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特許7370194ゼオライト製造用有機構造指向剤、及びこれを用いたゼオライトの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】ゼオライト製造用有機構造指向剤、及びこれを用いたゼオライトの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20231020BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/70 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019154247
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021031339
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】楢木 祐介
(72)【発明者】
【氏名】荒木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】中村 慎司
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527178(JP,A)
【文献】特表2014-527017(JP,A)
【文献】特表平11-502804(JP,A)
【文献】ARCHER et al.,Microporous and Mesoporous Materials,2010年05月,Volume 130, Issues 1-3,Pages 255-265
【文献】ARDUENGO et al.,A Stable Crystalline Carbene,J. Am. Chem. Soc.,1991年,Vol.113,p.361-363
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/48
B01J 29/70
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)式で表されるN-ヘテロ環状カルベンを含有することを特徴とするゼオライト製造用有機構造指向剤
【化1】
(式中、Rは炭素数6又は7のシクロアルキル基であり、該シクロアルキル基は炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。)
【請求項2】
前記(1)式におけるがシクロへプチル基又は1-アダマンチル基である、請求項に記載のゼオライト製造用有機構造指向剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゼオライト製造用有機構造指向剤、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、及び水を含む組成物を結晶化させる工程、を有し、前記アルカリ源が、アルカリ金属の水酸化物を含むことを特徴とするゼオライトの製造方法。
【請求項4】
前記アルミナ源が、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかである請求項に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ源がナトリウムを含み、前記組成物が、以下のモル組成比を有する請求項又はに記載のゼオライトの製造方法。
SiO/Al比 10以上50以下
Na/SiO比 0.08以上0.60以下
SDA/SiO比 0.02以上1.5以下
OH/SiO比 0.08以上0.60以下
O/SiO比 10以上50以下
【請求項6】
前記シリカ源が、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかである請求項3乃至5のいずれか一項に記載のゼオライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゼオライトの新規な製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、各種の有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)を含む組成物の結晶化により製造されている。最大細孔が酸素8員環により形成される細孔であるゼオライト(以下、「小細孔ゼオライト」ともいう。)を製造するための公知の有機構造指向剤として、例えば、アダマンチルアンモニウム誘導体、テトラアルキルアンモニウムカチオン、及びキヌクリジン誘導体などが知られているが(特許文献1~3)、二価の炭素原子を有するカルベン化合物をゼオライト製造用有機構造指向剤として利用した例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許4544538号
【文献】米国特許4495303号
【文献】米国特許4508837号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、N-ヘテロ環状カルベンを含有することを特徴とするゼオライト製造用有機構造指向剤、及びこれを使用するゼオライトの新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の要旨は以下のとおりである。
[1] (1)式で表されるN-ヘテロ環状カルベンを含有することを特徴とするゼオライト製造用有機構造指向剤。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、Rは炭素数5から12のシクロアルキル基であり、該シクロアルキル基は炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。)
[2] 前記一般式(1)におけるRが炭素数5から10のシクロアルキル基である上記[1]に記載のゼオライト製造用有機構造指向剤。
[3] 前記一般式(1)におけるRがシクロヘプチル基又は1-アダマンチル基である上記[1]又は[2]に記載のゼオライト製造用有機構造指向剤。
[4] 上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のゼオライト製造用有機構造指向剤、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、及び水を含む組成物を結晶化させる工程、を有することを特徴とするゼオライトの製造方法。
[5] 前記アルミナ源が、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかである上記[4]に記載のゼオライトの製造方法。
[6] 前記組成物が、以下のモル組成比を有する上記[4]又は[5]に記載のゼオライトの製造方法。
【0008】
SiO/Al比 10以上50以下、
Na/SiO比 0.08以上0.60以下、
SDA/SiO比 0.02以上1.5以下、
OH/SiO比 0.08以上0.60以下、
O/SiO比 10以上50以下
【発明の効果】
【0009】
本開示により、N-ヘテロ環状カルベンを含有することを特徴とするゼオライト製造用有機構造指向剤、及びこれを使用するゼオライトの新規な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例3のゼオライトのXRDパターン
図2】実施例3のゼオライトのSEM観察像
図3】実施例4のゼオライトのXRDパターン
図4】実施例4のゼオライトのSEM観察像
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係るゼオライト製造用有機構造指向剤について、実施形態の一例を示して説明する。
【0012】
本実施形態のゼオライト製造用有機構造指向剤は、一般式(1)で表されるN-ヘテロ環状カルベンを含有することを特徴とするゼオライト製造用有機構造指向剤、である。
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、Rは炭素数5から12のシクロアルキル基であり、該シクロアルキル基は炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。)
一般式(1)において、Rは、炭素数5から12のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ノルボルナン-1-イル基、ノルボルナン-2-イル基等を例示することができる。該シクロアルキル基は炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよく、該炭素数1から4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピルメチル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等を例示することができる。
【0015】
シクロアルキル基はAFXゼオライトの収率が良い点で、炭素数5から10のシクロアルキル基であることが好ましく、シクロヘプチル基又は1-アダマンチル基であることが特に好ましい。
【0016】
本実施形態のゼオライト製造用有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)に含まれる特にN-ヘテロ環状カルベンの具体例として、以下の(1-1)式乃至(1-9)式の群から選ばれる1以上、好ましくは(1-3)式又は(1-9)式、が例示できる。
【0017】
【化3】
【0018】
本実施形態のSDAの製造方法は任意であるが、例えば、(2)式で表されるイミダゾリウム塩(以下、イミダゾリウム塩(2)ともいう。)を含む溶液とイオン交換樹脂とを接触させる工程、を有する製造方法が挙げられる。
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、Rは上記と同じであり、Xはハロゲン化物イオン、RCOOで表されるカルボン酸イオン及びRSOで表されるスルホン酸イオンの群から選ばれる1つである。Rは炭素数1から6のアルキル基である。Rは炭素数1から9のアルキル基、炭素数1から9のフルオロアルキル基及びフェニル基の群から選ばれる1つ以上であり、該フェニル基は炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のフルオロアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基、炭素数1から4のフルオロアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基の群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。)
はハロゲン化物イオン、RCOO及びRSOの群から選ばれるいずれかであり、本実施形態のSDAに含まれる特にN-ヘテロ環状カルベンの収率が良い点で塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン、CHCOO(酢酸イオン)、CHCHCOO(プロピオン酸イオン)、CSO(ベンゼンスルホン酸イオン)、p-CHSO(p-トルエンスルホン酸イオン)及びCHSO(メタンスルホン酸イオン)の群から選ばれるいずれかであることが好ましく、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、CHCOO、CHCHCOO、CSO、p-CHSO及びCHSOの群から選ばれるいずれかであることがより好ましい。
【0021】
本実施形態のSDAの製造に用いるイミダゾリウム塩(2)は、後述する合成例に記載の製造方法によって得られるもの、公知の製造方法で得られるもの又は市販で得られものを用いることもできる。公知の製造方法として、例えば、Tetrahedron,62巻,8199-8206頁,2006年やJournal of the American Chemical Society,125巻,113-123頁,2003年などで開示された製造方法が例示できる。
【0022】
イミダゾリウム塩(2)と接触させるイオン交換樹脂は、任意の陰イオン交換樹脂であればよく、本実施形態のSDAに含まれる特にN-ヘテロ環状カルベンの収率が良い点でOH型の陰イオン交換樹脂であることがより好ましい。イオン交換樹脂は、塩基性官能基を有することが好ましく、第3級アンモニウム及び第4級アンモニウムの少なくともいずれかの官能基を有することがより好ましく、第4級アンモニウムの官能基を有することが更に好ましい。イオン交換樹脂として、スチレン系及びアクリル系のイオン交換樹脂が例示でき、具体的に、アンバーライトIRA-400、アンバーライトIRA-402、アンバーライトIRA-404、アンバーライトIRA-900、アンバーライトIRA-904、アンバーライトIRA-458、アンバーライトIRA-958、アンバーライトIRA-420、アンバーライトIRA-411及びアンバーライトIRA-910の群から選ばれる1つ以上が例示できる。本実施形態のSDAに含まれる特にN-ヘテロ環状カルベンの収率が高くなる傾向があるため、イオン交換樹脂はアンバーライトIRA-900であることが好ましい。
【0023】
イミダゾリウム塩(2)を含む溶液(以下、「イミダゾリウム塩溶液」ともいう。)は、該イミダゾリウム塩を溶媒に溶解させたものであればよい。溶媒は、イオン交換を阻害しないものであればよく、例えば、エーテル、エステル、アミド、ケトン、ニトリル、アルコール及び水の群から選ばれる1つ以上が挙げられ、アルコールであることが好ましく、メタノール及びエタノールの少なくとも1つであることがより好ましい。
【0024】
イミダゾリウム塩溶液とイオン交換樹脂との接触は公知の方法であればよく、例えば、室温下でイオン交換樹脂を充填したカラムに、イミダゾリウム塩溶液を通液させることが挙げられる。通液後、任意の方法で溶媒を除去し、本実施形態のSDAとすることができ、必要に応じて精製してもよい。また、通液後の溶媒を含んだ状態でも、本実施形態のSDAとすることもできる。
【0025】
本実施形態のSDAの製造方法の別の実施形態として、イミダゾリウム塩(2)と塩基とを反応させる工程、を有する製造方法が挙げられる。
【0026】
イミダゾリウム塩(2)と反応させる塩基は、特に限定するものではないが、有機塩基、無機塩基、金属アルコキシド、アルキル金属化合物、アルカリ土類金属化合物及び金属アミド化合物の群から選ばれる1つ以上が例示できる。該塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド、n-ブチルリチウム及びリチウムヘキサメチルジシラジドの群から選ばれる1つ以上であることが好ましく、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム及びカリウムtert-ブトキシドの群から選ばれる1つ以上であることがより好ましい。反応に用いる塩基の量に特に制限は無いが、反応収率がよい点で、イミダゾリウム塩(2)と塩基とのモル比は、1:1~1:10の範囲にあることが好ましい。
【0027】
イミダゾリウム塩(2)と塩基との反応は溶媒中で行えばよい。該溶媒は反応を阻害しないものが好ましく、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒、ウレア系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール系溶媒及び水の群から選択される1つ以上が挙げられる。好ましい溶媒として芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びスルホキシド系溶媒の群から選ばれる1以上が、より好ましい溶媒としてトルエン、テトラヒドロフラン、メタノール及びジメチルスルホキシドの群から選ばれる1以上が、例示できる。
【0028】
反応温度として-78℃以上200℃以下、好ましくは-40℃以上80℃以下の任意の温度が、反応時間として1時間以上100時間以下が、それぞれ、例示できる。
【0029】
反応後、一般式(1)で表されるN-ヘテロ環状カルベンを単離する工程、を有していてもよい。単離工程において、一般式(1)で表されるN-ヘテロ環状カルベンが反応混合物から単離できればその方法は任意であり、単離方法として、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー及び再結晶の群から選ばれる1つ以上が例示できる。
【0030】
次に、本実施形態のSDAを使用したゼオライトの製造方法について説明する。
【0031】
本実施形態の製造方法は、一般式(1)で表されるN-ヘテロ環状カルベンを含有することを特徴とする有機構造指向剤、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を含む組成物を結晶化させる工程、を有することを特徴とするゼオライトの製造方法、である。
【0032】
一般式(1)で表されるN-ヘテロ環状カルベンを含有することを特徴とする有機構造指向剤、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、及び水を含む組成物(以下、「原料組成物」ともう。)を結晶化させる工程(以下、「結晶化工程」ともいう。)により得られるゼオライトは、小細孔ゼオライトであることが好ましく、少なくともAFX型ゼオライトを含むゼオライトであることがより好ましく、AFX型ゼオライトの単一相からなるゼオライトであることが更に好ましい。
【0033】
本実施形態において、ゼオライトの構造は、国際ゼオライト学会のStructure Commissionが定めているIUPAC構造コード(以下、単に「構造コード」ともいう。)で表される構造であり、例えば、AFX型ゼオライトは、構造コードとしてAFXで表される構造を有するゼオライトである。本実施形態におけるゼオライトは、好ましくは結晶性アルミノシリケートである。
【0034】
シリカ源は、シリカ(SiO)又はその前駆体となるケイ素化合物であり、例えば、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート、沈殿法シリカ、ヒュームドシリカ、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの群から選ばれる1つ以上が挙げられ、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0035】
アルミナ源は、アルミナ(Al)又はその前駆体となるアルミニウム化合物であり、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミノシリケートゲル、結晶性アルミノシリケート及び金属アルミニウムの群から選ばれる1つ以上が挙げられ、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0036】
アルカリ源は、アルカリ金属含有化合物及びアルカリ金属の少なくともいずれかであり、例えば、アルカリ金属の水酸化物及びハロゲン化物の少なくともいずれかであることが好ましい。アルカリ源に含まれるアルカリ金属元素としては、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる少なくとも1つが挙げられ、ナトリウムであることが好ましい。
【0037】
水は、純水、イオン交換水等が挙げられ、SDA、シリカ源、アルミナ源及びアルカリ源等の原料に由来する構造水や水和水、溶媒も含まれる。
【0038】
原料組成物のアルミナに対するシリカのモル比(本明細書中では、「SiO/Al比」ともいう。)は5以上100以下であることが好ましく、10以上50以下であることがより好ましく、15以上40以下であることが更に好ましい。
【0039】
原料組成物のシリカに対するアルカリ金属元素のモル比(本明細書中では、「M/SiO比」ともいい、アルカリ金属元素がナトリウム等の場合は、それぞれ「Na/SiO比」ともいう。)は0.06以上1.0以下であることが好ましく、0.08以上0.60以下であることがより好ましく、0.10以上0.40以下であることが更に好ましい。
【0040】
原料組成物のシリカに対する本実施形態のSDAのモル比(本明細書中では、「SDA/SiO比」ともいう。)は0.01以上2.0以下であることが好ましく、0.02以上1.5以下であることがより好ましく、0.03以上0.50以下であることが更に好ましい。
【0041】
原料組成物のシリカに対する水酸化物イオンのモル比(本明細書中では、「OH/SiO比」ともいう。)は0.06以上1.0以下であることが好ましく、0.08以上0.60以下であることがより好ましく、0.10以上0.40以下であることが更に好ましい。
【0042】
原料組成物のシリカに対する水のモル比(本明細書中では、「HO/SiO比」ともいう。)は5以上60以下であることが好ましく、10以上50以下であることがより好ましく、20以上45以下であることが更に好ましい。
【0043】
原料組成物は、以下のモル組成比を有することが好ましい。
【0044】
SiO/Al比 10以上50以下、
好ましくは15以上40以下
Na/SiO比 0.08以上0.60以下、
好ましくは0.10以上0.40以下
SDA/SiO比 0.02以上1.5以下、
好ましくは0.03以上0.50
OH/SiO比 0.08以上0.60以下、
好ましくは0.10以上0.40以下
O/SiO比 10以上50以下、
好ましくは20以上45以下
原料組成物は種晶を含んでいてもよい。種晶は、その骨格構造に奇数員環を含まないゼオライトであることが好ましく、FAU型ゼオライト、CHA型ゼオライト、AEI型ゼオライト、LEV型ゼオライト、AFX型ゼオライト、ERI型ゼオライト、OFF型ゼオライト、LTL型ゼオライト及びGME型ゼオライトの群から選ばれるいずれか1つ以上であることがより好ましく、CHA型ゼオライト、AEI型ゼオライト、LEV型ゼオライト、AFX型ゼオライト及びERI型ゼオライトの群から選ばれる1つ以上であることが更に好ましく、AFX型ゼオライトであることが更により好ましい。
【0045】
種晶の含有量は、種晶を除く原料組成物中のアルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を、それぞれAl及びSiOとして換算した合計重量に対する、種晶中のアルミニウム及びケイ素を、それぞれAl及びSiOとして換算した合計重量の割合として、0重量%以上10.0重量%以下であることが例示でき、0.5重量%以上5.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上3.5重量%以下であることがより好ましい。
【0046】
結晶化工程における原料組成物の結晶化方法は任意であり、水熱処理が挙げられる。水熱処理は、原料組成物を密閉耐圧容器に入れ、これを加熱すればよい。好ましい水熱処理条件として以下の条件が挙げられる。
【0047】
水熱処理温度 :80℃以上190℃以下、好ましくは150℃以上190℃以下
水熱処理時間 :2時間以上500時間以下、好ましくは5時間以上60時間以下
水熱処理圧力 :自生圧
結晶化は、原料組成物を静置した状態、又は撹拌した状態のいずれであってよい。結晶化されるゼオライトの組成がより均一になる傾向があるため、結晶化は原料組成物が撹拌された状態で行うことが好ましい。
【0048】
本実施形態のゼオライトの製造方法は、洗浄工程、乾燥工程SDA除去工程、イオン交換工程及び遷移金属含有工程の1つ以上を含んでもよい。
【0049】
洗浄工程は、生成物と液相とを固液分離する。洗浄工程は、ゼオライトを回収し、これを純水洗浄等、公知の方法で洗浄すればよく、具体的にはゼオライトと液相とを固体分離・回収し、ゼオライトを十分量の純水と接触させることが例示できる。
【0050】
乾燥工程は、ゼオライトの水分を除去する。乾燥条件は任意であるが、大気中、100℃以上150℃以下で2時間以上ゼオライトを処理することが例示できる。
【0051】
SDA除去工程では、ゼオライトに残存するSDAを除去する。SDA除去方法は任意であり、焼成及び分解の少なくともいずれかが例示できる。焼成でSDAを除去する場合、焼成条件として、大気中、400℃以上800℃以下、好ましくは500℃以上700℃以下、の温度で行うことが好ましい。
【0052】
イオン交換工程は、ゼオライトの任意のカチオンタイプとする。例えば、ナトリウム型のゼオライトを、アンモニウムイオンを含有する水溶液と接触させることで、そのカチオンタイプをアンモニウム型(NH 型)とすることや、NH 型のゼオライトを大気中、500℃以上700℃以下で焼成することで、そのカチオンタイプをプロトン型(H型)とすることができる。
【0053】
遷移金属含有工程は、ゼオライトを遷移金属で修飾し、遷移金属含有ゼオライトとする。遷移金属は、周期表の8族、9族、10族及び11族からなる群の1種以上の遷移金属が例示でき、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びインジウム(In)の群から選ばれる1つ以上であることが好ましく、鉄及び銅の少なくともいずれかであることがより好ましい。遷移金属の修飾方法は任意であるが、これらの遷移金属を含む硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、錯塩、酸化物及び複合酸化物の群から選ばれる1つ以上を、ゼオライトと接触させればよい。接触方法としては、イオン交換法、含浸担持法、蒸発乾固法、沈殿担持法及び物理混合法の群から選ばれる1つ以上が例示できる。
【0054】
本実施形態の製造方法によりゼオライトが得られ、少なくとも小細孔ゼオライトを含むゼオライトが得られることが好ましい。当該ゼオライトのSiO/Al比は10以上50以下、好ましくは12以上30以下であることが挙げられる。
【0055】
本実施形態の製造方法により得られるゼオライトは、触媒、吸着剤及びこれらの担体等、ゼオライトの公知の用途に使用することができる。さらに、遷移金属が修飾されたゼオライトは、各種の触媒、好ましくは窒素酸化物還元触媒、として使用することができる。
【実施例
【0056】
次に、本実施形態について実施例を用いて説明する。しかしながら、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
(H-NMR)
AscendTM AVANCE III HD(400MHz、Bruker製)又はUltraShieldTM Plus AVANCE III(400MHz、Bruker製)を使用して、試料のH-NMR測定を行った。測定データは、化学シフト、シグナル多重度、カップリング定数(Hz)、積分値の順に記載した。
(粉末X線回折)
一般的なX線回折装置(装置名:Ultima IV、RIGAKU製)を使用し、試料のXRD測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
【0057】
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : ステップスキャン
スキャン幅 : 0.02°
発散スリット: 1.00deg
散乱スリット: 開放
受光スリット: 開放
計測時間 : 1.0分
測定範囲 : 2θ=3.0°~43.0°
得られたXRDのパターンとIZAのStructure Commissionのホーム-ページに掲載されたXRDパターンとを比較することによって、試料の結晶相及びXRDピーク強度比を確認した。
(ケイ素、アルミニウムの定量)
一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(装置名:OPTIMA3300DV、PERKIN ELMER製)を用いて、試料の組成分析を行った。試料をフッ酸と硝酸の混合溶液に溶解させ、測定溶液を調製した。得られた測定溶液を装置に投入して試料の組成を分析した。得られたケイ素(Si)、アルミニウム(Al)のモル濃度から、SiO/Al比を算出した。
【0058】
合成例1(1-(1-アダマンチル)イミダゾールの合成)
以下の反応により、1-(1-アダマンチル)イミダゾールを合成した。
【0059】
【化5】
【0060】
すなわち、1-アダマンチルアミン(9.07g,60mmol)及び酢酸アンモニウム(4.62g,60mmol)の酢酸(15.0mL,270mmol)懸濁液と、ホルムアルデヒド(35%水溶液,4.4mL,60mmol)及びグリオキサール(40%水溶液,6.8mL,60mmol)の酢酸(15.0mL,270mmol)溶液をそれぞれ40℃で5分間撹拌した。ホルムアルデヒドとグリオキサールの酢酸溶液を1-アダマンチルアミンと酢酸アンモニウムの酢酸懸濁液に90℃で加え、さらに5時間撹拌した。反応溶液を水酸化ナトリウム水溶液に氷冷下で注ぎいれ、有機層をクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体を昇華(210℃/0.6mmHg)することにより、1-(1-アダマンチル)イミダゾールの白色固体(1.80g,収率14%)を得た。1-(1-アダマンチル)イミダゾールのNMRスペクトルを以下に示す。
【0061】
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):7.64(s,1H),7.07(t,J=1.3Hz,1H),7.06(d,J=3.7Hz,1H),2.23(s,3H),2.09(s,3H),2.08(s,3H),1.78(t,J=12.6Hz,3H),1.76(t,J=12.6Hz,3H)。
【0062】
合成例2(p-トルエンスルホン酸シクロヘプチルの合成)
以下の反応により、p-トルエンスルホン酸シクロヘプチルを合成した。
【0063】
【化6】
【0064】
(式中のTsはp-トルエンスルホニル基を表す、以下同じ。)
すなわち、シクロヘプタノール(3.9mL,33mmol)とp-トルエンスルホン酸クロリド(5.72g,30mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、氷浴下でトリエチルアミン(4.6mL,33mmol)と1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(0.34g,3.0mmol)を順次ゆっくりと加えた後、室温で24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に氷冷下で注ぎいれ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、有機層から溶媒を留去して粗生成物とした。これをシリカクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、淡黄色油状のp-トルエンスルホン酸シクロヘプチル(5.11g,収率63%)を得た。p-トルエンスルホン酸シクロヘプチルのNMRスペクトルを以下に示す。
【0065】
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):7.88(d,J=8.1Hz,2H),7.33(d,J=8.1Hz,2H),4.87(tt,J=4.8,7.8Hz,1H),2.44(s,3H),1.93~1.70(m,4H),1.69~1.58(m,2H),1.54~1.45(m,4H),1.42~1.28(m,2H)。
【0066】
合成例3(N-(1-アダマンチル)-N’-シクロヘプチルイミダゾリウム=クロリドの合成)
【0067】
【化7】
【0068】
1-(1-アダマンチル)イミダゾール(2.09g,10mmol)のアセトニトリル(11mL)溶液に、p-トルエンスルホン酸シクロヘプチル(2.79g,10mmol)を加え、18時間加熱還流した。反応後に反応液から減圧下で溶媒を留去したのち、得られた固体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、有機層から溶媒を留去して、N-(1-アダマンチル)-N’-シクロヘプチルイミダゾリウム=p-トルエンスルホナートの黄色固体を得た。
【0069】
得られたN-(1-アダマンチル)-N’-シクロヘプチルイミダゾリウム=p-トルエンスルホナートのアセトン(22mL)溶液に塩化リチウム(1.33g,31mmol)を加え、50℃で2時間撹拌した。反応後に反応液から減圧下で溶媒を留去し、クロロホルムで洗浄した後にろ液から減圧下で溶媒を留去し、固体をアセトンで洗浄して、N-(1-アダマンチル)-N’-シクロヘプチルイミダゾリウム=クロリドの白色固体(1.09g,収率31%)を得た。N-(1-アダマンチル)-N’-シクロヘプチルイミダゾリウム=クロリドのNMRスペクトルを以下に示す。
【0070】
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):11.27(s,1H),7.25(s,1H),7.19(s,1H),5.13(sep,J=4.5Hz,1H),2.31(s,3H),2.24(s,3H),2.23(s,3H),2.22~2.14(m,4H),2.04~1.90(m,4H),1.87~1.58(m,4H),1.78(s,6H)。
【0071】
合成例4
【0072】
【化8】
【0073】
N-(1-アダマンチル)イミダゾール(374mg,1.85mmol)のトルエン(1.9mL)溶液にブロモシクロヘプタン(0.33mL,2.22mmol)を加え、加熱還流下にて15.5時間撹拌した。反応溶液から溶媒を留去して得られた固体をクロロホルム(5.0mL)に溶かし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2.0mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体をジエチルエーテルで洗浄することで、N-(1-アダマンチル)-N’-シクロヘプチルイミダゾリウム=ブロミドの白色固体(236mg,収率34%)を得た。N-(1-アダマンチル)-N’-シクロヘプチルイミダゾリウム=ブロミドのNMRスペクトルを以下に示す。
【0074】
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):10.82(dd,J=1H),7.32(dd,J=1.7,1.6,1H),7.26(dd,J=1.7,1.6,1H),5.17(tt,J=10.5,4.5Hz,1H),2.32(s,3H),2.28~2.18(m,8H),1.95(m,2H),1.86~1.55(m,14H)。
<有機構造指向剤の合成>
実施例1
以下の反応により、本実施例の有機構造指向剤を得た。
【0075】
【化9】
【0076】
すなわち、合成例4で得た1-(1-アダマンチル)-3-シクロヘプチルイミダゾリウム=ブロミド(2.37g,6.27mmol)のメタノール溶液を、陰イオン交換樹脂(アンバーライト IRA-900 OH型,190cm)を充填したカラムに流通させた。流通後の溶液からメタノールを留去し、1-(1-アダマンチル)-3-シクロヘプチルイミダゾール-2-イリデンを含む、本実施例のゼオライト製造用有機構造指向剤を得た。1-(1-アダマンチル)-3-シクロヘプチルイミダゾリウム=ブロミドに対する1-(1-アダマンチル)-3-シクロヘプチルイミダゾール-2-イリデンのモル収率は36%(0.67g)であった。
【0077】
1-(1-アダマンチル)-3-シクロヘプチルイミダゾール-2-イリデンのNMRスペクトルは、以下の通りである。
【0078】
H-NMR(400MHz,DO)δ(ppm):7.53(d,J=2.0Hz,1H),7.42(d,J=2.0Hz,1H),4.30(tt,J=4.2,10.4Hz,1H),2.12(m,3H),2.002(m,3H),1.997(m,3H),1.81(dq,J=3.3,10.4Hz,4H),1.65(m,3H),1.62(m,3H),1.55~1.35(m,8H)。
【0079】
実施例2
以下の反応により、本実施例の有機構造指向剤を得た。
【0080】
【化10】
【0081】
すなわち、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム=ブロミド(5.00g,12.0mmol)のメタノール溶液を、陰イオン交換樹脂(アンバーライト IRA-900 OH型,190cm)を充填したカラムに流通させた。流通後の溶液からメタノールを留去して1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾール-2-イリデンを含む、本実施例のゼオライト製造用有機構造指向剤を得た。1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウム=ブロミドに対する1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾール-2-イリデンのモル収率は89%(3.57g)であった。
【0082】
1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾール-2-イリデンのNMRスペクトルは、以下の通りである。
【0083】
H-NMR(400MHz,DO)δ(ppm):7.62(s,2H),2.18(m,6H),2.072(s,6H),2.066(s,6H),1.71(m,6H),1.68(m,6H)。
<ゼオライトの合成>
実施例3
Y型ゼオライト(商品名:HSZ-350HUA、東ソー製)を0.44mol/L硫酸水溶液中で、室温で一晩撹拌処理した。処理後のY型ゼオライト、実施例1で得られSDA、純水及び48%水酸化ナトリウム水溶液を混合し、以下の組成を有する原料組成物を得た。
【0084】
SiO/Al比 = 24.9
OH/SiO比 = 0.35
Na/SiO比 = 0.35
SDA/SiO比 = 0.10
O/SiO比 = 40
種晶含有量が3.0重量%となるように、種晶(AFX型ゼオライト)を原料組成物添加及び撹拌した後、ステンレス製オートクレーブに密閉した。オートクレーブを回転させながら、180℃で48時間加熱することで原料組成物を水熱処理した。得られた結晶化物を濾過、洗浄、及び大気中110℃で一晩乾燥し、本実施例のゼオライトを得た。本実施例のゼオライトは、AFX型ゼオライトとMOR型ゼオライトが混合したゼオライトからなり、そのSiO/Al比は19.7であった。
【0085】
実施例4
実施例2で得られた有機構造指向剤を使用したこと以外は実施例3と同様な方法によって、種晶含有量が3.0質量%であり、以下の組成を有する原料組成物を得た。
【0086】
SiO/Al比 = 24.9
OH/SiO比 = 0.35
Na/SiO比 = 0.35
SDA/SiO比 = 0.10
O/SiO比 = 40
当該原料組成物を使用したこと以外は実施例3と同様な方法で本実施例のゼオライトを得た。本実施例のゼオライトは、AFX型ゼオライトの単一相からなり、そのSiO/Al比は16.0であった。
【0087】
実施例5
アルミノシリケートゲル(SiO/Al比=22.8)、実施例1で得られた有機構造指向剤、純水、及び、48%水酸化ナトリウム水溶液を混合し、種晶含有量が3.0質量%であり、以下の組成を有する原料組成物を得た。
【0088】
SiO/Al比 = 22.8
OH/SiO比 = 0.15
Na/SiO比 = 0.15
SDA/SiO比 = 0.05
O/SiO比 = 40
当該原料組成物を使用したこと以外は実施例3と同様な方法で本実施例のゼオライトを得た。本実施例のゼオライトは、AFX型ゼオライトの単一相からなり、そのSiO/Alは20.9であった。
【0089】
実施例6
実施例5と同様の方法により、種晶含有量が3.0質量%であり、以下の組成を有する原料組成物を得た。
【0090】
SiO/Al比 = 22.8
OH/SiO比 = 0.20
Na/SiO比 = 0.20
SDA/SiO比 = 0.05
O/SiO比 = 40
当該原料組成物を使用したこと以外は実施例3と同様な方法で本実施例のゼオライトを得た。本実施例のゼオライトは、AFX型ゼオライトの単一相からなり、そのSiO/Alは18.4であった。
【0091】
実施例7
実施例5と同様の方法により、種晶含有量が3.0質量%であり、以下の組成を有する原料組成物を得た。
【0092】
SiO/Al = 22.8
OH/SiO = 0.25
Na/SiO = 0.25
SDA/SiO = 0.05
O/SiO = 40
当該原料組成物を使用したこと以外は実施例3と同様な方法で本実施例のゼオライトを得た。本実施例のゼオライトは、AFX型ゼオライトの単一相からなり、そのSiO/Alは17.5であった。
【0093】
実施例の結果より、本実施形態のSDAは、ゼオライト製造用の有機構造指向剤として機能し、これを含む原料組成物からゼオライト、特に小細孔ゼオライトであるAFX型ゼオライトを含むゼオライトが結晶化することがわかる
図1
図2
図3
図4