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特許7369632乾燥装置、基板処理装置及び基板ホルダの乾燥方法
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  • 特許-乾燥装置、基板処理装置及び基板ホルダの乾燥方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】乾燥装置、基板処理装置及び基板ホルダの乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/00 20060101AFI20231019BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
F26B21/00 A
H01L21/304 651K
H01L21/304 651L
H01L21/304 651M
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020016263
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021124219
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】田村 翔
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-201172(JP,A)
【文献】特開2018-160551(JP,A)
【文献】特開昭52-058755(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1342618(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 21/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ホルダを乾燥させるための乾燥装置であって、
前記基板ホルダを収容するための乾燥槽であって、壁及び内部の液体を排出するための排出口を有する、乾燥槽と、
前記壁の内面に液体を供給するための液体供給口と、
前記乾燥槽の前記内部に位置し、前記乾燥槽に収容された前記基板ホルダに気体を噴射するための複数のノズルと、
前記液体供給口から前記乾燥槽の前記内部に液体を供給するための液体供給手段と、
前記複数のノズルに前記気体を供給するための気体供給手段と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記液体供給口が前記壁の前記内面に液体を供給している間に、前記複数のノズルが前記基板ホルダ又は前記基板ホルダに保持される基板に気体を噴射するように、前記液体供給手段及び前記気体供給手段を制御
前記排出口が、前記基板ホルダの下端及び前記基板の下端よりも下方に配置され、
前記液体供給口が、前記排出口よりも上方に配置されている、
乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥装置において、
前記液体供給口は、前記壁に形成され、水平方向に延びる下端部を有し、
前記液体供給手段は、前記液体供給口を覆うように、前記乾燥槽の外側に取付けられるカバー部材を備え、
前記乾燥槽と前記カバー部材とに囲まれる空間が形成され、該空間に流入した液体が液だまりを構成し、該液だまりを構成する液体が前記液体供給口を通り、前記乾燥槽の前記内部に供給される、
乾燥装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乾燥装置において、
前記乾燥槽は、前記基板ホルダを前記内部に入れるための開口を備える上面を有する、
乾燥装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の乾燥装置において、
前記乾燥槽の前記内部に位置し、前記基板ホルダが配置されるための隙間を空けて互いに平行に配置されている2枚のノズル保持板をさらに備え、
前記壁は、上側から見て矩形形状を形成する4つの壁面を有し、
前記2枚のノズル保持板は、前記4つの壁面のうち互いに平行な2つの壁面に対して平行に配置され、
前記複数のノズルの一部が前記2枚のノズル保持板のうちの一方に取付けられ、
前記複数のノズルの残部が前記2枚のノズル保持板のうちの他方に取付けられ、
前記4つの壁面のうちの前記ノズル保持板と垂直に延びる2つ壁面に、それぞれ前記液体供給口が形成されている、
乾燥装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の乾燥装置において、
前記液体供給口は、前記複数のノズルよりも高い位置に位置している、
乾燥装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の乾燥装置において、
前記液体供給口よりも下側に位置し、前記乾燥槽の前記内部の気体を排気するための第1排気口を有する第1排気ダクトと、
前記壁の前記第1排気口よりも上側に端部が固定され、前記乾燥槽の下側に向かうにつれ前記壁から離れるように傾斜する傾斜板と、をさらに備える、
乾燥装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の乾燥装置において、
前記乾燥槽の前記内部を負圧にするように、前記乾燥槽の前記内部の気体を吸引するための第2排気口を有する第2排気ダクトをさらに備え、
前記第2排気口は、前記排出口よりも高い位置に位置している、
乾燥装置。
【請求項8】
請求項7に記載の乾燥装置において、
前記乾燥槽の前記内部が-80kPa以下になるように、前記乾燥槽の前記内部の気体が、前記第2排気口に吸引される、
乾燥装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の乾燥装置において、
前記第2排気ダクトは、前記乾燥槽の底面を貫通して、前記乾燥槽の前記内部と流体連通する、
乾燥装置。
【請求項10】
請求項9に記載の乾燥装置において、
前記第2排気口は前記排出口よりも高い位置に位置し、
前記第2排気口の上側に屋根を備える、
乾燥装置。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載の乾燥装置において、
前記第2排気口に吸引される気体の流量を調整するための排気調整バルブをさらに備える、
乾燥装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の乾燥装置において、
前記排出口は、前記乾燥槽の底面に形成され、且つ前記第2排気口に気体が吸引されるときに前記第2排気口に吸い寄せられる液体を排出できるような前記第2排気口に近接した位置に位置している、
乾燥装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の乾燥装置において、
前記ノズルと流体連通し、前記ノズルよりも上流側に位置する気体加熱装置をさらに備える、
乾燥装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の乾燥装置において、
前記乾燥槽の前記内部の気体を加熱するための加熱装置をさらに備える、
乾燥装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の乾燥装置において、
前記液体供給口と流体連通し、前記液体供給口よりも上流側に位置する液体加熱装置をさらに備える、
乾燥装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載された乾燥装置を備える、
基板処理装置。
【請求項17】
請求項6及び請求項7に従属する請求項16に記載の基板処理装置において、
めっき液を保持するためのめっき槽を備え、
前記第1排気ダクトは、複数の気体吸引口を有し、
前記複数の気体吸引口から、前記基板処理装置の周囲の気体が吸引される、
基板処理装置。
【請求項18】
請求項17に記載の基板処理装置において、
前記第2排気ダクトは、前記第2排気口よりも下流側で前記第1排気ダクトと流体連通していない、
基板処理装置。
【請求項19】
基板ホルダの乾燥方法であって、
複数のノズルが、乾燥槽に収容された基板ホルダに気体を噴射する噴射工程と、
液体供給口から、前記乾燥槽の内部のの内面に液体が供給される液体供給工程と、
前記液体が、前記基板ホルダの下端及び前記基板の下端よりも下方に配置されている排出口から排出される工程と、を有し、
前記液体供給工程が行われている間に、前記噴射工程が行われる、
基板ホルダの乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置、基板処理装置及び基板ホルダの乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に金属薄膜を形成するために、めっき装置が使用されている。めっき装置は、基板乾燥装置を備える場合がある。このようなめっき装置では、基板ホルダに保持された基板の表面にめっき処理が行われた後に、基板が洗浄される。その後、基板乾燥装置により、基板が乾燥される。
【0003】
基板乾燥装置の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1には、その図7に示されるように、乾燥槽と、乾燥槽の内部に位置する複数の吹付けノズルとを有する基板乾燥装置が開示されている。そして、この基板乾燥装置では、複数の吹付けノズルは、基板と対向する位置に位置し、基板の表面に向けてN2ガスやエア等の乾燥ガスを吹付けるように構成されている。
【0004】
特許文献1に記載の基板乾燥装置によれば、乾燥槽の内部の吹付けノズルからN2ガスやエア等の乾燥ガスが、基板ホルダに保持された基板の表面に向けて順次吹付けられる。これにより、この基板乾燥装置は、基板の表面に付着した水滴を除去し乾燥させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-201172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に記載の基板乾燥装置は、吹付けノズルが基板に向けて乾燥ガスを吹付けることにより、基板を乾燥させる。そして、基板に吹付けられた乾燥ガスが基板を保持している基板ホルダにもかかることにより、この基板乾燥装置は、基板ホルダも乾燥させる。このとき、基板や、基板ホルダにパーティクルが付着している場合、吹付けられる乾燥ガスにより、パーティクルが飛散する。そして、飛散したパーティクルが乾燥槽の内面に付着し、乾燥槽の内部を汚染するおそれがある。また、汚染された乾燥槽の内部で吹付けノズルが使用される場合には、乾燥槽の内面に付着したパーティクルが、再び飛散し別の基板や基板ホルダに付着するおそれがある。
【0007】
そこで、本開示の目的は、上述した課題に鑑み、基板ホルダの乾燥時に乾燥槽の内部を浮遊するパーティクルを除去でき、乾燥槽の内面に付着したパーティクルが、再び飛散し別の基板や基板ホルダに付着することを抑止できる、乾燥装置、基板処理装置及び基板ホルダの乾燥方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る乾燥装置は、基板ホルダを乾燥させるための乾燥装置であって、前記基板ホルダを収容するための乾燥槽であって、壁及び内部の液体を排出するための排出口を有する、乾燥槽と、前記壁の内面に液体を供給するための液体供給口と、前記乾燥槽の前記内部に位置し、前記乾燥槽に収容された前記基板ホルダに気体を噴射するための複数のノズルと、前記液体供給口から前記乾燥槽の前記内部に液体を供給するための液体供給手段と、前記複数のノズルに前記気体を供給するための気体供給手段と、制御装置と、を
備え、前記制御装置は、前記液体供給口が前記壁の前記内面に液体を供給している間に、前記複数のノズルが前記基板ホルダ又は前記基板に気体を噴射するように、前記液体供給手段及び前記気体供給手段を制御する。
【0009】
この実施形態に係る乾燥装置によれば、制御装置は、液体供給口が壁の内面に液体を供給している間に、複数のノズルが基板ホルダに気体を噴射するように、液体供給手段及び気体供給手段を制御している。つまり、複数のノズルが基板ホルダに気体を噴射しているときは、必ず液体が液体供給口から乾燥槽の内部の壁の内面に供給されている状態にある。液体は、乾燥槽の内部の気体と接触することにより、気体内を浮遊するパーティクルを捕えることができ、乾燥槽の内部が汚染されることを抑止することができる。すなわち、この実施形態に係る乾燥装置は、基板ホルダの乾燥時に乾燥槽の内部を浮遊するパーティクルを除去でき、乾燥槽の内面に付着したパーティクルが、再び飛散し別の基板や基板ホルダに付着することを抑止できる。
【0010】
一実施形態に係る基板ホルダの乾燥方法は、基板ホルダの乾燥方法であって、複数のノズルが、乾燥槽に収容された基板ホルダに気体を噴射する噴射工程と、液体供給口から、前記乾燥槽の内部の前記壁の内面に液体が供給される液体供給工程と、を有し、前記液体供給工程が行われている間に、前記噴射工程が行われる。
【0011】
この実施形態に係る基板ホルダの乾燥方法によれば、液体供給工程が行われている間に、噴射工程が行われる。つまり、複数のノズルが基板ホルダに気体を噴射しているときは、必ず液体供給口から乾燥槽の内部の壁の内面に液体が供給されている状態にある。液体は、乾燥槽の内部の気体と接触することにより、気体内を浮遊するパーティクルを捕えることができ、乾燥槽の内部が汚染されることを抑止することができる。すなわち、この実施形態に係る基板ホルダの乾燥方法は、基板ホルダの乾燥時に乾燥槽の内部を浮遊するパーティクルを除去でき、乾燥槽の内面に付着したパーティクルが、再び飛散し別の基板や基板ホルダに付着することを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る乾燥装置を備えるめっき装置の全体配置図である。
図2】第1実施形態に係る乾燥装置の概略図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4図2に示した乾燥装置の内部を示す断面斜視図である。
図5図2に示した乾燥装置の内部を示す別の断面斜視図である。
図6図2に示した乾燥装置の動作時における、制御処理の一手順を示す流れ図である。
図7図2に示した乾燥装置とは別の実施形態に係る乾燥装置の乾燥槽の内部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る乾燥装置300を備えるめっき装置100の全体配置図である。図1を参照すると、めっき装置100は、2台のカセットテーブル102、アライナ104、スピンリンスドライヤ106、基板搬送装置108、基板着脱部120を備える。めっき装置100は、一例として、湿式で縦型の電解めっき装置である。めっき装置100は、基板処理装置の一例である。
【0015】
まず、めっき装置100の各構成要素について説明する。カセットテーブル102は、半導体ウェハ等の基板Wを収納したカセット103を搭載する機能を有する。スピンリンスドライヤ106は、めっき処理後の基板Wを高速回転させて乾燥させる機能を有する。基板着脱部120は、2つの載置プレート122を有する。基板着脱部120では、載置プレート122に載置された基板ホルダ200への基板Wの着脱が行われる。
【0016】
基板搬送装置108は、カセットテーブル102、アライナ104、スピンリンスドライヤ106及び基板着脱部120の中央に配置されている。基板搬送装置108は、カセットテーブル102、アライナ104、スピンリンスドライヤ106及び基板着脱部120の間で基板Wを搬送する機能を有する。基板搬送装置108は、一例として、搬送用ロボットから構成される。
【0017】
めっき装置100は、ストッカ124、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、乾燥装置300、第2洗浄槽130b及びめっきモジュール160をさらに備える。なお、本実施形態では、めっき装置100が乾燥装置300を備えるが、本開示に係る別の実施形態では、エッチング装置、洗浄装置などのめっき装置100以外の基板処理装置が、乾燥装置300を備えてもよい。
【0018】
ストッカ124では、基板ホルダ200の保管及び一時仮置きが行われる。プリウェット槽126は、純水を保持する。プリウェット槽126では、基板Wが純水に浸漬されて、基板Wの表面が濡れることにより、基板Wの親水性が良くなる。プリソーク槽128は、硫酸を保持する。プリソーク槽128は、基板Wの表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜を、硫酸によりエッチング除去する機能を有する。第1洗浄槽130aは、洗浄液(純水等)を保持している。第1洗浄槽130aは、プリソーク後の基板Wを基板ホルダ200と共に洗浄液(純水等)で洗浄できる。乾燥装置300は、乾燥槽320を備え、洗浄後の基板W及び基板ホルダ200の液切りを行う機能を有する。なお、乾燥装置300の詳細な構成は後述する。第2洗浄槽130bは、めっき後の基板Wを基板ホルダ200と共に洗浄液で洗浄する機能を有する。
【0019】
めっきモジュール160は、一例として、隣接した複数のめっき槽162と、複数のめっき槽162の外周を取り囲むオーバーフロー槽164とを含む。各めっき槽162は、一例として、内部に1つの基板Wを収納する機能を有する。そして、各めっき槽162において、基板Wは、めっき槽162の内部に保持されるめっき液中に浸漬されることにより、銅めっき等のめっきが、基板Wの表面に施される。なお、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、乾燥槽320、第2洗浄槽130b、めっき槽162は、処理槽180と呼ぶことができる。すなわち、処理槽180は、基板Wを処理するための槽である。
【0020】
めっき装置100は、搬送システム190をさらに備える。そして、搬送システム190は、水平レール192、第1トランスポータ194a及び第2トランスポータ194bを備える。なお、第1トランスポータ194a及び第2トランスポータ194bは、同じ構造を有しており、それぞれ単にトランスポータ194と呼ぶことができる。搬送システム190は、直線状に並んだ基板着脱部120、ストッカ124、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、乾燥槽320、第2洗浄槽130b、及びめっきモジュール160の側方に位置する。搬送システム190には、一例として、リニアモータ方式が採用されている。水平レール192は、直線状に並ぶ各処理槽180に隣接して、直線状に延びる。
【0021】
第1トランスポータ194aは、一例として、基板着脱部120、ストッカ124、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、及び乾燥槽320との
間で基板ホルダ200を搬送するように構成されている。第2トランスポータ194bは、一例として、第1洗浄槽130a、第2洗浄槽130b、乾燥槽320、及びめっき槽162との間で基板ホルダ200を搬送するように構成されている。
【0022】
次に、図1に示した乾燥装置300について詳細に説明する。図2は、図1に示した乾燥装置300の概略図であり、図3は、図2のA-A断面図である。また、図4は、乾燥装置300の内部を示す断面斜視図であり、図5は、乾燥装置300の内部を示す別の断面斜視図である。
【0023】
図2を参照すると、乾燥装置300は、一例として、直方体の箱型形状を有する乾燥槽320を備える。乾燥槽320は、基板ホルダ200を収容する機能を有している。また、乾燥槽320は、壁322及び底面324を有する。壁322は、上側から見て矩形形状を形成する4つの壁面326,328,330,332を有している(図2及び図3参照)。また、乾燥槽320は、基板ホルダ200を乾燥槽320の内部に入れるため長方形形状の開口338を備える上面337を有している(図2及び図4参照)。このため、トランスポータ194により吊り下げた状態で搬送される基板ホルダ200は、開口338から乾燥槽320の内部に入ることができる。このとき、一例として、図2に示されるように、基板ホルダ200及び基板Wの乾燥の必要な部分のみが、乾燥槽320の内部に入れられる。これにより、乾燥装置300は、乾燥槽320の内部で、乾燥の必要な部分を乾燥させることができるからである。なお、本開示に係る別の実施形態では、基板ホルダ200全体が、開口338から乾燥槽320の内部に入れられてもよい。
【0024】
また、乾燥装置300は、一例として、乾燥槽320の内部に位置する複数のノズル340及び2枚のノズル保持板420a,420bを備える(図3及び図4参照)。2枚のノズル保持板420a,420bは、乾燥槽320の内部に位置し、基板ホルダ200が配置されるための隙間を空けて互いに平行に配置されている。また、2枚のノズル保持板420a,420bは、4つの壁面326,328,330,332のうち互いに平行な2つの壁面330,332に対して平行に配置されている。そして、複数のノズル340の一部が2枚のノズル保持板420a,420bのうちの一方のノズル保持板420aに取付けられ、複数のノズル340の残部が他方のノズル保持板420bに取付けられている。
【0025】
また、乾燥装置300は、メイン気体供給管640、2本の分岐気体供給管660a,660b、気体加熱装置540、2つの気体の流量を計測するための流量計600及び2つの気体調整バルブ360をさらに備える(図3参照)。
【0026】
メイン気体供給管640は、乾燥装置300の外部の気体供給源900から分岐点680までの流路を構成する。そして、分岐点680において、メイン気体供給管640は、2本の分岐気体供給管660a,660bに分岐する。2本の分岐気体供給管660a,660bは、それぞれ分岐点680からノズル保持板420a,420bに取付けられた対応するノズル340までの流路を構成する。また、気体供給源900は、乾燥した気体を供給する機能を有している。本実施形態では、気体供給源900は、一例として、乾燥した窒素を供給する機能を有する。これにより、各ノズル340は、気体供給源900から供給された気体を噴射することができる。なお、本開示に係る別の実施形態では、気体供給源900は窒素以外の乾燥ガスを供給してもよい。
【0027】
また、各ノズル340の噴射口は、乾燥槽320の内部に収容される基板ホルダ200又は基板ホルダ200が保持する基板Wに向けられている。このため、各ノズル340は、乾燥槽320に収容された基板ホルダ200又は基板Wに気体を噴射することができる。そして、気体が基板ホルダ200又は基板Wに噴射されることにより、基板ホルダ20
0及び基板Wは乾燥する。
【0028】
また、本実施形態では、複数のノズル340のうちの少なくとも一部のノズル340は、首振りジョイント321を介して、ノズル保持板420a,420bに取付けられている(図4参照)。これにより、各ノズル340は、乾かしたい場所に向かって、気体を噴射することができる。なお、本開示に係る別の実施形態では、乾燥装置300がノズル保持板420a,420bを備えずに、複数のノズル340が、乾燥槽320に直接取り付けられてもよい。また、複数のノズル340が、首振りジョイント321を介さずに、ノズル保持板420a,420bに取付けられてもよい。
【0029】
また、2本の分岐気体供給管660a,660bには、それぞれノズル340が噴射する気体の流量が調整するための気体調整バルブ360及び流量計600が取り付けられている(図3参照)。このため、気体調整バルブ360が調整されることにより、各ノズル340が、適切な流量の気体を噴射できる。
【0030】
また、メイン気体供給管640には、気体加熱装置540が取り付けられている。別言すると、気体加熱装置540は、ノズル340と流体連通し、ノズル340よりも上流側に位置している。気体加熱装置540は、一例として、熱交換器であり、ノズル340から乾燥槽320の内部に噴射される気体を加熱する機能を有する。このため、各ノズル340は、気体加熱装置540により加熱された気体を、基板ホルダ200又は基板Wへ噴射でき、基板ホルダ200や基板Wをより早く乾燥させることができる。なお、本開示に係る別の実施形態では、一例として、気体加熱装置540は、ノズル340から乾燥槽320の内部に噴射される気体を50度まで加熱するように構成されてもよい。
【0031】
なお、本実施形態では、メイン気体供給管640、2本の分岐気体供給管660a,660b及び2つの気体調整バルブ360は、一例として、気体供給手段310に含まれる。しかしながら、本開示に係る別の実施形態では、気体供給手段310は、メイン気体供給管640、2本の分岐気体供給管660a,660b及び2つの気体調整バルブ360を有さなくてもよく、気体供給手段310は、複数のノズル340に気体を供給するための構成を有していればよい。
【0032】
また、乾燥装置300は、一例として、2つのカバー部材400、メイン液体供給管720、2本の分岐液体供給管700a,700b、液体加熱装置580、2つの液体の流量を計測するための流量計620、2つの液体調整バルブ350及び液体供給口334をさらに備える(図2参照)。そして、液体供給口334は、壁322を構成する4つの壁面326,328,330,332のうちの2枚のノズル保持板420a,420bと垂直に延びる2つ壁面326,328に、それぞれ形成されている。また、液体供給口334は、一例として、複数のノズル340よりも高い位置に位置し、長方形形状を有する開口である(図5参照)。そして、液体供給口334は、水平方向に延びる下端部335を有している。各カバー部材400は、対応する液体供給口334を覆うように、乾燥槽320の外側に取付けられている。これにより、乾燥槽320と各カバー部材400とに囲まれる空間401が形成される。
【0033】
メイン液体供給管720は、乾燥装置300の外部の液体供給源920から分岐点740までの流路を構成する(図2参照)。分岐点740において、メイン液体供給管720は、2本の分岐液体供給管700a,700bに分岐する。2本の分岐液体供給管700a,700bは、それぞれ分岐点740から対応する空間401までの流路を構成する。また、液体供給源920は、液体を供給する機能を有している。本実施形態では、液体供給源920は、一例として、水を供給する機能を有する。これにより、液体が、液体供給源920から空間401に供給される。その結果、空間401に流入した液体が液だまり
を構成し、液だまりを構成する液体が液体供給口334を通り、乾燥槽320の内部に供給される。乾燥槽320の内部に供給された液体は、壁322の内面を伝うように流れる。別言すると、液体供給口334は壁322の内面に液体を供給している。
【0034】
また、2本の分岐液体供給管700a,700bには、それぞれ液体調整バルブ350及び流量計620が取り付けられている。これにより、液体調整バルブ350が調整されることにより、空間401に供給される液体の流量が調整され、結果として、乾燥槽320の内部に供給される液体の流量が調整される。
【0035】
また、メイン液体供給管720には、液体加熱装置580が取り付けられている。別言すると、液体加熱装置580は、液体供給口334と流体連通し、液体供給口334よりも上流側に位置している。液体加熱装置580は、一例として、熱交換器であり、液体供給口334から乾燥槽320の内部に供給される液体を加熱する機能を有する。これにより、液体供給口334から加熱された液体が乾燥槽320の内部に供給される。このため、乾燥槽320の内部の温度が上昇し、乾燥槽320の内部は液体が蒸発しやすい環境となる。その結果、後述する乾燥装置300の動作時に、乾燥装置300は、基板Wや基板ホルダ200に付着している液体をより早く蒸発させることができる。なお、本開示に係る別の実施形態では、一例として、液体加熱装置580は、乾燥槽320の内部に供給される液体を50度まで加熱するように構成されてもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、2つのカバー部材400、メイン液体供給管720、2本の分岐液体供給管700a,700b及び2つの液体調整バルブ350は、一例として、液体供給手段312に含まれる。しかしながら、本開示に係る別の実施形態では、液体供給手段312は、2つのカバー部材400、メイン液体供給管720、2本の分岐液体供給管700a,700b及び2つの液体調整バルブ350を有さなくてもよく、液体供給手段312は、液体供給口334から乾燥槽320の内部に液体を供給するための構成を有していればよい。
【0037】
また、乾燥槽320は、一例として、乾燥槽320の内部の液体を排出するための2つの排出口336を底面324に有する(図2参照)。各排出口336には、ドレイン配管930がそれぞれ接続されていて、それぞれのドレイン配管930は、めっき装置100が据え付けられている工場内の排水部(図示省略)と流体連通している。これにより、液体供給口334から乾燥槽320の内部に供給された液体は、排出口336を通り、工場内の排水部へと輸送される。
【0038】
また、乾燥装置300は、一例として、2つの第1排気ダクト440a,440b及び2つの傾斜板460をさらに備える(図2参照)。第1排気ダクト440a,440bは、それぞれ乾燥槽320の壁322を貫通し、乾燥槽320の内部と流体連通している。また、第1排気ダクト440a,440bは、第1排気口441a,441bを有する。第1排気口441a,441bは、乾燥槽320の内部であって壁322の液体供給口334よりも下側に位置している。そして、第1排気ダクト440a,440bは、工場の排気部(図示省略)に接続されている。これにより、乾燥槽320の内部の気体は、第1排気口441a,441bを通り、工場の排気部へと排気される。
【0039】
それぞれの傾斜板460は、壁322の第1排気口441a,441bよりも上側に端部461が固定され、乾燥槽320の下側に向かうにつれ壁322から離れるように傾斜している。これにより、傾斜板460は、液体供給口334から供給された液体が第1排気ダクト440a,440bに掛かることを抑止し、結果として、第1排気口441a,441bに液体が侵入することを抑止する。
【0040】
また、図1に示されるように、第1排気ダクト440a,440bの一部は、各処理槽180の横を、処理槽180の並ぶ方向に沿って延びる。そして、第1排気ダクト440a,440bは、複数の気体吸引口442a,442bを有する。これにより、第1排気ダクト440a,440bは、複数の気体吸引口442a,442bを介して、めっき装置100の周囲の気体も吸引できる。めっき装置100で処理が行われる場合、パーティクルが発生し、当該パーティクルが飛散し得る。また、めっき槽162のめっき液が気化したガスには、様々な成分が含まれているため、大気中に拡散することは好ましくない。しかしながら、このパーティクルや気化したガスは、気体吸引口442a,442bから第1排気ダクト440a,440bへ吸引される。つまり、めっき装置100は、パーティクルの飛散及びめっき液が気化したガスの大気中への拡散を低減することができる。
【0041】
また、乾燥装置300は、第2排気ダクト480、屋根500及び排気調整バルブ520(図2参照)をさらに備える。第2排気ダクト480は、乾燥槽320の底面324を貫通し、乾燥槽320の内部と流体連通する。また、第2排気ダクト480は、乾燥槽320の内部に位置し、上に向かって開いている第2排気口481を有している。そして、第2排気口481は、液体が第2排気ダクト480に侵入することを抑止するために、排出口336よりも高い位置に位置している。屋根500は、第2排気口481の上側に位置し、第2排気口481の上方から落下してきた液体が第2排気口481に流入することを抑止する。また、第2排気ダクト480は、図1に示されるように、その一部が処理槽180の下部を通って、工場の排気部(図示省略)に接続されている。これにより、乾燥槽320の内部の気体は、第2排気口481を通り、工場の排気部へと排気される。
【0042】
また、本実施形態では、第2排気ダクト480は、乾燥槽320の内部が-80kPa以下になるように、第2排気口481から気体を吸引するように構成されている。このため、後述する乾燥装置300の動作時に、乾燥装置300は、乾燥槽320の内部を-80kPa以下の負圧とすることができる。ここで、一般に、気圧が下がるほど、液体は蒸発しやすくなる。このため、乾燥装置300の動作時に、乾燥槽320の内部が-80kPa以下になることにより、基板ホルダ200や基板Wがより早く乾燥する。なお、本開示に係る別の実施形態では、第2排気ダクト480は、乾燥槽320の内部が負圧になるように、第2排気口481から気体を吸引するように構成されてもよい。
【0043】
また、第2排気ダクト480は、第2排気口481よりも下流側で第1排気ダクト440a,440bと流体連通していない。上述したように、ノズル340から乾燥槽320に気体が供給されているときに、乾燥槽320の内部を負圧にして、乾燥槽320の内部を液体が蒸発しやすい環境にするために、乾燥槽320の内部の気体は、第2排気口481から吸引される。このため、比較的多量の気体が、第2排気口481から単位時間あたりに吸引される必要がある。これに対し、気体吸引口442a,442bは、パーティクル及びめっき液が気化したガスを吸引するための開口である。このため、単位時間あたりに気体吸引口442a,442bから吸引される気体は、第2排気口481から吸引される気体ほど多量である必要がない。したがって、気体吸引口442a,442bから吸引される気体の量と、第2排気口481から吸引される気体の量とが著しく異なる場合がある。
【0044】
ここで、単一のダクトの各開口から吸引される気体の量が著しく異なる場合、各開口の気体の吸引量を調整することは一般的に困難である。このため、仮に第2排気ダクト480が第2排気口481よりも下流側で第1排気ダクト440a,440bと流体連通している場合、第2排気口481から吸引される気体の量と、気体吸引口442a,442bから吸引される気体の量と、をそれぞれ別々に調整することが困難である。このため、第2排気口481及び気体吸引口442a,442bから意図した流量で気体が吸引されないおそれがある。しかし、本実施形態では、上述したように、第2排気ダクト480は、
第2排気口481よりも下流側で第1排気ダクト440a,440bと流体連通していない。このため、作業者は、意図した流量で、第2排気口481及び気体吸引口442a,442bに気体を吸引させることができる。
【0045】
また、第2排気口481に吸引される気体の流量を調整する機能を有する排気調整バルブ520が第2排気ダクト480に取付けられている(図2参照)。このため、作業者は、必要なときにだけ、第2排気口481から気体を吸引させることができる。
【0046】
また、前述した排出口336は、第2排気口481に気体が吸引されるときに第2排気口481に吸い寄せられる液体を排出できるような第2排気口481に近接した位置に位置している(図2参照)。これにより、液体供給口334から乾燥槽320の内部に供給される液体は、排出口336から排出されやすくなり、乾燥槽320の底面324に液だまりができにくくなる。なぜなら、気体が第2排気口481から吸引されるときに乾燥槽320の内部の液体が第2排気口481に吸い寄せられ、この液体が排出口336から排出されるからである。
【0047】
また、第1排気ダクト440a,440bは、一例として、手動の調整弁443a,443bを有する。このため、作業者は、調整弁443a,443bを調整することにより、第1排気口441a,441bに吸引される気体の流量を調整することができる。その結果、乾燥槽320の内部の気体が、第1排気口441a,441b及び第2排気口481の両方から排気されるときに、作業者は、第1排気口441a,441bから排気される気体の量と、第2排気口481から排気される気体の量とのバランスを調整することができる。
【0048】
また、乾燥装置300は、乾燥槽320の内部の気体を加熱するための2つの加熱装置560をさらに備える(図3参照)。加熱装置560は、一例として、電熱板であり、それぞれノズル保持板420a,420bと壁面330,332との間に配置される。これにより、後述する乾燥装置300の動作時に、加熱装置560は、乾燥槽320の内部の気体を加熱することができ、乾燥槽320の内部を液体が蒸発しやすい環境とすることができる。その結果、後述する乾燥装置300の動作時に、乾燥装置300は、基板Wや基板ホルダ200に付着している液体をより早く蒸発させることができる。なお、本開示に係る別の実施形態では、一例として、加熱装置560は、乾燥槽320の内部の気体を50度まで加熱するように構成されてもよい。
【0049】
また、乾燥装置300は、気体供給手段310、液体供給手段312及び排気調整バルブ520を制御するための制御装置380を備える。より具体的には、制御装置380は、液体供給手段312に含まれる液体調整バルブ350及び気体供給手段310に含まれる気体調整バルブ360を制御する。
【0050】
次に、図6を参照して、乾燥槽320の内部に基板ホルダ200が収容されていない状態(初期状態)からの乾燥装置300の動作について説明する。ここで、図6は、乾燥装置300の動作時における、制御処理の一手順を示す流れ図である。なお、初期状態では、液体調整バルブ350、気体調整バルブ360及び排気調整バルブ520は閉鎖されている。
【0051】
めっき装置100の第2洗浄槽130bにおいて、既知の方法による、基板Wの表面の洗浄が完了すると、第2トランスポータ194bは、基板ホルダ200を把持して、第2洗浄槽130bから乾燥槽320へ搬送する(図1参照)。このとき、基板ホルダ200は、吊り下げられた状態で、乾燥槽320の上面337の開口338から、乾燥槽320の内部に入れられる。そして、基板ホルダ200は、乾燥槽320の所定の位置に配置さ
れる。その後、乾燥装置300は、基板ホルダ200が配置されたことを検知すると動作を開始する。
【0052】
まず、ステップS110において、制御装置380は、液体調整バルブ350を開放する。これにより、液体が、空間401に供給される。そして、空間401に流入した液体が液だまりを構成し、液だまりを構成する液体が液体供給口334を通り、乾燥槽320の内部に供給される。
【0053】
次いで、ステップS120において、制御装置380は、排気調整バルブ520を開放する。これにより、乾燥槽320の内部の気体が、第2排気口481から第2排気ダクト480に吸引される。その結果、上述したように、乾燥槽320の内部の気圧が下がり、乾燥装置300は、基板ホルダ200や基板Wがより早く乾燥させることができる。
【0054】
次いで、ステップS130において、制御装置380は、気体調整バルブ360を開放する。これにより、各ノズル340は、基板ホルダ200又は基板Wに向かって気体を噴射し、基板ホルダ200及び基板Wを乾燥させる。
【0055】
次いで、ステップS140において、制御装置380は、気体調整バルブ360を閉鎖する。これにより、複数のノズル340の気体の噴射が停止する。
【0056】
次いで、ステップS150において、制御装置380は、排気調整バルブ520を閉鎖する。
【0057】
次いで、ステップS140において、制御装置380は、液体調整バルブ350を閉鎖する。これにより、液体供給口334から乾燥槽320の内部への液体の供給が停止する。以上が、乾燥装置300の動作の説明である。
【0058】
上記の乾燥装置300の動作の説明からわかるように、制御装置380は、液体供給口334が壁322の内面に液体を供給している間に、複数のノズル340が基板ホルダ200又は基板Wに気体を噴射するように、液体供給手段312及び気体供給手段310を制御している。すなわち、乾燥装置300では、各ノズル340が基板ホルダ200又は基板Wに気体を噴射しているときに、液体が液体供給口334から乾燥槽320の内部の壁322の内面に供給されている。このため、ノズル340が気体を噴射したときに、基板ホルダ200又は基板Wに付着しているパーティクルが飛散したとしても、液体供給口334から供給される液体が、乾燥槽320の内部の気体と接触することにより、気体内を浮遊するパーティクルを捕えることができる。その結果、乾燥装置300では、乾燥槽320の内部へのパーティクルの付着が抑止され、乾燥槽320の内部のパーティクルによる汚染が抑止される。また、乾燥槽320の内部へのパーティクルの付着が抑止されるため、乾燥槽320の内部へ付着したパーティクルが再び飛散し、別の基板Wや基板ホルダ200に付着することも抑止される。
【0059】
また、一般に、気体に含まれるパーティクルが、壁面に付着すると、壁面にパーティクルが、蓄積してしまうおそれがある。さらに、パーティクルが壁面に強固に付着すると、付着したパーティクルを液体で洗い流すことが困難な場合がある。これに対し、乾燥装置300では、液だまりを構成する液体が、液体供給口334から溢れ出すように、乾燥槽320の内部に供給される。このとき、液体供給口334が水平方向に延びる下端部335を有しているため(図5参照)、乾燥槽320の内部に供給された液体は、ある程度の幅を持った滝のように、乾燥槽320の壁面326,328を伝いながら流れる。このため、液体は、パーティクルを含む気体が乾燥槽320の壁面326,328と接触することを抑止する。つまり、乾燥装置300は、気体に含まれるパーティクルの壁面326,328への付着及びパーティクルの壁面326,328への蓄積を抑止できる。
【0060】
また、図7は、本開示の別の実施形態に係る乾燥槽320の内部を示す断面図である。上述したように、図2に示される液体供給口334は、壁322に形成された開口である。これに対し、図7に示される液体供給口334は、壁322の内面に対向して設けられた液体供給ノズル333の噴射口である。この場合でも、液体供給口334は、壁322の内面に液体を供給でき、この内面に液膜を形成できる。そして、乾燥装置300は、乾燥槽320の内部へのパーティクルの付着を抑止でき、乾燥槽320の内部へ付着したパーティクルが再び飛散し、別の基板Wや基板ホルダ200に付着することも抑止できる。
【0061】
また、乾燥装置300は開口338を有している。このため、ノズル340が気体を噴射すると、乾燥槽320の内部の気体が開口338から外部へ排出される。したがって、仮に、ノズル340が気体を噴射するときに、パーティクルの除去が行われていない場合、より多くのパーティクルが、開口338から乾燥槽320の外部に飛散し、乾燥槽320の周囲を汚染するおそれがある。しかし、上述したように、乾燥装置300は、ノズル340が気体を噴射するときに、パーティクルの除去が行われる。その結果、開口338から乾燥槽320の外部に飛散するパーティクルの量が低減する。
【0062】
また、上述したように、乾燥装置300では、複数のノズル340は、2枚のノズル保持板420a,420bに取付けられていて、各ノズル340は、2枚のノズル保持板420a,420bの間に配置された基板ホルダ200又は基板Wに向かって気体を噴射する。このため、複数のノズル340から噴射された気体は、2枚のノズル保持板420a,420bの間を通り、ノズル保持板420a,420bの板面が広がる方向へ流れ出る。そして、流れ出た気体が向かう先には、ノズル保持板420a,420bと垂直に延びる2つの壁面326,328が位置している。この2つの壁面326,328には、それぞれ液体供給口334が形成されている。すなわち、液体が乾燥槽320に供給されている部分に、2枚のノズル保持板420a,420bの間を通り流れ出た気体が勢いよく吹き付けられる。このため、より多くの気体が液体と接触し、気体内を浮遊するより多くのパーティクルが液体により除去される。
【0063】
また、液体供給口334が、複数のノズル340よりも高い位置にある。このため、液体供給口334が複数のノズル340よりも低い位置にある場合よりも、液体は、乾燥槽320の内部のより広い範囲を移動する。その結果、より多くの気体が液体と接触することができ、気体内を浮遊するより多くのパーティクルが液体により除去される。
【0064】
また、乾燥装置300では、基板Wや基板ホルダ200に付着している液体を乾燥させるときに排気調整バルブ520が開放され、このとき以外には、排気調整バルブ520が閉鎖されている。このため、乾燥槽320の内部の気体は、必要なときにだけ第2排気口481から第2排気ダクト480に吸引され、常時膨大な気体が、乾燥槽320から排気される必要がなくなり、乾燥装置300はユーティリティの使用量を抑制できる。
【0065】
また、乾燥装置300は、基板Wを保持していない基板ホルダ200のみを乾燥させてもよい。さらに、別の実施形態では、乾燥装置300は、乾燥槽320の内部で基板Wを保持していない基板ホルダ200のみを洗浄し、その後この基板ホルダ200を乾燥させてもよく、又は、別途設けられた基板ホルダ洗浄装置で洗浄された基板ホルダ200を乾燥させてもよい。
【0066】
[付記]
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0067】
(付記1)
付記1に係る乾燥装置は、基板ホルダを乾燥させるための乾燥装置であって、前記基板ホルダを収容するための乾燥槽であって、壁及び内部の液体を排出するための排出口を有する、乾燥槽と、前記壁の内面に液体を供給するための液体供給口と、前記乾燥槽の前記内部に位置し、前記乾燥槽に収容された前記基板ホルダに気体を噴射するための複数のノズルと、前記液体供給口から前記乾燥槽の前記内部に液体を供給するための液体供給手段と、前記複数のノズルに前記気体を供給するための気体供給手段と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記液体供給口が前記壁の前記内面に液体を供給している間に、前記複数のノズルが前記基板ホルダ又は前記基板に気体を噴射するように、前記液体供給手段及び前記気体供給手段を制御する。
【0068】
乾燥槽の内部において、ノズルが基板ホルダに気体を噴射して基板ホルダを乾燥させる場合、基板ホルダや基板ホルダが保持している基板に付着しているパーティクルが、飛散して、乾燥槽の内面に付着し、乾燥槽の内部を汚染し得る。そして、汚染された乾燥槽の内部でノズルが基板ホルダを乾燥させる場合には、内面に付着したパーティクルが、再び飛散し基板ホルダや基板を汚染し得る。
【0069】
これに対し、付記1に記載の乾燥装置によれば、制御装置は、液体供給口が壁の内面に液体を供給している間に、複数のノズルが基板ホルダに気体を噴射するように、液体供給手段及び気体供給手段を制御している。つまり、複数のノズルが基板ホルダに気体を噴射しているときは、必ず液体が液体供給口から乾燥槽の内部の壁の内面に供給されている状態にある。液体は、乾燥槽の内部の気体と接触することにより、気体内を浮遊するパーティクルを捕えることができ、乾燥槽の内部が汚染されることを抑止することができる。すなわち、付記1に係る乾燥装置は、基板ホルダの乾燥時に乾燥槽の内部を浮遊するパーティクルを除去でき、乾燥槽の内面に付着したパーティクルが、再び飛散し別の基板や基板ホルダに付着することを抑止できる。
【0070】
(付記2)
付記2に係る乾燥装置は、付記1に記載の乾燥装置において、前記液体供給口は、前記壁に形成され、水平方向に延びる下端部を有し、前記液体供給手段は、前記液体供給口を覆うように、前記乾燥槽の外側に取付けられるカバー部材を備え、前記乾燥槽と前記カバー部材とに囲まれる空間が形成され、該空間に流入した液体が液だまりを構成し、該液だまりを構成する液体が前記液体供給口を通り、前記乾燥槽の前記内部に供給される。
【0071】
気体に含まれるパーティクルが、壁面に付着すると、壁面にパーティクルが、蓄積してしまうおそれがある。また、パーティクルが壁面に強固に付着すると、付着したパーティクルを液体で洗い流すことが困難な場合がある。
【0072】
これに対し、付記2に記載の乾燥装置によれば、液だまりを構成する液体が、液体供給口から溢れ出すように、乾燥槽の内部に供給される。このとき、液体供給口が水平方向に延びる下端部を有しているため、乾燥槽の内部に供給された液体は、ある程度の幅を持った滝のように、乾燥槽の壁面を伝いながら流れる。このため、液体は、パーティクルを含む気体が乾燥槽の壁面と接触することを抑止する。つまり、この乾燥装置は、気体に含まれるパーティクルの壁面への付着及びパーティクルの壁面への蓄積を抑止できる。
【0073】
(付記3)
付記3に係る乾燥装置では、付記1又は2に記載の乾燥装置において、前記乾燥槽は、前記基板ホルダを前記内部に入れるための開口を備える上面を有する。
【0074】
付記3に記載の乾燥装置では、基板ホルダは、乾燥槽の上面の開口から乾燥槽の内部に
入ることができる。ここで、乾燥装置は開口を有している場合、気体が噴射されるときに、基板ホルダ又は基板に付着していたパーティクルが、開口から飛散し、乾燥槽周辺を汚染するおそれがある。これに対し、付記3に記載の乾燥装置は、ノズルが基板ホルダに気体を噴射するときに、液体が液体供給口から乾燥槽の内部に供給されている。このため、気体が基板ホルダに噴射されているときに、乾燥槽の内部のパーティクルが液体により除去される。つまり、この乾燥装置は、開口から乾燥槽の外部に飛散するパーティクルの量を低減することができる。
【0075】
(付記4)
付記4に係る乾燥装置は、付記1から3のいずれか1つに記載の乾燥装置において、前記乾燥槽の前記内部に位置し、前記基板ホルダが配置されるための隙間を空けて互いに平行に配置されている2枚のノズル保持板をさらに備え、前記壁は、上側から見て矩形形状を形成する4つの壁面を有し、前記2枚のノズル保持板は、前記4つの壁面のうち互いに平行な2つの壁面に対して平行に配置され、前記複数のノズルの一部が前記2枚のノズル保持板のうちの一方に取付けられ、前記複数のノズルの残部が前記2枚のノズル保持板のうちの他方に取付けられ、前記4つの壁面のうちの前記ノズル保持板と垂直に延びる2つ壁面に、それぞれ前記液体供給口が形成されている。
【0076】
付記4に記載の乾燥装置では、複数のノズルから噴射された気体は、2枚のノズル保持板の間を通り、ノズル保持板の板面が広がる方向へ流れ出る。そして、流れ出た気体が向かう先には、ノズル保持板と垂直に延びる2つの壁面が位置していて、この2つの壁面には、それぞれ液体供給口が形成されている。すなわち、液体が乾燥槽に供給されている部分に、2枚のノズル保持板の間を通り流れ出た気体が勢いよく吹き付けられる。このため、より多くの気体が液体と接触し、気体内を浮遊するより多くのパーティクルが液体により除去される。
【0077】
(付記5)
付記5に係る乾燥装置では、付記1から4のいずれか1つに記載の乾燥装置において、前記液体供給口は、前記複数のノズルよりも高い位置に位置している。
【0078】
液体供給口から乾燥槽の内部に供給された液体は、重力に従い、乾燥槽の上側から下側に向かって流れる。付記5に記載の乾燥装置によれば、液体供給口が、複数のノズルよりも高い位置にあるため、液体供給口が複数のノズルよりも低い位置にある場合よりも、液体は、乾燥槽の内部のより広い範囲を移動する。このため、より多くの気体が液体と接触することができ、気体内を浮遊するより多くのパーティクルが液体により除去される。
【0079】
(付記6)
付記6に係る乾燥装置は、付記1から5のいずれか1つに記載の乾燥装置において、前記液体供給口よりも下側に位置し、前記乾燥槽の前記内部の気体を排気するための第1排気口を有する第1排気ダクトと、前記壁の前記第1排気口よりも上側に端部が固定され、前記乾燥槽の下側に向かうにつれ前記壁から離れるように傾斜する傾斜板と、をさらに備える。
【0080】
付記6に記載の乾燥装置では、第1排気口が、ノズルが噴射した気体を、排気することができる。また、傾斜板は、第1排気口に液体供給口が供給した液体が侵入することを抑止することができる。
【0081】
(付記7)
付記7に係る乾燥装置は、付記1から6のいずれか1つに記載の乾燥装置において、前記乾燥槽の前記内部を負圧にするように、前記乾燥槽の前記内部の気体を吸引するための
第2排気口を有する第2排気ダクトをさらに備える。
【0082】
一般に、気圧が下がるほど、液体は蒸発しやすい。付記7に記載の乾燥装置は、乾燥槽の内部を負圧にすることができる。このため、この乾燥装置は、基板ホルダ及び基板ホルダに保持された基板をより早く乾燥させることができる。
【0083】
(付記8)
付記8に係る乾燥装置では、付記7に記載の乾燥装置において、前記乾燥槽の前記内部が-80kPa以下になるように、前記乾燥槽の前記内部の気体が、前記第2排気口に吸引される。
【0084】
付記8に記載の乾燥装置は、乾燥槽の内部を-80kPa以下にすることができる。このため、この乾燥装置は、乾燥槽の内部を0kPaに近い負圧にしかすることができない乾燥装置よりも早く、基板ホルダ及び基板ホルダに保持された基板を乾燥させることができる。
【0085】
(付記9)
付記9に係る乾燥装置では、付記7又は8に記載の乾燥装置において、前記第2排気ダクトは、前記乾燥槽の底面を貫通して、前記乾燥槽の前記内部と流体連通する。
【0086】
排気ダクトが乾燥槽の側面を貫通して乾燥槽の内部と流体連通している場合、乾燥槽の横に排気ダクトが配置される空間が必要となり、乾燥装置のフットプリントが増加してしまう。しかし、付記9に記載の乾燥装置では、第2排気ダクトが底面を貫通しているため、乾燥槽の横に排気ダクトが配置される空間が不要となり、フットプリントが増加しない。
【0087】
(付記10)
付記10に係る乾燥装置によれば、付記9に記載の乾燥装置において、前記第2排気口は前記排出口よりも高い位置に位置し、前記第2排気口の上側に屋根を備える。
【0088】
付記10に記載の乾燥装置によれば、第2排気口は、乾燥槽の内部の液体を排出するための排出口よりも高い位置にあるために、第2排気口に液体が流入しにくい。また、第2排気口の上側に屋根があるため、第2排気口の上方から落下してきた液体も第2排気口に流入しにくい。
【0089】
(付記11)
付記11に係る乾燥装置は、付記7から10のいずれか1つに記載の乾燥装置において、前記第2排気口に吸引される気体の流量を調整するための排気調整バルブをさらに備える。
【0090】
付記11に記載の乾燥装置は、排気調整バルブが開閉されることにより、作業者は、必要なときにだけ、乾燥槽の内部の気体を第2排気口からが外部へ排気することができる。
【0091】
(付記12)
付記12に係る乾燥装置では、付記10又は11に記載の乾燥装置において、前記排出口は、前記乾燥槽の底面に形成され、且つ前記第2排気口に気体が吸引されるときに前記第2排気口に吸い寄せられる液体を排出できるような前記第2排気口に近接した位置に位置している。
【0092】
付記12に記載の乾燥装置では、気体が第2排気口から吸引されるときに乾燥槽の内部
の液体が第2排気口に吸い寄せられる。そして、第2排気口に吸い寄せられた液体を排出できるような位置に排出口が位置している。このため、液体供給口から乾燥槽の内部に供給される液体は、排出口から排出されやすく、乾燥槽の底面に液だまりができにくい。
【0093】
(付記13)
付記13に係る乾燥装置は、付記1から12のいずれか1つに記載の乾燥装置において、前記ノズルと流体連通し、前記ノズルよりも上流側に位置する気体加熱装置をさらに備える。
【0094】
付記13に記載の乾燥装置では、ノズルは、気体加熱装置により加熱された気体を、基板ホルダへ噴射できる。このため、この基板ホルダは、より早く乾燥する。
【0095】
(付記14)
付記14に係る乾燥装置は、付記1から13のいずれか1つに記載の乾燥装置において、前記乾燥槽の前記内部の気体を加熱するための加熱装置をさらに備える。
【0096】
付記14に記載の乾燥装置では、乾燥槽の内部の気体が加熱されるため、乾燥槽の内部の温度が上昇し、乾燥槽の内部の液体はより早く蒸発する。このため、この基板ホルダ回収装置は、乾燥槽に収容された基板ホルダ又は基板をより早く乾燥させることができる。
【0097】
(付記15)
付記15に係る乾燥装置は、付記1から14のいずれか1つに記載の乾燥装置において、前記液体供給口と流体連通し、前記液体供給口よりも上流側に位置する液体加熱装置をさらに備える。
【0098】
付記15に記載の乾燥装置では、液体供給口から液体を加熱された液体が乾燥槽の内部に供給される。このため、乾燥槽の内部の温度が上昇し、乾燥槽の内部の基板又は基板ホルダに付着している液体はより早く蒸発する。すなわち、この乾燥装置は、乾燥槽に収容された基板ホルダ又は基板をより早く乾燥させることができる。
【0099】
(付記16)
付記16に係る基板処理装置は、付記1から15のいずれか1つに記載された乾燥装置を備える。
【0100】
付記16に記載の基板処理装置は、乾燥装置を使用して、基板ホルダを乾燥させることができる。また、この乾燥装置は、上述したように基板ホルダの乾燥時に気体内を浮遊するパーティクルを除去することができる。
【0101】
(付記17)
付記17に係る基板処理装置は、付記6及び付記7に従属する付記16に記載の基板処理装置において、めっき液を保持するためのめっき槽を備え、前記第1排気ダクトは、複数の気体吸引口を有し、前記複数の気体吸引口から、前記基板処理装置の周囲の気体が吸引される。
【0102】
基板処理装置で処理が行われると、パーティクルが発生し、当該パーティクルが飛散し得る。また、めっき槽のめっき液が気化したガスには、様々な成分が含まれているため、大気中に拡散することは好ましくない。
【0103】
付記17に記載の基板処理装置では、複数の気体吸引口から基板処理装置の周囲の空気が吸引される。すなわち、複数の気体吸引口から、パーティクル及びめっき液が気化した
ガスが吸引される。その結果、この基板処理装置は、パーティクルの飛散及びめっき液が気化したガスの大気中への拡散を低減することができる。
【0104】
(付記18)
付記18に係る基板処理装置では、付記17に記載の基板処理装置において、前記第2排気ダクトは、前記第2排気口よりも下流側で前記第1排気ダクトと流体連通していない。
【0105】
第2排気ダクトの第2排気口は、乾燥槽の内部を負圧にして、乾燥槽の内部を液体が蒸発しやすい環境にするために、乾燥槽の内部の気体を吸引している。また、乾燥槽には、ノズルから気体が供給されている。このため、比較的多量の気体が、第2排気口から単位時間あたりに吸引される必要がある。これに対し、気体吸引口は、パーティクル及びめっき液が気化したガスを吸引するための開口である。このため、単位時間あたりに気体吸引口から吸引される気体は、第2排気口から吸引される気体ほど多量である必要がなく、場合によっては、気体吸引口から吸引される気体の量と第2排気口から吸引される気体の量が著しく異なる場合がある。
【0106】
ここで、ダクトの各開口から吸引される気体の量が著しく異なる場合、各開口の気体の吸引量を調整することは一般的に困難である。このため、仮に第2排気ダクトが第2排気口よりも下流側で第1排気ダクトと流体連通している場合、第2排気口から吸引される気体の量と、気体吸引口から吸引される気体の量と、をそれぞれ別々に調整することが困難であり、各開口から意図した流量で気体が吸引されない場合がある。しかし、付記18に記載の基板処理装置では、第2排気ダクトは、第2排気口よりも下流側で第1排気ダクトと流体連通していない。このため、この基板処理装置は、第2排気口及び気体吸引口に、意図した流量で気体を吸引させることができる。
【0107】
(付記19)
付記19に係る基板ホルダの乾燥方法は、基板ホルダの乾燥方法であって、複数のノズルが、乾燥槽に収容された基板ホルダに気体を噴射する噴射工程と、液体供給口から、前記乾燥槽の内部の前記壁の内面に液体が供給される液体供給工程と、を有し、前記液体供給工程が行われている間に、前記噴射工程が行われる。
【0108】
付記19に記載の基板ホルダの乾燥方法によれば、液体供給工程が行われている間に、噴射工程が行われる。つまり、複数のノズルが基板ホルダに気体を噴射しているときは、必ず液体供給口から乾燥槽の内部の壁の内面に液体が供給されている状態にある。液体は、乾燥槽の内部の気体と接触することにより、気体内を浮遊するパーティクルを捕えることができ、乾燥槽の内部が汚染されることを抑止することができる。すなわち、付記19に係る基板ホルダの乾燥方法は、基板ホルダの乾燥時に乾燥槽の内部を浮遊するパーティクルを除去でき、乾燥槽の内面に付着したパーティクルが、再び飛散し別の基板や基板ホルダに付着することを抑止できる。
【0109】
以上、本発明に係る幾つかの実施形態のみを説明したが、本発明の新規の教示や利点から実質的に外れることなく例示の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には容易に理解できるであろう。従って、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含むことを意図する。また、上記実施形態を任意に組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0110】
100:めっき装置
162:めっき槽
200:基板ホルダ
300:乾燥装置
310:気体供給手段
312:液体供給手段
320:乾燥槽
322:壁
324:底面
326,328,330,332:壁面
334:液体供給口
335:下端部
336:排出口
337:上面
338:開口
340:ノズル
350:液体調整バルブ
360:気体調整バルブ
380:制御装置
400:カバー部材
401:空間
420a,420b:ノズル保持板
422:壁
440a,440b:第1排気ダクト
441a,441b:第1排気口
442a,442b:気体吸引口
460:傾斜板
461:端部
480:第2排気ダクト
481:第2排気口
500:屋根
520:排気調整バルブ
540:気体加熱装置
560:加熱装置
580:液体加熱装置
W:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7