(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】金属CMPのための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231023BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20231023BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
(21)【出願番号】P 2021532105
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 US2019061253
(87)【国際公開番号】W WO2020117439
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-07-13
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン クラフト
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド フン ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル クリンガーマン
(72)【発明者】
【氏名】ローマン エー.イバノフ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン グランバイン
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-515806(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0010936(US,A1)
【文献】国際公開第2017/057156(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170660(WO,A1)
【文献】特開2014-130944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨組成物であって、
液体キャリアと、
前記液体キャリア中に分散されたカチオン性金属酸化物研削粒子と、を含み、前記カチオン性金属酸化物研削粒子が、一般式(2)または一般式(3)によって表されるシリル基を含む少なくとも1つの化合物で改質された表面を有し、
-Si(X)
n-[L-CR
1(OH)-C(R
2)
2-A]
3-n(2)
式中、Xが、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは前記粒子のO-Siとの結合を表し、
nが、0、1、または2であり、
Lが、連結基であり、
R
1が、水素原子、またはアミノ基、ヒドロキシル基、もしくは不飽和結合を含有するアルキル基であり、
R
2が、同じかまたは異なり、各々が、水素原子、またはアミノ基、ヒドロキシル基、もしくは不飽和結合を含有するアルキル基を表し、
Aが、第4級アンモニウム基であり、
【化1】
X’が、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは前記粒子のO-Siとの結合を表し、
n’が、0、1、または2であり、
L’が、連結基であり、
A’が、第4級アンモニウム基であり、
前記金属酸化物研削粒子が、コロイダルシリカであり、約1.5~約5.0の範囲の凝集比を有
し、
前記カチオン性金属酸化物研削粒子が、約9超の等電点を有する、
化学機械研磨組成物。
【請求項2】
前記シリル基が、一般式(2)によって表され、
Lが、--CH
2CH
2CH
2OCH
2--であり、R
1およびR
2が、Hであり、Aが、--N
+R’R”R’’’であり、R’、R”、およびR’’’が、同じかまたは異なり、実質的に任意の炭素含有化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シリル基が、一般式(3)によって表され、
Lが、--CH
2CH
2--であり、A’が、--N
+R’R”R’’’であり、R’、R”、およびR’’’が、同じかまたは異なり、実質的に任意の炭素含有化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記液体キャリアが、水である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記金属酸化物研削粒子が、約30~約90nmの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
約6~約8のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記カチオン性金属酸化物研削粒子が、6超のpHで少なくとも20mVのゼータ電位を有するコロイダルシリカ粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
約2質量パーセント未満の前記カチオン性金属酸化物研削粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記液体キャリアが、約150ppm未満の総溶解ケイ素濃度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記液体キャリアが、約100ppm未満の残留シラン濃度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
過酸化水素酸化剤および金属腐食抑制剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
トリアゾールピリジン化合物をさらに含み、約6~約8の範囲のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
金属層を含む基板を化学機械研磨する方法であって、
(a)請求項1に記載の研磨組成物と前記基板を接触させることと、
(b)前記研磨組成物を前記基板に対して動かすことと、
(c)前記基板を研削して、前記基板から前記金属層の一部分を除去し、それによって前記基板を研磨することと、を含
み、
前記基板が、誘電体層をさらに含み、(c)の前記研削が、前記基板から前記誘電体層の一部分をも除去し、
(c)の前記金属の除去速度対(c)の前記誘電体の除去速度の比が、約3:1~約1:3の範囲である、
方法。
【請求項14】
前記金属が、コバルト、銅、およびタングステンのうちの少なくとも1つを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属が、コバルトを含み、(c)の前記誘電体層の除去速度が、(c)のコバルトの除去速度よりも高い、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
化学機械研磨組成物であって、
液体キャリアと、
前記液体キャリア中に分散されたカチオン性金属酸化物研削粒子と、を含み、前記カチオン性金属酸化物研削粒子が、以下の一般式によって表されるシリル基を含む少なくとも1つの化合物で改質された表面を有し、
-Si(X)
n-[L-O-R-A]
3-n(1)
式中、Xが、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは前記粒子のO-Siとの結合を表し、
nが、0、1、または2であり、
Lが、連結基であり、
Oが、酸素ヘテロ原子であり、
Rが、アミノ基、ヒドロキシル基、または不飽和結合を含有するアルキル基であり、
Aが、第4級アンモニウム基であり、
前記液体キャリアが、水であり、前記金属酸化物研削粒子が、約30~約90nmの範囲の平均粒径を有し、
前記金属酸化物研削粒子が、コロイダルシリカであり、約1.5~約5.0の範囲の凝集比を有
し、
そして、前記金属酸化物研削粒子が、9超の等電点を有する、
化学機械研磨組成物。
【請求項17】
Lが、--CH
2CH
2CH
2--であり、Rが、--CH
2CH(OH)CH
2--であり、Aが、--N
+R’R”R’’’であり、R’、R”、およびR’’’が、同じかまたは異なり、実質的に任意の炭素含有化合物を含む、請求項
16に記載の組成物。
【請求項18】
約6~約8のpHを有し、前記カチオン性金属酸化物研削粒子が、少なくとも20mVのゼータ電位を有するコロイダルシリカ粒子を含む、請求項
16に記載の組成物。
【請求項19】
約2質量パーセント未満の前記金属酸化物研削粒子を含む、請求項
16に記載の組成物。
【請求項20】
前記液体キャリアが、約150ppm未満の総溶解ケイ素濃度を有する、請求項
16に記載の組成物。
【請求項21】
前記液体キャリアが、約100ppm未満の残留シラン濃度を有する、請求項
16に記載の組成物。
【請求項22】
過酸化水素酸化剤および金属腐食抑制剤をさらに含む、請求項
16に記載の組成物。
【請求項23】
トリアゾールピリジン化合物をさらに含み、約6~約8の範囲のpHを有する、請求項
16に記載の組成物。
【請求項24】
金属層を含む基板を化学機械研磨する方法であって、
(a)請求項
16に記載の研磨組成物と前記基板を接触させることと、
(b)前記研磨組成物を前記基板に対して動かすことと、
(c)前記基板を研削して、前記基板から前記金属層の一部分を除去し、それによって前記基板を研磨することと、を含
み、
前記基板が、誘電体層をさらに含み、(c)の前記研削が、前記基板から前記誘電体層の一部分をも除去し、
(c)の前記金属層の除去速度対(c)の前記誘電体層の除去速度の比が、約3:1~約1:3の範囲である、
方法。
【請求項25】
前記金属が、コバルト、銅、およびタングステンのうちの少なくとも1つを含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属が、コバルトを含み、(c)の前記誘電体層の除去速度が、(c)のコバルトの除去速度よりも高い、請求項
24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タングステンプラグおよびインターコネクト、および銅インターコネクトプロセス、ならびにデュアルダマシンプロセスは、従来の半導体デバイスのトランジスタを接続する金属ワイヤのネットワークを形成するために長い間用いられてきたバックエンド配線(BEOL)プロセスである。これらのプロセスでは、誘電体材料(例えば、TEOS)に形成された開口部に、金属層が堆積される。化学機械研磨(CMP)を使用して、誘電体から余分な金属を除去し、それによって誘導体内に導電性プラグおよび/またはインターコネクトを形成する。中間層誘電体(ILD)材料(例えば、TEOS)を金属インターコネクトレベル間に堆積して、レベル間の電気絶縁を提供する。
【0002】
半導体デバイスの形状が縮小し続けるにつれて、局所的および全体的な平坦性要件を満たすことは、CMP操作(具体的には、金属CMP操作)でますます困難になっている。アレイ浸食(酸化物浸食とも呼ばれる)、ならびにプラグおよび配線の凹み(ディッシングとも呼ばれる)により、平坦性およびデバイス全体の完全性が損なわれることが知られている。さらに、局所的な金属損失は、電気的性能を低下させ得る電気的接触の問題を引き起こし得る。業界では、金属CMP操作中に改善された平面性(具体的には金属損失の低減)を提供する金属CMPスラリー(または組成物)が必要である。
【0003】
さらに、コバルトは、ある特定の銅インターコネクト用途においてタンタル/窒化タンタルバリアスタックに代わる有力な候補として浮上しており、ある特定のBEOL用途においてタングステン金属の代替品としても調査されている。銅バリア層として、ならびに/またはタングステンプラグおよび/もしくはタングステンインターコネクトの代替品としてのコバルトの導入の潜在性を考慮すると、コバルト含有基板を効果的に平坦化することが可能なCMPスラリーの必要性が浮上している。
【発明の概要】
【0004】
液体キャリア、および液体キャリア中に分散されたカチオン性金属酸化物研削粒子を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる、化学機械研磨組成物が開示される。第1の実施形態では、研削粒子は、一般式(1)によって表されるシリル基を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる少なくとも1つの化合物で改質された表面を有し、
--Si(X)n-[L-O-R-A]3-n(1)
【0005】
式中、Xが、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは粒子のO-Siとの結合を表し、nが、0、1、または2であり、Lが、連結基であり、Oが、酸素ヘテロ原子であり、Rが、アミノ基、ヒドロキシル基、または不飽和結合を含有するアルキル基であり、Aが、第4級アンモニウム基である。この第1の実施形態では、液体キャリアは、好ましくは水または水系であり、金属酸化物研削粒子は、好ましくは、約30~約90nmの範囲の平均粒径を有する。
【0006】
第2の実施形態では、研削粒子は、一般式(2)または一般式(3)によって表されるシリル基を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる少なくとも1つの化合物で改質された表面を有し、
--Si(X)n-[L-CR1(OH)-C(R2)2-A]3-n(2)
【0007】
式中、Xが、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは粒子のO-Siとの結合を表し、nが、0、1、または2であり、Lが、連結基であり、R
1が、水素原子、またはアミノ基、ヒドロキシル基、もしくは不飽和結合を含有するアルキル基であり、R
2が、同じかまたは異なり、各々が、水素原子、またはアミノ基、ヒドロキシル基、もしくは不飽和結合を含有するアルキル基を表し、Aが、第4級アンモニウム基であり、
【化1】
【0008】
X’が、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは粒子のO-Siとの結合を表し、n’が、0、1、または2であり、L’が、連結基であり、A’が、第4級アンモニウム基である。この第2の実施形態では、金属酸化物研削粒子は、好ましくは、約1.5~約5.0の範囲の凝集比を有し得る。
【0009】
金属層を含む基板を化学機械研磨するための方法が、さらに開示される。これらの方法は、上述の研磨組成物実施形態と基板を接触させることと、研磨組成物を基板に対して動かすことと、基板を研削して基板からコバルトの一部分を除去し、それによって基板を研磨することと、を含み得る。方法は、基板から誘電体層の一部分を除去することをさらに含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
金属層を有する基板を研磨するための化学機械研磨組成物が、開示される。一実施形態では、研磨組成物は、液体キャリア、および液体キャリア中に分散されたカチオン性金属酸化物研削粒子を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。研削粒子は、一般式(1)によって表されるシリル基を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる少なくとも1つの化合物で改質された表面を有し得、
--Si(X)n-[L-O-R-A]3-n(1)
【0011】
式中、Xが、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは粒子のO-Siとの結合を表し、nが、0、1、または2であり、Lが、連結基であり、Oが、酸素ヘテロ原子であり、Rが、アミノ基、ヒドロキシル基、または不飽和結合を含有するアルキル基であり、Aが、第4級アンモニウム基である。液体キャリアは、水系であり得、金属酸化物研削粒子は、約30~約90nmの範囲の平均粒径を有し得る。さらに、研削粒子は、約1.5~約5.0の範囲の凝集比を有し得る。
【0012】
本開示のCMP組成物は、基板から金属層が除去される(または部分的に除去される)、実質的に任意のCMP操作に有利に利用することができることが理解されるであろう。例えば、本開示のCMP組成物は、バルク金属除去および/またはCMPバフ操作に使用することができる。バルク除去操作では、より高い金属除去速度を必要とし得、バフ操作ではより低い欠陥レベル、および/またはより厳重な腐食制御を必要とし得る。本開示のCMP組成物は、単一ステップのCMP操作にも有利に利用することができる。本開示の実施形態は、バフ操作に特によく適している可能性があるが、それらは、任意の特定のCMP操作に限定されることを意図していない。
【0013】
研磨組成物は、液体キャリア中に懸濁された金属酸化物粒子を含む研削材を含有する。研削材は、シラン改質剤との反応のための、到達可能な表面水酸化物基を有する、当該技術分野で既知の実質的に任意の好適な金属酸化物粒子を含み得る。例えば、金属酸化物は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、シリカ、セリア、酸化タンタル(TaOX)、それらの混合物、およびそれらの化学的混合物(すなわち、原子的に混合またはコーティングされた金属酸化物混合物を含む粒子)であり得る。好ましくは、金属酸化物研削材は、ヒュームドシリカおよびコロイダルシリカを含む、シリカ(二酸化ケイ素)である。本明細書で使用されるコロイダルシリカ粒子という用語は、一般に、構造的に異なる粒子を生成する熱処理プロセスまたは火炎加水分解プロセスではなく、むしろ湿式プロセスを介して調製されるシリカ粒子を指す。このようなコロイダルシリカ粒子は、凝集していても凝集していなくてもよい。非凝集粒子は、球形またはほぼ球形の形状の個別の粒子であるが、他の形状(一般に、楕円形、正方形、または長方形の断面など)を有することもできる。凝集粒子は、複数の離散粒子がクラスター化または結合して、一般に不規則な形状の凝集体を形成する粒子である。
【0014】
コロイダルシリカは、ゾルゲル法またはケイ酸塩イオン交換などによる、当業者に既知の任意の方法を使用して調製することができる、沈殿または凝集-重合シリカであり得る。凝集-重合シリカ粒子は、多くの場合、Si(OH)4を凝集させて実質的に球形の粒子を形成することによって調製される。前駆体Si(OH)4は、例えば、高純度アルコキシシランの加水分解によって、またはケイ酸水溶液の酸性化によって得ることができる。このような研削粒子は、例えば、米国特許第5,230,833号に従って調製されてもよいか、または例えば、EKA Chemicals、Fuso Chemical Company、Nalco、DuPont、Bayer、Applied Research、Nissan Chemical、およびClariantを含む、多くの商業的供給業者のうちのいずれかから入手されてもよい。
【0015】
熱処理シリカ(ヒュームドシリカ)は、好適な原料蒸気(四塩化ケイ素など)が水素および酸素の火炎で燃焼される、火炎加水分解プロセスを介して生成される。ほぼ球形の融解した粒子が燃焼プロセスで形成され、その直径は、プロセスパラメータを介して変動し得る。一般に一次粒子と呼ばれるこれらの融解した球体は、それらの接触点で衝突を受けることによって互いに融合して、分岐した三次元の鎖様の凝集体を形成する。ヒュームドシリカ研削材は、例えばCabot Corporation、Evonic、Wacker Chemieを含む、多くの供給業者から市販されている。
【0016】
改質された金属酸化物粒子は、好ましくはコロイダルシリカを含み、より好ましくは凝集コロイダルシリカ粒子を含む。当業者に既知であるように、非凝集粒子は、球形またはほぼ球形の形状であり得る個々の離散粒子であるが、同様に他の形状(一般に、楕円形、正方形、または長方形の断面など)を有してもよい。これらの非凝集粒子は、一次粒子と呼ばれる。凝集粒子は、複数の離散粒子(一次粒子)がクラスター化または一緒に結合して、一般に不規則な形状を有する凝集体を形成する粒子である。
【0017】
金属酸化物粒子の凝集は、凝集粒子の平均粒径を一次粒子の平均直径で除算したものとして本明細書で定義される、凝集比を使用して定量化することができる。凝集率の決定では、凝集粒子の平均粒径は、動的光散乱ツール(例えば、Malvern(登録商標)Instrumentsから入手可能なZetasizer(登録商標))を使用して決定され、一次粒子の平均直径は、走査型または透過型電子顕微鏡法(SEMまたはTEM)によって決定される。好適な凝集金属酸化物粒子は、約1.5以上(例えば、約2以上、または約2.5以上)の凝集比を有し得る。凝集粒子は、約10以下(例えば、約8以下、または約6以下、または約5以下、または約4.5以下)の凝集比を有し得る。したがって、凝集粒子は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される範囲の凝集比を有し得ることが理解されるであろう。例えば、凝集粒子は、約1.5nm~約10(例えば、約1.5~約8、約1.5~約6、約1.5~約5、約2~約5、または約2~約4.5)の範囲の凝集比を有し得る。
【0018】
改質された金属酸化物粒子は、少なくとも1つのシリル基が結合している金属酸化物を含み、シリル基は、ケイ素含有基のケイ素原子で金属酸化物表面に結合するケイ素含有基である。シリル基は、1つ以上の共有結合、1つ以上の静電結合(例えば、1つ以上のイオン結合)、1つ以上の水素結合、1つ以上のファンデルワールス結合、またはそれらの組み合わせを通じて金属酸化物の表面の一部分に結合することができる。好ましくは、シリル基は、1つ以上の共有結合を通じて金属酸化物粒子の表面の一部分に結合している。
【0019】
一実施形態では、シリル基は、一般式(1)によって表すことができ、
--Si(X)n-[L-O-R-A]3-n(1)
【0020】
式中、nが、0、1、または2であり、Xが、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは粒子のO-Siとの結合を表す。本明細書で使用される場合、「加水分解性」という用語は、アルコキシ基などの、水性系中でSi--OH基を形成する置換基を指す。「非加水分解性」という用語は、水溶液中で加水分解を受けずにSi--OH基を形成する置換基を指す。好適な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、またはアルケニル基が挙げられ、これらは各々、1つ以上の官能基でさらに置換され得る。
【0021】
式(1)のLは、ケイ素原子を酸素ヘテロ原子Oに連結する結合基である。Lは、実質的に任意の分岐または非分岐アルキレン(メチレン、エチレン、またはプロピレンなど)、アルケニレンもしくはアルキニレン基、またはアリーレン、ヘテロアリーレン、アルキルアリーレン、もしくはアリールアルキレン基であり得る。Lとしてはまた、ヒドロキシルまたはアルコキシ基などの追加の官能基を挙げることができる。Rは、アミノ基、ヒドロキシル基、または不飽和結合を含有し、酸素ヘテロ原子を第4級アンモニウム基Aに連結するアルキル基である。化学基の例としては、限定されないが、--CO--、--CONR’--、--SO3--、--SO2--、--SO2NR’--、--CH2CH2CO--、--CH2CH2COO--、--CH2CH2CONR’--、--CH2CH(OH)--、--CH2CH(OH)CH2--などが挙げられ、式中、R’が、分岐もしくは非分岐の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、または置換もしくは非置換のアリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル基である。
【0022】
式(1)の第4級アンモニウム基Aとしては、Aが、--N+R’R”R’’’であり、式中、R’、R”、およびR’’’が、同じかまたは異なり得、実質的に任意の炭素含有化合物を含み得るような、実質的に任意の好適な第4級アンモニウム化合物を挙げることができる。第4級アンモニウム中のn-ium基は、原料としての第3級アミンの構造に対応する構造を有し得ることが理解されるであろう。例えば、第3級アミンがトリエチルアミンである場合、対応する第4級アンモニウム基はトリエチルアンモニウムである。第4級アンモニウム基は、例えば、飽和炭化水素基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミンなど)、ヒドロキシル基、エーテル基、アミノ基を有するもの、および/または不飽和炭素結合を含有する炭化水素基を有するもの(ジメチルエタノールアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、ピリジンなど)であり得る。
【0023】
好ましい第4級アンモニウム基は、同じかまたは異なり得、各々が、ヒドロキシル基、アミノ基、フェニル基で置換され得るC1-C10アルキル基(好ましくはC1-C6アルキル基、より好ましくはC1-C3アルキル基)を表す。第4級アンモニウム基の例としては、--N+(CH3)3、--N+(C2H5)3、--N+(CH3)2(CH2CH2OH)、--N+(C2H5)2(CH2CH2OH)、--N+(CH3)2(CH2CH(OH)CH3)、および--N++(CH3)2(CH3)2CH2OH)が挙げられる。最も好ましい第4級アンモニウム基としては、----N+(CH3)3、--N+(C2H5)3、およびN+(CH3)2(CH2CH2OH)が挙げられる。
【0024】
さらに式(1)に関して、1つの好ましい実施形態では、Lは、--CH2CH2CH2--であり、Rは、--CH2CH(OH)CH2--であり、Aは、--N<475>+</475>R’R”R’’’であり、式中、R’、R”、およびR”’が、同じかまたは異なり得、実質的に任意の炭素含有化合物を含み得、Aが、好ましくは、--N+(CH3)3、--N+(C2H5)3、--N+(CH3)2(CH2CH2 OH)、--N+(C2H5)2(CH2CH2 OH)、--N+(CH3)2(CH2CH(OH)CH3)、および--N+(CH3)2C[(CH3)2CH2 OH]から選択される。
【0025】
シリル基はまた、一般式(2)によって表すことができ、
-Si(X)n-[L-CR1(OH)-C(R2)2-A]3-n(2)
【0026】
式中、n、X、およびAが、式(1)について上に定義されたとおりである。式2のLは、CR1にケイ素原子を連結する連結基である。式(1)のように、Lは、実質的に任意の分岐または非分岐アルキレン(メチレン、エチレン、またはプロピレンなど)、アルケニレンもしくはアルキニレン基、またはアリーレン、ヘテロアリーレン、アルキルアリーレン、もしくはアリールアルキレン基であり得る。Lとしてはまた、ヒドロキシルまたはアルコキシ基などの追加の官能基を挙げることができる。R1およびR2は、同じかまたは異なり、各々、水素原子、またはアミノ基、ヒドロキシル基、もしくは不飽和結合を含有するアルキル基を表す。
【0027】
さらに式(2)に関して、1つの好ましい実施形態では、Lは、--CH2CH2CH2OCH2--であり、R1 および R2は、Hであり、Aは、--N+R’R”R’’’であり、式中、R’、R”、およびR”’が、同じかまたは異なり得、実質的に任意の炭素含有化合物を含み得、Aが、好ましくは、--N+(CH3)3、--N+(C2H5)3、--N+(CH3)2(CH2CH2 OH)、--N+(C2H5)2(CH2CH2 OH)、--N+(CH3)2(CH2CH(OH)CH3)、および--N+(CH3)2C[(CH3)2CH2 OH]から選択される。
【0028】
シリル基はまた、一般式(3)によって表すことができ、
【化2】
【0029】
式中、XおよびAが、式(1)および(2)について上に定義されたとおりである。式(3)のLは、ケイ素原子を示された複素環式基に連結する連結基である。式(1)および(2)のように、Lは、実質的に任意の分岐または非分岐アルキレン(メチレン、エチレン、またはプロピレンなど)、アルケニレンもしくはアルキニレン基、またはアリーレン、ヘテロアリーレン、アルキルアリーレン、もしくはアリールアルキレン基であり得る。Lとしてはまた、ヒドロキシルまたはアルコキシ基などの追加の官能基を挙げることができる。
【0030】
さらに式(3)に関して、1つの好ましい実施形態では、Lは、--CH2CH2--であり、Aは、--N+R’R”R’’’であり、式中、R’、R”、およびR’’’が、同じかまたは異なり得、実質的に任意の炭素含有化合物を含み得、Aが、好ましくは、--N+(CH3)3、--N+(C2H5)3、--N+(CH3)2(CH2CH2 OH)、--N+(C2H5)2(CH2CH2 OH)、--N+(CH3)2(CH2CH(OH)CH3)、および--N+(CH3)2C[(CH3)2CH2 OH]から選択される。
【0031】
以下により詳述されるように、改質された金属酸化物研削粒子は、少なくとも1つの表面金属水酸化物を有する金属酸化物と、その後第2の処理剤と反応して式(1)、(2)または(3)を有するシリル基を形成する反応性官能基を有する少なくとも1つの前駆体シラン化合物との組み合わせ生成物として調製することができる。シリル基が式(2)を有するとき、前駆体シランとしては、3-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、キシルプロピルジメチルエトキシシラン、および3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを挙げることができ、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。シリル基が式(3)を有するとき、前駆体シランとしては、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4,-dエポキシシクロヘキシルアルキル)(ペンタシクロヘキシルなど)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、および
2-(3,4-エポキシシクロヘキサンキシル)エチルトリエトキシシランを挙げることができ、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。
【0032】
改質された金属酸化物粒子は、研磨組成物中に正電荷を有し得る。シリカ粒子などの分散粒子上の電荷は、当該技術分野では一般にゼータ電位(または界面動電位)と呼ばれている。粒子のゼータ電位とは、粒子を取り巻くイオンの電荷と研磨組成物のバルク溶液の電荷との間の電位差を指す(例えば、液体キャリアとその中に溶解した任意の他の成分)。したがって、正電荷を有するシリカ研削粒子(すなわち、カチオン性シリカ研削粒子)は、それらの動作pHで正のゼータ電位を有するであろう。ゼータ電位は典型的には、水性媒体のpHに依存する。所与の組成物では、粒子の等電点は、ゼータ電位がゼロになるpHとして定義される。等電点から離れてpHが増加または減少すると、それに応じて表面電荷(および、したがってゼータ電位)が減少または増加する(負または正のゼータ電位値に)。本開示の研磨組成物中などに分散した研削粒子のゼータ電位は、Malvern Instrumentsから入手可能なZetasizer、Brookhaven Instrumentsから入手可能なZetaPlus Zeta Potential Analyzer、および/またはDispersion Technologies Inc.から入手可能な電気音響分光計などの市販の機器を使用して得ることができる。
【0033】
ある特定の実施形態では、改質された金属酸化物粒子は、pH7超の等電点を有するシリカ粒子(例えば、コロイダルシリカ粒子)を含み得る。例えば、シリカ研削粒子は、pH8超(例えば、pH8.5超またはpH9超)の等電点を有し得る。
【0034】
ある特定の実施形態では、改質された金属酸化物研削粒子は、研磨組成物中で、(例えば、約6超のpHで、または約6~約8の範囲のpHで)約10mV以上(例えば、約15mV以上、約20mV以上、約25mV以上、または約30mV以上)のゼータ電位を有するシリカ粒子を含み得る。シリカ研削粒子は、研磨組成物中で、(例えば、約6超のpHで、または約6~約8の範囲のpHで)約50mV以下(例えば、約45mV以下、または約40mV以下)のゼータ電位を有し得る。シリカ研削粒子は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される範囲のゼータ電位を有し得ることが理解されるであろう。例えば、シリカ研削粒子は、研磨組成物中で、(約6超のpHで、または約6~約8の範囲のpHで)約10mV~約50mV(例えば、約10mV~約45mV、または約20mV~約40mV)の範囲のゼータ電位を有し得る。
【0035】
改質された金属酸化物研削粒子は、一般に永久正電荷を有することが理解されるであろう。永久正電荷とは、例えば、フラッシング、希釈、濾過などを介して、シリカ粒子上の正のゼータル電位が容易に可逆的でないことを意味する。永久正電荷は、例えば、カチオン性化合物をコロイダルシリカと共有結合した結果であり得る。永久正電荷は、例えば、カチオン性化合物と金属酸化物研削材との間の静電相互作用の結果であり得る可逆的な正電荷とは対照的である。
【0036】
改質された金属酸化物研削粒子は、CMP組成物中で実質的に任意の好適な粒径を有し得る。液体キャリアに懸濁された粒子の粒径は、さまざまな手段を使用して業界で定義され得る。例えば、粒径は、粒子を取り囲む最小の球体の直径として定義され得、例えば、CPS Disc Centrifuge、Model DC24000HR(CPS Instruments、ルイジアナ州、プレーリービルから入手可能)またはMalvern Instruments(登録商標)から入手可能なZetasizer(登録商標)を含む多くの市販の機器を使用して測定され得る。研削粒子は、約5nm以上(例えば、約10nm以上、約20nm以上、約30nm以上、または約40nm以上)の平均粒径を有し得る。研削粒子は、約200nm以下(例えば、約150nm以下、約100nm以下、約90nm以下、約80nm以下、約70nm以下、または約60nm以下)の平均粒径を有し得る。したがって、研削粒子は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される範囲の平均粒径を有し得ることが理解されるであろう。例えば、研削粒子は、約5nm~約200nm(例えば、約10nm~約150nm、約20nm~約100nm、約30nm~約90nm、または約40nm~約60nm)の範囲の平均粒径を有し得る。
【0037】
改質された金属酸化物研削粒子が、凝集粒子を含むとき、凝集粒子は、実質的に任意の好適な一次粒径を有し得る。一次粒径は、走査型または透過型電子顕微鏡法(SEMまたはTEM)を介して決定された、一次粒子の平均直径として、本明細書では定義される。研削粒子は、約10~約40nm(例えば、約15~約35nmまたは約20~約30nm)の範囲の一次粒径を有し得る。
【0038】
研磨組成物は、実質的に任意の好適な量の研削粒子を含むことができる。研磨組成物が含む研削材が少なすぎる場合、組成物は十分に高いCMP除去速度を呈さない可能性がある。対照的に、研磨組成物に含まれる研削材が多すぎる場合、研磨組成物は、望ましくない研磨性能を呈し得、かつ/または費用効果がない可能性があり、かつ/またはコロイド安定性に欠ける可能性がある。研磨組成物は、約0.01質量%以上(例えば、約0.05質量%以上)の研削粒子を含み得る。研磨組成物は、約0.1質量%以上(例えば、約0.2質量%以上、約0.3質量%以上、または0.5質量%以上)の研削粒子を含み得る。研磨組成物中の研削粒子の濃度は、一般に、約20質量%未満、より典型的には約10質量%以下(例えば、約5質量%以下、約3質量%以下、約2質量%以下、または約1.5質量%以下、または約1質量%以下)である。研削粒子は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される濃度で、研磨組成物中に存在し得ることが理解されるであろう。例えば、研磨組成物中の研削粒子の濃度は、約0.01質量%~約20質量%、より好ましくは約0.05質量%~約10質量%(例えば、約0.1質量%~約5質量%、約0.1質量%~約3質量%、約0.1質量%~約2質量%、約0.2質量%~約2質量%、約0.2質量%~約1.5質量%、または約0.2質量%~約1質量%)の範囲であり得る。
【0039】
改質された金属酸化物研削粒子は、実質的に任意の好適な既知の方法を使用して調製することができる。例えば、改質された研削材は、金属酸化物と、金属酸化物の処理剤であると見なすことができるシラン化合物との組み合わせ生成物であり得る。使用することができるシラン化合物の好適な部類としては、アルコキシシラン、シラザン、ハロシラン、およびカルボキシシラン(アセトキシシランなど)が挙げられる。例えば、シランで改質された金属酸化物は、少なくとも1つの表面金属水酸化物を有する金属酸化物と、式Y--Fを有する少なくとも1つのシラン化合物と、その部分的に加水分解された誘導体との組み合わせ生成物であり得る。この式のFは、上述の式(1)、(2)、または(3)を表す。Yは、--OHまたは加水分解性置換基である。Yの加水分解性置換基の好適な例としては、限定されないが、アルコキシ基、ハロゲン(Cl基など)、カルボン酸塩(酢酸塩基など)、アミン、およびアミドが挙げられる。
【0040】
あるいは、改質された金属酸化物研削粒子は、少なくとも1つの表面金属水酸化物を有する金属酸化物と、その後第2の処理剤と反応して式(1)、(2)または(3)を有するシリル基を形成する反応性官能基を有する少なくとも1つの前駆体シラン化合物との組み合わせ生成物として調製することができる。単に例えば、シランで改質された金属酸化物は、少なくとも1つの表面金属水酸化物を有する金属酸化物と、式Y--Si(X)n-(L-O-Z)3-nを有する少なくとも1つの前駆体シラン化合物と、その後式NR3を有する化合物と反応して、式1および/または2で上述された結合したシリル基を有するシランで改質された金属酸化物を形成する、その部分的に加水分解された誘導体との組み合わせ生成物であり得る。この式のY、X、n、L、およびOは、上に定義されたとおりであり、Rは、同じかまたは異なり、例えば、アルキル基を含み得る。Zは、求核性NR3と反応して、第4級アミン基をシランに結合する求電子性化学基である。具体例として、Z’は、エポキシド基、アルファ、ベータ不飽和カルボニル基、またはカルボン酸誘導体であり得る。
【0041】
上述のように、改質された金属酸化物研削粒子は、液体キャリア中に分散される。液体キャリアを使用して、研磨される基板の表面への研削材および任意の任意選択の化学添加剤の塗布(例えば、平坦化)を促進する。液体キャリアは、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、水、およびそれらの混合物を含む任意の好適なキャリア(例えば、溶媒)であり得る。好ましくは、液体キャリアは、水、より好ましくは脱イオン水を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0042】
研磨組成物を配合するために使用されるコロイダルシリカ分散液は、液体キャリアからさまざまなイオン性化合物を除去するために、アニオンおよび/またはカチオン交換を介して処理されてもよい。例えば、アニオン交換を使用して、塩化物および他の望ましくないアニオンを除去してもよく、カチオン交換を使用して、シランおよび/または塩基触媒に由来するケイ素種を除去してもよい。ある特定の実施形態では、アニオンおよび/またはカチオン交換は、任意選択の添加剤および化学化合物を分散液に添加する前に使用されてもよい。実施形態の一例では、10質量パーセントのコロイダルシリカ分散液を、最初に、Dowex(登録商標)550A(OH-)などのアニオン交換樹脂を含有するイオン交換カラムに通してもよい。得られた分散液は、硝酸を使用してpH調整し、5質量パーセントの固体まで希釈して、シリカ凝集を最小限に抑えてもよい。次いで、この得られた分散液を、Dowex(登録商標)650C(H+)などのカチオン交換樹脂を含有するカラムに通してもよい。次いで、得られたイオン交換分散液を使用して(例えば、希釈、pH調整、ならびに/またはさまざまな添加剤および/もしくは化学化合物の添加を介して)、研磨組成物を配合してもよい。
【0043】
ある特定の実施形態では、イオン交換処理されたコロイダルシリカ分散液を使用して調製された研磨組成物は、約250質量ppm未満(例えば、約200ppm未満または約150ppm未満)の総溶解ケイ素濃度を有し得る。研磨組成物は、加えておよび/または代替的に、約200ppm未満(例えば、約150ppm未満または約100ppm未満)の残留シラン濃度を有し得る。
【0044】
本発明による化学機械研磨組成物を使用して、実質的に任意の金属含有基板、例えば、銅層、タンタルおよび/もしくは窒化タンタルなどの銅バリア層、タングステン層、チタンおよび/もしくは窒化チタンなどのタングステンバリア層、ならびに/またはコバルト層を含む、半導体基板を平坦化することができる。CMP組成物は、このような金属層を研磨するのに好適な実質的に任意の添加剤を含み得る。
【0045】
研磨組成物は、酸化剤を任意選択でさらに含むことができる。酸化剤は、スラリー製造プロセス中に、またはCMP操作の直前に(例えば、半導体製造施設に位置するタンク内で)研磨組成物に添加されてもよい。ある特定の用途(コバルトCMP操作など)では、酸化剤を必要としない場合がある。
【0046】
ある特定の他の用途(例えば、タングステンおよび銅のCMP操作)では、酸化剤は、好ましくは、無機または有機の過化合物を含み得る。本明細書で定義される過化合物は、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含有する化合物、または最も高い酸化状態の元素を含有する化合物である。少なくとも1つのペルオキシ基を含有する化合物の例には、過酸化水素およびその付加物例えば尿素過酸化水素および過炭酸塩、有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、過酢酸、およびジ-t-ブチル過酸化物、モノ過硫酸塩(SO5
=)、二過硫酸塩(S2O8
=)、および過酸化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。最も高い酸化状態の元素を含有する化合物の例には、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過ホウ酸、過ホウ酸塩および過マンガン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましい酸化剤は、過酸化水素である。
【0047】
酸化剤は、例えば、約0.1~約10質量パーセントの範囲の量で研磨組成物中に存在してもよい。過酸化水素酸化剤が使用される好ましい実施形態では、酸化剤は、約0.1~約5質量パーセント(例えば、約0.1~約4質量%、約0.1~約3質量%、約0.2~約4パーセント、約0.2~約2質量パーセント、約0.4~約4パーセント、または約0.5~約3パーセント)の範囲の量で研磨組成物中に存在し得る。
【0048】
過化合物(過酸化水素およびその付加物を含む)は、研磨組成物中の他の化合物(例えば、コバルトおよび銅のエッチングを抑制するためのトリアゾール化合物)と化学的に反応することがあることが知られている。したがって、このような過化合物の排除は、研磨組成物の化学的安定性およびポットライフを改善することができる。したがって、研磨組成物は、任意選択で(必ずしも必要ではないが)、過化合物を含まない酸化剤(非過化合物酸化剤(non per compound oxidizing agent))を含み得る。このような非過化合物酸化剤は、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、N-オキシド化合物、オキシム化合物、およびそれらの組み合わせなどの窒素含有有機酸化剤から選択することができる。例えば、任意選択の酸化剤としては、アリールニトロ化合物、アリールニトロソ化合物、アリールN-オキシド化合物、アリールオキシム化合物、ヘテロアリールニトロ化合物、ヘテロアリールニトロソ化合物、ヘテロアリールN-オキシド化合物、ヘテロアリールオキシム化合物、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0049】
タングステン含有基板を研磨するために構成されたCMP組成物は、任意選択で、タングステンCMP操作中にタングステンの除去速度を増加させるための鉄含有促進剤を含み得る。鉄含有促進剤としては、米国特許第5,958,288号および同第5,980,775号に開示されるものなどの可溶性鉄含有触媒を挙げることができる。このような鉄含有触媒は、液体キャリアに可溶性であり得、例えば、硝酸鉄、硫酸鉄、フッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物、ならびに過塩素酸塩、過臭素酸塩、および過ヨウ素酸塩を含むハロゲン化鉄、ならびに酢酸鉄、鉄アセチルアセトネート、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、マロン酸鉄、シュウ酸鉄、フタル酸鉄、およびコハク酸鉄などの有機鉄化合物、ならびにそれらの混合物などの第二鉄(鉄III)または第一鉄(鉄II)化合物を挙げることができる。鉄含有促進剤は、米国特許第7,029,508号および同第7,077,880号に開示されるような、コロイダルシリカ粒子の表面に結び付いた(例えば、コーティングしたまたは結合した)鉄含有活性剤(例えば、フリーラジカル生成化合物)または鉄含有触媒を含んでもよい。
【0050】
研磨組成物中の鉄含有促進剤の量は、存在する場合(任意選択の酸化剤が以下により詳細に開示される)使用される酸化剤、および促進剤の化学形態に応じて変動し得る。好ましい酸化剤過酸化水素(またはその類似体)が使用され、可溶性鉄含有触媒(硝酸鉄など)が使用されるとき、触媒は、組成物の総質量に基づいて、約0.1~約3000ppmの範囲のFeを提供するのに十分な量で組成物中に存在し得る。研磨組成物は、好ましくは、約1ppm以上(例えば、約5ppm以上または約10ppm以上)のFeを含む。研磨組成物は、好ましくは、約100ppm以下(例えば、約50ppm以下または約30ppm以下)のFeを含む。したがって、研磨組成物は、前述の終点のうちのいずれか2つによって制限される範囲のFeレベルを含み得ることが理解されるであろう。例えば、研磨組成物は、約1~約100ppm(例えば、約5~約50ppmまたは約10~約30ppm)の範囲のFeを含み得る。
【0051】
鉄含有促進剤を含む研磨組成物の実施形態は、安定剤をさらに含むことができる。このような安定剤がなければ、鉄含有促進剤および、存在する場合、酸化剤は、酸化剤を経時的に急速に分解するように反応する可能性がある。有用な安定剤には、リン酸、有機酸、ホスホン酸化合物、ニトリル、および金属に結合し、過酸化水素分解に対する反応性を低下させる他のリガンド、およびそれらの混合物が含まれる。酸安定剤はそれらの共役形態で使用されてもよく、例えば、カルボン酸の代わりにカルボン酸塩が使用されてもよい。本明細書で有用な安定剤を説明するために使用される「酸」という用語は、酸安定剤の共役塩基も意味する。例えば、「アジピン酸」という用語は、アジピン酸とその共役塩基を意味する。安定剤は単独または組み合わせて使用でき、過酸化水素などの酸化剤が分解する速度を大幅に低下させる。
【0052】
好ましい安定剤には、リン酸、酢酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、およびそれらの混合物が含まれる。好ましい安定剤は、鉄含有促進剤あたり約1当量~約3.0質量パーセント以上(例えば、約3~約10当量)の範囲の量で本発明の組成物に添加することができる。本明細書で使用する「鉄含有促進剤あたりの当量」という用語は、組成物中の鉄イオンあたり1分子の安定剤を意味する。例えば、鉄含有促進剤あたり2当量は、各触媒イオンに対して2分子の安定剤を意味する。
【0053】
銅および/または銅バリア含有基板を研磨するために構成されたCMP組成物は、銅錯化剤(キレート剤とも呼ばれる)をさらに含み得る。このようなキレート剤は、溶液中の銅イオン(および他の銅化合物)と反応する(例えば、化学的に結合する)傾向があり、したがって、ある特定の組成物では、銅研磨促進剤として機能し得る。実質的に任意の好適な銅錯化剤を利用することができる。例えば、銅錯化剤は、ポリカルボン酸(または共役塩基)、ポリホスホン酸もしくは共役塩基、アミノ酸、および/またはポリアミン錯体を含み得る。銅錯化剤は、参照により本明細書に完全に組み込まれる、同一出願人による米国特許第9,556,363号にさらに詳述されている。
【0054】
研磨組成物は、任意選択で金属エッチング抑制剤をさらに含み得る。好適な抑制剤化合物は、可溶性金属化合物への固体金属の変換を抑制すると同時に、CMP操作を介した金属の効果的な除去を可能にする。研磨組成物がタングステンを研磨するために使用されるとき、組成物は、タングステンエッチングを抑制する化合物を含み得る。タングステンエッチングの有用な抑制剤である化合物の部類としては、窒素含有複素環、アルキルアンモニウムイオン、アミノアルキル、およびアミノ酸などの窒素含有官能基を有する化合物が挙げられる。有用なアミノアルキル腐食抑制剤としては、例えば、ヘキシルアミン、テトラメチル-p-フェニレンジアミン、オクチルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルベンジルアミン、アミノプロピルシラノール、アミノプロピルシロキサン、ドデシルアミン、それらの混合物、ならびに、例えばリシン、チロシン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、およびグリシン(アミノ酢酸)を含む、合成および天然に存在するアミノ酸が挙げられる。抑制剤化合物は、代替的におよび/または加えて、液体キャリアの溶液中にアミン化合物を含み得る。好適なアミン化合物は、これらの各々が参照により本明細書に完全に組み込まれる、同一出願人による米国特許第9,238,754号、同第9,303,188号、および同第9,303,189号に開示されている。
【0055】
銅または銅バリア層を研磨するために構成されたCMP組成物は、銅エッチングを抑制する化合物を含み得る。銅研磨抑制剤は、不動態層の形成を促進すること、したがって銅エッチングを抑制することが可能である、膜形成剤を含み得る。このような化合物は、アゾール化合物などの環状基を含み得る。アゾール化合物の例としては、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、およびベンゾチアゾール、ならびにヒドロキシ、アミノ、イミノ、カルボキシ、メルカプト、ニトロ、およびアルキル置換基を有するそれらの誘導体が挙げられる。
【0056】
銅研磨抑制剤としては、代替的におよび/または加えて、6個以上の炭素原子の炭素鎖長を有し、炭素鎖が、好ましくは10個以上の炭素原子のアルキル基である、アニオン性および/または両性界面活性剤を挙げることができる。好適な化合物としては、例えば、Rhodafac(登録商標)リン酸化界面活性剤(Rhodia Inc.)、Adeka REASOAP(登録商標)スルホン酸系界面活性剤、Amisoft(登録商標)双性イオン界面活性剤、Mirataine(登録商標)双性イオン界面活性剤、Perlastan(登録商標)双性イオン界面活性剤(Struktol(登録商標))、Hostapur(登録商標)スルホン酸系界面活性剤、およびDowfax(登録商標)スルホン酸系界面活性剤が挙げられる。
【0057】
銅もしくは銅バリア層またはコバルト層を研磨するために構成されたCMP組成物は、コバルトおよび/または銅エッチングを抑制するトリアゾール化合物を含み得る。好ましいトリアゾール化合物としては、1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5,b]ピリジン、1-アセチル-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5,b]ピリジン、3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン、および2-(1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジンなどのトリアゾールピリジン(TAP)化合物が挙げられる。最も好ましいコバルト抑制剤は、1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5,b]ピリジンである。
【0058】
化学機械研磨組成物は、実質的に任意の好適なpHを有し得る。例えば、タングステンを研磨するために構成されたCMP組成物は、一般に、約1~約6の範囲(例えば、約2~約5または約2~約4)の酸性pHを有する。銅、銅バリア、および/またはコバルト層を研磨するために構成されたCMP組成物は、一般に中性であり、約5~約9(例えば、約6~約9、約6~約8、約6.5~約8、約7~約8.5、または約7~約8)の範囲のpHを有する。研磨組成物のpHは、任意の好適な手段により達成および/または維持され得る。研磨組成物は、実質的に任意の好適なpH調整剤または緩衝系を含み得る。例えば、好適なpH調整剤としては、硝酸、硫酸、リン酸など、ならびに酢酸および乳酸などの有機酸を挙げることができる。好適な緩衝剤としては、リン酸塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0059】
研磨組成物は、任意選択で殺生物剤をさらに含んでもよい。殺生物剤は、任意の好適な殺生物剤、例えばDow Chemical Companyから入手可能なKordek(登録商標)殺生物剤などのイソチアゾリノン殺生物剤を含み得る。研磨組成物は、実質的に任意の好適な量の殺生物剤を含み得る。例えば、ある特定の実施形態は、約1~約1000ppm、例えば、約10~約500ppmの殺生物剤を含み得る。本開示の実施形態は、任意の特定の殺生物剤化合物または濃度の使用を明確に限定しない。
【0060】
研磨組成物は、その多くが当業者には既知である任意の好適な技術を使用して調製することができる。研磨組成物は、バッチプロセスまたは連続プロセスで調製することができる。一般に、研磨組成物は、その成分を任意の順序で組み合わせることによって調製することができる。本明細書で使用される「成分」という用語は、個々の成分(例えば、研削粒子、コバルト抑制剤など)を含む。
【0061】
例えば、処理されたコロイダルシリカ分散液は、シラン化合物のコロイダルシリカへの結合を促進するために、上述のように調製され得る。次いで、抑制剤、触媒、安定剤、および殺生物剤などの他の化学化合物を研磨組成物に組み込むことが可能な任意の方法によって、添加および混合してもよい。研磨組成物はまた、CMP操作中に基板の表面で(例えば研磨パッド上で)成分を混合することによっても調製することができる。
【0062】
本発明の研磨組成物はまた、使用前に適切な量の水で希釈されることを意図する濃縮物として提供することもできる。このような実施形態では、研磨組成物濃縮物は、適切な量の水で濃縮物を希釈すると、研磨組成物の各成分が各成分について上に列挙された適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するような量で、研削粒子(例えば、処理されたコロイダルシリカ)、任意の他の任意選択の化学化合物、および水を含み得る。例えば、等量の水(例えば、それぞれ1等量の水、2等量の水、3等量の水、4等量の水、またはさらには9等量の水)で濃縮物を希釈すると、各成分が、各成分について上に記載した範囲内の量で研磨組成物中に存在するように、研削粒子および他の任意選択の化学化合物は、各成分について上に列挙した濃度の約2倍(例えば、約3倍、約4倍、約5倍、または約10倍)の量で研磨組成物中に存在し得る。その上、当業者には理解されるように、濃縮物は、他の成分が少なくとも部分的にまたは完全に濃縮物中に溶解することを確実にするために、最終研磨組成物中に存在する水の適切な割合を含有することができる。
【0063】
本発明の研磨組成物を使用して、任意の基板を研磨することができるが、研磨組成物は、タングステン層、銅層、銅バリア層、またはコバルト層などの少なくとも1つの金属層を含む基板の研磨に特に有用である。基板は、さらに、テトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)、多孔質金属酸化物、多孔質もしくは非多孔質炭素ドープ酸化ケイ素、フッ素ドープ酸化ケイ素、ガラス、有機ポリマー、フッ素化有機ポリマーに由来する酸化ケイ素層などの金属酸化物、または他の好適な高もしくは低-k絶縁層を含む誘電体層を含み得る。
【0064】
本発明の研磨方法は、化学機械研磨(CMP)装置とともに使用するのに特に好適である。典型的には、装置は、使用時に運動し、軌道運動、直線運動、または円運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンと接触し、運転時にプラテンとともに運動する研磨パッドと、研磨パッドの表面に対して接触し、それに対して動かすことにより、基板が研磨されるように保持するキャリアとを含む。基板の研磨は、研磨パッドおよび本発明の研磨組成物に基板が接触するように配置し、次いで研磨パッドを基板に対して動かして、基板の少なくとも一部分(本明細書に記載の金属および誘電体材料など)を研削して基板を研磨することにより、行われる。
【0065】
ある特定の実施形態では、金属および誘電体材料の研磨速度が同様であると、最適な平坦化を達成することができる。例えば、ある特定の実施形態では、コバルト対誘電体材料の選択性は、1:10~約10:1(例えば、約約1:3~約3:1)の範囲であり得る。ある特定の実施形態(特にコバルト研磨用途)では、誘電体材料の研磨速度は、コバルトの研磨速度よりも高くてもよいので、コバルト対誘電体材料の選択性は、1:1未満(例えば、1:10~約1:1の範囲)であり得る。
【0066】
基板は、任意の好適な研磨パッド(例えば、研磨表面)とともに化学機械研磨組成物で平坦化または研磨することができる。好適な研磨パッドには、例えば、織布および不織布の研磨パッドが含まれる。さらに、好適な研磨パッドは、さまざまな密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮時に反発する能力、および圧縮弾性率の任意の好適なポリマーを含むことができる。好適なポリマーには、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの成形製品、およびそれらの混合物を含み得る。
【0067】
本発明は、以下の実施形態によってさらに説明される。
【0068】
実施形態(1)は、化学機械研磨組成物であって、(i)液体キャリアと、(ii)液体キャリア中に分散されたカチオン性金属酸化物研削粒子と、を含み、カチオン性金属酸化物研削粒子が、一般式(2)または一般式(3)によって表されるシリル基を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる少なくとも1つの化合物で改質された表面を有し、
-Si(X)n-[L-CR1(OH)-C(R2)2-A]3-n (2)
【0069】
式中、Xが、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは粒子のO-Siとの結合を表し、nが、0、1、または2であり、Lが、連結基であり、R
1が、水素原子、またはアミノ基、ヒドロキシル基、もしくは不飽和結合を含有するアルキル基であり、R
2が、同じかまたは異なり、各々が、水素原子、またはアミノ基、ヒドロキシル基、もしくは不飽和結合を含有するアルキル基を表し、Aが、第4級アンモニウム基であり、
【化3】
【0070】
X’が、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは粒子のO-Siとの結合を表し、n’が、0、1、または2であり、L’が、連結基であり、A’が、第4級アンモニウム基であり、
【0071】
金属酸化物研削粒子が、約1.5~約5.0の範囲の凝集比を有する、化学機械研磨組成物を提示する。
【0072】
実施形態(2)は、(i)シリル基が、一般式(2)によって表され、(ii)Lが、--CH2CH2CH2OCH2--であり、R1およびR2が、Hであり、Aが、--N+R’R”R’’’であり、R’、R”、およびR’’’が、同じかまたは異なり得、実質的に任意の炭素含有化合物を含み得る、実施形態(1)に記載の組成物を提示する。
【0073】
実施形態(3)は、(i)シリル基が、一般式(3)によって表され、(ii)Lが、--CH2CH2--であり、Aが、--N+R’R”R’’’であり、R’、R”、およびR’’’が、同じかまたは異なり得、実質的に任意の炭素含有化合物を含み得る、実施形態(1)に記載の組成物を提示する。
【0074】
実施形態(4)は、液体キャリアが、水である、実施形態(1)~(3)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0075】
実施形態(5)は、金属酸化物研削粒子が、シリカ粒子である、実施形態(1)~(4)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0076】
実施形態(6)は、金属酸化物研削粒子が、約30~約90nmの範囲の平均粒径を有する、実施形態(1)~(5)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0077】
実施形態(7)は、約6~約8のpHを有する、実施形態(1)~(6)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0078】
実施形態(8)は、カチオン性金属酸化物研削粒子が、約9超の等電点を有する、実施形態(1)~(7)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0079】
実施形態(9)は、カチオン性金属酸化物研削粒子が、6超のpHで少なくとも20mVのゼータ電位を有するコロイダルシリカ粒子を含む、実施形態(1)~(8)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0080】
実施形態(10)は、約2質量パーセント未満のカチオン性金属酸化物研削粒子を含む、実施形態(1)~(9)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0081】
実施形態(11)は、液体キャリアが、約150ppm未満の総溶解ケイ素濃度を有する、実施形態(1)~(10)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0082】
実施形態(12)は、液体キャリアが、約100ppm未満の残留シラン濃度を有する、実施形態(1)~(11)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0083】
実施形態(13)は、過酸化水素酸化剤および金属腐食抑制剤をさらに含む、実施形態(1)~(12)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0084】
実施形態(14)は、トリアゾールピリジン化合物をさらに含み、約6~約8の範囲のpHを有する、実施形態(1)~(13)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0085】
実施形態(15)は、金属層を含む基板を化学機械研磨する方法であって、(a)実施形態(1)~(14)に提示される研磨組成物のうちのいずれか1つと基板を接触させることと、(b)研磨組成物を基板に対して動かすことと、(c)基板を研削して、基板から金属層の一部分を除去し、それによって基板を研磨することと、を含む、方法を提示する。
【0086】
実施形態(16)は、金属が、コバルト、銅、およびタングステンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態(15)に記載の方法を提示する。
【0087】
実施形態(17)は、基板が、誘電体層をさらに含み、(c)の研削が、基板から誘電体層の一部分をも除去する、実施形態(15)に記載の方法を提示する。
【0088】
実施形態(18)は、(c)の金属の除去速度対(c)の誘電体の除去速度の比が、約3:1~約1:3の範囲である、実施形態(17)に記載の方法を提示する。
【0089】
実施形態(19)は、金属が、コバルトを含み、(c)の誘電体層の除去速度が、(c)のコバルトの除去速度よりも高い、実施形態(17)に記載の方法を提示する。
【0090】
実施形態(20)は、化学機械研磨組成物であって、液体キャリアと、液体キャリア中に分散されたカチオン性金属酸化物研削粒子と、を含み、カチオン性金属酸化物研削粒子が、一般式(1)によって表されるシリル基を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる少なくとも1つの化合物で改質された表面を有し、
-Si(X)n-[L-O-R-A]3-n
【0091】
式中、Xが、同じかまたは異なり、各々が、ヒドロキシル基、加水分解性置換基、非加水分解性置換基、または別のシリル基もしくは粒子のO-Siとの結合を表し、nが、0、1、または2であり、Lが、連結基であり、Oが、酸素ヘテロ原子であり、Rが、アミノ基、ヒドロキシル基、または不飽和結合を含有するアルキル基であり、Aが、第4級アンモニウム基であり、
【0092】
液体キャリアが、水であり、金属酸化物研削粒子が、約30~約90nmの範囲の平均粒径を有する、化学機械研磨組成物を提示する。
【0093】
実施形態(21)は、Lが、--CH2CH2CH2--であり、Rが、--CH2CH(OH)CH2--であり、Aが、--N+R’R”R’’’であり、R’、R”、およびR’’’が、同じかまたは異なり得、実質的に任意の炭素含有化合物を含み得る、実施形態(20)に記載の組成物を提示する。
【0094】
実施形態(22)は、約6~約8のpHを有し、カチオン性金属酸化物研削粒子が、少なくとも20mVのゼータ電位を有するコロイダルシリカ粒子を含む、実施形態(20)および(21)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0095】
実施形態(23)は、約2質量パーセント未満の金属酸化物研削粒子を含む、実施形態(20)~(22)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0096】
実施形態(24)は、液体キャリアが、約150ppm未満の総溶解ケイ素濃度を有する、実施形態(20)~(23)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0097】
実施形態(25)は、液体キャリアが、約100ppm未満の残留シラン濃度を有する、実施形態(20)~(24)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0098】
実施形態(26)は、過酸化水素酸化剤および金属腐食抑制剤をさらに含む、実施形態(20)~(25)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0099】
実施形態(27)は、トリアゾールピリジン化合物をさらに含み、約6~約8の範囲のpHを有する、実施形態(20)~(26)のいずれか1つに記載の組成物を提示する。
【0100】
実施形態(28)は、金属層を含む基板を化学機械研磨する方法であって、(a)実施形態(20)~(27)に提示される研磨組成物のうちのいずれか1つと基板を接触させることと、(b)研磨組成物を基板に対して動かすことと、(c)基板を研削して、基板から金属層の一部分を除去し、それによって基板を研磨することと、を含む、方法を提示する。
【0101】
実施形態(29)は、金属が、コバルト、銅、およびタングステンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態(28)に記載の方法を提示する。
【0102】
実施形態(30)は、基板が、誘電体層をさらに含み、(c)の研削が、基板から誘電体層の一部分をも除去する、実施形態(28)に記載の方法を提示する。
【0103】
実施形態(31)は、(c)の金属の除去速度対(c)の誘電体の除去速度の比が、約3:1~約1:3の範囲である、実施形態(30)に記載の方法を提示する。
【0104】
実施形態(32)は、金属が、コバルトを含み、(c)の誘電体層の除去速度が、(c)のコバルトの除去速度よりも高い、実施形態(30)に記載の方法を提示する。
【0105】
本明細書に引用された刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個々にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0106】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0107】
実施例1
コロイダルシリカ分散液を、以下のように調製した。160.2グラムのトリエチルアミンを9000グラムのBS-2コロイダルシリカ分散液中に撹拌することによって、混合物を調製した。BS-2コロイダルシリカ分散液は、Fuso Chemical Company,Ltd.,Japanから入手可能であり、水中に20質量パーセントのコロイダルシリカを含む。この混合物を55℃まで加熱した。124.7グラムの3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)を499.1グラムのメタノールに添加することによって、シラン溶液を調製した。混合物の温度を55℃に維持しながら、シラン溶液を上述の混合物に一定速度で1時間添加した。次いで、混合物(添加した溶液を含む)の温度を55℃で、さらに30分間保持し、その後室温まで冷却した。3450グラムの冷却した混合物の試料に、測定31.3グラムの酢酸を添加した。得られた混合物のpHは、6.5であった。次いで、混合物を大気圧で蒸留して、メタノールを2000グラムの水と置き換えて、20質量パーセントのカチオン性コロイダルシリカ粒子を有するシランで処理したカチオン性コロイダルシリカ分散液を得た。
【0108】
上述のように調製されたシランで処理されたカチオン性コロイダルシリカ粒子の平均粒径は、動的光散乱を介して51nmであると測定された(Malvern(登録商標)Instrumentsから入手可能なZetasizer(登録商標)を使用)。一次粒子の平均直径は、SEMを介して24nm(50個の粒子の平均)であると測定された。シランで処理されたカチオン性コロイダルシリカ分散液を150℃のホットプレート上で乾式固化し、300℃の炉内で1時間焼成することによって、真比重を測定した。エタノールを使用する液相置換法を介して、比重は、2.1グラム/cm3であると測定された。
【0109】
実施例2
実施例1に記載されるように調製された(20質量パーセントのシリカ粒子を有する)2500グラムのシランで処理されたカチオン性コロイダルシリカ分散液を、2500グラムの脱イオン水と混合して、10質量パーセントのシリカ粒子を有する5キログラムの希釈分散液を得た。この希釈分散液は、以下のようにアニオンとカチオンとを交換した。5キログラムの試料を、33グラムのDowex(登録商標)550A(OH-)アニオン交換樹脂に通した。得られた分散液のpHは約11であり、導電率は約290μsであった。硝酸でpHを直ちに6.8に調整し、追加の水を添加して、分散液を5質量パーセントのシリカ粒子にさらに希釈した。次いで、この得られた分散液(現在の質量10kg)を、25グラムのDowex(登録商標)650C(H+)カチオン交換樹脂を含有するカラムに直ちに通して、イオン(アニオンおよびカチオン)を交換したシランで処理されたコロイダルシリカ分散液を得た。イオン交換分散液の導電率は約196μsであった。
【0110】
実施例1(1A)に記載されるように調製されたシランで処理されたカチオン性コロイダルシリカ分散液、および上述のイオン交換分散液(2A)の試料を評価して、総溶解ケイ素および塩化物イオン濃度を決定した。最初に、試料を60,000rpmで1時間遠心分離して、シリカ粒子を含まない対応する上清を得た。次に、誘導結合プラズマ(ICP)を使用して上清を評価し、総溶解ケイ素濃度を得、イオンクロマトグラフィー(IC)を使用して塩化物イオン濃度を得た。評価の結果を、表1に記載する。
【表1】
【0111】
表1に示されるように、アニオンとカチオンとの交換により、総溶解ケイ素濃度が、約6分の1に低減された。塩化物イオン濃度は、ほぼゼロに低減された。
【0112】
実施例3
実施例1(1A)に記載されるように調製されたシランで処理されたカチオン性コロイダルシリカ分散液、および実施例2(2A)に記載されるように調製されたイオン交換された分散液の、ゼータ電位および等電点を測定した。ゼータ電位の測定は、Malvern Instrumentsから入手可能なZetasizerを使用して行われた。結果を表2に示す。
【表2】
【0113】
表2に示されるように、イオン(アニオンおよびカチオン)交換により、約7超のpH値でゼータ電位が増加し、等電点(ゼータ電位がゼロに等しくなるpH)が増加する。
【0114】
実施例4
4つの研磨スラリーを調製した。コロイダルシリカの粒径は、各々時間の関数として、評価された。4つの研磨スラリーの各々は、2ミリモルのtrizma(2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)、0.15質量パーセントのベンゾトリアゾール、125ppmのKordek殺生物剤、および0.5質量パーセントのカチオン性コロイダルシリカ粒子を含んでいた。比較研磨組成物4Aおよび4Bは、米国特許第9,382,450号の実施例7に記載されるように調製されたカチオン性コロイダルシリカ粒子を含んでいた。本発明の研磨組成物4Cおよび4Dは、実施例1に記載されるように調製されたカチオン性コロイダルシリカ粒子を含んでいた。研磨組成物4Aおよび4Cは、硝酸を使用してpH7.1に調整した。研磨組成物4Bおよび4Dは、硝酸を使用してpH7.6に調整された。45℃の一定温度で45日間、スラリーを劣化させた。粒径の測定は、Malvern Instrumentsから入手可能なZetasizerを使用して行われた。結果を表3に示す。
【表3】
【0115】
表2に示されるように、実施例1に記載されるように調製されたカチオン性コロイダルシリカ粒子は、45℃での加速劣化中に60ナノメートル未満の安定な粒径を有する。これらのカチオン性コロイダルシリカ粒子は、高pH(pH7.6)で、米国特許第9,382,450号の実施例7に開示される対照カチオン性コロイダルシリカと比較して、改善された安定性を呈する。
【0116】
実施例5
カチオン性コロイダルシリカ粒子を使用して、3つのコバルト研磨組成物を調製した。各研磨組成物は、350ppmのベンゾトリアゾール、および7.1のpH(硝酸を使用して調整)で0.5質量パーセントのカチオン性コロイダルシリカを含んでいた。比較研磨組成物5Aは、米国特許第9,382,450号の実施例7に記載されるように調製されたカチオン性コロイダルシリカ粒子を含んでいた。本発明の研磨組成物5Bは、実施例1に記載されるように調製されたカチオン性コロイダルシリカを含み、本発明の研磨組成物5Cは、実施例2に記載されるように調製されたカチオン性コロイダルシリカを含んでいた。
【0117】
この実施例は、金属研磨用途における本発明のカチオン性コロイダルシリカ粒子の有効性を実証する。ブランケットウェハは、コバルト、SiN、およびTEOSウェハを含んでいた。パターンを付けたウェハは、Co、TiN、TEOSスタックを備えるSilyb854マスクを含んでいた。各パターンを付けたウェハは、米国特許第9,834,704号の実施例1Cと同様の組成物を使用して、終点+20%まで81秒間バルク研磨した。プロセスでは、1.5psiの下向きの力、83rpmのプラテン速度、および77rpmのヘッド速度で、Mirra(登録商標)CMP研磨ツールおよびCabot Microelectronics Corp E6088研磨パッドを使用した。スラリー流速は、200ml/分であった。上述の3つのコバルト研磨組成物を使用して、ブランケットおよびバルク研磨したパターンを付けたウェハを研磨した。1.5psiの下向きの力、83rpmのプラテン速度、および77rpmのヘッド速度で、Mirra(登録商標)CMP研磨ツールおよびFujibo H7000研磨パッドを使用して、ウェハを研磨した。スラリー流速は、200ml/分であった。
【0118】
コバルト、SiN、およびTEOSの研磨速度は、ブランケットウェハを使用して得た。ブランケット研磨速度を、表4に記載する。原子間力顕微鏡(AFM)プロフィロメータ測定を使用して、5つの別個の形状:(i)50×50ミクロンの形状、(ii)10×10ミクロンの形状、(iii)7×3ミクロンの形状、(iv)3×7ミクロンの形状、および(v)2×2ミクロンの形状にわたる、局所的な金属損失として、パターンウェハトポグラフィを評価した。ウェハトポグラフィの結果および研磨時間を、表5に記載する。
【表4】
【表5】
【0119】
表4に示されるように、本発明のカチオン性コロイダルシリカ粒子を含む研磨組成物5Bおよび5Cは、コバルト対SiN速度の比がほぼ1:1であるように、より高いSiN研磨速度を呈する。これにより、SiN層を含むウェハのトポグラフィの改善を生じ得る。さらに、本発明の研磨組成物5Bおよび5Cは、対照組成物(5A)と比較して、広範囲のパターン形状にわたって局所的な金属損失の顕著な低減を呈する。
【0120】
(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」という用語および同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照する簡略方法としての役割を果たすことを単に意図しており、各別個の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適な順序で実行することができる。本明細書において提供されるありとあらゆる実施例、または例示的な言葉(例えば、「~等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須であるとしていかなる特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0121】
本発明を行うための本発明者らに既知の最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切なものとして用いることを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたとおりではなく別の方法で実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された主題の全ての変形および同等物を含む。さらに、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、それらの全ての可能な変形における上記のあらゆる任意の組み合わせが本発明に包含される。