(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】原反ロールの製造方法及び欠陥発生予測方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/92 20190101AFI20231023BHJP
B65H 23/195 20060101ALI20231023BHJP
B29C 48/31 20190101ALI20231023BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20231023BHJP
【FI】
B29C48/92
B65H23/195
B29C48/31
B29L7:00
(21)【出願番号】P 2020052860
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】水野 浩輔
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-108586(JP,A)
【文献】国際公開第2012/060076(WO,A1)
【文献】特開2019-081336(JP,A)
【文献】特開2005-088347(JP,A)
【文献】特開2005-186377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
B65H 23/195
B29L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイから連続的に押し出されたフィルムを搬送する工程と、
一定のオシレート幅で前記フィルムの幅方向に巻取軸及び前記フィルムの少なくとも一方を相対的にオシレートしながら前記フィルムを前記巻取軸に巻き取ることによって原反ロールを形成する工程と、
前記ダイから前記巻取軸まで搬送されている前記フィルムの搬送方向を横切る方向に沿って厚さプロファイルを取得する工程と、
前記厚さプロファイルを前記オシレート幅に基づいて移動平均することによって修正厚さプロファイルを算出する工程と、
前記修正厚さプロファイルにおいて、前記原反ロールの前記幅方向における第1端に対応する位置での厚さと前記幅方向における最大厚さとの第1差及び前記原反ロールの前記幅方向における前記第1端と反対側の第2端に対応する位置での厚さと前記最大厚さとの第2差の少なくとも一方に基づいて、前記フィルムの厚さ調整の要否を判定する工程と、
前記判定する工程において、前記厚さ調整が必要と判定された場合、前記フィルムの厚さプロファイルを修正するように前記ダイからの前記フィルムの押出条件を調整する工程と、
を備える、原反ロールの製造方法。
【請求項2】
前記判定する工程では、前記第1端及び前記第2端のうち、前記最大厚さの位置に対してより遠い端である遠方端の位置での厚さと前記最大厚さの差に基づいて判定する、
請求項1に記載の原反ロールの製造方法。
【請求項3】
前記フィルムの搬送中に、前記フィルムの前記幅方向の長さを所定サイズにカットする工程を更に備え、
前記原反ロールを形成する工程では、前記所定サイズにカットされた前記フィルムを前記巻取軸で巻き取る、
請求項1又は2に記載の原反ロールの製造方法。
【請求項4】
前記調整する工程では、前記ダイが有するリップの開きを調整する、
請求項1~3の何れか一項に記載の原反ロールの製造方法。
【請求項5】
連続搬送されているフィルムを、一定のオシレート幅で前記フィルムの幅方向に巻取軸及び前記フィルムの少なくとも一方を相対的にオシレートしながら前記巻取軸に巻き取ることによって原反ロールを形成する工程と、
搬送中の前記フィルムの搬送方向を横切る方向に沿って厚さプロファイルを取得する工程と、
前記厚さプロファイルを前記オシレート幅に基づいて移動平均することによって修正厚さプロファイルを算出する工程と、
前記修正厚さプロファイルにおいて、前記原反ロールの前記幅方向の第1端に対応する位置での厚さと前記幅方向における最大厚さとの第1差及び前記原反ロールの前記幅方向の前記第1端と反対側の第2端に対応する位置での厚さと前記最大厚さとの第2差の少なくとも一方に基づいて、前記原反ロールにおける欠陥発生の有無を予測する工程と、
を備える、原反ロールの欠陥発生予測方法。
【請求項6】
前記予測する工程では、前記第1端及び前記第2端のうち、前記最大厚さの位置に対してより遠い端である遠方端の位置での厚さと、前記最大厚さの差に基づいて、予測する、
請求項5に記載の原反ロールの欠陥発生予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原反ロールの製造方法及び欠陥発生予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム(たとえば光学フィルム)は、たとえば、特許文献1に記載されているように、ダイ(特許文献1ではTダイ)を利用した押出成形法を用いて形成される。Tダイから連続的に押し出されたフィルムを、巻取軸で巻き取ることによって原反ロールが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルムを巻き取って原反ロールを製造する場合、通常、フィルムの幅方向におけるフィルムの厚さ分布を均一にするように、フィルムの厚さが制御される。しかしながら、この場合、原反ロールの端部が、径方向外側にせり上がるような外観不良が生じる傾向にある。一方、本願発明者の知見によれば、上述したような外観不良を低減するようにフィルムの厚さを調整すると、フィルムの巻き取り時の空気混入などによって、欠陥(例えばシワなどの変形欠陥)が生じた。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、欠陥発生を抑制可能な原反ロールの製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の側面は、原反ロールにおける欠陥発生の予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る原反ロールの製造方法は、ダイから連続的に押し出されたフィルムを搬送する工程と、一定のオシレート幅で上記フィルムの幅方向に巻取軸及び上記フィルムの少なくとも一方を相対的にオシレートしながら上記フィルムを上記巻取軸に巻き取ることによって原反ロールを形成する工程と、上記ダイから上記巻取軸まで搬送されている上記フィルムの搬送方向を横切る方向に沿って厚さプロファイルを取得する工程と、上記厚さプロファイルを上記オシレート幅に基づいて移動平均することによって修正厚さプロファイルを算出する工程と、上記修正厚さプロファイルにおいて、上記原反ロールの上記幅方向における第1端に対応する位置での厚さと上記幅方向における最大厚さとの第1差及び上記原反ロールの上記幅方向における上記第1端と反対側の第2端に対応する位置での厚さと上記最大厚さとの第2差の少なくとも一方に基づいて、上記フィルムの厚さ調整の要否を判定する工程と、上記判定する工程において、上記厚さ調整が必要と判定された場合、上記フィルムの厚さプロファイルを修正するように上記ダイからの上記フィルムの押出条件を調整する工程と、を備える。
【0007】
本願発明者は、上記修正厚さプロファイルが、原反ロールの形状をより適切に反映していること、および、上記修正厚さプロファイルに基づいて得られる上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、製造される原反ロールにおける欠陥発生の有無を予測可能であることを見いだした。上記原反ロールの製造方法は、上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、厚さ調整の要否を判定する工程(判定工程)と、厚さ調整が必要と判定された場合、フィルムの厚さを調整する工程(調整工程)とを有する。上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、欠陥発生を予測できることから、欠陥発生が予測された場合、判定工程で厚さ調整が必要と判定できる。その場合、調整工程を実施するため、欠陥発生を抑制しながら原反ロールを製造可能である。
【0008】
上記判定する工程では、上記第1端及び上記第2端のうち、上記最大厚さの位置に対してより遠い端である遠方端の位置での厚さと上記最大厚さの差に基づいて判定してもよい。
【0009】
一実施形態に係る原反ロールの製造方法は、上記フィルムの搬送中に、上記フィルムの上記幅方向の長さを所定サイズにカットする工程を更に備え、上記原反ロールを形成する工程では、上記所定サイズにカットされた上記フィルムを上記巻取軸で巻き取ってもよい。これにより、所定サイズの原反ロールを製造できる。
【0010】
上記調整する工程では、上記ダイが有するリップの開きを調整してもよい。これにより、フィルムの厚さを調整できる。
【0011】
本発明の他の側面に係る原反ロールの欠陥発生予測方法は、連続搬送されているフィルムを、一定のオシレート幅で上記フィルムの幅方向に巻取軸及び上記フィルムの少なくとも一方を相対的にオシレートしながら上記巻取軸に巻き取ることによって原反ロールを形成する工程と、搬送中の上記フィルムの搬送方向を横切る方向に沿って厚さプロファイルを取得する工程と、上記厚さプロファイルを上記オシレート幅に基づいて移動平均することによって修正厚さプロファイルを算出する工程と、上記修正厚さプロファイルにおいて、上記原反ロールの上記幅方向の第1端に対応する位置での厚さと上記幅方向における最大厚さとの第1差及び上記原反ロールの上記幅方向の上記第1端と反対側の第2端に対応する位置での厚さと上記最大厚さとの第2差の少なくとも一方に基づいて、上記原反ロールにおける欠陥発生の有無を予測する工程と、を備える。
【0012】
本願発明者は、前述したように、上記修正厚さプロファイルが、原反ロールの形状をより適切に反映していること、および、上記修正厚さプロファイルに基づいて得られる上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、製造される原反ロールにおける欠陥発生の有無を予測可能であることを見いだした。上記原反ロールの欠陥発生予測方法は、上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、欠陥発生の有無を予測する工程(予測工程)を備えているので、欠陥発生を予測できる。予測工程で欠陥発生が生じる可能性があると予測された場合、たとえば、フィルムの厚さを調整する等の処理を施すことができるので、欠陥発生を抑制しながら原反ロールを製造可能である。
【0013】
上記予測する工程では、上記第1端及び上記第2端のうち、上記最大厚さの位置に対してより遠い端である遠方端の位置での厚さと、上記最大厚さの差に基づいて、予測してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、欠陥発生を抑制可能な原反ロールの製造方法を提供できる。本発明の他の側面は、原反ロールにおける欠陥発生の予測方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る原反ロールの製造方法を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、巻取軸にフィルムを巻き取る工程を説明するための図面である。
【
図3】
図3は、巻径に対して等間隔になるように周期を設定する場合を説明する図面である。
【
図4】
図4は、
図3を用いて説明する周期で巻かれた原反ロールの端面の模式図である。
【
図5】
図5は、フィルムの厚さプロファイルの一例を示す図面である。
【
図6】
図6は、修正厚さプロファイルの算出方法の一例を説明するための図面である。
【
図7】
図7は、修正厚さプロファイルの一例を示す図面である。
【
図8】
図8は、
図7に示した厚さプロファイルを取得した際に形成した原反ロール10の半径の幅方向分布を示した図面である。
【
図9】
図9は、原反ロールAを製造した場合の厚さプロファイルおよび修正厚さプロファイルを示す図面である。
【
図10】
図10は、原反ロールBを製造した場合の厚さプロファイルおよび修正厚さプロファイルを示す図面である。
【
図11】
図11は、原反ロールCを製造した場合の厚さプロファイルおよび修正厚さプロファイルを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0017】
図1および
図2は、本発明の一実施形態に係る原反ロールの製造方法を説明するための模式図である。原反ロール10は、長尺のフィルム12のロール体である。
【0018】
フィルム12は、たとえば、光学フィルムである。光学フィルムの材料の例として、アクリル系樹脂、シクロオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂およびポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
【0019】
フィルム12は、たとえば樹脂フィルムであり、本実施形態においてフィルム12は熱可塑性樹脂フィルムである。
【0020】
熱可塑性樹脂としては、汎用の熱可塑性樹脂であってもよいし、エンジニアリングプラスチックであってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、シクロオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル-スチレン共重合体樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂、セルロースアセテート樹脂、エチレン-ビニルアセテート共重合体樹脂、アクリル-塩素化ポリエチレン共重合体樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリアリレート樹脂、脂環構造含有エチレン性不飽和単量体単位を含有する樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ塩化ビニル系エラストマー、塩素化ポリエチレン、エチレン-アクリル酸エチル共重合体樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレン・ブタジエンブロックポリマー、エチレン-プロピレンゴム、ポリブタジエン樹脂、アクリル系エラストマーが挙げられる。
【0021】
フィルム12は、熱可塑性樹脂フィルムの積層体でもよい。この場合には、積層される各々の熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂、シクロオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂およびポリカーボネート系樹脂から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【0022】
上記熱可塑性樹脂の具体例として、特開2012-224057号公報、特開2013-014136号公報に記載の熱可塑性樹脂等が挙げられる。上述した熱可塑性樹脂は、各種添加剤を含有してもよい。添加材の例として、光拡散剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、耐衝撃剤、高分子型帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、染料や顔料等の着色剤、アクリル系ゴム粒子等が挙げられる。
【0023】
フィルム12の厚さtの例は100μm以下である。フィルム12の厚さtは、たとえば20μm以上である。
【0024】
原反ロール10は、例えば、押出成形によりフィルム12を連続的に形成し、巻取軸14に巻き取ることによって製造される。一つの原反ロール10を形成するためのフィルム12の全長は、たとえば、1,000m以上である。原反ロール10の全長の上限は、たとえば、10,000m以下、ないし8000m以下である。
【0025】
原反ロール10を製造する場合、
図1に模式的に示したように、フィルム12の材料で形成されたペレットPを押出機16に供給し、押出機16内で溶融する。押出機16内の溶融樹脂をダイ18に供給する。ダイ18は、フィルム12の製造に使用される公知のダイでよい。本実施形態において、ダイ18はTダイである。
【0026】
ダイ18の吐出口であるリップ18aから溶融樹脂が連続的に押し出され、成形、冷却されることによってフィルム12が形成される。ダイ18から連続的に押し出された樹脂は、ガイドロール20でガイドされ、ガイドロール20を通過したフィルム状の樹脂が巻取軸14に向けて連続搬送される(搬送工程)。搬送速度は、たとえば、5m/min~200m/min、好ましくは10m/min~150m/min、より好ましくは20m/min~100m/minである。例えば、リップ18a近傍に設けられた一対のガイドロール20は、ダイ18から押し出された高温のフィルム12を、冷却ロール等を備えた冷却ユニットにて冷却し固化する冷却ロールとしても機能する。
図1に示したガイドロール20と、巻取軸14との間には、少なくとも一つのガイドロールが設けられてもよい。上記フィルム状の樹脂がフィルム12である。その他、溶融押出成形における公知の要素(たとえば、ロールとロールで挟んで冷却する狭圧成形で用いられるバックアップロール、冷却ロールへの樹脂を押しつけるエアナイフなど)が用いられてもよい。以下、説明の簡略化のため、単に「ダイ18からフィルム12が形成される」と称する場合もある。
【0027】
巻取軸14に搬送されたフィルム12は、巻取軸14によって、ロール状に巻き取られ、原反ロール10が得られる(原反ロール形成工程)。例えば、巻取軸14でフィルム12を巻き取る際、タッチロールでフィルム12の表面に所定のタッチ圧を付与しながら、フィルム12を巻き取ってよい。
【0028】
上記冷却後のフィルム12に対し、更に、表面処理工程(たとえば、ハードコート塗布、乾燥処理など)、延伸工程、他の樹脂との積層工程、等の工程を、必要に応じ巻き取る前に行ってもよい。
【0029】
図1および
図2に示したように、フィルム12は、搬送中に、トリミング装置22によって、フィルム12の幅方向の長さを製品サイズ(所定サイズ)にトリミングしてもよい。トリミング装置22は、たとえば、
図2に示したように、一対のカッター22A,22Bを有し得る。一対のカッター22A,22Bの間の距離(フィルム12の幅方向における距離)は、製品サイズに対応する。一対のカッター22A,22Bでフィルム12をカットすることによって、フィルム12が製品サイズにトリミングされる。フィルム12をトリミングする際の所定サイズは、製品サイズに限定されない。
【0030】
トリミング装置22でフィルム12をトリミングする形態では、製品サイズのフィルム12が巻取軸14によって巻き取られる。巻取軸14のオシレートに同期してトリミング装置22(たとえば、一対のカッター22A,22B)をオシレートしてもよい。以下、断らない限り、トリミング装置22によって、ダイ18から押し出されるフィルム12を製品サイズにトリミングする形態を説明する。
図2では、トリミング装置22の下流側において、フィルム12のうち製品サイズにカットされた領域以外の部分の図示を省略している。
【0031】
原反ロール10の幅Lの例は、100mm~3000mm、より好ましくは500mm~2500mmである。トリミングを実施しない場合、フィルム12の幅L0は、原反ロール10の幅Lと同じである。トリミングを実施する場合、トリミング前のフィルム12の幅L0は、トリミングによってカットされる幅を考慮した長さである。
【0032】
フィルム12を巻取軸14で巻き取る際、フィルム12および巻取軸14の少なくとも一方を相対的にオシレート(揺動)しながら、フィルム12を巻き取る。オシレートは、フィルム12の幅方向(フィルム12の長尺方向に直交する方向)に、所定のオシレート条件(たとえば、周期、オシレート幅など)で実施する。本実施形態では、
図2に示したように、巻取軸14およびトリミング装置22をオシレートする。一つの原反ロール10を製造する際、製造開始から製造終了までの間に、周期が複数回含まれていれば、原反ロール10の形成の終了間際においては、たとえば、上記周期が他の周期より短くてもよいし、オシレート位置が端部に寄り切っていなくてもよい。オシレート幅wは、厚さプロファイルにおける山谷差が幅方向に平均化される幅であればよい。たとえば、オシレート幅wは、数10mm~100mm程度である。オシレートの周期C0は、巻径に対して等間隔になるように設定されてもよいし、巻長に対して等間隔になるように設定されてもよい。
【0033】
図3および
図4を参照して、オシレートの周期C0を説明する。
図3および
図4は、巻径に対して等間隔になるように周期C0を設定する場合を説明する図である。
図3では、幅Lのフィルム12から幅L0の領域をトリミングしている場合を図示している。図中の幅L1は、幅Lにオシレート幅wを加算した長さである。
図4は、
図3を用いて説明する周期で巻かれた原反ロール10の端面(巻取軸14の方向からみた場合の端面)の模式図である。
【0034】
図3中の黒塗りの四角マークは、オシレート中心に対して図中右側(一方の側)のオシレート端(カッター22A(カッター22B)が右側に最大移動した位置)を示しており、黒塗りの丸マークはオシレート中心に対して図中左側(他方の側)にオシレート端(カッター22A(カッター22B)が左側に最大移動した位置)を示している。周期C0は、フィルム12の長手方向における隣接する2つの四角マーク(或いは、隣接する2つの丸マーク)間の距離である。
図4に示した四角マークおよび丸マークの意味は、
図3と同様である。
図3および
図4に示した例では、
図4に示したように原反ロール10の径方向(巻径方向)において、上記隣接する2つの四角マーク(或いは、隣接する2つの丸マーク)間の距離C1が一定になるように、周期C0を制御する。したがって、周期C0は、フィルム12が巻かれるにつれて長くなる。巻径に対して一定の周期C0でオシレートする場合、巻径を、作業者または装置で観察しながら周期C0を調整すればよい。
【0035】
周期C0を、巻長に対して等間隔になるように設定する場合は、周期C0は、フィルム12の長尺方向に沿って一定である。ただし、前述したように、原反ロール10の形成の終了間際においては、たとえば、上記周期C0が短くなってもよい。周期C0が巻長に対して一定である場合、巻径の方向においては、
図4に示した隣接する四角マーク間の距離C1は、巻き取りの終了間際において、短くなる。
【0036】
図1を再度参照して本実施形態に係る原反ロール10の製造方法を説明する。原反ロール10の製造方法では、ダイ18から巻取軸14まで搬送されているフィルム12の厚さtを、厚さ測定器24によって測定し、フィルム12の搬送方向を横切る方向に沿って厚さプロファイルを得る(厚さプロファイル取得工程)。本実施形態では、断らない限り、幅方向に沿った厚さプロファイルを得る。
【0037】
厚さ測定器24は、インライン測定が可能な測定器である。厚さ測定器24の例は、非接触の厚さ測定器である。非接触の厚さ測定器の例は、X線透過式、赤外線(IR)透過式、レーザー式または反射分光式の厚さ測定器である。
図1では、1つの厚さ測定器24を用いた例を示している。しかしながら、たとえば、幅方向に沿って配置された複数の厚さ測定器24を用いて厚さを測定してもよい。一つの厚さ測定器24を、フィルム12の幅方向に移動させながら厚さ測定を実施してもよい。厚さ測定器24をフィルム12の幅方向に移動させながら厚さ測定を実施する場合、フィルム12は搬送されていることから、搬送方向に対し斜めの方向に沿って厚さが測定される。ダイ18と巻取軸14との間における厚さ測定器24の位置は限定されない。
図1に示したように、フィルム12の搬送方向において、トリミングされていないフィルム12の厚さを測定していてもよいし、トリミングされた製品サイズのフィルム12の厚さを測定してもよい。トリミングされていないフィルム12の厚さを測定する場合、フィルム12において、製品サイズの領域とオシレート幅を考慮した領域の厚さを少なくとも測定すればよい。
【0038】
図5は、フィルムの厚さプロファイルの一例を示す図面である。
図5では、原反ロール10のサイズに応じたフィルム12の厚さプロファイルを示している。
図5は、1つの原反ロール10を形成するために搬送した全フィルム12の厚さの測定結果に基づいた平均厚さプロファイルである。
図5中の横軸は、トリミング装置22でトリミングされる前のフィルム12の幅方向位置(mm)を示しており、縦軸は厚さt(μm)を示している。
【0039】
得られた厚さプロファイルを、巻取軸14のオシレート幅wに基づいて移動平均することによって、修正厚さプロファイルを算出する(算出工程)。本明細書において、オシレート幅wは、任意の位置の両側それぞれにおけるオシレート振幅(たとえばw/2)の大きさの和である。
【0040】
上記修正厚さプロファイルは、フィルム12における任意の測定位置に対してオシレート幅wに基づいた移動平均値を算出することによって得られる。上記測定位置に対するに対してオシレート幅wに基づいた移動平均値は、上記測定位置を中心として、幅方向に±w/2の領域の測定結果を平均した値である。各測定位置に対して同様の移動平均値を算出することによって、修正厚さプロファイルを得ることが可能である。
【0041】
図6を利用して、修正厚さプロファイルの算出方法の一例を説明する。算出方法の説明では、以下の(a)~(g)を仮定する。
(a)フィルム12の幅方向に沿ったピッチ(以下、「測定ピッチp」と称す)で厚さtを測定する。
(b)上記所定のピッチはオシレート幅wの半分(すなわち、w/2)である。
(c)原反ロール10として巻かれたフィルム12の幅はLである。すなわち、フィルム12のうち幅方向の長さがLである領域をトリミングして原反ロール10を製造する。
(d)原反ロール10に巻かれているフィルム12(幅L)をフィルム12Aと称す。
(e)フィルム12のうち、フィルム12Aの修正厚さプロファイルに寄与する領域をフィルム12Bと称す。
(f)フィルム12Bにおける厚さtの測定位置を
図5に示したようにX
1,X
2,・・・,X
21,X
22と称す。
(g)フィルム12Bにおける位置X
2,X
3,・・・,X
20,X
21に対応するフィルム12Aの位置を、Xa
1,Xa
2,・・・,Xa
19,Xa
20と称す。
上記(b)および(c)より、フィルム12Bの幅L1は、幅Lとオシレート幅wの和である。
フィルム12Aの修正厚さプロファイルは、位置Xa
1,位置Xa
2,・・・,位置Xa
19,位置Xa
20それぞれの厚さ(以下、「修正厚さ」と称す)を、上述したオシレート幅wに基づいた移動平均値として算出することによって得られる。
たとえば、位置Xa
1の修正厚さは、位置X
1,位置X
2および位置X
3の厚さtの平均値(すなわち、3つの測定位置の厚さの和を3で除した値)として算出する。同様に、位置Xa
2の修正厚さは、位置X
2,位置X
3および位置X
4の厚さtの平均値(すなわち、3つの測定位置の厚さの和を3で除した値)として算出する。同様に、位置Xa
3の修正厚さは、位置X
3,位置X
4および位置X
5の厚さtの平均値(すなわち、3つの測定位置の厚さの和を3で除した値)として算出する。以下、同様に、位置Xa
4、位置Xa
5,・・・,位置Xa
19および位置Xa
20の修正厚さを算出する。
位置Xa
1,位置Xa
2,・・・,位置Xa
19,位置Xa
20それぞれの修正厚さが上記のように算出されることによって、フィルム12Bの修正厚さプロファイルが得られる。
【0042】
上記説明では(b)を仮定しているが、上記測定ピッチpは、オシレート幅wの半分以下であればよい。
【0043】
図7は、修正厚さプロファイルの一例を示す図面である。
図7は、フィルム12のうち
図3に示した幅L1の領域を、原反ロール10の製造時のオシレート幅wに基づいて移動平均することによって得られたプロファイルである。使用したオシレート幅wは、80mm(±40mm)であった。
図7中の横軸は、原反ロール10の幅方向位置(mm)を示している。
図7に示した「OP」および「DR」は、原反ロール10の幅方向における第1端OPおよび第2端DR(第1端OPと反対側の端)に対応する位置を示している。
図7中の縦軸は、厚さ(μm)を示している。
図7に示した厚さtm1は、
図5に示した厚さt1を修正厚さプロファイルに基づき修正した厚さに相当し、厚さtm2は、
図5に示した厚さt2を修正厚さプロファイルに基づき修正した厚さに相当する。
【0044】
原反ロール10の製造方法では、修正厚さプロファイルに基づいて、フィルム12の厚さ調整の要否を判定する(判定工程)。具体的には、修正厚さプロファイルにおいて、第1端OPに対応する位置での厚さ(以下、「第1端OPでの厚さ」と称す)と最大厚さとの第1差及び第2端DRに対応する位置での厚さ(以下、「第2端DRでの厚さ」と称す)と最大厚さとの第2差の少なくとも一方に基づいて、フィルム12の厚さ調整の要否を判定する。
【0045】
第1端OP及び第2端DRのうち、修正厚さプロファイルの最大厚さの位置に対してより遠い端である端を遠方端と称す。この場合、たとえば、修正厚さプロフィルにおける最大厚さと、遠方端の位置での厚さに基づいて、フィルム12の厚さ調整の要否を判定できる。たとえば、遠方端での厚さと最大厚さとの差が所定値以上である場合、厚さ調整が必要と判定してもよい。所定値は、たとえば、シミュレーション、或いは、予備実験などで予め定めておけばよい。
【0046】
判定工程において、厚さ調整が必要と判定された場合、判定工程において、厚さ調整が必要と判定されないように(たとえば、遠方端の位置での厚さと最大厚さが上記所定値未満となるように)、ダイ18からのフィルム12の押出条件を調整する(調整工程)。たとえば、最大厚さの位置周辺の厚さが薄くなるように厚さを調整する。厚さは、たとえば、フィルム12の幅方向において、リップ18aのうち厚さ調整すべき領域の開き状態を調整すればよい。ダイ18がTダイである場合、リップ18aの開き状態(リップ開度)はダイ18の幅方向に列設されているチョークバーボルトの開閉により調節することができる。チョークバーボルトを開けると、ダイ18から押出される樹脂の吐出量が増大してフィルム12の厚みが増大し、チョークバーボルトを閉めると、ダイ18から押出される樹脂の吐出量が減少してフィルム12の厚みが減少する。たとえば、修正移動厚さプロファイルにおいて、最大値に相当する位置(オシレートを考慮した幅方向のある範囲)から左右における所定範囲(たとえば100mm)を含む範囲内のリップ開度を調整し、最大値近傍の平均膜厚が下がるよう調整する。あるいは、ダイ18の温度を調整することによって、フィルム12の厚さを調整してもよい。
【0047】
調整工程を実施した場合には、調整後の押出条件で原反ロール10の製造を実施する。更に、フィルム12を形成して連続搬送する搬送工程から調整工程までの工程を判定工程において、厚さ調整が不要と判定するまで繰り返す。
【0048】
上記製造方法では、巻取軸14をオシレートしながら、フィルム12を巻き取っている。そのため、フィルム12の幅方向に厚さの分布が生じていても厚さ分布の影響を低減できる。
【0049】
上記製造方法では、膜厚プロファイルに基づいて上記修正厚さプロファイルを算出している。この修正厚さプロファイルは、本願発明者の知見によれば、原反ロール10の形状をより適切に表している。
【0050】
この点を、
図5、
図7および
図8を利用して説明する。
図8は、
図7に示した厚さプロファイルを取得した際に形成した原反ロール10の半径の幅方向分布を示した図面である。図中の横軸は、原反ロール10の幅方向位置を示している。
図8中の横軸、OPおよびDRは、
図7の場合と同様である。
図8中の縦軸は、原反ロール10の半径を示している。
図5、
図7および
図8を比較すれば、
図5に示した厚さプロファイルより、
図7に示した修正厚さプロファイルの方が、
図8に示した原反ロール10の半径の幅方向分布により一致していることが理解され得る。
【0051】
本願発明者は、上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、製造される原反ロール10における欠陥発生の有無を予測可能であることを見いだした。
【0052】
上記原反ロール10の製造方法では、判定工程において、上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、厚さ調整の要否を判定する。更に、厚さ調整が必要と判定された場合、調整工程を実施する。
【0053】
前述したように、上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、欠陥発生を予測できるため、欠陥発生が予測された場合、厚さ調整の必要と判定すればよい。この場合、上記のように、調整工程を実施するため、欠陥発生を抑制しながら原反ロール10を製造可能である。
【0054】
トリミング装置22と、巻取軸14を同期させてオシレートする形態では、原反ロール10の第1端OPおよび第2端DRにおいて、原反ロール10の半径方向に積層されているフィルム12の端面が揃った原反ロール10を製造可能である。
【0055】
判定工程で示した判定条件で欠陥発生が予測できることを検証した実験を説明する。ここでは、第1端OPおよび第2端DRのうち最大厚さの位置に対して遠い方の端である遠方端の位置での厚さと最大厚さとの差に基づいて、フィルム12の厚さ調整の要否を判定する場合を検証した。
【0056】
検証実験では、3つの原反ロールを
図1および
図2を用いて説明した方法で製造した。3つ原反ロールを、原反ロールA、原反ロールBおよび原反ロールCと称す。原反ロールA~Cを構成するフィルム12の材料は同じアクリル系樹脂であった。3つの原反ロールA~Cにおいて、フィルム12を形成するための押出条件は同じであった。一つの厚さ測定器24を、フィルム12の幅方向に移動させながらフィルム12の厚さを測定した。トリミング装置22と巻取軸14を同期させてオシレートした。オシレート幅wは80mm(±40mm)であった。オシレートは、巻径を観察しながら、巻径に対して等間隔になるように設定された周期C0で行った。検証実験では、トリミング装置22に一対のカッター22A,22Bを使用した。
【0057】
図9、
図10および
図11は、3つの原反ロールA、原反ロールBおよび原反ロールCを製造した場合の修正厚さプロファイルを示している。
図9~
図11の横軸は、原反ロールA~Cの幅方向位置を示している。
図9~
図11中のOPおよびDRの意味は、
図7および
図8の場合と同様である。
図9~
図11の縦軸は、厚さt(μm)を示している。
【0058】
図9~
図11に示した原反ロールA~Cに対応する修正厚さプロフィルにおいて、第1端OPでの厚さt
OPと最大厚さt
maxとの差(第1差)および第2端DRでの厚さt
DPと最大厚さt
maxとの差(第2差)は表1のとおりであった。更に、製造された原反ロールA~Cの欠陥の有無を確認した結果、表1に示した領域に欠陥(シワ状の変形欠陥)が発生していた。
【表1】
【0059】
図9より、原反ロールAに対応する修正厚さプロフィルにおいて、最大厚さは、第1端OP側に位置しているため、第2端DRが遠方端である。表1より、原反ロールAでは遠方端である第2端DR側に欠陥が発生していた。
図10より、原反ロールBに対応する修正厚さプロフィルにおいて、最大厚さは、第2端DR側に位置しているため、第1端OPが遠方端である。表1より、原反ロールBでは遠方端である第1端OP側に欠陥が発生していた。
図11より、原反ロールCに対応する修正厚さプロフィルにおいて、最大厚さは、第1端OP側に位置しているため、第2端DRが遠方端である。表1より、原反ロールCでは遠方端である第2端DR側に欠陥が発生していた。したがって、表1の結果に基づけば、たとえば所定値を0.13μm、好ましくは0.11μmとすることによって、欠陥の発生の予測が可能であることがわかった。
【0060】
前述したように、上記第1差および第2差の少なくとも一方に基づいて、製造される原反ロール10における欠陥発生の有無を予測可能である。すなわち、判定工程における判定条件は、欠陥の発生の有無の予測条件に相当する。したがって、上記判定工程は、欠陥の有無を予測する予測工程に相当する。そのため、上記原反ロールの製造方法における原反ロール形成工程、厚さプロファイル取得工程、算出工程、および判定工程(予測工程に相当)は、欠陥発生予測方法に対応する。
【0061】
以上、本発明の種々の実施形態とともに実験例を説明した。しかしながら、本発明は、例示した実施形態および実験例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される範囲が含まれるとともに、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0062】
判定工程の具体例では、第1端OP及び第2端DRのうち遠方端に対応する端での厚さと、最大厚さとの差のみ着目してフィルム12の厚さ調整の要否を判定した。しかしながら、たとえば、第1差および第2差の両方を用いてフィルム12の厚さ調整の要否を判定(或いは、欠陥の有無を予測)してもよい。この場合、たとえば第1差および第2差それぞれに対して同じ所定値を設定して厚さ調整の要否を判定(或いは欠陥発生の有無を予測)もよいし、異なる所定値を設定して、厚さ調整の要否を判定(或いは欠陥発生の有無を予測)してもよい。上記遠方端と反対側の端(第1端OPおよび第2端DRのうち最大厚さの位置に近い方の端)での厚さと最大厚さの差に基づいて厚さ調整の要否を判定(或いは欠陥発生の有無を予測)してもよい。
【0063】
上記実施形態では、一つの原反ロール10を得るのに使用する全フィルム12においてフィルム12の幅方向の厚さを測定して、修正厚さプロファイルを算出した形態を説明した。しかしながら、修正厚さプロファイルは、フィルム12の長尺方向のうち、オシレートにおける少なくとも1周期分の長さを含む領域の長さに渡るフィルム12の厚さの測定結果に基づいて算出されればよい。この場合、修正厚さプロファイルに基づいて、厚さ調整が必要と判定された場合、たとえば、原反ロール10の製造を中止できる。厚さ調整が必要と判定された場合、原反ロール10に欠陥が生じる可能性が高いため、上記のように、原反ロール10の製造を中止することで、フィルム12の材料を有効に利用できる。
【0064】
トリミング装置22を、オシレートしなくてもよい。或いは、トリミング装置22をオシレートする一方、巻取軸14を固定してもよい。この場合、巻取軸14に対して、製品サイズのフィルム12がオシレートされながら、巻取軸14に巻き取られる。
【0065】
トリミング装置22でフィルム12をトリミングしなくてもよい。この場合、たとえば、フィルム12をオシレートしてもよい。
【0066】
上記実施形態及び種々の変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…原反ロール、12…フィルム、14…巻取軸、18…ダイ、18a…リップ、OP…第1端、DR…第2端。