IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ゼオン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】電力配線ネットワーク装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/54 20060101AFI20231024BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H04B3/54
H02J13/00 B
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J13/00 311T
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020510672
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2019010965
(87)【国際公開番号】W WO2019188448
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2018069085
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌義
(72)【発明者】
【氏名】志賀 直実
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-054617(JP,A)
【文献】特開2017-127190(JP,A)
【文献】特表2017-523758(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0329526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/54
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、第2コネクタと、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電力供給可能に導通させる導電部とを有する回路要素を複数備え、
前記複数の回路要素は、
環境発電による電力を前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタから出力可能な回路要素としての環境発電要素と、
前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタから入力される電力を消費可能な回路要素としての負荷要素と
を含み、
前記複数の回路要素は、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタを介して機械的かつ電気的に着脱可能な、電力配線ネットワーク装置であって、
前記負荷要素は、環境発電要素である他の回路要素からの発電電力によって作動可能であり、
前記環境発電要素、及び前記負荷要素のうちの少なくとも2つの回路要素は、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ及び前記導電部を含む電力線を介した電力線データ通信が可能である電力配線ネットワーク装置。
【請求項2】
前記環境発電要素は、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介してデータを送信する第1送信部を有する、請求項1に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項3】
前記負荷要素の少なくとも1つは、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介してデータを送信する第2送信部、及び/又はデータを受信する受信部を有する、請求項1又は2に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項4】
前記第1送信部は、送信データをデジタル変調した信号を、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介して前記電力線に重畳することで、他の回路要素に送信可能である、請求項2に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項5】
前記第2送信部は、送信データをデジタル変調した信号を、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介して前記電力線に重畳することで、他の回路要素に送信可能である、請求項3に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項6】
前記受信部は、前記電力線に重畳されたデジタル変調された信号を、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介して受信し、復調して受信データを生成する、請求項3に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項7】
前記負荷要素の少なくとも1つは、前記環境発電要素又は前記負荷要素が他の回路要素に自己の存在を通知する通知信号の発生タイミングを決定するための同期信号を生成し、該同期信号を他の回路要素に送信可能である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項8】
前記環境発電要素又は前記負荷要素は、前記同期信号を受信し、該同期信号を基準とする所定の期間において信号が無いことを検出した場合に、自己の前記通知信号を前記所定の期間において他の回路要素に送信する、請求項に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項9】
前記通知信号は、前記環境発電要素又は前記負荷要素の属性データを含み、該属性データは固定長変調データである、請求項又はに記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項10】
前記負荷要素の少なくとも1つは、前記環境発電要素又は前記負荷要素の制御情報を有する可変長データを送信する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項11】
前記環境発電要素又は前記負荷要素の少なくとも1つは、自己のステータス情報を有する可変長データを送信する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項12】
前記回路要素は、他の複数の回路要素間の導通及び非導通を切り換え可能なスイッチ要素を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項13】
前記スイッチ要素は、データを送信する第2送信部、及び/又はデータを受信する受信部を有する、請求項12に記載の電力配線ネットワーク装置。
【請求項14】
前記同期信号を生成可能な前記負荷要素は、更にBluetoothによる無線通信が可能である、請求項乃至のいずれか一項に記載の電力配線ネットワーク装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年 3月30日に出願された日本国特許出願第2018- 69085号に基づく優先権を主張するものであり、この特許出願の明細書全体を参照によって本願明細書に引用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電力配線ネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、電力線を通して高周波信号を通信信号として伝送する通信方式の開発が進められている。例えば、特許文献1には、複数の太陽電池パネルからの出力を集約して電力変換装置に送り込む太陽光発電システムにおいて、太陽電池パネルの発電量を計測する計測装置からの計測データを送信する下位側通信装置と、当該下位側通信装置から送信される計測データを受信する上位側通信装置とが電力線通信機能を有する、太陽光発電用監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-205078号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のシステムでは、通信装置をインフラストラクチャーとしての太陽光発電システムの電力線に接続しなければならないため、携帯型機器に電力線通信を行わせようとすると、機器の携帯性が損なわれるため利便性がよいとは言えなかった。
【0006】
そこで、本開示の目的は、上述した課題を解決し、インフラストラクチャーを整備することなく、携帯性に優れた電力ネットワークを構築することが可能な電力配線ネットワーク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本開示の電力配線ネットワーク装置は、第1コネクタと、第2コネクタと、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電力供給可能に導通させる導電部とを有する回路要素を複数備え、前記複数の回路要素は、環境発電による電力を前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタから出力可能な回路要素としての環境発電要素と、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタから入力される電力を消費可能な回路要素としての負荷要素と、を含み、前記複数の回路要素は、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタを介して機械的かつ電気的に着脱可能な、電力配線ネットワーク装置であって、前記負荷要素は、環境発電要素である他の回路要素からの発電電力によって作動可能であり、前記環境発電要素、及び前記負荷要素のうちの少なくとも2つの回路要素は、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ及び前記導電部を含む電力線を介した電力線データ通信が可能であることを特徴とする。このような構成を採用することによって、インフラストラクチャーを整備することなく、携帯性に優れた電力ネットワークを構築することが可能となる。
【0008】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記環境発電要素は、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介してデータを送信する第1送信部を有することが好ましい。このような構成を採用することによって、環境発電要素がネットワークに接続されていることを第1送信部経由で他の回路要素に通知することができる。また、環境発電要素の状態を他の回路要素に送信することができるので、環境発電要素からの発電電力を効率的に利用することができる。
【0009】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記負荷要素の少なくとも1つは、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介してデータを送信する第2送信部、及び/又はデータを受信する受信部を有することが好ましい。このような構成を採用することによって、当該負荷要素がネットワークに接続されていることを第2送信部経由で他の回路要素に通知することができる。また、負荷要素は、受信部経由でコマンドを受信することができるので、利用者が電力線通信によって負荷要素を操作することが可能となる。
【0010】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記第1送信部は、送信データをデジタル変調した信号を、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介して前記電力線に重畳することで、他の回路要素に送信可能であることが好ましい。また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記第2送信部は、送信データをデジタル変調した信号を、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介して前記電力線に重畳することで、他の回路要素に送信可能であることが好ましい。このような構成を採用することによって、電力配線ネットワークを用いた高速通信が可能となる。
【0011】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記受信部は、前記電力線に重畳されたデジタル変調された信号を、前記第1コネクタ及び/又は前記第2コネクタを介して受信し、復調して受信データを生成することが好ましい。このような構成を採用することによって、電力配線ネットワークを用いた高速通信が可能となる。
【0012】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記負荷要素の少なくとも1つは、前記環境発電要素又は前記負荷要素が他の回路要素に自己の存在を通知する通知信号の発生タイミングを決定するための同期信号を生成し、該同期信号を他の回路要素に送信可能であることが好ましい。このような構成を採用することによって、ネットワーク管理デバイスがネットワーク内の回路要素を容易に検出することができる。
【0013】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記環境発電要素又は前記負荷要素は、前記同期信号を受信し、該同期信号を基準とする所定の期間において信号が無いことを検出した場合に、自己の前記通知信号を前記所定の期間において他の回路要素に送信することが好ましい。このような構成を採用することによって、ネットワークの動作中に回路要素が追加されても、状況に応じた安定した通信が可能となる。また、ネットワークの動作中に回路要素が取り去られた場合でも、ネットワーク管理デバイスが当該回路要素の削除を容易に検出することができる。
【0014】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記通知信号は、前記環境発電要素又は前記負荷要素の属性データを含み、該属性データは固定長変調データであることが好ましい。このような構成を採用することによって、各回路要素は、同期信号を受信した後に検出した固定長さの無信号期間を、自身の固定長さの属性データ送信期間として占有することができる。
【0015】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記負荷要素の少なくとも1つは、前記環境発電要素又は前記負荷要素の制御情報を有する可変長データを送信することが好ましい。このような構成を採用することによって、複数の回路要素で電力線通信環境を効率的に共有することができる。
【0016】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記環境発電要素又は前記負荷要素の少なくとも1つは、自己のステータス情報を有する可変長データを送信することが好ましい。このような構成を採用することによって、複数の回路要素で電力線通信環境を効率的に共有することができる。
【0017】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記回路要素は、他の複数の回路要素間の導通及び非導通を切り換え可能なスイッチ要素を含むことが好ましい。このような構成を採用することによって、電力線を、複数のローカルネットワークに分離したり、1つのネットワークに統合したりすることができる。従って、ローカルネットワークをまるごと他のネットワークに追加することが可能となる。また、複数のローカルネットワークを常に交流結合させておくことで、スイッチ要素により互いの直流電力を遮断しつつ、互いにネットワーク通信可能となるように構成することができる。
【0018】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記スイッチ要素は、データを送信する第2送信部、及び/又はデータを受信する受信部を有することが好ましい。このような構成を採用することによって、当該スイッチ要素がネットワークに接続されていることを第2送信部経由で他の回路要素に通知することができる。また、スイッチ要素は、受信部経由でコマンドを受信することができるので、利用者が電力線通信によってスイッチ要素を操作することが可能となる。
【0019】
また、本開示の電力配線ネットワーク装置において、前記同期信号を生成可能な前記負荷要素は、更にBluetooth(登録商標)による無線通信が可能であることが好ましい。このような構成を採用することによって、利用者がスマートフォン等の外部機器から無線通信でネットワーク管理デバイスと通信することによって、電力配線ネットワークと接続された回路要素を利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、インフラストラクチャーを整備することなく、携帯性に優れた電力線ネットワークを構築することが可能な電力配線ネットワーク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置に用いられる環境発電要素の平面図である。
図2図1に示す環境発電要素の正面図である。
図3図1に示す環境発電要素の回路構成を示す概略図である。
図4図1に示す第1コネクタ及び第2コネクタに接続可能な外部コネクタを備える接続ケーブルを示す図である。
図5】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置の概略図である。
図6A図5に示す電力配線ネットワーク装置が備える回路要素としての環境発電要素の第1の構成例を示す概略図である。
図6B図5に示す電力配線ネットワーク装置が備える回路要素としての環境発電要素の第2の構成例を示す概略図である。
図7A図5に示す電力配線ネットワーク装置が備える回路要素としての負荷要素の第1の構成例を示す概略図である。
図7B図5に示す電力配線ネットワーク装置が備える回路要素としての負荷要素の第2の構成例を示す概略図である。
図8図5に示す電力配線ネットワーク装置が備える回路要素としての二次電池要素の構成例を示す概略図である。
図9図5に示す電力配線ネットワーク装置が備える負荷要素としてのネットワーク管理デバイスの構成例を示す概略図である。
図10図9に示すネットワーク管理デバイスが備える論理データ処理部の構成例を示す概略図である。
図11図10に示す論理データ処理部が備えるタイミング生成器の構成例を示す概略図である。
図12図5に示す電力配線ネットワーク装置が備える環境発電要素としての環境発電デバイスの構成例を示す概略図である。
図13図12に示す環境発電デバイスが備える論理データ処理部の構成例を示す概略図である。
図14図13に示す論理データ処理部が備えるタイミング生成器の構成例を示す概略図である。
図15図5に示す電力配線ネットワーク装置が備えるスイッチ要素としての遮断/導通デバイスの構成例を示す概略図である。
図16図15に示す遮断/導通デバイスが備える論理データ処理部の構成例を示す概略図である。
図17】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置に用いられるタイミング生成器により生成される各種タイミング信号及び同期信号の例を示すタイミングチャートである。
図18】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置に用いられる同期信号、並びにデータ信号の1コードを構成するヘッダー及びフッターの例を示す図である。
図19】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置に用いられる各デバイスの属性データの送受信の様子を示す図である。
図20】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置において、1つのデバイスが新たにネットワークに接続されたときの属性データの送受信の様子を示す図である。
図21】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置において、1つのデバイスがネットワークから切り離されたときの属性データの送受信の様子を示す図である。
図22】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置において、属性データ、コマンド、及びステータスの送受信の様子を示す図である。
図23A】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置において、ネットワーク管理デバイス(デバイス0)におけるデータの送受信の様子を示すフローチャートである。
図23B】本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置において、ラジオデバイス(デバイス3)におけるデータの送受信の様子を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。
【0023】
[環境発電要素60の構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置1に用いられる環境発電要素60の平面図である。図2は、環境発電要素60の正面図である。図1及び図2に示すように、環境発電要素60は、環境発電部10と、コネクタ20と、剛性部材30と、導電部40と、を備える。本実施形態のコネクタ20は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bを含む。なお、図1では、環境発電要素60の各構成要素の形状を説明の便宜のために規定しており、各構成の形状はこれらの形状には限定されない。このことは、以下の各図面においても同様である。
【0024】
環境発電部10は、外部環境に応じた電力を発電する。換言すれば、環境発電部10によって発電される電力は、外部環境に依存して変化する。環境発電部10は、例えば、太陽光、室内光などの光エネルギーを利用して発電する太陽電池を有する。また、環境発電部10は、例えば、地熱等の熱エネルギーを利用して発電する熱電変換素子を有する。
【0025】
本実施形態の環境発電部10は、太陽電池で構成された太陽電池パネル16を備える。太陽電池パネル16は、太陽光、室内光などの入射光を光電変換して電力を出力する太陽電池を含む部材である。太陽電池パネル16に含まれる太陽電池の種類としては、大別して、無機系材料を用いた無機系太陽電池と、有機系材料を用いた有機系太陽電池とが挙げられる。無機系太陽電池としては、シリコン(Si)を用いたSi系、化合物を用いた化合物系などが挙げられる。また、有機系太陽電池としては、有機顔料を用いた低分子蒸着系、導電性高分子を用いた高分子塗布系、変換型半導体を用いた塗布変換系などの薄膜系、チタニア、有機色素および電解質から成る色素増感系などが挙げられる。また、太陽電池パネル16に含まれる太陽電池には、有機無機ハイブリッド太陽電池、ペロブスカイト系化合物を用いた太陽電池も含めることができる。太陽電池パネル16は薄型パネル状であってもよく、その場合には、薄型に成型し易い点で、プラスチックフィルム等に作製された色素増感太陽電池が好適である。なお、太陽電池パネル16が薄型パネル状である場合、上記プラスチックフィルム等に作製されたものに限定されるものでなく、同様に薄型であれば方式を問わないことは言うまでもない。太陽電池パネル16が薄型パネル状である場合、その厚みは、例えば製造技術面から10μm以上3mm以下が好適である。
【0026】
図1及び図2に示すように、環境発電部10は、可撓性を有する板状の部材である。本実施形態の環境発電部10は、図1の平面視で矩形状である。環境発電部10は、太陽電池パネル16を、表面11からの入射光が太陽電池パネル16に入射するように配置している。環境発電部10は、裏面12の縁部13に位置する取り出し電極17を備える。本実施形態の取り出し電極17は、第1取り出し電極17a及び第2取り出し電極17bを含む。第1取り出し電極17a及び第2取り出し電極17bは、縁部13に沿って互いに離間した位置に配置されている。環境発電部10は、発電した電力を、第1取り出し電極17a及び第2取り出し電極17bから出力する。
【0027】
第1取り出し電極17a及び第2取り出し電極17bは、特に限定されることなく、一般的な導電性材料により形成された導体を有する。そのような導体としては、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、及び鉄等の金属材料、及びこれらの金属材料を含む合金材料により形成された導体、さらには、導電性接着剤が挙げられる。中でも、第1取り出し電極17a及び第2取り出し電極17bの導体は、金属箔であることが好ましく、箔状の銅を導体とする電極が特に好ましい。なお、本明細書において、「金属箔」とは、厚みが300μm以下の箔状の金属を称する。
【0028】
第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれ、接続部21を有する。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれの接続部21を通じて、外部コネクタ51(図4参照)を機械的かつ電気的に接続可能である。外部コネクタ51は、環境発電要素60の外部の接続ケーブル50(図4参照)等に設けられたコネクタである。本実施形態の第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれの接続部21に、外部コネクタ51を脱着可能である。
【0029】
第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、メス型コネクタであってもよく、オス型コネクタであってもよい。換言すれば、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれの接続部21が、メス型であってもよく、オス型であってもよい。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bのうち、一方がメス型コネクタで、他方がオス型コネクタであってもよい。その場合、接続ケーブル50を介することなく隣り合う回路要素の第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとを直接接続可能とすることもできる。環境発電要素60を小型化する観点からは、図1に示すように、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bの両者が、メス型コネクタであることが好ましい。しかし、電力配線ネットワーク装置1全体を小型化する観点からは、第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとを直接接続できることが好ましい。
【0030】
剛性部材30は、平板状の部材である。本実施形態の剛性部材30は、図1の平面視で矩形状である。導電部40は、剛性部材30の表面31の一部を構成する。剛性部材30は、表面31に導電部40が一体的に形成されたリジット基板であってもよい。剛性部材30として導電部40が形成されたリジッド基板を用いることで、導電部40を剛性部材30に配置する製造工程を簡略化することができる。また、導電部40は、剛性部材30の一部を被覆することで表面31の一部を構成する、プリント基板であってもよい。導電部40をプリント基板とする場合、薄さや製造工程の容易性の観点から、フレキシブル配線基板を用いることが好ましい。
【0031】
剛性部材30は、樹脂、金属、その他剛性を有する各種材料で形成される。また後述するように、剛性部材30の少なくとも一部を透明とする場合、材料としては、例えば、透明な樹脂、ガラス等を用いることができ、軽量化の観点から、透明な樹脂を用いるのが好ましい。透明な樹脂としては、アクリル系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。
【0032】
ここで、環境発電要素60に含まれる各部材の位置関係について説明する。図1及び図2に示すように、環境発電部10は、裏面12の縁部13が、剛性部材30の表面31に配置されている。換言すれば、環境発電部10及び剛性部材30は、環境発電部10の裏面12と剛性部材30の表面31とが向かい合うようにして、互いの一部が重なり合っている。また、環境発電部10の第1取り出し電極17a及び第2取り出し電極17bは、それぞれ、剛性部材30の表面31の一部を構成する導電部40と接触し、導電部40と電気的に接続されている。環境発電要素60の回路構成の詳細については後述する。
【0033】
図1に示すように、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれ、剛性部材30の表面31のうち、環境発電部10から離隔した位置に配置されている。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれ、導電部40と接触し、導電部40と電気的に接続されている。このようにして、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれ、導電部40を介して、環境発電部10と電気的に接続されている。上記のように、環境発電部10は、剛性部材30を介して、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bから離隔した位置に配置されているため、第1コネクタ20a又は第2コネクタ20bを外部コネクタ51(図4参照)から脱着する際に環境発電部10に加わる応力を緩和することができる。
【0034】
本実施形態において、第1コネクタ20a、第2コネクタ20b及び導電部40は、環境発電要素60と他の回路要素との間で電力供給が可能な電力線を構成している。本実施形態において、電力線は、図3に示すように正極と負極とを有する二線式を採用しているが、この態様に限定されるものではない。
【0035】
環境発電部10及び剛性部材30は、互いに、接着剤、粘着剤等の接合材で接合されている。また、後述するように、環境発電要素60の一部を透明とする場合、接合材として透明接着剤等の透明な接合材を用いると、環境発電部10及び剛性部材30の接合部に透明性を付与することができる。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれ、導電部40に、はんだ等により接合されている。
【0036】
第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、図1に示す環境発電部10の平面視において、第2方向Bに沿って互いに離隔した位置に配置されている。ここで、第2方向Bは、図1に示す平面視において、第1方向Aと直交する方向である。第1方向Aは、図1に示す平面視において、剛性部材30に対して環境発電部10が位置する方向に沿う方向である。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、それぞれ、第2方向Bに沿って、外部コネクタ51を接続可能である。本実施形態では、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bそれぞれの接続部21は、図1に示す平面視において、第2方向Bに沿う端部が剛性部材30の端部と同じ位置となっている。
【0037】
図2に示すように、環境発電部10は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bと互いに重なり合うことなく、それぞれが剛性部材30の表面31上に配置される。従って、環境発電要素60全体の厚みを抑えることができる。詳細には、環境発電部10の厚みT1は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bの厚みT2よりも小さい。よって、環境発電要素60全体の厚みは、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bの厚みT2と、剛性部材30の厚みT3との合計である、T2+T3となる。
【0038】
また、剛性部材30に対して、環境発電部10、第1コネクタ20a、及び第2コネクタ20bが、同じ表面31側に配置されているので、例えば外部から衝撃が加わった場合、表面31側からの衝撃であれば、一部を第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bが吸収し、裏面32側からの衝撃であれば、一部を剛性部材30が吸収する。従って、環境発電部10への衝撃を低減することができる。特に、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bの厚みT2が、環境発電部10の厚みT1よりも大きいため、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bが表面31側からの衝撃をより多く吸収し、環境発電部10への衝撃をより低減することができる。
【0039】
環境発電部10の厚みT1は、例えば製造技術面から3mm以下が好適である。また、環境発電部10の厚みT1の下限としては10μm程度が好適である。
【0040】
図3は、環境発電要素60の回路構成を示す概略図である。図3に示すように、第1取り出し電極17aは、環境発電部10の正極である。また、第2取り出し電極17bは、環境発電部10の負極である。導電部40は、第1取り出し電極17aを、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bそれぞれの正極に電気的に接続している。また、導電部40は、第2取り出し電極17bを、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bそれぞれの負極に電気的に接続している。換言すれば、第1コネクタ20aは、導電部40を介して第1取り出し電極17a及び第2取り出し電極17bと導通可能である。また、第2コネクタ20bは、導電部40を介して第1取り出し電極17a及び第2取り出し電極17bと導通可能である。
【0041】
[接続ケーブル50の構成]
図4は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bに接続可能な外部コネクタ51を備える、接続ケーブル50を示す図である。接続ケーブル50は、ケーブル状の導電部材52と、導電部材52の両端に位置する2つの外部コネクタ51としての第1外部コネクタ51a及び第2外部コネクタ51bと、を備える。接続ケーブル50は、第1外部コネクタ51a及び第2外部コネクタ51bのうち一方(ここでは第1外部コネクタ51aとする)を第1コネクタ20a又は第2コネクタ20bに接続し、他方(ここでは第2外部コネクタ51bとする)を他の装置のコネクタと接続することで、環境発電要素60と他の装置とを電気的に接続することができる。この場合、第1外部コネクタ51aは、接続先の第1コネクタ20a又は第2コネクタ20bに対応するタイプのコネクタである。換言すれば、第1コネクタ20a又は第2コネクタ20bに接続される第1外部コネクタ51aは、接続先がメス型コネクタであればオス型コネクタであり、接続先がオス型コネクタであればメス型コネクタである。同様に、第2外部コネクタ51bは、接続先の他の装置のコネクタに対応するタイプのコネクタである。第1外部コネクタ51a及び第2外部コネクタ51bは、互いに同一のタイプのコネクタであってもよいし、互いに異なるタイプのコネクタであってもよい。第1外部コネクタ51a及び第2外部コネクタ51bは、互いに同一のタイプのコネクタであれば、接続ケーブル50の向きを考慮する必要なく、環境発電要素60と他の装置とを接続することができる。接続ケーブル50で接続する他の装置は、例えば、環境発電要素60と同様に構成された他の環境発電要素60であってもよい。また、他の装置は、環境発電要素60からの電力の供給先としての所定の負荷要素70であってもよい。
【0042】
[電力配線ネットワーク装置1の構成]
図5は、本開示の一実施形態に係る電力配線ネットワーク装置1の概略図である。図5に示すように、電力配線ネットワーク装置1は、第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとを備える複数の回路要素が、接続ケーブル50を介して機械的かつ電気的に着脱可能に接続されている。図5の例では、第1コネクタ20a、第2コネクタ20b、導電部40及び接続ケーブル50は、回路要素間で電力供給が可能な電力線を構成している。但し、電力線は、接続ケーブル50を有しない構成としてもよい。すなわち、複数の回路要素は、接続ケーブル50を介さずに互いに直接接続されていてもよい。本実施形態に係る電力配線ネットワーク装置1は、複数の回路要素として、環境発電要素60と、負荷要素70と、二次電池要素80と、スイッチ要素90とを含んでいる。図5の例では、3つの負荷要素70と、2つの環境発電要素60と、1つの二次電池要素80と、1つのスイッチ要素90とを、隣り合う各回路要素の対向する第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとを接続ケーブル50で接続することで連結している。図5の左右方向中央に配置されたスイッチ要素90は、切替部93を作動させることで、スイッチ要素90の左端及び右端に設けられた第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとの電気的な接続を、接続/非接続の間で切り替える機能を有している。なお、スイッチ要素90の構成については後ほど詳説する。
【0043】
本明細書において、「機械的かつ電気的に着脱可能」とは、一方を他方に装着可能であり、また装着した状態から脱離することが可能であることを意味する。一方が他方に装着された状態では、双方は互いに機械的かつ電気的に接続される。また、一方が他方から脱離した状態では、その2つは互いに機械的かつ電気的に非接続となる。
【0044】
図5は、本実施形態に係る電力配線ネットワーク装置1の一態様であり、複数の回路要素は、少なくとも、環境発電要素60と、負荷要素70とを含んでいればよい。複数の回路要素は、図5のように、接続ケーブル50を介して接続されてもよいし、第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとが直接接続されてもよい。第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとが直接接続される場合には、一方がオス型コネクタ、他方がメス型コネクタで構成される。なお、各回路要素は電気的に並列に接続されている。
【0045】
図6は、電力配線ネットワーク装置1が備える回路要素としての環境発電要素60の構成例を示す概略図である。具体的には、図6Aは、環境発電要素60の第1の構成例としての環境発電要素60aの概略図である。また、図6Bは、環境発電要素60の第2の構成例としての環境発電要素60bの概略図である。
【0046】
図6Aに示すように、環境発電要素60の第1の構成例としての環境発電要素60aは、第1コネクタ20aと、第2コネクタ20bと、逆電流防止部63と、それらを電気的に接続する導電部40と、環境発電部10とを備える。逆電流防止部63及び環境発電部10は、互いに電気配線を介して電気的に接続されている。なお、第1コネクタ20a又は第2コネクタ20bと逆電流防止部63との間の電気的な接続、及び、逆電流防止部63と環境発電部10との間の電気的な接続は、それぞれ互いに電気配線を介さずに、直接的な接続であってもよい。
【0047】
環境発電部10は、環境発電による電力を生成可能である。環境発電部10は、生成した電力を逆電流防止部63を介して第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bに出力する。
【0048】
逆電流防止部63は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bからの電流が環境発電部10に流れ込むことを抑制する。逆電流防止部63は、ダイオード等の回路素子を含み得る。逆電流防止部63としてダイオードを用いる場合、アノードが環境発電部10側、カソードが第1コネクタ20a及び第2コネクタ20b側となるように接続される。逆電流防止部63は、トランジスタのコレクタ及びベース端子を接続して対エミッタ間をダイオードとして用いてもよい。
【0049】
図6Bに示すように、環境発電要素60の第2の構成例としての環境発電要素60bは、上述の第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bに加えて、逆電流防止部63と、発電部接続用コネクタ64とを備える。環境発電要素60aが環境発電部10を備えるのに対して、環境発電要素60bは環境発電部10を備えていない点で相違する。
【0050】
環境発電要素60bが備える逆電流防止部63は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bからの電流が発電部接続用コネクタ64に流れ込むことを抑制するが、その他の構成は上述の環境発電要素60aが備える逆電流防止部63と同様である。
【0051】
発電部接続用コネクタ64は、外部の環境発電部65を機械的かつ電気的に接続可能なコネクタである。発電部接続用コネクタ64は、外部の環境発電部65を機械的かつ電気的に着脱可能であってもよい。発電部接続用コネクタ64は、一般的なコネクタを用いることができ、特に限定されないが、所定の規格に沿ったコネクタ、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェースを用いたコネクタを用いることができる。
【0052】
外部の環境発電部65は、コネクタ66を備えること以外は、上述の環境発電要素60aが備える環境発電部10と同様の構成である。コネクタ66は、発電部接続用コネクタ64と機械的かつ電気的に接続可能なコネクタである。コネクタ66は、発電部接続用コネクタ64と同様に、特に限定されない。
【0053】
負荷要素70は、図1に示す環境発電要素60と同様に、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bを備える。負荷要素70は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力される電力を消費可能である。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、環境発電要素60と同様に、接続ケーブル50の第2外部コネクタ51b及び第1外部コネクタ51aと、機械的かつ電気的に着脱可能である。電力配線ネットワーク装置1は、図5に示すように、負荷要素70を複数備えていてもよい。負荷要素70が複数備えられる場合、複数の負荷要素70それぞれの消費電力は、互いに異なっていてもよい。
【0054】
図7は、電力配線ネットワーク装置1が備える回路要素としての負荷要素70の構成例を示す概略図である。具体的には、図7Aは、負荷要素70の第1の構成例としての負荷要素70aの概略図である。また、図7Bは、負荷要素70の第2の構成例としての負荷要素70bの概略図である。
【0055】
図7Aに示すように、負荷要素70の第1の構成例としての負荷要素70aは、上述の第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bに加えて、導電部40と、負荷72と、電圧制御部73と、を備える。第1コネクタ20a、第2コネクタ20b及び電圧制御部73は、互いに導電部40を介して電気的に接続されている。電圧制御部73及び負荷72は、互いに電気配線を介して電気的に接続されている。なお、第1コネクタ20a又は第2コネクタ20bと電圧制御部73との間の電気的な接続、並びに、電圧制御部73と負荷72との間の電気的な接続は、それぞれ互いに電気配線を介さずに、直接的な接続であってもよい。
【0056】
負荷72は、電力を消費可能な任意の負荷である。負荷72は、例えば、ラジオ等の電子機器、LED照明等である。負荷72が消費する電力は、負荷72の駆動状態等によって変化し得る。
【0057】
電圧制御部73は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力された電力を所定電圧に制御して負荷72に出力する。詳細には、電圧制御部73は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力された電力を、負荷72の定格電圧等、負荷72の駆動に適した所定電圧に降圧又は昇圧して、負荷72に出力する。
【0058】
図7Bに示すように、負荷要素70の第2の構成例としての負荷要素70bは、上述の第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bに加えて、導電部40と、電圧制御部73と、負荷接続用コネクタ74と、を備える。
【0059】
負荷要素70bが備える電圧制御部73は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力された電力を所定電圧に制御して負荷接続用コネクタ74に出力する。詳細には、電圧制御部73は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力された電力を、負荷接続用コネクタ74の規格に沿った定格電圧等の所定電圧に降圧又は昇圧して、負荷接続用コネクタ74に出力する。
【0060】
負荷接続用コネクタ74は、外部の負荷75を機械的かつ電気的に接続可能なコネクタである。負荷接続用コネクタ74は、外部の負荷75を機械的かつ電気的に着脱可能であってもよい。負荷接続用コネクタ74は、特に限定されないが、所定の規格に沿ったコネクタ、例えば、USBインタフェースを用いたコネクタを用いることができる。
【0061】
外部の負荷75は、コネクタ76を備えること以外は、上述の負荷要素70aが備える負荷72と同様の構成である。コネクタ76は、負荷接続用コネクタ74と機械的かつ電気的に接続可能なコネクタである。コネクタ76は、負荷接続用コネクタ74と同様に、特に限定されないが、所定の規格に沿ったコネクタ、例えば、USBインタフェースを用いたコネクタを用いることができる。外部の負荷75は、コネクタ76を介して負荷接続用コネクタ74に接続可能な負荷であればよく、例えば、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の一般的な電子機器であってもよい。
【0062】
電力配線ネットワーク装置1は、回路要素としての二次電池要素80を更に備えてもよい。図8は、電力配線ネットワーク装置1が備える回路要素としての二次電池要素80の構成例を示す概略図である。
【0063】
図8に示すように、二次電池要素80は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bを備える。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、環境発電要素60及び負荷要素70が備えるものと同様に、接続ケーブル50の第2外部コネクタ51b及び第1外部コネクタ51aと機械的かつ電気的に着脱可能である。電力配線ネットワーク装置1は、二次電池要素80を、複数備えていてもよい。二次電池要素80が複数備えられる場合、複数の二次電池要素80それぞれの充電時の入力電力及び給電時の出力電力は、互いに異なっていてもよい。
【0064】
図8に示すように、二次電池要素80は、上述の第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bに加えて、導電部40と、二次電池82と、切替部83と、電圧制御部84と、逆電流防止部85と、を備える。
【0065】
二次電池82は、充放電可能な二次電池である。二次電池82は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などである。
【0066】
切替部83は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力される電力を二次電池82に充電する充電状態と、二次電池82からの電力を第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから出力する給電状態と、を切替可能である。切替部83は、例えば、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bと二次電池82との間で、それぞれと電気的に接続されたスイッチ素子を含む。
【0067】
電圧制御部84は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力された電力を所定電圧に制御して二次電池82に出力する。詳細には、電圧制御部84は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力された電力を、二次電池82の定格電圧等、二次電池82の充電に適した所定電圧に降圧又は昇圧して、二次電池82に出力する。また、電圧制御部84は、二次電池82から入力された電力を所定電圧に制御して第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bに出力する。詳細には、電圧制御部84は、二次電池82から入力された電力を、他の負荷要素70等の回路要素に適した所定電圧に昇圧又は降圧して、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bに出力する。電圧制御部84は、切替部83と二次電池82との間で、それぞれと電気的に接続されている。
【0068】
逆電流防止部85は、切替部83が給電状態である場合に、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bからの電流が二次電池82に流れ込むことを抑制する。逆電流防止部85は、ダイオード等の回路素子を含み得る。逆電流防止部85としてダイオードを用いる場合、アノードが二次電池82側、カソードが第1コネクタ20a及び第2コネクタ20b側となるように接続される。逆電流防止部85は、切替部83が給電状態である場合に通電し、充電状態では通電しない配線上に位置する。
【0069】
このように、電力配線ネットワーク装置1は、二次電池要素80を備えることで、例えば、負荷要素70への電力供給が不足する場合には二次電池要素80を給電状態とし、負荷要素70への電力供給が十分の場合には二次電池要素80を充電状態とする等、状況に応じて二次電池要素80の充電状態と給電状態とを切り替えることで、負荷要素70へ安定的に電力を供給することができる。
【0070】
スイッチ要素90は、第1コネクタ20aと、第2コネクタ20bと、切替部93とを備える。本実施形態では、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、図5におけるスイッチ要素90の左右方向端部に設けられている。そして、第1コネクタ20aと接続ケーブル50の第2外部コネクタ51bとを接続し、第2コネクタ20bと接続ケーブル50の第1外部コネクタ51aとを接続することで、図5のスイッチ要素90の左右に配置された各回路要素は、電気的に接続/非接続の間で切り替え可能となる。
【0071】
すなわち、切替部93は、第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとの間の電気的な接続及び非接続を切替可能である。切替部93は、例えば、第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとの間で、それぞれと電気的に接続されたスイッチ素子を含む。なお、切替部93は、第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとの間において、例えば直流電力の電力供給のための電気的な接続及び非接続を切り替える一方、交流電力による信号伝達のための電気的な接続(いわゆるC結合など)は常に維持するように構成してもよい。
【0072】
本実施形態のように、複数の回路要素をスイッチ要素90を介して機械的に接続することで、スイッチ要素90の切替部93の切り替えによって、複数の回路要素同士の電気的な接続及び非接続を切り替えることができる。従って、例えば図5のスイッチ要素90の右側に接続された負荷要素70に優先的に電力供給をしたい場合、スイッチ要素90の右側に接続された環境発電要素60の供給電力が十分であるときは切替部93を非接続に切り替えてスイッチ要素90の右側に接続された環境発電要素60から負荷要素70に電力供給を行う。また、スイッチ要素90の右側に接続された環境発電要素60の供給電力が十分ではないときは切替部93を接続に切り替えてスイッチ要素90の左側に接続された環境発電要素60及び二次電池要素80からの電力をスイッチ要素90の右側に接続された負荷要素70に供給することができる。このように、環境発電要素60の発電電力に応じて、電力供給の優先順位の高い負荷要素70に優先して電力供給することができる。切替部93を非接続に切り替えることで、スイッチ要素90の左右の回路要素ごとに環境発電要素60及び負荷要素70を配置することが可能となり、任意数の環境発電要素60と任意数の負荷要素70とを1つの組合せとして複数の独立した系を構成することができる。
【0073】
なお、本実施形態において、各回路要素は、隣り合う回路要素の対向する第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとを接続ケーブル50で接続する、又は第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとを直接接続することで、図5に示すように、概ね同一直線上に配置されるように構成されている。このように複数の回路要素を接続することで各回路要素を整然と配置することができるので、電力配線ネットワーク装置1を容易に持ち運び、収納することができる。
【0074】
次に、回路要素が有する導電部40、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bによって構成される電力線を介してデータ通信を行う電力線通信について説明する。図5に示す例において、スイッチ要素90の左右に接続される負荷要素70(ネットワーク管理デバイス100)は、電力配線ネットワーク装置1のネットワーク管理を行う回路要素である。この回路要素は、CPU(Central Processing Unit)等により構成される制御部101を有しており、電力線から電力の供給を受ける負荷要素70としてのネットワーク管理デバイス100として機能する。
【0075】
図9は、負荷要素70としてのネットワーク管理デバイス100の構成を示すブロック図である。ネットワーク管理デバイス100は、デバイス全体の制御を行う制御部101と、電力線との間で送受信されるデータの処理を行う論理データ処理部103と、外部機器700との間でBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信を行うための無線通信部105と、ROM(Read-Only Memory)107、RAM(Random Access Memory)108、書換え可能なフラッシュROM109を有する記憶部106とを備えている。なお、制御部101、論理データ処理部103、無線通信部105及び記憶部106は、図9には図示しない電圧制御部73(図7A参照)から電力供給を受けて動作する。すなわち、制御部101、論理データ処理部103、無線通信部105及び記憶部106は、図7Aに示す負荷72を構成している。
【0076】
制御部101は、後述する論理データ処理部103、無線通信部105、記憶部106等の制御を行う。制御部101は、一以上のCPU、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はマイクロコントローラ等により構成することができる。
【0077】
論理データ処理部103は、電力線を介したデータの送受信処理、データの送受信のための同期信号S1~S4の生成等を行う。以下に、論理データ処理部103の構成を更に詳細に説明する。
【0078】
図10は、論理データ処理部103の構成を示すブロック図である。論理データ処理部103は、電力線を通じて供給されるデータ信号を含む電力から直流成分を除去するフィルタ170と、直流成分除去後のデータ信号を受信し復調して受信データを生成するデータ受信部140と、送信データを変調して電力線に重畳するデータ信号を生成するデータ送信部120と、受信した受信データを信号処理すると共に送信データを生成する送受信データ処理部110と、同期信号S1~S4を生成するためのタイミング信号等を生成するタイミング生成器130と、送信データの送信タイミング等を決定する同期信号S1~S4を生成する同期信号発生部150とを備えている。
【0079】
フィルタ170は、電力線を通じて供給されるデータ信号を含む電力から直流成分を除去する機能を有する。フィルタ170は、例えば、コンデンサによって電力線とデータ受信部140及びデータ送信部120とを結合するいわゆる「C結合」の構成を有することができる。フィルタ170は、このように受動素子を用いたハイパスフィルタの構成を有することができる他、特定の帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィルタの構成を有していてもよいし、オペアンプやトランジスタ等の能動素子を含む構成であってもよい。
【0080】
データ受信部140は、直流成分除去後のデータ信号を受信し復調して受信データを生成する。データ受信部140は、信号レベルを調整する信号レベル調整器141と、レベル調整後に復調して受信データを生成する受信データ復調部142とを備えている。
【0081】
信号レベル調整器141は、フィルタ170通過後の交流成分のみを含む電力線からのデータ信号の信号レベルが所定の範囲内に収まるように信号振幅を調整する。信号レベル調整器141は、例えば最大信号レベルをフィードバックすることで利得が入力信号レベルに対して適切な範囲になるよう調整可能な自動利得制御回路によって実現することができる。受信データ復調部142は、レベル調整後のデータ信号をタイミング生成器130からのタイミング信号に基づいて読み出し、他の回路要素によって変調されたデータ信号を元の信号に復調する。このデータ信号の復調は、専用のハードウエアによって実現してもよいし、制御部101等によるソフトウエア処理によって実現してもよい。
【0082】
データ送信部120は、送受信データ処理部110によって生成された送信データを変調し、フィルタ170を介して電力線に重畳する。データ送信部120は、送信データを所定の変調方式によって変調する送信データ変調部121と、信号レベルを調整する信号レベル調整器122とを備えている。
【0083】
送信データ変調部121は、送受信データ処理部110によって生成された送信データを所定の変調方式によってデジタル変調する。変調方式は、例えば直交周波数分割多重方式(OFDM方式),スペクトラム拡散方式(SS方式)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。送信データ変調部121は、変調後の送信データを、タイミング生成器130からのタイミング信号に基づいて適切なタイミングで出力し、信号レベル調整器122に入力する。信号レベル調整器122は、送信データ変調部121によって変調された送信データを、電力線への重畳に適した信号レベルになるように信号振幅を調整する。
【0084】
送受信データ処理部110は、データ受信部140により受信した受信データを処理すると共に、データ送信部120により電力線に重畳するデータ信号の元となる送信データを生成する。送受信データ処理部110は、受信データの処理を行う機能部として、受信データ記憶部116、受信データ解析部117及びデバイス制御情報発生部118を備えている。また、送受信データ処理部110は、送信データの処理を行う機能部として、デバイス属性情報発生部111、コマンド情報発生部112、ステータス情報発生部113及び送信データ発生部115を備えている。
【0085】
データ受信部140によって復調された受信データは、必要に応じて受信データ記憶部116内に記憶される。受信データ記憶部116は、受信データ専用の記憶部として構成してもよいし、例えば記憶部106のRAM108内の一部の領域を用いるようにしてもよい。
【0086】
受信データ記憶部116に記憶された受信データは、受信データ解析部117によって解析される。受信データの解析は、受信データを他の回路要素からの属性情報、コマンド情報、ステータス情報のいずれであるかを判定する。受信データの解析は、受信データが属性情報であった場合に、属性情報の送信元デバイス、及び属性情報のパラメータ等を特定する。受信データの解析は、受信データがコマンド情報であった場合に、コマンド情報の送信元デバイス、コマンドの種類(表2に示す「コマンドコード」)、パラメータ等を特定する。受信データの解析は、受信データがステータス情報であった場合に、ステータス情報の送信元デバイス、ステータスの種類(表3に示す「ステータスコード」)、パラメータ等を特定する。この受信データの解析は、専用のハードウエアによって実現してもよいし、制御部101等によるソフトウエア処理によって実現してもよい。
【0087】
受信データ解析部117による受信データの解析結果は、デバイス制御情報発生部118において処理される。デバイス制御情報発生部118は、例えば受信データの解析結果が後述するラジオデバイス400のステータス情報であった場合、無線通信部105によるBluetooth通信により、ラジオデバイス400のステータス情報をスマートフォン等の外部機器700に送信する。これによって、外部機器700の利用者は、ラジオデバイス400からのステータス情報を受信することで自己の操作がラジオデバイス400の状態に反映されたか否かを確認することができる。
【0088】
送受信データ処理部110は、送信データ処理を行うための機能部として、デバイス属性情報発生部111と、コマンド情報発生部112と、ステータス情報発生部113と、送信データ発生部115とを備えている。以下に説明する送信データ処理は、ハードウエアによって実現してもよいし、制御部101等によるソフトウエア処理によって実現してもよい。
【0089】
デバイス属性情報発生部111は、デバイス属性情報を送信データの形式で発生させるための機能部である。デバイス属性情報とは、デバイスの製造者、デバイスのタイプ、デバイス識別子、デバイスの特徴等である。デバイス属性情報は、例えばROM107から関連情報を読み出し、必要に応じて送信データの形式に変換することで発生させることができる。
【0090】
コマンド情報発生部112は、コマンド情報を送信データの形式で発生させるための機能部である。コマンド情報は、送信先デバイス番号、コマンドコード、コマンドパラメータ等の情報を含んでいる。コマンド情報発生部112は、例えばスマートフォン等の外部機器700で実行されるアプリケーションにおいて、利用者の操作に応じて発行されるコマンドをBluetooth通信により受信し、そのコマンドに対応する電力線通信コマンドを発生させる。例えば、外部機器700において利用者がラジオの音量を上げる操作を行った場合、コマンド情報発生部112は、例えば、Bluetooth通信により受信したラジオの音量を上げるコマンドに対応して、ネットワーク管理デバイス100が管理する負荷要素70の1つであるラジオデバイス400(図5においてスイッチ要素90の右側端部に配置されている。)向けに、ラジオの音量を上げるコマンドを発生させることができる。
【0091】
ステータス情報発生部113は、ステータス情報を送信データの形式で発生させるための機能部である。ステータス情報は、送信元デバイス番号、ステータスコード、ステータスパラメータ等の情報を含んでいる。ステータス情報発生部113は、例えばネットワーク管理デバイス100が他の回路要素(環境発電要素60、負荷要素70等)の属性データを正常に受信した旨をステータス情報として発生させる。
【0092】
送信データ発生部115は、後述するタイミング生成器130からのタイミング信号に基づいて、デバイス属性情報発生部111、コマンド情報発生部112及びステータス情報発生部113によって生成された各送信データを適切な順序、及びタイミングで出力し、データ送信部120に入力する。
【0093】
同期信号発生部150は、タイミング生成器130からのタイミング信号に基づいて同期信号S1~S4を発生する同期信号発生器151と、同期信号発生器151から出力された同期信号S1~S4が、電力線への重畳に適した信号レベルになるように信号振幅を調整する信号レベル調整器152とを備えている。
【0094】
図11は、タイミング生成器130の構成を示すブロック図である。タイミング生成器130は、所定の周波数で変調される変調波を発生させる変調周波数発生器132と、変調周波数発生器132からの変調波を所定の分周比で分周して各種タイミング信号を得るための分周器134とを備えている。
【0095】
本実施形態において、変調周波数発生器132が出力する変調波は、1ビット期間に対応する周期を有する。従って、変調周波数発生器132からの変調波を8分周して得られるタイミング信号aの1周期は、1バイト(Byte)期間に対応する。また、タイミング信号aを10分周することで得られるタイミング信号bの1周期は、後述する10バイト長で構成される1ユニット(Unit)期間に対応する。また、タイミング信号bを更に4096分周して得られるタイミング信号cの1周期は、後述する4096ユニット長で構成される1スロット(Slot)期間に対応する。また、タイミング信号cを更に4分周して得られるタイミング信号dの1周期は、後述する4スロット長で構成される1データ周期期間に対応する。なお、変調周波数発生器132が出力する変調波の周波数は、例えば100kHz(従って、1ビット期間は0.01msec.となる。)とすることができるが、その態様に限定されるものではない。図10に示す同期信号発生器151は、タイミング生成器130が出力するスロットタイミング信号(タイミング信号c)と同期して立ち上がり、1ユニット長を有するパルス(同期信号S1~S4)を生成する。
【0096】
なお、変調周波数発生器132が出力する変調波は、専用ハードウエアによって生成してもよいし、制御部101を構成するCPU等の基準クロックから生成するようにしてもよい。
【0097】
無線通信部105は、Bluetooth、WiFi等の無線通信規格に準拠した無線通信を行う機能を有している。無線通信部105は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)等の外部機器700と通信を行い、外部機器700から受信したコマンドに対応する電力線通信コマンドをネットワーク管理デバイス100が管理する他のデバイスに対して送信する。また無線通信部105は、当該他のデバイスから受信したステータス情報を外部機器700に送信可能である。
【0098】
記憶部106は、ROM(Read-Only Memory)107、RAM(Random Access Memory)108、及び書換え可能でプログラム可能なフラッシュROM109等を有する。ROM107及びフラッシュROM109は共に読み出し専用メモリであるが、フラッシュROM109は書き換えが可能であり、CPUに実行させるプログラム等を格納可能である。RAM(Random Access Memory)108は退避用メモリであり、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成される。RAM108はDRAM以外の揮発性メモリや不揮発性メモリを有していてもよい。なお、ネットワーク管理デバイス100は、図9に示す記憶部106の一部のみを有していてもよいし、記憶部106を有しない構成としてもよい。
【0099】
図12は、環境発電要素60としての環境発電デバイス200の構成を示すブロック図である。環境発電デバイス200は、環境発電部10を含む発電部201と、電力線との間で送受信されるデータの処理を行う論理データ処理部203とを備えている。
【0100】
発電部201は、環境発電部10としての太陽電池パネル16と、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bからの電流が環境発電部10に流れ込むことを抑制する逆電流防止部63とを備えている。本実施形態において、逆電流防止部63は、カソードが第1コネクタ20a及び第2コネクタ20b側となるように接続されたダイオードによって構成されている。
【0101】
論理データ処理部203は、電力線を介したデータの送受信処理等を行う。論理データ処理部203の構成を図13に示す。論理データ処理部203の構成は、図10に示した論理データ処理部103の構成と比較して、タイミング生成器230の構成が異なること、及び同期信号発生部150を有していないことを除いて、論理データ処理部103の構成と近似している。
【0102】
論理データ処理部203は、図10に示すタイミング生成器130とは一部異なる構成を有する、タイミング生成器230を備える。図14にタイミング生成器230の構成を示す。
【0103】
タイミング生成器230は、電力線からフィルタ270を介して受信した直流成分除去後のデータ信号の信号レベルを調整する信号レベル調整器231と、レベル調整後のデータ信号から同期信号S1~S4を検出する同期信号検出器232と、電圧制御発振器(VCO:Voltage-controlled oscillator)233と、分周器234と、位相比較器235と、ローパスフィルタ(LPF:Low pass filter)236とを備えている。この構成によって、データ信号上の同期信号S1~S4を入力基準信号とするPLL(Phase Locked Loop)回路を構成することができる。すなわち、入力基準信号となるデータ信号上の同期信号S1~S4と、得られたタイミング信号とを位相比較することで、データ信号上の同期信号S1~S4に同期したタイミング信号、及び所定の分周比で分周したタイミング信号a’~ d’を得ることができる。このとき、8分周して得られるタイミング信号a’の1周期は、1バイト(Byte)期間に対応する。また、タイミング信号a’を10分周することで得られるタイミング信号b’の1周期は、後述する10バイト長で構成される1ユニット(Unit)期間に対応する。また、タイミング信号b’を更に4096分周して得られるタイミング信号c’の1周期は、後述する4096ユニット長で構成される1スロット(Slot)期間に対応する。また、タイミング信号c’を更に4分周して得られるタイミング信号d’の1周期は、後述する4スロット長で構成される1データ周期期間に対応する。
【0104】
論理データ処理部203内の送受信データ処理部210は、例えば環境発電部10における発電電力をステータス情報発生部213においてステータス情報として生成し、送信データとして他のデバイスに送信するように構成してもよい。これによって、他の回路要素は、環境発電要素60からの発電電力を効率的に利用することが可能となる。
【0105】
負荷要素70に電力供給が可能な二次電池要素80としての二次電池デバイス300は、図12における発電部201を、逆電流防止部85、切替部83、電圧制御部84及び二次電池82を有する電池部301に置き換えた構成を有しており、二次電池デバイス300に搭載された論理データ処理部203のデバイス制御情報発生部218が切替部83を制御することで二次電池82の充電状態と放電状態とを切り替え可能に構成されている。また、デバイス制御情報発生部218は、電圧制御部84の制御等を行ってもよい。論理データ処理部203内の送受信データ処理部210は、例えば二次電池82における蓄電電力をステータス情報発生部213においてステータス情報として生成し、送信データとして他のデバイスに送信するように構成してもよい。これによって、他の回路要素は、二次電池82における蓄電電力を効率的に利用することが可能となる。
【0106】
また、負荷要素70としてのラジオデバイス400は、図12における発電部201を、ラジオ部401に置き換え、ラジオデバイス400に搭載された論理データ処理部203のデバイス制御情報発生部218がラジオ部401を制御することで選局、音量調整を行うように構成されている。
【0107】
次に、スイッチ要素90としての遮断/導通デバイス500の構成について説明する。図15は、スイッチ要素90としての遮断/導通デバイス500の構成を示すブロック図である。遮断/導通デバイス500は、デバイス全体の制御を行う制御部501と、電力線との間で送受信されるデータの処理を行う論理データ処理部503と、ROM(Read-Only Memory)507、RAM(Random Access Memory)508等を有する記憶部506と、遮断/導通デバイス500を通じた2つの電力線の導通を切り替える切替部93と、切替部93に切り替え信号を供給するI/O処理部505と、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bとを備えている。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、スイッチ要素90(遮断/導通デバイス500)の内部で切替部93を介して電気的に接続可能である。なお、図15中には、第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとを接続する二線式の導電部40のうち、一方の導電部のみが示されている。また、制御部501、論理データ処理部503、及び記憶部506は、電力線から電力供給を受けて動作する(電源の供給経路は図示していない)。また、遮断/導通デバイス500は、図15に示す記憶部506の一部のみを有していてもよいし、記憶部506を有しない構成としてもよい。
【0108】
ここでは、遮断/導通デバイス500の構成のうち、主に環境発電デバイス200との差異点について説明する。
【0109】
制御部501は、後述する論理データ処理部503、記憶部506、I/O処理部505等の制御を行う。図15の例では、制御部501は、I/O処理部505の制御を通じて切替部93を制御するが、直接切替部93を制御するように構成してもよい。制御部501は、一以上のCPU、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はマイクロコントローラ等により構成することができる。
【0110】
論理データ処理部503は、電力線を介したデータの送受信処理等を行う。論理データ処理部503は、図16に示すように、環境発電デバイス200が有する論理データ処理部203と近似する構成を有している。論理データ処理部503は、図5のスイッチ要素90の左側の回路要素と、スイッチ要素90の右側の回路要素のいずれか、又は双方との間で信号データのやり取りが可能である。すなわち、切替部93の切り替えによりスイッチ要素90の左右の回路要素が未接続状態にある場合、論理データ処理部503は、図5のスイッチ要素90の左側の回路要素、又は右側の回路要素のいずれか一方との間で信号データのやり取りを行う。論理データ処理部503がスイッチ要素90の左右のいずれの回路要素と信号データのやり取りを行うかは、例えばI/O処理部505により制御される図示しないスイッチ素子によって切り替えられるように構成することができる。論理データ処理部503がスイッチ要素90の左右のいずれの回路要素と信号データのやり取りを行うかの選択は、例えば利用者が外部機器700上でアプリケーションプログラムにより選択して切り替えるようにしてもよいし、一定時間ごとに切り替えられるように構成してもよい。利用者が外部機器700上で選択する場合は、ネットワーク管理デバイス100経由で遮断/導通デバイス500にコマンドが送信される。一方、切替部93の切り替えによりスイッチ要素90の左右の回路要素が接続状態にある場合、スイッチ要素90の左右の電力線には同一の信号データが重畳されているため、論理データ処理部503は、スイッチ要素90の左右の回路要素との間で信号データのやり取りを行う。なお、切替部93の切り替えによりスイッチ要素90の左右の回路要素間の直流電力が遮断状態にある場合であっても、スイッチ要素90の左右の回路要素間の交流電力による信号伝達のための電気的な接続が維持されている場合には、論理データ処理部503は、スイッチ要素90の左右の回路要素との間で信号データのやり取りを行うことができる。
【0111】
図5において、スイッチ要素90の左右の回路要素が切替部93により接続状態にある場合、又はスイッチ要素90の左右の回路要素が常に交流結合されている場合、スイッチ要素90の左右の電力線には同一のデータ信号が重畳されることになる。その場合、図5のスイッチ要素90の左側のネットワーク管理デバイス100と、右側のネットワーク管理デバイス100は、一方のみがネットワーク管理デバイスとして機能し、他方が機能しないように制御される。
【0112】
論理データ処理部503は、データ受信部540からの受信データを受信データ解析部517で解析し、デバイス制御情報発生部518においてデバイス制御情報を発生させる。デバイス制御情報は、例えば、I/O処理部505、ROM507,RAM508等の制御情報である。デバイス制御情報は、論理データ処理部503がスイッチ要素90の左右のいずれの回路要素と信号データのやり取りをするかを決定するためのスイッチ素子の制御情報であってもよい。
【0113】
I/O処理部505は、出力電圧をHigh/Low間で切り替えることで切替部93等のスイッチ素子を制御したり、入力電圧に基づいて各種デバイスの状態等を判定する。I/O処理部505は、例えば制御部501としてのマイクロコンピュータの入出力ポート等の他、専用のハードウエアによって構成することができる。
【0114】
次に、タイミング生成器130,230,530によって生成される各種タイミング信号及び同期信号S1~S4について説明する。図17は、変調周波数発生器132で生成される変調波、及びそれから生成される各種タイミング信号、及び同期信号S1~S4を示すタイミングチャートである。
【0115】
本実施形態に係る電力配線ネットワーク装置1により実現される電力線通信は、「デバイス0」とも呼ばれるネットワーク管理デバイス100内において同期信号S1~S4が生成され、その同期信号S1~S4が電力線上の直流電力に重畳される。この同期信号S1~S4に基づいたタイミングで各デバイス(ネットワーク管理デバイス100、環境発電デバイス200、二次電池デバイス300、ラジオデバイス400、遮断/導通デバイス500等)が属性データ、コマンドコード、ステータスコード等の送信データを送信し、他のデバイスからの受信データを受信する。なお、本実施形態では、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)のみが同期信号S1~S4、及びコマンドコードを送信するものとして記載している。
【0116】
ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、論理データ処理部103内のタイミング生成器130において、変調周波数発生器132によって変調波を発生させる。この変調波は、図17の最上部に示すように、データ信号の1ビット期間に対応する周期を有するパルス信号である。タイミング生成器130は、この変調波から、1バイト期間に対応するバイトタイミング信号(図11及び図14のタイミング信号a,a’)、1ユニット期間に対応するユニットタイミング信号(図11及び図14のタイミング信号b,b’)、1スロット期間に対応するスロットタイミング信号(図11及び図14のタイミング信号c,c’)、1データ周期期間に対応するデータ周期タイミング信号(図11及び図14のタイミング信号d,d’)を生成する。
【0117】
図17のタイミングチャートにおける1ユニットとは、10バイトのデータ長さに対応する。図17の最下部に示すように、本実施形態の電力線通信は、10バイトのデータ、すなわち1ユニットを最小単位として送受信しており、1ユニットは、2バイトのスペース、2バイトのヘッダー及びフッター、6バイトのデータにより構成される。なお、ヘッダー及びフッターの構成例を図18に示すが、この態様に限定されるものではない。
【0118】
図17のタイミングチャートにおいて、1スロットとは、4096ユニットのデータ長さに対応する。本実施形態の電力線通信は、1スロット、すなわち4096ユニットごとに同期信号S1~S4がこの順番にネットワーク管理デバイス100(デバイス0)から送信される。各デバイスは、1スロット内において、1ユニット分の長さを有する同期信号S1~S4に続いて、4095ユニット分のデータ信号を送信することができる。
【0119】
同期信号S1~S4,及び1ユニット内のヘッダー及びフッターの仕様としては、例えば図18の例に示すように定めることができる。図18の例では、各信号共に、先頭ビットと終了ビットが1となるコードを割り当てている。これによって、データ信号からコードの先頭位置と終了位置とを容易に識別できるようにしている。
【0120】
本実施形態では、同期信号S1に続く4095ユニット内に各デバイスの属性データを送信し、同期信号S2に続く4095ユニット内に各デバイス向けのコマンドデータを送信し、同期信号S3に続く4095ユニット内に各デバイスからのステータスデータを送信している。従って、各デバイスは、図18に示すS1に対応する同期信号を検出すると、S1に続いて各デバイスの属性信号が送信されることを認識することができる。同様に、図18に示すS2に対応する同期信号を検出すると、S2に続いて各デバイス向けのコマンドコードが送信されることを認識することができる。また、図18に示すS3に対応する同期信号を検出すると、S3に続いて各デバイスからのステータスコードが送信されることを認識することができる。
【0121】
次に、各デバイスが送信する属性データについて説明する。図19は、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)以外に少なくとも3つのデバイスが電力配線ネットワーク装置1に接続されている場合に属性データが送受信される様子を示している。図19におけるデバイス1,2,3…は、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)以外のデバイスを示している。
【0122】
各デバイスが送信する属性データは、同期信号S1が出力された後の4095ユニット長さの領域(すなわち、スロット1)に割り当てられ、その時間領域において各デバイスから送信される。図19において、同期信号S1が発生した直後の1ユニット長さはネットワーク管理デバイス100(デバイス0)に割り当てられており、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)のみが同期信号S1が発生した直後の1ユニット内に自身の属性データを送信することができる(図19において、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は自身の属性データを送信していない)。
【0123】
ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)に割り当てられた1ユニット長さ経過後の1ユニット長さは、図19の例ではデバイス1に割り当てられている。デバイス1は、自身に割り当てられたこの1ユニット長さの期間に自身の属性データを送信し、電力線上にデータ信号として重畳させる。他のデバイス(デバイス0、デバイス2、デバイス3等)は、このデバイス1から送信された属性データを受信し、デバイス1がデバイス0に次ぐデバイスとして割り当てられていること、及びデバイス1の属性を認識する。従って、このデバイス1からの属性データは、デバイス1が他のデバイスに自身の存在を通知する通知信号の役割を果たしている。特にネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、同期信号S1後の4095ユニット内のデータ信号を常に受信し、ネットワーク内に存在する全てのデバイスを監視している。そして、各デバイスの存在の有無や属性データを検出する。従って、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、デバイスの挿抜があった場合にそれらを速やかに検出することができる。表1に、デバイスの属性データの一例を示す。
【0124】
【表1】
【0125】
項目「デバイス製造者」は、各デバイスの製造者に対応するコードを属性データとして有する。項目「デバイスタイプ」は、デバイスタイプ(例えば、太陽電池、二次電池、受動負荷、能動負荷等)に対応するコードを属性データとして有する。項目「デバイス識別子」は、デバイス識別子(例えば、スピーカー、ラジオ等)に対応するコードを属性データとして有する。項目「デバイスの特徴」は、その他のデバイスの特徴に対応するコードを属性データとして有する。
【0126】
なお、電力配線ネットワーク装置1をネットワークシステムとして使用する場合は、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)を必ず使用するが、物理層のみを使用する場合には、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は存在しなくてもよい。本実施形態においてネットワーク管理デバイス100は常にデバイス0(デバイス番号:0)に割り当てられる。
【0127】
図19の例では、デバイス1に割り当てられた属性データ送信用の1ユニット長さ経過後の1ユニット長さは、デバイス2に割り当てられている。デバイス2は、自身に割り当てられた1ユニット長さの期間に自身の属性データを送信し、電力線上にデータ信号として重畳させる。他のデバイス(デバイス0、デバイス1、デバイス3等)は、このデバイス2から送信された属性データを受信可能である。特に、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、デバイス2がデバイス1に次ぐデバイスとして割り当てられていること、及びデバイス2の属性を認識する。従って、このデバイス2からの属性データは、デバイス2が他のデバイスに自身の存在を通知する通知信号の役割を果たしている。以下、デバイス3についても同様である。
【0128】
各デバイスは、電力配線ネットワーク装置1から切り離されるまで、自身に割り当てられたタイミングで属性データを出力し続ける。
【0129】
なお、スロット1における属性データの割り当て領域が不足する場合には、他のスロット領域に拡張してもよい。
【0130】
次に、各デバイスが属性データを送信するタイミングの割り当てについて図20を用いて説明する。図20は、図の上部に示すように、電力線上にネットワーク管理デバイス100(デバイス0)と、デバイス1のみが接続されている状態から、デバイス2が新たに接続されたときの動作を示している。図20に示すように、デバイス2が接続された後の1回目の同期信号S1出力後には、デバイス1の属性データのみが電力線上に送信されている。ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、同期信号S1出力後にデバイス1の属性データのみを検出したことから、ネットワーク上にデバイス1のみが接続されていると認識する。新たに接続されたデバイス2は、自身が接続された後の1回目の同期信号S1受信後に、デバイス1の属性データのみを受信すると共に、デバイス1の属性データの次のユニットが無信号期間であることを検出する。デバイス2は、2回目の同期信号S1を受信し、更にデバイス1の属性データを受信した次のユニットである無信号期間において、自身(デバイス2)の属性データを送信する。ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、デバイス1の属性データの次のユニットにおいてデバイス2の属性データを受信し、ネットワーク上にデバイス1に加えてデバイス2が接続されていると認識する。
【0131】
このように、新たにネットワークに接続されたデバイス(上記の例ではデバイス2)は、同期信号S1を受信した後のS1に最も近い無信号期間(但し、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)に割り当てられている同期信号S1直後の1ユニット期間を除く)を検出し、その無信号期間を自身の属性データ送信期間として占有する。ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、新たに接続されたデバイス(上記の例ではデバイス2)からの属性データを新たに受信することで新たに接続されたデバイスを認識する。
【0132】
なお、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)が動作中にデバイス1以降のデバイスが未接続となった場合は、そのデバイスの属性データ送信期間は無信号期間となるが、その後に新たに接続されたデバイスが、当該無信号期間を検出して、自身の属性データ送信期間として新たに占有する。
【0133】
また、図20の上部に示すように、デバイスが挿入されるコネクタ位置と、デバイス番号とは対応していない。このデバイス番号は、各デバイスがスロット1内に無信号期間を検出したときに、S1に最も近い無信号期間を自身の属性データ送信期間として占有し、当該無信号期間のスロット1内における時間位置に対応するデバイス番号を取得する。但し、ネットワーク管理デバイス100には常にデバイス0が割り当てられる。
【0134】
本実施形態では、各デバイスの属性データは、固定長変調データとして構成されている。このように固定長変調データとすることで、各デバイスは、同期信号S1を受信した後に検出した固定長さの無信号期間を、自身の固定長さの属性データ送信期間として占有することができる。また、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、属性データが固定長であることから、同期信号S1を受信した後の経過時間のみから、各属性データがいずれのデバイス番号のものであるかを特定することができる。
【0135】
図21は、図20に示した状態からデバイス1のみが未接続となった状態を示している。図21に示すタイミングチャートにおいて、1回目の同期信号S1を送信した後において、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、デバイス1の属性データ及びデバイス2の属性データを共に受信し、デバイス1及びデバイス2がネットワーク上に存在していると認識する。しかし、図21における2回目の同期信号S1を送信した後においては、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、デバイス2の属性データしか受信することができないため、デバイス1はネットワーク上に存在していないと認識する。しかし、デバイス2はネットワーク上に存在していると認識するため、デバイス2とのデータの送受信を継続する。
【0136】
図22は、図の上部に示すように、電力線上にネットワーク管理デバイス100(デバイス0)、及びデバイス1~3が接続されている状態において、同期信号S2を受信した後にコマンドコードが送受信されると共に、同期信号S3を受信した後にステータスコードが送受信されている様子を示している。なお、デバイス1~3は、ネットワーク管理デバイス100以外のデバイスであり、デバイス3は負荷要素70としてのラジオデバイス400を想定している。また、図22においてデバイス1,2のタイミングチャートは省略している。
【0137】
図22の上部に示すネットワークでは、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)と、デバイス1~3とが接続されているため、同期信号S1の送信後(スロット1)における電力線上には各デバイス1~3からの属性データが重畳されている。同期信号S1が送信された後、4095ユニット長が経過すると、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)から同期信号S2が送信され、電力線上に重畳される。
【0138】
各デバイスが送信する(本実施形態ではネットワーク管理デバイス100(デバイス0)が送信する)コマンドコードは、同期信号S2が出力された後の4095ユニット長さの領域(すなわち、スロット2)に割り当てられ、その時間領域においてネットワーク管理デバイス100(デバイス0)から送信される。図22の例では、同期信号S2が送信された後、3ユニット目の時間位置においてネットワーク管理デバイス100(デバイス0)から2ユニット長のコマンドが送信されている。表2に、コマンド情報の一例を示す。
【0139】
【表2】
【0140】
項目「コマンド送信先」は、コマンドの宛先をデバイス番号で指定するものである。項目「コマンド割り当てユニット番号」は、コマンドをスロット2における何ユニット目に送信するかを指定するものである。「コマンド長さ」は、コマンドの長さをユニット数で指定するものである。「コマンドコード」は、各デバイスに対する命令(制御情報)に対応するコードであり、可変長データである。「コマンドパラメータ」は、コマンドに付随するパラメータをコマンドと同時に送信するものである。表2の例では、デバイス3に対してコマンドを送信し、コマンドはスロット2の3ユニット目に送信され、コマンド長さは2ユニットであり、コマンドコードは「0800h」である。
【0141】
本実施形態において、ラジオデバイス400に対して送信可能なコマンドとしては、例えば「電源オン」、「電源オフ」、「AM選択」、「FM選択」、「音量調整」等である。また、コマンドとして「AM選択」又は「FM選択」を送信する場合、コマンドパラメータを併せて送信することで選局周波数を上昇させたり下降させたりすることができる。また、コマンドとして「音量調整」を送信する場合、コマンドパラメータを併せて送信することで、音量を上げたり下げたりすることができる。
【0142】
上述のように、本実施形態ではコマンド長さを変えることができる。すなわち、デバイスの制御情報を有するコマンドコードを可変長データとして送信することができる。したがって、デバイスに対する命令(制御情報)の種類等に応じて柔軟に対応することができるほか、複数の回路要素で電力線通信環境を効率的に共有することができる。
【0143】
同期信号S2が送信された後、4095ユニット長が経過すると、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)から同期信号S3が送信され、電力線上に重畳される。
【0144】
各デバイスが送信するステータスコードは、同期信号S3が出力された後の4095ユニット長さの領域(すなわち、スロット3)に割り当てられ、その時間領域において各デバイス(図22の例ではデバイス0~デバイス3)から送信される。図22の例では、同期信号S3が送信された後、3ユニット目の時間位置においてデバイス3から2ユニット長のステータスコードが送信されている。表3に、ステータス情報の一例を示す。
【0145】
【表3】
【0146】
項目「ステータス送信元」は、ステータス情報の送信元をデバイス番号で指定するものである。項目「ステータス割り当てユニット番号」は、ステータス情報をスロット3における何ユニット目に送信するかを指定するものである。「ステータス長さ」は、ステータスの長さをユニット数で指定するものである。「ステータスコード」は、各デバイスからのステータス情報に対応するコードであり、可変長データである。「ステータスパラメータ」は、ステータスに付随するパラメータをステータスと同時に送信するものである。表3の例では、デバイス3からステータスが送信され、ステータスはスロット3の3ユニット目に送信され、ステータス長さは2ユニットであり、ステータスコードは「0800h」である。
【0147】
本実施形態において、各デバイスから送信可能なステータスとしては、例えば「正常実行」、「実行エラー」等である。また、ステータスが「実行エラー」である場合に、ステータスコードと同時にステータスパラメータとしてエラーコードを送信してもよい。
【0148】
上述のように、本実施形態ではステータス長さを変えることができる。すなわち、デバイスのステータス情報を有するステータスコードを可変長データとして送信することができる。したがって、デバイスのステータスの種類等に応じて柔軟に対応することができるほか、複数の回路要素で電力線通信環境を効率的に共有することができる。
【0149】
図23A及び図23Bは、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)とラジオデバイス400(デバイス3)との間のコマンド及びステータスの送受信の流れを示すフローチャートである。
【0150】
ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、制御部101の初期化等の初期設定を行った(ステップS101)後、同期信号S1を送信する(ステップS103)。同期信号S1を送信した後、ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、スロット1における他のデバイスからの属性データの有無を判定し(ステップS105)、属性データが存在すると判定すると、スロット1内の全ての属性データを受信する(ステップS107)。なお、ステップS105において属性データが無いと判定した場合には、属性データの受信は行わない。
【0151】
ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、同期信号S1の送信の後、4095ユニット長さ経過後に同期信号S2を送信する(ステップS109)。同期信号S2の送信によりスロット1からスロット2へと移行し、コマンドの送受信が可能となる。ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、無線通信部105経由で外部機器700からのユーザコマンドの有無を確認し(ステップS111)、ユーザコマンドの存在を確認した場合には、ユーザコマンドに対応するデバイス3向けの電力線通信コマンドをスロット2に送信する(ステップS113)。
【0152】
ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、同期信号S2を送信した後、4095ユニット長さ経過後に同期信号S3を送信する(ステップS115)。同期信号S3の送信によりスロット2からスロット3へと移行し、ステータスの送受信が可能となる。ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、スロット3の間、すなわち同期信号S3を送信した後4095ユニット長さ経過するまでステータスを監視する。ネットワーク管理デバイス100(デバイス0)は、ステータスを検出すると(ステップS117)、ステータスを受信するとともに、当該ステータス情報を無線通信部105経由で外部機器700に送信する(ステップS119)。
【0153】
一方、ラジオデバイス400(デバイス3)は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bを他の回路要素と接続することで電力線に接続されると(ステップS201)、スロット1における無信号期間を探索する(ステップS203)。ラジオデバイス400(デバイス3)は、無信号期間を検出すると、同期信号S1を受信した後のS1に最も近い無信号期間を自身の属性データ送信期間として占有し、当該無信号期間の時間位置に対応するデバイス番号を取得し、自身のデバイス番号に決定する(ステップS205)。
【0154】
ラジオデバイス400(デバイス3)は、次回に同期信号S1を受信すると、同期信号S1後の自身の属性データ送信期間として占有している時間位置において自身の属性データを送信する(ステップS207)。また、それ以降も、スロット1における自身の属性データ送信期間として占有している3番目のユニット位置を探索し(ステップS209)、自身の属性データを送信する(ステップS211)。
【0155】
ラジオデバイス400(デバイス3)は、自身の属性データを送信した後のスロット2において、自身宛てのコマンドの有無を監視する(ステップS213)。自身宛てのコマンドであるか否かの確認は、表2の項目「コマンド送信先」に自身のデバイス番号が指定されているか否かによって行う。ラジオデバイス400(デバイス3)は、自身宛てのコマンドを検出すると、当該コマンドを受信し、スロット3においてコマンド実行結果をステータスとして送信する(ステップS215)。
【0156】
以上のように、本実施形態では、第1コネクタ20aと、第2コネクタ20bと、第1コネクタ20aと第2コネクタ20bとを電力供給可能に導通させる導電部40とを有する回路要素を複数備え、複数の回路要素は、環境発電による電力を第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから出力可能な回路要素としての環境発電要素60と、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bから入力される電力を消費可能な回路要素としての負荷要素70とを含み、複数の回路要素は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bを介して機械的かつ電気的に着脱可能であり、環境発電要素60、及び負荷要素70の少なくとも一部は、第1コネクタ20a、第2コネクタ20b及び導電部40を含む電力線を介した電力線データ通信が可能であるように構成した。このような構成を採用することによって、インフラストラクチャーを整備することなく、携帯性に優れた電力ネットワークを構築することが可能となる。
【0157】
また、本実施形態では、環境発電要素60(環境発電デバイス200)は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bを介してデータを送信するデータ送信部220を有するように構成した。このような構成を採用することによって、環境発電要素60がネットワークに接続されていることをデータ送信部220経由で他の回路要素に通知することができる。また、環境発電要素60の状態を他の回路要素に送信することができるので、環境発電要素60からの発電電力を効率的に利用することができる。
【0158】
また、本実施形態では、負荷要素70の少なくとも1つ(ネットワーク管理デバイス100)は、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bを介してデータを送信するデータ送信部120、及びデータを受信するデータ受信部140を有するように構成した。このような構成を採用することによって、負荷要素70がネットワークに接続されていることをデータ送信部120経由で他の回路要素に通知することができる。また、負荷要素70は、データ受信部140経由でコマンドを受信することができるので、利用者が電力線通信によって負荷要素70を操作することが可能となる。
【0159】
また、本実施形態では、データ送信部120,220は、送信データをデジタル変調した信号を、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bを介して電力線に重畳することで、他の回路要素に送信可能であるように構成した。このような構成を採用することによって、電力配線ネットワークを用いた高速通信が可能となる。
【0160】
また、本実施形態では、データ受信部140は、電力線に重畳されたデジタル変調された信号を、第1コネクタ20a及び/又は第2コネクタ20bを介して受信し、復調して受信データを生成するように構成した。このような構成を採用することによって、電力配線ネットワークを用いた高速通信が可能となる。
【0161】
また、本実施形態では、負荷要素70の少なくとも1つ(ネットワーク管理デバイス100)は、環境発電要素60又は負荷要素70が他の回路要素に自己の存在を通知する通知信号の発生タイミングを決定するための同期信号S1を生成し、同期信号S1を他の回路要素に送信可能であるように構成した。このような構成を採用することによって、ネットワーク管理デバイス100がネットワーク内の回路要素を容易に検出することができる。
【0162】
また、本実施形態では、環境発電要素60又は負荷要素70は、同期信号S1を受信し、同期信号S1を基準とするスロット1内の所定の期間において信号が無いことを検出した場合に、自己の通知信号を所定の期間において他の回路要素に送信するように構成した。このような構成を採用することによって、ネットワークの動作中に回路要素が追加されても、状況に応じた安定した通信が可能となる。また、ネットワークの動作中に回路要素が取り去られた場合でも、ネットワーク管理デバイス100が当該回路要素の削除を容易に検出することができる。
【0163】
また、本実施形態では、通知信号は、環境発電要素60又は負荷要素70の属性データを含み、属性データは固定長変調データであるように構成した。このような構成を採用することによって、各回路要素は、同期信号S1を受信した後に検出した固定長さの無信号期間を、自身の固定長さの属性データ送信期間として占有することができる。
【0164】
また、本実施形態では、負荷要素70の少なくとも1つ(ネットワーク管理デバイス100)は、環境発電要素60又は負荷要素70の制御情報を有する可変長データを送信するように構成した。このような構成を採用することによって、複数の回路要素で電力線通信環境を効率的に共有することができる。
【0165】
また、本実施形態では、環境発電要素60又は負荷要素70の少なくとも1つは、自己のステータス情報を有する可変長データを送信するように構成した。このような構成を採用することによって、複数の回路要素で電力線通信環境を効率的に共有することができる。
【0166】
また、本実施形態では、回路要素は、他の複数の回路要素間の導通及び非導通を切り換え可能なスイッチ要素90を含むように構成した。このような構成を採用することによって、電力線を、複数のローカルネットワークに分離したり、1つのネットワークに統合したりすることができる。従って、ローカルネットワークをまるごと他のネットワークに追加することが可能となる。また、複数のローカルネットワークを常に交流結合させておくことで、スイッチ要素90により互いの直流電力を遮断しつつ、互いにネットワーク通信可能となるように構成することができる。
【0167】
また、本実施形態では、スイッチ要素90は、データを送信するデータ送信部520、及びデータを受信するデータ受信部540を有するように構成した。このような構成を採用することによって、当該スイッチ要素90がネットワークに接続されていることをデータ送信部520経由で他の回路要素に通知することができる。また、スイッチ要素90は、データ受信部540経由でコマンドを受信することができるので、利用者が電力線通信によってスイッチ要素90を操作することが可能となる。
【0168】
また、本実施形態では、同期信号S1を生成可能な負荷要素70(ネットワーク管理デバイス100)は、更にBluetoothによる無線通信が可能であるように構成した。このような構成を採用することによって、利用者がスマートフォン等の外部機器700から無線通信でネットワーク管理デバイス100と通信することによって、電力配線ネットワークに接続された回路要素を利用することが可能となる。
【0169】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0170】
例えば、環境発電要素60において、コネクタ20が第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bを含むとして説明したが、コネクタ20は3つ以上であってもよい。
【0171】
また、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、例えば、オス型コネクタである。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bがオス型コネクタである場合、接続ケーブル50の第1外部コネクタ51a及び第2外部コネクタ51bはメス型コネクタである。しかし、この態様には限定されず、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bはメス型コネクタであってもよい。第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bがメス型コネクタである場合、接続ケーブル50の第1外部コネクタ51a及び第2外部コネクタ51bはオス型コネクタである。また、回路要素同士を直接接続する場合は、第1コネクタ20a及び第2コネクタ20bは、一方がオス型コネクタ、他方がメス型コネクタであってもよい。
【0172】
また、環境発電要素60は、逆電流防止部63を備えていなくてもよい。しかしながら、環境発電要素60が逆電流防止部63を備えていれば、他の環境発電要素60等の回路要素からの電流が環境発電部10又は外部の環境発電部65に流れ込むことを抑制できる点で好ましい。また、環境発電要素60は、出力電圧を一定に制御する電圧制御部を備えていてもよい。
【0173】
また、負荷要素70は、電圧制御部73を備えていなくてもよい。しかしながら、負荷要素70が電圧制御部73を備えていれば、環境発電要素60等の回路要素からの電力が負荷72又は外部の負荷75に例えば定格電圧を超えて入力されることを抑制できる点で好ましい。
【0174】
また、二次電池要素80は、電圧制御部84を備えていなくてもよい。しかしながら、二次電池要素80が電圧制御部84を備えていれば、二次電池82から入出力される電力の電圧を制御できる点で好ましい。
【0175】
また、二次電池要素80は、逆電流防止部85を備えていなくてもよい。しかしながら、二次電池要素80が逆電流防止部85を備えていれば、切替部83が給電状態である場合に、他の環境発電要素60等の回路要素からの電流が二次電池82に流れ込むことを抑制できる点で好ましい。
【0176】
また、負荷要素70、環境発電要素60、二次電池要素80及びスイッチ要素90は、任意に組み合わせることが可能である。例えば、負荷要素70(ネットワーク管理デバイス100)と環境発電要素60(環境発電デバイス200)とは、物理的に1つのデバイスとして構成されていてもよい。
【0177】
また、負荷要素70(ネットワーク管理デバイス100)は、図9の例では、制御部101、論理データ処理部103、無線通信部105、記憶部106が別の構成要素として構成されているが、この態様には限定されない。制御部101が他の構成要素(例えば論理データ処理部103)の機能の一部又は全てを実行可能なように構成してもよい。他の負荷要素70(ラジオデバイス400等)、環境発電要素60、二次電池要素80、スイッチ要素90等についても同様である。
【0178】
また、本実施形態(電力配線ネットワーク装置1)では、全ての回路要素が論理データ処理部103,203,503を有し、データ送受信機能を有するように構成したが、この態様には限定されない。電力線に接続される環境発電要素60、及び負荷要素70の少なくとも一部が電力線通信可能に構成されていればよい。
【0179】
また、本実施形態(電力配線ネットワーク装置1)では、負荷要素70(ネットワーク管理デバイス100)が無線通信部105を有するように構成したが、この態様には限定されず、無線通信部105を有しない構成としてもよい。また、無線通信部105は、BluetoothやWi-Fiに限定されず、基地局を介した無線通信に対応したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本開示によれば、インフラストラクチャーを整備することなく、携帯性に優れた電力ネットワークを構築することが可能な電力配線ネットワーク装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0181】
1 電力配線ネットワーク装置
10 環境発電部
11 表面
12 裏面
13 縁部
16 太陽電池パネル
17 取り出し電極
17a 第1取り出し電極
17b 第2取り出し電極
20 コネクタ
20a 第1コネクタ
20b 第2コネクタ
21 接続部
30 剛性部材
31 表面
32 裏面
40 導電部
50 接続ケーブル
51 外部コネクタ
51a 第1外部コネクタ
51b 第2外部コネクタ
52 導電部材
60,60a,60b 環境発電要素
63 逆電流防止部
64 発電部接続用コネクタ
65 外部の環境発電部
66 コネクタ
70,70a,70b 負荷要素
72 負荷
73 電圧制御部
74 負荷接続用コネクタ
75 外部の負荷
76 コネクタ
80 二次電池要素
82 二次電池
83 切替部
84 電圧制御部
85 逆電流防止部
90 スイッチ要素
93 切替部
100 ネットワーク管理デバイス
101 制御部
103 論理データ処理部
105 無線通信部
106 記憶部
107 ROM
108 RAM
109 FlashROM
110 送受信データ処理部
111 デバイス属性情報発生部
112 コマンド情報発生部
113 ステータス情報発生部
115 送信データ発生部
116 受信データ記憶部
117 受信データ解析部
118 デバイス制御情報発生部
120 データ送信部(第2送信部)
121 送信データ変調部
122 信号レベル調整器
130 タイミング生成器
132 変調周波数発生器
134 分周器
140 データ受信部(受信部)
141 信号レベル調整器
142 受信データ復調部
150 同期信号発生部
151 同期信号発生器
152 信号レベル調整器
170 フィルタ
200 環境発電デバイス
201 発電部
203 論理データ処理部
210 送受信データ処理部
211 デバイス属性情報発生部
212 コマンド情報発生部
213 ステータス情報発生部
216 受信データ記憶部
217 受信データ解析部
218 デバイス制御情報発生部
220 データ送信部(第1送信部)
221 送信データ変調部
222 信号レベル調整器
230 タイミング生成器
231 信号レベル調整器
232 同期信号検出器
233 電圧制御発振器
234 分周器
235 位相比較器
236 ローパスフィルタ
240 データ受信部
241 信号レベル調整器
242 受信データ復調部
270 フィルタ
300 二次電池デバイス
301 電池部
400 ラジオデバイス
401 ラジオ部
500 遮断/導通デバイス
501 制御部
503 論理データ処理部
505 I/O処理部
506 記憶部
507 ROM
508 RAM
510 送受信データ処理部
511 デバイス属性情報発生部
512 コマンド情報発生部
513 ステータス情報発生部
515 送信データ発生部
516 受信データ記憶部
517 受信データ解析部
518 デバイス制御情報発生部
520 データ送信部(第2送信部)
521 送信データ変調部
522 信号レベル調整器
530 タイミング生成器
540 データ受信部
541 信号レベル調整器
542 受信データ復調部
570 フィルタ
700 外部機器
A 第1方向
B 第2方向
C 厚み方向
S1,S2,S3,S4 同期信号
T1 環境発電部の厚み
T2 コネクタの厚み
T3 剛性部材の厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B