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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】移動体動線検出システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20231024BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G08G1/01 F
G01L5/00 101Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019154736
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021033763
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592145268
【氏名又は名称】JR東日本コンサルタンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宇史
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡村 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】岸 朔矢
(72)【発明者】
【氏名】岸本 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 三昭
(72)【発明者】
【氏名】栗原 一行
(72)【発明者】
【氏名】川端 一司
(72)【発明者】
【氏名】林 寛子
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-164020(JP,A)
【文献】特表2019-502212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の通行領域に並べて敷設された複数のセンサユニットを備えて該通行領域における該移動体の動線を検出する移動体動線検出システムであって、
前記センサユニットの各々は、床形成部材と、該床形成部材を支持し、且つ、前記移動体の移動によって前記床形成部材に加わる力に応じた検出値を出力するセンサとを備え、
前記複数のセンサユニットにおける学習用の前記移動体の位置及び該移動体の移動による前記力が伝搬するときに前記センサから出力された学習用の検出値を表す学習データから予め学習された位置検出用学習済みモデルと、前記センサから出力された検出値とに基づいて、前記複数のセンサユニットにおける前記移動体の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部にて検出された前記移動体の位置に基づいて、前記複数のセンサユニットにおける移動体の動線を検出する動線検出部とを備え
前記動線検出部は、
前記複数のセンサユニットにおける学習用の前記移動体の位置及び該移動体が移動したときの動線と、該移動体の移動による前記力が伝搬するときに前記センサから出力された学習用の検出値とを表す学習データから予め学習された動線検出用学習済みモデルと、
前記センサから出力された検出値とにも基づいて、前記移動体の動線を検出することを特徴とする移動体動線検出システム。
【請求項2】
前記移動体の属性を検出する属性検出部を更に備え、
前記属性検出部は、
前記複数のセンサユニットにおける学習用の前記移動体の位置、該移動体が移動したときの動線及び該移動体の属性と、該移動体の移動による前記力が伝搬するときに前記センサから出力された学習用の検出値とを表す学習データから予め学習された属性検出用学習済みモデルと、
前記センサから出力された検出値と、
前記位置検出部にて検出された前記移動体の位置と、
前記動線検出部にて検出された前記移動体の動線とに基づいて、前記移動体の属性を検出することを特徴とする請求項に記載の移動体動線検出システム。
【請求項3】
移動体の通行領域に並べて敷設された複数のセンサユニットを備えて該通行領域における該移動体の動線を検出する移動体動線検出システムであって、
前記センサユニットの各々は、床形成部材と、該床形成部材を支持し、且つ、前記移動体の移動によって前記床形成部材に加わる力に応じた検出値を出力するセンサとを備え、
前記複数のセンサユニットにおける学習用の前記移動体の位置及び該移動体の移動による前記力が伝搬するときに前記センサから出力された学習用の検出値を表す学習データから予め学習された位置検出用学習済みモデルと、前記センサから出力された検出値とに基づいて、前記複数のセンサユニットにおける前記移動体の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部にて検出された前記移動体の位置に基づいて、前記複数のセンサユニットにおける移動体の動線を検出する動線検出部とを備え
前記センサの検出値を前記力が発生した状態における全時間領域の出力波形としたことを特徴とする移動体動線検出システム。
【請求項4】
前記センサユニットを上面視した状態で、前記床形成部材が正方形状に形成され、且つ、前記センサの設置箇所が該正方形と相似形で同一中心位置に形成される仮想正方形の各頂点とされることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の移動体動線検出システム。
【請求項5】
前記仮想正方形の一辺の長さは、前記床形成部材の一辺の長さの約半分に設定されることを特徴とする請求項に記載の移動体動線検出システム。
【請求項6】
前記センサユニットを上面視した状態で、前記センサの設置箇所が前記床形成部材と同一中心位置に形成される仮想n角形(nは3以上の自然数)の各頂点とされることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の移動体動線検出システム。
【請求項7】
前記センサユニットは、前記センサの水平方向の移動を規制する位置規制部を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の移動体動線検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の通行領域における移動体の動線を検出する移動体動線検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歩行者等の移動体の移動経路を把握する移動経路追跡システムが開示されている。特許文献1のシステムは、通路の床に所定の密度で埋設された複数の圧力センサを備えている。圧力センサでは、通路を歩行する歩行者の通路に対する圧力を検出して出力しており、かかる出力に基づいて歩行者の移動経路を移動経路演算手段によって演算している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-164020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、例えば、複数のセンサ間での特性等にばらつきが生じた場合、歩行者(移動体)が移動した際の各センサにおける出力値の信頼性が低下し、ひいては、移動経路の演算における精度も低下する、という問題がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、移動体の動線を検出する精度を向上することができる移動体動線検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における一態様の移動体動線検出システムは、移動体の通行領域に並べて敷設された複数のセンサユニットを備えて該通行領域における移動体の動線を検出する移動体動線検出システムであって、前記センサユニットの各々は、床形成部材と、該床形成部材を支持し、且つ、移動体の移動によって前記床形成部材に加わる力に応じた検出値を出力するセンサとを備え、前記複数のセンサユニットにおける学習用の前記力の発生位置及び前記力が伝搬するときに前記センサから出力された学習用の検出値を表す学習データから予め学習された位置検出用学習済みモデルと、前記センサから出力された検出値とに基づいて、前記複数のセンサユニットにおける前記力の発生位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部にて検出された前記力の発生位置に基づいて、前記複数のセンサユニットにおける移動体の動線を検出する動線検出部とを備え、前記動線検出部は、前記複数のセンサユニットにおける学習用の前記移動体の位置及び該移動体が移動したときの動線と、該移動体の移動による前記力が伝搬するときに前記センサから出力された学習用の検出値とを表す学習データから予め学習された動線検出用学習済みモデルと、前記センサから出力された検出値とにも基づいて、前記移動体の動線を検出することを特徴とする。
また、本発明における一態様の移動体動線検出システムは、移動体の通行領域に並べて敷設された複数のセンサユニットを備えて該通行領域における移動体の動線を検出する移動体動線検出システムであって、前記センサユニットの各々は、床形成部材と、該床形成部材を支持し、且つ、移動体の移動によって前記床形成部材に加わる力に応じた検出値を出力するセンサとを備え、前記複数のセンサユニットにおける学習用の前記力の発生位置及び前記力が伝搬するときに前記センサから出力された学習用の検出値を表す学習データから予め学習された位置検出用学習済みモデルと、前記センサから出力された検出値とに基づいて、前記複数のセンサユニットにおける前記力の発生位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部にて検出された前記力の発生位置に基づいて、前記複数のセンサユニットにおける移動体の動線を検出する動線検出部とを備え、前記センサの検出値を前記力が発生した状態における全時間領域の出力波形としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、予め学習された位置検出用学習済みモデルに基づいて、移動体の移動による力の発生位置を位置検出部で検出するので、例えばセンサ間での特性等にばらつきがあっても、該発生位置の検出精度を良好に維持することができる。これにより、位置検出部の検出結果に基づき、動線検出部で検出する移動体の動線における精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態における移動体動線検出システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係るセンサユニットを模式的に示す分解斜視図である。
図3】実施の形態に係るセンサユニットの部分縦断面図である。
図4】実施の形態に係るセンサユニットの一部構成の概略分解斜視図である。
図5】実施の形態に係る通行領域の一例を示す平面図である。
図6】歩行者の歩行時における圧電素子の出力波形の一例を示すグラフである。
図7】実施の形態に係る学習処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
図8】実施の形態に係る位置検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
図9】実施の形態に係る動線検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
図10】実施の形態に係る属性検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
図11】第1変形例に係る通行領域の平面図である。
図12】第2変形例に係る通行領域の平面図である。
図13】第3変形例に係る通行領域の平面図である。
図14】第4変形例に係る通行領域の平面図である。
図15】第5変形例に係る通行領域の平面図である。
図16】第6変形例に係る通行領域の平面図である。
図17】第7変形例に係る通行領域の平面図である。
図18】第8変形例に係る通行領域の平面図である。
図19】第9変形例に係る通行領域の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。
【0010】
図1は、実施の形態における移動体動線検出システムの構成を示す図である。図1に示すように、移動体動線検出システム1は、複数のセンサユニット10と、検出装置20とを備えている。移動体動線検出システム1は、駅等の建築物の床面や屋外の舗装面等となる通行領域において、移動体となる歩行者や車椅子等(以下、単に「歩行者」とする)を検出対象とする。なお、移動体としては、動物やロボット等も例示できる。
【0011】
センサユニット10は、歩行者の通行領域に床面や地面に沿って複数並べて敷設される。複数のセンサユニット10では、歩行者の移動によって通行領域に加わる力を電気信号となる検出値(電圧値)に変換し、自己のID情報と関連付けた検出値として出力する。また、センサユニット10は、学習用の歩行者の移動で通行領域に加わる力も同様に検出値として出力する。センサユニット10の具体的な構成については、後述する。
【0012】
検出装置20は、パーソナルコンピュータ(PC)等で構成され、CPU等の演算手段と、CPUが実行するプログラムを保存するROMと、CPUの作業領域を構成するRAMとを含んだ構成が例示できる。検出装置20の各機能については後述する。
【0013】
続いて、センサユニット10の具体的な構成について、図2ないし図4を参照して説明する。
【0014】
図2は、実施の形態に係るセンサユニットを模式的に示す分解斜視図である。図2に示すように、センサユニット10は、複数(本実施の形態では4つ)のセンサとしての圧電素子11と、各圧電素子11が載置される下部保護材12と、下部保護材12を上方からカバーする上部保護材13とを備えている。センサユニット10は、フロア面等の設置面Fに配設され、本実施の形態では、正方形の平面形状に形成される。
【0015】
下部保護材12及び上部保護材13は、相互に組み合わされた状態で、各圧電素子11をそれぞれ水平方向に向けて収納している。下部保護材12及び上部保護材13は、絶縁性ゴムによって構成されている。
【0016】
センサユニット10は、上部保護材13の上面上に載置される板状の床形成部材14を更に備えている。本実施の形態では、床形成部材14は、センサユニット10を上面視した状態で、正方形状に形成されている。床形成部材14は、石材からなる表板部14aと、この表板部14aの下面に設けられた裏板部14bとを有している。裏板部14bは、鉄等の金属製とされ、表板部14aを補強するように設けられている。
【0017】
図3は、実施の形態に係るセンサユニットの部分縦断面図である。図4は、実施の形態に係るセンサユニットの一部構成の概略分解斜視図である。図3に示すように、圧電素子11は、上下一対となる上電極層11a及び下電極層11bと、上電極層11a及び下電極層11bの間に位置する圧電セラミックス層11cとを積層してなる。圧電セラミックス層11cは、円形で板状の圧電性を示すセラミックスにより形成されている。下電極層11bは、円形の板状電極であり、上面に圧電セラミックス層11cが形成される。上電極層11aは、圧電セラミックス層11cの上面に膜状に形成されている。上電極層11a及び下電極層11bの材料は、電気伝導性の高い金、銀、銅、黄銅、鉄、ステンレスおよびパラジウムのうち、少なくとも1種類から選択され、本実施の形態では、上電極層11aが銀、下電極層11bがステンレスとされる。圧電素子11においては、上電極層11a、圧電セラミックス層11c、下電極層11bの順に径寸法が大きくなっている。
【0018】
上電極層11aの上面及び下電極層11bの下面それぞれには、銅箔テープ(不図示)が貼り付けられて電気的に接続されている。銅箔テープは、基板や配線(何れも不図示)を介して検出装置20(図1参照)に接続され、圧電素子11の検出値(電圧値)を検出装置20に出力可能となっている。
【0019】
下部保護材12の上面には、各圧電素子11の設置位置それぞれに受容部15が形成されている。受容部15は、下部保護材12の上面を圧電素子11と概略同一の平面形状に凹ませることによって形成され、受容した圧電素子11の水平方向の移動を規制する位置規制部として機能している(図5参照)。また、受容部15の内部における外周側には、平面視円環状をなす載置部15aが形成されている。載置部15aは、下部保護材12の上面より若干低い位置であって、受容部15の底部より高い位置で水平方向に形成され、圧電素子11の周辺部を下方から支持している。
【0020】
上部保護材13は、頂部16と、この頂部16の外周から垂下する周壁部17とを備えた蓋状に形成されている。周壁部17は、下部保護材12及び上部保護材13を相互に組み合わせた状態で、下部保護材12を囲う位置に配設され、これにより、下部保護材12及び上部保護材13の前後及び左右方向の相対移動を規制する。頂部16の下面であって、各圧電素子11の設置位置に対応する位置には、下方に突出する突出部18が形成されている。各突出部18は、平面視円形に形成され、その外径寸法は、上電極層11aの外径寸法より小さく設定されている(図5参照)。
【0021】
上部保護材13は、突出部18が圧電素子11の上面上に載置されることで支持される。よって、上部保護材13と、その上に載置される床形成部材14とが、圧電素子11及び下部保護材12により下方から支持される。言い換えると、圧電素子11は、上部保護材13及び床形成部材14を支持する位置に設けられる。
【0022】
センサユニット10においては、床形成部材14上で歩行者が歩行等によって移動すると、該移動によって床形成部材14に力が加わるようになる。かかる力で上部保護材13が押し下げられるように変形し、その際に生じる圧力が突出部18によって圧電素子11に加えられる。すると、載置部15aによって圧電素子11の周辺部が支持されるので、圧電素子11の中央が凹むように変形し、圧電セラミックス層11cが下方に撓んで大きなひずみが得られる。このひずみによって各電極層11a、11bに電圧が発生し、発生した電圧に応じた検出値(電圧値)が検出装置20に出力される。
【0023】
図5は、実施の形態に係る通行領域の一例を示す平面図である。本実施の形態では、複数のセンサユニット10によって出力される検出値に応じ、通行領域における歩行者の位置と、歩行者の移動経路となる動線と、歩行者の属性とを検出する。例えば、図5に示すように、縦方向及び横方向それぞれ3列で合計9体のセンサユニット10が配置された通行領域Aを歩行者Wが図に示す足跡で移動する場合、各圧電素子11から歩行者Wの移動によって加わる力に応じた検出値が検出装置20に出力される。そして、検出装置20では、かかる検出値に応じて歩行者Wの位置、動線及び属性を検出する。ここで、本実施の形態では、歩行者Wの位置は、センサユニット10上での歩行者Wの重心位置とされる。
【0024】
具体的には、まず、移動体動線検出システム1においては、通行領域Aにおける歩行者Wの移動(歩行)したときの複数のセンサユニット10における圧電素子11によって検出された検出値を学習データとして収集する。
【0025】
次に、移動体動線検出システム1は、収集された学習データに基づいて、モデルの一例であるニューラルネットワークモデルをディープラーニングによって学習させ、学習済みニューラルネットワークモデルを得る。学習済みニューラルネットワークモデルとしては、位置検出用学習済みモデル、動線検出用学習済みモデル、属性検出用学習済みモデルを得る。
【0026】
そして、移動体動線検出システム1は、複数のセンサユニット10によって検出された検出値と、各学習済みモデルとに基づいて、通行領域Aにおける歩行者Wの位置、動線及び属性を検出する。
【0027】
移動体動線検出システム1は、学習機能、位置検出機能、動線検出機能、属性検出機能を有する。以下、各機能について説明する。まず、移動体動線検出システム1における学習機能について説明する。
【0028】
[学習機能]
複数のセンサユニット10は、学習用の歩行者Wの移動によって通行領域Aに伝搬する力に応じた学習用の検出値を検出する。
【0029】
図5に示す通行領域Aにおいて、複数のセンサユニット10では、学習用の歩行者Wが通行領域Aを歩行する際、歩行者Wの足裏から床形成部材14に力が加わって圧電素子11まで伝搬するときの検出値を学習用の検出値(電圧値)として検出する。例えば、学習用の歩行者Wが図5に示す足跡のように歩行すると、該足跡の位置に応じたセンサユニット10において歩行者Wの足裏から力が加わって複数の圧電素子11まで伝搬し、複数の圧電素子11によって検出値が出力される。
【0030】
かかる検出値から歩行者Wの位置や、動線、属性を検出するには、センサユニット10の形状や材質、圧電素子11の配置等を考慮し、歩行者Wの足跡の位置(力の発生位置)から圧電素子11までの力の伝搬をモデル化する必要がある。しかし、実際のセンサユニット10は各保護材12、13(図2参照)の材質や構造が様々となり、設置場所の状況(床面等)も種々異なるため、モデル化が困難となる。また、複数の圧電素子11についても検出値の検出特性や劣化状態等のばらつきが存在するため、モデル化は困難となる。
【0031】
そこで、本実施の形態では、センサユニット10における歩行者Wの位置、動線及び属性に応じ、複数の圧電素子11での検出値のパターンが異なることを利用し、ニューラルネットワークモデルをディープラーニングにより学習させる。そして、得られた学習済みニューラルネットワークモデル(位置検出用学習済みモデル、動線検出用学習済みモデル、属性検出用学習済みモデル)を用いて歩行者Wの位置、動線及び属性を検出する。これにより、圧電素子11における検出特性のばらつき等の上述したモデル化困難とした各要因を考慮することなく、床形成部材14に力を加える歩行者Wの位置(重心位置)を検出し、かかる位置等に応じた歩行者Wの動線及び属性を検出することができる。
【0032】
入力部22は、学習のために実際に通行領域Aで歩行者Wが歩行したときの、通行領域Aにおける学習用の歩行者Wの位置、動線及び属性を入力する。入力部22としては、例えば、キーボード、マウス等を例示することができる。入力部22をキーボード等とした場合、人手によって歩行者Wの位置、動線及び属性が入力される。
【0033】
続いて、検出装置20の機能について説明する。図1に示すように、検出装置20は、取得部24、位置検出用学習部25、動線検出用学習部26、属性検出用学習部27、位置検出用学習済みモデル記憶部28、動線検出用学習済みモデル記憶部29、属性検出用学習済みモデル記憶部30、位置検出部32、動線検出部33、属性検出部34、及び出力部35を備えている。
【0034】
取得部24は、学習のために実際に通行領域Aに歩行者Wが歩行したときの複数のセンサユニット10各々によって検出された学習用の検出値を取得する。また、取得部24には、学習用の検出値に対応する学習用の歩行者Wの位置、動線及び属性が入力部22によって入力される。
【0035】
そして、取得部24は、学習用の歩行者Wの位置、動線及び属性と、学習用の歩行者Wの歩行によって複数のセンサユニット10各々で検出された学習用の検出値とを対応付け、それらを表す学習データとして記憶領域(図示省略)へ格納する。かかる記憶領域には複数の学習データが格納される。
【0036】
位置検出用学習部25は、取得部24によって取得された学習データに基づいて、複数の検出値から歩行者Wの位置を検出するためのニューラルネットワークモデルを予め学習させる。言い換えると、かかるニューラルネットワークモデルは、学習データに含まれるセンサユニット10の圧電素子11から出力された学習用の検出値と、入力部22で入力された学習用の歩行者Wの位置とに基づいて学習される。
【0037】
動線検出用学習部26は、取得部24によって取得された学習データに基づいて、複数の検出値から歩行者Wの動線を検出するためのニューラルネットワークモデルを予め学習させる。言い換えると、かかるニューラルネットワークモデルは、学習データに含まれるセンサユニット10の圧電素子11から出力された学習用の検出値と、入力部22で入力された学習用の歩行者Wの位置及び動線とに基づいて学習される。
【0038】
属性検出用学習部27は、取得部24によって取得された学習データに基づいて、複数の検出値から歩行者Wの属性を検出するためのニューラルネットワークモデルを予め学習させる。言い換えると、かかるニューラルネットワークモデルは、学習データに含まれるセンサユニット10の圧電素子11から出力された学習用の検出値と、入力部22で入力された学習用の歩行者Wの位置、動線及び属性とに基づいて学習される。本実施の形態では、各学習部25~27では、ディープラーニングによってニューラルネットワークモデルを学習させる。
【0039】
そして、位置検出用学習部25は、ディープラーニングによって得られる学習済みニューラルネットワークモデルを位置検出用学習済みモデルとして、位置検出用学習済みモデル記憶部28へ格納する。動線検出用学習部26は、ディープラーニングによって得られる学習済みニューラルネットワークモデルを動線検出用学習済みモデルとして、動線検出用学習済みモデル記憶部29へ格納する。属性検出用学習部27は、ディープラーニングによって得られる学習済みニューラルネットワークモデルを属性検出用学習済みモデルとして、属性検出用学習済みモデル記憶部30へ格納する。
【0040】
位置検出用学習済みモデル記憶部28には、位置検出用学習部25によって得られた位置検出用学習済みモデルが格納される。また、動線検出用学習済みモデル記憶部29には、動線検出用学習部26によって得られた動線検出用学習済みモデルが格納され、属性検出用学習済みモデル記憶部30には、属性検出用学習部27によって得られた属性検出用学習済みモデルが格納される。
【0041】
[位置検出機能]
次に、移動体動線検出システム1における位置検出機能について説明する。
【0042】
複数のセンサユニット10が敷設された通行領域Aに歩行者Wが歩行する場合、取得部24は、複数のセンサユニット10における圧電素子11各々によって検出された検出値の各々を取得する。位置検出部32は、位置検出用学習済みモデル記憶部28に格納された位置検出用学習済みモデルと、取得部24によって取得された検出値の各々とに基づいて、通行領域Aにおける歩行者Wの位置を検出する。
【0043】
具体的には、位置検出部32は、取得部24によって取得された検出値の各々を位置検出用学習済みモデルへ入力し、該位置検出用学習済みモデルから出力される歩行者Wの位置を取得する。出力部35は、位置検出部32によって検出された歩行者Wの位置を結果として出力する。
【0044】
[動線検出機能]
次に、移動体動線検出システム1における動線検出機能について説明する。
【0045】
動線検出部33は、位置検出部32によって検出された歩行者Wの位置と、動線検出用学習済みモデル記憶部29に格納された動線検出用学習済みモデルとに基づいて、通行領域Aにおける歩行者Wの動線を検出する。また、動線検出部33での動線の検出は、通行領域Aにおける歩行者Wの歩行時に取得部24によって取得された検出値の各々にも基づいて実施される。
【0046】
言い換えると、動線検出部33は、位置検出部32によって検出された歩行者Wの位置と、取得部24によって取得された検出値の各々とを動線検出用学習済みモデルへ入力する。そして、動線検出部33は、かかる動線検出用学習済みモデルから出力される歩行者Wの動線を取得する。出力部35は、動線検出部33によって検出された歩行者Wの動線を結果として出力する。
【0047】
[属性検出機能]
次に、移動体動線検出システム1における属性検出機能について説明する。
【0048】
属性検出部34は、通行領域Aにおける歩行者Wの歩行時に取得部24によって取得された検出値の各々と、属性検出用学習済みモデル記憶部30に格納された属性検出用学習済みモデルとに基づいて、通行領域Aにおける歩行者Wの属性を検出する。また、属性検出部34での属性の検出は、位置検出部32によって検出された歩行者Wの位置と、動線検出部33によって検出された歩行者Wの動線とにも基づいて実施される。
【0049】
言い換えると、属性検出部34は、取得部24によって取得された検出値の各々と、位置検出部32によって検出された歩行者Wの位置と、動線検出部33によって検出された動線とを属性検出用学習済みモデルへ入力する。そして、属性検出部34は、かかる属性検出用学習済みモデルから出力される歩行者Wの属性を取得する。出力部35は、属性検出部34によって検出された歩行者Wの属性を結果として出力する。ここで、属性としては、歩行者Wの性別、年齢、体重、歩幅、体調(泥酔、ケガ)、障害の有無の他、歩行者Wを含む移動体の種類(例えば、車椅子、ロボット等)を例示することができる。
【0050】
各検出部32~34での上記検出においては、その精度向上を図るべく、RNN(Recurrent Neural Network)のアルゴリズムを用いることが好ましい。
【0051】
図6は、歩行者の歩行時における圧電素子の出力波形の一例を示すグラフである。図6のグラフは、横軸が時間とされ、縦軸が圧電素子11の検出値(圧力値)とされる。歩行者Wの歩行によってセンサユニット10に力が発生した状態で、センサユニット10(圧電素子11)から出力される検出値は、図6に示すように、所定期間(数百m秒~数秒、本実施の形態ではt1からt2の間)にて変化する。ここで、取得部24にて取得される検出値は、t1からt2の間の任意のタイミングの検出値としたり、t1からt2の間の平均値としたりしてもよいが、t1からt2の全時間領域の出力波形とすることができる。これによっても、各検出部32~34における検出精度向上を図ることができる。
【0052】
<移動体動線検出システム1の作用>
次に、実施の形態の移動体動線検出システム1の作用について説明する。検出装置20では、学習データに基づいてニューラルネットワークモデルを学習させる学習処理ルーチンと、位置検出用学習済みモデルに基づいて、歩行者Wの位置を検出する位置検出処理ルーチンとが実行される。また、検出装置20では、動線検出用学習済みモデルに基づいて、歩行者Wの動線を検出する動線検出処理ルーチンと、属性検出用学習済みモデルに基づいて、歩行者Wの属性を検出する属性検出処理ルーチンとが実行される。
【0053】
<学習処理ルーチン>
まず、通行領域Aにおいて、学習のために実際に歩行者Wが通行領域Aを歩行してセンサユニット10に力が付与されているときに、複数のセンサユニット10の圧電素子11によって学習用の検出値が検出される。また、入力部22によって学習用の歩行者Wの位置が入力されると、取得部24は、学習用の歩行者Wの位置と学習用の検出値の各々とを取得する。そして、取得部24は、学習用の歩行者Wの位置と学習用の検出値の各々とを対応付け、学習データとして記憶領域(図示省略)へ格納する。
【0054】
そして、検出装置20は、学習処理実行の指示信号を受け付けると、図7に示す学習処理ルーチンを実行する。図7は、実施の形態に係る学習処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS01において、各学習部25~27は、記憶領域(図示省略)へ格納された複数の学習データを取得する。
【0056】
ステップS02において、各学習部25~27は、上記ステップS01で取得された複数の学習データに基づいて、機械学習によってニューラルネットワークモデルを学習させる。
【0057】
ステップS03において、各学習部25~27は、上記ステップS02で得られる学習済みニューラルネットワークモデルを、各学習済みモデル記憶部28~30へ格納して、学習処理ルーチンを終了する。
【0058】
<位置検出処理ルーチン>
学習処理ルーチンを終了した後であって、検出装置20が位置検出処理実行の指示信号を受け付けると、図8に示す位置検出処理ルーチンを実行し、通行領域Aに存在する歩行者Wの位置を検出する。図8は、実施の形態に係る位置検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS11において、取得部24は、通行領域Aにて歩行者Wが歩行する場合に、歩行者Wからセンサユニット10に加わる力に応じた圧電素子11の検出値を取得する。
【0060】
ステップS12において、位置検出部32は、学習処理ルーチンで位置検出用学習済みモデル記憶部28に格納された位置検出用学習済みモデルと、上記ステップS11で取得された検出値とに基づいて、通行領域Aにて歩行者Wの位置を検出する。
【0061】
ステップS13において、上記ステップS12で検出された歩行者Wの位置を結果として出力して、位置検出処理ルーチンを終了する。
【0062】
<動線検出処理ルーチン>
学習処理ルーチンを終了した後であって、検出装置20が動線検出処理実行の指示信号を受け付けると、図9に示す動線検出処理ルーチンを実行し、通行領域Aに存在する歩行者Wの動線を検出する。図9は、実施の形態に係る動線検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS21において、取得部24は、通行領域Aにて歩行者Wが歩行する場合に、歩行者Wからセンサユニット10に加わる力に応じた圧電素子11の検出値を取得する。
【0064】
ステップS22において、動線検出部33には、位置検出部32によって検出された歩行者Wの位置が出力される。
【0065】
ステップS23において、動線検出部33は、学習処理ルーチンで動線検出用学習済みモデル記憶部29に格納された動線検出用学習済みモデルを用いて、通行領域Aにおける歩行者Wの動線を検出する。かかる検出は、動線検出用学習済みモデルに加え、上記ステップS21で取得された検出値と、上記ステップS22で出力された歩行者Wの位置とに基づいて実施される。
【0066】
ステップS24において、上記ステップS23で検出された歩行者Wの動線を結果として出力して、動線検出処理ルーチンを終了する。
【0067】
<属性検出処理ルーチン>
学習処理ルーチンを終了した後であって、検出装置20が属性検出処理実行の指示信号を受け付けると、図10に示す属性検出処理ルーチンを実行し、通行領域Aに存在する歩行者Wの属性を検出する。図10は、実施の形態に係る属性検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS31において、取得部24は、通行領域Aにて歩行者Wが歩行する場合に、歩行者Wからセンサユニット10に加わる力に応じた圧電素子11の検出値を取得する。
【0069】
ステップS32において、属性検出部34には、位置検出部32によって検出された歩行者Wの位置が出力される。
【0070】
ステップS33において、属性検出部34には、動線検出部33によって検出された歩行者Wの動線が出力される。
【0071】
ステップS34において、属性検出部34は、学習処理ルーチンで属性検出用学習済みモデル記憶部30に格納された属性検出用学習済みモデルを用いて、通行領域Aにおける歩行者Wの属性を検出する。かかる検出は、属性検出用学習済みモデルに加え、上記ステップS31で取得された検出値と、上記ステップS32で出力された歩行者Wの位置と、上記ステップS33で出力された歩行者Wの動線とに基づいて実施される。
【0072】
ステップS35において、上記ステップS34で検出された歩行者Wの属性を結果として出力して、属性検出処理ルーチンを終了する。
【0073】
以上のように、本実施の形態では、上述のように得られる位置検出用学習済みモデルと、複数のセンサユニット10(圧電素子11)における検出値とによって、位置検出部32で歩行者Wの位置を検出することができる。これにより、複数のセンサユニット10に設けられた圧電素子11各々において特性にばらつき等があっても、該ばらつきを学習に組み込み、複数の圧電素子11間の特性差を無視することができる。従って、圧電素子11の特性のばらつき等の影響を抑制でき、歩行者Wの位置を検出する正確性を高めることができる。なお、圧電素子11の特性のばらつきと同様、圧電素子11の劣化状態の違いや、各保護材12、13(図2参照)の材質や構造の違い、設置場所となる床面等の状況の違いの影響も抑制することができる。
【0074】
そして、本実施の形態では、かかる歩行者Wの位置検出の結果と、上述のように得られる動線検出用学習済みモデルと、複数のセンサユニット10における検出値とに基づき、動線検出部33で歩行者Wの動線を検出することができる。従って、本実施の形態では、歩行者Wの位置検出の精度だけでなく、歩行者Wの動線検出の精度も向上させることができる。
【0075】
更には、本実施の形態では、歩行者Wの位置及び動線の検出結果と、上述した属性検出用学習済みモデルと、複数のセンサユニット10における検出値とに基づき、属性検出部34で歩行者Wの属性を検出することができる。よって、歩行者Wの性別や歩幅等の属性についても、検出精度を向上させることができる。
【0076】
また、本実施の形態においては、複数のセンサユニット10を並べて敷設するだけで、通行領域Aを位置センサ化するだけでなく、歩行者Wの動線及び属性を検出可能なセンサとすることができる。更に、センサユニット10において数個の圧電素子11を用いるのみで、上述した各種の検出が可能となり、通行領域Aに足跡のサイズより小さい間隔で多数の圧電素子を設置する構造に比べ、システム全体を低コストかつ容易に構成することができる。
【0077】
また、カメラ撮影及び画像処理にて歩行者の動線や属性を特定する従来方法と、本実施の形態とを比べた場合、以下に述べるメリットがある。本実施の形態は、カメラ等で陰になって撮影できない部分でも検出できる他、検出結果が要求される場所のみに特化した検出を行えるようになる。更に、本実施の形態は、圧電素子11からの出力となるので、画像処理に比べてデータサイズを小さくでき、また、上記従来方法と併用して動線等の検出を行うことができる。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、方向等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0079】
例えば、通行領域Aにおける複数のセンサユニット10の配置や、センサユニット10での圧電素子11の配置は、下記の第1~第9変形例にて例示するように、種々の変更が可能である。
【0080】
図11は、第1変形例に係る通行領域の平面図である。図12は、第2変形例に係る通行領域の平面図である。図13は、第3変形例に係る通行領域の平面図である。図11図13に示す第1~第3変形例においては、通行領域Aの幅が正方形状のセンサユニット10の一辺の長さ(L)と同一となり、通行領域Aが図中横方向に延びている。各図では、3体のセンサユニット10を示すが、更に横方向に複数のセンサユニット10を並べて設けてもよい。
【0081】
図11の第1変形例では、センサユニット10を上面視した状態で、圧電素子11の設置箇所が床形成部材14と相似形となって同一中心位置の仮想正方形(図中二点鎖線で図示)の各頂点とされる。床形成部材14の一辺の長さをLとした場合、仮想正方形の一辺の長さは、その約半分の2/Lとされる。また、横方向(センサユニット10の並び方向)において、センサユニット10を跨いで横方向に隣り合う圧電素子11間の距離も2/Lとされる。従って、通行領域A全体として見た場合に、一辺の長さが2/Lとなる仮想正方形を最小単位として横方向に並ぶメッシュの各交点に圧電素子11を配置することができる。
【0082】
図12の第2変形例では、センサユニット10を上面視した状態で、圧電素子11の設置箇所が仮想正三角形(図中二点鎖線で図示)の各頂点とされる。床形成部材14の一辺の長さをLとした場合、仮想正三角形の高さ寸法は、その半分の2/Lとされる。仮想正三角形は、図中縦方向に延びる辺が床形成部材14の図中左側の辺から横方向に4/L離れ、図中右側に位置する頂点が図中右側の辺から横方向に4/L離れる。このような配置とすることで、高さが2/Lとなる仮想正三角形を最小単位として横方向に並ぶメッシュの各交点又は各頂点に圧電素子11を配置することができる。
【0083】
図13の第3変形例では、3体のセンサユニット10のうちの中央のセンサユニット10を上面視した状態で、圧電素子11の設置箇所が仮想正六角形(二点鎖線で図示)の各頂点と、その中心とされる。仮想正六角形の中心は、床形成部材14の中心と同一位置とされ、仮想正六角形の大きさは図示したとおりとされる。他の2体のセンサユニット10では、上記仮想正六角形を横方向に隣接しつつ並べ、該仮想正六角形各々の各頂点及び中心に圧電素子11が設置される。このような配置とすることで、第2変形例より小さい仮想正三角形を最小単位として二次元方向に並ぶメッシュの各交点又は各頂点に圧電素子11を配置することができる。
【0084】
図14は、第4変形例に係る通行領域の平面図である。図15は、第5変形例に係る通行領域の平面図である。図16は、第6変形例に係る通行領域の平面図である。図14図16に示す第4~第6変形例においては、通行領域Aにおいて、直交二方向となる図中縦方向及び横方向にセンサユニット10が並んで敷設される。各図では、9体のセンサユニット10を示すが、更に縦方向及び横方向に複数のセンサユニット10を並べて設けてもよい。
【0085】
図14の第4変形例では、第1変形例と同様の仮想正方形(二点鎖線で図示)の各頂点に圧電素子11を配置している。図15の第5変形例では、第3変形例の中央のセンサユニット10と同様の仮想正六角形(二点鎖線で図示)の各頂点及び中心に圧電素子11を配置している。図16の第6変形例では、センサユニット10を上面視した状態で、圧電素子11の設置箇所が仮想正八角形(二点鎖線で図示)の各頂点と、その中心とされる。仮想正八角形の中心は、床形成部材14の中心と同一位置とされる。なお、圧電素子11を設置箇所は、センサユニット10を上面視した状態で、床形成部材14と同一中心位置に形成される他の仮想正n角形或いはn角形(nは3以上の自然数)の各頂点及び中心としてもよい。
【0086】
図17は、第7変形例に係る通行領域の平面図である。図17の第7変形例では、センサユニット10を上面視した状態で、センサユニット10及び床形成部材14を正方形状に形成し、該正方形の頂点に圧電素子11が設置される。よって、一体の圧電素子11が4体のセンサユニット10の頂点に跨って配置され、かかる4体のセンサユニット10に加わる力を検出できるようになる。
【0087】
図18は、第8変形例に係る通行領域の平面図である。図18の第8変形例では、センサユニット10を上面視した状態で、センサユニット10及び床形成部材14を正三角形状に形成し、相互に隣接するように並べて敷設している。そして、センサユニット10及び床形成部材14を形成する正三角形の頂点に圧電素子11が設置される。よって、一体の圧電素子11が6体のセンサユニット10の頂点に跨って配置され、かかる6体のセンサユニット10に加わる力を検出できるようになる。
【0088】
図19は、第9変形例に係る通行領域の平面図である。図19の第9変形例では、センサユニット10を上面視した状態で、センサユニット10及び床形成部材14を正六角形状に形成し、相互に隣接するように並べて敷設している。そして、センサユニット10及び床形成部材14を形成する正六角形の頂点に圧電素子11が設置される。よって、一体の圧電素子11が3体のセンサユニット10の頂点に跨って配置され、かかる6体のセンサユニット10に加わる力を検出できるようになる。第7~第9変形例では、第1~第6変形例に比べて圧電素子11の設置数を少なくすることができる。
【0089】
上記第1~第9変形例によれば、複数のセンサユニット10において圧電素子11の設置箇所に規則性をもたせてバランス良く配置することができ、各種検出の精度をより良く発揮することができる。
【0090】
また、上記実施の形態では、センサを圧電素子11とした場合を説明したが、感圧センサであれば特に限定されるものでなく、ピエゾ抵抗型、圧電型、静電容量型のセンサ、圧電素子以外の他の振動発電素子としてもよい。
【0091】
更に、動線検出部33での歩行者Wの動線の検出は、上記処理に限定されるものでなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態における動線検出用学習済みモデルを用いることなく、センサユニット10の検出値と、位置検出部32の検出結果とに加え、それら検出時の時間情報に基づき歩行者Wの動線を検出するようにしてもよい。
【0092】
また、属性検出部34での歩行者Wの属性の検出においても、上記処理に限定されるものでなく、種々の変更が可能である。例えば、歩行者Wの属性の検出において、属性検出用学習済みモデルへ入力する情報は、センサユニット10の検出値、位置検出部32の検出結果及び動線検出部33の検出結果の少なくとも1つを選択できる。この場合、属性検出用学習済みモデルの学習のために取得する学習用の情報も、同様にして選択可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、駅等の建築物の床面や屋外の舗装面等となる通行領域において、歩行者等の移動体の動線を検出する精度を向上できる点で有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 移動体動線検出システム
10 センサユニット
11 圧電素子(センサ)
14 床形成部材
15 受容部(位置規制部)
32 位置検出部
33 動線検出部
34 属性検出部
A 通行領域
W 歩行者(移動体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図18
図19