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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】較正治具
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20231024BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01R27/02 R
G01R35/00 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020033076
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135228
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/159709(WO,A1)
【文献】特開平07-043430(JP,A)
【文献】特開2003-282654(JP,A)
【文献】特開平08-184650(JP,A)
【文献】特開2010-062155(JP,A)
【文献】特開2010-066003(JP,A)
【文献】特許第6428887(JP,B1)
【文献】特開2015-055516(JP,A)
【文献】特開2019-060767(JP,A)
【文献】特開2010-014479(JP,A)
【文献】特開2012-150033(JP,A)
【文献】特開2010-078556(JP,A)
【文献】米国特許第9037430(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0168531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/02
G01R 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物の厚み方向の抵抗値を測定する較正対象装置を較正するための較正治具であって、
第一面と第二面とを表裏に有する略板状形状の治具本体と、
前記第一面に設けられた第一電極と、
前記第二面に設けられた第二電極と、
予め設定された基準抵抗値を有する抵抗器とを備え、
前記第一電極は、前記抵抗器を介して前記第二電極に電気的に接続されている較正治具。
【請求項2】
前記第一面には、略シート状であって、導電性と弾性とを有する第一シート部材が貼付され、
前記第二面には、略シート状であって、導電性と弾性とを有する第二シート部材が貼付されている請求項1に記載の較正治具。
【請求項3】
前記第一電極は、複数設けられ、
前記抵抗器は、前記複数の第一電極に対応して複数設けられ、
前記第一シート部材は、厚み方向にのみ導電性を有する請求項2に記載の較正治具。
【請求項4】
前記第一電極は前記第一面から突出し、
前記第二電極は前記第二面から突出している請求項1~3のいずれか1項に記載の較正治具。
【請求項5】
前記治具本体は、
前記第一面を有する第一基板と、
前記第二面を有する第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板とを平行に所定距離離間させて保持する保持部材とを備え、
前記抵抗器は前記第一基板の前記第一面とは反対側の面に実装されている請求項1~4のいずれか1項に記載の較正治具。
【請求項6】
前記保持部材は、前記抵抗器を収容する凹部が形成された板状部材であり、
前記保持部材の厚さは前記所定距離に等しい請求項5に記載の較正治具。
【請求項7】
前記保持部材に対して脱着可能に連結された枠体をさらに備え、
前記枠体には、前記較正対象装置に設けられた位置決めピンを受け入れる位置決め穴が設けられている請求項6に記載の較正治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定する装置を較正するための較正治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、板状形状を有するシート部材の厚み方向の抵抗値を測定する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、複数のシートが積層、溶着され、板状形状とされた電池のタブ電極について、そのタブ電極の厚み方向の抵抗値を測定することによって、タブ電極の溶着状態を診断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6428887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な抵抗測定装置の測定精度を較正する場合であれば、予め正確に抵抗値が判っている抵抗器の抵抗値を、その抵抗測定装置で測定することによって、その抵抗測定装置を較正することができる。しかしながら、上述のような板状形状を有する板状物の厚み方向の抵抗値を測定する装置を較正する場合、測定対象となる板状物と同様の板状形状を有し、かつ、厚み方向に正確な抵抗値を有する抵抗体を入手することは容易でない。
【0005】
本発明の目的は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定する装置の較正に適した較正治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例に係る較正治具は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定する較正対象装置を較正するための較正治具であって、第一面と第二面とを表裏に有する略板状形状の治具本体と、前記第一面に設けられた第一電極と、前記第二面に設けられた第二電極と、予め設定された基準抵抗値を有する抵抗器とを備え、前記第一電極は、前記抵抗器を介して前記第二電極に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
このような構成の較正治具は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定する装置の較正に適している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】燃料電池検査装置の構成を概念的に説明するための概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係る較正治具1の概念的なII線断面図である。
図3図2に示す較正治具1から第一シート部材51を取り外した状態での下面図である。
図4図2に示す較正治具1から第二シート部材52を取り外した状態での上面図である。
図5図2に示す較正治具1を用いた燃料電池検査装置100の較正方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0010】
図1に示す燃料電池検査装置100は、燃料電池Fの検査を行う検査装置である。燃料電池Fは、例えば、電解質膜、触媒、及び拡散層等が積層され、略板状形状を有する板状物である。燃料電池Fの表面は、ある程度の柔軟性を有している。
【0011】
燃料電池検査装置100は、燃料電池Fの厚み方向の抵抗値を測定することによって、燃料電池Fを検査する。燃料電池検査装置100は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定する較正対象装置の一例に相当する。
【0012】
なお、較正対象装置は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定するものであればよく、燃料電池検査装置に限らず、検査を行わない装置であってもよい。例えば、特許文献1に記載の溶着状態検出装置であってもよく、その他の装置であってもよい。
【0013】
燃料電池検査装置100は、大略的に、個別電極プレート101、一括電極プレート102、テーブル103、位置決めピン104、個別電極105、一括電極106、シャント抵抗107、定電圧源108、スキャナ109、及び制御部110を備えている。
【0014】
個別電極プレート101及び一括電極プレート102は、例えばプリント配線基板を用いて構成された板状の部材である。個別電極105及び一括電極106は、例えば金を用いて構成されている。
【0015】
テーブル103の上面には、位置決めピン104が立設されている。個別電極プレート101には、位置決めピン104が貫通する位置決め孔が形成されている。個別電極プレート101の位置決め孔に位置決めピン104が貫通した状態で位置決めされて、個別電極プレート101がテーブル103の上面に載置されている。
【0016】
個別電極プレート101の上面には、複数の個別電極105が、例えば格子の交点に位置するように形成されている。個別電極105は、個別電極プレート101の上面から、0.1~1.0mm程度、突出している。
【0017】
一括電極プレート102は、個別電極プレート101の上方に対向配置されている。一括電極プレート102の下面には、複数の個別電極105が配置された領域全体を覆うように面状に拡がる一括電極106が形成されている。
【0018】
燃料電池Fを検査する際は、破線で示すように、燃料電池Fに形成された位置決め穴に位置決めピン104を挿入し、位置決めした状態で個別電極プレート101の上に燃料電池Fが載置される。これにより、燃料電池Fの下面に複数の個別電極105が接触する。燃料電池Fの上面には、一括電極106が当接される。
【0019】
各個別電極105は、シャント抵抗107を介してグラウンドに接続されている。シャント抵抗107の抵抗値Rsは、例えば0.1Ω程度の低抵抗とされている。定電圧源108は、一括電極106に対して予め設定された測定用電圧Vを印加する。
【0020】
これにより、各個別電極105の接触位置における燃料電池Fの厚み方向の抵抗値Rfに応じた電流が、各シャント抵抗107に流れる。
【0021】
制御部110は、例えば、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶装置、及びこれらの周辺回路等を備えたマイクロコンピュータを用いて構成されている。
【0022】
スキャナ109は、例えば半導体スイッチング素子等の切替回路と、アナログデジタルコンバータ等の電圧測定回路とを備えている。スキャナ109は、制御部110からの制御信号に応じて、各シャント抵抗107で生じた電圧Vsを測定し、電圧Vsを示す信号を制御部110へ送信する。
【0023】
制御部110は、各電圧Vsに基づいて、下記の式(1)を用いて、各個別電極105の接触位置での燃料電池Fの厚み方向の抵抗値Rfを算出することができる。
抵抗値Rf ≒ V/(Vs/Rs) ・・・(1)
【0024】
制御部110は、このようにして得られた燃料電池Fの各部の抵抗値Rfに基づいて、燃料電池Fの良否を判定することができる。
【0025】
図2に示す較正治具1は、大略的に、治具本体2、第一電極31、第二電極32、抵抗器4、第一シート部材51、第二シート部材52、及びジャンパ線6を備えている。
【0026】
治具本体2は、第一基板21、保持部材23、第二基板22、及び一対の枠体7を備えている。第一基板21、保持部材23、及び第二基板22は、この順に積層されている。図2における、第一基板21の下面が第一面F1、第二基板22の上面が第二面F2となっている。即ち、第一面F1と第二面F2とは、治具本体2の表裏の面である。
【0027】
保持部材23は、例えばガラスエポキシ基板を用いて構成されている。保持部材23の図2における下面には、複数の抵抗器4を収容する凹部231が形成されている。保持部材23の両面に第一基板21及び第二基板22がそれぞれ取り付けられることによって、保持部材23は、保持部材23の厚さに相当する所定距離、第一基板21と第二基板22とを、離間させて平行に保持するようになっている。
【0028】
図3図4を参照して、保持部材23の両側には、一対の枠体7が連結されている。一対の枠体7は、複数のピン72によって保持部材23に固定されている。ピン72を抜き取ることによって、保持部材23から一対の枠体7を取り外し可能にされている。即ち、枠体7は、保持部材23に対して脱着可能にされている。
【0029】
図3を参照して、第一基板21の第一面F1には、複数の第一電極31が、燃料電池検査装置100における個別電極105の配置と対応するように形成されている。第一電極31は、第一面F1から、0.1~1.0mm程度、突出している。抵抗器4は、各第一電極31と対応して設けられている。各抵抗器4は、第一基板21の第一面F1とは反対側の面に実装されている。
【0030】
各第一電極31と各抵抗器4の一方の端子とは、例えば、第一基板21を貫通するスルーホール211と、図略の配線パターン等とを介して電気的に接続されている。各抵抗器4の他方の端子は、例えば図略の配線パターン等によって、ジャンパ線6の一端と電気的に接続されている。
【0031】
保持部材23の図2における上面には、第二基板22が取り付けられている。図4を参照して、第二基板22の第二面F2には、複数の第二電極32が形成されている。第二電極32は、第二面F2から、0.1~1.0mm程度、突出している。第二電極32は、図略の配線パターン等によってジャンパ線6の他端と電気的に接続されている。なお、第二電極32は一つであってもよい。
【0032】
図2図3における、一対の枠体7の下面には、位置決めピン104を受け入れる位置決め穴71が形成されている。位置決め穴71は、枠体7を貫通していてもよく、貫通していなくてもよい。
【0033】
第一基板21の第一面F1には、複数の第一電極31を覆うように第一シート部材51が貼付されている。第二基板22の第二面F2には、複数の第二電極32を覆うように第二シート部材52が貼付されている。
【0034】
第一シート部材51及び第二シート部材52は、例えば異方導電性ゴムで構成されている。異方導電性ゴムは、弾性を有し、かつ厚み方向にのみ導電性を有する部材の一例に相当する。第一シート部材51及び第二シート部材52の厚み方向の抵抗値は、例えば0.1Ω~5Ω程度とされている。
【0035】
抵抗器4は、予め設定された既知の基準抵抗値Rrefを有している。基準抵抗値Rrefは、例えば4.7kΩ程度とされている。
【0036】
燃料電池検査装置100を較正する際は、図1に示す燃料電池Fの代わりに、図5に示すように、較正治具1が燃料電池検査装置100に取り付けられる。図5では、シャント抵抗107、定電圧源108、スキャナ109、及び制御部110の記載を省略している。
【0037】
較正治具1が燃料電池検査装置100に取り付けられる際、位置決め穴71に位置決めピン104が挿入され、較正治具1の取り付け位置が位置決めされる。その結果、複数の個別電極105と、複数の第一電極31とが、第一シート部材51を間に挟んでそれぞれ対向配置される。また、一括電極106と、複数の第二電極32とが、第二シート部材52を間に挟んで対向配置される。
【0038】
燃料電池検査装置100の本来の検査対象である燃料電池Fは、ある程度の柔軟性を有しているので、複数の個別電極105の高さに多少のばらつきがあったとしても、何ら問題ない。一方、第一基板21は燃料電池Fのような柔軟性を有していないので、第一シート部材51が無かった場合には、複数の個別電極105、及び複数の第一電極31の高さにばらつきが有ると、第一電極31との接触が不十分な個別電極105が生じるおそれがある。
【0039】
しかしながら、較正治具1は、第一シート部材51が弾性及び導電性を有しているので、複数の個別電極105及び複数の第一電極31の高さにばらつきが有った場合であっても、そのばらつきが第一シート部材51によって吸収される。その結果、個別電極105と第一電極31との間で接触不良が生じるおそれが低減される。
【0040】
第二シート部材52も弾性及び導電性を有しているので、第一シート部材51の場合と同様に、第二電極32と一括電極106との間で接触不良が生じるおそれが低減される。
【0041】
なお、第一電極31は、必ずしも第一面F1から突出していなくてもよく、第二電極32は、必ずしも第二面F2から突出していなくてもよい。しかしながら、第一電極31が第一面F1から突出していると、第一電極31と第一シート部材51との接触の確実性が向上する点でより好ましい。第二電極32が第二面F2から突出していると、第二電極32と第二シート部材52との接触の確実性が向上する点でより好ましい。
【0042】
なお、較正治具1は、第一シート部材51及び第二シート部材52を備えることが好ましいが、必ずしも第一シート部材51及び第二シート部材52を備えていなくてもよい。
【0043】
較正を行う際は、図5に示すように、複数の個別電極105を第一シート部材51に接触させ、一括電極106を第二シート部材52に接触させた状態で、制御部110によって、各個別電極105に対応する抵抗値Rfを測定させる。
【0044】
ここで、複数の個別電極105と、複数の第一電極31とが、第一シート部材51を間に挟んでそれぞれ対向配置されており、かつ第一シート部材51は、厚み方向にのみ導電性を有する。その結果、各個別電極105に対応する抵抗値Rfとして、各抵抗器4の基準抵抗値Rrefに、第一シート部材51及び第二シート部材52の厚み方向の抵抗値が加算された抵抗値Rcが測定されることになる。
【0045】
従って、各個別電極105に対応して測定された抵抗値Rfと抵抗値Rcとの差を相殺するように、各個別電極105に対応する補正値を生成し、これを上述の記憶装置に記憶させておく。燃料電池Fの検査を行う際は、各個別電極105に対応して測定された抵抗値Rfを、記憶装置に記憶された補正値で補正すればよい。このようにして、燃料電池検査装置100を較正することができる。
【0046】
この場合、第一シート部材51が厚み方向にのみ導電性を有するので、ある個別電極105と一括電極106との間に流れる電流は、複数の抵抗器4に分流することがなく、一つの抵抗器4を流れる。そのため、抵抗値Rcをそのまま用いて燃料電池検査装置100を較正することができるので、燃料電池検査装置100を較正することが容易である。
【0047】
なお、第一シート部材51は、厚み方向にのみ導電性を有するものに限られず、面方向にも導電性を有していてもよい。第一シート部材51が面方向にも導電性を有している場合、各個別電極105と一括電極106との間に流れる電流は、複数の抵抗器4に分流する。そのため、各個別電極105に対応して測定される抵抗値Rfは、複数の抵抗器4及び電流経路となる第一シート部材51、第二シート部材52の合成抵抗となる。この場合、個別電極105の位置によって、測定される抵抗値Rfが異なる。従って、個別電極105毎に異なる補正値を生成、記憶しておき、個別電極105毎に異なる補正値を用いて測定値を補正するようにしてもよい。
【0048】
また、保持部材23が、複数の抵抗器4を収容する凹部231が形成された板材である例を示したが、保持部材は板材に限らない。保持部材は、例えば第一基板21と第二基板22とを平行に所定距離離間させて保持する支柱等のスペーサであってもよい。
【0049】
また、複数の抵抗器4が、抵抗アレーとして一素子に集積されていてもよい。
【0050】
また、保持部材23に対して脱着可能に連結された枠体7に位置決め穴71が設けられる例を示したが、較正治具1は、枠体7を備えず、保持部材23に位置決め穴71が形成されていてもよい。あるいは、較正治具1は、位置決め穴71を備えなくてもよい。
【0051】
しかしながら、枠体7に位置決め穴71を設けることによって、枠体7を変更するだけで位置決め位置を移動することが可能となる。
【0052】
較正治具1を、較正対象装置の測定対象となる板状物の代わりに用いて較正対象装置を較正することができるので、上述のような構成の較正治具1は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定する装置の較正に適している。
【0053】
すなわち、本発明の一例に係る較正治具は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定する較正対象装置を較正するための較正治具であって、第一面と第二面とを表裏に有する略板状形状の治具本体と、前記第一面に設けられた第一電極と、前記第二面に設けられた第二電極と、予め設定された基準抵抗値を有する抵抗器とを備え、前記第一電極は、前記抵抗器を介して前記第二電極に電気的に接続されている。
【0054】
この構成によれば、略板状形状の治具本体の、一方の面に第一電極が設けられ、他方の面に第二電極が設けられ、第一電極は、抵抗器を介して第二電極に電気的に接続されている。これにより、較正対象装置の測定対象である板状物の代わりに較正治具の抵抗値を測定することによって、既知の基準抵抗値を測定することができる。従って、較正治具を測定することにより得られた抵抗値と、基準抵抗値とに基づいて較正対象装置を較正することができる。このような較正治具は、板状物の厚み方向の抵抗値を測定する装置の較正に適している。
【0055】
また、前記第一面には、略シート状であって、導電性と弾性とを有する第一シート部材が貼付され、前記第二面には、略シート状であって、導電性と弾性とを有する第二シート部材が貼付されていることが好ましい。
【0056】
この構成によれば、第一電極と較正対象装置との間、及び第二電極と較正対象装置との間で接触不良が生じるおそれが低減される。
【0057】
また、前記第一電極は、複数設けられ、前記抵抗器は、前記複数の第一電極に対応して複数設けられ、前記第一シート部材は、厚み方向にのみ導電性を有することが好ましい。
【0058】
この構成によれば、較正対象装置による抵抗測定用の電流が、複数の抵抗器に分流するおそれが低減されるので、較正対象装置を較正する際に較正対象装置によって測定される抵抗値を安定させることができる。その結果、較正対象装置を較正することが容易になる。
【0059】
また、前記第一電極は前記第一面から突出し、前記第二電極は前記第二面から突出していることが好ましい。
【0060】
この構成によれば、第一電極及び第二電極と、較正対象装置との接触の確実性を向上させることができる。
【0061】
また、前記治具本体は、前記第一面を有する第一基板と、前記第二面を有する第二基板と、前記第一基板と前記第二基板とを平行に所定距離離間させて保持する保持部材とを備え、前記抵抗器は前記第一基板の前記第一面とは反対側の面に実装されていることが好ましい。
【0062】
この構成によれば、保持部材によって、第一面を有する第一基板と第二面を有する第二基板とが平行に所定距離離間して保持されるので、治具本体を、第一面と第二面とを表裏に有する略板状形状にすることが容易である。
【0063】
また、前記保持部材は、前記抵抗器を収容する凹部が形成された板状部材であり、前記保持部材の厚さは前記所定距離に等しいことが好ましい。
【0064】
保持部材を、厚さが所定距離の板状部材とすれば、第一基板と第二基板とを平行に所定距離離間させて保持することが容易である。
【0065】
また、前記保持部材に対して脱着可能に連結された枠体をさらに備え、前記枠体には、前記較正対象装置に設けられた位置決めピンを受け入れる位置決め穴が設けられていることが好ましい。
【0066】
この構成によれば、脱着可能な枠体に位置決め穴が設けられているので、枠体を変更するだけで位置決め位置を移動することが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 較正治具
2 治具本体
4 抵抗器
6 ジャンパ線
7 枠体
21 第一基板
22 第二基板
23 保持部材
31 第一電極
32 第二電極
51 第一シート部材
52 第二シート部材
71 位置決め穴
72 ピン
100 燃料電池検査装置
101 個別電極プレート
102 一括電極プレート
103 テーブル
104 位置決めピン
105 個別電極
106 一括電極
107 シャント抵抗
108 定電圧源
109 スキャナ
110 制御部
211 スルーホール
231 凹部
F 燃料電池(板状物)
F1 第一面
F2 第二面
Rc,Rf,Rs 抵抗値
Rref 基準抵抗値
V 測定用電圧
Vs 電圧
図1
図2
図3
図4
図5