(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ブリスター包装、及びブリスター包装の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 75/34 20060101AFI20231018BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20231018BHJP
A61J 1/03 20230101ALI20231018BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20231018BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B65D75/34
B65D25/20 P
A61J1/03 370
G06K19/077 156
G06K19/077 140
G06K19/07 230
(21)【出願番号】P 2020018855
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】新田 真也
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-112378(JP,A)
【文献】特開2008-247418(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057458(WO,A1)
【文献】特開2013-049454(JP,A)
【文献】特開2010-035789(JP,A)
【文献】国際公開第2019/069772(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/32-36
B65D 25/20
A61J 1/03
A61J 7/00-04
G06K 19/077
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケットが成形されているシートと、前記シートを封止する蓋材と、を備えるブリスター包装であって、
前記シートは、RFタグを収容した第1のポケットと、前記第1のポケットとは別の位置に物品を収容した第2のポケットとを有
し、
前記第1のポケットと前記第2のポケットとは、互いに同等の大きさであり、前記第1のポケットは、透明な前記シートの内面、外面又は厚さ方向の内部に遮光層を積層して不透明であり、前記第2のポケットが透明であることを特徴とするブリスター包装。
【請求項2】
前記第1のポケット内において、前記RFタグが前記シート側に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項3】
前記第1のポケットが前記RFタグより大きいことを特徴とする請求項1
又は2に記載のブリスター包装。
【請求項4】
前記RFタグが前記蓋材の破損を検知できることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項5】
前記蓋材は、前記第1のポケットを封止する部分において、前記第2のポケットを封止する部分よりも補強された補強部を有することを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のブリスター包装の製造方法であって、
ポケットが成形されているシートのうち、第1のポケットにRFタグを収容する工程と、
前記シートのうち、前記第1のポケットとは別の位置にある第2のポケットに物品を収容する工程と、
前記シートを蓋材により封止する工程と、
を有することを特徴とするブリスター包装の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター包装、及びブリスター包装の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品、製品、部品、医薬品等の物品の在庫、流通等を管理するため、無線周波数(Radio Frequency、RF)の電波を用いたRFタグが用いられている。例えば、特許文献1には、薬パッケージの外部表面上の適当な位置に貼付した無線タグを用いる薬品販売システムが記載されている。また、特許文献2には、薬剤ごとに割り当てられたICタグを備える薬剤収容物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-233673号公報
【文献】特開2005-211601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医薬品をパッケージに包装する際、パッケージにRFタグを取り付けると、パッケージの加工や封止の際、熱、圧力等により、RFタグの破損、劣化、脱落等が生じる恐れがある。また、医薬品をパッケージに包装した後で、パッケージにRFタグを取り付けると、箱詰め、輸送、陳列等の際、外力等により、RFタグの破損、劣化、脱落等が生じる恐れがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、RFタグの破損、劣化、脱落等を抑制することが可能なブリスター包装、及びブリスター包装の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポケットが成形されているシートと、前記シートを封止する蓋材と、を備えるブリスター包装であって、前記シートは、RFタグを収容した第1のポケットと、前記第1のポケットとは別の位置に物品を収容した第2のポケットとを有し、前記第1のポケットと前記第2のポケットとは、互いに同等の大きさであり、前記第1のポケットは、透明な前記シートの内面、外面又は厚さ方向の内部に遮光層を積層して不透明であり、前記第2のポケットが透明であることを特徴とするブリスター包装を提供する。
【0007】
前記第1のポケット内において、前記RFタグが前記シート側に固定されている構成を採用することも可能である。
前記第1のポケットが前記RFタグより大きい構成を採用することも可能である。
前記RFタグが前記蓋材の破損を検知できる構成を採用することも可能である。
前記蓋材は、前記第1のポケットを封止する部分において、前記第2のポケットを封止する部分よりも補強された補強部を有する構成を採用することも可能である。
【0008】
また、本発明は、前記ブリスター包装の製造方法であって、ポケットが成形されているシートのうち、第1のポケットにRFタグを収容する工程と、前記シートのうち、前記第1のポケットとは別の位置にある第2のポケットに物品を収容する工程と、前記シートを蓋材により封止する工程と、を有することを特徴とするブリスター包装の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、外部から信号を受信する無線受信機能と、外部に信号を送信する無線送信機能と、を有するRF装置であって、前記無線受信機能及び前記無線送信機能を有するRFタグと、ポケットが成形されているブリスター包装用のシートと、前記シートを封止する蓋材と、を備え、前記ポケットに前記RFタグが収容され、前記シートが前記蓋材により封止されていることを特徴とするRF装置を提供する。
【0010】
前記RFタグが、前記蓋材に接触しないように、かつ、前記RFタグと前記蓋材との距離が一定に保持されていることも可能である。
前記RFタグが、前記蓋材と接触している構成を採用することも可能である。
前記蓋材が、金属箔から構成されているか、又は金属箔を含む構成を採用することも可能である。
前記蓋材が、金属箔を含まず、電気絶縁性の基材からなり、前記基材上に導電性材料の印刷からなる回路を有する構成を採用することも可能である。
前記蓋材が、金属箔を含まず、電気絶縁性の基材からなり、前記基材上に金属線からなる回路を有する構成を採用することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブリスター包装のポケットにRFタグが収容されているので、RFタグの破損、劣化、脱落等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るブリスター包装を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るブリスター包装を示す底面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るブリスター包装を示す断面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係るブリスター包装を示す断面図である。
【
図5】本発明の第4実施形態に係るRF装置を示す断面図である。
【
図6】本発明の第5実施形態に係るRF装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0014】
図1に、第1実施形態に係るブリスター包装の断面図、
図2に、その底面図を示す。このブリスター包装10は、ポケット12が成形されているシート11と、シート11を封止する蓋材13と、を備える。シート11は、複数のポケット12を有する。複数のポケット12のうち、第1のポケット12Aには、RFタグ14が収容されている。また、第1のポケット12Aとは別の位置にある第2のポケット12Bには、物品15が収容されている。以下の説明では、第1のポケット12Aと第2のポケット12Bとの区別が必要ない場合には、これらを単にポケット12という場合がある。
【0015】
シート11に形成されるポケット12は、樹脂(プラスチック)、紙(パルプ)、金属等の各種成形材料からシート11を成形する際に、シート11が蓋材13に接合される接合面11Aからポケット12が凹むように成形される。ポケット12の形状、寸法等は、ポケット12に収容されるRFタグ14又は物品15の形状、寸法、量等に応じて、適宜設計することが可能である。
【0016】
樹脂からシート11を成形する場合は、成形が容易な熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。ポケット12を有するシート11は、平坦なシート11から金型を用いてプレス成形等でポケット12を成形してもよく、射出成形等で流動性を有する樹脂から直接、ポケット12を有するシート11の形状を成形してもよい。
【0017】
蓋材13としては、金属箔、樹脂フィルム、紙、積層シート等が挙げられる。ブリスター包装10をPTP(Press Through Package、プレス・スルー・パッケージ)として用いる場合は、蓋材13が、金属箔から構成されているか、又は金属箔を含む構成であると、バリア性、開封性等に優れるので好ましい。樹脂製のシート11に金属箔の蓋材13を接合する場合は、金属箔のシート11側の面に、樹脂等のシール材を積層してもよい。ブリスター包装をPTPとせずに、シート11の接合面11Aに接着した蓋材13をはがす、蓋材13に形成したミシン目等に沿って穴を開ける、シート11の周縁部を折り曲げた溝部に沿って蓋材13をスライド移動させる等して、物品15を取り出す場合は、蓋材13を厚紙等から構成してもよい。
【0018】
RFタグ14は、外部から信号を受信する無線受信機能と、外部に信号を送信する無線送信機能と、を有する。このため、RFタグ14は、例えば、アンテナ、ICチップなどを内蔵してもよい。例えば、外部のリーダ等から電波が放出されて、RFタグ14の付近に到達した場合、RFタグ14のアンテナに電波が受信される。外部の電波をトリガーとして、RFタグ14の動作が開始される。アンテナから反射される電波の変調により、ICチップから得られる情報が送信される。
【0019】
RFタグ14がパッシブタグである場合、電池等の内部電源を内蔵していなくても、外部の電波をエネルギー源として動作することが可能である。また、RFタグ14がアクティブタグ又はセミアクティブタグである場合には、内部電源を内蔵しているので、内部電源の電力を利用することにより、より長距離の通信が可能になる。RFタグ14が、エネルギー又は信号の伝達に用いる搬送波の種類は電波に限定されず、各種の電磁波等を用いることができる。例えば、RFタグ14が電磁誘導方式を用いる場合、電波の代わりに磁束が用いられる。
【0020】
ブリスター包装10は、RFタグ14を収容する第1のポケット12Aを、1つ又は2以上有することができる。第1のポケット12Aは、RFタグ14より大きいことが好ましい。第1のポケット12AにRFタグ14を収容する際、RFタグ14と第1のポケット12Aの内面との間に隙間ができると、RFタグ14の収容が容易になる。RFタグ14と第1のポケット12Aとの隙間の幅は特に限定されないが、例えば、RFタグ14の外形寸法に対して、1~20%程度としてもよい。第1のポケット12A内において、RFタグ14は、シート11側に固定されていてもよく、蓋材13側に固定されていてもよく、シート11と蓋材13との間で固定されずに収容されていてもよい。
【0021】
RFタグ14をシート11に固定する場合は、RFタグ14とシート11との間に接着剤を設けて接着してもよく、第1のポケット12A内のシート11に、RFタグ14と嵌合する嵌合凹部を設けて、RFタグ14を嵌合凹部に嵌め込んでもよい。嵌合凹部は、第1のポケット12Aより小さな凹部である。RFタグ14の一部に、嵌合凹部と嵌合する凸部を形成してもよい。
【0022】
RFタグ14が金属対応タグである場合は、蓋材13が金属製であっても、RFタグ14を蓋材13に固定することができる。RFタグ14が金属対応タグでない場合は、RFタグ14が蓋材13の金属に影響されない程度の距離を確保するように蓋材13とRFタグ14との間にスペーサを配置してもよい。これにより、スペーサを介してRFタグ14を金属製の蓋材13に固定することもできる。
【0023】
図2に示すように、第1のポケット12Aが不透明であると、外部からRFタグ14が視認されることを防ぐことができる。例えば、透明なシート11に第1のポケット12Aを成形した後で、第1のポケット12Aの内面又は外面に遮光層を積層してもよい。あるいは、シート11に第1のポケット12Aを成形する前に、第1のポケット12Aの領域で、シート11の内面、外面又は厚さ方向の内部に遮光層を積層してもよい。遮光層は、染料、顔料等を用いて光を吸収する着色層でもよく、金属等を用いて光を反射させる反射層でもよい。
【0024】
RFタグ14は、蓋材13の破損を検知する機能を有することが好ましい。RFタグ14が、例えば、蓋材13との距離等を、電磁的、光学的等に検知するセンサを有してもよい。ブリスター包装10がPTPである場合、物品15の取出しに起因する蓋材13の破損を検知してもよい。第1のポケット12Aと第2のポケット12Bとを接続するように、蓋材13にアンテナ等の検知線を設けると、第2のポケット12Bにおける蓋材13の破損を、第1のポケット12A内のRFタグ14から容易に検知することができる。
【0025】
ブリスター包装10には、RFタグ14以外にも、医薬品、食品、化粧品、薬剤、医療機器、工業部品、各種製品、各種商品等、種々の物品15を包装することができる。物品15としては、固体、液体、粉体、粒体、流体、粘稠体等、各種の形態を採用することができる。例えば、錠剤、カプセル剤等の粒状の物品15をPTPのブリスター包装10に収容する場合は、第2のポケット12Bを介して蓋材13を突き破るように物品15を押圧することで、物品15をブリスター包装10から取り出すことができる。第2のポケット12Bが透明であると、外部から物品15を目視で確認することができる。
【0026】
ブリスター包装10は、物品15を収容する第2のポケット12Bを、1つ又は2以上有することができる。物品15が形状の定まった固形物である場合には、第2のポケット12Bは、物品15より大きいことが好ましい。第2のポケット12Bに物品15を収容する際、物品15と第2のポケット12Bの内面との間に隙間ができると、物品15の収容が容易になる。物品15と第2のポケット12Bとの隙間の幅は特に限定されないが、例えば、物品15の外形寸法に対して、1~20%程度としてもよい。第1のポケット12Aと第2のポケット12Bとは、互いに略同等の大きさでもよく、互いに異なる大きさでもよい。
【0027】
ブリスター包装10に収容するRFタグ14の個数が物品15の個数と同数である場合は、
図2に示すように、RFタグ14と物品15とを一対一に対応させてもよい。この場合、互いに対応するRFタグ14及び物品15を隣り合うポケット12に配置してもよい。例えば、ポケット12が縦横の複数列に配置されている場合、第1のポケット12Aのみが配置された列と、第2のポケット12Bのみが配置された列とを隣り合わせにしてもよい。第1のポケット12Aと第2のポケット12Bとが対応するどうしを組とするように、シート11が切り取り線16を有してもよい。また、同じ列において、第1のポケット12Aと第2のポケット12Bとを交互に配置してもよい。
【0028】
各ブリスター包装10に収容されるRFタグ14には、RFタグ14ごとに異なる識別符号を記録してもよい。さらに、ブリスター包装10に複数のRFタグ14が収容されていて、各RFタグ14がそれぞれ異なる物品15と対応している場合、RFタグ14ごとに異なる識別符号を記録してもよい。この場合、物品15ごとの管理が容易になる。1つのRFタグ14を複数の物品15と対応させてもよい。
【0029】
ブリスター包装10は、物品15と共にRFタグ14を包装すること以外は、従来のブリスター包装10と同様に製造することができる。実施形態のブリスター包装10の製造方法は、第1のポケット12AにRFタグ14を収容する第1収容工程と、第2のポケット12Bに物品15を収容する第2収容工程と、シート11を蓋材13により封止する封止工程と、を有する。
【0030】
第1収容工程を第2収容工程より前に実施してもよく、第1収容工程を第2収容工程より後に実施してもよく、第1収容工程と第2収容工程とを同時に実施してもよい。封止工程は、第1収容工程及び第2収容工程の終了後に実施することが好ましい。シート11が多数のポケット12を有する場合は、シート11の一部の領域で第1収容工程及び第2収容工程を完了して封止工程を実施している最中に、シート11の他の領域で第1収容工程又は第2収容工程を実施中であってもよい。
【0031】
図3に、第2実施形態に係るブリスター包装10Aを示す。このブリスター包装10Aのシート11は、RFタグ14よりも大きな物品15Aを収容するため、第1のポケット12Aより大きな第2のポケット12Bを有する。蓋材13が樹脂シート、厚紙等から構成されると、大きな物品15Aが接触しても蓋材13が破れにくくなるので好ましい。この場合は、物品15Aをブリスター包装10Aから取り出すには、シート11から蓋材13を剥がしてもよく、蓋材13にミシン目等の開封線を設けて、開封線に沿った開口部を形成できるようにしてもよい。
【0032】
図4に、第3実施形態に係るブリスター包装を示す。このブリスター包装10Bの蓋材13は、第1のポケット12Aを封止する部分において、第2のポケット12Bを封止する部分よりも補強された補強部17を有する。補強部17としては、蓋材13の内面、外面、厚さ方向の内部等に、蓋材13よりも強度が高い積層材料を積層すること等が挙げられる。例えば、ブリスター包装10BがPTPである場合には、補強部17として、樹脂フィルム、紙等を蓋材13の一部に積層してもよい。補強部17は、第1のポケット12Aの一部又は全部に形成することができる。また、補強部17の一部が、シート11の接合面11A上に重なってもよい。
【0033】
上記ブリスター包装10,10A,10Bによれば、RFタグ14が成形されたシート11の第1のポケット12Aに収容されているので、外力や水分等、ブリスター包装10の外部の影響がRFタグ14に作用しにくくなる。これにより、RFタグ14の破損、劣化、脱落等を抑制することができる。
【0034】
上記ブリスター包装10,10A,10Bは、RFタグ14が、外部から信号を受信する無線受信機能と、外部に信号を送信する無線送信機能と、を有することから、RF装置として用いることができる。また、ブリスター包装に物品15を収容することなく、RFタグ14のみを収容したRF装置を構成することもできる。
【0035】
RFタグ14は、物品15の製造者における管理、製造者から卸売業者、小売業者等の中間事業者に対する輸送等の管理、中間事業者における管理等に利用することができる。ブリスター包装10,10A,10Bに複数の物品15が収容され、これらの物品15が順序、個数等を定めて継続的に使用するものである場合は、さらに、中間事業者から消費者に提供する際、又は消費者において使用する際の管理等にも利用することができる。物品15が錠剤等の医薬品である場合は、病院、薬局等において、患者の服用の状況を管理する場合に利用することもできる。
【0036】
図5に、第4実施形態に係るRF装置を示す。また、
図6に、第5実施形態に係るRF装置を示す。これらのRF装置20,20Aは、RFタグ14と、ポケット12が成形されているブリスター包装用のシート11と、シート11を封止する蓋材13と、を備える。RFタグ14は、ポケット12に収容されている。また、シート11が蓋材13により封止され、ポケット12は閉鎖されている。
【0037】
第4実施形態に係るRF装置20では、RFタグ14が、蓋材13に接触しないように、かつ、RFタグ14と蓋材13との距離が一定に保持されている。例えば、蓋材13が破れたとき、蓋材13との距離が変化する。また、蓋材13に金属が含まれる場合は、蓋材13の変形により、RFタグ14の通信性能や通信状態が変化する。例えば、RFタグ14と蓋材13との距離で得られるRFタグ14の応答電波強度の変化を検知することにより、蓋材13が破れたか否かを検知することができる。RFタグ14は、ポケット12内において、シート11側に固定されていてもよい。
第5実施形態に係るRF装置20Aでは、RFタグ14が、蓋材13と接触している。この場合、RFタグ14は、蓋材13に固定されていてもよい。
【0038】
蓋材13が、金属箔を含まず、電気絶縁性の基材から構成されてもよい。蓋材13の電気絶縁性の基材上には、導電性材料の印刷からなる配線層を有してもよい。印刷に用いる導電性材料としては、金属粒子、カーボン粒子等の導電性粒子を含む導電性インキ、導電性ペースト等が挙げられる。前記基材としては、樹脂、紙、不織布等が挙げられる。また、前記基材上には、金属線からなる配線層を有してもよい。金属線は、メッキ等で形成した金属層や金属箔等のエッチングにより金属線のパターンを形成してもよい。蓋材13の配線層は、回路やアンテナ等を構成してもよい。蓋材13に配線層、回路を設けることにより、RFタグ14と蓋材13の回路とを電気的に接続することもできる。
【0039】
上記RF装置20,20Aによれば、RF装置20,20Aがブリスター包装を構成し、RFタグ14が成形されたシート11の第1のポケット12Aに収容されているので、外力や水分等、ブリスター包装10の外部の影響がRFタグ14に作用しにくくなる。これにより、RFタグ14の破損、劣化、脱落等を抑制することができる。
【0040】
RF装置20,20Aは、物品15を収容していないこと以外は、上記ブリスター包装10,10A,10Bと同様に利用することができる。例えば、RF装置20,20Aが、物品15を収容したブリスター包装等の包装体と同梱されるように包装してもよい。RF装置20,20Aは、物品15を収容していないため、事業者、病院、薬局等で回収すれば、繰り返しの再利用(リユース)も容易である。RF装置20,20Aに2以上のポケット12を設けてもよく、用途等の異なる2以上のRFタグ14を収容してもよい。
【0041】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。また、2以上の実施形態に用いられた構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
【0042】
例えば、ブリスター包装10,10A,10BとRF装置20,20Aとで共通する、シート11、蓋材13、RFタグ14等の構成については、相互に同様な改変が可能である。また、RF装置20,20Aにおいて、RFタグ14を収容したポケット12については、ブリスター包装10,10A,10Bにおいて、RFタグ14を収容した第1のポケット12Aの構成と同様な改変が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10,10A,10B…ブリスター包装、11…シート、11A…接合面、12…ポケット、12A…第1のポケット、12B…第2のポケット、13…蓋材、14…RFタグ、15,15A…物品、16…切り取り線、17…補強部、20,20A…RF装置。