(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】水中油型クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20231024BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20231024BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20231024BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231024BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A61K8/891
A61Q1/14
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/31
(21)【出願番号】P 2019140765
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2019074793
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592106155
【氏名又は名称】ジェイオーコスメティックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 純也
(72)【発明者】
【氏名】神崎 康枝
(72)【発明者】
【氏名】ファン ソン タイン
(72)【発明者】
【氏名】宮野 淳
(72)【発明者】
【氏名】菊永 さゆり
(72)【発明者】
【氏名】堀 誠司
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-203026(JP,A)
【文献】特開2014-040512(JP,A)
【文献】特開2014-040511(JP,A)
【文献】特開2011-149017(JP,A)
【文献】特開2011-148784(JP,A)
【文献】特開2017-178930(JP,A)
【文献】特開2016-185932(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125332(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00~8/99
A61Q 1/00~90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)50℃で液状のカルボン酸変性シリコーン
を化粧料の全質量に対して0.1~15質量%、
(B)油剤を化粧料の全質量に対して3~80質量%、
(C)水
を化粧料の全質量に対して25~90質量%、及び
(D)塩基性化合物
を化粧料の全質量に対して0.01~2.5質量%
含み、
前記(A)カルボン酸変性シリコーンが、下記構造式(1):
【化1】
(式中、
Rcは、一般式:-R
1
-(OR
2
)p-(O)w-R
3
-COOH(R
1
は炭素数2~22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
2
は炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
3
は結合手(-)又は炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を表し、pは0を表し、wは0を表す)で示されるカルボキシル基含有有機基を表し、
Rは、同一又は異なり、炭素数1~22のアルキル若しくはアルコキシ基又はフェニル基を表し、
R´は、Rc又はRであり、
a、bは各々0又は正の数であり、a+bは0~30の範囲の数であり、bが0のとき、R´の少なくとも一方はRcである。)で表され、
前記(A)50℃で液状のカルボン酸変性シリコーン以外のイオン性界面活性剤の含有量が化粧料の全質量に対して10質量%以下である水中油型クレンジング化粧料。
【請求項2】
前記(A)カルボン酸変性シリコーンが室温(25℃)で液状である、請求項
1に記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項3】
前記(A)カルボン酸変性シリコーンが、下記構造式(2):
【化2】
(式中、
Rcは、一般式:-R
1-(OR
2)p-(O)w-R
3-COOH(R
1 は炭素数2~22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
2 は炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
3は結合手(-)又は炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を表し、pは
0を表し、wは
0を表す)で示されるカルボキシル基含有有機基を表し、
Rは、同一又は異なり、炭素数1~22のアルキル若しくはアルコキシ基又はフェニル基を表し、
R´は、Rc又はRであり、
a、bは各々正の数であり、a+bは2~20の範囲の数であり、a/bは0.3~3.0の範囲である。)で表される、請求項1
又は2に記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項4】
前記(A)カルボン酸変性シリコーンを化粧料の全質量に対して
0.5~
10質量%の範囲で含む、請求項1乃至
3のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項5】
前記(B)油剤が炭化水素油、シリコーン油および脂肪酸エステルから選ばれる1種類以上である、請求項1乃至
4のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項6】
前記(C)水を化粧料の全質量に対して
30~
80質量%の範囲で含む、請求項1乃至
5のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料
。
【請求項7】
pHが6.0~9.5である、請求項1乃至
6のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項8】
(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1乃至
7のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項9】
(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及び脂肪酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される、請求項
8に記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項10】
前記(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤を化粧料の全質量に対して0.1~8質量%の範囲で含む、請求項
8又は
9に記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項11】
(F)不溶性粒子を更に含む、請求項1乃至
10のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項12】
前記(F)不溶性粒子を化粧料の全質量に対して10質量%以下の範囲で含む、請求項
11に記載の水中油型クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続水相及び不連続油相からなる水中油型のクレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
肌上の化粧や汚れを落とすクレンジング化粧料は、いわゆる界面活性剤型と溶剤型に大別される。界面活性剤型は、界面活性剤の洗浄作用によって化粧や汚れを除去するタイプである。このタイプは、クレンジング化粧料を手に取り水を加えて泡立てて肌に塗布し、化粧や汚れを洗い落すもので、油膜感が残らなく、後肌がさっぱりしている。溶剤型は、溶剤の溶解作用によって化粧や汚れを除去するタイプである。このタイプは、クレンジング化粧料を手に取りそのまま肌に塗布して、化粧や汚れをクレンジング料に溶解・分散させ、その後これを拭き取ったり、水洗して洗い流すものである(森、鶴見「化粧品の有用性」66-81頁、薬事日報社、2001年)。近年メイクアップ化粧料や日焼け止め化粧料において耐水性の向上は著しく、このような強固なメイク汚れを充分に除去するには、溶剤型のクレンジング料が適するので、このタイプのクレンジング化粧料が種々開発されている。溶剤型のクレンジング化粧料としては、油剤を主成分とするオイルクレンジング化粧料が汎用されている。しかし、オイルクレンジング化粧料は使用中及び使用後のべたつき等があり、使用感が悪いという問題があった。
【0003】
そこで、油剤と共に水を含む、水中油型のクレンジング化粧料も提供されている。水中油型クレンジング化粧料は塗擦時の水分蒸散によりO/W型からW/O型に転相することにより油性のメイク汚れになじみ、汚れを除去するものであるが、転相までに時間がかかるためメイク汚れとのなじみが遅く、また転相を起こしやすくするために油分を高配合した場合は、安定性および使用感が低下するという問題があった。また、水中油型クレンジング化粧料は、オイルクレンジング化粧料に比べ、一般に、メイク落とし効果が低いという問題もある。
【0004】
また、特開2009-185144号公報には、カルボン酸変性シリコーンを用いた洗浄料が示されているが、具体的に開示されているのは、アニオン性界面活性剤を多量に配合し、油剤をほとんど含まない泡立つタイプの界面活性剤型洗浄料であり、メイク落しを主目的する溶剤型クレンジング化粧料とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メイク汚れに素早くなじみ、メイク落とし効果が高く、安定性にも優れる水中油型クレンジング化粧料を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、下記の成分:
(A)50℃で液状のカルボン酸変性シリコーン、
(B)油剤を化粧料の全質量に対して3~80質量%、
(C)水、及び、
(D)塩基性化合物
を含み、前記(A)50℃で液状のカルボン酸変性シリコーン以外のイオン性界面活性剤の含有量が化粧料の全質量に対して10質量%以下である、水中油型クレンジング化粧料によって達成される。
【0008】
前記(A)カルボン酸変性シリコーンは、下記構造式(1):
【化1】
(式中、
Rcは、一般式:-R
1-(OR
2)p-(O)w-R
3-COOH(R
1 は炭素数2~22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
2 は炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
3は結合手(-)又は炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を表し、pは0~200の数を表し、wは0又は1の数を表す)で示されるカルボキシル基含有有機基を表し、
Rは、同一又は異なり、炭素数1~22のアルキル若しくはアルコキシ基又はフェニル基を表し、
R´は、Rc又はRであり、
a、bは各々0又は正の数であり、a+bは0~30の範囲の数であり、bが0のとき、R´の少なくとも一方はRcである。)で表されるものであることが好ましい。
【0009】
また、前記(A)カルボン酸変性シリコーンは室温(25℃)で液状であることが好ましい。
【0010】
そして、前記(A)カルボン酸変性シリコーンは、下記構造式(2):
【化2】
(式中、
Rcは、一般式:-R
1-(OR
2)p-(O)w-R
3-COOH(R
1 は炭素数2~22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
2 は炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
3は結合手(-)又は炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を表し、pは0~200の数を表し、wは0又は1の数を表す)で示されるカルボキシル基含有有機基を表し、
Rは、同一又は異なり、炭素数1~22のアルキル若しくはアルコキシ基又はフェニル基を表し、
R´は、Rc又はRであり、
a、bは各々正の数であり、a+bは2~20の範囲の数であり、a/bは0.3~3.0の範囲である。)で表されるものであることが好ましい。
【0011】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は前記(A)カルボン酸変性シリコーンを0.1~15質量%の範囲で含むことが好ましい。
【0012】
なお、本明細書中において「質量%」は「重量%」と同義であり、その基準は、特記しない限り、本発明の水中油型クレンジング化粧料の全質量(全重量)である。
【0013】
前記(B)油剤は炭化水素油、シリコーン油および脂肪酸エステルから選ばれる1種類以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は前記(C)水を25~90質量%の範囲で含むことが好ましい。
【0015】
本発明の水中油型クレンジング化粧料のpHは6.0~9.5であることが好ましい。
【0016】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤を更に含んでもよい。
【0017】
前記(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤はポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及び脂肪酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択されることが好ましい。
【0018】
本発明の水中油型クレンジング化粧料が(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤を更に含む場合、その配合量は0.1~8質量%の範囲であることが好ましい。
【0019】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は(F)不溶性粒子を更に含んでもよい。
【0020】
本発明の水中油型クレンジング化粧料が(F)不溶性粒子を更に含む場合、その配合量は10質量%以下とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は、メイク汚れに素早くなじみ、メイク落とし効果が高く、安定性にも優れる。なお、ここで「安定」とは、経時的に相分離を生じることなく、均一であることを意味する。
【0022】
また、本発明の水中油型クレンジング化粧料は、水を含んでいるために、さっぱりとした使用感を与えることができる。
【0023】
そして、本発明の水中油型クレンジング化粧料は、油剤を含むにもかかわらず、べたつきが少ない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明者らは鋭意検討の結果、50℃で液状のカルボン酸変性シリコーンを水中油型の組成物中に配合することにより、メイクアップの除去用途に好適で且つ安定なクレンジング化粧料を提供可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0025】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は、非使用時、すなわち、皮膚との非接触時には水中油型の形態であるが、皮膚と接触すると直ちに油中水型に転相し油中水型となる。これにより、メイクアップとのなじみが早く、メイクアップを良好に除去することができる。
【0026】
特に、本発明の水中油型クレンジング化粧料は、油相の量が比較的少ない場合であっても、皮膚に塗布すると直ちに転相が生じるので、メイクアップと素早くなじみ、メイクアップを良好に除去することができる。
【0027】
本発明の水中油型クレンジング化粧料はメイクアップ除去用であることが好ましい。本発明の水中油型クレンジング化粧料はメイクアップが施されていない皮膚の洗浄に使用される皮膚洗浄料ではないことが好ましい。
【0028】
以下、本発明の水中油型クレンジング化粧料について、更に詳細に説明する。
【0029】
[カルボン酸変性シリコーン]
本発明の化粧料は、少なくとも1種の、(A)50℃で液状のカルボン酸変性シリコーンを含む。前記(A)カルボン酸変性シリコーンを含むことにより、水中油型の安定な乳化状態を保ちながら、皮膚に塗布した際には、素早く油中水型に転相し、優れたメイク落とし効果を発揮する。なお、前記(A)カルボン酸変性シリコーンは50℃及び1気圧下で液状であればよく、例えば、室温(25℃)において固体であってもよい。
【0030】
本発明の化粧料に含まれる(A)カルボン酸変性シリコーンは、50℃で液状である限り、少なくとも1つのカルボキシル基含有有機基が側鎖又は末端に導入されたオルガノシロキサンであれば特に限定されない。好ましくは、カルボキシル基含有有機基はオルガノシロキサンの側鎖に導入される。
【0031】
したがって、(A)カルボン酸変性シリコーンとしては、シリコーン主鎖にカルボキシル基含有有機基がグラフトしたもの、シリコーン主鎖の片末端にカルボキシル基含有有機基が付加したもの、シリコーン主鎖の両末端にカルボキシル基含有有機基が付加したもの、シリコーン主鎖の両末端にカルボキシル基含有有機基が付加し、更にカルボキシル基含有有機基がグラフトしたもの、シリコーン主鎖にシリコーン鎖(シルアルキレン結合により結合したシロキサンマクロモノマーを含む)とカルボキシル基含有有機基がグラフトしたもの、シリコーン主鎖又は末端に、カルボシロキサンデンドリマー構造を有するシロキサン変性基とカルボキシル基含有有機基を有するもの、任意で更に、炭素原子数6以上の長鎖のアルキル基を有するもの等が挙げられる。最も好適には、シリコーン主鎖にカルボキシル基含有有機基がグラフトしたものが挙げられる。なお、(A)カルボン酸変性シリコーンが長鎖アルキル基を有することで、炭化水素油等の有機系油剤との配合安定性が改善される場合がある。
【0032】
カルボキシル基とケイ素原子の間には連結基が存在してもよく、当該連結基としては、ヘテロ原子を有してもよいアルキレン基、ポリオキシアルキレン基等の2価以上の有機基が挙げられるが、特に制限されるものではない。また、n価の連結基(nは3以上の数)により、(n-1)個のカルボキシル基がケイ素原子に結合したカルボン酸変性シリコーンであってもよい。具体的には、以下の連結基を介してカルボキシル基をシリコーンの主鎖又は側鎖に有するシリコーンが、本発明の(A)カルボン酸変性シリコーンに包含され
る。
【0033】
特表平11-504665号公報に記載の、下記のケイ素結合カルボキシル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン:
【化3】
(式中、RはC
1-C
12アルキレン基、C
1-C
12アルキレンオキシ基、酸素原子、硫黄原子、-NH-、-NR’-(R’はC
1-C
6アルキル基)又はこれらの組み合わせを含む二価基を示す)、
特開2002-114849号公報に記載の、以下のいずれかのカルボキシル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン:
【化4】
(式中、R
1~R
24は、同一又は異なって、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数2~22の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を示し、Xは-O-又はNH-を示し、Mは水素原子を示す)、
特表2005-524747号公報に記載の以下のカルボキシル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン:
【化5】
(式中、Bは、2~30個の炭素原子を有し、任意に、1~30個の炭素原子を有する1個以上のアルキル基によって置換されたアルキレン残基を表し、
R’は、水素原子、又は1~30個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
Eは、存在しないか、又は1~5個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を有し、
任意に、1~30個の炭素原子を有する1個以上のアルキル基によって置換されたアルキレン残基であり;Mは、水素原子である)、
特開2009-263643号公報に記載の、以下の平均組成式で表されるカルボキシル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン:
【化6】
[式中、R
1は炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数1~30のフロロアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基及び炭素原子数6~30のアラルキル基から選択される基であり、
R
2は下記式(2)で表される基であり、cが0の場合にはR
2は該オルガノポリシロキサンの少なくとも一の末端に結合されており、
【化7】
(式中、R
4は炭素原子数2~20の、酸素原子を有する若しくは有しない2価の炭化水素基であり、R
5は水素原子であり、R
6は、互いに独立に、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基であり、R
7は水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基である)
R
3は下記式(3)で表される基であり、
【化8】
(式中、R
2は上記のとおりであり、R
8は、互いに独立に、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数1~30のフロロアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基及び炭素原子数6~30のアラルキル基から選択される基であり、QはC
dH
2d(但し、dは1~5の整数、好ましくは2~4の整数)又は酸素原子であり、kは0~500、好ましくは1~100、より好ましくは5~60の整数であり、hは0~3の整数であり、好ましくは0である)。
【0034】
本発明において使用される(A)カルボン酸変性シリコーンとして、特に好適には、シリコーン主鎖の側鎖又は末端の少なくとも1つのケイ素原子が一般式:-R1-(OR2)p-(O)w-R3-COOH(式中、R1 は炭素数2~22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R2 は炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R3 は結合手(-)又は炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を表し、pは0~200の数を表し、wは0又は1の数を表す)で表わされるカルボキシル基含有有機基に結合したものが挙げられる。
【0035】
前記カルボキシル基含有有機基を表す一般式において、R1 は炭素数2~22の直鎖又は分岐鎖の、好ましくは炭素数2~12、特に好ましくは炭素数2~10の直鎖のアルキレン基であり、例えばエチレン、プロピレン、トリメチレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン基等が挙げられる。
【0036】
また、R2の炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキルレン基としては、例えばエチレン、プロピレン、トリメチレン、ブチレン基が挙げられ、特にエチレン基が好ましい。
【0037】
R3の炭素数1~22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、例えばメチレン、エチレン、エチルエチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン等の基を挙げることができ、中でも炭素数1~12、特にR1とR3の炭素数の和が2~22となるものが好ましい。
【0038】
pは0~200の数を示すが、0~20の数が好ましく、特に0~10の数が好ましい。また、wは0又は1の数を示すが、好ましくは0である。なお、p、wが共に0であるとき、当該カルボキシル基含有有機基は、構造式-(CnH2n)-COOHで示され、1個のカルボキシル基が、炭素数3~44の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を介してケイ素原子に結合する構造を有することが好ましい。なお、式中、nは3~44の数であり、3~20の数であることが好ましく、特に、3~16の数であることが好ましい。
【0039】
本発明において使用される(A)カルボン酸変性シリコーンとして、例えば、下記構造式(1):
【化9】
(式中、Rcは、前記一般式:-R
1-(OR
2)p-(O)w-R
3-COOHで示されるカルボキシル基含有有機基を表し、Rは、同一又は異なり、炭素数1~22のアルキル若しくはアルコキシ基又はフェニル基を表し、R´は、Rc又はRであり、a、bは各々0以上の範囲の数であり、a+bは0~1000の範囲の数である。但し、b=0のとき、R´の少なくとも一方はRcである。)で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。特に、特開平8-109263号公報に開示されたカルボン酸変性シリコーン、国際公開第2009/22621号等に開示されたカルボン酸変性シリコーンの一部(シロキサンデンドロン構造を有するもの以外)は、前記構造式(1)で表され、且つ、本発明において好適に使用されるカルボン酸変性シリコーンに含まれる。
【0040】
構造式(1)で表されるカルボン酸変性シリコーンであってより好適なものとしては、a+bが0~500の範囲の数であり、特にb>0であって、シリコーン主鎖に前記一般式:-R1-(OR2)p-(O)w-R3-COOHで示されるカルボキシル基含有有機基がグラフトしたカルボン酸変性シリコーン又はb=0であって、シリコーン主鎖の両末端のR´が、一般式:-R1-(OR2)p-(O)w-R3-COOHで示されるカルボキシル基含有有機基であるカルボン酸変性シリコーンが挙げられる。本発明において、特に好適なカルボン酸変性シリコーンは、側鎖部分に多数のカルボキシル基含有有機基を有するものであり、b>aであることが好ましく、より好適には、b>0かつa=0である。b>aとは、側鎖部分の半数より多くのシロキサン単位がカルボキシル基含有有機基を有するものであり、a+bが1~500の範囲の数であることが好ましい。また、a=0のとき、b>0であれば、側鎖部分のシロキサン単位は全てカルボキシル基含有有機基を有するものであり、bが1~200の範囲の数又は1~50の範囲の数であることが最も好ましい。
【0041】
構造式(1)において、Rは、メチル基、アルコキシ基又はフェニル基であることが好ましいが、炭化水素油等の有機系油剤との配合安定性の観点から、一部に炭素原子数6~22の長鎖アルキル基を有するものであっても良い。カルボキシル基含有有機基による変性率は、特に制限されるものではないが、a+bが0~500の範囲の数であれば、シリコーン主鎖の両末端にカルボキシル基含有有機基が結合する場合を含め、分子中に平均して2~100の前記カルボキシル基含有有機基を有することが好ましい。
【0042】
本発明において、かかるカルボン酸変性シリコーンは、公知の方法、例えばSi-H基を有するジメチルポリシロキサンと不飽和カルボン酸エステル化合物を白金触媒下で付加反応し、更にケン化により、カルボン酸にする方法;Si-H基を有するジメチルポリシロキサンと不飽和カルボン酸シリルエステル又はアリルオキシカルボン酸シリルエステルを白金触媒下で付加反応し、反応後加水分解にて目的物を得る方法;並びにビス(ヒドロキシカルボニルエチル)テトラメチルジシロキサンと環状シロキサン及び酸性触媒を用いて平衡化反応し、両末端カルボン酸変性シリコーンを得る方法(シリコーンハンドブック、伊藤邦雄編、日刊工業新聞社、166~167頁)等により製造することができる。
【0043】
また、本発明においては、構造式(1)で表されるカルボン酸変性シリコーンとして、カルボン酸変性シリコーンの市販品をそのまま、又は溶媒を除去して使用することもでき、その具体例としてはBY16-880、BY16-750、FZ-3516、ES-5800 Formulation Aid(ダウ・東レ株式会社製)、TSF 4770、TSF4771(株式会社モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製)、X-22-162A、X-22-162C、X-22-3701E、X-22-3710(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0044】
前記(A)カルボン酸変性シリコーンは、室温(25℃)で液状であることが好ましい。なお、前記(A)カルボン酸変性シリコーンは室温(25℃)及び1気圧下で液状であることが特に好ましい。
【0045】
前記(A)カルボン酸変性シリコーンは、下記構造式(2):
【化10】
(式中、
Rcは、一般式:-R
1-(OR
2)p-(O)w-R
3-COOH(R
1 は炭素数2~22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
2 は炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、R
3は結合手(-)又は炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を表し、pは0~200の数を表し、wは0又は1の数を表す)で示されるカルボキシル基含有有機基を表し、
Rは、同一又は異なり、炭素数1~22のアルキル若しくはアルコキシ基又はフェニル基を表し、
R´は、Rc又はRであり、
a、bは各々正の数であり、a≧2が好ましく、また、b≧2が好ましく、
a+bは2~20の範囲の数であり、2~15が好ましく、2~10がより好ましく、
a/bは0.3~3.0の範囲であり、0.3~2.5が好ましく、0.3~2.0がより好ましく、0.5~2.0が更により好ましい。)で表されるものがより好ましい。
【0046】
構造式(2)中の前記カルボキシル基含有有機基を表す一般式において、R1 は炭素数2~22の直鎖又は分岐鎖の、好ましくは炭素数2~12、特に好ましくは炭素数2~10の直鎖のアルキレン基であり、例えばエチレン、プロピレン、トリメチレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン基等が挙げられる。
【0047】
また、R2の炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキルレン基としては、例えばエチレン、プロピレン、トリメチレン、ブチレン基が挙げられ、特にエチレン基が好ましい。
【0048】
R3の炭素数1~22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、例えばメチレン、エチレン、エチルエチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン等の基を挙げることができ、中でも炭素数1~12、特にR1とR3の炭素数の和が2~22となるものが好ましい。
【0049】
pは0~200の数を示すが、0~20の数が好ましく、特に0~10の数が好ましい。また、wは0又は1の数を示すが、好ましくは0である。なお、p、wが共に0であるとき、当該カルボキシル基含有有機基は、構造式-(CnH2n)-COOHで示され、1個のカルボキシル基が、炭素数3~44の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を介してケイ素原子に結合する構造を有することが好ましい。なお、式中、nは3~44の数であり、3~20の数であることが好ましく、特に、3~16の数であることが好ましい。
【0050】
構造式(2)で表される前記(A)カルボン酸変性シリコーンは、少なくとも1つのカルボキシル基含有有機基が側鎖又は末端に導入されたオルガノシロキサンであれば特に限定されない。好ましくは、カルボキシル基含有有機基はオルガノシロキサンの側鎖に導入される。
【0051】
したがって、構造式(2)で表される前記(A)カルボン酸変性シリコーンとしては、例えば、シリコーン主鎖に側鎖としてカルボキシル基含有有機基がグラフトしたもの、シリコーン主鎖の片末端にカルボキシル基含有有機基が付加したもの、シリコーン主鎖の両末端にカルボキシル基含有有機基が付加したもの、シリコーン主鎖の両末端にカルボキシル基含有有機基が付加し、更にカルボキシル基含有有機基が側鎖としてグラフトしたもの、任意で更に、炭素原子数6以上の長鎖のアルキル基を有するもの等が挙げられる。最も好適には、シリコーン主鎖に側鎖としてカルボキシル基含有有機基がグラフトしたものが挙げられる。なお、(A)カルボン酸変性シリコーンが長鎖アルキル基を有することで、炭化水素油等の有機系油剤との配合安定性が改善される場合がある。
【0052】
構造式(2)で表される前記(A)カルボン酸変性シリコーンとしては、R´がRであり、且つ、シリコーン側鎖に前記一般式:-R1-(OR2)p-(O)w-R3-COOHで示されるカルボキシル基含有有機基がグラフトしたカルボン酸変性シリコーンが好ましく;R´がRであり、且つ、シリコーン側鎖に複数の前記カルボキシル基含有有機基を有するものがより好ましく;R´がRであり、シリコーン側鎖に複数の前記カルボキシル基含有有機基を有し、且つ、a/b=1であるものが更により好ましい。
【0053】
構造式(2)において、Rは、メチル基、アルコキシ基又はフェニル基であることが好ましいが、炭化水素油等の有機系油剤との配合安定性の観点から、一部に炭素原子数6~22の長鎖アルキル基を有するものであっても良い。
【0054】
本発明において、かかるカルボン酸変性シリコーンは、公知の方法、例えばSi-H基を有するジメチルポリシロキサンと不飽和カルボン酸エステル化合物を白金触媒下で付加反応し、更にケン化により、カルボン酸にする方法;Si-H基を有するジメチルポリシロキサンと不飽和カルボン酸シリルエステル又はアリルオキシカルボン酸シリルエステルを白金触媒下で付加反応し、反応後加水分解にて目的物を得る方法;並びにビス(ヒドロキシカルボニルエチル)テトラメチルジシロキサンと環状シロキサン及び酸性触媒を用いて平衡化反応し、両末端カルボン酸変性シリコーンを得る方法(シリコーンハンドブック、伊藤邦雄編、日刊工業新聞社、166~167頁)等により製造することができる。また、特に、本発明における好適なカルボン酸変性シリコーンとして、商品名 ES-5800 Formulation Aid (ダウ東レ株式会社製)等として上市されるものが挙げられる。
【0055】
本発明の化粧料は前記(A)カルボン酸変性シリコーンを化粧料の全質量に対して0.1~15質量%の範囲で含むことが好ましく、0.5~10質量%の範囲で含むことがより好ましく、1.0~5質量%の範囲で含むことが更により好ましい。前記(A)カルボン酸変性シリコーンの含有量が過度に少ない場合は、乳化物の安定性およびメイクの落としやすさの性能が低下し、過度に多い場合は、皮膚に適用しても油中水型への転相が起こりにくくなるため、メイク汚れとのなじみやすさが低下する。
[油剤]
本発明の化粧料は少なくとも1種の(B)油剤を含む。油剤は、本発明の化粧料中において油相を形成する。本発明の化粧料は、(B)油剤を含むことにより、メイクアップに対する良好な除去性能を発揮することができる。
【0056】
本発明における「油剤」は、化粧料の成分として一般に使用されるものであり、特に限定されるものではない。油剤は、通常は室温で液体であるが、ワックスのような固形であってもよく、後述する高粘度かつ粘稠なガム状或いはペースト状であってもよい。
【0057】
(B)油剤は、シリコーン油、フッ素系油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5~100℃で液状の少なくとも1種であることが好ましい。特に、(B)油剤が、炭化水素油、シリコーン油および脂肪酸エステルから選ばれる1種類以上であることが好ましい。
【0058】
シリコーン油は疎水性であり、その分子構造は、環状、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。シリコーン油の25℃における粘度は、通常、0.65~100,000mm2/sの範囲であり、0.65~10,000mm2/sの範囲が好ましい。
【0059】
シリコーン油としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。これらの中でも、揮発性の、直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0060】
より具体的には、直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(2mPa・sや6mPa・s等の低粘度~100万mPa・s等高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル-1,3-ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル-1,7-ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル-1,5-ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、ジメチコノール等が例示される。
【0061】
環状オルガノポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1-ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1-ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3-トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7-テトラ(3-メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(3-アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(3-カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(3-ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(p-ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ[3-(p-ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(N-アクリロイル-N-メチル-3-アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(N,N-ビス(ラウロイル)-3-アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例
示される。
【0062】
分岐状オルガノポリシロキサンとしては、メチルトリストリメチルシロキシシラン、エチルトリストリメチルシロキシシラン、プロピルトリストリメチルシロキシシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、フェニルトリストリメチルシロキシシラン等が挙げられる。
【0063】
フッ素系油としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等が例示される。
【0064】
非極性有機化合物及び低極性有機化合物としては、炭化水素油及び脂肪酸エステル油が好ましい。特に、炭化水素油が好ましい。
【0065】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ワセリン、n-パラフィン、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、スクワラン、スクワレン、プリスタン、ポリイソプレン等が例示される。
【0066】
脂肪酸エステル油としては、例えば、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、ジオイレイン酸プロピレングリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、N - ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2-ブチル-2-エチル-1、3-プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10 、デカ( エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル-8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸) グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α-ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、トウモロコシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、アボカド油、米胚芽油、小麦胚芽油、アルモンド油、大豆油、菜種油、胡麻油、ツバキ油、サザンカ油、パーシック油、オリーブ油、茶実油、シソ実油、ミンク油、ヒマシ油、アマニ油、月見草油、ボレッジ油、等が例示される。
【0067】
低極性有機化合物として、例えば、炭素原子数10~30の高級アルコールを使用することもできる。炭素原子数10~30の高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2-デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0068】
本発明の化粧料中の(B)油剤の配合量は、化粧料の全質量を基準として3~80質量%であり、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更により好ましく、15質量%以上が更により好ましく、また、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更により好ましく、40質量%以下が更により好ましい。本発明の化粧料中の(B)油剤の配合量は、化粧料の全質量を基準として、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、15~40質量%が更により好ましい。(B)油剤の配合量が過度に少ない場合には、メイク汚れとのなじみが遅くなり、メイク落とし性能も低下する傾向があり、過度に多い場合には、使用後にべたつきを感じる傾向がある。
【0069】
[水]
本発明の化粧料は(C)水を含む。水は、本発明の化粧料中において水相を形成する。
【0070】
本発明の化粧料中の(C)水の配合量は、特に限定されるものではないが、化粧料の全質量を基準として、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上が更により好ましく、また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更により好ましい。本発明の化粧料中の(C)水の配合量は、化粧料の全質量を基準として、25~90質量%が好ましく、30~80質量%がより好ましく、35~70質量%が更により好ましい。
【0071】
[塩基性化合物]
本発明の化粧料は少なくとも1種の(D)塩基性化合物を含む。
【0072】
本発明に用いられる(D)塩基性化合物は、水中に溶解した際に塩基性を示す化合物であれば特に限定されるものではなく、各種の無機化合物及び有機化合物を使用することができる。1種類又は2種類以上の(D)塩基性化合物を配合してもよい。
【0073】
有機化合物としては、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、アミノメチルプロパノール、アルギニン、グアニジン等が挙げられる。
【0074】
無機化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、アンモニア等が挙げられ、これらのうち、水酸化カリウムを特に好適に用いることができる。
【0075】
本発明の化粧料中の(D)塩基性化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、配合されるカルボン酸変性シリコーンに含まれるカルボン酸基1モルに対し1価の塩基の場合はカルボン酸基/1価の塩基(モル比)が1/0.5~1/1.5が好ましい。具体的には化粧料の全質量を基準として、0.01~2.5質量%が好ましく、0.05~2.0質量%がより好ましく、0.1~1.5質量%が更により好ましい。
【0076】
本発明の化粧料のpHは、酸性でもアルカリ性でもよいが、弱酸性~弱アルカリ性であることが好ましく、具体的には、6.0~9.5の範囲であることが好ましく、6.5~9.0の範囲がより好ましく、7.0~8.5の範囲が更により好ましい。
【0077】
本発明の化粧料のpHが弱アルカリ性の場合には、(A)カルボン酸変性シリコーンのカルボン酸変性部位がアニオン化することにより、(A)カルボン酸変性シリコーンが界面活性剤としての機能を良好に発揮することができる。
【0078】
本発明の化粧料中の(D)塩基性化合物は、あらかじめ本発明の化粧料中の(A)カルボン酸変性シリコーンと中和反応させ、カルボン酸変性シリコーン塩として化粧料に配合してもよい。
【0079】
[イオン性界面活性剤]
本発明の化粧料はイオン性界面活性剤を含むことができるが、イオン性界面活性剤を含む場合は、化粧料の全質量を基準として、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下である。イオン性界面活性剤の含有量が10質量%を越えると、本発明の化粧料を皮膚に塗布した際、水中油型から油中水型への転相が起こりにくくなり、メイク汚れとのなじみが遅くなる。ここでのイオン性界面活性剤は上記(A)カルボン酸変性シリコーンとは
異なる。
【0080】
前記イオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数10~20のアルキル基を有するカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、又はリン酸塩等のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができるが、上記(A)カルボン酸変性シリコーンと同様に皮膚に塗布した際、皮膚の中和能により中和され親水性を失うカルボン酸塩を使用することが好ましい。カルボン酸塩以外のイオン性界面活性剤は実質的に含まないことが好ましい。
【0081】
本発明において、上記「実質的に含まない」とは、本発明の化粧料の全質量の1質量%未満までは含むことができることを意味する。但し、その含有量は少ない方が有利であり、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
【0082】
[非イオン性界面活性剤]
本発明の化粧料は少なくとも1種の(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0083】
(E)非イオン性界面活性剤のHLBは5~13が好ましく、6~12がより好ましい。
【0084】
(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤は、補助乳化剤として機能することが可能である。したがって、本発明の化粧料が(E)成分を含む場合は、本発明の化粧料の安定性を更に向上させることができる。
【0085】
また、本発明の化粧料が(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤を含む場合は、本発明の化粧料を使用後に水又はぬるま湯で洗い流すことが容易となり、使用性が更に向上する。一方、本発明の化粧料が(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤を含まなくとも、本発明の化粧料は使用後に拭き取ることにより除去することができる。
【0086】
(E)成分として使用可能な非イオン性界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ポリグリセリル-4、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2等のポリグリセリン脂肪酸エステル;PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ステアリン酸PEG-5、イソステアリン酸PEG-6等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;セテス-2、オレス-2、ステアレス-15等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ステアリン酸ステアレス-12、イソステアリン酸ラウレス-10等の脂肪酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル;イソステアリン酸PEG-6グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、トリステアリン酸PEG-20グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル等のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル;イソステアリン酸PEG-20硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-20硬化ヒマシ油等の脂肪酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマーと長鎖アルコールとのエーテル、ポリブチレングリコールポリグリセリンコポリマーと長鎖アルコールのエーテル等が挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及び脂肪酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルを好ましく用いること
ができる。
【0087】
(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤が分子中に脂肪酸残基を有する場合、その脂肪酸残基としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等のような炭素数10~22の高級脂肪酸の残基であることが好ましい。市販品としては、例えば、「セチオールHE-JP」(ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル;BASF社製;HLB12)、「ユニオックスGT-20IS」(トリステアリン酸PEG-20グリセリル;日油社製;HLB10.4)「エマレックスPEIS-6EX」(イソステアリン酸PEG-6;日本エマルジョン社製;HLB9)、「エマレックスSWS-12」(ステアリン酸ステアレス-12;日本エマルジョン社製;HLB8)等が好適に用いられる。
【0088】
本発明の化粧料中の(E)HLBが4~14の非イオン性界面活性剤の配合量は、特に限定されるものではないが、化粧料の全質量を基準として、0.1~8質量%が好ましく、0.5~7質量%がより好ましく、1~6質量%が更により好ましい。
【0089】
[不溶性粒子]
本発明の化粧料は少なくとも1種の(F)不溶性粒子を含むことができる。(F)不溶性粒子は、油及び/又は水に不溶性であり、更に、油又は水に対して非膨潤性であることが好ましい。(F)不溶性粒子を含有することにより、例えば、スクラブ効果を得ることができる。また、(F)不溶性粒子を配合することにより、本発明の化粧料の安定性を向上させることもできる。(F)不溶性粒子の粒子径は1μm~200μmが好ましい。
【0090】
(F)不溶性粒子としては、本発明の化粧料中に安定に存在させることができるものであれば、球状、板状、紡錘状、針状、不定形等の粒子の形状や、多孔質、無孔質等の粒子の構造、無機物、有機物、天然物、合成物等の粒子の材質・起源等は特に限定されない。このような粒子としては、例えば、無機顔料、有機顔料、光輝性顔料、体質粉体、色素粉体、複合粉体、種子核粒・殻粒等が挙げられ、具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、コンジョウ、群青、無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、スメクタイト、ベントナイト、カオリン、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、アルミナ、炭化ケイ素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、アルミニウムパウダー、N-アシルリジン、ポリスチレン末、ナイロン末、ポリメチルメタクリレート末、ポリメチルシルセスキオキサン末、オルガノポリシロキサンエラストマー末、アンズ核粒、モモ核粒、クルミ殻粒等が例示される。特に、スクラブ剤として含有させる場合は、アンズ核粒、モモ核粒、クルミ殻粒等の種子核粒・殻粒が好ましい。なお、スクラブ剤として使用する場合は、(F)不溶性粒子は、カゼイン等のタンパク質粉末、小麦粉、キチン、キトサン等の多糖類粉末等、ポリエチレン末、ポリスチレン末、ナイロン末、結晶セルロース、有機変性粘土鉱物、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、デンプンアクリル酸ナトリウムグラフト共重合体、軽石、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸、ラポナイトコロイダルアルミナ、粘土鉱物、食塩、含水ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸アルミニウムカリウム、含水ケイ酸アルミニウム等でもよい。
【0091】
本発明の化粧料中の(F)不溶性粒子の配合量は、特に限定されるものではないが、化粧料の全質量を基準として、0.1~5質量%が好ましく、0.3~3質量%がより好ましく、0.5~1質量%が更により好ましい。
【0092】
[多価アルコール]
本発明の化粧料は少なくとも1種の(G)多価アルコールを含むことができる。
【0093】
(G)多価アルコールを含むことにより、本発明の化粧料の使用感を調整することができる。
【0094】
(G)多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール等を挙げることができ、これらの多価アルコールは単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの組み合わせが好ましい。
【0095】
本発明の化粧料中の(G)多価アルコールの配合量は、特に限定されるものではないが、好的には、化粧料の全質量を基準として、0.3~30質量%が好ましく、0.5~25質量%がより好ましく、1~20質量%が更により好ましい。
【0096】
[水溶性増粘剤]
本発明の化粧料は少なくとも1種の(H)水溶性増粘剤を含むことができる。
【0097】
(H)水溶性増粘剤としては、化粧料に汎用のものを使用することができる。(H)水溶性増粘剤としては、例えば、親水性の有機高分子を使用することができる。
【0098】
(H)水溶性増粘剤を含むことにより、本発明の化粧料の粘度、使用感を調整することができる上、保存安定性が更に向上する。
【0099】
(H)水溶性増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストリン、ベントナイト、変性バレイショデンプンやヒドロキシプロピルデンプンリン酸などのデンプン変性物等が挙げられ、好ましくは、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。これらの水溶性増粘剤は、単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0100】
本発明の化粧料中の(H)水溶性増粘剤の配合量は、特に限定されるものではないが、化粧料の全質量を基準として、0.01~5質量%が好ましく、0.05~2質量%がより好ましく、0.1~2質量%が更により好ましい。
【0101】
[任意成分]
本発明の化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の化粧料に使用されるその他の成分:例えば、(F)成分以外の粒子、(G)成分以外の保湿剤、(H)成分以外の増粘剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、(D)成分以外のpH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、生理活性成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を添加することができる。その他の成分は特に限定されるものではない。
【0102】
[製造方法]
本発明の化粧料は、(A)50℃で液状のカルボン酸変性シリコーン、所定量の(B)油剤、(C)水及び(D)塩基性化合物を混合することにより製造することができる。本発明の化粧料の製造工程は任意であり、前記各成分を混合して、(A)~(D)成分を含む水中油型クレンジング化粧料を調製できる限り、特に限定されない。必要に応じて、上記(E)~(H)成分からなる群から選択される少なくとも1種を更に混合してもよい。
【0103】
[使用方法]
本発明の化粧料は、クリーム状、ゲル状、液状のいずれの形態であってもよい、本発明の化粧料はメイクアップのクレンジング又は除去に使用することができる。
【0104】
本発明の化粧料による除去対象としてのメイクアップとしては、例えば、ファンデーション、マスカラ、口紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料によるものが挙げられる。本発明の化粧料は、水やお湯のみまたは洗顔セッケンや洗顔フォーム等の界面活性剤型洗浄料だけでは落としにくいメイクアップのクレンジングに好適である。
【0105】
本発明の化粧料は、好適には、皮膚に適用することにより、皮膚上のメイクアップの除去に使用することができる。したがって、本発明の化粧料は、好ましくは、水中油型皮膚クレンジング化粧料である。
【0106】
本発明の化粧料は、例えば、皮膚上の所定部位に塗布後、皮脂汚れやメイク汚れになじませた後、コットンや不織布等で拭き取って使用することができる。また、本発明の化粧料を皮膚上の所定部位に塗布後、皮脂汚れやメイク汚れになじませた後、水又はぬるま湯によって洗い流してもよい。本発明の化粧料は、皮脂汚れやメイク汚れになじませた後に、水又はぬるま湯によって洗い流せるものであることが好ましい。
【0107】
本発明の化粧料は、水中油型組成物の形態であり、連続相を構成する水が皮膚に直接接触するので、油剤を含むにもかかわらず、べたつきが少なく、また、みずみずしく、さっぱりとした使用感を、特に使用当初に、与えることができる。また、本発明の化粧料は、使用中に、油相と水相とが反転して、肌の上でオイルがとろけ出すような心地良い使用感を与えることができる。
【0108】
本発明の化粧料は、通常、ガラス製、プラスチック製等の適切な容器に入れて保存されるが、必要に応じて、予め担体に含浸させて拭き取り用シートの形態にすることもできる。担体は、化粧料を十分に含浸しうる素材からなるものであれば特段の限定はなく、例えば、紙、不織布、ガーゼ、脱脂綿、ウレタンシート、スポンジ薄片等が例示できる。これらの内では、そのもの自身に油性成分吸着作用を有する不織布が特に好ましい。また、化粧料の含浸割合は液体が滴下しない範囲の最大量であることが望ましく、その量は材質に依存するので、予備実験により容易に確認することができる。
【0109】
本発明の化粧料を含浸させたシートは、通常、多少の余分の化粧料とともに、密閉性が高く、且つ軽量な包装形態で包装される。このような包装形態の好ましい具体例は、アルミ層とポリエチレンテレフタレート層等の樹脂フィルムとを有するラミネートフィルム等である。
【0110】
本発明の化粧料は、安定であり、長期に亘って保存することができる。
【実施例】
【0111】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0112】
(合成例1)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコにウンデシレン酸トリメチルシリル230.67g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体0.042gを加え、70-80℃の範囲を保つように、下記一般式で表されるSi-Hシロキサン129.33gを滴下した。
【化11】
【0113】
滴下終了後、2時間、110℃で熟成した後、水素発生法によりSi-H結合の消失を確認した。低沸点分を減圧下、留去した。その後、脱イオン水90gを加え、還流下4時間熟成し、脱保護を行った。その後再び低沸点分を減圧下除去し、化合物1を得た。分析の結果、化合物1の化学構造は下記化学式で示されることが確認された。
【化12】
【0114】
(合成例2)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン100g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液0.02gを加え、70-100℃の範囲を保つように、ウンデシレン酸トリメチルシリル105gを滴下した。滴下終了後、2時間、110℃で熟成した後、水素発生法によりSi-H結合の消失を確認した。低沸点分を減圧下、留去した。その後、水を加え、還流下4時間熟成し、脱保護を行った。その後再び低沸点分を減圧下除去し、化合物2を得た。分析の結果、化合物2の化学構造は下記化学式で示されることが確認された。
【化13】
【0115】
(合成例3)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコにウンデシレン酸トリメチルシリル51.44g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3- テトラメチルジシロキサン錯体0.035gを加え、70-80℃の範囲を保つように、下記一般式で表されるSi-Hシロキサン128.56gを滴下した。
【化14】
【0116】
滴下終了後、2時間、110℃で熟成した後、水素発生法によりSi-H結合の消失を確認した。低沸点分を減圧下、留去した。その後、脱イオン水90gを加え、還流下4時間熟成し、脱保護を行った。その後再び低沸点分を減圧下除去し、化合物3を得た。分析の結果、化合物3の化学構造は下記化学式で示されることが確認された。
【化15】
【0117】
[実施例1~5及び比較例1~4]
表1及び表2に示す各成分を使用して下記製造方法により実施例1~5及び比較例1~4の組成物を製造した。表1及び表2中の各成分の配合量は、特記しない限り「質量%」(「重量%」)を表す。
【0118】
(製造方法)
(1)A相の成分を混合する。
(2)B相の成分を混合する。
(3)常温にて、A相の成分の混合物にB相の成分の混合物を少量ずつ添加し、ゲル状エマルションを調製する。
(4)上記ゲル状エマルジョンにC相の成分を混合して化粧料を調製する。
【0119】
【0120】
【0121】
クレンジング化粧料の評価
【0122】
[評価用液状口紅]
クレンジング化粧料のメイク落とし効果を評価するために、下記の成分名が表示されている市販の液状口紅(商品名 HUDABEAUTY社製LIQUID MATTE(色番WILD CHILD))を用いた。この製品は、揮発性油剤(イソドデカン、シクロペンタシロキサン)と皮膜形成樹脂(トリメチルシロキシケイ酸、ポリプロピルシルセスキオキサン)を含む、持続性が極めて高いタイプの液状口紅である。
(市販液状口紅LIQUID MATTEの表示成分)
「イソドデカン、シクロペンタシロキサン、ミツロウ、トリメチルシロキシケイ酸、ポリプロピルシルセスキオキサン、オクチルドデカノール、ジステアルジモニウムヘクトライト、マイカ、アルコール、エチルバニリン、フェノキシエタノール、香料、炭酸プロピレン、水、リン脂質、コーヒー種子エキス、オリーブ油、パルミチン酸アスコルビル、リノレイン酸、パルミチン酸レチノール、酢酸トコフェロール、リコピン、+/-酸化チタン、酸化鉄、RED6、RED27、YELLOW5、RED40、BLUE1」
【0123】
評価用液状口紅を5名の官能評価専門パネルの前腕内側に付属のアプリケータで直径2cmの円形に塗布し、30分間乾燥させた後、実施例1~5及び比較例1~4の各クレンジング化粧料の評価を行った。
【0124】
(1)なじみの早さ
実施例1~5及び比較例1~4の各クレンジング化粧料を小豆大の大きさで、口紅塗布部分に載せ、人差し指で回転させながら塗布口紅になじませるとき、塗布口紅全体が浮き上がりクレンジング化粧料になじんだ時の指を回転させた回数の5名の平均から、下記により判定した。
◎:10回未満
○:10回以上、15回未満
△:15回以上、20回未満
×:20回以上
【0125】
(2)メイク落ち
実施例1~5及び比較例1~4の各クレンジング化粧料を小豆大の大きさで、口紅塗布部分に載せ、人差し指で10回回転させて塗布口紅になじませた後、ぬるま湯で洗い流し、口紅の残り具合から下記により判定した。
◎:全く残らない
○:ほとんど残っていないが、痕跡程度の口紅の色が認められる
△:薄くなっているが口紅の色が残っている
×:明確に口紅の色が認められる
【0126】
(3)べたつきのなさ
上記のメイク落ち評価の後、肌のべたつきについて評価専門パネルに下記の3段階評価をしてもらい、5名の評点の合計から下記の判定基準により判定した。
(3段階評価)
べたつかない 評点2
ややべたつく 評点1
べたつく 評点0
(判定基準)
◎:評点の合計 9~10
○:評点の合計 6~8
△:評点の合計 3~5
×:評点の合計 2以下
【0127】
(4)安定性
実施例1~5及び比較例1~4の各クレンジング化粧料を30mLガラス瓶に入れ、50℃の恒温槽中で7日間保管し、乳化状態を観察し、以下の基準に従って保存安定性を評価した。
◎:変化なし
○:白さ、光沢がわずかに低下
△:見た目は均一だが粘度低下がある
×:クリーミング又は油相と水相の分離が見られる
結果を表1及び表2に示す。
【0128】
カルボン酸変性シリコーンを配合した実施例1~5のクレンジング化粧料は、素早くメイク汚れになじみ、洗い流し後のメイク落ちも良好であり、べたつきが抑制され、安定であった。一方、実施例1~5で使用したカルボン酸変性シリコーンに替えて通常の水中油型乳化に用いられる親水性非イオン界面活性剤(ラウリン酸ポリグリセリル-10)を用いた比較例1及び2のクレンジング化粧料は、メイク汚れとなじむのに時間がかかり、洗い流し後のメイク落ちも満足できるものではなかった。また、実施例1~5で使用したカルボン酸変性シリコーンに替えて(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを用いて乳化を行った比較例3はメイク落ち及び安定性の点で満足できるものではなかった。更に、実施例1~5で使用したカルボン酸変性シリコーンに替えてイソステアリン酸で乳化を行った比較例4はメイク汚れとのなじみは早かったものの、メイク落ちの点で満足できるものではなかった。