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特許7373676撮像装置、撮像制御方法及び撮像制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像制御方法及び撮像制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/67 20230101AFI20231026BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20231026BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20231026BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20231026BHJP
   G03B 13/34 20210101ALI20231026BHJP
【FI】
H04N23/67
H04N23/67 100
H04N23/63 330
G02B7/28 N
G03B13/36
G03B13/34
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022565296
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2021042556
(87)【国際公開番号】W WO2022113893
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020195915
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】河口 武弘
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎也
(72)【発明者】
【氏名】西山 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】島田 智大
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-133821(JP,A)
【文献】特開2010-199884(JP,A)
【文献】特開2015-213254(JP,A)
【文献】特開2011-22499(JP,A)
【文献】特開2013-7839(JP,A)
【文献】特開2010-164637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/67
H04N 23/63
G02B 7/28
G03B 13/36
G03B 13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系と、撮像素子と、プロセッサと、を備える撮像装置であって、
前記プロセッサは、
第1フォーカスモードにおいて、
前記撮像光学系を介して前記撮像素子で撮像された動画像データを表示先に出力し、
前記動画像データに基づいて、前記動画像データが表す画像における合焦領域を検出し、
フォーカス操作が行われた場合に、前記フォーカス操作に関する時間に基づいて、前記フォーカス操作の終了を検知し、
前記フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向を検知し、
前記フォーカス操作の終了が検知された場合は、前記合焦領域に存在する被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行い、かつ、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を開始してから第2時間が経過するまでの間、前記オートフォーカス制御によるフォーカスの移動方向を、前記フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向に制限し、
前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御の開始後、再び前記フォーカス操作が行われた場合は、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を終了する、
撮像装置。
【請求項2】
撮像光学系と、撮像素子と、プロセッサと、を備える撮像装置であって、
前記プロセッサは、
第1フォーカスモードにおいて、
前記撮像光学系を介して前記撮像素子で撮像された動画像データを表示先に出力し、
前記動画像データに基づいて、前記動画像データが表す画像における合焦領域を検出し、
前記動画像データに基づいて、前記動画像データに含まれる被写体のフォーカス状態を検出し、
フォーカス操作が行われた場合に、前記フォーカス操作に関する時間に基づいて、前記フォーカス操作の終了を検知し、
前記フォーカス操作の終了が検知された場合は、前記合焦領域に存在する前記被写体であって、前記フォーカス操作中に合焦状態から非合焦状態に変化した後、合焦状態に戻された前記被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行い、
前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御の開始後、再び前記フォーカス操作が行われた場合は、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を終了する、
撮像装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記フォーカス操作中に合焦状態から非合焦状態に変化した後、合焦状態に戻された前記被写体が存在しない場合、前記フォーカス操作中に合焦状態の期間が最も長い前記被写体を前記追尾対象に設定する、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記フォーカス操作に関する時間は、無操作状態の時間である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記無操作状態の継続時間を計測し、
前記無操作状態の開始から第1時間が経過したことを検知して、前記フォーカス操作の終了を検知する、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記無操作状態の継続時間の情報を記録し、
記録された前記無操作状態の継続時間の情報に基づいて、前記第1時間を設定する、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、記録された前記無操作状態の継続時間の情報に基づいて、統計的手法により前記第1時間を算出し、設定する、
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第1時間として、直近の規定回数分の前記無操作状態の継続時間の平均値、中央値又は最頻値を算出する、
請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記動画像データが表す画像に対し、前記合焦領域を示す情報を付与し、前記動画像データを前記表示先に出力する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記フォーカス操作の終了の検知に応じて、前記合焦領域を示す情報の内容を変更する、
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
装置本体の姿勢の情報を取得し、
前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御の開始後、前記装置本体の姿勢が変化した場合、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を終了する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
複数の前記被写体が前記追尾対象に設定された場合において、
各前記被写体の動き量を算出し、
算出した前記動き量に基づいて、前記追尾対象を設定する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、動きのない前記被写体又は前記動き量が最も小さい前記被写体を前記追尾対象に設定する、
請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記動き量は、前記撮像光学系の光軸方向の動き量を含み、
前記プロセッサは、すべての前記被写体に動きがあると判定した場合、前記光軸方向の動き量が最も小さい前記被写体を前記追尾対象に設定する、
請求項12又は13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、すべての前記被写体に動きがあると判定した場合において、前記光軸方向の動き量の情報を取得できない場合、すべての前記被写体に対する前記追尾対象の設定を解除する、
請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御の開始後、前記動画像データに基づいて、画面内の複数の領域のフォーカス評価値を算出し、
前記追尾対象と同程度のフォーカス評価値が第3時間維持された前記領域を抽出し、抽出した前記領域に存在する前記被写体を前記追尾対象として新たに追加して設定する、
請求項1から15のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項17】
撮像光学系を介して撮像素子で撮像された動画像データに基づいて、前記動画像データが表す画像における合焦領域を検出し、
フォーカス操作が行われた場合に、前記フォーカス操作に関する時間に基づいて、前記フォーカス操作の終了を検知し、
前記フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向を検知し、
前記フォーカス操作の終了が検知された場合は、前記合焦領域に存在する被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行い、かつ、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を開始してから第2時間が経過するまでの間、前記オートフォーカス制御によるフォーカスの移動方向を、前記フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向に制限し、
前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御の開始後、再び前記フォーカス操作が行われた場合は、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を終了する、
撮像制御方法。
【請求項18】
撮像光学系を介して撮像素子で撮像された動画像データに基づいて、前記動画像データが表す画像における合焦領域を検出し、
前記動画像データに基づいて、前記動画像データに含まれる被写体のフォーカス状態を検出し、
フォーカス操作が行われた場合に、前記フォーカス操作に関する時間に基づいて、前記フォーカス操作の終了を検知し、
前記フォーカス操作の終了が検知された場合は、前記合焦領域に存在する前記被写体であって、前記フォーカス操作中に合焦状態から非合焦状態に変化した後、合焦状態に戻された前記被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行い、
前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御の開始後、再び前記フォーカス操作が行われた場合は、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を終了する、
撮像制御方法。
【請求項19】
撮像光学系を介して撮像素子で撮像された動画像データに基づいて、前記動画像データが表す画像における合焦領域を検出する機能と、
フォーカス操作が行われた場合に、前記フォーカス操作に関する時間に基づいて、前記フォーカス操作の終了を検知する機能と、
前記フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向を検知する機能と、
前記フォーカス操作の終了が検知された場合に、前記合焦領域に存在する被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行い、かつ、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を開始してから第2時間が経過するまでの間、前記オートフォーカス制御によるフォーカスの移動方向を、前記フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向に制限する機能と、
前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御の開始後、再び前記フォーカス操作が行われた場合に、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を終了する機能と、
をコンピュータに実現させる撮像制御プログラム。
【請求項20】
撮像光学系を介して撮像素子で撮像された動画像データに基づいて、前記動画像データが表す画像における合焦領域を検出する機能と、
前記動画像データに基づいて、前記動画像データに含まれる被写体のフォーカス状態を検出する機能と、
フォーカス操作が行われた場合に、前記フォーカス操作に関する時間に基づいて、前記フォーカス操作の終了を検知する機能と、
前記フォーカス操作の終了が検知された場合は、前記合焦領域に存在する前記被写体であって、前記フォーカス操作中に合焦状態から非合焦状態に変化した後、合焦状態に戻された前記被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行う機能と、
前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御の開始後、再び前記フォーカス操作が行われた場合に、前記追尾処理及び前記オートフォーカス制御を終了する機能と、
をコンピュータに実現させる撮像制御プログラム。
【請求項21】
非一時的かつコンピュータ読取可能な記録媒体であって、請求項19又は20に記載のプログラムが記録された記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像制御方法及び撮像制御プログラムに係り、特に、マニュアルによるフォーカス操作をアシストする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マニュアルでフォーカス操作を行う際に、主被写体のフォーカス状態を表示手段に表示する技術が記載されている。
【0003】
特許文献2には、オートフォーカス(Auto Focus,AF)による撮像と、マニュアルフォーカス(Manual Focus,MF)による撮像と、が可能な撮像装置において、AFでの撮像中にMF操作が行われると、AFを停止する技術が記載されている。また、特許文献2には、AFを停止させた場合に、ズーム操作等をトリガとして、AFを再開する技術が記載されている。
【0004】
特許文献3には、フォーカシングを指示するスイッチへの指の接触を検出して、AF動作とMF動作とを自動で切り替える技術が記載されている。また、特許文献3には、MF動作からAF動作に切り替える際に、MF動作の際に指定した合焦対象領域をAF処理の合焦対象領域とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-197806公報
【文献】特開2004-64713公報
【文献】特開平6-205261公報
【発明の概要】
【0006】
本開示の技術に係る1つの実施形態は、マニュアルによるフォーカス操作の負担を軽減できる撮像装置、撮像制御方法及び撮像制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)撮像光学系と、撮像素子と、プロセッサと、を備える撮像装置であって、プロセッサは、第1フォーカスモードにおいて、撮像光学系を介して撮像素子で撮像された動画像データを表示先に出力し、動画像データに基づいて、動画像データが表す画像における合焦領域を検出し、フォーカス操作が行われた場合に、フォーカス操作に関する時間に基づいて、フォーカス操作の終了を検知し、フォーカス操作の終了が検知された場合は、合焦領域に存在する被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行い、追尾処理及びオートフォーカス制御の開始後、再びフォーカス操作が行われた場合は、追尾処理及びオートフォーカス制御を終了する、撮像装置。
【0008】
(2)フォーカス操作に関する時間は、無操作状態の時間である、(1)の撮像装置。
【0009】
(3)プロセッサは、無操作状態の継続時間を計測し、無操作状態の開始から第1時間が経過したことを検知して、フォーカス操作の終了を検知する、(2)の撮像装置。
【0010】
(4)プロセッサは、無操作状態の継続時間の情報を記録し、記録された無操作状態の継続時間の情報に基づいて、第1時間を設定する、(3)の撮像装置。
【0011】
(5)プロセッサは、記録された無操作状態の継続時間の情報に基づいて、統計的手法により第1時間を算出し、設定する、(4)の撮像装置。
【0012】
(6)プロセッサは、第1時間として、直近の規定回数分の無操作状態の継続時間の平均値、中央値又は最頻値を算出する、(5)の撮像装置。
【0013】
(7)プロセッサは、動画像データが表す画像に対し、合焦領域を示す情報を付与し、動画像データを表示先に出力する、(1)から(6)のいずれか一の撮像装置。
【0014】
(8)プロセッサは、フォーカス操作の終了の検知に応じて、合焦領域を示す情報の内容を変更する、(7)の撮像装置。
【0015】
(9)プロセッサは、フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向を検知し、追尾処理及びオートフォーカス制御を開始してから第2時間が経過するまでの間、オートフォーカス制御によるフォーカスの移動方向を、検知された移動方向に制限する、(1)から(8)のいずれか一の撮像装置。
【0016】
(10)プロセッサは、装置本体の姿勢の情報を取得し、追尾処理及びオートフォーカス制御の開始後、装置本体の姿勢が変化した場合、追尾処理及びオートフォーカス制御を終了する、(1)から(9)のいずれか一の撮像装置。
【0017】
(11)プロセッサは、複数の被写体が追尾対象に設定された場合において、各被写体の動き量を算出し、算出した動き量に基づいて、追尾対象を設定する、(1)から(10)のいずれか一の撮像装置。
【0018】
(12)プロセッサは、動きのない被写体又は動き量が最も小さい被写体を追尾対象に設定する、(11)の撮像装置。
【0019】
(13)動き量は、撮像光学系の光軸方向の動き量を含み、プロセッサは、すべての被写体に動きがあると判定した場合、光軸方向の動き量が最も小さい被写体を追尾対象に設定する、(11)又は(12)の撮像装置。
【0020】
(14)プロセッサは、すべての被写体に動きがあると判定した場合において、光軸方向の動き量の情報を取得できない場合、すべての被写体に対する追尾対象の設定を解除する、(13)の撮像装置。
【0021】
(15)プロセッサは、動画像データに基づいて、動画像データに含まれる被写体のフォーカス状態を検出し、フォーカス操作中の被写体のフォーカス状態に基づいて、追尾対象を設定する、(1)から(10)のいずれか一の撮像装置。
【0022】
(16)プロセッサは、フォーカス操作中に合焦状態から非合焦状態に変化した後、合焦状態に戻された被写体を追尾対象に設定する、(15)の撮像装置。
【0023】
(17)プロセッサは、フォーカス操作中に合焦状態から非合焦状態に変化した後、合焦状態に戻された被写体が存在しない場合、フォーカス操作中に合焦状態の期間が最も長い被写体を追尾対象に設定する、(16)の撮像装置。
【0024】
(18)プロセッサは、フォーカス操作中に合焦状態の期間が最も長い被写体を追尾対象に設定する、(15)の撮像装置。
【0025】
(19)プロセッサは、追尾処理及びオートフォーカス制御の開始後、動画像データに基づいて、画面内の複数の領域のフォーカス評価値を算出し、追尾対象と同程度のフォーカス評価値が第3時間維持された領域を抽出し、抽出した領域に存在する被写体を追尾対象として新たに追加して設定する、(1)から(18)のいずれか一の撮像装置。
【0026】
(20)撮像光学系を介して撮像素子で撮像された動画像データに基づいて、動画像データが表す画像における合焦領域を検出し、フォーカス操作が行われた場合に、フォーカス操作に関する時間に基づいて、フォーカス操作の終了を検知し、フォーカス操作の終了が検知された場合は、合焦領域に存在する被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行い、追尾処理及びオートフォーカス制御の開始後、再びフォーカス操作が行われた場合は、追尾処理及びオートフォーカス制御を終了する、撮像制御方法。
【0027】
(21)撮像光学系を介して撮像素子で撮像された動画像データに基づいて、動画像データが表す画像における合焦領域を検出する機能と、フォーカス操作が行われた場合に、フォーカス操作に関する時間に基づいて、フォーカス操作の終了を検知する機能と、フォーカス操作の終了が検知された場合に、合焦領域に存在する被写体を追尾対象に設定して、追尾処理及びオートフォーカス制御を継続して行う機能と、追尾処理及びオートフォーカス制御の開始後、再びフォーカス操作が行われた場合に、追尾処理及びオートフォーカス制御を終了する機能と、をコンピュータに実現させる撮像制御プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】撮像装置の概略構成を示す図
図2】レンズ部の概略構成を示す図
図3】MFモードにおいてCPUが実現する機能のブロック図
図4】MFモードにおいてCPUが実現する機能のブロック図
図5】フォーカス操作中に表示部に表示される動画像の1コマを表した図
図6】追尾AF中に表示部に表示される動画像の1コマを表した図
図7】フォーカスエリアの設定の一例を示す図
図8】MFモードにおいて行われる撮像制御の処理手順を示すフローチャート
図9】MFモードにおけるライブビューの表示の一例を示す図
図10】統計的手法を用いて検知用時間を設定する場合にCPUが実現する機能の一例を示すブロック図
図11】画像認識を利用して追尾対象を設定する場合にCPUが実現する機能の一例を示すブロック図
図12】合焦領域を示す情報の表示形態の他の一例を示す図
図13】フォーカスの移動方向を制限して追尾AFを行う場合にCPUが実現する主な機能のブロック図
図14】撮像制御の処理手順を示すフローチャート
図15】撮像装置の姿勢が変化した場合に追尾AFを強制終了する場合にCPUが実現する主な機能のブロック図
図16】撮像制御の処理手順を示すフローチャート
図17】追尾AFを行う際にCPUが実現する主な機能のブロック図
図18】撮像制御の処理手順を示すフローチャート
図19】追尾対象の設定の概念図
図20】追尾AFを行う際にCPUが実現する主な機能のブロック図
図21】撮像制御の処理手順を示すフローチャート
図22】追尾対象の設定の概念図
図23】追尾AFを行う際にCPUが実現する主な機能のブロック図
図24】撮像制御の処理手順を示すフローチャート
図25】撮像制御の処理手順を示すフローチャート
図26】追尾AFを行う際にCPUが実現する主な機能のブロック図
図27】撮像制御の処理手順を示すフローチャート
図28】追尾対象を追加して追尾AFを行う場合にCPUが実現する主な機能のブロック図
図29】撮像制御の処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0030】
[第1の実施の形態]
フォーカスは、後から編集で変えることができない。このため、動画像の撮像では、フォーカスの調整が特に重要視される。しかし、低予算の撮像では、カメラマンが一人の場合も少なくない(いわゆるワンマンオペレーション)。この場合、カメラマンは、フォーカス、画角、露出、ホワイトバランス等の多岐にわたる調整を一人で行う必要があり、非常に負荷が高い。フォーカス調整については、AFを利用することもできるが、AFで正確にフォーカスを合わせるには、適切にフォーカスエリアを設定する必要がある。しかし、ワンマンオペレーション等の場合には、並行して他の操作も行う必要があり、一瞬のタイムラグが発生するという問題がある。以下においては、ユーザによるMF操作の負荷を軽減できる撮像装置について説明する。
【0031】
[装置構成]
図1は、本実施の形態の撮像装置の概略構成を示す図である。
【0032】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置1は、レンズ部10及び本体部100を有する。レンズ部10は、本体部100に一体化されていてもよいし、着脱(交換)できる構成であってもよい。
【0033】
図2は、レンズ部の概略構成を示す図である。
【0034】
同図に示すように、レンズ部10は、撮像光学系20、レンズ駆動部30、及び、レンズ操作部40等を有する。
【0035】
本実施の形態において、撮像光学系20は、ズーム光学系で構成され、ズームレンズ22、絞り24及びフォーカスレンズ26を有する。なお、光量を調整する手段として、絞り24に代えて、又は、絞り24に加えて、減光フィルタ又は減光フィルタの一種であるNDフィルタ(ND:Neutral Density)を備えることもできる。ズームレンズ22及びフォーカスレンズ26は、少なくとも1枚のレンズで構成される。
【0036】
レンズ駆動部30は、ズーム駆動部32、絞り駆動部34、及び、フォーカス駆動部36を有する。
【0037】
ズーム駆動部32は、ズームレンズ22の駆動部である。ズーム駆動部32は、ズームレンズ22を駆動するアクチュエータ(不図示)と、そのアクチュエータの駆動回路(不図示)と、ズームレンズ22の位置を検出するセンサ(不図示)と、を有する。アクチュエータには、たとえば、直流モータ、リニアモータ、ステッピングモータ、超音波モータ等が用いられる。ズームレンズ22は、ズーム駆動部32に駆動されて、光軸Lに沿って前後移動する。これにより、焦点距離(画角)が変化する。
【0038】
絞り駆動部34は、絞り24の駆動部である。絞り駆動部34は、絞り24を駆動するアクチュエータ(不図示)と、そのアクチュエータの駆動回路(不図示)と、を含む。アクチュエータには、たとえば、直流モータ、リニアモータ、ステッピングモータ、超音波モータ等が用いられる。絞り24は、絞り駆動部34に駆動されて、その開口径が変化する。これにより、撮像光学系20を通過する光の光量が変化する。
【0039】
フォーカス駆動部36は、フォーカスレンズ26の駆動部である。フォーカス駆動部36は、フォーカスレンズ26を駆動するアクチュエータ(不図示)と、そのアクチュエータの駆動回路(不図示)と、フォーカスレンズ26の位置を検出するセンサ(不図示)と、を有する。アクチュエータには、たとえば、直流モータ、リニアモータ、ステッピングモータ、超音波モータ等が用いられる。フォーカスレンズ26は、フォーカス駆動部36に駆動されて、光軸Lに沿って前後移動する。これにより、フォーカス位置が変化する。
【0040】
レンズ操作部40は、ズーム操作部42、絞り操作部44及びフォーカス操作部46を有する。
【0041】
ズーム操作部42は、操作部材としてのズームリング(不図示)と、そのズームリングの位置を検出するセンサ(不図示)と、を有する。ズームリングは、鏡胴の外周に回転自在に設けられる。センサで検出されたズームリングの位置の情報は、CPU120に出力される。CPU120は、取得したズームリングの位置の情報に基づいて、ズームレンズ22の駆動を制御する。なお、本実施の形態では、ズームリングでズームの操作を行う構成としているが、ズームの操作は、レバー操作、ノブ操作等で行う構成とすることもできる。
【0042】
絞り操作部44は、操作部材としての絞りリング(不図示)と、その絞りリングの位置を検出するセンサ(不図示)と、を有する。絞りリングは、鏡胴の外周に回転自在に設けられる。センサで検出された絞りリングの位置の情報は、CPU120に出力される。CPU120は、取得した絞りリングの位置の情報に基づいて、絞り24の駆動を制御する。
【0043】
フォーカス操作部46は、フォーカスの操作部である。フォーカス操作部46は、操作部材としてのフォーカスリング(不図示)と、そのフォーカスリングの位置を検出するセンサ(不図示)と、を有する。フォーカスリングは、鏡胴の外周に回転自在に設けられる。センサで検出されたフォーカスリングの位置の情報は、CPU120に出力される。MFモードにおいて、CPU120は、取得したフォーカスリングの位置の情報に基づいて、フォーカスレンズ26の駆動を制御する。MFモードとは、マニュアルでフォーカス調整を行う動作モードである。フォーカス調整の動作モード(フォーカスモード)には、MFモードとAFモードとがあり、ユーザによって選択される。AFモードは、自動でフォーカス調整を行う動作モードである。フォーカスモードの選択は、本体操作部118で行われる。フォーカスの操作は、レバー操作、ノブ操作等で行う構成とすることもできる。
【0044】
図1に示すように、本体部100は、撮像部110、表示部112、記憶部114、接続部116、本体操作部118、CPU(Central Processing Unit)120、ROM(Read OnlyMemory)122、及び、RAM(Random Access Memory)124等を有する。
【0045】
撮像部110は、光学像を電気信号に変換する撮像素子110Aを備える(図2参照)。撮像素子110Aには、たとえば、所定のカラーフィルタ配列(たとえば、ベイヤ配列等)を有するCMOSイメージセンサ(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCDイメージセンサ(CCD:Charged Coupled Device)等が用いられる。
【0046】
本実施の形態の撮像装置1では、撮像素子110Aとして、駆動部、ADC(Analog to DigitalConverter)、及び、信号処理部等を備えたCMOSイメージセンサが用いられる。この場合、撮像素子110Aは、内蔵する駆動部に駆動されて動作する。また、各画素の信号は、内蔵するADCによってデジタル信号に変換されて出力される。更に、各画素の信号は、内蔵する信号処理部によって、相関二重サンプリング処理、ゲイン処理、補正処理等の信号処理が行われて出力される。なお、信号処理は、デジタル信号に変換する前の信号に対して行う構成としてもよいし、デジタル信号に変換した後の信号に対して行う構成としてもよい。
【0047】
また、本実施の形態の撮像装置1では、撮像素子110Aとして、位相差検出用画素が組み込まれた撮像素子110Aが用いられる。位相差検出用画素が組み込まれた撮像素子110Aを用いることで、画面内の被写体の位相差の情報を取得できる。また、取得した位相差の情報から画面内の被写体の焦点のズレの方向及び焦点のズレ量(デフォーカス量)を検出できる。位相差検出用画素が組み込まれた撮像素子110A、及び、その撮像素子110Aを用いた位相差の検出方法は公知の技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0048】
動画像の撮像は、あらかじめ定められたフレームレートで実施される。フレームレートは、固定であってもよいし、ユーザが任意に設定できる構成であってもよい。
【0049】
表示部112は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display,OLEDDisplay)などのディスプレイで構成される。表示部112は、その表示面にタッチパネルを備えたタッチパネルディスプレイで構成することもできる。また、表示部112には、EVF(Electronic View Finder)の形態も含まれる。表示部112は、ライブビューの表示に用いられる他、各種設定を行う際のGUI(Graphical User Interface)等としても使用される。また、表示部112がタッチパネルディスプレイで構成される場合には、操作手段としても機能する。なお、後述する接続部116に外部表示装置が接続された場合には、その外部表示装置も表示部112として機能する。
【0050】
記憶部114は、撮像された動画像データの記憶領域として使用される他、各種データの記憶領域として使用される。記憶部114は、たとえば、フラッシュメモリ(Flash Memory)を含むEEPROM(Electrically ErasableProgrammable Read-Only Memory)等の不揮発性を有する半導体メモリ、又は、これらの半導体メモリを内蔵したSSD(Solid State Drive)等で構成される。記憶部114は、装置本体に一体的に備えられた構成(いわゆる内蔵メモリの形態)であってもよいし、装置本体に対し着脱可能な構成(いわゆるメモリカードの形態)であってもよい。また、有線又は無線で通信可能に接続される形態であってもよい。また、後述する接続部116に外部記憶装置が接続された場合には、その外部記憶装置も記憶部114として機能する。
【0051】
接続部116は、外部機器(たとえば、外部表示装置、外部記憶装置等)の接続に用いられる。接続部116は、少なくとも1つの端子を備える。接続規格としては、たとえば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)等を採用できる(HDMIは登録商標)。
【0052】
本体操作部118は、撮像装置1を操作するための各種操作部材を備える。操作部材には、電源のオン及びオフを指示する電源ボタン、録画の開始及び終了を指示する録画ボタン等の各種操作ボタン類が含まれる。また、表示部112がタッチパネルディスプレイで構成される場合には、タッチパネルも本体操作部118に含まれる。
【0053】
上記のように、フォーカスモードの選択は本体操作部118で行われる。本体操作部118には、フォーカスモードを選択する手段として、フォーカスモード切替スイッチが備えられる。フォーカスモード切替スイッチは、MFモードとAFモードとを選択的に切り替える。なお、フォーカスモードの選択(設定)は、この他、設定画面等を利用して行う構成とすることもできる。
【0054】
CPU120は、プロセッサの一例である。CPU120は、所定のプログラム(撮像制御プログラム)を実行することにより、撮像装置1の制御部及び画像処理部等として機能する。
【0055】
CPU120が行う制御には、撮像制御の他、表示制御、記録制御等が含まれる。撮像制御には、レンズ部10及び撮像部110の駆動制御の他、制御に必要な情報の検知、検出及び算出処理等が含まれる。制御に必要な情報の検知、検出及び算出処理には、たとえば、露出の制御に必要な明るさの検出又は算出処理、AF制御に必要なフォーカス評価値の検出又は算出処理等が含まれる。また、追尾AFを行う場合には追尾処理も含まれる。追尾AFとは、AFの機能の一つであり、被写体が動いても自動的に追尾してフォーカスを合わせ続ける機能のことである。追尾AFにおいては、追尾処理として、追尾対象である被写体の動きに合わせてフォーカスエリアを設定する処理が行われる。本実施の形態の撮像装置1では、MFモードにおいて、フォーカス操作の終了が検知されると、MFによってフォーカスを合わせた被写体が追尾対象に設定されて、自動的に追尾AFが開始される。追尾AFは、再びフォーカス操作が行われるまで継続して行われる。本処理については、後に更に詳述する。MFモードは、第1フォーカスモードの一例である。
【0056】
また、CPU120が行う画像処理には、記録用及び表示用(ライブビュー用)の動画像データの生成処理の他、記録用の動画像データに対する圧縮処理等が含まれる。記録用及び表示用の動画像データは、RAWデータ(撮像部110から出力された未加工の動画像データ)に対し、所定の画像処理(いわゆる現像処理)を施すことにより生成される。ここでの画像処理には、オフセット処理、ガンマ補正処理、デモザイク処理、RGB/YCrCb変換処理、ホワイトバランス処理等が含まれる。これらの処理は、公知の処理であるため、その詳細についての説明は省略する。圧縮処理は、所定の圧縮形式の動画像ファイルを生成する処理である。圧縮の際のコーデックには、公知のものを採用できる。たとえば、MPEG(Moving Picture Experts Group)により標準化されたコーデック(MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4等)等を採用できる。
【0057】
なお、CPU120が行う上記の各処理については、その一部又は全部をCPU120の内部に設けたハードウェアで行う構成とすることもできる。
【0058】
ROM122には、CPU120が実行するプログラム、及び、制御等に必要な各種データが格納される。なお、ROM122を構成するメモリには、フラッシュメモリを含むEEPROMが含まれる。
【0059】
RAM124は、CPU120が各種処理を行う際の作業領域等として使用される。
【0060】
[MFモードにおける撮像の制御機能]
上記のように、本実施の形態の撮像装置1では、MFモードにおいて、ユーザ(カメラマン)が、所望の被写体にフォーカスを合わせてフォーカス操作を終了すると、フォーカスを合わせた被写体が追尾対象に設定されて、自動的に追尾AFが開始される。そして、ユーザが再びフォーカスを操作すると、追尾AFが終了し、通常のMFモードでの動作に切り替えられる。
【0061】
図3及び図4は、MFモードにおいてCPUが実現する機能のブロック図である。図3は、主として、マニュアルでフォーカス操作を行う場合に実現される機能のブロック図である。すなわち、通常のMFモードで実現される機能のブロック図である。また、図4は、主として、追尾AFを行う場合に実現される機能のブロック図である。
【0062】
図3及び図4に示すように、CPU120は、MFモードにおいて、表示用画像処理部120A、表示制御部120B、フォーカス評価値算出部120C、合焦領域検出部120D、追尾対象設定部120E、フォーカス操作検知部120F、フォーカス駆動制御部120G、追尾処理部120H及びAF制御部120I等として機能する。
【0063】
表示用画像処理部120Aは、撮像部110から出力される動画像データ(RAWデータ)を処理し、表示用の動画像データを生成する。
【0064】
図5は、フォーカス操作中に表示部に表示される動画像の1コマを表した図である。同図は、手前の人物300にフォーカスを合わせて撮像した場合に表示部112に表示される画像の一例を示している。背景の木400は、ボケて撮像されている。
【0065】
同図に示すように、フォーカス操作中に表示される画像IM1には、合焦領域を示す情報が付与される。本実施の形態では、合焦領域を示す情報として、合焦状態にあるフォーカスエリアの枠F1が表示される。より具体的には、合焦状態にあるフォーカスエリアの枠F1が、ライブビューの画像に重畳して表示される。枠F1は、所定の色で表示される。本実施の形態は、合焦状態にあるフォーカスエリアの枠F1が赤色で表示される。フォーカスエリアについては後述する。
【0066】
表示用画像処理部120Aは、フォーカス操作中、合焦領域検出部120Dで検出された合焦領域の情報に基づいて、表示用の動画像データを生成する。合焦領域の検出については後述する。
【0067】
図6は、追尾AF中に表示部に表示される動画像の1コマを表した図である。同図は、手前の人物300を追尾対象とした場合に表示部112に表示される画像の一例を示している。
【0068】
追尾AFでは、追尾対象に設定された被写体にフォーカスが合わせ続けられる。追尾AF中に表示される画像IM2には、追尾対象の被写体が存在するフォーカスエリアの枠F2が所定の色で表示される。この色は、フォーカス操作中に合焦領域を示す枠F1の色(赤色)とは異なる色とされる。本実施の形態では、緑色で表示される。このように、追尾AF中は、フォーカス操作中とは異なる色で追尾対象を示す枠が表示される。これにより、表示部112に表示される画像から追尾対象を認識できると同時に、追尾AF中であることを認識できる。なお、追尾AF中は、追尾対象にフォーカスが合わせ続けられるため、追尾対象の被写体が存在するフォーカスエリアが実質的に合焦領域となる。したがって、追尾対象の被写体が存在するフォーカスエリアの枠F2は、合焦領域を示す情報でもある。
【0069】
表示用画像処理部120Aは、追尾AF中、追尾処理部120Hで設定されるフォーカス対象エリアの情報に基づいて、表示用の動画像データを生成する。フォーカス対象エリアについては、後述する。
【0070】
表示制御部120Bは、表示用画像処理部120Aで生成された表示用の動画像データを表示部112に表示させる。表示部112は、表示先の一例である。なお、接続部116に外部表示装置が接続された場合は、外部表示装置にも表示用の動画像データが表示される。この場合、表示部112の表示は、オフする構成としてもよい。また、その他の情報を表示する構成としてもよい。
【0071】
フォーカス評価値算出部120Cは、撮像部110で撮像された動画像データに基づいて、あらかじめ設定されたフォーカスエリアのフォーカス評価値を算出する。
【0072】
図7は、フォーカスエリアの設定の一例を示す図である。
【0073】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置において、フォーカスエリアFAは、画面を縦方向及び横方向に等分割して設定される。同図に示す例では、画面を縦方向(y方向)に9等分割、横方向(x方向)に13等分割して、9×13個のフォーカスエリアFAを設定している。
【0074】
フォーカス評価値算出部120Cは、各フォーカスエリアFAのフォーカス評価値を算出する。フォーカス評価値は、フォーカス状態を表す指標である。本実施の形態では、位相差情報又は位相差情報から求められたデフォーカス量が、フォーカス評価値として算出される。位相差情報は、各フォーカスエリアFAの位相差検出用画素の情報に基づいて算出される。この点については、公知の技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0075】
合焦領域検出部120Dは、フォーカス評価値算出部120Cで算出される各フォーカスエリアFAのフォーカス評価値の情報に基づいて、合焦領域を検出する。すなわち、フォーカスが合っている領域を検出する。本実施の形態の撮像装置1では、フォーカスが合っているフォーカスエリアが合焦領域として選出される。フォーカスが合っているフォーカスエリアとは、位相差又はデフォーカス量が許容値以下のフォーカスエリアである。
【0076】
追尾対象設定部120Eは、追尾対象とする被写体を設定する。追尾対象設定部120Eは、フォーカス操作の終了の検知に応じて、追尾対象を設定する。すなわち、フォーカス操作検知部120Fでフォーカス操作の終了が検知された場合に、追尾対象を設定する。追尾対象設定部120Eは、フォーカス操作の終了が検知された際に合焦領域に存在する被写体を追尾対象に設定する。たとえば、図5に示す状態でフォーカス操作の終了が検知された場合、人物300が追尾対象に設定される。
【0077】
フォーカス操作検知部120Fは、フォーカス操作の開始及び終了を検知する。
【0078】
フォーカス操作の開始については、フォーカスリングの位置の変化により検知する。すなわち、フォーカスリングの位置の変化開始を検知して、操作開始を検知する。上記のように、フォーカスリングの位置は、フォーカス操作部46に備えられたセンサによって検出される。したがって、フォーカス操作検知部120Fは、センサの出力に基づいて、フォーカス操作の開始を検知する。
【0079】
一方、フォーカス操作の終了については、フォーカス操作に関する時間に基づいて検知する。具体的には、無操作状態の時間に基づいて、フォーカス操作の終了を検知する。無操作状態とは、フォーカス操作がない状態をいう。本実施の形態の撮像装置1では、フォーカスは、フォーカスリングで操作される。したがって、フォーカス操作がない状態とは、フォーカスリングの操作がない状態をいう。ここで、フォーカスリングの操作がない状態とは、フォーカスリングの位置の変化がない状態である。
【0080】
フォーカス操作検知部120Fは、フォーカスリングの位置を検出するセンサの出力に基づいて、無操作状態(フォーカスリングの位置の変化がない状態)の継続時間を計測する。そして、無操作状態の開始から規定時間が経過したことを検知して、フォーカス操作の終了を検知する。規定時間は、第1時間の一例である。規定時間は、たとえば、500msとされる。この場合、フォーカス操作検知部120Fは、無操作状態の開始から500msが経過したことを検知して、フォーカス操作の終了を検知する。
【0081】
フォーカス駆動制御部120Gは、フォーカス駆動部36を介してフォーカスレンズ26の駆動を制御する。
【0082】
フォーカス操作中、フォーカス駆動制御部120Gは、フォーカス操作部46からのフォーカスリングの操作情報(フォーカスリングの位置情報)に基づいて、フォーカスレンズ26の駆動を制御する。一方、追尾AF中は、AF制御部120Iからの制御情報に基づいて、フォーカスレンズ26の駆動を制御する。
【0083】
追尾処理部120Hは、追尾処理を行う。追尾処理には、追尾対象を検出する処理、及び、その検出結果に基づいてフォーカス対象エリアを設定する処理が含まれる。
【0084】
追尾対象を検出する処理は、撮像部110から出力される動画像データに基づいて行われる。具体的には、動画像データを構成する各フレームの画像から追尾対象を逐次検出する。検出には、テンプレートマッチング等の公知の手法が採用される。
【0085】
フォーカス対象エリアとは、フォーカスを合わせるエリアである。フォーカス対象エリアは、フォーカスエリアの中から設定される。追尾処理部120Hは、追尾対象が存在するフォーカスエリアをフォーカス対象エリアに設定する。追尾対象は、フレームごとに逐次検出されるので、フォーカス対象エリアもフレームごとに逐次設定される。
【0086】
追尾処理部120Hは、フォーカス操作が再度開始されるまで、あるいは、追尾対象が消失するまで、継続して追尾処理を行う。したがって、追尾対象が存在する場合であっても、再びフォーカス操作が行われた場合は、強制的に追尾処理が終了される。
【0087】
AF制御部120Iは、追尾処理部120Hで設定されたフォーカス対象エリアに対しAF制御(オートフォーカス制御)を行う。すなわち、設定されたフォーカス対象エリアの被写体にフォーカスを合わせる制御を行う。具体的には、まず、フォーカス対象エリアにおけるフォーカス評価値の情報に基づいて、フォーカス対象エリアの被写体にフォーカスを合わせるのに必要なフォーカスレンズ26の制御量(フォーカス駆動部36の駆動量)を算出する。そして、算出した制御量の情報をフォーカス駆動制御部120Gに与える。フォーカス駆動制御部120Gは、与えられた制御量の情報に基づいて、フォーカス駆動部36を駆動する。
【0088】
追尾処理部120Hと同様に、AF制御部120Iは、フォーカス操作が再度開始されるまで、あるいは、追尾対象が消失するまで、継続してAF制御を行う。
【0089】
[MFモードにおいて行われる撮像制御の処理手順(撮像制御方法)]
図8は、MFモードにおいて行われる撮像制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0090】
まず、フォーカス操作が開始されたか否かが判定される(ステップS1)。フォーカス操作の有無は、フォーカス操作部46からの出力に基づいて判定される。すなわち、フォーカスリングの位置を検出するセンサからの出力に基づいて判定される。フォーカスリングの位置を検出するセンサからの出力があると、フォーカス操作が開始されたと判定される。
【0091】
フォーカス操作が開始されたと判定されると、フォーカスモードがMFモードに設定されているか否かが判定される(ステップS2)。フォーカスモードは、フォーカスモード切替スイッチの設定状態に基づいて判定される。
【0092】
MFモードに設定されていると判定されると、各フォーカスエリアのフォーカス評価値が算出される(ステップS3)。そして、その算出結果に基づいて、合焦領域が検出される(ステップS4)。すなわち、合焦状態にあるフォーカスエリアが検出される。検出された合焦領域は、ライブビューの画像上に示される。本実施の形態では、合焦領域と判定されたフォーカスエリアの枠が赤色で表示される。したがって、ユーザ(カメラマン)は、ライブビューを視認することで、合焦領域を確認できる。
【0093】
合焦領域が検出されると、追尾対象が設定される(ステップS5)。追尾対象は、合焦領域に存在する被写体に設定される。本実施の形態の撮像装置では、合焦領域が、追尾対象の領域として設定される。すなわち、合焦領域が追尾対象の存在する領域として設定される。
【0094】
追尾対象の設定後、フォーカス操作が終了したか否かが判定される(ステップS6)。フォーカス操作は、無操作状態が規定時間継続した場合に操作終了と判定される。すなわち、操作終了が検知される。
【0095】
フォーカス操作の終了が検知されると、追尾AFが開始される(ステップS7)。すなわち、追尾対象に設定された被写体に対し、追尾処理及びAF制御が継続して行われる。より具体的には、追尾対象に設定された被写体の動きに合わせてフォーカス対象エリアを設定し、設定したフォーカス対象エリアの被写体にフォーカスが合うように継続してAF制御(いわゆるコンティニュアスAF制御)が行われる。
【0096】
また、フォーカス操作の終了が検知されると、合焦領域の表示が切り替えられる。すなわち、合焦領域を示すフォーカスエリアの枠の色が切り替えられる。本実施の形態では、合焦領域を示すフォーカスエリアの枠の色が赤色から緑色に切り替えられる。これにより、ユーザは、追尾AFを行うモードに移行したことを認識できる。また、これと同時に追尾対象に設定された被写体を認識できる。
【0097】
追尾AFは、フォーカス操作が再度開始されるまで、あるいは、追尾対象が消失するまで、継続して行われる。したがって、追尾AF中は、常にフォーカス操作が監視される。すなわち、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定される(ステップS8)。フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが強制的に終了される。すなわち、追尾処理及びその追尾処理に基づくAF制御が終了される。追尾AFの終了後は、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS2以降の処理が繰り返される。
【0098】
図9は、MFモードにおけるライブビューの表示の一例を示す図である。同図(A)は、フォーカス操作中の表示の一例を示している。同図(B)は、フォーカス操作の終了が検知された直後の表示の一例を示している。同図(C)は、追尾AF中の表示の一例を示している。
【0099】
フォーカス操作中は、合焦領域を示す情報として、合焦状態にあるフォーカスエリアの枠F1が赤色(Red)で表示される。図9(A)は、背景の木にフォーカスが合っていることを示している。
【0100】
フォーカス操作の終了が検知されると、合焦領域を示すフォーカスエリアの枠F2の色が赤色から緑色(Green)に切り替えられる。図9(B)は、手前の人物にフォーカスを合わせてフォーカス操作を終了したことを示している。枠F2の色が切り替わることにより、追尾AFへの切り替わり確認できる。
【0101】
追尾AF中は、図9(C)に示すように、追尾対象が存在するフォーカスエリアの枠F2が緑色で表示される。これにより、画面内で追尾対象を確認できる。
【0102】
追尾AF中にフォーカス操作が再開されると、追尾AFは終了する。追尾AFが終了すると、通常のMFモードでの動作に復帰する。したがって、表示部112の表示は、図9(A)の状態に戻る。すなわち、合焦状態にあるフォーカスエリアの枠F1が赤色で表示される。表示される枠F1の色が、緑色から赤色に切り替わることにより、通常のMFモードに復帰したことを確認できる。
【0103】
なお、追尾AFが終了した場合、又は、MFモードに復帰した場合は、その旨を別途報知する構成としてもよい。たとえば、表示部112は、追尾AFの終了を告知する情報を表示してもよい。
【0104】
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置1によれば、MFによる合焦を撮像装置1が維持する。このため、ユーザによるフォーカス操作の負担を大幅に軽減できる。
【0105】
また、追尾AFの開始は、フォーカス操作に関する時間、特に、無操作状態の継続時間に基づいて判定される。このため、ユーザの意思に沿って追尾AFを開始させることができる。また、切り替えのための特別な機構等を必要としないので、構成を簡素化できる。
【0106】
更に、追尾AFに切り替えられた場合は、表示部112の表示内容が切り替えられるので、動作状態を明確に把握できる。これにより、良好な操作性を実現できる。
【0107】
[変形例]
[フォーカス操作の終了の検知の変形例]
フォーカス操作の終了は、フォーカス操作に関する時間に基づいて検知する。フォーカス操作に関する時間は、無操作状態の時間とすることが好ましい。すなわち、無操作状態の継続時間に基づいて、フォーカス操作の終了を検知することが好ましい。
【0108】
また、フォーカス操作の終了を検知するための無操作状態の継続時間(以下、検知用時間と称する)には、0を含めることができる。検知用時間(第1時間)が0の場合、フォーカスリングの停止直後に追尾AFが開始される。
【0109】
また、検知用時間をユーザが任意に設定できる構成としてもよい。この設定は、たとえば、表示部112及び本体操作部118を用いて行う。これにより、ユーザの好み等に応じた設定にできる。
【0110】
更に、ユーザの過去の操作傾向から検知用時間を自動設定してもよい。たとえば、無操作状態の継続時間を複数回分記録しておき、統計的手法により好ましい検知用時間を算出して設定してもよい。
【0111】
図10は、統計的手法を用いて検知用時間を設定する場合にCPUが実現する機能の一例を示すブロック図である。
【0112】
同図に示すように、CPU120は、第1計時部130A、計測結果記録制御部130B、検知用時間算出部130C及び検知用時間設定部130D等として更に機能する。
【0113】
第1計時部130Aは、無操作状態の継続時間を計測する。
【0114】
計測結果記録制御部130Bは、第1計時部130Aによる無操作状態の継続時間の計測結果の情報を記録する。計測結果は、計測結果記憶部114Aに記憶される。計測結果記憶部114Aは、記憶部114の一記憶領域に設定される。計測結果記憶部114Aは、規定回数分の計測結果を記憶する。一例として、本例では3回分の計測結果を記憶する。計測結果記録制御部130Bは、古い順に書き換えて計測結果を記録する。したがって、計測結果記憶部114Aには、直近の規定回数分(本例では3回分)の計測結果が記憶される。
【0115】
検知用時間算出部130Cは、計測結果記憶部114Aに記憶された複数回分の無操作状態の継続時間の情報に基づいて、統計的手法により検知用時間を算出する。本例では、平均値を算出して、検知用時間を算出する。
【0116】
検知用時間設定部130Dは、検知用時間算出部130Cで算出された時間を検知用時間に設定する。
【0117】
フォーカス操作検知部120Fは、検知用時間設定部130Dで設定された検知用時間に基づいて、フォーカス操作の終了を検知する。
【0118】
このように、ユーザの過去の操作傾向から検知用時間を自動設定することもできる。これにより、ユーザの操作傾向に即して追尾AFに切り替えることができる。
【0119】
なお、設定可能な検知用時間には上限を設けてもよい。これにより、意図せず検知用時間が長く設定されるのを防止できる。この場合、上限値を任意に設定できるようにすることが、より好ましい。
【0120】
また、上記例では、統計的手法として、平均値を算出する構成としているが、検知用時間を算出する手法は、これに限定されるものではない。この他、検知用時間として、中央値、最頻値等を算出する構成とすることもできる。
【0121】
[追尾対象の設定の変形例]
追尾対象については、画像認識を利用して、特定の被写体に限定して設定することもできる。たとえば、人物を対象とした撮像では、合焦領域内に存在する人物に限定して、追尾対象を設定することができる。また、人物の全体ではなく、顔、目等に限定して、追尾対象を設定することもできる。
【0122】
図11は、画像認識を利用して追尾対象を設定する場合にCPUが実現する機能の一例を示すブロック図である。ここでは、顔に限定して追尾対象を設定する場合を例に説明する。
【0123】
同図に示すように、CPU120は、画像認識部140として更に機能する。
【0124】
画像認識部140は、撮像部110で撮像された動画像データを処理し、画像内の顔を検出する。画像から顔を検出する技術には、公知の技術を採用できる。たとえば、機械学習、深層学習等により生成した画像認識モデルを用いて、人物の顔の領域を検出する技術を採用できる。
【0125】
追尾対象設定部120Eは、合焦領域検出部120Dで検出された合焦領域の情報、及び、画像認識部140で検出された人物の顔の領域の情報に基づいて、追尾対象を設定する。具体的には、合焦領域内に存在する被写体の中で人物の顔の領域に追尾対象を設定する。したがって、この場合、人物の体全体にフォーカスが合っている場合であっても、追尾対象としては、顔の領域に限定されて、追尾対象が設定される。
【0126】
このように、撮像対象等に応じて、特定の被写体に限定して追尾対象を設定することができる。これにより、ユーザによるフォーカス操作の負担を更に軽減できる。
【0127】
なお、上記の例では人物を認識して、追尾対象を設定する例について説明したが、更に、個人を認識して、追尾対象を設定してもよい。すなわち、画像認識により個人認証を行い、特定の人物に限定して、追尾対象を設定する構成とすることもできる。
【0128】
[合焦領域を示す情報の表示の変形例]
上記実施の形態では、合焦領域を示す情報として、合焦状態にあるフォーカスエリアの枠を表示する構成としているが、合焦領域を示す情報の表示形態(ライブビューの画像に付加する形態)は、これに限定されるものではない。ライブビューの画像上で合焦領域が視認できる形態であればよい。
【0129】
図12は、合焦領域を示す情報の表示形態の他の一例を示す図である。
【0130】
同図に示す例では、合焦領域を1つの矩形の枠F3で表示している。この枠F3は、たとえば、合焦状態にあるフォーカスエリアを囲う最小の枠として設定される。
【0131】
追尾対象を示す情報についても同様である。ライブビューの画像上で追尾対象を視認できる形態であればよい。
【0132】
また、上記実施の形態では、枠の色を変えることで、動作モードの切り替わりを認識できるようにしているが、ユーザに動作モードの切り替わりを認識させる方法は、これに限定されるものではない。各種合焦領域を示す情報の内容を変更して、動作モードの切り替わりをユーザに認識させることができる。たとえば、合焦領域を示す枠の形状、線種等を変えて、動作モードの切り替わりを認識させる構成としてもよい。
【0133】
[追尾AF機能のオン及びオフの設定]
上記実施の形態では、MFモードにおいて、フォーカス操作の終了が検知されると、自動的に追尾AFが開始されるが、当該機能は、ユーザの設定により任意にオン及びオフできる構成としてもよい。すなわち、当該機能をオンにした場合にのみ、MFモードにおいて、フォーカス操作の終了が検知されると、自動的に追尾AFが開始される構成とする。設定は、たとえば、本体操作部118に専用の切り替えスイッチ等を設けて行う。あるいは、表示部112及び本体操作部118を用いて行う。MFモードにおいて、追尾AFが行われる動作モード、すなわち、追尾AFの機能がオンに設定されている場合の動作モードは、第1フォーカスモードの他の一例である。
【0134】
[第2の実施の形態]
追尾AFを開始する場合に、直前のフォーカスの移動方向と逆方向にフォーカスを移動させると、観る者に違和感を与えるおそれがある。たとえば、至近側から無限遠側にフォーカスを移動させて目的の被写体にフォーカスを合わせた場合に、すぐにフォーカスを至近側に戻すと、観る者に違和感を与える。
【0135】
そこで、本実施の形態の撮像装置では、追尾AFを開始した後、フォーカスの移動方向を一定時間、一定の方向に制限する。すなわち、AFによるフォーカスの移動方向を、フォーカス操作が終了した際のフォーカスの移動方向と同じ方向に制限する。したがって、たとえば、至近側から無限遠側にフォーカスを移動させて目的の被写体にフォーカスを合わせた場合、規定の時間、AFによるフォーカスの移動方向が無限遠方向に制限される。これにより、動画像の撮像において、安定したフォーカス移動を実現できる。
【0136】
[装置構成]
ここでは、フォーカスの移動方向を制限する機能に必要な構成についてのみ説明する。
【0137】
図13は、フォーカスの移動方向を制限して追尾AFを行う場合にCPUが実現する主な機能のブロック図である。
【0138】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置において、CPU120は、更に、フォーカス移動方向検知部150A及び第2計時部150Bとして機能する。
【0139】
フォーカス移動方向検知部150Aは、フォーカス操作部46から出力されるフォーカスリングの操作情報に基づいて、フォーカスの移動方向を検知する。MFにおいて、フォーカスはフォーカスリングの操作方向に移動する。したがって、フォーカスリングの操作方向を検知することで、フォーカスの移動方向を検知できる。
【0140】
第2計時部150Bは、追尾AFを開始してからの経過時間を計測する。追尾AFは、フォーカス操作の終了の検知に応じて開始される。したがって、第2計時部150Bは、フォーカス操作の終了の検知に応じて経過時間の計測を開始する。
【0141】
AF制御部120Iは、AF制御の開始後、一定の時間が経過するまで、フォーカスの移動方向を直前のフォーカスの移動方向に制限して、AF制御を行う。直前のフォーカスの移動方向とは、フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向である。直前のフォーカスの移動方向は、フォーカス操作の終了が検知された場合において、最後にフォーカス移動方向検知部150Aで検知されたフォーカスの移動方向として検出される。追尾AFを開始してからの経過時間は、第2計時部150Bで計測される。したがって、AF制御部120Iは、第2計時部150Bで計測される時間が、規定の時間を経過するまで、フォーカスの移動方向を直前の移動方向に制限して、AF制御を行う。規定の時間は、第2時間の一例である。一例として、本実施の形態の撮像装置では、規定の時間が3sに設定される。この場合、追尾対象の設定後、3s間、フォーカスの移動方向が直前の移動方向に制限される。なお、追尾AFは、フォーカス操作の終了の検知に応じて開始されるので、追尾AFを開始してからの経過時間は、フォーカス操作の終了が検知されてからの経過時間と同義である。
【0142】
[撮像制御の処理手順]
図14は、撮像制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0143】
追尾AFが開始されるまでの処理(ステップS11~S16)は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。まず、フォーカス操作が開始されたか否かが判定される(ステップS11)。フォーカス操作が開始された場合は、フォーカスモードがMFモードに設定されているか否かが判定される(ステップS12)。MFモードに設定されている場合は、各フォーカスエリアのフォーカス評価値が算出され(ステップS13)、その算出結果に基づいて、合焦領域が検出される(ステップS14)。そして、検出された合焦領域の情報に基づいて、追尾対象が設定される(ステップS15)。すなわち、合焦領域に存在する被写体が追尾対象に設定される。その後、フォーカス操作が終了したか否かが判定される(ステップS16)。
【0144】
フォーカス操作が終了したと判定されると、規定の時間(第2時間)が経過したか否かが判定される(ステップS17)。すなわち、追尾対象の設定から規定の時間が経過したか否かが判定される。
【0145】
定の時間が経過していない場合(ステップS17がNoの場合)、フォーカスの移動方向を制限した追尾AFが行われる(ステップS18)。AF制御部120Iは、フォーカスの移動方向を、フォーカス操作の終了が検知される直前のフォーカスの移動方向に制限して、AF制御を行う。たとえば、至近側から無限遠側にフォーカスを移動させてフォーカス操作を終了させた場合、フォーカスの移動方向を無限遠方向に制限して、AF制御を行う。したがって、たとえば、この間、追尾対象が至近方向に移動した場合は、AF制御は行われないこととなる。
【0146】
一方、定の時間が経過した場合(ステップS17がYesの場合)、通常の追尾AFが行われる(ステップS19)。すなわち、フォーカスの移動方向を制限せずにAF制御が行われる。
【0147】
追尾AFは、フォーカス操作が再度開始されるまで、あるいは、追尾対象が消失するまで、継続して行われる。したがって、追尾AF中は、常にフォーカス操作が監視される。すなわち、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定される(ステップS20)。フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが強制的に終了される。追尾AFの終了後は、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS12以降の処理が繰り返される。
【0148】
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置によれば、追尾AFを開始する際に、フォーカスの移動方向が、一定時間、一定の方向に制限される。これにより、動画像の撮像において、安定したフォーカス移動を実現できる。
【0149】
なお、本機能は、ユーザの選択により、任意にオン、オフできるようにしてもよい。また、規定の時間については、ユーザが任意に設定変更できる構成としてもよい。
【0150】
[第3の実施の形態]
通常、動画像の撮像では、テレビ、映画のスクリーンなど、出力フォーマットを決めて撮像する。したがって、撮像装置の姿勢(向き)が変わる場合(たとえば、縦撮りから横撮りに変わる場合など)は、演出、シーンチェンジ等であると考えられる。撮像装置の姿勢が変わった場合も継続して追尾AFを行うと、意図しない被写体を追尾し続けるおそれがある。
【0151】
そこで、本実施の形態の撮像装置では、追尾AF中に撮像装置の姿勢が変わった場合、強制的に追尾AFを終了させて、通常のMFモードでの動作に切り替える。これにより、動画像の撮像において、安定したフォーカス移動を実現できる。
【0152】
[装置構成]
ここでは、撮像装置の姿勢が変化した場合に、追尾AFを強制的に終了させる機能に必要な構成についてのみ説明する。
【0153】
図15は、撮像装置の姿勢が変化した場合に追尾AFを強制終了する場合にCPUが実現する主な機能のブロック図である。
【0154】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置において、CPU120は、更に、姿勢変化検知部160として機能する。また、本実施の形態の撮像装置には、装置本体の姿勢を検出する姿勢検出センサ50が備えられる。姿勢検出センサ50は、公知の姿勢検出用のセンサ(たとえば、加速度センサ、ジャイロセンサ、又は、これらを組み合わせたセンサ等)で構成され、装置本体に内蔵される。
【0155】
姿勢変化検知部160は、姿勢検出センサ50で検出される装置本体の姿勢の情報に基づいて、基準の姿勢に対する閾値以上の姿勢の変化を検知する。特に、本実施の形態では、光軸周りの姿勢の変化を検知する。基準の姿勢は、たとえば、撮像素子110Aの長辺が水平又は鉛直となる姿勢である。撮像素子110Aの長辺が水平となる姿勢は、いわゆる横撮りの姿勢である。一方、撮像素子110Aの長辺が鉛直となる姿勢は、いわゆる縦撮りの姿勢である。基準の姿勢については、ユーザが事前に設定する。あるいは、動画像を撮像した際の姿勢が、基準の姿勢に設定される。この場合、動画像を撮像する際に装置本体の姿勢が検出され、基準の姿勢に設定される。
【0156】
追尾処理部120Hは、追尾処理中に姿勢変化検知部160で閾値以上の姿勢の変化が検知されると、追尾処理を終了する。
【0157】
また、AF制御部120Iは、AF制御中に姿勢変化検知部160で閾値以上の姿勢の変化が検知されると、AF制御を終了する。
【0158】
[撮像制御の処理手順]
図16は、撮像制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0159】
追尾AFが開始されるまでの処理(ステップS31~S37)は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。まず、フォーカス操作が開始されたか否かが判定される(ステップS31)。フォーカス操作が開始された場合は、フォーカスモードがMFモードに設定されているか否かが判定される(ステップS32)。MFモードに設定されている場合は、各フォーカスエリアのフォーカス評価値が算出され(ステップS33)、その算出結果に基づいて、合焦領域が検出される(ステップS34)。そして、検出された合焦領域の情報に基づいて、追尾対象が設定される(ステップS35)。すなわち、合焦領域に存在する被写体が追尾対象に設定される。その後、フォーカス操作が終了したか否かが判定される(ステップS36)。フォーカス操作が終了したと判定されると、追尾AFが開始される(ステップS37)。すなわち、追尾対象に設定された被写体に対し追尾処理及びAF制御が行われる。
【0160】
追尾AFが開始されると、まず、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定される(ステップS38)。フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが強制的に終了される。以後、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS32以降の処理が繰り返される。
【0161】
一方、ステップS38において、フォーカス操作が再開されていないと判定されると、装置本体の姿勢が検出される(ステップS39)。そして、その検出結果に基づいて、姿勢の変化の有無が判定される(ステップS40)。すなわち、基準の姿勢に対して閾値以上姿勢が変化したか否かが判定される。
【0162】
姿勢の変化あり、と判定されると、追尾AFが強制的に終了される。以後、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS32以降の処理が繰り返される。
【0163】
一方、姿勢の変化なし、と判定されると、継続して追尾AFが行われる。すなわち、ステップS37以降の処理が繰り返される。
【0164】
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置によれば、追尾AF中に撮像装置の姿勢が変わると、自動的に追尾AFが終了し、通常のMFモードでの動作に切り替わる。これにより、動画像の撮像において、安定したフォーカス移動を実現できる。
【0165】
なお、本機能は、ユーザの選択により、任意にオン、オフできるようにしてもよい。また、姿勢変化の検知に使用する閾値については、ユーザが任意に設定変更できる構成としてもよい。また、検出する姿勢の種類についても、ユーザが任意に設定できる構成としてもよい。
【0166】
また、上記実施の形態では、専用のセンサを用いて装置本体の姿勢の変化を検出する構成としているが、撮像された動画像データを解析して、装置本体の姿勢の変化を検出する構成としてもよい。また、手ブレを検出するセンサを利用して、装置本体の姿勢の変化を検出する構成としてもよい。
【0167】
[第4の実施の形態]
上記第1の実施の形態の撮像装置では、合焦領域に複数の被写体が存在していると、そのすべてが追尾対象に設定される。しかし、複数の被写体が追尾対象に設定されると、各被写体が異なる動きをした場合に、その後の追尾AFが不能になる。そこで、本実施の形態の撮像装置では、複数の被写体が追尾対象に設定された場合、特定の被写体を優先して追尾AFを行う。具体的には、動きのない被写体又は動き量が最も小さい被写体を優先して追尾AFを行う。
【0168】
[装置構成]
ここでは、追尾AFを行う際に必要な機能についてのみ説明する。
【0169】
図17は、追尾AFを行う際にCPUが実現する主な機能のブロック図である。
【0170】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置において、CPU120は、更に、第1動き量算出部170として機能する。
【0171】
第1動き量算出部170は、撮像により得られる動画像データを処理し、動画像データが表す画像内の被写体の動き量を算出する。本実施の形態では、動き量として、動きベクトルを算出する。すなわち、第1動き量算出部170は、画像内の動きベクトルを算出して、画像内の被写体の動きベクトルを算出する。動きベクトルの算出には、公知の技術が採用される。たとえば、画面をM×N(M、Nは2以上の整数)のブロックに分割し、ブロックごとに動きベクトルを算出する手法等が採用される。
【0172】
追尾処理部120Hは、追尾対象として複数の被写体が設定された場合に、第1動き量算出部170で算出される各被写体の動き量の情報に基づいて、追尾対象を設定し、追尾処理を行う。具体的には、動きのない被写体又は動き量が最も小さい被写体を優先して追尾対象に設定し、追尾処理を行う。このため、追尾処理部120Hは、複数の被写体が追尾対象に設定された場合に、動き量が閾値以上の被写体を追尾対象から除外する処理を行う。これにより、最終的に動きのない被写体又は動き量が最も小さい被写体が追尾対象に設定されて、追尾処理が行われる。
【0173】
[撮像制御の処理手順]
図18は、撮像制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0174】
追尾AFが開始されるまでの処理(ステップS51~S56)は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。まず、フォーカス操作が開始されたか否かが判定される(ステップS51)。フォーカス操作が開始された場合は、フォーカスモードがMFモードに設定されているか否かが判定される(ステップS52)。MFモードに設定されている場合は、各フォーカスエリアのフォーカス評価値が算出され(ステップS53)、その算出結果に基づいて、合焦領域が検出される(ステップS54)。そして、検出された合焦領域の情報に基づいて追尾対象が設定される(ステップS55)。すなわち、合焦領域に存在する被写体が追尾対象に設定される。その後、フォーカス操作が終了したか否かが判定される(ステップS56)。
【0175】
フォーカス操作が終了したと判定されると、追尾対象に複数の被写体が設定されているか否かが判定される(ステップS57)。追尾対象に複数の被写体が設定されていないと判定されると、追尾対象に設定された被写体に対し追尾AFが行われる(ステップS61)。
【0176】
一方、追尾対象に複数の被写体が設定されていると判定されると、画像内において各被写体の動き量が算出される(ステップS58)。そして、その算出結果に基づいて、動きのある被写体の有無が判定される(ステップS59)。ここでの判定は、追尾対象に設定された被写体の中で行われる。すなわち、追尾対象に設定された被写体の中で動きのある被写体(動体)が存在するか否かが判定される。
【0177】
追尾対象に設定された被写体の中で動きのある被写体が存在すると判定されると、その被写体が追尾対象から除外される(ステップS60)。ここでは、閾値以上の動き量が検出された被写体が追尾対象から除外される。
【0178】
なお、すべての被写体に動きがある場合は、動き量の大きい被写体が優先して除外される。この際、動き量の大きい順に除外される。この結果、動き量の最も小さい被写体が追尾対象に設定される。
【0179】
その後、追尾対象に設定された被写体に対し追尾AFが行われる(ステップS61)。そして、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定され(ステップS62)、フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが終了される。以後、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS52以降の処理が繰り返される。
【0180】
図19は、追尾対象の設定の概念図である。
【0181】
同図(A)は、追尾対象の初期設定状態を示している。この例では、フォーカス操作の終了が検知された時点で合焦領域に三人の人物300A、300B、300Cが存在している場合の例を示している。この場合、すべての人物300A、300B、300Cが追尾対象に設定される。
【0182】
同図(B)は、所定時間経過後の追尾対象の設定状態を示している。この例では、左右の人物300A、300Cが、動いた場合の例を示している。この場合、動きのある左右の人物300A、300Cが、追尾対象から除外される。したがって、中央の人物300Bのみが追尾対象に選択される。
【0183】
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置によれば、複数の被写体が追尾対象に設定された場合に、その後の各被写体の動き量に基づいて、追尾対象が設定され、追尾AFが行われる。これにより、ユーザの意図する被写体に継続してフォーカスを合わせることができる。また、これにより、ユーザのフォーカス調整の負荷を軽減できる。また、安定したフォーカス移動を実現できる。
【0184】
[第5の実施の形態]
本実施の形態の撮像装置は、複数の被写体が追尾対象に設定された場合に、位相差情報を利用して追尾対象を決定し、追尾AFを行う。具体的には、位相差情報を利用して、各被写体の光軸方向の動き量を算出し、光軸方向の動き量が最も小さい被写体を優先して追尾対象に設定し、追尾AFを行う。光軸方向とは、撮像光学系20の光軸に沿う方向である。本実施の形態の撮像装置では、撮像光学系20の光軸方向は、撮像素子の受光面に直交する方向と一致する。
【0185】
[装置構成]
ここでは、追尾AFを行う際に必要な機能についてのみ説明する。
【0186】
図20は、追尾AFを行う際にCPUが実現する主な機能のブロック図である。
【0187】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置において、CPU120は、更に、第2動き量算出部180として機能する。
【0188】
第2動き量算出部180は、撮像により得られる動画像データを処理し、各被写体の光軸方向の動き量を算出する。具体的には、位相差検出用画素の画素信号に基づいて、各フォーカスエリアの位相差を算出し、その変化量を算出して、各被写体の光軸方向の動き量を算出する。したがって、本実施の形態の撮像装置では、位相差の変化量が、光軸方向の動き量とされる。
【0189】
追尾処理部120Hは、追尾対象として複数の被写体が設定された場合に、第2動き量算出部180で算出される各被写体の光軸方向の動き量の情報に基づいて追尾対象を設定し、追尾処理を行う。具体的には、光軸方向に動きのある被写体を追尾対象から除外して、追尾処理を行う。光軸方向に動きのある被写体とは、光軸方向の動き量が閾値以上の被写体である。すべての被写体に光軸方向の動きがある場合は、光軸方向の動き量が大きい順に除外される。この結果、光軸方向の動き量が最も小さい被写体が追尾対象に設定されて、追尾AFが行われる。
【0190】
[撮像制御の処理手順]
図21は、撮像制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0191】
追尾AFが開始されるまでの処理(ステップS71~S76)は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。まず、フォーカス操作が開始されたか否かが判定される(ステップS71)。フォーカス操作が開始された場合は、フォーカスモードがMFモードに設定されているか否かが判定される(ステップS72)。MFモードに設定されている場合は、各フォーカスエリアのフォーカス評価値が算出され(ステップS73)、その算出結果に基づいて、合焦領域が検出される(ステップS74)。そして、検出された合焦領域の情報に基づいて追尾対象が設定される(ステップS75)。すなわち、合焦領域に存在する被写体が追尾対象に設定される。その後、フォーカス操作が終了したか否かが判定される(ステップS76)。
【0192】
フォーカス操作が終了したと判定されると、追尾対象に複数の被写体が設定されているか否かが判定される(ステップS77)。追尾対象に複数の被写体が設定されていないと判定されると、追尾対象に設定された被写体に対し追尾AFが行われる(ステップS82)。
【0193】
一方、追尾対象に複数の被写体が設定されていると判定されると、光軸方向の動き量を算出可能か否かが判定される(ステップS78)。上記のように、本実施の形態の撮像装置では、位相差に基づいて光軸方向の動き量が算出される。したがって、位相差を算出できない場合は、光軸方向の動き量も算出できないことになる。したがって、位相差を算出できない場合に、光軸方向の動き量の算出が不能と判定される。たとえば、位相差検出用画素が配置されていない領域に被写体が存在する場合は、位相差の算出が不能と判定される。
【0194】
光軸方向の動き量の算出が不能と判定されると、追尾対象の設定が解除され(ステップS84)、処理が終了する。処理の終了後は、通常のMFモードで動作する。
【0195】
一方、光軸方向の動き量の算出が可能と判定されると、各被写体の光軸方向の動き量が算出される(ステップS79)。そして、その算出結果に基づいて、光軸方向に動きのある被写体の有無が判定される(ステップS80)。ここでの判定は、追尾対象に設定された被写体の中で行われる。すなわち、追尾対象に設定された被写体の中で光軸方向に動きのある被写体が存在するか否かが判定される。
【0196】
追尾対象に設定された被写体の中で光軸方向に動きのある被写体が存在すると判定されると、その被写体が追尾対象から除外される(ステップS81)。
【0197】
なお、すべての被写体に光軸方向の動きがある場合、光軸方向の動き量の大きい被写体が優先して除外される。この際、光軸方向の動き量が大きい順に除外される。結果として、光軸方向の動き量が最も小さい被写体が追尾対象に設定される。
【0198】
その後、追尾対象に設定された被写体に対し追尾AFが行われる(ステップS82)。そして、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定され(ステップS83)、フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが終了される。以後、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS52以降の処理が繰り返される。
【0199】
図22は、追尾対象の設定の概念図である。
【0200】
同図(A)は、追尾対象の初期設定状態を示している。この例では、フォーカス操作の終了が検知された時点で合焦領域に三人の人物300A、300B、300Cが存在している場合の例を示している。この場合、すべての人物300A、300B、300Cが追尾対象に設定される。
【0201】
同図(B)は、所定時間経過後の追尾対象の設定状態を示している。この例では、左右の人物300A、300Cが、前方(奥行き方向の手前側)に動いた場合の例を示している。すなわち、撮像光学系20の光軸方向に動いた場合の例を示している。この場合、光軸方向に動きのある左右の人物300A、300Cが、追尾対象から除外される。したがって、中央の人物300Bのみが追尾対象に選択される。
【0202】
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置によれば、複数の被写体が追尾対象に設定された場合に、その後の各被写体の光軸方向の動き量に基づいて、追尾対象が設定され、追尾AFが行われる。これにより、ユーザの意図する被写体に継続してフォーカスを合わせることができる。また、これにより、ユーザのフォーカス調整の負荷を軽減できる。また、安定したフォーカス移動を実現できる。
【0203】
なお、上記実施の形態では、位相差の変化量を検出して、各被写体の光軸方向の動き量を検出する構成としているが、各被写体の光軸方向の動き量を検出する方法は、これに限定されるものではない。この他、ToF方式(ToF:Time of Flight)、Structured Light方式等により検出する構成とすることもできる。
【0204】
また、上記実施の形態では、位相差検出用画素を備えた撮像素子を使用して位相差を検出する構成としているが、位相差を検出する方法は、これに限定されるものではない。
【0205】
また、画像の全域で被写体の動き量を算出できる場合は、ステップS78の処理を省略することもできる。たとえば、画像の全域にフォーカスエリアが設定され、各フォーカスエリアで位相差を検出できる場合は、ステップS78の処理を省略してもよい。
【0206】
[第6の実施の形態]
本実施の形態の撮像装置は、複数の被写体が追尾対象に設定された場合に、画像内での各被写体の動き量の情報及び光軸方向における各被写体の動き量の情報を利用して追尾対象を決定し、追尾AFを行う。具体的には、動きのない被写体を優先して追尾対象に設定する一方、すべての被写体に動きがある場合は、光軸方向の動き量に基づいて追尾対象を決定し、追尾AFを行う。すなわち、光軸方向の動き量が最も小さい被写体を優先して追尾対象に設定し、追尾AFを行う。
【0207】
[装置構成]
ここでは、追尾AFを行う際に必要な機能についてのみ説明する。
【0208】
図23は、追尾AFを行う際にCPUが実現する主な機能のブロック図である。
【0209】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置において、CPU120は、更に、第1動き量算出部170及び第2動き量算出部180として機能する。
【0210】
第1動き量算出部170の機能は、上記第4の実施の形態の撮像装置に備えられた第1動き量算出部170の機能と同じである。すなわち、撮像により得られる動画像データを処理し、動画像データが表す画像内の被写体の動き量(動きベクトル)を算出する。
【0211】
第2動き量算出部180の機能は、上記第5の実施の形態の撮像装置に備えられた第2動き量算出部180の機能と同じである。すなわち、撮像により得られる動画像データを処理し、各被写体の光軸方向の動き量(位相差の変化量)を算出する。
【0212】
追尾処理部120Hは、追尾対象として複数の被写体が設定された場合に、第1動き量算出部170及び第2動き量算出部180の算出結果に基づいて追尾対象を設定し、追尾処理を行う。
【0213】
[撮像制御の処理手順]
図24及び図25は、撮像制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0214】
追尾AFが開始されるまでの処理(ステップS91~S96)は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。まず、フォーカス操作が開始されたか否かが判定される(ステップS91)。フォーカス操作が開始された場合は、フォーカスモードがMFモードに設定されているか否かが判定される(ステップS92)。MFモードに設定されている場合は、各フォーカスエリアのフォーカス評価値が算出され(ステップS93)、その算出結果に基づいて、合焦領域が検出される(ステップS94)。そして、検出された合焦領域の情報に基づいて、追尾対象が設定される(ステップS95)。すなわち、合焦領域に存在する被写体が追尾対象に設定される。その後、フォーカス操作が終了したか否かが判定される(ステップS96)。
【0215】
フォーカス操作が終了したと判定されると、追尾対象に複数の被写体が設定されているか否かが判定される(ステップS97)。追尾対象に複数の被写体が設定されていないと判定されると、追尾対象に設定された被写体に対し追尾AFが行われる(ステップS101)。
【0216】
一方、追尾対象に複数の被写体が設定されていると判定されると、画像内において各被写体の動き量が算出される(ステップS98)。そして、その算出結果に基づいて、すべての被写体が動体か否かが判定される(ステップS99)。すなわち、追尾対象として設定された被写体が、すべて動きのある被写体か否かが判定される。
【0217】
追尾対象に設定された被写体が、すべて動体ではない場合、すなわち、動きのない被写体(動き量が閾値以下の被写体)が含まれる場合、動きのある被写体が追尾対象から除外される(ステップS100)。すなわち、閾値以上の動き量が検出された被写体が追尾対象から除外される。
【0218】
その後、追尾対象に設定された被写体に対し追尾AFが行われる(ステップS101)。そして、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定され(ステップS102)、フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが終了される。以後、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS92以降の処理が繰り返される。
【0219】
一方、上記ステップS99において、追尾対象に設定された被写体が、すべて動体であると判定されると、図25に示すフローに移行する。すなわち、光軸方向の動き量を算出可能か否かが判定される(ステップS103)。光軸方向の動き量の算出が可能か否かは、各被写体について、位相差の算出が可能か否かによって判定される。位相差を算出できない被写体が存在する場合は、光軸方向の動き量の算出が不能と判定される。
【0220】
光軸方向の動き量の算出が不能と判定されると、追尾対象の設定が解除され(ステップS106)、処理が終了する。処理の終了後は、通常のMFモードで動作する。
【0221】
一方、光軸方向の動き量の算出が可能と判定されると、各被写体の光軸方向の動き量が算出される(ステップS104)。そして、その算出結果に基づいて、光軸方向に動きのある被写体が、動き量の多い順に追尾対象から除外される(ステップS105)。この結果、光軸方向の動き量が最も小さい被写体が追尾対象に設定される。
【0222】
その後、図24に示すように、追尾対象に設定された被写体に対し追尾AFが行われる(ステップS101)。そして、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定され(ステップS102)、フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが終了される。以後、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS92以降の処理が繰り返される。
【0223】
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置によれば、画像内での各被写体の動き量の情報及び光軸方向における各被写体の動き量の情報に基づいて、追尾対象が設定され、追尾AFが行われる。これにより、ユーザの意図する被写体に継続してフォーカスを合わせることができる。また、これにより、ユーザのフォーカス調整の負荷を軽減できる。また、安定したフォーカスを実現できる。すなわち、可能な限りフォーカスを合わせることができる。
【0224】
[第7の実施の形態]
本実施の形態の撮像装置は、フォーカス操作中の各被写体のフォーカス状態に基づいて、追尾対象を設定する。具体的には、フォーカス操作中に合焦状態から非合焦状態に変化した後、再び合焦状態に戻された被写体が存在する場合は、当該被写体を追尾対象に設定する。合焦状態から非合焦状態に変化した後、再び合焦状態に戻す操作は、いわゆる、寄り戻しの操作である。寄り戻しの操作は、フォーカス操作の際、ボケた後、すぐにフォーカスを戻す操作である。ユーザが、寄り戻しの操作を行った場合、寄り戻しによりフォーカスが合った被写体が主被写体であると考えられる。したがって、当該被写体を追尾対象に設定し、追尾AFを行う。フォーカス操作中に合焦状態から非合焦状態に変化した後、再び合焦状態に戻された被写体が存在しない場合は、フォーカス操作中に最も長くフォーカスが合っていた被写体を追尾対象に設定する。
【0225】
[装置構成]
ここでは、追尾対象の設定に必要な機能についてのみ説明する。
【0226】
図26は、追尾AFを行う際にCPUが実現する主な機能のブロック図である。
【0227】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置において、CPU120は、更に、第3計時部190及び特定操作検出部192として機能する。
【0228】
第3計時部190は、フォーカス操作中、各フォーカスエリアについて、合焦状態にある期間(合焦期間)を計測する。第3計時部190は、合焦領域検出部120Dによってリアルタイムに検出される合焦領域の情報に基づいて、各フォーカスエリアの合焦期間を計測する。
【0229】
特定操作検出部192は、リアルタイムに算出されるフォーカス評価値の情報に基づいて、特定の操作を検出する。すなわち、寄り戻しでフォーカスを合わせる操作を検出する。特定操作検出部192は、合焦状態から非合焦状態に変化した後、規定時間内に合焦状態に戻す操作を検出して、寄り戻しでフォーカスを合わせる操作を検出する。
【0230】
追尾対象設定部120Eは、合焦領域検出部120Dの検出結果、第3計時部190の計測結果、及び、特定操作検出部192の検出結果に基づいて、追尾対象を設定する。具体的には、合焦領域に存在する被写体が単数の場合、追尾対象設定部120Eは、合焦領域に存在する被写体を追尾対象に設定する。一方、合焦領域に存在する被写体が複数の場合、追尾対象設定部120Eは、寄り戻し操作でフォーカスを合わせた被写体を優先して追尾対象に設定する。寄り戻し操作でフォーカスを合わせた被写体が存在しない場合、合焦状態の期間が最も長い被写体を追尾対象に設定する。
【0231】
[撮像制御の処理手順]
図27は、撮像制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0232】
まず、フォーカス操作が開始されたか否かが判定される(ステップS111)。フォーカス操作が開始されたと判定されると、フォーカスモードがMFモードに設定されているか否かが判定される(ステップS112)。フォーカスモードがMFモードに設定されていると判定されると、各フォーカスエリアのフォーカス評価値が算出される(ステップS113)。そして、その算出結果に基づいて、合焦領域が検出される(ステップS114)。合焦領域が検出されると、その検出結果に基づいて、各フォーカスエリアの合焦期間が計測される(ステップS115)。また、各フォーカス評価値の算出結果に基づいて、特定操作、すなわち、寄り戻しでフォーカスを合わせる操作が検出される。そして、その検出結果に基づいて、特定操作の有無が判定される(ステップS117)。
【0233】
特定操作が行われた場合は、その特定操作によってフォーカスが合わせられた被写体追尾対象設定される(ステップS118)。すなわち、寄り戻しでフォーカスを合わせた被写体追尾対象設定される。
【0234】
一方、特定操作が行われていない場合は、合焦領域に存在する被写体の中で、合焦期間が最も長い被写体が特定され、特定された被写体が追尾対象に設定される(ステップS119)。
【0235】
追尾対象の設定後、フォーカス操作が終了したか否かが判定される(ステップS120)。そして、フォーカス操作が終了したと判定されると、追尾AFが開始される(ステップS121)。すなわち、追尾対象に設定された被写体に対し、追尾処理及びAF制御が継続して行われる。
【0236】
追尾AFが開始されると、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定される(ステップS122)。そして、フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが終了される。追尾AFの終了後は、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS2以降の処理が繰り返される。
【0237】
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置によれば、合焦領域に複数の被写体が存在する場合であっても、主被写体と想定される被写体を自動的に追尾対象に設定して、追尾AFを行うことができる。
【0238】
なお、上記実施の形態では、特定操作を検出して、追尾対象を設定する構成としているが、特定操作を検出せずに、追尾対象を設定する構成とすることもできる。この場合、合焦期間が最も長い被写体を追尾対象に設定する。
【0239】
同様に、合焦期間を計測せずに、追尾対象を設定する構成とすることもできる。すなわち、特定操作が検出されない場合であっても、合焦期間が最も長い被写体に限定せずに、追尾対象を設定することもできる。なお、この場合、合焦領域に複数の被写体が存在していると、そのすべてが追尾対象に設定されるが、複数の被写体が追尾対象に設定されて、追尾AFが開始された場合は、上記第4~6の実施の形態で説明した手法で、追尾対象を限定することができる。
【0240】
[第8の実施の形態]
追尾AF中は、追尾対象の被写体にフォーカスが合い続ける。その一方で被写界深度の範囲内に他の被写体が入ると、その被写体にもフォーカスが合う。追尾対象以外の被写体でフォーカスが合った被写体は、通りすがりの被写体である場合もあるし、主被写体になり得る場合もある。
【0241】
そこで、本実施の形態の撮像装置では、追尾AF中に主被写体になり得る被写体が検出された場合に、当該被写体を追尾対象に追加し、追尾AFを継続する。具体的には、現在追尾対象としている被写体と同程度のフォーカス評価値が一定時間維持された場合、新しい被写体も追尾対象に設定し、追尾AFを行う。
【0242】
[装置構成]
ここでは、追尾対象の追加設定に必要な機能についてのみ説明する。
【0243】
図28は、追尾対象を追加して追尾AFを行う場合にCPUが実現する主な機能のブロック図である。
【0244】
同図に示すように、本実施の形態の撮像装置において、CPU120は、更に、追尾候補検出部200として機能する。
【0245】
追尾候補検出部200は、追尾AF中に合焦領域検出部120Dで検出される合焦領域の情報に基づいて、追尾候補を検出する。追尾候補とは、現在追尾対象に設定されている被写体以外で主被写体になり得る被写体である。追尾候補検出部200は、現在追尾対象に設定されている被写体と同程度のフォーカス評価値を一定時間以上継続して有する被写体を追尾候補として抽出する。同程度とは、差分が閾値以下であることをいう。したがって、追尾候補検出部200は、現在追尾対象に設定されている被写体のフォーカス評価値との差分が閾値以下の状態が規定時間以上継続している被写体を抽出して、追尾候補を検出する。具体的には、閾値以下の状態が規定時間以上継続しているフォーカスエリアを抽出し、そのフォーカスエリアに存在する被写体を追尾候補として検出する。抽出に使用する規定時間は、第3時間の一例である。
【0246】
なお、追尾AF中、追尾対象の被写体は、おおよそ全期間を通じて合焦状態(実質的に合焦状態と認められる状態を含む)にある。したがって、合焦状態にある被写体を、追尾対象の被写体と同程度のフォーカス評価値を有する被写体とみなすことができる。したがって、追尾候補検出部200は、一定時間以上継続して合焦状態にある被写体を追尾候補として抽出する構成とすることもできる。この場合、追尾候補検出部200は、追尾対象が存在する領域以外で規定時間以上継続して合焦状態にある領域を抽出し、抽出した領域に存在する被写体を追尾候補として検出する。具体的には、規定時間以上継続して合焦状態にあるフォーカスエリアを抽出し、抽出したフォーカスエリアに存在する被写体を追尾候補として検出する。
【0247】
追尾処理部120Hは、追尾候補検出部200で追尾候補が検出されると、検出された追尾候補を追尾対象に加えて追尾処理を行う。
【0248】
[撮像制御の処理手順]
図29は、撮像制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0249】
追尾AFを開始するまでの処理(ステップS131~S137)は、上記第1の実施の形態の撮像装置と同じである。
【0250】
まず、フォーカス操作が開始されたか否かが判定される(ステップS131)。フォーカス操作が開始されたと判定されると、フォーカスモードがMFモードに設定されているか否かが判定される(ステップS132)。MFモードに設定されていると判定されると、各フォーカスエリアのフォーカス評価値が算出され(ステップS133)、その算出結果に基づいて、合焦領域が検出される(ステップS134)。そして、検出された合焦領域の情報に基づいて、追尾対象が設定される(ステップS135)。追尾対象が設定されると、フォーカス操作が終了したか否かが判定される(ステップS136)。フォーカス操作が終了されたと判定されると、追尾AFが開始される(ステップS137)。
【0251】
追尾AFが開始されると、フォーカス評価値の算出が行われる(ステップS138)。フォーカス評価値は、画面全域において検出される。そして、検出された画面全域のフォーカス評価値の情報に基づいて、追尾候補の検出が行われる(ステップS139)。
【0252】
追尾候補の検出は、次の手順で行われる。まず、現在追尾対象に設定されている被写体と同程度のフォーカス評価値を有する被写体が抽出される。具体的には、現在追尾対象に設定されている被写体のフォーカス評価値との差分が閾値以下のフォーカスエリアを抽出される。差分が閾値以下のフォーカスエリアが抽出されると、差分が閾値以下の状態の継続時間が計測される。差分が閾値以下の状態が規定時間以上継続した場合、抽出されたフォーカスエリアに存在する被写体が追尾候補として検出される。
【0253】
追尾候補が検出されると、追尾対象が再設定される(ステップS142)。すなわち、検出された追尾候補が、新たに追尾対象に追加されて設定される。
【0254】
その後、再びフォーカス操作が行われたか否かが判定される(ステップS143)。フォーカス操作が再開されたと判定されると、追尾AFが強制的に終了される。追尾AFの終了後は、通常のMFモードでの動作に戻り、ステップS132以降の処理が繰り返される。
【0255】
一方、フォーカス操作が再開されていないと判定されると、継続して追尾AFが行われる。すなわち、ステップS137以降の処理が繰り返される。この際、新たに追尾対象が追加された場合は、新たに追加された追尾対象を含めて追尾AFが行われる。
【0256】
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置によれば、追尾AF中に主被写体になり得る被写体が検出された場合に、自動的に追尾対象に追加されて、追尾AFが行われる。これにより、ユーザによるフォーカス操作の負担を大幅に軽減できる。また、動画像の撮像中に安定したフォーカス移動を実現できる。
【0257】
[その他の実施の形態]
[撮像装置の例]
本発明が適用される撮像装置には、いわゆるビデオカメラ、シネカメラ等の動画撮像専用の撮像装置の他、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等に組み込まれた撮像装置も含まれる。
【0258】
[処理部のハードウェア構成]
本発明において、各処理を行う処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造は、各種のプロセッサ(Processor)で実現される。各種のプロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU及び/又はGPU(Graphic Processing Unit)、FPGA(FieldProgrammable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device,PLD)、ASIC(ApplicationSpecific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。プログラムは、ソフトウェアと同義である。
【0259】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。たとえば、1つの処理部は、複数のFPGA、或いは、CPUとFPGAの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどに用いられるコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip,SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【符号の説明】
【0260】
1 撮像装置
10 レンズ部
20 撮像光学系
22 ズームレンズ
24 絞り
26 フォーカスレンズ
30 レンズ駆動部
32 ズーム駆動部
34 絞り駆動部
36 フォーカス駆動部
40 レンズ操作部
42 ズーム操作部
44 絞り操作部
46 フォーカス操作部
50 姿勢検出センサ
100 本体部
110 撮像部
110A 撮像素子
112 表示部
114 記憶部
116 接続部
118 本体操作部
120 CPU
120A 表示用画像処理部
120B 表示制御部
120C フォーカス評価値算出部
120D 合焦領域検出部
120E 追尾対象設定部
120F フォーカス操作検知部
120G フォーカス駆動制御部
120H 追尾処理部
120I AF制御部
122 ROM
124 RAM
114A 計測結果記憶部
130A 第1計時部
130B 計測結果記録制御部
130C 検知用時間算出部
130D 検知用時間設定部
140 画像認識部
150A フォーカス移動方向検知部
150B 第2計時部
160 姿勢変化検知部
170 第1動き量算出部
180 第2動き量算出部
190 第3計時部
192 特定操作検出部
200 追尾候補検出部
300 人物
300A 人物
300B 人物
300C 人物
400 木
F1 合焦状態にあるフォーカスエリアの枠
F2 合焦状態にあるフォーカスエリアの枠
F3 合焦状態にあるフォーカスエリアの枠
FA フォーカスエリア
IM1 フォーカス操作中に表示される画像
IM2 追尾AF中に表示される画像
L 光軸
S1~S8 撮像制御の処理手順
S11~S20 撮像制御の処理手順
S31~S40 撮像制御の処理手順
S51~S62 撮像制御の処理手順
S71~S83 撮像制御の処理手順
S91~S106 撮像制御の処理手順
S111~S122 撮像制御の処理手順
S131~S142 撮像制御の処理手順
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29