(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】加工方法及び加工装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/12 20060101AFI20231020BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
B24B49/12
H01L21/78 N
(21)【出願番号】P 2020013520
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 芳昌
(72)【発明者】
【氏名】梶原 佑介
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-82644(JP,A)
【文献】特開2000-216227(JP,A)
【文献】特開2009-130287(JP,A)
【文献】特開2010-87141(JP,A)
【文献】特開2018-6520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/12、27/06
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に加工を施す加工方法であって、
少なくとも保持面の一部に透明部材からなる透明部を有した保持テーブルの該透明部の異物を撮像し異物撮像画像を形成するテーブル撮像ステップと、
該テーブル撮像ステップを実施した後、被加工物を該保持テーブルで保持する保持ステップと、
該保持テーブルで保持された被加工物を、該透明部を介して撮像し被加工物撮像画像を形成する被加工物撮像ステップと、
該保持テーブルで保持された被加工物に加工ユニットで加工を施す加工ステップと、を備え、
該被加工物撮像ステップでは該テーブル撮像ステップで撮像した該透明部の該異物を除いて撮像する、加工方法。
【請求項2】
該異物撮像画像から該異物の位置を特定し、該被加工物撮像ステップでは、該異物の位置を避けて撮像する、請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
該異物撮像画像をもとに該被加工物撮像画像上から該異物を除く画像処理ステップを更に備えた、請求項1に記載の加工方法。
【請求項4】
該被加工物撮像ステップを実施した後、該加工ステップを実施する前に、該被加工物撮像画像をもとに被加工物の加工位置を特定する加工位置特定ステップを更に備えた、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項5】
該被加工物撮像ステップを実施した後、該加工ステップの実施中または実施後に、該被加工物撮像画像をもとに被加工物の加工状態を確認する確認ステップを更に備えた、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の加工方法に用いられる加工装置であって、
少なくとも保持面の一部に透明部材からなる透明部を有した保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された被加工物に加工を施す加工ユニットと、
該異物を検出する検出用カメラと、を備えた、加工装置。
【請求項7】
該保持テーブルで保持された被加工物の被保持面を該透明部を介して撮像する被加工物撮像カメラを更に有し、
該検出用カメラは、該保持テーブルを挟んで該被加工物撮像カメラと反対側に配置される、請求項6に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工方法及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切削装置等の被加工物を加工する加工装置は、切削ブレードなどの加工手段の被加工物への加工位置を特定するためや加工結果である切削溝を確認することがある。加工装置は、被加工物を下方から撮像することを可能とするために、被加工物を保持する保持テーブルが透明な部材で構成された透明部を備えるものが用いられる場合がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-87141号公報
【文献】特開2010-82644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した加工装置は、保持テーブルの保持面に傷が形成されている状態や汚れが付着した状態で被加工物を撮像すると、撮像画像上に傷や汚れが写り込む。前述した加工装置は、汚れや傷が写り込んだ撮像画像をもとに加工位置の特定や加工結果の確認を行うと、正確な加工位置の特定や加工結果の把握ができないおそれがあり、改善が切望されている。このように、前述した加工装置は、透明部越しに撮像した被加工物の検出結果が悪化する恐れがあった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、透明部越しに撮像した被加工物の検出結果の悪化を抑制することができる加工方法及び加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工方法は、被加工物に加工を施す加工方法であって、少なくとも保持面の一部に透明部材からなる透明部を有した保持テーブルの該透明部の異物を撮像し異物撮像画像を形成するテーブル撮像ステップと、該テーブル撮像ステップを実施した後、被加工物を該保持テーブルで保持する保持ステップと、該保持テーブルで保持された被加工物を、該透明部を介して撮像し被加工物撮像画像を形成する被加工物撮像ステップと、該保持テーブルで保持された被加工物に加工ユニットで加工を施す加工ステップと、を備え、該被加工物撮像ステップでは該テーブル撮像ステップで撮像した該透明部の該異物を除いて撮像することを特徴とする。
【0007】
前記加工方法において、該異物撮像画像から該異物の位置を特定し、該被加工物撮像ステップでは、該異物の位置を避けて撮像しても良い。
【0008】
前記加工方法において、該異物撮像画像をもとに該被加工物撮像画像上から該異物を除く画像処理ステップを更に備えても良い。
【0009】
前記加工方法において、該被加工物撮像ステップを実施した後、該加工ステップを実施する前に、該被加工物撮像画像をもとに被加工物の加工位置を特定する加工位置特定ステップを更に備えても良い。
【0010】
前記加工方法において、該被加工物撮像ステップを実施した後、該加工ステップの実施中または実施後に、該被加工物撮像画像をもとに被加工物の加工状態を確認する確認ステップを更に備えても良い。
【0011】
本発明の加工装置は、前記加工方法に用いられる加工装置であって、少なくとも保持面の一部に透明部材からなる透明部を有した保持テーブルと、該保持テーブルで保持された被加工物に加工を施す加工ユニットと、該異物を検出する検出用カメラと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記加工装置において、該保持テーブルで保持された被加工物の被保持面を該透明部を介して撮像する被加工物撮像カメラを更に有し、該検出用カメラは、該保持テーブルを挟んで該被加工物撮像カメラと反対側に配置されても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、透明部越しに撮像した被加工物の検出結果の悪化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された加工装置の保持ユニットと撮像カメラを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3に示された加工方法のテーブル撮像ステップを一部断面で示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示された加工方法のテーブル撮像ステップで得た異物撮像画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図3に示された加工方法の保持ステップを一部断面で示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図6中のVII部を拡大して一部断面で示す側面図である。
【
図8】
図8は、
図3に示された加工方法の被加工物撮像ステップを一部断面で示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図3に示された加工方法の被加工物撮像ステップで得た被加工物撮像画像を示す図である。
【
図10】
図10は、
図3に示された加工方法の加工ステップを一部断面で示す側面図である。
【
図11】
図11は、
図3に示された加工方法の第2被加工物撮像ステップで得た被加工物撮像画像を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態2に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態3に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、
図13に示された加工方法の第2被加工物撮像ステップで得た被加工物撮像画像を示す図である。
【
図15】
図15は、
図14に示された被加工物撮像画像から異物を除去した被加工物撮像画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された加工装置の保持ユニットと撮像カメラを示す斜視図である。
【0017】
実施形態1に係る加工装置1は、実施形態1に係る加工方法に用いられる加工装置であって、被加工物200を切削(加工に相当する)する切削装置である。
図1に示された加工装置1の加工対象の被加工物200は、シリコン、サファイヤ、ガリウムヒ素、又はSiC(炭化ケイ素)等などを基板201とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。被加工物200は、基板201の表面202に複数のストリート203によって格子状に区画された領域にデバイス204が形成されている。
【0018】
デバイス204は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。実施形態1では、被加工物200は、基板201の表面202の裏側の裏面205に金属膜206が形成されている。被加工物200は、裏面205に金属膜206が形成されているので、裏面205側から赤外線カメラで撮像しても、ストリート203を検出することができないものである。
【0019】
実施形態1において、被加工物200は、外周縁に環状フレーム210が装着されたテープ211に表面202が貼着されて、環状フレーム210に支持されて、裏面205側の金属膜206を上方に向けている。なお、実施形態1では、被加工物200は、基板201の裏面205に金属膜206が形成されているが、本発明では、金属膜206が形成されていなくても良く、テープ211に裏面205が貼着されて、表面202側を上方に向けていても良い。
【0020】
図1に示された加工装置1は、被加工物200を保持ユニット10の保持テーブル12で保持しストリート203に沿って切削ブレード21で切削して、個々のデバイス204に分割する切削装置である。加工装置1は、
図1に示すように、保持ユニット10と、切削ユニット20と、移動ユニット30と、上方カメラ40と、検出用カメラ60と、制御ユニット100とを備える。
【0021】
保持ユニット10は、
図2に示すように、移動ユニット30のX軸移動ユニット31により水平方向と平行なX軸方向に移動される筐体11と、筐体11上に鉛直方向に沿うZ軸方向と平行な軸心回りに回転可能に設けられた保持テーブル12と、保持テーブル12の保持面124の周囲に複数設けられたフレーム固定部13とを備える。
【0022】
実施形態1では、筐体11は、X軸移動ユニット31によりX軸方向に移動されかつ水平方向と平行な下板111と、下板111の外縁から立設した側板112と、外縁が側板112の上端に連なりかつ下板111と平行な上板113とを備える。
【0023】
保持テーブル12は、被加工物200を保持面124上に保持するとともに上板113に軸心回りに回転自在に支持されている。保持テーブル12は、上板113にZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に支持された円環状の支持部材121と、支持部材121上に設けられた円環状の枠体122と、枠体122の内側に嵌め込まれた円板状の透明部123とを有する。保持テーブル12は、支持部材121と、枠体122と、透明部123とが互いに同軸となる位置に配置されている。
【0024】
透明部123は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の透明な透明部材からなり、上面が被加工物200を保持する保持面124である。保持面124は、吸引溝125が複数形成され、実施形態1では、複数の吸引溝125は、保持面124の外縁部に同心円上に配置された互い直径が異なる円形に形成されている。保持テーブル12は、保持面124上にテープ211を介して被加工物200の表面202側が載置される。実施形態1では、保持テーブル12は、保持面124の全体に透明部材からなる透明部123を有するが、本発明では、少なくとも保持面124の一部に透明部材からなる透明部123を有しても良い。
【0025】
フレーム固定部13は、支持部材121の外縁部に配置され、上面に環状フレーム210が載置されるフレーム支持部131と、フレーム支持部131の上面に載置された環状フレーム210を吸引保持するバキュームパッド132とを備える。
【0026】
保持テーブル12は、吸引溝125及びバキュームパッド132が図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面124に載置された被加工物200を保持面124に吸引保持するとともにフレーム支持部131の上面に載置された環状フレーム210をフレーム固定部13に吸引保持する。実施形態1では、保持テーブル12は、テープ211を介して被加工物200の表面202側を保持面124に吸引保持するとともに、テープ211を介して環状フレーム210をフレーム固定部13に吸引保持する。また、実施形態1では、保持ユニット10は、筐体11の上板113に円形の貫通穴114を設けている。貫通穴114は、保持テーブル12の支持部材121と枠体122と透明部123と互いに同軸となる位置に配置されている。
【0027】
移動ユニット30は、
図2に示す加工送りユニットであるX軸移動ユニット31と、
図1に示す割り出し送りユニットであるY軸移動ユニット32と、
図1に示す切り込み送りユニットであるZ軸移動ユニット33と、
図2に示す保持テーブル12をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット34とを備える。
【0028】
X軸移動ユニット31は、保持ユニット10の筐体11の下板111をX軸方向に移動させることで、保持テーブル12と切削ユニット20とをX軸方向に相対的に移動させるものである。X軸移動ユニット31は、保持テーブル12に被加工物200が搬入出される搬入出領域4と、被加工物200に保持された被加工物200が切削加工される加工領域5とに亘って保持テーブル12をX軸方向に移動させる。Y軸移動ユニット32は、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に移動させることで、保持テーブル12と切削ユニット20とをY軸方向に相対的に移動させるものである。Z軸移動ユニット33は、切削ユニット20をZ軸方向に移動させることで、保持テーブル12と切削ユニット20とをZ軸方向に相対的に移動させるものである。
【0029】
X軸移動ユニット31、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び保持テーブル12又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0030】
回転移動ユニット34は、保持テーブル12をZ軸方向と平行な軸心回りに回転するものである。回転移動ユニット34は、保持テーブル12を軸心回りに180度を超え、360度未満の範囲で回転する。回転移動ユニット34は、筐体11の側板112に固定されたモータ341と、モータ341の出力軸に連結されたプーリ342と、保持テーブル12の支持部材121の外周に巻回されかつプーリ342により軸心回りに回転されるベルト343とを備えている。回転移動ユニット34は、モータ341を回転すると、プーリ342及びベルト343を介して保持テーブル12を軸心回りに回転する。また、実施形態1では、回転移動ユニット34は、軸心回りの一方向と、一方向の逆方向の他方向との双方において、保持テーブル12を220度回転させることが可能である。
【0031】
切削ユニット20は、保持テーブル12で保持された被加工物200に切削ブレード21で切削を施す加工ユニットである。切削ユニット20は、保持テーブル12に保持された被加工物200に対して、Y軸移動ユニット32によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33などを介して、装置本体2から立設した支持フレーム3に設けられている。
【0032】
切削ユニット20は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33により、保持テーブル12の保持面124の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。切削ユニット20は、切削ブレード21と、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられかつモータにより回転されるとともに先端に切削ブレード21が装着されるスピンドル23と、切削水ノズル24とを備える。
【0033】
切削ブレード21は、保持テーブル12で保持された被加工物200を切削するものであって、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、円環状の円形基台と、円形基台の外周縁に配設されて被加工物200を切削する円環状の切り刃とを備える所謂ハブブレードである。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃のみで構成された所謂ワッシャーブレードでもよい。
【0034】
スピンドル23は、モータにより軸心回りに回転することで、切削ブレード21を軸心回りに回転させる。なお、切削ユニット20の切削ブレード21及びスピンドル23の軸心は、Y軸方向と平行である。切削水ノズル24は、スピンドルハウジング22の先端に設けられ、切削ブレード21による被加工物200の切削中に被加工物200及び切削ブレード21に切削水を供給するものである。
【0035】
上方カメラ40は、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20に固定されている。上方カメラ40は、保持テーブル12に保持された被加工物200を上方から撮像する撮像素子を複数備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。上方カメラ40は、保持テーブル12に保持された被加工物200を撮像して、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0036】
実施形態1では、検出用カメラ60は、搬入出領域4に位置付けられた保持テーブル12の上方に配置されている。検出用カメラ60は、保持テーブル12の透明部123を上方から撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。検出用カメラ60は、保持テーブル12の透明部123を撮像して、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0037】
なお、実施形態1では、検出用カメラ60は、搬入出領域4に位置付けられた保持テーブル12の保持面124を1度に撮像可能な視野を有しているが、本発明では、これに限定されずに、保持テーブル12の保持面124よりも視野が狭く、保持面124を複数回に分けて撮像してもよい。また、本発明では、検出用カメラ60は、搬入出領域4に位置付けられた保持テーブル12の上方に限らずX軸移動ユニット31による移動範囲内のいずれかに位置付けられた保持テーブル12の透明部123を撮像可能な範囲に配置されていれば良い。
【0038】
また、検出用カメラ60が撮像して得た画像は、撮像素子の各画素が受光した光の強さを複数段階(例えば256段階)の階調で規定している。即ち、検出用カメラ60が撮像して得た画像は、各画素の受光した光の強さに応じた段階で光の強弱が示された画像、即ち、濃淡を有する画像となっている。検出用カメラ60は、保持テーブル12の透明部123を撮像して透明部123上の異物301,302(
図5に示す)を検出するものである。なお、本発明でいう異物301,302とは、検出用カメラ60で透明部123を撮像した際に、撮像して得た画像の透明部123の他の部分との光に強さの差が所定値以上であるものをいい、例えば、透明部123の汚れ又は透明部123に形成された傷をいう。
【0039】
また、加工装置1は、
図2に示すように、保持テーブル12で保持された被加工物200の被保持面である表面202を透明部123を介して撮像する被加工物撮像カメラ50を更に有する。被加工物撮像カメラ50は、保持テーブル12に保持された被加工物200の表面202側を透明部123越しに被加工物200の下方から撮像するものである。被加工物撮像カメラ50が透明部123越しに被加工物200の下方から撮像するものであるため、検出用カメラ60は、保持テーブルを挟んで被加工物撮像カメラ50と反対側に配置される。
【0040】
実施形態1では、被加工物撮像カメラ50は、保持ユニット10のY軸方向の隣りに配置されている。また、被加工物撮像カメラ50は、装置本体2に設けられた第2Y軸移動ユニット35によりY軸方向に移動自在に配置され、第2Y軸移動ユニット35によりY軸方向に移動される移動プレート36から立設した立設柱37に設けられた第2Z軸移動ユニット38によりZ軸方向に移動自在に配置されている。実施形態1では、被加工物撮像カメラ50は、第2Z軸移動ユニット38によりZ軸方向に移動自在な昇降部材に一端が取り付けられた水平延在部材39の他端に取り付けられている。
【0041】
第2Y軸移動ユニット35及び第2Z軸移動ユニット38は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ、移動プレート又は被加工物撮像カメラ50をY軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールとを備える。
【0042】
被加工物撮像カメラ50は、保持テーブル12に保持された被加工物200を透明部123越しに下方から撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。被加工物撮像カメラ50は、保持テーブル12に保持された被加工物200を撮像して、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0043】
また、加工装置1は、保持テーブル12のX軸方向の位置を検出するためX軸方向位置検出ユニット51(
図2に示す)と、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット51及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット51、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル12のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。
【0044】
また、加工装置1は、被加工物撮像カメラ50のY軸方向の位置を検出する第2Y軸方向位置検出ユニット55(
図2に示す)を備える。第2Y軸方向位置検出ユニット55は、Y軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。第2Y軸方向位置検出ユニット55は、被加工物撮像カメラ50のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。なお、各位置検出ユニット51,55が検出した各軸方向の保持テーブル12、切削ユニット20及び撮像カメラの位置は、加工装置1の予め定められた基準位置を基準として定められる。即ち、実施形態1に係る加工装置1は、予め定められた基準位置を基準として各位置が定められる。
【0045】
また、加工装置1は、切削前後の被加工物200を複数枚収容するカセット90が載置されかつカセット90をZ軸方向に移動させるカセットエレベータ91と、切削後の被加工物200を洗浄する洗浄ユニット92と、カセット90に被加工物200を出し入れするとともに被加工物200を搬送する図示しない搬送ユニットとを備える。
【0046】
制御ユニット100は、加工装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を入出力インターフェース装置を介して加工装置1の上述した構成要素に出力する。
【0047】
また、加工装置1は、制御ユニット100に接続されかつ加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、制御ユニット100に接続されかつオペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。実施形態1において、入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0048】
次に、実施形態1に係る加工方法を図面に基づいて説明する。
図3は、実施形態1に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係る加工方法は、前述した加工装置1で1枚の被加工物200に切削を施す方法であり、加工装置1の加工動作でもある。まず、オペレータが、加工内容情報を制御ユニット100に登録し、切削加工前の被加工物200を複数収容したカセット90をカセットエレベータ91に設置する。
【0049】
なお、加工内容情報は、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせ、即ち被加工物200の加工位置を特定するアライメントを遂行する際に、被加工物撮像カメラ50が撮像する被加工物200の位置である撮像位置と、被加工物200に形成した切削溝400(
図10に示す)の所望の位置からのズレ及び切削溝400の両縁に生じるチッピングの大きさ等が所定の範囲内であるか否かの被加工物200の加工状態を確認するカーフチェックを遂行する際に、被加工物撮像カメラ50が撮像する被加工物200の位置である撮像位置と、を含んでいる。
【0050】
その後、加工装置1は、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると実施形態1に係る加工方法を開始する。実施形態1に係る加工方法は、
図3に示すように、テーブル撮像ステップST1と、保持ステップST2と、撮像位置決定ステップST3と、被加工物撮像ステップST4と、加工位置測定ステップST5と、加工ステップST6と、第2被加工物撮像ステップST7と、確認ステップST8と、洗浄搬送ステップST9とを備える。
【0051】
(テーブル撮像ステップ)
図4は、
図3に示された加工方法のテーブル撮像ステップを一部断面で示す側面図である。
図5は、
図3に示された加工方法のテーブル撮像ステップで得た異物撮像画像の一例を示す図である。
【0052】
テーブル撮像ステップST1は、保持テーブル12の透明部123の異物301,302を撮像し
図5に示す異物撮像画像300を形成するステップである。テーブル撮像ステップST1では、加工装置1は、
図4に示すように、制御ユニット100がX軸移動ユニット31を制御して、保持テーブル12を搬入出領域4に位置付ける。テーブル撮像ステップST1では、加工装置1は、制御ユニット100が保持テーブル12の透明部123を検出用カメラ60で撮像して、
図5に示す異物撮像画像300を得る。
【0053】
テーブル撮像ステップST1では、加工装置1は、制御ユニット100が検出用カメラ60が撮像して得た異物撮像画像300の透明部123の他の部分を撮像した画素との光に強さの差が所定値以上である画素を抽出して、透明部123上の異物301,302を検出する。
図5に示す例では、異物301として透明部123上の汚れ、異物302として透明部123上の傷を検出する。テーブル撮像ステップST1では、加工装置1が、制御ユニット100が異物撮像画像300を記憶するとともに、検出した異物301,302のX軸方向及びY軸方向の位置を特定し、特定した位置を記憶する。なお、実施形態1では、制御ユニット100は、異物撮像画像300の異物301,302として検出された画素の位置を異物301,302の位置として算出する。実施形態1において、テーブル撮像ステップST1では、加工装置1は、制御ユニット100が異物撮像画像300を記憶し、異物301,302の位置を特定し、記憶すると保持ステップST2に進む。
【0054】
(保持ステップ)
図6は、
図3に示された加工方法の保持ステップを一部断面で示す側面図である。
図7は、
図6中のVII部を拡大して一部断面で示す側面図である。
【0055】
保持ステップST2は、テーブル撮像ステップST1を実施した後、被加工物200を保持テーブル12で保持するステップである。保持ステップST2では、加工装置1は、制御ユニット100が搬送ユニットを制御してカセット90から被加工物200を1枚取り出し、搬入出領域4に位置付けられた保持テーブル12の保持面124に載置する。保持ステップST2では、加工装置1は、制御ユニット100が真空吸引源を制御して、
図6及び
図7に示すように、保持面124にテープ211を介して被加工物200を吸引保持するとともに、フレーム支持部131上にテープ211を介して環状フレーム210を吸引保持して、撮像位置決定ステップST3に進む。
【0056】
(撮像位置決定ステップ)
撮像位置決定ステップST3は、アライメントを遂行する際、即ち被加工物撮像ステップST4において被加工物撮像カメラ50で撮像する被加工物200の位置である撮像位置と、カーフチェックを遂行する際、即ち第2被加工物撮像ステップST7において被加工物撮像カメラ50で撮像する被加工物200の位置である撮像位置とを決定するステップである。
【0057】
撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が加工内容情報として記憶されたアライメントを遂行する際に被加工物撮像カメラ50が撮像する保持テーブル12に保持された被加工物200の撮像位置と、テーブル撮像ステップST1で特定した異物301,302の位置と一致しているか否かを判定する。撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が加工内容情報として記憶されたアライメントを遂行する際の撮像位置と、テーブル撮像ステップST1で特定した異物301,302の位置と一致していないと判定すると、加工内容情報として記憶された撮像位置を被加工物撮像ステップST4の撮像位置と決定する。
【0058】
撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が加工内容情報として記憶されたアライメントを遂行する際の撮像位置と、テーブル撮像ステップST1で特定した異物301,302の位置と一致していると判定すると、加工内容情報として記憶された撮像位置を所定方向に所定距離移動させた位置と、異物301,302の位置と一致しているか否かを判定する。撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が所定方向に所定距離移動させた位置と異物301,302の位置と一致していないと判定するまで、所定方向に所定移動させ、一致していないと判定された位置を被加工物撮像ステップST4の撮像位置と決定する。
【0059】
また、撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が加工内容情報として記憶されたカーフチェックを遂行する際に被加工物撮像カメラ50が撮像する保持テーブル12に保持された被加工物200の撮像位置と、テーブル撮像ステップST1で特定した異物301,302の位置と一致しているか否かを判定する。撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が加工内容情報として記憶されたカーフチェックを遂行する際の撮像位置と、テーブル撮像ステップST1で特定した異物301,302の位置と一致していないと判定すると、加工内容情報として記憶された撮像位置を第2被加工物撮像ステップST7の撮像位置と決定する。
【0060】
また、撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が加工内容情報として記憶されたカーフチェックを遂行する際の撮像位置と、テーブル撮像ステップST1で特定した異物301,302の位置と一致していると判定すると、加工内容情報として記憶された撮像位置を所定方向に所定距離移動させた位置と、異物301,302の位置と一致しているか否かを判定する。撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が所定方向に所定距離移動させた位置と異物301,302の位置と一致していないと判定するまで、所定方向に所定移動させ、一致していないと判定された位置を第2被加工物撮像ステップST7の撮像位置と決定する。撮像位置決定ステップST3では、制御ユニット100が被加工物撮像ステップST4,ST7の撮像位置を決定すると、被加工物撮像ステップST4に進む。
【0061】
(被加工物撮像ステップ)
図8は、
図3に示された加工方法の被加工物撮像ステップを一部断面で示す側面図である。
図9は、
図3に示された加工方法の被加工物撮像ステップで得た被加工物撮像画像を示す図である。
【0062】
被加工物撮像ステップST4は、保持テーブル12で保持された被加工物200を、透明部123を介して被加工物撮像カメラ50で撮像し、
図9に示す被加工物撮像画像500を形成するステップである。実施形態1において、被加工物撮像ステップST4では、加工装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット31及び第2Y軸移動ユニット35を制御して、
図8に示すように、保持テーブル12に保持された被加工物200の撮像位置決定ステップST3において決定された撮像位置の下方に被加工物撮像カメラ50を位置付ける。
【0063】
被加工物撮像ステップST4では、加工装置1は、制御ユニット100が被加工物撮像カメラ50で透明部123越しに下方から被加工物200の撮像位置を撮像し、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するための
図9に示す被加工物撮像画像500を取得して、加工位置特定ステップST5に進む。なお、実施形態1では、
図9に示された被加工物撮像画像500は、光の強さが最も強い位置を白地で示し、光の強さが弱くなるほど密になる平行破線で示しており、ストリート203を白地、デバイス204を粗な平行斜線で示している。
【0064】
このように、実施形態1において、被加工物撮像ステップST4では、撮像位置決定ステップST3において決定された撮像位置を撮像することにより、透明部123の異物301,302の位置を避けて、被加工物200を撮像することとなる。また、被加工物撮像ステップST4では、撮像位置決定ステップST3において決定された撮像位置を撮像することにより、テーブル撮像ステップST1で撮像した透明部123の異物301,302を除いて、透明部123を撮像する。
【0065】
(加工位置特定ステップ)
加工位置特定ステップST5は、被加工物撮像ステップST4を実施した後、加工ステップST6を実施する前に、被加工物撮像画像500をもとに被加工物200の加工位置207を特定、即ちアライメントを遂行するステップである。加工位置特定ステップST5では、加工装置1は、制御ユニット100が、被加工物撮像画像500からストリート203を検出し、切削を施す際の加工位置207(
図9中に破線で示す)を特定してアライメントを遂行する。加工位置特定ステップST5では、加工位置207を特定すると加工ステップST6に進む。なお、実施形態1では、加工位置207は、切削を施す際の切削ブレード21の切り刃の厚み方向の中央が通る位置を示し、ストリート203の幅方向の中央である。
【0066】
(加工ステップ、第2撮像ステップ及び確認ステップ)
図10は、
図3に示された加工方法の加工ステップを一部断面で示す側面図である。
図11は、
図3に示された加工方法の第2被加工物撮像ステップで得た被加工物撮像画像を示す図である。
【0067】
加工ステップST6は、保持テーブル12で保持された被加工物200を切削ユニット20の切削ブレード21で切削を施すステップである。加工ステップST6では、加工装置1は、切削を開始(ステップST61)する。切削を開始すると、加工装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット31を制御して、保持テーブル12を加工領域5まで移動し、制御ユニット100が移動ユニット30及び切削ユニット20を制御して、保持テーブル12と切削ユニット20の切削ブレード21とをストリート203に沿って相対的に移動させ切削水を切削水ノズル24から供給しながらストリート203に切削ブレード21をテープ211に到達するまで切り込ませて、被加工物200に切削溝400を形成する。
【0068】
加工ステップST6では、加工装置1は、制御ユニット100が前回の第2被加工物撮像ステップST7から所定数のストリート203を切削したか否かを判定する(ステップST62)。制御ユニット100が所定数のストリート203を切削していないと判定する(ステップST62:No)と、ステップST62を繰り返す。加工ステップST6では、加工装置1は、制御ユニット100が所定数のストリート203を切削したと判定する(ステップST62:Yes)と、第2被加工物撮像ステップST7に進む。
【0069】
第2被加工物撮像ステップST7は、保持テーブル12で保持された被加工物200を、透明部123を介して被加工物撮像カメラ50で撮像し、
図11に示す被加工物撮像画像501を形成するステップである。実施形態1において、第2被加工物撮像ステップST7では、加工装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット31及び第2Y軸移動ユニット35を制御して、保持テーブル12に保持された被加工物200の撮像位置決定ステップST3において決定された撮像位置の下方に被加工物撮像カメラ50を位置付ける。
【0070】
第2被加工物撮像ステップST7では、加工装置1は、制御ユニット100が被加工物撮像カメラ50で透明部123越しに下方から被加工物200の撮像位置を撮像し、カーフチェックを遂行するための
図11に示す被加工物撮像画像501を取得して、確認ステップST8に進む。なお、実施形態1では、
図11に示された被加工物撮像画像501は、光の強さが最も強い位置を白地で示し、光の強さが弱くなるほど密になる平行破線で示しており、ストリート203を白地、デバイス204を粗な平行斜線で示し、切削溝400を密な平行斜線で示している。
【0071】
このように、実施形態1において、第2被加工物撮像ステップST7では、撮像位置決定ステップST3において決定された撮像位置を撮像することにより、透明部123の異物301,302の位置を避けて、被加工物200を撮像することとなる。また、第2被加工物撮像ステップST7では、撮像位置決定ステップST3において決定された撮像位置を撮像することにより、テーブル撮像ステップST1で撮像した透明部123の異物301,302を除いて、透明部123を撮像する。
【0072】
確認ステップST8は、第2被加工物撮像ステップST7を実施した後、被加工物撮像画像501をもとに被加工物200の加工状態を確認即ちカーフチェックを遂行するステップである。確認ステップST8では、加工装置1は、制御ユニット100が、被加工物200に形成した切削溝400の所望の位置からのズレ及び切削溝400の両縁に生じるチッピング401の大きさ等が所定の範囲内であるか否かを確認する。確認ステップST8では、加工装置1は、制御ユニット100が確認結果を記憶する。
【0073】
すると、加工ステップST6において、加工装置1は、制御ユニット100が切削ユニット20が保持テーブル12で保持された被加工物200の全てのストリート203を切削して切削溝400を形成したか否か、即ち保持テーブル12で保持した被加工物200の切削が終了したか否かを判定する(ステップST63)。加工装置1は、制御ユニット100が保持テーブル12で保持した被加工物200の切削が終了していないと判定する(ステップST63:No)と、ステップST62に戻る。加工装置1は、制御ユニット100が保持テーブル12で保持した被加工物200の切削が終了したと判定する(ステップST63:Yes)と、洗浄搬送ステップST9に進む。
【0074】
なお、前述したステップST61からステップST63において被加工物200の切削が終了したと判定する間、加工装置1が保持テーブル12に保持した被加工物200を切削しているので、ステップST61、ステップST62及びステップST63は、加工ステップST6を構成している。このために、実施形態1では、加工ステップST6の実施中に、第2被加工物撮像ステップST7を実施するとともに、被加工物200の加工状態を確認する確認ステップST8を実施する。
【0075】
(洗浄搬送ステップ)
洗浄搬送ステップST9は、切削後の被加工物200を洗浄ユニット92で洗浄し、カセット90に収容するステップである。洗浄搬送ステップST9では、加工装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット31をして保持テーブル12を搬入出領域4まで移動し、真空吸引源を制御して、被加工物200及び環状フレーム210の吸引保持を停止する。洗浄搬送ステップST9では、加工装置1は、制御ユニット100が搬送ユニットを制御して被加工物200を洗浄ユニット92に搬送し、洗浄ユニット92で洗浄した後、カセット90に収容して、実施形態1に係る加工方法を終了する。加工装置1は、カセット90内の全ての被加工物200を切削するまで
図3に示された加工方法を繰り返す。
【0076】
以上説明した実施形態1に係る加工方法は、テーブル撮像ステップST1において、検出用カメラ60で透明部123を撮像して得た異物撮像画像300をもとに傷や汚れ等の異物301,302を特定する。また、加工方法は、被加工物撮像ステップST4,ST7において異物301,302を除いて透明部123を撮像するので、被加工物撮像画像500,501への異物301,302の映り込みを抑制することができる。その結果、加工方法は、被加工物撮像画像500,501に異物301,302が含まれることがないので、透明部123越しに撮像した被加工物200の検出結果の悪化を抑制することができるという効果を奏する。
【0077】
また、加工方法は、被加工物撮像ステップST4,ST7において異物301,302の位置を避けて透明部123を撮像するので、被加工物撮像画像500,501に異物301,302が含まれることを防止できる。
【0078】
また、実施形態1に係る加工装置1は、実施形態1に係る加工方法を実施するので、透明部123越しに撮像した被加工物200の検出結果の悪化を抑制することができるという効果を奏する。
【0079】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る加工方法を図面に基づいて説明する。
図12は、実施形態2に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
図12は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
実施形態2に係る加工方法は、
図12に示すように、被加工物撮像ステップST4を実施した後、加工ステップST6の実施後に、第2撮像被加工物ステップST7を実施し、被加工物撮像画像501をもとに被加工物200の加工状態を確認する確認ステップST8を実施する事以外、実施形態1と同じである。
【0081】
実施形態2に係る加工方法及び加工装置1は、異物撮像画像300をもとに傷や汚れ等の異物301,302を検出し、被加工物撮像ステップST4,ST7において異物301,302を除いて透明部123を撮像するので、被加工物撮像画像500,501への異物301,302の映り込みを抑制することができ、実施形態1と同様に、透明部123越しに撮像した被加工物200の検出結果の悪化を抑制することができるという効果を奏する。
【0082】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る加工方法を図面に基づいて説明する。
図13は、実施形態3に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
図14は、
図13に示された加工方法の第2被加工物撮像ステップで得た被加工物撮像画像を示す図である。
図15は、
図14に示された被加工物撮像画像から異物を除去した被加工物撮像画像を示す図である。
図13、
図14及び
図15は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0083】
実施形態3に係る加工方法は、
図13に示すように、撮像位置決定ステップST3を備えずに、被加工物撮像ステップST4,ST7を実施した後、画像処理ステップST10を実施する事以外、実施形態1と同じである。
【0084】
画像処理ステップST10は、異物撮像画像300をもとに
図14に一例を示す被加工物撮像画像502から異物301,302を除いて、異物301,302が除去された
図15に一例を示す被加工物撮像画像503を形成するステップである。なお、
図14に示す被加工物撮像画像502は、第2被加工物撮像ステップST7において撮像して得た画像であるが、被加工物撮像ステップST4において撮像して得た画像と同様であるため、第2被加工物撮像ステップST7において撮像して得た画像を代表して説明する。また、被加工物撮像画像502は、異物302を含む例であるが、異物301を含む場合も同様であるので、異物302を含む例を代表して説明する。
【0085】
画像処理ステップST10では、加工装置1は、制御ユニット100が加工内容情報として記憶した撮像位置及びテーブル撮像ステップST1で特定した異物301,302の位置等に基づいて、
図14に一例を示す被加工物撮像画像502が異物302を含んでいるか否かを判定する。画像処理ステップST10では、加工装置1は、制御ユニット100が、
図14に示すように、被加工物撮像画像502が異物302を含んでいると判定した場合、被加工物撮像画像502中の異物302を特定する。画像処理ステップST10では、加工装置1は、制御ユニット100が被加工物撮像画像502から異物302を除いて、
図15に示す異物302が除去された被加工物撮像画像503を形成する。被加工物撮像画像503は、確認ステップST8において用いられる。
【0086】
実施形態3に係る加工方法及び加工装置1は、異物撮像画像300をもとに傷や汚れ等の異物301,302を検出し、被加工物撮像ステップST4,ST7において異物301,302を除いて透明部123を撮像するので、被加工物撮像画像503への異物301,302の映り込みを抑制することができ、実施形態1と同様に、透明部123越しに撮像した被加工物200の検出結果の悪化を抑制することができるという効果を奏する。
【0087】
また、実施形態3に係る加工方法及び加工装置1は、異物撮像画像300もとに被加工物撮像画像502から異物302を除くので、加工位置特定ステップST5及び確認ステップST8において用いられる被加工物撮像画像503に異物302が含まれることを防止できる。また、実施形態3に係る加工方法及び加工装置1は、実施形態2と同様に、加工ステップST6の実施後に、第2撮像被加工物ステップST7、画像処理ステップST10を実施し、被加工物撮像画像503をもとに被加工物200の加工状態を確認する確認ステップST8を実施しても良い。
【0088】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、上記実施形態では、加工装置1は、加工ユニットが切削ブレード21が着脱自在なスピンドル23を有する切削ユニット20であるが、本発明では、切削ユニット20に限定されることなく、レーザー発振器、集光レンズ等を備えたレーザービーム照射ユニットでも良い。即ち、本発明では、加工装置は、レーザー加工装置でも良い。また、本発明では、検出用カメラ60を設けずに、上方カメラ40又は被加工物撮像カメラ50で被加工物200を保持していない保持テーブル12の透明部123を撮像して、異物撮像画像300を形成しても良い。この場合、上方カメラ40又は被加工物撮像カメラ50で保持テーブル12の透明部123を複数回撮像するのが望ましい。
【符号の説明】
【0089】
1 加工装置
12 保持テーブル
20 切削ユニット(加工ユニット)
50 被加工物撮像カメラ
60 検出用カメラ
123 透明部
124 保持面
200 被加工物
202 表面(被保持面)
300 異物撮像画像
301,302 異物
500,501,502,503 被加工物撮像画像
ST1 テーブル撮像ステップ
ST2 保持ステップ
ST4 被加工物撮像ステップ
ST5 加工位置特定ステップ
ST6 加工ステップ
ST7 第2被加工物撮像ステップ(被加工物撮像ステップ)
ST8 確認ステップ
ST10 画像処理ステップ