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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-19
(45)【発行日】2023-10-27
(54)【発明の名称】ケーブル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/18 20060101AFI20231020BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20231020BHJP
   H01B 7/04 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
H01B7/18 H
H01B7/02 F
H01B7/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022097821
(22)【出願日】2022-06-17
(65)【公開番号】P2023024281
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2022-06-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2021129785
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】黄 得天
(72)【発明者】
【氏名】渡部 考信
(72)【発明者】
【氏名】小野 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】山根 一貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 幹也
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】篠塚 隆
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B7/02
H01B7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、
前記導体の周囲を覆う絶縁体、及び、前記絶縁体の周囲を覆うように前記絶縁体に直接接触して設けられたシースを有する被覆層と、を備え、
前記絶縁体及び前記シースは、照射架橋樹脂組成物からなり、
前記被覆層は、その全体の厚さが6mm以下であると共に、その全体の架橋度が80%以上であり、かつ、少なくともケーブル径方向において架橋度が異なり、
前記架橋度は、前記被覆層の中央の領域において最大であり、前記ケーブル径方向の内側、及び外側で小さくなり、前記架橋度の分布が、前記絶縁体と前記シースとで連続した分布となっている、
ケーブル。
【請求項2】
前記被覆層は、前記ケーブル径方向に沿った前記架橋度の最大となる位置が、前記被覆層をケーブル径方向において同じ厚さの3つの領域に等分割した際の中央の領域に含まれており、かつ、前記架橋度が最大となる位置から前記ケーブル径方向の内側、及び外側にかけて、前記架橋度が徐々に小さくなる、
請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記絶縁体の厚さは、前記シースの厚さよりも薄く、
前記架橋度が最大となる位置が、前記シースに含まれる、
請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記被覆層は、照射架橋ポリオレフィンからなる、
請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項5】
導体を形成する工程と、
前記導体の周囲に絶縁体を被覆する工程、及び、前記絶縁体の周囲を覆うようにチューブ押出または挿入押出によりシースを被覆することで、前記絶縁体に直接接触してシースを設ける工程を含み、前記絶縁体と前記シースとからなる全体の厚さが6mm以下の被覆層を形成する工程と、
前記被覆層に電子線照射を行い、前記絶縁体と前記シースとを一括して照射架橋する工程と、を備え、
前記照射架橋する工程により、前記被覆層の全体の架橋度を80%以上とし、少なくともケーブル径方向において架橋度を異ならせ、
かつ、前記架橋度を、前記被覆層の中央の領域において最大とし、前記ケーブル径方向の内側、及び外側で小さくなるようにし、前記架橋度の分布を、前記絶縁体と前記シースとで連続した分布とする、
ケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導体と、導体の周囲を覆う被覆層と、を備え、被覆層が、導体の周囲を覆う絶縁体と、絶縁体の周囲を覆うシースと、から構成される単心のケーブルが知られている。被覆層を絶縁体とシースの2層構造とすることで、何らかの理由でシースに傷がつき、その傷を起点として被覆層にクラックが生じた場合であっても、当該クラックの進行をシースと絶縁体との境界で抑制し、クラックが導体まで容易に到達しないようにすることが可能になる。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-149543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、ケーブルを製造する際には、導体の周囲に絶縁体を設け、絶縁体に電子線を照射して絶縁体を照射架橋し、次いで、絶縁体の周囲にシースを設けた後、再度、シースに電子線を照射してシースを照射架橋していた。
【0006】
このようなケーブルとして、絶縁体やシースに照射架橋ポリオレフィンを用いたものがある。絶縁体やシースに照射架橋ポリオレフィンを用いることで、例えば絶縁体やシースにEPゴム(エチレンプロピレンゴム)等の蒸気架橋タイプの絶縁樹脂を用いた場合と比較して、被覆層を薄くして、ケーブル外径を小さくすることができる。
【0007】
しかしながら、シースを架橋する際の電子線が絶縁体まで到達してしまい、絶縁体が過度に架橋されてしまう場合があった。絶縁体の過度な架橋は、絶縁体の劣化を促し、曲げを繰り返し行ったときに、絶縁体の劣化部分を起点として絶縁体に割れが発生しやすくなってしまう。絶縁体に割れが発生すると、絶縁体上のシースも絶縁体と共に割れてしまう(共割れしてしまう)おそれがある。このように、被覆層を構成する絶縁体やシースに照射架橋ポリオレフィンを用いた場合、製造方法に起因して曲げによる被覆層の割れが生じやすくなることがあった。
【0008】
なお、例えば、シースを十分に厚くして、シースを架橋する際の電子線が絶縁体まで到達しないようにすることも考えられるが、この場合、ケーブルが大径化してしまい、また、シース全体を十分に架橋できなくなってしまうおそれがある。
【0009】
また、従来のケーブルを製造する際には、2度の照射架橋が必要であるため、製造にかかるエネルギーが大きい。そのため、省エネルギー、省資源化に貢献しうる製品設計が可能なケーブルが要求されている。
【0010】
そこで、本発明は、ケーブル外径が小径であり、かつ、ケーブルを繰り返し曲げた際の被覆層の割れを抑制可能なケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、導体と、前記導体の周囲を覆う絶縁体、及び、前記絶縁体の周囲を覆うように前記絶縁体に直接接触して設けられたシースを有する被覆層と、を備え、前記絶縁体及び前記シースは、照射架橋樹脂組成物からなり、前記被覆層は、その全体の厚さが6mm以下であると共に、その全体の架橋度が80%以上であり、かつ、少なくともケーブル径方向において架橋度が異なり、前記架橋度は、前記被覆層の中央の領域において最大であり、前記ケーブル径方向の内側、及び外側で小さくなり、前記架橋度の分布が、前記絶縁体と前記シースとで連続した分布となっている、ケーブルを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケーブル外径が小径であり、かつ、ケーブルを繰り返し曲げた際の被覆層の割れを抑制可能なケーブル及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係るケーブルを示す図であり、(a)は長手方向に垂直な断面を示す断面図、(b)はそのA部拡大図及び被覆層の架橋度の分布を模式的に示す図である。
図2】ケーブルの製造方法を示すフロー図である。
図3】難燃性ポリエチレンにおけるデプスドーズ曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係るケーブルを示す図であり、(a)は長手方向に垂直な断面を示す断面図、(b)はそのA部拡大図及び被覆層の架橋度の分布を模式的に示す図である。
【0016】
図1(a),(b)に示すように、ケーブル1は、導体2と、導体2の周囲を覆う被覆層3と、を備えている。ケーブル1は、単線のままで使用される以外に、多芯ケーブルを構成する集合コアに使用されてもよい。導体2は、複数本の金属素線を撚り合わせた撚線導体からなる。導体2に用いる金属素線としては、例えば、銅や銅合金からなるものを用いることができる。例えば、導体2を同心撚りにより構成した場合、ケーブル1を屈曲した際に金属素線同士が動くことができず断線が発生するおそれがあるため、導体2を集合撚りにより構成し、屈曲時に金属素線同士が互いに動けるようにすることが望ましい。
【0017】
被覆層3は、導体2の周囲を覆う絶縁体31と、絶縁体31の周囲を覆うシース32と、を有している。被覆層3を、絶縁体31とシース32の2層構造とすることで、何らかの理由でシース32に傷がつき、その傷を起点として被覆層3にクラックが生じた場合であっても、当該クラックの進行をシース32と絶縁体31との境界で抑制し、クラックが導体2まで容易に到達しないようにすることが可能になる。
【0018】
絶縁体31及びシース32は、後述する電子線照射により照射架橋された照射架橋樹脂組成物からなる。より具体的には、絶縁体31及びシース32は、ポリオレフィンを主成分(ベース樹脂)とする樹脂組成物を後述する照射架橋によって架橋した照射架橋ポリオレフィンからなる。絶縁体31とシース32として用いられる照射架橋ポリオレフィンは、例えば、照射架橋された難燃性ポリエチレン(FRPE)からなるものを用いることができる。また、絶縁体31及びシース32は、同じ照射架橋樹脂組成物で構成されるとよい。絶縁体31及びシース32を照射架橋樹脂組成物で構成することで、被覆層3を薄くすることができ、ケーブル1の小径化が可能になる。また、本実施の形態では、絶縁体31及びシース32を照射架橋樹脂組成物で構成することで、被覆層3の耐熱温度を高くする(例えば、125℃以上の耐熱温度とする)ことが可能になる。特に、本実施の形態では、絶縁体31やシース32が照射架橋された難燃性ポリエチレンで構成されることで、被覆層3の耐熱温度を高くすることに加えて、被覆層3の脆化温度も低くする(例えば、―60℃以下の脆化温度にする)ことが可能になる。
【0019】
絶縁体31の厚さd1は、シース32の厚さd2よりも薄い。絶縁体31の厚さd1は、例えば、1mm以上2.5mm以下である。絶縁体31の厚さd1を1mm以上とすること2.5mm以下シース32の厚さd2は、例えば、1.8mm以上3.2mm以下である。詳細は後述するが、本実施の形態では、一度の電子線照射によって絶縁体31とシース32を含む被覆層3の全体を照射架橋する。そのため、被覆層3の全体を十分に照射架橋できるように、被覆層3の全体の厚さDは6mm以下とすることが望ましい。また、被覆層3が薄すぎると機械的強度が低下してしまうため、被覆層3の全体の厚さDは、少なくとも2.5mm以上であるとよい。
【0020】
絶縁体31を充実押出により形成すると、絶縁体31を構成する樹脂が導体2の金属素線間に入り込んでしまい、絶縁体31に対して導体2が動くことができなくなり、耐屈曲性が低下してしまうおそれが生じる。そのため、絶縁体31は、チューブ押出により形成されているとよい。
【0021】
また、シース32を充実押出により形成すると、シース32を形成する際の熱によって絶縁体31とシース32とが溶融一体化してしまうため、例えばシース32にクラックが生じた場合に絶縁体31との境界でクラックの進行を抑制できず、共割れが発生しやすくなってしまう。そのため、シース32は、チューブ押出、または挿入押出により形成されているとよい。
【0022】
図1(b)に示すように、本実施の形態に係るケーブル1では、被覆層3は、少なくともケーブル径方向(すなわち被覆層3の厚さ方向)において架橋度が変化している。被覆層3のケーブル径方向に沿った架橋度の分布は、そのケーブル径方向(厚さ方向)の中央部で最も架橋度が高くなる分布となっている。すなわち、被覆層3は、少なくともケーブル径方向において架橋度が異なり、その架橋度は、被覆層3の中央の領域において最大であり、ケーブル径方向の内側、及び外側で小さくなっている。本実施の形態に係るケーブル1では、電子線照射により架橋された照射架橋樹脂組成物からなる被覆層3がこのような架橋度を有することで、ケーブルを繰り返し曲げた際の被覆層3の割れを抑制することができる。
【0023】
より具体的には、被覆層3のケーブル径方向に沿った架橋度の分布において、架橋度が最大となる位置Xが、被覆層3をケーブル径方向において同じ厚さ(D/3の厚さ)の3つの領域r1,r2,r3に等分割した際の中央の領域r2に含まれており、かつ、架橋度が最大となる位置Xからケーブル径方向の内側、及び外側にかけて、架橋度が徐々に小さくなっている。なお、ケーブル径方向の内側の領域r1は絶縁体31を含み、ケーブル径方向の外側の領域r3は絶縁体31を含まない。中央の領域r2は、絶縁体31の厚さd1とシース32の厚さd2との比率により、絶縁体31を含む場合と含まない場合とがある。
【0024】
上述のように、絶縁体31の厚さd1は、シース32の厚さd2よりも薄く、架橋度が最大となる位置Xは、シース32に含まれる。被覆層3における架橋度は、位置Xから、ケーブル径方向の内側端部(絶縁体31の内表面)Y及びケーブル径方向の外側端部(シース32の外表面)Zにかけて徐々に小さくなるため、被覆層3においては、内側端部Yまたは外側端部Zにおける架橋度が最も小さくなる。ただし、架橋度が低すぎると絶縁体31としての性能が十分に得られなかったり、機械的強度が低下してしまったりするため、被覆層3の全体の架橋度は80%以上であるとよい。なお、架橋度は、ケーブル1から被覆層3を採取し、採取した被覆層3のケーブル径方向に沿った所定位置でのゲル分率(例えば、領域r1、領域r2、領域r3のそれぞれの領域でのゲル分率)を、一般的なゲル分率を測定する方法(例えば、JIS C 3005 「4.25 架橋度」に準拠する測定方法)により測定することができる。
【0025】
ここで、ケーブル1の製造方法について説明する。図2は、ケーブル1の製造方法を示すフロー図である。図2に示すように、まず、ステップS1にて、複数本の金属素線を集合撚りして導体2を形成する。
【0026】
その後、ステップS2にて、導体2の周囲に、チューブ押出により絶縁体31を被覆する。その後、ステップS3にて、絶縁体31の周囲に、チューブ押出または挿入押出により、シース32を被覆する。これにより、絶縁体31とシース32とからなる被覆層3が形成される。その後、ステップS4にて、所定の放射線量で電子線照射を行うことにより被覆層3の全体(領域r1から領域r3まで)を照射架橋する。このようにすることで、絶縁体31とシース32とからなる被覆層3を1度の電子線照射で照射架橋することが可能となる。
【0027】
図3は、被覆層3(絶縁体31及びシース32)に用いる照射架橋樹脂組成物の一例として、照射架橋された難燃性ポリエチレンにおけるデプスドーズ曲線を示している。図3のデプスドーズ曲線において、縦軸の「相対線量」は、電子線の放射線量の相対値を表している。また、横軸の「透過能力」は、被覆層3の表面からの深さに対応しており、例えば、加速電圧を2.0MVとした場合には、表面からの深さが2~3mmの位置で最も電子線の放射線量が高くなり、架橋度が最も高くなることを表している。
【0028】
ステップS4では、図3のデプスドーズ曲線を参照し、被覆層3の全体の厚さDに応じて、被覆層3の全体の厚さDの略中心に相対線量のピークがくるように、加速電圧を0.5MV~3.0MVの範囲で調整して電子線照射を行う。本実施の形態では、1.0MV以上2.0MV以下の加速電圧で電子線照射することがより好ましい。これにより、被覆層3の全体の厚さDの略中心の位置(すなわち中央の領域r2)で最も架橋度が高く、厚さの中心から離れるにしたがって架橋度が低下する図1(b)に示したような架橋度の分布が形成されることになる。
【0029】
また、ステップS4では、ケーブル1を周方向に回転させつつ電子線照射を行う。このため、被覆層3は、ケーブル周方向においても架橋度が変化しており、ケーブル径方向のみならず、ケーブル周方向にも架橋度の分布を有している。ただし、安定してケーブル1を製造するという観点からは、ケーブル周方向の架橋度のばらつきについては、できるだけ小さいことが望ましいといえる。
【0030】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るケーブル1では、絶縁体31及びシース32は、上述した電子線照射により架橋された照射架橋樹脂組成物からなり、被覆層3は、少なくともケーブル径方向において架橋度が異なり、架橋度は、被覆層3の中央の領域において最大であり、ケーブル径方向の内側、及び外側で小さくなる。特に、被覆層3は、ケーブル径方向に沿った架橋度の分布において、架橋度が最大となる位置Xが、被覆層3をケーブル径方向において同じ厚さの3つの領域に等分割した際の中央の領域r2に含まれており、かつ、架橋度が最大となる位置Xからケーブル径方向の内側、及び外側にかけて、架橋度が徐々に小さくなる。
【0031】
本実施の形態によれば、被覆層3の全体を十分に架橋できるため、非架橋の樹脂を用いた場合と比較してケーブル外径を小径に抑えることができる。また、本実施の形態によれば、1度の照射架橋のみを行い、上述した架橋度を有する被覆層3とするため、絶縁体31が過度に架橋されて劣化してしまうことが抑制され、ケーブル1を繰り返し曲げた際の被覆層3の割れも抑制することが可能になる。さらに、本実施の形態によれば、1度の照射架橋のみで被覆層3を形成できるため、ケーブル1の製造にかかるエネルギーを抑えることができ、省エネルギー、省資源化に貢献できる。
【0032】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0033】
[1]導体(2)と、前記導体(2)の周囲を覆う絶縁体(31)、及び、前記絶縁体(31)の周囲を覆うシース(32)を有する被覆層(3)と、を備え、前記絶縁体(31)及び前記シース(32)は、照射架橋樹脂組成物からなり、前記被覆層(3)は、少なくともケーブル径方向において架橋度が異なり、前記架橋度は、前記被覆層(3)の中央の領域において最大であり、前記ケーブル径方向の内側、及び外側で小さくなる、ケーブル(1)。
【0034】
[2]前記被覆層(3)は、前記ケーブル径方向に沿った前記架橋度の最大となる位置が、前記被覆層をケーブル径方向において同じ厚さの3つの領域(r1,r2,r3)に等分割した際の中央の領域(r2)に含まれており、かつ、前記架橋度が最大となる位置(X)から前記ケーブル径方向の内側、及び外側にかけて、前記架橋度が徐々に小さくなる、[1]に記載のケーブル(1)。
【0035】
[3]前記被覆層(3)の全体の架橋度が80%以上である、[1]または[2]に記載のケーブル(1)。
【0036】
[4]前記絶縁体(31)の厚さ(d1)は、前記シース(32)の厚さ(d2)よりも薄く、前記架橋度が最大となる位置(X)が、前記シース(32)に含まれる、[1]乃至[3]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
【0037】
[5]前記被覆層(3)の全体の厚さ(D)が、6mm以下である、[1]乃至[4]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
【0038】
[6]前記被覆層(3)は、ケーブル周方向に沿った架橋度が変化している、[1]乃至[5]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
【0039】
[7]前記被覆層(3)は、照射架橋ポリオレフィンからなる、[1]乃至[6]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
【0040】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…ケーブル
2…導体
3…被覆層
31…絶縁体
32…シース
図1
図2
図3