(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/02 20060101AFI20231020BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
E06B9/02 K
E06B9/02 A
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020045355
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール ヴィンセント アテンディド
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-31194(JP,A)
【文献】実開昭60-19668(JP,U)
【文献】実開昭58-123293(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0194325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
E06B 7/22 - 7/232
E06B 5/00
E05F 11/38 -11/52
H01L 21/00 -21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置であって、
該加工装置は、
被加工物を加工する加工領域と、
該加工領域を区切る仕切り板と、
該仕切り板に形成されたシャッターと、を備え、
該シャッターは、
被加工物が通過する開口と、
該開口に嵌合する板と、
該板を昇降させる昇降ユニットと、を含み、
該開口と該板とは、該開口と該板との底辺が上辺より大きくなるように対向する一対の横の辺が傾斜することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該開口はシール材で囲繞され、該開口を該板で密閉する際に、該シール材に該板が接触することを特徴とする、請求項1に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物に異物が付着しないように、クリーンルーム内に設置される加工装置の場合、加工装置内で被加工物を加工する加工領域が仕切られ、被加工物が通過する開口が設けられている構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開口は、被加工物が通過しない時にはシャッターで封鎖することが好ましい。しかし、シャッターは、従来では、密閉性を高めるために、開口より大きくし、開口の手前で上下動させ、前後に駆動して開口に向けて押し込むことで密閉する機構が一般的であった。このような機構のシャッターは、スペースが限られた加工装置内に設置するのが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来と比較して省スペースのシャッターにより密閉性を高めることができる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、加工装置であって、該加工装置は、被加工物を加工する加工領域と、該加工領域を区切る仕切り板と、該仕切り板に形成されたシャッターと、を備え、該シャッターは、被加工物が通過する開口と、該開口に嵌合する板と、該板を昇降させる昇降ユニットと、を含み、該開口と該板とは、該開口と該板との底辺が上辺より大きくなるように対向する一対の横の辺が傾斜することを特徴とする。
【0007】
該開口はシール材で囲繞され、該開口を該板で密閉する際に、該シール材に該板が接触してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、従来と比較して省スペースのシャッターにより密閉性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す上面図である。
【
図2】
図2は、
図1の加工装置の仕切り板及びシャッターを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る加工装置の構成例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る加工装置1の構成例を示す上面図である。
図2は、
図1の加工装置1の仕切り板7及びシャッター10を示す斜視図である。加工装置1は、
図1に示すように、箱状の筐体2と、加工領域3と、カセット載置領域4と、搬送領域5と、洗浄領域6と、仕切り板7と、シャッター10と、チャックテーブル30と、仮置きテーブル31と、加工ユニット40と、カセット51,52と、搬送装置61,62,63と、洗浄装置71,72と、を備える。加工装置1は、筐体2の内側に、加工領域3と、カセット載置領域4と、搬送領域5と、洗浄領域6との4つの領域を形成している。
【0012】
加工装置1の加工対象である被加工物100は、例えば、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素などを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどのウエーハである。被加工物100は、例えば、平坦な表面の格子状に形成される複数の分割予定ラインによって区画された領域にデバイスが形成されており、表面とは反対側の裏面側から研削される。また、本発明では、被加工物100は、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0013】
加工領域3は、
図1に示すように、加工ユニット40でチャックテーブル30上の被加工物100を加工する領域であり、加工ユニット40による加工を実施する加工実施領域3-1と、チャックテーブル30上に被加工物100を搬入及び搬出する搬出入領域3-2と、を有する。
【0014】
カセット載置領域4は、
図1に示すように、加工前または加工後の被加工物100が収容されるカセット51,52が載置される領域であり、カセット51が載置される第1カセット載置領域4-1と、カセット52が載置される第2カセット載置領域4-2と、を有する。
【0015】
搬送領域5は、
図1に示すように、カセット載置領域4と加工領域3との間で被加工物100を搬送する領域であり、カセット51,52と仮置きテーブル31との間で被加工物100を搬送する搬送装置61が設置されている。
【0016】
洗浄領域6は、
図1に示すように、加工後の被加工物100を洗浄する洗浄装置71,72が設置された領域であり、洗浄装置71が設置された第1洗浄領域6-1と、洗浄装置72が設置された第2洗浄領域6-2と、を有する。
【0017】
加工装置1は、筐体2の内側には、
図1に示すように、板状の仕切り板7を設けている。仕切り板7は、加工領域3を区切る。仕切り板7は、実施形態1では、加工領域3(加工実施領域3-1及び搬出入領域3-2)と搬送領域5との間を仕切っている。仕切り板7には、シャッター10が形成されている。シャッター10は、
図2に示すように、被加工物100が通過する開口10-1が形成されている。シャッター10は、実施形態1では、
図1に示すように、仕切り板7の搬出入領域3-2と搬送領域5との間を仕切っている領域に形成されている。
【0018】
チャックテーブル30は、不図示の吸引源が接続されており、吸引源から供給される負圧によって、水平面であるXY平面に平行に形成された保持面で、被加工物100を吸引保持する。チャックテーブル30は、不図示の回転駆動源により保持面に直交するZ軸回りに回転自在に設けられている。チャックテーブル30は、
図1に示すように、不図示のX軸移動ユニットにより水平方向の一方向であるX軸方向に沿って移動することで、加工実施領域3-1と、搬出入領域3-2との間を行き来する。
【0019】
仮置きテーブル31は、搬出入領域3-2に設置されている。仮置きテーブル31は、水平面であるXYに平行に形成された保持面で、被加工物100を保持する。仮置きテーブル31は、保持面が被加工物100の径方向のサイズよりも小さく形成されており、仮置きされた被加工物100の中心位置合わせを行う。
【0020】
加工ユニット40は、
図1に示すように、加工領域3の加工実施領域3-1内に設けられている。加工ユニット40は、水平方向の別の一方向でありX軸方向に直交するY軸と平行な軸心周りの回転動作が加えられた切削ブレードにより、加工領域3の加工実施領域3-1に位置付けられたチャックテーブル30に保持された被加工物100を切削加工する。
【0021】
搬送装置61は、
図1に示すように、加工前の被加工物100を、カセット載置領域4にあるカセット51,52から搬出し、
図1及び
図2に示すように、シャッター10の開口10-1を通過して、搬出入領域3-2にある仮置きテーブル31上に搬送する。搬送装置61は、加工後かつ洗浄後の被加工物100を、第2洗浄領域6-2にある洗浄装置72から搬出し、カセット載置領域4にあるカセット51,52に搬入する。搬送装置61は、加工前にカセット51に収容されていた加工後かつ洗浄後の被加工物100を、カセット51に搬入し、加工前にカセット52に収容されていた加工後かつ洗浄後の被加工物100を、カセット52に搬入する。
【0022】
搬送装置62は、
図1に示すように、搬出入領域3-2に設置されている。搬送装置62は、仮置きテーブル31上の加工前の被加工物100を、搬出入領域3-2に位置付けられたチャックテーブル30上に搬入する。搬送装置63は、搬出入領域3-2から第1洗浄領域6-1にわたって設置されている。搬送装置63は、搬出入領域3-2に位置付けられたチャックテーブル30上の加工後の被加工物100を、第1洗浄領域6-1にある洗浄装置71に搬出する。
【0023】
洗浄装置71は、搬送装置63から搬送された加工後の被加工物100の裏面を洗浄し、洗浄装置72に移送する。洗浄装置72は、洗浄装置71から移送された被加工物100の表面を洗浄する。
【0024】
図3は、
図2のシャッター10の断面図である。
図4は、
図2のシャッター10の要部を示す正面図である。シャッター10は、
図3に示すように、奥カバー11と、シール材12と、板13と、昇降ユニット14と、手前カバー15と、昇降ユニットカバー16と、を含む。シャッター10は、
図3に示すように、板13を矢印27に沿って密閉位置25に移動させることで開口10-1を密閉し、板13を矢印28に沿って開放位置26に移動させることで開口10-1を開放する。実施形態1では、板13の移動方向が昇降方向(Z軸方向)であり、板13の密閉位置25が上方側に、板13の開放位置26が下方側に、それぞれ設定されている。
【0025】
奥カバー11は、
図3に示すように、仕切り板7の搬出入領域3-2側(
図3の+Y方向)に設置される板状の部材である。奥カバー11は、開口11-1と、開口11-1を囲繞するシール材設置部11-2と、開口11-1の下方に設けられた板収容部11-3と、を有する。奥カバー11の開口11-1は、シャッター10の開口10-1を形成している。
【0026】
シール材設置部11-2の手前カバー15側(
図3の-Y方向)にシール材12が設置される。実施形態1では、これにより、本発明における、開口11-1(10-1)がシール材12で囲繞される状態を実現する。シール材設置部11-2は、奥カバー11の表面11-4より搬出入領域3-2側(
図3の+Y方向)に窪んで形成される。シール材設置部11-2は、
図4に示すシール材12の上辺12-2が設置される上方側の部分よりも
図4に示すシール材12の底辺12-5が設置される下方側の部分の方が、より搬出入領域3-2側(
図3の+Y方向)に窪んで形成されている。
【0027】
板収容部11-3は、奥カバー11の搬送領域5側(
図3の-Y方向)の表面11-4より搬出入領域3-2側(
図3の+Y方向)に窪んで形成され、開口11-1を開放する際に、下降する板13を収容する。
【0028】
シール材12によって形成される開口12-1は、
図4に示すように、台形状であり、上辺12-2と、一対の横の辺12-3,12-4と、底辺12-5とにより形成されている。開口12-1は、底辺12-5が上辺12-2より大きくなるように対向する一対の横の辺12-3,12-4が、底辺12-5側から上辺12-2側に向かうに従って、開口12-1の内側に向かって傾斜するテーパー形状に形成されている。
【0029】
シール材12の開口12-1の各辺の間は、実施形態1では、鋭い角状に形成されているが、本発明ではこれに限定されず、滑らかに丸みを帯びた形状に形成されていても良い。
【0030】
シール材12は、シール材設置部11-2に設置された時、上辺12-2及び一対の横の辺12-3,12-4を形成している部分が、底辺12-5を形成している部分よりも、奥カバー11の手前側に突出している。
【0031】
シャッター10では、板13の昇降経路が、底辺12-5よりも手前カバー15側(
図3の-Y方向)であり、板13の密閉位置25で、シール材12の上辺12-2及び一対の横の辺12-3,12-4の内側と板13の上辺13-2及び一対の横の辺13-3,13-4の外側とが接触するように、シール材12と板13とが位置付けられている。また、板13の密閉位置25で、シール材12の底辺12-5の表面(手前カバー15側の面)と板13の裏面(奥カバー11側の面)とが接触するように、シール材12と板13とが位置づけられている。
【0032】
板13は、
図3及び
図4に示すように、下方に接続部13-1を有する。板13は、接続部13-1が昇降ユニット14と接続している。板13は、昇降ユニット14により昇降方向の駆動力が与えられて昇降することにより、上方の密閉位置25と下方の開放位置26との間で昇降する。
【0033】
板13の外縁は、底辺13-5が上辺13-2より大きくなるように対向する一対の横の辺13-3,13-4が傾斜している。
図4に示すように、シール材12の開口12-1の上辺12-2と板13の外縁の上辺13-2とがほぼ同じ長さであり、シール材12の開口12-1の辺12-3と板13の外縁の辺13-3とがほぼ同じ傾斜を有し、シール材12の開口12-1の辺12-4と板13の外縁の辺13-4とがほぼ同じ傾斜を有する。
【0034】
板13の各辺の間は、実施形態1では、シール材12の開口12-1の各辺の間の形状に合わせて、鋭い角状に形成されている。なお、板13の各辺の間は、本発明ではこれに限定されず、シール材12の開口12-1の各辺の間が滑らかに丸みを帯びた形状に形成されている場合には、これに合わせて、滑らかに丸みを帯びた形状に形成されていても良い。
【0035】
このため、板13は、外縁の上辺13-2及び一対の横の辺13-3,13-4が、シール材12の開口12-1の上辺12-2及び一対の横の辺12-3,12-4に嵌合する。本明細書では、板13の外縁の上辺13-2及び一対の横の辺13-3,13-4が、シール材12の開口12-1の上辺12-2及び一対の横の辺12-3,12-4に嵌合することを、板13がシール材12の開口12-1に嵌合すると言う。板13は、シール材12が形成する開口12-1に嵌合することで、シール材12の開口12-1を密閉する。
【0036】
なお、シール材12の開口12-1と板13の外縁との形状に僅かな差異がある場合には、板13の外縁の上辺13-2及び一対の横の辺13-3,13-4がシール材12の開口12-1の上辺12-2及び一対の横の辺12-3,12-4に対して押し込まれることで、シール材12の形状が僅かに変形して、シール材12の開口12-1が板13の外縁に合わせられて、板13がシール材12の開口12-1に嵌合することで、板13がシール材12の開口12-1を密閉する。
【0037】
昇降ユニット14は、
図3に示すように、仕切り板7の手前側において、昇降ユニットカバー16の内側に設置されている。昇降ユニット14は、実施形態1では、
図3に示すように、板13の下方に設置されている。このため、加工装置1は、板13が、昇降ユニット14が駆動力を与える際に発生する可能性がある異物の影響を受けるおそれを低減することができる。なお、昇降ユニット14は、本発明ではこれに限定されず、板13の上方や横側に設置しても構わない。
【0038】
手前カバー15は、
図3に示すように、仕切り板7の搬送領域5側に設置される板状の部材である。手前カバー15は、開口11-1と同等の大きさ及び形状の開口15-1が形成されている。手前カバー15は、奥カバー11との間に板13を収容する。手前カバー15は、昇降ユニットカバー16が設置される位置と対応する位置に、切欠き15-2が形成されている。
【0039】
昇降ユニットカバー16は、
図3に示すように、手前カバー15の切欠き15-2の部分を覆うように設置され、手前カバー15に固定されている。昇降ユニットカバー16は、
図3に示すように、切欠き15-2とともに、昇降ユニット14の設置空間及び板13の昇降経路周りの空間を形成する。
【0040】
シャッター10は、
図3に示すように、奥カバー11と手前カバー15及び昇降ユニットカバー16との間に形成された空間内に、シール材12、板13及び昇降ユニット14を配置することで、仕切り板7に直交する前後方向(
図3のY軸方向)にスペースを取らない省スペースを実現している。また、シャッター10は、仕切り板7に複数のネジで固定されている。
【0041】
以上のような構成を有する実施形態1に係る加工装置1の動作について説明する。加工装置1は、加工ユニット40による被加工物100の加工を開始する前等に、昇降ユニット14により板13を矢印27に沿って上昇させて開放位置26から密閉位置25に移動させることで、板13をシール材12の開口12-1に嵌合させて、板13によりシール材12の開口12-1を密閉することにより実質的に開口11-1を密閉する。また、加工装置1は、搬送装置61で、仕切り板7に形成された開口11-1を通過して、仮置きテーブル31に加工前の被加工物100を搬送する前に、昇降ユニット14により板13を矢印28に沿って下降させて密閉位置25から開放位置26に移動させることで、開口11-1を開放する。
【0042】
ここで、実施形態1に係る加工装置1では、シール材12と板13とはほぼ同一の形状である。このため、加工装置1では、板13が密閉位置25と開放位置26との間で昇降しているときには、内側に向かって同じ傾斜を有するシール材12の開口12-1の辺12-3と板13の辺13-3との間、及び、内側に向かって同じ傾斜を有するシール材12の開口12-1の辺12-4と板13の辺13-4との間に、同じ幅の隙間が形成される。これにより、加工装置1は、シール材12の開口12-1と板13とを接触させることなく、板13を昇降させる。
【0043】
また、加工装置1では、これらの辺12-3と辺13-3との間及び辺12-4と辺13-4との間に形成される隙間は、板13が矢印27に沿って上昇して密閉位置25に近づくに従って減少する。加工装置1では、密閉位置25に到達した板13は、シール材12の開口12-1に嵌合し、開口12-1を密閉することで、開口11-1を密閉する。
【0044】
従来の密閉構造は、開口より大きな板を開口と前後ずらした状態で昇降させ、開口と対向する高さまで昇降したら開口に向けて板を押しつけ密閉するといった、前後と上下との二軸方向への駆動ユニットを有する事が一般的であり、それに相当するスペースを要した。これは、開口と板とを前後方向に一致した状態で昇降させようとすると、常に板の外側と開口の内側とが接触してしまい昇降できないからである。しかし、実施形態1に係る加工装置1は、板13の横の辺13-3,13-4及び開口12-1の横の辺12-3,12-4が傾斜していることにより、シャッター10が、板13を前後方向に移動させることなく、板13を昇降方向の一方向のみに移動させることにより、板13を開口12-1に嵌合して開口11-1を密閉したり、開口12-1を開放することで開口11-1を開放したりすることができ、省スペースを実現できる。
【0045】
また、実施形態1に係る加工装置1は、板13及びシール材12の横の辺13-3,13-4,12-3,12-4が傾斜することで、シール材12の開口12-1と板13の外縁とがほぼ同一の形状にでき、板13をシール材12の開口12-1に嵌合させることで、昇降する板13により開口11-1の密閉性を高めることができるという作用効果を奏する。
【0046】
また、実施形態1に係る加工装置1は、シャッター10のシール材12が開口11-1の上側及び両方の横側及び底辺の縁に位置付けられる。このため、実施形態1に係る加工装置1は、シャッター10が、開口11-1の密閉性をシール材12によりさらに高めることができるという作用効果を奏する。
【0047】
また、実施形態1に係る加工装置1では、板13が昇降する際に、シール材12と板13との間に隙間が形成される。これにより、実施形態1に係る加工装置1は、シール材12の開口12-1と板13とを接触させることなく、板13を昇降させる。このため、実施形態1に係る加工装置1は、板13を円滑に昇降させることができ、これにより、開口11-1を円滑に開閉することができるという作用効果を奏する。
【0048】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る加工装置1-2を図面に基づいて説明する。
図5は、実施形態2に係る加工装置1-2の構成例を示す上面図である。
図5は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
実施形態2に係る加工装置1-2は、実施形態1に係る加工装置1において、種々の変更をしたものである。具体的には、実施形態2に係る加工装置1-2は、実施形態1に係る加工装置1において、筐体2を筐体2-2に変更し、ターンテーブル35を追加し、加工ユニット40を加工ユニット40-2に変更しており、これに伴い、加工領域3の加工実施領域3-1及び仮置き領域3-2の位置関係を変更している。
【0050】
加工領域3の加工実施領域3-1は、実施形態2では、
図5に示すように、加工ユニット40-2でチャックテーブル30上の被加工物100を加工する領域である。チャックテーブル30は、実施形態2では、
図5に示すように、ターンテーブル35上に4つ設置されている。これら4つのチャックテーブル30は、ターンテーブル35の回転によって、搬出入位置、粗研削位置、仕上げ研削位置、研磨位置、搬出入位置に順次移動される。
【0051】
加工ユニット40-2は、
図5に示すように、粗研削位置に位置付けられたチャックテーブル30に保持された被加工物100を粗研削加工する粗研削ユニット41と、仕上げ研削位置に位置付けられたチャックテーブル30に保持された被加工物100を仕上げ研削加工する仕上げ研削ユニット42と、研磨位置に位置付けられたチャックテーブル30に保持された被加工物100を研磨加工する研磨ユニット43とを含む。
【0052】
実施形態2では、搬送装置62は、仮置きテーブル31上の加工前の被加工物100を、搬出入位置に位置付けられたチャックテーブル30上に搬入する。搬送装置63は、搬出入位置に位置付けられたチャックテーブル30上の加工後の被加工物100を、第1洗浄領域6-1にある洗浄装置71に搬出する。実施形態2では、洗浄装置71が加工後の被加工物100の裏面を洗浄する裏面洗浄装置となっており、洗浄装置72が加工後の被加工物100の表面を洗浄する表面洗浄装置となっている。
【0053】
実施形態2に係る加工装置1-2は、筐体2-2の内側には、
図5に示すように、加工領域3を仕切る実施形態1と同様の仕切り板7及びシャッター10を設けている。このため、実施形態2に係る加工装置1-2は、実施形態1に係る加工装置1と同様の作用効果を奏する。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、実施形態1では、開口12-1及び板13は、一対の横の辺12-3,12-4,13-3,13-4がいずれも直線状に傾斜しているが、本発明ではこれに限定されず、曲線状に傾斜しても良い。
【符号の説明】
【0055】
1,1-2 加工装置
3 加工領域
4 カセット載置領域
5 搬送領域
7 仕切り板
10-1,11-1,12-1,15-1 開口
10 シャッター
12 シール材
13 板
14 昇降ユニット
12-2,13-2 上辺
12-3,12-4,13-3,13-4 辺
12-5,13-5 底辺
100 被加工物