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特許7373232ブドウ品種の識別方法、ポリヌクレオチド、マイクロサテライトマーカー及びプライマーセット
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  • 特許-ブドウ品種の識別方法、ポリヌクレオチド、マイクロサテライトマーカー及びプライマーセット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ブドウ品種の識別方法、ポリヌクレオチド、マイクロサテライトマーカー及びプライマーセット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20231026BHJP
   C12Q 1/6895 20180101ALI20231026BHJP
   C12N 15/29 20060101ALN20231026BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6895 Z
C12N15/29
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022094594
(22)【出願日】2022-06-10
(62)【分割の表示】P 2019202666の分割
【原出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2022127637
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2022-06-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔1〕 発行日 平成30年11月9日 刊行物 日本DNA多型学会 第27回学術集会抄録集,P-27 <資 料> 第27回学術集会抄録集
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔2〕 開催日(公開日) 平成30年12月6日 集会名 日本DNA多型学会 第27回学術集会 <資 料> 第27回学術集会チラシ <資 料> 第27回学術集会プログラム <資 料> 研究結果展示ポスター
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔3〕 ウェブサイト掲載日 平成30年12月7日 ウェブサイトアドレス http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/130002.html http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/ncss_budou24_shikibetsu_manual.pdf 刊行物 「ブドウ24品種のDNA品種識別技術マニュアル-SSRマーカーによるブドウ24品種のDNA品種識別技術-」 <資 料> 刊行物公表 ウェブサイトページプリントアウト <資 料> 刊行物(ブドウ24品種のDNA品種識別技術マニュアル)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔4〕 発行日 令和元年7月25日 刊行物 DNA多型,第27巻,第1号,第80~83頁 <資 料> DNA多型,第27巻,第1号,第80~83頁
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔5〕 ウェブサイト掲載日 令和元年8月1日 ウェブサイトアドレス http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458733?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458734?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458735?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458736?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458737?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458738?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458739?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458740?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458741?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458742?filetype=html http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/getentry/na/LC458743?filetype=html <資 料> 「ブドウの新規SSRマーカーとその塩基配列」プリントアウト
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔6〕 ウェブサイト掲載日 令和元年9月18日 ウェブサイトアドレス https://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2018/18_032.html <資 料> 研究成果公表 ウェブサイトページプリントアウト
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔7〕 発行日(配布日) 令和元年10月9日 刊行物 令和元年度 果樹バイテク研究会抄録集 <資 料> 令和元年度 果樹バイテク研究会抄録集
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔8〕 開催日(公開日) 令和元年10月9日 集会名 令和元年度 果樹茶業研究会 果樹バイテク研究会<資 料>研究会プログラム <資 料>研究会開催要領(ウェブページプリントアウト) <資 料>研究結果展示ポスター
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩
(72)【発明者】
【氏名】保坂 ふみ子
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】Journal of Nanjing Agricultural University,2011年,Vol.34,pp.23-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/6869
C12Q 1/6895
C12N 15/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトの多型のパターンである反復配列の配列長を同定することで、ブドウ品種を識別するブドウ品種の識別方法であって、
(a)配列番号1~12のいずれかで表される塩基配
記マイクロサテライトマーカーXで表されるマイクロサテライトマーカー1~12のいずれか一つ以上を使用する下記方法1~24のいずれか一つ以上の方法を行い、ブドウ品種を識別することを含む、ブドウ品種の識別方法。
マイクロサテライトマーカーX:
以下の(a’)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー
(a’)配列番号Xで表される塩基配
前記Xは、1~12のいずれかの番号であり、前記マイクロサテライトマーカーXの前記Xと、前記(a’)における前記配列番号Xの前記Xと、前記(a)の配列番号とは、互いに同一の番号である。)
配列番号1で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号2で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号3で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号4で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の58番目の塩基から始まり、
配列番号5で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の161番目の塩基から始まり、
配列番号6で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の181番目の塩基から始まり、
配列番号7で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号8で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号9で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号10で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の365番目の塩基から始まり、
配列番号11で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の252番目の塩基から始まり、
配列番号12で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の75番目から始まる。
方法1:
マイクロサテライトマーカー7及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせの、マイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、安芸クイーン(あきくいーん)を識別する。
方法2:
マイクロサテライトマーカー7及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、キャンベルアーリーを識別する。
方法3:
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー11及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、巨峰(きょほう)を識別する。
方法4:
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー5を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー5及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、クイーンニーナを識別する。
方法5:
マイクロサテライトマーカー12の前記多型のパターンを同定することで、グロースクローネを識別する。
方法6:
マイクロサテライトマーカー5、又は
マイクロサテライトマーカー12の前記多型のパターンを同定することで、甲州(こうしゅう)を識別する。
方法7:
マイクロサテライトマーカー2の前記多型のパターンを同定することで、コンコードを識別する。
方法8:
マイクロサテライトマーカー1及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー4及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー11及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、サンヴェルデを識別する。
方法9:
マイクロサテライトマーカー1及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー2及びマイクロサテライトマーカー3を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー2及びマイクロサテライトマーカー5を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー2及びマイクロサテライトマーカー9を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー2及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー4を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー5を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー7を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー5及びマイクロサテライトマーカー8を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー5及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー7及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー10及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー11及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、シャインマスカットを識別する。
方法10:
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー11及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、翠峰(すいほう)を識別する。
方法11:
マイクロサテライトマーカー12の前記多型のパターンを同定することで、スチューベンを識別する。
方法12:
マイクロサテライトマーカー5の前記多型のパターンを同定することで、赤嶺(せきれい)を識別する。
方法13:
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせの、マイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、高尾(たかお)を識別する。
方法14:
マイクロサテライトマーカー7、又は
マイクロサテライトマーカー12の前記多型のパターンを同定することで、デラウエアを識別する。
方法15:
マイクロサテライトマーカー12の前記多型のパターンを同定することで、ナイアガラを識別する。
方法16:
マイクロサテライトマーカー3の前記多型のパターンを同定することで、ナガノパープルを識別する。
方法17:
マイクロサテライトマーカー1、マイクロサテライトマーカー8、及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー8、マイクロサテライトマーカー9、及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、ピオーネを識別する。
方法18:
マイクロサテライトマーカー1及びマイクロサテライトマーカー9を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー9を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー7及びマイクロサテライトマーカー9を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー9を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー10を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、藤稔(ふじみのり)を識別する。
方法19:
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー9を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、ブラックビートを識別する。
方法20:
マイクロサテライトマーカー11の前記多型のパターンを同定することで、ポートランドを識別する。
方法21:
マイクロサテライトマーカー1及びマイクロサテライトマーカー3を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー1及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー2及びマイクロサテライトマーカー3を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー5を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー8を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー4及びマイクロサテライトマーカー5を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー4及びマイクロサテライトマーカー8を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー5及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー9を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー10及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー11及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、マスカット・オブ・アレキサンドリアを識別する。
方法22:
マイクロサテライトマーカー3、
マイクロサテライトマーカー6、
マイクロサテライトマーカー9、及び
マイクロサテライトマーカー10、からなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、マスカット・ベーリーAを識別する。
方法23:
マイクロサテライトマーカー9及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせの、マイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、ルビーロマンを識別する。
方法24:
マイクロサテライトマーカー1及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー9を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー11を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー3及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー4及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、
マイクロサテライトマーカー8及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、並びに
マイクロサテライトマーカー11及びマイクロサテライトマーカー12を含む組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの組み合わせに含まれるマイクロサテライトマーカーの前記多型のパターンを同定することで、ロザリオビアンコを識別する。
【請求項2】
シャインマスカット、安芸クイーン(あきくいーん)、キャンベルアーリー、巨峰(きょほう)、クイーンニーナ、グロースクローネ、甲州(こうしゅう)、コンコード、サンヴェルデ、翠峰(すいほう)、スチューベン、赤嶺(せきれい)、高尾(たかお)、デラウエア、ナイアガラ、ナガノパープル、ピオーネ、藤稔(ふじみのり)、ブラックビート、ポートランド、マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・ベーリーA、ルビーロマン、及びロザリオビアンコからなる群から選択される少なくとも一つの品種から前記ブドウ品種を識別する、請求項1に記載のブドウ品種の識別方法。
【請求項3】
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトの領域を挟むよう、以下の(a)で表される塩基配列の部分配列と、以下の(a)で表される塩基配列の相補配列の部分配列とを夫々に含み、前記マイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅できる、ブドウ品種識別用プライマーセット。
(a)配列番号1~11のいずれかで表される塩基配
配列番号1で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号2で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号3で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号4で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の58番目の塩基から始まり、
配列番号5で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の161番目の塩基から始まり、
配列番号6で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の181番目の塩基から始まり、
配列番号7で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号8で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号9で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号10で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の365番目の塩基から始まり、
配列番号11で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の252番目から始まる。
【請求項4】
以下のプライマーセット1~11からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項3に記載のプライマーセット。
プライマーセット1:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号1で表される塩基配
1F-1)配列番号13に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(1R-1)配列番号14に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット2:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号2で表される塩基配
2F-1)配列番号15に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(2R-1)配列番号16に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット3:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号3で表される塩基配
3F-1)配列番号17に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(3R-1)配列番号18に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット4:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号4で表される塩基配
4F-1)配列番号19に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(4R-1)配列番号20に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット5:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号5で表される塩基配
5F-1)配列番号21に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(5R-1)配列番号22に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット6:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号6で表される塩基配
6F-1)配列番号23に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(6R-1)配列番号24に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット7:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号7で表される塩基配
7F-1)配列番号25に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(7R-1)配列番号26に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット8:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号8で表される塩基配
8F-1)配列番号27に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(8R-1)配列番号28に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット9:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号9で表される塩基配
9F-1)配列番号29に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(9R-1)配列番号30に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット10:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号10で表される塩基配
10F-1)配列番号31に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(10R-1)配列番号32に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
プライマーセット11:
以下の(a)で表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーの、以下の(a)で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトを含むポリヌクレオチドを増幅可能なプライマーセットであって、
(a)配列番号11で表される塩基配
11F-1)配列番号33に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドと
(11R-1)配列番号34に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとを含むプライマーセット
配列番号1で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号2で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号3で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号4で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の58番目の塩基から始まり、
配列番号5で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の161番目の塩基から始まり、
配列番号6で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の181番目の塩基から始まり、
配列番号7で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号8で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号9で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の301番目の塩基から始まり、
配列番号10で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の365番目の塩基から始まり、
配列番号11で表される塩基配列に含まれるマイクロサテライトは、当該塩基配列の252番目から始まる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウ品種の識別方法、ポリヌクレオチド、マイクロサテライトマーカー及びプライマーセットに関する。
【背景技術】
【0002】
ブドウは、ブドウ科ブドウ属に属する果樹であり、ワイン、生食、レーズンなどの用途で栽培されるヨーロッパブドウ(European grape、Vitis vinifera)が世界の主要栽培種である。一方、生育期に降雨が多い地域では、北アメリカを原産とする野生種のVitis labruscaを交雑の基本種として、ヨーロッパブドウやそれ以外の野生種との雑種であるアメリカブドウ(American grape、Vitis labruscana)が栽培されており、生食用やジュース用に用いられている。日本では、生食用の用途がメインで、アメリカブドウ、およびアメリカブドウとヨーロッパブドウの雑種を中心に、一部にヨーロッパブドウも栽培されている。
【0003】
ブドウは通常二倍体であるが、突然変異による四倍体が発見され、四倍体枝変わり品種の交雑により「巨峰」が日本で育成された。四倍体は二倍体より大粒になるため我が国では盛んに育種が行われ、「ピオーネ」、「藤稔」、「安芸クイーン」等の品種が育成されている。しかしながら四倍体は「巨峰」を中心に交雑が行われてきたことから、遺伝的な変異は二倍体に比べ狭い。
日本でのブドウの栽培は、総栽培面積14,160.4haである(農林水産省生産局園芸作物課「平成27 年産 特産果樹生産動態等調査」より)。平成27年産の品種別栽培面積では、「巨峰」が31.3%、「デラウエア」が16.6%、「ピオーネ」が16.4%、「シャインマスカット」が7.0%、「キャンベルアーリー」が3.8%、「ナイアガラ」が3.4%と続いている。その中で、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門(以下、農研機構果樹茶部門)が育成した「シャインマスカット」は、平成18年3月9日に品種登録され、平成27年度には栽培面積が992.3haに達している。
【0004】
これら優良品種の品種名の偽装表示や登録品種の海外流出は、ブドウ生産に大きな影響をおよぼすだけでなく、消費者に対する食の安全・安心の確保の観点からも大きな問題である。
【0005】
これまでに、農研機構果樹茶部門は、福島県農業総合センター果樹研究所と共同して、2010年に「生食用ブドウの品種判別および果実加工品の判別技術の開発」を論文公表した(非特許文献1)。本論文の方法では、2塩基モチーフの14種類のSSR(Simple Sequence Repeatの略、別名マイクロサテライト)マーカーを用いて、65の品種が識別可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】大橋義孝、岡田初彦、佐藤守、山田昌彦、三谷宣仁、西谷千佳子、山本俊哉(2010)生食用ブドウの品種判別および果実加工品の判別技術の開発.福島農総セ研報2, 11-20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に示されるSSRマーカーでは、ポリメラーゼの複製エラーに起因するスタッターバンドが生じやすい場合がある。また判定するべきピーク間に大幅な増幅差が見られる場合もあり、正確な遺伝子型決定が困難な場合がある。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、ブドウ品種の識別において、それらの遺伝子型の判定が容易な、ブドウ品種の識別方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、該識別方法に使用可能なマーカー、該マーカーを増幅可能なプライマーセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、78種のSSRマーカーを新規に設計し、鋭意検討した結果、4塩基以上の塩基数のモチーフ又は変則型モチーフによる反復配列を有する計12種のSSRマーカーが、ブドウの品種識別に特に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
【0010】
(1) 配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを用いて、ブドウ品種を識別することを含む、ブドウ品種の識別方法。
(2) 配列番号1~11で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを用いて、ブドウ品種を識別することを含む、ブドウ品種の識別方法。
(3) 前記ブドウ品種が、シャインマスカット、安芸クイーン(あきくいーん)、キャンベルアーリー、巨峰(きょほう)、クイーンニーナ、グロースクローネ、甲州(こうしゅう)、コンコード、サンヴェルデ、翠峰(すいほう)、スチューベン、赤嶺(せきれい)、高尾(たかお)、デラウエア、ナイアガラ、ナガノパープル、ピオーネ、藤稔(ふじみのり)、ブラックビート、ポートランド、マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・べーリーA、ルビーロマン、及びロザリオビアンコからなる群から選択される少なくとも一つである、前記(1)又は(2)に記載のブドウ品種の識別方法。
(4) 配列番号1~11で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも二つのマイクロサテライトマーカーを用いて、シャインマスカットを識別することを含む、ブドウ品種の識別方法。
(5) 配列番号1~12のいずれか一つで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(6) 配列番号1~12のいずれか一つで表される塩基配列からなるブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー。
(7) 配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを増幅できる、ブドウ品種識別用プライマーセット。
(8) 以下のプライマーセット1~12からなる群から選ばれる少なくとも一つである、前記(7)に記載のプライマーセット。
プライマーセット1:
(1F-1)配列番号13に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(1F-2)配列番号13に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(1R-1)配列番号14に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(1R-2)配列番号14に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット2:
(2F-1)配列番号15に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(2F-2)配列番号15に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(2R-1)配列番号16に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(2R-2)配列番号16に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット3:
(3F-1)配列番号17に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(3F-2)配列番号17に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(3R-1)配列番号18に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(3R-2)配列番号18に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット4:
(4F-1)配列番号19に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(4F-2)配列番号19に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(4R-1)配列番号20に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(4R-2)配列番号20に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット5:
(5F-1)配列番号21に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(5F-2)配列番号21に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(5R-1)配列番号22に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(5R-2)配列番号22に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット6:
(6F-1)配列番号23に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(6F-2)配列番号23に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(6R-1)配列番号24に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(6R-2)配列番号24に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット7:
(7F-1)配列番号25に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(7F-2)配列番号25に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(7R-1)配列番号26に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(7R-2)配列番号26に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット8:
(8F-1)配列番号27に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(8F-2)配列番号27に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(8R-1)配列番号28に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(8R-2)配列番号28に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット9:
(9F-1)配列番号29に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(9F-2)配列番号29に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(9R-1)配列番号30に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(9R-2)配列番号30に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
プライマーセット10:
(10F-1)配列番号31に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(10F-2)配列番号31に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(10R-1)配列番号32に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(10R-2)配列番号32に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセットプライマーセット11:
(11F-1)配列番号33に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(11F-2)配列番号33に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(11R-1)配列番号34に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(11R-2)配列番号34に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセットプライマーセット12:
(12F-1)配列番号35に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(12F-2)配列番号35に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(12R-1)配列番号36に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(12R-2)配列番号36に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブドウ品種の識別において、それらの遺伝子型の判定が容易な、ブドウ品種の識別方法を提供できる。
また、本発明によれば、該識別方法に使用可能なマーカー、該マーカーを増幅可能なプライマーセットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例において作製し、各マーカーの遺伝子型を判定する際に参照した、スタンダードセットのPCR産物の波形図である。
図2】実施例において作製し、各マーカーの遺伝子型を判定する際に参照した、スタンダードセットのPCR産物の波形図である。
図3】実施例において作製し、各マーカーの遺伝子型を判定する際に参照した、スタンダードセットのPCR産物の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のブドウ品種の識別方法、ポリヌクレオチド、マイクロサテライトマーカー及びプライマーセットの実施形態を説明する。
【0014】
≪ブドウ品種の識別方法≫
本発明の一実施形態に係るブドウ品種の識別方法(以下、単に「実施形態の識別方法」又は「識別方法」ということがある。)は、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを用いて、ブドウ品種を識別することを含む。前記各マイクロサテライトマーカーは、配列番号1~12で表される各塩基配列に示される各反復配列(マイクロサテライト)に対応する配列を含むことができる。
【0015】
以下、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含む各マイクロサテライトマーカーを指して、「12種のマイクロサテライトマーカー」ということがある。
【0016】
マイクロサテライトは、ゲノム上に存在する、数塩基(例えば、1~6塩基)の短い配列を繰り返し単位(モチーフ)として有する反復配列であり、SSR(Simple Sequence Repeat)やSTR(short tandem repeat)とも称される。
【0017】
発明者らは、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域の、各反復配列を有する各マイクロサテライトマーカーは、主要なブドウ品種間で多型を有し、ブドウ品種の識別に用いられる多型マーカーとして、非常に有用であることを見出した。
【0018】
マイクロサテライトマーカーは、上記の反復配列の繰り返し数の違いによる多型を示すことが知られる。上記の反復配列の繰り返し数が異なることで、その領域の長さが変化するので、例えばPCRの増幅産物を得て、その領域の長さの情報を取得することにより、簡便に多型を解析できる。
【0019】
実施形態の識別方法に係る、ブドウの品種識別に利用可能なマイクロサテライトマーカーとして、TsuVv001、TsuVv002、TsuVv003、TsuVv013、TsuVv014、TsuVv016、TsuVv019、TsuVv025、TsuVv030、TsuVv031、TsuVv047、及びVrZAG83の12種類を例示し、以下に、その詳細を説明する。
【0020】
配列番号1で表される塩基配列は、Vitis vinifera(品種:マスカット・オブ・アレキサンドリア)から取得されたものであり、300番目の塩基と321番目の塩基の間(301番目~320番目の塩基)に、agaaaを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv001)として利用できる。配列番号1では、agaaaの繰り返し数は4であり、反復配列は(agaaa)である。
【0021】
配列番号2で表される塩基配列は、Vitis labruscana(品種:キャンベルアーリー)から取得されたものであり、300番目の塩基と321番目の塩基の間(301番目~320番目の塩基)に、aaggaを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv002)として利用できる。配列番号2では、aaggaの繰り返し数は4であり、反復配列は(aagga)である。
【0022】
配列番号3で表される塩基配列は、Vitis vinifera(品種:マスカット・オブ・アレキサンドリア)から取得されたものであり、300番目の塩基と326番目の塩基の間(301番目~325番目の塩基)に、gaaaaを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv003)として利用できる。配列番号3では、gaaaaの繰り返し数は5であり、反復配列は(gaaaa)5である。
【0023】
配列番号4で表される塩基配列は、Vitis labruscana(品種:キャンベルアーリー)から取得されたものであり、57番目の塩基と81番目の塩基の間(58番目~80番目の塩基)に、gagagを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv013)として利用できる。配列番号4では、gagagの繰り返し数は4であり、反復配列は(gagag)gagである。
【0024】
配列番号5で表される塩基配列は、Vitis labruscana(品種:キャンベルアーリー)から取得されたものであり、160番目の塩基と184番目の塩基の間(161番目~183番目の塩基)に、aaaatを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv014)として利用できる。配列番号5では、aaaatの繰り返し数は4であり、反復配列は(aaaat) aaaである。
【0025】
配列番号6で表される塩基配列は、Vitis labruscana(品種:キャンベルアーリー)から取得されたものであり、180番目の塩基と202番目の塩基の間(181番目~201番目の塩基)に、aaggaを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv016)として利用できる。配列番号6では、aaggaの繰り返し数は4であり、反復配列は(aagga) aである。
【0026】
配列番号7で表される塩基配列は、Vitis labruscana(品種:キャンベルアーリー)から取得されたものであり、300番目の塩基と321番目の塩基の間(301番目~320番目の塩基)に、aaatを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv019)として利用できる。配列番号7では、aaatの繰り返し数は5であり、反復配列は(aaat)である。
【0027】
配列番号8で表される塩基配列は、Vitis vinifera(品種:マスカット・オブ・アレキサンドリア)から取得されたものであり、300番目の塩基と322番目の塩基の間(301番目~321番目の塩基)に、accttを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv025)として利用できる。配列番号8では、accttの繰り返し数は4であり、反復配列は(acctt)aである。
【0028】
配列番号9で表される塩基配列は、Vitis vinifera(品種:マスカット・オブ・アレキサンドリア)から取得されたものであり、300番目の塩基と322番目の塩基の間(301番目~321番目の塩基)に、aaatを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv030)として利用できる。配列番号9では、aaatの繰り返し数は5であり、反復配列は(aaat)aである。
【0029】
配列番号10で表される塩基配列は、Vitis vinifera(品種:マスカット・オブ・アレキサンドリア)から取得されたものであり、364番目の塩基と385番目の塩基の間(365番目~384番目の塩基)に、cttcを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv031)として利用できる。配列番号10では、cttcの繰り返し数は5であり、反復配列は(cttc)である。
【0030】
配列番号11で表される塩基配列は、Vitis labruscana(品種:キャンベルアーリー)から取得されたものであり、251番目の塩基と277番目の塩基の間(252番目~276番目の塩基)に、agaaを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:TsuVv047)として利用できる。配列番号11では、agaaの繰り返し数は6であり、反復配列は(agaa)aである。
【0031】
配列番号12で表される塩基配列は、Vitis ripariaから取得されたものであり、例えば、74番目の塩基と81番目の塩基の間(75番目~80番目の塩基)、82番目の塩基と93番目の塩基の間(83番目~92番目の塩基)、94番目の塩基と99番目の塩基の間(95番目~98番目の塩基)、100番目の塩基と107番目の塩基の間(101番目~106番目の塩基)、及び112番目の塩基と125番目の塩基の間(113番目~124番目の塩基)、に、tcを繰り返し単位として有するマイクロサテライトを含み、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカー(マーカー名:VrZAG83)として利用できる。配列番号12では、上記の領域でのtcの繰り返し数は、上記の順にそれぞれ3、5、2、3、6であり、反復配列はそれぞれ(tc)、(tc)、(tc)、(tc)、(tc)であり、変則型のモチーフである。
【0032】
なお、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する各領域は、反復配列以外の領域の塩基配列についても、品種ごとに変異が生じているなどして、塩基配列が完全に一致しなくてもよい。当業者であれば、各塩基配列を基準として、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する各領域を容易に特定できる。配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する各領域は、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列の全部又は一部の領域に対応するものであってよい。
例えば、上記配列番号1~12で表される塩基配列に対応する各領域は、後で例示するプライマーセットにより、増幅可能な領域であるので、当業者であれば、当該対応する領域を容易に取得できる。当該プライマーセットの結合位置に挟まれた領域を、配列番号1~12で表される塩基配列に対応する領域と定めてもよい。
【0033】
本実施形態の識別方法は、上記の12種のマイクロサテライトマーカーから選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを用いて、ブドウ品種を識別することを含む。
【0034】
上記の配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する各領域では、品種ごとに、上記の反復配列の長さが異なっていてよく、この配列長の相違を多型として扱うことで、ブドウ品種の識別を行うことができる。
【0035】
上記の12種のマイクロサテライトマーカーでは、その配列長の違いに基づき、多型を分類することができる。例えば、PCR法により、該当のゲノム領域の増幅を行い、得られたフラグメント(例えばPCR産物)を分類することができる。これらの情報をもとにブドウ品種の識別を行うことができる。
【0036】
例えば、各マイクロサテライトマーカーで検出された多型の種類を、既知のブドウ品種の有する多型の種類のパターンと予め対応づける。そして、被検サンプルから特定された多型のパターンの情報と、既知のブドウ品種の有する多型のパターンの情報とを照らし合わせ、パターンの一致及び不一致を解析することで、被検サンプルのブドウ品種の識別を行うことができる。
【0037】
図1~3に、後述の実施例において、各マーカーの領域を後述のプライマーセットを用いて増幅して得られた各フラグメントを例示する。例えば、図1に示されるマーカーTsuVv001では、その配列長に基づき、図示されるA及びBのフラグメントが特定される。
【0038】
AやBのフラグメントは、配列長(bp)で特定することも可能であるが、汎用のキャピラリーDNAシーケンサなどを用いた解析に供する場合の解析精度の向上を図る観点から、各マーカー用に多型のパターンのサイズスタンダードセットを予め用意しておき、それとの比較により遺伝子型を判定することができる。したがって、ここでは解析により得られた多型を、A、B等の記号で特定して表記している。
【0039】
表1に、各ブドウ品種において、各マイクロサテライトマーカーの解析により得られた遺伝子型(多型のパターン)を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1において、例えば、Aの表記は、Aのフラグメントとして得られた多型Aをホモで有することを表し、ABの表記は、Aのフラグメントとして得られた多型Aと、Bのフラグメントとして得られた多型Bとをヘテロで有することを表す。例えば、TsuVv030を参照すると、ABCのフラグメントパターンが得られているが、これは、該当の品種が3倍体以上の倍数体であることに起因するものと考える。
【0042】
表1に示すとおり、識別対象のブドウが、マイクロサテライトマーカーの解析で、どのようなフラグメントパターンを示すのかについての情報を得ることで、ブドウ品種を識別することができる。
【0043】
上記12種のマイクロサテライトマーカーのうち、ブドウ品種の識別にあたって用いるマイクロサテライトマーカーは、識別対象とするブドウ品種に応じて、適宜定めればよい。すなわち、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを用いてもよく、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの全てを用いてもよい。1種を利用するだけでは単一の品種を特定できない場合もあるが、被検サンプルに含まれる品種を、ある程度予測できる場合には、その多型のみを利用すればよい。
【0044】
表1に示すとおり、識別対象であるブドウ品種としては、シャインマスカット(種苗法に基づく登録番号第13891 号。以下同じ)、安芸クイーン(登録番号第3458 号)、キャンベルアーリー、巨峰、クイーンニーナ(登録番号第20733 号)、グロースクローネ(出願番号第32149号)、甲州、コンコード、サンヴェルデ(登録番号第20821号)、翠峰(登録番号第5075号)、スチューベン、赤嶺、高尾、デラウエア、ナイアガラ、ナガノパープル(登録番号第12074号)、ピオーネ、藤稔(登録番号第919号)、ブラックビート(登録番号第12075号)、ポートランド、マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・べーリーA、ルビーロマン(登録番号第15020号)、及びロザリオビアンコからなる群から選択される少なくとも一つを例示できる。以下、これら24種のブドウ品種を指して、単に「24種のブドウ品種」ということがある。
【0045】
ここに示す、12種のマイクロサテライトマーカーを適宜用いることで、例えば、表1に示すとおり、上記24種のブドウ品種を識別することができる。
【0046】
これらブドウ品種のうち、クイーンニーナ、グロースクローネ、甲州、コンコード、サンヴェルデ、赤嶺、ナガノパープル、ブラックビート、及びルビーロマンの9品種は、非特許文献1にSSRマーカー遺伝子型の記載がない品種群である。これら品種群には公設の試験場あるいは民間により近年品種登録された新品種(クイーンニーナ、グロースクローネ、サンヴェルデ、ナガノパープル、ブラックビート、及びルビーロマン)、国内および世界的に重要な生食・加工用品種(甲州及びコンコード)、並びに国内主要生食用品種(赤嶺)が含まれている。
【0047】
表1を参照すると、例えば、被検サンプルから特定されたマイクロサテライトマーカーTsuVv002の多型のパターンがBCであるとき、被検サンプルのブドウ品種としては、上記24種のブドウ品種のうち、シャインマスカット、スチューベン、デラウエアのいずれかの品種であると特定できる。更に、被検サンプルから特定されたマイクロサテライトマーカーTsuVv003の多型のパターンがBCであるとき、被検サンプルのブドウ品種がシャインマスカットであると特定できる。
【0048】
上記に例示したように、品種を特定する場合に使用できる、マーカー又はその組み合わせを表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
実施形態の識別方法の一例として、表2に示すマイクロサテライトマーカーの組み合わせを用いて、表2に示す、シャインマスカット、安芸クイーン、キャンベルアーリー、巨峰、クイーンニーナ、グロースクローネ、甲州、コンコード、サンヴェルデ、翠峰、スチューベン、赤嶺、高尾、デラウエア、ナイアガラ、ナガノパープル、ピオーネ、藤稔、ブラックビート、ポートランド、マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・べーリーA、ルビーロマン、及びロザリオビアンコからなる群から選択される少なくとも一つのブドウ品種を識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。
【0051】
実施形態の識別方法の一例として、以下のマイクロサテライトマーカーの組み合わせを用いて、上記24種のブドウ品種に対して、シャインマスカットを識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。
実施形態の識別方法の一例として、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも二つのマイクロサテライトマーカーを用いて、シャインマスカットを識別することを含む、ブドウ品種の識別方法を例示する。
配列番号1で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv001及びVrZAG83の組み合わせ)。
配列番号2で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv002及びTsuVv003の組み合わせ)。
配列番号2で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号5で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv002及びTsuVv014の組み合わせ)。
配列番号2で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号9で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv002及びTsuVv030の組み合わせ)。
配列番号2で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv002及びVrZAG83の組み合わせ)。
配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号4で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv003及びTsuVv013の組み合わせ)。
配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号5で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv003及びTsuVv014の組み合わせ)。
配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号7で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv003及びTsuVv019の組み合わせ)。
配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv003及びVrZAG83の組み合わせ)。
配列番号5で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号8で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv014及びTsuVv025の組み合わせ)。
配列番号5で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv014及びVrZAG83の組み合わせ)。
配列番号7で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv019及びVrZAG83の組み合わせ)。
配列番号8で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv025及びVrZAG83の組み合わせ)。
配列番号9で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv030及びVrZAG83の組み合わせ)。
配列番号10で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv031及びVrZAG83の組み合わせ)。
配列番号11で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv047及びVrZAG83の組み合わせ)。
【0052】
また、実施形態の識別方法の一例として、配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、配列番号8で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、配列番号9で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー(すなわちTsuVv003、TsuVv025、TsuVv030、及びVrZAG83のマイクロサテライトマーカー)を用いて、シャインマスカット、安芸クイーン、キャンベルアーリー、巨峰、クイーンニーナ、グロースクローネ、甲州、コンコード、サンヴェルデ、翠峰、スチューベン、赤嶺、高尾、デラウエア、ナイアガラ、ナガノパープル、ピオーネ、藤稔、ブラックビート、ポートランド、マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・べーリーA、ルビーロマン、及びロザリオビアンコからなる群から選択される少なくとも一つのブドウ品種を識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。
【0053】
なお、本明細書において、「ブドウ品種の識別」とは、識別対象の被検体について、マーカーによって得られた遺伝子型の情報から、品種の識別に関して推定できる情報を示すものであってよく、品種を確定することまでは要求されない。例えば、TsuVv016は、上記で例示した24品種のうち、マスカット・べーリーAとそれ以外の品種とを識別可能であるので、TsuVv016は、本明細書におけるブドウ品種の識別に使用することができる。
【0054】
品種の識別の例を挙げると、以下のとおりである;被検サンプルに含まれるブドウの品種を特定すること;サンプルに含まれていないブドウの品種を特定すること;サンプルに含まれている品種が1種か、あるいは2種以上であるかを確認すること;サンプルに含まれるブドウの品種が、特定の品種群のうちのいずれかであるか否かを確認すること;特定の品種が含まれるとされるサンプルにおいて、実際にその品種が含まれているか否か(例えば商品表示の真贋)を確認すること;特定の品種が含まれるとされるサンプルにおいて、他の品種が含まれているか否かを確認すること。
【0055】
一方、使用するマーカーの数が多いほど、識別可能な対象を拡大でき、且つ精度を向上させることが可能である。
例えば、シャインマスカットを、上記12種の全てのマイクロサテライトマーカーを用いて、識別することができる。また、上記12種の全てのマイクロサテライトマーカーを用いた場合に、非常に高い精度でブドウ品種を識別可能である。
【0056】
実施形態の識別方法の一例として、
配列番号1で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号2で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号4で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号5で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号6で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号7で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号8で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号9で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、
配列番号10で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、配列番号11で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び
配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー(すなわち配列番号1~12で表される塩基配列に対応する領域を含む各マイクロサテライトマーカーの全て)を用いて、ブドウ品種を識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。 ここでのブドウ品種としては、シャインマスカット、安芸クイーン、キャンベルアーリー、巨峰、クイーンニーナ、グロースクローネ、甲州、コンコード、サンヴェルデ、翠峰、スチューベン、赤嶺、高尾、デラウエア、ナイアガラ、ナガノパープル、ピオーネ、藤稔、ブラックビート、ポートランド、マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・べーリーA、ルビーロマン、及びロザリオビアンコからなる群から選択される少なくとも一つのブドウ品種を識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。
【0057】
ポリメラーゼは複製反応において一定の確率でエラーが生じてしまい、特に反復配列ではエラーが生じ易い。上記の12種のマイクロサテライトマーカーは、その繰り返し単位の塩基数が4~5塩基と長い、又は繰り返し単位が変則型であるという特徴を有する。当該マイクロサテライトマーカーでは、繰り返し単位の塩基数が長い、又は変則型であることで、上記複製エラーが生じ難いく、誤判定の可能性が低いという利点がある。
すなわち、配列番号1~12で表される塩基配列に対応する領域を含む各マイクロサテライトマーカーでは、ポリメラーゼの複製エラーに起因するスタッターバンドが生じにくく、また判定するべきピーク間に大幅な増幅差が見られないため、正確な遺伝子型決定が可能である。
【0058】
また、上記の12種のマイクロサテライトマーカーのうち、配列番号1~11で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー(上記12種のマーカーのうち、VrZAG83以外の11種のマイクロサテライトマーカー)は、その繰り返し単位の塩基数が4~5塩基と長いという特徴を有する。当該マイクロサテライトマーカーでは、繰り返し単位の塩基数が長いことで、上記複製エラーが生じ難いとともに、複製エラーが生じたとしてもピーク波形が重なり難く、誤判定の可能性が低いという利点がある。
【0059】
実施形態の識別方法の一例として、配列番号1~11で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカー、又は配列番号1~11で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーと配列番号12で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーとを組み合わせて用いて、ブドウ品種を識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。
【0060】
実施形態の識別方法の一例として、配列番号1~11で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを用いて、シャインマスカット、安芸クイーン、キャンベルアーリー、巨峰、クイーンニーナ、甲州、コンコード、サンヴェルデ、翠峰、赤嶺、高尾、デラウエア、ナガノパープル、ピオーネ、藤稔、ブラックビート、ポートランド、マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・べーリーA、ルビーロマン、及びロザリオビアンコからなる群から選択される少なくとも一つのブドウ品種を識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。
【0061】
実施形態の識別方法の一例として、表2に示すマイクロサテライトマーカーの組み合わせを用いて、表2に示す、シャインマスカット、安芸クイーン、キャンベルアーリー、巨峰、クイーンニーナ、甲州、コンコード、サンヴェルデ、翠峰、赤嶺、高尾、デラウエア、ナガノパープル、ピオーネ、藤稔、ブラックビート、ポートランド、マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・べーリーA、ルビーロマン、及びロザリオビアンコからなる群から選択される少なくとも一つのブドウ品種を識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。
【0062】
例えば、シャインマスカットを、当該11種のマイクロサテライトマーカーを組み合わせて用いて、上記の24品種の全てから、精度よく識別することができる。
実施形態の識別方法の一例として、以下のマイクロサテライトマーカーの組み合わせを用いて、上記24種のブドウ品種に対して、シャインマスカットを識別する、ブドウ品種の識別方法を例示する。
実施形態の識別方法の一例として、配列番号1~11で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも二つのマイクロサテライトマーカーを用いて、シャインマスカットを識別することを含む、ブドウ品種の識別方法を例示する。
配列番号2で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv002及びTsuVv003の組み合わせ)。
配列番号2で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号5で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv002及びTsuVv014の組み合わせ)。
配列番号2で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号9で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv002及びTsuVv030の組み合わせ)。
配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号4で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv003及びTsuVv013の組み合わせ)。
配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号5で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv003及びTsuVv014の組み合わせ)。
配列番号3で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号7で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv003及びTsuVv019の組み合わせ)。
配列番号5で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカー、及び配列番号8で表される塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーの組み合わせ(すなわちTsuVv014及びTsuVv025の組み合わせ)。
【0063】
実施形態の識別方法において、マイクロサテライトマーカーを利用してブドウの品種を識別する際には、被検サンプルに含まれるブドウのゲノムにおける、上記のマイクロサテライトマーカーのいずれかにおける多型を識別することができる。また、明確に多型の塩基配列を決定せずとも、試料中に含まれるブドウのゲノムの各対応領域の配列長を比較して、マイクロサテライトマーカーの多型を識別してもよい。
【0064】
実施形態の識別方法においては、例えば、上記12種のマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーに対し、該当の領域の反復配列に対応する配列を含む領域を増幅することで、多型を識別することができる。当該増幅には、反復配列に対応する配列を含む領域を増幅可能な、2以上のプライマーから構成されるプライマーセットを用いる、増幅反応を利用することができる。
【0065】
増幅反応としては、2以上のプライマーを用いたDNAの増幅による検査が可能である限り特に限定されないが、例えば、等温条件下での増幅反応、非等温条件下での増幅反応が挙げられる。等温条件下での増幅反応としては、例えば、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric Primer-initiated Amplification of Nucleic Acids)法、HDA(Helicase-dependent Amplification)法、RPA(Recombinase Polymerase Amplification)法が挙げられる。非等温条件下での増幅反応としては、例えば、PCR法が挙げられる。本実施形態では、増幅反応としては、LAMP法およびPCR法が好ましい。
【0066】
増幅産物の増幅サイズとしては、適宜定めればよいが、例えば、50~500bpであってよく、70~400bpであってよく、90~350bpであってよい。
【0067】
実施形態の識別方法では、増幅反応に供されるサンプルは、ブドウ属(Vitis)植物由来のゲノムDNAを含む、または含む可能性があるサンプルとすることができる。ブドウ品種としては、ブドウ属植物から得られた品種であってよく、Vitis vinifera(ヨーロッパブドウ)、Vitis coignetiae(ヤマブドウ)、Vitis amurensis(マンシュウヤマブドウ)、Vitis labrusca、及びVitis ripariaからなる群から選択される少なくとも一つから派生した品種を例示できる。なお、Vitis labruscanaはVitis labruscaとVitis viniferaの雑種であって、Vitis labruscaに形質が似たものを意味する。ここでの品種としては、品種の育成段階とみなされる系統、交雑種、並びに雑種を含む概念としてよい。ブドウ品種としては、上記24種のブドウ品種からなる群から選択される少なくとも一つを例示できる。
ブドウ属植物は、植物体、その一部またはそれらの加工品であってよい。植物体の一部としては、果実、葉、茎、花、根などが例示される。加工品としては、例えば、干しぶどう、ジャム、ソース、シロップ漬け、ジュース等が挙げられる。
【0068】
上記の増幅反応等で得られた増幅産物の長さの解析方法は、公知であり、種々の方法を用いて適宜実施できる。例えば、シーケンサを用いたキャピラリー電気泳動や、ポリアクリルアミド電気泳動等によって行うことができる。
【0069】
なお、DNA品種識別分析での実験、試薬調製の一般的注意事項及びサンプルからのDNA 抽出方法については、常法により実施することができ、例えば、農林水産省HPに掲載の<SSRマーカーによるニホンナシのDNA 品種識別技術(http://www.hinshu2.maff.go.jp/pvr/dna_manual/san10.pdf )>に開示された内容に沿っても行うことができる。
【0070】
≪ポリヌクレオチド、マイクロサテライトマーカー≫
上記の配列番号1~12のいずれか一つで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーとして利用可能である。
なかでも、上記の配列番号1~11のいずれか一つで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、ブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーとして、非常に有用である。
【0071】
実施形態のポリヌクレオチド又はマイクロサテライトマーカーは、上記の配列番号1~12のいずれかで表される塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を含み、かつ上記のブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーとして利用可能なポリヌクレオチドであってもよい。
ここで、1又は複数個とは、例えば、1~10個であってもよく、1~5個であってもよく、1~4個であってもよく、1~3個であってもよく、1~2個であってもよい。
【0072】
実施形態のポリヌクレオチド又はマイクロサテライトマーカーは、上記の配列番号1~12のいずれかで表される塩基配列と配列同一性80%以上の塩基配列を含み、かつ上記のブドウ品種の識別用のマイクロサテライトマーカーとして利用可能なポリヌクレオチドであってもよい。
ここで、配列同一性は、85%以上であってもよく、90%以上であってもよく、95%以上であってもよい。配列同一性は、例えば、DDBJより利用開示されているBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用いて求めることができる。
【0073】
≪プライマーセット≫
また、本発明の一実施形態として、配列番号1~12で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを増幅できる、ブドウ品種識別用プライマーセットを提供する。
【0074】
また、本発明の一実施形態として、配列番号1~11で表されるいずれかの塩基配列に対応する領域を含むマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーを増幅できる、ブドウ品種識別用プライマーセットを提供する。
【0075】
これら実施形態のプライマーセットとしては、上記の12種のマイクロサテライトマーカーからなる群から選択される少なくとも一つのマイクロサテライトマーカーにおける多型を検出し得る、2以上のプライマーから構成されるプライマーセットを挙げることができる。
【0076】
実施形態のプライマーセットは、上記の12種のマイクロサテライトマーカーに含まれる各反復配列に対応する配列(マイクロサテライト)を増幅可能なものが挙げられる。
【0077】
各プライマーセットに含まれるプライマーの個数は、採用される増幅反応により変動するが、例えば、2~6個である。
【0078】
プライマーを構成するヌクレオチド残基(標的部位にアニーリングする相補部分のヌクレオチド残基)の数は、プライマーが標的部位にアニーリングして、目的産物を増幅できる限り特に限定されず、例えば、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、または20個以上であってもよい。また、プライマーを構成するヌクレオチド残基の数は、例えば、50個以下、40個以下、または30個以下であってもよい。
【0079】
プライマーは、増幅産物の検出を容易に行うため、蛍光物質等の物質で標識されていてもよい。このような蛍光物質としては、例えば、6-FAM、VIC、NED、PET等が挙げられる。勿論、プライマーは、必ずしもこのような物質で標識される必要はない。例えば、ゲル電気泳動で増幅産物のサイズの差異を確認してもよい。また、LAMP法による検出では、増幅反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムの白濁を目視で確認することにより、増幅の有無を確認できる。このような場合、蛍光物質等の物質によるプライマーの標識は不要である。
【0080】
プライマーセットの塩基配列は、そのアニーリング位置が、例えば、マイクロサテライトの領域を挟む位置となるよう、マイクロサテライトマーカーの塩基配列の情報をもとに、適宜設計することができる。この場合、マイクロサテライトの増幅にあたっては、マイクロサテライトの上流及び下流の周辺領域も、マイクロサテライトとともに増幅されてよい。
【0081】
後述の実施例で使用した各マイクロサテライトマーカーにおける、プライマーセットの配列を、表4中に示す。プライマーには蛍光標識、また波形を安定させるテイル配列(gtttctt)が付加されている。
【0082】
後述の実施例で使用した各マイクロサテライトマーカーにおける、反復配列とプライマーセットのアニーリング位置の位置関係を、以下に示す。表3中の各数値は、プライマーセット又はマイクロサテライトの位置が、配列表の各配列番号に示される塩基配列中の第何番目の塩基~第何番目の塩基に対応しているのかを表すものである。
【0083】
【表3】
【0084】
実施形態のプライマーセットの一例として、実施例で用いた上記プライマーセットの配列に基づき、それぞれ以下のプライマーセットを例示する。
【0085】
マイクロサテライトマーカーTsuVv001を増幅できるプライマーセット1:
(1F-1)配列番号13に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(1F-2)配列番号13に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(1R-1)配列番号14に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(1R-2)配列番号14に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含む、プライマーセット
【0086】
マイクロサテライトマーカーTsuVv002を増幅できるプライマーセット2:
(2F-1)配列番号15に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(2F-2)配列番号15に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(2R-1)配列番号16に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(2R-2)配列番号16に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0087】
マイクロサテライトマーカーTsuVv003を増幅できるプライマーセット3:
(3F-1)配列番号17に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(3F-2)配列番号17に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(3R-1)配列番号18に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(3R-2)配列番号18に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0088】
マイクロサテライトマーカーTsuVv013を増幅できるプライマーセット4:
(4F-1)配列番号19に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(4F-2)配列番号19に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(4R-1)配列番号20に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(4R-2)配列番号20に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0089】
マイクロサテライトマーカーTsuVv014を増幅できるプライマーセット5:
(5F-1)配列番号21に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(5F-2)配列番号21に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(5R-1)配列番号22に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(5R-2)配列番号22に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0090】
マイクロサテライトマーカーTsuVv016を増幅できるプライマーセット6:
(6F-1)配列番号23に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(6F-2)配列番号23に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(6R-1)配列番号24に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(6R-2)配列番号24に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0091】
マイクロサテライトマーカーTsuVv019を増幅できるプライマーセット7:
(7F-1)配列番号25に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(7F-2)配列番号25に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(7R-1)配列番号26に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(7R-2)配列番号26に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0092】
マイクロサテライトマーカーTsuVv025を増幅できるプライマーセット8:
(8F-1)配列番号27に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(8F-2)配列番号27に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(8R-1)配列番号28に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(8R-2)配列番号28に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0093】
マイクロサテライトマーカーTsuVv030を増幅できるプライマーセット9:
(9F-1)配列番号29に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(9F-2)配列番号29に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(9R-1)配列番号30に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(9R-2)配列番号30に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0094】
マイクロサテライトマーカーTsuVv031を増幅できるプライマーセット10:
(10F-1)配列番号31に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(10F-2)配列番号31に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(10R-1)配列番号32に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(10R-2)配列番号32に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0095】
マイクロサテライトマーカーTsuVv047を増幅できるプライマーセット11:
(11F-1)配列番号33に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(11F-2)配列番号33に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(11R-1)配列番号34に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(11R-2)配列番号34に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0096】
マイクロサテライトマーカーVrZAG83を増幅できるプライマーセット12:
(12F-1)配列番号35に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(12F-2)配列番号35に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、と
(12R-1)配列番号36に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、又は
(12R-2)配列番号36に記載の塩基配列において、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド、とを含むプライマーセット
【0097】
上記プライマーセットのポリヌクレオチドにおいて、1又は複数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加の形態は、上記の12種のマイクロサテライトマーカーに含まれる各反復配列に対応する配列(マイクロサテライト)を増幅可能である限り、特に制限されるものではない。1又は複数個とは、例えば、1~7個であってもよく、1~5個であってもよく、1~4個であってもよく、1~3個であってもよく、1~2個であってもよい。
【0098】
上記のリバースプライマー(1R-1)~(12R-1)、及び(1R-2)~(12R-2)の5´末端には、テイル配列(例えば、gtttctt)が付加されていることが好ましい。
【0099】
実施形態の発明によれば、広く普及している「シャインマスカット」や、国産ワインの製造に使われる「甲州」等を含む、少なくとも24種のブドウ品種の識別に利用可能で、育成権侵害を含め品種のトラブル対応に多大な寄与が期待できる。
【実施例
【0100】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0101】
1.一般的注意事項及びDNA抽出法について
表1に示す各24品種のブドウの幼葉から、DNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、DNAを抽出し、各24品種のDNA抽出物を得た。
【0102】
2.SSRマーカーを用いたPCR反応
波形のチェックや遺伝子型の判定が容易なことを条件として絞り込んだ、12種類のSSR マーカー(表1等参照)を用い、上記24品種のDNA抽出物についてPCR反応を行い、SSR-PCR産物を得た。
【0103】
<使用機材・試薬など>
・1.5ml 又は2.0ml チューブ(滅菌済み)、
・96 穴PCR プレート又は8 連チューブ(Thermo Fisher Scientific/ Applied Biosystems 社製、以下ABI社製と記載)、
・キャップまたはフルプレートカバー(ABI社製)、
・サンプルDNA 溶液(5ng/μlに調製したもの)、
・Go Taq(Promega社製)、
・1/10TE バッファー、
・滅菌超純水、
・SSR プライマー溶液(蛍光ラベルされたフォワードプライマーとリバースプライマーを各10pmol/μl 含む溶液、1/10TE バッファーで希釈)、
・PCR システムGeneAmp PCR System 9700(ABI社製)
【0104】
<SSRマーカー>
それぞれのSSRマーカーについて、マーカー名、フォワードプライマーとリバースプライマーの塩基配列、ターゲットサイズ、座乗染色体番号を、表4に示す。各マーカーはいずれも単一座由来のマーカーであり、12種類中10種類で染色体位置が判明した。
【0105】
【表4】
【0106】
<基本操作>
(1) 以下のようにPCR反応液を調製した。
・Go Taq 5.0μl
・SSR プライマー溶液 1.0μl
・滅菌超純水 3.0μl
・サンプルDNA 溶液 1.0μl
合計 10.0μl
(2) PCR システムGeneAmp PCR System 9700を用いて、以下のプログラムで、PCR反応を行った。
・94℃で5分間熱変性。
・94℃で1分間、55℃で1分間、72℃で1分間の反応を、35サイクル。
・72℃で7分間の反応後、10℃で∞。
ただし、VrZAG83 については、アニーリング温度を62℃とした。
【0107】
3.スタンダードセットの作製
遺伝子型を判定するためのサイズスタンダードとして、マーカーごとに、全フラグメントパターンを網羅するよう、それぞれのマーカーに固有のスタンダードセット(1-3 品種のPCR 産物の混合物)を作製した。スタンダードセット用の基準品種は表5に、それぞれの波形データは図1~3に示した。
【0108】
【表5】
【0109】
<使用機材・試薬など>
・1.5ml チューブ(滅菌済み)、
・1/10TE バッファー等、
・PCRフラグメント精製キット(MiniElute Reaction Cleanup Kit(Qiagen 社)
【0110】
<基本操作>
(1) 上記「2.SSRマーカーを用いたPCR反応」に示す条件で、各基準品種からPCRにより増幅産物を得た。
(2) PCRフラグメント精製キットを用いて増幅産物を精製した。
(3) 精製産物を混合し、1/10TEバッファー等で100~2000倍に希釈したものを10μl程度ずつ分注した。なお、分注したチューブには、調製日を記入し超低温フリーザー等に遮光して保存し、概ね2年以内を目処に使用することができる。
【0111】
4.DNAシーケンサを用いたフラグメント解析
上記「2.SSRマーカーを用いたPCR反応」で得たSSR-PCR産物をDNAシーケンサで分析し、上記で作製したスタンダードセットと比較することで遺伝子型を判定する、フラグメント解析を行った。基本的分析操作は、ABI社のフラグメント解析のプロトコールに従って行った。
【0112】
<使用機材・試薬など>
・96 穴PCR プレート、384 穴プレート又は8 連チューブ(ABI社製)、
・1/10TE バッファー、
・Genetic Analyzer Buffer with EDTA(ABI社製)、
・Hi-Di Formamide(ABI社製)、
・3130 POP-7 ポリマー(ABI社製)、
・3100/3130xl 36cm Capillary Array(47cmx50μm、ABI社製)、
・GeneScan 400HD ROX サイズスタンダード(ABI社製)、
・Applied Biosystems 3130 xl Genetic Analyzer(ABI社製)、
・GeneMapper ソフトウエア(ABI社製)、
・PCR システムGeneAmp PCR System 9700(ABI社製)
【0113】
<基本操作>
(1) 上記「2.SSRマーカーを用いたPCR反応」で得たSSR-PCR産物を、1/10TE バッファーでPCR 増幅を考慮し、フラグメント解析に適した倍率で希釈した。
(2) 1.5μl の希釈PCR 産物、0.02μl の400HD ROX サイズスタンダード、8.48μl の
Hi-Di ホルムアミドを、96 穴PCR プレート、384 穴プレート又は8 連チューブに入れ、混合した。
(3) PCR システムGeneAmp PCR System 9700を用いて、95℃で5分間の熱変性を行った後、直ちに氷上で5分間以上静置した。
(4) Applied Biosystems 3130xl Genetic Analyzer のプロトコールに従い、36cm キャピラリー、POP-7 ポリマー、専用のバッファー(Genetic Analyzer Buffer with EDTA)を用いて、分析を行った。
(5) GeneMapper ソフトウエアを用いて、結果の解析を行った。
【0114】
各品種により得られたSSR-PCR産物は、それぞれ明確に、表1に示すマーカーの多型のパターンを示した。
【0115】
上記の12種類のSSRマーカーを用いることで、全24品種が1マーカーの差異で識別可能であることが確認できた。また、「シャインマスカット」は、他のブドウ品種から、4マーカー以上の差異で識別できた。
【0116】
また、非特許文献1と比べて、DNA品種識別技術の安定性および再現性が改善されていることが確認できた。
【0117】
実施例で用いたこれら12種類のSSRマーカーは、ターゲットバンドの増幅が良好、PCR増幅の安定性が良い、対立遺伝子間の増幅効率が均等である、スコアが容易、スタッターバンドがない、誤判定の可能性が極めて低いなどの特性を有し、品種識別用マーカーとして極めて有用なものであることが示された。
【0118】
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
【配列表】
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