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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】情報処理システムおよびその接続手段
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20231023BHJP
   G01B 3/20 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G01B21/00 G
G01B3/20 101Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020017148
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2021124348
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小永田 康博
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-014124(JP,A)
【文献】特開2017-198478(JP,A)
【文献】特開2010-038730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00-21/30
G01B 5/00- 5/30
G01B 3/00- 3/08
G01B 3/11- 3/56
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象を測定するとともに測定情報を処理する処理手段を有する測定機器と、前記測定機器からの前記測定情報を処理する処理装置と、前記測定機器と前記処理装置とを接続する接続手段と、を備える情報処理システムであって、
前記測定機器は、
前記測定機器を所定の測定条件に設定して測定を実行させる第1の測定モードと、
前記測定機器を前記第1の測定モードとは異なる測定条件に設定して測定を実行させる第2の測定モードと、を備え、
前記接続手段は、
使用者により操作されて第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる選択手段を備え、
前記処理手段は、
前記選択手段の選択状態を判定する選択状態判定部と、
前記選択状態判定部により前記選択状態が判定されたとき、前記選択状態判定部により判定された選択状態に基づいて、前記第1の選択状態であると判定されたときは前記第1の測定モードに切り替え、前記第2の選択状態であると判定されたときは前記第2の測定モードに切り替える切替部と、を備え
前記処理手段は、前記接続手段が接続されたか否かを検出する接続検出部を備え、
前記選択状態判定部は、前記接続手段の接続が前記接続検出部により検出されたとき、前記選択手段の選択状態を判定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載された情報処理システムにおいて、
前記選択手段は、使用者により操作される機械的なスイッチであることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項または請求項に記載された情報処理システムにおいて、
前記選択手段は、押下の有無で前記第1の選択状態および前記第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる押しボタン式スイッチであり、
前記選択手段が押下された状態で前記接続手段の接続が前記接続検出部により検出されたとき、
前記選択状態判定部は、前記選択手段にて選択された前記第1の選択状態および前記第2の選択状態のいずれか一方の選択状態であると判定し、
前記選択手段が押下されていない状態で前記接続手段の接続が前記接続検出部により検出されたとき、
前記選択状態判定部は、前記選択手段にて選択された前記第1の選択状態および前記第2の選択状態のいずれか他方の選択状態であると判定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項に記載された情報処理システムにおいて、
前記接続手段は、
前記切替部による前記第1の測定モードと前記第2の測定モードのいずれか一方への切り替え後、前記選択手段を使用者が押下することで前記測定情報を前記処理装置に出力する出力手段を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれかに記載された情報処理システムにおいて前記測定機器と前記処理装置とを接続する接続手段であって、
使用者により操作されて第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる選択手段を備えることを特徴とする接続手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよびその接続手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象を測定するとともに測定情報を出力する測定機器と、測定情報等を処理する処理装置と、測定機器と処理装置とを接続する接続手段と、を備える情報処理システムが知られている。例えば特許文献1に記載のデジタル表示型測長システム(情報処理システム)は、測定装置(測定機器)から出力される測定結果(測定情報)をパーソナルコンピュータなどのデータ処理装置(処理装置)に入力する装置である信号伝送ケーブル(接続手段)を備える。デジタル表示型測長システムは、測定装置であるノギスと、データ処理装置とを信号伝送ケーブルで接続し、ノギスで被測定対象を測定することで得られた測定結果をデータ処理装置に伝送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭60-177210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の情報処理システムにおける測定機器は、測定機器を所定の測定条件に設定して測定を実行させる複数の測定モードを有する。複数の測定モードには、例えば、測定対象を測定することで得られる測定値を6桁にして出力する測定モードや8桁にして出力するモード、測定対象に応じた初期パラメータ等を設定してから測定をする測定モード等がある。そして、複数の測定モードを切り替える際は、測定機器に設けられたボタンを操作したり、処理装置側から接続手段を介して操作したりしなければならない。したがって、このような情報処理システムでは、簡単に複数の測定モードを切り替えて用いることができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、使用者に複数の測定モードから使用する測定モードを選択させることができ、その選択に基づいて測定モードを容易に切り替えることができる情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理システムは、測定対象を測定するとともに測定情報等を処理する処理手段を有する測定機器と、測定機器からの測定情報等を処理する処理装置と、測定機器と処理装置とを接続する接続手段と、を備える。測定機器は、測定機器を所定の測定条件に設定して測定を実行させる第1の測定モードと、測定機器を第1の測定モードとは異なる測定条件に設定して測定を実行させる第2の測定モードと、を備える。接続手段は、使用者により操作されて第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる選択手段を備える。処理手段は、選択手段の選択状態を判定する選択状態判定部と、選択状態判定部により選択状態が判定されたとき、選択状態判定部により判定された選択状態に基づいて、第1の選択状態であると判定されたときは第1の測定モードに切り替え、第2の選択状態であると判定されたときは第2の測定モードに切り替える切替部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、情報処理システムの接続手段は、使用者により操作されて選択状態を選択させる選択手段を備え、処理手段は、選択状態判定部により選択状態が判定されたとき、選択状態判定部により判定された選択状態に基づいて、第1の測定モードまたは第2の測定モードに切り替える切替部を備える。使用者は、選択手段を操作することで、容易に使用する測定モードを選択することができ、処理手段は、その選択に基づいて測定モードを切り替えることができる。したがって、情報処理システムは、使用者に複数の測定モードから使用する測定モードを選択させることができ、その選択に基づいて測定モードを容易に切り替えることができる。
【0008】
この際、選択手段は、使用者により操作される機械的なスイッチであることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、選択手段は、使用者により操作される機械的なスイッチであるため、使用者は、機械的なスイッチを操作することで使用する測定モードを容易に選択することができる。
【0010】
この際、処理手段は、接続手段が接続されたか否かを検出する接続検出部を備える。選択状態判定部は、接続手段の接続が接続検出部により検出されたとき、選択手段の選択状態を判定することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、処理手段は、接続手段が接続されたか否かを検出する接続検出部を備えることで、いつ接続手段が接続されたかを認識することができる。また、接続手段が接続されたタイミングを契機として、選択状態判定部は、選択手段の選択状態を判定するため、適切なタイミングにて測定モードを切り替えることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0012】
この際、選択手段は、押下の有無で第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる押しボタン式スイッチであり、選択手段が押下された状態で接続手段の接続が接続検出部により検出されたとき、選択状態判定部は、選択手段にて選択された第1の選択状態および第2の選択状態のいずれか一方の選択状態であると判定し、選択手段が押下されていない状態で接続手段の接続が接続検出部により検出されたとき、選択状態判定部は、選択手段にて選択された第1の選択状態および第2の選択状態のいずれか他方の選択状態であると判定することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、選択手段は、押しボタン式スイッチであり、選択手段が押下されながら測定機器に接続されたとき、切替部は、選択状態判定部により判定された選択状態に基づき第1の測定モードまたは第2の測定モードのいずれか一方に切り替え、選択手段が押下されずに測定機器に接続されたとき、切替部は、選択状態判定部により判定された選択状態に基づき第1の測定モードまたは第2の測定モードのいずれか他方に切り替える。したがって、情報処理システムは、簡単な機構を有する選択手段を用いて、容易に測定モードを選択するとともに、使用者の所望する測定モードに切り替えることができる。
【0014】
この際、接続手段は、切替部による第1の測定モードと第2の測定モードのいずれか一方への切り替え後、選択手段を使用者が押下することで測定情報を処理装置に出力する出力手段を備えることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、接続手段は、切替部により選択手段にて選択された使用者の所望する測定モードに切り替えがされた後、選択手段を使用者が押下することで測定情報を処理装置に出力する出力手段として使用することができる。したがって、情報処理システムは、接続手段において選択手段と出力手段を兼用できるため、コスト削減を図ることができる。
【0016】
本発明の接続手段は、前述までの情報処理システムにおいて測定機器と処理装置とを接続する。接続手段は、使用者により操作されて第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる選択手段を備えることを特徴とする。
【0017】
このような本発明によれば、接続手段は、使用者により操作されて第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる選択手段を備えるため、使用者に複数の測定モードを容易に選択させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの模式図
図2】前記情報処理システムの接続手段を示す図
図3】前記情報処理システムを示すブロック図
図4】前記情報処理システムの処理装置において第1の測定モードおよび第2の測定モードのいずれか一方への切り替え方法を示すフローチャート
図5】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムの接続手段を示す図
図6】前記情報処理システムを示すブロック図
図7】前記情報処理システムの処理手段において第1の測定モードおよび第2の測定モードのいずれか一方への切り替え方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図1から図4に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報処理システム1の模式図である。
情報処理システム1は、図1に示すように、図示しない測定対象を測定するとともに測定情報を出力する測定機器2と、測定情報等を処理する処理装置3と、測定機器2と処理装置3とを接続する接続手段4と、を備える。
【0020】
測定機器2は、例えばノギスを用いることができ、測定対象を測定することで得られる測定結果を含む測定情報を出力する。ここで、測定情報とは、測定機器2が測定対象を測定することで得られる測定結果に限らず、測定機器2における校正情報やエラー情報、設定情報などにより構成される複数の測定モードなど、測定機器2に関する様々な情報が含まれる。
また、本実施形態においては、複数の測定モードは、第1の測定モード6と第2の測定モード7(図3参照)とを備える。第1の測定モード6とは、測定対象を測定することで得られる測定情報である測定値を6桁にして出力する測定モードであり、第2の測定モード7とは、測定対象を測定することで得られる測定情報である測定値を8桁にして出力する測定モードである。
処理装置3は、例えばパーソナルコンピュータを用いることができる。なお、処理装置3は、測定情報等を処理することができれば、パーソナルコンピュータに限らず、どのような装置を用いてもよい。
【0021】
図2は、情報処理システム1の接続手段4を示す図である。具体的には、図2(A)は、接続手段4の全体図であり、図2(B)は、第1の選択状態が選択されているときの選択手段5におけるスライダー50を示す図であり、図2(C)は、第2の選択状態が選択されているときの選択手段5におけるスライダー50を示す図である。
接続手段4は、図2(A)に示すように、測定機器2と接続する専用端子41と、処理装置3と接続するUSB(Universal Serial Bus)端子42と、専用端子41およびUSB端子42を有線で接続する送受信用ケーブルである接続部43と、を備える。なお、接続部43は、有線の送受信用ケーブルではなく、専用端子41およびUSB端子42を無線で接続してもよい。
【0022】
また、接続手段4は、使用者により操作されて第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる選択手段5を備える。選択手段5は、使用者により操作される機械的なスイッチであり、USB端子42付近に設けられている。具体的には、選択手段5は、USB端子42方向および専用端子41方向にスライド可能に設けられるスライダー50を備えている。
図2(B)に示すように、使用者は、スライダー50をUSB端子42方向にスライドさせることで第1の測定モードを選択することができる。これにより、選択手段5においては第1の選択状態が選択された状態となる。また、図2(C)に示すように、使用者は、スライダー50を専用端子41方向にスライドさせることで第2の測定モードを選択することができる。これにより、選択手段5においては第2の選択状態が選択された状態となる。なお、図2(B)に示すように、スライダー50をUSB端子42方向にスライドさせることで第2の測定モードが選択されてもよいし、図2(C)に示すように、スライダー50を専用端子41方向にスライドさせることで第1の測定モードが選択されてもよい。
【0023】
図3は、情報処理システム1を示すブロック図である。
測定機器2は、図3に示すように、測定情報等を処理する処理手段20を備える。また、測定機器2は、前述のように、測定機器を所定の測定条件に設定して測定を実行させる第1の測定モード6と、測定機器を第1の測定モードとは異なる測定条件に設定して測定を実行させる第2の測定モード7と、を備える。使用者は、測定対象を測定することで得られる測定情報である測定値を6桁にして出力したい場合に第1の測定モード6を選択する。また、使用者は、測定対象を測定することで得られる測定情報である測定値を8桁にして出力したい場合に第2の測定モード7を選択する。
【0024】
処理手段20は、接続検出部21と、選択状態判定部22と、切替部23と、を備える。
接続検出部21は、接続手段4によって測定機器2および処理装置3が接続されたか否かを検出する。具体的には、接続検出部21は、測定機器2および専用端子41が接続され、かつ、処理装置3およびUSB端子42が接続されたか否かを検出する。
選択状態判定部22は、選択手段5の選択状態が第1の選択状態か第2の選択状態か、どちらの選択状態であるかを判定する。また、選択状態判定部22は、接続手段4の接続が接続検出部21により検出されたとき、選択手段5の選択状態を判定する。
【0025】
切替部23は、選択状態判定部22により選択状態が判定されたとき、その判定された選択状態に基づいて、測定機器2において用いられる測定モードを、第1の測定モード6および第2の測定モード7のいずれか一方に切り替える。具体的には、切替部23は、選択状態判定部22により判定された選択状態に基づいて、第1の選択状態であると判定されたときは第1の測定モード6に切り替え、第2の選択状態であると判定されたときは第2の測定モード7に切り替える。
【0026】
図4は、情報処理システム1の処理装置において第1の測定モード6および第2の測定モード7のいずれか一方への切り替え方法を示すフローチャートである。以下、図4に基づいて第1の測定モード6および第2の測定モード7のいずれか一方への切り替え方法を説明する。
先ず、使用者は、選択手段5のスライダー50を指でスライドさせることで、所望の測定モード6,7を選択する(図2参照)。この際、使用者がスライダー50をUSB端子42方向にスライドさせて第1の測定モード6(図2(B)参照)を選択した場合、選択手段5では第1の選択状態となる。また、使用者がスライダー50を専用端子41方向にスライドさせて第2の測定モード7(図2(C)参照)を選択した場合、選択手段5では第2の選択状態となる。次に、使用者は、処理装置3およびUSB端子42が接続された状態で専用端子41を測定機器2に接続する。なお、使用者は、専用端子41および測定機器2に接続された状態でUSB端子42を処理装置3に接続してもよい。
【0027】
そして、図4に示すように、接続検出部21は、接続手段4によって測定機器2および処理装置3の接続がされたか否かを検出する接続検出工程を実行する(ステップST01)。接続検出部21にて、測定機器2および処理装置3の接続が検出された場合(ステップST01でYES)、選択状態判定部22は、選択手段5の選択状態が第1の選択状態か第2の選択状態か、どちらの選択状態であるか選択状態を取得する選択状態取得工程を実行する(ステップST02)。接続検出部21にて、測定機器2および処理装置3の接続が検出されなかった場合(ステップST01でNO)、接続検出部21は、接続検出工程を繰り返し実行する(ステップST01)。
【0028】
選択状態取得工程(ステップST02)において取得した選択状態に基づいて、選択状態判定部22は、その選択状態が第1の選択状態か否かを判定する(ステップST03)。選択状態判定部22で選択状態が第1の選択状態であると判定された場合(ステップST03でYES)、切替部23は、測定機器2における測定モードを第1の測定モード6に切り替える第1の測定モードへの切替工程を実行する(ステップST04)。
【0029】
また、選択状態取得工程(ステップST02)において取得した選択状態に基づいて、選択状態判定部22で選択状態が第1の選択状態ではないと判定された場合(ステップST03でNO)、切替部23は、測定機器2における測定モードを第2の測定モード7に切り替える第2の測定モードへの切り替え工程を実行する(ステップST05)。このような工程を経て、情報処理システム1は、測定機器2において第1の測定モードおよび第2の測定モードのいずれか一方への切り替えを実行する。なお、選択状態判定部22が、第1の選択状態でも第2の選択状態でもないと判定した場合は、例えば、処理装置3が備える図示しない表示手段に警告表示をしてエラーがあることを使用者に表示する等してもよい。
【0030】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)情報処理システム1の接続手段4は、使用者により操作されて選択状態を選択させる選択手段を備え、処理手段20は、選択状態判定部22により選択状態が判定されたとき、選択状態判定部22により判定された選択状態に基づいて、第1の測定モード6または第2の測定モード7に切り替える切替部を備える。使用者は、選択手段5を操作することで、容易に使用する測定モード6,7を選択することができ、処理手段20は、その選択に基づいて測定モード6,7を切り替えることができる。したがって、情報処理システム1は、使用者に複数の測定モード6,7から使用する測定モード6,7を選択させることができ、その選択に基づいて測定モード6,7を容易に切り替えることができる。
(2)接続手段4は、使用者により操作されて第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる選択手段5を備えるため、使用者に複数の測定モード6,7を容易に選択させることができる。
【0031】
(3)選択手段5は、使用者により操作される機械的なスイッチであるスライダー50であるため、使用者は、機械的なスイッチであるスライダー50を操作することで使用する測定モード6,7を容易に選択することができる。
(4)処理手段20は、接続手段4が接続されたか否かを検出する接続検出部21を備えることで、いつ接続手段4が接続されたかを認識することができる。また、接続手段4が接続されたタイミングを契機として、選択状態判定部22は、選択手段5の選択状態を判定するため、適切なタイミングにて測定モード6,7を切り替えることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0032】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図5から図7に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る情報処理システム1Aの接続手段4Aを示す図である。具体的には、図5(A)は、接続手段4Aにおける選択手段5Aのボタン50Aを押下する前の図であり、図5(B)は、接続手段4Aにおける選択手段5Aのボタン50Aを押下している図である。
【0033】
前記第1実施形態では、接続手段4は、測定機器2と接続する専用端子41と、処理装置3と接続するUSB端子42と、専用端子41およびUSB端子42を有線で接続する送受信用ケーブルである接続部43と、を備え、選択手段5は、使用者により操作される機械的なスイッチであり、USB端子42付近に設けられているスライダー50を備えていた。
【0034】
第2実施形態では、図5に示すように、情報処理システム1Aにおける接続手段4Aは、選択手段5Aを有し、測定機器2と接続する専用端子41Aと、前記第1実施形態と異なりスライダー50を備えないUSB端子42Aと、前記第1実施形態と同様に専用端子41AおよびUSB端子42Aを有線で接続する送受信用ケーブルである接続部43と、を備える。選択手段5Aは、押下の有無で第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させる機械式スイッチの押しボタン式スイッチであるボタン50Aを備える点で前記第1実施形態と異なる。
【0035】
ボタン50Aは、接続手段4Aの専用端子41Aに設けられ、図5(A)に示す状態から図5(B)に示す状態のように、使用者に押下されることで、第1の測定モード6および第2の測定モード7のいずれか一方を選択したり、処理装置3に測定情報を出力したりする。なお、ボタン50Aは、専用端子41Aに設けられていなくてもよく、使用者が操作することができれば、どのような位置に設けられていてもよい。また、接続部43は、有線の送受信用ケーブルではなく、専用端子41AおよびUSB端子42Aを無線で接続してもよい。
【0036】
図6は、情報処理システム1Aを示すブロック図である。
図6に示すように、処理手段20Aの選択状態判定部22Aは、選択手段5Aのボタン50Aが押下された状態で、測定機器2および専用端子41Aの接続とUSB端子42Aおよび処理装置3の接続を接続検出部21が検出したとき、選択手段5Aにて選択された第1の選択状態および第2の選択状態のいずれか一方の選択状態であると判定する。また、選択状態判定部22Aは、選択手段5Aのボタン50Aが押下されていない状態で、測定機器2および専用端子41Aの接続とUSB端子42Aおよび処理装置3の接続を接続検出部21が検出したとき、選択手段5Aにて選択された第1の選択状態および第2の選択状態のいずれか他方の選択状態であると判定する。これらの点で、処理手段20Aの選択状態判定部22Aは、前記第1実施形態と異なる。
【0037】
また、接続手段4Aは、切替部23による第1の測定モード6と第2の測定モード7のいずれか一方への切り替え後、選択手段5Aのボタン50Aを使用者が押下することで、その押下を契機として測定情報を処理装置3に出力する出力手段8を備える点で前記第1実施形態と異なる。具体的には、出力手段8は、選択手段5Aと同一の押しボタン式スイッチのボタン50Aであり(図5参照)、切替部23による測定モード6,7の切り替えを契機として、選択手段5Aから出力手段8へと機能が切り替わる。
【0038】
図7は、情報処理システム1Aの処理手段20Aにおいて第1の測定モード6および第2の測定モード7のいずれか一方への切り替え方法を示すフローチャートである。以下、図7に基づいて第1の測定モード6および第2の測定モード7のいずれか一方への切り替え方法を説明する。
先ず、使用者は、選択手段5Aのボタン50Aを用いて所望の測定モードを選択する(図5参照)。この際、使用者がボタン50Aを押下したまま接続手段4Aによって測定機器2および処理装置3を接続して第1の測定モード6を選択した場合(図5(B)参照)、選択手段5Aでは第1の選択状態となる。また、使用者がボタン50Aを押下せずに接続手段4Aによって測定機器2および処理装置3を接続して第2の測定モード7を選択した場合(図5(A)参照)、選択手段5Aでは第2の選択状態となる。このため、使用者は、所望の測定モードとなるようにボタン50Aの押下の有無を選択して、USB端子42Aおよび処理装置3が接続された状態で専用端子41Aを測定機器2に接続する。なお、使用者は、測定機器2および専用端子41Aが接続された状態でUSB端子42Aを処理装置3に接続してもよい。
【0039】
そして、図7に示すように、接続検出部21は、接続手段4Aによって測定機器2および処理装置3の接続がされたか否かを検出する接続検出工程を実行する(ステップST11)。測定機器2および処理装置3の接続が検出された場合(ステップST11でYES)、選択状態判定部22Aは、選択手段5Aの選択状態が第1の選択状態か第2の選択状態か、どちらの選択状態であるか選択状態を取得する選択状態取得工程を実行する(ステップST12)。具体的には、ボタン50Aが押下されながら接続手段4Aによって測定機器2および処理装置3が接続されたときは第1の選択状態を取得し、ボタン50Aが押下されずに接続手段4Aによって測定機器2および処理装置3が接続されたときは第2の選択状態を取得する。測定機器2および処理装置3の接続が検出されなかった場合(ステップST11でNO)、接続検出部21は、接続検出工程を繰り返し実行する(ステップST11)。
【0040】
続いて、選択状態取得工程(ステップST12)において取得した選択状態に基づいて、選択状態判定部22Aは、その選択状態が第1の選択状態か否かを判定する(ステップST13)。選択状態判定部22Aで選択状態が第1の選択状態であると判定された場合(ステップST13でYES)、切替部23は、処理装置3における測定モードを第1の測定モード6に切り替える第1の測定モードへの切替工程を実行する(ステップST14)。
【0041】
また、選択状態取得工程(ステップST12)において取得した選択状態に基づいて、選択状態判定部22Aで選択状態が第1の選択状態ではないと判定された場合(ステップST13でNO)、切替部23は、処理装置3における測定モードを第2の測定モード7に切り替える第2の測定モードへの切り替え工程を実行する(ステップST15)。
【0042】
ステップST14、もしくは、ステップST15の切替工程が実行された後、出力手段8は、選択手段5Aとして用いられていたボタン50Aが押下されたか否かを判定する(ステップST16)。ボタン50Aが押下されたと判定したとき(ステップST16でYES)、出力手段8は、測定情報を処理装置3に出力する測定情報出力工程を実行する(ステップST17)。ボタン50Aが押下されていないと判定したとき(ステップST16でNO)、もしくは、測定情報出力工程(ステップST17)を実行した後であるとき、出力手段8は、ボタン50Aが押下されるまで繰り返し判定を実行する(ステップST16)。
【0043】
このような工程を経て、情報処理システム1Aは、測定機器2の処理手段20Aにおいて第1の測定モード6および第2の測定モード7のいずれか一方への切り替えを実行するとともに、出力手段8は、選択手段5Aと同一の押しボタン式スイッチのボタン50Aの操作の有無に基づいて測定情報の出力を実行する。
なお、選択状態判定部22Aが、第1の選択状態でも第2の選択状態でもないと判定した場合や、ステップST16,17において正常に測定情報が出力されない場合、例えば、処理装置3が備える図示しない表示手段に警告表示をしてエラーがあることを使用者に表示する等してもよい。
【0044】
このような第2実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(4)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(5)選択手段5Aは、押しボタン式スイッチであるボタン50Aであり、選択手段5Aが押下されながら測定機器2に接続されたとき、切替部23は、選択状態判定部22により判定された選択状態に基づき第1の測定モード6または第2の測定モード7のいずれか一方に切り替え、選択手段5Aが押下されずに測定機器2に接続されたとき、切替部23は、選択状態判定部22により判定された選択状態に基づき第1の測定モード6または第2の測定モード7のいずれか他方に切り替える。したがって、情報処理システム1Aは、簡単な機構を有する選択手段5Aを用いて、容易に測定モード6,7を選択するとともに、使用者の所望する測定モード6,7に切り替えることができる。
(6)接続手段4Aは、切替部23により選択手段5Aにて選択された使用者の所望する測定モード6,7に切り替えがされた後、選択手段5Aを使用者が押下することで測定情報を処理装置3に出力する出力手段8として使用することができる。したがって、情報処理システム1Aは、接続手段4Aにおいて選択手段5Aと出力手段8を兼用できるため、コスト削減を図ることができる。
【0045】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、測定機器2は、ノギスであったが、マイクロメータやインジケータ、ハイトゲージ、ホールテスト等の他の測定機器に用いられていてもよい。要するに、測定機器は、測定対象を測定するとともに測定情報等を処理する処理手段を有すれば、どのようなものであってもよい。
【0046】
前記各実施形態では、第1の測定モード6は、測定対象を測定することで得られる測定情報である測定値を6桁にして出力する測定モードであり、第2の測定モード7は、測定対象を測定することで得られる測定情報である測定値を8桁にして出力する測定モードでであったが、第1の測定モードおよび第2の測定モードは、測定対象に応じた初期パラメータ等を設定してから測定をする測定モード等であってもよい。要するに、第1の測定モードは、測定機器を所定の測定条件に設定して測定を実行させる測定モードであり、第2の測定モードは、測定機器を第1の測定モードとは異なる測定条件に設定して測定を実行させる測定モードであれば、どのような測定モードであってもよい。また、前記各実施形態では、測定機器2は、第1の測定モード6と第2の測定モード7の2つの測定モード6,7を備え、情報処理システム1,1Aは、測定モード6,7を切り替えていたが、処理装置は、3つ以上の測定モードを備え、情報処理システムは、3つ以上の複数の測定モードを切り替えてもよい。
【0047】
前記第2実施形態では、選択手段5Aのボタン50Aを押しながら接続手段4Aを測定機器2に接続することで第1の選択状態となり、選択手段5Aのボタン50Aを押さずに接続手段4Aを測定機器2に接続することで第2の選択状態となったが、選択手段5Aのボタン50Aを押しながら接続手段4Aを測定機器2に接続することで第2の選択状態となり、選択手段5Aのボタン50Aを押さずに接続手段4Aを測定機器2に接続することで第1の選択状態となってもよい。要するに、選択手段5Aのボタン50Aの押下の有無により選択される選択状態は、どのようなものであってもよい。
また、前記第1実施形態では、選択手段5のスライダー50はスライド式のスイッチであり、前記第2実施形態では、選択手段5Aのボタン50Aは押しボタン式のスイッチであり、双方ともに機械的なスイッチであったが、選択手段は、機械的なスイッチでなくてもよく、例えば、音声入力にて選択することのできるスイッチであってもよい。要するに、選択手段は、使用者により操作されて第1の選択状態および第2の選択状態のいずれかの選択状態を選択させることができればよい。
【0048】
前記各実施形態では、処理手段20,20Aは、接続手段4,4Aが接続されたか否かを検出する接続検出部21を備えていたが、接続検出部を備えていなくてもよい。この場合、例えば選択手段5,5Aは、接続手段4,4Aによって測定機器2および処理装置3が接続されている状態で操作されてもよく、処理手段は、選択手段5,5Aの選択状態に基づいて、測定の途中で第1の測定モードおよび第2の測定モードのいずれか一方に切り替えてもよい。要するに、処理手段は、選択手段の選択状態を判定する選択状態判定部と、選択状態判定部により選択状態が判定されたとき、選択状態判定部により判定された選択状態に基づいて、第1の選択状態であると判定されたときは第1の測定モードに切り替え、第2の選択状態であると判定されたときは第2の測定モードに切り替える切替部と、を備えていればよい。
前記第2実施形態では、選択手段5Aは、切替部23による測定モード6,7の切り替え後、出力手段8として機能していたが、出力手段は選択手段と兼用でなくてもよく、他の手段を出力手段としてもよいし、設けられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明は、情報処理システムおよびその接続手段に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1,1A 情報処理システム
2 測定機器
20,20A 処理手段
21 接続検出部
22,22A 選択状態判定部
23 切替部
3 処理装置
4,4A 接続手段
5,5A 選択手段
6 第1の測定モード
7 第2の測定モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7