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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
G01N35/00 B
G01N35/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020022888
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021128066
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 光
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-191207(JP,A)
【文献】特開平02-021264(JP,A)
【文献】特許第6853090(JP,B2)
【文献】特開2018-009884(JP,A)
【文献】特開2001-227840(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159759(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0093834(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を保冷する試薬保冷庫と、
反応槽を有し、検体と前記試薬とを反応させる反応部と、前記検体の成分を測定する測定部と、を有する分析部と、
連続的に動作する第1の温調ユニットと、
出力調整用の第2の温調ユニットと、
前記第1の温調ユニット及び第2の温調ユニットの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記第1の温調ユニットは、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットの送風ファン以外の部分であり、前記第2の温調ユニットは、前記蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットの前記送風ファンであり、
前記制御部は、前記第1の温調ユニットによる温度調整と、前記第2の温調ユニットによる温度調整との総和の温度調整によって、前記試薬の温度が一定となるように制御することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
試薬を保冷する試薬保冷庫と、
反応槽を有し、検体と前記試薬とを反応させる反応部と、前記検体の成分を測定する測定部と、を有する分析部と、
連続的に動作する第1の温調ユニットと、
出力調整用の第2の温調ユニットと、
前記第1の温調ユニット及び第2の温調ユニットの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記第1の温調ユニットは、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットの送風ファン以外の部分であり、前記第2の温調ユニットは、前記蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットの前記送風ファンとペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニットの組み合わせであり、
前記制御部は、前記第1の温調ユニットによる温度調整と、前記第2の温調ユニットによる温度調整との総和の温度調整によって、前記試薬の温度が一定となるように制御することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項に記載の自動分析装置において、
前記蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットと前記ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニットの冷却能力の比は、前記分析部の環境や装置状態の少なくともいずれか一方によって要求される最小の冷却能力及び最大の冷却能力によって決定されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項に記載の自動分析装置において、
前記蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットと前記ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニットの冷却能力の比は、前記最大の冷却能力から前記最小の冷却能力を減算した値を、前記最大の冷却能力と前記最小の冷却能力との和の値で割った値であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1からのうちのいずれか一項に記載の自動分析装置において、
前記試薬保冷庫を温調する媒体の温度を測定する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサが測定した前記媒体の温度情報を受け取ることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置として、特許文献1に記載のものがある。この装置は、血液中の蛋白やイオン、尿中の成分などを分析・定量するための比色測定部と、血液中のイオンを分析するイオン分析部からなる装置で、1時間に数百テストから、大型の装置になると8000テスト以上の処理速度を持つ。
【0003】
特に、比色測定部では処理速度を上げるために、自動分析装置の本体上面には、化学反応の起きる容器と、光学測定のキュベットを兼ねる多数の反応セルが、反応ディスクの円周上に設けられ、パイプライン処理により順次検体を混合・反応・測定する装置である。
【0004】
また、特許文献2には、自動分析装置において、効率的な排熱及び反応試薬ユニットの冷却手段を効率的に機能させる技術が記載されている。
【0005】
特許文献2に記載の技術によれば、筐体を低温部である上部と高温部である下部に仕切り、熱を発生させる電源、制御ユニット及びダクトを下部に収容し、上部に反応試薬ユニットを収容して、装置内のレイアウトにより効率的な冷却を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-316237号公報
【文献】特開2003-083979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的な自動分析装置の構成は、検体、試薬を反応セルに分注する自動検体・試薬分注機構、反応セル内の検体・試薬を攪拌する自動攪拌機構と、反応中あるいは反応が終了した反応液の物性を測定する光度計と、測定の終了した反応液を吸引・排出し、反応セルを洗浄する自動洗浄機構と、反応セルを一定の温度に保ち、安定した化学反応を行わせる反応槽機構と、試薬を保冷するための試薬保冷庫と、これらの動作を制御する制御部とを備える。
【0008】
光度計では、光源から出る光束を反応セル内の反応液を透過させた後、分光装置に導き、特定の波長について測定した光強度値を、基準濃度の溶液について予め測定した光強度値と比較し、吸光度を算出することにより、被測定溶液中の化学成分を分析している。
【0009】
試薬保冷庫は、空気・水・もしくはそれらに類する流体を媒体として冷却される。流体は、別途備える冷却ユニットによって冷却され、保冷庫と冷却ユニットを循環する。冷却ユニットは、反応槽機構の温度を一定に制御するための冷却部として兼用されている。
【0010】
冷却ユニットは、エアコンなどと同じ冷媒の気化熱・凝縮熱を利用する蒸気圧縮型ヒートポンプを用いるケースが多い。これは、前記の通り反応槽機構の温度制御のため常に冷却を行う都合上、一定以上の冷却能力が必要であり、効率よく大きな冷却能力を得ることが可能であるからである。
【0011】
反応槽が小形で、大きな冷却能力を要しない免疫自動分析装置の中には、保冷庫にペルチェ型ヒートポンプの冷却ユニットを直接貼り付け、保冷庫の冷却を行うタイプもある。
【0012】
しかし、近年では、大形の免疫自動分析装置では各部温度制御や試薬の保冷に大きな冷却能力を要することが多く、蒸気圧縮型ヒートポンプの冷却ユニットを用いる傾向がある。
【0013】
化学・医用分析の分野では、分析に使用する検体の微量化が大きな課題となっている。すなわち、分析項目の増大に伴い、単項目に割くことのできる検体量が少量になっている。さらに、小児検体等、採取検体自体が少量である場合等、従来高度な分析とされていた微量の検体での分析がルーチン的に行われるようになってきている。
【0014】
自動分析装置で微量の検体の分析を行う場合、従来に増して装置内の温度環境の安定性が重要となる。検体や試薬の分注流路内の作動流体が、温度変化により体積変化し、分注の吸引・吐出精度影響するからである。この影響は、作動流体の体積変化が分注流路の長さと温度変化の大きさに比例する関係上、分注量が小さくなるほど相対的に大きくなる。また、光度計も筐体の温度変化による伸縮により光の結像関係が変化し、測定値に影響を及ぼす。
【0015】
自動分析装置内の温度環境の変動要因として、主に蒸気圧縮型ヒートポンプの冷却ユニットがある。この冷却ユニットは、試薬を一定の温度範囲で保冷するために、動作と停止を繰り返して制御されている。動作時と停止時で冷却ユニットの放出する熱量が異なるため、装置内の温度環境の変化の要因となっている。
【0016】
冷却ユニットによる自動分析装置内の温度環境への影響を抑制するためには、冷却ユニットの出力を調整して、一定の割合で運転するように制御すればよい。
【0017】
一般的に、エアコンなど蒸気圧縮型ヒートポンプの冷却ユニットの出力調整には、インバータ方式が採用されている。インバータ方式では、運転電源周波数を変化させて圧縮機やファンモータの回転数を調整し、冷却ユニットの出力を調整している。
【0018】
しかし、冷却能力は圧縮機の回転数に単純に比例せず、また応答速度も長いため、インバータ方式による一定の冷却能力調整は、制御難易度が高く不安定となりやすい課題がある。
【0019】
また、インバータ方式は運転電源周波数を変化させる性質上、必然的に高調波やノイズが発生するため、微小信号を測定する自動分析装置において測定精度を悪化させる要因や、EMC性能を悪化させる要因となってしまうという問題がある。
【0020】
また、冷却ユニットの出力を調整する別の方法として、ペルチェ型ヒートポンプの冷却ユニットを用いる方法がある。ペルチェ型ヒートポンプは印加電圧に比例して熱輸送能力が変化するため、出力調整が容易であり、応答性も良く、インバータ方式のようなノイズも発生しない。
【0021】
しかし、一般的にペルチェ型ヒートポンプは蒸気圧縮型ヒートポンプに比較して低効率であり、冷却能力の上昇とともに素子の発熱が急激に増大するため、大きな冷却能力を得られにくいという問題がある。
【0022】
特許文献2に記載のように装置内のレイアウトにより効率的な冷却を図ることも考えられる。
【0023】
しかし、自動分析装置内部は多機能化に伴い年々高密度化しており、微量分析のトレンドと相まって、特許文献2に記載されたレイアウトによる温度影響対策は限界に近付いている。
【0024】
本発明の目的は、前記課題を解決し、冷却能力を調整可能な冷却ユニットを備え、自動分析装置内の温度環境を安定化させ、微量な検体においても精度よく測定することが可能な自動分析装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、上記目的を達成するため、次のように構成される。
【0026】
自動分析装置において、試薬を保冷する試薬保冷庫と、反応槽を有し、検体と前記試薬とを反応させる反応部と、前記検体の成分を測定する測定部と、を有する分析部と、連続的に動作する第1の温調ユニットと、出力調整用の第2の温調ユニットと、前記第1の温調ユニット及び第2の温調ユニットの動作を制御する制御部と、を備え、前記第1の温調ユニットは、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットの送風ファン以外の部分であり、前記第2の温調ユニットは、前記蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットの前記送風ファンであり、前記制御部は、前記第1の温調ユニットによる温度調整と、前記第2の温調ユニットによる温度調整との総和の温度調整によって、前記試薬の温度が一定となるように制御する。
自動分析装置において、試薬を保冷する試薬保冷庫と、反応槽を有し、検体と前記試薬とを反応させる反応部と、前記検体の成分を測定する測定部と、を有する分析部と、連続的に動作する第1の温調ユニットと、出力調整用の第2の温調ユニットと、前記第1の温調ユニット及び第2の温調ユニットの動作を制御する制御部と、を備え、前記第1の温調ユニットは、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットの送風ファン以外の部分であり、前記第2の温調ユニットは、前記蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットの前記送風ファンとペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニットの組み合わせであり、前記制御部は、前記第1の温調ユニットによる温度調整と、前記第2の温調ユニットによる温度調整との総和の温度調整によって、前記試薬の温度が一定となるように制御する。


【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、冷却能力を調整可能な冷却ユニットを備え、自動分析装置内の温度環境を安定化させ、微量な検体においても精度よく測定することが可能な自動分析装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施例1が適用される自動分析装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施例1における冷却シスデム(温調システム)の概略構成図である。
図3】本発明の実施例1における冷却能力の調整の概要の説明図である。
図4】本発明の実施例1における冷却ユニットの制御動作フローチャートである。
図5】本発明の実施例1における制御部の冷却動作に関する制御機能ブロック図である。
図6】本発明の実施例1における各ユニットの情報のやり取りの説明図である。
図7】本発明の実施例2における冷却シスデムの概略構成図である。
図8】本発明の実施例3における冷却シスデムの概略構成図である。
図9】本発明の実施例4における冷却シスデムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【実施例
【0030】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1が適用される自動分析装置の概略構成図である。
【0031】
図1において、自動分析装置は、分析部110と、制御部111とを備える。また、分析部110は、試薬容器113が配置される試薬ディスク105と、複数の反応セル101が固定され、回転駆動する反応ディスク109と、試薬分注機構108と、検体分注機構106と、光度計103(測定部)とを備える。
【0032】
また、分析部110は、検体容器107と、水吐出機構102(セル洗浄水・セルブランク水の注入機構)と、廃液排出機構104(測定後の検体・試薬・洗浄水・セルブランク水の吸い出し機構)とを有する。
【0033】
検体分注機構106は、検体容器107に収容された検体を吸引し、反応ディスク109に配置された反応セル101に吐出する。また、試薬分注機構108は、試薬容器113に収容された試薬を吸引し、反応ディスク109に配置された反応セル101に吐出する。反応ディスク(反応部)109は、後述する反応槽211を有している。
【0034】
後述するように、光度計103には、検体と試薬を混合する反応セル101に光を照射する光源(図示せず)と、反応セル101を透過した透過光を検出する検出器(図示せず)を含む。この他にも図示されていない、例えば反応セル101内の反応液を撹拌する撹拌機構なども反応ディスク109の周りに備えられている。
【0035】
円状に配置された複数の反応セル101は、各分析過程の操作のために、反応ディスク109によって、試薬ディスク105の周りを定周期で回転する。反応ディスク109の回転駆動は、制御部111の制御によって制御される。
【0036】
また、制御部111には、分析部110の分析に必要な情報を記憶する記憶部(図示せず)を備え、この記憶部に記憶された情報を用い、制御部111は分析部110の各種機構を制御する。
【0037】
検体の測定を行う前に、廃液排出機構104と、水吐出機構102によって反応セル101の洗浄が行われる。
【0038】
次に、反応セル101が光度計103の前を通過した際に、セルブランク測定がなされる。セルブランク測定は、水吐出機構102によって水を入れた反応セル101の吸光度を測定し、検体測定の際に各反応セル101のゼロ点を補正するために行われる。光度計103は、検体の成分を測定する測定部である。
【0039】
セルブランク測定を終えた後は廃液排出機構104により反応セル101から水を吸い出す。
【0040】
続いて、検体分注機構106によって、検体の一部が、検体容器107から、吸引された後、検体分注機構106が反応セル101上空に移動し、検体を藩王反応セル101に吐出する。
【0041】
続いて、反応セル101が反応ディスク109によって移動され、試薬分注機構108によって試薬容器13から反応セル101へ試薬が分注され、試薬と検体は混合して反応し、反応液が生成される。反応液が入った反応セル101が、定周期で回転して光度計(測定部)103の前を通過するときに一度、あるいは通過するたびに複数回の吸光光度測定を行い、検体の成分が測定される。
【0042】
自動分析装置は、こうした一連の動きを、一定のサイクルで、行なっている。
【0043】
以上が自動分析装置の概要である。
【0044】
図2は、本発明の実施例1における冷却シスデム(温調システム)の概略構成図である。図2を参照して、実施例1による自動分析装置の試薬保冷システムと反応槽の温度制御システムの概要を述べる。なお、冷却ユニットは温度を調整するものであるから、冷却のみならず、加熱を行うこともある。よって、冷却ユニットは、温度を調整する温調ユニットと同義である。
【0045】
図2において、試薬保冷システムは、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201(第1の温調ユニット)と、試薬保冷庫209とを備える。また、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は、圧縮機202と、凝縮器203と、蒸発器204と、冷水槽205と、冷水槽温度測定センサ206と、冷水循環ポンプ207とを有する。
【0046】
蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は、試薬を常に保冷する必要上、分析部110及び制御部111の動作・停止状態に関わらず通電されている。
【0047】
よって、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は外部からの制御を必要とせず、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201単独で運転を行う。圧縮機202により冷媒を圧縮し、凝縮器203によって冷媒の温度を下げることで冷媒を液化する。液化した冷媒を蒸発器204で蒸発させることで周囲の熱を奪い、冷水槽205の内部の冷水を冷却する。
【0048】
蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は独自の制御部(図示せず)を備え、冷水槽温度測定センサ206によって冷水槽205の内部の冷水の温度を測定し、冷水温度があらかじめ定められた一定の温度範囲となるように、圧縮機202の動作・停止を制御する。
【0049】
具体的には、冷水温度が一定の温度範囲の下限に達したら圧縮機202の動作を停止し、冷水温度が一定の温度範囲の上限に達したら圧縮機202の動作を開始するような制御を行う。
【0050】
一定の温度範囲に制御された冷水は、冷水循環ポンプ207によって、冷水流路208を通って試薬保冷庫209へ到達し、試薬保冷庫209と、その中に保管されている試薬カセット210を冷却する。その後、冷水は冷水槽205へ戻り、冷水槽205と、試薬保冷庫209を連続的に循環する。
【0051】
また、一定の温度範囲に制御された冷水は、反応槽水の温度制御のための役割も持っている。自動分析装置の分析部110は、反応セル101を一定の温度に保つための反応槽211を有している。反応槽211は、一定の水温に精度よく制御された反応槽水によって満たされている。
【0052】
反応槽水は、反応槽水循環ポンプ212によって、反応槽水流路213を通り、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の冷水槽205内部の反応送水冷却管214と、反応槽水加熱ヒータ215を通って反応槽211に戻る。反応槽水冷却管214は、冷水槽205内の冷水によって冷却されており、反応槽水が反応槽水冷却管214を通過する間に、反応槽水の制御目標温度よりもわずかに低い温度に冷却される。その後、反応槽水は反応槽水加熱ヒータ215によって、制御目標温度まで加熱されることで、精度よく反応槽水の温度を制御することができる。
【0053】
次に、本発明の実施例1における冷却ユニットの要部の構成について説明する。
【0054】
上述した自動分析装置の構成に加え、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301(第2の温調ユニット)と、冷水温度測定センサ302が備えられている。
【0055】
ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301は、冷水流路208に流れる冷水の温度を調整するため、冷水循環ポンプ207と試薬保冷庫209との間に配置された冷水流路208に取り付けられる。冷水流路208の近辺に配置されてもよい。
【0056】
冷水温度測定センサ302は、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の近辺に配置され、冷水流路208に流れる冷水の温度を測定する。
【0057】
制御部111は、冷水温度測定センサ302から冷水流路208内部の冷水温度の情報を受け取り、冷水温度が目標温度となるように、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の出力を調整する。冷水の目標温度は、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の温度制御範囲内である必要がある。
【0058】
また、本発明の実施例1における蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の冷却能力は、以下で計算される値となるように設計することができる。
【0059】
蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201とペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の冷却能力の比は、分析部110の環境や装置状態の少なくともいずれか一方によって要求される最小の冷却能力及び最大の冷却能力によって決定される。
【0060】
具体的には、要求される最小の冷却能力をWmin、最大の冷却能力をWmaxとすると、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の冷却能力の仕様Qjspecと、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の冷却能力の仕様Qpspecの関係は、次式(1)のようにあらわすことができる。
Qpspec/Qjspec=(Wmax-Wmin)/(Wmax+Wmin)
・・・(1)
【0061】
上記式(1)のように、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201とペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の冷却能力の比が、最大の冷却能力Wmaxから最小の冷却能力Wminを減算した値を、最大の冷却能力Wmaxと最小の冷却能力Wminとの和の値で割った値となる。
【0062】
また、冷却能力の仕様QjspecとQpspecは、次式(2)の関係となるように設計される。
Qpspec+Qjspec=Wmax ・・・(2)
【0063】
以上の式(1)及び(2)から、QjspecとQpspecが設計されるべき値は次式(3)及び(4)のとおりである。
Qjspec=(Wmax+Wmin)/2 ・・・(3)
Qpspec=(Wmax-Wmin)/2 ・・・(4)
【0064】
ただし、冷却能力の仕様QjspecとQpspecの関係は、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301を加熱ユニットとしても使用し、かつペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の最大発揮できる加熱能力と冷却能力が等しい条件において、能力の無駄なく仕様を満たすための関係である。実際は、上記関係に裕度を考慮して両冷却ユニット201及び301の冷却能力の仕様は決定される。
【0065】
以上が本発明の実施例1における冷却ユニットの構成である。
【0066】
次に、図3を参照して、本発明の実施例1における冷却能力の調整の概要を述べる。図3の横軸は、分析装置が必要とする冷却能力を示し、縦軸は、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201とペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の総和としての冷却能力を示す。また、破線で示した部分は、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の冷却能力を示し、塗りつぶした領域は、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の冷却及び加熱能力を示す。よって、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201とペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の総和としての冷却能力は、実線で示すように変化する。
【0067】
分析部110は、自動分析装置の状態や環境温度によって必要とする冷却能力が異なる。例えば、室温状態の試薬カセット210を大量に冷却する場合や、環境温度が高く、環境からの分析部110への熱の流入が多く、分析部110内の各部から発生する熱が発散しにくい場合は、大きな冷却能力を必要とする。
【0068】
逆に、試薬カセット210が冷却されて定常状態にある場合や、環境温度が低く環境からの分析部110への熱の流入が少なく、分析部110内の各部から発生する熱が発散しやすい場合は、必要な冷却能力は小さくなる。
【0069】
このように、分析部110は状態や環境によって必要とする冷却能力が異なる。
【0070】
蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は、実際は環境温度によって多少の冷却能力変動があるが、簡易化のために、常に一定の冷却能力を発揮すると仮定して考える。
【0071】
蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201単体で構成される試薬冷却システムの場合、上記必要とされる冷却能力の、使用条件内で必要とされる最大の値を超えるように、冷却ユニット201の冷却能力が設定される。そして、上述したように、冷水が一定の温度範囲となるように間欠的に圧縮機202の動作・停止を行うため、この動作・停止の周期が従属的に変化することにより、上記必要とされる冷却能力が変化する点に対応している。
【0072】
一方、本発明の実施例1においては、分析部110の電源が入っている状態において、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は動作及び停止を間欠的に行うのではなく、連続的に動作する。
【0073】
よって、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は、継続的に仕様Qjspecの冷却能力を発揮する。
【0074】
したがって、本発明の実施例1における運転状態の蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の冷却能力Qjは、上述の通り使用条件内で必要な最大の冷却能力と最小の冷却能力を用いて、次式(5)のように表すことができる。
Qj=Qjspec=(Wmax+Wmin)/2 ・・・(5)
【0075】
また、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301は、上述の通り、加熱と冷却の両方の機能を有する。本発明の実施例1では、加熱能力を負の値としてあらわすこととし、本発明の実施例1における運転状態のペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の冷却能力Qpは、次式(6)に示す範囲で表すことができる。
-Qpspec≦Qp≦Qpspec ・・・(6)
【0076】
ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の特徴として、上述の通り、出力をシームレスに調整できる特徴を持っているため、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の冷却能力Qpは、式(6)に示した範囲の値を任意にとることができる。
【0077】
ここで、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201と、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301を一体としてみた時の総和の冷却能力Qsは、冷却能力QjとQpの和によって、次式(7)のようにあらわされる。
Wmin≦Qs=Qj+Qp≦Wmax ・・・(7)
【0078】
上記の通り、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201と、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301を一体としてみた時の総和の冷却能力Qsは、分析部110によって要求される最小の冷却能力から最大の冷却能力の間を、シームレスに調整することが可能である。
【0079】
以上が本発明の実施例1における冷却能力の調整の概要である。
【0080】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施例1における自動分析装置の使用状況による制御の動作フロー及び制御部111の制御機能について説明する。
【0081】
図4は、実施例1における冷却ユニット201及び301の制御動作フローチャートであり、図5は、制御部111の冷却動作に関する制御機能ブロック図である。図5に示すように、制御部111は、分析部電源オン判断部111Aと、第1の冷却ユニット201を制御する第1制御部111Bと、第2の冷却ユニット301を制御する第2制御部111Cとを備える。
【0082】
図4及び図5において、分析部電源オン判断部111Aは、分析部110の電源がオンであるか否かを判断する(ステップS1)。ステップS1において、分析部110の電源がオフである場合、その情報を分析部電源オン判断部111Aが第1制御部111Bに送信する。第1制御部111Bは、分析部電源オン判断部111Aからの情報に従い、第1の冷却ユニットである蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201が断続運転するように制御する。
【0083】
ただし、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の出力調整は行わない。このとき、第2の冷却ユニットであるペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の動作は行わない。
【0084】
ここでの分析部110の機能は、試薬の保冷のみであり、他ユニットからの熱の流入が少ないため、要求される冷却能力は、Qjspec以下とする。この場合、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201があらかじめ備えている一定の温度範囲で運転をオンオフする機能により、冷水の温度は保たれる。蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の断続運転により、分析部110内部の温度環境は常に変動するが、分析部110の電源がオフであるため、分析性能には影響ない。
【0085】
ステップS1において、分析部110の電源がオンである場合、分析部電源オン判断部111Aは分析部110の電源がオンである情報を第1制御部111B及び第2制御部111Cに送信する。そして、処理はステップS3に進む。ステップS3において、第1制御部111Bは、第1の冷却ユニット201を連続運転とする。そして、第2制御部111Cは第2の冷却ユニット301の出力調整を開始する。
【0086】
次に、ステップS4において、第2制御部111Cは、温度センサ302が測定した冷水温度(媒体温度)が制御目標温度(制御目標温度)に達しているか否かを判断する。
【0087】
ステップS4において、冷水温度が制御目標温度に達していない場合は、ステップS5に進み、第2制御部111Cは、冷水温度を制御目標温度に近づけるために第2の冷却ユニットであるペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301を100%の出力で運転を行う。第2制御部111Cは、冷水温度が制御目標温度に達した後はステップS4に戻る。
【0088】
ステップS4において、冷水温度が制御目標温度に達している場合は、ステップS6に進み、第2制刑部111Cは、冷水温度が制御目標温度に一致するように第2の冷却ユニット301を制御して出力調整を行う。第2の冷却ユニット301は、出力調整用の温調ユニットと定義することができる。
【0089】
なお、第2制御部の制御の方式は本発明では問わないが、一例としてPID制御でパラメータを適当に決定することで制御の実現が可能である。
【0090】
以上が本発明の実施例1における自動分析装置の使用状況による冷却ユニット制御のフローである。
【0091】
次に、図6を参照して、本発明の実施例1における各ユニットの情報のやり取りについて述べる。
【0092】
図6において、第1の冷却ユニットである蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は、制御部111による電源投入により、上述した一定の温度範囲における自律制御を開始する。
【0093】
分析部110の制御を行う制御部(装置制御部)111は、冷水温度測定センサ302から、冷却の媒体である冷水の温度情報を受け取る。制御部111は、受け取った温度情報と、あらかじめ定められた制御目標温度を比較し、その差に応じて第2の冷却ユニットであるペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の出力調整を行う。この出力調整により、冷水の温度が変化する。再び冷水温度センサ302から、冷水の温度情報を受け取り、制御部111はペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の出力調整を行う。
【0094】
制御部111が冷水温度センサ302から情報を受け取る間隔は、安定して制御を行うために、系の時定数などを考慮して適切に定められる必要がある。
【0095】
上述した一連の流れの動作が繰り返され、冷水の温度を安定して制御するため、冷却ユニット201、301の出力も大きく変化せず、分析部110内部の温度環境が安定し、微量な検体分析を可能とする。
【0096】
以上が本発明における各ユニットの情報のやり取りである。
【0097】
本発明の実施例1においては、試薬保冷庫209を冷却する水や空気等の媒体の温度を冷水温度センサ302によりセンシングし(測定し)、目標温度となるように第2の冷却ユニットであるペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の出力を制御部111がコントロールする。ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301は、印加電圧を逆にすることで容易に加熱ユニットになるため、その特性を利用して調整の範囲を広げることができる。
【0098】
第1の冷却ユニットである蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201は、連続的に動作しているため、動作中の冷却量、排熱量は一定である。ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット201は、水や空気等の媒体の温度が目標温度に到達するまでは出力を変化させるが、媒体の温度が目標温度に到達し、分析部110内の温度変動が落ち着いた後は、媒体の温度が安定するように制御する。このため、出力の変化がほとんどなく、動作中の冷却量、排熱量もほぼ一定となる。
【0099】
つまり、本発明の実施例1によれば、第1の冷却ユニットである蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201と、 第2の冷却ユニットであるペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301との総和により、試薬保冷庫209及び反応槽211の温度調整を行い、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201を連続運転して、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の出力を調整し、冷水温度が一定となるように制御している。
【0100】
よって、大きな冷却能力を有し、かつ、温度変動が抑制され、微量な検体においても精度よく測定することが可能な自動分析装置を実現することができる。
【0101】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0102】
なお、特別な言及がない限り、実施例1における構成要素の一部、あるいは複数部を以下の他の実施例に置き換えても成り立つものとする。よって、構成要素の実施例の組み合わせにより、本発明の実施例が構成されるものとする。
【0103】
図7は、本発明の実施例2における冷却シスデムの概略構成図である。自動分析装置の概略構成は、実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0104】
実施例1と実施例2との相違点は、実施例2においては、実施例1のペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301が省略され、第1の冷却ユニットである蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の凝縮器203を冷却する送風ファン(冷却ファン)216が第2の冷却ユニットとして構成されている。よって、実施例2において、第1の冷却ユニットは、実施例1に示した蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201のうち送風ファン216以外の部分であり、第2の冷却ユニットは蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201の送風ファン216である。
【0105】
実施例2における動作フローは図4に示したフローと同様である。また、実施例2における制御部111の機能ブロックは、図5に示した例と同様である。ただし、図5において、第2の冷却ユニット301は、第2の冷却ユニット216に置き換える。また、実施例2における各ユニットの情報のやり取りは図6に示した例と同様である。ただし、図6において、第2の冷却ユニット301は、第2の冷却ユニット216に置き換える。
【0106】
本発明において、第1の冷却ユニットとして、出力が大きく、効率が良いが、運転の微調整が難しいものを想定しており、蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット201が該当する。
【0107】
実施例1では、単純なオンオフの間欠動作を行う蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニットを想定したが、凝縮器203を冷却する送風ファン216の変速によっても、ある程度の冷却能力の制御が可能である。
【0108】
送風ファン216を無段階・あるいは数段階変速させることにより、上述した要求される冷却能力WmaxとWminの範囲をカバーできるのであれば、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301を省略しても、実施例2は実施例1と同等の効果が見込める。
【0109】
また、要求される冷却能力の範囲をすべてカバーすることができなくても、第1の冷却ユニット201と第2の冷却ユニット216とを組み合わせて使用することで、第2の冷却ユニット216に必要とされる冷却能力の最大値を低減し、ユニット小型化や消費電力低減の効果が見込める。
【0110】
第2の冷却ユニットである送風ファン216の変速制御は、冷水温度のみならず、環境温度によっても行うことが可能である。
【0111】
本発明の実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0112】
なお、実施例2において、実施例1と同様に、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301を配置し、送風ファン216及びペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301の組み合わせを第2の冷却ユニットする例も本発明の一実施例である。
【0113】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について説明する。
【0114】
図8は、本発明の実施例3における冷却シスデムの概略構成図である。自動分析装置の概略構成は、実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0115】
実施例1と実施例3との相違点は、実施例2においては、実施例1のペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301に代えてペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301が配置された位置にヒータ303が配置され、ヒータ303が第2の冷却ユニットとして構成されている。
【0116】
実施例3における動作フローは図4に示したフローと同様である。また、実施例3における制御部111の機能ブロックは、図5に示した例と同様である。ただし、図5において、第2の冷却ユニット301は、第2の冷却ユニット303に置き換える。また、実施例3における各ユニットの情報のやり取りは図6に示した例と同様である。ただし、図6において、第2の冷却ユニット301は、第2の冷却ユニット301に置き換える。
【0117】
第2の冷却ユニットとして、出力調整が容易なものが該当する。実施例1ではペルチェ型ヒートポンプを上げたが、出力調整という点では、ヒートポンプでなくとも、ヒータによってシステムの総和としての冷却能力を調整しても本発明は成り立つ。
【0118】
実施例3においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0119】
ただし、実施例3の場合、第1の冷却ユニット201のみで要求される冷却能力Wmaxを満たすことが必要であり、実施例1と比較して、冷却ユニットが大型になる。また、実施例3は実施例1と比較して、エネルギー効率が劣る。
【0120】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4について説明する。
【0121】
図9は、本発明の実施例4における冷却シスデムの概略構成図である。自動分析装置の概略構成は、実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0122】
実施例1と実施例4との相違点は、実施例4においては、実施例1のペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301に代えて、ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット301が配置された位置に送風ファン(冷却ファン)304が配置され、試薬保冷庫209を温調する媒体の温度を調整する送風ファン304が第2の冷却ユニットとして構成されている。
【0123】
実施例4における動作フローは図4に示したフローと同様である。また、実施例4における制御部111の機能ブロックは、図5に示した例と同様である。ただし、図5において、第2の冷却ユニット301は、第2の冷却ユニット304に置き換える。また、実施例4における各ユニットの情報のやり取りは図6に示した例と同様である。ただし、図6において、第2の冷却ユニット301は、第2の冷却ユニット304に置き換える。
【0124】
第2の冷却ユニットとして、出力調整が容易なものが該当する。実施例1ではペルチェ型ヒートポンプを上げたが、出力調整という点では、ヒートポンプでなくとも、送風ファン304によってシステムの総和としての冷却能力を調整しても本発明は成り立つ。
【0125】
実施例4においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0126】
101・・・反応セル、102・・・水吐出機構、103・・・光度計(測定部)、104・・・廃液排出機構、105・・・試薬ディスク、106・・・検体分注機構、107・・・検体容器、108・・・試薬分注機構、109・・・反応ディスク(反応部)、110・・・分析部、111・・・制御部、111A・・・分析部電源オン判断部、111B・・・第1制御部、111C・・・第2制御部、113・・・試薬容器、201・・・蒸気圧縮型ヒートポンプ冷却ユニット(第1の温調ユニット)、202・・・圧縮機、203・・・凝縮器、204・・・蒸発器、205・・・冷水槽、206・・・冷水槽温度測定センサ、207・・・冷水循環ポンプ、208・・・冷水流路、209・・・試薬保冷庫、210・・・試薬カセット、211・・・反応槽、212・・・反応槽水循環ポンプ、213・・・反応槽水流路、214・・・反応槽水冷却管、215・・・反応槽水加熱ヒータ、216・・・送風ファン、301・・・ペルチェ型ヒートポンプ冷却ユニット(第2の温調ユニット)、302・・・冷水温度測定センサ、303・・・ヒータ、304・・・送風ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9