(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】標識されたイミダゾ[1,2-A]ピリミジンの合成
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20231018BHJP
A61K 51/04 20060101ALN20231018BHJP
C07B 59/00 20060101ALN20231018BHJP
【FI】
C07D487/04 144
A61K51/04 200
C07B59/00
(21)【出願番号】P 2021565742
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 US2020031952
(87)【国際公開番号】W WO2020227575
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-01-19
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クラッグ, カイル ブラッドリー パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ニコラス アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ハイミン
(72)【発明者】
【氏名】ゴスラン, フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ナック, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】オシェイ, ポール ディー.
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515856(JP,A)
【文献】特表2013-522365(JP,A)
【文献】特表2022-531936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
の化合物を合成する方法であって、
式(II)
の化合物と式(III)
の化合物とを、非水性溶媒中で、POCl
3およびEt
3Nの存在下でカップリングさせ、第1の前駆体(I-P1)
を得ること、
I-P1のベンゾエート基を除去して、第2の前駆体(I-P2)
を得ること、および
I-P2のヒドロキシル基をトシル基で置換して、化合物(I)を得ることを含み、
式(I)、(II)、(I-P1)および(I-P2)において、標識された炭素原子(*)が、任意に二重に重水素化されていてよい、方法。
【請求項2】
前記式(II)の化合物が、
を第1の重水素化剤と反応させて、式(II-P1)
の化合物を生成すること、
(II-P1)のヒドロキシル基にベンゾイル基を導入して式(II-P2)
の化合物を生成すること、
(II-P2)からBoc保護基を除去して、塩酸塩(II-P3)
を生成すること、および
(II-P3)を
または
と反応させて式(II)の化合物を生成すること
を含む方法によって合成される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の重水素化剤がLiAlD
4を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の重水素化剤がD
2ガスを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
化合物(IVa)が
をSOCl
2と反応させることによって形成される、請求項
2に記載の方法。
【請求項6】
前記標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されており、化合物(II-P1)が、
を第2の重水素化剤と反応させて式(II-P0)
の化合物を生成すること、および
前記第1の重水素化剤を(II-P0)と反応させて、d
4-(II-P1)を形成すること
によって作製される、請求項
2に記載の方法。
【請求項7】
前記式(III)の化合物が、
N-メチルイミダゾールおよびMeCNの存在下で
をPCl(O)(OEt)
2と反応させることを含む方法によって合成される、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記PCl(O)(OEt)
2が、リン酸水素ジエチルを1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンと反応させることによってインサイチュで形成される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(III)の化合物が、
窒素下で
およびMeCNを反応器に投入すること、
N-メチルイミダゾール、続いてMeCNを混合物に添加すること、および
ClP(O)(OEt)
2を20~30℃の温度で1時間滴加すること
によって形成される、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記式(III)の化合物が、
窒素下のフラスコに1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンおよびMeCNを投入すること、
リン酸水素ジエチルおよびEt
3Nを前記フラスコに添加すること、
前記フラスコを0℃に冷却し、THFに溶解した1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミンを添加すること、および
前記反応混合物を15~25℃に1時間加温すること
によって形成される、請求項
7に記載の方法。
【請求項11】
トシレート基を
18F原子で置換することによって前記式(I)の化合物を放射性標識することをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
化合物(I-P1)から前記ベンゾエート基を除去することが、NaOEtおよびEtOHの存在下で行われる、請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
前記除去することが、窒素下の反応器内で行われる、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
化合物(I-P2)中の前記ヒドロキシル基をトシル基で置換することが、(I-P2)をトシレートと反応させた後に塩基化をさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項15】
トシレートと反応させることが、MeC
N中、窒素下、反応器中で行われ、かつ、
前記塩基化が
NMPおよびK
3PO
4を用いて行われる、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記式(II)の化合物と前記式(III)の化合物とをカップリングさせることが、
窒素下で反応器にMeCN、続いて化合物(II)および化合物(III)を投入すること、
前記反応器にMeTHFおよびEt
3Nを添加すること、
前記反応器を-10~10℃に冷却すること、
前記反応器にPOCl
3を添加すること、
前記反応器の内容物を最低2時間にわたって、65~95℃に加熱すること、
前記反応器の内容物を80℃で少なくとも1.5時間維持すること、
前記内容物を15~25℃に冷却し、K
2CO
3の25w/w%溶液を添加すること
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項17】
前記標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されており、d
4-(I-P1)から前記ベンゾエート基を除去することが、
d
4-(I-P1)の溶液にNaOHを添加することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項18】
前記標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されており、d
4-(I-P2)の前記ヒドロキシル基をトシル基で置換して化合物d
4-(I)を得ることが、
4-メチルベンゼンスルホン酸無水物をMeCN中のd
4-(I-P2)およびTsOH・H
2Oの溶液に添加すること、および
混合物を40℃に加熱すること
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物
が、前記化合物をチャコールに通し、得られた油状物をフィルタにかけ、乾燥させることを含む方法によって精製される、請求項
2に記載の方法。
【請求項20】
(II-P1)の前記ヒドロキシル基にベンゾイル基を導入することが、
窒素下で、トルエン、Et
3N
およびDMA
Pとともに
、反応器に化合物(II-P1)を投入すること
、および
塩化ベンゾイルを、前記反応器の内部温度を-5~5℃に維持しながら前記反応器にゆっくり投入すること
を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項21】
(II-P2)から前記Boc保護基を除去することが、
窒素下で、1-PrOHを反応器に投入すること、
AcClを、前記反応器の内部温度を5℃未満に維持しながらゆっくり反応器に投入すること、
化合物(II-P2)を
トルエン溶液として前記反応器に投入すること、および
混合物を50℃に1時間加熱すること
を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項22】
(II-P3)を(IV)と反応させることが、
窒素下、20~30℃で、反応器に化合物(II-P3)、(E)-3-エトキシアクリル酸(IV)、およびEt
3Nを投入すること、ならびに
混合物を40℃に1時間加熱すること
を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項23】
前記式(II)の化合物が、(II-P3)を(IVa)と反応させることによって形成され、(IVa)が、(IV)をDCM中でSOCl
2と反応させることによって形成される、請求項
2に記載の方法。
【請求項24】
前記標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されており、化合物(II-P2)が、
0~10℃で1時間、Et
3NおよびTHF中のII-P1の溶液にBzClを添加することによって作製される、請求項
2に記載の方法。
【請求項25】
前記標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されており、化合物(II-P2)から前記Boc保護基を除去することが、
EtOAc中のHClを、EtOAc中の(II-P2)の溶液に添加することを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項26】
前記標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されており、d
4-(II-P3)を(IVa)と反応させることが、
(IVa)をET
3NおよびTHF中のd
4-(II-P3)に0~10℃で1時間添加することを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項27】
前記標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されており、前記式(II)の化合物と前記式(III)の化合物とをカップリングさせることが、
2-MeTHFおよびMeCN中の化合物(III)およびd
4-(II)の溶液を形成すること、
Et
3N、続いてPOCl
3を前記溶液に添加すること、
前記溶液を80℃に4時間加熱すること、ならびに
NaHCO
3を前記溶液に添加することを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項28】
窒素下で反応器に、無水THF、前記化合物
、およびLiAlD
4が0~5℃で1時間投入される、請求項
3に記載の方法。
【請求項29】
前記重水素ガスが、化合物
、NaOMe、RuMACHO(登録商標)およびPhMeを含む圧力反応器に、100℃の温度および20気圧で24時間適用される、請求項
4に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の重水素化剤がCD
3OD中のCD
3ONaであり、前記第2の重水素化剤との反応が80℃で12時間行われる、請求項
6に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の重水素化剤がTHF中のLiAlD
4であり、前記反応が-10℃で行われる、請求項
6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2019年5月9日に出願された米国仮特許出願第62/845,840号および2019年11月18日に出願された米国仮特許出願第62/937,069号に対する35 U.S.C.§119(e)の下での優先権の利益を主張し、これらはいずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の技術は、一般的に有機合成に関し、より具体的には、同位体標識され、陽電子放射断層撮影法におけるイメージング剤として使用される分子への合成経路に関する。
【背景技術】
【0003】
神経原線維変化(NFT)は、アルツハイマー病(AD)を含むいくつかの神経病理の特徴であると考えられている脳内の沈着物である。NFTプラークは、凝集した高リン酸化タウタンパク質から構成されている。タウタンパク質は細胞骨格と会合しており、ニューロンの微小管に沿った小胞の輸送に関与している。病的状態下では、タウは高リン酸化されており、老人性プラークにおけるAβと同様の原線維性外観を有するベータシート凝集体を形成する。いくつかのタウ標的療法は、可溶性タウオリゴマーの細胞間移動を妨害することによって疾患進行を遅らせることを目的とする。患者のタウ負荷を現在および経時的に確実に監視することができる場合、疾患の進行をよりよく理解することができ、そのような治療アプローチを改善することができる。タウ特異的陽電子放射断層撮影(PET)イメージングバイオマーカーは、疾患進行を非侵襲的にモニターすることができ、ならびにタウ標的化剤の有効性の直接測定および臨床試験におけるその作用機序の確認を提供することができる(例えば、Mathis,C.A.;Klunk,W.E.,Neuron,(2013),79(6),1035-7;and Jensen,J.R.,et al.,J.Alzheimer’s Disease,(2011),26 Suppl.3,147-57参照)。
【0004】
1つの有望なタウ特異的PETイメージングバイオマーカーは、重水素化されているとともに放射性同位体によって標識されている置換ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-アミンである。臨床用途では、放射性同位体18Fは、患者への化合物の投与の直前に前駆体分子に導入される。これに対応して、前駆体は標識化の準備ができて大量に市販されていなければならないので、前駆体の効率的な合成が特に望ましい。
【0005】
ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-アミン構造要素は、タウタンパク質プラークを標的とするいくつかの他のPETイメージング剤においても有用性が見出されており、研究中のタウ分解分子にも組み込まれている。さらに、この足場は、ハンチントン病などの神経変性症状に関連する他のタンパク質を同定するためのPETイメージング剤として使用されてきた。より一般的には、ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジンモチーフは、抗神経変性、抗高血圧、抗菌および抗ウイルス活性を示す分子に組み込まれている。
【0006】
従来、ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン誘導体は、アミノ-イミダゾールと、β-位に脱離基を有するエノンまたはエナールとの縮合を介して入手されてきた。このアプローチは、一般的に、イミダゾピリミジン生成物を高収率および良好な異性体選択性で提供するが、利用可能な基質の範囲は、α,β-不飽和アルデヒドおよびケトンに限定される。官能化イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-アミンへのより効率的なアクセスを可能にするためには、他の方法が必要である。
【0007】
本明細書における背景の説明は、本技術の文脈を説明するために含まれる。これは、言及された物質のいずれかが、本明細書に添付された特許請求の範囲のいずれかの優先日に公開されている、知られている、または共通の一般知識の一部であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0008】
本出願の説明および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語および、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」等のその変形は、他の添加剤、成分、整数またはステップを排除することを意図しない。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、置換イミダゾピリミジン分子、特に特定の位置で重水素化された数の分子の合成を扱う。
【0010】
特に、本開示は、置換イミダゾピリミジンを高収率で作製することができるカップリングステップを含む。
【0011】
アミノイミダゾールの選択的N-リン酸化は、β-エトキシアクリルアミドおよびアミノ-イミダゾールの縮合における異性体選択性を制御してイミダゾ[1,2-a]ピリミジンを与える重要な操作要素をもたらす。環内窒素または環外窒素において高度に選択的な(99:1)リン酸化を提供する条件が開示されている。(ベンゾ)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン生成物の2-アミノまたは4-アミノ異性体のいずれかを64~95%の収率で単離することができる。
【0012】
【0013】
特に、化合物(V)は、重水素原子によって占められているとして示されている位置のそれぞれにおいて3,000以上の重水素濃縮係数を有し得る。
【0014】
【0015】
特に、化合物(VI)は、重水素原子によって占められているとして示されている位置のそれぞれにおいて3,000以上の重水素濃縮係数を有し得る。
【0016】
本開示は、式(I)
の化合物を合成する方法であって、
式(II)
の化合物と式(III)
の化合物とを、非水溶媒中で、POCl
3およびEt
3Nの存在下でカップリングさせ、第1の前駆体(I-P1)
を得るステップを少なくとも含む、方法をさらに含む。
合成は、I-P1のベンゾエート基を除去して、第2の前駆体(I-P2)
を得ること、および
I-P2のヒドロキシル基をトシル基で置換して化合物(I)を得ることをさらに含み、ここで、式(I)、(II)、(I-P1)および(I-P2)において、標識された炭素原子(*)は任意に二重に重水素化されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本明細書に記載のプロセスの第1のフローチャートを示す。
【0018】
【
図2】
図2は、本明細書に記載のプロセスの第2のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これより本発明の特定の実施形態を詳細に参照するが、それらの例は、添付の構造および式に例示されている。本発明は、列挙される実施形態と併せて説明されるが、それらは、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。反対に、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれ得る、全ての代替例、改変、および等価物を網羅することを意図するものである。当業者であれば、本発明の実施に使用することができる、本明細書に記載されるものに類似または同等である多数の方法および材料を理解するであろう。本発明は、記載される方法および材料に決して限定されない。組み込まれる文献、特許、および同様の資料のうちの1つ以上が、定義される用語、用語の用法、記載される技術等を非限定的に含む、本出願と異なるか、または矛盾する場合は、本出願が優先される。
【0020】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本出願で使用される命名法は、特に明記しない限り、ACSスタイルガイドおよびThe Journal of Organic Chemistry list of ‘‘Standard Abbreviations and Acronyms’’(両方ともAmerican Chemical Society,Washington,D.C.によって公開された)、ならびにIUPAC系統命名法に基づいている。
【0021】
定義
化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.にしたがって同定される。
【0022】
特に明記しない限り、化合物は、構造が限定されることを意図しない限り、所与の構造のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または配座)異性体を含む。例えば、各不斉中心のRおよびS配置、ZおよびE二重結合異性体、ZおよびE配座異性体、単一立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物が含まれる。特に明記しない限り、本明細書に示される構造の全ての互変異性形態も含まれる。
【0023】
本明細書の化合物または実施例が特定の塩として示される場合、対応する遊離塩基、ならびに対応する遊離塩基の他の塩(対応する遊離塩基の薬学的に許容され得る塩を含む)が企図されることを理解されたい。
【0024】
「互変異性体」または「互変異性形態」という用語は、低エネルギーバリアにより相互転換可能な、異なるエネルギーを持つ構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)は、ケト-エノールおよびイミン-エナミン異性化など、プロトンの転位による相互変換を含む。原子価互変異性体は、いくつかの結合電子の再編成による相互変換を含む。
【0025】
特に明記しない限り、本明細書に示す構造は、明示的に同定された任意の同位体濃縮原子に加えて、1つ以上の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、化合物は、重水素もしくはトリチウムによる1つ以上の水素、13Cもしくは14C炭素による炭素、15N窒素による窒素、33S、34Sもしくは36S硫黄による硫黄、または17Oもしくは18O酸素による酸素の独立した置換または富化が含まれる。そのような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または治療薬として有用である。
【0026】
「重水素化」という用語は、水素原子が分子の1つ以上の位置でその天然存在量を超えるレベルで重水素原子によって置換されていることを意味する。特定の位置が重水素化されている場合、その位置における重水素の存在量は、0.015%である重水素の天然存在量よりも実質的に大きいことが理解される。重水素化位置は、典型的には、少なくとも3000(45%重水素取り込み)の最小同位体濃縮係数を有する。
【0027】
本明細書で使用される「同位体濃縮係数」という用語は、特定の同位体の同位体存在量と天然存在量との間の比を意味する。特定の実施形態において、分子内の所与の位置は、少なくとも3500(52.5%重水素取り込み)、少なくとも4000(60%重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%重水素取り込み)、少なくとも5000(75%重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%重水素取り込み)、少なくとも6000(90%重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%重水素取り込み)、少なくとも6600(99%重水素取り込み)、または少なくとも6633.3(99.5%重水素取り込み)の同位体濃縮係数を有する。いくつかの実施形態において、100%の重水素取り込みが達成される。
【0028】
重水素は、種々の公知の試薬および合成技術を用いて本発明の化合物に取り込むことができる。例えば、重水素は、化合物(I)をもたらす合成のより早い段階でLiAlD4を使用して式(I)の化合物に取り込むことができる。また、重水素ガスD2などの適切な重水素化試薬、およびHDOまたはD2Oなどの重水素化(または「重」)形態の水を使用した還元、接触水素化または同位体交換等によって式(I)の化合物に取り込むことができる。
【0029】
示されている化学名と構造との間に矛盾がある場合、構造が優先される。
【0030】
本明細書で使用する場合、特に明記しないかぎり、「a」または「an」は、1つ以上を意味する。
化合物
【0031】
本発明は、以下のように、4つの位置で重水素化された化合物(化合物名の接頭辞として「d4」と呼ばれることが多い)を含む。
【0032】
本明細書の他の箇所に記載されるように、本発明は、そのような化合物の合成方法をさらに含む。
【0033】
「d4」は、重水素化された位置のそれぞれが、少なくとも3000、好ましくは少なくとも3500、さらにより好ましくは少なくとも4000、さらにより好ましくは少なくとも4500の濃縮係数を有することを意味することを理解されたい。
【0034】
合成後、d4-化合物をさらに精製して、各重水素化位置の濃縮係数が効果的に少なくとも5000以上であることを確実にすることができることをさらに理解されたい。
合成方法
【0035】
以下の実施例における特定の合成スキームによって記載されるように、本発明は、式(I):
の化合物を合成する方法を含み、
式中、星印(*)で標識された炭素原子は、任意に二重に重水素化されていてもよい。(*)で示される炭素原子が二重に重水素化されている場合、化合物(I)は、本明細書の他の箇所に記載されるd4-化合物である。
【0036】
本明細書の方法は、95%超(すなわち、D2/(D0+D1+D2)>95%であり、式中、Dnは、指定された水素のn個が重水素原子で置換された分子を表す)の純度で二重水素化された(「d2」)形態を得ることができる。好ましい実施形態では、純度はd2形態の少なくとも97%である。重水素化リチウムアルミニウム(LiAlD4)の品質(すなわち、同位体濃縮係数)は、得られる化合物の実際の純度の背後にある主要な推進力である。重水素原子を分子に導入するために触媒D2ガスを使用する合成アプローチは、典型的には、98%を超える純度のd2形態を生成することができない。その結果、各置換位置の重水素濃縮係数は、典型的には6333.3を超え、好ましくは6400を超える。
【0037】
式(I)の化合物を合成する方法は、第1のステップにおいて、式(II)
のアクリルアミド化合物と式(III)
のアミノ-イミダゾール化合物とを、非水性溶媒中で、POCl
3およびEt
3Nの存在下でカップリングさせ、第1の前駆体(I-P1)
を得ることを含む。
【0038】
この反応により、ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-アミンまたは(I-P1)が、代替異性体であるベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-4-アミンよりも優れた選択性で得られる。
【0039】
このステップのための非水性溶媒のいくつかの適切な選択肢が存在し、また、カップリングを達成するために他の試薬を適切に同定することができることが当業者には理解されよう。(II)および(I-P1)における基Bzは、カルボキシフェニル(-C(=O)Ph)を示す。
【0040】
第2のステップでは、(I-P1)のベンゾエート基を除去して、第2の前駆体(I-P2)
を得る。
【0041】
この第2のステップは、NaOH等の塩基の存在下で行われ得る。
【0042】
第3のステップにおいて、I-P2のヒドロキシル基をトシル基に置換して、化合物(I)を得る。トシル化は、任意に、(I-P2)をトシレートと反応させた後に酸性化ステップを含み得る。
【0043】
式(II)、(I-P1)および(I-P2)において、標識された炭素原子(*)も任意に二重に重水素化されていてよいと仮定されるべきである。第2および第3のステップを達成するために展開される試薬は、標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されているかどうかによって異なり得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、
を第1の重水素化剤と反応させて、
を生成することとを含む、方法によって合成される。第1の重水素化剤は、LiAlD
4であっても、またはD
2ガスであってもよい。
【0045】
次のステップで、ベンゾイル基を(II-P1)のヒドロキシル基に付加して、さらなる中間体
を生成する。
【0046】
さらなるステップにおいて、Boc保護基を(II-P2)から除去して、塩酸塩(II-P3)
を生成する。
【0047】
式(II)の化合物は、(II-P3)を
または
と反応させることによって形成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、化合物(IVa)は、(IV)をSOCl2と反応させることによって形成される。
【0049】
(II)において標識された炭素原子(*)が二重に重水素化されているいくつかの実施形態において、化合物(II-P1)は、
を第2の重水素化剤と反応させて、中間体(II-P0)
を生成し、第1の重水素化剤を(II-P0)と反応させて、(II-P1)を形成することによって作製される。
【0050】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、
をPCl(O)(OEt)
2、N-メチルイミダゾールおよびMeCNと反応させることを含む方法によって合成される。
【0051】
いくつかの実施形態において、リン酸化剤PCl(O)(OEt)2は、リン酸水素ジエチルを1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンなどの塩素化剤と反応させることによってインサイチュで形成される。
【0052】
当業者は、陽電子放出断層撮影などのイメージング技術で使用するためのトレーサー化合物を作製するために、放射性同位体を式(I)の化合物に導入する様々な方法があることを理解するであろう。例えば、式(I)の化合物は、共に当技術分野で公知の方法にしたがって、トリチウム化(1つ以上のトリチウム原子で標識)しても、またはトシレート官能基を18F同位体で置換してもよい。
【実施例】
【0053】
実施例1:2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d4 4-メチルベンゼンスルホネートの合成
実施例1は、アクリルアミドをリン酸化イミダゾールとコンジュゲート化するステップの使用を含む、2つの位置で重水素化されたトレーサー分子の代表的な合成を記載する。
図1は、出発物質を調製するステップを含む、実施例1の合成経路の概要を示す。
ステップ1-チャコール処理
【0054】
オーバーヘッド撹拌を備えた窒素下の反応器に、tert-ブチル4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(600g、2.33mol、1.0当量)およびMTBE(4800mL)を投入した。油の完全な溶解が観察されたら、Norit(商標)A Supraチャコール(120g、20w%)を反応器に投入し、ジャケットを35~45℃に加温した。混合物をこの温度で2時間保持し、23℃に冷却し、次いで、100.54gのCelite(登録商標)を含有するブフナー漏斗を通してフィルタにかけた。次いで、漏斗をMTBE(1200mL)で洗浄した。
【0055】
この手順を別の600gバッチのtert-ブチル4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート上で繰り返し、Celite(登録商標)を通してフィルタにかけ、MTBE(1200mL)で洗浄した後、両方の溶液を合わせ、次いで濃縮して乾燥させ、97.33 A%HPLC純度で透明な黄色油状物(1137.89g、105.0%)として、tert-ブチル4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレートを得た。
【0056】
ステップ2a-還元(RuMACHO)
圧力反応器に、tert-ブチル4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(20g、77.72mmol、1.0当量)、NaOMe(0.42g、7.77mmol、0.10当量)、RuMACHO(登録商標)(0.48g、0.78mmol、0.01当量)、次いでPhMe(200mL)を投入した。次いで、反応器を密封し、雰囲気を真空下で排気し、次いで、重水素ガス(20atm)を3回戻し充填した。次いで、圧力反応器を100℃に加熱し、24時間撹拌した。次いで、反応器を23℃に冷却し、シリカゲルの短いパッドでフィルタにかけ、PhMeでリンスし、真空下で濃縮して、tert-ブチル4-(2-ヒドロキシエチル-2,2-d
2)ピペリジン-1-カルボキシレートを、HPLC純度100.0 A%で、黄色油状物(17.0g、94.5%補正収率)として得た。
ステップ2b-還元(LiAlD
4)
【0057】
オーバーヘッド撹拌を備えた窒素下の反応器に、無水THF(20.0L)およびtert-ブチル4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(2020g、7.85mol、1.0当量)を投入した。次いで、反応器を1~2時間にわたって0~5℃に冷却し、次いで、LiAlD
4(287.5g、6.85mol、0.87当量)を分割してゆっくりと投入した。(著しいガス発生があったため、注意が必要であった。)試薬の投入が完了したら、反応物を0~5℃で1時間撹拌した。反応の完了を確認した後、内部温度を15℃以下に維持しながら、H
2O(287mL)をゆっくり添加することによって反応をクエンチした(著しいガス発生があったため、注意が必要であった)。次いで、反応器を20~25℃に加温し、30分間撹拌した。4N NaOH水溶液(287g、250mL)を反応器に投入し、混合物を再び20~25℃で30分間撹拌した。最後に、H
2O(860mL)を反応器に投入し、混合物を再び20~25℃で30分間撹拌した。次いで、フィルタにかけた混合物からの層を分離し、水層を廃棄した。Na
2SO
4(2500g)を、有機層を含む反応器に投入し、混合物を20~25℃で2時間撹拌した。次いで、懸濁液をセライトの短パッド(1500g)を通してフィルタにかけ、次いで、パッドをTHFで別々に3回(10.0L)洗浄した。次いで、合わせた有機層および洗液を真空蒸留(ジャケット温度を55℃に設定)下で濃縮した。次いで、tert-ブチル4-(2-ヒドロキシエチル-2,2-d
2)ピペリジン-1-カルボキシレートを、97.7 A%HPLC純度で、黄色油状物(1810g、100%)として回収し、次のステップで直接使用した。
ステップ3-ベンゾイル化
【0058】
オーバーヘッド撹拌を装備した窒素下の反応器に、tert-ブチル4-(2-ヒドロキシエチル-2,2-d
2)ピペリジン-1-カルボキシレート(2111g、9.126mol、1.0当量)、トルエン(16.0L)、Et
3N(1.9L、13.65mol、1.5当量)およびDMAP(109g、0.89mol、10mol%)を投入した。この混合物を撹拌し、次いで、内部温度が5℃未満に達するまでジャケットを-5~5℃に冷却した。塩化ベンゾイル(1.4L、11.027mol、1.2当量)を、内部温度を5℃未満に維持しながら1時間にわたってゆっくり投入した。試薬の添加が完了したら、反応器を20~30℃に加温し、次いで、所望のジャケット温度に達した後、2時間保持した。反応の完了を確認した後、半飽和NaHCO
3溶液(11.8L)を反応器に投入し、10分間撹拌した。次いで、層を分離し、水層を排出して廃棄した。次いで、水(11.8L)を反応器に投入し、再び10分間撹拌した。次いで、層を分離し、水層を排出して廃棄した。次いで、有機層を、ジャケット温度を65℃に設定して、トルエン(5.7V)での真空蒸留によって共沸乾燥させた。得られたtert-ブチル4-(2-(ベンゾイルオキシ)エチル-2,2-d
2)ピペリジン-1-カルボキシレートを95.6 A%HPLC純度で、16.0Vトルエン溶液として得、次いで、次のステップで直接使用した。
ステップ4-脱保護/塩形成
【0059】
オーバーヘッド撹拌を備えた窒素下の反応器に、1-PrOH(5660mL)を投入した。ジャケットを0~5℃に冷却し、次いで、内部温度を5℃未満に維持しながらAcCl(2141mL、30.08mol、3.30当量)をゆっくりと投入した。(反応は発熱性であるため、注意が必要であった。)試薬を完全に添加した後、内容物を0~5℃で30分間保持し、次いで、tert-ブチル4-(2-(ベンゾイルオキシ)エチル-2,2-d2)ピペリジン-1-カルボキシレート(3061g、9.126mol、1.0当量)をトルエン溶液(16.0L)として投入し、次いで、保持フラスコおよび移送ラインをトルエン(4.0L)で前方洗浄した。次いで、反応器ジャケットを50℃に加熱し、温度で1時間撹拌した。反応の完了を確認すると、ヘプタンを温度(ジャケット45~55℃)で30分間にわたって自己播種混合物に投入した。貧溶媒を完全に添加した後、内容物を2時間熟成し、次いで、ジャケットを1.5時間にわたって0℃に冷却し、温度で1時間保持した。次いで、スラリーを冷たい状態でフィルタにかけ、予冷した15% 1-PrOH:85%ヘプタン(12.0L)溶液で0℃で洗浄した。次いで、固体を真空下、25℃で48時間乾燥させて、2-(ピペリジン-4-イル)エチル-1,1-d2ベンゾエートヒドロクロリドをオフホワイト固体として得た(2188g、2ステップにわたる88%補正収率、99.7 A%HPLC純度):mp 179~180℃。
【0060】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ=9.34-8.83(m,2H),8.02-7.92(m,2H),7.70-7.61(m,1H),7.59-7.48(m,2H),3.21(br d,J=12.5Hz,2H),2.90-2.75(m,2H),1.84(br d,J=13.4Hz,2H),1.80-1.69(m,1H),1.68-1.63(m,2H),1.50-1.35(m,2H)。
13C NMR(101MHz,DMSO-d
6)δ=ppm 166.2,133.8,130.2,129.6,129.2,62.2,43.3,34.5,30.8,28.6。
ステップ5-アミドカップリング
【0061】
オーバーヘッド撹拌を備えた窒素下の反応器に、2-(ピペリジン-4-イル)エチル-1、1-d2ベンゾエートヒドロクロリド(700g、2.576mol、1.0当量)、(E)-3-エトキシアクリル酸(389g、3.35mol、1.3当量)、IPA(3.5L、5V)およびEt3N(1.8L、12.932mol、5.0当量)を投入した。次いで、内容物を20~30℃で15分間撹拌し、次いで、温度を30℃未満に維持しながら、T3P(登録商標)(EtOAc中50%溶液、1.85L、3.108mol、1.2当量)を15分間にわたってゆっくり投入した。次いで、反応器ジャケットを40℃に加熱し、温度で1時間保持した。HPLCによる反応完了を確認したら、水(10.5L)を2時間にわたって反応器に投入し、次いで、反応器ジャケットを2時間にわたって20~30℃に冷却し、次いで、12時間熟成した。反応混合物をフィルタにかけ、得られたケーキを水:IPAの3:1混合物(8.0L)で2回に分けて洗浄した。次いで、洗浄ケーキを45℃で44時間乾燥させ、第1のバッチと同様に行った別の700gの反応物と合わせて、(E)-2-(1-(3-エトキシアクリロイル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1-d2ベンゾエートを白色固体として得た(1457g、87%補正収率、99.3 A%HPLC純度):mp 106~109℃。
【0062】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6,60℃)δ=7.97(d,J=7.3Hz,2H),7.69-7.62(m,1H),7.56-7.50(m,2H),7.37(d,J=12.0Hz,1H),5.82(d,J=11.8Hz,1H),4.17(br s,2H),3.94(q,J=6.9Hz,2H),2.78(br s,2H),1.81-1.64(m,5H),1.25(t,J=7.0Hz,3H),1.16-1.01(m,2H)。
13C NMR(101MHz,DMSO-d
6,23℃)δ=165.2,164.4,159.9,132.6,129.5,128.5,128.1,95.6,65.9,61.5,42.7,33.9,32.2,31.5,13.9。
ステップ6-ジエチル(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ホスホロアミダート
【0063】
窒素下の反応器に、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(0.7882kg、6.002mol、1.00当量)、続いてMeCN(5.333L)を投入した。次いで、この混合物にn-メチルイミダゾール(0.6693kg、8.103mol、1.35当量)を添加し、続いてMeCN(0.460L)を添加して反応容器をすすいだ。次いで、このスラリーを20℃で最低15分間撹拌した。次いで、内部温度を30℃未満に維持しながら、ClP(O)(OEt)2(1.4070kg、8.154mol、1.35当量)を1時間にわたって滴加した。ClP(O)(OEt)2の添加が完了したら、MeCN(0.455L)を添加して反応容器をすすいだ。次いで、このスラリーを20℃で最低12時間撹拌した。反応が完了したら、容器を最低30分間にわたって0℃に冷却し、次いで、この温度で最低2時間撹拌した。次いで、この混合物をフィルタにかけ、ウェットケーキをMeCN(3.2L)で2回に分けて洗浄した。固体を真空下40℃で最低12時間乾燥させて、ジエチル(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ホスホロアミダートをオフホワイト固体として得た(1.2144kg、補正収率:73%、99.5% HPLC純度):mp 229℃。
【0064】
1H NMR(400MHz,メタノール-d
4)δ 7.20(dt,J=7.6,3.8Hz,2H),7.11(dd,J=5.9,3.2Hz,2H),4.07(p,J=7.2Hz,4H),1.32(t,J=7.1Hz,6H);
13C NMR(101MHz,メタノール-d
4)δ 123.4,111.2,63.4,63.4,16.6,16.6;
31P NMR(162MHz,メタノール-d4)δ 7.31。
ステップ7-2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1-d
2ベンゾエート
【0065】
窒素下の反応器に、MeCN(5.00L)を投入し、続いて(E)-2-(1-(3-エトキシアクリロイル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1-d
2ベンゾエート(1.00kg、3.00mol、1.0当量)およびジエチル(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ホスホロアミダート(888.5g、3.30mol、1.1当量)を投入した。MeTHF(5.00L)を投入し、続いてEt
3N(152.0g、1.50mol、0.5当量)を投入した。次いで、反応器を-10~10℃に冷却し、内部温度を-10~10℃に維持しながら、POCl
3(1.01kg、6.60mol、2.2当量)を最低30分間にわたって添加した。添加が完了したら、次いで、内容物を最低2時間にわたって65~95℃に加熱し、反応物を最低1.5時間にわたって80℃の内部温度で保持した。反応の完了を確認した後、反応器を15~25℃に冷却し、次いで、内部温度を30℃未満に保ちながら、K
2CO
3の25w/w%溶液(水(5.0L)をK
2CO
3(1.67kg)と混合し、20℃で最低15分間撹拌することによって予め作製された)に最低15分間にわたって添加した。次いで、これを最低15分間撹拌した後、層を分離し、水を排出して廃棄した。次いで、この反応溶液を次のステップで直接使用した。
ステップ8-2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エタン-1,1-d
2-1-オール
【0066】
前のステップからの粗製溶液を含む窒素下の反応器に、EtOH(1.90kg、6.00mol)中のNaOEtの21w/w%溶液を投入した。次いで、反応器を60~80℃に加熱し、30~90分間撹拌した。反応の完了を確認した後、混合物を真空蒸留により10Lに濃縮した。EtOH(10.0L)を添加し、内部温度を55℃未満に維持しながら定容蒸留を行った。次いで、水(7.5L)を添加し、温度を60℃未満に維持しながら定容蒸留を維持した。真空を無効にし、溶液を7時間にわたって5℃に冷却した。EtOH中のNaOEtの21w/w%溶液をさらに添加し(300g、0.75mol、0.25当量)、反応物を1.5時間70~80℃に加熱した。その後、反応器を7時間にわたって5℃に冷却し、次いで、この温度で最低2時間保持した。混合物をフィルタにかけ、5~15℃で予冷した3:1水:EtOH溶液(4.0L)ですすぎ、続いて15~25℃で水(4.0L)で洗浄した。次いで、固体を真空下40℃で最低12時間乾燥させて、2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エタン-1,1-d2-1-オールを淡黄色固体として得た(684.0g、補正収率:71%、97.9% HPLC純度):mp 186℃。
【0067】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ 8.93(d,J=7.7Hz,1H),7.93(d,J=8.0Hz,1H),7.50(d,J=8.0Hz,1H),7.28(t,J=7.6Hz,1H),7.13(t,J=7.6Hz,1H),6.86(d,J=7.8Hz,1H),4.55(s,2H),4.36(s,1H),2.99(t,J=12.7Hz,2H),1.82-1.69(m,3H),1.38(d,J=6.2Hz,2H),1.12(ddt,J=15.6,11.8,6.0Hz,2H);
13C NMR(101MHz,DMSO-d
6)δ 157.8,152.1,144.1,134.2,127.7,124.0,118.9,117.0,110.1,95.8,44.6,38.7,32.1,31.8。
ステップ9-2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1-d
24-メチルベンゼンスルホネート
【0068】
窒素下の反応器に、2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エタン-1,1-d2-1-オール(0.6874kg、2099mol、1.0当量)、続いてTsOH・H2O(0.531kg、2764mmol、1.2当量)を投入した。次いで、MeCN(3.434L)を添加し、反応物を最低15分間撹拌した。次いで、Ts2O(1.504kg、4607mmol、2.0当量)を添加し、続いてMeCN(0.628L)を添加して反応容器をすすいだ。次いで、このスラリーを20℃で16時間撹拌した。反応完了を確認した後、H2O(0.687L)を添加した。次いで、内部温度を30℃未満に保ちながらNMP(4.124L)を添加し、完全に添加した後、反応混合物を次いで最低15分間撹拌した。一方、別の反応器に、20wt%のK3PO4水溶液(6.87L)を添加した。次いで、粗製反応混合物を塩基性溶液に1~3時間にわたって添加した後、内容物を最低1時間熟成させた。次いで、混合物をフィルタにかけ、ウェットケーキを2回に分けて、水(6.874L)で洗浄した。固体を真空下20℃で最低2時間乾燥させ、続いて真空下35℃で最低12時間乾燥させて、2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1-d24-メチルベンゼンスルホネートをオフホワイト固体として得た(888.2g、補正収率:89%、99.3% HPLC純度):mp 151℃。
【0069】
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.23(d,J=7.8Hz,1H),7.84-7.77(m,2H),7.71(d,J=8.1Hz,1H),7.55(d,J=8.0Hz,1H),7.37(dd,J=7.6,5.1Hz,3H),7.23-7.14(m,1H),6.40(d,J=7.8Hz,1H),4.58(s,2H),2.94(t,J=12.9Hz,2H),2.46(s,3H),1.73(s,1H),1.60(d,J=6.5Hz,2H),1.18(qd,J=12.4,4.1Hz,2H);13C NMR(101MHz,クロロホルム-d)δ 157.8,145.1,132.7,130.0,128.0,127.8,124.8,119.8,118.7,108.8,108.8,95.5,95.4,67.9,45.2,35.2,32.5,31.7,21.8。
【0070】
実施例2:2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d4 4-メチルベンゼンスルホネートの合成
実施例2は、4つの位置で重水素化されたトレーサー分子の代表的な合成を記載し、この方法は、アクリルアミドをリン酸化イミダゾールとコンジュゲートするステップを使用する。
図2は、種々の出発物質を調製するステップを含む合成経路の概要を示す。
ステップ1-ジエチル(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ホスホロアミダートの調製
【0071】
窒素下、15~25℃のフラスコに、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(5.55g、23.8mmol、0.31当量)およびMeCN(35.0mL)を投入した。混合物を均質になるまで撹拌した。次いで、リン酸水素ジエチル(10.3g、75.1mmol、9.69mL、1.00当量)およびEt3N(15.2g、150.2mmol、20.9mL、2.00当量)を添加し、フラスコを85℃に加熱し、30分間撹拌し、その時点で沈殿が生じた。次いで、ジャケットを0℃に冷却し、THF(35.0mL)に溶解した1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(10.0g、75.1mmol、1.00当量)をフラスコに投入した。次いで、反応混合物を15~25℃に加温し、1時間撹拌した。反応の完了を確認すると、反応物を水(100.0mL)でクエンチし、次いで、酢酸エチル(200.0mL)で2回抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させて、フィルタにかけ、次いで、減圧下で濃縮して、化合物ジエチル(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ホスホロアミダートを褐色固体として得た(13.0g、48.2mmol、収率64%)。
【0072】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 7.34(dd,J=18.03,7.89Hz,2H),7.19(td,J=7.67,1.04Hz,1H),7.05(td,J=7.70,0.98Hz,1H),6.13-6.74(m,2H),4.20-4.34(m,2H),4.00-4.19(m,3H),1.33(td,J=7.09,0.86Hz,6H)。
ステップ2-(E)-3-エトキシアクリロイルクロリドの調製
【0073】
(E)-3-エトキシアクリル酸(4.40g、37.8mmol、1.00当量)のDCM(20.0mL)中の溶液に、SOCl
2(4.51g、37.8mmol、2.75mL、1.00当量)を25℃で添加した。混合物を40℃で1時間撹拌した。反応の完了を確認した後、混合物を蒸発乾固させ、(E)-3-エトキシアクリロイルクロリドを黄色油状物として得た(5.10g、37.9mmol、収率100%)。これを、精製することなく次のステップで直接使用した。
ステップ3-2-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)アセティック-2,2-d
2酸
【0074】
窒素下、20℃で、CD3OD(35.0mL)中のtert-ブチル4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(28.0g、108.8mmol、1.00当量)の溶液に、CD3ONa(15.5g、272.0mmol、2.5当量)を添加し、次いで、反応物を12時間、80℃に加熱した。反応の完了を確認した後、混合物を蒸発乾固し、次いで、1N HClを添加してpHを6~7の範囲に調整した。次いで、得られた混合物をEtOAc(100.0mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発乾固させた。次いで、粗製混合物をフラッシュクロマトグラフィー(3:1ヘプタン:酢酸エチル)によって精製し、2-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)アセティック-2,2-d2酸をオフホワイト固体として得た(25.0g、2ステップで収率94%)。
【0075】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 3.96-4.26(m,2H),2.62-2.90(m,2H),1.93(tt,J=11.63,3.47Hz,1H),1.73(br d,J=11.25Hz,2H),1.46(s,9H),1.04-1.31(m,2H)。
ステップ4-tert-ブチル 4-(2-ヒドロキシエチル-1,1,2,2-d
4)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0076】
次いで、THF(175.0mL)中のLiAlD4(8.51g、224.2mmol、11.5mL、2.20当量)の溶液に、-10℃で2-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)アセティック-2,2-d2酸(25.0g、101.9mmol、1.00当量)をゆっくりと添加し、出発物質の添加が完了したら、混合物を10分間撹拌した。反応の完了を確認した後、H2O(8.50mL)および15% NaOH(8.50mL)を反応物に添加した。次いで、混合物をフィルタにかけ、EtOAc(100.0mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥させて、蒸発乾固させ、tert-ブチル4-(2-ヒドロキシエチル-1,1,2,2-d4)ピペリジン-1-カルボキシレートを黄色油状物として得た(11.5g、49.2mmol、収率48%)。
【0077】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 3.98-4.17(m,2H),2.59-2.78(m,2H),1.64-1.73(m,2H),1.53-1.62(m,1H),1.46(s,9H),1.01-1.20(m,2H)。
ステップ5-tert-ブチル4-(2-(ベンゾイルオキシ)エチル-1,1,2,2-d
4)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0078】
0~10℃のtert-ブチル4-(2-ヒドロキシエチル-1,1,2,2-d4)ピペリジン-1-カルボキシレート(11.5g、49.2mmol、1.00当量)、Et3N(9.97g、98.5mmol、13.7mL、2.00当量)およびTHF(80.5mL)の溶液に、BzCl(8.31g、59.1mmol、6.87mL、1.20当量)を滴加した。次いで、混合物を0~10℃で1時間撹拌した。反応の完了を確認したら、H2O(50.0mL)を添加し、水層をEtOAc(100.0mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発乾固させた。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(3:1石油エーテル:酢酸エチル移動相)によって精製し、tert-ブチル4-(2-(ベンゾイルオキシ)エチル-1,1,2,2-d4)ピペリジン-1-カルボキシレートを黄色油状物として得た(10.5g、収率63%)。
【0079】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 8.04(d,J=7.34Hz,2H),7.52-7.64(m,1H),7.36-7.50(m,2H),4.13(q,J=7.13Hz,2H),2.71(br t,J=12.04Hz,2H),1.74(br d,J=12.84Hz,2H),1.56-1.65(m,1H),1.46(s,9H),1.07-1.23(m,2H)。
ステップ6-2-(ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d
4ベンゾエートヒドロクロリド
【0080】
EtOAc(10.5mL)中のtert-ブチル4-(2-(ベンゾイルオキシ)エチル-1,1,2,2-d
4)ピペリジン-1-カルボキシレート(10.5g、31.1mmol、1.00当量)の溶液に、EtOAc中のHCl(4M、30.0mL)を25℃で添加した。混合物を25℃で1時間撹拌し、反応の完了を確認した後、反応物を蒸発乾固させ、粗生成物を次のステップで直接使用した。
ステップ7-(E)-2-(1-(3-エトキシアクリロイル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d
4ベンゾエート
【0081】
THF(15.0mL)中の2-(ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d4ベンゾエートヒドロクロリド(8.52g、31.1mmol、1.00当量)およびEt3N(3.15g、31.1mmol、4.33mL、1.00当量)の溶液に、0~10℃で粗製(E)-3-エトキシアクリロイルクロリド(5.02g、37.3mmol、1.2当量)を添加した。反応物を0~10℃で1時間攪拌した。反応の完了を確認したら、H2O(50.0mL)を添加し、得られた水相をEtOAc(50.0mL)で3回抽出した。次いで有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発乾固させた。次いで、残渣をMTBE(10.0mL)中でスラリー化し、次いで、フィルタにかけ、(E)-2-(1-(3-エトキシアクリロイル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d4ベンゾエート(3.20g、9.54mmol、収率31%)を黄色固体として得た。
【0082】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.03(br d,J=7.34Hz,2H),7.67-7.78(m,1H),7.51-7.65(m,2H),7.44(d,J=11.86Hz,1H),5.91(d,J=11.86Hz,1H),4.09-4.60(m,2H),3.93-4.03(m,2H),2.66-3.12(m,2H),1.61-1.89(m,3H),1.29(t,J=7.03Hz,3H),1.00-1.18(m,2H)。
ステップ8-2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d
4ベンゾエート
【0083】
2-MeTHF(13.0mL)およびMeCN(13.0mL)中のジエチル(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ホスホロアミダート(2.30g、8.53mmol、1.10当量)および(E)-2-(1-(3-エトキシアクリロイル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d4ベンゾエート(2.60g、7.75mmol、1.00当量)の溶液に、25℃でEt3N(392mg、3.88mmol、539μL、0.50当量)、次いでPOCl3(2.61g、17.0mmol、1.58mL、2.20当量)を添加した。次いで、反応物を80℃に加熱し、4時間攪拌した。反応の完了を確認したら、飽和NaHCO3水溶液(100.0mL)を投入し、得られた水層をDCM(100.0mL)で3回抽出した。次いで、有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発乾固させた。次いで、粗生成物をEtOAc(30.0mL)中でスラリー化し、次いで、フィルタにかけた。このスラリープロセスをさらに2回繰り返した。次いで、得られた固体を分取HPLCによって精製し、2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d4ベンゾエートを黄色固体として得た(0.900g、2.22mmol、収率29%)。
【0084】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.94(d,J=7.82Hz,1H),7.89-8.03(m,3H),7.61-7.72(m,1H),7.45-7.58(m,3H),7.24-7.34(m,1H),7.07-7.19(m,1H),6.89(d,J=7.82Hz,1H),4.39-4.82(m,2H),3.03(br t,J=11.55Hz,2H),1.74-1.96(m,3H),1.05-1.34(m,2H)。
【0085】
13C NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 166.2,158.3,152.5,144.6,134.8,133.7,130.3,129.5,129.2,128.2,124.5,119.4,117.5,110.6,96.3,44.9,32.9,32.0。
ステップ9-2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エタン-1,1,2,2-d
4-1-オール
【0086】
EtOH(10.0mL)中の2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d4ベンゾエート(0.900g、2.22mmol、1.00当量)の溶液に、25℃で5N NaOH(889.9mg、4.45mmol、2.00当量)を添加した。反応物を70℃で1時間加熱した。反応の完了を確認したら、H2O(100.0mL)を添加し、水層をDCM(100.0mL)で3回抽出した。次いで、有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発乾固させた。次いで、粗生成物をMTBE(30.0mL)中でスラリー化し、フィルタにかけて、2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エタン-1,1,2,2-d4-1-オールを黄色固体として得た(500mg、1.63mmol、収率73%)。
【0087】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.93(d,J=7.70Hz,1H),7.93(d,J=7.95Hz,1H),7.49(d,J=7.95Hz,1H),7.28(t,J=7.58Hz,1H),7.08-7.17(m,1H),6.87(d,J=7.70Hz,1H),4.47-4.73(m,2H),4.36(br s,1H),2.99(br t,J=11.62Hz,2H),1.63-1.90(m,3H),1.00-1.24(m,2H)。
【0088】
13C NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 158.3,152.5,144.6,134.7,128.2,124.5,119.4,117.5,110.6,96.3,45.2,32.5,32.2。
ステップ10-2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d
44-メチルベンゼンスルホネート
【0089】
25℃のMeCN(3.00mL)中の2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エタン-1,1,2,2-d4-1-オール(500mg、1.66mmol、1.00当量)およびTsOH・H2O(380mg、2.00mmol、1.20当量)の溶液に、4-メチルベンゼンスルホン酸無水物(1.09g、3.33mmol、2.00当量)を投入した。溶液を40℃に加熱し、12時間撹拌した。反応の完了を確認したら、H2O(0.500mL)およびNMP(3.00mL)を添加した。次いで、K3PO4(5.00mL)の20w%水溶液を添加し、得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。熟成後、混合物をフィルタにかけ、ケーキをH2O(5.00mL)で3回洗浄した。次いで、ケーキをMTBE(10.0mL)中でスラリー化し、フィルタにかけて、2-(1-(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネートをオフホワイト固体として得た(500mg、1.10mmol、収率66%、純度96.9%)。
【0090】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 9.18(d,J=7.8Hz,1H),8.16(d,J=8.1Hz,1H),7.79(d,J=8.0Hz,2H),7.57(d,J=7.9Hz,1H),7.52(t,J=7.4Hz,1H),7.47(m,3H),7.31(d,J=7.9Hz,1H),4.81(d,J=13.2Hz,1H),4.32(d,J=13.9Hz,1H),3.23(t,J=12.5Hz,1H),3.01(t,J=13.3Hz,1H),2.41(s,3H),1.73(m,1H),1.70(m,2H),1.11(m,2H);13C NMR(126MHz,DMSO-d6)δ 159.0,148.1,145.3,135.8,132.9,130.5,128.0,127.2,126.0,123.6,112.5,112.1,100.3,68.3,46.7,44.5,33.5,31.6,31.1,21.4。HRMS m/z([M+H]+)による、C24H22D4N4O3Sについての算出値455.2050、実測値455.2056。
【0091】
本明細書で言及されている全ての参照文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0092】
前述の記載は、本技術の種々の局面を例示することを意図している。本明細書に提示される例は、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明をここで完全に説明すると、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、多くの変更および改変を行うことができることが当業者には明らかであろう。