサと前記電気機器とを接続し、前記電力センサの検出信号を前記電気機器に送信する信号線と、を備える。
この構成によれば、電力システムは、電力センサと信号線とによって太陽電池の発電電力を適切に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の電力システムが設置される建物の模式図である。
図2図1の電力システムの電気的な構成を示すブロック図である。
図3】太陽電池の特性を示すグラフである。
図4図2の制御器の日射量推定部の構成を示すブロック図である。
図5】実施形態の電力システムにおいて消費電力の変動量が調整される場合の電力の経時的な変化の一例を示すグラフである。
図6】第1変更例の電力システムの電気的な構成を示すブロック図である。
図7】第2変更例の電力システムの電気的な構成を示すブロック図である。
図8】第3変更例の電力システムの電気的な構成を示すブロック図である。
図9】第4変更例の電力システムの電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<電力システム>
図1図5を参照して、実施形態の電力システム10を説明する。
図1に示されるように、電力システム10は、太陽光発電(PV;photovoltaics)を用いた電力の供給システムである。電力システム10は、太陽電池11によって生じた直流電力を電気機器30に供給可能に構成される。電力システム10は、例えば、家屋等の建物Hに設けられる。太陽電池11は、例えば、建物Hの屋根HRに設けられる。
【0019】
図1および図2に示されるように、電力システム10は、PCS(Power Conditioning System)12と電気機器30とを備える。PCS12は、太陽電池11の発電電力を直流電力または交流電力に変換可能に構成される。PCS12は、DC/DCコンバータ13およびインバータ14を備える。太陽電池11の発電電力は、DC/DCコンバータ13によって電圧変換された後、インバータ14によって交流電力に変換される。言い換えると、DC/DCコンバータ13は、太陽電池11の発電電力を、所定の電圧値の直流電力に変換する第1の電力変換器を構成する。言い換えると、PCS12は、太陽電池11の発電電力を、所定の電圧振幅および所定の周波数の交流電力に変換する第2の電力変換器を構成する。第1の電力変換器は、例えば、DC/DCコンバータ13と、DC/DCコンバータ13とを制御する第1の制御器を含んで構成される。第2の電力変換器は、例えば、DC/DCコンバータ13と、インバータ14と、DC/DCコンバータ13およびインバータ14とを制御する第1の制御器を含んで構成される。
【0020】
インバータ14によって交流電力に変換された電力は、例えば、建物Hの外部の配電線Lに送電可能に構成される。配電線Lは、例えば、電力会社の電力系統である。配電線Lは、例えば、外部の交流電源の交流電力を送電可能に構成される。PCS12は、PCS制御器15を備える。PCS制御器15は、例えば、マイクロコンピュータと、マイクロコンピュータを動作させるプログラムを格納したメモリとを備える。PCS制御器15は、DC/DCコンバータ13とインバータ14を制御するように構成される。第1の制御器は、PCS制御器15の一部によって構成される。第2の制御器は、PCS制御器15の少なくとも一部によって構成される。
【0021】
電力システム10は、配電線Lに送電する電力等を監視できる監視装置16を備えていてもよい。監視装置16は、配電線Lから電力システム10に供給される外部電力も監視できる。
【0022】
電力システム10は、太陽電池11の発電電力を蓄電する蓄電池17を備えていてもよい。蓄電池17は、例えば、太陽電池11とPCS12との間、または、PCS12の内部におけるDC/DCコンバータ13とインバータ14との間、または、PCS12と監視装置16との間に接続される。電力システム10は、蓄電池17への充電および蓄電池17からの放電を制御する蓄電池制御器を備えていてもよい。
【0023】
電力システム10は、電気機器30とは異なる追加電気機器18を備えていてもよい。追加電気機器18は、例えば、交流電力によって動作するように構成される。追加電気機器18には、例えば、PCS12よりも下流側において、太陽電池11の発電電力が供給される。追加電気機器18は、直流電力によって動作するように構成されてもよい。追加電気機器18には、例えば、PCS12のDC/DCコンバータ13とインバータ14との間から太陽電池11の発電電力が供給されてもよい。追加電気機器18の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。追加電気機器18は、電力システム10から取り外し可能に構成されていてもよい。
【0024】
<最大電力点追従制御>
図3に示されるように、太陽電池11の出力電力は、日射量に応じて異なる最大電力点Pを有する。図3は、常温における、太陽電池11の特性を示す。常温は、好ましくは、25度である。図2に示すPCS制御器15は、最大電力点追従制御(MPPT;Maximum power point tracking)を行うように構成される。最大電力点追従制御において、PCS制御器15は、太陽電池11の出力電力が最大になる出力電圧になるようにDC/DCコンバータ13を制御する。例えば、PCS制御器15は、DC/DCコンバータ13を制御することによって、太陽電池11の出力電圧を増加させた場合、DC/DCコンバータ13を通過する電力が増加すると、さらに太陽電池11の出力電圧が増加するようにDC/DCコンバータ13を制御する。PCS制御器15は、DC/DCコンバータ13を制御することによって、太陽電池11の出力電圧を増加させた場合、DC/DCコンバータ13を通過する電力が減少すると、太陽電池11の出力電圧が減少するようにDC/DCコンバータ13を制御する。PCS制御器15は、DC/DCコンバータ13を制御することによって、太陽電池11の出力電圧を減少させた場合、DC/DCコンバータ13を通過する電力が増加すると、さらに太陽電池11の出力電圧が減少するようにDC/DCコンバータ13を制御する。PCS制御器15は、DC/DCコンバータ13を制御することによって、太陽電池11の出力電圧を減少させた場合、DC/DCコンバータ13を通過する電力が減少すると、太陽電池11の出力電圧が増加するようにDC/DCコンバータ13を制御する。DC/DCコンバータ13による太陽電池11の出力電圧の制御によって、太陽電池11の出力電力が最大電力点Pに到達する。
【0025】
PCS制御器15は、DC/DCコンバータ13に代えて、または、加えて、インバータ14を制御することによって、最大電力点追従制御を行ってもよい。例えば、PCS制御器15は、DC/DCコンバータ13の出力電圧およびインバータ14の出力電流の少なくとも1つを制御することによって、太陽電池11の出力電流を増加させた場合、インバータ14を通過する電力が増加すると、さらに太陽電池11の出力電流が増加するようにDC/DCコンバータ13およびインバータ14の少なくとも1つを制御する。PCS制御器15は、DC/DCコンバータ13の出力電圧およびインバータ14の出力電流を制御することによって、太陽電池11の出力電流を増加させた場合、インバータ14を通過する電力が減少すると、太陽電池11の出力電流が減少するようにDC/DCコンバータ13およびインバータ14の少なくとも1つを制御する。
【0026】
<電気機器>
電気機器30は、太陽電池11の発電電力を直流電力または交流電力に変換可能に構成された電力変換器から供給される直流電力または交流電力によって動作するように構成される。電気機器30は、電力変換器から供給される第1直流電力の一部が供給されて動作する。電気機器30には、DC/DCコンバータ13によって電圧を変換された直流電力が供給される。電気機器30には、DC/DCコンバータ13とインバータ14との間から太陽電池11の発電電力である第1直流電力が供給される。太陽電池11の発電電力のうち、電気機器30に供給されなかった電力は、追加電気機器18、蓄電池17、および、配電線Lのうちの少なくとも1つに供給される。
【0027】
電気機器30は、太陽電池11の発電電力が電気機器30の消費電力以上の場合に、太陽電池11の発電電力を用いて動作するように構成されてもよい。電気機器30は、太陽電池11の発電電力が電気機器30の消費電力未満の場合には、他の電源の電力を用いて動作するように構成されてもよい。他の電源は、例えば、配電線Lから供給される交流電源である。電気機器30は、太陽電池11の発電電力と他の電源の電力を合わせた電力を用いて動作するように構成されても良い。
【0028】
電気機器30は、例えば、ヒートポンプを備えたヒートポンプ機器31である。ヒートポンプ機器31は、例えば、太陽電池11が設置された建物Hの居室を温調する空気調和機32である。電力変換器は、太陽電池11の発電電力を直流電力または交流電力に変換して電気機器30に供給可能に構成される。本実施形態では、電気機器30は、太陽電池11の発電電力を電力変換した直流電力を供給されて動作する。
【0029】
電気機器30は、電力消費部33を備える。電力消費部33は、例えば、ヒートポンプ機器31を駆動するモータ33Aを含む。電気機器30は、インバータ34を備える。電力変換器から供給された電力は、インバータ34によって所定の電圧振幅および所定の周波数の交流電力に変換された後、電力消費部33に供給される。
【0030】
電気機器30は、制御器35を備える。制御器35は、例えば、マイクロコンピュータと、マイクロコンピュータを動作させるプログラムを格納したメモリとを備える。制御器35は、例えば、インバータ34を制御するように構成される。
【0031】
<電力検出手段>
電気機器30は、太陽電池11の発電電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された直流電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された交流電力を直接検出する電力検出手段36を備える。電力検出手段36によって検出される太陽電池11の発電電力が電力変換された直流電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された交流電力は、太陽電池11の発電電力と実質的に等しい、または、太陽電池11の発電電力を高精度に推定可能な値である。言い換えると、電力検出手段36は、太陽電池11の発電電力、もしくは、太陽電池11の発電電力と実質的に等しい電力を直接検出するように構成される。
【0032】
電力検出手段36は、例えば、太陽電池11の電力供給経路に設けられる電力センサ19と信号線20によって電気機器30の制御器35と直接接続される。電力検出手段36は、例えば、太陽電池11の電力供給経路に設けられる電力センサ19と信号線20によって電気機器30の制御器35のマイクロコンピュータが搭載された基板と直接接続される。電力検出手段36は、例えば、太陽電池11の電力供給経路に設けられる電力センサ19と信号線20によって電気機器30の制御器35のマイクロコンピュータと直接またはA/D変換回路を介して接続される。電力検出手段36と電気機器30の制御器35との間は、例えば、当該電気機器30以外の制御器を介さずに接続される。当該電気機器30以外の制御器とは、例えば、電気機器30の制御器35のマイクロコンピュータとは別のマイクロコンピュータを動作させることによって、当該電力検出手段36の検出信号を演算処理し、演算処理した結果を出力する制御器である。電力検出手段36は、例えば、電流検出手段36Aおよび電圧検出手段36Bを備える。電流検出手段36Aは、例えば、太陽電池11の電力供給経路に設けられる電流センサ19Aと電流信号線20Aによって電気機器30の制御器35と直接接続される。電圧検出手段36Bは、例えば、太陽電池11の電力供給経路に設けられる電圧センサ19Bと電圧信号線20Bによって電気機器30の制御器35と直接接続される。
【0033】
電流検出手段36Aは、太陽電池11から配電線Lまでの電力供給経路において、太陽電池11の発電電力と実質的に等しい電力が供給される電力供給経路の電流を検出するように設けられる。言い換えると、電流検出手段36Aは、太陽電池11から配電線Lまでの電力供給経路において、太陽電池11から、太陽電池11以外の電源や電気機器30および追加電気機器18などの電気機器が接続される接続点までの電力供給経路の電流を検出するように設けられる。なお、太陽電池11の発電電力に比べて十分に小さい消費電力の電気機器は、省略して考えてもよい。太陽電池11の発電電力に比べて十分に小さい消費電力とは、例えば、太陽電池11の発電電力の1%以下の消費電力である。電圧検出手段36Bは、例えば、太陽電池11の電力供給経路において、電流検出手段36Aが設けられた箇所と実質的に同じ電圧を検出するように設けられる。
【0034】
電気機器30は、太陽電池11の発電電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された直流電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された交流電力の検出信号が入力される信号入力部37を備える。信号入力部37は、例えば、制御器35に設けられる。信号入力部37は、例えば、制御器35を構成する回路基板に設けられる。信号入力部37は、例えば、電流信号入力部37Aおよび電圧信号入力部37Bを備える。電流検出手段36Aは、電流信号入力部37Aを含んで構成される。電圧検出手段36Bは、電圧信号入力部37Bを含んで構成される。
【0035】
<電力センサ>
電力システム10は、電力センサ19と、電力センサ19と電気機器30とを接続する信号線20とを備える。信号線20は、電力センサ19の検出信号を電気機器30に送信する。電力センサ19は、太陽電池11と電力変換器との間、電力変換器の内部、または、電力変換器よりも電力供給の下流に設けられる。電力センサ19は、例えば、電流センサ19Aおよび電圧センサ19Bを備える。
【0036】
電流センサ19Aは、太陽電池11の電力供給経路において、DC/DCコンバータ13とインバータ14との間の電流を検出する。電流センサ19Aは、例えば、DC/DCコンバータ13から出力される電力の電流を検出する。電流センサ19Aは、例えば、DC/DCコンバータ13とインバータ14とを接続する電力線に設けられる。電流信号入力部37Aには、例えば、電流センサ19Aによって検出されたアナログ信号が入力される。
【0037】
電圧センサ19Bは、太陽電池11の電力供給経路において、DC/DCコンバータ13とインバータ14との間の電圧を検出する。電圧センサ19Bは、例えば、電気機器30の内部において、インバータ34に入力される電力の電圧を検出する。電圧信号入力部37Bには、例えば、電圧センサ19Bによって検出されたアナログ信号が入力される。
【0038】
<電力情報取得部>
図4に示されるように、制御器35は、電力情報取得部35Aを備える。電力情報取得部35Aは、例えば、電流センサ19Aから送信されるアナログ信号によって太陽電池11の発電電力の電流を算出し、かつ、電圧センサ19Bから送信されるアナログ信号によって太陽電池11の発電電力の電圧を算出する。制御器35は、算出した太陽電池11の発電電力の電流と、算出した太陽電池11の発電電力の電圧とから太陽電池11の発電電力を算出する。
【0039】
制御器35は、検出した太陽電池11の発電電力によって、電気機器30の消費電力を制御するように構成される。制御器35は、検出した太陽電池11の発電電力によって、例えば、消費電力の変動量の調整、または、日射量による空調能力の調整を行う。制御器35は、消費電力の変動量の調整、および、日射量による空調能力の調整の一方のみを行うように構成されることが好ましい。
【0040】
<消費電力の変動量の調整>
電気機器30は、太陽電池11の発電電力の変動に基づいて、当該電気機器30の消費電力の変動量を調整する。電気機器30は、太陽電池11の発電電力の変動量と当該電気機器30の消費電力の変動量との差が小さくなるよう、当該電気機器30の消費電力を調整する。制御器35は、例えば、太陽電池11による発電電力が低下すると、電気機器30の消費電力を低下させる。制御器35は、例えば、太陽電池11による発電電力が増加すると、電気機器30の消費電力を増加させる。制御器35は、例えば、太陽電池11の発電電力の供給経路において、当該電気機器30以外に供給される電力の変動が小さくなるように、電気機器30の消費電力を調整する。当該電気機器30以外に供給される電力とは、例えば、追加電気機器18、蓄電池17、および、配電線Lのうちの少なくとも1つに供給される電力である。
【0041】
図5に示されるように、電気機器30の消費電力の調整によって、電気機器30の消費電力の経時的な変化が、太陽電池11の発電電力の経時的な変化と一致するように、制御器35は、電気機器30の消費電力を制御する。制御器35は、太陽電池11の発電電力の変動に応じて、電気機器30の消費電力を変化させるように、フィードバック制御を行ってもよく、フィードフォワード制御を行ってもよい。電気機器30の消費電力は、例えば、空気調和機32の空調能力を変更することによって調整されてもよい。電気機器30の消費電力は、例えば、電力消費部33に供給される電力を変更することによって調整されてもよい。電気機器30の消費電力は、例えば、モータ33Aのトルクまたは回転数を変更することによって調整されてもよい。
【0042】
制御器35は、「太陽電池11の発電電力W1の変動量」<「“太陽電池11の発電電力W1”の変動量+“電気機器30の消費電力W2”の変動量」となるように、電気機器30機器の消費電力を調整する。例えば、制御器35は、当該電気機器30以外に供給される電力W3の第1期間における変化量が第1変化量以下になるように、電気機器30の消費電力を制御する。当該電気機器30以外に供給される電力W3は、太陽電池11の発電量W1から電気機器30の消費電力W2を減算した値である。第1変化量は、好ましくは、太陽電池11の発電量W1の第1期間あたりの第2変化量よりも小さい値が設定される。第1変化量は、ゼロであってもよい。
【0043】
制御器35は、「W1-W2>W3」の関係が成立するように、電気機器30の消費電力W2を調整してもよい。この場合、W3は、固定値であってもよく、太陽電池11の所定時間辺りの平均発電量等に応じて変化する値であってもよい。W3は、時刻、季節、および、天候等に応じて設定される値であってもよい。
【0044】
<日射量による空調能力の調整>
空気調和機32は、日射量に基づいて、空調能力を調整する。制御器35は、例えば、日射量に基づいて、空調能力を調整する空調能力調整部35Bを備える。日射量が多い場合、室内の温度は上昇しやすい。日射量が少ない場合、室内の温度は上昇しにくい。空調能力調整部35Bは、例えば、日射量に基づいて、室内の温度がユーザにとって快適な範囲になるように空調能力を制御する。
【0045】
図2に示すPCS制御器15が最大電力点追従制御を行っている場合、図3に示す太陽電池11の特性に基づいて、太陽電池11の発電電力から日射量が推定可能である。図3に示される最大電力点Pは、太陽電池11の動作温度に依存して変化する。したがって、太陽電池11の動作温度を用いることによって、日射量をより精度よく推定できる。空気調和機32は、建物Hの屋外の温度を検出する温度検出手段38を備える。温度検出手段38は、例えば、空気調和機32の室外機に設けられる温度センサ38Aを含む。制御器35は、温度センサ38Aの検出値が入力される温度情報取得部35Cを備える。温度情報取得部35Cは、温度センサ38Aの検出値に基づいて、外気温を算出する。温度センサ38Aによって検出される外気温は、太陽電池11の動作温度として用いることができる。
【0046】
空気調和機32は、電力検出手段36の検出値と、温度検出手段38の検出値とに基づいて、日射量を推定する日射量推定部35Dを備える。日射量推定部35Dは、例えば、制御器35に設けられる。空気調和機32は、日射量推定部35Dの出力に応じて空気調和機32の空調能力を調整する。制御器35は、日射量推定部35Dによって推定される日射量に基づいて、空気調和機32の空調能力を調整する。
【0047】
本実施形態では、空気調和機32は、電力検出手段36の検出値と、温度検出手段38の検出値とに基づいて推定された日射量に基づいて空調能力を調整するが、空気調和機32は、日射量を推定せずに、電力検出手段36の検出値と、温度検出手段38の検出値とに基づいて、空調能力を調整してもよい。
【0048】
日射量推定部35Dは、例えば、数1の式(式1)を用いて日射量を推定する。式1においては、外気温が太陽電池11の動作温度に代替されることによって、常温での太陽電池の発電電力Pstcが算出される。日射量推定部35Dは、式1によって算出されたPstcと、常温における太陽電池11の特性を示す図3のグラフとに基づいて、日射量を推定する。
【0049】
【数1】
【0050】
Pstc:常温での太陽電池11の発電電力[W]
P:太陽電池11の発電電力[W]
α:温度係数[1/℃]
TPV:太陽電池11の動作温度[℃]
Tα:外気温[℃]
【0051】
太陽電池11の発電電力は、日射量に略比例する。このため、日射量推定部35Dは、数2の式(式2)を用いて日射量を推定してもよい。式2においては、Tα+β×Pが太陽電池11の動作温度TPVに代替されることによって、常温での太陽電池11の発電電力Pstcが算出される。日射量推定部35Dは、式2によって算出されたPstcと、常温における太陽電池11の特性を示す図3のグラフとに基づいて、日射量を推定する。式2を用いる場合、式2の分母に含まれる太陽電池11の発電電力Pは、日射量の変動を考慮して、所定期間における太陽電池11の出力電力の平均値を用いてもよい。所定期間は、例えば、10分、30分、または、1時間である。
【0052】
【数2】
【0053】
β:換算係数[℃/W]
【0054】
日射量推定部35Dは、式1または式2に代えて、太陽電池11の発電電力および外気温と、太陽電池11の常温での太陽電池の発電電力Pstcとを関連付けた関連テーブルを用いて、日射量を推定してもよい。日射量推定部35Dは、太陽電池11の発電電力および外気温と、関連テーブルとから、常温での太陽電池11の発電電力を取得し、取得した常温での太陽電池11の発電電力と、常温における太陽電池11の特性を示す図3のグラフとに基づいて、日射量を推定する。関連テーブルは、予め試験等によって測定された測定データに基づいて作成されてもよく、機械学習によるモデルとして作成されてもよい。
【0055】
日射量推定部35Dは、常温での太陽電池11の特性を用いずに、すなわち、常温での太陽電池11の発電電力Pstcを算出せずに、日射量を推定するように構成されてもよい。この場合、日射量推定部35Dは、例えば、Tα+β×Pを太陽電池11の動作温度TPVとして用いて、太陽電池11の動作温度TPVと、予め用意される太陽電池11の特性情報とに基づいて、日射量を推定する。また、日射量推定部35Dは、例えば、外気温を太陽電池11の動作温度TPVとして用いて、太陽電池11の動作温度TPVと、予め用意される太陽電池11の特性情報とに基づいて、日射量を推定してもよい。
【0056】
本実施形態の作用を説明する。
電気機器30とは異なる機器、例えば、PCS12のPCS制御器15、または、監視装置16等によって生成された太陽電池11の発電電力に関する情報が電気機器30に送信される場合、電気機器30は、電力センサによる検出結果の全体を把握できない。また、電気機器30とは異なる機器において太陽電池11の発電電力に関する情報が生成された後に、この情報が電気機器30に送信されると、電気機器30における情報の取得に遅延が生じる。電気機器30は、電力検出手段36によって、太陽電池11の発電電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された直流電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された交流電力を直接検出できる。したがって、電気機器30は、太陽電池11の発電電力を詳細に把握できる。
【0057】
太陽電池11は屋根HRに設けられるため、太陽電池11に電流センサ19Aおよび電圧センサ19Bを設ける場合、信号線20の配線が複雑になるとともに保守がしにくくなる。本実施形態の電流センサ19Aは、PCS12に設けられるとともに、電圧センサ19Bは、電気機器30に設けられる。PCS12は、一般的に屋根HRよりも配線の取り回しを行いやすい建物Hの壁面等に設けられる。したがって、太陽電池11に電流センサ19Aおよび電圧センサ19Bを設ける場合と比較して、電流センサ19Aおよび電圧センサ19Bと電気機器30の制御器35との配線を簡便にできるとともに保守がしやすくなる。
【0058】
本実施形態の電力システム10は、DC/DCコンバータ13とインバータ14との間から、電気機器30および追加電気機器18等の電力を消費する機器等への電力供給が行われていない。このため、電気機器30は、太陽電池11の発電電力を好適に検出できる。
【0059】
本実施形態の効果を説明する。
(1)電気機器30は、太陽電池11の発電電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された直流電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された交流電力を直接検出する電力検出手段36を備えるため、電気機器30が太陽電池11の発電電力を適切に把握できる。
【0060】
(2)電気機器30は、太陽電池11の発電電力を電力変換した直流電力を供給されて動作するため、直流電力によって動作する電気機器30において、太陽電池11の発電電力を適切に把握できる。
【0061】
(3)電気機器30は、電力変換器から供給される第1直流電力の一部が供給されて動作するため、第1直流電力の一部によって動作する電気機器30において、太陽電池11の発電電力を適切に把握できる。
【0062】
(4)電気機器30は、太陽電池11の発電電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された直流電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された交流電力の検出信号が入力される信号入力部37を備えるため、太陽電池11の発電電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された直流電力、もしくは、太陽電池11の発電電力が電力変換された交流電力を好適に取得できる。
【0063】
(5)電気機器30は、太陽電池11の発電電力の変動に基づいて、当該電気機器30の消費電力を調整するため、電気機器30は、太陽電池11の発電電力の変動に応じて、電気機器30の消費電力を変化させられる。
【0064】
(6)電気機器30は、太陽電池11の発電電力の変動量と当該電気機器30の消費電力の変動量との差が小さくなるよう、当該電気機器30の消費電力を調整する。したがって、電気機器30は、太陽電池11の発電電力と当該電気機器30の消費電力との差を小さくできるため、太陽電池11の電力経路において、当該電気機器30以外に供給される電力の変動が小さくなる。太陽光発電の普及によって、太陽光発電による発電量の変動による系統と送受電する電力の変動が大きくなることによって、系統の安定度が低下することが社会問題となりつつある。太陽光発電の発電電力を抑制すると、発電可能な電力を無駄にしてしまう。また、電力変換器のコンデンサ容量を増加すると、電力変換器の大型化を招く。
【0065】
電気機器30は、「太陽電池11の発電電力W1の変動量」<「“太陽電池11の発電電力W1”の変動量+“電気機器30の消費電力W2”の変動量」となるように、電気機器30機器の消費電力を調整するため、発電可能な電力の無駄、および、電力変換器の大型化を抑制できる。
【0066】
(7)電気機器30は、ヒートポンプを備えたヒートポンプ機器31であるため、ヒートポンプ機器31において、太陽電池11の発電電力を適切に把握できる。
【0067】
(8)ヒートポンプ機器31は、太陽電池11が設置された建物Hの居室を温調する空気調和機32であり、空気調和機32は、建物Hの屋外の温度を検出する温度検出手段38を備え、電力検出手段36の検出値と、温度検出手段38の検出値とに基づいて、空調能力を調整するため、空気調和機32は、太陽光発電の発電量と建物Hの屋外の温度とに応じて、空調能力を好適に調整できる。
【0068】
(9)空気調和機32は、電力検出手段36の検出値と、温度検出手段38の検出値とに基づいて、日射量を推定する日射量推定部35Dを備え、日射量推定部35Dの出力に応じて空気調和機32の空調能力を調整するため、空気調和機32は、日射量に応じて、空気調和機32の空調能力を好適に調整できる。
【0069】
(10)電力システム10は、電気機器30と、太陽電池11の発電電力を直流電力または交流電力に変換して電気機器30に供給可能に構成され、電気機器30に直流電力または交流電力を供給する電力変換器と、を備えるため、電力システム10は、太陽電池11の発電電力を適切に把握できる。
【0070】
(12)電力システム10は、太陽電池11と電力変換器との間、電力変換器の内部、または、電力変換器よりも電力供給の下流に設けられる電力センサ19と、電力センサ19と電気機器30とを接続し、電力センサ19の検出信号を電気機器30に送信する信号線20と、を備えるため、電力システム10は、電力センサ19と信号線20とによって太陽電池11の発電電力を適切に把握できる。
【0071】
<変更例>
本開示の電気機器および電気機器を備える電力システムは、上記各実施の形態以外に、例えば以下に示される変更例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例を組み合わせた形態としてもよい。
【0072】
図6に示されるように、電流センサ19Aは、太陽電池11の電力供給経路において、太陽電池11とDC/DCコンバータ13との間の電流を検出するように構成され、かつ、電圧センサ19Bは、太陽電池11の電力供給経路において、太陽電池11とDC/DCコンバータ13との間の電圧を検出するように構成されてもよい。図6の電流センサ19Aは、例えば、太陽電池11から出力される電力の電流を検出する。図6の電流センサ19Aは、例えば、太陽電池11とDC/DCコンバータ13とを接続する電力線に設けられる。図6の電圧センサ19Bは、例えば、DC/DCコンバータ13へ入力される電力の電圧を検出する。図6の電圧センサ19Bは、例えば、太陽電池11とDC/DCコンバータ13とを接続する電力線に設けられる。図6の電力システム10によれば、太陽電池11の発電電力の供給経路において、電力変換器よりも上流側で太陽電池11の出力を直接検出するので、電力変換器の動作による影響を受けずに、より高速に正確な太陽電池11の発電電力に関する情報を検出できる。図6の電力システム10によれば、電力変換器が最大電力点追従制御をしていない場合であっても、太陽電池11の特性から日射量を推定できる。
【0073】
図7に示されるように、蓄電池17が、太陽電池11と電力変換器との間に接続される場合、電流センサ19Aは、太陽電池11の電力供給経路において、太陽電池11と蓄電池17との間の電流を検出するように構成されてもよい。電圧センサ19Bは、太陽電池11の電力供給経路において、蓄電池17とDC/DCコンバータ13との間の電圧を検出するように構成される。図7において、電圧センサ19Bは、太陽電池11の電力供給経路において、太陽電池11と蓄電池17との間の電圧を検出するように構成されてもよい。
【0074】
図7に示す変更例において、電気機器30が、DC/DCコンバータ13とインバータ14との間に接続されてもよい。この場合、電気機器30は、蓄電池17である直流電源から供給される第2直流電力と第1直流電力とを合わせた直流電力が供給されて動作する。直流電源は、太陽電池11とは別の電源であれば、蓄電池17に限らない。例えば、直流電源は、配電線Lから供給される交流電源の交流電力を電力変換した直流電力であってもよい。
【0075】
図8に示されるように、太陽電池11の電力供給経路において、電気機器30がPCS12よりも下流に接続される場合、電流センサ19Aは、太陽電池11から配電線Lまでの電力供給経路において、PCS12から電気機器30が接続される接続点までの間の電流を検出し、かつ、電圧センサ19Bは、PCS12と電気機器30との間の電圧を検出するように構成されてもよい。図8の電流センサ19Aは、例えば、PCS12から出力される電力の電流を検出する。図8の電圧センサ19Bは、例えば、PCS12から出力される電力の電圧を検出する。図8の電気機器30は、PCS12から供給される第1交流電力の一部、または、交流電源から供給される第2交流電力と第1交流電力を合わせた交流電力が供給されて動作する。
【0076】
図9に示されるように、太陽電池11の電力供給経路において、電気機器30がPCS12よりも下流に接続される場合、電流センサ19Aは、太陽電池11から配電線Lまでの電力供給経路において、太陽電池11とPCS12との間の電流を検出するように構成され、かつ、電圧センサ19Bは、太陽電池11から配電線Lまでの電力供給経路において、太陽電池11とPCS12との間の電圧を検出するように構成されてもよい。図9の電流センサ19Aは、例えば、太陽電池11から出力される電力の電流を検出する。図9の電流センサ19Aは、例えば、太陽電池11とPCS12とを接続する電力線に設けられる。図9の電圧センサ19Bは、例えば、PCS12へ入力される電力の電圧を検出する。図9の電圧センサ19Bは、例えば、太陽電池11とPCS12とを接続する電力線に設けられる。
【0077】
・電流信号入力部37Aには、例えば、電流センサ19Aによって検出されたデジタル信号が入力されてもよい。この場合、例えば、電流センサ19Aは、センサ素子と、センサ素子によって検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータとを含む。A/Dコンバータによって変換されたデジタル信号は、電流信号入力部37Aに直接入力される。
【0078】
・電圧信号入力部37Bには、例えば、電圧センサ19Bによって検出されたデジタル信号が入力されてもよい。この場合、例えば、電圧センサ19Bは、センサ素子と、センサ素子によって検出されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータとを含む。A/Dコンバータによって変換されたデジタル信号は、電圧信号入力部37Bに直接入力される。
【0079】
・太陽電池11の電力供給経路において、太陽電池11とPCS12との間の電流を検出するように構成して、日射量を推定する日射量推定部35Dを備えた空気調和機32の場合、数3の式(式3)を用いて日射量を推定しても良い。式3においては、Tα+γ×Ipvが太陽電池11の動作温度TPVに代替されることによって、常温での太陽電池11の発電電力Pstcが算出される。この場合、太陽電池11の出力電流Ipvは、日射量の変動を考慮して、所定期間における太陽電池11の出力電力の平均値を用いてもよい。所定期間は、例えば、10分、30分、または、1時間である。
【0080】
【数3】
【0081】
Ipv:太陽電池11の出力電流[A]
γ:換算係数[℃/A]
【0082】
・以上、電気機器および電気機器を備える電力システムの実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された電気機器および電気機器を備える電力システムの趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0083】
H…建物
10…電力システム
11…太陽電池
12…PCS(電力変換器)
19…電力センサ
20…信号線
30…電気機器
31…ヒートポンプ機器
32…空気調和機
35D…日射量推定部
36…電力検出手段
37…信号入力部
38…温度検出手段
【要約】
【課題】太陽電池の発電量を正確に把握できる電気機器および電気機器を備える電力システムを提供する。
【解決手段】電気機器(30)は、太陽電池(11)の発電電力を直流電力または交流電力に変換可能に構成された電力変換器(12)から供給される直流電力または交流電力によって動作するように構成される。電気機器(30)は、太陽電池(11)の発電電力、もしくは、太陽電池(11)の発電電力が電力変換された直流電力または交流電力を直接検出する電力検出手段(36)を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9