(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ナノ構造複合半透膜
(51)【国際特許分類】
B01D 69/12 20060101AFI20231018BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20231018BHJP
B01D 71/40 20060101ALI20231018BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20231018BHJP
C08F 120/36 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B01D69/12
B01D69/02
B01D71/40
B01D69/10
C08F120/36
(21)【出願番号】P 2020538401
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2019032418
(87)【国際公開番号】W WO2020040129
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2018154271
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度 国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆史
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル クオ
(72)【発明者】
【氏名】片山 浩之
(72)【発明者】
【氏名】リウ ミャオミャオ
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221482(JP,A)
【文献】特開2008-291213(JP,A)
【文献】特開2002-358821(JP,A)
【文献】特開2011-255255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 69/12
B01D 69/02
B01D 71/40
B01D 69/10
C08F 120/36
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微多孔性支持膜と高分子化された液晶薄膜からなる複合半透膜であって、該高分子化された液晶がスメクチック構造を呈することを特徴とする、水処理用の複合半透膜
であって、
前記高分子化された液晶が、一般式(I)で表される化合物の少なくとも1つを高分子化して得られたものである、当該複合半透膜。
【化1】
(一般式(I)において、
R
1
は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
R
2
は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
R
3
は、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基又は水素原子であり、
Xは、存在する場合は、酸素原子又は-CH
2
O-であり、
Yは、存在する場合は、酸素原子又は-CH
2
O-であり、
nは、1~2の整数であり、
mは、1~12の整数であり、
sは、1~12の整数であり、
Lは、陽イオン性基、陰イオン性基又は中性基である。)
【請求項2】
前記陽イオン性基が、以下の式(1)~(3)のいずれかで表される、請求項
1に記載の水処理用の複合半透膜。
【化2】
(式(1)において、
R
4、R
5及びR
6は、同一でも異なっていてもよく、(CH
2)
k-1CH
3、(CF
2)
k-1CF
3、(CH
2)
g(CF
2)
k-1CF
3または(CH
2CH
2O)
gCH
3であり、またkおよびgは、R
4、R
5及びR
6において、同一でも異なっていてもよく、ここで、gは1~8の整数、kは1~8の整数であり、
X
-は、Cl
-、Br
-、I
-、F
-、BF
4
-、PF
6
-、CF
3SO
3
-および(CF
3SO
2)
2N
-のいずれかである。)
【化3】
(式(2)において、
R
7は、炭素数1~6の直鎖又は分岐のアルキル基であり、
X
-は、式(1)において定義した通りである。)
【化4】
(式(3)において、X
-は、式(1)において定義した通りである。)
【請求項3】
前記陰イオン性基が、-Bz-O
-Y
n+(Bzは、ベンゼン環を表す)、-SO
3
-Y
n+、-COO
-Y
n+、-O-CO
-=C(CN)
2・Y
n+、又は-SO
2-N
--SO
2-CF
3・Y
n+(ここで、Y
n+は、金属イオン又はアンモニウムイオンである)のいずれかで表される、請求項
1に記載の水処理用の複合半透膜。
【請求項4】
前記中性基が、以下の式(4)で表される、請求項
1に記載の水処理用の複合半透膜。
(式(4)において、tは1~6の整数である。)
【請求項5】
微多孔性支持膜と高分子化された液晶薄膜からなる複合半透膜であって、該高分子化された液晶がスメクチック構造を呈することを特徴とする、水処理用の複合半透膜であって、前記高分子化された液晶が、一般式(I)で表される少なくとも1種のモノマーに由来する繰り返し単位を有する、
当該複合半透膜。
【化5】
(一般式(I)において、
R
1は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
R
2は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
R
3は、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基又は水素原子であり、
Xは、存在する場合は、酸素原子又は-CH
2O-であり、
Yは、存在する場合は、酸素原子又は-CH
2O-であり、
nは、1~2の整数であり、
mは、1~12の整数であり、
sは、1~12の整数であり、
Lは、陽イオン性基、陰イオン性基又は中性基である。)
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
水中の有害物や病原体(例えば、病原性ウィルス)を除去・無害化する手法には、ろ過や沈殿によって対象を物理的に分離する手法と、薬剤や紫外線によって対象の化学構造を変化させる手法の2つに大別できる。
有害物をろ過する手法は、化学反応による有害な副生物の発生や、薬剤や紫外線に対する病原体の耐性の問題(例えば、ノロウイルスは飲料水用の塩素消毒に対する耐性があり、失活しない)がないという長所がある。他方、この方法には、サイズの小さいろ過対象の除去が困難であるという短所があった。
【0002】
現在、ウイルス等のナノ粒子をろ過により除去するための膜として、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜が用いられているが、なかでもナノろ過膜及び逆浸透膜は、膜に含まれる孔が小さいため、より信頼性の高いウイルス除去が可能となる。
また、ナノろ過膜および逆浸透膜の形態としては、膜に物理的強度を与える微多孔性支持膜と、実質的な分離性能を与える分離機能層とからなる複合半透膜が主流となっており、微多孔性支持膜および分離機能層についてそれぞれ最適な素材を選択できる利点がある。
【0003】
ウイルス等の対象を十分に除去する性能を与える分離機能層の素材としては、透水性と除去物質の分離性を両立するために、均一な透水流路となる孔を有することが好ましい。液晶分子は自己組織化によって規則的な周期構造を形成するため、この特性を利用することで均一な大きさの孔を有する高性能な分離膜の作製が可能であると考えられる。
【0004】
特許文献1、特許文献2には液晶を分離機能層に用いた分離膜が開示されている。また、特許文献3には、双連続キュービック液晶構造を呈することを特徴とする複合半透膜が開示されており、透水性、分離性の改善が図られている。
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示された分離膜は透水性あるいは分離性能が低いために水処理用の分離膜として実用的なものではなかった。また、特許文献3に開示された複合半透膜に対しても更なる性能の向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2004/060531号
【文献】米国特許出願公開第2009/173693号明細書
【文献】特開2011-255255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、透水性及び分離性の高い複合半透膜を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、より確実な(例えば、99.99%以上)ウイルス除去を可能とする水処理用の複合半透膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の液晶を用いた水処理用分離膜として、双連続キュービック液晶構造やカラムナー液晶構造を利用した複合半透膜が報告されているが、透水性あるいは分離機能について性能の向上が求められる状況であった。本発明者らは、スメクチック構造を有する高分子化された液晶を用いることにより、親水部を層状にすることで透水部位が増大し、孔サイズの均一性を確保できることを知見して検討した結果、ウイルス等のナノ粒子に対して高い分離性を示す複合半透膜を提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、
[1]微多孔性支持膜と高分子化された液晶薄膜からなる複合半透膜であって、該高分子化された液晶がスメクチック構造を呈することを特徴とする、水処理用の複合半透膜。
[2]前記高分子化された液晶が、一般式(I)で表される化合物の少なくとも1つを高分子化して得られたものであることを特徴とする、[1]に記載の水処理用の複合半透膜。
【化1】
(一般式(I)において、
R
1は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
R
2は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
R
3は、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基又は水素原子であり、
Xは、存在する場合は、酸素原子又は-CH
2O-であり、
Yは、存在する場合は、酸素原子又は-CH
2O-であり、
nは、1~2の整数であり、
mは、1~12の整数であり
sは、1~12の整数であり、
Lは、陽イオン性基、陰イオン性基又は中性基である。)
[3]前記陽イオン性基が、以下の式(1)~(3)のいずれかで表される、[2]に記載の水処理用の複合半透膜。
【化2】
(式(1)において、
R
4、R
5及びR
6は、同一でも異なっていてもよく、(CH
2)
k-1CH
3、(CF
2)
k-1CF
3、(CH
2)
g(CF
2)
k-1CF
3または(CH
2CH
2O)
gCH
3であり、またkおよびgは、R
4、R
5及びR
6において、同一でも異なっていてもよく、ここで、gは1~8の整数、kは1~8の整数であり、
X
-は、Cl
-、Br
-、I
-、F
-、BF
4
-、PF
6
-、CF
3SO
3
-および(CF
3SO
2)
2N
-のいずれかである。)
【化3】
(式(2)において、
R
7は、炭素数1~6の直鎖又は分岐のアルキル基であり、
X
-は、式(1)において定義した通りである。)
【化4】
(式(3)において、X
-は、式(1)において定義した通りである。)
[4]前記陰イオン性基が、-Bz-O
-Y
n+(Bzは、ベンゼン環を表す)、-SO
3
-Y
n+、-COO
-Y
n+、-O-CO
-=C(CN)
2・Y
n+、又は-SO
2-N
--SO
2-CF
3・Y
n+(ここで、Y
n+は、金属イオン又はアンモニウムイオンである)のいずれかで表される、[2]に記載の水処理用の複合半透膜。
[5]前記中性基が、以下の式(4)で表される、[2]に記載の水処理用の複合半透膜。
【化5】
(式(4)において、tは1~6の整数である。)
を、提供するものである。
[6]前記高分子化された液晶が、一般式(I)で表される少なくとも1種のモノマーに由来する繰り返し単位を有する、請求項1に記載の水処理用の複合半透膜。
【化6】
(一般式(I)において、
R
1は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
R
2は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
R
3は、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基又は水素原子であり、
Xは、存在する場合は、酸素原子又は-CH
2O-であり、
Yは、存在する場合は、酸素原子又は-CH
2O-であり、
nは、1~2の整数であり、
mは、1~12の整数であり、
sは、1~12の整数であり、
Lは、陽イオン性基、陰イオン性基又は中性基である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明により、透水性及び分離性の高い複合半透膜を提供することが可能である。特に、本発明により、従来技術に比べてより確実なウイルス除去を可能とする水処理用の複合半透膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】実施例1及び比較例1の液晶膜のウイルス阻止率と膜透過流束の時間変化の比較
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の複合半透膜は、微多孔性支持膜と高分子化された液晶薄膜により構成され、該高分子化された液晶薄膜が該微多孔性支持膜上に被覆して設けられたものである。
【0013】
微多孔性支持膜
本発明において微多孔性支持膜は、実質的にウィルス等のナノ粒子の分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。本発明に用いる微多孔性支持膜の表面の孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一な細孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きくなる細孔を持ち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが1nm以上100nm以下であるような支持膜が好ましい。微多孔性支持膜表面の細孔径がこの範囲であれば、得られる複合半透膜が高い透水性を有し、かつ加圧運転中に分離機能層が微多孔性支持膜の孔内に落ち込むことなく構造を維持できる。
【0014】
微多孔性支持膜の厚みは、1μm~5mmの範囲内にあることが好ましく、10~100μmの範囲内にあることがより好ましい。厚みが小さいと微多孔性支持膜の強度が低下しやすく、その結果、複合半透膜の強度が低下する傾向にある。厚みが大きいと微多孔性支持膜およびそれから得られる複合半透膜を曲げて使うときなどに取り扱いにくくなる。
また、複合半透膜の強度を上げるため、微多孔性支持膜は布、不織布、紙などで補強されていてもよい。これら補強する材料の好ましい厚みは50~150μmである。
【0015】
微多孔性支持膜に用いる素材は特に限定されない。たとえばポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニル系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポリマーが使用できる。これらのポリマーを単独で、またはブレンドして用いることができる。上記のうち、セルロース系ポリマーとしては、酢酸セルロース、硝酸セルロースなどが例示される。ビニル系ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが好ましいものとして例示される。中でも、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーやコポリマーが好ましい。さらに、これらの素材の中でも、化学的安定性、機械的強度、熱安定性が高く、成型が容易であるポリスルホン、ポリエーテルスルホンを用いることが特に好ましい。
【0016】
高分子化された液晶薄膜
本発明の分離機能層は、複合半透膜において実質的に分離性能を有する層であって、高分子化された液晶薄膜により形成される。
【0017】
本発明における高分子化された液晶薄膜は、高分子化された液晶がスメクチック構造を呈することを特徴とする。
従来の液晶を用いた水処理用分離膜として、双連続キュービック液晶構造やカラムナー液晶構造を利用した複合半透膜が報告されているが、親水部の割合が十分でなく、また、透水性あるいは分離機能について性能の向上が求められていた。本発明においては、スメクチック構造を有する高分子化された液晶を用いることにより、親水部を層状にすることで透水部位が増大することによりウイルス等のナノ粒子に対する高い分離性を付与することができる。更に、親水部の面積を増大させることにより単位時間当たりの水処理量(膜透過流束)を増大させることが可能となる(
図1及び
図2参照)。
【0018】
本発明の水処理用の複合半透膜の好ましい実施態様においては、高分子化された液晶が、一般式(I)で表される化合物の少なくとも1つを高分子化して得られたものである。
【0019】
【0020】
一般式(I)において、R1は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基等である。
【0021】
一般式(I)において、R2は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基等である。
【0022】
本発明の1つの側面においては、R1及びR2の置換基は存在せず、一般式(I)のベンゼン環はいずれも無置換のベンゼン環である。
【0023】
一般式(I)において、R3は、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基、又は水素原子であり、好ましくは、メチル基である。
【0024】
一般式(I)において、Xは、存在する場合は、酸素原子又は-CH2O-であり、好ましくは、酸素原子である。
また、本発明の1つの側面においては、Xは存在せずに、-(CH2)m-の基はベンゼン環に直接結合する。
【0025】
一般式(I)において、Yは、存在する場合は、酸素原子又は-CH2O-であり、好ましくは、酸素原子である。
また、本発明の1つの側面においては、Yは存在せずに、-(CH2)s-の基はベンゼン環に直接結合する。
【0026】
一般式(I)において、nは、1~2の整数であり、好ましくは1である。
【0027】
一般式(I)において、mは、1~12の整数であり、好ましくは2~8の整数である。
【0028】
一般式(I)において、sは、1~12の整数であり、好ましくは2~8の整数である。
【0029】
一般式(I)において、Lは、陽イオン性基、陰イオン性基又は中性基である。
【0030】
一般式(I)における陽イオン性基としては、好適には、以下の式(1)~(3)のいずれかで表される。
【化8】
【0031】
式(1)において、R4、R5及びR6は、同一でも異なっていてもよく、(CH2)k-1CH3、(CF2)k-1CF3、(CH2)g(CF2)k-1CF3または(CH2CH2O)gCH3であり、またkおよびgは、R4、R5及びR6において、同一でも異なっていてもよく、ここで、gは1~8の整数、kは1~8の整数である。
【0032】
また、式(1)において、X-は、Cl-、Br-、I-、F-、BF4
-、PF6
-、CF3SO3
-および(CF3SO2)2N-のいずれかである。)
【0033】
【0034】
式(2)において、R7は、炭素数1~6の直鎖又は分岐のアルキル基であり、好ましくは、メチル基である。
【0035】
式(2)において、X
-は、式(1)において定義した通りである。)
【化10】
【0036】
式(3)において、X-は、式(1)において定義した通りである。
【0037】
本発明の好ましい1つの側面において、陽イオン性基は式(2)で表される陽イオン性基である。
【0038】
一般式(I)における陰イオン性基は、好適には、-SO3
-Yn+、-COO-Yn+、-O-CO-=C(CN)2・Yn+、又は-SO2-N--SO2-CF3・Yn+(ここで、Yn+は、金属イオン又はアンモニウムイオンである)のいずれかで表される。
【0039】
一般式(I)における中性基は、好適には、以下の式(4)で表される。
【化11】
【0040】
式(4)において、tは1~6の整数である。
【0041】
一般式(I)の化合物は、1種を単独で用いて高分化してもよく、2種以上を組み合わせて用いて高分子化してもよい。
【0042】
本発明のもう1つの実施態様は、高分子化された液晶が、一般式(I)で表される少なくとも1種の化合物(モノマー)に由来する繰り返し単位を有する、水処理用の複合半透膜である。
【化12】
【0043】
ここで、R1、R2、R3、X、Y、n、m、s、Lは、上記した実施態様(即ち、高分子液晶が、一般式(I)で表される化合物の少なくとも1つを高分子化して得られたもの)で詳述したのと同様である。
【0044】
高分子化された液晶の分子量の範囲に特に制限はないが、構造的安定性の観点から数平均分子量が、1万以上、好ましくは数万以上であることが望ましい。また、高分子化された液晶の分子量分布には特に制限はない。
【0045】
本発明の複合半透膜における高分子化された液晶薄膜の厚みは5~500nmの範囲内にあることが好ましい。液晶薄膜の厚みの下限としてはより好ましくは10nmであり、上限としてより好ましくは200nmである。液晶薄膜を薄膜化することによりクラックが入りにくくなり、クラックで発生する膜の欠陥による溶質除去性能の低下を回避できる。さらにそのように薄膜化した液晶薄膜は高い透水性を有する。
【0046】
一般式(I)及び式(1)~式(4)の構造式から明らかなように、一般式(I)で表される化合物は高極性部位と低極性部位とを分子内に併せ持っている。相分離によってそれぞれの部位が連続的に分子間で連結され、スメクチック液晶構造が形成される。高極性部位の連結により親水性の透水流路が形成され、低極性部位の連結により疎水性の透水流路の隔壁となる部分が形成される。
【0047】
一般式(I)で表される化合物は、参考文献2(K. Hoshino, M. Yoshino, T. Mukai, K. Kishimoto, H. Ohno and T. Kato, J. Polym. Sci. A: Polym. Chem. 41, 3486-3492 (2003))に記載されている方法、およびそれに類似した手法により調製することができる。ただし、合成手法はそれらに限定されるものではなく、また、本発明内容に合成手法が影響を与えるものではない。
【0048】
ここで、
図3はスメクチック液晶構造を示す図である。
本発明において、高分子化された液晶薄膜はスメクチック構造を呈する。スメクチック構造は層状集合体(ラメラ)の形成を特徴とする構造であり、本発明では液晶を高分子化させたスメクチック液晶構造である。
【0049】
高極性部位が集合して形成する層が分子やイオンの伝導チャネルとして機能する場合、疎水性部位が形成する層は伝導チャネルの周囲を覆い、安定化する層として機能する。
【0050】
スメクチック液晶構造に関する記載のある文献として、参考文献1(特開2002-358821号公報)、参考文献2(K. Hoshino, M. Yoshino, T. Mukai, K. Kishimoto, H. Ohno and T. Kato, J. Polym. Sci. A: Polym. Chem. 41, 3486-3492 (2003))、参考文献3(C. Tschierske, J. Mater. Chem. 11, 2647-2671 (2001))、参考文献4(「液晶便覧」,pp.12-18,液晶便覧編集委員会編,丸善(2000))などが挙げられる。
【0051】
次に、本発明の複合半透膜の製造方法について説明する。
分離機能層である高分子化された液晶薄膜を微多孔性支持膜上に形成するために例示される方法は、微多孔性支持膜上に液晶薄膜を形成する工程と液晶を重合して高分子化する工程を含む。
【0052】
微多孔性支持膜上に液晶薄膜を形成する方法は特に限定されない。例えば、液晶溶液を微多孔性支持膜上に塗布後、溶媒を除去する方法、剥離性基材上に形成した液晶薄膜を微多孔性支持膜上へ転写する方法などが挙げられる。
【0053】
液晶溶液を微多孔性支持膜上に塗布する方法は特に限定されないが、均一に塗布できる方法が好ましく、例えば、液晶溶液をスピンコーター、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、ロールコーター、スプレーなどの装置を用いて塗布する方法が挙げられる。液晶溶液の溶媒としては、微多孔性支持膜を溶解せず、液晶および必要に応じて添加される重合開始剤を溶解するものであれば、特に限定されない。液晶溶液の溶媒除去は公知の方法により可能であり、特に限定されるものではないが、液晶の自己組織化を妨げないように加熱や減圧によって十分に除去することが好ましい。
【0054】
剥離性基材上での液晶薄膜の形成は公知の方法により可能であり、特に限定されるものではないが、液晶溶液を剥離性基材上に塗布後、溶媒を除去する方法が好ましく用いられる。この方法では、液晶濃度等の塗布条件により液晶薄膜の膜厚を容易に制御することができる。該剥離性基材としては、ガラス、金属、シリコンウェハ、高分子等の材料が特に限定されることなく使用できる。また、必要に応じて、シリコンコートやコロナ放電等により表面処理された剥離性基材を用いることもできる。液晶溶液を剥離性基材上に塗布する方法は特に限定されないが、均一に塗布できる方法が好ましく、例えば、液晶の溶液をスピンコーター、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、ロールコーター、スプレーなどの装置を用いて塗布する方法が挙げられる。液晶溶液の溶媒としては、剥離性基材を溶解せず、液晶および必要に応じて添加される重合開始剤を溶解するものであれば、特に限定されない。液晶溶液の溶媒除去は公知の方法により可能であり、特に限定されるものではないが、液晶の自己組織化を妨げないように加熱や減圧によって十分に除去することが好ましい。
【0055】
つづいて、剥離性基材上に形成した液晶薄膜の表面と微多孔性支持膜の表面を接触させてから、液晶を重合して高分子化した後、剥離性基材を剥離することにより、目的とする複合半透膜が得られる。
【0056】
液晶を重合して高分子化する方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射などが挙げられる。ここで電磁波とは赤外線、紫外線、X線、γ線などを含む。重合方法は適宜最適な選択をすればよいが、ランニングコスト、生産性などの点から電磁波照射による重合が好ましい。電磁波の中でも赤外線照射や紫外線照射が簡便性の点からより好ましい。実際に赤外線または紫外線を用いて重合を行う際、これらの光源は選択的にこの波長域の光のみを発生する必要はなく、これらの波長域の電磁波を含むものであればよい。しかし、重合時間の短縮、重合条件の制御し易さなどの点から、これらの電磁波の強度がその他の波長域の電磁波に比べ高いことが好ましい。
【0057】
電磁波は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、UVランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、希ガス蛍光ランプ、水銀灯などを用いて発生させることができる。電磁波のエネルギーは重合が進行するものであれば特に制限されないが、装置及び取り扱いの簡便さから紫外線を用いることが好ましい。本発明に係る分離機能層の厚み、形態はそれぞれの重合条件によっても大きく変化することがあり、電磁波による重合であれば電磁波の波長、強度、被照射物との距離、処理時間により変化することがある。そのためこれらの条件は適宜最適化を行う必要がある。特に、反応温度は液晶の秩序構造を維持するために重要な因子であり、液晶の構造に応じて液晶相を呈する温度範囲内に制御する必要がある。
【0058】
本発明の製造方法においては、重合反応速度を高める目的で液晶に重合開始剤、重合促進剤等を添加することが好ましい。ここで、重合開始剤、重合促進剤とは特に限定されるものではなく、液晶の構造、重合手法などに合わせて適宜選択されるものである。
【0059】
重合開始剤としては、使用する溶媒に溶解するものであれば、公知のものを特に制限無く用いることができる。例えば、電磁波による重合の開始剤としては、ベンゾインエーテル、ジアルキルベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、アシルホスフィンオキシドもしくはビスアシルホスフィンオキシド、α-ジケトン(例えば、9,10-フェナントレンキノン)、ジアセチルキノン、フリルキノン、アニシルキノン、4,4’-ジクロロベンジルキノンおよび4,4’-ジアルコキシベンジルキノン、およびショウノウキノンが例示される。熱による重合の開始剤としては、アゾ化合物(例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)もしくはアゾビス-(4-シアノバレリアン酸)、または過酸化物(例えば、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、過オクタン酸tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチルもしくはジ-(tert-ブチル)ペルオキシド)、さらに芳香族ジアゾニウム塩、ビススルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アルキルリチウム、クミルカリウム、ナトリウムナフタレン、ジスチリルジアニオンなどが例示される。熱による重合の開始剤のなかでもベンゾピナコールおよび2,2’-ジアルキルベンゾピナコールは、ラジカル重合のための開始剤として特に好ましい。
【0060】
過酸化物およびα-ジケトンは、開始反応を加速するために、好ましくは、芳香族アミンと組み合わせて使用される。この組み合わせはレドックス系とも呼ばれる。このような系の例としては、過酸化ベンゾイルまたはショウノウキノンと、アミン(例えば、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジン、p-ジメチル-アミノ安息香酸エチルエステルまたはその誘導体)との組み合わせである。さらに、過酸化物を、還元剤としてのアスコルビン酸、バルビツレートまたはスルフィン酸と組み合わせて含有する系もまた好ましい。
【0061】
重合開始剤の添加量は、多すぎると液晶の自己組織化を阻害してしまうため、液晶に対して5重量%以下であることが好ましい。
【0062】
このようにして得られた複合半透膜はこのままでも使用できるが、使用する前に例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させることが好ましい。
【0063】
上記の方法により形成される本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
【0064】
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
【0065】
流体分離装置の操作圧力は高い方が塩阻止率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、0.1MPa以上、10MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると塩阻止率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
【0066】
本発明の複合半透膜によって処理される原水としては、水道水、海水、かん水、河川水、湖沼水、地下水、排水等の101~108PFU(プラーク形成ユニット)/mLのウイルスを含有する液状混合物が挙げられる。
また、本発明の複合半透膜によって処理される原水には、101~108PFU(プラーク形成ユニット)/mLのウイルスを含有する、バイオ医薬品(治療用プロテイン、抗体、ホルモンなどを含有する)、水性乾燥剤溶液、細胞培養バイオリアクターのための液体媒体等も含まれる。
本発明の複合半透膜が阻止対象とするウイルスの種類は特に限定されず、病原性のウイルス(例えば、ノロウイルス、アイチウイルス、C型肝炎ウイルス等)、非病原性のウイルス(バクテリオファージQβ、バクテリオファージMS2等)が挙げられる。
【実施例】
【0067】
以下において実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0068】
実施例および比較例における膜の特性は、複合半透膜を用いたウイルスの阻止率を測定することにより評価した。阻止対象となるウイルスは、バクテリオファージQβを用いた。バクテリオファージQβは直径25ナノメートルの球に近い形をした大腸菌に感染する非病原性のウイルスである。ウイルスの濃度はプラーク法により測定した。ウイルス阻止能は、濃度1.0×107 PFU/mLの供給水(PFU:ウイルスの濃度単位(プラーク形成ユニット))を、温度25℃、操作圧力0.3MPaで供給して膜ろ過処理を行い、透過水、供給水の水質を測定し、下記式により塩阻止率と膜透過流束を算出することにより求めた。膜のウイルス阻止率は高い方がよりウイルス濃度の低いが水が得られ、膜透過流束も高い方が低エネルギーで透過水が得られるため、双方とも高い値を両立する膜が実用上優れた膜である。
(ウイルス阻止率 (LRV))
ウイルス阻止率(LRV)=Log10(供給水中のウイルス濃度/透過水中のウイルス濃度)
ウイルス阻止率(LRV)=4であれば、透過水中のウイルス濃度は、供給水の濃度の10000分の1になっている。
(膜透過流束)
膜透過流束(m3/m2/日)=1日あたりの透過水量/膜面積
【0069】
(実施例1)
ポリエステル不織布上にポリスルホンの15.7重量%ジメチルホルムアミド溶液を200μmの厚みで、室温(25℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって微多孔性支持膜を作製した。
表1に液晶構造を示した化合物の化合物構造、液晶構造を示した温度範囲、その温度範囲で示した液晶構造を表す。表1中の化合物1を1.0重量%、2,2-ジメソキシ-2-フェニルアセトフェノン0.01重量%を含むクロロホルム溶液をスピンコートによって剥離性基材であるシリコンでコートされたPETフィルム上に塗布した後、真空乾燥して液晶薄膜を形成した。得られた液晶薄膜を100℃に昇温して、液晶薄膜表面に微多孔性支持膜表面を接触させた後、60℃に降温し、波長365nmの紫外線を剥離性基材側から10分間照射して液晶薄膜を高分子化した。得られた複合物から剥離性基材を剥離し、目的とする複合半透膜を作製した。
このようにして得られた複合半透膜の塩阻止率、膜透過流束を測定した結果、表2に示す値が得られた。
【0070】
(実施例2)
表1中の化合物1を1.0重量%、2,2-ジメソキシ-2-フェニルアセトフェノン0.01重量%を含むクロロホルム溶液をスピンコートによって剥離性基材であるシリコンでコートされたPETフィルム上に塗布した後、乾燥して液晶薄膜を形成した。得られた液晶薄膜を100℃に昇温して、液晶薄膜表面に微多孔性支持膜表面を接触させた後、90℃に降温し、波長365nmの紫外線を剥離性基材側から10分間照射して液晶薄膜を高分子化した。得られた複合物から剥離性基材を剥離し、目的とする複合半透膜を作製した。
このようにして得られた複合半透膜の塩阻止率、膜透過流束を測定した結果、表2に示す値が得られた。
【0071】
(比較例1)
表1中の化合物3を1.0重量%、2,2-ジメソキシ-2-フェニルアセトフェノン0.01重量%を含むクロロホルム溶液をスピンコートによって剥離性基材であるシリコンでコートされたPETフィルム上に塗布した後、真空乾燥して液晶薄膜を形成した。得られた液晶薄膜を80℃に昇温して、液晶薄膜表面に微多孔性支持膜表面を接触させた後、15℃に降温し、波長365nmの紫外線を剥離性基材側から10分間照射して液晶薄膜を高分子化した。得られた複合物から剥離性基材を剥離し、目的とする複合半透膜を作製した。
このようにして得られた複合半透膜のウイルス阻止率、膜透過流束を測定した結果、表2に示す値が得られた。
【0072】
【0073】
【0074】
また、実施例1のスメクチック液晶膜(SmA1)と比較例1のキュービック液晶膜(Cubic)について、供給水を所定時間継続して供給した場合のウイルス阻止率と膜透過流束の時間変化を
図4に示す。
図4において、左側の縦軸はウイルス阻止率を右側の縦軸は膜透過流束(L/m
2/時)を示す。
図1から、実施例の1のスメクチック液晶膜は、6時間以上供給水を供給しても高いウイルス阻止率を維持することが示される。
【0075】
以上のように、本発明により得られる複合半透膜は、既存の液晶膜では達成できなかった高い膜透過流束とウイルス阻止率を両立しており、実用性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の複合半透膜は、特にウイルスの除去などに有用な水処理用の半透膜の製造に好適に用いることができる。