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特許7372782注出用スパウトおよび注出用スパウト挿入構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】注出用スパウトおよび注出用スパウト挿入構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/24 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
B65D47/24 120
B65D47/24 BRG
B65D47/24 BSF
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019153076
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021031117
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】小野 松太郎
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-089701(JP,U)
【文献】特開2012-030856(JP,A)
【文献】特開2015-143126(JP,A)
【文献】特開2011-207489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器の装着筒部に装着され、中心軸に沿って延びるスパウト本体と、
前記スパウト本体に対して前記中心軸の軸方向に移動可能に取り付けられる外側スリーブと、を備え、
前記スパウト本体は、
前記装着筒部に装着されるキャップ部と、
前記キャップ部から軸方向の先端側へ延びる注出筒部と、
前記注出筒部に支持され、前記外側スリーブの先端開口部を封止する封止突部と、
前記キャップ部の内部、前記注出筒部の内部、および、前記注出筒部の先端と前記封止突部との間に形成された注出口を含む内容物流路と、を有し、
前記外側スリーブは、
前記注出筒部に外挿される筒状であり、その先端開口部内に前記封止突部が脱着可能に嵌合するスリーブ本体と、
前記スリーブ本体の軸方向の基端部から径方向外側に突出するストッパ突部と、を有し、
前記スリーブ本体は、
軸方向に延びるスリーブ周壁と、
前記スリーブ周壁の先端部から径方向内側に拡がるスリーブ頂壁と、を有し、
前記封止突部は、
前記注出筒部の内周面と接続する支持部と、
前記支持部の先端部に接続する栓部と、を有し、
前記スリーブ周壁内には、前記注出筒部が摺動自在に嵌合し、
前記スリーブ頂壁の内周部には、前記栓部の外周部が脱着可能に嵌合する、
注出用スパウト。
【請求項2】
前記スパウト本体に対する前記外側スリーブの軸方向への移動を規制する規制部材を備え、
前記規制部材は、前記中心軸回りの周方向に延び、軸方向において前記外側スリーブの基端面と前記キャップ部の先端面との間に取り外し可能に設けられる、
請求項1に記載の注出用スパウト。
【請求項3】
前記規制部材は、破断可能な薄肉部を有し、
前記規制部材は、前記薄肉部を介して、前記外側スリーブの基端部に離脱可能に接続される、
請求項2に記載の注出用スパウト。
【請求項4】
前記規制部材の外径は、前記キャップ部の先端部の外径以下である、
請求項2または3に記載の注出用スパウト。
【請求項5】
前記ストッパ突部は、
前記スリーブ本体の基端部から径方向外側に突出するフランジ部と、
前記フランジ部と前記中心軸回りの周方向に隣り合い、前記フランジ部よりも径方向内側に位置する切り欠き部と、を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の注出用スパウト。
【請求項6】
前記フランジ部の径方向外端は、前記キャップ部の外周面の先端部に対して、径方向において同じ位置または内側に位置する、
請求項5に記載の注出用スパウト。
【請求項7】
前記封止突部は、軸方向の先端側を向く先端面が平面状である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の注出用スパウト。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の注出用スパウトと、
前記注出用スパウトの前記スリーブ本体が内部に挿入され、前記ストッパ突部が軸方向から接触する容器口首部と、を備え、
前記容器口首部の内径と、前記スリーブ本体の外径との差が、0.5mm以上である、
注出用スパウト挿入構造。
【請求項9】
内容物が収容される容器の装着筒部に装着され、中心軸に沿って延びるスパウト本体と、前記スパウト本体に対して前記中心軸の軸方向に移動可能に取り付けられる外側スリーブと、を備える注出用スパウトと、
容器口首部と、を備え、
前記スパウト本体は、
前記装着筒部に装着されるキャップ部と、
前記キャップ部から軸方向の先端側へ延びる注出筒部と、
前記注出筒部に支持され、前記外側スリーブの先端開口部を封止する封止突部と、
前記キャップ部の内部、前記注出筒部の内部、および、前記注出筒部の先端と前記封止突部との間に形成された注出口を含む内容物流路と、を有し、
前記外側スリーブは、
前記注出筒部に外挿される筒状であり、その先端開口部内に前記封止突部が脱着可能に嵌合するスリーブ本体と、
前記スリーブ本体の軸方向の基端部から径方向外側に突出するストッパ突部と、を有し、
前記容器口首部には、前記注出用スパウトの前記スリーブ本体が内部に挿入され、前記ストッパ突部が軸方向から接触し、
前記容器口首部の内径と、前記スリーブ本体の外径との差が、0.5mm以上であり、
前記ストッパ突部は、
前記スリーブ本体の基端部から径方向外側に突出する一対のフランジ部と、
前記フランジ部と前記中心軸回りの周方向に隣り合い、前記フランジ部よりも径方向内側に位置する一対の切り欠き部と、を有し、
一対の前記フランジ部と一対の前記切り欠き部とは、周方向に交互に配置され、
一対の前記フランジ部同士は、周方向に等ピッチで配置され、
一対の前記切り欠き部同士は、周方向に等ピッチで配置され、
前記切り欠き部の径方向内端は、前記容器口首部の内周面よりも径方向内側に位置し、
前記容器口首部の内径と、一対の前記切り欠き部の各径方向内端同士の間の径方向距離との差が、0.5mm以上である、
出用スパウト挿入構造。
【請求項10】
前記フランジ部の径方向外端は、前記容器口首部の内周面よりも径方向外側に位置し、
前記容器口首部の内径と、一対の前記フランジ部の各径方向外端同士の間の径方向距離との差が、1mm以上である、
請求項9に記載の注出用スパウト挿入構造。
【請求項11】
前記中心軸に沿う縦断面視において、前記中心軸上から径方向外側へ向かうに従い先端側へ向けて延び、前記中心軸に対して45°の角度で傾斜し、前記スリーブ本体の先端開口部を通る仮想直線と、前記容器口首部とが、交差しない、
請求項8から10のいずれか1項に記載の注出用スパウト挿入構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器等に好適に用いることができる注出用スパウトおよび注出用スパウト挿入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の詰め替え容器用スパウト等の注出用スパウトが知られている。特許文献1の詰め替え容器用スパウトは、詰め替え容器のパウチにシールされる基部と、この基部からパウチの外方に突出した筒部と、により構成されてなるスパウト本体を備える。筒部には、パウチ内に充填された詰め替え用の内容物が排出される流路が開口している。
【0003】
パウチに内容物を充填する際は、詰め替え容器がボトルである場合と同様に、筒部の流路から内容物を充填することができる。
この詰め替え容器用スパウトには、筒部を閉鎖する蓋として、内面にねじが形成されたキャップが設けられている。筒部の外面には、キャップ内面のねじ(雌ねじ)と螺合されるねじ(雄ねじ)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-89133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のキャップタイプの注出用スパウトでは、詰め替え容器から包装容器(充填対象容器)へと、簡単な操作によって、内容物を安定して注出できることが望まれていた。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、簡単な操作により、内容物を安定して注出できる注出用スパウトおよび注出用スパウト挿入構造を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の注出用スパウトの一つの態様は、内容物が収容される容器の装着筒部に装着され、中心軸に沿って延びるスパウト本体と、前記スパウト本体に対して前記中心軸の軸方向に移動可能に取り付けられる外側スリーブと、を備え、前記スパウト本体は、前記装着筒部に装着されるキャップ部と、前記キャップ部から軸方向の先端側へ延びる注出筒部と、前記注出筒部に支持され、前記外側スリーブの先端開口部を封止する封止突部と、前記キャップ部の内部、前記注出筒部の内部、および、前記注出筒部の先端と前記封止突部との間に形成された注出口を含む内容物流路と、を有し、前記外側スリーブは、前記注出筒部に外挿される筒状であり、その先端開口部内に前記封止突部が脱着可能に嵌合するスリーブ本体と、前記スリーブ本体の軸方向の基端部から径方向外側に突出するストッパ突部と、を有する。
上記注出用スパウトは、前記スパウト本体に対する前記外側スリーブの軸方向への移動を規制する規制部材を備え、前記規制部材は、前記中心軸回りの周方向に延び、軸方向において前記外側スリーブの基端面と前記キャップ部の先端面との間に取り外し可能に設けられることとしてもよい。
前記規制部材は、破断可能な薄肉部を有し、前記規制部材は、前記薄肉部を介して、前記外側スリーブの基端部に離脱可能に接続されることとしてもよい。
前記規制部材の外径は、前記キャップ部の先端部の外径以下であることとしてもよい。
前記ストッパ突部は、前記スリーブ本体の基端部から径方向外側に突出するフランジ部と、前記フランジ部と前記中心軸回りの周方向に隣り合い、前記フランジ部よりも径方向内側に位置する切り欠き部と、を有することとしてもよい。
前記フランジ部の径方向外端は、前記キャップ部の外周面の先端部に対して、径方向において同じ位置または内側に位置することとしてもよい。
前記封止突部は、軸方向の先端側を向く先端面が平面状であることとしてもよい。
本発明の注出用スパウト挿入構造の一つの態様は、上述の注出用スパウトと、前記注出用スパウトの前記スリーブ本体が内部に挿入され、前記ストッパ突部が軸方向から接触する容器口首部と、を備え、前記容器口首部の内径と、前記スリーブ本体の外径との差が、0.5mm以上である。
前記ストッパ突部は、前記スリーブ本体の基端部から径方向外側に突出する一対のフランジ部と、前記フランジ部と前記中心軸回りの周方向に隣り合い、前記フランジ部よりも径方向内側に位置する一対の切り欠き部と、を有し、一対の前記フランジ部と一対の前記切り欠き部とは、周方向に交互に配置され、一対の前記フランジ部同士は、周方向に等ピッチで配置され、一対の前記切り欠き部同士は、周方向に等ピッチで配置され、前記切り欠き部の径方向内端は、前記容器口首部の内周面よりも径方向内側に位置し、前記容器口首部の内径と、一対の前記切り欠き部の各径方向内端同士の間の径方向距離との差が、0.5mm以上であることとしてもよい。
前記フランジ部の径方向外端は、前記容器口首部の内周面よりも径方向外側に位置し、前記容器口首部の内径と、一対の前記フランジ部の各径方向外端同士の間の径方向距離との差が、1mm以上であることとしてもよい。
上記注出用スパウト挿入構造は、前記中心軸に沿う縦断面視において、前記中心軸上から径方向外側へ向かうに従い先端側へ向けて延び、前記中心軸に対して45°の角度で傾斜し、前記スリーブ本体の先端開口部を通る仮想直線と、前記容器口首部とが、交差しないこととしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様の注出用スパウトおよび注出用スパウト挿入構造によれば、簡単な操作により、内容物を安定して注出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の注出用スパウトを示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態の注出用スパウトを示す縦断面図である。
図3図3は、本実施形態の注出用スパウトおよび注出用スパウト挿入構造を示す縦断面図であり、容器の内容物が注出される状態を表す。
図4図4は、詰め替え容器の製造工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態の詰め替え容器(容器)100の注出用スパウト1、および注出用スパウト挿入構造10について、図1図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の注出用スパウト1を示す斜視図である。図2は、本実施形態の詰め替え容器100の注出用スパウト1を示す縦断面図であり、倒立姿勢とされた注出用スパウト1を表している。図3は、本実施形態の詰め替え容器100の注出用スパウト1、および注出用スパウト挿入構造10を示す縦断面図であり、倒立姿勢とされた注出用スパウト1を通して、詰め替え容器100の内容物が包装容器(充填対象容器)120に注出される状態を表す。なお図2および図3においては、詰め替え容器100のうち注出用スパウト1以外の構成部材の図示を省略している。図4(a)~(d)は、詰め替え容器100の製造工程を説明する図である。
【0011】
図4(d)に示すように、本実施形態の注出用スパウト1は、内容物(図示省略)が収容される詰め替え容器100の装着筒部101に装着される。詰め替え容器100の内容物は、例えば、液体、粉体等の有体物からなる流体である。液体の内容物としては、例えば、液体化粧料、液体洗剤、および醤油等の液体調味料などを挙げることができる。粉体の内容物としては、例えば、塩、砂糖、胡椒、顆粒状調味料、および粉末洗剤などを挙げることができる。
【0012】
詰め替え容器100は、パウチ部102と、装着筒部101と、注出用スパウト1と、を備える。
パウチ部102は、例えば、可撓性を有する合成樹脂製である。パウチ部102は袋状であり、内部に内容物が収容される。
装着筒部101は、合成樹脂製であり、パウチ部102の周縁部(の一部)から所定方向に突出する。装着筒部101は、パウチ部102の周縁部に、溶着により固定される。装着筒部101は、装着筒部101の外周面のうちパウチ部102から突出する部分に、雄ねじ部101aを有する。装着筒部101の内部を通して、パウチ部102の内部と注出用スパウト1の内部とが連通する。
【0013】
注出用スパウト1は、合成樹脂製である。図2に示すように、注出用スパウト1は、中心軸Cに沿って延びるスパウト本体2と、スパウト本体2に取り付けられる外側スリーブ3と、規制部材4と、を備える。スパウト本体2は、詰め替え容器100の装着筒部101に装着される。スパウト本体2は、キャップ部5と、注出筒部6と、封止突部7と、内容物流路8と、を有する。キャップ部5は、装着筒部101に装着される。本実施形態では、スパウト本体2のキャップ部5、注出筒部6および封止突部7が、単一の部材により一体に形成される。
【0014】
スパウト本体2および外側スリーブ3は、共通の中心軸Cを有する。つまりスパウト本体2と外側スリーブ3とは、互いに同軸に配置される。本実施形態では、中心軸Cが延びる方向を軸方向と呼ぶ。キャップ部5の軸方向位置と、外側スリーブ3の軸方向位置とは、互いに異なる。軸方向のうち、キャップ部5から外側スリーブ3へ向かう方向を先端側と呼び、外側スリーブ3からキャップ部5へ向かう方向を基端側と呼ぶ。
中心軸Cと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Cに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Cから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
中心軸C回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0015】
図1および図2に示すように、キャップ部5は、有頂筒状である。キャップ部5は、キャップ周壁5aと、キャップ頂壁5bと、封止筒部5cと、を有する。
キャップ周壁5aは、軸方向に延びる円筒状である。キャップ周壁5aは、キャップ周壁5aの内周面に、雌ねじ部5dを有する。雌ねじ部5dは、装着筒部101の雄ねじ部101aと螺着する。すなわち、キャップ部5は、装着筒部101と螺着する。キャップ部5は、装着筒部101に対して脱着可能である。
【0016】
キャップ頂壁5bは、円環板状であり、一対の板面が軸方向を向く。キャップ頂壁5bは、キャップ周壁5aの先端部から径方向内側に拡がる。キャップ頂壁5bの基端側を向く板面は、装着筒部101の先端開口部と接触する。
【0017】
封止筒部5cは、軸方向に延びる円筒状である。封止筒部5cは、キャップ頂壁5bの基端側を向く板面から基端側へ向けて突出する。封止筒部5cは、キャップ周壁5aから径方向内側に離れて配置される。封止筒部5cの直径は、キャップ周壁5aの直径よりも小さい。封止筒部5cの軸方向の長さは、キャップ周壁5aの軸方向の長さよりも短い。封止筒部5cは、装着筒部101の先端開口部内に嵌合する。
【0018】
注出筒部6は、キャップ部5から軸方向の先端側へ延びる。注出筒部6は、軸方向に延びる円筒状である。注出筒部6の直径は、キャップ部5の直径よりも小さい。注出筒部6は、キャップ頂壁5bの先端側を向く板面から先端側へ向けて突出する。
注出筒部6は、注出筒部6の外周面に、液止めリブ6aを有する。液止めリブ6aは、注出筒部6の外周面から径方向外側に突出し、周方向の全周にわたって延びる環状である。液止めリブ6aは、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。液止めリブ6aは、外側スリーブ3の後述するスリーブ本体11の内周面と接触する。
【0019】
封止突部7は、注出筒部6に支持され、外側スリーブ3の先端開口部を封止する。封止突部7は、支持部7aと、栓部7bと、を有する。
支持部7aは、軸方向および径方向に拡がる長方形板状である。支持部7aは、径方向の両端部が、注出筒部6の内周面と接続する。支持部7aの先端部は、注出筒部6の先端開口部から先端側に突出する。支持部7aの先端部以外の部分は、注出筒部6内に配置される。支持部7aは、注出筒部6の内部空間を複数(本実施形態では2つ)の領域に区画する。
【0020】
栓部7bは、封止突部7の先端部を構成する。栓部7bは、円板状であり、一対の板面が軸方向を向く。栓部7bは、支持部7aの先端部に接続する。栓部7bの先端側を向く板面7cつまり先端面7cは、中心軸Cに垂直な平面状である。すなわち、封止突部7は、軸方向の先端側を向く先端面7cが平面状である。栓部7bの基端側を向く板面7dつまり基端面7dは、凹曲面部7eを有する。図2に示す中心軸Cに沿う縦断面視で、凹曲面部7eは、先端側かつ径方向内側へ凹となる曲線状である。凹曲面部7eは、支持部7aと栓部7bとが接続する隅部に配置され、支持部7aの側面と栓部7bの基端面7dとを滑らかに繋ぐ。本実施形態では凹曲面部7eが、一対設けられる。
【0021】
内容物流路8は、注出用スパウト1の内部に形成された内容物の流路である。図2および図3に示すように、内容物流路8は、キャップ部5の内部、注出筒部6の内部、および、注出筒部6の先端と封止突部7との間に形成された注出口9を含む。具体的に、内容物流路8は、キャップ部内流路8aと、注出筒部内流路8bと、注出口9と、を有する。
【0022】
キャップ部内流路8aは、キャップ部5の内部空間により構成される。キャップ部内流路8aは、キャップ部5が装着筒部101に装着されたときに、装着筒部101の内部空間を含む。
【0023】
注出筒部内流路8bは、キャップ部内流路8aの先端側に位置する。注出筒部内流路8bは、注出筒部6の内部空間により構成される。注出筒部内流路8bは、支持部7aの径方向の両側に、支持部7aを間に挟んで一対設けられる。各注出筒部内流路8bは、キャップ部内流路8aと連通する。
【0024】
注出口9は、注出筒部内流路8bの先端側に位置する。注出口9は、注出筒部6の先端開口部と、栓部7bの外周部との間に配置される。注出口9は、支持部7aの径方向の両側に、支持部7aを間に挟んで一対設けられる。各注出口9は、各注出筒部内流路8bと連通する。図2および図3に示すように、注出口9は、外側スリーブ3が軸方向に移動することにより開閉可能である。
【0025】
外側スリーブ3は、スパウト本体2に対して軸方向に移動可能に取り付けられる。外側スリーブ3は、スリーブ本体11と、ストッパ突部12と、を有する。
【0026】
スリーブ本体11は、軸方向に延びる筒状であり、注出筒部6に外挿される。スリーブ本体11の先端開口部内には、封止突部7が脱着可能に嵌合する。本実施形態ではスリーブ本体11が、有頂筒状である。スリーブ本体11は、スリーブ周壁11aと、スリーブ頂壁11bと、を有する。
【0027】
スリーブ周壁11aは、軸方向に延びる円筒状である。スリーブ周壁11a内には、注出筒部6が摺動自在に嵌合する。スリーブ周壁11aの内周面には、注出筒部6の液止めリブ6aが摺動自在に接触する。
スリーブ頂壁11bは、円環板状であり、一対の板面が軸方向を向く。スリーブ頂壁11bは、スリーブ周壁11aの先端部から径方向内側に拡がる。スリーブ頂壁11bの内周部には、栓部7bの外周部が脱着可能に嵌合する。図2に示すように、スリーブ頂壁11b内に栓部7bが嵌合した状態で、スリーブ頂壁11bの先端側を向く板面と、栓部7bの先端面7cとは、軸方向の位置が互いに同一(つまり面一)である。言い換えると、外側スリーブ3の先端面の軸方向位置と、封止突部7の先端面7cの軸方向位置とは、互いに同一である。
【0028】
図1および図2に示すように、ストッパ突部12は、スリーブ本体11の軸方向の基端部から径方向外側に突出する。ストッパ突部12は、スリーブ本体11から径方向外側に突出する突出量が、中心軸C回りの周方向の各位置で異なる。ストッパ突部12は、フランジ部12aと、切り欠き部12bと、を有する。
【0029】
フランジ部12aは、スリーブ本体11の基端部から径方向外側に突出する。フランジ部12aは、スリーブ周壁11aの基端部から径方向外側に拡がる板状であり、一対の板面が軸方向を向く。フランジ部12aの一対の板面、つまり先端面および基端面は、中心軸Cと直交する方向に拡がる平面状である。
フランジ部12aの径方向外端は、キャップ部5の外周面の先端部に対して、径方向において同じ位置または内側に位置する。本実施形態ではフランジ部12aの径方向外端が、キャップ周壁5aの外周面の先端よりも、径方向内側に位置する。
【0030】
切り欠き部12bは、ストッパ突部12のうちフランジ部12aとは周方向の異なる位置に配置される。切り欠き部12bは、フランジ部12aと中心軸C回りの周方向に隣り合い、フランジ部12aよりも径方向内側に位置する。すなわち、フランジ部12aがスリーブ本体11から径方向外側に突出する突出量に比べて、切り欠き部12bがスリーブ本体11から径方向外側に突出する突出量は、小さい。なお切り欠き部12bは、スリーブ本体11から径方向外側に突出しなくてもよい。
【0031】
ストッパ突部12は、複数のフランジ部12aと、複数の切り欠き部12bと、を有する。本実施形態ではストッパ突部12が、一対のフランジ部12aと、一対の切り欠き部12bと、を有する。一対のフランジ部12aと一対の切り欠き部12bとは、周方向に交互に配置される。一対のフランジ部12a同士は、周方向に等ピッチ(つまり180°ピッチ)で配置され、一対の切り欠き部12b同士は、周方向に等ピッチ(つまり180°ピッチ)で配置される。
【0032】
規制部材4は、スパウト本体2に対する外側スリーブ3の軸方向への移動を規制する。規制部材4は、軸方向においてキャップ部5と外側スリーブ3との間に配置されることにより、スパウト本体2に対する外側スリーブ3の軸方向の基端側への移動を規制し、かつ先端側への移動を規制(抑制)する。規制部材4は、中心軸C回りの周方向に延び、軸方向において外側スリーブ3の基端面とキャップ部5の先端面との間に取り外し可能に設けられる。規制部材4は、中心軸Cを中心とする略環状または略C字状である。規制部材4の外径は、キャップ部5の先端部の外径以下である。規制部材4は、規制本体4aと、把持部4bと、薄肉部4cと、を有する。
【0033】
規制本体4aは、周方向に延びる帯状である。本実施形態では、規制本体4aの周方向に直交する断面の形状が、四角形状である。規制本体4aは、注出筒部6の基端部を、周方向の一部を除いて径方向外側から囲う。規制本体4aは、注出筒部6の外周面から径方向外側に隙間をあけて配置される。規制本体4aと外側スリーブ3との間の軸方向距離は、規制本体4aとキャップ部5との間の軸方向距離よりも大きい。
【0034】
把持部4bは、規制本体4aの周方向の両端部のうち一端部に接続され、周方向に延びる。把持部4bは、規制本体4aの周方向の両端部のうち、他端部よりも径方向外側に突出する。本実施形態では、把持部4bの周方向に直交する断面の形状が、略四角形状である。把持部4bは、注出筒部6の基端部のうち周方向の一部に、径方向外側から隙間をあけて対向する。把持部4bは、滑り止め部4dを有する。滑り止め部4dは、滑り止め部4dの外周面に、周方向へ向かうに従い径方向に凹凸する部分を有する。
【0035】
薄肉部4cは、規制本体4aの先端部と外側スリーブ3の基端部とを接続するブリッヂ等であり、外力を加えることにより破断可能である。薄肉部4cは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。規制部材4は、薄肉部4cを介して、外側スリーブ3の基端部に離脱可能に接続される。本実施形態では、規制部材4と外側スリーブ3とが、単一の部材により一体に形成される。
【0036】
次に、図4(a)~(d)を参照して、注出用スパウト1を備えた詰め替え容器100の製造方法、特に内容物の充填工程等について、説明する。
図4(a)に示すように、装着筒部101が溶着固定され内容物が充填されていない空のパウチ部102を用意し、設備にセットする(セット工程)。
図4(b)に示すように、充填ノズル50を装着筒部101内に挿入し、充填ノズル50から内容物を流出させて、パウチ部102内に充填する(充填工程)。内容物を充填したら、充填ノズル50を装着筒部101内から抜き出す。
【0037】
図4(c)に示すように、装着筒部101に対して、注出用スパウト1のキャップ部5をキャッピングする(キャッピング工程)。キャッピング工程では、図示しないキャッピングアダプタにより、キャップ部5を保持しつつ周方向に回転させて、キャップ部5を装着筒部101に螺着させる。
このようにして、図4(d)に示す詰め替え容器100が製造される。
【0038】
次に、図3に示す注出用スパウト挿入構造10について説明する。
図3において注出用スパウト1は、倒立姿勢とされている。注出用スパウト1の倒立姿勢とは、外側スリーブ3の先端開口部が、下側を向く姿勢である。図3に符号120で示すものは、詰め替え容器100の内容物を詰め替える対象の包装容器(充填対象容器)である。図3において包装容器120は、正立姿勢である。包装容器120の正立姿勢とは、包装容器120の後述する容器口首部121が、上側に向けて開口する姿勢である。包装容器120は、例えば合成樹脂製のボトル形容器である。包装容器120は、有底筒状である。包装容器120は、容器口首部121と、容器肩部122と、図示しない容器胴部と、を有する。
【0039】
容器口首部121は、軸方向に延びる筒状である。容器口首部121は、例えば円筒状である。容器口首部121の内径D1は、外側スリーブ3のスリーブ本体11の外径D2よりも大きい。容器口首部121の軸方向の両端部のうち、一端部は開口部とされ、他端部には容器肩部122が接続する。
容器肩部122は、容器口首部121の軸方向の他端部から径方向外側に拡がる。容器肩部122の径方向外端部は、容器胴部の軸方向の一端部と接続する。
容器胴部は、有底筒状であり、詰め替えられた内容物を収容する。
【0040】
本実施形態の注出用スパウト挿入構造10は、上述した注出用スパウト1と、注出用スパウト1のスリーブ本体11が内部に挿入され、ストッパ突部12が軸方向から接触する容器口首部121と、を備える。すなわち、容器口首部121の軸方向の一端部(開口部)に対して、ストッパ突部12の軸方向の先端側を向く面が接触する。具体的には、容器口首部121の開口部に対して、フランジ部12aの先端側を向く板面が接触する。
【0041】
容器口首部121の内径D1と、スリーブ本体11の外径D2との差(D1-D2)は、0.5mm以上である。好ましくは、差(D1-D2)が1mm以上である。
【0042】
切り欠き部12bの径方向内端は、容器口首部121の内周面よりも径方向内側に位置する。このため、切り欠き部12bの径方向内端と、容器口首部121の内周面との間には、径方向の隙間が設けられる。
容器口首部121の内径D1と、一対の切り欠き部12bの各径方向内端同士の間の径方向距離D3との差(D1-D3)は、0.5mm以上である。好ましくは、差(D1-D3)が1mm以上である。
【0043】
フランジ部12aの径方向外端は、容器口首部121の内周面よりも径方向外側に位置する。これにより、フランジ部12aの先端側を向く板面が、容器口首部121の開口部に軸方向から接触する。
容器口首部121の内径D1と、一対のフランジ部12aの各径方向外端同士の間の径方向距離D4との差(D4-D1)は、1mm以上である。好ましくは、差(D4-D1)が2mm以上である。
【0044】
図3に示す符号VLは、仮想直線を表している。図3に示すように中心軸Cに沿う縦断面視において、仮想直線VLは、中心軸C上から径方向外側へ向かうに従い先端側へ向けて延び、中心軸Cに対して45°の角度θで傾斜し、スリーブ本体11の先端開口部を通る。具体的に仮想直線VLは、スリーブ頂壁11bの内周部を通る。この縦断面視で、仮想直線VLは、容器口首部121の下方(軸方向の先端側)を通り、仮想直線VLと容器口首部121とは、互いに交差しない。なお本実施形態では、角度θが60°の場合においても、仮想直線VLと容器口首部121とが交差しない。
本実施形態では、スリーブ本体11の先端部が、容器口首部121よりも先端側へ突出している。
【0045】
次に、本実施形態の注出用スパウト1を通して、詰め替え容器100の内容物を包装容器120に注出させる手順について説明する。
まず、図1および図2において、規制部材4の把持部4bを操作者が把持し、この把持部4bを径方向外側かつ周方向へと移動させて、薄肉部4cを破断させつつ、規制本体4aを外側スリーブ3および注出筒部6から引き剥がす。これにより規制部材4が、外側スリーブ3の基端面とキャップ部5の先端面との間から取り外される。
【0046】
詰め替え容器100を倒立姿勢とし、注出用スパウト1の外側スリーブ3、封止突部7および注出筒部6を、正立姿勢とされた包装容器120の容器口首部121内に挿入する。このとき、フランジ部12aの先端面と、容器口首部121の開口部とが接触する。
この状態から、容器口首部121および外側スリーブ3に対して、パウチ部102および装着筒部101とともに、スパウト本体2を軸方向の先端側へ押し込むことにより、図3に示すように、外側スリーブ3とスパウト本体2とが軸方向に相対移動して、注出口9が開口される。これにより詰め替え容器100の内容物が、注出用スパウト1の内容物流路8を通して、包装容器120内に詰め替えられる。図3において白抜き矢印は、内容物が包装容器120内に流出する向きを示しており、黒矢印は、包装容器120内から容器外部に流出する空気の流れを示している。
また、フランジ部12aの基端面とキャップ部5の先端面とが互いに接触することで、外側スリーブ3に対してスパウト本体2がそれ以上軸方向の先端側へ移動することが規制される。
【0047】
以上説明した本実施形態の注出用スパウト1によれば、包装容器120の容器口首部121に係止される外側スリーブ3に対して、スパウト本体2を押し下げる簡単な操作により、スパウト本体2と外側スリーブ3とが軸方向に相対移動し注出口9が開かれ、詰め替え容器100の内容物が内容物流路8を通して包装容器120に詰め替えられる。すなわち、注出用スパウト1を倒立姿勢としても、スパウト本体2と外側スリーブ3とが相対移動するまでは注出口9は開かれず、容器口首部121に外側スリーブ3を挿入するまでに内容物をこぼしてしまう心配がなく、簡単な操作によって、詰め替え容器100から包装容器120へと内容物を安定して注出できる。
【0048】
そして本実施形態では、装着筒部101にキャップ部5を装着することにより、詰め替え容器100に注出用スパウト1が取り付けられている。このため、詰め替え容器100の製造時には、装着筒部101を通して詰め替え容器100に内容物を充填した後、この装着筒部101にキャッピングすることで注出用スパウト1を設けることができる。本実施形態と異なり、例えば、詰め替え容器に弁機構付き注出用スパウトが溶着で固定される構成の場合、その弁機構のためにスパウトから内容物の充填ができず、詰め替え容器に注出用スパウトを溶着固定した後、詰め替え容器を倒立姿勢とし、パウチ部の底部開口から内容物を充填し、この底部開口を封止するなどの複雑な製造工程を要する。一方、本実施形態によれば、装着筒部101の開口を上側へ向けた正立姿勢の詰め替え容器100に内容物を充填し、正立姿勢のまま詰め替え容器100に注出用スパウト1を取り付けることができるので、製造工程が簡素化される。
【0049】
また、詰め替え容器100の装着筒部101に注出用スパウト1がキャッピングされているので、装着筒部101に対して注出用スパウト1が脱着可能な構成を採用できる。この場合、注出用スパウト1を装着筒部101の蓋部材として機能させることで、装着筒部101を開閉可能としたり、注出用スパウト1を別の詰め替え容器100に付け替えたりすることができ、様々な使用形態に対応できる。
【0050】
また本実施形態では、外側スリーブ3の基端面とキャップ部5の先端面との間に規制部材4が設けられており、この規制部材4を取り外すことで、スパウト本体2に対して外側スリーブ3が軸方向に移動可能となる。
具体的に、規制部材4を取り外す前の状態では、規制部材4が外側スリーブ3の基端側に位置するため、外側スリーブ3に基端側から他の部材等が接触することが抑制される。このため、外側スリーブ3が意図せず先端側へ移動してスパウト本体2から外れることが抑えられる。また規制部材4が外側スリーブ3とキャップ部5との間に介在するため、外側スリーブ3が意図せず基端側へ押し込まれた場合に、規制部材4が外側スリーブ3に基端側から接触して、外側スリーブ3のスパウト本体2に対する基端側への移動を規制する。
つまり、規制部材4によって、スパウト本体2に対する外側スリーブ3の軸方向の先端側および基端側への移動が規制される。
【0051】
また本実施形態では、規制部材4が薄肉部4cを介して外側スリーブ3の基端部に接続される。そして規制部材4を取り外す際に、薄肉部4cを破断させる。このため、規制部材4が意図せず取り外されることが抑制され、規制部材4による上述の作用効果が安定して得られる。また、薄肉部4cが破断されているか否かを確認することにより、規制部材4を開封明示部材として機能させることができる。すなわち、注出用スパウト1が使用されたか否かを、薄肉部4c(の破断の有無)を視認することにより、容易に確認できる。
また上記構成では、外側スリーブ3と規制部材4とを単一の部材により一体に形成でき、構造を簡素化できる。
【0052】
また本実施形態では、規制部材4の外径が、キャップ部5の先端部の外径以下であるので、注出用スパウト1の輸送時などに、他の部材が規制部材4に対して基端側から引っ掛かりにくい。このため、規制部材4が意図せず先端側へ押し上げられ外側スリーブ3がスパウト本体2から外れるような不具合が抑制される。
また、詰め替え容器100の製造時に、装着筒部101に対して注出用スパウト1をキャッピングする工程において、キャッピングアダプタ(図示省略)が規制部材4に接触することが抑制されるため、キャッピングアダプタによりキャップ部5を安定して保持できる。これにより、キャップ部5が装着筒部101に安定して装着される。
【0053】
また本実施形態では、ストッパ突部12がフランジ部12aおよび切り欠き部12bを有する。このため、容器口首部121の開口部にフランジ部12aを係止させて、スパウト本体2を押し下げることで、スパウト本体2と外側スリーブ3とを軸方向に安定して相対移動させることができる。すなわち、詰め替え容器100の詰め替え姿勢が安定するので、内容物を包装容器120に安定して詰め替えることができる。
また、容器口首部121と外側スリーブ3との隙間から切り欠き部12bを通して、包装容器120内の空気を容器外部に流出させることができる。すなわち、詰め替え容器100から包装容器120に流入する内容物と、包装容器120内の空気とを置換させやすくすることができる。これにより、包装容器120に流入する内容物の脈動等が抑えられ、詰め替え作業をスムーズに行うことができる。
【0054】
また本実施形態では、フランジ部12aの径方向外端が、キャップ部5の外周面の先端部と径方向において同じ位置または内側に位置するので、注出用スパウト1の輸送時などに、他の部材がフランジ部12aに対して基端側から引っ掛かりにくい。このため、フランジ部12aが意図せず先端側へ押し上げられ外側スリーブ3がスパウト本体2から外れるような不具合が抑制される。
また、詰め替え容器100の製造時に、装着筒部101に対して注出用スパウト1をキャッピングする工程において、キャッピングアダプタ(図示省略)がフランジ部12aに接触することが抑制されるため、キャッピングアダプタによりキャップ部5を安定して保持できる。これにより、キャップ部5が装着筒部101に安定して装着される。
【0055】
また本実施形態では、封止突部7の先端面7cが平面状であるので、この先端面7cを上側へ向けた姿勢(正立姿勢)で詰め替え容器100や注出用スパウト1を保管した場合でも、封止突部7に塵埃等が溜まりにくく、また封止突部7の先端面7cを清掃しやすい。このため、封止突部7および外側スリーブ3を覆う図示しないオーバーキャップ等の部材が不要であり、構成部品を削減できる。また本実施形態では、封止突部7の先端面7cとスリーブ頂壁11bの先端面とが、軸方向において互いに面一であるので、上述の作用効果がより顕著となる。
【0056】
また本実施形態では、注出筒部6の液止めリブ6aが、スリーブ本体11の内周面と接触する。液止めリブ6aにより、外側スリーブ3と注出筒部6との接触面積が小さく抑えられ、外側スリーブ3の注出筒部6に対する摺動抵抗が小さくなる。また液止めリブ6aにより、外側スリーブ3と注出筒部6との間を内容物が軸方向に通過することが抑制される。
【0057】
また、本実施形態の注出用スパウト挿入構造10によれば、容器口首部121の内径D1と、スリーブ本体11の外径D2との差(D1-D2)が、0.5mm以上であるので、容器口首部121とスリーブ本体11との隙間を通して、包装容器120内の空気を容器外部に安定して流出させることができる。すなわち、詰め替え容器100から包装容器120に流入する内容物と、包装容器120内の空気とを置換させやすくすることができる。これにより、包装容器120に流入する内容物の脈動等が抑えられ、詰め替え作業をスムーズに行うことができる。なおより好ましくは、容器口首部121の内径D1と、スリーブ本体11の外径D2との差(D1-D2)が、1mm以上である。この場合、上述の作用効果がより顕著となる。
【0058】
また本実施形態では、容器口首部121の内径D1と、一対の切り欠き部12bの各径方向内端間の径方向距離D3との差(D1-D3)が、0.5mm以上であるので、容器口首部121とスリーブ本体11との隙間から切り欠き部12bを通して、包装容器120内の空気を容器外部に安定して流出させることができる。すなわち、詰め替え容器100から包装容器120に流入する内容物と、包装容器120内の空気とを置換させやすくすることができる。これにより、包装容器120に流入する内容物の脈動等が抑えられ、詰め替え作業をスムーズに行うことができる。なおより好ましくは、容器口首部121の内径D1と、一対の切り欠き部12bの各径方向内端間の径方向距離D3との差(D1-D3)が、1mm以上である。この場合、上述の作用効果がより顕著となる。
【0059】
また本実施形態では、容器口首部121の内径D1と、一対のフランジ部12aの各径方向外端間の径方向距離D4との差(D4-D1)が、1mm以上であるので、容器口首部121内にフランジ部12aが入り込むような不具合が安定して抑制される。これにより注出用スパウト1の機能が良好に維持され、詰め替え作業が安定して行える。なおより好ましくは、容器口首部121の内径D1と、一対のフランジ部12aの各径方向外端間の径方向距離D4との差(D4-D1)が、2mm以上である。この場合、上述の作用効果がより顕著となる。
【0060】
また本実施形態では、図3における中心軸Cに沿う縦断面視において、中心軸Cに対して45°の角度θで傾斜してスリーブ本体11の先端開口部を通る仮想直線VLと、容器口首部121とが交差しないので、スリーブ本体11の先端開口部の直下に開口する注出口9から包装容器120内に注出される内容物が、容器口首部121に当たりにくい。すなわち、注出口9から流出する内容物が、容器口首部121に当たって詰め替え時間に影響するような不具合が抑制される。したがって、内容物が包装容器120内にスムーズに流入し、詰め替え作業を素早く短時間で行える。
なお、中心軸Cに沿う縦断面視において、中心軸Cに対して60°の角度θで傾斜してスリーブ本体11の先端開口部を通る仮想直線VLと、容器口首部121とが交差しない構成であることが、より好ましい。この場合、上述の作用効果がより安定して得られる。
【0061】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0062】
前述の実施形態では、注出用スパウト1が詰め替え容器100に用いられる例を挙げたが、詰め替え容器100以外の容器に用いられてもよい。
【0063】
前述の実施形態では、注出用スパウト1のキャップ部5が、装着筒部101に対して螺着により装着される例を挙げたが、これに限らない。キャップ部5は、装着筒部101に対して、例えば打栓等(嵌合)により装着されてもよい。
【0064】
また、規制部材4は、薄肉部4cを有していなくてもよい。この場合、規制部材4が、例えば注出筒部6の外周面に脱着可能に嵌合する構成等を採用してもよい。
【0065】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0066】
1…注出用スパウト、2…スパウト本体、3…外側スリーブ、4…規制部材、4c…薄肉部、5…キャップ部、6…注出筒部、7…封止突部、7c…先端面、8…内容物流路、9…注出口、10…注出用スパウト挿入構造、11…スリーブ本体、12…ストッパ突部、12a…フランジ部、12b…切り欠き部、100…詰め替え容器(容器)、101…装着筒部、121…容器口首部、C…中心軸、D1…容器口首部の内径、D2…スリーブ本体の外径、D3…一対の切り欠き部の各径方向内端同士の間の径方向距離、D4…一対のフランジ部の各径方向外端同士の間の径方向距離、VL…仮想直線、θ…角度
図1
図2
図3
図4