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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】研磨用組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20231026BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20231026BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20231026BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
C09G1/02
B24B37/00 H
H01L21/304 622D
H01L21/304 622W
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019564608
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2018047189
(87)【国際公開番号】W WO2019138846
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2018002847
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018176787
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康昭
(72)【発明者】
【氏名】野口 直人
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-253259(JP,A)
【文献】特許第2917066(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/174008(WO,A1)
【文献】特開2016-194006(JP,A)
【文献】国際公開第2012/147605(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/051555(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/212971(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
C09G 1/02
B24B 37/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物であって、
水と砥粒と酸化剤と研磨促進剤とを含み、
前記酸化剤は、ヨウ素化合物および過マンガン酸類からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記研磨促進剤として、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩を含み、
前記金属塩は、強酸と強塩基との中和により生成する正塩であり、
前記酸化剤の濃度C2が0.05モル/L以上であり、
前記研磨用組成物における前記金属塩の濃度C1[モル/L]と前記酸化剤の濃度C2[モル/L]とが、以下の関係:
0.01≦C1/C2≦1;
を満たす、研磨用組成物。
【請求項2】
前記研磨用組成物における前記金属塩の濃度C1が0.0035モル/L以上である、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記砥粒はアルミナ粒子である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記酸化剤は過マンガン酸カリウムである、請求項1~3の何れか一つに記載の研磨用組成物。
【請求項5】
前記酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムである、請求項1~3の何れか一つに記載の研磨用組成物。
【請求項6】
前記研磨対象物の構成材料は、1500Hv以上のビッカース硬度を有する、請求項1~5の何れか一つに記載の研磨用組成物。
【請求項7】
前記研磨対象物の構成材料が炭化ケイ素である、請求項1~6の何れか一つに記載の研磨用組成物。
【請求項8】
前記研磨対象物の構成材料が窒化ガリウムである、請求項1~6の何れか一つに記載の研磨用組成物。
【請求項9】
研磨対象物に請求項1~8のいずれか一項に記載された研磨用組成物を供給して該研磨対象物を研磨することを含む、研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨用組成物に関する。詳しくは、研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物に関する。
本出願は、2018年1月11日に出願された日本国特許出願2018-2847号および2018年9月21日に出願された日本国特許出願2018-176787号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンド、サファイア(酸化アルミニウム)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、窒化ケイ素、窒化チタン等の研磨対象材料の表面は、通常、研磨定盤にダイヤモンド砥粒を供給して行う研磨(ラッピング)によって加工される。しかし、ダイヤモンド砥粒を用いるラッピングでは、スクラッチの発生、残存等のため、欠陥や歪みが生じやすい。そこで、ダイヤモンド砥粒を用いたラッピングの後に、あるいは当該ラッピングに代えて、研磨パッドを用いて当該研磨パッドと研磨対象物との間に研磨スラリーを供給して行う研磨(ポリシング)が検討されている。この種の従来技術を開示する文献として、特許文献1~6が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/051555号
【文献】日本国特許出願公開第2012-253259号公報
【文献】米国特許第4705594号明細書
【文献】日本国特許第2917066号公報
【文献】日本国特許出願公開第2000-248265号公報
【文献】日本国特許第5449248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、炭化ケイ素単結晶基板の研磨に使用される研磨用組成物に酸を添加してpHを低くすることが提案されている。同公報には、かかる構成によって、十分な研磨速度を可能とすることが記載されている。しかし、pHを低くした研磨用組成物は、研磨装置および周辺部材にダメージを与える可能性がある。pHによらず、高い研磨レートを実現し得る研磨用組成物が求められている。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、研磨対象物の研磨において研磨レートを効果的に向上させ得る研磨用組成物を提供することである。関連する他の目的は、上記研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、水と砥粒と酸化剤と研磨促進剤とを含む。前記研磨促進剤として、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩を含む。このように研磨促進剤としてアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を含む研磨用組成物を用いることにより、高い研磨レートが実現され得る。
【0007】
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記研磨用組成物における前記金属塩の濃度C1[モル/L]と前記酸化剤の濃度C2[モル/L]とが、以下の関係:0.0035≦C1;0.001≦C1/C2≦1;を満たす。特定の濃度比となるように上記研磨促進剤と酸化剤とを組み合わせて用いることにより、研磨レート向上効果がより好適に発揮され得る。
【0008】
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記酸化剤は、複合金属酸化物を含む。前記複合金属酸化物は、1価または2価の金属元素(ただし遷移金属元素を除く。)と、周期表の第4周期遷移金属元素とを有する。かかる複合金属酸化物を含む酸化剤を含有させることにより、研磨用組成物の研磨レートを大きく向上させ得る。
【0009】
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記砥粒はアルミナ粒子である。砥粒としてアルミナ粒子を用いる研磨において、上記金属塩および酸化剤を用いることによる研磨レート向上効果がより好適に発揮され得る。
【0010】
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記酸化剤は過マンガン酸カリウムである。酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いる研磨において、上記金属塩および酸化剤を用いることによる研磨レート向上効果がより好適に発揮され得る。また、酸化剤の他の例として、過ヨウ素酸ナトリウムが挙げられる。この過ヨウ素酸ナトリウムを用いた場合も、研磨レート向上効果が好適に発揮され得る。
【0011】
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記研磨対象物の構成材料は、1500Hv以上のビッカース硬度を有する。研磨対象材料が高硬度材料である研磨用組成物において、本発明の適用効果がより好適に発揮され得る。
【0012】
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記研磨対象物の構成材料が炭化ケイ素である。研磨対象材料が炭化ケイ素である研磨用組成物において、本発明の適用効果がより好適に発揮され得る。また、他の好ましい研磨対象材料として、窒化ガリウムが挙げられる。ここに開示される研磨用組成物の効果は、研磨対象材料が窒化ガリウムである場合も好適に発揮され得る。
【0013】
また、本発明によると、研磨対象物の研磨方法が提供される。この研磨方法は、研磨対象物に、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を供給して、該研磨対象物を研磨することを含む。かかる研磨方法によると、研磨された研磨対象物(研磨物)を効率的に提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0015】
<研磨対象物>
ここに開示される研磨用組成物は、構成元素に酸素を含まない材料からなる研磨対象物の研磨に適用され得る。酸化剤によって研磨対象物が変質し、変質した層が除去されることで研磨が進行すると考えられるため、研磨対象物は酸化していない材料が好ましい。研磨対象物の構成材料は、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ダイヤモンド等の単元素半導体もしくは単元素絶縁体;窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料;テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、硫化カドミウム、テルル化カドミウム水銀、テルル化亜鉛カドミウム等のIIB-VIB族(12-16族)化合物半導体基板材料;窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化ガリウムインジウム、ヒ化窒素インジウムガリウム、リン化アルミニウムガリウムインジウム等のIIIB-VB族(13-15族)化合物半導体基板材料;炭化ケイ素、ケイ化ゲルマニウム等のIVB-IVB族(14-14族)化合物半導体基板材料;等であり得る。これらのうち複数の材料により構成された研磨対象物であってもよい。なかでも、500Hv以上のビッカース硬度を有する材料の研磨に好ましく用いられる。研磨対象材料のビッカース硬度は、好ましくは700Hv以上、例えば1000Hv以上、典型的には1500Hv以上である。ビッカース硬度の上限は特に限定されないが、凡そ7000Hv以下、例えば5000Hv以下、典型的には3000Hv以下であってもよい。なお、本明細書において、ビッカース硬度は、JIS R 1610:2003に基づいて測定することができる。上記JIS規格に対応する国際規格はISO 14705:2000である。
【0016】
1500Hv以上のビッカース硬度を有する材料としては、ダイヤモンド、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ガリウム等が挙げられる。ここに開示される研磨用組成物は、機械的かつ化学的に安定な上記材料の単結晶表面に対して好ましく適用することができる。なかでも、研磨対象物表面は、ダイヤモンド、炭化ケイ素および窒化ガリウムのうちのいずれかから構成されていることが好ましく、炭化ケイ素から構成されていることがより好ましい。炭化ケイ素は、電力損失が少なく耐熱性等に優れる半導体基板材料として期待されており、その表面性状を改善することの実用上の利点は特に大きい。ここに開示される研磨用組成物は、炭化ケイ素の単結晶表面に対して特に好ましく適用される。また、ここに開示される研磨用組成物は、窒化ガリウムの単結晶表面に対しても特に好ましく適用される。
【0017】
<研磨用組成物>
(金属塩A)
ここに開示される研磨用組成物は、研磨促進剤として、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩Aを含有することによって特徴づけられる。ポリシングにおいて、酸化剤は研磨対象材料表面を変質させ、その変質した層が砥粒および研磨パッド等との摩擦によって除去される。特に好ましい一態様において、上記研磨対象材料表面は、炭化ケイ素や窒化ガリウム等のような酸素を含まない高硬度材料表面である。かかる金属塩Aは、その変質と除去を促進する触媒的作用を示し、研磨レートの向上に寄与していると考えられる。ここで変質した層とは、例えば酸化膜を含む層であり、触媒的作用とは、例えば酸化膜を溶解させる作用である。ただし、上記理由のみに限定的に解釈されるものではない。また、ここに開示される研磨用組成物は、スクラッチや潜傷等の欠陥を低減し、研磨対象物の面質を改善する効果も発揮し得る。金属塩Aは、典型的には、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)のうちのいずれか1種または2種以上を含むことが好ましい。これらのうち、Na、K、Ca、Srのうちのいずれかが好ましい。いくつかの態様において、金属塩Aはアルカリ金属塩である。アルカリ金属塩は、該金属のイオンを起点とした砥粒の凝集が起こりにくい。そのため、砥粒を含む研磨用組成物において、より良好な研磨特性を得ることができる。また、いくつかの態様において、金属塩Aはアルカリ土類金属塩である。アルカリ土類金属塩は、該金属のイオンが拡散しにくいため、研磨対象物の金属汚染を低減することができる。そのため、より良好な研磨物を得ることができる。
【0018】
上記金属塩Aにおける塩の種類は特に限定されず、無機酸塩であっても有機酸塩であってもよい。例えば、無機塩としては、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸等のハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、炭酸、ケイ酸、ホウ酸、リン酸;等の塩が挙げられる。また、有機塩としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、グリシン酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸;メチルホスホン酸、ベンゼンホスホン酸、トルエンホスホン酸等の有機ホスホン酸;エチルリン酸等の有機リン酸;等の塩が挙げられる。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸、ケイ酸、ホウ酸、リン酸の塩が好ましく、塩酸、硝酸の塩がより好ましい。
【0019】
金属塩Aの具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム等の塩化物;臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム等の臭化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム等のフッ化物;硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム等の酢酸塩;のいずれかから実質的に構成される金属塩Aが挙げられる。上記金属塩Aは1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
金属塩Aは、研磨用組成物中において溶解していてもよく、固体のまま分散していてもよい。すなわち、金属塩Aは水溶性であっても非水溶性であってもよい。また、研磨用組成物中において金属塩Aの一部が溶解し、残りが固体のまま分散していてもよい。好ましい一態様では、金属塩Aは水溶性の塩である。水溶性の金属塩Aを用いて研磨用組成物が実質的に固形物を含まないことにより、スクラッチ等の欠陥の少ない良好な表面を効率よく形成し得る。また好ましい一態様では、金属塩Aは、該金属塩Aを水に溶解した水溶液が中性域を示す塩、典型的には強酸と強塩基との中和により生成する正塩であり得る。水溶液が中性域を示す金属塩Aを用いることで、スクラッチ等の欠陥がさらに低減された高品質な表面を効率よく形成し得る。ここでいう中性域とは、例えばpH(5%水溶液、25℃)が4以上9以下、好ましくはpH4以上8以下であることを意味する。水溶液が中性を示す金属塩Aとしては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム等の塩化物、および、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム等の硝酸塩が挙げられる。なかでも、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムおよび硝酸カルシウムは、良好な表面を効率よく形成し得るので好ましい。いくつかの態様において、金属塩Aはアルカリ金属の塩化物または硝酸塩である。また、いくつかの態様において、金属塩Aはアルカリ土類金属の塩化物または硝酸塩である。
【0021】
研磨用組成物における金属塩Aの濃度(含有量)C1は特に制限されないが、通常は10モル/L以下とすることが適当である。金属塩Aの濃度C1を小さくすることで、研磨対象材料表面における研磨レート向上効果および欠陥低減効果がより高いレベルで実現され得る。特に好ましい一態様において、上記研磨対象材料は、高硬度材料である。研磨効率等の観点から、上記濃度C1は10モル/L以下とすることが適当であり、8モル/L以下とすることが好ましく、6モル/L以下、例えば3モル/L以下、あるいは1.5モル/L以下とすることがより好ましい。いくつかの態様において、金属塩Aの濃度C1は、1モル/L以下であってもよく、0.5モル/L以下であってもよく、0.1モル/L以下であってもよく、0.05モル/以下であってもよく、0.02モル/以下であってもよく、0.016モル/以下であってもよい。上記濃度C1の下限は、0(ゼロ)を上回れば特に制限されないが、本発明による効果を発揮しやすくする観点から、通常は0.0001モル/L以上とすることが適当であり、好ましくは0.0005モル/L以上、より好ましくは0.001モル/L以上、さらに好ましくは0.003モル/L以上である。上記濃度C1は、例えば0.0035モル/L以上であってよく、0.005モル/L以上であってもよく、典型的には0.01モル/L以上、例えば0.03モル/L以上であってもよい。ここに開示される技術は、例えば、研磨用組成物における金属塩Aの濃度C1が0.003モル/L~1.5モル/Lである態様や、0.0035モル/L~1モル/Lである態様で好ましく実施され得る。
【0022】
(酸化剤)
ここに開示される研磨用組成物は、上記金属塩Aのほか、酸化剤を含む。酸化剤は、ポリシングにおいて研磨対象物表面との間で酸化反応を起こし、当該表面の低硬度化、脆弱化を有効にもたらし得る。かかる酸化剤と金属塩Aとを組み合わせて用いることにより、研磨レートをより効果的に向上することができる。また、酸化剤と金属塩Aとを組み合わせて使用することは、欠陥低減にも有利となり得る。酸化剤は、研磨対象物表面を酸化する作用を発揮するのに十分な酸化還元電位を有する物質であれば特に限定されない。例えば、酸化剤は、研磨を実施するpHすなわち研磨組成物と同じpHにおいて、研磨対象材料の酸化還元電位より高い酸化還元電位を有する物質であり得る。一方、例えば、金属塩Aは、研磨を実施するpHすなわち研磨組成物と同じpHにおいて、研磨対象材料の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する物質であり得る。なお、研磨対象材料の酸化還元電位は、当該材料の粉末を水に分散させてスラリーにし、そのスラリーを研磨用組成物と同じpHに調整した後、市販の酸化還元電位計を用いて当該スラリーの酸化還元電位(液温25℃における標準水素電極に対する酸化還元電位)を測定した値が採用される。
【0023】
酸化剤の具体例としては、過酸化水素等の過酸化物;硝酸、その塩である硝酸鉄、硝酸銀、硝酸アルミニウム、その錯体である硝酸セリウムアンモニウム等の硝酸化合物;ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸等の過硫酸、その塩である過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸化合物;塩素酸やその塩、過塩素酸、その塩である過塩素酸カリウム等の塩素化合物;臭素酸、その塩である臭素酸カリウム等の臭素化合物;ヨウ素酸、その塩であるヨウ素酸アンモニウム、過ヨウ素酸、その塩である過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム等のヨウ素化合物;鉄酸、その塩である鉄酸カリウム等の鉄酸類;過マンガン酸、その塩である過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸類;クロム酸、その塩であるクロム酸カリウム、二クロム酸カリウム等のクロム酸類;バナジン酸、その塩であるバナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム等のバナジン酸類;過ルテニウム酸またはその塩等のルテニウム酸類;モリブデン酸、その塩であるモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸二ナトリウム等のモリブデン酸類;過レニウム酸またはその塩等のレニウム酸類;タングステン酸、その塩であるタングステン酸二ナトリウム等のタングステン酸類;が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0024】
好ましい一態様では、研磨用組成物は、酸化剤として複合金属酸化物を含む。上記複合金属酸化物としては、硝酸金属塩、鉄酸類、過マンガン酸類、クロム酸類、バナジン酸類、ルテニウム酸類、モリブデン酸類、レニウム酸類、タングステン酸類が挙げられる。なかでも、鉄酸類、過マンガン酸類、クロム酸類がより好ましく、過マンガン酸類がさらに好ましい。
【0025】
さらに好ましい一態様では、上記複合金属酸化物として、1価もしくは2価の金属元素(ただし、遷移金属元素を除く。)と、周期表の第4周期遷移金属元素と、を有する複合金属酸化物が用いられる。上記1価または2価の金属元素の好適例としては、Na、K、Mg、Caが挙げられる。なかでも、Na、Kがより好ましい。周期表の第4周期遷移金属元素の好適例としては、Fe、Mn、Cr、V、Tiが挙げられる。なかでも、Fe、Mn、Crがより好ましく、Mnがさらに好ましい。上記複合金属酸化物は、炭化ケイ素等の高硬度材料表面において当該表面の低硬度化、脆弱化を有効にもたらし得る。そのため、該複合金属酸化物と金属塩Aとを組み合わせて用いることにより、研磨レート向上効果や欠陥低減効果がより好適に発揮され得る。
【0026】
ここに開示される研磨用組成物が、酸化剤として上記複合金属酸化物を含む場合、複合金属酸化物以外の酸化剤をさらに含んでもよく、含まなくてもよい。ここに開示される技術は、酸化剤として上記複合金属酸化物以外の酸化剤を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。上記複合金属酸化物以外の酸化剤は、例えば、過酸化水素である。
【0027】
研磨用組成物における酸化剤の濃度(含有量)C2は、通常は0.001モル/L以上とすることが適当である。研磨レートと欠陥の低減とを高度にかつ効率的に両立する観点から、上記濃度C2は0.005モル/L以上が好ましく、0.01モル/L以上、例えば0.05モル/L以上がより好ましい。また、平滑性向上の観点から、上記酸化剤の濃度C2は、通常は10モル/L以下とすることが適当であり、5モル/L以下とすることが好ましく、3モル/L以下、例えば1モル/L以下、あるいは0.5モル/L以下とすることがより好ましい。ここに開示される技術は、研磨用組成物における酸化剤の濃度C2が0.07モル/L~0.3モル/Lである態様で好ましく実施され得る。
【0028】
特に限定されるものではないが、酸化剤と金属塩Aとを併用することによる効果をより良く発揮させる観点から、研磨用組成物における金属塩Aの濃度C1[モル/L]と、酸化剤の濃度C2[モル/L]との比(C1/C2)は、本発明による効果を発揮しやすくする観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.02以上である。いくつかの態様において、C1/C2は、例えば0.08以上であってもよく、典型的には0.12以上であってもよい。C1/C2の上限は特に限定されないが、概ね100以下であることが好ましい。上記C1/C2は、典型的には70以下、好ましく30以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは1以下、特に好ましくは0.2以下である。いくつかの態様において、C1/C2は、例えば0.18以下であってもよく、典型的には0.15以下であってもよい。このような金属塩Aと酸化剤の濃度の比(C1/C2)であると、研磨レート向上効果がより好適に発揮され得る。なお、上記金属塩Aの濃度は、研磨用組成物が複数の金属塩Aを含む場合には、それらの合計濃度を指す。また、上記酸化剤の濃度は、研磨用組成物が複数の酸化剤を含む場合には、それらの合計濃度を指す。
【0029】
(砥粒)
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒を含有する。砥粒の材質や性状は、特に制限はない。例えば、砥粒は無機粒子、有機粒子および有機無機複合粒子のいずれかであり得る。例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩;等のいずれかから実質的に構成される砥粒が挙げられる。砥粒は1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、酸化ジルコニウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化鉄粒子等の酸化物粒子は、良好な表面を形成し得るので好ましい。そのなかでも、アルミナ粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化クロム粒子、酸化鉄粒子がより好ましく、アルミナ粒子が特に好ましい。ここに開示される技術では、砥粒としてアルミナ粒子を用いる研磨において、金属塩Aおよび酸化剤を用いることによる研磨レート向上効果がより好適に発揮され得る。
【0030】
なお、本明細書において、砥粒の組成について「実質的にXからなる」または「実質的にXから構成される」とは、当該砥粒に占めるXの割合(Xの純度)が、重量基準で90%以上であることをいう。また、上記砥粒に占めるXの割合は、95%以上が好ましく、97%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、例えば99%以上である。
【0031】
砥粒としてアルミナ粒子を用いる場合、公知の各種アルミナ粒子のなかから適宜選択して使用することができる。そのような公知のアルミナ粒子の例には、α-アルミナおよび中間アルミナが含まれる。ここで中間アルミナとは、α-アルミナ以外のアルミナ粒子の総称であり、具体的には、γ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、η-アルミナ、κ-アルミナ、χ-アルミナ等が例示される。また、製法による分類に基づきヒュームドアルミナと称されるアルミナを使用してもよい。上記ヒュームドアルミナと称されるアルミナは、典型的にはアルミナ塩を高温焼成する際に生産されるアルミナ微粒子である。さらに、コロイダルアルミナまたはアルミナゾルと称されるアルミナも、上記公知のアルミナ粒子の例に含まれる。上記コロイダルアルミナまたはアルミナゾルと称されるアルミナは、例えば、ベーマイト等のアルミナ水和物である。加工性の観点から、αアルミナを含むことが好ましい。
【0032】
砥粒としてアルミナ粒子を用いる場合、研磨用組成物に含まれる砥粒全体に占めるアルミナ粒子の割合は、概して高い方が有利である。例えば、研磨用組成物に含まれる砥粒全体に占めるアルミナ粒子の割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。より好ましい一態様において、上記アルミナ粒子の割合は、例えば95~100重量%である。
【0033】
また、ここに開示される研磨用組成物は、砥粒としてダイヤモンド粒子を実質的に含まないことが好ましい。ダイヤモンド粒子はその高硬度ゆえ、欠陥低減効果の制限要因となり得る。また、ダイヤモンド粒子は概して高価であることから、コストパフォーマンスの点で有利な材料とはいえず、実用面からは、ダイヤモンド粒子等の高価格材料への依存度は低いことが望ましい。
【0034】
砥粒の平均二次粒子径は、通常は20nm以上であり、研磨効率等の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、例えば400nm以上である。砥粒の平均二次粒子径の上限は、単位重量当たりの個数を充分に確保する観点から、凡そ5000nm以下とすることが適当である。研磨効率と面質とをより高度に両立する観点から、上記平均二次粒子径は、好ましくは3000nm以下、より好ましくは2000nm以下、例えば800nm以下である。
【0035】
砥粒の平均二次粒子径は、500nm未満の粒子については、例えば、日機装社製の型式「UPA-UT151」を用いた動的光散乱法により、体積平均粒子径(体積基準の算術平均径;Mv)として測定することができる。また、500nm以上の粒子についてはBECKMAN COULTER社製の型式「Multisizer 3」を用いた細孔電気抵抗法等により、体積平均粒子径として測定することができる。
【0036】
研磨用組成物における砥粒濃度は、研磨効率の観点から、通常は1重量%以上とすることが適当である。研磨レート向上の観点から、砥粒濃度は3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。また、研磨効率と面質とを高度にかつ効率的に両立する観点、良好な分散性を得る観点から、研磨用組成物における砥粒濃度は、通常は50重量%以下とすることが適当であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下である。
【0037】
(その他の成分)
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、キレート剤、増粘剤、分散剤、表面保護剤、濡れ剤、pH調整剤、界面活性剤、有機酸、無機酸、防錆剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記研磨用組成物は、典型的には高硬度材料研磨用組成物、例えば炭化ケイ素基板研磨用組成物である。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
【0038】
有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸の例としては、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸等が挙げられる。酸を使用する場合、その使用量は、通常、0.1重量%以下とすることが好ましく、0.01重量%以下とすることがより好ましく、0.001重量%以下とすることがさらに好ましい。あるいは、ここに開示される研磨用組成物は、酸を実質的に含有しない組成であり得る。ここに開示される技術では、金属塩Aと酸化剤とを組み合わせて用いることにより、酸を含まない中性域の研磨用組成物において面質を改善しつつ研磨レートを向上させ得る。
【0039】
(溶媒)
研磨用組成物に用いられる溶媒は、金属塩Aおよび酸化剤を分散させることができるものであればよく、特に制限されない。溶媒としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。ここに開示される研磨用組成物は、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤をさらに含有してもよい。上記有機溶剤は、低級アルコール、低級ケトン等である。通常は、研磨用組成物に含まれる溶媒の90体積%以上が水であることが好ましく、95体積%以上、典型的には99~100体積%が水であることがより好ましい。
【0040】
研磨用組成物のpHは、通常は2~12程度とすることが適当である。研磨用組成物のpHが上記範囲内であると、実用的な研磨レートが達成されやすい。ここに開示される技術の適用効果をよりよく発揮する観点から、研磨用組成物のpHは、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5.5以上である。pHの上限は特に限定されないが、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは9.5以下である。上記pHは、好ましくは3~11、より好ましくは4~10、さらに好ましくは5~9.5である。特に限定的に解釈されるものではないが、pHが5~9.5の範囲内にあると、金属塩Aにおけるカチオンとアニオンの双方が研磨レート向上や欠陥の低減に寄与すると考えられる。そのため、ここに開示される技術によれば、pHが5~9.5の研磨用組成物において、従来に比して高い研磨レートが実現され得る。また、研磨装置へのダメージが少なく、扱いやすい。研磨用組成物のpHは、例えば9以下、典型的には7.5以下であってもよい。いくつかの態様において、上記pHは、例えば7未満、典型的には6.5以下であってもよい。
【0041】
<研磨用組成物の調製>
ここに開示される研磨用組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置を用いて、研磨用組成物に含まれる各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
【0042】
ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分、典型的には溶媒以外の成分のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。
【0043】
<濃縮液>
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物に供給される前には濃縮された形態、すなわち研磨液の濃縮液の形態であってもよい。このように濃縮された形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば、体積換算で2倍~5倍程度とすることができる。
【0044】
このように濃縮液の形態にある研磨用組成物は、所望のタイミングで希釈して研磨液を調製し、その研磨液を研磨対象物に供給する態様で使用することができる。上記希釈は、典型的には、上記濃縮液に前述の溶媒を加えて混合することにより行うことができる。また、上記溶媒が混合溶媒である場合、該溶媒の構成成分のうち一部の成分のみを加えて希釈してもよく、それらの構成成分を上記溶媒とは異なる量比で含む混合溶媒を加えて希釈してもよい。また、後述するように多剤型の研磨用組成物においては、それらのうち一部の剤を希釈した後に他の剤と混合して研磨液を調製してもよく、複数の剤を混合した後にその混合物を希釈して研磨液を調製してもよい。
【0045】
<研磨方法>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、研磨対象物の研磨に使用することができる。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に、濃度調整、pH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。濃度調整は、例えば希釈である。あるいは、上記研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。また、多剤型の研磨用組成物の場合、上記研磨液を用意することには、それらの剤を混合すること、該混合の前に1または複数の剤を希釈すること、該混合の後にその混合物を希釈すること、等が含まれ得る。
次いで、その研磨液を研磨対象物表面に供給し、常法により研磨する。例えば、一般的な研磨装置に研磨対象物をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて該研磨対象物の表面(研磨対象面)に上記研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動させる。上記移動は、例えば回転移動である。かかるポリシング工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。
【0046】
この明細書によると、研磨対象材料を研磨する研磨方法および該研磨方法を用いた研磨物の製造方法が提供される。上記研磨方法は、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する工程を含むことによって特徴づけられる。好ましい一態様に係る研磨方法は、予備ポリシングを行う工程(予備ポリシング工程)と、仕上げポリシングを行う工程(仕上げポリシング工程)と、を含んでいる。ここでいう予備ポリシング工程とは、研磨対象物に対して、予備ポリシングを行う工程である。典型的な一態様では、予備ポリシング工程は、仕上げポリシング工程の直前に配置されるポリシング工程である。予備ポリシング工程は、1段のポリシング工程であってもよく、2段以上の複数段のポリシング工程であってもよい。また、ここでいう仕上げポリシング工程は、予備ポリシングが行われた研磨対象物に対して仕上げポリシングを行う工程であって、ポリシング用組成物を用いて行われるポリシング工程のうち最後に、すなわち最も下流側に配置される研磨工程のことをいう。このように予備ポリシング工程と仕上げポリシング工程とを含む研磨方法において、ここに開示される研磨用組成物は、予備ポリシング工程で用いられてもよく、仕上げポリシング工程で用いられてもよく、予備ポリシング工程および仕上げポリシング工程の両方で用いられてもよい。
【0047】
好ましい一態様において、上記研磨用組成物を用いるポリシング工程は、予備ポリシング工程であり得る。ここに開示される研磨用組成物は、高い研磨レートを実現し得ることから、研磨対象材料表面の予備ポリシング工程に用いられる研磨用組成物(予備ポリシング用組成物)として好適である。予備ポリシング工程が2段以上の複数段のポリシング工程を含む場合、それらのうち2段以上のポリシング工程を、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を用いて実施することも可能である。ここに開示される研磨用組成物は、前段、すなわち上流側の予備ポリシングに好ましく適用することができる。例えば、後述するラッピング工程を経た最初の予備ポリシング工程、典型的には1次研磨工程においても好ましく使用され得る。
【0048】
他の好ましい一態様において、上記研磨用組成物を用いるポリシング工程は、仕上げポリシング工程である。ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象材料表面の仕上げポリシング工程に用いられる研磨用組成物(仕上げポリシング用組成物)として好ましく使用され得る。
【0049】
予備ポリシングおよび仕上げポリシングは、片面研磨装置による研磨、両面研磨装置による研磨のいずれにも適用可能である。片面研磨装置では、セラミックプレートにワックスで研磨対象物を貼りつけたり、キャリアと呼ばれる保持具を用いて研磨対象物を保持し、ポリシング用組成物を供給しながら研磨対象物の片面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動させることにより研磨対象物の片面を研磨する。上記移動は、例えば回転移動である。両面研磨装置では、キャリアと呼ばれる保持具を用いて研磨対象物を保持し、上方よりポリシング用組成物を供給しながら、研磨対象物の対向面に研磨パッドを押しつけ、それらを相対方向に回転させることにより研磨対象物の両面を同時に研磨する。
【0050】
ここに開示される各ポリシング工程で使用される研磨パッドは、特に限定されない。例えば、不織布タイプ、スウェードタイプ、硬質発泡ポリウレタンタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもの等のいずれを用いてもよい。
【0051】
ここに開示される方法により研磨された研磨物は、典型的にはポリシング後に洗浄される。この洗浄は、適当な洗浄液を用いて行うことができる。使用する洗浄液は特に限定されず、公知、慣用のものを適宜選択して用いることができる。
【0052】
なお、ここに開示される研磨方法は、上記予備ポリシング工程および仕上げポリシング工程に加えて任意の他の工程を含み得る。そのような工程としては、予備ポリシング工程の前に行われるラッピング工程が挙げられる。上記ラッピング工程は、研磨定盤、例えば鋳鉄定盤の表面を研磨対象物に押し当てることにより研磨対象物の研磨を行う工程である。したがって、ラッピング工程では研磨パッドは使用しない。ラッピング工程は、典型的には、研磨定盤と研磨対象物との間に砥粒を供給して行われる。上記砥粒は、典型的にはダイヤモンド砥粒である。また、ここに開示される研磨方法は、予備ポリシング工程の前や、予備ポリシング工程と仕上げポリシング工程との間に追加の工程を含んでもよい。追加の工程は、例えば洗浄工程やポリシング工程である。
【0053】
<研磨物の製造方法>
ここに開示される技術には、上記研磨用組成物を用いたポリシング工程を含む研磨物の製造方法および該方法により製造された研磨物の提供が含まれ得る。上記製造方法は、例えば炭化ケイ素基板の製造方法である。すなわち、ここに開示される技術によると、研磨対象材料から構成された研磨対象物に、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を供給して該研磨対象物を研磨することを含む、研磨物の製造方法および該方法により製造された研磨物が提供される。上記製造方法は、ここに開示されるいずれかの研磨方法の内容を好ましく適用することにより実施され得る。上記製造方法によると、研磨物、例えば炭化ケイ素基板が効率的に提供され得る。
【実施例
【0054】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
【0055】
<試験例>
<研磨用組成物の調製>
(実施例1)
研磨促進剤としての金属塩Aと酸化剤としての過マンガン酸カリウム(KMnO)とアルミナ砥粒と脱イオン水とを混合して実施例1の研磨用組成物を調製した。アルミナ砥粒の含有量は6%とした。また、BET法により測定される比表面積に基づいたアルミナ砥粒の平均一次粒子径は0.5μmである。なお、上記比表面積は、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を使用して測定した。
【0056】
(比較例1)
金属塩Aを用いなかったこと以外は実施例1と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0057】
各例に係る研磨組成物について、金属塩Aの種類および濃度C1、酸化剤の濃度C2、濃度比C1/C2、pHを表1に纏めて示す。
【0058】
<研磨レートの評価>
用意した研磨用組成物をそのまま研磨液として使用して、アルミナ砥粒を含む研磨液を用いて予備ポリシングを予め実施したSiCウェーハの表面に対し、下記の条件でポリシングを実施した。SiCウェーハとしては、主面(0001)のC軸に対するオフ角が4°のSiCウェーハを使用し、Si面側を研磨した。そして、以下の計算式(1)、(2)に従って研磨レートを算出した。結果を表1の該当欄に示す。
(1)研磨取り代[cm]=研磨前後の研磨対象物の重量の差[g]/SiCの密度[g/cm](=3.21g/cm)/研磨対象面積[cm](=19.62cm
(2)研磨レート[nm/h]=研磨取り代[cm]×10/研磨時間(=1時間)
[ポリシング条件]
研磨装置:日本エンギス社製の片面研磨装置、型式「EJ-380IN-CH」
研磨パッド:ニッタ・ハース社製「SUBA800XY」
研磨圧力:29.4kPa
定盤回転数:80回転/分
研磨時間:1時間
ヘッド回転数:40回転/分
研磨液の供給レート:20mL/分(掛け流し)
研磨液の温度:25℃
研磨対象物:SiCウェーハ(伝導型:n型、結晶型4H‐SiC)
2インチ×3枚
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示されるように、金属塩Aと酸化剤とを組み合わせて用いた実施例1の研磨用組成物によると、酸化剤を単独で用いた比較例1に比べて研磨レートが向上した。この結果から、金属塩Aと酸化剤とを組み合わせて用いることにより、研磨用組成物の研磨レートを向上させ得ることが確認できた。
【0061】
<試験例2>
本例では、アルミナ砥粒の含有量が研磨レートに与える影響を確認するため、以下の試験を行った。
【0062】
(実施例2~5)
アルミナ砥粒の含有量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0063】
(比較例2)
アルミナ砥粒を用いなかったこと以外は実施例1と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0064】
各例の研磨用組成物について、試験例1と同じ手順で研磨レートを測定した。結果を表2の該当欄に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示されるように、アルミナ砥粒を含む実施例1~5の研磨用組成物によると、アルミナ砥粒を含まない比較例2に比べて研磨レートが大きく向上した。研磨効率の観点からは、アルミナ砥粒の含有量は1%以上25%以下にすることが好ましい。
【0067】
<試験例3>
本例では、金属塩Aの濃度C1および酸化剤の濃度C2が研磨レートに与える影響を確認するため、以下の試験を行った。
【0068】
(実施例6~11および実施例17)
金属塩Aの濃度C1および酸化剤の濃度C2を表3に示すように変更したこと以外は実施例1と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0069】
各例の研磨用組成物について、試験例1と同じ手順で研磨レートを測定した。結果を表3の該当欄に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
表3に示されるように、金属塩Aの濃度C1および酸化剤の濃度C2が増大するに従い研磨レートは増大傾向を示した。研磨効率の観点からは、金属塩Aの濃度C1は0.0035モル/L以上にすることが好ましい。また、金属塩Aの濃度C1と酸化剤の濃度C2との濃度比C1/C2は、0.001以上にすることが好ましい。
【0072】
<試験例4>
本例では、金属塩Aの種類が研磨レートに与える影響を確認するため、以下の試験を行った。
【0073】
(実施例12~16)
金属塩Aの種類および濃度C1を表4に示すように変更したこと以外は実施例1と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0074】
各例の研磨用組成物について、試験例1と同じ手順で研磨レートを測定した。結果を表4の該当欄に示す。
【0075】
【表4】
【0076】
表4に示されるように、金属塩Aと酸化剤とを組み合わせて用いた実施例12~16の研磨用組成物によると、金属塩Aの種類にかかわらず、酸化剤を単独で用いた比較例1に比べて研磨レートが向上した。
【0077】
<試験例5>
本例では、実施例1および比較例1の研磨用組成物を用いて、種々異なるSiCウェーハの面を研磨した。具体的には、アルミナ砥粒を含む研磨液を用いて予備ポリシングを予め実施したSiCウェーハの表面に対し、下記の条件でポリシングを実施した。SiCウェーハとしては、主面(0001)のC軸に対するオフ角が4°のSiCウェーハを使用し、Si面側を研磨した。また、主面(0001)がC軸に対して0°のSiCウェーハを使用し、Si面側およびC面側をそれぞれ研磨した。そして、前記計算式(1)、(2)に従って研磨レートを算出した。結果を表5の該当欄に示す。
[ポリシング条件]
研磨装置:不二越機械工業株式会社、型式「PDP-500」
研磨パッド:ニッタ・ハース社製「SUBA800XY」
研磨圧力:29.4kPa
定盤回転数:100回転/分
研磨時間:1時間
ヘッド回転数:100回転/分
研磨液の供給レート:20mL/分(掛け流し)
研磨液の温度:25℃
研磨対象物:SiCウェーハ(伝導型:n型、結晶型4H‐SiC)
2インチ×1枚
【0078】
【表5】
【0079】
表5に示されるように、金属塩Aと酸化剤とを組み合わせて用いた実施例1の研磨用組成物によると、SiCウェーハの面および面方位にかかわらず、酸化剤を単独で用いた比較例1に比べて研磨レートが向上した。なかでも、主面(0001)がC軸に対して0°のSiCウェーハを使用した場合、1.3倍以上という極めて高い研磨レート向上効果が得られた。
【0080】
<試験例6>
本例では、金属塩Aが研磨後のウェーハ表面に与える影響を確認するため、以下の試験を行った。
【0081】
(実施例18)
金属塩Aの濃度C1および酸化剤の濃度C2を表6に示すように変更したこと以外は実施例1と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0082】
(比較例3)
金属塩Aを用いなかったこと以外は実施例18と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0083】
実施例18および比較例3の研磨用組成物を用いて、SiCウェーハを研磨した。具体的には、アルミナ砥粒を含む研磨液を用いて予備ポリシングを予め実施したSiCウェーハの表面に対し、試験例5と同じ条件でポリシングを実施し、下記条件で研磨後の表面の評価を実施した。SiCウェーハとしては、東レ・ダウコーニング株式会社製 プライムグレード SiCウェーハ(伝導型:n型、結晶型4H‐SiC)4インチを使用し、Si面側を研磨した。結果を表6の該当欄に示す。
[研磨後の表面の評価条件]
評価装置:レーザーテック株式会社、SiCウェハ欠陥検査/レビュー装置 SICA6X評価値 :全ての欠陥の合計数(総欠陥数)
【0084】
【表6】
【0085】
表6に示されるように、実施例18の研磨用組成物は、酸化剤を単独で用いた比較例3に比べて総欠陥数が減少していた。この結果から、金属塩Aと酸化剤とを組み合わせて用いることにより、面質を改善しつつ研磨レートを大幅に向上させ得ることが確認できた。
【0086】
<試験例7>
本例では、酸化剤の種類に関わらず、金属塩Aが研磨レートの向上に効果があるかを確認するため、以下の試験を行った。
【0087】
(実施例19~21)
金属塩Aの濃度C1および酸化剤の種類を表7に示すように変更したこと以外は実施例1と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0088】
(比較例4)
金属塩Aを用いなかったこと以外は実施例19と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0089】
各例の研磨用組成物について、試験例5と同じ条件でポリシングを実施した後、試験例1と同じ手順で研磨レートを測定し、比較例4の測定結果を100とした相対値(研磨レート比)を求めた。
【0090】
【表7】
【0091】
表7に示されるように、実施例19~21の研磨用組成物によると、酸化剤を単独で用いた比較例4に比べて研磨レートが向上した。この結果から、SiCウェーハの研磨において、酸化剤に過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を使用した場合でも、金属塩Aと酸化剤とを組み合わせることによる研磨レート向上効果が発揮され得ることが確認された。
【0092】
<試験例8>
本例では、実施例10および比較例1の研磨用組成物を用いて、種々異なる化合物半導体ウェーハを研磨した。具体的には、アルミナ砥粒を含む研磨液を用いて予備ポリシングを予め実施した各半導体ウェーハの表面に対し、試験例5と同じ条件でポリシングを実施した。本例では、研磨対象面として、サファイア(Al)のa面側、窒化ガリウム(GaN)のN面側、炭化ケイ素(SiC)のSi面側をそれぞれ研磨した。そして、前記計算式(1)、(2)に従って研磨レートを算出した。なお、サファイアの研磨レートの算出では、前記計算式(1)中の「SiCの密度[g/cm](=3.21g/cm)」を「サファイアの密度[g/cm](=3.97g/cm)」とした。また、窒化ガリウムの研磨レートの算出では、「SiCの密度[g/cm](=3.21g/cm)」を「窒化ガリウムの密度[g/cm](=6.15g/cm)」とした。結果を表8の該当欄に示す。
【0093】
【表8】
【0094】
表8に示されるように、金属塩Aと酸化剤とを組み合わせて用いた実施例10の研磨組成物によると、SiCウェーハ、GaNウェーハ及びAlウェーハの各々の研磨において、酸化剤を単独で用いた比較例1に比較して研磨レートが向上した。特に構成元素に酸素を含まない材料からなるSiCウェーハおよびGaNウェーハにおいては、1900nm/h以上の研磨レートが得られた。これは、構成元素に酸素を含まない材料の研磨では、酸化剤によって研磨対象物が変質し、変質した層が除去されることで研磨が進行するためと考えられる。すなわち、既に酸化されているAlウェーハの研磨では、金属塩Aが除去過程においてのみ機能しているのに対し、SiCウェーハおよびGaNウェーハの研磨においては、金属塩Aがウェーハの酸化過程及び除去過程の両方で機能しているため、より高い研磨レートが得られたと考えられる。
【0095】
<試験例9>
本例では、金属塩Aの濃度C1がGaNウェーハの研磨レートに与える影響を確認するため、以下の試験を行った。
【0096】
(実施例22、23)
金属塩Aの濃度C1を表9に示すように変更したこと以外は実施例1と同じ手順で研磨用組成物を調製した。
【0097】
実施例1、10、22、23および比較例1の研磨用組成物について、試験例5と同じ条件でポリシングを実施し、試験例1と同じ手順で研磨レートを測定した。なお、本試験例では、研磨対象の化合物半導体ウェーハとして、上記試験例8と同じGaNウェーハを使用し、このGaNウェーハのN面側を研磨した。結果を表9の該当欄に示す。
【0098】
【表9】
【0099】
表9に示されるように、実施例1、22、23の研磨組成物によると、上記した実施例10の研磨用組成物と同様に、GaNウェーハの研磨において、酸化剤を単独で用いた比較例1に比較して研磨レートが向上した。また、実施例1、10、22、23のなかでも実施例1、23において、より高い研磨レートが得られた。研磨効率の観点からは、金属塩Aの濃度C1を0.0035モル/L以上にすることが好ましい。また、金属塩Aの濃度C1と酸化剤の濃度C2との濃度比C1/C2は、0.001以上にすることが好ましい。
【0100】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。