(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】確率的レチクル欠陥処理
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2021559425
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020026971
(87)【国際公開番号】W WO2020210177
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プレイル モシェ イー
(72)【発明者】
【氏名】ビアフォア ジョン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーリオ プレット アレックス
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-296592(JP,A)
【文献】特開2005-258080(JP,A)
【文献】特表2009-508167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 1/00~1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリに記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含むコントローラであって、前記1組のプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサに、
製品レチクルの製品計測データを取得することであって、前記製品レチクルが、1つ以上の製品試料に要素パターンを印刷するために使用されるように構成される、取得することと、
前記製品レチクルの前記製品計測データに基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、前記要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成することと、
前記製品レチクルによる前記要素パターンの前記印刷プロセスをモデル化する前記製品レチクルの製品モデルを生成することと、
前記製品モデルと参照モデルの1つ以上の差異を識別すること
であり、前記参照モデルは、参照試料から計測サブシステムにより取得された参照計測データ、またはシミュレートされた参照試料から取得されたシミュレートされた計測データに基づいて作成され、
識別された前記1つ以上の差異に基づき、前記1つ以上の製品試料上に確率的欠陥を印刷する可能性のある、前記製品レチクルの注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアのうちの一方を識別することと、
前記製品レチクルの注意エリア、または前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアの少なくとも1つに基づき、1つ以上のプロセスツールの1つ以上の特性を調整することと
を実行させるように構成される、コントローラを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラが、前記1つ以上の差異に基づき、
1つ以上の参照試料に印刷される前記要素パターンの参照計測データを取得すること、
および
前記参照計測データに基づいて、前記要素パターンの前記参照モデルを生成すること、
によって、前記1つ以上の製品試料上に確率的欠陥を印刷する可能性のある、前記製品レチクルの前記注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の前記注意エリアのうちの一方を識別するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、1つ以上の参照試料に印刷される前記要素パターンの前記参照計測データの前記取得が、
参照レチクルの1つ以上の測定値を取得することと、
前記参照レチクルの前記1つ以上の測定値に基づいて前記印刷プロセスの前記1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、前記1つ以上のシミュレートされた参照試料を生成することと、
前記1つ以上のシミュレートされた参照試料のシミュレートされた計測データを取得することと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記参照モデルが、前記シミュレートされた計測データに基づいて生成されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムであって、1つ以上の参照試料に印刷される前記要素パターンの前記参照計測データの前記取得が、
リソグラフィサブシステムに、参照レチクルを用いて前記1つ以上の参照試料に前記要素パターンを印刷させることと、
前記1つ以上の参照試料上の前記要素パターンの1つ以上の測定値を取得することと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記印刷プロセスの前記1つ以上の確率的シミュレーションが、前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の前記要素パターンの製造をシミュレートするように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記1つ以上の確率的シミュレーションが前記印刷プロセスのモンテカルロシミュレーションを含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記製品レチクルによる前記要素パターンの前記印刷プロセスをモデル化する前記製品レチクルの前記製品モデルの生成が、
前記1つ以上のシミュレートされた製品試料のシミュレートされた計測データを取得することと、
前記シミュレートされた計測データに基づいて前記製品モデルを生成することと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記製品レチクルの1つ以上の光学画像または前記製品レチクルの1つ以上の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を取得するように計測サブシステムに指示すること、
前記計測サブシステムから前記1つ以上の取得された画像を受け取ること、および
前記1つ以上の取得された画像に基づいて前記製品計測データを生成すること
によって、前記製品レチクルの前記製品計測データを取得するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記製品レチクルの設計データを検索すること、および
前記製品レチクルの前記設計データに基づいて、前記製品レチクルの前記製品計測データを取得すること
によって、前記製品レチクルの前記製品計測データを取得するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記製品レチクルの前記注意エリアまたは前記1つ以上のシミュレートされた製品試料の前記注意エリアに基づいて、前記確率的欠陥の頻度を判定するようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記確率的欠陥の前記頻度に基づいて、前記製品レチクルに関連するレチクル処理評価を報告するようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記レチクル処理評価が合格評価または不合格評価を含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記製品レチクルの前記注意エリアまたは前記1つ以上のシミュレートされた製品試料の前記注意エリアのうちの少なくとも一方に基づいて、前記1つ以上のプロセスツールの前記1つ以上の特性を選択的に調整するように構成された1つ以上の制御信号を生成するようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項15】
メモリに記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含むコントローラであって、前記1組のプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサに、
1つ以上の参照試料に印刷される要素パターンの参照計測データを
計測サブシステムから直接取得し、またはシミュレートされた参照試料からシミュレートして取得することと、
前記参照計測データに基づいて、前記要素パターンの参照モデルを生成することと、
製品レチクルの製品計測データを取得することであって、前記製品レチクルが、1つ以上の製品試料に前記要素パターンを印刷するために使用されるように構成される、取得することと、
前記製品レチクルの前記製品計測データに基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、前記要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成することと、
前記製品レチクルによる前記要素パターンの前記印刷プロセスをモデル化する前記製品レチクルの製品モデルを生成することと、
前記製品モデルと前記参照モデルとの間の1つ以上の差異を識別することと、
前記1つ以上の識別された差異に基づいて、前記1つ以上の製品試料に確率的欠陥を印刷する可能性がある、前記製品レチクルの注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアのうちの一方を識別することと、
前記製品レチクルの注意エリア、または前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアの少なくとも1つに基づき、1つ以上のプロセスツールの1つ以上の特性を調整することと
を実行させるように構成される、コントローラを備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記1つ以上の参照試料に印刷される前記要素パターンの前記参照計測データの取得が、
参照レチクルの1つ以上の測定値を取得することと、
前記参照レチクルの前記1つ以上の測定値に基づいて前記印刷プロセスの前記1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、1つ以上のシミュレートされた参照試料を生成することと、
前記1つ以上のシミュレートされた参照試料のシミュレートされた計測データを取得することと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、前記参照モデルが、前記シミュレートされた計測データに基づいて生成されることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムであって、前記1つ以上の参照試料に印刷される前記要素パターンの前記参照計測データの取得が、
前記1つ以上のプロセスツールに、参照レチクルを用いて前記1つ以上の参照試料に前記要素パターンを印刷させることと、
前記1つ以上の参照試料上の前記要素パターンの1つ以上の測定値を取得することと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムであって、前記製品レチクルによる前記要素パターンの前記印刷プロセスをモデル化する前記製品レチクルの前記製品モデルの生成が、
前記1つ以上のシミュレートされた製品試料のシミュレートされた計測データを取得することと、
前記シミュレートされた計測データに基づいて前記製品モデルを生成することと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムであって、前記1つ以上の確率的シミュレーションが前記印刷プロセスのモンテカルロシミュレーションを含むことを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項15に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記製品レチクルの1つ以上の光学画像または前記製品レチクルの1つ以上の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を取得するように計測サブシステムに指示すること、
前記計測サブシステムから前記1つ以上の取得された画像を受け取ること、および
前記1つ以上の取得された画像に基づいて前記製品計測データを生成すること
によって、前記製品レチクルの前記製品計測データを取得するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項15に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記製品レチクルの設計データを検索すること、および
前記製品レチクルの前記設計データに基づいて、前記製品レチクルの前記製品計測データを取得すること
によって、前記製品レチクルの前記製品計測データを取得するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項15に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記製品レチクルの前記注意エリアまたは前記1つ以上のシミュレートされた製品試料の前記注意エリアに基づいて、前記確率的欠陥の頻度を判定するようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記確率的欠陥の前記頻度に基づいて、前記製品レチクルに関連するレチクル処理評価を報告するようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムであって、前記レチクル処理評価が合格評価または不合格評価を含むことを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項15に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記製品レチクルの前記注意エリアまたは前記1つ以上のシミュレートされた製品試料の前記注意エリアのうちの少なくとも一方に基づいて、前記1つ以上のプロセスツールの前記1つ以上の特性を選択的に調整するように構成された1つ以上の制御信号を生成するようにさらに構成されるように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項27】
確率的欠陥を識別するための方法であって、
製品レチクルの製品計測データを取得するステップであって、前記製品レチクルが、1つ以上の製品試料に要素パターンを印刷するために使用されるように構成される、取得するステップと、
前記製品レチクルの前記製品計測データに基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、前記要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成するステップと、
前記製品レチクルによる前記要素パターンの前記印刷プロセスをモデル化する前記製品レチクルの製品モデルを生成するステップと、
前記製品モデルと参照モデルの1つ以上の差異を識別すること
であり、前記参照モデルは、参照試料から計測サブシステムにより取得された参照計測データ、またはシミュレートされた参照試料から取得されたシミュレートされた計測データに基づいて作成され、
前記1つ以上の差異に基づき、前記1つ以上の製品試料上に前記確率的欠陥を印刷する可能性のある、前記製品レチクルの注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアのうちの一方を識別するステップと、
前記製品レチクルの注意エリア、または前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアの少なくとも1つに基づき、1つ以上のプロセスツールの1つ以上の特性を調整することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
確率的欠陥を特定するための方法であって、
1つ以上の参照試料に印刷される要素パターンの参照計測データを
計測サブシステムから直接取得し、またはシミュレートされた参照試料からシミュレートして取得するステップと、
前記参照計測データに基づいて、前記要素パターンの参照モデルを生成するステップと、
製品レチクルの製品計測データを取得するステップであって、前記製品レチクルが、1つ以上の製品試料に前記要素パターンを印刷するために使用されるように構成される、取得するステップと、
前記製品レチクルの前記製品計測データに基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、前記要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成するステップと、
前記製品レチクルによる前記要素パターンの前記印刷プロセスをモデル化する前記製品レチクルの製品モデルを生成するステップと、
前記製品モデルと前記参照モデルとの間の1つ以上の差異を識別するステップと、
前記1つ以上の識別された差異に基づいて、前記1つ以上のシミュレートされた製品試料に前記確率的欠陥を印刷する可能性がある、前記製品レチクルの注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、前記1つ以上の製品試料上の注意エリアのうちの一方を識別するステップと、
前記製品レチクルの注意エリア、または前記1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアの少なくとも1つに基づき、1つ以上のプロセスツールの1つ以上の特性を調整することと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、標本の特徴付けシステムに関し、より詳細には、標本の確率的変動を識別するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、Moshe Preil、John J.Biafore、およびAlex Vaglio-Pretを発明者とする2019年4月9日出願のSTOCHASTIC RETICLE DEFECT DISPOSITIONINGと題する米国仮出願第62/831,524号を米国特許法第119条(e)の下で優先権主張するものであり、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
従来のレチクル欠陥処理プロセスは、通常、極めて単純である。レチクルで検出された欠陥が既知の閾値サイズまたは限界寸法(CD:critical dimension)誤差を超えている場合、その欠陥はすべてのウェハのすべてのフィールドに印刷されることがわかっている。このような欠陥があると、レチクルは却下されることになる。逆に、欠陥が閾値サイズまたはCD誤差を下回った場合、欠陥は、すべてのウェハに印刷されるわけではなく、したがって、従来のレチクル処理プロセスに従って安全に除外され得る。一定の安全マージンを可能にするために、閾値サイズまたはCD誤差に近い限られた数の欠陥は却下され得るが、従来のレチクル欠陥処理プロセスは、通常、明確な合格/不合格の判定にまとめられる。
【0004】
しかしながら、波長が短くなる照明源(例えば、極端紫外線(EUV)照明源)の使用が増えると、レチクル処理におけるこの単純な合格/不合格の判定が複雑になる。リソグラフィシステムにおける照明源の波長が短くなると、製造中にランダムにまたは一定の確率で発生する欠陥の発生として説明され得る確率的欠陥性が増加する可能性がある。この短波長照明源による確率的欠陥の可能性の増加は、光子エネルギーの増加、試料に入射する光子数の減少、これらの光子の吸収の確率的変動、およびレジスト内の光化学反応の離散的性質を含む、様々な要因に関連し得る。波長が短いことにより確率的欠陥性が増加すると、レチクルのすべての製造仕様を完全に満たすレチクル上の所定のパターンでも、小さいながらもゼロでない時間の割合で試料に欠陥を印刷する可能性がある。これらの試料の欠陥は、レチクルの欠陥として特徴付けられることはできないが、試料上にパターンを製造する際の確率的な外れ値として単純に特徴付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確率的欠陥性が増加すると、従来のレチクル欠陥処理プロセス(例えば、「合格/不合格」のレチクル処理プロセス)は、レチクルを正確に処理して確率的欠陥を説明するには不十分となる。したがって、当技術では、上記で特定された以前の手法の欠点のうちの1つ以上を克服するシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
確率的レチクル欠陥処理のためのシステムが開示される。実施形態において、システムは、メモリに記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含むコントローラであって、1組のプログラム命令が、1つ以上のプロセッサに、製品レチクルの製品計測データを取得することであって、製品レチクルが、1つ以上の製品試料に要素パターンを印刷するために使用されるように構成される、取得することと、製品レチクルの製品計測データに基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成することと、製品レチクルによる要素パターンの印刷プロセスをモデル化する製品レチクルの製品モデルを生成することと、製品モデルに基づいて、製品試料上に確率的欠陥を印刷する可能性のある、製品レチクルの注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアのうちの一方を識別することとを実行させるように構成される、コントローラを備える。
【0008】
確率的レチクル欠陥処理のためのシステムが開示される。実施形態において、システムは、メモリに記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含むコントローラであって、1組のプログラム命令が、1つ以上のプロセッサに、1つ以上の参照試料に印刷される要素パターンの参照計測データを取得することと、参照計測データに基づいて、要素パターンの参照モデルを生成することと、製品レチクルの製品計測データを取得することであって、製品レチクルが、1つ以上の製品試料に要素パターンを印刷するために使用されるように構成される、取得することと、製品レチクルの製品計測データに基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成することと、製品レチクルによる要素パターンの印刷プロセスをモデル化する製品レチクルの製品モデルを生成することと、製品モデルと参照モデルとの間の1つ以上の差異を識別することと、1つ以上の識別された差異に基づいて、1つ以上の製品試料に確率的欠陥を印刷する可能性がある、製品レチクルの注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、1つ以上の製品試料上の注意エリアのうちの一方を識別することを実行させるように構成される、コントローラを備える。
【0009】
確率的欠陥を特定するための方法が開示される。実施形態において、方法は、製品レチクルの製品計測データを取得するステップであって、製品レチクルが、1つ以上の製品試料に要素パターンを印刷するために使用されるように構成される、取得するステップと、製品レチクルの製品計測データに基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成するステップと、製品レチクルによる要素パターンの印刷プロセスをモデル化する製品レチクルの製品モデルを生成するステップと、製品試料上に確率的欠陥を印刷する可能性のある、製品レチクルの注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアのうちの一方を識別するステップを含む。
【0010】
前述の概略的な説明と以下の詳細な説明はともに、例示的で、説明上のものにすぎず、特許請求する本発明を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示しており、概略的な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0011】
以下の添付の図を参照することにより、本開示の多くの利点が当業者によってよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、標本を特徴付けるためのシステムの簡略ブロック図である。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、リソグラフィサブシステムの簡略ブロック図である。
【
図3A】本開示の1つ以上の実施形態による、標本を特徴付けるためのシステムの計測サブシステムの簡略ブロック図である。
【
図3B】本開示の1つ以上の実施形態による、標本を特徴付けるためのシステムの計測サブシステムの簡略ブロック図である。
【
図4A】本開示の1つ以上の実施形態による、標本上の確率的欠陥を識別するための方法の流れ図である。
【
図4B】本開示の1つ以上の実施形態による、標本上の確率的欠陥を識別するための方法の流れ図である。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、試料の接触孔間の確率的変動を示す画像である。
【
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、試料上に製造された接触孔が開口に失敗する正規確率分布を示すグラフである。
【
図7】本開示の1つ以上の実施形態による、試料上に製造された接触孔が開口に失敗する確率をガウス分布として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付図面に示される開示の主題について詳細に説明する。本開示は特に、一定の実施形態およびその特定の特徴に関して示され、説明されている。本明細書に記載の実施形態は、限定的ではなく例示的であると解釈される。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく形式および細部に様々な変更および変形を加えることができることは、当業者には容易に明らかであるはずである。
【0014】
波長が短くなる照明源(例えば、リソグラフィシステム照明源)の使用は、製造中にランダムにまたは一定の確率で発生する欠陥の発生として説明され得る確率的欠陥性を増加させることが見出されている。この短波長照明源による確率的欠陥の可能性の増加は、光子エネルギーの増加、試料に入射する光子数の減少、これらの光子の吸収の確率的変動、およびレジスト内の光化学反応の離散的性質を含む、様々な要因に関連し得る。波長が短いことにより確率的欠陥性が増加すると、レチクルのすべての製造仕様を完全に満たすレチクル上の所定のパターンでも、小さいながらもゼロでない時間の割合で試料に欠陥を印刷する可能性がある。これらの試料の欠陥は、レチクルの欠陥として特徴付けられることはできないが、試料上にパターンを製造する際の確率的な外れ値として単純に特徴付けられる。
【0015】
例えば、試料上に複数の接触孔を印刷するために使用されるレチクルについて考える。例えば、
図5は、本開示の1つ以上の実施形態による、試料124の接触孔502a~502n間の確率的変動を示す画像500である。この例では、レチクルは、「繰り返しの欠陥」と見なされるようなすべての試料124に印刷するほどの大きい欠陥ではないが、確率的失敗の割合に大きな影響を与え得る欠陥を示すことがある。したがって、欠陥は、レチクルを却下するほど重大ではない可能性があるが、それでもなお、ゼロでない時間の割合で試料124上に確率的欠陥を印刷することになる。例えば、
図5に示すように、印刷プロセスで使用されるレチクルは、試料124上に要素パターン(例えば、接触孔502a~502n)を製造するように構成され得る。理想的には、試料124に印刷される接触孔502a~502nは同一であり得る。しかしながら、接触孔502a~502nを印刷するために使用されるレチクルにおける小さい「欠陥」は、接触孔502a~502nの大きさ(例えば、限界寸法(CD))および形状の変動に見られるように、接触孔502a~502nに確率的変動/確率的欠陥をもたらす可能性がある。従来のレチクル処理技法では、レチクルによって印刷された接触孔のCD分布のテールのはるか遠くにある欠陥パターンに対するこのような確率的変動の影響を正確に特徴付けること、識別すること、または処理することが不可能である。したがって、従来のレチクル欠陥処理プロセス(例えば、「合格/不合格」のレチクル処理プロセス)は、レチクルを正確に処理して確率的欠陥を説明するには不十分であることが見出された。
【0016】
したがって、本開示の実施形態は、上記で特定された以前の手法の欠点のうちの1つ以上を克服するシステムおよび方法を対象とする。本開示の実施形態は、レチクルおよび/またはレチクルによって印刷された試料内の確率的変動/欠陥を識別するためのシステムを対象とする。より具体的には、本開示の実施形態は、レチクルの計測データに基づいてレチクルの確率的欠陥性をモデル化するためのシステムおよび方法を対象とする。本開示の追加の実施形態は、試料の全体的な歩留まりに対する確率的変動の影響を定量化するために、レチクルの印刷プロセスの多数の繰り返しをシミュレートするように構成されたシステムを対象とする。本明細書では、本開示の実施形態が、確率的変動をより効率的に確実に定量化することができる、より微妙なレチクル処理を可能にし得ると企図される。
【0017】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による、標本を特徴付けるためのシステム100の簡略ブロック図である。具体的には、
図1Aは、レチクルおよび/またはレチクルによって製造された試料の確率的変動/欠陥を識別するためのシステム100を示す。システム100は、1つ以上のリソグラフィサブシステム102および1つ以上の計測サブシステム104を含み得るが、これらに限定されない。システム100は、1つ以上のプロセッサ108と、メモリ110と、ユーザインターフェース112とを含むコントローラ106をさらに含み得る。
【0018】
一実施形態において、システム100は、試料上に1つ以上のパターン(例えば、デバイスパターン、計測パターンなど)をリソグラフィにより印刷するためのリソグラフィサブシステム102を含む。リソグラフィサブシステム102は、スキャナまたはステッパを含むがこれらに限定されない、当技術で知られている任意のリソグラフィ印刷ツールを含み得る。実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、試料上に要素の構造および他のパターンを印刷するために、1つ以上のレチクルを利用し得る。
【0019】
別の実施形態において、システム100は、標本を特徴付けるように構成された計測サブシステム104を含む。本開示の目的のために、「標本」という用語は、計測サブシステム104によって特徴付け/測定され得る任意のレチクル、試料、ウェハ、または他の物体を指すために使用され得る。例えば、計測サブシステム104は、レチクルの特徴/構造を測定して特徴付けるためにリソグラフィサブシステム102によって使用されるレチクルの画像(例えば、リソグラフィサブシステム102によって試料上に露光されるデバイス要素パターンを含むパターンマスク)を取得するように構成され得る。これに関して、計測サブシステム104は、確率的欠陥を印刷する可能性がある、レチクルの1つ以上の部分を測定し得る。別の例として、計測サブシステム104は、試料上に印刷された要素パターンを測定して特徴付けるために、レチクル/リソグラフィサブシステム102によって製造された試料の画像を取得するように構成され得る。これに関して、計測サブシステム104は、確率的欠陥の影響を受けやすい、試料上に印刷された要素パターンを測定し得る。
【0020】
一般的な意味では、計測サブシステム104は、重ね合せ誤差、パターン配置誤差、限界寸法(CD)、試料特徴の寸法、側壁の角度、線縁の粗さ、パターン配置誤差(PPE)、エッジ配置誤差(EPE)、ブリッジ、線状パターンにおけるマイクロブレーク、チップ間の線端の結合などを含むがこれらに限定されない任意の計測メトリックを測定し得る。計測サブシステム104は、当技術で知られている任意の方法を使用して計測メトリックを測定するように構成され得る。一実施形態において、計測サブシステム104は、標本(例えば、レチクル、試料など)の1つ以上の画像の生成に基づいて計測データを測定するための画像ベースの計測ツールを含む。別の実施形態において、計測サブシステム104は、試料からの光の散乱(反射、回折、散漫散乱など)に基づいて計測データを測定するための光波散乱計測ベースの計測システムを含む。
【0021】
別の実施形態において、システム100は、リソグラフィサブシステム102および/または計測サブシステム104に通信可能に結合されたコントローラ106を含む。コントローラ106は、コントローラ106に通信可能に結合されたユーザインターフェース112を含み得、ユーザインターフェース112は、システム100のデータをユーザに表示するように、および/またはユーザから入力コマンドを受信するように構成される。別の実施形態において、コントローラ106は、メモリ110上に保持されるプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ108を含み、プログラム命令は、1つ以上のプロセッサ108に本開示の様々なステップ/機能を実行させるように構成される。これに関して、コントローラ106の1つ以上のプロセッサ108は、本開示全体を通して記載される様々なプロセスステップのいずれかを実行し得る。
【0022】
図2は、本開示の1つ以上の実施形態による、リソグラフィサブシステムの簡略ブロック図である。一実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、1つ以上の照明ビーム114を生成するように構成されたリソグラフィ照明源113を含む。1つ以上の照明ビーム114は、紫外線(UV)放射、極紫外線(EUV)放射、可視放射、赤外線(IR)放射などを含むがこれらに限定されない1つ以上の選択された波長の光を含み得る。
【0023】
リソグラフィ照明源113は、照明ビーム114を生成するのに適した当技術で知られている任意のタイプの照明源を含み得る。例えば、リソグラフィ照明源113には、1つ以上のレーザシステム(例えば、ガスレーザ、ダイオードレーザ、自由電子レーザ、ファイバレーザ、ディスクレーザなど)が含まれ得る。別の例として、リソグラフィ照明源113は、1つ以上のランプシステム(例えば、アークランプなど)を含み得る。別の例として、リソグラフィ照明源113は、プラズマ照明源(例えば、レーザパルスプラズマ(LPP)源、放電励起プラズマ(DPP)源、レーザ持続プラズマ(LSP)源など)を含む。
【0024】
リソグラフィ照明源113は、フィルタ、偏光子、波長板、または拡散器などであるがこれらに限定されない、照明ビーム114の1つ以上の態様を操作するのに適した任意の数の光学要素をさらに含み得る。
【0025】
リソグラフィ照明源113からの照明は、任意の空間分布(例えば、照明パターン)を有し得る。例えば、リソグラフィ照明源113には、単極照明源、双極照明源、C-Quad照明源、Quasar照明源、または自由形状の照明源が含まれ得る、これらに限定されない。これに関して、リソグラフィ照明源113は、照明が光軸116に沿って(または平行に)伝播する軸上照明ビーム114、および/または照明が光軸116に対してある角度で伝播する任意の数の軸外照明ビーム114を生成し得る。
【0026】
別の実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、マスク支持デバイス118を含む。マスク支持デバイス118は、試料の製造中に露光される要素パターンを含むパターンマスク120(例えば、レチクル120)を固定するように構成される。別の実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、レチクル120の画像に対応する印刷済みパターン要素を生成するために、1つ以上の照明ビーム114によって照射されたレチクル120の画像を試料台126上に配置されたリソグラフィ試料124上に投影するように構成された1組の投影光学系122を含む。別の実施形態において、マスク支持デバイス118は、レチクル120を作動または配置するように構成され得る。例えば、マスク支持デバイス118は、システム100の投影光学系122に対して選択された位置にレチクル120を作動させることができる。
【0027】
「リソグラフィ試料」または「試料」という用語は、本開示全体を通して使用される場合、一般に、半導体材料または非半導体材料(例えば、ウェハなど)で形成された基板を指す。例えば、半導体材料または非半導体材料は、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、およびリン化インジウムを含み得るが、これらに限定されない。本開示の目的のために、「リソグラフィ試料」、「試料」、および「ウェハ」という用語は、交換可能であると解釈されるべきである。
【0028】
試料124は、レチクル120の画像を受け取るのに適した任意の数の感光性の材料および/または材料層を含み得る。例えば、試料124は、レジスト層128を含み得る。これに関して、1組の投影光学系122は、レチクル120の画像をレジスト層128上に投影してレジスト層128を露光することができ、その後のエッチングステップは、試料124に印刷された特徴を提供するために、露光された材料を除去し得るか(例えば、ポジティブエッチング)、または露光されていない材料を除去し得る(例えば、ネガティブエッチング)。さらに、レチクル120は、当技術で知られている任意の画像化構成で利用され得る。例えば、レチクル120は、パターン要素が印刷済みパターン要素としてポジティブに画像化される、ポジティブマスク(例えば、明視野マスク)であり得る。別の例として、レチクル120は、レチクル120のパターン要素がネガティブな印刷済みパターン要素(例えば、ギャップ、スペースなど)を形成する、ネガティブマスク(例えば、暗視野マスク)であり得る。
【0029】
コントローラ106は、リソグラフィサブシステム102内の任意の数の要素に通信可能に結合され得る。例えば、コントローラ106は、マスク支持デバイス118、リソグラフィ照明源113、および/または試料台126に通信可能に結合されて、レチクル120上のパターン要素の露光を試料124(例えば、試料上のレジスト層128など)に方向付け得る。これに関して、リソグラフィサブシステム102内の露光量、レチクル120の焦点位置、試料124などの露光条件は、調整され得る。
【0030】
図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、計測サブシステム104の簡略ブロック図である。具体的には、
図3Aは、光学計測サブシステム102aを含むシステム100を示す。
【0031】
一実施形態において、計測サブシステム104は、計測照明ビーム132を生成するための計測照明源130を含む。別の実施形態において、計測照明源130は、リソグラフィ照明源113と同じである。さらなる実施形態において、計測照明源130は、別個の計測照明ビーム132を生成するように構成された別個の照明源である。計測照明ビーム132は、紫外線(UV)放射、極紫外線(EUV)放射、可視放射、赤外線(IR)放射などを含むがこれらに限定されない1つ以上の選択された波長の光を含み得る。
【0032】
別の実施形態において、計測照明源130は、計測照明ビーム132を、照明経路134を経由して計測標本125に方向付ける。「計測標本125」という用語は、本開示全体を通して使用される場合、一般に、計測サブシステム104によって検査される対象を指す。例えば、計測標本125は、レチクル120、試料124などを含み得るが、これらに限定されない。これに関して、計測サブシステム104は、レチクル検査サブシステムおよび/またはウェハ検査サブシステムとして動作し得る。
【0033】
照明経路134は、計測照明ビーム132を修正および/または調整するのに適した、1つ以上のレンズまたは追加の光学構成要素138を含み得る。例えば、1つ以上の光学構成要素138には、偏光子、フィルタ、ビームスプリッタ、拡散器、ホモジナイザ、アポダイザ、ビームシェイパなどが含まれ得るが、これらに限定されない。別の実施形態において、計測サブシステム104は、計測照明ビーム132を計測標本125に集束させるための対物レンズ140を含む。
【0034】
別の実施形態において、計測サブシステム104は、収集経路144を介して計測標本125から発する放射線を捕捉するように構成された検出器142を含む。例えば、検出器142は、収集経路144内の要素(例えば、対物レンズ140、レンズ146など)によって提供される、試料124および/またはレチクル120の1つ以上の画像を受け取るように構成され得る。検出器142は、計測標本125から(例えば、鏡面反射、拡散反射などを介して)反射または散乱された放射線、計測標本125によって生成された放射線(例えば、計測照明ビーム132の吸収に関連する発光など)などを受け取り得る。別の例として、検出器142は、計測標本125から1つ以上の回折次数(例えば、0次回折、±1次回折、±2次回折など)の放射線を受け取り得る。
【0035】
検出器142は、計測標本125から受け取った照明を測定するのに適した、当技術で知られている任意のタイプの光学検出器を含み得る。例えば、検出器142には、電荷結合素子(CDD:charge-coupled device)検出器、時間遅延積分(TDI:time delay integration)検出器、光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)、アバランシェフォトダイオード(APD)などが含まれ得るが、これらに限定されない。別の実施形態において、検出器142は、計測標本125から発する放射線の波長を識別するのに適した分光検出器を含み得る。別の実施形態において、計測サブシステム104は、(例えば、計測サブシステム104による複数の計測測定(例えば、複数の計測ツール)を容易にするために1つ以上のビームスプリッタによって生成される複数のビーム経路に関連付けられた複数の検出器142を含み得る。
【0036】
収集経路144は、1つ以上のレンズ146、1つ以上のフィルタ、1つ以上の偏光子、または1つ以上のビームブロックを含むがこれらに限定されない、対物レンズ140によって収集される照明を方向付けおよび/または修正するための任意の数の光学要素をさらに含み得る。
【0037】
一実施形態において、
図1Cに示すように、計測サブシステム104は、対物レンズ140が計測照明ビーム132を計測標本125に方向付けるとともに計測標本125から発する放射線を収集することができるように配向された、ビームスプリッタ148を含み得る。これに関して、計測サブシステム104は、落射照明モードで構成され得る。別の実施形態において、計測照明ビーム132の計測標本125に対する入射角は調整可能である。例えば、ビームスプリッタ148および対物レンズ140を通る計測照明ビーム132の経路は、計測照明ビーム132の計測標本125に対する入射角を制御するように調整され得る。これに関して、計測照明ビーム132は、計測照明ビーム132が計測標本125に対して垂直入射角を有するような、ビームスプリッタ148および対物レンズ140を通る公称経路を有し得る。さらに、計測照明ビーム132の計測標本125に対する入射角は、(例えば、回転可能なミラー、空間光変調器、自由形状の照明源などによって)計測照明ビーム132のビームスプリッタ148に対する位置および/または角度を変更することによって制御され得る。別の実施形態において、計測照明源130は、1つ以上の計測照明ビーム132をある角度(例えば、視射角、45度の角度など)で計測標本125に方向付ける。
【0038】
図3Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、計測サブシステムの簡略ブロック図である。具体的には、
図3Bは、SEM計測サブシステム104bを含むシステム100を示す。
【0039】
一実施形態において、SEM計測サブシステム104bは、計測標本125に対して1つ以上の測定を実行するように構成される。これに関して、SEM計測サブシステム104bは、計測標本125の1つ以上の画像を取得するように構成され得る。SEM計測サブシステム104bは、電子ビーム源150と、1つ以上の電子光学要素152と、1つ以上の電子光学要素154と、1つ以上の電子センサ158を含む電子検出器アセンブリ156とを含み得るが、これらに限定されない。
【0040】
一実施形態において、電子ビーム源150は、1つ以上の電子ビーム151を計測標本125(例えば、レチクル120、試料124)に方向付けるように構成される。電子ビーム源150は、電子光学カラムを形成し得る。別の実施形態において、電子ビーム源150は、1つ以上の電子ビーム151を計測標本125の表面に集束および/または方向付けするように構成された1つ以上の追加および/または代替の電子光学要素152を含む。別の実施形態において、SEM計測サブシステム104bは、1つ以上の電子ビーム151に応答して計測標本125の表面から放出される2次電子および/または後方散乱電子153を収集するように構成された1つ以上の電子光学要素154を含む。本明細書では、1つ以上の電子光学要素152および1つ以上の電子光学要素154が、1つ以上の偏向器、1つ以上の電子光学レンズ、1つ以上の集光レンズ(例えば、磁気集光レンズ)、1つ以上の対物レンズ(例えば、磁気集光レンズ)などを含むがこれらに限定されない、電子を方向付け、集束、および/または収集するように構成された任意の電子光学要素を含み得ることに留意されたい。
【0041】
SEM計測サブシステム104bの電子光学アセンブリは、
図1Cに示す電子光学要素に限定されず、これらは単に例示の目的で提供されていることに留意されたい。さらに、システム100は、1つ以上の電子ビーム151を計測標本125に方向付け/集束させ、それに応答して、放出された2次電子および/または後方散乱電子153を収集して電子検出器アセンブリ134上に画像化するために必要な任意の数および任意のタイプの電子光学要素を含み得ることにさらに留意されたい。
【0042】
例えば、システム100は、1つ以上の電子ビーム走査要素(図示せず)を含み得る。例えば、1つ以上の電子ビーム走査要素には、計測標本125の表面に対する1つ以上の電子ビーム151の位置を制御するのに適した1つ以上の電磁走査コイルまたは静電偏向器が含まれ得るが、これらに限定されない。さらに、1つ以上の走査要素は、選択されたパターンで計測標本125全体にわたって1つ以上の電子ビーム151を走査するために利用され得る。
【0043】
別の実施形態において、2次電子および/または後方散乱電子153は、電子検出器アセンブリ156の1つ以上のセンサ158に方向付けられる。SEM計測サブシステム104の電子検出器アセンブリ156には、計測標本125の表面から発する後方散乱電子および/または2次電子153を検出するのに適した当技術で知られている任意の電子検出器アセンブリが含まれ得る。一実施形態において、電子検出器アセンブリ156は、電子検出器アレイを含む。これに関して、電子検出器アセンブリ156は、電子検出部分のアレイを含み得る。さらに、電子検出器アセンブリ156の検出器アレイの各電子検出部分は、入射する1つ以上の電子ビーム151の1つに関連する計測標本125からの電子信号を検出するように配置され得る。電子検出器アセンブリ156は、当技術で知られている任意のタイプの電子検出器を含み得る。例えば、電子検出器アセンブリ156は、マイクロチャネル板(MCP)と、ダイオードアレイまたはアバランシェフォトダイオード(APD)であるがこれらに限定されないPINまたはp-n接合検出器アレイとを含み得る。別の例として、電子検出器アセンブリ156は、高速シンチレータまたは光電子増倍管(PMT)検出器を含み得る。
【0044】
図3Bは、SEM計測サブシステム104bを、2次電子検出器アセンブリのみを備える電子検出器アセンブリ156を含むものとして示しているが、これは本開示の制限と見なされるべきではない。これに関して、電子検出器アセンブリ156は、2次電子検出器、後方散乱電子検出器、および/または1次電子検出器(例えば、カラム内電子検出器)を含み得るが、これらに限定されないことに留意されたい。別の実施形態において、SEM計測サブシステム104は、複数の電子検出器アセンブリ134を含み得る。例えば、システム100は、2次電子検出器アセンブリ134a、後方散乱電子検出器アセンブリ134b、およびカラム内電子検出器アセンブリ134cを含み得る。
【0045】
一実施形態において、コントローラ106の1つ以上のプロセッサ108は、検出器アセンブリ142/電子検出器アセンブリ156の出力を分析するように構成される。一実施形態において、1組のプログラム命令は、1つ以上のプロセッサ108に、検出器アセンブリ142/電子検出器アセンブリ156から受け取られた画像に基づいて、計測標本125の1つ以上の特性を分析させるように構成される。別の実施形態において、1組のプログラム命令は、計測標本125および/または検出器アセンブリ142/電子検出器アセンブリ156への集束を維持するために、1つ以上のプロセッサ108に、システム100の1つ以上の特性を変更させるように構成される。例えば、1つ以上のプロセッサ108は、照明132および/または1つ以上の電子ビーム151を計測標本125の表面に集束させるために、照明源113/電子ビーム源150および/またはシステム100の他の要素の1つ以上の特性を調整するように構成され得る。別の例として、1つ以上のプロセッサ108は、計測標本125の表面から照明および/または2次電子153を収集し、収集された照明を検出器アセンブリ142/電子検出器アセンブリ156に集束させるために、システム100の1つ以上の要素を調整するように構成され得る。別の例として、1つ以上のプロセッサ108は、1つ以上の電子ビーム151の位置または位置合せを個別に調整して、計測標本125全体にわたって電子ビーム151を走査するために、電子ビーム源150の1つ以上の静電偏向器に印加される1つ以上の集束電圧を調整するように構成され得る。
【0046】
別の実施形態において、
図1~
図3Bに示すように、システム100は、コントローラ106に通信可能に結合されたユーザインターフェース112を含む。別の実施形態において、ユーザインターフェース112は、ユーザ入力デバイスと、ディスプレイとを含む。ユーザインターフェース112のユーザ入力デバイスは、ユーザから1つ以上の入力コマンドを受信するように構成され得、1つ以上の入力コマンドは、システム100にデータを入力するように、および/またはシステム100の1つ以上の特性を調整するように構成される。別の実施形態において、ユーザインターフェース112のディスプレイは、システム100のデータをユーザに表示するように構成され得る。
【0047】
本明細書で前述したように、1つ以上のプロセッサ108は、メモリ110に記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成され、1組のプログラム命令は、1つ以上のプロセッサ108に本開示の様々な機能およびステップを実行させるように構成される。これに関して、コントローラ106/プロセッサ108は、1つ以上の製品試料に要素パターンを印刷するために使用されるように構成された製品レチクルの製品計測データを取得し、製品レチクルの製品計測データに基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して、要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成し、製品レチクルによる要素パターンの印刷プロセスをモデル化する製品レチクルの製品モデルを生成し、製品モデルに基づいて、製品試料上に確率的欠陥を印刷する可能性のある、製品レチクルの注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアのうちの一方を識別するように構成され得る。コントローラ106のこれらのステップ/機能のそれぞれについて、
図4A~
図4Bを参照して本明細書でさらに詳細に説明する。
【0048】
図4Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、標本125(例えば、レチクル120、試料124)上の確率的欠陥を識別するための方法400の流れ図である。本明細書では、方法400のステップは、システム100によって全部または部分的に実施され得ることに留意されたい。しかしながら、追加のまたは代替のシステムレベルの実施形態が方法400のステップの全部または一部を実行し得るという点で、方法400はシステム100に限定されないことがさらに認識される。
【0049】
ステップ402において、製品レチクル120の製品計測データが取得される。実施形態において、製品レチクル120は、1つ以上の製品試料124に要素パターンを印刷するために1つ以上の印刷プロセスで使用されるように構成され得る。これに関して、製品レチクル120は、製品試料124を製造するための印刷プロセスを実行するために、リソグラフィサブシステム102によって使用され得る。「製品レチクル」という用語は、本明細書で使用される場合、確率的変動性について検査され、検査に合格すると判定された場合に製品試料124を製造するために使用され得る、レチクル120を指すために使用され得る。これに関して、製品レチクル120は、確率的欠陥を印刷する可能性がある特徴/欠陥を含むと理解され得る。
【0050】
それに比べて、「参照レチクル」という用語は、良好な確率的変動性を示すことが知られているレチクル120を指すために使用され得る。これに関して、参照レチクル120は、確率的変動性が低い参照試料124を製造するために1つ以上の印刷プロセスを利用することが知られている場合がある。したがって、本明細書では、製品レチクル120を介して製造された製品試料124上の確率的欠陥を、参照レチクル120を用いて実行された印刷プロセスで製造された参照試料124上の確率的欠陥と比較することによって、製品レチクル120の確率的変動性を評価できると企図される。製品レチクル120と参照レチクル120(および製品試料124と参照試料124)との間の区別は、本明細書でさらに詳細に説明する。
【0051】
本明細書では、製品レチクル120を介して適用される印刷プロセスによって製品試料124に印刷される要素パターンは、当技術で知られている任意の構造、パターン、または要素を含み得ることに留意されたい。例えば、要素パターンは、動作可能な半導体デバイスまたは1つ以上の計測ターゲットの一部として製造される特徴に対応する1つ以上のデバイス要素を含み得る。例えば、製品レチクルによって印刷される要素パターンは、接触孔(例えば、
図5の接触孔502a~502n)、格子、重ね合せのターゲット、露光の影響を受けやすいターゲット、試料124の焦点位置の影響を受けやすいターゲットなどを含み得るが、これらに限定されない。これに関して、確率的欠陥/変動に対する要素パターンの任意の部分の感受性が特徴付けられ得る。
【0052】
製品レチクル120の製品計測データは、当技術で知られている任意のソースから取得され得る。例えば、コントローラ106は、計測サブシステム104に製品レチクル120(例えば、計測標本125)の1つ以上の画像を取得させるように構成された1つ以上の制御信号を生成するように構成され得る。取得される画像には、光学計測サブシステム10aからの光学画像および/またはSEM計測サブシステム104bからのSEM画像が含まれ得る。コントローラ106は、次いで、取得された画像を受け取り、取得された画像に基づいて製品レチクル120の製品計測データを生成するように構成され得る。
【0053】
追加および/または代替の実施形態において、製品レチクル120の製品計測データは、製品レチクル120自体の設計データに基づき得る。製品レチクル120の設計データは、製品レチクル120を製造するために使用される製造レシピを含み得る。例えば、製品レチクル120に関連する設計データ(例えば、製造レシピ)は、メモリ110および/またはリモートメモリもしくはサーバに記憶され得る。この例では、コントローラ106は、製品レチクル120の設計データに基づいて、製品レチクル120の製品計測データを取得するように構成され得る。実施形態において、コントローラ106は、製品レチクル120の製品計測データをメモリ110に記憶するように構成され得る。
【0054】
ステップ404において、製品レチクル120の製品計測データに基づいて、印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションが実行されて、要素パターンを含む1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成する。「シミュレートされた製品試料」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の確率的シミュレーションによって生成された理論的な製品試料を指すために使用され得る。これに関して、シミュレートされた製品試料は、レチクルを利用するシミュレートされた印刷プロセスがリソグラフィサブシステム102で実行された場合に生成され得る試料124の例を含み得る。
【0055】
例えば、コントローラ106は、メモリに記憶された製品レチクル120の製品計測データを検索し、1つ以上のシミュレートされた製品試料を生成するために印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行するように構成され得る。シミュレートされた製品試料に関連するデータは、メモリ110に記憶され得る。実施形態において、コントローラ106は、シミュレートされた製品試料上の要素パターンの製造をシミュレートするために、1つ以上の印刷プロセスの確率的シミュレーションを実行し得る。例えば、コントローラ106は、2000回シミュレートされた製品試料を生成するために印刷プロセスの2000回の確率的シミュレーションを実行するように構成され得、それにより要素パターンの製造を2000回以上シミュレートする。
【0056】
コントローラ106は、メモリ110に格納された、または外部メモリ、ネットワークなどから検索された生産レシピに基づいて確率的シミュレーションを実行するように構成され得る。生産レシピは、製品レチクル120および/またはシミュレートされた製品試料の位置、印刷される要素パターン、リソグラフィサブシステム102の特性、露光パラメータ(例えば、リソグラフィ照明源113の波長、照明線量、シミュレートされた製品試料の焦点位置、露光時間、リソグラフィ照明源113の空間プロファイル、シミュレートされた製品試料上の照明の空間分布など)を含むがこれらに限定されない、印刷プロセスに関連する任意のデータを含み得る。
【0057】
本明細書では、コントローラ106は、製品レチクル120上の欠陥の印刷可能性、ならびにシミュレートされた製品試料および/または将来の試料124に印刷される要素パターンに対する確率的変動の影響を判定するために、製品レチクル120を使用して印刷プロセスの確率的シミュレーションを実行するように構成され得ることに留意されたい。コントローラ106は、当技術で知られている任意のシミュレーションまたはモデル化技法を使用して1つ以上の確率的シミュレーションを実行するように構成され得る。例えば、コントローラ106は、印刷プロセスの1つ以上のモンテカルロシミュレーションを実行するように構成され得る。
【0058】
ステップ406において、製品レチクルによる要素パターンの印刷プロセスをモデル化する製品レチクル120の製品モデルが生成される。実施形態において、製品モデルは、生成済みのシミュレートされた製品試料に基づいて生成され得る。例えば、コントローラ106は、1つ以上のシミュレートされた製品試料のシミュレートされた計測データを取得し、シミュレートされた計測データに基づいて製品モデルを生成するように構成され得る。例えば、接触孔(例えば、
図5の接触孔502a~502n)を印刷するために使用される製品レチクル120の状況において、コントローラ106は、シミュレートされた製品試料に印刷されたシミュレートされた接触孔の限界寸法(例えば、シミュレートされた計測データ)を取得するように構成され得る。続いて、取得された限界寸法(例えば、シミュレートされた計測データ)に基づいて、コントローラ106は、シミュレートされた製品試料上の接触孔の印刷プロセスをモデル化する製品モデルを生成し得る。
【0059】
実施形態において、製品モデルは、製品レチクル120によって実行される印刷プロセスをモデル化する当技術で知られている任意のモデルを含み得る。これは、
図6~
図7を参照してさらに理解され得る。
【0060】
図6は、本開示の1つ以上の実施形態による、試料(例えば、シミュレートされた製品試料)上に製造された接触孔(例えば、
図5の接触孔502a~502n)が開口に失敗する正規確率分布を示すグラフ600である。より具体的には、グラフ600は、高度な有機化学増幅レジスト(CAR)、または金属酸化物(MOX)レジストなどの任意の他の感光性材料(例えば、レチクル120)を利用して接触孔を印刷するために使用される印刷プロセスの10万の1の確率的シミュレーションのシミュレートされた分布を示す。
図7は、本開示の1つ以上の実施形態による、試料(例えば、シミュレートされた製品試料)上に製造された接触孔(例えば、
図5の接触孔502a~502n)が開口に失敗する確率をガウス分布として示すグラフ700および曲線702である。
【0061】
この例では、コントローラ106は、製品レチクル120を使用して印刷プロセスの数千の確率的シミュレーションを実行し、このようにして、数千のシミュレートされた製品試料上の接触孔の製造をシミュレートする。続いて、コントローラ106は、シミュレートされた接触孔の限界寸法(CD)測定値(例えば、シミュレートされた計測データ)を取得し得る。次いで、コントローラ106は、グラフ600の曲線602に示すように、シミュレートされた接触孔の識別されたCD測定値をx軸、接触孔が開口に失敗する(CD=0)確率をy軸としてグラフ化し得る。これに関して、曲線602は、特定のCDを有するシミュレートされた接触孔の確率を示す。
【0062】
曲線602は、接触孔が、製品レチクル120で適用される印刷プロセスに従った開口に失敗する確率が0.001未満であることを示す。しかしながら、曲線602の非正規分布テール604は、CDが小さい場合は確率が0.05未満であることを示す。この非正規分布テール604は、レチクル120および/または印刷プロセス自体の欠陥から生じる確率的変動に起因し得る。
【0063】
グラフ600および曲線602は、要素の印刷パターン内のCD測定値の潜在的な確率的変動を示すが、本明細書では、重ね合せ誤差、パターン配置誤差、限界寸法(CD)、試料特徴の寸法、側壁の角度、線縁の粗さ、パターン配置誤差(PPE)、エッジ配置誤差(EPE)などを含むがこれらに限定されないシミュレートされた製品試料の他の様々な特性を示すために、グラフ600(または同様のグラフ)が追加および/または代替として生成され得ると企図される。別の例として、限定されないがマイクロブリッジまたはマイクロブレークを誘発する閉口した接触孔(CD=0)の割合以外の接触孔の他の特性を示すために、グラフ600(または同様のグラフ)が追加および/または代替として生成され得る。
【0064】
本明細書で前述したように、製品モデルは、シミュレートされた製品試料に基づいてコントローラ106によって生成され得、主成分分析(PCA:principal component analysis)、機械学習アルゴリズムまたは機械学習分類器などを含むがこれらに限定されない、当技術で知られている任意の数学的モデルまたはモデル化技法を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、製品モデルは、
図6に示す曲線602を説明/モデル化する製品モデルを含み得る。例えば、曲線602をグラフした後、コントローラ106は、1つ以上の分布関数を曲線602に適合させること、および様々なモデルを1つ以上の分布関数に適合させることによって、製品モデルを生成し得る。この例では、製品モデルは、非正規分布テール604を含む、従来の3シグマ限界をはるかに超えて曲線602全体をモデル化するように生成され得る。これに関して、製品モデルは、シミュレートされた製品試料のシミュレートされた計測データに適合するように生成され得る。
【0065】
一般的な意味では、製品モデルは、製品レチクル120を利用する印刷プロセスによる、印刷プロセスを介して印刷される要素パターンの様々な特性に対する効果を説明/モデル化する、当技術で知られている任意のモデルを含み得る。
【0066】
本開示の実施形態は、印刷プロセスの効果をシミュレートおよび/またはモデル化するための計算要件を低減し得ることに留意されたい。具体的には、従来のレチクル処理技法と比較して、本開示の実施形態は、分布関数(例えば、グラフ600に示すCDの分布関数)を、低減した項で特徴付けることによって、計算時間が数万のシミュレーションから管理可能な数の確率的シミュレーション(例えば、モンテカルロシミュレーション)まで大幅に短縮されることが見出された。
【0067】
例えば、本明細書において、いくつかの従来のレチクル処理技法では、レチクル欠陥の印刷可能性の影響に関する単一のシミュレーションを利用し得ることに留意されたい。この従来の単一のシミュレーションは、CD分布の中心(曲線602のピーク)の推移を推定するだけであり得、曲線602の非正規分布テール604内の確率的欠陥性の影響を把握しない可能性がある。したがって、いくつかの従来のレチクル処理技法は、確率的欠陥性に起因する接触孔の閉口した接点(CD=0)の数を識別も捕捉もせず、その結果、デバイスの歩留まりの低下および/または回路全体の故障が生じるおそれがある。最終的な結果として、分布の完全な形状(特に欠陥のあるパターン/要素の割合)を考慮できない従来のレチクル処理技法は、欠陥のあるレチクルを合格させる判定をもたらすことがあり、重大な経済的損失につながる可能性がある。したがって、本開示の実施形態は、製品レチクルの合格/不合格の判定が、単一の値(例えば、単一のCD値)ではなく、要素分布全体にわたるパターン/要素が失敗となった頻度(例えば、OKでない割合)に基づいて行われるようにすることによって、より正確で効率的なレチクル処理能力を可能にし得る。
【0068】
再び
図4を参照する。ステップ408において、製品モデルに基づいて、製品試料に確率的欠陥を印刷する可能性がある、製品レチクル120の注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアのうちの少なくとも一方が判定され得る。本明細書では、「注意エリア」という用語は、製品レチクル120および/またはシミュレートされた製品試料(もしくは製品レチクル120を介して製造された将来の試料124)上の、確率的欠陥の影響を受けやすい位置/領域を指すために使用され得ることに留意されたい。これに関して、注意エリアは、本明細書で前述したような生産レシピに従って製造されたときに確率的に発生すると予測される製造欠陥を含み得る。したがって、注意エリアは、1つ以上の欠陥が確率的に発生する可能性がある位置に対応し得る。例えば、注意エリアは、決定論的リピータに関連する故障点(例えば、同じ位置で実行される製造ごとに発生すると予測される欠陥)と、確率的リピータの影響を受けやすい可能性がある識別された弱点との両方を含み得る。識別された弱点には、仕様の範囲内であり得るが公称値からはほど遠い、要素パターン内の特徴(例えば、要素の特定の大きさまたは形状、特定の要素間の距離など)が含まれ得る。
【0069】
例えば、製品レチクル120上の注意エリアは、製品レチクル120を使用してシミュレートされた印刷プロセスを介して製品試料が製造されるときに製品試料内に確率的欠陥を誘発する可能性があると識別された、製品レチクル120の位置、エリア、または領域を含み得る。別の例として、シミュレートされた製品試料の注意エリアは、確率的欠陥または変動の影響をより受けやすい可能性がある、シミュレートされた製品試料(または製品レチクル120を介して製造された将来の試料124)の位置、エリア、または領域を含み得る。実施形態において、コントローラ106は、製品レチクル120の1つ以上の識別された注意エリアおよび/またはシミュレートされた製品試料の1つ以上の識別された注意エリアをメモリ110に記憶するように構成され得る。
【0070】
確率的リピータの影響を受けやすい注意エリアは、製品試料125に露光される要素パターンを含むレチクルもしくはパターンマスク(例えば、製品レチクル120)、または任意の生産ステップ(例えば、任意の層のADIもしくはAEI)後の製品試料125の層のいずれかに関連し得る。例えば、確率的欠陥の影響を受けやすい製品レチクル120上の注意エリアの識別は、ウェハ製造前に、是正措置(例えば、確率的欠陥の製造を軽減するための生産レシピの変形、または確率的欠陥を監視するための計測レシピの生成)を可能にするために、印刷チェックプロセスで利用され得る。別の例として、確率的リピータの影響を受けやすいシミュレートされた製品試料上の注意エリアの識別は、ホットスポットの識別、PWG分析、またはWET分析を含むがこれらに限定されない任意のプロセス監視アプリケーションで利用され得る。注意エリアおよび確率的欠陥の識別については、2017年6月2日に出願されたBiaforeらによるSTOCHASTICALLY-AWAREMETROLOGY FABRICATIONと題する米国特許第10,474,042号において詳細に示され説明されており、その全体を本願に引用して援用する。
【0071】
いくつかの実施形態において、コントローラ106は、生成された製品モデルを参照モデルと比較することによって、確率的欠陥/確率的変動の影響を受けやすい注意エリアを識別するように構成され得る。これは、
図4Bを参照してさらに理解され得る。
【0072】
図4Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、標本125(例えば、レチクル120、試料124)上の確率的欠陥を識別するための方法400の一部の流れ図である。より具体的には、
図4Bは、製品モデルを参照モデルと比較することによって注意エリアを識別するためのサブステップを示す。
【0073】
ステップ410において、1つ以上の参照試料に印刷される要素パターンの参照計測データが取得される。本明細書で前述したように、「参照試料」「参照レチクル」という用語は、良好な確率的変動性を示すことが知られているレチクル120を指すために使用され得る。具体的には、参照レチクル120は、良好な確率的変動性を示すことが知られているレクチル、および同様に良好な確率的変動性を示すことが知られている参照試料124上に要素パターンを製造するための印刷プロセスで使用され得るレチクルを含み得る。これに関して、参照レチクル120は、確率的変動性が低い参照試料124を製造するために1つ以上の印刷プロセスを利用することが知られている場合がある。したがって、本明細書では、製品レチクル120/製品試料の確率的欠陥性/確率的変動性を参照レチクル120/参照試料の確率的欠陥性/確率的変動性と比較することにより、製品レチクル120の処理および分析を改善できる可能性があると企図される。
【0074】
参照試料124の参照計測データは、当技術で知られている任意のソースから取得され得る。例えば、コントローラ106は、リソグラフィサブシステム102に、参照レチクル120を使用して1つ以上の参照試料124上に要素パターンを印刷させ得る。続いて、コントローラ106は、計測サブシステム104に参照試料124(例えば、計測標本125)の1つ以上の画像を取得させるように構成された1つ以上の制御信号を生成するように構成され得る。取得される画像には、光学計測サブシステム10aからの光学画像および/またはSEM計測サブシステム104bからのSEM画像が含まれ得る。コントローラ106は、次いで、取得された画像を受け取り、取得された画像に基づいて参照試料124の参照計測データを生成するように構成され得る。
【0075】
追加および/または代替の実施形態において、参照試料124の参照計測データは、参照試料124自体の設計データに基づき得る。参照レチクル120の設計データは、参照試料124を製造するために使用される製造レシピを含み得る。例えば、参照試料124に関連する設計データ(例えば、製造レシピ)は、メモリ110および/またはリモートメモリもしくはサーバに記憶され得る。この例では、コントローラ106は、参照試料124の設計データに基づいて、参照試料124の参照計測データを取得するように構成され得る。実施形態において、コントローラ106は、参照試料124の参照計測データをメモリ110に記憶するように構成され得る。
【0076】
追加および/または代替の実施形態において、参照試料124の参照計測データは、本明細書で前述したように参照レチクル120に対して確率的シミュレーション(例えば、モンテカルロシミュレーション)を実行することによって取得され得る。例えば、コントローラ106は、参照レチクル120の1つ以上の測定値を取得し、参照レチクルの1つ以上の測定値に基づいて印刷プロセスの1つ以上の確率的シミュレーションを実行して1つ以上のシミュレートされた参照試料を生成するように構成され得る。続いて、本明細書で前述したように、1つ以上のシミュレートされた参照試料のシミュレートされた計測データが取得され得る。
【0077】
ステップ412において、参照レチクルによる要素パターンの印刷プロセスをモデル化する、参照レチクル120の参照モデルが生成される。本明細書では、ステップ406での製品モデルの生成に関連するいずれの説明も、本明細書で特に明記しない限り、適用可能な範囲でステップ412での参照モデルの生成に適用されると見なされ得ることに留意されたい。
【0078】
実施形態において、参照レチクル120の参照モデルは、ステップ410で取得された参照計測データに基づいて生成され得る。例えば、参照モデルは、計測サブシステム104を介して1つ以上の参照試料124から直接取得された参照計測データに基づいて生成され得る。別の例として、参照モデルは、1つ以上のシミュレートされた参照試料から取得されたシミュレートされた計測データに基づいて生成され得る。例えば、接触孔(例えば、
図5の接触孔502a~502n)を印刷するために使用される参照レチクル120の状況において、コントローラ106は、シミュレートされた参照試料に印刷されたシミュレートされた接触孔の限界寸法(例えば、シミュレートされた計測データ)を取得するように構成され得る。続いて、取得された限界寸法(例えば、シミュレートされた計測データ)に基づいて、コントローラ106は、シミュレートされた参照試料上の接触孔の印刷プロセスをモデル化する参照モデルを生成し得る。
【0079】
一般的な意味では、参照モデルは、参照レチクル120を利用する印刷プロセスによる、印刷プロセスを介して参照試料124上に印刷される要素パターンの様々な特性に対する効果を説明/モデル化する、当技術で知られている任意のモデルを含み得る。参照モデルは、主成分分析(PCA)、機械学習アルゴリズムまたは機械学習分類器などを含むがこれらに限定されない当技術で知られている任意の数学的モデルまたはモデル化技法を使用して、コントローラ106によって生成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、参照モデルは、
図6に示す曲線602と同様の曲線を説明/モデル化する参照モデルを含み得る。
【0080】
ステップ414において、製品モデルと参照モデルとの間の1つ以上の差異が識別される。例えば、コントローラ106は、製品モデルと参照モデルとの両方をメモリ110に記憶するように構成され得る。コントローラ106は、製品モデルと参照モデルとを比較し、製品モデルと参照モデルとの間の1つ以上の差異を識別するようにさらに構成され得る。
【0081】
例えば、参照モデルは、参照試料(またはシミュレートされた参照試料)に印刷された接触孔502a~502nのCDの理想的な分布を説明/モデル化するモデルを含み得る。したがって、参照モデルは、良好な(例えば、低い)確率的欠陥性を有する参照試料のCDを示す曲線602を説明/モデル化するモデルを含み得る。同様に、製品モデルは、製品試料(またはシミュレートされた製品試料)に印刷された接触孔502a~502nのCDの分布を説明/モデル化するモデルを含み得る。したがって、製品モデルは、参照試料のCDを示す曲線602を説明/モデル化するモデルを含み得る。この例では、コントローラ106は、(確率的欠陥性が検査される)製品モデルを(既知の良好な確率的欠陥性を有する)参照モデルと比較することによって、製品試料124および/または製品レチクル120内の確率的欠陥性の差異を識別するように構成され得る。
【0082】
ステップ416において、1つ以上の識別された差異に基づいて、製品レチクル120の注意エリア、または印刷された確率的欠陥の影響を受けやすい、1つ以上のシミュレートされた製品試料上の注意エリアのうちの少なくとも一方が判定される。本明細書で前述したように、「注意エリア」という用語は、製品レチクル120および/またはシミュレートされた製品試料(もしくは製品レチクル120を介して製造された将来の試料125)上の、確率的欠陥の影響を受けやすい位置/領域を指すために使用され得る。実施形態において、参照モデルと製品モデルとの間の差異を識別した後、コントローラ106は、識別された差異に基づいて、製品レチクル120および/または製品試料124上の1つ以上の注意エリアを識別するように構成され得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、製品レチクル120および/または製品試料124上の1つ以上の注意エリアを識別した後、コントローラ106は、識別された注意エリア、および/または製品モデルと参照モデルとの間の識別された差異に基づいて、確率的欠陥の頻度を判定するように構成され得る。追加および/または代替の実施形態において、コントローラ106は、確率的欠陥の頻度に基づいて、製品レチクルに関連するレチクル処理評価を報告するように構成され得る。いくつかの実施形態において、コントローラ106は、ユーザインターフェース112にレチクル処理評価をユーザに表示させるように構成された1つ以上の制御信号を生成し得る。レチクル処理評価には、当技術で知られている任意の評価、格付け、または特徴付けが含まれ得る。例えば、レチクル処理評価は、「合格」評価または「不合格」評価を含み得る。例えば、コントローラ106が製品レチクル120および/または製品試料124上の高頻度の確率的欠陥を識別する例では、コントローラ106は、製品レチクルに関連する「不合格」のレチクル処理評価を割当て/報告するように構成され得る。別の例として、コントローラ106が製品レチクル120および/または製品試料124上の低頻度の確率的欠陥を識別する例では、コントローラ106は、製品レチクルに関連する「合格」のレチクル処理評価を割当て/報告するように構成され得る。
【0084】
追加および/または代替の実施形態において、コントローラ106は、製品レチクル120の注意エリア、または1つ以上のシミュレートされた製品試料124の注意エリアのうちの少なくとも一方に基づいて、1つ以上のプロセスツール(例えば、リソグラフィサブシステム102、計測サブシステム104)の1つ以上の特性を選択的に調整するように構成された1つ以上の制御信号を生成するように構成され得る。これに関して、コントローラ106は、製品レチクル120および/または製品試料124で実行される1つ以上の製造プロセスまたは検査プロセスを選択的に調整するために、フィードバックおよび/またはフィードフォワード制御ループで制御信号を送信するように構成され得る。
【0085】
例えば、コントローラ106は、製品試料124内の確率的欠陥の存在を低減または排除するために、製品試料124を製造するためにリソグラフィサブシステム102および/または他のプロセスツール(例えば、成膜ツール、エッチングツールなど)によって使用される製造レシピを選択的に変更するように構成され得る。別の例として、コントローラ106は、製品試料124上の識別された注意エリアを検査するために計測サブシステム102によって使用され得る検査レシピを生成するように構成され得る。これに関して、製品レチクル120および/または製品試料124上の注意エリアの識別は、後続の検査プロセス(例えば、印刷チェック)を容易にして誘導するために、コントローラ106およびシステム100によって使用され得る。別の例として、コントローラ106は、製品レチクル上の識別された注意エリアを低減および/または排除する後続の製品レチクル120を製造するために、製品レチクル120の製造レシピを選択的に変更し得る。
【0086】
本明細書では、システム100の1つ以上の構成要素は、当技術で知られている任意の方法でシステム100の他の様々な構成要素に通信可能に結合され得ることに留意されたい。例えば、コントローラ106、リソグラフィサブシステム102、計測サブシステム104、およびユーザインターフェース112は、有線(例えば、銅線、光ファイバケーブルなど)または無線接続(例えば、RF結合、IR結合、データネットワーク通信、WiFi、WiMax、Bluetooth、3G、4G、4G LTE、5Gなど)を介して互いに、他の構成要素に通信可能に結合され得る。
【0087】
一実施形態において、1つ以上のプロセッサ108は、当技術で知られている任意の1つ以上の処理要素を含み得る。この意味では、1つ以上のプロセッサ108は、ソフトウェアアルゴリズムおよび/または命令を実行するように構成された任意のマイクロプロセッサタイプのデバイスを含み得る。一実施形態において、1つ以上のプロセッサ108は、本開示全体を通して記載されるように、システム100を動作させるように構成されたプログラムを実行するように構成された、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ、または他のコンピュータシステム(例えば、ネットワーク化されたコンピュータ)で構成され得る。本開示全体を通して記載されるステップは、単一のコンピュータシステム、または代替として複数のコンピュータシステムによって実行され得ることを認識されたい。また、本開示全体を通して記載されるステップは、1つ以上のプロセッサ108のうちのいずれか1つ以上で実行され得ることを認識されたい。一般に、「プロセッサ」という用語は、メモリ110からプログラム命令を実行する1つ以上の処理要素を有する任意のデバイスを包含するように広く定義され得る。さらに、システム100の異なるサブシステム(例えば、リソグラフィサブシステム102、計測サブシステム104、コントローラ106)は、本開示全体を通して記載されたステップの少なくとも一部を実行するのに適したプロセッサまたは論理要素を含み得る。したがって、上記の説明は、本開示の限定として解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【0088】
メモリ110は、関連する1つ以上のプロセッサ108によって実行可能なプログラム命令を記憶するのに適した当技術で知られている任意の記憶媒体を含み得る。例えば、メモリ110は、非一過性のメモリ媒体を含み得る。例えば、メモリ110には、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気または光メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブが含まれ得るが、これらに限定されない。さらに、メモリ110は、1つ以上のプロセッサ108を備えた共通のコントローラハウジングに収容され得ることに留意されたい。代替の実施形態において、メモリ110は、プロセッサ108、コントローラ106などの物理的位置に対して遠隔に配置され得る。別の実施形態において、メモリ110は、1つ以上のプロセッサ108に本開示を通して記載される様々なステップを実行させるためのプログラム命令を保持する。
【0089】
一実施形態において、ユーザインターフェース112は、コントローラ106に通信可能に結合される。一実施形態において、ユーザインターフェース112には、1つ以上のデスクトップ、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチなどが含まれ得るが、これらに限定されない。別の実施形態において、ユーザインターフェース112は、システム100のデータをユーザに表示するために使用されるディスプレイを含む。ユーザインターフェース112のディスプレイは、当技術で知られている任意のディスプレイを含み得る。例えば、ディスプレイには、液晶ディスプレイ(LDC)、有機発光ダイオード(OLED)ベースのディスプレイ、またはCRTディスプレイが含まれ得るが、これらに限定されない。当業者であれば、ユーザインターフェース112と統合することができる任意のディスプレイデバイスが本開示における実装に適していることを認識するはずである。別の実施形態において、ユーザは、ユーザインターフェース112を介してユーザに表示されたデータに応答する選択結果および/または命令を入力し得る。
【0090】
本明細書に記載の構成要素(例えば、動作)、デバイス、オブジェクト、およびそれらに付随する考察が、概念を明確にするための例として使用されており、様々な構成の変形が企図されることが、当業者には認識されよう。したがって、本明細書で使用されるように、記載された特定の模範および付随する考察は、それらのより一般的なクラスを代表することを意図している。一般に、特定の模範の使用は、そのクラスを代表することを意図しており、特定の構成要素(例えば、動作)、デバイス、およびオブジェクトを含めないことは制限と見なされるべきではない。
【0091】
本明細書に記載のプロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア)を実施できる様々な手段があり、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術が展開される状況によって好ましい手段は異なることが、当業者には理解されよう。例えば、実装者が速度および精度が最優先であると判断した場合、実装者は主にハードウェアおよび/またはファームウェアの手段を選ぶことがあり、代替として、柔軟性が最優先される場合、実装者は主にソフトウェアの実装を選ぶことがあるか、またはさらに代替として、実装者はハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアのいくつかの組合せを選ぶことがある。したがって、本明細書に記載のプロセスおよび/またはデバイスおよび/または他の技術を実施できる可能な手段はいくつかあり、利用される手段は、その手段が展開される状況および実装者の特定の懸念事項(例えば、速度、柔軟性、または予測可能性)に応じて選択され、そのいずれも異なり得るという点で、本質的に他の手段よりも優れている手段はない。
【0092】
前述の説明は、当業者が本発明を特定の用途およびその要件の状況で提供されるようにして使用することを可能にするために提示されている。「上部(top)」、「下部(bottom)」、「上に(over)」、「下に(under)」、「上方の(upper)」、「上向きに(upward)」、「下方の(lower)」、「下へ(down)」、および「下向きに(downward)」などの方向を示す用語は、本明細書で使用される場合、説明のために相対的な位置を提供することを意図したものであり、絶対的な基準系を指定することを意図したものではない。説明した実施形態への様々な変形が当業者には明らかであり、本明細書で定義された一般原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、図示および説明した特定の実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0093】
本明細書における実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、状況および/または用途に適切であるように複数形から単数形へ、および/または単数形から複数形へと言い換えることができる。明確にするために、様々な単数形/複数形の置換については、本明細書では明示的に示していない。
【0094】
本明細書に記載の方法はすべて、方法の実施形態の1つ以上のステップの結果をメモリに記憶することを含み得る。結果は、本明細書に記載の結果のいずれかを含み得、当技術で知られている任意の方法で記憶され得る。メモリは、本明細書に記載の任意のメモリ、または当技術で知られている任意の他の適切な記憶媒体を含み得る。結果が記憶された後、結果はメモリ内でアクセスされ、本明細書に記載の方法またはシステムの実施形態のいずれかによって使用され、ユーザに表示するためにフォーマットされ、別のソフトウェアモジュール、方法、またはシステムなどによって使用され得る。さらに、結果は、「永続的に」、「半永続的に」、「一時的に」、または一定期間、記憶され得る。例えば、メモリはランダムアクセスメモリ(RAM)であり得、結果は必ずしもメモリ内で無期限に保持されるとは限らない場合がある。
【0095】
さらに、上記の方法の実施形態はそれぞれ、本明細書に記載の他の任意の方法の他の任意のステップを含み得ると企図される。さらに、上記の方法の実施形態はそれぞれ、本明細書に記載のシステムのいずれかによって実行され得る。
【0096】
本明細書に記載の主題は、他の構成要素内に含まれる、または他の構成要素に接続される異なる構成要素を示すことがある。そのように描写されたアーキテクチャは単なる例示であり、実際には同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャが実装され得ることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成要素の構成は、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能を実現するために組み合わされた本明細書の任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素に関係なく、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられている」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられている任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために互いに「接続」または「結合」されていると見なすこともでき、また、そのように関連付けられている任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために互いに「結合可能」であると見なすこともできる。結合可能な特定の例には、物理的に結合可能な構成要素および/もしくは物理的に相互作用する構成要素、ならびに/または無線で相互作用可能な構成要素および/もしくは無線で相互作用する構成要素、ならびに/または論理的に相互作用する構成要素および/もしくは論理的に相互作用する構成要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるべきである。一般に、本明細書で使用される用語、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は全般的に「非限定的」な用語であることを意図し得ることが、当業者には理解されよう(例えば、「含む(including)」という用語は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも~を有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである、など)。導入された請求項記載において特定の数が意図されている場合はそのような意図が当該請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合はそのような意図が存在しないことが、当業者にさらに理解されるであろう。例えば、理解の助けとして、添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの」および「1つ以上の」という導入句を使用して請求項記載を導入することがある。しかしながら、そのような句の使用は、同じ請求項が「1つ以上の」または「少なくとも1つ」という導入句と「a」または「an」などの不定冠詞とを含む場合でも、「a」または「an」という不定冠詞による請求項記載の導入が、そのような導入された請求項記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載を1つのみ含む発明に限定することを意味すると解釈されるべきではなく(例えば、「a」および/または「an」は典型的には「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)、定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。また、導入された請求項記載において特定の数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載が典型的には少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることは、当業者には理解されるであろう(例えば、他に修飾語のない単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、この記載は、少なくとも2つの記載事項、すなわち2つ以上の記載実行を意味する)。さらに、「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する表記が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその表記を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBをともに、AとCをともに、BとCをともに、ならびに/またはA、B、およびCをともに有するシステムを含むが、これらに限定されない、など)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する表記が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその表記を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBをともに、AとCをともに、BとCをともに、ならびに/またはA、B、およびCをともに有するシステムを含むが、これらに限定されない、など)。さらに、説明、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、2つ以上の代替用語を提示する事実上すべての離接語および/または離接句は、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図していると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「AまたはB」という句は、「A」または「B」または「AおよびB」という可能性を含むことが理解されよう。
【0098】
本開示およびそれに付随する利点の多くは、前述の説明によって理解されると考えられ、開示された主題から逸脱することも、その重要な利点のすべてを損なうこともなく、構成要素の形式、構造、および構成に様々な変更を加えることができることは明らかである。記載されている形式は単なる説明のためのものであり、以下の特許請求の範囲の意図は、そのような変更を包含し、含むことである。さらに、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるべきである。