(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】帯状センサ及び充填検査装置
(51)【国際特許分類】
G01B 7/06 20060101AFI20231019BHJP
E04G 21/00 20060101ALI20231019BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G01B7/06 C
E04G21/00
G01N27/22 C
(21)【出願番号】P 2020043436
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 雅嗣
(72)【発明者】
【氏名】松本 賢二郎
(72)【発明者】
【氏名】上原 誠
(72)【発明者】
【氏名】大久保 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】寺本 篤史
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122801(JP,A)
【文献】特開2012-172375(JP,A)
【文献】特開2013-92510(JP,A)
【文献】特開2000-146673(JP,A)
【文献】藤倉裕介、小幡克実,コンクリートの打込み状況を連続検知・ビジュアル化する手法を開発,建設機械施工,2013年07月,Vol.65,No.7,p.58-61
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/02 - 7/06
E04G 21/00
G01N 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の基板と、
該基板の表面に配置され、長手方向に延びる第1電極及び第2電極と、
該第2電極に対して、絶縁層を介して前記基板の厚み方向に積層される第3電極とが備えられ、
前記第1電極及び前記第2電極は、間隔を隔てて幅方向に対向し、
前記第2電極は、長手方向の所定長さで形成された短電極を長手方向に沿って複数配置して構成され、
前記短電極のON/OFFを切り替える切替部と、
複数の前記切替部を制御する制御部とが備えられ、
前記第1電極及び前記第3電極のうち一方を送信電極とし、他方を受信電極とすることで、前記第1電極、前記第3電極、前記短電極及び前記切替部で検出部を構成し、
該検出部が長手方向に複数構成された
帯状センサ。
【請求項2】
前記第1電極は、
前記幅方向の一方側に配置され、長手方向に延びる第1幹部と、
該第1幹部から前記幅方向の他方側に向かって伸び、且つ長手方向に所定間隔を隔てて複数配置された第1枝部とで構成し、
前記第2電極を構成する前記短電極は、前記幅方向の他方側に配置され、長手方向に延びる第2幹部と、
該第2幹部から前記幅方向の一方側に向かって伸び、且つ長手方向に所定間隔を隔てて複数配置された第2枝部とで構成し、
前記第3電極は、
前記幅方向の他方側に配置され、長手方向に延びる第3幹部と、
該第3幹部から前記幅方向の一方側に向かって伸び、且つ長手方向に所定間隔を隔てて複数配置された第3枝部とで構成し、
前記第2枝部は、前記第1枝部同士の間に配置され、
前記第3幹部及び前記第3枝部は、前記第2幹部及び前記第2枝部と、前記基板の厚み方向に積層される
請求項1に記載の帯状センサ。
【請求項3】
前記第1電極は、前記幅方向の一方側において長手方向に延びるように配置されるとともに、
前記第2電極及び前記第3電極は、前記幅方向の他方側において長手方向に延びるように配置され、
前記第1電極と前記第2電極との間に、不用意な導通を抑制する導通抑制部が設けられた
請求項1に記載の帯状センサ。
【請求項4】
前記導通抑制部は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記基板を厚み方向に貫通する貫通孔で構成された
請求項3に記載の帯状センサ。
【請求項5】
前記基板の両表面のそれぞれに、前記第1電極及び前記第2電極が配置され、
両第2電極のそれぞれに対して前記第3電極が設けらた
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の帯状センサ。
【請求項6】
前記基板の長手方向の端部のうち少なくとも一方に、他の帯状センサの接続部と接続する接続部が設けられた
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載の帯状センサ。
【請求項7】
前記制御部が、温度を検出する温度検出部を備えている
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載の帯状センサ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうちいずれかに記載の帯状センサを、充填材の充填方向に長手方向が向くよう、枠体内面に固定された
充填検査装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記充填材の充填を検出した前記検出部の検出容量によって、前記検出部における充填位置を算出する
請求項8に記載の充填検査装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記充填方向の下方の前記検出部における検出容量に基づいて、前記検出部における基準検出容量を設定する
請求項8又は請求項9に記載の充填検査装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記基準検出容量に対する前記検出容量を比較する
請求項10に記載の充填検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、コンクリートなどの充填材を充填する際に充填状況を検査するための帯状センサ及び充填検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に多用されているコンクリート構造物は、現場で打設する場合であっても、工場で製造するプレキャストであっても、型枠内部に打設した生コンクリートを養生し、硬化させて構成している。
【0003】
型枠内部へ生コンクリートを打設する際、型枠の隙間や空気抜き孔からしか型枠内部を確認できないため、コンクリートの充填状況の把握が困難であった。そのため、コンクリートの正確な打設量や打設高さを確認することができなかった。
【0004】
このような問題に対し、様々な充填検査装置が提案されている。そのひとつである特許文献1に記載のコンクリート充填確認装置は、一対のゲージ端子間に抵抗器が配置されたセンサをコンクリートの打設空間に所定の間隔をあけて配設している。そして、打設したコンクリートによるゲージ端子間の抵抗値の変化を検出して、コンクリートの充填状況を確認することができるとされている。
【0005】
しかしながら、このようなコンクリート充填確認装置では、センサが配置された箇所にコンクリートが充填されたことは確認できるものの、型枠内を打ち上がるコンクリートの打設高さを把握するためには、複数のセンサを狭ピッチで配置する必要があった。なお、センサ毎に配線が必要であり、複数のセンサを配置すると配線量は膨大となり、小型化することは困難であり、さらには、膨大な数のセンサに対する配線作業が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述した問題を鑑み、コンパクトな構造で、導電性を有する充填材の充填状況を検査できる帯状センサ及び充填検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、帯状の基板と、該基板の表面に配置され、長手方向に延びる第1電極及び第2電極と、該第2電極に対して、絶縁層を介して前記基板の厚み方向に積層される第3電極とが備えられ、前記第1電極及び前記第2電極は、間隔を隔てて幅方向に対向し、前記第2電極は、長手方向の所定長さで形成された短電極を長手方向に沿って複数配置して構成され、前記短電極のON/OFFを切り替える切替部と、複数の前記切替部を制御する制御部とが備えられ、前記第1電極及び前記第3電極のうち一方を送信電極とし、他方を受信電極とすることで、前記第1電極、前記第3電極、前記短電極及び前記切替部で検出部を構成し、該検出部が長手方向に複数構成された帯状センサであることを特徴とする。
【0009】
この発明により、コンパクトな構造で、導電性を有する充填材の充填状況を検査できる。
詳述すると、帯状の基板の表面に配置された第1電極と、第2電極に対して絶縁層を介して前記基板の厚み方向に積層される第3電極とは、いずれか一方が送信電極を構成し、他方が受信電極を構成する。前記第1電極に対して間隔を隔てて幅方向に対向するとともに、絶縁層を介して第3電極と前記基板の厚み方向に積層される第2電極がフロート状態である場合遮蔽電極を構成する。
【0010】
また、遮蔽電極を構成する第2電極は、長手方向の所定長さで形成された短電極を長手方向に沿って複数配置して構成されており、前記短電極のON/OFFを切り替える切替部と、複数の前記切替部を制御する制御部とが備えられている。そのため、前記第1電極、前記第3電極、前記短電極及び前記切替部で構成する検出部は静電容量センサを構成することができる。
【0011】
このように静電容量センサを構成する検出部において、送信電極と受信電極間の静電容量の変化を検出することで、充填材の有無を検出することができる。さらに、帯状センサにおいて、該検出部が長手方向に複数配置されているため、各検出部で充填材の有無を検出することができる。したがって、例えば、型枠内を打ち上がる充填材の天端位置、つまり充填材の打設高さを検出することができる。
なお、上述の充填する導電性を有する充填材は、コンクリート、モルタル、セメントミルク、硬化性樹脂など、充填可能且つ導電性を有する流動体であることをいう。
【0012】
この発明の態様として、前記第1電極は、前記幅方向の一方側に配置され、長手方向に延びる第1幹部と、該第1幹部から前記幅方向の他方側に向かって伸び、且つ長手方向に所定間隔を隔てて複数配置された第1枝部とで構成し、前記第2電極を構成する前記短電極は、前記幅方向の他方側に配置され、長手方向に延びる第2幹部と、該第2幹部から前記幅方向の一方側に向かって伸び、且つ長手方向に所定間隔を隔てて複数配置された第2枝部とで構成し、前記第3電極は、前記幅方向の他方側に配置され、長手方向に延びる第3幹部と、該第3幹部から前記幅方向の一方側に向かって伸び、且つ長手方向に所定間隔を隔てて複数配置された第3枝部とで構成し、前記第2枝部は、前記第1枝部同士の間に配置され、前記第3幹部及び前記第3枝部は、前記第2幹部及び前記第2枝部と、前記基板の厚み方向に積層されてもよい。
【0013】
この発明により、各電極は幹部と枝部とで構成する櫛形電極を構成することができる。したがって、櫛形電極によって構成される擬似的な櫛形コンデンサで検出部を構成することができる。したがって、静電容量の変化を高精度で検出することができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記第1電極は、前記幅方向の一方側において長手方向に延びるように配置されるとともに、前記第2電極及び前記第3電極は、前記幅方向の他方側において長手方向に延びるように配置され、前記第1電極と前記第2電極との間に、不用意な導通を抑制する導通抑制部が設けられてもよい。
【0015】
この発明により、擬似的なコンデンサを構成し、充填する充填材の有無を検出することができる。また、幅方向に離間して配置される前記第1電極と前記第2電極との間に、不用意な導通を抑制する導通抑制部が設けられているため、充填材が前記第1電極と前記第2電極とを跨いでショートすることを防止できる。したがって、正確に充填する充填材の有無を検出部で検出することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記導通抑制部は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記基板を厚み方向に貫通する貫通孔で構成されてもよい。
この発明により、前記導通抑制部を断面凸状で形成する場合に比べて、前記導通抑制部の製造性が高く、軽量化を図るとともに、コンパクトな帯状センサを構成することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記基板の両表面のそれぞれに、前記第1電極及び前記第2電極が配置され、両第2電極のそれぞれに対して前記第3電極が設けられてもよい。
この発明により、前記基板の両面で充填材の充填の有無を検出することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記基板の長手方向の端部のうち少なくとも一方に、他の帯状センサの接続部と接続する接続部が設けられてもよい。
この発明により、複数の帯状センサを連結して、長い帯状センサを構成することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記制御部が、温度を検出する温度検出部を備えてもよい。
この発明により、充填する充填材の充填温度や硬化温度、あるいは充填された充填材の温度などを充填の有無と伴って検出することができる。
【0020】
またこの発明は、上述の帯状センサを、充填材の充填方向に長手方向が向くよう、枠体内面に固定された充填検査装置であることを特徴とする。
この発明により、枠体内部での充填材の充填状況を確認することができる。
なお、枠体は、木製型枠や鋼製型枠など一般的に用いられる型枠、セントルと呼ばれるトンネル覆工用の型枠、内部に充填材を充填する鋼製エレメントなどが含まれる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記制御部は、前記充填材の充填を検出した前記検出部の検出容量によって、前記検出部における充填位置を算出してもよい。
この発明により、検出部における充填材の有無のみならず、充填材の充填位置を検出することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記制御部は、前記充填方向の下方の前記検出部における検出容量に基づいて、前記検出部における基準検出容量を設定してもよい。
この発明により、充填材の比誘電率が異なることで変化する基準検出容量を、検出部の実測値に基づいて設定することができる。したがって、充填材毎に基準検出容量を正確に設定することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記制御部は、前記基準検出容量に対する前記検出容量を比較してもよい。
この発明により、比誘電率が異なる充填材であっても、充填材の充填位置を正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明により、コンパクトな構造で前記導電性を有する充填材の充填状況を検査できる帯状センサ及び充填検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図5】帯状センサのスイッチング制御ICのブロック図。
【
図6】帯状センサを用いた充填検査装置のブロック図。
【
図7】充填検査装置を用いたコンクリート打設工事のフロー図。
【
図8】充填検査装置を用いたコンクリート打設工事の打設状況の説明図。
【
図9】別の実施形態の帯状センサの概略分解斜視図。
【
図10】さらに別の実施形態の帯状センサの概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は帯状センサ10の概略斜視図を示し、
図2は帯状センサ10の概略分解斜視図を示し、
図3は帯状センサ10の説明図を示し、
図4は帯状センサ10の構成を説明する説明図を示している。
【0027】
詳しくは、
図1及び
図2は、最表面を被覆する絶縁膜34(
図4参照)の図示を省略している。
図3(a)は帯状センサ10の平面図を示し、
図3(b)は帯状センサ10の底面図を示している。
図3(c)は帯状センサ10同士を接続した状態の接続箇所Cの拡大平面図を示し、
図3(d)は同状態の接続箇所Cの断面図を示している。なお、
図3(a),(d),(c)では、櫛形電極30(31,32a,33)の図示を省略している。
【0028】
図4(a)は櫛形電極30(31,32a,33)の概略構成斜視図を示し、
図4(b)は
図4(a)におけるA-A線位置における帯状センサ10の断面図を示し、
図4(c)は
図4(a)におけるB-B線位置における帯状センサ10の断面図を示している。
【0029】
図5は帯状センサ10のスイッチング制御IC40(以下においてSWIC40という)のブロック図を示し、
図6は帯状センサ10を用いた充填検査装置1のブロック図を示している。
図7は充填検査装置1を用いたコンクリート打設工事のフロー図を示し、
図8は充填検査装置1を用いたコンクリート打設工事の打設状況の説明図を示している。
【0030】
詳しくは、
図8(a)は帯状センサ取付け工程(ステップs2)における型枠100の断面図を示している。
図8(b)はコンクリート打設工程(ステップs3)において帯状センサ10の第1領域X1にコンクリートFcを打設した状態の断面図を示し、
図8(c)はキャリブレーション工程(ステップs5)の断面図を示している。
図8(d)は第n領域打設面検出工程(ステップs7)の断面図を示し、
図8(e)はコンクリートFcの打設完了時の断面図を示し、
図8(f)のコンクリート構造物200の断面図を示している。
【0031】
帯状センサ10は、帯状の基板20と、基板20の表面に配置され、長手方向Lに延びる第1櫛形電極31及び第2電極32と、第2電極32に対して、絶縁層35を介して基板20の厚み方向に積層される第3櫛形電極33とが備えられ、第1櫛形電極31及び第2電極32は、間隔を隔てて幅方向Wに対向し、第2電極32は、長手方向Lの所定長さで形成された第2櫛形短電極32aを長手方向Lに沿って複数配置して構成され、第2櫛形短電極32aのON/OFFを切り替えるSWIC40と、複数のSWIC40を制御する制御部50とが備えられ、第1櫛形電極31を送信電極とし、第3櫛形電極33を受信電極とすることで、第1櫛形電極31、第3櫛形電極33、第2櫛形短電極32a及びSWIC40で検出部Dを構成し、検出部Dが長手方向Lに複数構成されており、コンパクトな構造で、導電性を有するコンクリートFcの充填状況を検査するためのセンサである。
【0032】
帯状センサ10は、4層構造の基板20の表面に櫛形電極30(31,32a,33)を備えている。
具体的には、基板20はガラスエポキシ製の板状であり、略帯状に形成している。なお、
図1に示すように、帯状に形成された基板20の長手方向をLとし、幅方向をWとしている。
【0033】
基板20の長手方向Lの両端部には、幅方向Wに拡幅された拡幅部21を設けている。拡幅部21は、帯状センサ10を後述する型枠100に取付ける際の取付部として機能するとともに、帯状センサ10同士を長手方向Lに並列配置した場合の連結部としても機能する。
【0034】
そのため、幅方向Wの両側に拡幅された拡幅部21の幅方向Wの一方を他方に比べて幅広に形成し、連結する帯状センサ10同士を電気的に接続するコネクタ22(22a,22b)を備えている。
コネクタ22は、後述する櫛形電極30(31,32a,33)や本実施形態では、帯状センサ10における長手方向Lの手前側(
図1において左下側、
図3において左側)の拡幅部21に雄型コネクタ22aを配置している。また、帯状センサ10における長手方向Lの奥側(
図1において右上側、
図3において右側)の拡幅部21に雌型コネクタ22bを配置している。
【0035】
雄型コネクタ22aは、拡幅部21の長手方向Lの端部より接続ピン23が突出している。これにより、
図3(c),(d)に図示するように、複数の電気的且つ機械的に連結して長手方向Lに長い帯状センサ10を構成することができる。
【0036】
なお、複数本を連結した場合の長手方向Lの手前側の帯状センサ10や、連結することなく1本で用いる場合の帯状センサ10における雄型コネクタ22aは、帯状センサ10で検出した検出結果を管理装置2(
図6参照)に送信するために接続するインターフェイスとして機能する。
【0037】
図3(a),(b)に示すように、このように構成された基板20の両表面に櫛形電極30(31,32a,33)、絶縁層35、プリント配線36(
図6参照)が形成され、最表面を絶縁膜34で被覆して、帯状センサ10を構成している。
【0038】
詳しくは、帯状センサ10は、基板20の両表面において、概略的に、基板20に近い側から最表面に向かって、第3櫛形電極33、絶縁層35、第1櫛形電極31及び第2電極32、並びに絶縁膜34がこの順で配置されている。なお、第1櫛形電極31と第2電極32とは幅方向Wに対向し、第2電極32と第3櫛形電極33とは絶縁層35を介して厚み方向に積層している。
【0039】
櫛形電極30(31,32a,33)は、長手方向Lに延びる幹部(311,321,331)と、幅方向Wに伸びるとともに、長手方向Lに所定間隔を隔てて複数配置した枝部(312,322,332)とを一体構成している。そのため、櫛形電極30(31,32a,33)は、幅方向Wの一方側が開放された平面視略櫛形に形成している。なお、櫛形電極30(31,32a,33)は帯状の銅箔で構成されている。枝部(312,322,332)は、枝部(312,322,332)を形成する帯状の幅よりわずかに幅広の間隔を隔てて長手方向Lに複数配置している。
【0040】
第1櫛形電極31は、基板20における幅方向Wの一方側(
図1における左上側)に配置されている。第1櫛形電極31の第1幹部311は、基板20における幅方向Wの一方側の端部近傍に配置され、長手方向Lにおける基板20の長さに比べて少し短く形成している。第1櫛形電極31の第1枝部312は第1幹部311から幅方向Wの他方側に向かって(
図1において右下方向)、幅方向Wに伸びるように形成されている。
【0041】
第2電極32は、基板20における幅方向Wの他方側(
図1における右下側)に配置されている。第2電極32は、長手方向Lにおいて所定の長さに形成した第2幹部321と、第2幹部321から幅方向Wの一方側に向かって(
図1において左上方向)、幅方向Wに伸びるように形成された第2枝部322で構成する第2櫛形短電極32aが、長手方向Lに複数配置されて構成している。
【0042】
なお、第2櫛形短電極32aを構成する第2幹部321は、幅方向Wの他方側の端部近傍に配置されている。
また、長手方向Lに隣り合う一対の第2櫛形短電極32aの間にはSWIC40が配置されている。SWIC40は、長手方向Lに隣り合う一対の第2櫛形短電極32aの間において、両方の第2幹部321と接続されている。
【0043】
第3櫛形電極33は、基板20における幅方向Wの他方側(
図1における右下側)に配置されている。第3櫛形電極33の第3幹部331は、基板20における幅方向Wの他方側の端部近傍に配置され、長手方向Lにおける基板20の長さに比べて少し短く形成している。第3櫛形電極33の第3枝部332は第3幹部331から幅方向Wの一方側に向かって(
図1において左上方向)、幅方向Wに伸びるように形成されている。
【0044】
それぞれが上述のように構成された第1櫛形電極31及び第2電極32は、基板20の表面において、対称な向きで幅方向Wに対向するように配置されている。詳しくは、基板20における幅方向Wの一方側に配置された第1櫛形電極31と、幅方向Wの他方側に配置された第2櫛形短電極32aとは、長手方向Lに所定間隔を隔てて配置された第1枝部312同士の間に第2枝部322が配置される。このとき、第1枝部312と第2枝部322は離間して電気的に接続せず、枝部(312,322)が相手方の幹部(321,311)とも接触しないよう離間して配置されている。
【0045】
上述のように、対称な向きで幅方向Wに対向するように配置された第1櫛形電極31及び第2電極32(第2櫛形短電極32a)は、基板20の表面において、3/4程度の幅になるように形成している。
また、第2電極32(第2櫛形短電極32a)と同様の向きに形成された第3櫛形電極33は、絶縁層35を介して第2電極32(第2櫛形短電極32a)と同位置になるように配置している。
【0046】
上述するように、長手方向Lに隣り合う一対の第2櫛形短電極32aの間において、両方の第2幹部321と接続されたSWIC40は、
図5に示すように、制御回路41、IDメモリ42、温度センサ43、第1スイッチ素子44及び第2スイッチ素子45を備えている。
【0047】
制御回路41は、IDメモリ42、温度センサ43、第1スイッチ素子44及び第2スイッチ素子45が接続され、それぞれを制御して実行する。
IDメモリ42は、当該SWIC40の固有の識別情報を記憶する記憶領域である。
【0048】
温度センサ43は、SWIC40の周辺温度を検出する温度センサである。
第1スイッチ素子44と第2スイッチ素子45は、接続された第2櫛形短電極32aのON/OFFを切り替えるスイッチング素子である。
【0049】
このように構成されたSWIC40は、後述する制御部50に接続され、IDメモリ42に記憶するIDで個体識別する制御部50の制御信号に基づき、制御回路41によって、温度センサ43でSWIC40周辺の温度を検出したり、第1スイッチ素子44や第2スイッチ素子45に接続された第2櫛形短電極32aのON/OFFを切り替える制御を行う。
【0050】
なお、SWIC40は、温度センサ43を備えなくてもよいし、第2スイッチ素子45を備えない構成であってもよい。第2スイッチ素子45を備えないSWIC40の場合、第2櫛形短電極32aのそれぞれにSWIC40を接続することとなる。
【0051】
制御部50は、
図6に示すように、演算制御回路51、静電容量計測部52、及びIC通信部53を備えている。
演算制御回路51は、静電容量計測部52及びIC通信部53と接続され、静電容量計測部52やIC通信部53を制御するとともに、管理装置2に接続され、管理装置2と帯状センサ10での計測データや制御信号等の送受信を行う。
【0052】
静電容量計測部52は、第1櫛形電極31及び第3櫛形電極33に接続され、第1櫛形電極31及び第3櫛形電極33における静電容量を計測する。
IC通信部53は、演算制御回路51による制御信号によって制御されるSWIC40と接続して通信する。
【0053】
このように構成されたコネクタ22、櫛形電極30(31,32a,33)、SWIC40及び制御部50は、基板20の表面に形成されたプリント配線36によって接続されている。
具体的には、プリント配線36は、
図6に示すように、静電容量計測部52と第1櫛形電極31とを接続する送信電極配線361、静電容量計測部52と第3櫛形電極33とを接続する受信電極配線362、IC通信部53とSWIC40の一方極とを接続するスイッチング配線363、グランド電位とSWIC40の他方極とを接続するグランド配線364、制御部50と雄型コネクタ22aとを接続するコネクタ配線365がある。
【0054】
静電容量計測部52と第1櫛形電極31とを接続する送信電極配線361の他端側は雌型コネクタ22bが接続されており、静電容量計測部52と第3櫛形電極33とを接続する受信電極配線362の他端側も雌型コネクタ22bが接続されている。
【0055】
IC通信部53とSWIC40の一方極とを接続するスイッチング配線363は、SWIC40に接続された第2櫛形短電極32aに給電する電力線として機能するとともに、SWIC40におけるスイッチ素子44,45を制御する信号線としても機能している。
【0056】
グランド電位とSWIC40の他方極とを接続するグランド配線364は、図示省略するグランド電位箇所に接続され、グランド電位つまり基準電位となる。
このように構成するスイッチング配線363及びグランド配線364には、複数のSWIC40が並列状態で接続されている。
【0057】
上述のように各要素が構成された帯状センサ10では、演算制御回路51の制御によって、スイッチング配線363に接続されたSWIC40のスイッチ素子44,45によって通電のON/OFFが切り替えられる第2櫛形短電極32aと、送信電極配線361が接続され、送信電極を構成する第1櫛形電極31と、受信電極配線362が接続され、受信電極を構成する第3櫛形電極33と、上述のように、第2櫛形短電極32aへの通電を切り替えるSWIC40と、SWIC40を制御する制御部50とで、コンクリートFcの有無を検出する検出部Dを構成している。
【0058】
上述したように、第2櫛形短電極32aは長手方向Lにおいて複数配置され、第2櫛形短電極32aごとに検出部Dが構成されるため、帯状センサ10は、長手方向Lに沿って複数の検出部Dが備えられることとなる。
【0059】
各検出部Dでは、演算制御回路51の制御によって、スイッチング配線363に接続されたSWIC40のスイッチ素子44,45が、接続された各第2櫛形短電極32aへの通電をON/OFF切り替える。SWIC40のスイッチ素子44,45によって第2櫛形短電極32aへの通電をONに切り替えると、第1櫛形電極31と第3櫛形電極33との間において第2櫛形短電極32aは遮蔽電極として機能し、検出部Dは静電容量を検出可能な有効状態となる。逆に、SWIC40のスイッチ素子44,45によって第2櫛形短電極32aへの通電をOFFに切り替えると、検出部Dは検出不可な可能な無効状態となる。
【0060】
演算制御回路51は、ON/OFF制御する制御信号を複数の検出部DにおけるSWIC40のそれぞれに対して順に送信することで、長手方向Lに併設された検出部Dは順次、有効/無効を切り替え、走査することができる。
【0061】
このように構成された帯状センサ10は、
図6に示すように、雄型コネクタ22aを介して管理装置2と接続することで充填検査装置1を構成することができる。
管理装置2は、データロガーなどの携帯端末で構成してもよいし、パーソナルコンピュータやタブレットなどで構成してもよい。管理装置2は、制御部50を介して帯状センサ10での検出を指示したり、検出結果を受信したりすることができる。また、管理装置2に通信機能を備え、クラウドサーバや管理事務所等の遠隔地に配置したパーソナルコンピュータと通信し、検出結果を記憶したり、確認できるように構成してもよい。
【0062】
以下において、上述のように構成した充填検査装置1を用いて型枠100にコンクリートFcを打設するコンクリート打設工事について説明する。なお、
図8において、型枠100の内面に沿って取付けた帯状センサ10において所定長さ毎の検出部Dを図示している。型枠100の内部において帯状センサ10の検出部Dに対応する領域を領域Xとしている
【0063】
まず、施工現場における所定箇所に、図示省略する鉄筋を組み立て、所定形状の型枠100を組み立てる(型枠組立工程:ステップs1)。そして、
図8(a)に示すように、組み立てられた型枠100の内面に充填検査装置1の帯状センサ10を取付ける(帯状センサ取付け工程:ステップs2)。
【0064】
なお、複数の検出部Dが並列配置された長手方向Lが、型枠100の内部においてコンクリートFcの打ち上がり方向(上下方向)に沿うように縦向きで帯状センサ10を取付ける。このとき、最下段の検出部Dに対応する領域Xを第1領域X1とし、上に向かって第2領域X2というように順に増加し、最終の領域Xを最終領域Xeに設定している。
【0065】
図8(b)に示すように、内面に帯状センサ10が取付けられた型枠100に対してコンクリートFcを適宜の方法で打設する(コンクリート打設工程:ステップs3)。コンクリートFcの打設に合わせて充填検査装置1を稼働させ、帯状センサ10によるコンクリートFcの検出を開始する。
【0066】
帯状センサ10での検出が開始すると、演算制御回路51がIC通信部53を介して、SWIC40におけるスイッチ素子44,45のON/OFF切替を第1検出部D1から最終検出部Deに向かって順に行い、帯状センサ10の検出部Dにおける検出を走査する。具体的には、
図8(b)に示すように第1領域X1にコンクリートFcが打設されていると、第1検出部D1でコンクリートFcを検出し、第2領域X2以降の検出部DではコンクリートFcは検出しない。なお、SWIC40はIDメモリ42を搭載しているため、コンクリートFcの温度や型枠100の温度も併せて検出することができる。
【0067】
図8(c)に示すように、第1領域X1のコンクリートFcの打設が完了すると(ステップs4)、制御部50は、第1検出部D1で検出した静電容量を基準静電容量とする(キャリブレーション工程:ステップs5)。
【0068】
コンクリートFcの打設を続け(ステップs6)、
図8(d)に示すように、第n領域Xnに打設したコンクリートFcの打設面を検出する(打設面検出工程:s7)。具体的には、第n検出部Dnで検出した静電容量を上述の基準静電容量と比較することで、第n領域XnにおけるコンクリートFcの打設面の位置を検出することができる。
【0069】
図8(e)に示すように、第n領域XnにおけるコンクリートFcの打設が完了すると(ステップs8)、制御部50は、第n検出部Dnで検出した静電容量と基準静電容量とを比較し、第n領域XnでコンクリートFcが密実に打設できているか確認する。第n検出部Dnで検出した静電容量が基準静電容量と同じであれば、第n領域XnでのコンクリートFcの打設は密実であるとして(ステップs9:Yes)、次のステップに進む。逆に、第n検出部Dnで検出した静電容量が基準静電容量より低い場合、第n領域XnでのコンクリートFcの打設は密実でないため(ステップs9:No)、第n領域Xnに追加でコンクリートFcを打設する(ステップs10)。第n領域XnへのコンクリートFcの追打設によって、第n検出部Dnで検出した静電容量が基準静電容量と同じになれば、第n領域XnでのコンクリートFcの打設は密実であるとして(ステップs9:Yes)、次のステップに進む。
【0070】
第n領域Xnが最終領域Xeでなければ(ステップs11:No)、ステップs6に戻って次の領域XにコンクリートFcを打設する。これを最終領域Xeまで繰り返し、最終領域Xeの打設が完了すると(ステップs11:Yes)、コンクリートFcの打設は完了する。そして、打設したコンクリートFcを養生し、コンクリートFcの硬化後、
図8(f)に示すように、型枠100を脱型して(ステップs12)、コンクリート構造物200を構築することができる。なお、帯状センサ10のSWIC40には温度センサ43を搭載しているため、コンクリートFcの硬化温度を検出することができる。
【0071】
また、型枠100が脱型されたコンクリート構造物200の表面には、型枠100の内面に取付けていた帯状センサ10が配置される。このとき、型枠100の内面に取付けられた状態で打設するコンクリートFcを検出していた面は、コンクリート構造物200の内部側に配置され、その反対面がコンクリート構造物200の表面に露出することとなる。このように、コンクリート構造物200の表面に露出する面の検出部Dによって、コンクリート構造物200表面の温度をSWIC40に搭載した温度センサ43で検出することができる。
【0072】
上述のように、帯状センサ10は、帯状の基板20と、基板20の表面に配置され、長手方向Lに延びる第1櫛形電極31及び第2電極32と、第2電極32に対して、絶縁層35を介して基板20の厚み方向に積層される第3櫛形電極33とが備えられ、第1櫛形電極31及び第2電極32は、間隔を隔てて幅方向Wに対向し、第2電極32は、長手方向Lの所定長さで形成された第2櫛形短電極32aを長手方向Lに沿って複数配置して構成され、第2櫛形短電極32aのON/OFFを切り替えるスイッチ素子44,45と、複数のスイッチ素子44,45を制御する制御部50とが備えられ、第1櫛形電極31を送信電極とし、第3櫛形電極33を受信電極とすることで、第1櫛形電極31、第3櫛形電極33、第2櫛形短電極32a及びスイッチ素子44,45で検出部Dを構成し、検出部Dが長手方向Lに複数構成されているため、コンパクトな構造で、導電性を有するコンクリートFcの打設状況を検査できる。
【0073】
詳述すると、帯状の基板20の表面に配置された第1櫛形電極31と、第2電極32に対して絶縁層35を介して基板20の厚み方向に積層される第3櫛形電極33とは、いずれか一方が送信電極を構成し、他方が受信電極を構成する。第1櫛形電極31に対して間隔を隔てて幅方向Wに対向するとともに、絶縁層35を介して第3櫛形電極33と基板20の厚み方向に積層される第2電極32がフロート状態である場合遮蔽電極を構成する。
【0074】
また、遮蔽電極を構成する第2電極32は、長手方向Lの所定長さで形成された第2櫛形短電極32aを長手方向Lに沿って複数配置して構成されており、第2櫛形短電極32aのON/OFFを切り替えるスイッチ素子44,45と、複数のスイッチ素子44,45を制御する制御部50とが備えられている。そのため、第1櫛形電極31、第3櫛形電極33、第2櫛形短電極32a及びスイッチ素子44,45で構成する検出部Dは静電容量センサを構成することができる。
【0075】
このように静電容量センサを構成する検出部Dにおいて、第1櫛形電極31と第3櫛形電極33との間の静電容量の変化を検出することで、コンクリートFcの有無を検出することができる。さらに、帯状センサ10において、検出部Dが長手方向Lに複数配置されているため、各検出部DでコンクリートFcの有無を検出することができる。したがって、例えば、型枠内を打ち上がるコンクリートFcの天端位置、つまりコンクリートFcの打設高さを検出することができる。
【0076】
また、第1櫛形電極31は、幅方向Wの一方側に配置され、長手方向Lに延びる第1幹部311と、第1幹部311から幅方向Wの他方側に向かって伸び、且つ長手方向Lに所定間隔を隔てて複数配置された第1枝部312とで構成している。また、第2櫛形短電極32aは、幅方向Wの他方側に配置され、長手方向Lに延びる第2幹部321と、第2幹部321から幅方向Wの一方側に向かって伸び、且つ長手方向Lに所定間隔を隔てて複数配置された第2枝部322とで構成している。さらに、第3櫛形電極33は、幅方向Wの他方側に配置され、長手方向Lに延びる第3幹部331と、第3幹部331から幅方向Wの一方側に向かって伸び、且つ長手方向Lに所定間隔を隔てて複数配置された第3枝部332とで構成している。そして、第2枝部322は、第1枝部312同士の間に配置され、第3幹部331及び第3枝部332は、第2幹部321及び第2枝部322と、基板20の厚み方向に積層されている。そのため、各櫛形電極30(31,32a,33)は幹部(311,321,331)と枝部(312,322,332)とで構成する櫛形状に構成することができる。したがって、櫛形状である櫛形電極30(31,32a,33)によって構成される擬似的な櫛形コンデンサで検出部Dを構成することができる。したがって、静電容量の変化を高精度で検出することができる。
【0077】
また、基板20の両表面のそれぞれに、第1櫛形電極31及び第2電極32が配置され、両第2電極32のそれぞれに対して第3櫛形電極33が設けられているため、基板20の両面でコンクリートFcの打設の有無を検出することができる。
【0078】
また、基板20の長手方向Lの端部の一方に、他の帯状センサ10の雌型コネクタ22bと接続する雄型コネクタ22aが設けられているため、複数の帯状センサ10を連結して、長い帯状センサ10を構成することができる。
【0079】
また、SWIC40に、温度を検出する温度センサ43を備えているため、打設するコンクリートFcの打設温度や硬化温度、あるいは打設されたコンクリートFcの温度などを打設の有無と伴って検出することができる。
【0080】
また、上述の帯状センサ10を、コンクリートFcの打設方向に長手方向Lが向くよう、型枠100の内面に固定された充填検査装置1は、型枠100の内部でのコンクリートFcの打設状況を確認することができる。
【0081】
また、制御部50は、コンクリートFcの打設を検出した検出部Dの静電容量によって、検出部Dにおける打設位置を算出しているため、検出部DにおけるコンクリートFcの有無のみならず、コンクリートFcの打設位置を検出することができる。
【0082】
また、制御部50は、第1検出部D1における静電容量に基づいて、検出部Dにおける基準静電容量を設定しているため、コンクリートFcの配合等によって比誘電率が異なることで変化する基準静電容量を、第1検出部D1の実測値に基づいて設定することができる。したがって、基準静電容量を正確に設定することができる。
【0083】
また、制御部50は、第1検出部D1の実測値に基づいて設定した基準静電容量に対する静電容量を比較しているため、比誘電率が異なるコンクリートFcであっても、コンクリートFcの打設位置を正確に検出することができる。
【0084】
上述の説明では、
図3(a),(b)に示すように、基板20の両表面に、櫛形電極30(31,32a,33)を配置し、それぞれに検出部Dを設けて帯状センサ10を構成したが,
図9に示すように、基板20aの片側の表面にのみ櫛形電極30(31,32a,33)を配置し、検出部Dを構成する帯状センサ10aであってもよい。この場合、2層構造の基板20aを用いることとなる。
【0085】
また、上述の帯状センサ10,帯状センサ10aでは、幹部(311,321,331)と枝部(312,322,332)とで構成する櫛形電極30(31,32a,33)を用いて検出部Dを構成したが、
図10に示すように、帯状電極30s(31s,32s,33s)で検出部Dsを構成してもよい。
【0086】
具体的には、基板20sにおける長手方向Lの長さより短い帯状の帯状電極30sによって第1電極31s及び第3電極33sを構成し、長手方向Lの所定長さで形成された帯状の帯状電極30sによって第2短電極32saを長手方向Lに沿って複数配置して第2電極32sを構成する。
【0087】
なお、帯状センサ10において第2電極32と第3櫛形電極33が絶縁層35を介して厚み方向に積層したのと同様に、第2電極32sと第3電極33sとは、図示省略する絶縁層35を介して厚み方向に積層する。そして、相手方に向かって幅方向Wに延びる枝部(312,322,332)が互い違いになるように第1櫛形電極31と第2電極32とを対向させた帯状センサ10と異なり、ともに帯状の帯状電極30sで構成した第1電極31sと第2電極32sとは、基板20sにおいて幅方向Wに離間させて配置させるとともに、その間に長手方向Lに延びる貫通孔24を備えている。
【0088】
このように、幅方向Wに離間して配置される第1電極31sと第2電極32sとの間に貫通孔24が設けられているため、コンクリートFcが第1電極31sと第2電極32sとを跨いでショートすることを防止できる。したがって、正確に打設するコンクリートFcの有無を検出部Dで検出することができる。
【0089】
なお、第1電極31sと第2電極32sとの間に長手方向Lに延びる断面凸状となる凸部を設けてもコンクリートFcが第1電極31sと第2電極32sとを跨いでショートすることを防止できる。しかしながら、貫通孔24は、第1櫛形電極31と第2電極32との間に設けられ、基板20を厚み方向に貫通する貫通孔であるため、断面凸状の凸部を第1電極31sと第2電極32sとの間に形成する場合に比べて、貫通孔24の製造性が高く、軽量化を図るとともに、コンパクトな帯状センサ10sを構成することができる。
【0090】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の基板は基板20に対応し、
以下同様に、
長手方向は長手方向Lに対応し、
第1電極は第1櫛形電極31に対応し、
第2電極は第2電極32に対応し、
絶縁層は絶縁層35に対応し、
第3電極は第3櫛形電極33に対応し、
幅方向は幅方向Wに対応し、
短電極は第2櫛形短電極32aに対応し、
切替部はスイッチ素子44,45に対応し、
制御部は制御部50に対応し、
検出部は検出部Dに対応し、
帯状センサは帯状センサ10に対応し、
第1幹部は第1幹部311に対応し、
第1枝部は第1枝部312に対応し、
第2幹部は第2幹部321に対応し、
第2枝部は第2枝部322に対応し、
第3幹部は第3幹部331に対応し、
第3枝部は第3枝部332に対応し、
導通抑制部は貫通孔24に対応し、
他の帯状センサの接続部は他の帯状センサ10の雌型コネクタ22bに対応し、
接続部は雄型コネクタ22aに対応し、
温度検出部は温度センサ43に対応し、
充填材はコンクリートFcに対応し、
充填方向は打設方向に対応し、
枠体は型枠100に対応し、
充填検査装置は充填検査装置1に対応し、
充填位置は打設位置に対応し、
検出容量は静電容量に対応し、
基準検出容量は基準静電容量に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0091】
例えば、上述の説明では、帯状センサ10を取付けた型枠100にコンクリートFcを打設し、コンクリートFcの打設状況を検出したが、コンクリートFcの代わりにモルタルやセメントミルク、硬化性樹脂など、充填可能且つ導電性を有する流動体を充填する際の充填状況を検出するために帯状センサ10及び充填検査装置1を用いてもよい。
【0092】
また、上述の説明では、コンクリートFcを型枠100に打設する際に帯状センサ10及び充填検査装置1を用いたが、セントルと呼ばれるトンネル覆工用の型枠に覆工コンクリートを打設する際や、鋼製エレメントの内部にコンクリートFcを打設する際に、帯状センサ10及び充填検査装置1を用いてもよい。
【0093】
さらには、上述の説明では、静電容量計測部52と第1櫛形電極31とを送信電極配線361で接続して第1櫛形電極31を送信電極とし、静電容量計測部52と第3櫛形電極33とを受信電極配線362で接続して第3櫛形電極33を受信電極とした。これに対し、静電容量計測部52と第3櫛形電極33とを送信電極配線361で接続して第3櫛形電極33を送信電極とし、静電容量計測部52と第1櫛形電極31とを受信電極配線362で接続して第1櫛形電極31を受信電極としてもよい。
【0094】
また、上述の説明では、型枠100の内面において、コンクリートFcの打ち上がり方向(上下方向)に沿って帯状センサ10を取付けたが、例えば略水平方向に延びる鋼製エレメントの内部にコンクリートFcを打設する場合、鋼製エレメントの長手方向(略水平方向)に沿って帯状センサ10を取付けてもよいし、略水平方向と上下方向との両方に帯状センサ10を取付けてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…充填検査装置
10…帯状センサ
20…基板
22a…雄型コネクタ
22b…雌型コネクタ
24…貫通孔
31…第1櫛形電極
32…第2電極
32a…第2櫛形短電極
33…第3櫛形電極
35…絶縁層
43…温度センサ
44,45…スイッチ素子
50…制御部
100…型枠
311…第1幹部311
312…第1枝部312
321…第2幹部321
322…第2枝部
331…第3幹部
332…第3枝部
D…検出部
Fc…コンクリート
L…長手方向
W…幅方向