(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】端子構造、配線基板及び端子構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20231023BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H05K3/34 502D
(21)【出願番号】P 2020077477
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木曽 貴彦
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09484291(US,B1)
【文献】特開2014-103295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264841(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と、
前記配線層を被覆する保護絶縁層と、
前記保護絶縁層を厚さ方向に貫通して前記配線層の上面の一部を露出する開口部と、
前記開口部から露出する前記配線層上に形成された接続端子と、を有し、
前記開口部の底部には、前記保護絶縁層の上面から下方に延びる内壁面から前記開口部の外方に向かって窪む窪み部と、前記窪み部の下方に形成されるとともに前記窪み部から前記内壁面よりも前記開口部の内方に突出した突出部とが連続して形成されており、
前記接続端子は、前記窪み部を充填するように形成されている端子構造。
【請求項2】
前記窪み部における前記開口部の開口幅は、前記開口部の上側の開口端における開口幅と同じ、又は前記開口端における開口幅よりも大きくなるように形成されている請求項1に記載の端子構造。
【請求項3】
前記窪み部は、前記内壁面の下端部から前記窪み部の底部である奥端部まで前記開口部の外方に向かって延びる内面を有し、
前記突出部は、前記奥端部から、前記内壁面の下端部よりも前記開口部の内方に突出した突出先端部まで延びる傾斜面を有し、
前記内壁面と前記内面とがなす内側の角度は、前記内面と前記傾斜面とがなす内側の角度よりも大きく形成されている請求項1又は請求項2に記載の端子構造。
【請求項4】
前記内面と前記傾斜面とがなす内側の角度は、前記傾斜面と前記突出部の下面とがなす内側の角度よりも大きく形成されている請求項3に記載の端子構造。
【請求項5】
前記内壁面は、前記保護絶縁層の上面から前記窪み部に向かうに連れて、前記開口部の平面中心に近づくように傾斜して形成されている請求項3又は請求項4に記載の端子構造。
【請求項6】
前記配線層の上面には、前記開口部と連通する凹部が形成されており、
前記凹部は、前記突出部の下面を露出するように形成されており、
前記接続端子は、前記凹部を充填するように形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の端子構造。
【請求項7】
前記接続端子は、前記開口部を充填するビア配線と、前記保護絶縁層の上面から上方に突出して形成された柱状端子とを有する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の端子構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の端子構造を有する配線基板。
【請求項9】
配線層を被覆する保護絶縁層を形成する工程と、
フォトリソグラフィ法により、前記保護絶縁層に、前記配線層の上面の一部を露出する開口部を形成する工程と、
前記開口部から露出する配線層上に接続端子を形成する工程と、を有し、
前記開口部の底部には、前記保護絶縁層の上面から下方に延びる内壁面から前記開口部の外方に向かって窪む窪み部と、前記窪み部の下方に形成されるとともに前記窪み部から前記内壁面よりも前記開口部の内方に突出した突出部とが連続して形成され、
前記接続端子は、前記窪み部を充填するように形成される端子構造の製造方法。
【請求項10】
前記配線層の上面に、前記開口部と連通する凹部を形成する工程を更に有し、
前記凹部は、前記突出部の下面を露出するように形成され、
前記接続端子は、前記凹部を充填するように形成される請求項9に記載の端子構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子構造、配線基板及び端子構造の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子部品を実装するための配線基板は、様々な形状・構造のものが提案されている。近年は、半導体素子の高集積化及び高機能化に伴い、半導体素子が実装される配線基板においても配線の微細化の要求が高まっている。そこで、配線パターンの形成されたベース基板上に絶縁層を形成し、その絶縁層を厚さ方向に貫通するビアホールに露出する配線パターン上に柱状の接続端子を形成した配線基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、接続端子(例えば、銅層)と絶縁層(例えば、樹脂)との間で熱膨張係数が異なるため、絶縁層が加熱処理されると、絶縁層の熱収縮による変形によって接続端子の側面と絶縁層との間に隙間が発生するおそれがある。接続端子の側面と絶縁層との間に隙間が発生すると、接続端子が絶縁層から脱離しやすくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、配線層と、前記配線層を被覆する保護絶縁層と、前記保護絶縁層を厚さ方向に貫通して前記配線層の上面の一部を露出する開口部と、前記開口部から露出する前記配線層上に形成された接続端子と、を有し、前記開口部の底部には、前記保護絶縁層の上面から下方に延びる内壁面から前記開口部の外方に向かって窪む窪み部と、前記窪み部の下方に形成されるとともに前記窪み部から前記内壁面よりも前記開口部の内方に突出した突出部とが連続して形成されており、前記接続端子は、前記窪み部を充填するように形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、接続端子の脱離を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a)は、一実施形態の配線基板を示す概略断面図、(b)は、
図1(a)に示した配線基板の一部を拡大した拡大断面図である。
【
図2】(a)は、一実施形態の半導体装置を示す概略断面図、(b)は、
図2(a)に示した半導体装置の一部を拡大した拡大断面図である。
【
図3】(a)~(c)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図4】(a),(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図5】(a),(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図6】(a),(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図10】変更例の配線基板を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが各図面で同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物を
図1等の鉛直方向(図中上下方向)から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物を
図1等の鉛直方向から見た形状のことを言う。また、本明細書における「平行」、「直交」や「水平」は、厳密に平行、直交や水平の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行、直交や水平の場合も含まれる。
【0009】
図1(a)に示すように、配線基板10は、基板本体11を有している。基板本体11の下面には、配線層21と、ソルダーレジスト層22とが順に積層されている。また、基板本体11の上面には、配線層31と、ソルダーレジスト層40と、接続端子50とが順に積層されている。
【0010】
基板本体11としては、例えば、コア基板、コア基板を有するコア付きビルドアップ基板、コア基板を有していないコアレス基板を用いることができる。基板本体11としてコアレス基板を採用する場合には、例えば、最下層の配線層21の側面及び上面が基板本体11の最下層の絶縁層に埋め込まれ、配線層21の下面が最下層の絶縁層から露出されていてもよい。
【0011】
配線層21,31及び接続端子50の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。ソルダーレジスト層22,40の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などを主成分とする感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層22,40は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。ソルダーレジスト層40の材料としては、接続端子50を構成する金属材料よりも高い弾性を有する樹脂材料を用いることができる。
【0012】
配線層21は、基板本体11の下面に形成されている。配線層21は、配線基板10の最下層の配線層である。
ソルダーレジスト層22は、配線層21の一部を被覆するように、基板本体11の下面に積層されている。ソルダーレジスト層22には、配線層21の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための複数の開口部22Xが形成されている。外部接続用パッドP1には、配線基板10をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用される外部接続端子62(
図2(a)参照)が接続されるようになっている。
【0013】
本例の開口部22Xの内壁面は、断面視において、配線層21の下面に対して略垂直に延びるように形成されている。なお、開口部22Xの形状はこれに限らず、開口部22Xの内壁面を曲面に形成してもよいし、開口部22Xをテーパ状に形成してもよい。
【0014】
開口部22Xの底部に露出する配線層21の下面には、必要に応じて、表面処理層23が形成されている。表面処理層23の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。表面処理層23の他の例としては、Ni層/Pd層(Ni層とPd層をこの順番で積層した金属層)、Pd/Au層(Pd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。ここで、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき層)や、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき層)を用いることができる。また、表面処理層23としては、開口部22Xに露出する配線層21の下面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して形成されるOSP膜を用いることもできる。OSP膜としては、例えば、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。なお、配線層21の下面に表面処理層23が形成されている場合には、その表面処理層23が外部接続用パッドP1として機能する。
【0015】
本例では、表面処理層23上に外部接続端子62(
図2(a)参照)を設けるようにしたが、開口部22Xに露出する配線層21(又は、配線層21上に表面処理層23が形成されている場合には、その表面処理層23)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0016】
配線層31は、基板本体11の上面に形成されている。配線層31は、基板本体11内の配線層や貫通電極を介して、配線層21と電気的に接続されている。配線層31の上面31Aには、基板本体11側に凹む凹部32が形成されている。凹部32の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。本例の凹部32の平面形状は、円形状に形成されている。
【0017】
ソルダーレジスト層40は、配線層31の一部を被覆するように、基板本体11の上面に積層されている。ソルダーレジスト層40は、配線基板10の最外層(ここでは、最上層)の絶縁層である。なお、配線層31の上面31Aからソルダーレジスト層40の上面までの厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0018】
ソルダーレジスト層40には、当該ソルダーレジスト層40を厚さ方向に貫通して配線層31の上面31Aの一部を露出する開口部41が形成されている。開口部41は、例えば、配線層31の凹部32の内面を露出するように形成されている。開口部41の底部には、例えば、凹部32の内面の一部が露出されている。開口部41の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。開口部41の平面形状は、例えば、凹部32の平面形状と同様の形状に形成されている。本例の開口部41の平面形状は、円形状に形成されている。開口部41の深さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。本例の開口部41は、例えば、全体的には
図1(a)において下側(基板本体11側)から上側に向かうに連れて開口幅(開口径)が大きくなるテーパ状に形成されている。
【0019】
図1(b)に示すように、開口部41は、深さ方向の中途に段差部を有している。開口部41は、その開口部41の底部に段差部を有している。開口部41は、ソルダーレジスト層40の上面40Aから下方に延びる内壁面42と、内壁面42から開口部41の外方に向かって窪む窪み部43と、窪み部43に連続して窪み部43の下方に形成されて開口部41の内方に向かって突出する突出部46とを有している。突出部46及び窪み部43は、開口部41の底部に連続して形成されている。換言すると、開口部41の底部には、内壁面42をソルダーレジスト層40の内部に後退させる窪み部43と、窪み部43の下方に形成されるとともに窪み部43から内壁面42よりも開口部41の内方に突出した位置まで延びる突出部46とが連続して形成されている。これら窪み部43及び突出部46は、開口部41の周方向全周にわたって連続して形成されている。そして、窪み部43と突出部46とによって、開口部41の底部には段差部が形成されている。なお、突出部46は、開口部41の底面を構成している。
【0020】
開口部41の内壁面42は、例えば、開口部41の上側の開口端41A(つまり、上端)から窪み部43まで下方に延びるように形成されている。内壁面42は、例えば、開口端41Aから開口部41の内方(つまり、開口部41の中心)に向かって下方に傾斜して形成されている。例えば、内壁面42は、ソルダーレジスト層40の上面40Aから窪み部43に向かうに連れて、開口部41の平面中心に近づくように傾斜して形成されている。なお、内壁面42は、平面である必要はなく、内壁面42の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。本例の内壁面42は、例えば、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、本例の内壁面42は、一定の傾斜角度θ1で傾斜するように形成されている。ここで、本明細書において、傾斜角度θ1は、内壁面42と配線層31の上面31Aとがなす角度において、鋭角の角度をいう。
【0021】
窪み部43は、内壁面42の下端部と連続して形成されている。窪み部43は、開口部41の開口幅(本例では、開口径)を広げるように形成されている。例えば、窪み部43は、開口部41のうち内壁面42の下端部における開口幅よりも開口部41の開口幅が広がるように形成されている。
【0022】
窪み部43は、窪み部43の底部である奥端部44と、内壁面42の下端部から奥端部44まで延びるように形成された内面45とを有している。奥端部44は、平面視において、窪み部43のうち最も内壁面42の下端部から離れた位置に設けられている。内面45は、例えば、内壁面42の下端部から開口部41の外方(つまり、開口部41の中心から離れる方向)に向かって下方に傾斜するように形成されている。例えば、内面45は、内壁面42の下端部から奥端部44に向かうに連れて、開口部41の平面中心から離れるように傾斜して形成されている。内面45は、平面である必要はなく、内面45の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。本例の内面45は、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。
【0023】
窪み部43における開口部41の開口幅は、内壁面42の下端部における開口部41の開口幅よりも大きい開口幅に設定されている。窪み部43における開口部41の開口幅は、例えば、開口端41Aにおける開口幅と同じ開口幅、又は開口端41Aにおける開口幅よりも大きい開口幅に設定されている。具体的には、奥端部44における開口部41の開口幅は、開口端41Aにおける開口幅と同じ開口幅、又は開口端41Aにおける開口幅よりも大きい開口幅に設定されている。本例の奥端部44における開口部41の開口幅は、開口端41Aにおける開口幅よりも大きい開口幅に設定されている。すなわち、本例の奥端部44は、開口端41Aよりもソルダーレジスト層40の内部に後退した位置に設けられている。換言すると、本例の奥端部44は、平面視において、開口端41Aよりも開口部41の平面中心から離れた位置に設けられている。
【0024】
突出部46は、例えば、窪み部43の奥端部44から開口部41の内方(つまり、開口部41の中心)に向かって下方に傾斜して形成された傾斜面47を有している。傾斜面47は、奥端部44と連続して形成されている。傾斜面47は、奥端部44から突出部46の突出先端部48に向かうに連れて、開口部41の平面中心に近づくように傾斜して形成されている。突出先端部48は、突出部46の下端部であり、突出部46のうち最も開口部41の平面中心に近い位置に設けられている。傾斜面47は、平面である必要はなく、傾斜面47の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。本例の傾斜面47は、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、本例の傾斜面47は、一定の傾斜角度θ2で傾斜するように形成されている。ここで、傾斜面47の傾斜角度θ2は、例えば、内壁面42の傾斜角度θ1よりも小さく形成されている。なお、本明細書において、傾斜角度θ2は、配線層31の上面31Aと傾斜面47とがなす角度において、鋭角の角度をいう。
【0025】
突出先端部48は、平面視において、内壁面42の下端部よりも開口部41の平面中心に近い位置に設けられている。すなわち、突出先端部48は、内壁面42よりも開口部41の中心に向かって突出した位置に設けられている。例えば、突出先端部48は、平面視において、内壁面42が傾斜角度θ1で配線層31の上面31Aまで延びた場合における内壁面42の位置よりも開口部41の平面中心に近い位置に設けられている。突出先端部48における開口部41の開口幅は、開口部41の中で最も開口幅が小さくなるように設定されている。換言すると、突出部46は、開口部41の開口幅が狭くなるように形成されている。
【0026】
突出部46は、例えば、突出先端部48と連続して形成された下面49を有している。下面49は、突出先端部48から開口部41の外方に延びるように形成されている。下面49は、例えば、配線層31の上面31Aと平行して延びるように形成されている。このため、傾斜角度θ2は、下面49と傾斜面47とがなす内側の角度とも言える。
【0027】
ここで、内壁面42と内面45とがなす内側の角度θ3は、180度よりも小さい角度である。角度θ3は、例えば、鈍角である。角度θ3は、内壁面42と内面45との間に存在する角度である。内面45と傾斜面47とがなす内側の角度θ4は、例えば、角度θ3よりも小さい角度に設定されている。角度θ4は、内面45と傾斜面47との間に存在する角度である。内面45と傾斜面47とがなす内側の角度θ4は、傾斜面47と下面49とがなす内側の角度、つまり傾斜角度θ2よりも大きい角度に設定されている。
【0028】
また、ソルダーレジスト層40の上面40Aから窪み部43の奥端部44までの開口部41の深さD1は、奥端部44から突出部46の下面49までの開口部41の深さD2よりも長く形成されている。深さD1は、例えば、深さD2の7倍~10倍程度の深さに設定することができる。深さD1と深さD2との比は、例えば、D1:D2=10:1.3程度とすることができる。
【0029】
本明細書において、突出部46は、開口部41のうち窪み部43の奥端部44から突出先端部48までの部分のことを指す。本例の突出部46は、奥端部44から開口部41の内方に向かうに連れて厚さが薄くなる断面視略三角形状に形成されている。なお、傾斜面47のうち奥端部44近傍の一部は、例えば、窪み部43も構成している。例えば、傾斜面47のうち平面視において内面45と重なる部分は、窪み部43も構成している。すなわち、傾斜面47の一部は、突出部46と窪み部43の両方を構成している。このとき、窪み部43は、内面45と傾斜面47の一部とによって構成されている。
【0030】
本例の突出部46は、配線層31の凹部32の内側に突出するように形成されている。突出部46は、凹部32の上方に形成されている。突出部46は、平面視において、凹部32の外周部と重なる位置に形成されている。突出部46は、凹部32の上部において、その凹部32の内側にリング状に突出するように形成されている。
【0031】
ここで、凹部32は、開口部41と連通するように形成されている。凹部32は、例えば、配線層31の上面31Aから配線層31の厚さ方向の中途位置まで形成されている。すなわち、凹部32は、その底面が配線層31の厚さ方向の中途に位置するように形成されており、配線層31の厚さ方向に貫通しないように形成されている。
【0032】
凹部32の上側の開口端32A(つまり、上端)における凹部32の開口幅は、突出先端部48における開口部41の開口幅よりも大きい開口幅に設定されている。凹部32は、例えば、突出部46の下面49の一部を露出させるように、突出先端部48からソルダーレジスト層40の内側に食い込むように形成されている。凹部32の開口端32Aは、平面視において、突出先端部48よりも開口部41の平面中心から離れた位置に設けられている。開口端32Aは、例えば、平面視において、開口部41の開口端41Aと重なる位置、又は開口端41Aよりも開口部41の平面中心から離れた位置に設けられている。開口端32Aは、例えば、平面視において、窪み部43の奥端部44と重なる位置、又は奥端部44よりも開口部41の平面中心に近い位置に設けられている。本例の開口端32Aは、平面視において、開口部41の開口端41Aと窪み部43の奥端部44との間に位置するように設けられている。
【0033】
凹部32の断面形状は、例えば、半円状又は半楕円状に形成されている。凹部32の内面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。凹部32の内面は、突出部46の下面49から開口部41の平面中心に近づくように下方に湾曲するように形成されている。凹部32の深さは、例えば、2μm~7μm程度とすることができる。
【0034】
接続端子50は、開口部41から露出された配線層31上に形成されている。接続端子50は、例えば、開口部41を充填するビア配線51と、ビア配線51を介して配線層31と電気的に接続され、ソルダーレジスト層40の上面に形成された柱状端子52とを有している。
【0035】
ビア配線51は、例えば、開口部41を充填するとともに、配線層31の凹部32を充填するように形成されている。ビア配線51は、開口部41及び凹部32と同様の形状に形成されている。ビア配線51は、窪み部43を充填するとともに、突出部46の上下面、つまり傾斜面47及び下面49を被覆するように形成されている。これにより、窪み部43においてビア配線51がソルダーレジスト層40に食い込むように形成されるとともに、ソルダーレジスト層40である突出部46がビア配線51に食い込むように形成される。
【0036】
接続端子50は、凹部32の内面と開口部41の内面とソルダーレジスト層40の上面40Aとを被覆するシード層53を有している。本例のシード層53は、ソルダーレジスト層40の上面40Aと、開口部41の内壁面42全面と、窪み部43の内面45全面と、突出部46の傾斜面47全面と、凹部32から露出された下面49全面と、凹部32の内面全面とを連続して被覆するように形成されている。シード層53の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。シード層53としては、例えば、無電解めっき法により形成された無電解めっき層を用いることができる。
【0037】
接続端子50は、シード層53よりも内側の開口部41及び凹部32を充填する金属層54を有している。本例の金属層54は、窪み部43を充填するとともに、突出部46の傾斜面47及び下面49を被覆するように形成されている。金属層54の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層54としては、例えば、電解めっき法により形成された電解めっき層を用いることができる。
【0038】
以上説明した開口部41内及び凹部32内に形成されたシード層53と金属層54とによって、接続端子50のビア配線51が構成されている。
接続端子50は、ソルダーレジスト層40の上面40Aに形成されたシード層53及びビア配線51(金属層54)上に形成された金属ポスト55を有している。金属ポスト55は、ソルダーレジスト層40の上面40Aから上方に突出するように柱状に形成されている。金属ポスト55の上面は、例えば、円弧状に湾曲する曲面に形成されている。金属ポスト55の上面は、例えば、凸状の曲面に形成されている。金属ポスト55の上面は、例えば、金属ポスト55の側面から金属ポスト55の平面中心に近づくに連れて上方に湾曲して突出するよう形成されている。金属ポスト55は、例えば、金属層54と一体に形成されている。金属ポスト55の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属ポスト55としては、例えば、電解めっき法により形成された電解めっき層を用いることができる。
【0039】
以上説明した金属ポスト55とソルダーレジスト層40の上面40Aに形成されたシード層53とによって、接続端子50の柱状端子52が構成されている。
接続端子50は、例えば、電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。なお、必要に応じて、柱状端子52の表面(上面及び側面、又は上面のみ)に表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層、OSP膜を用いることができる。
【0040】
以上説明した配線層31とソルダーレジスト層40とソルダーレジスト層40に形成された開口部41と接続端子50とによって、配線基板10の端子構造が構成されている。
なお、
図1では、窪み部43の奥端部44の先端や、突出部46の突出先端部48の先端を尖った形状に図示した。但し、実際には、奥端部44の先端及び突出先端部48の先端は曲面状に形成される。なお、以降の図面においても、
図1と同様に、奥端部44の先端及び突出先端部48の先端を尖った形状で図示する。
【0041】
次に、
図2に従って、半導体装置60の構造について説明する。
図2(a)に示すように、半導体装置60は、配線基板10と、1つ又は複数(ここでは、1つ)の半導体素子70と、アンダーフィル樹脂61と、外部接続端子62とを有している。
【0042】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、半導体素子70は、配線基板10にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子70の回路形成面(ここでは、下面)に配設された接続端子71を、はんだ層72を介して配線基板10の接続端子50に接合することにより、半導体素子70は、接続端子71及びはんだ層72を介して接続端子50と電気的に接続されている。このとき、はんだ層72は、接続端子50の上面に接合されるとともに、接続端子71の下面に接合されている。
【0043】
ここで、半導体素子70としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子70としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。なお、配線基板10に複数の半導体素子70を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとを組み合わせて配線基板10に搭載するようにしてもよい。
【0044】
接続端子71としては、例えば、金属ポストを用いることができる。接続端子71は、例えば、半導体素子70の回路形成面から下方に延びる柱状の接続端子である。本例の接続端子71は、例えば、円柱状に形成されている。接続端子71の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、接続端子71としては、金属ポストの他に、例えば金バンプを用いることもできる。
【0045】
はんだ層72としては、例えば、鉛フリーはんだのはんだめっきを用いることができる。はんだめっきの材料としては、例えば、Sn-Ag系、Sn-Cu系、Sn-Ag-Cu系、Sn-Bi系の鉛フリーはんだを用いることができる。
【0046】
アンダーフィル樹脂61は、配線基板10と半導体素子70との間の隙間を充填するように設けられている。アンダーフィル樹脂61の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0047】
図2(a)に示すように、外部接続端子62は、配線基板10の外部接続用パッドP1上に形成されている。外部接続端子62は、例えば、図示しないマザーボード等の実装基板に設けられたパッドと電気的に接続される接続端子である。外部接続端子62としては、例えば、はんだボールやリードピンを用いることができる。本実施形態では、外部接続端子62として、はんだボールを用いている。
【0048】
次に、
図3~
図6に従って、配線基板10の製造方法について説明する。ここでは、配線基板10の端子構造の製造方法について詳述する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0049】
まず、
図3(a)に示すように、基板本体11の上面に配線層31が形成され、配線層31の表面(上面及び側面)全面を被覆するソルダーレジスト層40が基板本体11の上面に形成された構造体を準備する。この構造体は、公知の製造方法により製造することが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、ソルダーレジスト層40は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートする、又は液状のソルダーレジストを塗布することにより形成することができる。ソルダーレジスト層40の材料としては、ネガ型の感光性樹脂を用いる。ネガ型の感光性樹脂では、後工程の露光・現像工程により、光照射された露光部分が硬化されて残り、未露光部分が現像液で除去される。
【0050】
続いて、
図3(b)に示す工程では、
図1(b)に示した開口部41の形状を得るためのフォトマスク80を準備し、そのフォトマスク80をソルダーレジスト層40の上方に配置する。フォトマスク80は、開口部41に対応する部分を遮光するように形成されており、開口部41以外の部分を露出する開口パターン81を有している。そして、フォトマスク80の開口パターン81から露出するソルダーレジスト層40に対して光L1を照射してソルダーレジスト層40を露光する(露光工程)。次いで、
図3(c)に示すように、ソルダーレジスト層40を現像することにより、未露光部分を現像液で除去する(現像工程)。これにより、ソルダーレジスト層40に開口部41が形成される。すなわち、フォトリソグラフィ法により、ソルダーレジスト層40に開口部41が形成される。このとき、例えば、露光工程において、露光エネルギー(露光量)に対し、配線層31の上面31Aからの光L1の反射量を10%~20%に調整することにより、開口部41の底部に突出部46と窪み部43とが連続する構造を形成することができる。詳述すると、
図3(b)に示した露光工程において、ソルダーレジスト層40は、顔料を含有しているため光L1の透過率が低く、且つ感光性樹脂中のフィラーにより光L1が分散される。このため、樹脂表面であるソルダーレジスト層40の上面40A側に比べて、ソルダーレジスト層40の下部は露光されにくい。すなわち、ソルダーレジスト層40の下部では硬化反応が進行しにくい。また、金属表面である配線層31の上面31A付近のソルダーレジスト層40においては、配線層31の上面31Aからの光L1の反射により硬化反応が進行する。これにより、
図3(c)に示した突出部46に対応する部分の硬化反応が進行する。以上のように、ソルダーレジスト層40の下部が露光されにくく硬化しにくいため、
図3(c)に示した現像工程で窪み部43が形成され、更に配線層31の上面31Aからの光L1の反射によって突出部46が形成される。これにより、開口部41の底部に突出部46と窪み部43とが連続した構造が形成される。なお、例えば、露光工程で使用する光L1の波長やソルダーレジスト層40の組成などを調整することにより、露光エネルギーに対する配線層31の上面31Aからの光L1の反射量の割合を調整することができる。
【0051】
次に、
図4(a)に示す工程では、ソルダーレジスト層40の開口部41から露出する配線層31の上面31Aに、開口部41と連通する凹部32を形成する。凹部32は、例えば、ソルダーレジスト層40をエッチングマスクとして配線層31をウェットエッチングすることにより形成できる。このようなウェットエッチングを配線層31に対して施した場合には、エッチングが配線層31の面内方向に進行するサイドエッチ現象により、配線層31の凹部32を開口部41の底部から外側に食い込むように形成することができる。すなわち、配線層31の上面に、開口部41の下端である突出先端部48における開口幅よりも大きい開口幅を有する凹部32を形成することができる。この凹部32は、突出部46の下面49を露出するように形成される。
【0052】
続いて、
図4(b)に示す工程では、ソルダーレジスト層40の上面40A全面と、開口部41の内面全面と、凹部32の内面全面とを連続して被覆するシード層53を形成する。シード層53は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。例えば、シード層53は、硫酸銅、水酸化ナトリウム、カルボン酸塩、硫酸ニッケル及びホルムアルデヒドを混合しためっき液を用いた無電解銅めっき法により形成することができる。
【0053】
次いで、
図5(a)に示す工程では、ソルダーレジスト層40の上面40Aに形成されたシード層53上に、開口パターン83Xを有するレジスト層83を形成する。開口パターン83Xは、金属ポスト55(
図1(b)参照)の形成領域に対応する部分のシード層53を露出するように形成される。レジスト層83の材料としては、例えば、次工程の電解めっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。例えば、レジスト層83の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば、感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、シード層53の上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口パターン83Xを有するレジスト層83を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層83を形成することができる。
【0054】
次に、
図5(b)に示す工程では、レジスト層83をめっきマスクとして、シード層53上に、そのシード層53をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。すなわち、レジスト層83の開口パターン83Xから露出されたシード層53の上面に電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施す。本工程により、シード層53よりも内側の開口部41及び凹部32を充填する金属層54が形成されるとともに、開口パターン83X内に金属ポスト55が形成される。このとき、金属層54は、窪み部43を充填するとともに、突出部46の傾斜面47及び下面49を被覆するように形成される。また、本例では、金属ポスト55の上面が凸状の曲面に形成される。ここで、電解めっき法により開口パターン83X内に銅めっき膜等のめっき膜を形成する場合には、初期段階では、めっき膜の表面が凹状であり、徐々に平坦になり、その後に凸状になる。そこで、本例では、金属ポスト55の上面が凸状になった状態で成膜を停止する。なお、金属ポスト55の上面が平坦な状態で成膜を停止してもよいし、金属ポスト55の上面が凹状の状態で成膜を停止してもよい。
【0055】
続いて、
図6(a)に示す工程では、
図5(b)に示したレジスト層83をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。
【0056】
次いで、
図6(b)に示すように、金属ポスト55をエッチングマスクとして、不要なシード層53をエッチングにより除去する。シード層53が無電解銅めっき層である場合には、例えば、硫酸過水系のエッチング液を用いたウェットエッチングにより不要なシード層53を除去する。これにより、開口部41及び凹部32に形成されたシード層53と金属層54とからなるビア配線51と、ソルダーレジスト層40の上面40Aに形成されたシード層53と金属ポスト55とからなる柱状端子52とを有する接続端子50が形成される。
【0057】
以上説明した製造工程により、
図1に示した配線基板10を製造することができる。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)配線基板10の端子構造は、配線層31と、配線層31を被覆するソルダーレジスト層40と、ソルダーレジスト層40を厚さ方向に貫通して配線層31の上面の一部を露出する開口部41と、開口部41から露出する配線層31上に形成された接続端子50とを有する。開口部41の底部には、ソルダーレジスト層40の上面40Aから下方に延びる内壁面42から開口部41の外方に向かって窪む窪み部43と、窪み部43の下方に形成されるとともに窪み部43から内壁面42よりも開口部41の内方に突出した突出部46とが連続して形成されている。接続端子50は、窪み部43を充填するように形成されている。この構成によれば、開口部41から露出する配線層31上に形成された接続端子50が窪み部43を充填するように形成される。これにより、接続端子50の一部(具体的には、窪み部43を充填する接続端子50)がソルダーレジスト層40に食い込むように形成される。このため、アンカー効果により、接続端子50とソルダーレジスト層40との密着性を向上させることができる。この結果、接続端子50がソルダーレジスト層40から脱離することを好適に抑制できる。これにより、配線層31と接続端子50との接続信頼性を向上させることができる。
【0058】
(2)ところで、配線基板10に半導体素子70を実装する際には、接続端子50と配線層31との界面近傍に大きな応力が作用しやすい。この応力に起因して、接続端子50と配線層31との界面に亀裂(クラック)が発生するおそれがある。このようなクラックが発生すると、接続端子50が配線層31から脱離するという問題がある。
【0059】
これに対し、本実施形態の配線基板10では、開口部41の底部に、開口部41の内方に突出する突出部46が設けられている。この構成によれば、接続端子50と配線層31との間の一部に、金属材料からなる接続端子50よりも高い弾性を有する突出部46を介在させることができる。そして、この突出部46の弾性により、接続端子50と配線層31との界面に発生する応力を緩和することができる。この結果、接続端子50と配線層31との界面にクラックが発生することを抑制できる。これにより、接続端子50が配線層31から脱離することを好適に抑制できる。
【0060】
(3)開口部41の底部に窪み部43と突出部46とが連続して形成されるため、開口部41の底部に段差部が形成される。具体的には、開口部41の底部には、窪み部43の内面45と突出部46の傾斜面47とによって段差部が形成される。この構成では、開口部41とその開口部41を充填する接続端子50との界面にも段差部が形成される。この段差部によって、例えば、開口部41を構成するソルダーレジスト層40と接続端子50との界面に伝搬されるクラックを停止させることができる。詳述すると、例えば、配線基板10に半導体素子70を実装する際に、接続端子50と配線層31との界面にクラックが発生すると、そのクラックが開口部41を構成するソルダーレジスト層40と接続端子50との界面に伝搬する場合がある。このとき、本実施形態の配線基板10では、開口部41の底部に段差部が形成されているため、その段差部においてクラックの伝搬を停止させることができる。具体的には、窪み部43の奥端部44においてクラックの伝搬を停止させることができる。これにより、クラックの伝搬を開口部41の底部で停止させることができ、狭い範囲でクラックの伝搬を停止させることができるため、そのクラックに起因して接続端子50がソルダーレジスト層40から脱離することを好適に抑制できる。この結果、配線層31と接続端子50との接続信頼性を向上させることができる。
【0061】
(4)窪み部43における開口部41の開口幅を、開口部41の上側の開口端41Aにおける開口幅よりも大きくなるように形成した。これにより、窪み部43が開口部41の外方に向かって深く窪むように形成される。このため、窪み部43に充填される接続端子50がソルダーレジスト層40に深く食い込むように形成される。これにより、接続端子50とソルダーレジスト層40との密着性をより向上させることができ、接続端子50がソルダーレジスト層40から脱離することをより好適に抑制できる。
【0062】
(5)窪み部43の内面45と突出部46の傾斜面47とがなす内側の角度θ4を、傾斜面47とソルダーレジスト層40の下面49とがなす内側の角度、つまり傾斜角度θ2よりも大きく形成した。これにより、平面視における突出先端部48の位置が同じで、且つ内面45の長さが同じである場合には、角度θ4が傾斜角度θ2よりも小さい場合に比べて、傾斜面47の長さを短くすることができる。このため、接続端子50と配線層31との界面でクラックが発生した場合であっても、そのクラックの伝搬距離、例えば突出先端部48から奥端部44までの距離を短くすることができる。したがって、クラックの伝搬を狭い範囲で好適に停止させることができる。
【0063】
(6)配線層31の上面に、開口部41に連通するとともに突出部46の下面49を露出する凹部32を形成し、その凹部32を充填するように接続端子50を形成した。この構成によれば、突出部46の上下両面を被覆するように接続端子50が形成される。これにより、接続端子50の一部(具体的には、凹部32を充填する接続端子50)がソルダーレジスト層40に食い込むように形成される。このため、アンカー効果により、接続端子50とソルダーレジスト層40との密着性を向上させることができる。この結果、接続端子50がソルダーレジスト層40から脱離することをより好適に抑制できる。
【0064】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0065】
・上記実施形態の開口部41において、内壁面42と内面45とがなす内側の角度θ3を、内面45と傾斜面47とがなす内側の角度θ4よりも小さくなるように形成してもよい。
【0066】
・上記実施形態の開口部41において、内面45と傾斜面47とがなす内側の角度θ4を、傾斜面47と下面49とがなす内側の角度、つまり傾斜角度θ2よりも小さくなるように形成してもよい。
【0067】
・例えば
図7に示すように、開口部41において、窪み部43の奥端部44が開口部41の上側の開口端41Aと平面視において重なる位置に設けられるようにしてもよい。この場合には、開口端41Aにおける開口部41の開口幅と、奥端部44における開口部41の開口幅とが略等しくなる。あるいは、奥端部44を、平面視において、開口端41Aよりも開口部41の平面中心に近い位置に設けるようにしてもよい。
【0068】
・例えば
図8に示すように、開口部41の内壁面42を、断面視において、ソルダーレジスト層40の上面40Aに対して略垂直に延びるように形成してもよい。例えば、内壁面42の傾斜角度θ1が略90度となるように、内壁面42を形成してもよい。
【0069】
・上記実施形態では、金属ポスト55の上面を凸状の曲面に形成したが、これに限定されない。例えば、金属ポスト55の上面を凹状の曲面に形成してもよいし、金属ポスト55の上面を平面に形成してもよい。
【0070】
・上記実施形態では、開口部41及び凹部32を充填するビア配線51と、ソルダーレジスト層40の上面40Aから上方に突出して形成された柱状端子52とから接続端子50を構成するようにした。これに限らず、例えば、柱状端子52を省略してもよい。この場合には、ビア配線51のみによって接続端子50が構成される。
【0071】
・例えば
図9に示すように、ビア配線51を、開口部41の深さ方向の途中まで埋め込まれた構造に変更してもよい。すなわち、ビア配線51は、開口部41全体を充填する構造に限定されない。但し、本変更例のビア配線51であっても、開口部41のうち窪み部43を充填するように形成されている。
【0072】
・上記実施形態の凹部32における開口幅は特に限定されない。例えば、凹部32の開口端32Aを、平面視において、開口部41の内壁面42の下端部よりも開口部41の平面中心に近い位置に設けるようにしてもよい。例えば、凹部32の開口端32Aを、平面視において、窪み部43の奥端部44よりも開口部41の平面中心から離れた位置に設けるようにしてもよい。
【0073】
・例えば
図10に示すように、配線層31の凹部32の形成を省略してもよい。この場合の接続端子50は、開口部41の底部に露出された配線層31の上面31A上に形成される。本変更例のビア配線51は、開口部41のみを充填するように形成される。また、本変更例のシード層53は、ソルダーレジスト層40の上面40Aと開口部41の内壁面42と窪み部43の内面45と突出部46の傾斜面47と開口部41の底部に露出した配線層31の上面31Aとを連続して被覆するように形成される。
【0074】
・上記実施形態では、シード層53を無電解めっき法(例えば、無電解銅めっき法)により形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、シード層53を、スパッタ法や蒸着法などにより形成するようにしてもよい。
【0075】
・上記実施形態では、シード層53を単層構造のシード層に具体化したが、シード層53を複数層構造(例えば、2層構造)のシード層に具体化してもよい。2層構造のシード層53としては、例えば、チタン(Ti)層とCu層とを順に積層した構造を有するシード層を挙げることができる。
【0076】
・上記実施形態では、無電解めっき層からなるシード層53と、電解めっき層からなる金属層54及び金属ポスト55とによって接続端子50を構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、接続端子50をはんだバンプに具体化してもよい。例えば、開口部41の底部に露出する配線層31上にはんだボールを搭載し、そのはんだボールを溶融してはんだバンプを形成してもよい。また、はんだめっき法等を用いて、開口部41の底部に露出する配線層31上にはんだバンプを形成してもよい。この場合には、例えば、
図5(b)に示した工程において、シード層53をめっき給電層に利用する電解はんだめっきを施すことにより、はんだバンプとしての接続端子50が形成される。
【0077】
・上記実施形態の配線基板10における表面処理層23を省略してもよい。
・上記実施形態では、配線基板10の最外層となる保護絶縁層の一例としてソルダーレジスト層40を例示したが、各種の感光性を有する絶縁性樹脂から保護絶縁層を形成することができる。
【0078】
・上記実施形態の半導体装置60におけるアンダーフィル樹脂61を省略してもよい。
・上記実施形態の半導体装置60における外部接続端子62を省略してもよい。
・上記実施形態の配線基板10に、半導体素子70の代わりに、チップコンデンサ、チップ抵抗やチップインダクタ等のチップ部品や水晶振動子などの半導体素子70以外の電子部品を実装するようにしてもよい。
【0079】
・上記実施形態の配線基板10を、CSP(Chip Size Package)やSON(Small Out line Non-Lead Package)等のパッケージに用いられる配線基板に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 配線基板
31 配線層
32 凹部
40 ソルダーレジスト層(保護絶縁層)
41 開口部
41A 開口端
42 内壁面
43 窪み部
44 奥端部
45 内面
46 突出部
47 傾斜面
48 突出先端部
49 下面
50 接続端子
51 ビア配線
52 柱状端子
60 半導体装置
70 半導体素子