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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】スピロチエタンヌクレオシド
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/06 20060101AFI20231018BHJP
   C07H 19/10 20060101ALI20231018BHJP
   C07H 19/16 20060101ALI20231018BHJP
   C07H 19/20 20060101ALI20231018BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20231018BHJP
   A61K 31/708 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20231018BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
C07H19/06 CSP
C07H19/10
C07H19/16
C07H19/20
A61K31/7072
A61K31/708
A61P31/12
A61P31/14
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020511439
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018073505
(87)【国際公開番号】W WO2019043177
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】17189097.3
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ターリ,アブデラ
(72)【発明者】
【氏名】ボンファンティ,ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンカーズ,ティム ヒューゴ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ラボイッソン,ピエール ジーン-マリー ベルナルド
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544286(JP,A)
【文献】国際公開第2016/073756(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
若しくはその立体異性体
(式中、塩基は(B-1)、(B-2)、(B-3a)、(B-3b)、(B-4)、及び(B-5)からなる群から選択され、
【化2】
式中、Rは、水素又はC1~6アルキルであり、
は、水素、ハロ、メチル、CHCl、CHF、及びNからなる群から選択される)
又はその一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物(ここで、前記一リン酸塩、二リン酸塩、および三リン酸塩は、式(I)の1-チアスピロ[3,4]オクタン部分の7位のヒドロキシメチル基において形成された、以下
【化2A】
の構造を有するリン酸エステルをそれぞれ有するものである)
【請求項2】
式(I’)を有し、
【化3】
式中、塩基は(B-1)、(B-2)、(B-3a)、(B-3b)、(B-4)、及び(B-5)からなる群から選択され、
【化3A】
式中、Rは、水素又はC 1~6 アルキルであり、
式中、
は、水素、
【化4】
、式(a-1)の基、式(a-2)の基、式(a-3)の基、及び式(a-4)の基からなる群から選択され;
【化5】
式中、
及びRはそれぞれ独立して、水素、フェニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、及びピリジルからなる群から選択され、これらのそれぞれが、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1616’からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換されるか、或いは
及びRは、それぞれ独立して、任意選択的に、その窒素原子において、C~Cアルキル若しくはC~Cアルキルオキシカルボニルで、及び/又は任意の利用可能な炭素原子において、それぞれ独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1717’からなる群から選択される1、2、若しくは3個の置換基で置換されるインドリルであり;
、R5’、R10及びR10’は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか、或いは
及びR5’、又はR10及びR10’は、それらが結合している炭素原子と共に、C~Cシクロアルカンジイル又は1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環を形成し;
は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR1818’からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
は-OR19又は-NR2020’であり;
は、C~Cアルキル、フェニル、及びフェニル-C-Cアルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、及びC~Cアルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
11は、水素、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立して、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR2323’からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
19は、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、オキセタニル、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル-、-CH-O-(C=O)C~Cアルキル、及び-CH-O-(C=O)OC~Cアルキルからなる群から選択され;
20は、水素、C~Cアルキル、及びC~Cシクロアルキルからなる群から選択され;R20’は、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、及び(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル-からなる群から選択されるか;或いは
-NR2020’は共にアゼチジニル、ピロリジニル、又はピペリジニル環を形成し、そのそれぞれが、任意選択的に、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルキルオキシ、及び(C=O)-OR21からなる群で置換され得、式中、R21は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立して、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR2222’からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
は水素又は式(b)の基であり、
【化6】
式中、
12は、C~Cアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、
式中、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、及びC~Cアルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;又は
及びRは、結合して式(c-1)又は(c-2)の二価ラジカルを形成し、
【化7】
式中、
13及びR13’はそれぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いは
13及びR13’は、それらが結合している炭素原子と共に、C~Cシクロアルカンジイル又は1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環を形成し;
14は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR2424’からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
15は-OR25又は-NR2626’であり;式中、
25は、水素;C~Cアルキル;それぞれ独立してフェニル、ナフチル、C~Cシクロアルキル、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換されたC~Cアルキル;C~Cシクロアルキル;(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル-;-CH-O-(C=O)C~Cアルキル;-CH-O-(C=O)OC~Cアルキル;1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環、並びにArからなる群から選択され;
Arは、フェニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、及びピリジルからなる群から選択され、これらのそれぞれが、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR27’’27’からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換されるか、或いは、
Arは、任意選択的に、その窒素原子において、C~Cアルキル若しくはC~Cアルキルオキシカルボニルで、及び/又は任意の利用可能な炭素原子において、それぞれ独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR2828’からなる群から選択される1、2、若しくは3個の置換基で置換されたインドリルであり;
26は、水素、C~Cアルキル、及びC~Cシクロアルキルからなる群から選択され;R26’は、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、及び(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル-からなる群から選択されるか;或いは
-NR2626’は共にアゼチジニル、ピロリジニル、又はピペリジニル環を形成し、そのそれぞれが、任意選択的に、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルキルオキシ、及び(C=O)-OR27からなる群で置換され得、式中、R27は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立して、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR2929’からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
16、R16’、R17、R17’、R18、R18’、R22、R22’、R23、R23’、R24、R24’、R27’’、R27’、R28、R28’、R29、及びR29’は、それぞれ独立して、水素、及びC~Cアルキルから選択され;
は、水素、ハロ、メチル、CHCl、CHF、及びNからなる群から選択される、合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【請求項3】
は、水素、
【化8】
、式(a-1)の基、式(a-2)の基、及び式(a-3)の基からなる群から選択され、式中
及びRは、それぞれ独立してフェニル又はナフチルであり、これらのそれぞれが、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1616’からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され、式中、R16及びR16’はそれぞれ独立して水素、及びC~Cアルキルから選択されるか;或いはR及びRはそれぞれ独立してインドリルであり;
及びR5’はそれぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いはR及びR5’は、それらが結合している炭素原子と共にC~Cシクロアルカンジイルを形成し;
は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され;
は-OR19又は-NR2020’であり;式中R19はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
20は水素であり、R20’はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
はC~Cアルキルであり;
は水素又は式(b)の基であり、式中R12はC~Cアルキルであるか;或いは、
及びRは、結合して式(c-1)又は(c-2)の二価ラジカルを形成し、式中、
13及びR13’はそれぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いはR13及びR13’は、それらが結合している炭素原子と共にC~Cシクロアルカンジイルを形成し;
14は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され;
15は-OR25又は-NR2626’であり、式中、R25は、C~Cアルキル;フェニル;C~Cシクロアルキル;並びにそれぞれ独立してフェニル、ナフチル、C~Cシクロアルキル、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換されたC~Cアルキルからなる群から選択され;R26は水素であり;R26’はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルである、請求項2に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【請求項4】
は、
水素、
【化9】
、及び式(a-1)の基からなる群から選択される
か、或いは、R及びRは、結合して式(c-2)の二価ラジカルを形成する、請求項2又は3に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【請求項5】
はフェニル、ハロフェニル、ジC~Cアルキルフェニル、又はナフチルであり;
及びR5’はそれぞれ独立して水素、C~Cアルキル、ベンジル、又はフェニルであり;
はC~Cアルキルであり;
15は-OR25であり、式中R25はC~Cアルキル、又はフェニル、C~Cアルキルオキシ、若しくはC~Cシクロアルキルで置換したC~Cアルキルである、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【請求項6】
塩基は(B-1)、(B-2)、又は(B-3a)であり、Rは、水素、ハロ、及びNからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物。
【請求項7】
以下:
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
から選択される化合物、若しくはその立体異性体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【請求項8】
治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
薬学的に許容可能な担体が、治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物と密に混合されることを特徴とする、請求項8に記載の医薬組成物を調製するためのプロセス。
【請求項10】
薬剤として使用するための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
フラビウイルス科ウイルス感染の治療若しくは予防、及び/又はアルファウイルス感染の治療若しくは予防に使用するための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
HCV及び/又はデングウイルスの阻害剤として使用するための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項13】
チクングンヤウイルス及び/又はシンドビスウイルス及び/又はセムリキ森林ウイルスの阻害剤として使用するための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項14】
フラビウイルス科及び/若しくはアルファウイルスに感染しているか、又はフラビウイルス科及び/若しくはアルファウイルスに感染するリスクのある温血動物を治療する方法で用いるための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を含み、
前記方法は、抗フラビウイルス科及び/又は抗アルファウイルス有効量の、前記化合物、若しくはその立体異性体、又はその一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を投与することを含む、医薬組成物。
【請求項15】
フラビウイルス科ウイルス感染の治療若しくは予防及び/又はアルファウイルス感染の治療若しくは予防における、同時、個別、又は逐次的使用のための組み合わせ調製物としての、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその立体異性体、又はその一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩、あるいはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物、及び追加の医薬品を含む製品。
【請求項16】
前記治療有効量が、抗ウイルス有効量である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記治療有効量が、抗ウイルス有効量である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項18】
前記温血動物が、ヒトである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記追加の医薬品が、追加の抗ウイルス剤である、請求項15に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2’-スピロチエタンヌクレオシドと、そのリン酸塩及びプロドラッグと、それらの薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、特に、フラビウイルス科ファミリー及び/又はアルファウイルス属に属するウイルスに起因するウイルス感染の予防及び/又は治療における薬剤としてのこうした化合物の使用と、に関する。本発明は、更に、化合物の医薬組成物又は組み合わせ調製物、並びに、より好ましくは、フラビウイルス科ファミリー及び/又はアルファウイルス属に属するウイルスによって引き起こされるウイルス感染の予防又は治療のための薬剤として使用するための組成物又は製剤に関する。本発明は、更に、この化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、フラビウイルス科ファミリーのヘパシウイルス属に属する、エンベロープを有する一本鎖のプラスセンスRNAウイルスである。このウイルスは、ウイルスの複製に必須であるRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)であるNS5Bをコードする。初期ウイルス感染後、感染した個体の大半は慢性肝炎を発症し、これが肝線維症へと進行して、末期肝疾患である肝硬変、及びHCC(肝細胞癌)をもたらして、肝移植の主な原因となる場合がある。HCVは、地理的に異なって分布している6種類の主な遺伝子型、及び50種を超える亜型に分類される。遺伝子型1は、欧州及び米国内で優勢な遺伝子型である。HCVの広範な遺伝子異質性は重要な診断的及び臨床的意味を有しており、おそらくワクチン開発における困難さ、及び現在の治療法に対する応答の欠如を説明するものである。
【0003】
HCVの伝播は、汚染された血液又は血液製品との接触、例えば輸血後又は静脈内薬物使用を介して生じ得る。血液スクリーニングに用いられる診断試験の導入により、輸血後HCV発生率の下方傾向がもたらされている。しかしながら、末期肝疾患への遅い進行を考慮すると、既存の感染症は、重大な医学的及び経済的負担を数十年間もたらし続けるであろう。
【0004】
NS5Bポリメラーゼは、HCV RNAゲノムの複製に必須である。この酵素は、医薬品化学者の間で大きな関心を集めている。NS5Bのヌクレオシド阻害剤及び非ヌクレオシド阻害剤はともに既知である。ヌクレオシド阻害剤は、連鎖停止剤として、若しくは競合阻害剤として、又はその両方として作用し得る。活性となるためには、ヌクレオシド阻害剤は細胞に吸収されて、インビボで三リン酸塩に変換される必要がある。この三リン酸塩への変換は通常、細胞キナーゼにより媒介されるため、潜在的なヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤に対しては追加の構造的要求がなされる。
【0005】
節足動物媒介ウイルスは、いくつかの最重要の新興及び再興感染症の原因物質であり、重大な地球的規模の公衆衛生問題を引き起こす。
【0006】
これらのウイルスのうちの1つが、ヤブカ属蚊によって伝染されるフラビウイルスのデングウイルスであり、これはデング熱、デング出血熱、及びデングショック症候群などの重篤且つ致死的な疾患を引き起こし得る。デングウイルスは、いわゆるDENV-1、-2、-3、及び-4の、4種の異なるが密接に関連する血清型に分類され得る。デング熱は、世界のほとんどの熱帯及び亜熱帯地域、主に都市部及び準都市部に特有である。世界保健機関(WHO)によれば、25億人がDENV感染の危険にさらされており、そのうちの10億人が小児である(WHO、2002)。毎年、世界で、推定5千万~1億例のデング熱[DF]、50万例の重症デング疾患(すなわち、デング出血熱[DHF]及びデングショック症候群[DSS])、及び20,000人を超える死者が発生している。DHFは、流行地における小児の入院及び死亡の主な要因となっている。要するに、デング熱はアルボウイルス疾患の最も一般的な原因である。ラテンアメリカ、東南アジア、及び西太平洋の国々(ブラジル、プエルトリコ、ベネズエラ、カンボジア、インドネシア、ベトナム、タイなど)における近年の大規模集団発生のために、過去数年に亘りデング症例数は著しく増加している。デング熱は新しい地域に広がっているため、この疾患の症例数が増加しているだけでなく、その集団発生がより深刻化する傾向にある。
【0007】
デングウイルス感染に関連する疾患の予防及び/又は防除のために使用可能な方法は、現在のところ、ベクターを防除するための蚊の根絶戦略のみである。デングウイルスに対するワクチンの開発が進められているが、多くの困難がある。こうした困難には、ウイルスの抗体依存性感染増強(ADE)と呼ばれる現象の存在が含まれる。
【0008】
1種の血清型による一次感染によって、その血清型に対する生涯にわたる免疫が得られるが、他の3種の血清型のうちの1種による二次感染に対しては、部分的で一過性の保護しか得られない。他の血清型に感染すると、既存の異種抗体は、新たに感染したデングウイルスと複合体を形成するが、その病原体を中和することはない。むしろ、細胞へのウイルスの侵入が促進され、それによりウイルスの無制御な複製が起こり、ピークウイルス価がより高くなると考えられる。一次感染及び二次感染の両方において、より高いウイルス価はより重症のデング疾患に関連する。母親由来抗体は授乳によって容易に乳児に移行し得るため、これは、小児の方が成人より重症デング疾患に冒されやすい理由の1つであり得る。
【0009】
高頻度発症地域とも称される2種以上の血清型が同時に広まった地域では、二次感染の危険性が増大するために重症デング疾患の危険性が著しく高い。更に、今日、デング熱ウイルス感染を治療又は予防するための特定の抗ウイルス剤を入手することはできない。
【0010】
その他の節足動物媒介ウイルスとしては、トガウイルス科ファミリーに属するアルファウイルス属が挙げられる。この属におけるウイルスは、熱病から、重篤な多発性関節炎から、脳炎までにわたる疾患の原因となる。一種のアルファウイルスであるチクングンヤウイルス(CHIKV)は、重篤な罹患率を伴う近年の集団発生を引き起こした(Pialoux G.et al.,Lancet Infect Dis 2007;7:319-27)。
【0011】
CHIKVは蚊媒介性のウイルス性疾患であり、1952~1953年にヒト及び蚊の両方から初めて分離された。それ以来、数多くのCHIKVの再興がアフリカ及びアジアで報告されている。2005~2006年前後に爆発的な集団発生が南アジア及び東南アジア、インド洋諸島、アフリカ、並びに北イタリアで起こった。例えば、2006年前後の爆発的集団発生では、インド国で140万の症例が報告され、Reunion(フランス国)では775,000人の住民のうち266,000人が感染し、イタリア国では約300の症例が報告された。死亡率は約0.1%であるものの、これは、数ヶ月、又は更には数年間続く場合のある、激しい苦痛を伴う関節炎様の症状を引き起こす。フランス国及びイタリア国における近年の集団発生は、これが欧州及び世界の他の地域に対する脅威となる可能性があり得ることを示す。
【0012】
CHIKVは、感染したA.アルボピクタス(A albopictus)及びA.エジプティ(A aegypti)蚊による刺傷を介してヒトに伝染する。チクングンヤウイルス感染後は平均で2~4日間の潜伏期間があり、それに続いて高熱、発疹、頭痛、背痛、筋肉痛、及び関節痛などの病徴が起こる。例えば出血熱、結膜炎、光恐怖症、肝炎、及び口内炎などの、チクングンヤ感染の重篤な臨床的兆候も起こり得る。脳炎、熱性発作、髄膜症候群、及び急性脳症などの神経学的兆候も報告されている。
【0013】
CHIKVは、約12kbのヌクレオチドのゲノムを含む、エンベロープを有するプラスセンスの一本鎖RNAウイルスである。CHIKVのゲノムは:5’cap-nsP1-nsP2-nsP3-nsP4-(結合領域)-C-E3-E2-6k-E1-ポリ(A)-3’として組織化され、式中、第1の4つのタンパク質(nsP1-4)は非構造的タンパク質であり、構造的タンパク質はカプシド(C)及びエンベロープタンパク質(E)である。
【0014】
アフリカ、アジア、及びインド洋諸島で分離されたCHIKV間に明確な血清型の違いは存在しない。E1遺伝子配列に基づく系統発生解析は、CHIKVを、アジア系、東/中央/南アフリカ(ECSA)系、及び西アフリカ系の3つの遺伝子型(系統)に分類することができる。アジア系遺伝子型は、ECSA及び西アフリカ系遺伝子型とはそれぞれ約5%及び約15%のヌクレオチド量が異なっていた。アフリカ系遺伝子型(ECSA対西アフリカ系)は、約15%不一致であった。3つの遺伝子型間のアミノ酸同一性は、95.2~99.8%で変化した。
【0015】
現在、動物、より具体的にはヒトをCHIKV感染から予防及び治療するための認可されたワクチン及び抗ウイルス剤は存在しない。したがって、治療は単に症候性であり、これは非ステロイド系抗炎症剤に基づく。チクングンヤウイルスと戦うワクチンの欠如、その更なる拡散、及び全世界にわたる感染を理由として、チクングンヤウイルス感染を予防及び治療するための小化学分子を開発する高い医学的必要性が存在する。同様に、現在、その他のアルファウイルス、具体的にはシンドビスウイルス及びセムリキ森林ウイルスと戦うために利用可能な治療は存在しない。したがって、上記のウイルスによる感染を予防及び治療するための小化学分子を開発する医学的必要性が存在する。
【0016】
更に、動物、より具体的にはヒトにおけるウイルス感染を予防又は治療するため、並びに特にフラビウイルス、より具体的にはHCV及びデングウイルスにより引き起こされるウイルス感染のための治療物質に対する、満たされていない大きな医学的必要性が依然として存在する。国際公開第2012/075140号パンフレットは、C型肝炎ウイルス又はデングウイルスに感染した対象を治療するのに有用な2’-スピロ-ヌクレオシド及びその誘導体を開示している。国際公開第2016/073756号パンフレットは、HCVによって引き起こされた感染を治療又は予防するための重水素化されたウリジンヌクレオシド誘導体を開示している。しかしながら、また、ソホスブビルとの組み合わせに基づくものなどのHCV治療のための多くの抗HCV療法、及び臨床試験を受けている新規な直接作用抗ウイルス治療法が利用可能であるにもかかわらず、有利な特性を有する代替的な治療薬及び/又は治療法に対する必要性が依然として存在する。例えば、耐性への高い遺伝的バリア、広範な遺伝子型カバレッジ、好都合な副作用及び安全性プロフィール、並びに/又はより短い治療期間;更に、抗ウイルス力が良好であり、副作用が無いか若しくは低レベルであり、複数のデングウイルス血清型に対する広範な抗菌力スペクトラムを備え、低毒性であり、且つ/又は良好な薬物動態的若しくは力学的特性を備える化合物が強く求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、フラビウイルス科ウイルス、具体的にはHCV及び/若しくはデングウイルス、並びに/又はアルファウイルス、具体的にはチクングンヤウイルス及び/若しくはシンドビスウイルス及び/若しくはセムリキ森林ウイルスに対する活性を有する、2’-スピロチエタンヌクレオシド、並びにその一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、及びプロドラッグ、並びにその薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物を提供する。
したがって、本発明の一態様は、全ての可能なその立体異性体を含む、式(I)のスピロチエタンヌクレオシド
【化1】
式中、
塩基は(B-1)、(B-2)、(B-3a)、(B-3b)、(B-4)、及び(B-5)からなる群から選択され、
【化2】
式中、Rは、水素又はC1~6アルキルであり、
は、水素、ハロ、メチル、CHCl、CHF、及びN からなる群から選択される、
並びにその一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、及びプロドラッグ、
並びにその薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物を提供する
【0018】
本発明は、更に、治療有効量、具体的には抗ウイルス有効量の式(I)の化合物、又はその立体異性体、又はそのリン酸塩(すなわち、一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩)若しくはプロドラッグ、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物、及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0019】
更に、本発明は、薬剤として使用するための、具体的にはフラビウイルス科ウイルス感染、具体的にはC型肝炎及び/若しくはデングウイルス感染の治療若しくは予防、並びに/又はアルファウイルス感染、具体的にはチクングンヤウイルス及び/若しくはシンドビスウイルス及び/若しくはセムリキ森林ウイルス感染の治療若しくは予防に使用するための、式(I)の化合物、又はその立体異性体、又はそのリン酸塩(すなわち、一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩)若しくはプロドラッグ、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物に関する。
【0020】
更に、本発明は、フラビウイルス科ウイルス感染、具体的にはC型肝炎及び/若しくはデングウイルス感染の治療若しくは予防、並びに/又はアルファウイルス感染、具体的にはチクングンヤウイルス及び/若しくはシンドビスウイルス及び/若しくはセムリキ森林ウイルス感染の治療若しくは予防に使用するための更なる抗ウイルス剤と組み合わせた、式(I)の化合物、又はその立体異性体、又はそのリン酸塩(すなわち、一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩)若しくはプロドラッグ、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物の使用に関する。
【0021】
更に、本発明は、薬学的に許容可能な担体が、治療有効量、具体的には抗ウイルス有効量の式(I)の化合物、又はその立体異性体、又はそのリン酸塩(すなわち、一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩)若しくはプロドラッグ、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物と密に混合されることを特徴とする、本発明の医薬組成物を調製するためのプロセスに関する。
【0022】
本発明は、更に、フラビウイルス科ウイルス感染、具体的にはC型肝炎及び/若しくはデングウイルス感染の治療若しくは予防における、並びに/又はアルファウイルス感染、具体的にはチクングンヤウイルス及び/若しくはシンドビスウイルス及び/若しくはセムリキ森林ウイルス感染の治療若しくは予防における、同時、個別、又は逐次的な使用のための組み合わせ調製物としての、式(I)の化合物、又はその立体異性体、又はそのリン酸塩(すなわち、一リン酸塩、二リン酸塩、若しくは三リン酸塩)若しくはプロドラッグ、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物、及び追加的な医薬品、具体的には追加的な抗ウイルス剤を含む生成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で使用する時、用語「約」は、当業者に既知の意味を有する。特定の実施形態では、用語「約」が省略されている場合があり、正確な量が意味される。他の実施形態では、用語「約」は、用語「約」に続く数字が、前述の数値の±15%、又は±10%、又は±5%、又は±1%の範囲内であることを意味する。
【0024】
本明細書で使用する時、基又は基の一部としての「Cアルキル」は、例えばメチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピルなどの、1~4個の炭素原子を有する飽和の直鎖又は分岐鎖炭化水素ラジカルを定義する。「C~Cアルキル」はC~Cアルキルラジカル、及び、例えば1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、2-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ペンチル、2-エチル-1-ブチル、3-メチル-2-ペンチルなどといった、5又は6個の炭素原子を有するその高級同族体を包含する。C~Cアルキルの中でも関心の対象は、C~Cアルキルである。「C~C10アルキル」は、C~Cアルキルラジカル、及び、例えば、ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-メチルヘキシル、オクチル、2-オクチル、3-オクチル、ノニル、2-ノニル、3-ノニル、2-ブチルペンチル、デシル、2-デシルなどといった、7、8、9、又は10個の炭素原子を有するその高級同族体を包含する。C~C10アルキルの中でも関心の対象は、C~Cアルキルであり、C~Cアルキルはメチル及びエチルを定義する。
【0025】
「C~Cアルコキシ」は、ラジカル-O-C~Cアルキルを意味し、C~Cアルキルは上記で定義したとおりである。C~Cアルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、又はイソプロポキシである。
【0026】
「C~Cシクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。関心の対象は、シクロプロピル及びシクロブチルである。
【0027】
基、又は基の一部としての用語「C~Cアルケニル」は、例えば、1-プロペニル、2-プロペニル(又はアリル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-2-プロペニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、2-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ペンテニルなどといった、飽和炭素-炭素結合及び少なくとも1つの二重結合を有し、2~6個の炭素原子を有する、直鎖及び分岐鎖の炭化水素ラジカルを定義する。C~Cアルケニルの中でも関心の対象は、C-Cアルケニル、特にC-Cアルケニルである。C-Cアルケニル、特にC~Cアルケニル又はC-Cアルケニルの中でも関心の対象は、1つの二重結合を有するラジカルである。
【0028】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード、特にフルオロ及びクロロの総称である。
【0029】
一実施形態では、用語「フェニル-C-Cアルキル」はベンジルである。
【0030】
本明細書で使用する時、用語「(=O)」又は「オキソ」は、炭素原子に結合している場合、カルボニル部分を形成する。原子は、その原子の結合価が許容する場合にのみ、オキソ基で置換できることに留意するべきである。
【0031】
当業者であれば、特に1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環は、飽和環であり、任意の利用可能な炭素原子を介して式(I)の分子の残部と結合され得ることを理解するであろう。1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環は、具体的には3、4、5、又は6員環である。非限定的な例としては、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルなどが挙げられる。
【0032】
本明細書で使用する時、用語「リン酸塩(phosphates)」又は「リン酸塩(a phosphate)」は、特に明記しない限り、一般には、本明細書で使用される式(I)の化合物、又はその亜群の一リン酸エステル、二リン酸エステル、及び/又は三リン酸エステルを指し、すなわち、これは以下の群を指す。
【化3】
【0033】
本発明の化合物は、本明細書ではその中性形態で表されており、生体系内に存在し、また当業者に既知である荷電形態もまた本開示の範囲内に含まれることは明白であろう。
【0034】
本発明の化合物の用語「プロドラッグ」は、生体系に投与されると、生体内変換又は化学変換(例えば、自然発生的化学反応、酵素触媒化学反応、及び/又は代謝化学反応)の結果として、所望の薬理作用、すなわち抗ウイルス活性を有する生物学的活性剤を生成する任意の化合物を含む。理想的には、プロドラッグは薬理学的に不活性である。プロドラッグに関する一般的な情報は、例えばBundegaard,H.の「Design of Prodrugs」(p.1~92,Elesevier,New York-Oxford(1985))中に見出すことができる。
【0035】
抗ウイルスヌクレオシドの場合、ウイルスポリメラーゼ酵素の実際の阻害を誘発する同化産物はヌクレオシド5’-三リン酸塩である。ヌクレオシド、その一リン酸塩、二リン酸塩、及び三リン酸塩は、直接インビボ投与には適さない場合がある。例えば、ヌクレオシドの第1のリン酸化工程、すなわち、ヌクレオシド5’-一リン酸塩の形成工程は、通常は最も繊細であり、この第1の工程を迂回することで、高濃度の三リン酸塩を産生することに成功してきた。ヌクレオシドの塩基及びリボースの修飾によって、抗ウイルス剤の分野において成功したプロドラッグの形成戦略がもたらされ、例えば、ヌクレオシド5’-一リン酸塩のプロドラッグは、生体利用効率、及び親ヌクレオシドから活性ヌクレオシド5’-三リン酸塩へのインビボリン酸化反応の乏しさなどの問題を克服し、薬剤物質を標的器官に送達した。多くのヌクレオチドプロドラッグが、HIV、HCV、HBV、ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン-バーウイルス、及びサイトメガロウイルスなどのウイルス性疾患の治療のために開発され、承認されてきた。
【0036】
したがって、いくつかのプロドラッグ形成戦略が抗ウイルス剤の分野で利用可能であり、また当業者に既知である。こうしたプロドラッグ戦略は、例えば、その全容が参照により本願に援用される、Jones RJ and Bischofberger N,Antiviral Research 1995,27,1~17;Sofia,MJ,Antivir Chem Chemother 2011,22,23~49;Bobeck DR et al.Antiviral Therapy 2010,15,935~950;Sofia MJ,Adv Pharmacol 2013,67,39~73;Schultz C,Bioorg Med Chem 2003,11,885~898;Pertusati F et al.Antivir Chem Chemother 2012,22,181~203;Sofia MJ et al.J Med Chem 2012,55(6),2481~2531;Coats SJ et al.Antiviral Res 2014,102,119~147;Meier C and Balzarini J,Antiviral Res 2006,71(2-3),282~292で精査されてきた。
【0037】
プロドラッグは、化合物上に存在する官能基を、かかるプロドラッグが対象に投与された際に修飾された官能基がインビボで切断されるように修飾することによって調製され得る。この修飾は、典型的には、プロドラッグ置換基を有する親化合物を合成することによって達成される。一般に、プロドラッグは本発明の化合物を含み、ヒドロキシル、アミノ、又はリン酸基が修飾される。特定の実施形態では、本明細書でより詳細に説明するように、プロドラッグは3’-及び/又は5’-プロドラッグである。
【0038】
本発明のヌクレオシド誘導体がアルコール又はアミノ官能基を、特に3’-及び/又は5’-中心に含有する場合、プロドラッグは、アルコール基及び/又はアミノ基中で水素原子を置換することによって形成されるエステルを含み得る。
【0039】
アルコール官能基の場合、アルコール基の水素原子は、例えば、C-Cアルカノイル、C-Cアルカノイルオキシメチル、1-(C-Cアルカノイルオキシ)エチル、S-アシル-2-チオエチルエステル(SATE)、1-メチル-1-(C-C)アルカノイルオキシ)エチル、C-Cアルコキシカルボニルオキシメチル、N-C-Cアルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、α-アミノC-Cアルキル、α-アミノC-Cアルキレン-アリール、アリールアシル、及びα-アミノアシル、若しくはα-アミノアシル-α-アミノアシル(ここで、各α-アミノアシル基は、独立して、天然に存在するL-アミノ酸から選択される)、又はグリコシル(ヘミアセタール形態の炭水化物のヒドロキシル基除去によって得られるラジカル)などの基によって置換され得る。
【0040】
アミノ官能基の場合、アミノ基の水素原子は、例えば、R-カルボニル-、RO-カルボニル-、Rx1N-カルボニル(式中R及びRx1はそれぞれ独立してC-C10アルキル、C-Cシクロアルキル、ベンジル、天然α-アミノアシルである)、-C(OH)C(=O)ORx2(式中Rx2はHである)、C-Cアルキル又はベンジル、-C(ORx2)Rx3(式中Rx2はC-Cアルキルであり、Rx3はC-Cアルキルである);カルボキシC-Cアルキル;NHC-Cアルキル;NH(C-Cアルキル)C-Cアルキル、N(C-Cアルキル)(C-Cアルキル)C-Cアルキル;-C(Rx4)Rx5(式中Rx4はH又はメチルであり、Rx5はNH(C-Cアルキル)モルホリノである)、N(C-Cアルキル)(C-Cアルキル)モルホリノ、ピペリジン-1-イル、ピロリジン-1-イルなどといった基によって置換され得る。
したがって、ヌクレオシドプロドラッグの特定の例としては、5’及び/又は3’カルボン酸エステルを形成するもの、例えば、アルキルカルボン酸エステル及びその誘導体、例えばアミノ酸エステルが挙げられるが、これらに限定されず、例としては、5’-O-イソ酪酸エステル、3’,5’-ジ-O-イソ酪酸エステル、ピバロイルオキシメチルエステル、アセトキシメチルエステル、フタリジルエステル、インダニル及びメトキシメチルエステル、O-バリニルエステルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
ウイルスポリメラーゼを阻害するために、ヌクレオシドプロドラッグは、細胞内でその5’-三リン酸塩誘導体へと変換されなければならない。場合によっては、ヌクレオシド又はヌクレオシドプロドラッグは、リン酸化キナーゼのうちの1つ以上に対しては劣った基質であり得、且つ/又は細胞アッセイのセットアップにおいて過剰に安定であり得るため、活性は細胞アッセイでは表示されない場合がある。既に述べたように、大半の場合、第1のキナーゼによる一リン酸塩の形成が最も問題となる工程である。5’-一リン酸ヌクレオシドのプロドラッグは、この第1のリン酸化工程を迂回して成功裏に送達され、高い細胞内濃度の活性三リン酸塩をもたらした。或いは又は更に、3’-一リン酸ヌクレオシドのプロドラッグが形成されてもよい。抗ウイルス剤としてヌクレオチドプロドラッグ、具体的には3’-及び/又は5’-モノホシェート(monophoshate)ヌクレオシドプロドラッグ、より具体的には5’-モノホシェートヌクレオシドプロドラッグを提供するいくつかの戦略が存在し、且つ当業者に既知である。ヌクレオチドプロドラッグの例としては、ホスホルアミデート、リン酸塩、環状1-アリール-1,3-プロパニルホスフェートエステル(HepDirect)及び環状サリチルアルコール変異体(cycloSal)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
ホスホルアミデートは、アミノ酸及びアリールオキシエステルで誘導体化されたリン酸基からなる。このアプローチの変形は、例えば、アリールオキシエステルを他のエステル、例えば、置換アルキルエステル、特にS-アシル-2-チオエチルエステル誘導体などと置換することを伴う。他の変形は、アミデート結合において2つのアミド結合アミノ酸(ジアミデート)、又は単純アミン、例えばベンジルアミノ又はアシルオキシエチルアミノを伴う。
【0043】
リン酸塩としては、例えば、ピバロイルオキシメチル(POM)又はアルコキシカルボニルオキシメチル(POC)鎖を組み込んだリン酸塩、アリールリン酸エステル、及び脂質リン酸エステル、例えばオクタデシルオキシエチル又はヘキサデシルオキシプロピルリン酸塩が挙げられる。
【0044】
好ましくは、プロドラッグは5’-ホスホルアミデート又は5’-リン酸塩であるが、ホスホルアミデート及びリン酸塩は、代替的に又は追加的に、3’-中心において形成されてもよい。あるいは、環状リン酸エステル又はホスホルアミデートは、3’-OH基と5’-OH基との間に架橋を形成して、3’,5’-環状リン酸塩ヌクレオチド、例えば環状一リン酸塩を形成することもできる。こうした環状リン酸エステル又はホスホルアミデートは、SATE(3’,5’-環状ホスホン酸塩、SATE)、ピバロイルオキシメチル(ピバロイルオキシメチル環状リン酸塩(pivaloyloxymethyl cyclic phosphate))、炭酸塩(環状リン酸エステル炭酸塩(carbonate cyclic phosphate esters))、及び単純アルキルエステル基の組み込みなどの、ホスホルアミデート及びリン酸塩に関連して上記で論じたものなどの誘導体も含むことができる。
【0045】
分子部分上のラジカル(例えばフェニル上の置換基)の位置が特定されない場合、又はこれが浮遊結合(floating bond)によって表される場合、こうしたラジカルは、得られる構造が化学的に安定である限り、こうした分子部分の任意の原子上に位置することができる。任意の可変物(variable)が分子内に2回以上存在する場合、各々の定義は独立している。
【0046】
当業者は、用語「任意選択的に置換される」は、「任意選択的に置換される」を用いる表現中で示される原子又はラジカルは、置換されていても置換されていなくてもよいことを意味する(これはそれぞれ置換又は非置換を意味する)と理解するであろう。
【0047】
本明細書で使用する時、「対象」という用語は、治療、観察又は実験の目標であるか又は目標であってきた温血動物、好ましくは哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、霊長類、又はヒト)、より好ましくはヒトを指す。
【0048】
本明細書で使用する時、用語「治療有効量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められる、治療対象の疾病又は疾患の症状の緩和又は反転を含む生体学的反応又は医薬反応を、組織系、動物又はヒト内で誘発する活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0049】
用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、並びに特定の成分の特定の量での組み合わせから直接的又は間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0050】
本明細書で使用する時、用語「治療」は、疾患の進行を遅延、妨害、阻止、又は停止させ得る全てのプロセスを指すことが意図されるが、必ずしも全ての症状の完全な排除を示すものではない。
【0051】
本明細書で、用語「式(I)の化合物」若しくは「本発明の化合物」、又は同様の用語が使用される場合は、常に、式(I)、特に式(I’)の化合物(その可能な立体化学的異性体を含む)、並びにそれらの薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物を含むことが意味される。
【0052】
本明細書で使用する時、実線でのみ示され、実線くさび結合、若しくはハッシュくさび結合(hashed wedged bonds)では示されない結合を含む、又は或いは1つ以上の原子の周囲で特定の構成(例えばR、S)を有するものとして示される、任意の化学式は、各可能な立体異性体、又は2つ以上の立体異性体の混合物を意図する。
【0053】
本明細書に記載する化合物及び中間体の純粋な立体異性体は、上記の化合物又は中間体の同一の基本分子構造の他のエナンチオマー又はジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体と定義される。特に、用語「立体異性体的に純粋な」は、少なくとも80%の立体異性体過剰(即ち、最小で90%の1つの異性体及び最大で10%の他の可能な異性体)から最大で100%の立体異性体過剰(即ち、100%の1つの異性体、及び他の異性体なし)を有する化合物又は中間体、より具体的には90%~最大100%の立体異性体過剰を有する、更により具体的には94%~最大100%の立体異性体過剰を有する、最も具体的には97%~最大100%、又は98%~最大100%の立体異性体過剰を有する化合物又は中間体に関する。用語「エナンチオマー的に純粋な」及び「ジアステレオマー的に純粋な」は、同様に理解するべきであるが、それぞれ、問題となっている混合物のエナンチオマー的過剰、ジアステレオマー的過剰が考慮される。
【0054】
本発明の化合物及び中間体の純粋な立体異性体は、当該技術分野で既知の手順を適用することにより得ることができる。例えば、エナンチオマーは、光学的に活性な酸又は塩基を用いてそれらのジアステレオマー塩を選択的に結晶化することによって互いに分離され得る。光学活性な酸の例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸及びカンファースルホン酸である。代替的に、エナンチオマーは、キラル固定層を用いたクロマトグラフィ法によって分離することができる。上記の純粋な立体化学的異性形態は、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもできるが、但し、反応は、立体特異的に起こるものとする。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、上記の化合物は立体特異的な調製方法によって合成される。これらの方法は、有利には、エナンチオマー的に純粋な出発物質を使用するであろう。
【0055】
式(I)の化合物のジアステレオマーラセミ体は、従来の方法によって個別に得ることができる。有利に使用され得る適切な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化及びクロマトグラフィ、例えばカラムクロマトグラフィである。
【0056】
薬学的に許容可能な付加塩には、式(I)、特に式(I’)の化合物の治療効果のある非毒性の酸及び塩基、並びにそのリン酸塩(すなわち一リン酸塩、二リン酸塩、又は三リン酸塩)の付加塩形態が含まれる。
【0057】
薬学的に許容可能な酸付加塩は、塩基の形態をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸若しくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び同様の酸等の無機酸;又は例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(即ちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(即ちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(即ちヒドロキシルブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモ酸、及び同様の酸等の有機酸を含む。逆に、上記の塩形態は、適切な塩基で処理することによって遊離塩基形態に変換することができる。
【0058】
酸性プロトンを含む式(I)、特に式(I’)の化合物はまた、適切な有機塩基及び無機塩基による処理によって、それらの非毒性金属又はアミン付加塩の形態に変換され得る。適切な塩基塩形態として、例えば、アンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N-メチル-D-グルカミン、ヒドラバミン塩、並びにアルギニン、リシン等のアミノ酸との塩が挙げられる。
【0059】
用語「溶媒和物」は、式(I)、特に式(I’)の化合物、並びにそのリン酸塩(すなわち一リン酸塩、二リン酸塩、又は三リン酸塩)、プロドラッグ、及び塩が形成可能な任意の薬学的に許容可能な溶媒和物を網羅する。こうした溶媒和物は、例えば水和物、アルコラート、例えばエタノラート、プロパノラート等である。
【0060】
式(I)、特に式(I’)の化合物の一部は、その互変異性体でも存在し得る。例えば、アミド(-C(=O)-NH-)基の互変異性体は、イミノアルコール(-C(OH)=N-)であり、これは芳香族性を有する環内で安定な状態となり得る。ウリジン塩基は、そのような形態の一例である。そのような形態は、本明細書で表される構造式には明白に示されないが、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0061】
本発明はまた、原子の1つ以上が、一般に天然に見出されるものとは異なる同位体で置換されている、式(I)、又は式(I)の任意の亜群、特に式(I’)の同位体標識化合物も含む。こうした同位体の例としては、H及びHなどの水素;11C、13C、及び14Cなどの炭素;13N及び15Nなどの窒素;15O、17O、及び18Oなどの酸素;31P及び32Pなどのリン;35Sなどの硫黄;18Fなどのフッ素;36Clなどの塩素;75Br、76Br、77Br、及び82Brなどの臭素;並びに123I、124I、125I、及び131Iなどのヨウ素の同位体が挙げられる。本発明の同位体標識化合物は、適切な同位体標識試薬若しくは出発物質を使用することにより本明細書に記載したものと類似したプロセスによって、又は当該技術分野で既知の技術によって調製することができる。同位体標識化合物に含まれる同位体の選択は、化合物の特定の用途に依存する。例えば、組織分布アッセイの場合、H又は14C等の放射性同位体が組み込まれる。放射線イメージング用途の場合、11C、18F、13N、又は15Oなどの陽電子放射同位体が有用になる。重水素を組み込むことによってより高い代謝的安定性が提供され、例えば化合物のインビボ半減期の向上又は投与必要量の低減がもたらされ得る。
【0062】
特定の実施形態では、本発明は、以下の式(I’)を有する式(I)の化合物と:
【化4】
その立体異性体であって、式中、
塩基は(B-1)、(B-2)、(B-3a)、(B-3b)、(B-4)、及び(B-5)からなる群から選択され、
【化5】
式中、Rは、水素又はC1~6アルキルであり;
は水素、
【化6】
式(a-1)の基、式(a-2)の基、式(a-3)の基、及び式(a-4)の基からなる群から選択され;
【化7】
式中、
及びRは、それぞれ独立して水素、フェニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、及びピリジルからなる群から選択され、そのそれぞれが任意選択的に、1、2、又は3つの置換基で置換され、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1616’からなる群から選択されるか、或いは、
及びRは、それぞれ、任意選択的に、その窒素原子においてC~Cアルキル又はC~Cアルキルオキシカルボニルで置換された、且つ/又は任意の利用可能な炭素原子において、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1717’からなる群から選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されたインドリルであり;
、R5’、R10、及びR10’は、それぞれ独立して、水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか、或いは、
及びR5’又はR10、及びR10’は、それらが結合している炭素原子と共にC~Cシクロアルカンジイル、又は1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環を形成し;
は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、フェニル又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR1818’からなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換され;
は-OR19又は-NR2020’であり;
は、C~Cアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、フェニル又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的にそれぞれ独立してハロ及びC~Cアルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換され;
11は、水素、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、又はフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、フェニル又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR2323’からなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換され;
19は、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、オキセタニル、(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル-、-CH-O-(C=O)C~Cアルキル、及び-CH-O-(C=O)OC-Cアルキルからなる群から選択され;
20は、水素、C~Cアルキル、及びC~Cシクロアルキルからなる群から選択され;且つR20’はC~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、及び(C~Cアルコキシ)C~Cアルキルからなる群から選択されるか、或いは
-NR2020’は共にアゼチジニル、ピロリジニル、又はピペリジニル環を形成し、そのそれぞれが、任意選択的に、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルキルオキシ、及び(C=O)-OR21からなる群で置換されてもよく、R21は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、フェニル又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR2222’からなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換され;
は水素、又は式(b)の基であり、
【化8】
式中、
12は、C~Cアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、フェニル又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的にそれぞれ独立してハロ及びC~Cアルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換されるか;或いは
及びRは結合して、式(c-1)又は(c-2)の二価ラジカルを形成し、
【化9】
式中、
13及びR13’は、それぞれ独立して水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いは
13及びR13’は、それらが結合している炭素原子と共に、C~Cシクロアルカンジイル、又は1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環を形成し;
14は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、フェニル又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR2424’からなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換され;
15は-OR25又は-NR2626’であり、式中、
25は、水素;C~Cアルキル;それぞれ独立して、フェニル、ナフチル、C~Cシクロアルキル、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換されたC~Cアルキル;C~Cシクロアルキル;(C~Cアルコキシ)C~Cアルキル-;-CH-O-(C=O)C~Cアルキル;-CH-O-(C=O)OC~Cアルキル-;1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環;並びにArからなる群から選択され;
Arは、フェニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、及びピリジルからなる群から選択され、そのそれぞれが任意選択的に、1、2、又は3つの置換基で置換され、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR2727’からなる群から選択されるか;或いは、
Arは、任意選択的に、その窒素原子においてC~Cアルキル又はC~Cアルキルオキシカルボニルで置換された、且つ/又は任意の利用可能な炭素原子において、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR2828’からなる群から選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されたインドリルであり;
26は、水素、C~Cアルキル、及びC~Cシクロアルキルからなる群から選択され;且つR26’はC~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、及び(C~Cアルコキシ)C~Cアルキルからなる群から選択されるか、或いは
-NR2626’は共にアゼチジニル、ピロリジニル、又はピペリジニル環を形成し、そのそれぞれが、任意選択的に、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルキルオキシ、及び(C=O)-OR27からなる群で置換されてもよく、R27は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され、フェニル又はフェニル-C~Cアルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR2929’からなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換され;
16、R16’、R17、R17’、R18、R18’、R22、R22’、R23、R23’、R24、R24’、R27、R27’、R28、R28’、R29、及びR29’はそれぞれ水素及びC~Cアルキルから選択され;
は、水素、ハロ、メチル、CHCl、CHF、及びNからなる群から選択される、化合物と、その立体異性体と;
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0063】
基-NH-C(R)(R5’)-C(=O)-又は-NH-C(R13)(R13’)-C(=O)-は、アミノ酸残基を形成し得、これとしては天然及び非天然アミノ酸残基が挙げられる。関心の対象となるのはアラニン(Ala)、グリシン(Gly)、及びジメチルグリシン(Dmg)である。R5’又はR13’が水素であるアミノ酸残基も関心の対象である。後者の例で、R5’/13’が水素以外である場合、アミノ酸残基はキラル中心を有し、不斉炭素原子における構成は、L-アミノ酸のそれであり得る。例としては、アラニン(Ala)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)、α-アミノ酪酸(ABA(2-アミノ酪酸又はエチルグリシンとも称される))、フェニルアラニン(Phe)、及びフェニルグリシン(Phg)残基、特にL-Ala、L-Val、L-Ile、L-ABA、L-Phe、及びL-Phgが挙げられる。R及びR5’又はR13及びR13’が、それらが結合している炭素原子と共にC~Cシクロアルカンジイルを形成するアミノ酸残基の例は、1,1-シクロプロピルアミノ酸である。同様に、それぞれ(C=O)OR21又は(C=O)OR27で置換されたピロリジニル環を形成する基-NR2020’又は-NR2626’、特に、
【化10】

は、プロリン残基、好ましくはL-プロリン残基を形成する。
【0064】
式(I)の化合物の亜群は、Rが式(a-1)の基である本明細書で定義される式(I’)の化合物、又は式(I’)の化合物の亜群である。
【化11】

式(I)の化合物の亜群は、
(a)Rが、任意選択的に、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1616’から選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されるフェニルであるか、又はRが、任意選択的に、ハロ、C~Cアルキル、若しくはC~Cアルコキシで置換されるナフチルであるか、又はRがインドリルであり;
(b)Rが、任意選択的に、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1616’から選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されるフェニルであるか、又はRがナフチルであるか、又はRがインドリルであり;
(c)Rが、任意選択的に、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1616’から選択される1若しくは2つの置換基で置換されるフェニルであるか、又はRがナフチルであるか、又はRがインドリルであり;
(d)Rが、任意選択的に、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシから選択される1若しくは2つの置換基で置換されるフェニルであるか、又はRがナフチルであり;
(e)Rが、任意選択的に、ハロ、又は1若しくは2つのC~Cアルキルラジカルで置換されるフェニルであるか、又はRがナフチルであり;
(f)Rがフェニル、ハロフェニル、ジ-C~Cアルキルフェニル、又はナフチルであり;
(g)Rがフェニルであり;
(h)Rがナフチルである、本明細書で定義される式(I’)の化合物、又は式(I’)の化合物の亜群である。
【0065】
式(I)の化合物の亜群は、
(a)RがメチルでありR5’がメチルであるか;又は
(b)Rが水素であり、R5’がフェニル若しくはC~Cアルキル、特にC~Cアルキル、例えばメチル、エチル、イソプロピル、若しくはイソブチルである、本明細書で定義される式(I’)の化合物又は式(I’)の化合物の亜群である。式(I)の化合物の亜群は、
【化12】

部分がグリシル、ジメチルグリシル、α-アミノブチリル、フェニルグリシン、イソロイシル、アラニル、フェニルアラニル、又はバリルである(それぞれGly、Dmg、ABA、Phg、Ile、Ala、Phe、又はVal;特にL-ABA、L-Phg、L-Ile、L-Ala、L-Phe、又はL-Val)、本明細書で定義される式(I’)の化合物、又は式(I’)の化合物の亜群である。
【0066】
式(I)の化合物の亜群は、Rが水素、C~Cアルキル、ベンジル、若しくはフェニルであり、R5’が水素、C~Cアルキル、ベンジル、若しくはフェニルである、本明細書で定義される、式(I’)の化合物、又は式(I’)の化合物の亜群である。
【0067】
式(I)の化合物の亜群は、
【化13】

部分が構造
【化14】

を有し、式中Rが水素であり、R5’が水素、フェニル、C~Cアルキル、ベンジルであるか、又は
が水素であり、R5’が水素、若しくはC~Cアルキルであり、
が水素であり、R5’がC~Cアルキルであり、
が水素であり、R5’がメチルである、本明細書で定義される式(I’)の化合物、又は式(I’)の化合物の亜群である。
【0068】
一実施形態では、R及びR5’は、それらが結合している炭素原子と共に、C~Cシクロアルカンジイルを形成するか;又は特にC~Cシクロアルカンジイルを形成するか、又は特にシクロプロピリデンを形成する。
【0069】
式(I)の化合物の亜群は、
(a)Rが、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びNR1818’から選択される1、2、又は3つの置換基で置換されたC~Cアルキル、ベンジル、又はフェニルであり、R18が水素であり、R18’が水素、若しくはC~Cアルキルであり;
(b)RがC~Cアルキル又はベンジルであり;
(c)Rが、C~Cアルキルであり;
(d)Rが、C~Cアルキルであり;
(e)Rが、メチル、エチル、又はt-ブチルであり;
(f)Rが、C~Cシクロアルキルである、本明細書で定義される式(I’)の化合物、又は式(I’)の化合物の亜群の化合物である。
【0070】
式(I)の化合物の亜群は、
がフェニル、ハロフェニル、ジ-C~Cアルキルフェニル、又はナフチルであり;
及びR5’がそれぞれ独立して水素、C~Cアルキル、ベンジル、又はフェニルであり;
がC~Cアルキルである、本明細書で定義される式(I’)の化合物、又は式(I’)の化合物の亜群の化合物である。
【0071】
式(I)の化合物の亜群は、R及びRが結合して(c-2)の二価ラジカルを形成する、本明細書で定義される式(I’)の化合物、又は式(I’)の化合物の亜群であり、
【化15】
式中、
15は-OR25であり、式中、R25は、水素、C~Cアルキル、フェニル、C~Cシクロアルキル、並びにそれぞれ独立して、フェニル、ナフチル、C~Cシクロアルキル、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換されたC~Cアルキルからなる群から選択される。別の実施形態では、R25はC~Cアルキル、又はフェニル、C ~C アルキルオキシ、又はC ~C シクロアルキルで置換したC~Cアルキルある。更なる実施形態では、R25はC~Cシクロアルキル、より具体的にはシクロペンチルである。更なる実施形態では、R25はC~Cアルキル、より具体的にはi-プロピルである。
【0072】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物であって、式中、
は、水素、
【化16】

式(a-1)の基、式(a-2)の基、及び式(a-3)の基からなる群から選択され、式中、
及びRはそれぞれ独立してフェニル又はナフチルであり、そのそれぞれが任意選択的に、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1616’からなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換され、R16及びR16’はそれぞれ独立して水素、及びC~Cアルキルから選択されるか;或いはR及びRはそれぞれ独立してインドリルであり;
及びR5’は、それぞれ独立して水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いはR及びR5’は、それらが結合している炭素原子と共にC~Cシクロアルカンジイルを形成し;
は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され;
は、-OR19又は-NR2020’であり、式中R19はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
20は水素であり、R20’はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
はC~Cアルキルであり;
は水素又は式(b)の基であり、式中R12はC~Cアルキルであるか;或いは
及びRは結合して、式(c-1)又は(c-2)の二価ラジカルを形成し、式中、
13及びR13’は、それぞれ独立して水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いはR13及びR13’は、それらが結合している炭素原子と共にC~Cシクロアルカンジイルを形成し;
14は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され;
15は-OR25又は-NR2626’であり、式中、R25は、C~Cアルキル、フェニル、C~Cシクロアルキル、並びに、それぞれ独立して、フェニル、ナフチル、C~Cシクロアルキル、ヒドロキシル、及び、C~Cアルキルオキシからなる群から選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されたC~Cアルキルからなる群から選択され;R26は水素であり;R26’は、C~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルである、化合物と、
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0073】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物を提供し、式中、
塩基は(B-1)、(B-2)、及び(B-3a)からなる群から選択され、
は、水素、ハロ、及びNからなる群から選択される。
【0074】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物であって、式中、
塩基は(B-1)、(B-2)、及び(B-3a)からなる群から選択され;
は、水素、
【化17】

式(a-1)の基、式(a-2)の基、及び式(a-3)の基からなる群から選択され、式中、
及びRはそれぞれ独立してフェニル又はナフチルであり、そのそれぞれが任意選択的に、それぞれが独立してハロ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、及びNR1616’からなる群から選択される1、2、又は3つの置換基で置換され、R16及びR16’はそれぞれ独立して水素、及びC~Cアルキルから選択されるか;或いはR及びRはそれぞれ独立してインドリルであり;
及びR5’は、それぞれ独立して水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いはR及びR5’は、それらが結合している炭素原子と共にC~Cシクロアルカンジイルを形成し;
は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され;
は、-OR19又は-NR2020’であり、式中R19はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
20は水素であり、R20’はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
はC~Cアルキルであり;
は水素又は式(b)の基であり、式中R12はC~Cアルキルであるか;或いは
及びRは結合して、式(c-1)又は(c-2)の二価ラジカルを形成し、式中、
13及びR13’は、それぞれ独立して水素、C~Cアルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いはR13及びR13’は、それらが結合している炭素原子と共にC~Cシクロアルカンジイルを形成し;
14は、C~C10アルキル、C~Cシクロアルキル、及びフェニル-C~Cアルキル-からなる群から選択され;
15は-OR25又は-NR2626’であり、式中、R25は、C~Cアルキル、フェニル、C~Cシクロアルキル、並びに、それぞれ独立して、フェニル、ナフチル、C~Cシクロアルキル、ヒドロキシル、及び、C~Cアルキルオキシからなる群から選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されたC~Cアルキルからなる群から選択され;R26は水素であり;R26’は、C~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
は、水素、ハロ、及びNからなる群から選択される、化合物と、
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0075】
更なる実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物であって、式中、
塩基は(B-1)、(B-2)、及び(B-3a)からなる群から選択され;
は、水素、
【化18】

式(a-1)の基、式(a-2)の基、及び式(a-3)の基からなる群から選択され;式中、
及びRはそれぞれ独立してフェニル又はナフチルであり、そのそれぞれが任意選択的に1つのハロ置換基で置換され;
及びR5’は、それぞれ独立して水素、及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
はC~C10アルキルであり;
は、-OR19又は-NR2020’であり、式中R19はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
20は水素であり、R20’はC~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
はC~Cアルキルであり;
は水素又は式(b)の基であり、式中R12はC~Cアルキルであるか;或いは
及びRは結合して、式(c-1)又は(c-2)の二価ラジカルを形成し、式中、
13及びR13’は、それぞれ独立して水素、及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
14はC~C10アルキルであり;
15は-OR25又は-NR2626’であり、式中、R25は、水素、C~Cアルキル、及びC~Cシクロアルキルからなる群から選択され;R26は水素であり;R26’は、C~Cアルキル又はC~Cシクロアルキルであり;
は、水素、ハロ、及びNからなる群から選択される、化合物と、
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物であって、式中、
塩基は(B-1)、(B-2)、及び(B-3a)からなる群から選択され;
は、水素、
【化19】

式(a-1)の基、式(a-2)の基、及び式(a-3)の基からなる群から選択され;式中、
及びRは、それぞれ任意選択的に1つのハロ置換基で置換されるフェニルであり;
及びR5’は、それぞれ独立して水素、及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
はC~C10アルキルであり;
は-OR19であり、式中R19はC~Cアルキルであり;
はC~Cアルキルであり;
は水素又は式(b)の基であり、式中R12はC~Cアルキルであるか;或いは
及びRは結合して、式(c-2)の二価ラジカルを形成し、式中、
13及びR13’は、それぞれ独立して水素、及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
14はC~C10アルキルであり;
15は-OR25又は-NR2626’であり、式中、R25はC~Cシクロアルキルであり、R26は水素であり、R26’はC~Cシクロアルキルであり;
は、水素、ハロ、及びNからなる群から選択される、化合物と、
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0077】
更なる一実施形態では、本発明は、本明細書で定義される通りの式(I’)の化合物を提供し、式中、Rは、
水素、
【化20】

及び式(a-1)の基からなる群から選択され
るか、或いはR及びRは結合して、式(c-2)の二価ラジカルを形成する。
【0078】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物であって、式中、
塩基は(B-1)、(B-2)、及び(B-3a)からなる群から選択され;
は、
【化21】

又は式(a-1)の基であり、式中、
は、任意選択的に1つのハロ置換基で置換されるフェニルであり;
及びR5’は、それぞれ独立して水素、及びC~Cアルキル、特にメチルからなる群から選択され;
はC~C10アルキル、特にi-プロピル又はn-ブチルであり;
は水素であり;且つ
は、水素、ハロ、特にフルオロ、及びNからなる群から選択される、化合物と、
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0079】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物であって、式中、
塩基は(B-1)であり;Rは式(a-1)の基であり;Rは水素であり;Rは水素又はNであるか;或いは
塩基は(B-2)であり;Rは水素又は式(a-1)の基であり;Rは水素であり;Rはハロ、特にフルオロであり;式中、
は、任意選択的に1つのハロ置換基で置換されるフェニルであり、
及びR5’は、それぞれ独立して水素、及びC~Cアルキル、特にメチルからなる群から選択され;
はC~C10アルキル、特にi-プロピルである、化合物と、
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0080】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物であって、式中、
塩基は(B-1)であり;
は式(a-1)の基であり、式中、
は、任意選択的に1つのハロ置換基で置換されるフェニルであり、
及びR5’は、それぞれ独立して水素、及びC~Cアルキル、特にメチルからなる群から選択され;
はC~C10アルキル、特にi-プロピル又はn-ブチルであり;
は水素であり;
は、水素又はハロ、特にフルオロである、化合物と、
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される式(I’)の化合物であって、式中、
塩基は(B-1)、(B-2)、及び(B-3a)からなる群から選択され;
は、
【化22】

であり、Rは水素であり、Rは水素、ハロ、特にフルオロ、及びNからなる群から選択される、化合物と、
その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0082】
関心の対象は、「実施例」の項で言及された化合物7、9、12、17、22、31、及び45、若しくは9、17、22、23、25、27、31、34、39、45、又は35及び58~63、並びにこれらの化合物の薬学的に許容可能な酸付加塩である。特に関心の対象は、化合物7、9、12、17、22、23、25、27、31、35、39、44、45、57、及び58~63(これらの化合物の遊離形態(すなわち、非塩形態)で、又はその薬学的に許容可能な酸付加塩としてのいずれかで)である。
【0083】
式(I)、特に式(I’)の化合物は、数個のキラリティーの中心を、特に炭素原子1’、2’、3’及び4’において有する。これらの炭素原子における立体化学は固定されているが、化合物は、各キラル中心において、少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、例えば95%又は98%過剰のエナンチオマー純度を示し得る。
【化23】
【0084】
キラリティーは、Rが(a-1)であるものなどの置換基中にも存在し得、
【化24】

これは、炭素を持つRにおいて(ここでRとR5’とは異なる)、及びリン原子においてキラリティーを有し得る。リン中心は、R若しくはS、又は、ラセミ体を含むこうした立体異性体の混合物として示されてもよい。キラルリン中心及びキラル炭素原子から生じるジアステレオ異性体も存在し得る。式(I)、特に式(I’)の化合物は、1’、3’、4’、及び5’位に確定した立体配置を有するが、2’-位、又は例えば存在する場合はホスホルアミデート基のリン原子においては有さずに示される。こうした化合物の絶対立体配置は、例えばX線回折若しくはNMR、及び/又は既知の立体化学の出発物質からの推定等の、当該技術分野で既知の方法を用いて決定することができる。本発明による医薬組成物は、特定の式(I)又は(I’)の化合物の示される立体異性体の立体異性的に純粋な形態を含むことが好ましい。
【0085】
特定の実施形態では、本明細書で定義される式(I)の化合物は、式(Ia)を有する。
【化25】
【0086】
特定の実施形態では、本明細書で定義される式(I’)の化合物は、式(Ia’)を有する。
【化26】
【0087】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、更に、
【化27】

特に、
【化28】

の構造式の5’-三リン酸エステルの薬学的に許容可能な塩、並びに5’-二リン酸エステル及び5’-一リン酸エステル誘導体の薬学的に許容可能な塩を含むことが意図され、式中、塩基R及びRは本明細書で定義されるとおりであり、具体的には、Rは水素である。
【0088】
一般合成方法
スキーム1
一般的に、本明細書ではそれぞれ式(I’-a1)又は(I’-a2)の化合物と称される、Rがホスホルアミデート又はリン酸塩である、本発明の範囲による式(I)、特に式(I’)の化合物は、以下の反応スキーム1に従って調製することができる。上記のスキームでは、全ての可変要素は本発明の範囲に従って定義される。
【化29】
【0089】
スキーム1においては、以下の反応条件が適用される。
(i):ピリジンを用いて前処理し、続いて得られた生成物を、例えばメチルイミダゾールなどの好適な塩基の存在下で、例えば乾燥ジクロロメタンなどの好適な溶媒中で濃縮及び懸濁して、例えば室温などの好適な温度で、好適なホスホルアミドクロリデート(phosphoramidochloridate)又はホスホクロリデート(phosphorochloridate)と反応させる。
【0090】
式(II)の化合物は、例えば、適切なホスホルアミドクロリデート又はホスホクロリデートとの反応後にそれから保護基が切断され得る、例えば式(1)の化合物などの脱保護ヌクレオシド(スキーム4)、又は例えば式(17)の化合物などの保護ヌクレオシド(スキーム4)であり得る。
【0091】
スキーム2
スキーム1中で参照されるホスホルアミドクロリデート又はホスホクロリデート試薬は、市販されているか、又は当業者に既知の手順で合成可能であるかのいずれかであり、例えば、工程(i)で言及される好適なホスホルアミドクロリデートの合成は、DIPEAなどの塩基の存在下で式(III)のアルコールをPOClと反応させ、二塩化ホスホリル(IV)を得て、これを更に式(V)のアミノ酸と反応させて所望のホスホルアミドクロリデート(VI)を産生することにより調製可能である。
【化30】
【0092】
スキーム3
及びRが水素であり、塩基がウラシルである、本明細書では(1)と称される式(II)の中間化合物は、以下の反応スキーム3に従って調製可能であり、ここでPMBはp-メトキシベンジルを意味し、Msはメタンスルホニルを意味する。
【化31】
【0093】
スキーム3においては、以下の反応条件が適用される。
(i)例えば室温などの好適な温度での例えばTHFなどの好適な溶媒中の(4-メトキシフェニル)メタンチオール;混合物を例えばKHMDS又はNaHなどの好適な塩基の存在下で例えば-40℃などの好適な温度に冷却;カラムクロマトグラフィ
(ii)例えば水素化アルミニウムリチウムなどの好適な還元剤の存在下、例えばジエチルエーテルなどの好適な溶媒中、例えば0℃などの好適な温度で;
(iii)例えばメシルなどの脱離基の形成に好適な条件下、例えば室温などの好適な温度で、例えばピリジンなどの好適な塩基/溶媒系の存在下で、塩化メタンスルホニルなどの好適な薬剤との反応によって;
(iv)PMB保護基を切断するのに好適な反応条件下、例えば0℃などの好適な温度で、例えばフェノールなどの好適な溶媒の存在下で、例えばトリフルオロ酢酸などの好適な酸の存在下で、例えば酢酸水銀(II)などの好適な試薬との反応によって;
(v)例えば水素化ナトリウムなどの好適な塩基の存在下で、室温などの好適な温度で、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で;
(vi)例えば室温などの好適な温度で、続いて50℃で反応を完了させるのに十分な期間、例えば式(6)の化合物を、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えばフッ化アンモニウムなどのフッ化物の供給源に供することなどによる、アルコール保護基を切断するのに好適な条件下で。
【0094】
スキーム4
あるいは、本明細書では式(11)、(18)、及び(17)の化合物と称される、Rが水素又はフルオロであり、R及びRが水素であり、塩基がウラシル、シトシン、又は例えばジメトキシトリチル保護基(DMT)で保護されたシトシンなどの保護シトシンである、式(II)の中間化合物を、以下の反応スキーム4に従って調製することもできる。
【化32】
【0095】
スキーム4においては、以下の反応条件が適用される。
(i)室温などの好適な温度で、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、トリフェニルホスフィン及びピリジンなどの好適な塩基の存在下でのヨウ素との反応により;
(ii)還流などの好適な温度で、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えばナトリウムメトキシドなどの好適な塩基との反応により;
(iii)例えば-15℃などの好適な温度で、例えばアセトニトリルとテトラヒドロフランとの混合物などの好適な溶媒中、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩、続いて、N-ヨードスクシンイミドとの反応により、続いて、0℃、続いて室温などの好適な温度で、例えばトリエチルアミンなどの塩基の存在下で、4-(ジメチルアミノ)ピリジンなどの触媒の存在下で、塩化ベンゾイルとの反応により;
(iv)例えば120℃などの好適な温度で、ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中で、例えば15-クラウン-5などの錯化剤の存在下でのナトリウムベンゾエートとの反応により;
(v)例えば室温などの好適な温度で、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えば式(10)の化合物をアンモニアに晒すことなどによる、アルコール保護基を切断するのに好適な条件下で;
(vi)例えば0℃などの好適な温度で、続いて室温にして、例えばトルエンなどの好適な溶媒中で、例えばピリジンなどの好適な塩基の存在下で、例えば無水イソ酪酸と反応させることなどによる、保護アルコールを形成するのに好適な条件下で;
(vii)~(viii):例えば室温などの好適な温度で、トリエチルアミンなどの好適な塩基及び4-(ジメチルアミン)ピリジンなどの触媒の存在下で、例えば2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリドなどの好適な試薬と反応させることにより、続いてアンモニアと反応させることにより;
(ix)例えば室温などの好適な温度で、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えば式(10)の化合物をアンモニアに晒すことなどによる、アルコール保護基を切断するのに好適な条件下で;
(x);例えば室温などの好適な温度で、例えばジクロロメタンなどの好適な溶媒中で、例えば4-(ジメチルアミノ)ピリジンなどの触媒の存在下で、例えばトリエチルアミンなどの塩基の存在下で、反応を完了させるのに十分な期間、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサンと反応させることにより、続いて激しく攪拌してアンモニアと反応させることにより;
(xi):例えば室温などの好適な温度で、例えばジクロロメタンなどの好適な溶媒中で、硝酸銀及び2,3,5-トリメチルピリジンの存在下で、例えば4,4’-(クロロ(フェニル)メチレン)ビス(メトキシベンゼン)などの保護基剤と反応させることにより;
(xii):例えば室温などの好適な温度で、反応を完了させるのに十分な期間、例えば、式(16)の化合物を、例えばテトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、例えばTBAFなどのフッ化物の供給源に供することなどによる、アルコール保護基を切断するのに好適な条件下で;
(xiii):例えば室温などの好適な温度で、例えばジクロロメタンなどの好適な溶媒中で、例えば、式(17)の化合物を、例えばトリフルオロ酢酸などの酸に供することなどによる、アミノ保護基を切断するのに好適な条件下で;
(xiv):例えば室温などの好適な温度で、トリエチルアミンなどの好適な塩基及び4-(ジメチルアミン)ピリジンなどの触媒の存在下で、例えば2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリドなどの好適な試薬と反応させることにより、続いてアンモニアと反応させることにより;
(xv):例えば室温などの好適な温度で、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えば式(19)の化合物をアンモニアに晒すことなどによる、アルコール保護基を切断するのに好適な条件下で。
【0096】
スキーム5
あるいは、本明細書では式(22)の化合物と称される、Rがアジドであり、塩基がウラシルである式(II)の中間化合物(式中、PG及びPG’が例えばベンゾイルなどの好適なアルコール保護基を表す)を、以下の反応スキーム5に従って調製することができる。
【化33】
【0097】
スキーム5においては、以下の反応条件が適用される。
(i)室温などの好適な温度で、THFなどの好適な溶媒中で、N-ベンジル-N,N-ジエチルエタンアミニウムクロリド及びNMMの存在下で、反応を完了させるのに十分な期間、アジ化ナトリウムと反応させることにより、続いて室温などの好適な温度で、約5時間などの十分な期間、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中にヨウ素を添加することにより、続いてガスの発生が観察されなくなるまでN-アセチル-システインを添加し、且つ飽和水性Naを添加することにより;
(ii)例えば0℃などの好適な温度で、例えばTHFなどの好適な溶媒中で、例えばEtNなどの好適な塩基、及びDMPなどの触媒の存在下で、例えば塩化ベンゾイルと反応させ、続いて室温にすることなどによる、保護アルコールを形成するのに好適な条件下で;
(iii)例えば120℃などの好適な温度で例えばDMFなどの好適な溶媒中で、15-クラウン-5などの錯化剤の存在下で、例えば12時間などの、反応を完了させるのに十分な期間、例えばナトリウムベンゾエートと反応させることなどによる、保護アルコールを形成するのに好適な条件下で;
(iv)例えば室温などの好適な温度で、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えば式(22)の化合物をアンモニアに晒すことなどによる、アルコール保護基を切断するのに好適な条件下で。
【0098】
続いて、化合物22は、例えば、上記のスキーム4で説明されるものと類似する手順に従って、異なる塩基を有するヌクレオシドへの更なる官能基の相互変換に供されてもよい。
【0099】
スキーム6
本明細書では式(I’-a3)の化合物と称される、R及びRが結合して環状リン酸塩又はホスホルアミデートタイプの基又はその誘導体を形成する、式(I)又は(I’)の化合物を、以下の反応スキーム6に従って調製することができる。
【化34】
【0100】
スキーム6においては、以下の反応条件が適用される。
(i)ピリジンを用いて前処理し、続いて得られた生成物を、室温などの好適な温度で、DCMなどの好適な溶媒中で、適切なホスホクロリデート又はホスホルアミドクロリデートを用いて、反応を完了させるのに十分な期間N-メチルイミダゾールと反応させることにより、続いて、例えば室温などの好適な温度で、例えばTHFなどの好適な溶媒の存在下で、反応を完了させるのに十分な期間、tBuOKなどの好適な塩基を用いて処理することにより、濃縮及び処理する。
【0101】
ホスホクロリデート又はホスホルアミドクロリデート試薬は、市販されているか、又は当業者に既知の手順で合成可能であるかのいずれかである。
【0102】
スキーム7
あるいは、本明細書では式(24)の化合物と称される、R、Rが水素であり、塩基がグアニンである、式(II)の中間化合物を、以下の反応スキーム7に従って調製することができる。
【化35】
【0103】
スキーム7においては、以下の反応条件が適用される。
(i)例えば室温などの好適な温度で、例えばDMFなどの好適な溶媒中で、例えばイミダゾールなどの塩基の存在下で、反応を完了させるのに十分な期間、グアノシンを1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサンと反応させることにより;
(ii)例えば0℃などの好適な温度で、DCMなどの好適な溶媒中で、デス・マーチン・ペルヨージナンと反応させることにより;
(iii)室温などの好適な温度で、20℃などの好適な溶媒中で、好適なアルキルトリフェニルホスファニリデンアセテートと反応させることにより;
(iv)例えば室温などの好適な温度で、例えばTHFなどの好適な溶媒中の(4-メトキシフェニル)メタンチオールと反応させ;続いて例えばKHMDSなどの好適な塩基の存在下で、例えば-40℃などの好適な温度に冷却することにより;
(v)室温などの好適な温度で、ピリジンなどの好適な溶媒中で、無水イソ酪酸と反応させることにより、続いてTEAを添加して、最終的に、反応を完了させるのに十分な時間、温度を例えば80℃に上昇させることにより;
(vi)例えば水素化アルミニウムリチウムなどの好適な還元剤の存在下、例えばTHFなどの好適な溶媒中、例えば0℃、続いて室温などの好適な温度で;
(vii)例えばメシルなどの脱離基の形成に好適な条件下、例えば室温などの好適な温度で、例えばピリジンなどの好適な塩基/溶媒系の存在下で、塩化メタンスルホニルなどの好適な薬剤との反応によって;
(viii)PMB保護基を切断するのに好適な反応条件下で、例えば0℃などの好適な温度で、過剰フェノールの存在下で、溶媒として用いられる例えばトリフルオロ酢酸などの好適な酸の存在下で、例えば酢酸水銀(II)などの好適な試薬を用いた反応によって、続いて0℃で1,4-ジメルカプトブタン-2,3-ジオールを添加することによって;
(ix)例えば水素化ナトリウムなどの好適な塩基の存在下で、室温などの好適な温度で、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で;
(x)例えば室温などの好適な温度で、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えば式(32)の化合物をアンモニアで処理することなどによる、アミノ保護基を切断するのに好適な条件下で;
(xi)例えば室温などの好適な温度で、続いて50℃で反応を完了させるのに十分な期間、例えば式(33)の化合物を、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えばフッ化アンモニウムなどのフッ化物の供給源に供することなどによる、アルコール保護基を切断するのに好適な条件下で。
【0104】
スキーム8
あるいは、本明細書では式(42)の化合物と称される、R、Rが水素であり、塩基がアデニンである、式(II)の中間化合物を、以下の反応スキーム8に従って調製することができる。
【化36】
【0105】
スキーム8においては、以下の反応条件が適用される。
(i)例えば室温などの好適な温度で、例えばDMFなどの好適な溶媒中で、例えばイミダゾールなどの塩基の存在下で、反応を完了させるのに十分な期間、アデノシンを1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサンと反応させることにより;
(ii)室温などの好適な温度で、ピリジンなどの好適な溶媒中で、TMSなどの好適な酸素保護基を用いて、アミン基は、パラメトキシベンゾイル基などの好適な保護基を用いて保護されることにより。
(iii)例えば0℃などの好適な温度で、DCMなどの好適な溶媒中で、デス・マーチン・ペルヨージナンと反応させることにより;
(iv)室温などの好適な温度で、20℃などの好適な溶媒中で、好適なアルキルトリフェニルホスファニリデンアセテートと反応させることにより;
(v)例えば室温などの好適な温度で、例えばTHFなどの好適な溶媒中で、3-メルカプトプロパンニトリルと反応させ;続いて例えばNaHなどの好適な塩基の存在下で、例えば0℃などの好適な温度に冷却することにより;
(vi)例えば水素化アルミニウムリチウムなどの好適な還元剤の存在下、例えばTHFなどの好適な溶媒中、例えば-60℃などの好適な温度で;
(vii)例えばメシルなどの脱離基の形成に好適な条件下で、例えば室温などの好適な温度で、例えばピリジンなどの好適な塩基/溶媒系の存在下で、続いて、-78℃などの好適な温度で、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、例えばテルブトキシドカリウムなどの好適な塩基の存在下で、塩化メタンスルホニルなどの好適な薬剤を用いた反応によって;
(viii)例えば室温などの好適な温度で、反応を完了させるのに十分な期間、例えば、式(40)の化合物を、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えばフッ化アンモニウムなどのフッ化物の供給源に供することなどによる、アルコール保護基を切断するのに好適な条件下で;
(ix)例えば70℃などの好適な温度で、例えばメタノールなどの好適な溶媒中で、例えば式(41)の化合物をアンモニアで処理することなどによる、アミノ保護基を切断するのに好適な条件下で;
【0106】
薬効薬理
本発明の化合物は、フラビウイルス科ウイルス及び/又はアルファウイルス、特にHCV、デング、及び/若しくは、チクングンヤウイルス、並びに/又はシンドビスウイルス、並びに/又はセムリキ森林ウイルスに対する活性を示すことが判明した。
したがって、一実施形態では、本発明は、HCV感染の治療又は予防(又は治療若しくは予防のための薬剤の製造)に使用するための、式(I)の化合物と、そのリン酸塩及びプロドラッグと、その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。後者としては、肝硬変に繋がる進行性肝線維症、炎症及び壊死、末期肝疾患、並びにHCCが挙げられる。
【0107】
式(I)の化合物のHCVに対するインビトロ抗ウイルス活性は、Lohmann et al.(1999)Science 285:110~113に基づき、Krieger et al.(2001)Journal of Virology 75:4614-4624によって説明される更なる修正を加えて(参照により本明細書に組み込まれる)、細胞HCVレプリコン系中で試験可能であり、これは実施例の項で更に例示される。このモデルは、HCVに関する完全な感染モデルではないが、最もロバスト性があり且つ有効な、現在入手可能なHCV RNA自己複製モデルとして広く受け入れられている。HCVレプリコンモデルにおいて、HCV機能と特異的に干渉する化合物を、細胞傷害性又は細胞分裂停止効果を付与する化合物と区別し、その結果、HCV RNAの低下、又は関連したレポーター酵素濃度の低下をもたらすことが重要であることは理解されるであろう。例えば、レサズリン等の蛍光発生酸化還元色素を使用したミトコンドリア酵素の活性に基づく細胞毒性の評価に関する分野におけるアッセイが既知である。更に、蛍ルシフェラーゼ等の、関連したレポーター遺伝子活性の非選択的阻害の評価のための細胞カウンタースクリーニングが存在する。適切な細胞タイプは、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を用いた安定なトランスフェクションにより装備され得、当該遺伝子の発現は構成的に活性な遺伝子プロモーターに依存し、またそのような細胞は、非選択的阻害剤を排除するためのカウンタースクリーンとして使用することができる。
【0108】
更なる実施形態では、本発明は、デングウイルス感染の治療又は予防(又は治療若しくは予防のための薬剤の製造)に使用するための、式(I)の化合物と、そのリン酸塩及びプロドラッグと、その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0109】
更に別の実施形態では、本発明は、チクングンヤ及び/又はシンドビス及び/又はセムリキ森林ウイルス感染の治療又は予防(又は治療若しくは予防のための薬剤の製造)に使用するための、式(I)の化合物と、そのリン酸塩及びプロドラッグと、その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物と、を提供する。
【0110】
その抗ウイルス特性のために、任意の可能な立体異性体、並びにそのリン酸塩及びプロドラッグ、並びにその薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物を含む式(I)の化合物は、フラビウイルス科ウイルス及び/又はアルファウイルスに感染した温血動物、特にヒトの治療、並びにフラビウイルス科ウイルス及び/又はアルファウイルス感染の予防に有用となり得る。従って、本発明の化合物は、医薬、特にフラビウイルス科ウイルス及び/又はアルファウイルスの抗ウイルス薬又はウイルス阻害医薬として使用されてもよい。本発明はまた、フラビウイルス科ウイルス及び/又はアルファウイルス感染の治療又は予防のための薬剤の製造における本発明の化合物の使用に関する。更なる態様では、本発明は、フラビウイルス科ウイルス及び/若しくはアルファウイルスに感染した、又はフラビウイルス科ウイルス及び/若しくはアルファウイルスに感染するリスクのある、温血動物、特にヒトを治療するための方法に関し、上記の方法は、抗フラビウイルス科ウイルス及び/又は抗アルファウイルス有効量の、本明細書で特定される式(I)の化合物を投与することを含む。上記の医薬としての使用又は治療法は、フラビウイルス科ウイルス及び/若しくはアルファウイルスに感染した対象に、又はフラビウイルス科ウイルス及び/若しくはアルファウイルスに感染しやすい対象に、フラビウイルス科ウイルス及び/又はアルファウイルス感染に付随する疾患と戦うのに有効な量を全身投与することを含む。
【0111】
特定の一実施形態では、フラビウイルスは、C型肝炎ウイルス及びデングウイルスから選択される。更なる実施形態では、フラビウイルスはC型肝炎ウイルスである。別の実施形態では、フラビウイルスはデングウイルスである。別の実施形態では、アルファウイルスは、チクングンヤウイルス及びシンドビスウイルス及びセムリキ森林ウイルスから選択され、特にはチクングンヤウイルスである。
【0112】
更なる態様では、本発明は、治療有効量、特に抗ウイルス有効量の本明細書で特定される式(I)の化合物と、薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬組成物に関する。上記の組成物は、1%~50%、又は10%~40%の式(I)の化合物を含有してもよく、組成物の残部は上記の担体である。本文脈において、治療有効量、特に抗ウイルス有効量とは、フラビウイルス及び/又はアルファウイルス感染に対する予防法において、感染した対象又は感染するリスクのある対象中でフラビウイルス及び/又はアルファウイルスを阻害して、フラビウイルス及び/又はアルファウイルス感染を安定化又は低減させるように作用するのに十分な量である。尚更なる態様では、本発明は、本明細書で特定される医薬組成物の調製プロセスに関し、プロセスは、薬学的に許容可能な担体を、治療有効量、特に抗ウイルス有効量の本明細書で特定される式(I)の化合物と密に混合することを含む。
【0113】
式(I)又はその任意の亜群の化合物は、投与目的のために様々な医薬形態で処方され得る。適切な組成物としては、全身投与薬物に通常使用される全ての組成物を挙げることができる。本発明の医薬組成物を調製するために、活性成分としての、任意選択的に付加塩形態又は金属錯体である、有効量の特定の化合物を、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて密な混合物とし、この担体は、投与のために所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態を取り得る。これらの医薬組成物は、特に、経口投与、経直腸投与、経皮投与、又は腸管外注射による投与に好適な単一剤形であることが望ましい。例えば、組成物を経口剤形に調製する際に、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、及び液剤などの経口液体製剤の場合には、水、グリコール、油、及びアルコールなど;又は散剤、丸剤、カプセル剤、及び錠剤の場合には、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤などの固体担体など、通常の医薬媒体のいずれかが使用され得る。錠剤及びカプセル剤は、投与におけるその容易さのために、最も有益な経口単位剤形であり、この場合は、固形の医薬担体が明らかに用いられる。腸管外組成物の場合、担体は、通常、少なくとも大部分で滅菌水を含むことになるが、例えば溶解性を助ける他の成分が含まれてもよい。例えば、担体が生理食塩水、グルコース溶液、又は生理食塩水とグルコース溶液との混合物を含む注射用溶液を調製することができる。注射用懸濁剤も調製することができ、その場合は適切な液体担体及び懸濁化剤などが使用され得る。使用直前に液状の製剤に変換されるように意図された固体状の製剤も含まれる。経皮投与に好適な組成物においては、担体は、任意の性質を持った好適な添加剤を低比率で任意選択的に組み合わせた、浸透促進剤及び/又は好適な湿潤剤を任意選択的に含むが、これらの添加剤は、皮膚に重大な有害作用をもたらさない。本発明の化合物はまた、任意の当該技術分野で知られている送達系を使用して、液剤、懸濁剤、又はドライパウダーの形態で、経口吸入又はガス注入を介して投与されてもよい。
【0114】
投与を容易にし、投与量を均一にするために、前述の医薬組成物を単位剤形に製剤化することは特に有利である。本明細書で使用される単位剤形とは、単位投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性成分を含有する。このような単位剤形の例としては、錠剤(分割錠又はコーティング錠を含む)、カプセル剤、丸剤、坐剤、散剤小包、オブラート剤、及び注射用の溶液剤又は懸濁剤等、並びにそれらを複数に分割したものがある。
【0115】
一般に、抗ウイルスに有効な一日量は、約1~約200mg/kg、又は約5~約175mg/kg、又は約10~約150mg/kg、又は約20~約100mg/kg、又は約50~約75mg/kg体重であろうと想定される。平均の一日用量は、これらの一日量を約70で乗算することにより得ることができる。必要な用量を2、3又は4以上の分割用量として、一日の間に適切な間隔をおいて投与することが適切な場合がある。上記のサブ用量は、例えば単位剤形当たり約1~約5000mg、又は約50~約3000mg、又は約100~約1000mg、又は約200~約600mg、又は約100~約400mgの活性成分を含む単位剤形として処方されてもよい。
【実施例
【0116】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法を以下の実施例で説明する。別段の断りがない限り、出発物質は、全て市販業者から入手し、更に精製することなく使用した。
【0117】
以下、用語「KHMDS」はヘキサメチルジシラジドカリウムを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「EA」又は「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「PE」は石油エーテルを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「TIPSCl」は塩化トリイソプロピルシリルを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「TBAF」はフッ化テトラブチルアンモニウムを意味し、「prep」は分取(preparative)を意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィを意味し、「TPP」はトリフェニルホスフィンを意味し、「NMI」はN-メチルイミダゾールを意味し、「NaOMe」はナトリウムメトキシドを意味し、「CAN」又は「MeCN」はアセトニトリルを意味し、「NIS」はN-ヨードスクシンイミドを意味し、「DMAP」は4-ジメチルアミノピリジンを意味し、「TPSCl」は2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリドを意味し、「DIPEA」はN,N-ジイソプロピルエチルアミンを意味し、「DBU」は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンを意味し、「NMM」は4-メチルモルホリンを意味し、「MS」は質量分析を意味し、「ES」はエレクトロスプレーを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「DMP」はデス・マーチン・ペルヨージナンを意味し、「TEA」はトリメチルアミンを意味し、「RT」は室温を意味し、「LC-MS」は液体クロマトグラフィ質量分析を意味し、「MsCl」は塩化メタンスルホニル(又はメシル)を意味する。
【0118】
LC-MS分析を、以下の方法のうちのいずれか1つを用いて実施した。NMRデータをBruker製400MHz分光計で記録した。
予備HPLCによる精製を、以下の方法に従って実施した。
方法A:固定相:Uptisphere C18 ODB-10μm、200g、5cm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN
方法B:固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、30×150mm;移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN
方法C:固定相:RP SunFire Prep C18 OBD-10μm、30x150mm;移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN
方法D:固定相:RP XBridge Prep C18 ODB-5μm、30x250mm;移動相:0.25%NHHCO水溶液、MeOH
【0119】
以下のスキームは、例示のみを意味し、範囲を限定するものでは決してない。
【0120】
スキーム1:1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン7の合成
【化37】
【0121】
工程1:THF(5L)中のエチル2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)アセテート2b(4-メトキシフェニル)メタンチオール(CAS[258-60-22])(69.4g、450.6mmol)の合成物を20℃の窒素下で攪拌した。
混合物を-40℃に冷却し、続いてKHMDS(1M、495.7mL、495.7mmol)を滴下した。得られた白色粘性液体を30分間攪拌し、続いてTHF(1L)中の中間体1(250g、450.6mmol)を-40℃で添加した。反応混合物を徐々に20℃まで温めてから2時間攪拌した。1NのHCl(2L)水溶液を添加して反応混合物をクエンチし、続いてEtOAcで抽出した(2x2L)。有機層を、重炭酸ナトリウム水溶液(2L)、ブライン(2L)で連続的に洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=20/1~3/1)で精製し、無色油としての化合物2bを産生した(159g、50%)。
m/z=710(M+H)H NMR:(400MHz,CDCl):δ8.26(s,1H),7.82(d,J=8.0Hz,1H),7.29(d,J=8.4Hz,2H),6.85(d,J=8.4Hz,2H),6.28(s,1H),5.66-5.63(m,1H),5.34-5.30(m,1H),4.41-4.23(m,1H),4.19-4.04(m,5H),3.80-3.78(m,4H),3.23-3.19(m,1H),2.92(d,J=16.4Hz,1H),1.30-0.86(m,51H)。
【0122】
工程2:1-((6aR,8R,9R,9aR)-9-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-8-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン3の合成
0℃の窒素下で水素化アルミニウムリチウム(4g、105mml)をジエチルエーテル(1.5L)中に懸濁させ、続いてエーテル(200mL)中の中間体2b(50g、70mmol)を0℃で徐々に添加した。得られた白色混濁液を20℃で16時間攪拌した。1NのHCl(1L)水溶液を添加して反応混合物をクエンチし、続いてEtOAcで抽出した(2x1L)。有機層をNaSO上で乾燥させ蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=10/1~1/1)で精製し、無色油としての化合物3を産生した(27.8g、60%)。
m/z=668(M+H)H NMR:(400MHz,CDCl):δ8.78(s,1H),7.89(d,J=8Hz,1H),7.30(d,J=8.4Hz,2H),6.85(d,J=8.8Hz,2H),6.35(s,1H),5.73(d,J=8Hz,1H),4.36-3.91(m,12H),3.79(s,3H),2.23-2.20(m,2H),1.78-1.73(m,1H),1.11-0.97(m,30H)。
【0123】
工程3:2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)メタンスルホン酸エチル4の合成
25℃の窒素下で中間体3(50g、75mmol)をピリジン(500mL)に溶解させ、続いて25℃で塩化メシル(12.8g、112.5mmol)を徐々に添加した。得られた黄色溶液を25℃で16時間攪拌した。1NのHCl(1L)水溶液を添加して反応混合物をクエンチし、続いてEtOAcで抽出した(2x1L)。有機層をNaSO上で乾燥させ蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=10/1~1/1)で精製し、無色油としての化合物4を産生した(43g、78%)。
m/z=746(M+H)
H NMR:(400MHz,CDCl):δ8.56(s,1H),7.92(d,J=8.4Hz,1H),7.31(d,J=8.8Hz,2H),6.87-6.85(m,2H),6.27(s,1H),5.77-5.74(m,1H),4.55-4.53(m,2H),4.38-4.02(m,8H),3.79(s,3H),2.95(s,3H),2.28-2.21(m,1H),1.12-1.01(m,31H)。
【0124】
工程4:2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-メルカプトテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)メタンスルホン酸エチル5の合成
25℃のTFA(250mL)中の中間体4(62g、83.2mmol)に、酢酸水銀(53g、166.4mmol)及びフェノール(39.1g、416mmol)を0℃で徐々に添加した。得られた暗赤色溶液を0℃で1時間攪拌した。1,4-ジメルカプトブタン-2,3-ジオール(25.6g、166.4mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を10分間攪拌し、続いてcelite(登録商標)で濾過し、酢酸エチル(1L)で洗浄した。重炭酸ナトリウム水溶液を添加することによってpHを7に調整した。得られた混合物をcelite(登録商標)で濾過し、EtOAcで抽出した(2x1L)。有機層を、25℃でNaSO上で乾燥させ蒸発させて、褐色油としての中間体5(64g、粗生成物)を得た。
【0125】
工程5:1-((2’R,6aR,8R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9,2’-チエタン]-8-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン6の合成
20℃の窒素下で中間体5(57g、91mmol)をTHF(500mL)に溶解させた。得られた混合物を0℃で攪拌し、続いて水素化ナトリウム(3.6g、135mmol)を徐々に添加した。反応混合物を20℃で16時間攪拌した。1NのHCl(1L)水溶液を添加して反応混合物をクエンチし、続いてEtOAcで抽出した(2x1L)。有機層をNaSO上で乾燥させ蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=10/1~5/1)で精製し、無色油としての化合物6を産生した(18.3g、46%、2工程)。
m/z=529(M+H)
H NMR:(400MHz,CDCl):δ8.55(s,1H),7.93(d,J=8Hz,1H),6.58(s,1H),5.69(d,J=8Hz,1H),4.20-4.17(m,1H),4.05-3.96(m,2H),3.54-3.51(m,1H),3.33-3.32(m,1H),2.96-2.87(m,2H),2.85-2.69(m,1H),1.17-0.98(m,30H)。
【0126】
工程6:1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン7の合成
20℃の窒素下で中間体6(50g、94.5mmol)をメタノール(500mL)に溶解させた。フッ化アンモニウム(10.5g、283.6mmol)を20℃で添加した。反応混合物を50℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却させ、続いて減圧下で溶媒を除去した。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM/MeOH:100/1~10/1)で精製し、白色固体として7を産生した(11.2g、42%)。
m/z=287(M+H)
H NMR:(400MHz,DMSO-d):δ8.00(d,J=8Hz,1H),6.39(s,1H),5.68(d,J=6.4Hz,1H),5.61(d,J=8.4Hz,1H),5.22(t,J=4.8Hz,1H),3.92-3.89(m,1H),3.72-3.71(m,1H),3.59-3.57(m,1H),3.38(d,J=8.4Hz,1H),3.12-2.94(m,1H),2.85-2.81(m,2H),2.47-2.44(m,1H)。
【0127】
スキーム2:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7R,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート9の合成
【化38】
【0128】
工程1:(2S)-イソプロピル2-((クロロ(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート8の合成
ジクロロメタン(50mL)中(S)-イソプロピル2-アミノプロパン酸塩酸塩(5g、29.8mmol)の溶液に、20℃でフェニルホスホロジクロリデート(4.45g、29.8mmol)を添加した。得られた混合物を-78℃に冷却してから、ジイソプロピルエチルアミン(10.4mL、59.6mmol)を滴下した。反応混合物を-78℃で1時間攪拌してから、反応の温度を20℃に上げた。1時間後、減圧下で溶媒を除去した。
【0129】
乾燥EtO(約50ml)を添加し、形成された沈殿物を濾別して、窒素下で乾燥EtOを用いて2回洗浄した。濾液を乾燥するまで蒸発させ、黄色の無色油8(8.32g)を得、これを乾燥テトラヒドロフラン(THF)中1M溶液として-20℃の冷凍庫に貯蔵した。
H NMR(400MHz,CDCl)δppm1.24-1.31(m,6H),1.50(dd,J=7.0,2.1Hz,3H),4.06-4.20(m,1H),4.23-4.41(m,1H),5.02-5.14(m,1H),7.19-7.30(m,3H),7.34-7.41(m,2H)。
【0130】
工程2:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7R,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート9の合成
化合物7(500mg、1.7mmol)を乾燥ピリジン(15mL)中に溶解させ、室温で1時間攪拌して、続いて乾燥するまで蒸発させた。
【0131】
得られた沈殿物を乾燥ジクロロメタン(15mL)中に懸濁させ、メチルイミダゾール(1.3mL、17.4mmol)を滴下した。得られた溶液を、窒素下、乾燥THF中のホスホクロリデート8(2.62mL、2.62mmol)1M溶液で処理した。反応混合物を20℃で16時間攪拌し、DCM(20mL)で希釈し、1MのHCl水溶液で洗浄した(3x20mL)。組み合わせられた水層をDCM(30mL)を用いて抽出した。組み合わせられた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮させた。残滓をカラムクロマトグラフィ(勾配DCM/MeOH1~10%)によって精製し、白色発泡体として9を産生した(100mg、12%)。
m/z=556(M+H)H NMR(400MHz,CDCl)δppm1.18-1.26(m,6H),1.30-1.38(m,2H),2.62(s,1H),2.66-2.90(m,2H),3.01(td,J=8.7,5.6Hz,1H),3.14-3.22(m,1H),3.46-3.63(m,1H),3.70(s,1H),3.85-4.04(m,3H),4.32-4.54(m,2H),4.97-5.07(m,1H),5.59-5.65(m,1H),6.50-6.55(m,1H),7.15-7.25(m,3H),7.30-7.37(m,2H),7.46-7.55(m,1H),9.07(br s,1H)。
【0132】
スキーム3:4-アミノ-1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2(1H)-オン12の合成
【化39】
【0133】
工程1:(4R,5R,7R,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-((イソブチリルオキシ)メチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イルイソブチレート10の合成
化合物7(1g、3.5mmol)をトルエンによって2回蒸発させてから、乾燥ピリジン中に溶解させて、溶液を窒素下で0℃に冷却した。得られた溶液に無水イソ酪酸(2.9mL、17.5mmol)を添加し、混合物を20℃で終夜攪拌した。
【0134】
MeOHを用いて反応混合物をクエンチし、これを20℃で1時間攪拌した。揮発性物質を真空下で蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィ(勾配ヘプタン及びEtOAc1~30%)によって精製して、白色固体として10(1.16g、77%)を産生した。
m/z=427(M+H)H NMR(360MHz,DMSO-d)δppm1.06-1.24(m,12H),2.52-2.60(m,1H),2.67-2.92(m,5H),3.98-4.03(m,1H),4.18-4.28(m,2H),5.37(d,J=6.6Hz,1H),5.73(d,J=8.1Hz,1H),6.19(s,1H),7.64(d,J=8.1Hz,1H),11.57(br s,1H)。
【0135】
工程2:(4R,5R,7R,8R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-7-((イソブチリルオキシ)メチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イルイソブチレート11の合成
20℃の乾燥DCM(50mL)中の、中間体10(1g、2.345mmol)、DMAP(57.29mg、0.469mmol)、及びEtN(0.489mL、3.52mmol)の混合物に、TIPSCl(1.065g、3.517mmol)を添加した。得られた混合物を、20℃の窒素下で3時間攪拌した。アンモニア(4.8mL、2.43mmol、0.5M、THF中)を添加して、反応混合物を20℃で終夜激しく攪拌した。
【0136】
反応混合物をCHCl(50mL)で希釈して、NaHCOの飽和水溶液(50mL)を添加した。2つの層を分離し、水層をCHCl(3×25mL)で抽出した。組み合わせられた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾別し、減圧下で濃縮した。
【0137】
残滓をカラムクロマトグラフィ((DCM:MeOH9:1)/DCM、0~100%)によって精製して、白色固体として中間体11を産生した(1.16g、78%)。
m/z=426(M+H)H NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm1.07-1.13(m,6H),1.16-1.20(m,3H),1.23(d,J=7.0Hz,3H),2.57(dt,J=13.9,7.0Hz,1H),2.61-2.75(m,1H),2.78-2.89(m,2H),3.93-3.99(m,1H),4.19-4.28(m,2H),5.35(d,J=7.0Hz,1H),5.83(d,J=7.5Hz,1H),6.30(s,1H),7.61(d,J=7.5Hz,1H)
【0138】
工程3:4-アミノ-1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2(1H)-オン12の合成
中間体11(588mg、1.36mmol)をメタノール/アンモニアの溶液(7N)(25mL)に溶解させた。反応混合物を20℃で16時間攪拌した。溶媒を除去し、方法Dを用いて残滓をprep HPLCによって精製した。
【0139】
有機溶媒を40℃で除去し、水層を凍結乾燥して、白色固体として12を産生した(250mg、65%)。
m/z=286(M+H)H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.34-2.45(m,1H),2.69-2.84(m,2H),3.08-3.16(m,1H),3.30(br s,1H),3.32(br d,J=2.4Hz,1H),3.59(br d,J=12.1Hz,1H),3.75(br d,J=12.1Hz,1H),3.84(d,J=8.8Hz,1H),5.17(br s,1H),5.55(br s,1H),5.69(d,J=7.5Hz,1H),6.50(s,1H),7.17(br d,J=23.8Hz,2H),7.95(d,J=7.5Hz,1H)。
【0140】
スキーム4:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7R,8R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート17の合成
【化40】
【0141】
工程1:4-アミノ-1-((2’R,6aR,8R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9,2’-チエタン]-8-イル)ピリミジン-2(1H)-オン13の合成
20℃の乾燥ジクロロメタン(100mL)中の、中間体6(1.6g、3.026mmol)、DMAP(73.9mg、0.605mmol)、及びEtN(0.631mL、4.5mmol)の混合物に、TIPSCl(1.37g、4.53mmol)を添加した。得られた混合物を、20℃の窒素下で終夜攪拌した。続いてアンモニア(60mL、30.25mmol、0.5M、THF中)を添加して、反応混合物を20℃で3時間激しく攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈して、NaHCOの飽和水溶液(100mL)を添加した。2つの層を分離し、水層をジクロロメタン(3x30mL)で抽出し、組み合わせられた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾別し、減圧下で濃縮した。
【0142】
残滓をカラムクロマトグラフィ((DCM:MeOH9:1)/DCM、0~100%)によって精製して、白色発泡体として13を産生した(1.12g、70%)。
m/z=528(M+H)
【0143】
工程2:4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)-1-((2’R,6aR,8R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9,2’-チエタン]-8-イル)ピリミジン-2(1H)-オン14の合成
中間体13(1.12g、2.12mmol)を乾燥ジクロロメタン(100mL)に溶解し、続いて2,3,5-トリメチルピリジン(2.26mL、17.4mmol)、硝酸銀(6.34g、37.34mmol)、及び4,4’-(クロロ(フェニル)メチレン)ビス(メトキシベンゼン)(2.15g、6.36mmol)を添加した。得られた明橙黄色懸濁液を20℃で2時間攪拌した。
【0144】
続いて、反応混合物をMeOH(10mL)でクエンチした。反応混合物を、飽和NaHCO溶液(50mL)に注ぎ、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色発泡体としての14を得た(1.65g、93%)。
m/z=831(M+H)
【0145】
工程3:4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)-1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2(1H)-オン15の合成
TBAF(1M、THF中)[429-41-4](1.987mL、1M、1.987mmol)を、THF[109-99-9](50mL)中の中間体14(1.65g、1.987mmol)(粗生成物)の溶液に添加した。得られた混合物を、20℃のN下で2時間攪拌した。
【0146】
混合物をEtOAc(50mL)で希釈して、水(100mL)に注ぎ、続いてEtOAcで抽出した(3x25mL)。有機層をMgSO上で乾燥させ、溶媒を除去した。得られた残滓をジクロロメタン及びメタノール(100/0~95/5)を用いたカラムクロマトグラフィによって精製し、褐色固体としての15を産生した(1g、85%)。
m/z=588(M+H)
【0147】
工程4:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7R,8R)-5-(4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート16の合成
中間体15(700mg、0.953mmol)を乾燥ピリジン(5mL)中に溶解させ、室温で1時間攪拌し、続いて乾燥するまで蒸発させた。得られた発泡体を乾燥ジクロロメタン(50mL)中に懸濁させ、メチルイミダゾール(0.475mL、6mmol)を添加した。得られた溶液を、窒素下、(2S)-イソプロピル2-((クロロ(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート8(1.78mL、1.78mmol、1M溶液、乾燥THF中)で処理した。
【0148】
反応混合物を20℃で終夜攪拌し、続いてジクロロメタン(50mL)で希釈して、水(100mL)に注ぎ、pH=4になるまでHCl 1M水溶液を添加することによって得られた混合物を酸性化した。水層をジクロロメタンで抽出した。組み合わせられた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮させた。残滓をカラムクロマトグラフィ(勾配DCM/MeOH1~10%)によって精製し、16を産生した(110mg、17%)。
m/z=858(M+H)
【0149】
工程5:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7R,8R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート17の合成
中間体16(110mg、0.128mmol)を20℃でジクロロメタン(15mL)に溶解し、続いて2,2,2-トリフルオロ酢酸(0.1mL、1.28mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で3時間攪拌した。
【0150】
反応混合物をメタノール(10mL)でクエンチし、ジクロロメタン(25mL)で希釈し、混合物を30分間攪拌した。明橙黄色溶液は黄色となった。反応混合物をNaCOの水溶液で塩基性化し(pH=8になるまで)、混合物を30分間攪拌した。2つの層を分離し、水層をジクロロメタン(3x15mL)で抽出した。組み合わせられた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾別し、減圧下で濃縮して黄色油を得た。これを方法Dを用いたprep HPLCによって精製して、白色粉末としての化合物17を産生した(39mg、53%)。
m/z=555(M+H)H NMR(400MHz,CDCl)δppm1.17-1.29(m,7H),1.36(s,3H),2.66-2.86(m,2H),2.87-2.99(m,1H),3.23-3.36(m,1H),3.45-3.54(m,1H),3.55-3.72(m,1H),3.78-4.07(m,3H),4.31-4.45(m,1H),4.46-4.56(m,1H),4.90-5.09(m,1H),5.58-5.81(m,1H),6.59-6.77(m,1H),7.12-7.25(m,3H),7.29-7.38(m,2H),7.54-7.69(m,1H)。
【0151】
スキーム5:1-((4R,5R,7S,8R)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン22の合成
【化41】
【0152】
工程1:1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン7の合成
THF(300mL)中の中間体6(15g、28.365mmol)の溶液に、TBAF(56.7mL、56.7mmol、1M、THF中)を添加した。得られた混合物を、N雰囲気下、室温で2時間攪拌した。その後、溶媒を蒸発させ、方法Aを用いたPrep HPLCによって粗生成物を精製して、白色粉末としての中間体7を産生した(7g、86%)。
MS(ES-):285.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.44-2.49(m,1H),2.78-2.90(m,2H),2.99-3.09(m,1H),3.39-3.45(m,1H),3.59(dd,J=12.4,2.8Hz,1H),3.74(dd,J=12.4,2.1Hz,1H),3.92(br d,J=8.1Hz,1H),5.23(br s,1H),5.62(d,J=8.1Hz,1H),5.68(br s,1H),6.40(s,1H),8.00(d,J=8.1Hz,1H),11.40(br s,1H)。
【0153】
工程2:1-((4R,5R,7S,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヨードメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン18の合成
室温で、ヨウ素(6.649g、26.196mmol)及びTPP(6.871g、26.196mmol)を、NMI(6.96mL、1.03g/mL、87.318mmol)及びTHF(200mL、0.886g/mL、2457.462mmol)中の中間体7(5g、17.464mmol)の懸濁液に添加した。反応混合物をN雰囲気下で4時間攪拌した。反応混合物をNaの飽和溶液でクエンチし、濃縮し、EtOAc(100mL)で希釈した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/EtOAcを用いたクロマトグラフィカラムによって精製し、中間体18(80%)及びトリフェニルホスフィンオキシド(20%)を含有する白色固体(6g)を得た。
MS(ES-):395.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.55-2.67(m,1H),2.68-2.80(m,1H),2.85-2.95(m,2H),3.35-3.47(m,2H),3.50-3.60(m,1H),3.81(t,J=6.7Hz,1H),5.66(d,J=8.1Hz,1H),5.97(d,J=6.2Hz,1H),6.33(s,1H),7.53(d,J=8.1Hz,1H),11.50(s,1H)。
【0154】
工程3:1-((4R,5R,8R)-8-ヒドロキシ-7-メチレン-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン19
中間体18(6g)を含有する混合物をMeOH(100mL)中で懸濁させた。NaOMe(30%、MeOH中)(14.022mL、5.4M、75.718mmol)を懸濁液に添加した。得られた混合物を還流状態で2.5時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、Decalite(登録商標)の小型パッドで濾過した。濾液を、方法Aを用いたprep HPLCによって精製した。画分を凍結乾燥させて、白色固体としての中間体19を提供した(2.6g、2工程で55%)。
MS(ES-):267.0
H NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm2.54-2.68(m,1H),2.72-2.84(m,1H),2.91(td,J=8.5,5.7Hz,1H),2.94-3.05(m,1H),4.26(s,1H),4.45(t,J=1.8Hz,1H),4.56(br d,J=6.2Hz,1H),5.66(d,J=7.9Hz,1H),6.06(d,J=6.4Hz,1H),6.51(s,1H),7.33(d,J=8.1Hz,1H),11.54(br s,1H)。
【0155】
工程4:(4R,5R,7R,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-7-(ヨードメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イルベンゾエート20の合成
中間体19(1g、3.7mmol)をACN(20mL)及びTHF(30mL)に溶解させ、得られた混合物をN雰囲気下で-15℃に冷却し、続いて5mLのACN中のトリエチルアミン三フッ化水素酸塩(0.6mL、0.989g/mL、3.7mmol)を滴下し、続いてNIS(1g、4.4mmol)を添加した。得られた反応混合物を-15℃のN雰囲気下で1時間攪拌した。その後、EtN(2.6mL、0.728g/mL、18.6mmol)及びDMAP(9.107mg、0.08mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を40mLのTHFで希釈し、続いて0℃で塩化ベンゾイル(0.433mL、1.211g/mL、3.7mmol)を滴下した。反応混合物を室温まで温めて3時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、ブライン、Naの飽和溶液で連続的に洗浄し、MgSO上で乾燥させ、カラムクロマトグラフィ(ヘプタン/EtOAc)によって精製し、明黄色固体としての中間体20を得た(1.2g、収率62%)。
MS(ES-):516.8;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.80(br s,2H),2.93(br d,J=5.3Hz,1H),3.04-3.20(m,1H),3.50-3.77(m,2H),5.78(br d,J=7.7Hz,1H),6.04(br s,1H),6.59(br s,1H),7.63(br t,J=7.3Hz,2H),7.70-7.98(m,1H),8.18(br d,J=7.3Hz,2H),11.65(br s,1H)。
【0156】
工程5:((4R,5R,7S,8R)-8-(ベンゾイルオキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メチルベンゾエート21の合成
中間体20(1.2g、2.3mmol)、ナトリウムベンゾエート(1.7g、11.6mmol)、及び15-クラウン-5(4.6mL、1.11g/mL、23.2mmol)をN雰囲気下でDMF(50mL)に懸濁させた。反応混合物を120℃で18時間攪拌した。その後、反応混合物を45-50℃まで冷却し、続いてEtOAc(100mL)で希釈してから濾過した。有機層を、ブライン、Naの飽和溶液で連続的に洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒を除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘプタン/EtOAc:100/100~50/50)で精製して、明黄色固体としての中間体21を得た(700mg、59%)。
MS(ES-):511.0;H NMR(400MHz,CDCl)δppm2.76(br s,1H),2.89-2.95(m,1H),3.11(br s,1H),3.17-3.30(m,1H),4.54(dd,J=12.3,5.7Hz,1H),4.72(dd,J=12.2,8.7Hz,1H),5.53-5.64(m,1H),5.92(s,1H),6.58-6.79(m,1H),7.28(s,1H),7.33-7.42(m,2H),7.47-7.54(m,2H),7.54-7.59(m,1H),7.65(t,J=6.9Hz,1H),7.98(d,J=7.7Hz,2H),8.25(d,J=7.6Hz,2H)。
【0157】
工程6:1-((4R,5R,7S,8R)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン22の合成
中間体21(700mg、1.4mmol)をNH(7M、MeOH中)(200mL)で可溶化し、室温で終夜攪拌した。溶媒を除去し、固体をEtO中で粉砕し、化合物22(269mg、65%)を得た。
MS(ES-):303.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.32-2.45(m,1H),2.83(br dd,J=8.4,4.0Hz,1H),2.88-3.03(m,1H),3.08-3.20(m,1H),3.51-3.67(m,2H),4.08(br d,J=19.4Hz,1H),5.67(d,J=7.9Hz,1H),5.75(br s,1H),5.93(br s,1H),6.71(br s,1H),7.65(br d,J=8.4Hz,1H),11.53(br s,1H)。
【0158】
スキーム6:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7S,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート23の合成
【化42】
【0159】
化合物22(100mg、0.329mmol)を乾燥ピリジン(5mL)に溶解させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた発泡体をジクロロメタン(5mL)及びN-メチルイミダゾール(0.131mL、1.03g/mL、1.643mmol)中で可溶化した。室温のN雰囲気下で、この混合物に、中間体8(0.5mL、1M、0.5mmol)を滴下した。5時間攪拌した後、もう1つの等量の中間体8を添加した。終夜攪拌した後、20mLの冷水と20mLのジクロロメタンとの混合物で反応混合物をクエンチした。得られた混合物を、pH=4になるまでHCl 1Mで酸性化し、ジクロロメタンで抽出した(3x50mL)。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、化合物を含む400mgの発泡体を得た。精製は、方法Bを用いるPrep HPLCによって実施して、23を産生した(44mg、収率23%)。
MS(ES-):572.1;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.15(d,J=6.2Hz,6H),1.21(dd,J=10.6,7.3Hz,3H),2.53-2.64(m,1H),2.82-2.97(m,2H),3.05(br s,1H),3.72-3.85(m,1H),4.14-4.34(m,3H),4.85(dt,J=12.5,6.3Hz,1H),5.58(d,J=8.1Hz,1H),6.02-6.19(m,2H),6.67(br s,1H),7.14-7.25(m,3H),7.37(br t,J=7.9Hz,3H),10.86-11.82(m,1H)。
【0160】
スキーム7:(2R)-ブチル2-(((((4R,5R,7S,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート25の合成
【化43】
【0161】
工程1:(2S)-ブチル2-((クロロ(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート24の合成
(S)-1-ブトキシ-1-オキソプロパン-2-アミニウム(2g、11mmol)をジクロロメタン(50mL)中で可溶化して-78℃に冷却した。この混合物に、N雰囲気下で、フェニルホスホロジクロリデート(1.6mL、11mmol)を徐々に添加し、続いてDIPEA(3.9mL、0.742g/mL、22mmol)を滴下した。反応混合物を1時間攪拌し、続いて室温まで温め、2時間攪拌した。その後、溶媒を除去した。乾燥EtO(100mL)を窒素下で添加し、得られた混合物を濾過し、濾液を窒素流減圧下で濃縮し、無色油として中間体24を得た(2.877g、収率82%)。この油を、乾燥テトラヒドロフラン中1M溶液として-20℃の冷凍庫に貯蔵した。
H NMR(400MHz,CDCl)δppm0.94(td,J=7.4,5.4Hz,3H),1.33-1.45(m,2H),1.49-1.54(m,3H),1.59-1.70(m,2H),4.09-4.26(m,3H),4.53-4.67(m,1H),7.20-7.30(m,3H),7.33-7.41(m,2H)。
【0162】
工程2:(2S)-ブチル2-(((((4R,5R,7S,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート25の合成
化合物22(100mg、0.329mmol)をピリジン(5mL)に溶解させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた発泡体をジクロロメタン(5mL)及びN-メチルイミダゾール(0.131mL、1.643mmol)中で可溶化した。室温のN雰囲気下で、得られた混合物に、中間体24(0.657mL、1M、0.657mmol)を滴下した。5時間攪拌した後、中間体24の別の等価物を添加し、混合物を終夜攪拌し、20mLの冷水と20mLのジクロロメタンとの混合物で反応混合物をクエンチした。得られた混合物を、pH=4になるまでHCl 1Mで酸性化し、ジクロロメタンで抽出した(3x50mL)。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、化合物を含む300mgの発泡体を得た。精製は、方法Bを用いるPrep HPLCによって実施して、25を産生した(32.6mg、収率17%)。
MS(ES-):586.1;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm0.85(td,J=7.4,2.6Hz,3H),1.22(dd,J=10.6,7.3Hz,3H),1.25-1.33(m,2H),1.47-1.54(m,2H),2.52-2.62(m,1H),2.88(br s,2H),3.05(br s,1H),3.83(br d,J=9.7Hz,1H),4.00(qd,J=6.4,2.5Hz,2H),4.22(br d,J=9.2Hz,3H),5.57(d,J=8.4Hz,1H),6.13(br d,J=8.4Hz,2H),6.60-6.73(m,1H),7.20(br t,J=8.2Hz,3H),7.33-7.40(m,3H),11.00-11.61(m,1H)。
【0163】
スキーム8:4-アミノ-1-((4R,5R,7S,8R)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2(1H)-オン27の合成
【化44】
【0164】
工程1:(4R,5R,7S,8R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-7-((ベンゾイルオキシ)メチル)-7-フルオロ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イルベンゾエート26の合成
中間体21(600mg、1.171mmol)、DMAP(28.6mg、0.234mmol)、及びEtN(0.244mL、0.728g/mL、1.8mmol)をジクロロメタン(60mL)中で可溶化した。得られた混合物に、TPSCl(532mg、1.8mmol)を添加した。反応混合物を室温で20時間攪拌した。その後、NH(0.5M、THF中)(60mL)を反応混合物に添加した。得られた反応混合物を3時間攪拌した。反応混合物を、ジクロロメタン(60mL)とNaHCOと飽和溶液との混合物に注いだ。水層をジクロロメタン(3x60mL)で抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、カラムクロマトグラフィ(ヘプタン/EtOAc:100/0~50/50)上で精製して中間体26(350mg、58%)を得た。
MS(ES-):510.0
【0165】
工程2:4-アミノ-1-((4R,5R,7S,8R)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2(1H)-オン27の合成
中間体26(150mg、0.293mmol)を室温のNH(7M、MeOH中)(50mL)中で5時間攪拌した。溶媒を除去し、方法Cを用いたPrep HPLCによって粗生成物を精製して化合物27を産生した(54.8mg、62%)。
MS(ES-):302.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.35(ddd,J=12.2,8.6,4.0Hz,1H),2.74-2.93(m,2H),3.16-3.22(m,1H),3.56-3.68(m,2H),4.05(br d,J=21.1Hz,1H),5.42(s,2H),5.73(d,J=7.5Hz,1H),6.79(s,1H),7.11(s,2H),7.59(d,J=7.5Hz,1H)。
【0166】
スキーム9:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7S,8R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート31の合成
【化45】
【0167】
工程1:((4R,5R,7S,8R)-8-(ベンゾイルオキシ)-5-(4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メチルベンゾエート28の合成
中間体26(600mg、1.172mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解した。得られた混合物に、4,4’-(クロロ(フェニル)メチレン)ビス(メトキシベンゼン)(1.2g、3.5mmol)、硝酸銀(3.4g、20mmol)、及び2,3,5-トリメチルピリジン(1.2mL、0.931g/mL、9.6mmol)を室温で添加した。反応混合物をN雰囲気下で2時間攪拌した。その後、反応混合物を、ジクロロメタン(20mL)と冷水(50mL)との混合物に注いだ。水層をジクロロメタン(3x25mL)で抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、カラムクロマトグラフィ(ヘプタン/EtOAc:100/0~70/30)上で精製して、白色固体として中間体28(470mg、49%)を得た。
MS(ES-):812.2
【0168】
工程2:4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)-1-((4R,5R,7S,8R)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2(1H)-オン29の合成
中間体28(470mg、0.577mmol)をNH(7M、MeOH中)(150mL、7M、1050mmol)で可溶化し、室温で2時間攪拌した。溶媒を除去し、粗生成物をEtO中で粉砕し、白色固体として中間体29(310mg、87%)を得た。
MS(ES-):604.3
【0169】
工程3:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7S,8R)-5-(4-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メチル)アミノ)-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート30の合成
中間体29(310mg、0.512mmol)をピリジンに溶解させ、溶媒を減圧下で除去して発泡体を得た。この発泡体をTHF(10mL)に溶解させ、NMI(0.204mL、1.03g/mL、2.559mmol)を添加した。この反応混合物を、室温のN雰囲気下で5分間攪拌した。混合物にイソプロピル(2S)-2-[[クロロ(フェノキシ)ホスホリル]アミノ]プロパノエート8(1.024mL、1M、1.024mmol)を徐々に添加して、得られた混合物を6時間攪拌した。反応混合物を冷水(50mL)とDCM(50mL)との混合物に注ぎ、HCl 1Mの水溶液でpH=4になるまで酸性化させた。水層をDCMで抽出した(3x50mL)。有機層をMgSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗生成物を、方法Bを用いたprep HPLCによって精製した。得られた画分を凍結乾燥して中間体30(100mg、22%)を提供した。
MS(ES-):873.2
【0170】
工程4:(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7S,8R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート31の合成
TFA(0.0875mL、1.49g/mL、1.143mmol)をDCM(10mL)中の中間体19(100mg、0.114mmol)の溶液に室温で添加した。得られた混合物を、N雰囲気下、室温で1時間攪拌した。反応混合物をMeOH(50mL)に注ぎ、続いて溶媒を蒸発させた。粗生成物を、方法Bを用いたprep HPLCによって精製した。得られた画分を凍結乾燥して化合物31(20mg、31%)を提供した。
MS(ES-):571.3;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.12-1.17(m,6H),1.18-1.24(m,3H),2.26-2.38(m,1H),2.83(s,2H),3.06-3.18(m,1H),3.73-3.85(m,1H),4.01-4.29(m,3H),4.85(td,J=6.3,2.4Hz,1H),5.70(dd,J=7.5,4.0Hz,1H),6.12(br s,2H),7.16-7.24(m,3H),7.32-7.40(m,4H),7.48-7.65(m,1H)。
【0171】
スキーム10:1-((2’R,4aS,6R,7aR)-2-(シクロペンチルオキシ)-4a-フルオロ-2-オキシドテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-7,2’-チエタン]-6-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン35の合成
【化46】
【0172】
工程1:2-クロロフェニルシクロペンチルホスホクロリデート32の合成
シクロペンタノール(1.096mL、0.786g/mL、10mmol)をDCM(20mL)中で可溶化させ、-78℃に冷却した。この混合物に、2-クロロフェニル-ジクロロホスフェート(1.64mL、1.49g/mL、10mmol)を添加し、続いてDIPEA(1.72mL、0.75g/mL、10mmol)を滴下した。この反応混合物を、-78℃から室温までのN雰囲気下で20時間攪拌した。溶液をそのまま工程2で使用した。
【0173】
工程2:2-クロロフェニルシクロペンチル(((4R,5R,7S,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メチル)ホスフェート34の合成
中間体22(284mg、0.933mmol)をピリジン(5mL)に溶解させ、溶媒を減圧下で除去して発泡体を得た。発泡体を、室温のN雰囲気下でDCM(10mL)及びNMI(0.372mL、1.03g/mL、4.666mmol)に溶解させた。この混合物に、中間体32(2.24mL、0.5M、1.12mmol)を室温で添加した。6時間後、反応混合物を、DCM(20mL)と冷水(20mL)との混合物に連続的に注ぎ、pH=4になるまでHCl 1M水溶液で酸性化させ、DCMで抽出した(3x50mL)。有機層をMgSO上で乾燥させ、濃縮し、粗生成物を、溶離剤としてDCM/MeOHを用いたカラムクロマトグラフィによって精製して、白色固体としての中間体34(350mg、67%)を得た。
MS(ES-):561.1;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.51-1.71(m,4H),1.77(dt,J=7.3,3.9Hz,4H),2.56-2.70(m,1H),2.83-2.94(m,2H),2.94-3.04(m,1H),4.26-4.48(m,3H),5.00(br d,J=3.3Hz,1H),5.56-5.64(m,1H),6.13(br s,1H),6.62(br s,1H),7.22-7.28(m,1H),7.32-7.52(m,3H),7.57(d,J=7.9Hz,1H),11.55(br s,1H)。
【0174】
工程3:1-((2’R,4aS,6R,7aR)-2-(シクロペンチルオキシ)-4a-フルオロ-2-オキシドテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-7,2’-チエタン]-6-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン35の合成
中間体34(300mg、0.533mmol)をTHF(7mL)中に可溶化させ、室温のN雰囲気下でtBuOK(119.6mg、1.066mmol)を添加した。6時間後、反応混合物を、冷水(20mL)とEtOAc(20mL)との混合物に連続的に注ぎ、pH=3になるまでHCl 1M水溶液で酸性化させ、EtOAcで抽出した(3x50mL)。有機層をMgSO上で乾燥させ、濃縮し、方法Bを用いたprep HPLCによって粗生成物を精製した。得られた画分を凍結乾燥して35(46.3mg、20%)を提供した。
MS(ES-):433.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.61(br s,2H),1.74(br s,2H),1.88(br s,4H),2.67-2.90(m,1H),2.96(br d,J=9.9Hz,1H),2.98-3.09(m,2H),4.26-4.39(m,1H),4.55-4.71(m,1H),5.00(br s,1H),5.46(br d,J=19.8Hz,1H),5.78(br d,J=7.7Hz,1H),6.39(s,1H),8.02(br d,J=7.7Hz,1H),11.62(br s,1H)。
【0175】
スキーム11:4-クロロフェニル(((4R,5R,7S,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メチル)イソプロピルホスフェート37の合成
【化47】
【0176】
1-クロロ-4-ジクロロホスホリルオキシ-ベンゼン(1.628mL、1.508g/mL、10mmol)をDCM(25mL)に溶解させ、混合物をN雰囲気下で-15℃に冷却した。この混合物に、イソプロパノール(0.765mL、0.786g/mL、10mmol)を徐々に添加し、続いてDIPEA(1.723mL、0.75g/mL、10mmol)を滴下した。反応混合物を-15℃から室温まで20時間攪拌してその場で試薬(36)を得た。
【0177】
化合物22(100mg、0.329mmol)をピリジン(5mL)に溶解させ、溶媒を減圧下で除去した。この発泡体をDCM(5mL)中に置き、NMI(0.131mL、1.03g/mL、1.643mmol)を添加した。反応混合物を室温で5分間攪拌した。36(1.232mL、0.4M、0.493mmol)を含有する混合物を添加して、反応混合物を室温のN雰囲気下で4時間攪拌した。反応混合物を、冷水(20mL)とDCM(20mL)との混合物に注いだ。水層をDCMで抽出した(3x50mL)。有機層をMgSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗生成物を、方法Eを用いたPrep HPLCによって精製した。得られた画分を凍結乾燥して、白色固体としての化合物37(50mg、収率28%)を提供した。
MS(ES-):535.1;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.27(dd,J=9.0,6.1Hz,6H),2.53-2.70(m,1H),2.82-2.94(m,2H),2.94-3.04(m,1H),4.22-4.43(m,3H),4.70(dqd,J=12.6,6.3,6.3,6.3,1.8Hz,1H),5.62(t,J=8.4Hz,1H),6.11(br s,1H),6.61(br s,1H),7.20-7.27(m,2H),7.44(d,J=8.6Hz,3H),11.50(br s,1H)。
【0178】
スキーム12:1-((2R,2’R,4aS,6R,7aR)-2-(シクロブチルアミノ)-4a-フルオロ-2-オキシドテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-7,2’-チエタン]-6-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン40a、及び1-((2S,2’R,4aS,6R,7aR)-2-(シクロブチルアミノ)-4a-フルオロ-2-オキシドテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-7,2’-チエタン]-6-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン40bの合成
【化48】
【0179】
工程1:4-クロロフェニルシクロブチルホスホルアミドクロリデート38の合成
シクロブタンアミン(5mL、0.83g/mL、58.35mmol)を乾燥ジクロロメタン(50mL、1.326g/mL、780.622mmol)に溶解させ、得られた混合物を-78℃で10分間攪拌し、続いて4-クロロフェニルホスホロジクロリデート(9.497mL、1.508g/mL、58.35mmol)を滴下した(白色沈殿物)。得られた混合物を-78℃で10分間攪拌し、続いてDIPEA[7087-68-5](11.18mL、0.742g/mL、64.185mmol)を滴下し、透明な溶液が生じた。得られた混合物を-78℃で2時間攪拌し、次に室温で2時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去した。
【0180】
乾燥EtO(約50mL)を添加し、形成された沈殿物を濾別して、窒素流下で乾燥EtOを用いて2回洗浄した。濾液を乾燥するまで蒸発させ、黄色の無色油(18.7g)を分離した。これをTHF(66.8mL)に溶解させ、THF中の中間体38の1M溶液として-18℃の冷凍庫に保管した。
【0181】
工程2:4-クロロフェニル(((4R,5R,7S,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メチル)シクロブチルホスホルアミデート39の合成
出発物質(400mg、1.314mmol)をピリジン(10mL)中に溶解させ、室温で30時間攪拌し、続いて乾燥するまで蒸発させた。
【0182】
乾燥ジクロロメタン(50mL、1.326g/mL、780.622mmol)中のヌクレオシド22(400mg、1.314mmol)の攪拌溶液に、22が全て溶解するまでメチルイミダゾール(1079.268mg、13.145mmol)を添加した。得られた溶液を、アルゴン雰囲気下、乾燥THF中のホスホクロリデート38(552.266mg、1.972mmol)1M溶液で処理した。反応混合物を室温で終夜攪拌し、DCM(50mL)で希釈し、水(100mL)に注いだ。pH=4になるまでHCl 1M溶液を添加することによって得られた混合物を酸性化した。得られた混合物をジクロロメタンで抽出し、MgSO4上で乾燥させ、濃縮した。残滓をカラムクロマトグラフィによって精製して、白色固体として39を産生した(430mg、38%)。
m/z=549(M+H)H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.32-1.56(m,2H),1.72-1.90(m,2H),1.97-2.14(m,2H),2.54-2.65(m,1H),2.79-2.95(m,2H),2.96-3.11(m,1H),3.47-3.66(m,1H),4.08-4.35(m,3H),5.53-5.67(m,1H),5.92-6.18(m,2H),6.58-6.73(m,1H),7.15-7.28(m,2H),7.30-7.61(m,3H),11.38-11.62(m,1H)
【0183】
工程3:1-((2R,2’R,4aS,6R,7aR)-2-(シクロブチルアミノ)-4a-フルオロ-2-オキシドテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-7,2’-チエタン]-6-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン40a、及び1-((2S,2’R,4aS,6R,7aR)-2-(シクロブチルアミノ)-4a-フルオロ-2-オキシドテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-7,2’-チエタン]-6-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン40bの合成
中間体39(130mg、0.237mmol)をDMSO(5mL、1.092g/mL、69.879mmol)に溶解させ、室温で、テルブトキシドカリウム(0.0399g、0.356mmol)で処理した。得られた混合物を室温で終夜攪拌した。これを、HPLCを用いて精製した。水層を凍結乾燥し、化合物を白色粉末40a(22.8mg、23%)及び40b(18mg、18%)として分離した。m/z=420(M+H)H NMR(600MHz,アセトン,-11℃)δppm1.50-1.66(m,4H),2.04-2.07(m,4H),2.20-2.26(m,2H),2.32-2.40(m,2H),2.86(ddd,J=13.1,8.7,4.7Hz,1H),2.94-3.04(m,3H),3.04-3.22(m,4H),3.69-3.81(m,2H),4.38-4.47(m,2H),4.52(ddd,J=22.2,12.0,9.4Hz,1H),4.83(dd,J=31.0,11.3Hz,1H),4.96(d,J=18.8Hz,1H),5.49(br dd,J=15.0,9.8Hz,1H),5.55(dd,J=15.1,9.9Hz,1H),5.61(dd,J=19.9,1.9Hz,1H),5.73(d,J=8.2Hz,1H),5.83(d,J=7.9Hz,1H),6.25(s,1H),7.05(s,1H),7.68(d,J=8.2Hz,1H),8.02(d,J=8.1Hz,1H)
【0184】
スキーム13:1-[(4R,5R,6R,8R)-6-アジド-5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-7-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イル]ピリミジン-2,4-ジオン44の合成
【化49】
【0185】
工程1:1-((4R,5R,8R)-8-ヒドロキシ-7-メチレン-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン19の合成
中間体18(5.29g、13.352mmol)をTHF(150mL)に可溶化させ、60℃のTHF(100mL)中DBU(3.174mL、1.019g/mL、21.245mmol)の攪拌溶液に1時間かけて滴下した。得られた混合物を60℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(200mL)に注いだ。1MのHCl溶液で混合物をpH=4になるまで酸性化させた。EtOAc(200mL)を用いて有機層を3回抽出し、MgSO上で乾燥させ、乾燥するまで濃縮した。固体をDCM中で粉砕し、濾過して、白色固体として中間体19を得た(2.68g、収率75%)。
MS(ES-):267.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.54-2.68(m,1H),2.72-2.84(m,1H),2.91(td,J=8.5,5.7Hz,1H),2.94-3.05(m,1H),4.26(s,1H),4.45(t,J=1.8Hz,1H),4.56(br d,J=6.2Hz,1H),5.66(d,J=7.9Hz,1H),6.06(d,J=6.4Hz,1H),6.51(s,1H),7.33(d,J=8.1Hz,1H),11.54(br s,1H)。
【0186】
工程2:1-((4R,5R,7S,8R)-7-アジド-8-ヒドロキシ-7-(ヨードメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン41の合成
N-ベンジル-N,N-ジエチルエタンアミニウムクロリド(BnEtNCl)(4.585g、20.127mmol)及びアジドナトリウム(NaN)(1.308g、20.127mmol)をMeCN(30mL)中に懸濁させ、16時間攪拌した。混合物を、THF(60mL)中の中間体19(900mg、3.355mmol)及びNMM(5.4mL、0.917g/mL、48.956mmol)の溶液に濾過した。反応混合物を0℃に冷却して、THF(18mL)中のヨウ素(5.11g、20.127mmol)を添加した。反応混合物を室温で5時間攪拌した。N-アセチル-システイン(2g)を、ガスが発生しなくなるまで混合物に添加した。飽和水性Naを、明黄色溶液が発生するまで混合物に添加した。溶液を減圧下で濃縮し、EtOAc(50mL)中で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶媒を除去し、溶離剤としてヘプタン/EtOAcを用いたカラムクロマトグラフィによって粗生成物を精製して、中間体41(1.49g、収率99%)を得た。
MS(ES-):436.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.52-2.61(m,1H),2.76-2.98(m,3H),3.75(s,2H),4.34(br s,1H),5.68(d,J=8.1Hz,1H),6.47(br d,J=6.2Hz,2H),7.43-7.57(m,1H),11.57(s,1H)。
【0187】
工程3:(4R,5R,7S,8R)-7-アジド5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-(ヨードメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イルベンゾエート42の合成
中間体41(1.49g、3.408mmol)をTHF(45mL)に溶解し、混合物を0℃に冷却した。EtN(2.368mL、0.728g/mL、17.04mmol)及びDMAP(8.327mg、0.0682mmol)を混合物に添加し、続いて塩化ベンゾイル(0.475mL、1.211g/mL、4.089mmol)を滴下した。反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)中で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させて濃縮した。溶離剤としてヘプタン/EtOAcを用いたカラムクロマトグラフィによって粗生成物を精製して、白色発泡体として中間体42を得た(1.5g、収率81%)。
MS(ES-):540.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.73-2.84(m,2H),2.84-2.94(m,1H),3.02-3.12(m,1H),3.79(br d,J=11.7Hz,1H),3.92(br d,J=11.7Hz,1H),5.77(dd,J=8.0,2.1Hz,1H),6.02(br s,1H),6.50(br s,1H),7.63(t,J=7.2Hz,2H),7.72-7.85(m,2H),8.18(d,J=7.6Hz,2H),11.63(s,1H)。
【0188】
工程4:[(4R,5R,6R,8R)-6-アジド-5-ベンゾイルオキシ-8-(2,4-ジオキソピリミジン-1-イル)-7-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-6-イル]メチルベンゾエート43の合成
中間体42(1.5g、2.771mmol)及びBzONa(1.997g、13.855mmol)をDMF(80mL)中に懸濁させ、続いて15-クラウン-5(5.499mL、1.11g/mL、27.71mmol)を添加した。反応混合物を120℃で終夜攪拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)中で希釈し、Decaliteの小型床上で濾過し、水で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、溶媒を除去した。溶離剤としてヘプタン/EtOAcを用いたカラムクロマトグラフィによって粗生成物を精製し、LC-MSで測定して純度63%の明黄色固体として中間体43を得た(700mg、収率47%)。化合物をそのまま使用した。
MS(ES-):534.1
【0189】
工程5:(4R,5R,7R,8R)-7-アジド-7-((ベンゾイルオキシ)メチル)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イルベンゾエート44の合成
中間体43(700mg、1.307mmol)をNH(7M、MeOH中)(150mL、7M、1050mmol)に溶解し、混合物を室温で終夜攪拌した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、固体をEtO中で粉砕して、明黄色固体として1-[(4R,5R,6R,8R)-6-アジド-5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-7-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イル]ピリミジン-2,4-ジオン44(360mg、収率84%)を得た。
MS(ES-):326.0;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.38-2.48(m,1H),2.78-2.92(m,2H),3.02-3.10(m,1H),3.69-3.78(m,2H),4.11(br d,J=5.3Hz,1H),5.67(d,J=8.1Hz,1H),5.76(br s,1H),5.93(br d,J=4.2Hz,1H),6.60(br s,1H),7.66(d,J=8.1Hz,1H),11.31(br s,1H)。
【0190】
スキーム14:イソプロピル(2R)-2-[[[(4R,5R,6R,8R)-6-アジド-8-(2,4-ジオキソピリミジン-1-イル)-5-ヒドロキシ-7-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-6-イル]メトキシ-フェノキシ-ホスホリル]アミノ]プロパノエート45の合成
【化50】
【0191】
中間体44(200mg、0.611mmol)を乾燥ピリジン(5mL)に溶解させ、溶媒を減圧下で除去して発泡体を得た。発泡体をDCM(10mL)に溶解させ、(0.244mL、1.03g/mL、3.055mmol)のN-メチルイミダゾールを添加した。反応混合物を、室温のN雰囲気下で5分間攪拌した。イソプロピル(2R)-2-[[クロロ(フェノキシ)ホスホリル]アミノ]プロパノエート8(1M、THF中)(0.917mL、1M、0.917mmol)を添加し、反応混合物を室温のN雰囲気下で20時間攪拌した。反応混合物を、冷水(20mL)及びDCM(20mL)に注いだ。水層をDCMで抽出した(3x50mL)。有機層をMgSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗生成物を、方法Eを用いたPrep HPLCによって精製した。得られた画分を凍結乾燥して、イソプロピル(2R)-2-[[[(4R,5R,6R,8R)-6-アジド-8-(2,4-ジオキソピリミジン-1-イル)-5-ヒドロキシ-7-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-6-イル]メトキシ-フェノキシ-ホスホリル]アミノ]プロパノエート45(80mg、収率22%)を提供した。
MS(ES-):595.2;H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.14(dd,J=6.2,2.4Hz,6H),1.22(d,J=7.3Hz,3H),2.52-2.60(m,1H),2.80-2.90(m,2H),2.95-3.04(m,1H),3.72-3.84(m,1H),4.21-4.38(m,3H),4.84(quind,J=6.3,6.3,6.3,6.3,4.0Hz,1H),5.60(dd,J=7.9,3.3Hz,1H),6.06-6.22(m,2H),6.49-6.62(m,1H),7.15-7.24(m,3H),7.33-7.40(m,2H),7.47(br d,J=7.0Hz,1H),11.52(br s,1H)。
【0192】
スキーム15:2-アミノ-9-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)-1H-プリン-6(9H)-オン57の合成
【化51】
【0193】
工程1:2-アミノ-9-((6aR,8R,9R,9aS)-9-ヒドロキシ-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-8-イル)-1H-プリン-6(9H)-オン47の合成
中間体46(100g、353mmol、1eq)及びTIPSCl(133.6g、423.6mmol、1.2eq)を室温でDMF(500mL)に溶解した。20℃でイミダゾール(72.1g、1mol、3eq)を一度に添加した。得られた溶液を、室温の窒素下で16時間攪拌した。反応混合物を氷水(200mL)中に注ぎ込んだ。得られた沈殿物を濾過し、水で数回洗浄して、真空下で乾燥させた。化合物47(133g、粗生成物)を白色固体として回収した。
MS(ES+):526
【0194】
工程2:2-アミノ-9-((6aR,8R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-オキソテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-8-イル)-1H-プリン-6(9H)-オン48の合成
中間体47(50g、95.2mmol、1eq)を、20℃の窒素下でDCM(500mL)中に溶解した。DMP(80g、190mmol、2eq)を0℃で添加した。得られた混合物を20℃の窒素下で16時間攪拌した。反応混合物をNaHCOの水溶液(100mL)及びNaSOの水溶液(100mL)に注いだ。
固体を濾別し、濾液をDCMで抽出し(2x100mL)、NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、暗赤色固体として化合物48(70g、粗生成物)を産生した。
MS(ES+):524
【0195】
工程3:(Z)-エチル2-((6aR,8R,9aS)-8-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9(6aH,8H,9aH)-イリデン)アセテート49の合成
中間体48(70g、133.8mmol、1eq)を、20℃の窒素下でDCM(1L)中に溶解した。
【0196】
エチル2-(トリフェニル-ホスファニリデン)アセテート(32.6g、93.7mol、0.7eq)を20℃で一度に添加した。得られた混合物を20℃の窒素下で16時間攪拌した。
【0197】
反応混合物を濾過し、濃縮して、残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH=100/1~20:1)によって精製して、白色固体として化合物49(39g、粗生成物)を産生した。
MS(ES+):595
【0198】
工程4:エチル2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)アセテート50の合成
(4-メトキシフェニル)メタンチオール(38.4g、249.2mmol、3.7eq)を20℃でTHF(500mL)に溶解した。得られた溶液を-40℃で冷却し、続いてKHMDS(1M、74.1mL、1.1eq)を-40℃で滴下した。添加中、黄色の溶液は徐々に白色の粘性液体に転じた。添加後、反応混合物を0.5時間攪拌し、続いてTHF(1L)に溶解した中間体49(40g、67.3mmol、1eq)を、-40℃で溶液に滴下した。反応混合物を徐々に20℃まで温め、続いて2時間攪拌し続けた。反応混合物を、連続的に、水性HCl(200mL)でクエンチし、EtOAcで抽出し(2x200mL)、有機層を水性NaHCO(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM/MeOH=100/0~95/5)で精製して、無色油として化合物50(12.5g、粗生成物)を産生した。
MS(ES+):749
【0199】
工程5:エチル2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)アセテート51の合成
中間体50(25g、33.4mmol、1eq)を20℃でピリジン(200mL)に溶解し、続いて無水イソ酪酸(15.8g、100mmol、3eq)を添加した。得られた混合物を20℃で攪拌し、続いてTEA(16.9g、167.1mmol、5eq)を徐々に添加した。続いて反応混合物を80℃で2時間攪拌し、続いて室温まで冷却して、NHCl(200mL)の水溶液を添加することによりクエンチした。得られた混合物をEtOAc(2x200mL)で抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=10/1~1/1)で精製し、褐色油としての化合物51(11.8g、粗生成物)を産生した。
MS(ES+):819
【0200】
工程6:合成N-(9-((6aR,8R,9R,9aR)-9-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-8-イル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド52
20℃の窒素下で中間体51(3g、3.6mmol、1eq)をTHF(30mL)に溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却し、続いて0℃でLiAlH(417.4mg、11mmol、3eq)を徐々に添加した。反応混合物を20℃で1時間攪拌した。反応を、連続的に、水性HCl(30mL)でクエンチし、EtOAcで抽出し(2x30mL)、水性NaHCO(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM/MeOH、100/1~50/1)により精製した。化合物52(240mg、10%収率)を黄色固体として分離した。
MS(ES+):777
【0201】
工程7:2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)メタンスルホン酸エチル53の合成
20℃で中間体52(1.6g、2mmol、1eq)をピリジン(20mL)に溶解させた。得られた混合物を0℃に冷却し、続いてMsCl(0.35g、3mmol、1.5eq)を徐々に添加した。続いて、得られた混合物を20℃で12時間攪拌した。反応混合物を、連続的に、水(10mL)でクエンチし、EtOAcで抽出し(2x10mL)、有機層をNaSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM/MeOH=100/1~30/1)で精製し、黄色油としての化合物53(1.6g、90%収率)を産生した。
MS(ES+):854
【0202】
工程8:2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2-イソブチルアミド-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-メルカプトテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)メタンスルホン酸エチル54の合成
25℃の窒素下で中間体53(1.6g、1.8mmol、1eq)をTFA(1.5mL)に溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却し、続いて酢酸水銀(Hg(OAc))(1.1g、3.7mmol、2eq)及びフェノール(0.87g、9.3mmol、5eq)を徐々に添加した。得られた暗赤色溶液を0℃で1時間攪拌した。続いて、1,4-ジメルカプトブタン-2,3-ジオール(DTT)(0.57g、3.7mmol、2eq)を0℃で添加した。
【0203】
得られた混合物を10分間攪拌し、celite(登録商標)で濾過し、EtOAc(10mL)で洗浄した。
【0204】
有機層を水と混合し、NaHCOの飽和水溶液を添加して溶液のpHをpH約7に調整した。得られた混合物を、連続的に、celite(登録商標)で濾過し、EtOAcで抽出して(2x30mL)、25℃の真空中で蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH=100:1~30:1)で精製し、褐色油としての化合物54(2g、粗生成物)を産生した。
MS(ES+):734
【0205】
工程9:N-(6-オキソ-9-((2’R,6aR,8R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9,2’-チエタン]-8-イル)-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)イソブチルアミド55の合成
20℃で中間体54(2g、2.7mmol、1eq)をTHF(20mL)に溶解させた。得られた混合物を0℃に冷却し、続いて0℃でNaH(0.16g、4mmol、1.5eq)を徐々に添加した。反応混合物(白色混濁液)を20℃で16時間攪拌した。混合物を氷水溶液に注ぎ、続いてHCl 1M水溶液(20mL)でクエンチした。得られた混合物を、連続的に、EtOAc(2x20mL)で抽出し、NaSO上で乾燥し、蒸発させた。得られた残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM/MeOH:100/0~95/5)で精製し、黄色油としての化合物55(200mg、9.5%収率/2工程)を産生した。
MS(ES+):637
【0206】
工程10:2-アミノ-9-((2’R,6aR,8R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9,2’-チエタン]-8-イル)-1H-プリン-6(9H)-オン56の合成
中間体55(160mg、250.8umol、1eq)を窒素下で封管中に配置し、20℃でMeOH/NH(4mL)を添加した。得られた溶液を110℃で16時間攪拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、黄色油としての化合物16(120mg、粗生成物)を産生した。
MS(ES+):568
【0207】
工程11:2-アミノ-9-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)-1H-プリン-6(9H)-オン57の合成
中間体56(120mg、211μmol、1eq)を20℃の窒素下でMeOH(5mL)中に溶解させ、続いてNHF(23.5mg、633μmol、3eq)を添加した。反応混合物を50℃で16時間攪拌し、続いてこれを濃縮した。得られた残滓をprep HPLCで精製して、白色固体としての化合物57を産生した(20mg、29%収率)。
MS(ES+):326;H NMR(400MHz,MeOD):δ7.93(s,1H),6.19(s,1H),4.43(d,J=5.6Hz,1H),3.76-3.74(m,2H),3.74-3.73(m,1H),3.67-3.65(m,1H),2.90-2.87(m,2H),2.76-2.73(m,1H)。
【0208】
スキーム16:(4R,5R,7R,8R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-オール67の合成
【化52】
【0209】
工程1:(6aR,8R,9R,9aS)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-オール58
室温の乾燥DMF(100mL)中のアデノシン(20g、74.838mmol)とイミダゾール(7.642g、112.257mmol)との溶液に、窒素雰囲気下で1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン(26.335mL、0.986g/mL、82.322mmol)を添加した。混合物を室温で2時間攪拌した。
【0210】
混合物を、氷と水との混合物(200mL)に注ぎ、EtOAcで抽出した(2x300mL)。有機層を、連続的にブラインで洗浄し(4x300mL)、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色発泡体としての粗生成物中間体58(41.3g)を得、これをそのまま次の工程で使用した。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.01-1.09(m,28H),3.91-3.96(m,1H),4.00(dt,J=8.5,2.9Hz,1H),4.04(d,J=3.3Hz,1H),4.52(t,J=4.5Hz,1H),4.80(dd,J=8.5,5.2Hz,1H),5.59(d,J=4.6Hz,1H),5.87(d,J=1.1Hz,1H),7.29(s,2H),8.07(s,1H),8.20(s,1H)
MS(ES+):560.3,
【0211】
工程2:N-(9-((6aR,8R,9R,9aS)-9-ヒドロキシ-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-8-イル)-9H-プリン-6-イル)-4-メトキシ-N-(4-メトキシベンゾイル)ベンズアミド59
乾燥ピリジン(150mL)中の粗生成物中間体58(20.5g、36.194mmol)の溶液に、20℃の窒素雰囲気下でTMSCl(19.43mL、0.85g/mL、152.015mmol)を添加した。室温で1時間30分攪拌した後、パラメトキシベンゾイルクロリド(24.698g、144.776mmol)を添加した。得られた混合物を室温で終夜攪拌した。反応混合物を氷浴で冷却して10mLの水を添加した。5分後、NaHCOの飽和水溶液(200mL)を添加し、混合物を40℃で終夜攪拌した。
【0212】
得られた混合物をEtOAcで抽出した(3x500mL)。有機層を連続的に組み合わせ、HCl 1M水溶液(2x500mL)、ブライン(3x500mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色固体としての粗生成物中間体59(39.18g)を得た。
MS(ES+):778.5,
【0213】
工程3:4-メトキシ-N-(4-メトキシベンゾイル)-N-(9-((6aR,8R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-オキソテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-8-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド60
乾燥ジクロロメタン(400mL)中の粗生成物中間体59(38.5g、35.381mmol)の溶液に、室温の窒素雰囲気下でデス・マーチン・ペルヨージナン(45.021g、106.144mmol)を添加した。得られた混合物を室温で終夜攪拌した。
【0214】
次に、ジクロロメタン(200mL)で希釈し、水(200mL)で洗浄し、水層をDCM(200mL)で抽出した。有機層を連続的に組み合わせ、NaHCOの飽和溶液(200mL)、ブライン(2×200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0215】
粗生成物残滓をシリカゲルクロマトグラフィカラム(ヘプタン/EtOAc、10/0~6/4)で精製して、白色発泡体としての中間体60を得た(17.11g、22.04mmol、3工程で63%)。中間体60は、ケトン、及びケトン水和物として得られ、そのどちらも以下のウィッティヒ反応において反応性である。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm0.99-1.19(m,28H),3.80(d,J=1.1Hz,6H),3.82-3.85(m,1H),3.95-4.06(m,2H),5.36(d,J=9.7Hz,1H),6.32(s,1H),6.98-7.03(m,4H),7.71-7.76(m,4H),8.47(s,1H),8.81(s,1H)
MS(ES+):776.3,
【0216】
工程4:エチル2-((6aR,8R,9aS)-2,2,4,4-テトライソプロピル-8-(6-(4-メトキシ-N-(4-メトキシベンゾイル)ベンズアミド)-9H-プリン-9-イル)ジヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9(8H)-イリデン)アセテート61
Me-THF(250mL)中のトリエチルホスホノアセテートの溶液(4.404mL、1.13g/mL、22.197mmol)に、tert-ブトキシドカリウム(2.874g、25.612mmol)を-10℃~-5℃で添加し、混合物を30分間攪拌した。この混合物に、Me-THF(250mL)中の中間体60(13.25g、17.075mmol)の溶液を滴下し、これを室温まで温め、1時間攪拌した。
【0217】
水を添加し(100mL)、混合物をEtOAcで抽出した(3x200mL)。有機層を組み合わせ、ブラインで洗浄し(2×200mL)、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残滓をDCM中に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(hept/EtOAc、9/1~6/4)によって精製して、白色発泡体としての中間体61を得た(13.03g、15.4mmol、Z/E混合物、90%)。
Z:H NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm1.00-1.28(m,31H),3.73-3.86(m,6H),3.96-4.19(m,5H),5.75-5.82(m,1H),5.98-6.05(m,1H),6.94-7.04(m,5H),7.70-7.78(m,4H),8.65(s,1H),8.66-8.70(m,1H)
E:H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm1.00-1.30(m,31H),3.74-3.85(m,6H),3.94-4.18(m,5H),5.75-5.79(m,1H),6.02(t,J=2.2Hz,1H),6.97-7.02(m,5H),7.71-7.76(m,4H),8.64(s,1H),8.68(s,1H)
MS(ES+):846.5,
【0218】
工程5:エチル2-((6aR,8R,9R,9aR)-9-((2-シアノエチル)チオ)-2,2,4,4-テトライソプロピル-8-(6-(4-メトキシベンズアミド)-9H-プリン-9-イル)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)アセテート62
乾燥THF(100mL)中の3-メルカプトプロピオノニトリル(3.605g、41.366mmol)の溶液にNaH(鉱油中60%分散体)(1.985g、49.64mmol)を0℃の窒素雰囲気下で添加し、混合物を30分間攪拌した。この混合物に0℃で中間体61(7g、8.273mmol)を添加した。反応混合物を0℃で2時間攪拌した。
【0219】
反応混合物を、NHCl及び氷の飽和水溶液(100mL)に徐々に注ぎ、EtOAc(100mL)で希釈し、pH7になるまでHCl 1M水溶液を添加した。2つの層を分離し、水層をEtOAcで抽出した(2x100mL)。有機層を連続的に組み合わせ、ブラインで洗浄し(2x100mL)、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0220】
粗生成物残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘプタン/EtOAc、10/0~6/4)で精製して、白色発泡体としての中間体62を得た(1.43g、1.789mmol、22%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm0.98-1.29(m,31H),2.81-3.00(m,4H),3.23(m,2H),3.54-3.77(m,2H),3.86(s,3H),3.94-4.13(m,2H),4.30(br dd,J=7.9,2.6Hz,1H),5.72(br d,J=7.9Hz,1H),6.41(s,1H),7.08(d,J=8.6Hz,2H),8.03(d,J=8.8Hz,2H),8.46(s,1H),8.68(s,1H),11.07(s,1H)
MS(ES+):799.7,
【0221】
工程6:N-(9-((6aR,8R,9R,9aR)-9-((2-シアノエチル)チオ)-9-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-8-イル)-9H-プリン-6-イル)-4-メトキシベンズアミド63
乾燥THF(50mL)中の中間体62(1.43g、1.789mmol)の溶液に、-60℃の窒素雰囲気下でLAH(1M、THF中)(8.947mL、8.947mmol)を滴下した。得られた混合物を-60℃で終夜攪拌した。
【0222】
NHClの飽和水溶液(30mL)を-60℃で反応混合物に滴下した。続いて、得られた混合物を徐々に加熱して室温まで戻し、EtOAc(50mL)を添加した。2つの層を分離し、水層をEtOAcで抽出した(2x50mL)。有機層を連続的に組み合わせ、ブラインで洗浄し(2x80mL)、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0223】
粗生成物残滓をカラムクロマトグラフィ(Hept/EtOAc、1/9~0/10)で精製して、やや黄色の発泡体としての中間体63を得た(285mg、0.376mmol、21%)。
MS(ES+):757.7,
【0224】
工程7:2-((6aR,8R,9R,9aR)-9-((2-シアノエチル)チオ)-2,2,4,4-テトライソプロピル-8-(6-(4-メトキシベンズアミド)-9H-プリン-9-イル)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9-イル)メタンスルホン酸エチル64
乾燥ピリジン(15mL)中の中間体63(427mg、0.564mmol)の溶液に、室温でMsCl(0.0657mL、1.475g/mL、0.846mmol)を添加した。得られた混合物を室温の窒素雰囲気下で1時間攪拌した。
【0225】
溶媒を蒸発させ、得られた残滓を酢酸エチル(10mL)に溶解させ、続いてNaHCOの飽和水溶液(10mL)で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出した(2x10mL)。組み合わせられた有機層を連続的にブライン(2x10mL)で洗浄して、NaSO上で乾燥させ濾過し、濃縮して、粗生成物の黄色発泡体としての中間体64を得(471mg)、これは不安定なため、すぐに次の工程のために使用した。
MS(ES+):835.5,
【0226】
工程8:4-メトキシ-N-(9-((6aR,8R,9R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピルジヒドロ-6H,8H-スピロ[フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン-9,2’-チエタン]-8-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド65
-78℃の窒素雰囲気下、乾燥THF(15mL)中の粗生成物中間体64(471mg、0.564mmol)の溶液に、THF(1.128mL、1M、1.128mmol)中のKOtBuの冷溶液を滴下した。得られた混合物を-78℃で10分間攪拌した。
【0227】
-78℃でNHClの飽和水溶液(5mL)を注ぐことによって反応混合物をクエンチし、混合物を徐々に室温まで温めた。EtOAc(20mL)を添加し、2つの層を分離し、EtOAc(2x20mL)を用いて水層を抽出した。有機層を連続的に組み合わせ、ブラインで洗浄し(20mL)、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物の中間体65(380mg)を得た。粗生成物は65を含有し、65は5’位において加水分解した。両方の中間体が次の工程で同じように反応した。
MS(ES+):686.5,
【0228】
工程9:N-(9-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)-9H-プリン-6-イル)-4-メトキシベンズアミド66
室温の窒素雰囲気下で、MeOH(10mL)中の粗生成物中間体65(380mg、0.554mmol)の溶液にフッ化アンモニウム(0.205g、5.539mmol)を添加した。得られた混合物を室温で終夜攪拌した。
【0229】
得られた混合物を水(20mL)及びEtOAc(20mL)で希釈した。2つの層を分離し、水層をEtOAcを用いて抽出した(3x20mL)。有機層を連続的に組み合わせ、ブラインで洗浄し(20mL)、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0230】
粗生成物の残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM/MeOH、1%~6%)によって精製して、白色発泡体としての中間体66を得た(140mg、0.278mg、純度88%、3工程で50%)。
MS(ES+):444.3,
【0231】
工程10:(4R,5R,7R,8R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-オール67
中間体66(140mg、0.278mmol)をNH3(7M、MeOH中)(15mL、7M、105mmol)に溶解し、反応混合物を70℃で10時間攪拌した。
【0232】
得られた混合物を蒸発させ、残滓をカラムクロマトグラフィ(DCM/NH3(7M、MeOH中)、3%~9%)によって精製し、白色粉末としての純生成物を得た(77.1mg、0.249mmol、90%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δppm2.28(ddd,J=12.5,8.7,5.6Hz,1H),2.68(ddd,J=12.4,8.5,6.8Hz,1H),2.82-2.92(m,2H),3.55(dt,J=7.6,3.0Hz,1H),3.64(dt,J=12.3,4.4Hz,1H),3.72-3.82(m,1H),4.32(br d,J=5.1Hz,1H),5.23(t,J=5.2Hz,1H),5.70-5.77(m,1H),6.55(s,1H),7.32(s,2H),8.20(s,1H),8.46(s,1H)
13C NMR(101MHz,DMSO-d)δppm19.11(s,1C),30.15(s,1C),59.48(s,1C),60.86(s,1C),72.17(s,1C),82.31(s,1C),91.32(s,1C),118.56(s,1C),138.68(s,1C),149.34(s,1C),152.75(s,1C),156.05(s,1C)
MS(ES+):310.2,
【0233】
ヌクレオシド5’-三リン酸塩の合成
乾燥ヌクレオシド(0.05mmol)PO(OMe)(0.7mL)に溶解させ、N-メチルイミダゾール(0.009mL、0.11mmol)、続いてPOCl(0.009mL、0.11mmol)を添加し、混合物を20~40分間室温に維持した。反応をLCMSによって制御し、対応するヌクレオシド5’-一リン酸塩の外観によって監視した。反応の完了後、ピロリン酸塩のテトラブチルアンモニウム塩(150mg)、続いてDMF(0.5mL)を添加して、均質な溶液を得た。周囲温度で1.5時間後、反応を水(10mL)で希釈して、Q Sepharose High Performanceを備えるカラムHiLoad 16/10に搭載した。分離は、50mMのTRIS緩衝液(pH7.5)中で0~1NのNaCl直線勾配中に実施した。三リン酸塩を75~80%Bで溶出させた。対応する画分を濃縮した。脱塩は、Synergy4ミクロンHydro-RPカラム(Phenominex)上のRP HPLCによって達成された。50mMの酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(pH7.5)中におけるメタノールの0~30%の直線勾配を溶出に用いた。対応する画分を、組み合わせ、濃縮し、且つ3回凍結乾燥して、過度の緩衝液を除去した。
【0234】
【表1】
【0235】
生物学的実施例
レプリコンアッセイ
式(I)の化合物の、HCVに対する活性を細胞アッセイ中で検査した。このアッセイを用いて、式(I)の化合物が、HCVレプリコンとしても既知のHCV機能性細胞複製細胞ラインを阻害することを示した。細胞アッセイは、多標的スクリーニング戦略における、Krieger et al.(2001)Journal of Virology 75:4614-4624に記載される修正を含む、Lohmann et al.(1999)Science vol.285 pp.110-113に記載されるバイシストロニック発現コンストラクトに基づいた。
【0236】
基本的に、方法は以下の通りであった。アッセイは安定にトランスフェクトされた細胞ラインHuh-7 luc/neo(以下、Huh-Lucと称する)を使用した。この細胞ラインは、脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの内部リボソーム侵入部位(IRES)から翻訳されたHCVタイプ1bの野生型NS3-NS5B領域、先行するレポーター部分(FfL-ルシフェラーゼ)、及び選択可能なマーカー部分(neo、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)を含むバイシストロニックな発現コンストラクトをコードするRNAを有する。このコンストラクトは、HCV遺伝子型1bからの5’及び3’NTRs(非翻訳領域)が隣接する。G418(neo)の存在下でのレプリコン細胞の連続培養は、HCV RNAの複製に依存する。とりわけルシフェラーゼをコードする、自律的に且つ高いレベルで複製するHCV-RNAを発現する、安定にトランスフェクトされたレプリコン細胞を、抗ウイルス化合物のスクリーニングに使用した。
【0237】
レプリコン細胞を、様々な濃度で添加された試験及び対照化合物の存在下、384ウェルプレート内に播種した。3日間のインキュベーション後、ルシフェラーゼ活性をアッセイすることにより(標準的なルシフェラーゼアッセイ基質及び試薬、並びにPerkin Elmer ViewLux(商標)ultraHTSマイクロプレートイメージャを使用して)HCV複製を測定した。対照培地中のレプリコン細胞は、任意の阻害剤の不在下で高いルシフェラーゼ発現を有する。ルシフェラーゼ活性に対する化合物の阻害活性を、Huh-Luc細胞上で監視し、各試験化合物に関する用量応答曲線を可能にした。続いてEC50値を計算し、これは、検出されるルシフェラーゼ活性のレベルを50%低下させるのに必要な、又はより詳細には、遺伝的に連鎖するHCVレプリコンRNAが複製する能力を低下させるのに必要な、化合物の量を表す。
【0238】
Vero及びHuh-7細胞中のDENV-2/16681/eGFPに対する抗ウイルス活性
方法
DENV-2/16681/eGFPに対する化合物の抗ウイルス活性を表現型の抗ウイルスアッセイで測定し、これはウイルス量の尺度であるeGFPの読出し値を含む(TV-WI-03476及びTV-WI-05601)。同時に、化合物の細胞毒性を、ATPLite(商標)(PerkinElmer,Waltham,MA)を用いて測定した。化合物の細胞特異的活性を除外するため、アッセイを2つの異なる細胞ライン(Vero及びHuh-7)で実施した。
プラスミドpFK-DVs-G2Aのインビトロ転写されたRNA(Prof.R.Bartenschlager,University of Heidelberg,Germanyから購入;図1)を、Huh-7細胞(ヒト肝細胞癌細胞;Prof.R.Bartenschlagerの好意により提供される)(TV-WI-04247)にトランスフェクトすることによって、DENV-2/16681/eGFPを生成した。
【0239】
要約すると、2,500個のVero細胞(アフリカミドリザルの腎細胞;European Collection of Cell Cultures[ECACC],Porton Down,UK;カタログ番号84113001)又はHuh-7細胞を、9倍に段階希釈された試験化合物を含む384ウェルプレートに接種した。37℃で24時間インキュベートした後、Vero及びHuh-7細胞を、それぞれ1及び5の感染多重度(MOI)でDENV-2/16681/eGFPに感染させた。37℃で3日間インキュベートした後、レーザー顕微鏡で細胞中のeGFP発現を測定することによってウイルス複製を定量化した。細胞対照をeGFP信号のベースライン(すなわち0%信号)として用いて、未処理のDENV感染細胞(ウイルス対照)に対する、化合物で処理されたDENV感染細胞のeGFP発現の50%を阻害する濃度として、50%の有効濃度(EC50)が定義された。同じ方法で、90%の有効濃度(EC90)が計算された。
【0240】
同時に、化合物(50%の細胞毒性濃度[CC50]及び90%の細胞毒性濃度[CC90]の細胞毒性を、ATPlite細胞生死判別ルミネセンスアッセイ(PerkinElmer)を用いて評価した。この目的のため、一旦eGFPの読出しが実施されたら、供給者の指示に従いATPliteをウェルに添加し、生存細胞数に直接関連する尺度であるルミネセンスを測定した。CC50を、放射光のベースラインとしての媒質対照(すなわち0%信号)を用いて、未処理のDENV感染細胞(ウイルス対照)と比較した、化合物で処理されたDENV感染細胞中の発光信号の50%阻害濃度として決定した。
【0241】
デングウイルスポリメラーゼ阻害アッセイ
デングウイルスNS5ポリメラーゼドメイン(DENVpol、血清型2、ニューギニアC株)の酵素活性を、トリチウム化NMPの酸不溶性RNA生成物への取り込みとして測定する。DENVpolアッセイ反応には、組み換え酵素、ヘテロポリメリックRNA、約0.5μCiのトリチウム化NTP、0.33μMの競合するコールドNTP、40mMのHEPES(pH7.5)、3mMのジチオスレイトール、及び2mMのMgClが含まれる。標準反応を、阻害剤の濃度を増加させながら30℃で3時間インキュベートする。反応終了時、RNAを10%TCAにより沈殿させ、酸不溶性RNA生成物を、サイズ排除96ウェルプレート上で濾過する。プレートを洗浄した後に、シンチレーション液を加え、放射能標識RNA生成物を、Trilux Topcountシンチレーションカウンターを用いて標準的手順に従い検出する。データを非線形回帰(シグモイド)にフィットさせることによって、酵素触媒率が50%低下した化合物濃度(IC50)を計算する。
【0242】
CHIKVに対するアッセイの原理及び方法
チクングンヤウイルス(CHIKV)に対するヌクレオシド類似体の抗ウイルス活性を、細胞ベースの高性能CPE(細胞変性効果)阻害アッセイを用いて試験した。このアッセイでは、CHIKV株S27及びHuh7細胞(ヒト肝癌細胞株)を用いた。試験化合物を、9点4倍段階希釈中で調製し、384ウェルプレートに播種した。続いて、各ウェルに8000細胞/ウェルの濃度及び0.25MOI(感染多重度)のCHIKVを追加した。プレートを、37℃/5%COで2日間インキュベートした。試験化合物の抗ウイルス活性を、試験化合物によりウイルスCPEから保護された生細胞中のATPレベルを測定するATPLite(商標)1ステップキット(PerkinElmer)を追加することによって測定した。並行して、ウイルス感染が存在しない試験化合物の細胞毒性を測定した。表示測定値はルミネセンスである。
【0243】
結果
表1Aは、HCV、DV、及びCHIKV、並びに細胞毒性に対する得られた抗ウイルスデータを示す。
【0244】
【表2】
【0245】
【表3】
【0246】
【表4】
【0247】
【表5】
【0248】
【表6】
【0249】
表1Cは、スピロオキセタン誘導体に関して得られたデータと比較した、HCV及びCHIKVに対する得られた本発明の化合物の抗ウイルスデータを示す。データは、本発明の化合物(表1Cの最初の2つの列)は、スピロオキセタン誘導体(表1Cの最後の2つの列)と比較してHCV及びCHIKVに対してより活性であることを明らかに示す。
【0250】
【表7】

以下の態様を包含し得る。
[1] 式(I)の化合物
【化53-1】
若しくはその立体異性体
(式中、塩基は(B-1)、(B-2)、(B-3a)、(B-3b)、(B-4)、及び(B-5)からなる群から選択され、
【化53-2】
式中、Rは、水素又はC 1~6 アルキルであり、
は、水素、ハロ、メチル、CH Cl、CH F、及びN からなる群から選択される)
又はその一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、若しくはプロドラッグ;
あるいはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物。
[2] 式(I’)を有し、
【化53-3】
式中、
は、水素、
【化53-4】
、式(a-1)の基、式(a-2)の基、式(a-3)の基、及び式(a-4)の基からなる群から選択され;
【化53-5】
式中、
及びR はそれぞれ独立して、水素、フェニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、及びピリジルからなる群から選択され、これらのそれぞれが、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、C ~C アルコキシ、ヒドロキシ、及びNR 16 16’ からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換されるか、或いは
及びR は、それぞれ独立して、任意選択的に、その窒素原子において、C ~C アルキル若しくはC ~C アルキルオキシカルボニルで、及び/又は任意の利用可能な炭素原子において、それぞれ独立してハロ、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、C ~C アルコキシ、ヒドロキシ、及びNR 17 17’ からなる群から選択される1、2、若しくは3個の置換基で置換されるインドリルであり;
、R 5’ 、R 10 及びR 10’ は、それぞれ独立して、水素、C ~C アルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか、或いは
及びR 5’ 、又はR 10 及びR 10’ は、それらが結合している炭素原子と共に、C ~C シクロアルカンジイル又は1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環を形成し;
は、C ~C 10 アルキル、C ~C シクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C ~C アルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C ~C アルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C ~C アルコキシ、及びNR 18 18’ からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
は-OR 19 又は-NR 20 20’ であり;
は、C ~C アルキル、フェニル、及びフェニル-C-C アルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C ~C アルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、及びC ~C アルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
11 は、水素、C ~C 10 アルキル、C ~C シクロアルキル、フェニル、又はフェニル-C ~C アルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C ~C アルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立して、ヒドロキシ、C ~C アルコキシ、及びNR 23 23’ からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
19 は、C ~C アルキル、C ~C シクロアルキル、オキセタニル、(C ~C アルコキシ)C ~C アルキル-、-CH -O-(C=O)C ~C アルキル、及び-CH -O-(C=O)OC ~C アルキルからなる群から選択され;
20 は、水素、C ~C アルキル、及びC ~C シクロアルキルからなる群から選択され;R 20’ は、C ~C アルキル、C ~C シクロアルキル、及び(C ~C アルコキシ)C ~C アルキル-からなる群から選択されるか;或いは
-NR 20 20’ は共にアゼチジニル、ピロリジニル、又はピペリジニル環を形成し、そのそれぞれが、任意選択的に、ヒドロキシ、C ~C アルキル、C ~C アルキルオキシ、及び(C=O)-OR 21 からなる群で置換され得、式中、R 21 は、C ~C 10 アルキル、C ~C シクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C ~C アルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C ~C アルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立して、ヒドロキシ、C ~C アルコキシ、及びNR 22 22’ からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
は水素又は式(b)の基であり、
【化53-6】
式中、
12 は、C ~C アルキル、フェニル、及びフェニル-C ~C アルキル-からなる群から選択され、
式中、フェニル、又はフェニル-C ~C アルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、及びC ~C アルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;又は
及びR は、結合して式(c-1)又は(c-2)の二価ラジカルを形成し、
【化53-7】
式中、
13 及びR 13’ はそれぞれ独立して、水素、C ~C アルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いは
13 及びR 13’ は、それらが結合している炭素原子と共に、C ~C シクロアルカンジイル又は1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環を形成し;
14 は、C ~C 10 アルキル、C ~C シクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C ~C アルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C ~C アルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立してヒドロキシ、C ~C アルコキシ、及びNR 24 24’ からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
15 は-OR 25 又は-NR 26 26’ であり;式中、
25 は、水素;C ~C アルキル;それぞれ独立してフェニル、ナフチル、C ~C シクロアルキル、ヒドロキシル、及びC ~C アルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換されたC ~C アルキル;C ~C シクロアルキル;(C ~C アルコキシ)C ~C アルキル-;-CH -O-(C=O)C ~C アルキル;-CH -O-(C=O)OC ~C アルキル;1個の酸素原子を含有する3~7員環の複素環、並びにArからなる群から選択され;
Arは、フェニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、及びピリジルからなる群から選択され、これらのそれぞれが、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、C ~C アルコキシ、ヒドロキシ、及びNR 27 27’ からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換されるか、或いは、
Arは、任意選択的に、その窒素原子において、C ~C アルキル若しくはC ~C アルキルオキシカルボニルで、及び/又は任意の利用可能な炭素原子において、それぞれ独立してハロ、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、C ~C アルコキシ、ヒドロキシ、及びNR 28 28’ からなる群から選択される1、2、若しくは3個の置換基で置換されたインドリルであり;
26 は、水素、C ~C アルキル、及びC ~C シクロアルキルからなる群から選択され;R 26’ は、C ~C アルキル、C ~C シクロアルキル、及び(C ~C アルコキシ)C ~C アルキル-からなる群から選択されるか;或いは
-NR 26 26’ は共にアゼチジニル、ピロリジニル、又はピペリジニル環を形成し、そのそれぞれが、任意選択的に、ヒドロキシ、C ~C アルキル、C ~C アルキルオキシ、及び(C=O)-OR 27 からなる群で置換され得、式中、R 27 は、C ~C 10 アルキル、C ~C シクロアルキル、フェニル、及びフェニル-C ~C アルキル-からなる群から選択され、式中、フェニル、又はフェニル-C ~C アルキル-中のフェニル部分は、任意選択的に、それぞれ独立して、ヒドロキシ、C ~C アルコキシ、及びNR 29 29’ からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され;
16 、R 16’ 、R 17 、R 17’ 、R 18 、R 18’ 、R 22 、R 22’ 、R 23 、R 23’ 、R 24 、R 24’ 、R 27 、R 27’ 、R 28 、R 28’ 、R 29 、及びR 29’ は、それぞれ独立して、水素、及びC ~C アルキルから選択され;
は、水素、ハロ、メチル、CH Cl、CH F、及びN からなる群から選択される、上記[1]に記載の化合物。
[3] R は、水素、
【化53-8】
、式(a-1)の基、式(a-2)の基、及び式(a-3)の基からなる群から選択され、式中
及びR は、それぞれ独立してフェニル又はナフチルであり、これらのそれぞれが、任意選択的に、それぞれ独立してハロ、C ~C アルキル、C ~C アルケニル、C ~C アルコキシ、ヒドロキシ、及びNR 16 16’ からなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換され、式中、R 16 及びR 16’ はそれぞれ独立して水素、及びC ~C アルキルから選択されるか;或いはR 及びR はそれぞれ独立してインドリルであり;
及びR 5’ はそれぞれ独立して、水素、C ~C アルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いはR 及びR 5’ は、それらが結合している炭素原子と共にC ~C シクロアルカンジイルを形成し;
は、C ~C 10 アルキル、C ~C シクロアルキル、及びフェニル-C ~C アルキル-からなる群から選択され;
は-OR 19 又は-NR 20 20’ であり;式中R 19 はC ~C アルキル又はC ~C シクロアルキルであり;
20 は水素であり、R 20’ はC ~C アルキル又はC ~C シクロアルキルであり;
はC ~C アルキルであり;
は水素又は式(b)の基であり、式中R 12 はC ~C アルキルであるか;或いは、
及びR は、結合して式(c-1)又は(c-2)の二価ラジカルを形成し、式中、
13 及びR 13’ はそれぞれ独立して、水素、C ~C アルキル、ベンジル、及びフェニルからなる群から選択されるか;或いはR 13 及びR 13’ は、それらが結合している炭素原子と共にC ~C シクロアルカンジイルを形成し;
14 は、C ~C 10 アルキル、C ~C シクロアルキル、及びフェニル-C ~C アルキル-からなる群から選択され;
15 は-OR 25 又は-NR 26 26’ であり、式中、R 25 は、C ~C アルキル;フェニル;C ~C シクロアルキル;並びにそれぞれ独立してフェニル、ナフチル、C ~C シクロアルキル、ヒドロキシル、及びC ~C アルキルオキシからなる群から選択される1、2、又は3個の置換基で置換されたC ~C アルキルからなる群から選択され;R 26 は水素であり;R 26’ はC ~C アルキル又はC ~C シクロアルキルである、上記[2]に記載の化合物。
[4] R は、
水素、
【化53-9】
、及び式(a-1)の基からなる群から選択される
か、或いは、R 及びR は、結合して式(c-2)の二価ラジカルを形成する、上記[2]又は[3]に記載の化合物。
[5] R はフェニル、ハロフェニル、ジC ~C アルキルフェニル、又はナフチルであり;
及びR 5’ はそれぞれ独立して水素、C ~C アルキル、ベンジル、又はフェニルであり;
はC ~C アルキルであり;
15 は-OR 25 であり、式中R 25 はC ~C アルキル、若しくはフェニルで置換したC ~C アルキル、C ~C アルキルオキシ、又はC ~C シクロアルキルである、上記[2]~[4]のいずれか一項に記載の化合物。
[6] 塩基は(B-1)、(B-2)、又は(B-3a)であり、R は、水素、ハロ、及びN からなる群から選択される、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の化合物。
[7] 治療有効量、特に抗ウイルス有効量の、上記[1]~[6]のいずれか一項で定義される式(I)の化合物、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
[8] 薬学的に許容可能な担体が、治療有効量、特に抗ウイルス有効量の、上記[1]~[6]のいずれか一項で定義される式(I)の化合物と密に混合されることを特徴とする、上記[7]に記載の医薬組成物を調製するためのプロセス。
[9] 薬剤として使用するための、上記[1]~[6]のいずれか一項で定義される化合物、又は上記[7]で定義される医薬組成物。
[10] フラビウイルス科ウイルス感染の治療若しくは予防、及び/又はアルファウイルス感染の治療若しくは予防に使用するための、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の化合物、又は上記[7]で定義される医薬組成物。
[11] HCV及び/又はデングウイルスの阻害剤として使用するための、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の化合物、又は上記[7]で定義される医薬組成物。
[12] チクングンヤウイルス及び/又はシンドビスウイルス及び/又はセムリキ森林ウイルスの阻害剤として使用するための、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の化合物、又は上記[7]で定義される医薬組成物。
[13] 抗フラビウイルス科及び/又は抗アルファウイルス有効量の、上記[1]~[6]のいずれか一項で定義される式(I)の化合物を投与することを含む、フラビウイルス科及び/若しくはアルファウイルスに感染しているか、又はフラビウイルス科及び/若しくはアルファウイルスに感染するリスクのある温血動物、特にヒトを治療する方法。
[14] フラビウイルス科ウイルス感染の治療若しくは予防及び/又はアルファウイルス感染の治療若しくは予防における、同時、個別、又は逐次的使用のための組み合わせ調製物としての、上記[1]~[6]のいずれか一項で定義される式(I)の化合物、及び追加の医薬品、特に追加の抗ウイルス剤を含む製品。