(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】薄膜封止処理システムおよびプロセスキット
(51)【国際特許分類】
C23C 16/04 20060101AFI20231018BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231018BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231018BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
C23C16/04
H01L21/31 C
H05B33/14 A
H05B33/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021151645
(22)【出願日】2021-09-17
(62)【分割の表示】P 2019529595の分割
【原出願日】2017-12-01
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】201641041254
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗田 真一
(72)【発明者】
【氏名】ラシェルラ, スリカンス ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】ボスキ, スハス
(72)【発明者】
【氏名】ルイ, シアンシン
【審査官】西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0319422(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090341(US,A1)
【文献】特開2014-220398(JP,A)
【文献】台湾特許出願公開第201539617(TW,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/04
H01L 21/31
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積チャンバ内で使用するためのプロセスキットであって、
前記堆積チャンバのリッドアセンブリに結合されるように構成されたフレームであって、前記フレームの第1の側部に、入口ポートと、前記入口ポートから流入したガスのための前記第1の側部に沿った第1の流路が形成されており、前記第1の側部に対向する前記フレームの第2の側部に、出口ポートと、前記出口ポートへと流出するガスのための前記第2の側部に沿った第2の流路が形成されており、前記入口ポートの位置が前記第1の流路の中央部を画定し、前記第1の流路は、第1の非線形テーパ面によって画定され、前記第1の非線形テーパ面の輪郭により、前記入口ポートからの距離が増加するにつれて、前記第1の流路の断面の高さが増加する、フレームと、
前記堆積チャンバが処理位置にあるとき、前記フレームに接触するように構成されたマスクシートと
を含
み、
前記マスクシートが前記フレームに接触しているとき、前記フレームと前記マスクシートとが容積部を部分的に画定し、前記第1の流路および前記第2の流路が前記容積部と流体連通する、プロセスキット。
【請求項2】
前記出口ポートの位置が前記第2の流路の中央部を画定し、前記第2の流路が、第2の非線形テーパ面によって画定され、前記第2の非線形テーパ面の輪郭により、前記出口ポートからの距離が増加するにつれて、前記第2の流路の断面の高さが増加する、請求項
1に記載のプロセスキット。
【請求項3】
前記第1の非線形テーパ面及び前記第2の非線形テーパ面が楕円形にテーパされている、請求項
2に記載のプロセスキット。
【請求項4】
前記フレームがニッケルと鉄との合金から形成された、請求項1から
3のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項5】
前記マスクシートがニッケルと鉄との合金から形成された、請求項1から
4のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項6】
基板処理のための装置であって、
チャンバ本体と、
前記チャンバ本体の上端に配置されるリッドアセンブリであって、反応種を生成するRFカソードを含むリッドアセンブリと、
前記チャンバ本体と前記リッドアセンブリとで画定される堆積チャンバ内で使用するための、請求項1から
5のいずれか一項に記載のプロセスキットと
を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、一般に、大面積基板を処理するための装置に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、デバイス製造のための原子層堆積(ALD)システム、およびそのシャワーヘッドのためのインシトゥ洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]有機発光ダイオード(OLED)は、テレビスクリーン、コンピュータモニタ、携帯電話、情報を表示するための他のハンドヘルドデバイスなどの製造に使用されている。典型的なOLEDは、2つの電極間に位置する有機材料の層を含み、それらは全て、個別に励起され得る画素を有するマトリックスディスプレイパネルを形成するように基板上に堆積される。OLEDは、一般に、2枚のガラスパネルの間に配置され、ガラスパネルの縁部は、その中にOLEDを封止するためにシールされる。
【0003】
[0003]OLED産業、ならびに基板処理技術を利用する他の産業は、周囲湿気曝露から保護するために感湿性デバイスを封止しなければならない。封止層を通る水蒸気透過度(WVTR)を減少させる手段として、薄い共形の材料層が提案されている。現在、これが商業的に行われている多くの方法がある。感湿性デバイスを覆うためにALDプロセスを使用することが、これらのコーティングの共形性が他のコーティングよりも効果的な防湿性を提供できるかどうかを判断するために、検討されている。
【0004】
[0004]ALDは、原子層エピタキシー(ALE)に基づいており、化学吸着技術を用いて、前駆体分子を基板表面にシーケンシャルなサイクルで到達させる。このサイクルは、基板表面を第一の前駆体に曝し、次に第二の前駆体に曝す。任意選択で、前駆体の導入と前駆体の導入との間にパージガスが導入されてもよい。第1および第2の前駆体が反応して、基板表面上に膜として生成化合物を形成する。このサイクルを繰り返して、層を所望の厚さに形成する。
【0005】
[0005]ALDを実行する1つの方法は、前駆体ガスの時間分離(TS)パルスによるものである。この方法は、他の方法に対していくつかの利点を有するが、TS-ALDの1つの欠点は、前駆体に曝されるあらゆる表面(例えば、チャンバの内部)が堆積物でコーティングされることである。これらの堆積物が定期的に除去されない場合、それらは、やがてはげ落ちてはがれる傾向があり、微粒子が最終的に基板上にもたらされ、堆積層の防湿性能を低下させる。インシトゥでチャンバ表面から望ましくない堆積物を洗浄する効果的な方法がない場合、それらのチャンバ表面は、「オフライン」で洗浄するために取り外されなければならない。洗浄のためにチャンバ表面を取り外して交換するためにチャンバを開けなければならない場合、チャンバ内で真空を破らなければならず(例えば、チャンバは大気圧にされる)、この真空の破壊は、過剰なチャンバ休止時間につながる。
【0006】
[0006]したがって、最小限の休止時間で、外来の堆積物を蓄積することになるチャンバの主要な要素を取り外して洗浄することを可能にする処理チャンバが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本開示は、OLEDなどのデバイス上の薄膜封止(TFE)のための方法および装置に関する。
【0008】
[0008]一実施形態では、ALDチャンバ内で使用するためのプロセスキットが、開示されており、誘電体窓と、シーリングフレームと、シーリングフレームに接続されたマスクフレームとを含み、マスクフレームは、その対向する側部にガス入口チャネルおよびガス出口チャネルが形成されている。
【0009】
[0009]別の実施形態では、ALDチャンバ内で使用するためのプロセスキットが、開示されており、誘電体窓と、シーリングフレームと、シーリングフレームに接続されたマスクフレームであって、その対向する側部にガス入口チャネルおよびガス出口チャネルが形成されているマスクフレームと、マスクフレームに結合されたマスクシートとを含む。
【0010】
[0010]別の実施形態では、ALDを実行するための処理システムが提供される。処理システムは、一般に、チャンバ本体と、サセプタ本体と、サセプタ本体の周りに配置された複数の支持部材と、少なくとも1つのプロセスガス入口と、少なくとも1つのポンピングポートと、プロセスキットとを含む。プロセスキットは、一般に、誘電体窓と、シーリングフレームと、シーリングフレームに接続されたマスクフレームとを含み、マスクフレームは、その対向する側部にガス入口チャネルおよびガス出口チャネルが形成されている。
【0011】
[0011]別の実施形態では、ALDを実行するための方法が提供される。この方法は、一般に、ALD処理チャンバ内に基板およびプロセスキットを配置することを含み、プロセスキットは、窓と、窓に平行に配置されたマスクと、窓およびマスクに接続されたフレームとを含む。フレームは、少なくとも1つの入口チャネルおよび少なくとも1つの出口チャネルを有する。この方法は、入口チャネルを通って容積部にプロセスガスを流すこと、および出口チャネルを通ってプロセスキットから過剰なガスをポンピングで出すことを、さらに含む。
【0012】
[0012]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上で簡単に要約された本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらのいくつかが、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではなく、本開示は他の同等に有効な実施形態を認め得ることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示のいくつかの態様による、例示的処理システムを図示する。
【
図2】例示的なALD処理チャンバを示す部分断面側面図である。
【
図3】ALD処理チャンバの別の実施形態の様々な図である。
【
図4A】プロセスキットの別の実施形態の等角分解図である。
【
図4B】
図4Aの線4B-4Bに沿ったプロセスキットの断面図である。
【
図4C】
図4Bに示されるプロセスキットの対向する端部の部分拡大図である。
【
図4D】
図4Bに示されるプロセスキットの対向する端部の部分拡大図である。
【
図5A】入口マニホールドの一部の等角断面図である。
【
図5B】出口マニホールドの一部の等角断面図である。
【
図6A】処理位置にあるプロセスキットおよび基板を有する処理チャンバを示す。
【
図6B】処理チャンバ内の移送位置にある基板を示す。
【
図6C】基板が処理チャンバから移送されたこと、および移送位置にあるプロセスキットを示す。
【
図7】本開示によるプロセスシーケンスの実施形態を示す図である。
【
図8】マスク位置合わせシステムの一実施形態の等角図である。
【
図9A】一実施形態によるプロセスキットの等角分解図である。
【
図9B】一実施形態によるプロセスキットの平面図である。
【
図10A】一実施形態によるプロセスキットの構成要素の等角図である。
【
図11A】一実施形態によるプロセスキットの構成要素の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0031]理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通の同一の要素を示すために、同一の参照番号が使用されている。一実施形態に開示された要素は、具体的な記載なしに他の実施形態に有益に利用されてもよいということが、意図されている。
【0015】
[0032]本開示の実施形態は、基板上に形成されたOLED層上の封止層として作用することができる複数の層を基板上に堆積させるように動作可能な処理システムを含む。このシステムは複数の処理チャンバを含み、各処理チャンバは、複数の層のうちの1つ以上の層を堆積させるように動作可能である。処理システムは、少なくとも1つの移送チャンバと少なくとも1つのロードロックチャンバとをさらに含む。少なくとも1つの移送チャンバは、処理システム内の真空を破ることなく複数の処理チャンバ間での基板の移送を可能にする。少なくとも1つのロードロックチャンバは、処理システム内の真空を破ることなく基板のローディングおよび処理システムからの取り出しを可能にする。処理システムは、処理システム内の真空を破ることなく処理チャンバ内で使用されるマスクのローディングおよび取り出しを可能にするマスクチャンバをさらに含む。
【0016】
[0033]本開示の実施形態は、基板に対してマスクを位置合わせし、基板上にマスクを位置決めし、基板上に形成されたOLED上に封止層を堆積させるためにCVDを実行するように動作可能な化学気相堆積(CVD)処理チャンバを含む。CVD処理チャンバ内で行われるCVDプロセスは、プラズマCVD(PECVD)でもよいが、本明細書に記載の実施形態は、他の種類の処理チャンバと共に使用されてもよく、PECVD処理チャンバと共に使用することに限定されない。CVD処理チャンバによって堆積された封止層は、窒化ケイ素SiNを含んでもよいが、本明細書に記載の実施形態は、他の種類の処理チャンバと共に使用されてもよく、SiN CVD処理チャンバと共に使用することに限定されない。
【0017】
[0034]本開示の実施形態は、基板に対してマスクを位置合わせし、基板上にマスクを位置決めし、基板上に形成されたOLED上に封止層を堆積させるためにALDを実行するように動作可能なALD処理チャンバを含む。ALD処理チャンバ内で行われるALDプロセスは、時間分離ALD(TS-ALD)であってもよいが、本明細書に記載の実施形態は、他の種類の処理チャンバと共に使用されてもよく、TS-ALD処理チャンバと共に使用することに限定されない。ALD処理チャンバによって堆積された封止層は、酸化アルミニウムAl2O3を含んでもよいが、本明細書に記載の実施形態は、他の種類の処理チャンバと共に使用されてもよく、SiN CVD処理チャンバと共に使用することに限定されない。
【0018】
[0035]本明細書に記載の実施形態は、他の種類の堆積プロセスと共に使用することができ、基板上に形成されたOLEDを封止するための使用に限定されない。本明細書に記載の実施形態は、様々な種類、形状、およびサイズのマスクおよび基板と共に使用することができる。
【0019】
[0036]基板は、いかなる特定のサイズまたは形状にも限定されない。一態様では、「基板」という用語は、例えばフラットパネルディスプレイの製造に使用されるガラスまたはポリマー基板などの、任意の多角形、正方形、長方形、曲線状、または他の非円形のワークピースを指す。
【0020】
[0037]以下の説明において、用語「ガス(gas)」および「ガス(gases)」は、特記しない限り、互換的に使用され、1種以上の前駆体、反応物、触媒、キャリアガス、パージガス、洗浄ガス、流出物、それらの組み合わせ、ならびに任意の他の流体を指す。
【0021】
[0038]
図1は、本開示の一実施形態による、例示的な処理システム100を示す断面上面図である。例示的な基板102が、処理システム100に隣接して示されている。処理システム100は、ロードロックチャンバ104と、移送チャンバ106と、移送チャンバ106内の移送(例えば、ツールおよび材料ハンドリング)ロボット108と、第1のCVD処理チャンバ110と、第2のCVD処理チャンバ112と、第3のCVD処理チャンバ114と、ALD処理チャンバ116と、マスクチャンバ118とを含む。第1のCVD処理チャンバ110、第2のCVD処理チャンバ112、ALD処理チャンバ116、および各チャンバに関連するハードウェアは、例えば、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、ニッケルメッキアルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、石英、ならびにそれらの組み合わせおよび合金などの1種以上のプロセス適合材料から形成されることが好ましい。第1のCVD処理チャンバ110、第2のCVD処理チャンバ112、第3のCVD処理チャンバ114、およびALD処理チャンバ116は、コーティングされるべき基板の形状および他の処理条件によって要求されるような、円形、長方形、または他の形状であってよい。
【0022】
[0039]移送チャンバ106は、ロードロックチャンバ104、第1のCVD処理チャンバ110、第2のCVD処理チャンバ112、第3のCVD処理チャンバ114、ALD処理チャンバ116、およびマスクチャンバ118に隣接する側壁に、スリットバルブ開口部214214、123、125、127、129を含む。移送ロボット108は、スリットバルブ開口部121、123、125、127、129のそれぞれを通して隣接するチャンバ内に1つ以上のツール(例えば、基板ハンドリングブレード)を挿入することができるように、配置および構成されている。すなわち、移送ロボットは、他のチャンバのそれぞれに隣接する移送チャンバ106の壁のスリットバルブ開口部121、123、125、127、129を通って、ロードロックチャンバ104、第1のCVD処理チャンバ110、第2のCVD処理チャンバ112、第3のCVD処理チャンバ114、ALD処理チャンバ116、およびマスクチャンバ118にツールを挿入することができる。スリットバルブ開口部121、123、125、127、129は、スリットバルブ120、122、124、126、128で選択的に開閉されて、基板、マスク、ツール、または他の品目が、隣接するチャンバの1つに挿入またはそこから取り出されるべきであるときに、隣接するチャンバの内部にアクセスできるようにする。
【0023】
[0040]移送チャンバ106、ロードロックチャンバ104、第1のCVD処理チャンバ110、第2のCVD処理チャンバ112、ALD処理チャンバ116、およびマスクチャンバ118は、真空システム(例えば、真空ポンプ)と流体連通している1つ以上の開孔(図示せず)を含む。開孔は、様々なチャンバ内のガスのための出口を提供する。いくつかの実施形態では、チャンバは、それぞれ別々の独立した真空システムに接続されている。さらに他の実施形態では、いくつかのチャンバは、真空システムを共有し、他のチャンバは、別々の独立した真空システムを有する。真空システムは、様々なチャンバを通るガスの流れを調整するために、真空ポンプ(図示せず)およびスロットルバルブ(図示せず)を含むことができる。
【0024】
[0041]マスク、マスクシート、ならびに第1のCVDチャンバ110、第2のCVDチャンバ112、およびALD処理チャンバ116内に配置された、基板以外の他の品目は、「プロセスキット」と呼ばれることがある。プロセスキットの品目は、洗浄または交換のために処理チャンバから取り出されることがある。移送チャンバ106、マスクチャンバ118、第1のCVD処理チャンバ110、第2のCVD処理チャンバ112、およびALD処理チャンバ116は、それらの間でのマスク、マスクシート、および他のプロセスキット品目の移送を可能にするようなサイズおよび形状である。すなわち、移送チャンバ106、マスクチャンバ118、第1のCVD処理チャンバ110、第2のCVD処理チャンバ112、およびALD処理チャンバ116は、全てのスリットバルブ開口部121、123、125、127、129が、各スリットバルブ開口部121、123、125、127、129の対応するスリットバルブ120、122、124、126、128によって閉じられている状態で、任意のプロセスキット品目が、それらのうちの任意の1つの中に完全に収容されることができるような、サイズおよび形状である。したがって、マスクチャンバ118がエアロックとして作用し、マスクチャンバ以外のいずれのチャンバにおいても真空を破ることなくプロセスキット品目を処理システムから取り出すことができるので、処理システムの真空を破ることなくプロセスキット品目を取り出して交換することができる。さらに、移送チャンバ106とマスクチャンバ118との間のスリットバルブ開口部129、移送チャンバ106とCVD処理チャンバ110、112との間のスリットバルブ開口部123、125、および移送チャンバ106とALD処理チャンバ116との間のスリットバルブ開口部127は全て、移送チャンバ106と、マスクチャンバ118、CVD処理チャンバ110、112、およびALD処理チャンバ116との間でのプロセスキット品目の移送を可能にするようなサイズおよび形状である。
【0025】
[0042]マスクチャンバ118は、移送チャンバ106のスリットバルブ開口部129とは反対のマスクチャンバ118の側にドア130および出入口131を有する。出入口は、マスクおよび他のプロセスツールをマスクチャンバ118の中におよびマスクチャンバ118から外に移動させることができるようなサイズおよび形状である。ドア130は、閉じたときに出入口131を覆って気密シールを形成することができる。マスクチャンバ118は、ドア130が閉じられかつ移送チャンバ106に通じるスリットバルブ128が閉じられた状態で、任意のプロセスキット品目がマスクチャンバ118内に完全に収容されることを可能にするようなサイズおよび形状である。すなわち、マスクチャンバ118は、任意のプロセスキット品目を移送チャンバ106からマスクチャンバ118内に移動させることができ、マスクチャンバ118のドア130を開かずにスリットバルブ128を閉じることができるようなサイズおよび形状である。
【0026】
[0043]説明を単純かつ容易にするために、処理システム100内で行われる例示的なコーティングプロセスをここで説明する。例示的なコーティングプロセスは、第3のCVD処理チャンバ114に配置することができるコンピュータまたはコンピュータのシステムとすることができるプロセスコントローラによって制御される。
【0027】
[0044]
図1を参照すると、基板の例示的な処理は、任意選択で、移送ロボット108がマスクチャンバ118からマスクを取り出し、そのマスクをALD処理チャンバ116内に配置することで、始まる。マスクを以前の処理からALD処理チャンバ116内に残すことができ、同じマスクを複数の基板の処理に使用することができるので、ALD処理チャンバ116内にマスクを配置することは任意選択である。同様に、移送ロボット108は、任意選択で、マスクチャンバ118から他のマスクを取り出し、そのマスクを第1および第2のCVD処理チャンバ110および112内に配置することができる。第1および第2のCVD処理チャンバ110、112およびALD処理チャンバ116内にマスクを配置する際に、チャンバ間の適切なスリットバルブ122、124、126、128を開閉することができる。
【0028】
[0045]次に、移送ロボット108は、ロードロックチャンバ104から基板を取り出して、その基板を第1のCVD処理チャンバ110内に配置する。プロセスコントローラが、CVD処理を行うために処理チャンバのバルブ、アクチュエータ、および他の構成要素を制御する。プロセスコントローラは、スリットバルブ122を閉じて、第1のCVD処理チャンバ110を移送チャンバ106から隔離する。プロセスコントローラはまた、基板支持部材、すなわちサセプタに、基板をCVD処理のために配置させる。マスクが移送ロボットによって正しい処理位置に配置されなかった場合、プロセスコントローラは、1つ以上のアクチュエータを作動させてマスクを配置することができる。代替的にまたは付加的に、サセプタが、処理のためにマスクを配置することもできる。マスクは、基板の特定の領域をマスキングして、基板のそれらの領域に堆積が生じるのを防ぐために、使用される。
【0029】
[0046]ここで、プロセスコントローラは、バルブを作動させて、第1のCVD処理チャンバ110への前駆体および他のガスの流れを開始する。前駆体ガスは、例えば、シランSiH4を含み得る。プロセスコントローラは、CVDプロセスを生じさせ、基板上に材料の層を堆積させるように、ヒータ、プラズマ放電構成要素、およびガスの流れを制御する。一実施形態では、堆積層は、窒化ケイ素SiNであってもよいが、本開示の実施形態は、この材料に限定されない。上記のように、本開示の実施形態はまた、PECVDを実行するためにも使用され得る。基板の例示的な処理におけるCVDプロセスは、堆積層が必要な厚さに達するまで続けられる。例示的な一実施形態では、必要な厚さは、5,000から10,000オングストローム(500から1,000nm)である。
【0030】
[0047]第1のCVD処理チャンバ110内のCVDプロセスが完了すると、プロセスコントローラは、第1のCVD処理チャンバ110の真空レベルを移送チャンバ106の真空レベルと一致させ、次いでサセプタを制御して基板を移送位置まで下げる。プロセスコントローラはまた、第1のCVD処理チャンバ110と移送チャンバ106との間のスリットバルブ122を開き、次に移送ロボット108に第1のCVD処理チャンバ110から基板を回収するように指示する。そして、プロセスコントローラは、第1のCVD処理チャンバ110と移送チャンバ106との間のスリットバルブ122を閉じる。
【0031】
[0048]次に、プロセスコントローラは、移送チャンバ106とALD処理チャンバ116との間のスリットバルブ126を開く。移送ロボット108は、基板をALD処理チャンバ116内に配置し、プロセスコントローラは、移送チャンバ106とALD処理チャンバ116との間のスリットバルブ126を閉じる。プロセスコントローラはまた、基板支持部材、すなわちサセプタに、基板をALD処理のために配置させる。マスクが移送ロボットによって正しい処理位置に配置されなかった場合、プロセスコントローラは、1つ以上のアクチュエータを作動させてマスクを配置することができる。代替的にまたは付加的に、サセプタが、処理のためにマスクを配置してもよい。マスクは、基板の特定の領域をマスキングして、基板のそれらの領域に堆積が生じるのを防ぐために、使用される。
【0032】
[0049]ここで、プロセスコントローラは、バルブを作動させて、ALD処理チャンバ116への前駆体および他のガスの流れを開始する。使用される特定の1つまたは複数のガスは、実施されるべき1つまたは複数のプロセスに依存する。ガスは、トリメチルアルミニウム(CH3)3Al(TMA)、窒素N2、および酸素O2を含むことができるが、ガスはそれに限定されず、1種以上の前駆体、還元剤、触媒、キャリア、パージガス、洗浄ガス、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせを含み得る。ガスは、一方の側からALD処理チャンバに導入され、基板を横切って流れ得る。処理システムの要件に応じて、プロセスコントローラは、任意の特定の瞬間にただ1種のガスのみがALD処理チャンバに導入されるように、バルブを制御してもよい。他の実施形態では、ZrO2膜形成プロセスが、TEMAZ(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム、Zr[N(CH3)(C2H5)]4)などの前駆体を用いてALD処理チャンバ116内で行われ得る。
【0033】
[0050]プロセスコントローラはまた、ガスを反応種に活性化し、反応種のプラズマを維持することができる電源を制御して、反応種を基板と反応させて基板をコーティングする。例えば、高周波(RF)またはマイクロ波(MW)に基づく放電技術を使用することができる。活性化はまた、熱に基づく技術、ガス絶縁破壊技術、高強度の光源(例えば、UVエネルギー)、またはX線源への曝露によっても生成され得る。例示的なプロセスでは、酸素がプラズマに活性化され、プラズマは基板と反応して、基板上に酸素の層を堆積させる。次いで、プロセスコントローラは、基板を横切ってTMAを流し、TMAは基板上の酸素の層と反応して、基板上に酸化アルミニウムの層を形成する。プロセスコントローラは、酸素を流すステップ、酸素をプラズマに活性化するステップ、およびTMAを流すステップを繰り返して、基板上に追加の層を形成する。プロセスコントローラは、酸化アルミニウムの堆積層が必要な厚さになるまで、説明したステップを繰り返し続ける。例示的な一実施形態では、必要な厚さは、500から700オングストローム(50から70nm)である。
【0034】
[0051]ALD処理チャンバ116内のALDプロセスが完了すると、プロセスコントローラは、ALD処理チャンバ116を排気させ、次にサセプタを制御して基板を移送位置まで下げる。プロセスコントローラはまた、ALD処理チャンバ116と移送チャンバ106との間のスリットバルブ126を開き、次に移送ロボット108にALD処理チャンバ116から基板を回収するように指示する。そして、プロセスコントローラは、ALD処理チャンバ116と移送チャンバ106との間のスリットバルブ126を閉じる。
【0035】
[0052]さらに
図1を参照すると、次に、プロセスコントローラは、移送チャンバ106と第2のCVD処理チャンバ112との間のスリットバルブ124を開く。移送ロボット108は、基板を第2のCVD処理チャンバ112内に配置し、プロセスコントローラは、移送チャンバ106と第2のCVD処理チャンバ112との間のスリットバルブ124を閉じる。第2のCVD処理チャンバ112内での処理は、上述した第1のCVD処理チャンバ110内での処理と同様である。基板の例示的な処理では、第2のCVD処理チャンバ112内で行われるCVDプロセスは、堆積層が所望の厚さに達するまで続けられる。例示的な一実施形態では、所望の厚さは、5,000から10,000オングストローム(500から1,000nm)である。
【0036】
[0053]したがって、第2のCVD処理チャンバ112内のプロセスが完了すると、基板は、5,000から10,000オングストロームの厚さのSiNの第1の層、500から700オングストロームの厚さのAl2O3の層、および5,000から10,000オングストロームの厚さのSiNの第2の層でコーティングされる。Al2O3の層は、SiN単独と比較して、封止層を通る水蒸気透過度を低下させ、それ故、SiN単独で封止することと比較して、封止の信頼性を改善すると考えられる。
【0037】
[0054]
図1を参照して上述した例示的なプロセスでは、CVD処理チャンバ110、112およびALD処理チャンバ116のそれぞれにマスクがローディングされている。あるいは、処理システム100は、マスクが基板と共に処理チャンバから処理チャンバへ移動するプロセスを実行してもよい。すなわち、第2の例示的なプロセスでは、基板およびマスクが、第1のCVD処理チャンバ110内に(同時にまたは個別に)配置され、移送チャンバ106と第1の処理チャンバ110との間のスリットバルブ122が閉じられる。その後、基板上でCVDプロセスが行われる。次に、基板およびマスクを、ALD処理チャンバ116内に(同時にまたは個別に)移動させて、移送チャンバとALD処理チャンバ116との間のスリットバルブ126が閉じられる。その後、基板上でALDプロセスが行われる。次に、基板およびマスクを(同時にまたは個別に)第2のCVD処理チャンバ112内に移動させる。次いで、基板上でCVDプロセスが行われ、次いで、基板およびマスクが、第2のCVD処理チャンバ112から取り出される。基板は、完成していれば、処理システム100から取り出すことができ、マスクは、新しい基板を処理するために使用することができ、または例えば洗浄のために処理システム100から取り出すことができる。
【0038】
[0055]
図2は、本明細書に記載の実施形態による、プロセスキット202を備えた例示的なALD処理チャンバ200を示す部分断面側面図である。
図2に示すALD処理チャンバ200は、
図1に示すALD処理チャンバ116と同様である。一実施形態では、処理チャンバ200は、チャンバ本体204と、リッドアセンブリ206と、サセプタまたは基板支持アセンブリ208と、プロセスガス入口210と、ポンピングポート212とを含む。リッドアセンブリ206は、チャンバ本体204の上端に配置され、基板支持アセンブリ208は、少なくとも部分的にチャンバ本体204内に配置される。
【0039】
[0056]チャンバ本体204は、処理チャンバ200の内部へのアクセスを提供するためにその側壁に形成されたスリットバルブ開口部214を含む。
図1を参照して上述したように、スリットバルブ開口部214は、選択的に開閉されて、移送ロボットによるチャンバ本体204の内部へのアクセスを可能にする(
図1参照)。
【0040】
[0057]1つ以上の実施形態において、チャンバ本体204は、真空システム220と流体連通する1つ以上の開孔216および218を含む。真空システム220は、真空ポンプ222と1つ以上のバルブ224および226とを含む。開孔216は、処理チャンバ200内のガスのための出口を提供し、一方、開孔218は、ポンピングポート212からのガスのための経路を提供する。真空システム220は、ALDプロセスに適したALD処理チャンバ内の圧力を維持するためにプロセスコントローラによって制御される。真空システム220は、処理チャンバ200の内部容積部228内の第1の圧力を維持するために、使用されてもよい。真空システム220はまた、プロセスキット202内に画定された容積部230内の第2の圧力を維持するために、使用されてもよい(以下でより詳細に記載される)。本開示の一実施形態では、第1の圧力は、第2の圧力より低くてもよい。
【0041】
[0058]プロセスキット202は、処理チャンバ200の内部容積部228内で移動可能である。プロセスキット202は、誘電体窓234を含むマスクフレーム232を少なくとも含む。プロセスキット202はまた、誘電体窓234をマスクフレーム232に固定するシーリングフレーム235を含み得る。リッドアセンブリ206は、処理チャンバ200内および/またはプロセスキット202内に反応種のプラズマを発生させることができる高周波(RF)カソード236を含む。プロセスキット202は、支持部材238によって選択的に上昇および下降させることができる。支持部材238はまた、プロセスキット202のための位置合わせおよび/または位置決めデバイスとしても機能し得る。基板102は、基板支持アセンブリ208内に移動可能に配置されたリフトピン239によって支持されているのが示されている。
図2で基板102は、ロボットハンドリングブレード(図示せず)が基板支持アセンブリ208とは反対側の基板102の面にアクセスできるような移送位置に示されている。処理位置では、基板102は、基板支持アセンブリ208によってプロセスキット202に隣接する位置まで持ち上げられ得る。具体的には、基板102は、マスクフレーム232に結合されたマスクシート241と接触するか、またはそれに近接するように適合される。
【0042】
[0059]
図2に示す図では、プロセスキット202は、リッドアセンブリ206の表面に接触するように、および/または誘電体窓234をRFカソード236に近接して配置するように、支持部材238によって押されている。具体的には、プロセスキット202がリッドアセンブリ206の下面に押し付けられているとき、それぞれプロセスガス入口210およびポンピングポート212に結合されたガス入口242およびガス出口244は、それぞれ入口ガスチャネル248および出口ガスチャネル250と流体連通するように配置されている。マスクフレーム232は、入口ガスチャネル248とガス入口242との間、および出口ガスチャネル250とガス出口244との間の接合部を囲む圧縮性シール252を含む。このようにして、前駆体ガスは、プロセスガス入口210に供給され、マスクフレーム232に形成された入口ガスチャネル248を通って容積部230に供給されることができる。ガスは、マスクシート241および基板102を横切って容積部230内を流れ、マスクフレーム232に形成された出口ガスチャネル250によって排出されることができる。排出されたガスは、ポンピングポート212を通って真空システム220に流れてもよい。
【0043】
[0060]膜応力などの膜特性を制御することが可能であってもよい。一実施形態では、膜応力は、RFカソード236と基板支持アセンブリ208上の基板102との間の間隔によって制御することができる。他の実施形態では、膜特性は、RFカソード236の下面を修正することによって修正および/または制御されてもよい。例えば、RFカソード236の下面に「くぼみを掘る」こと(すなわち、RFカソード236の中央では薄い断面であるが、縁部では厚い断面である)が、応力均一性を改善するために有効であり得る。
【0044】
[0061]RFカソード236の温度が、ALD処理チャンバ200内での処理中に(例えばプロセスコントローラによって)制御されてもよい。温度の制御は、プロセスキット202および基板102の温度に影響を及ぼして、ALD処理の性能を改善するために、利用され得る。RFカソード236の温度は、例えば高温計(図示せず)、またはALD処理チャンバ200内の他のセンサによって測定することができる。RFカソード236は、例えば電気加熱要素(図示せず)によって加熱され、冷却流体、例えば商品名GALDEN(登録商標)で市販されている熱伝達流体の循環によって冷却されてもよい。ガスを反応種に活性化し、反応種のプラズマを維持することができる任意の電源を使用することができる。例えば、高周波(RF)またはマイクロ波(MW)に基づく放電技術を使用することができる。活性化はまた、熱に基づく技術、ガス絶縁破壊技術、高強度の光源(例えば、UVエネルギー)、またはX線源への曝露によっても生成され得る。
【0045】
[0062]上述したように、処理チャンバ200の内部容積部228の圧力とプロセスキット202の容積部230の圧力とは、少なくともALD処理中に異なっていてもよい。一例では、真空システム220は、処理チャンバ200の内部容積部228内の第1の圧力と、容積部230内の第2の圧力とを維持することができ、第2の圧力は第1の圧力より大きい。いくつかの実施形態では、第1の圧力は、約0.3から約0.2トルであってもよく、第2の圧力は、第1の圧力よりも約100ミリトル大きくてもよい。
【0046】
[0063]
図3A~
図3Cは、ALD処理チャンバ300の別の実施形態の様々な図である。
図3Aは、本明細書に記載の実施形態によるプロセスキット202を備えたALD処理チャンバ300の断面図である。
図3Aに示すALD処理チャンバ300は、
図1に示すALD処理チャンバ116と同様である。
図3A~
図3Cでは、基板102およびプロセスキット202は、処理位置に示されている。この位置において、TMA、TEMAZ、酸素、二酸化炭素、またはそれらの組み合わせなどのプロセスガスが、プロセスガス入口210からポンピングポート212へ容積部230を通って流れることができる。プロセスガスは、基板102とマスクシート241を横切って流れるように、容積部230を通って連続的に流されてもよいし、またはパルス化されて流されてもよい。一実施形態では、誘電体窓234と基板102との間に形成された容積部230は、処理チャンバ300の内部容積部228内に反応チャンバを形成する。
【0047】
[0064]
図4Aは、上述のプロセスキット202として使用することができるプロセスキット400の別の実施形態の等角分解図である。プロセスキット400は、マスクフレーム232および誘電体窓234を含む。プロセスキット400はまた、誘電体窓234をマスクフレーム232に結合するシーリングフレーム235を含み得る。シーリングフレーム235は、ボルトまたはねじなどの留め具(図示せず)によってマスクフレーム232に結合することができる。シーリングフレーム235とマスクフレーム232との間にリングシール405を設けてもよい。マスクフレーム232はまた、その両側に圧縮性シール252を含む。いくつかの実施形態において、プロセスキット400は、マスクシート241を含む。マスクシート241は、ボルトまたはねじなどの留め具(図示せず)によってマスクフレーム232に結合することができる。マスクシート241は、その主要面を貫通して形成された複数の開孔410を含む。
【0048】
[0065]プロセスキット400はまた、入口マニホールド415および出口マニホールド420を含み得る。入口マニホールド415および出口マニホールド420は、マスクフレーム232の両側に配置されている。入口マニホールド415および出口マニホールド420は、マスクフレーム232に形成されたそれぞれのチャネル425内に受け入れられてもよい。
【0049】
[0066]シーリングフレーム235、入口マニホールド415、および出口マニホールド420は、アルミニウムなどの金属材料で作ることができる。マスクフレーム232およびマスクシート241は、「INVAR」または「INVAR36」の商品名で市販されている鉄とニッケルの合金(FeNi)などの低熱膨張係数(CTE)を有する金属材料で作ることができる。誘電体窓234は、石英、ホウケイ酸ガラス材料または強化ガラス材料で作ることができる。リングシール405および圧縮性シール252は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または他の種類の弾性および/または圧縮性ポリマー材料などのポリマー材料で作ることができる。
【0050】
[0067]
図4Bは、
図4Aの線4B-4Bに沿ったプロセスキット400の断面図である。
図4Cおよび
図4Dは、
図4Bに示されるプロセスキット400の端部の部分拡大図である。
【0051】
[0068]
図4Cおよび
図4Dに示すように、圧縮性シール252は、マスクフレーム232の両側でチャネル425を囲む。入口マニホールド415は、
図4Cのチャネル425内に示されており、出口マニホールド420は、
図4Dのチャネル425内に示されている。
図4Cには、入口マニホールド415を容積部230に流体的に結合する入口オリフィス430が示されている。
図4Dには、容積部230を出口マニホールド420に流体的に結合する出口オリフィス435が示されている。いくつかの実施形態において、中間容積部440が、容積部230とオリフィス430および435との間に設けられる。マスクシート241がプロセスキット400と共に利用される実施形態では、マスクシート241の上面445が、中間容積部440の一方の側を画定する。マスクシート241の下面450は、基板(図示せず)と接触するように適合されている。
【0052】
[0069]圧縮性シール252は、取り付け部460に結合された圧縮性部455を含み得る。取り付け部460は、マスクフレーム232に形成されたキー溝465内に受け入れられてもよい。この実施形態による圧縮性シール252は、圧縮性部455の大部分がマスクフレーム232の上面470から延在しているので、改善されたシールを提供し得る(Oリングの大部分がOリング溝に配置されている、従来の円形シールまたはOリングと比べて)。
【0053】
[0070]
図5Aおよび
図5Bは、それぞれ入口マニホールド415および出口マニホールド420の一部の等角断面図である。一実施形態によれば、入口マニホールド415および出口マニホールド420は、それぞれ複数の入口オリフィス430および出口オリフィス435を含む。
【0054】
[0071]
図6A~
図6Cは、例示的な処理チャンバ600の様々な断面図である。
図6A~
図6Cに示す処理チャンバ600は、
図2に示すALD処理チャンバ200と同様であってもよい。例示的なプロセスキット605を、
図6A~
図6Cに示す。プロセスキット605は、両方とも上述したプロセスキット202またはプロセスキット400と同様に構成することができる。
【0055】
[0072]
図6Aは、処理位置にあるプロセスキット605および基板102を示す。基板支持アセンブリ208のサセプタ本体610が、RFカソード236に隣接する位置まで持ち上げられている。処理位置は、
図3に記載の実施形態と同様であり得る。
【0056】
[0073]
図6Bは、処理チャンバ600内で下降した基板支持アセンブリ208のサセプタ本体610を示す。リフトピン239の上部が、移送位置において基板102を支持するように示されている。基板支持アセンブリ208のサセプタ本体610を下降させると、リフトピン239は、処理チャンバ600の底面と接触する。リフトピン239は、その下降によってサセプタ本体610から基板102を離間させるように、サセプタ本体610内に移動可能に配置されている。リフトピン239によって支持された基板102は、移送ロボット(図示せず)が開口部214を通って基板102にアクセスし得る処理チャンバ600内の高さにあり得る。
【0057】
[0074]
図6Cは、基板102が処理チャンバ600から移送されたことを示す。プロセスキット605が移送位置になるように、プロセスキット605を支持する支持部材238が下げられている。支持部材238によって支持されたプロセスキット605は、移送ロボット(図示せず)が開口部214を通ってプロセスキット605にアクセスし得る処理チャンバ600内の高さにあり得る。
【0058】
[0075]
図7は、本開示によるプロセスシーケンスの実施形態を示す図である。プロセスシーケンスは、本明細書に記載されるように、プロセスキットの容積部230を通って平面RFプラズマ中に連続的な酸素/二酸化炭素を流すことによって、実行され得る。
【0059】
[0076]
図8は、マスク位置合わせシステムの一実施形態の等角図である。マスク位置合わせシステムは、反応チャンバ位置合わせシステム(すなわち、本明細書に記載のプロセスキット202)として利用することもできる。
【0060】
[0077]マスクフレームは、位置合わせのためにXおよびY方向に、マスク交換のためにZ方向に移動することができる4つの支持部材238によって支持されるように構成され、設計されている。マスクフレームは、マスクシートを有し、マスクシートは、ビジョン(カメラ)システムによって基板基準マーク(表示パターン)に対して位置合わせされる。
【0061】
[0078]位置合わせシステムは、リフト機構を有する1つ以上のX-Yテーブルを含む。X-Yテーブルは、支持部材238のそれぞれを横方向および垂直方向(上または下)に移動させる。X-Yテーブルは、支持部材238のそれぞれを単独でまたはまとめて移動させ得る。
【0062】
[0079]
図9Aは、一実施形態によるプロセスキット900の等角分解図である。プロセスキット900は、プロセスキット900が処理チャンバ内に設置されたときの位置とは逆に示されている。プロセスキット900は、プロセスキット202と同様であるが、ディフューザー902と排気マニホールド904を使用する。リッド906は、ディフューザー902および排気マニホールド904がそれぞれ配置される凹部910、912を表面に有する。
【0063】
[0080]マスクフレーム908が、リッド906に結合し、その間にディフューザー902および排気マニホールド904がある。マスクフレーム908は、マスクフレーム908を貫通するスロットによって画定されたガス入口942およびガス出口944を有する。プロセスキット900が組み立てられると、ディフューザー902のスロット946は、マスクフレーム908のガス入口942と位置が揃う。同様に、プロセスキット900が組み立てられると、スロット948は、マスクフレーム908のガス出口944と位置が揃う。
【0064】
[0081]入口ポート920が、スロット946とは反対側の端部でディフューザー902内に配置されている。ポンピングポート922が、スロット948とは反対側の端部で排気マニホールド904内に同様に配置されている。入口ポート920およびポンピングポート922は、
図10および
図11を参照して詳細に説明される。
【0065】
[0082]
図9Bは、組み立てられたプロセスキット900の平面図である。プロセスキット900は、リッド906の凹部910、912に配置されたディフューザー902および排気マニホールド904と共に示されている。マスクフレーム908は、リッド906の上に配置されている。ガス出口944は、排気マニホールド904のスロット948(図示せず)と位置が揃えられる。ガス入口942は、ディフューザー902のスロット946(図示せず)と位置が揃えられる。
【0066】
[0083]
図10Aは、ディフューザー902の等角図である。ディフューザー902は、上部部材1002と下部部材1004から形成されている。凹部1006が、下部部材1004に形成されている。上部部材1002と下部部材1004とが結合されると、凹部1006は、入口ポート920からスロット946への、プロセスガスなどの流体のための流路を画定する。
【0067】
[0084]上部部材1002は、
図9A~
図9Bのリッド906内に配置されているときに下部部材1004に結合されている。一実施形態では、上部部材1002は、ねじ付き留め具によって下部部材1004に結合されている。他の実施形態では、上部部材1002および下部部材1004は、接着またはラッチ(図示せず)によって結合されている。シール1008が、凹部1006を囲んで、上部部材1002と下部部材1004との間に、任意選択で配置される。一実施形態では、シール1008は、あり溝に配置されたOリングである。
【0068】
[0085]
図10Bは、上部部材1002が下部部材1004に結合されている、
図10Aに示された切断線に沿ったディフューザー902の断面図である。ディフューザー902の中央において、入口ポート920からスロット946に向かって半径方向距離1070で、凹部1006と上部部材1002の下面1080との間の高さ1040が測定される。下面1080は、外面1060に向かってテーパ状になっている。凹部1006の周囲において、入口ポート920からスロット946に向かって半径方向距離1072で、上部部材1002の下面1080と凹部1006との間の高さ1042が測定される。高さ1040、1042は、凹部1006と上部部材1002とによって画定される流路の断面の高さである。
図10Bに示すように、高さ1042は、高さ1040よりも大きい。すなわち、中央部における凹部1006と上部部材1002との間の距離は、周辺領域における凹部1006と上部部材1002との間の距離よりも小さい。下面
1080の輪郭は、入口ポート920からの距離の関数として非線形に(例えば楕円形に)テーパ状になっている。半径方向距離1070、1072など、入口ポート920からの距離が増加するにつれて、凹部1006と下面1080との間の高さも増加する。一実施形態では、凹部1006と下面1080との間の高さ(例えば、高さ1040、1042)は、入口ポート920からの半径方向距離の平方根に比例する。別の実施形態では、凹部1006と下面1080との間の高さ(例えば、高さ1040、1042)は、入口ポート920からの第2の半径方向距離に対する入口ポート920からの半径方向距離の比の平方根に比例する。例えば、第1の半径方向距離は、入口ポート920の中心からの半径方向距離であってもよく、第2の半径方向距離は、入口ポート920の縁部からの半径方向距離であってもよい。凹部1006の楕円形の輪郭は、入口ポート920からスロット946へ流れるガスの流れコンダクタンスを均一にする。したがって、基板(図示せず)へのガス流は、スロット946の幅にわたって実質的に均一である。
【0069】
[0086]
図11Aは、排気マニホールド904の等角図である。排気マニホールド904は、上部部材1102と下部部材1104から形成されている。ポート1190が、任意選択で、上部部材1102を貫通して形成されている。ポート1190は、上部部材と下部部材1104に形成された凹部1106との間の流体連通を可能にする。上部部材1102と下部部材1104とが結合されると、凹部1106は、スロット948からポンピングポート922への、プロセスガスなどの流体のための流路を画定する。ポート1190は、例えば、凹部1106内のガス流をサンプリングするために使用されてもよい。ポンピングポート922は、そのポンピングによって引き起こされるガスの流れコンダクタンスの不均一性を低減するために、
図10A~
図10Bの入口ポート920の直径より実質的に大きい直径を有する。
【0070】
[0087]上部部材1102は、
図9A~
図9Bのリッド906内に配置されているときに下部部材1104に結合されている。一実施形態では、上部部材1102は、ねじ付き留め具によって下部部材1104に結合されている。他の実施形態では、上部部材1102および下部部材1104は、接着またはラッチ(図示せず)によって結合されている。シール1108が、凹部1106を囲んで、上部部材1102と下部部材1104との間に、任意選択で配置される。一実施形態では、シール1108は、あり溝に配置されたOリングである。
【0071】
[0088]
図11Bは、上部部材1102が下部部材1104に結合されている、
図11Aに示された切断線に沿った排気マニホールド904の断面図である。排気マニホールド904の中央において、ポンピングポート922からスロット948に向かって半径方向距離1170で、凹部1106と上部部材1102の下面1180との間の高さ1140が測定される。下面1180は、外面1160に向かってテーパ状になっている。凹部1106の周囲において、ポンピングポート922からスロット948に向かって半径方向距離1172で、上部部材1102の下面1180と凹部1106との間の高さ1142が測定される。高さ1140、1142は、凹部1106と上部部材1102とによって画定される流路の断面の高さである。
図11Bに示すように、高さ1142は、高さ1140よりも大きい。すなわち、中央部における凹部1106と上部部材1102との間の距離は、周辺領域における凹部1106と上部部材1102との間の距離よりも小さい。下面1180の輪郭は、ポンピングポート922からの距離の関数として非線形に(例えば楕円形に)テーパ状になっている。半径方向距離1170、1172など、ポンピングポート922からの距離が増加するにつれて、凹部1106と下面1180との間の高さも増加する。一実施形態では、凹部1106と下面1180との間の距離(例えば、高さ1140、1142)は、ポンピングポート922からの距離の平方根に比例する。別の実施形態では、凹部1106と下面1180との間の高さ(例えば、高さ1140、1142)は、ポンピングポート922からの第2の半径方向距離に対するポンピングポート922からの半径方向距離の比の平方根に比例する。例えば、第1の半径方向距離は、ポンピングポート922の中心からの半径方向距離であってもよく、第2の半径方向距離は、ポンピングポート922の縁部からの半径方向距離であってもよい。凹部1106の楕円形の輪郭は、スロット948からポンピングポート922へ流れるガスの流れコンダクタンスを均一にする。したがって、ガス流は、スロット948の幅にわたって実質的に均一である。
【0072】
[0089]上記は、本開示の実施形態に向けられているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考え出すこともでき、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
原子層堆積(ALD)チャンバで使用するためのプロセスキットであって、
誘電体窓と、
シーリングフレームと、
前記シーリングフレームに接続されたマスクフレームであって、その対向する側部にガス入口チャネルおよびガス出口チャネルが形成されているマスクフレームと、
を備えるプロセスキット。
(態様2)
前記マスクフレームに結合されたマスクシートを、さらに備える、態様1に記載のプロセスキット。
(態様3)
容積部が、前記誘電体窓と前記マスクフレームとの間に形成されている、態様1に記載のプロセスキット。
(態様4)
前記ガス入口チャネルおよび前記ガス出口チャネルが、前記容積部と流体連通している、態様3に記載のプロセスキット。
(態様5)
前記ガス入口チャネルに結合されたディフューザーと、
前記ガス出口チャネルに結合された排気マニホールドと、
をさらに備える、態様1に記載のプロセスキット。
(態様6)
前記ディフューザーおよび前記排気マニホールドが、それぞれ、
ポートと、
楕円形テーパ面によって部分的に画定された、前記ポートに結合された流路であって、前記流路の断面が、周辺部の高さよりも小さい中央部の高さを有し、前記中央部の高さおよび前記周辺部の高さがそれぞれ、前記ポートからの第2の半径方向距離に対する前記ポートからの第1の半径方向距離の比の平方根に比例する、流路と、
を備える、態様5に記載のプロセスキット。
(態様7)
前記マスクフレームの対向する側部に配置された圧縮性シールであって、前記マスクフレームに形成されたキー溝に結合されている圧縮性シールを、さらに備える、態様1に記載のプロセスキット。
(態様8)
原子層堆積(ALD)チャンバで使用するためのプロセスキットであって、
誘電体窓と、
シーリングフレームと、
前記シーリングフレームに接続されたマスクフレームであって、その対向する側部にガス入口チャネルおよびガス出口チャネルが形成されているマスクフレームと、
前記マスクフレームに結合されたマスクシートと、
を備えるプロセスキット。
(態様9)
容積部が、前記誘電体窓と基板との間に形成され、前記ガス入口チャネルおよび前記ガス出口チャネルが、前記容積部と流体連通している、態様8に記載のプロセスキット。
(態様10)
前記プロセスキットが、前記誘電体窓と前記シーリングフレームとの間に配置されたシールを備える、態様8に記載のプロセスキット。
(態様11)
前記プロセスキットが、前記誘電体窓と前記マスクフレームとの間に配置されたシールを備える、態様8に記載のプロセスキット。
(態様12)
前記ガス入口チャネルに結合されたディフューザーと、
前記ガス出口チャネルに結合された排気マニホールドと、
をさらに備える、態様8に記載のプロセスキット。
(態様13)
前記ディフューザーおよび前記排気マニホールドが、それぞれ、
ポートと、
楕円形テーパ面によって部分的に画定された、前記ポートに結合された流路であって、前記流路の断面が、周辺部の高さよりも小さい中央部の高さを有し、前記中央部の高さおよび前記周辺部の高さがそれぞれ、前記ポートからの第2の半径方向距離に対する前記ポートからの第1の半径方向距離の比の平方根に比例する、流路と、
を備える、態様12に記載のプロセスキット。
(態様14)
基板を処理するための装置であって、
チャンバ本体と、
サセプタ本体と、
前記サセプタ本体の周囲に配置された複数の支持部材と、
少なくとも1つのプロセスガス入口と、
少なくとも1つのポンピングポートと、
プロセスキットと、
を備え、前記プロセスキットが、
誘電体窓と、
シーリングフレームと、
前記シーリングフレームに接続されたマスクフレームであって、その対向する側部にガス入口チャネルおよびガス出口チャネルが形成されているマスクフレームと、
前記ガス入口チャネルに結合されたディフューザーと、
前記ガス出口チャネルに結合された排気マニホールドと、
前記サセプタ本体上に配置された基板と接触しているマスクシートと、
を備える、装置。
(態様15)
容積部が、前記誘電体窓と前記マスクフレームとの間に形成され、前記ガス入口チャネルおよび前記ガス出口チャネルが、前記容積部と流体連通している、態様14に記載の装置。