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特許7371121着色組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】着色組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20231023BHJP
   C09B 67/22 20060101ALI20231023BHJP
   C09B 57/04 20060101ALI20231023BHJP
   C09B 57/00 20060101ALI20231023BHJP
   C09B 25/00 20060101ALI20231023BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20231023BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20231023BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
C09B67/20 F
C09B67/22 F
C09B57/04
C09B57/00 Z
C09B25/00
G02B5/22
G03F7/004 505
G02B5/20 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021563900
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020044965
(87)【国際公開番号】W WO2021117591
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2019222914
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020176482
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】出井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】川島 敬史
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 拓也
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-514770(JP,A)
【文献】特開2013-067780(JP,A)
【文献】特開2012-212055(JP,A)
【文献】特開2016-191909(JP,A)
【文献】特開2008-069244(JP,A)
【文献】特開2010-044243(JP,A)
【文献】特開2013-064999(JP,A)
【文献】特開2015-194735(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173524(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
G02B 5/22
G03F 7/004
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材と、樹脂と、重合性化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含む着色組成物であって、
前記色材は、プテリジン顔料と、プテリジン顔料以外の黄色色材とを含有し、
前記プテリジン顔料以外の黄色色材は、イソインドリン化合物およびキノフタロン化合物から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記着色組成物の全固形分中における前記色材の含有量が40質量%以上であり、
前記着色組成物の全固形分中における前記樹脂の含有量が1~40質量%である、着色組成物。
【請求項2】
前記プテリジン顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー215、式(pt-1)で表される化合物および式(pt-1)で表される化合物の塩から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の着色組成物;
【化1】

式中、Apt1~Apt4は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、または、-NRpt1pt2を表し、
pt1およびRpt2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、-CO-Rpt3、-COO-Rpt3または-CONH-Rpt3を表し、
pt3はアルキル基またはアリール基を表す。
【請求項3】
前記色材は、更に、赤色色材および緑色色材から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
着色組成物の全固形分中に前記色材を50質量%以上含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記樹脂は、芳香族カルボキシル基を有する樹脂を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
前記樹脂は、酸基を有する樹脂と、塩基性基を有する樹脂とを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項7】
カラーフィルタ用または赤外線透過フィルタ用である、請求項1~のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の着色組成物から得られる膜。
【請求項9】
請求項に記載の膜を有する光学フィルタ。
【請求項10】
請求項に記載の膜を有する固体撮像素子。
【請求項11】
請求項に記載の膜を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色材を含む着色組成物に関する。また、本発明は、着色組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。カラーフィルタは、通常、赤、緑及び青の3原色の画素を備えており、透過光を3原色へ分解する役割を果たしている。
【0003】
カラーフィルタの各色の着色画素は、色材を含む着色組成物を用いて製造されている。特許文献1には、少なくとも顔料、溶剤、分散剤及び重合性モノマーを含有し、顔料が、平均一次粒径30nm以下のカラーインデックスピグメントイエロー215を含有する、カラーフィルタ用着色組成物に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-044243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学フィルタなどに用いられる膜に関し、近年ではさらなる薄膜化が望まれている。所望の分光特性を維持しつつ薄膜化を達成するためには、膜形成に用いる着色組成物中の色材濃度を高めることが必要である。しかしながら、着色組成物中の色材濃度を高めると、色材などが凝集して経時的に粘度が増加しやすい傾向にあった。また、近年では、着色組成物の経時安定性についてさらなる改善が望まれている。
【0006】
よって、本発明の目的は、経時安定性に優れた着色組成物を提供することにある。また、着色組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者の検討によれば、後述する着色組成物により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 色材と、樹脂と、溶剤とを含む着色組成物であって、
上記色材は、プテリジン顔料を含有し、
上記着色組成物の全固形分中における上記色材の含有量が40質量%以上である、着色組成物。
<2> 上記プテリジン顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー215、式(pt-1)で表される化合物および式(pt-1)で表される化合物の塩から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>に記載の着色組成物;
【化1】
式中、Apt1~Apt4は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、または、-NRpt1pt2を表し、
pt1およびRpt2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、-CO-Rpt3、-COO-Rpt3または-CONH-Rpt3を表し、
pt3はアルキル基またはアリール基を表す。
<3> 上記色材は、更にプテリジン顔料以外の黄色色材を含む、<1>または<2>に記載の着色組成物。
<4> 上記プテリジン顔料以外の黄色色材が、イソインドリン化合物およびキノフタロン化合物から選ばれる少なくとも1種である、<3>に記載の着色組成物。
<5> 上記色材は、更に、赤色色材および緑色色材から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<6> 着色組成物の全固形分中に上記色材を50質量%以上含有する、<1>~<5>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<7> 上記樹脂は、芳香族カルボキシル基を有する樹脂を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<8> 上記樹脂は、酸基を有する樹脂と、塩基性基を有する樹脂とを含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<9> 更に、重合性化合物と光重合開始剤とを含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<10> カラーフィルタ用または赤外線透過フィルタ用である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<11> <1>~<10>のいずれか1つに記載の着色組成物から得られる膜。
<12> <11>に記載の膜を有する光学フィルタ。
<13> <11>に記載の膜を有する固体撮像素子。
<14> <11>に記載の膜を有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経時安定性に優れた着色組成物を提供することができる。また、着色組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0010】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、色材と、樹脂と、溶剤とを含む着色組成物であって、
色材は、プテリジン顔料を含有し、着色組成物の全固形分中における色材の含有量が40質量%以上であることを特徴とする。
【0011】
本発明の着色組成物によれば、色材としてプテリジン顔料を含有するものを用いたことにより、着色組成物の全固形分中における色材の含有量が40質量%以上であるにもかかわらず、経時安定性に優れた着色組成物とすることができる。このような効果が得られる詳細な理由は不明であるが、着色組成物中でプテリジン顔料の色素骨格部分と、樹脂とが相互作用して着色組成物中における色材の分散性などを向上でき、その結果、着色組成物の全固形分中における色材の含有量を高めても、色材由来の凝集物などの発生を抑制して、粘度の経時的な増加などを抑制できたためであると推測される。
【0012】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタ用または赤外線透過フィルタ用の着色組成物として好ましく用いられる。より詳しくは、カラーフィルタの画素形成用の着色組成物や、赤外線透過フィルタ形成用の着色組成物として好ましく用いることができる。
【0013】
本発明の着色組成物を用いて厚さ0.3μmの膜を形成した際に、前述の膜の400~550nm波長領域における透過率の最小値が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。このような分光特性を有する着色組成物は、カラーフィルタの緑色画素、赤色画素または黄色画素形成用の着色組成物や、赤外線透過フィルタ用の着色組成物として好ましく用いられる。
【0014】
以下、本発明の着色組成物に用いられる各成分について説明する。
【0015】
<<色材>>
本発明の着色組成物は、色材を含有する。本発明の着色組成物に含まれる色材は、プテリジン顔料を含有するものが用いられる。プテリジン顔料は、黄色色材であることが好ましい。プテリジン顔料の好ましい態様としては、カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー215、式(pt-1)で表される化合物、式(pt-1)で表される化合物の塩などが挙げられる。着色組成物の経時安定性をより向上できるという理由から、プテリジン顔料は、カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー215、および、式(pt-1)で表される化合物の塩であることが好ましい。以下、式(pt-1)で表される化合物を化合物(pt-1)ともいう。
【0016】
【化2】
式(pt-1)中、Apt1~Apt4は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、チオール基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、または、-NRpt1pt2を表し、
pt1およびRpt2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、-CO-Rpt3、-COO-Rpt3または-CONH-Rpt3を表し、
pt3はアルキル基またはアリール基を表す。
【0017】
pt1~Apt4、Rpt1~Rpt3が表すアルキル基の炭素数は、1~15が好ましく、1~10がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tが挙げられる。
pt1~Apt4が表すアルコキシ基の炭素数は、1~15が好ましく、1~10がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルコキシ基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tが挙げられる。
pt1~Apt4、Rpt1~Rpt3が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~14が更に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tが挙げられる。
pt1~Apt4が表すアリールオキシ基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~14が更に好ましい。アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tが挙げられる。
【0018】
式(pt-1)において、Apt1~Apt4の少なくとも1つが-NRpt1pt2であることが好ましく、Apt1~Apt4の2~4つが-NRpt1pt2であることがより好ましく、Apt1~Apt4の3つまたは4つが-NRpt1pt2であることが更に好ましく、Apt1~Apt4がそれぞれ独立して-NRpt1pt2であることが特に好ましい。また、Rpt1およびRpt2の少なくとも一方は水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。Apt1~Apt4の少なくとも1つが-NRpt1pt2であることにより、プテリジン顔料と樹脂との相互作用がより強く作用して、プテリジン顔料と樹脂との間で強固なネットワークが形成されると推測され、着色組成物の経時安定性をより向上できる。
【0019】
化合物(pt-1)の塩としては、スルファミン酸塩、リン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩が挙げられ、着色組成物の経時安定性をより向上できるという理由から、パラトルエンスルホン酸塩であることが好ましい。
【0020】
化合物(pt-1)の分子量は、色価の観点から200~700であることが好ましく、240~500であることがより好ましい。
【0021】
(置換基T)
置換基Tとしては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-ORt11、-SRt11、-NRt11t12、-CONRt11t12、-COORt11、-SOt11、-SONRt11t12、-SOORt11、-NRt11CORt12、-NRt11COORt12などが挙げられる。Rt11およびRt12は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。Rt11とRt12が結合して環を形成してもよい。
【0022】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
アルケニル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~15がより好ましく、2~8が更に好ましく、2~5が特に好ましい。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~14が更に好ましい。
これらの基は更に置換基を有していてもよい。更なる置換基としては上述した置換基Tで挙げた基が挙げられる。
【0023】
化合物(pt-1)またはその塩の具体例としては、下記構造の化合物(1)~(4)などが挙げられる。なお、化合物(1)および化合物(2)は、塩化合物である。
【化3】
【0024】
本発明の着色組成物に用いられる色材は、更にプテリジン顔料以外の黄色色材を含むことが好ましい。プテリジン顔料以外の黄色色材をさらに含むことで、より分光特性に優れた光学フィルタが得られる。
【0025】
プテリジン顔料以外の黄色色材(以下、他の黄色色材ともいう)としては、アゾ化合物、キノフタロン化合物およびイソインドリン化合物が好ましく、イソインドリン化合物およびキノフタロン化合物がより好ましい。イソインドリン化合物やキノフタロン化合物は、プテリジン顔料と類似した構造を有しているので、着色組成物中にてプテリジン顔料と、イソインドリン化合物やキノフタロン化合物とが相互作用しやすく、着色組成物中での色材の分散性などをより向上できると推測される。このため、他の黄色色材として、キノフタロン化合物およびイソインドリン化合物から選ばれる少なくとも1種を用いた場合には、着色組成物の経時安定性をより向上させることができると推測される。
【0026】
他の黄色色材の好ましい具体例としては、C.I.ピグメントイエロー129,138,139,150,185、下記式(QP1)~(QP3)で表される化合物が挙げられる。
【化4】
【0027】
式(QP1)中、X~X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子を表し、Zは炭素数1~3のアルキレン基を表す。式(QP1)で表される化合物の具体例としては、特許第6443711号公報の段落番号0016に記載されている化合物が挙げられる。
【0028】
【化5】
【0029】
式(QP2)中、Y~Yは、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。n、mは0~6の整数、pは0~5の整数を表す。(n+m)は1以上である。式(QP2)で表される化合物の具体例としては、特許6432077号公報の段落番号0047~0048に記載されている化合物が挙げられる。
【化6】
【0030】
式(QP3)中、Y~Yは、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。nは0~4の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数を表す。(n+m)は1以上である。
【0031】
また、他の黄色色材としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,137,147,148,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,187,188,193,194,199,213,214,228,231,232(メチン系),233(キノリン系),234(アミノケトン系),235(アミノケトン系),236(アミノケトン系)等の黄色顔料、C.I.ソルベントイエロー13,19,21,25,25:1,62,69,79,81,82,83,83:1,88,89,90,151,161等の黄色染料を用いることもできる。
【0032】
また、他の黄色色材としては、特開2017-201003号公報に記載の化合物、特開2017-197719号公報に記載の化合物、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載の化合物、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載の化合物、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載の化合物、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載の化合物、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載のイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載のキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-073695号公報に記載のメチン染料、特開2019-073696号公報に記載のメチン染料、特開2019-073697号公報に記載のメチン染料、特開2019-073698号公報に記載のメチン染料、特開2020-093994号公報に記載のアゾ染料、特開2020-083982号公報に記載のペリレン顔料、国際公開第2020/105346号に記載のペリレン顔料、特表2020-517791号公報に記載のキノフタロン化合物などを用いることもできる。
【0033】
プテリジン顔料と他の黄色色材とを併用する場合、他の黄色色材の含有量はプテリジン顔料の100質量部に対して、10~300質量部であることが好ましく、20~200質量部であることがより好ましく、30~100質量部であることが更に好ましい。他の黄色色材の含有量が上記範囲であれば、着色組成物の経時安定性が良好である。更には、より優れた分光特性が得られやすい。
【0034】
本発明の着色組成物に含まれる色材には、黄色色材以外の他の色相の色材をさらに含有することができる。併用する他の色相の色材としては、緑色色材、赤色色材、紫色色材、青色色材、オレンジ色色材などの有彩色色材、黒色色材などが挙げられる。他の色相の色材としては、緑色色材、赤色色材およびオレンジ色色材から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、緑色色材および赤色色材から選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましい。他の色材は、顔料であってもよく、染料であってもよい。
【0035】
赤色色材としては、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、アゾ化合物、ナフトール化合物、アゾメチン化合物、キサンテン化合物、キナクリドン化合物、ペリレン化合物、チオインジゴ化合物などが挙げられ、着色組成物の経時安定性の観点から、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、アゾ化合物であることが好ましい。
【0036】
赤色色材の具体例としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,269,270,272,279,291,294,295,296,297等の赤色顔料が挙げられる。また、赤色色材として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物、特開2020-085947号公報に記載の臭素化ジケトピロロピロール化合物、特開2012-229344号公報に記載のナフトールアゾ化合物、特許第6516119号公報に記載の赤色色材、特許第6525101号公報に記載の赤色色材、特開2020-090632号公報の段落番号0229に記載の臭素化ジケトピロロピロール化合物、韓国公開特許第10-2019-0140741号公報に記載のアントラキノン化合物、韓国公開特許第10-2019-0140744号公報に記載のアントラキノン化合物、特開2020-079396号公報に記載のペリレン化合物、特開2020-66702号公報の段落番号0025~0041に記載のジケトピロロピロール化合物などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。
【0037】
赤色色材としては、C.I.ピグメントレッド122,177,254,255,264,269,272などが特に好ましく用いられる。
【0038】
緑色色材としては、フタロシアニン化合物、スクアリリウム化合物などが挙げられ、着色組成物の経時安定性の観点から、フタロシアニン化合物であることが好ましい。緑色色材の具体例としては、C.I.ピグメントグリーン7,10,36,37,58,59,62,63,64,65,66等の緑色顔料が挙げられる。また、緑色色材として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色色材として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2020-070426号公報に記載のアルミニウムフタロシアニン化合物、特開2019-038958号公報に記載の化合物、国際公開第2019/167589号の段落番号0141~0151に記載されているスクアリリウム化合物などを用いることができる。また、緑色色材として、特開2020-076995号公報に記載のコアシェル型色素も使用することができる。
【0039】
緑色色材としては、C.I.ピグメントグリーン7,36,58,62,63などが特に好ましく用いられる。
【0040】
オレンジ色色材の具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等のオレンジ色顔料が挙げられる。
【0041】
紫色色材の具体例としては、C.I.ピグメントバイオレット1,19,23,27,32,37,42,60,61等の紫色顔料が挙げられる。
【0042】
青色色材の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87,88等の青色顔料が挙げられる。
【0043】
黒色色材としては、ビスベンゾフラノン化合物、アゾメチン化合物、ペリレン化合物、アゾ化合物などが挙げられ、ビスベンゾフラノン化合物、ペリレン化合物が好ましい。ビスベンゾフラノン化合物としては、特表2010-534726号公報、特表2012-515233号公報、特表2012-515234号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、BASF社製の「Irgaphor Black」として入手可能である。ペリレン化合物としては、特開2017-226821号公報の段落番号0016~0020に記載の化合物、C.I.Pigment Black 31、32などが挙げられる。アゾメチン化合物としては、特開平01-170601号公報、特開平02-034664号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、大日精化社製の「クロモファインブラックA1103」として入手できる。
【0044】
また、色材には、特許6744002号公報に記載のラマンスペクトルを有するハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を使用することも、分光特性を高める観点で好ましい。また、色材には、国際公開第2019/107166号に記載の接触角を制御したジオキサジン顔料を使用することも粘度調整の観点で好ましい。
【0045】
本発明の着色組成物が、プテリジン顔料の他に緑色色材を含む場合は、カラーフィルタの緑色画素形成用の着色組成物として好ましく用いられる。また、本発明の着色組成物が、プテリジン顔料の他に赤色色材を含む場合は、カラーフィルタの赤色画素形成用の着色組成物として好ましく用いられる。
【0046】
また、着色組成物に含まれる色材は、2種以上の有彩色色材を含み、かつ、2種以上の有彩色色材の組み合わせで黒色を形成していてもよい。このような着色組成物は、赤外線透過フィルタ形成用の着色組成物として好ましく用いられる。2種以上の有彩色色材の組み合わせで黒色を形成する場合の有彩色色材の組み合わせとしては以下が挙げられる。
(1)赤色色材と青色色材と黄色色材とを含有する態様。
(2)赤色色材と青色色材と黄色色材と紫色色材とを含有する態様。
(3)赤色色材と青色色材と黄色色材と紫色色材と緑色色材とを含有する態様。
(4)赤色色材と青色色材と黄色色材と緑色色材とを含有する態様。
(5)黄色色材と紫色色材とを含有する態様。
【0047】
本発明の着色組成物に含まれる色材には、赤外線吸収色材をさらに含有することができる。例えば、本発明の着色組成物を用いて赤外線透過フィルタを形成する場合においては、着色組成物中に赤外線吸収色材を含有させることで得られる膜について透過させる光の波長をより長波長側にシフトさせることができる。赤外線吸収色材は、極大吸収波長を波長700nmよりも長波長側に有する化合物であることが好ましい。赤外線吸収色材は波長700nmを超え1800nm以下の範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。また、赤外線吸収色材の波長500nmにおける吸光度Aと極大吸収波長における吸光度Aとの比率A/Aは、0.08以下であることが好ましく、0.04以下であることがより好ましい。
【0048】
赤外線吸収色材としては、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、イミニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物、ジチオレン金属錯体、金属酸化物、金属ホウ化物等が挙げられる。ピロロピロール化合物としては、特開2009-263614号公報の段落番号0016~0058に記載の化合物、特開2011-068731号公報の段落番号0037~0052に記載の化合物、国際公開第2015/166873号の段落番号0010~0033に記載の化合物などが挙げられる。スクアリリウム化合物としては、特開2011-208101号公報の段落番号0044~0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060~0061に記載の化合物、国際公開第2016/181987号の段落番号0040に記載の化合物、特開2015-176046号公報に記載の化合物、国際公開第2016/190162号の段落番号0072に記載の化合物、特開2016-074649号公報の段落番号0196~0228に記載の化合物、特開2017-067963号公報の段落番号0124に記載の化合物、国際公開第2017/135359号に記載の化合物、特開2017-114956号公報に記載の化合物、特許6197940号公報に記載の化合物、国際公開第2016/120166号に記載の化合物などが挙げられる。シアニン化合物としては、特開2009-108267号公報の段落番号0044~0045に記載の化合物、特開2002-194040号公報の段落番号0026~0030に記載の化合物、特開2015-172004号公報に記載の化合物、特開2015-172102号公報に記載の化合物、特開2008-088426号公報に記載の化合物、国際公開第2016/190162号の段落番号0090に記載の化合物、特開2017-031394号公報に記載の化合物などが挙げられる。クロコニウム化合物としては、特開2017-082029号公報に記載の化合物が挙げられる。イミニウム化合物としては、例えば、特表2008-528706号公報に記載の化合物、特開2012-012399号公報に記載の化合物、特開2007-092060号公報に記載の化合物、国際公開第2018/043564号の段落番号0048~0063に記載の化合物が挙げられる。フタロシアニン化合物としては、特開2012-077153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006-343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013-195480号公報の段落番号0013~0029に記載の化合物、特許第6081771号公報に記載のバナジウムフタロシアニン化合物が挙げられる。ナフタロシアニン化合物としては、特開2012-077153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられる。ジチオレン金属錯体としては、特許第5733804号公報に記載の化合物が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、酸化亜鉛、Alドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ二酸化スズ、ニオブドープ二酸化チタン、酸化タングステンなどが挙げられる。酸化タングステンの詳細については、特開2016-006476号公報の段落番号0080を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。金属ホウ化物としては、ホウ化ランタンなどが挙げられる。ホウ化ランタンの市販品としては、LaB-F(日本新金属(株)製)などが挙げられる。また、金属ホウ化物としては、国際公開第2017/119394号に記載の化合物を用いることもできる。酸化インジウムスズの市販品としては、F-ITO(DOWAハイテック(株)製)などが挙げられる。
【0049】
また、赤外線吸収色材としては、特開2017-197437号公報に記載のスクアリリウム化合物、特開2017-025311号公報に記載のスクアリリウム化合物、国際公開第2016/154782号に記載のスクアリリウム化合物、特許第5884953号公報に記載のスクアリリウム化合物、特許第6036689号公報に記載のスクアリリウム化合物、特許第5810604号公報に記載のスクアリリウム化合物、国際公開第2017/213047号の段落番号0090~0107に記載のスクアリリウム化合物、特開2018-054760号公報の段落番号0019~0075に記載のピロール環含有化合物、特開2018-040955号公報の段落番号0078~0082に記載のピロール環含有化合物、特開2018-002773号公報の段落番号0043~0069に記載のピロール環含有化合物、特開2018-041047号公報の段落番号0024~0086に記載のアミドα位に芳香環を有するスクアリリウム化合物、特開2017-179131号公報に記載のアミド連結型スクアリリウム化合物、特開2017-141215号公報に記載のピロールビス型スクアリリウム骨格又はクロコニウム骨格を有する化合物、特開2017-082029号公報に記載されたジヒドロカルバゾールビス型のスクアリリウム化合物、特開2017-068120号公報の段落番号0027~0114に記載の非対称型の化合物、特開2017-067963号公報に記載されたピロール環含有化合物(カルバゾール型)、特許第6251530号公報に記載されたフタロシアニン化合物などを用いることもできる。
【0050】
着色組成物の全固形分中における色材の含有量は、40質量%以上であり、50質量%以上であることが好ましい。上限は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
【0051】
着色組成物の全固形分中におけるプテリジン顔料の含有量は、着色組成物の保存安定性の観点から1質量%以上であることが好ましい。上限は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。下限は、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。
【0052】
色材中におけるプテリジン顔料の含有量は、着色組成物の保存安定性の観点から2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は100質量%とすることができ、95質量%以下とすることもでき、90質量%以下とすることもできる。
【0053】
本発明の着色組成物をカラーフィルタの黄色画素形成用の着色組成物として用いる場合、色材中におけるプテリジン顔料の含有量は30~100質量%であることが好ましい。下限は、着色組成物の保存安定性の観点から、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。上限は分光特性の観点から90質量%以下とすることもでき、80質量%以下とすることもできる。
【0054】
また、本発明の着色組成物をカラーフィルタの黄色画素形成用の着色組成物として用いる場合、着色組成物の全固形分中におけるプテリジン顔料の含有量は、着色組成物の保存安定性の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。上限は70質量%以下とすることができ、60質量%以下とすることもできる。
【0055】
本発明の着色組成物をカラーフィルタの緑色画素形成用の着色組成物として用いる場合、色材中におけるプテリジン顔料の含有量は2~90質量%であることが好ましい。下限は、着色組成物の保存安定性の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。上限は70質量%以下とすることもでき、50質量%以下とすることもできる。
【0056】
また、本発明の着色組成物に用いられる色材が赤外線吸収色材を含有する場合、着色組成物の保存安定性の観点から、色材中における赤外線吸収色材の含有量は70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
【0057】
また、本発明の着色組成物をカラーフィルタの緑色画素形成用の着色組成物として用いる場合、着色組成物の全固形分中におけるプテリジン顔料の含有量は、着色組成物の保存安定性および膜の分光特性の観点から、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。上限は60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。
【0058】
また、本発明の着色組成物をカラーフィルタの緑色画素形成用の着色組成物として用いる場合、プテリジン顔料の100質量部に対して、緑色色材を10~90質量部含有することが好ましく、30~80質量部含有することがより好ましく、40~70質量部含有することが更に好ましい。
【0059】
本発明の着色組成物をカラーフィルタの赤色画素形成用の着色組成物として用いる場合、色材中におけるプテリジン顔料の含有量は2~90質量%であることが好ましい。下限は、着色組成物の保存安定性の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。上限は70質量%以下とすることもでき、50質量%以下とすることもできる。
【0060】
また、本発明の着色組成物をカラーフィルタの赤色画素形成用の着色組成物として用いる場合、着色組成物の全固形分中におけるプテリジン顔料の含有量は、着色組成物の保存安定性および膜の分光特性の観点から、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。上限は50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
【0061】
また、本発明の着色組成物をカラーフィルタの赤色画素形成用の着色組成物として用いる場合、プテリジン顔料の100質量部に対して、赤色色材を10~90質量部含有することが好ましく、30~80質量部含有することがより好ましく、40~70質量部含有することが更に好ましい。
【0062】
本発明の着色組成物を赤外線透過フィルタ形成用の着色組成物として用いる場合、着色組成物の保存安定性および膜の分光特性の観点から、色材中におけるプテリジン顔料の含有量は5~80質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましく、15~50質量%であることが更に好ましい。
【0063】
<<樹脂>>
本発明の着色組成物は樹脂を含有する。樹脂は、例えば、顔料等を着色組成物中で分散させる用途や、バインダーの用途で配合される。なお、主に顔料等を着色組成物中で分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外を目的として樹脂を使用することもできる。
【0064】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
【0065】
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、特開2017-206689号公報の段落番号0041~0060に記載の樹脂、特開2018-010856号公報の段落番号0022~0071に記載の樹脂、特開2016-222891号公報に記載のブロックポリイソシアネート樹脂を用いることもできる。
【0066】
本発明の着色組成物は、酸基を有する樹脂を含むことも好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂は分散剤として用いることもできる。本発明の着色組成物が酸基を有する樹脂を含有することにより、アルカリ現像によって所望のパターンを形成できる。酸基を有する樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、400mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下が更に好ましく、120mgKOH/g以下が最も好ましい。
【0067】
本発明の着色組成物は、塩基性基を有する樹脂を含むことも好ましい。塩基性基を有する樹脂は、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましく、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位と塩基性基を含まない繰り返し単位とを有する共重合体であることがより好ましく、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位と、塩基性基を含まない繰り返し単位とを有するブロック共重合体であることが更に好ましい。塩基性基を有する樹脂は分散剤として用いることもできる。塩基性基を有する樹脂のアミン価は、5~300mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、200mgKOH/g以下が好ましく、100mgKOH/g以下がより好ましい。塩基性基を有する樹脂に含まれる塩基性基としては、下記式(a-1)で表される基、下記式(a-2)で表される基などが挙げられる。
【化7】
【0068】
式(a-1)中、Ra1およびRa2は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、波線は結合手を表し、Ra1とRa2とは結合して環を形成していてもよい;
式(a-2)中、Ra11は、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基またはオキシラジカルを表し、Ra12~Ra19は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、波線は結合手を表す。
【0069】
a1、Ra2、Ra11~Ra19が表すアルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
【0070】
a1、Ra2、Ra11~Ra19が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
【0071】
a11が表すアルコキシ基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルコキシ基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
【0072】
a11が表すアリールオキシ基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
【0073】
a11が表すアシル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~20がより好ましく、2~12が更に好ましい。アシル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
【0074】
塩基性基を有する樹脂の市販品としては、DISPERBYK-161、162、163、164、166、167、168、174、182、183、184、185、2000、2001、2050、2150、2163、2164、BYK-LPN6919(以上、BYK社製)、SOLSPERSE11200、13240、13650、13940、24000、26000、28000、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、37500、38500、39000、53095、56000、7100(以上、日本ルーブリゾール社製)、Efka PX 4300、4330、4046、4060、4080(以上、BASF社製)等が挙げられる。また、塩基性基を有する樹脂は、特開2014-219665号公報の段落番号0063~0112に記載されたブロック共重合体(B)、特開2018-156021号公報の段落番号0046~0076に記載されたブロック共重合体A1を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0075】
本発明の着色組成物は、酸基を有する樹脂と塩基性基を有する樹脂とをそれぞれ含むことも好ましい。この態様によれば、着色組成物の保存安定性をより向上できる。酸基を有する樹脂と塩基性基を有する樹脂とを併用する場合、塩基性基を有する樹脂の含有量は、酸基を有する樹脂の100質量部に対して20~500質量部であることが好ましく、30~300質量部であることがより好ましく、50~200質量部であることが更に好ましい。
【0076】
樹脂としては、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)由来の繰り返し単位を含む樹脂を含むことも好ましい。
【0077】
【化8】
【0078】
式(ED1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【化9】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の具体例としては、特開2010-168539号公報の記載を参酌できる。
【0079】
エーテルダイマーの具体例については、特開2013-029760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0080】
樹脂としては、重合性基を有する繰り返し単位を含む樹脂を含むことも好ましい。
【0081】
樹脂としては、式(X)で表される化合物由来の繰り返し単位を含む樹脂を含むことも好ましい。
【化10】
式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R21およびR22はそれぞれ独立してアルキレン基を表し、nは0~15の整数を表す。R21およびR22が表すアルキレン基の炭素数は1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、1~3であることが更に好ましく、2または3であることが特に好ましい。nは0~15の整数を表し、0~5の整数であることが好ましく、0~4の整数であることがより好ましく、0~3の整数であることが更に好ましい。
【0082】
式(X)で表される化合物としては、パラクミルフェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。市販品としては、アロニックスM-110(東亞合成(株)製)などが挙げられる。
【0083】
樹脂としては、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(以下、樹脂Acともいう)を含むことも好ましい。樹脂Acにおいて、芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていてもよく、繰り返し単位の側鎖に含まれていてもよい。芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていることが好ましい。なお、本明細書において、芳香族カルボキシル基とは、芳香族環にカルボキシル基が1個以上結合した構造の基のことである。芳香族カルボキシル基において、芳香族環に結合したカルボキシル基の数は、1~4個であることが好ましく、1~2個であることがより好ましい。
【0084】
樹脂Acは、式(Ac-1)で表される繰り返し単位および式(Ac-2)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。
【化11】
式(Ac-1)中、Arは芳香族カルボキシル基を含む基を表し、Lは、-COO-または-CONH-を表し、Lは、2価の連結基を表す。
式(Ac-2)中、Ar10は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L11は、-COO-または-CONH-を表し、L12は3価の連結基を表し、P10はポリマー鎖を表す。
【0085】
式(Ac-1)においてArが表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、芳香族トリカルボン酸無水物から由来する構造、芳香族テトラカルボン酸無水物から由来する構造などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸無水物および芳香族テトラカルボン酸無水物としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【化12】
【0086】
上記式中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、下記式(Q-1)で表される基または下記式(Q-2)で表される基を表す。
【化13】
【0087】
Arが表す芳香族カルボキシル基を含む基の具体例としては、式(Ar-11)で表される基、式(Ar-12)で表される基、式(Ar-13)で表される基などが挙げられる。
【化14】
【0088】
式(Ar-11)中、n1は1~4の整数を表し、1または2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(Ar-12)中、n2は1~8の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
式(Ar-13)中、n3およびn4はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ただし、n3およびn4の少なくとも一方は1以上の整数である。
式(Ar-13)中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、上記式(Q-1)で表される基または上記式(Q-2)で表される基を表す。
【0089】
式(Ac-1)においてLは、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0090】
式(Ac-1)においてLが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。Lが表す2価の連結基は、-O-L2a-O-で表される基であることが好ましい。L2aは、アルキレン基;アリーレン基;アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基;アルキレン基およびアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0091】
式(Ac-2)においてAr10が表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、式(Ac-1)のArと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0092】
式(Ac-2)においてL11は、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0093】
式(Ac-2)においてL12が表す3価の連結基としては、炭化水素基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0094】
式(Ac-2)においてP10はポリマー鎖を表す。P10が表すポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリエステル繰り返し単位およびポリオール繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。ポリマー鎖P10の重量平均分子量は500~20000が好ましい。下限は1000以上が好ましい。上限は10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。P10の重量平均分子量が上記範囲であれば組成物中における顔料の分散性が良好である。芳香族カルボキシル基を有する樹脂が式(Ac-2)で表される繰り返し単位を有する樹脂である場合は、この樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【0095】
本発明の着色組成物は、式(a1-1)で表される繰り返し単位を有する樹脂を用いることも好ましい(以下、樹脂Aともいう)。この樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【化15】
式(a1-1)中、A1aはエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の構造の分子鎖を表し、L1aは、単結合または2価の連結基を表し、P1aはオキセタン基を有する繰り返し単位p1を含むグラフト鎖を表す。
【0096】
式(a1-1)において、A1aが表すエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の構造の分子鎖としては、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルなどのエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物の重合によって形成される構造の分子鎖が挙げられる。A1aの具体例としては、以下に示す式(A-1)~(A-5)で表される構造が挙げられ、式(A-1)で表される構造であることが好ましい。以下の式中、*は式(a1-1)のL1aとの結合手であり、Ra~Raは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。アリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい。Raは、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。RaおよびRaは水素原子であることが好ましい。
【化16】
【0097】
式(a1-1)において、L1aが表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。L1aが表す2価の連結基は、式(L-1)で表される基であることが好ましい。
【化17】
【0098】
式(L-1)中、L3aおよびL4aは、それぞれ独立して2価の連結基を表し、Xは単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-NHCOO-、-OCONH-または-NHCONH-を表し、*1はP1aとの結合手であり、*2はA1aとの結合手である。
【0099】
式(L-1)のL3aおよびL4aが表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。Xが-O-、-COO-、-OCO-、-NHCOO-、-OCONH-または-NHCONH-の場合は、L3aおよびL4aは、それぞれ独立してアルキレン基またはアリーレン基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
【0100】
は-O-、-COO-、-OCO-、-NHCOO-、-OCONH-または-NHCONH-であることが好ましく、-NHCOO-または-OCONH-であることがより好ましい。
【0101】
式(a1-1)において、P1aが表すグラフト鎖は上記繰り返し単位p1を含む。繰り返し単位p1としては、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位であることが好ましい。繰り返し単位p1の具体例としては、式(p1-1)~(p1-4)で表される繰り返し単位などが挙げられ、式(p1-1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0102】
【化18】
【0103】
上記式中、Rp~Rpは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基またはアリール基を表す;Lpは、2価の連結基を表す;Rp~Rpは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。
【0104】
Rp~Rpが表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。Rp~Rpが表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい。Rpは、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。RpおよびRpは水素原子であることが好ましい。
【0105】
Rp~Rpが表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。上記式において、Rp、Rp、RpおよびRpは水素原子で、Rpはアルキル基であることが好ましい。
【0106】
Lpが表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられ、アルキレン基であることが好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0107】
1aが表すグラフト鎖は、更にカルボキシ基が熱分解性基で保護された基(以下、保護カルボキシ基ともいう)を有する繰り返し単位p2を含むことも好ましい。この態様によれば、製膜時の加熱により、上記保護カルボキシ基から熱分解性基が脱離してカルボキシ基が生成され、この生成されたカルボキシ基によってグラフト鎖が有するオキセタン基の架橋反応を促進できる。また、グラフト鎖中のオキセタン基の近傍にカルボキシ基が生成されるので、オキセタン基の架橋反応をより効果的に促進できる。このため、加熱後の膜収縮がより抑制された、より耐熱性に優れた膜を形成できる。また、加熱前の状態では、カルボキシ基が熱分解性基で保護されているので、着色組成物の保存時におけるオキセタン基の反応なども抑制でき、着色組成物の保存安定性にも優れている。
【0108】
ここで、カルボキシ基が熱分解性基で保護された基(保護カルボキシ基)とは、熱によって、熱分解性基が脱離してカルボキシ基が生成される基のことである。カルボキシ基が熱分解性基で保護された基は、120~290℃、より好ましくは200~260℃の温度に加熱されることによってカルボキシ基が生成される基であることが好ましい。
【0109】
上記の保護カルボキシ基としては、カルボキシ基が3級アルキル基で保護された構造の基、カルボキシ基がアセタール基またはケタール基で保護された構造の基、カルボキシ基が炭酸エステル基で保護された構造の基などが挙げられ、色材の分散安定性および加熱によるカルボキシ基の生成のしやすさの観点からカルボキシ基が3級アルキル基で保護された構造の基であることが好ましい。保護カルボキシ基の具体例としては、式(b1-1)~(b1-3)で表される基が挙げられ、色材の分散安定性および加熱によるカルボキシ基の生成のしやすさの観点から式(b1-1)で表される基であることが好ましい。
【化19】
式(b1-1)中、Rb~Rbは、それぞれ独立してアルキル基またはアリール基を表し、RbとRbは結合して環を形成してもよい。
式(b1-2)中、Rbは、アルキル基またはアリール基を表し、RbおよびRbはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、RbおよびRbの少なくとも一方は、アルキル基またはアリール基であり、RbとRbは結合して環を形成してもよい。
式(b1-3)中、Rbは、アルキル基またはアリール基を表す。
式(b1-1)~式(b1-3)の*は結合手を表す。
【0110】
Rb~Rbが表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐であることが好ましい。
Rb~Rbが表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい。
Rb~Rbは、それぞれ独立してアルキル基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましく、直鎖の炭素数1~5のアルキル基であることがより好ましく、直鎖の炭素数1~3のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(b1-1)において、RbとRbは結合して環を形成してもよい。形成される環は5員環または6員環であることが好ましい。
【0111】
Rb~Rbが表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~10が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐であることが好ましい。
Rb~Rbが表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい。
式(b1-2)において、RbとRbは結合して環を形成してもよい。形成される環は5員環または6員環であることが好ましい。
【0112】
Rbが表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~10が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐であることが好ましい。
Rbが表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい。
【0113】
式(b1-1)のRb~Rbは、それぞれ独立してアルキル基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
【0114】
保護カルボキシ基の具体例としては、以下に示す基が挙げられ、式(bb-1)で表される基、すなわち、t-ブチルエステル基であることが好ましい。t-ブチルエステル基は分解温度が最適であり、製膜時の加熱処理によってカルボキシ基を生成させやすく、その結果、オキセタン基の架橋反応をより効果的に促進でき、より耐熱性に優れた膜を形成できる。また、t-ブチルエステル基は、脱離物の体積も小さいため、膜中にボイドが発生することも抑制できる。以下の式中、*は結合手を表す。
【化20】
【0115】
繰り返し単位p2としては、式(p2-1)~(p2-4)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【0116】
【化21】
【0117】
上記式中、Rp11~Rp13は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基またはアリール基を表す;Lp11~Lp14は、それぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す;Bは上記式(b1-1)で表される基、上記式(b1-2)で表される基または上記式(b1-3)で表される基を表す。
【0118】
Rp11~Rp13が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。Rp11~Rp13が表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい。Rp11は水素原子またはアルキル基であることが好ましい。Rp12およびRp13は水素原子であることが好ましい。
【0119】
Lp11~Lp14が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられ、アルキレン基であることが好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0120】
は上記式(b1-1)で表される基、上記式(b1-2)で表される基または上記式(b1-3)で表される基を表し、式(b1-1)で表される基であることが好ましい。
【0121】
繰り返し単位p2は、式(p2-10)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【化22】
式中、Rp11~Rp13は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基またはアリール基を表す;
Rp14~Rp16は、アルキル基またはアリール基を表し、Rp14とRp15は結合して環を形成してもよい。
【0122】
1aが表すグラフト鎖は、上記繰り返し単位p1、上記繰り返し単位p2以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、エチレン性不飽和結合含有基を有する繰り返し単位、エポキシ基を有する繰り返し単位、1級または2級のアルキル基を有する繰り返し単位、アリール基を有する繰り返し単位などが挙げられる。エチレン性不飽和結合含有基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルフェニル基、アリル基等が挙げられる。
【0123】
グラフト鎖中における上記繰り返し単位p1の含有量は、グラフト鎖に含まれる繰り返し単位の総モル量に対して30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されず、100モル%以下とすることができる。また、樹脂A中における上記繰り返し単位p1の含有量は、樹脂Aに含まれる繰り返し単位の総モル量に対して20モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、40モル%以上であることが更に好ましく、50モル%以上であることがより一層好ましく、60モル%以上であることが更に一層好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されず、100モル%以下とすることができ、90モル%以下とすることもでき、95モル%以下とすることもできる。
【0124】
グラフト鎖が上記繰り返し単位p2を含む場合、グラフト鎖中における上記繰り返し単位p2の含有量は、グラフト鎖に含まれる繰り返し単位の総モル量に対して5~70モル%であることが好ましい。下限は10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。上限は50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。上記繰り返し単位p1と上記繰り返し単位p2との割合は、上記繰り返し単位p1の1モルに対して、上記繰り返し単位p2が0.1~5モルであることが好ましく、0.2~3モルであることがより好ましく、0.3~1モルであることが更に好ましい。また、グラフト鎖中における上記繰り返し単位p1と上記繰り返し単位p2の合計の含有量は、グラフト鎖に含まれる繰り返し単位の総モル量に対して、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、85モル%以上であることが更に好ましい。また、樹脂A中における上記繰り返し単位p1と上記繰り返し単位p2の合計の含有量は、樹脂Aに含まれる繰り返し単位の総モル量に対して30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることが更に一層好ましく、60モル%以上であることがより一層好ましく、70モル%以上であることが更に一層好ましく、85モル%以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されず、100モル%以下とすることができ、90モル%以下とすることもでき、95モル%以下とすることもできる。
【0125】
1aが表すグラフト鎖の重量平均分子量は、500~10000であることが好ましい。
【0126】
式(a1-1)で表される繰り返し単位は、式(a-1-1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【化23】
式中、Ra11~Ra13はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基またはアリール基を表す;La11は2価の連結基を表し、P1aは上記繰り返し単位p1を含むグラフト鎖を表す。
【0127】
式(a-1-1)のP1aが表すグラフト鎖は、上述した式(a1-1)のP1aと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0128】
Ra11~Ra13が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。Ra11~Ra13が表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい。Ra11は、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。Ra12およびRa13は水素原子であることが好ましい。
【0129】
La11が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。La11が表す2価の連結基は、上述した式(L-1)で表される基であることが好ましい。
【0130】
式(a1-1)で表される繰り返し単位は、式(a-1-2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【化24】
式中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基またはアリール基を表す;
およびLは、それぞれ独立して2価の連結基を表す;
は単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-NHCOO-、-OCONH-または-NHCONH-を表す;
は上記繰り返し単位p1を含むグラフト鎖を表す。
【0131】
式(a-1-2)のPが表すグラフト鎖は、上述した式(a1-1)のP1aと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(a-1-2)のR~Rは、上述した式(a-1-1)のRa11~Ra13と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0132】
式(a-1-2)のLおよびLが表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。Xが-O-、-COO-、-OCO-、-NHCOO-、-OCONH-または-NHCONH-の場合は、LおよびLは、それぞれ独立してアルキレン基またはアリーレン基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
【0133】
は-O-、-COO-、-OCO-、-NHCOO-、-OCONH-または-NHCONH-であることが好ましく-NHCOO-または-OCONH-であることがより好ましい。
【0134】
樹脂A中における上記式(a1-1)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂Aの主鎖に含まれる繰り返し単位の総モル量に対して5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、15モル%以上であることが更に好ましく、20モル%以上であることがより一層好ましい。上限は特に限定されず、100モル%以下とすることができ、90モル%以下とすることもでき、80モル%以下とすることもでき、70モル%以下とすることもでき、60モル%以下とすることもでき、50モル%以下とすることもできる。
【0135】
また、樹脂A中における式(a1-1)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂Aの質量に対して30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%以下とすることもでき、95質量%以下とすることもでき、90重量%以下とすることもでき、85重量%以下とすることもできる。
【0136】
樹脂Aの主鎖は、式(a1-1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位(他の繰り返し単位ともいう)を含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、酸基を有する繰り返し単位、塩基性基を有する繰り返し単位、架橋性基を有する繰り返し単位、カルボキシ基が熱分解性基で保護された基(保護カルボキシ基)を有する繰り返し単位などが挙げられる。
【0137】
樹脂Aの主鎖が酸基を有する繰り返し単位を含む場合は、色材の分散性をより向上できる。酸基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基などが挙げられる。酸基を有する繰り返し単位の構造としては、ポリエステル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位などが挙げられ、得られる膜の耐熱性の観点からエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位であることが好ましく、ポリビニル繰り返し単位、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位および(ポリ)スチレン繰り返し単位であることがより好ましい。樹脂Aの主鎖が酸基を有する繰り返し単位を含む場合、樹脂Aの酸価は、20~200mgKOH/gであることが好ましい。上記酸価の下限は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることがより好ましい。上記酸価の上限は、150mgKOH/g以下であることが好ましい。また、樹脂A中における酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂Aの主鎖に含まれる繰り返し単位の総モル量に対して30~90モル%であることが好ましく、50~85モル%であることがより好ましく、60~80モル%であることが更に好ましい。
【0138】
樹脂Aの主鎖が塩基性基を有する繰り返し単位を含む場合は、色材の分散性をより向上できる。塩基性基としては、アミノ基であることが好ましく、環状アミノ基、2級アミノ基または3級アミノ基であることが好ましく、3級アミノ基であることがより好ましい。2級アミノ基としては、モノアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基などが挙げられ、モノアルキルアミノ基であることが好ましい。3級アミノ基としては、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基などが挙げられ、ジアルキルアミノ基であることが好ましい。塩基性基を有する繰り返し単位の構造としては、ポリエステル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位などが挙げられ、得られる膜の耐熱性の観点からエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位であることが好ましく、ポリビニル繰り返し単位、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位および(ポリ)スチレン繰り返し単位であることがより好ましい。樹脂Aの主鎖が塩基性基を有する繰り返し単位を含む場合、樹脂Aのアミン価は、20~200mgKOH/gであることが好ましい。上記アミン価の下限は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることがより好ましい。上記アミン価の上限は、150mgKOH/g以下であることが好ましい。また、樹脂A中における塩基性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂Aの主鎖に含まれる繰り返し単位の総モル量に対して30~90モル%であることが好ましく、50~85モル%であることがより好ましく、60~80モル%であることが更に好ましい。
【0139】
樹脂Aの主鎖が架橋性基を有する繰り返し単位を含む場合は、より耐熱性に優れた膜を形成しやすい。架橋性基としては、エチレン性不飽和結合含有基、環状エーテル基などが挙げられる。エチレン性不飽和結合含有基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルフェニル基、アリル基等が挙げられ、反応性の観点からは(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。環状エーテル基としては、エポキシ基およびオキセタン基が挙げられる。架橋性基を有する繰り返し単位の構造としては、ポリエステル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位などが挙げられ、得られる膜の耐熱性の観点からエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位であることが好ましく、ポリビニル繰り返し単位、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位および(ポリ)スチレン繰り返し単位であることがより好ましい。樹脂A中における架橋性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂Aの主鎖に含まれる繰り返し単位の総モル量に対して10~60モル%であることが好ましく、15~50モル%であることがより好ましく、20~40モル%であることが更に好ましい。
【0140】
樹脂Aの主鎖が保護カルボキシ基を有する繰り返し単位は、製膜時におけるオキセタン基の架橋反応をより促進でき、より耐熱性に優れた膜を形成しやすい。保護カルボキシ基としては、上述した構造の基が挙げられ、好ましい範囲についても同様である。保護カルボキシ基を有する繰り返し単位の構造としては、ポリエステル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位などが挙げられ、得られる膜の耐熱性の観点からエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物由来の繰り返し単位であることが好ましく、ポリビニル繰り返し単位、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位および(ポリ)スチレン繰り返し単位であることがより好ましい。樹脂A中における保護カルボキシ基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂Aの主鎖に含まれる繰り返し単位の総モル量に対して10~60モル%であることが好ましく、15~50モル%であることがより好ましく、20~40モル%であることが更に好ましい。
【0141】
また、樹脂Aの主鎖に含まれる上記グラフト鎖を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位(他の繰り返し単位)は、繰り返し単位p1と共重合しうる化合物由来の繰り返し単位であってもよい。
【0142】
樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、5000~100000であることが好ましく、10000~100000であることがより好ましく、10000~50000であることが更に好ましい。
【0143】
樹脂Aの波長400~1100nmにおけるモル吸光係数の最大値は、0~1000L・mol-1・cm-1であることが好ましく、0~100L・mol-1・cm-1であることがより好ましい。
【0144】
樹脂Aのオキセタン率は、より耐熱性(クラック抑制と膜収縮抑制)に優れた膜を形成しやすいという理由から20~95モル%であることが好ましい。オキセタン率の下限は、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることが更に好ましく、60モル%以上であることが特に好ましい。オキセタン率の上限は、90モル%以下であることが好ましく、85モル%以下であることがより好ましく、80モル%以下であることが更に好ましい。なお、本明細書において、樹脂Aのオキセタン率とは、樹脂Aのすべての繰り返し単位中に含まれるオキセタン基を有する繰り返し単位のモル分率のことを意味する。樹脂Aのオキセタン率が高いほど得られる膜の耐熱性が向上する。
【0145】
樹脂Aのオキセタン基価は、0.01~5mmol/gであることが好ましい。オキセタン基価の下限は、0.02mmol/g以上であることが好ましく、0.03mmol/g以上であることがより好ましく、0.05mmol/g以上であることが更に好ましく、0.10mmol/g以上であることが特に好ましい。上記オキセタン基価の上限は、3mmol/g以下であることが好ましく、2mmol/g以下であることがより好ましく、1.5mmol/g以下であることが更に好ましく、1mmol/g以下であることが特に好ましい。樹脂Aのオキセタン基価とは、1gの樹脂Aに含まれオキセタン基の数のことである。
【0146】
樹脂Aは、窒素雰囲気下でのTG/DTA(熱質量測定/示差熱測定)による5%質量減少温度は280℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、320℃以上であることがさらに好ましい。上記5%質量減少温度の上限は、特に限定されず、例えば1,000℃以下であればよい。上記5%質量減少温度は、窒素雰囲気下で特定の温度で5時間静置した時の質量減少率が5%となる温度として、公知のTG/DTA測定方法により求められる。
また、樹脂Aは、窒素雰囲気下で300℃、5時間静置したときの質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。上記質量減少率の下限は特に限定されず、0%以上であればよい。
上記質量減少率は、窒素雰囲気下で300℃、5時間静置する前後の樹脂Aにおける質量の減少の割合として算出される値である。
【0147】
樹脂は、分散剤としての樹脂を含むことが好ましい。分散剤としては、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上である樹脂が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、10~105mgKOH/gが好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基が好ましい。
【0148】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、上述した樹脂Aを分散剤として用いることも好ましい。
【0149】
分散剤として用いる樹脂は、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(樹脂Ac)であることも好ましい。芳香族カルボキシル基を有する樹脂としては上述したものが挙げられる。
【0150】
分散剤として用いる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子は、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0151】
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
【0152】
分散剤として用いる樹脂は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上であることが好ましく、10~80モル%であることがより好ましく、20~70モル%であることが更に好ましい。また、分散剤は、特開2018-087939号公報に記載された樹脂を用いることもできる。
【0153】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYK社製のDISPERBYKシリーズ、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSEシリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパーシリーズ等が挙げられる。また、特開2012-137564号公報の段落番号0129に記載された製品、特開2017-194662号公報の段落番号0235に記載された製品を分散剤として用いることもできる。
【0154】
また、分散剤として用いる樹脂は、特許第6432077号公報の段落番号0219~0221に記載されたブロック共重合体(EB-1)~(EB-9)を用いることもできる。
【0155】
着色組成物の全固形分中にける樹脂の含有量は、1~80質量%であることが好ましい。下限は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましい。上限は70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、40質量%以下が特に好ましい。本発明の着色組成物は、樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。樹脂を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0156】
<<溶剤>>
本発明の着色組成物は、溶剤を含有する。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤の種類は、各成分の溶解性や組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤も好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。ただし有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0157】
本発明においては、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの有機溶剤を用いてもよく、そのような有機溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0158】
有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0159】
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0160】
有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0161】
着色組成物中における溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
【0162】
また、本発明の着色組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、着色組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、着色組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として着色組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した着色組成物の段階などのいずれの段階でも可能である。
【0163】
<<顔料誘導体>>
本発明の着色組成物は、顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、色素骨格に酸基または塩基性基が結合した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体を構成する色素骨格としては、キノリン色素骨格、ベンゾイミダゾロン色素骨格、ベンゾイソインドール色素骨格、ベンゾチアゾール色素骨格、イニミウム色素骨格、スクアリリウム色素骨格、クロコニウム色素骨格、オキソノール色素骨格、ピロロピロール色素骨格、ジケトピロロピロール色素骨格、アゾ色素骨格、アゾメチン色素骨格、フタロシアニン色素骨格、ナフタロシアニン色素骨格、アントラキノン色素骨格、キナクリドン色素骨格、ジオキサジン色素骨格、ペリノン色素骨格、ペリレン色素骨格、チオインジゴ色素骨格、イソインドリン色素骨格、イソインドリノン色素骨格、キノフタロン色素骨格、イミニウム色素骨格、ジチオール色素骨格、トリアリールメタン色素骨格、ピロメテン色素骨格等が挙げられる。酸基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基及びこれらの塩が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。塩基性基としては、アミノ基、ピリジニル基およびその塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオンなどが挙げられる。
【0164】
また、顔料誘導体としては、トリアジン骨格と、酸基または塩基性基とを有する構造の化合物を用いることも好ましい。顔料誘導体のトリアジン骨格と、プテリジン顔料のプテリジン骨格との構造が類似しているため、プテリジン顔料の表面に顔料誘導体が吸着し易く、その結果、プテリジン顔料と顔料誘導体と樹脂との間で強固なネットワークが形成されると推測される。このようなネットワークが形成されることにより、着色組成物中におけるプテリジン顔料の分散性をより向上でき、着色組成物の経時安定性をより向上できる。更には、欠陥の発生が抑制された膜を形成しやすい。また、顔料と樹脂とのネットワークが強固になることにより、顔料が樹脂と一緒に現像され易くなり、現像性もより向上できる。
【0165】
顔料誘導体として可視透明性に優れた顔料誘導体(以下、透明顔料誘導体ともいう)を含有することもできる。透明顔料誘導体の400~700nmの波長領域におけるモル吸光係数の最大値(εmax)は3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることがさらに好ましい。εmaxの下限は、例えば1L・mol-1・cm-1以上であり、10L・mol-1・cm-1以上でもよい。
【0166】
顔料誘導体の具体例としては、後述する実施例に記載の化合物、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094、国際公開第2017/038252号の段落番号0082、特開2015-151530号公報の段落番号0171、特開2011-252065号公報の段落番号0162~0183、特開2003-081972号公報、特許第5299151号公報、特開2015-172732号公報、特開2014-199308号公報、特開2014-085562号公報、特開2014-035351号公報、特開2008-081565号公報に記載の化合物、国際公開第2020/002106号に記載のチオール連結基を有するジケトピロロピロール化合物が挙げられる。
【0167】
顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対して1~30質量部が好ましく、2~15質量部がより好ましく、4~10質量部が更に好ましい。顔料誘導体は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0168】
<<重合性化合物>>
本発明の着色組成物は、重合性化合物を含有することができる。重合性化合物としては、ラジカル、酸または熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。本発明において、重合性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明で用いられる重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0169】
重合性化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。重合性化合物の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
【0170】
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0171】
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(以上、大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
【0172】
また、重合性化合物には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0173】
また、重合性化合物には、酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性化合物を用いることで、現像時に未露光部の重合性化合物が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0174】
また、重合性化合物には、カプロラクトン構造を有する化合物を用いることもできる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物の市販品としては、KAYARAD DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0175】
また、重合性化合物には、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0176】
また、重合性化合物には、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
【0177】
重合性化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0178】
着色組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量は0.1~50質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。重合性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
【0179】
<<光重合開始剤>>
本発明の着色組成物は光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0180】
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。また、光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特許第6301489号公報に記載された化合物、MATERIAL STAGE 37~60p,vol.19,No.3,2019に記載されたパーオキサイド系光重合開始剤、国際公開第2018/221177号に記載の光重合開始剤、国際公開第2018/110179号に記載の光重合開始剤、特開2019-043864号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-044030号公報に記載の光重合開始剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0181】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 2959、Irgacure 127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 369E、Irgacure 379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、Omnirad 819、Omnirad TPO(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 819、Irgacure TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0182】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0183】
光重合開始剤としては、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0184】
光重合開始剤としては、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
【0185】
光重合開始剤としては、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を含むオキシム化合物は、式(OX-1)で表される化合物が好ましい。
(OX-1)
【化25】
式(OX-1)において、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、Rは、フッ素原子を含む基を有するアリール基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。
【0186】
式(OX-1)のArおよびArが表す芳香族炭化水素環は、単環でもよく、縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環の環を構成する炭素原子数は、6~20が好ましく、6~15がより好ましく、6~10が特に好ましい。芳香族炭化水素環は、ベンゼン環およびナフタレン環が好ましい。なかでも、Arはベンゼン環であることが好ましい。Arがベンゼン環またはナフタレン環であることが好ましく、ナフタレン環であることがより好ましい。
【0187】
ArおよびArが有してもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、-ORX1、-SRX1、-CORX1、-COORX1、-OCORX1、-NRX1X2、-NHCORX1、-CONRX1X2、-NHCONRX1X2、-NHCOORX1、-SOX1、-SOORX1、-NHSOX1などが挙げられる。RX1およびRX2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。置換基としてのアルキル基、ならびに、RX1およびRX2が表すアルキル基の炭素数は、1~30が好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。アルキル基は、水素原子の一部または全部がハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)で置換されていてもよい。また、アルキル基は、水素原子の一部または全部が、上記置換基で置換されていてもよい。置換基としてのアリール基、ならびに、RX1およびRX2が表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~15がより好ましく、6~10が更に好ましい。アリール基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、アリール基は、水素原子の一部または全部が、上記置換基で置換されていてもよい。置換基としてのヘテロ環基、ならびに、RX1およびRX2が表すヘテロ環基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロ環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。ヘテロ環基を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。また、ヘテロ環基は、水素原子の一部または全部が、上記置換基で置換されていてもよい。
【0188】
Arが表す芳香族炭化水素環は、無置換の芳香族炭化水素環であることが好ましい。Arが表す芳香族炭化水素環は、置換基を有していることが好ましい。置換基としては、-CORX1が好ましい。RX1は、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基が好ましく、アリール基がより好ましい。アリール基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、炭素数1~10のアルキル基などが挙げられる。
【0189】
式(OX-1)のRは、フッ素原子を含む基を有するアリール基を表す。アリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~15がより好ましく、6~10が更に好ましい。フッ素原子を含む基は、フッ素原子を有するアルキル基(以下、含フッ素アルキル基ともいう)、および、フッ素原子を有するアルキル基を含む基(以下、含フッ素基ともいう)であることが好ましい。含フッ素基としては、-ORF1、-SRF1、-CORF1、-COORF1、-OCORF1、-NRF1F2、-NHCORF1、-CONRF1F2、-NHCONRF1F2、-NHCOORF1、-SOF1、-SOORF1および-NHSOF1から選ばれる少なくとも1種の基が好ましい。RF1は、含フッ素アルキル基を表し、RF2は、水素原子、アルキル基、含フッ素アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。含フッ素基は、-ORF1が好ましい。
【0190】
F1およびRF2が表す含フッ素アルキル基、並びにRF2が表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~10が更に好ましく、1~4が特に好ましい。含フッ素アルキル基およびアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。含フッ素アルキル基において、フッ素原子の置換率は40~100%であることが好ましく、50~100%であることがより好ましく、60~100%であることがさらに好ましい。なお、フッ素原子の置換率とは、アルキル基が有する全水素原子の数に対してフッ素原子に置換されている数の比率(%)をいう。
【0191】
F2が表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~15がより好ましく、6~10が更に好ましい。
【0192】
F2が表すヘテロ環基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロ環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。縮合数は、2~8が好ましく、2~6がより好ましく、3~5が更に好ましく、3~4が特に好ましい。ヘテロ環基を構成する炭素原子の数は3~40が好ましく、3~30がより好ましく、3~20がより好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子がより好ましい。
【0193】
フッ素原子を含む基は、式(1)または(2)で表される末端構造を有することが好ましい。式中の*は、連結手を表す。
*-CHF (1)
*-CF (2)
【0194】
式(OX-1)のRは、アルキル基またはアリール基を表し、アルキル基が好ましい。アルキル基およびアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したArおよびArが有してもよい置換基で説明した置換基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~10が更に好ましく、1~4が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。アリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~15がより好ましく、6~10が更に好ましい。
【0195】
式(OX-1)のRは、アルキル基またはアリール基を表し、アルキル基が好ましい。アルキル基およびアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したArおよびArが有してもよい置換基として説明した置換基が挙げられる。Rが表すアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~10が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。Rが表すアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~15がより好ましく、6~10が更に好ましい。
【0196】
フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
【0197】
光重合開始剤としては、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0198】
光重合開始剤としては、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されているOE-01~OE-75が挙げられる。
【0199】
光重合開始剤としては、カルバゾール骨格にヒドロキシ基を有する置換基が結合したオキシム化合物を用いることもできる。このような光重合開始剤としては国際公開第2019/088055号に記載された化合物などが挙げられる。
【0200】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0201】
【化26】
【化27】
【0202】
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0203】
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、着色組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)、特許第6469669号公報に記載されているオキシムエステル光開始剤などが挙げられる。
【0204】
光重合開始剤を含有する場合、着色組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量は0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。本発明の着色組成物において、光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0205】
<<環状エーテル基を有する化合物>>
本発明の着色組成物は、環状エーテル基を有する化合物を含有することができる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。環状エーテル基を有する化合物は、エポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)であることが好ましい。エポキシ化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物、特開2017-179172号公報に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0206】
エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。エポキシ化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
【0207】
エポキシ化合物としては、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310~3300g/eqであることが好ましく、310~1700g/eqであることがより好ましく、310~1000g/eqであることが更に好ましい。
【0208】
環状エーテル基を有する化合物の市販品としては、例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、G-01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。
【0209】
着色組成物の全固形分中における環状エーテル基を有する化合物の含有量は、0.1~20質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、例えば、15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。環状エーテル基を有する化合物は1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0210】
<<硬化促進剤>>
本発明の着色組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤としては、チオール化合物、メチロール化合物、アミン化合物、ホスホニウム塩化合物、アミジン塩化合物、アミド化合物、塩基発生剤、イソシアネート化合物、アルコキシシラン化合物、オニウム塩化合物などが挙げられる。硬化促進剤の具体例としては、国際公開第2018/056189号の段落番号0094~0097に記載の化合物、特開2015-034963号公報の段落番号0246~0253に記載の化合物、特開2013-041165号公報の段落番号0186~0251に記載の化合物、特開2014-055114号公報に記載のイオン性化合物、特開2012-150180号公報の段落番号0071~0080に記載の化合物、特開2011-253054号公報に記載のエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、特許第5765059号公報の段落番号0085~0092に記載の化合物、特開2017-036379号公報に記載のカルボキシル基含有エポキシ硬化剤などが挙げられる。硬化促進剤を含有する場合、着色組成物の全固形分中における硬化促進剤の含有量は0.3~8.9質量%が好ましく、0.8~6.4質量%がより好ましい。
【0211】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の着色組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。このような化合物としては、特開2009-217221号公報の段落番号0038~0052、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の具体例としては、下記構造の化合物などが挙げられる。紫外線吸収剤の市販品としては、UV-503(大東化学(株)製)、BASF社製のTinuvinシリーズ、Uvinul(ユビナール)シリーズなどが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載された化合物、国際公開第2016/181987号の段落番号0059~0076に記載された化合物、国際公開第2020/137819号に記載されたチオアリール基置換ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を用いることもできる。
【化28】
【0212】
紫外線吸収剤を含有する場合、着色組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0213】
<<重合禁止剤>>
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。重合禁止剤を含有する場合、着色組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。重合禁止剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0214】
<<シランカップリング剤>>
本発明の着色組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-603)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-502)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-503)等がある。また、シランカップリング剤の具体例については、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。シランカップリング剤を含有する場合、着色組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.01~15.0質量%が好ましく、0.05~10.0質量%がより好ましい。シランカップリング剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0215】
<<界面活性剤>>
本発明の着色組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0216】
界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。着色組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0217】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
【0218】
また、界面活性剤にはシリコーン系界面活性剤を用いることも好ましい。
【0219】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F475、F-477、F479、F482、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、R-01、R-30、R-40、R-40-LM、R-41、R-41-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント208G、215M、245F、601AD、601ADH2、602A、610FM、710FA、710FL、710FM、710FS、FTX-218、(以上、株)NEOS製)等が挙げられる。
【0220】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0221】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報に記載されたフッ素系界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0222】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。また、特開2010-032698号公報の段落番号0016~0037に記載されたフッ素含有界面活性剤や、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化29】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0223】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、DIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0224】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0225】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH21PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、SH8400、SH 8400 FLUID、FZ-2122、67 Additive、74 Additive、M Additive、SF 8419 OIL(以上、デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6000、KF-6001、KF-6002、KF-6003(以上、信越化学工業(株)製)、BYK-307、BYK-322、BYK-323、BYK-330、BYK-333、BYK-3760、BYK-UV3510(以上、BYK社製)等が挙げられる。
【0226】
界面活性剤を含有する場合、着色組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0227】
<<酸化防止剤>>
本発明の着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。着色組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0228】
<<その他成分>>
本発明の着色組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0229】
また、本発明の着色組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。
【0230】
潜在酸化防止剤は、式(AO-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0231】
【化30】
式中、Rは、置換基を表し、
は、-COOR11、-CH-CH=CR1213、-CH(-O-LR1-O-R14またはSiR151617を表し、
11、R12、R14、R15、R16およびR17はそれぞれ独立してアルキル基を表し、
13は水素原子またはアルキル基を表し、
R1はアルキレン基を表し、
qは0または1を表し、
qが1の場合、LR1とR14は結合して環を形成していてもよく、
mは0~4の整数を表し、
nは1~10の整数を表し、
はn価の基を表す。
【0232】
式(AO-1)のRが表す置換基としては、アルキル基、アリール基、複素環基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれでもよいが、脱離後にフェノール系酸化防止剤としての機能が良好であるという理由から分岐または環状であることが好ましく、分岐であることがより好ましい。
【0233】
式(AO-1)のRは、-COOR11、-CH-CH=CR1213、-CH(-O-LR1-O-R14またはSiR151617を表す。R11、R14、R15、R16およびR17はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、LR1はアルキレン基を表し、qは0または1を表し、qが1の場合、LR1とR14は結合して環を形成していてもよい。
【0234】
11が表すアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐または環状のいずれでもよいが、脱離する温度が適切であるという理由から分岐のアルキル基であることが好ましい。R11が表すアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アリール基であることが好ましい。R11の具体例としては、tert-ブチル基、ベンジル基などが挙げられる。
【0235】
12およびR13が表すアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましい。R11およびR12が表すアルキル基は直鎖、分岐または環状のいずれでもよいが、より低コストでの製造が可能という理由から直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。なかでも、R12およびR13はそれぞれ独立してアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0236】
14が表すアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐または環状のいずれでもよいが、より低コストでの製造が可能という理由から直鎖のアルキル基であることが好ましい。
【0237】
15~R17が表すアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐または環状のいずれでもよいが、より低コストでの製造が可能という理由から直鎖のアルキル基であることが好ましい。
【0238】
R1が表すアルキレン基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましく、1~3が特に好ましい。アルキレン基は直鎖、分岐または環状のいずれでもよいが、より低コストでの製造が可能という理由から直鎖または分岐のアルキレン基であることが好ましい。また、LR1とR14は結合して環を形成していてもよい。なお、「-CH(-O-LR1-O-R14」で表される基において、qが0である場合は、-CH-O-R14で表される構造の基である。
【0239】
が表す基の具体例としては、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシメチル基、2-メトキシエトキシメチル基、トリメチルシリル基、-CH-CH=C(CH、-CH-CH=CHなどが挙げられ、tert-ブトキシカルボニル基および-CH-CH=C(CHが好ましい。
【0240】
式(AO-1)のXが表すn価の基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO-、-NR-、-NRCO-、-CONR-、-NRSO-、-SONR-およびこれらの組み合わせからなる基が挙げられ、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~20が好ましく、2~20がより好ましく、2~10がさらに好ましく、2~5が特に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は、単環、多環のいずれであってもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~18が好ましく、6~14がより好ましく、6~10がさらに好ましい。芳香族炭化水素基は、単環または縮合数が2~4の縮合環の芳香族炭化水素基であることが好ましい。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環基であることが好ましい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基および複素環基は置換基を有していてもよい。また、Rが表すアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。Rが表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。Rが表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。Rが表すアリール基はさらに置換基を有していてもよい。
【0241】
式(AO-1)のmは0~4の整数を表し、mは0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、1または2であることが特に好ましい。
【0242】
式(AO-1)のnは1~10の整数を表し、nの下限は2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。nの上限は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。
【0243】
潜在酸化防止剤の具体例としては、後述する実施例に記載の化合物、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
【0244】
本発明の着色組成物には、特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.ピグメントイエロー129を耐候性改良の目的で添加しても良い。また、本発明の着色組成物は、特開2020-079833号公報に記載の芳香族基含有ホスホニウム塩を含んでいてもよい。
【0245】
本発明の着色組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO、ZrO、Al、SiO等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが更に好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよい。また、この場合、コア部は中空状であってもよい。
【0246】
本発明の着色組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
【0247】
本発明の着色組成物の含水率は、通常3質量%以下であり、0.01~1.5質量%が好ましく、0.1~1.0質量%の範囲であることがより好ましい。含水率は、カールフィッシャー法にて測定することができる。
【0248】
本発明の着色組成物は、膜面状(平坦性など)の調整、膜厚の調整などを目的として粘度を調整して用いることができる。粘度の値は必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、25℃において0.3mPa・s~50mPa・sが好ましく、0.5mPa・s~20mPa・sがより好ましい。粘度の測定方法としては、例えば、コーンプレートタイプの粘度計を使用し、25℃に温度調整を施した状態で測定することができる。
【0249】
本発明の着色組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
【0250】
<着色組成物の調製方法>
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して調製できる。着色組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して着色組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して着色組成物を調製してもよい。
【0251】
また、着色組成物の調製に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことが好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0252】
着色組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、着色組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
【0253】
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)および株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
【0254】
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0255】
<膜>
本発明の膜は、上述した本発明の着色組成物から得られる膜である。本発明の膜は、カラーフィルタや赤外線透過フィルタなどの光学フィルタに用いることができる。
【0256】
本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
【0257】
本発明の膜をカラーフィルタとして用いる場合、本発明の膜は、緑色、赤色、青色、シアン色、マゼンタ色または黄色の色相を有することが好ましく、緑色、赤色または黄色の色相を有することがより好ましい。また、本発明の膜は、カラーフィルタの着色画素として好ましく用いることができる。着色画素としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素、黄色画素などが挙げられ、赤色画素、緑色画素および黄色画素であることが好ましい。
【0258】
本発明の膜を赤外線透過フィルタとして用いる場合、本発明の膜は、例えば、以下の(1)~(4)のいずれかの分光特性を有することが好ましい。
(1):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400~640nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、膜の厚み方向における光の透過率の、波長800~1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である。このような分光特性を有する膜は、波長400~640nmの範囲の光を遮光して、波長700nmを超える光を透過させることができる。
(2):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400~750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、膜の厚み方向における光の透過率の、波長900~1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である膜。このような分光特性を有する膜は、波長400~750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える光を透過させることができる。
(3):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400~830nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1000~1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である膜。このような分光特性を有する膜は、波長400~830nmの範囲の光を遮光して、波長940nmを超える光を透過させることができる。
(4):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400~950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100~1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である膜。このような分光特性を有する膜は、波長400~950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nmを超える光を透過させることができる。
【0259】
<膜の製造方法>
次に、本発明の膜の製造方法について説明する。本発明の膜は、本発明の着色組成物を塗布する工程を経て製造できる。膜の製造方法においては、更にパターン(画素)を形成する工程を含むことが好ましい。パターン(画素)の形成方法としては、フォトリソグラフィ法、ドライエッチング法が挙げられ、フォトリソグラフィ法が好ましい。
【0260】
フォトリソグラフィ法によるパターン形成は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、着色組成物層をパターン状に露光する工程と、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、着色組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
【0261】
着色組成物層を形成する工程では、本発明の着色組成物を用いて、支持体上に着色組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下地層が設けられていてもよい。下地層は、本明細書に記載の着色組成物から色材を除いた組成物や、本明細書記載の硬化性化合物、界面活性剤などを含む組成物などを用いて形成してもよい。下地層の表面接触角は、ジヨードメタンで測定した際に20~70°であることが好ましい。また、水で測定した際に30~80°であることが好ましい。下地層の表面接触角が上記範囲であれば、樹脂組成物の塗れ性が良好である。下地層の表面接触角の調整は、たとえば、界面活性剤の添加などの方法で行うことができる。
【0262】
着色組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、着色組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0263】
支持体上に形成した着色組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0264】
次に、着色組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、着色組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
【0265】
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
【0266】
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。
【0267】
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m~100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、または、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
【0268】
次に、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。着色組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の着色組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0269】
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の着色組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の着色組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
【0270】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
【0271】
ドライエッチング法でのパターン形成は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成し、この着色組成物層の全体を硬化させて硬化物層を形成する工程と、この硬化物層上にフォトレジスト層を形成する工程と、フォトレジスト層をパターン状に露光したのち、現像してレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンをマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程と、を含むことが好ましい。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の段落番号0010~0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0272】
<光学フィルタ>
本発明の光学フィルタは、上述した本発明の膜を有する。光学フィルタの種類としては、カラーフィルタおよび赤外線透過フィルタが挙げられ、カラーフィルタであることが好ましい。カラーフィルタとしては、カラーフィルタの着色画素として本発明の膜を有することが好ましい。
【0273】
光学フィルタは、本発明の膜の表面に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましい。保護層の形成方法としては、有機溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al、Mo、SiO、Siなどが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂と、SiOと、Siを含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂とフッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0274】
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。樹脂組成物に含まれる有機溶剤は、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる。
【0275】
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長の光(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の光の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全質量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。
【0276】
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
【0277】
光学フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。
【0278】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を有する。固体撮像素子の構成としては、本発明の膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0279】
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【0280】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例
【0281】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0282】
<分散液の製造>
下記の表に記載の原料を混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して分散液を製造した。下記の表の各素材の配合量の数値は質量部である。なお、樹脂(分散剤)の配合量の値は、それぞれ固形分20質量%の樹脂溶液での配合量の値である。各分散液の経時安定性および色ムラの評価結果も併せて記す。
【0283】
【表1】
【0284】
【表2】
【0285】
【表3】
【0286】
【表4】
【0287】
【表5】
【0288】
【表6】
【0289】
【表7】
【0290】
【表8】
【0291】
【表9】
【0292】
【表10】
【0293】
【表11】
【0294】
上記表の略語で記載の原料は以下の通りである。
【0295】
(色材)
PG36:C.I.ピグメントグリーン36(緑色色材、フタロシアニン化合物)
PG58:C.I.ピグメントグリーン58(緑色色材、フタロシアニン化合物)
PG62:C.I.ピグメントグリーン62(緑色色材、フタロシアニン化合物)
SQ1:下記構造の化合物(緑色色材、スクアリリウム化合物)
【化31】
AP1:下記構造の化合物(緑色色材、フタロシアニン化合物)
【化32】
AP2:下記構造の化合物(緑色色材、フタロシアニン化合物)
【化33】
【0296】
PT1:C.I.ピグメントイエロー215(黄色色材、プテリジン顔料)
PT2:下記構造の化合物(黄色色材、プテリジン顔料、特許第4808884号公報の実施例1に準拠して合成した)
【化34】
PT3:下記構造の化合物(黄色色材、プテリジン顔料、特許第4808884号公報の実施例4に準拠して合成した)
【化35】
PT4:下記構造の化合物(黄色色材、プテリジン顔料、特許第4808884号公報の実施例8に準拠して合成した)
【化36】
PT5:下記構造の化合物(黄色色材、プテリジン顔料、特許第4808884号公報の実施例7に準拠して合成した)
【化37】
【0297】
PY129:C.I.ピグメントイエロー129(黄色色材、アゾ化合物)
PY138:C.I.ピグメントイエロー138(黄色色材、キノフタロン化合物)
PY139:C.I.ピグメントイエロー139(黄色色材、イソインドリン化合物)
PY150:C.I.ピグメントイエロー150(黄色色材、アゾ化合物)
PY185:C.I.ピグメントイエロー185(黄色色材、イソインドリン化合物)
SY82:C.I.ソルベントイエロー82(黄色色材、アゾ化合物)
Yellow1:下記構造の化合物(黄色色材、キノフタロン化合物)
【化38】
【0298】
PO71:C.I.ピグメントオレンジ71(オレンジ色色材、ジケトピロロピロール化合物)
PR177:C.I.ピグメントレッド177(赤色色材、アントラキノン化合物)
PR254:C.I.ピグメントレッド254(赤色色材、ジケトピロロピロール化合物)
PR264:C.I.ピグメントレッド264(赤色色材、ジケトピロロピロール化合物)
PR269:C.I.ピグメントレッド269(赤色色材、アゾ化合物)
PR272:C.I.ピグメントレッド272(赤色色材、ジケトピロロピロール化合物)
BR1:下記構造の化合物
【化39】
BR2:下記構造の化合物の混合物(左側の化合物:右側の化合物=9:1(質量比))
【化40】
PB15:6:C.I.ピグメントブルー15:6(青色色材、フタロシアニン化合物)
PV23::C.I.ピグメントバイオレット23(紫色色材、ジオキサジン化合物)
【0299】
IR1:下記構造の化合物(赤外線吸収色材。以下の構造式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。ピロロピロール化合物)
【化41】
【0300】
(顔料誘導体)
誘導体1:下記構造の化合物
【化42】
誘導体2:下記構造の化合物
【化43】
誘導体3:下記構造の化合物
【化44】
誘導体4:下記構造の化合物
【化45】
誘導体5:下記構造の化合物
【化46】
誘導体6:下記構造の化合物
【化47】
【0301】
<樹脂>
A-1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=24000、酸価47mgKOH/g)の20質量%%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液
【化48】
A-2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=16000、酸価67mgKOH/g)の20質量%PGMEA溶液
【化49】
A-3:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=11000、酸価69mgKOH/g)の20質量%PGMEA溶液
【化50】
【0302】
B-1:以下の方法で合成した樹脂B-1の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
メチルメタクリレート50質量部、n-ブチルメタクリレート50質量部、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)45.4質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6質量部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12質量部を加え、12時間反応させた。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7質量部、PGMEA70.3質量部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を20質量%に調整し、酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9000の樹脂B-1の樹脂溶液を得た。
【化51】
【0303】
B-2:以下の方法で合成した樹脂B-2の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
メチルメタクリレート50質量部、n-ブチルメタクリレート30質量部、t-ブチルメタクリレート20質量部、PGMEA45.4質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6質量部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12質量部を加え、12時間反応させた。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7質量部、PGMEA70.3質量部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を20質量%に調整し、酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9000の樹脂B-2の樹脂溶液を得た。
【化52】
【0304】
B-3:以下の方法で合成した樹脂B-3の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
樹脂B-2の合成において、t-ブチルメタクリレート20質量部を、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレートに変更した以外は同様にして、酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9000の樹脂B-3の樹脂溶液を得た。
【化53】
【0305】
B-4:以下の方法で合成した樹脂B-4の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
樹脂B-2の合成において、t-ブチルメタクリレート20質量部を、昭和電工製「カレンズMOI-BM」20質量部に変更した以外は同様にして、酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9000の樹脂B-4の樹脂溶液を得た。
【化54】
【0306】
B-5:以下の方法で合成した樹脂B-5の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0質量部、ピロメリット酸無水物9.5質量部、PGMEA62質量部、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート65質量部、エチルアクリレート5.0質量部、t-ブチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5.0質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を溶解したPGMEA溶液53.5質量部を添加して、10時間反応させた。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を20質量%に調整し、酸価70.5mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)10000の樹脂B-5の樹脂溶液を得た。
【化55】
【0307】
B-6:以下の方法で合成した樹脂B-6の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
1-チオグリセロール108質量部、ピロメリット酸無水物174質量部、メトキシプロピルアセテート650質量部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を固形分換算で160質量部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200質量部、エチルアクリレート200質量部、t-ブチルアクリレート150質量部、2-メトキシエチルアクリレート200質量部、メチルアクリレート200質量部、メタクリル酸50質量部、PGMEA663質量部を反応容器に仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2質量部を添加し、12時間反応させた(第二工程)。固形分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50質量%PGMEA溶液500質量部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0質量部、ヒドロキノン0.1質量部を反応容器に仕込み、イソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を20質量%に調整し、酸価68mgKOH/g、不飽和二重結合価0.62mmol/g、重量平均分子量(Mw)13000の樹脂B-6の樹脂溶液を得た。
【化56】
【0308】
B-7:以下の方法で合成した樹脂B-7の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
メチルメタクリレート40質量部、n-ブチルメタクリレート60質量部、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)45.4質量部を反応容器に仕込み、雰囲気ガスを窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール8質量部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12質量部を加え、12時間反応させた。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物13質量部、PGMEA70.3質量部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を20質量%に調整し、酸価55mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)10000の樹脂B-7の樹脂溶液を得た。
【化57】
【0309】
B-8:以下の方法で合成した樹脂B-8の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
3つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を300g加え、窒素雰囲気下で60℃に加温した。これに(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、OXE-10)の380gと、6-メルカプトヘキサノール(東京化成工業(株)製)の18.3gと、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル(富士フイルム和光純薬(株)製、V-601)の2.4gとPGMEAの300gの溶液を2時間かけて滴下した。そののち2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチルを2.4g加えてさらに4時間加熱してマクロモノマー前駆体を合成した。このマクロモノマー前駆体溶液を5℃に冷却したのち、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の0.4gとネオスタンU-600(日東化成製)の0.16gを加えたのち、2-イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工(株)製、カレンズMOI)の22.1gを30分かけて滴下した。5℃で1時間さらに撹拌し、室温に戻してさらに6時間撹拌することで下記構造のマクロモノマーAA-1のPGMEA40%溶液を得た。得られたマクロモノマーAA-1の重量平均分子量(Mw)は2800であった。
【化58】
【0310】
3つ口フラスコにアクリル酸(富士フイルム和光純薬(株)製)の7.0gと上記で得られたマクロモノマーAA-1のPGMEA40%溶液の170gを加え、さらにPGMEA70gを加え、窒素雰囲気下で80℃に加温した。これにドデカンチオール(富士フイルム和光純薬(株)製)の1.2gと2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチルの0.35g加えて6時間加熱し、PGMEAを加えて不揮発分(固形分濃度)を20質量%に調整して下記構造の樹脂B-8の樹脂溶液を得た。樹脂B-8の重量平均分子量は30623で酸価は70mgKOH/gであった。以下の式中、繰り返し単位の主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル%を表し、「Polym」の記載は、「Polym」で示す構造の繰り返し単位が添え字の数値の数で結合した構造のポリマー鎖が硫黄原子(S)に結合していることを示している。
【化59】
【0311】
B-9:以下の方法で合成した樹脂B-9の樹脂溶液(固形分濃度20質量%)。
樹脂B-8と同様の方法で、樹脂B-9を合成した。以下の式中、繰り返し単位の主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル%を表し、「Polym」の記載は、「Polym」で示す構造の繰り返し単位が添え字の数値の数で結合した構造のポリマー鎖が硫黄原子(S)に結合していることを示している。
【化60】
【0312】
B-10:下記構造の樹脂(酸基を有するグラフト樹脂、主鎖に付記された数値は質量比であり、側鎖に付記された数値は繰り返し単位の数である。重量平均分子量13000、酸価19mgKOH/g)の20質量%PGMEA溶液
【化61】
【0313】
C-1:DISPERBYK-2001(塩基性基を有する樹脂、アミン価29mgKOH/g、ビックケミー・ジャパン社製)の固形分濃度20質量%のPGMEA溶液
C-2:下記構造の樹脂(ブロック共重合体。主鎖に付記した数値は質量比である。アミン価71mgKOH/g、Mw=9900)の20質量%のPGMEA溶液
【化62】
C-3:下記構造の樹脂(ブロック共重合体。主鎖に付記した数値は質量比である。アミン価80mgKOH/g、Mw=8500)の20質量%のPGMEA溶液
【化63】
【0314】
(溶剤)
K-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0315】
<分散液の性能評価>
(経時安定性)
製造直後の各分散液の粘度(mPa・s)を、東機産業(株)製「RE-85L」にて測定した。上記測定後、各分散液を45℃、遮光、3日間の条件にて静置し、再度粘度(mPa・s)を測定した。
上記静置前後での粘度差(ΔVis)から下記評価基準に従って保存安定性を評価した。評価結果は上記表の「経時安定性」の欄に記載した。粘度差(ΔVis)の数値が小さいほど、分散液の経時安定性が良好であるといえる。上記粘度測定は、いずれも、温湿度を22±5℃、60±20%に管理した実験室で、分散液の温度を25℃に調整した状態で測定した。
-評価基準-
A:ΔVisが0.5mPa・s以下であった。
B:ΔVisが0.5mPa・sを超え、1.0mPa・s以下であった。
C:ΔVisが1.0mPa・sを超え、2.0mPa・s以下であった。
D:ΔVisが2.0mPa・sを超えた。
【0316】
(色ムラ)
シリコンウエハ上に、製造直後の各分散液を、プリベーク後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコーター(H-360S、ミカサ(株)製)で塗布した。次いで、100℃で120秒プリベークして膜を形成した。この膜に含まれる異物を、異物評価装置コンプラスIII(アプライドマテリアルズ社製)にて検出し、検出された全ての異物から、最大幅1.0μm以上の異物(粗大粒子)を目視で分類し、異物の数(1cmあたりの数)をカウントした。異物の数が少ないものほど色ムラが小さいことを意味する。
A:異物の個数が10個/1cm未満である。
B:異物の個数が10個以上30個/1cm未満である。
C:異物の個数が30個以上100個/1cm未満である。
D:異物の個数が100個/1cm以上である。
【0317】
<着色組成物の製造>
下記の表に記載の原料を混合して、着色組成物を調製した。
【0318】
【表12】
【0319】
【表13】
【0320】
【表14】
【0321】
【表15】
【0322】
【表16】
【0323】
【表17】
【0324】
【表18】
【0325】
【表19】
【0326】
【表20】
【0327】
【表21】
【0328】
上記表の略語で記載の原料は以下の通りである。
【0329】
(分散液)
分散液G1~G51:上述した分散液G1~G51
分散液R1~R40:上述した分散液R1~R40
分散液Y1~Y23:上述した分散液Y1~Y23
分散液IR1~IR3:上述した分散液IR1~IR3
比較分散液G1~G3:上述した比較分散液G1~G3
比較分散液R1~R3:上述した比較分散液R1~R3
【0330】
(樹脂)
A-3:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=11000)の20質量%PGMEA溶液
【化64】
【0331】
(重合性化合物)
E-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA、分子量578)
E-2:トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM-309、分子量296)
E-3:イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)(東亞合成(株)製、アロニックスM-315、分子量423)
E-4:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM-350)
【0332】
(光重合開始剤)
G-1:下記構造の化合物
G-2:下記構造の化合物
G-3:下記構造の化合物
G-4:下記構造の化合物
【化65】
【0333】
(添加剤)
H-1:EHPE-3150((株)ダイセル製、エポキシ化合物)
H-2:下記構造の化合物(TINUVIN326、BASF社製、紫外線吸収剤)
【化66】
H-3:下記構造の化合物(潜在酸化防止剤)
【化67】
【0334】
(界面活性剤)
I-1:下記混合物(Mw=14000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%は質量%である。
【化68】
I-2:FZ-2122(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル(株)製)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
【0335】
(重合禁止剤)
J―1:p-メトキシフェノール
【0336】
(溶剤)
K-1:PGMEA
K-2:シクロヘキサノン
【0337】
<着色組成物の性能評価>
(経時安定性)
製造直後の各着色組成物の粘度(mPa・s)を、東機産業(株)製「RE-85L」にて測定した。上記測定後、各分散液を45℃、遮光、3日間の条件にて静置し、再度粘度(mPa・s)を測定した。
上記静置前後での粘度差(ΔVis)から下記評価基準に従って保存安定性を評価した。評価結果は上記表の「経時安定性」の欄に記載した。粘度差(ΔVis)の数値が小さいほど、着色組成物の経時安定性が良好であるといえる。上記粘度測定は、いずれも、温湿度を22±5℃、60±20%に管理した実験室で、着色組成物の温度を25℃に調整した状態で測定した。
-評価基準-
A:ΔVisが0.5mPa・s以下であった。
B:ΔVisが0.5mPa・sを超え、1.0mPa・s以下であった。
C:ΔVisが1.0mPa・sを超え、2.0mPa・s以下であった。
D:ΔVisが2.0mPa・sを超えた。
【0338】
(現像性)
直径8インチ(1インチ=25.4mm)のシリコンウエハ上に、乾燥膜厚が0.1μmとなるようにCT-4000L溶液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製;透明下地剤)を塗布し、乾燥させて、下地層を形成した後、220℃で5分間加熱処理を行なった。下地層を形成したシリコンウエハ上に、各着色組成物をプリベーク後の膜厚が0.6μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。次いで、一辺1.1μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介して、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長の光を500mJ/cmの露光量で照射して露光した。露光後の膜を有するシリコンウエハを、スピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、アルカリ現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像した。次いで、パドル現像後のシリコンウエハを、真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理(23秒×2回)を行い、次いで、スピン乾燥を行い、次いで、200℃で300秒間、ホットプレートを用いて加熱処理(ポストベーク)を行い、着色パターン(画素)を形成した。着色パターン(画素)が形成されたシリコンウエハについて、測長SEM(走査型電子顕微鏡)(S-7800H、(株)日立製作所製)を用いてシリコンウエハ上から30000倍の倍率で観察した。現像性の評価は以下の基準により行った。
A:未露光部には、残渣が全く観察されなかった。
B:未露光部の1.1μm四方に残渣が1~3個観察された。
C:未露光部の1.1μm四方に残渣が4~10個観察された。
D:未露光部の1.1μm四方に残渣が11個以上観察された。
【0339】
(欠陥の評価)
マスクとして、1.4μm×1.4μmのアイランドパターンを2.8μm×2.8μmの周期で形成可能なものを用いた以外は、現像性と同様の操作を行い、着色パターン(画素)を形成した。シリコンウエハ上に形成された画素内の欠陥数をカウントして欠陥の評価を行った。画素内の欠陥数について、ウエハ欠陥評価装置(ComPLUS3、AMAT社製)を用いて検査した。
A:シリコンウエハ上に形成された画素内の欠陥の総数≦30個
B:30個<シリコンウエハ上に形成された画素内の欠陥の総数≦100個
C:100個<シリコンウエハ上に形成された画素内の欠陥の総数≦300個
D:300個<シリコンウエハ上に形成された画素内の欠陥の総数
【0340】
(表面粗さの評価)
現像性評価で得られた画素の表面粗さ(Ra)を、原子間力顕微鏡Dimension FastScan AFM(Bruker製)を用いて測定した。表面粗さの評価基準は以下の通りである。
A:表面粗さ(Ra)が0nm以上3nm未満
B:表面粗さ(Ra)が3nm以上5nm未満
C:表面粗さ(Ra)が5nm以上7nm未満
D:表面粗さ(Ra)が7nm以上
【0341】
【表22】
【0342】
【表23】
【0343】
【表24】
【0344】
【表25】
【0345】
【表26】
【0346】
【表27】
【0347】
【表28】
【0348】
【表29】
【0349】
【表30】
【0350】
上記表に示すように、実施例の着色組成物は比較例の着色組成物より経時安定性が良好であった。
【0351】
実施例G32、G57、G64、R12、R33、R50にて、それぞれ界面活性剤I-1を、下記I-3~I-22に置き換えても、評価結果は同じであった。
I-3: BYK-330(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-4: BYK-322(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-5: BYK-323(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-6: BYK-3760(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-7: BYK-UV3510(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-8: BYK-333(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-9: 67Additive(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-10: SH 8400 FLUID(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-11: 74Additive(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-12: DC3PA(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-13: M Additive(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-14: SF 8419 OIL(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-15: KF-6000(信越化学工業(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-16: KF-6001(信越化学工業(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-17: KF-6002(信越化学工業(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-18: KF-6003(信越化学工業(株)製、シリコーン系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-19: フタージェント710LA(NEOS製、フッ素系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-20: フタージェント710FM(NEOS製、フッ素系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-21: フタージェント710FS(NEOS製、フッ素系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
I-22: フタージェント601ADH2(NEOS製、フッ素系界面活性剤)にPGMEAを加えて固形分濃度を1質量%に調整した溶液
【0352】
(実施例1001)
シリコンウエハ上に、緑色着色組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量で2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、緑色着色組成物をパターニングして緑色画素を形成した。同様に赤色着色組成物、青色着色組成物を同様のプロセスでパターニングして、赤色画素、青色画素を順次形成して、緑色画素、赤色画素および青色画素を有するカラーフィルタを形成した。このカラーフィルタにおいては、緑色画素がベイヤーパターンで形成されており、その隣接する領域に、赤色画素、青色画素がアイランドパターンで形成されている。得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。この固体撮像素子は好適な画像認識能を有していた。なお、緑色着色組成物としては、実施例G13の着色組成物を使用した。赤色着色組成物としては、実施例R9の着色組成物を使用した。青色着色組成物については後述する。
【0353】
(青色着色組成物の調製)
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、青色着色組成物を調製した。
青色顔料分散液:44.9質量部
樹脂101:2.1質量部
重合性化合物101:1.5質量部
重合性化合物102:0.7質量部
光重合開始剤101:0.8質量部
界面活性剤101:4.2質量部
PGMEA:45.8質量部
【0354】
青色着色組成物の調製に使用した原料は、以下の通りである。
【0355】
青色顔料分散液
C.I.ピグメントブルー15:6を9.7質量部、C.I.ピグメントバイオレット23を2.4質量部、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)を5.5質量部、PGMEAを82.4質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、青色顔料分散液を得た。
【0356】
重合性化合物101:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
重合性化合物102:下記構造の化合物
【化69】
【0357】
樹脂101:下記構造の樹脂(Mw=11000、主鎖に付記した数値はモル比である。)
【化70】
【0358】
光重合開始剤101:Irgacure OXE01(BASF社製)
【0359】
界面活性剤101:下記構造の化合物(Mw=14000、繰り返し単位の割合を示す%の数値はモル%である)の1質量%PGMEA溶液。
【化71】
【0360】
(実施例1002)
シリコンウエハ上に、シアン色着色組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量で2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、シアン色着色組成物をパターニングしてシアン色画素を形成した。同様に黄色色着色組成物、マゼンタ色着色組成物を同様のプロセスでパターニングして、黄色画素、マゼンタ色画素を順次形成して、シアン色画素、黄色画素およびマゼンタ色画素を有するカラーフィルタを形成した。このカラーフィルタにおいては、シアン色画素がベイヤーパターンで形成されており、その隣接する領域に、黄色画素、マゼンタ色画素がアイランドパターンで形成されている。得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。この固体撮像素子は好適な画像認識能を有していた。なお、黄色着色組成物としては、実施例Y1の着色組成物を使用した。シアン色着色組成物およびマゼンタ色着色組成物については後述する。
【0361】
(シアン色着色組成物、マゼンタ色着色組成物の調製)
下記表に記載の種類の色材と、下記表に記載の種類の分散剤と、下記表に記載の溶剤の一部とを混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して、固形分20重量%の顔料分散液を製造した。
次に、得られた顔料分散液と、下記表に記載の種類の溶剤の残りと、下記表に記載の種類のバインダーと、下記表に記載の種類の重合性化合物と、下記表に記載の種類の光重合開始剤と、下記表に記載の種類の紫外線吸収剤と、を混合して着色組成物を調製した。下記表に、各着色組成物中の各成分の配合量を示す。各成分の配合量の数値は質量部である。
【表31】
【0362】
上記の略語で示す素材は以下の通りである。
(色材)
PB15:4 : C.I.ピグメントブルー15:4
PR122 : C.I.ピグメントレッド122
【0363】
(分散剤、バインダー)
D1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=24000)
【化72】
D2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=11000)
【化73】
D3:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=16000)
【化74】
D4:Efka PX 4300(BASF社製、アクリル樹脂)
【0364】
(重合性化合物)
M1:下記構造の化合物の混合物(左側化合物(6官能の(メタ)アクリレート化合物)と右側化合物(5官能の(メタ)アクリレート化合物)とのモル比が7:3の混合物)
【化75】
M2:下記構造の化合物
【化76】
【0365】
(光重合開始剤)
F1:Irgacure OXE02(BASF社製)
【0366】
(紫外線吸収剤)
UV1:下記構造の化合物
【化77】
【0367】
(界面活性剤)
W1:下記構造の化合物(Mw=14000、繰り返し単位の割合を示す%の数値はモル%である、フッ素系界面活性剤)
【化78】
【0368】
(エポキシ化合物)
G1:EHPE-3150((株)ダイセル製、エポキシ化合物)
【0369】
(溶剤)
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)