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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】無線受電システム、移動体、及び車輪
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20231027BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20231027BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20231027BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20231027BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20231027BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J50/60
B60L5/00 B
B60L53/30
B60L53/12
H01F38/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019186312
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021061730
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業、「第三世代ワイヤレスインホイールモータを開発と実証」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】藤本 博志
(72)【発明者】
【氏名】清水 修
(72)【発明者】
【氏名】芥川 恵造
(72)【発明者】
【氏名】若尾 泰通
(72)【発明者】
【氏名】桑山 勲
(72)【発明者】
【氏名】郡司 大輔
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-509654(JP,A)
【文献】特表2016-502383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10
H02J 50/60
B60L 5/00
B60L 53/30
B60L 53/12
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に設置された送電装置の送電コイルから無線により供給される電力を受電する受電コイルを有し、前記受電コイルの少なくとも一部が移動体の車輪に収容された、受電装置と、
前記移動体に設置され、前記受電装置と通電可能に接続された、車載装置と、を備え、
前記受電装置は、受電した前記電力を前記車載装置に送電可能であり、
前記受電コイルの全体形状は、前記車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である、無線受電システム。
【請求項2】
前記受電コイルは、前記側面視で円弧状に湾曲している、請求項1に記載の無線受電システム。
【請求項3】
前記受電コイルの前記側面視での曲率中心が、前記車輪の中心軸上に位置する、請求項2に記載の無線受電システム。
【請求項4】
前記受電コイルは、積層された複数のスパイラルコイル層を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の無線受電システム。
【請求項5】
車輪と、
路面に設置された送電装置の送電コイルから無線により供給される電力を受電する受電コイルを有し、前記受電コイルの少なくとも一部が前記車輪に収容された、受電装置と、
前記受電装置と通電可能に接続された、車載装置と、を備え、
前記受電装置は、受電した前記電力を前記車載装置に送電可能であり、
前記受電コイルの全体形状は、前記車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である、移動体。
【請求項6】
移動体の車輪であって、
路面に設置された送電装置の送電コイルから無線により供給される電力を受電する受電コイルを有する受電装置を備え、
前記受電コイルの少なくとも一部を内部に収容しており、
前記受電コイルの全体形状は、前記車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である、車輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線受電システム、移動体、及び車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路又は駐車場等の路面に設けられた送電装置が、車両に設置された受電装置に、無線で電力を供給する無線給電技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両の下側に受電装置を備えることによって、路面に設けられた送電装置からの電力を受電可能な車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-068077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の無線給電技術において、道路等の路面に設けられた送電装置と、路面の上を走行する車両に設置された受電装置との距離が離れている場合、送電装置と受電装置との間の空間に、小動物又は金属等の障害物が入り込み、障害物の周囲に渦電流が発生して、受電効率が低下するおそれがあった。また、送電装置と受電装置との間に入り込んだ小動物又は金属等が加熱され、発火するおそれがあった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、無線給電における受電効率を向上させることができる、無線受電システム、移動体、及び車輪を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無線受電システムは、
路面に設置された送電装置の送電コイルから無線により供給される電力を受電する受電コイルを有し、前記受電コイルの少なくとも一部が移動体の車輪に収容された、受電装置と、
前記移動体に設置され、前記受電装置と通電可能に接続された、車載装置と、を備え、
前記受電装置は、受電した前記電力を前記車載装置に送電可能であり、
前記受電コイルは、前記車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である。
本発明に係る無線受電システムによれば、路面と直接接触する車輪に、受電コイルの少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイルと受電コイルとの間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、本発明に係る無線受電システムによれば、無線給電における受電効率を向上させることができる。
また、受電コイルが、車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状であることにより、受電コイルが車輪の軸方向から見た側面視で水平方向に延在する平坦な形状である場合に比べて、路面に設置された送電コイルと受電コイルとの平均距離を小さくすることができる。その結果、給電効率を高めることができる。
【0007】
本発明に係る無線受電システムの一実施形態としては、前記受電コイルは、前記側面視で円弧状に湾曲していることが好ましい。
かかる構成によれば、受電コイルが屈曲形状である場合に比べて、路面に設置された送電コイルと受電コイルとの平均距離をさらに小さくすることができ、給電効率をより高めることができる。
【0008】
本発明に係る無線受電システムの一実施形態としては、前記受電コイルの前記側面視での曲率中心が、前記車輪の中心軸上に位置することが好ましい。
かかる構成によれば、受電コイルを車輪の内周面に沿って配置することができるので、路面に設置された送電コイルと受電コイルとの平均距離をさらに小さくすることができ、給電効率をより高めることができる。
【0009】
本発明に係る無線受電システムの一実施形態としては、前記受電コイルは、積層された複数のスパイラルコイル層を有することが好ましい。
かかる構成によれば、車輪の軸方向から見て受電コイルの車輪周方向の長さを小さくすることができる。このため、路面に設置された送電コイルと受電コイルとの平均距離をさらに小さくすることができ、給電効率をさらに高めることができる。
【0010】
本発明に係る移動体は、
車輪と、
路面に設置された送電装置の送電コイルから無線により供給される電力を受電する受電コイルを有し、前記受電コイルの少なくとも一部が前記車輪に収容された、受電装置と、
前記受電装置と通電可能に接続された、車載装置と、を備え、
前記受電装置は、受電した前記電力を前記車載装置に送電可能であり、
前記受電コイルは、前記車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である。
本発明に係る移動体によれば、路面と直接接触する車輪に、受電コイルの少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイルと受電コイルとの間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、本発明に係る移動体によれば、無線給電における受電効率を向上させることができる。
また、受電コイルが、車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状であることにより、受電コイルが車輪の軸方向から見た側面視で水平方向に延在する平坦な形状である場合に比べて、路面に設置された送電コイルと受電コイルとの平均距離を小さくすることができる。その結果、給電効率を高めることができる。
【0011】
本発明に係る車輪は、
移動体の車輪であって、
路面に設置された送電装置の送電コイルから無線により供給される電力を受電する受電コイルを有する受電装置を備え、
前記受電コイルの少なくとも一部を内部に収容しており、
前記受電コイルは、前記車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である。
本発明に係る車輪によれば、路面と直接接触する車輪に、受電コイルの少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイルと受電コイルとの間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、本発明に係る車輪によれば、無線給電における受電効率を向上させることができる。
また、受電コイルが、車輪の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状であることにより、受電コイルが車輪の軸方向から見た側面視で水平方向に延在する平坦な形状である場合に比べて、路面に設置された送電コイルと受電コイルとの平均距離を小さくすることができる。その結果、給電効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線給電における受電効率を向上させることができる、無線受電システム、移動体、及び車輪を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る無線受電システムを、車輪の幅方向断面を用いて概略的に示す、概略図である。
図2】受電コイルの一例を示す平面図である。
図3図2のA-A線における受電コイルの断面図である。
図4図3のB-B線における受電コイルの断面図である。
図5図3のC-C線における受電コイルの断面図である。
図6図2の受電コイルの線材の巻回構造を模式的に示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る無線受電システムにおける車輪の一例としてのタイヤ・ホイール組立体を、車輪の幅方向断面を用いて概略的に示す、概略図である。
図8図7の車輪に収容される受電装置のコンバータ及びインバータ概略的に示す、概略図である。
図9】車輪に設置された受電コイルの一例を概略的に示す、概略図である。
図10】車輪に設置された受電コイルの他の例を概略的に示す、概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る無線受電システム、移動体、及び車輪について、図面を参照して説明する。各図において共通する部品・部位には同一の符号を付している。本明細書において、車輪の幅方向とは、車輪の回転軸と平行な方向をいう。車輪の径方向とは、車輪の回転軸と直交する方向をいう。
【0015】
(無線受電システムの構成)
図1には、本発明の一実施形態に係る無線受電システム1を、車輪の幅方向断面を用いて概略的に示す、概略図が示されている。無線受電システム1は、車輪3を備える移動体2が、路面に設置された送電装置4から、電力を受電するために用いられる。無線受電システム1には、受電装置5と、車載装置6と、が含まれる。受電装置5は、少なくとも一部が移動体2の車輪3に収容され、路面に設置された送電装置4から無線により供給される電力を受電する。車載装置6は、移動体2に設置され、受電装置5と通電可能に接続されている。受電装置5は、送電装置4が設置された路面上を、移動体2が走行又は停止する際に、送電装置4から無線により電力を受電する。受電装置5は、受電した電力を車載装置6に送電する。
【0016】
無線受電システム1には、更に制御装置7が含まれていてもよい。制御装置7は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介して、受電装置5及び車載装置6と通信可能に接続されている。制御装置7は、受電装置5及び車載装置6を制御して、受電装置5が無線により受電した電力を車載装置6に送電させることができる。図1に示される、移動体2における、車輪3、受電装置5、車載装置6、及び制御装置7の位置及び数は一例であって、それらの用途等に応じて、それぞれ任意に定めることができる。
【0017】
移動体2は、車輪3により道路等の路面を走行可能である。移動体2は、例えば自動車であるが、これに限られない。移動体2には、乗用車、トラック、バス、及び二輪車等の自動車に加え、トラクター等の農業用車両、ダンプカー等の工事用又は建設用車両、飛行機、自転車、並びに車いす等の、車輪3によって路面を走行可能な任意の車両が含まれ得る。
【0018】
車輪3は、移動体2の移動に用いられる。車輪3は、移動体2に取り付けられた状態で、道路等の路面と接する接地面を有している。本実施形態において、車輪3は、タイヤ31をホイール32に装着させたタイヤ・ホイール組立体であるが、これに限られず、上述した移動体2に取り付け可能な任意の車輪であってもよい。車輪3の「接地面」とは、車輪3がタイヤ・ホイール組立体である場合、タイヤ31の接地面、即ち、タイヤ31を適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大荷重を負荷した状態で、路面と接する、タイヤ31の表面をいう。
【0019】
本明細書において、「適用リム」とは、空気入りタイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指すが、これらの産業規格に記載のないサイズの場合は、空気入りタイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に前述の産業規格に含まれ得るサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられ得る。
【0020】
本明細書において、「規定内圧」とは、前述したJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、前述した産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。また、本明細書において、「最大荷重」とは、前述した産業規格に記載されている適用サイズのタイヤにおける最大負荷能力に対応する荷重、又は、前述した産業規格に記載のないサイズの場合には、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重を意味する。
【0021】
図1には、本発明の一実施形態に係る無線受電システム1における車輪3の一例としてのタイヤ・ホイール組立体を、車輪3の幅方向断面を用いて概略的に示す、概略図が示されている。
【0022】
図1に示すように、タイヤ31は、一対のビード部311と、一対のサイドウォール部312と、トレッド部313とを有している。ビード部311は、タイヤ31をホイール32のリム部321に装着させたときに、その径方向内側及び幅方向外側がリム部321に接するように構成されている。サイドウォール部312は、トレッド部313とビード部311との間に延在している。サイドウォール部312は、ビード部311よりも、径方向外側に位置している。トレッド部313は、サイドウォール部312よりも径方向外側に位置し、タイヤ31の接地面を含むことができる。
【0023】
タイヤ31は、天然ゴム及び合成ゴム等のゴムで形成されており、カーカス、ベルト及びビードワイヤ等、スチール等の金属で形成されている部品を含み得る。例えば、カーカス、ベルト及びビードワイヤ等の部品の少なくとも一部は、非磁性材料で形成されていてもよい。これによって、タイヤ31は、タイヤ31の強度を維持しつつ、送電装置4と受電装置5との間に金属が存在することで、後述するように、送電装置4から受電装置5に電磁誘導方式によって無線給電が行われる際に、送電装置4が発生させた磁界が受電装置5に到達するまでに減衰することを軽減し、ひいては、受電装置5の受電効率を向上させることができる。但し、カーカス、ベルト及びビードワイヤ等の部品の少なくとも一部は、非磁性材料で形成されていなくてもよい。
【0024】
非磁性材料には、透磁率が小さい、常磁性体及び反磁性体が含まれ得る。非磁性材料として、例えば、ポリエステル及びナイロン等の熱可塑性樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、並びにその他の合成樹脂を含む、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料には、更に、補強繊維として、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等の繊維を含ませることができる。非磁性材料として、樹脂に限らず、ゴム、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等を含む、任意の非金属材料を用いることができる。さらに、非磁性材料として、アルミ等の常磁性体、又は銅等の反磁性体を含む、金属材料を用いることができる。
【0025】
ホイール32は、タイヤ31を装着するための円筒状のリム部321と、リム部321の径方向内側に設けられ、移動体2のハブ21に支持固定されるディスク部322と、を有している。
【0026】
ホイール32は、スチール等の金属で形成され得るが、これに限られない。ホイール32のリム部321の少なくとも一部は、上述した非磁性材料で形成されていてもよい。これによって、ホイール32の強度を維持しつつ、送電装置4と受電装置5との間にスチール等の金属が存在することで、送電装置4が発生させた磁界が受電装置5に到達するまでに減衰することを軽減し、ひいては、受電装置5の受電効率を向上させることができる。但し、ホイール32のリム部321の少なくとも一部は、非磁性材料で形成されていなくてもよい。
【0027】
図1を参照して、送電装置4は、送電コイル(1次コイル)41を備えている。送電装置4は、道路及び駐車場等の路面に設置されている。本実施形態では、送電装置4は、道路等に埋設されているが、少なくとも一部が路面に露出するように設置されていてもよい。図において、送電コイル41は、説明の簡略のため、模式化して示している。
【0028】
送電コイル41は、電力源から供給された交流電流に基づき、交流磁界を発生させる。本実施形態では、送電コイル41は、全体を環状に構成されている。本明細書において、環状の送電コイル41によって囲まれている平面を、送電コイル41のコイル面ともいう。送電コイル41は、路面の上方に向けて交流磁界を発生するように、送電コイル41のコイル面が路面と略水平となるように(即ち、送電コイル41の軸方向が路面と略垂直となるように)配置されている。送電装置4が備える送電コイル41は、例えば、フェライトコア等のコアに巻き回され、全体を環状に構成されるが、これに限られず、コイルばね、空芯コイル等、交流磁界を発生可能な任意のコイルとされてもよい。これによって、移動体2の走行中等に、車輪3が送電装置4の上を通過する際に、送電コイル41から受電コイル51に、電磁誘導方式によって、無線給電が行われ得る。
【0029】
受電装置5は、受電コイル(2次コイル)51を備えている。受電コイル51は、送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する。本実施形態では、受電コイル51は、全体を環状に構成されている。本明細書において、環状の受電コイル51によって囲まれている平面を、受電コイル51のコイル面ともいう。受電コイル51は、受電コイル51のコイル面が車輪3の接地面と略水平となるように(即ち、送電コイル41の軸方向が路面と略垂直となるように)配置されている。これによって、受電コイル51には、送電コイル41が発生した交流磁界に基づいて、電磁誘導による起電力が発生し、電流が流れる。図において、受電コイル51は、説明の簡略のため、模式化して示している。
【0030】
受電コイル51の少なくとも一部は、移動体2の車輪3に収容されている。本実施形態では、受電コイル51のコイル面の少なくとも一部(好ましくは、全部)は、車輪3の接地面と対向している。これによって、受電コイル51のコイル面が車輪3の接地面と略平行に延在していない場合を含め、車輪3の接地面が送電コイル41の上に位置する場合に、受電コイル51のコイル面の少なくとも一部は、車輪3の接地面を挟んで、送電コイル41のコイル面の少なくとも一部と対向することができる。このため、送電コイル41と受電コイル51との間に障害物が入り込むおそれが低減し得るとともに、送電コイル41から発せられる磁力線を受電コイル51が適切に受けることができる。したがって、無線給電における受電効率がさらに向上し得る。
【0031】
ここで、本明細書において、例えば、面A(の少なくとも一部)が面Bと「対向している」とは、面Bが延在する範囲において面Bに対し垂直方向に延びる領域内(換言すれば、面Bを断面とする、柱状の領域内)に、面A(の少なくとも一部)が重なることをいう。
【0032】
本実施形態では、車輪3の接地面の少なくとも一部(好ましくは、全部)は、受電コイル51のコイル面と対向している。受電効率をより高める観点から、本実施形態のように、受電コイル51のコイル面の少なくとも一部(好ましくは、全部)が、車輪3の接地面と対向しており、かつ/又は、車輪3の接地面の少なくとも一部(好ましくは、全部)が、受電コイル51のコイル面と対向していることが好ましい。
【0033】
受電装置5の受電コイル51は、車輪3と共に回転しないように、移動体2の車輪3に収容される。例えば、受電コイル51は、図1に示すように、移動体2においてハブ21のカバー21a等の、車輪3の径方向内側から車輪3に取り付けられる部分に設置されてもよい。これによって、移動体2のハブ21に車輪3のホイール32が取り付けられた状態において、受電コイル51の少なくとも一部は、ホイール32の径方向内側に収容されている。
【0034】
受電装置5は、受電コイル51に加えて、電力変換部、蓄電部、及び計測部等を更に備えていてもよい。
【0035】
蓄電部は、受電コイル51に生じた電力を蓄える。蓄電部は、例えば、キャパシタとすることができる。蓄電部がキャパシタである場合、蓄電池等に比べて短時間で充放電を行うことができ、高い即応性を求められる状況において、有利である。
【0036】
計測部は、受電装置5が受電する電力の強度を計測する。計測部は、例えば、電圧計又は電流計であるが、これに限られない。計測部によって計測される電力の強度には、例えば電力、電力量、電圧、電流、磁束、又は磁束密度等の、任意の数値情報が含まれてよい。
【0037】
以下に、図2~6を参照しつつ、受電装置5の一例についてより具体的に説明する。受電装置5は、受電コイル51とコイルケース55とを備える。図2は、受電コイル51をコイル面に直交する方向から見た平面図である。図3は、図2の受電コイル51及びコイルケース55におけるA-A線での断面図である。図4は、図3のB-B線における受電コイル51及びコイルケース55の断面図であり、図5図3のC-C線における受電コイル51及びコイルケース55の断面図である。図6は、受電コイル51を構成する線材53の巻回構造を模式的に示す斜視図である。なお、図4、5については、渦巻き状溝55g、55hの形状を理解し易いように線材53を省略して示す。図6については、第1スパイラルコイル層52aを破線で示し、第2スパイラルコイル層52bを実線で示す。
【0038】
受電コイル51は、積層された複数のスパイラルコイル層52a、52bを有する多層構造とすることができる。図2~6に示す受電コイル51は、積層された第1スパイラルコイル層52a及び第2スパイラルコイル層52bを有する2層構造である。受電コイル51は、第1スパイラルコイル層52aが送電コイル41に対向するように配置される。すなわち、移動体2に設置された受電コイル51において、第2スパイラルコイル層52bよりも第1スパイラルコイル層52aが鉛直方向下方に位置する。なお、受電コイル51は、積層された3層以上のスパイラルコイル層を有していてもよい。
【0039】
図2に示すように、第1スパイラルコイル層52aと第2スパイラルコイル層52bとは、互いの中心軸が同一直線上に位置するように重ねて配置されている。
【0040】
各スパイラルコイル層52a、52bは、線材53を同一面上(本例では同一平面上)で渦巻状(スパイラル状)に巻き回して形成される。線材53が巻き回された各スパイラルコイル層52a、52bの中心軸が延在する方向を受電コイル51の軸方向とする。
【0041】
各スパイラルコイル層52a、52bを構成する線材53は全体が連続している。第1スパイラルコイル層52aを構成する線材53と、第2スパイラルコイル層52bを構成する線材53とは、各スパイラルコイル層52a、52bのそれぞれの内周縁部で連続している。つまり、第1スパイラルコイル層52aと、第2スパイラルコイル層52bとの連結部54は、受電コイル51の内周縁部(スパイラルコイル層52a、52bのそれぞれの内周縁部)に位置する。なお、第1スパイラルコイル層52aを構成する線材53と、第2スパイラルコイル層52bを構成する線材53とは、各スパイラルコイル層52a、52bの内周縁部で連続していなくてもよい。また、連結部54の位置は、受電コイル51の内周縁部に限定されず、例えば受電コイル51の外周縁部に設けてもよい。第1スパイラルコイル層52aを構成する線材53と、第2スパイラルコイル層52bを構成する線材53とは、連結部54において溶接または圧接等により結合されていてもよいし、後述するように連結部54を含めて第1スパイラルコイル層52aと、第2スパイラルコイル層52bとを連続する1本の線材53で巻き回されて構成されてもよい。
【0042】
連結部54は、受電コイル51の軸方向に対して傾斜していることが好ましいが、受電コイル51の軸方向に平行(受電コイル51のコイル面に対して垂直)であってもよい。本例では、連結部54は、受電コイル51の厚さ方向に緩やかに傾斜している。具体的に、連結部54は、第1スパイラルコイル層52aを構成する線材53及び第2スパイラルコイル層52bを構成する線材53に対して共に鈍角(90°超、180°未満の角度)で交わるように傾斜している。
【0043】
第1スパイラルコイル層52aと、第2スパイラルコイル層52bとは、連続する1本の線材53が巻き回されて構成される。つまり、連結部54を含めて、第1スパイラルコイル層52a及び第2スパイラルコイル層52bは連続する1本の線材53で構成されている。なお、「連続する1本の線材53」とは、全体として一体に形成された線材であることを意味し、例えば撚り合わされた複数のエナメル線等からなるリッツ線を含む。また、線材53は、リッツ線であることが好ましいが、これに限定されず、例えば単線でもよい。
【0044】
図6に示すように、受電コイル51を構成する線材53は、第1スパイラルコイル層52aの外周縁部側に位置する巻き始めの端部(線材53の一端部53a)から、全体として略四角形(より具体的には略正方形)のコイル面を構成するように径方向内側に向けて渦巻き状に延在し、内周縁部において、コイル面に対して傾斜する連結部54に連なり、当該連結部54は第2スパイラルコイル層52bの内周縁部に滑らかに連なる。そして線材53は、第2スパイラルコイル層52bの内周縁部から径方向外側に向けて第1スパイラルコイル層52aと同様に渦巻き状に延在し、外周縁部側に巻き終わりの端部(線材53の他端部53b)が位置する。線材53の一端部53a及び他端部53bは、後述する四角形板状のコイルケース55における同一の側面55fに配置されている。また、線材53の一端部53a及び他端部53bは、当該側面55fの長手方向の両端部付近にそれぞれ位置している。このような構成とすることにより、一端部53aと他端部53bとをより離れた位置に配置することができる。
【0045】
受電装置5は、線材53を支持するコイルケース55を備える。コイルケース55は、絶縁材料からなる樹脂製のケース本体55a(線材支持部)と、ケース本体55aの表面を覆う第1カバー55bと、ケース本体55aの裏面を覆う第2カバー55cと、を有する。第1カバー55b及び第2カバー55cは、絶縁材料からなる樹脂製である。本例のコイルケース55は、第2カバー55cの外側(裏側)に設けられた第3カバー55dを有する。第3カバー55dは樹脂製でもアルミ等の金属製でもよい。
【0046】
第1スパイラルコイル層52aは、ケース本体55aと第1カバー55bの間に保持され、第2スパイラルコイル層52bは、ケース本体55aと第2カバー55cの間に保持される。これにより、受電コイル51を構成する線材53は、両側の端部53a、53bを除いてコイルケース55内に収容される。これにより、線材53への埃等の付着を抑制することができる。
【0047】
コイルケース55を構成するケース本体55a、第1カバー55b、第2カバー55c、及び第3カバー55dは、ねじ等の締結部材による締結、又は接着もしくは溶着等によって相互に固定されている。
【0048】
コイルケース55は、第2カバー55cと第3カバー55dとの間に、板状の磁性体(フェライト部材)等を配置可能な空間55eを有する。この空間55eに磁性体を設置することで、つまり、第2スパイラルコイル層52bの裏側に磁性体を設けることで、受電コイル51の受電効率を高めることができる。
【0049】
なお、受電コイル51の内周縁部よりも内側(中心軸側)には、フェライトコア等の磁性体を設けてもよい。その場合、例えばケース本体55aの中心部に、磁性体を配置するための空間を設けることができる。
【0050】
コイルケース55は、全体として平坦な板状に形成されている。また、コイルケース55は、受電コイル51の軸方向から見た平面視で四角形状、より具体的には略正方形状である。但し、同平面視で別の形状であってもよい。また、コイルケース55を構成するケース本体55a、第1カバー55b、第2カバー55c、及び第3カバー55dも同様に平面視で四角形の板状であり、コイルケース55の厚さ方向に重ねて配置されている。なお、コイルケース55は本例のように平坦であるものに限らず、湾曲していても、屈曲していてもよいし、凹部または凸部を有していてもよい。
【0051】
ケース本体55aの表面と裏面には、それぞれ渦巻き状溝55g、55hが形成されており、この渦巻き状溝55g、55hに沿って線材53が配置されている。ケース本体55aの表面の渦巻き状溝55gに沿って配置された線材53が第1スパイラルコイル層52aを構成し、ケース本体55aの裏面の渦巻き状溝55hに沿って配置された線材53が第2スパイラルコイル層52bを構成する。ケース本体55aの表面の渦巻き状溝55gと裏面の渦巻き状溝55hとの間には、隔壁55jが設けられている。
【0052】
ケース本体55aの表面の渦巻き状溝55gと裏面の渦巻き状溝55hとは、隔壁55jによってケース本体55aの厚さ方向(受電コイル51の軸方向)に所定の距離(少なくとも隔壁55jの厚さ以上)だけ離間している。また、表面の渦巻き状溝55gと裏面の渦巻き状溝55hとは、隔壁55jに形成された貫通孔55kを通して連通している。貫通孔55kは、表面の渦巻き状溝55gの溝底(隔壁55jの表面)から裏面の渦巻き状溝55hの溝底(隔壁55jの裏面)まで貫通している。
【0053】
貫通孔55kは、受電コイル51の連結部54に対応する位置に形成される。したがって、受電コイル51の連結部54の位置に対応して貫通孔55kの位置は適宜変更可能である。本例では、貫通孔55kは、ケース本体55aの中央部に位置しており、より具体的には、受電コイル51の内周縁部と対応する位置にある。これにより、受電コイル51の連結部54を貫通孔55kに配置することができる。
【0054】
再び図1を参照して、車載装置6は、移動体2に設置され、受電装置5と通電可能に接続されている。受電装置5と車載装置6とは、有線により通電可能に接続されていてもよい。かかる場合、無線により接続されている場合に比べて、受電装置5から車載装置6への送電効率が向上する。また、受電装置5と車載装置6とは、無線により通電可能に接続されていてもよい。かかる場合、例えば、車輪3と離れた移動体2の本体に設置された車載装置6に、受電装置5から送電するための送電線の配線が不要になるため、車輪3の回転に伴い送電線が断線する恐れが低減する。
【0055】
車載装置6には、例えば、電力により車輪3を駆動させる駆動装置61が含まれていてもよい。かかる場合、駆動装置61は、受電装置5から供給された電力を消費して、車輪3を駆動させる。本実施形態では、駆動装置61は、少なくとも一部が車輪3に収容されている、インホイールモータであるが、これに限られない。駆動装置61は、移動体2の本体に搭載され、移動体2のシャフト22を駆動させることで、車輪3を駆動させる、オンボードモータであってもよい。
【0056】
また例えば、車載装置6には、電力を蓄電する蓄電装置62が含まれていてもよい。蓄電装置62は、受電装置5から供給された電力を蓄電し、他の車載装置6に対して電力を供給することができる。蓄電装置62は、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、又はこれらの組み合わせ等の任意の蓄電池であってもよい。
【0057】
車載装置6には、上述した例に限られず、移動体2の通信装置、カーナビゲーションシステム、メディアプレイヤ、及び車載センサ等の、移動体2に設置された任意の電子装置が含まれていてもよい。車載装置6は、移動体2に一体として設置されていてもよく、或いは着脱可能に設置されていてもよい。
【0058】
以下に、図7、8を参照しつつ、受電装置5及び駆動装置61の一例について具体的に説明する。図7は、無線受電システム1における車輪3の一例としてのタイヤ・ホイール組立体を、車輪3の幅方向断面を用いて概略的に示す、概略図である。図8は、図7の車輪3に収容される受電装置5のコンバータ56a及びインバータ56bを概略的に示す、概略図である。本例において、駆動装置61は、車輪3に設置されるインホイールモータであり、その少なくとも一部が車輪3に収容されている。
【0059】
図7、8に示すように、受電装置5は、電力変換部としてのコンバータ56a及びインバータ56bを備える。コンバータ56aは、受電コイル51と、インバータ56bに接続されている。コンバータ56aは、受電コイル51に生じた交流電力を直流電力に変換し、インバータ56bに送電することができる。インバータ56bは、コンバータ56a及び駆動装置61に接続されている。インバータ56bは、コンバータ56aからの直流電力を交流電力に変換して駆動装置61に送電することができる。
【0060】
コンバータ56aは、受電コイル51よりも鉛直方向上方に位置し、インバータ56bは、コンバータ56aよりも鉛直方向上方に位置する。本例では、コンバータ56aの全体及びインバータ56bの全体が車輪3に収容されている。なお、コンバータ56a及びインバータ56bは、少なくとも一部が車輪3に収容されていればよい。
【0061】
コンバータ56a及びインバータ56bは、車輪3と同軸配置される円環状の基板56c上に設けられている。受電コイル51は、基板56cの下側に位置する。なお、受電コイル51は、基板56cと鉛直方向に重なる位置にあってもよい。
【0062】
図8に示すように、コンバータ56a及びインバータ56bは、円環状の基板56cにおける異なる周方向位置に配置されている。コンバータ56a及びインバータ56bは、基板56cにおいて同心円上に配置される。コンバータ56aは基板56cの下部に位置し、インバータ56bは基板56cの上部に位置する。
【0063】
駆動装置61は、車輪3と同軸配置されるダイレクトドライブモータ63である。ダイレクトドライブモータ63は、車輪3と同軸配置されている。また、ダイレクトドライブモータ63は、その全体が車輪3に収容されている。なお、ダイレクトドライブモータ63はその少なくとも一部が車輪3に収容されていればよい。
【0064】
受電装置5は、受電コイルを51収容するコイルケース55を有する。コイルケース55は、コンバータ56aを収容するケース56dと一体に設けられている。なお、コイルケース55は、ケース56dに連結されていてもよい。また、コイルケース55はコンバータ56aを収容するケース56dから独立して設置されてもよい。ケース56dは、その全体が車輪3に収容される。ケース56dは、基板56c、コンバータ56a、インバータ56b、及びダイレクトドライブモータ63を外側から取り囲む。なお、コンバータ56aを収容するケース56dは必須の構成ではない。
【0065】
制御装置7は、受電装置5及び車載装置6の少なくとも一方を制御する。制御装置7は、例えば、制御装置(ECU:Electronic Control Unit)であるが、これに限られず、任意の電子機器であってもよい。制御装置7は、上述した車載装置6の1つとして、受電装置5と通電可能に接続されていてもよい。
【0066】
制御装置7は、例えば、制御部、記憶部、通信部、出力部、及び入力部等を備えるものとすることができる。制御装置7は、例えば、所定の条件に基づいて、受電装置5に、受電装置5が無線により受電した電力を、例えば駆動装置61及び蓄電装置62を含む、複数の車載装置6の少なくとも1つに送電させることができる。
【0067】
以下に、図9、10を参照しつつ、受電コイル51の他の例について具体的に説明する。図9に示す受電コイル51は、車輪3の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である。図9では、車輪3及び受電コイル51のみを概略的に示している。また、図9には、比較のために、車輪3の軸方向から見た側面視で水平方向に延在する平坦な形状の受電コイル51aを二点鎖線で示している。また、図9には、比較のために、側面視で下向きに凸の屈曲形状である受電コイル51bを二点鎖線で示している。受電コイル51bは、側面視で受電コイル51と同一幅且つ同一高さである。なお、図9に示す受電コイル51は、1層のスパイラルコイル層からなる単層構造であるが、これに限られない。
【0068】
図9に示す受電コイル51は、側面視で全体が円弧状に湾曲している。受電コイル51は、円弧状に湾曲する形状に限られず、少なくとも全体として下向きに凸となる非平坦形状であればよく、例えば、受電コイル51bのように下向きにV字型に屈曲する構成としてもよい。また、図示は省略するが、受電装置5は、受電コイル51の形状に対応した湾曲形状のコイルケースを有していてもよい。
【0069】
図9に示す受電コイル51は、受電コイル51の側面視での曲率中心Pが、車輪3の中心軸上に位置している。これにより、受電コイル51を車輪3の内周面3aに沿って配置することができる。なお、車輪3の内周面3aとは、例えばリム部321の内周面とすることができるが、これに限られない。
【0070】
図10に示す受電コイル51は、積層された複数のスパイラルコイル層52c、52dを有する。図10では、車輪3及び受電コイル51のみを概略的に示している。また、図10には、比較のために、1層のスパイラルコイル層からなる単層構造の受電コイル51bを二点鎖線で示している。受電コイル51bのように、車輪周方向の長さが大きい場合、当該車輪周方向における受電コイル51bの両端部は、送電コイル41からの距離が大きくなり易い。このため、受電コイル51を複数のスパイラルコイル層52c、52dを有する積層構造として、車輪周方向の長さを小さくすることで、図10に示すように、路面に設置された送電コイル41と受電コイル51との平均距離を小さくすることができる。なお、図10に示す受電コイル51も、受電コイル51の側面視での曲率中心Pが、車輪3の中心軸上に位置しているが、これに限られない。また、図10の受電コイル51は、2層のスパイラルコイル層52c、52dで構成されているが、3層以上のスパイラルコイル層を有していてもよい。
【0071】
図10に示す受電コイル51は、側面視で湾曲すること以外は、図2~6を参照して説明した積層構造の受電コイル51と同様の構成とすることができる。例えば、2層のスパイラルコイル層52c、52dは、連続する1本の線材53で巻き回されて構成されてもよい。また、受電装置5は、受電コイル51に対応して湾曲した形状のコイルケース55を備えることができる。その場合、当該コイルケース55は、受電コイル51の形状に対応する湾曲形状のケース本体55a(線材支持部)、第1カバー55b、第2カバー55c、及び第3カバー55d等を備えることができる。また、当該ケース本体55aの表面及び裏面に設けた渦巻き状溝に沿って線材53を配置することで、2層のスパイラルコイル層52c、52dを形成してもよい。
【0072】
以上述べたように、本発明の一実施形態に係る無線受電システム1は、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有し、受電コイル51の少なくとも一部が移動体2の車輪3に収容された、受電装置5と、移動体2に設置され、受電装置5と通電可能に接続された、車載装置6と、を備え、受電装置5は、受電した電力を車載装置6に送電可能であり、受電コイル51は、車輪3の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、無線受電システム1は、無線給電における受電効率を向上させることができる。
【0073】
また、本発明の一実施形態に係る無線受電システム1によれば、受電コイル51が、車輪3の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状であることにより、側面視で水平方向に延在する平坦な形状の受電コイル51aと比べて、路面に設置された送電コイル41と受電コイル51との平均距離を小さくすることができる。その結果、受電コイル51を有する無線受電システム1の給電効率を高めることができる。
【0074】
本発明の一実施形態に係る無線受電システム1では、受電コイル51が、側面視で円弧状に湾曲している。かかる構成によれば、例えば側面視で同一幅且つ同一高さのV字型の屈曲形状の受電コイル51bに比べて、送電コイル41と受電コイル51との平均距離をさらに小さくすることができ、無線受電システム1の給電効率をより高めることができる。
【0075】
本発明の一実施形態に係る無線受電システム1では、受電コイル51の側面視での曲率中心Pが、車輪3の中心軸上に位置する。かかる構成によれば、受電コイル51を車輪3の内周面3aに沿って配置することができるので、送電コイル41と受電コイル51との平均距離をさらに小さくすることができ、無線受電システム1の給電効率をより高めることができる。また、受電コイル51を車輪3の内周面3aに沿って配置することで、車輪3内の空間を有効に活用することができる。
【0076】
本発明の一実施形態に係る無線受電システム1では、受電コイル51は、積層された複数のスパイラルコイル層52c、52dを有する。かかる構成によれば、1層のスパイラルコイル層からなる単層構造の受電コイル51cに比べて、側面視での受電コイル51の車輪3の周方向の長さを小さくすることができる。このため、路面に設置された送電コイル41と受電コイル51との平均距離をさらに小さくすることができ、給電効率をさらに高めることができる。
【0077】
本発明の一実施形態に係る移動体2は、車輪3と、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有し、受電コイル51の少なくとも一部が車輪3に収容された、受電装置5と、受電装置5と通電可能に接続された、車載装置6と、を備え、受電装置5は、受電した電力を車載装置6に送電可能であり、受電コイル51は、車輪3の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、移動体2は、無線給電における受電効率を向上させることができる。また、受電コイル51が、車輪3の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状であることにより、側面視で水平方向に延在する平坦な形状の受電コイル51aと比べて、路面に設置された送電コイル41と受電コイル51との平均距離を小さくすることができる。その結果、受電コイル51を有する無線受電システム1の給電効率を高めることができる。
【0078】
本発明の一実施形態に係る車輪3は、移動体2の車輪3であって、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有する受電装置5を備え、受電コイル51の少なくとも一部を内部に収容しており、受電コイル51は、車輪3の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状である。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、車輪3は、無線給電における受電効率を向上させることができる。また、受電コイル51が、車輪3の軸方向から見た側面視で下向きに凸形状であることにより、側面視で水平方向に延在する平坦な形状の受電コイル51aと比べて、路面に設置された送電コイル41と受電コイル51との平均距離を小さくすることができる。その結果、受電コイル51を有する無線受電システム1の給電効率を高めることができる。
【0079】
また、図2~6に示す形態を有する無線受電システム1は、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有し、受電コイル51の少なくとも一部が移動体2の車輪3に収容された、受電装置5と、移動体2に設置され、受電装置5と通電可能に接続された、車載装置6と、を備え、受電装置5は、受電した電力を車載装置6に送電する。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、無線受電システム1は、無線給電における受電効率を向上させることができる。
【0080】
また、図2~6に示す形態を有する無線受電システム1によれば、受電コイル51が、積層された複数のスパイラルコイル層52a、52bを有することにより、同様の受電性能を有する単層構造の受電コイル(1層のスパイラルコイル層のみからなる受電コイル)に比べて、コイル面の面積を小さくすることができる。すなわち、複数のスパイラルコイル層52a、52bによって受電コイル51全体としての巻き数を確保して受電性能を確保しつつ、受電コイル51のコイル面の面積を抑制することができる。このため、受電コイル51の設置範囲の自由度が向上し、車輪3の広い範囲に収容可能となる。また、コイル面の面積を小さくできるので、送電コイル41に近い位置に設置し易くなるため、受電装置5の受電効率を更に向上させることができる。
【0081】
図2~6に示す形態を有する無線受電システム1では、受電コイル51は、第1スパイラルコイル層52a、及び第2スパイラルコイル層52bを有する2層構造である。かかる構成によれば、3層以上のスパイラルコイル層を設ける場合よりも線材の巻回構造が複雑になり難いため、受電コイル51の製造が容易となる。
【0082】
図2~6に示す形態を有する無線受電システム1では、第1スパイラルコイル層52aを構成する線材53と第2スパイラルコイル層52bを構成する線材53とは、受電コイル51の内周縁部で連続している。かかる構成によれば、第1スパイラルコイル層52aと前記第2スパイラルコイル層52bとがそれぞれ独立している場合に比べて、受電装置5の構成が複雑化することを防ぎ、受電装置5全体を簡素な構成とすることができる。また、連結部54が受電コイル51の内周縁部に設けられていることにより、受電コイル51の線材53の両端部53a、53bを離間させて配置し易くなる。このため、線材53間の距離を適切に確保することができるので、近接効果に起因する損失を低減することができる。その結果、受電装置5の受電効率を更に向上させることができる。
【0083】
図2~6に示す形態を有する無線受電システム1では、第1スパイラルコイル層52aを構成する線材53及び第2スパイラルコイル層52bを構成する線材53は、連続する1本の線材53で構成されている。かかる構成によれば、複数の線材53を連結して受電コイル51を形成する場合に比べて送電損失を低減させることができる。また、複数の線材53連結する必要がないので、受電コイル51の製造も容易となる。
【0084】
図2~6に示す形態を有する無線受電システム1では、受電コイル51は、絶縁材料からなる板状のケース本体55a(線材支持部)を備え、ケース本体55aに形成された渦巻き状溝55g、55hに沿って線材53が配置されている。かかる構成によれば、受電コイル51を構成する線材53を安定した状態で保持することができる。また、受電コイル51を構成する線材53間の距離を適切に確保することができるので、近接効果に起因する損失を低減することができる。その結果、受電装置5の受電効率を更に向上させることができる。
【0085】
図2~6に示す形態を有する無線受電システム1では、ケース本体55aの表面及び裏面にそれぞれ渦巻き状溝55g、55hが形成されており、表面に形成された渦巻き状溝55gと、裏面に形成された渦巻き状溝55hとが、ケース本体55aに形成された貫通孔55kによって連通している。かかる構成によれば、ケース本体55aの表面の渦巻き状溝55gと裏面の渦巻き状溝55hに沿って線材53を配置することで積層された複数のスパイラルコイル層52a、52bを容易に形成することができる。また、貫通孔55kに線材53を通すことで、ケース本体55aの表面側の第1スパイラルコイル層52aと、裏面側の第2スパイラルコイル層52bとを、容易に連続させることができる。
【0086】
図2~6に示す形態を有する移動体2は、車輪3と、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有し、受電コイル51の少なくとも一部が車輪3に収容された、受電装置5と、受電装置5と通電可能に接続された、車載装置6と、を備え、受電装置5は、受電した電力を車載装置6に送電可能であり、受電コイル51は、積層された複数のスパイラルコイル層52a、52bを有する。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、移動体2は、無線給電における受電効率を向上させることができる。また、受電コイル51が、積層された複数のスパイラルコイル層52a、52bを有することにより、同様の受電性能を有する単層構造の受電コイルに比べて、受電コイル51の軸方向から見たコイル面の面積を小さくすることができる。このため、受電コイル51の設置範囲の自由度が向上し、車輪3の広い範囲に収容可能となる。また、送電コイル41に近い位置に設置し易くなるため、受電装置5の受電効率を更に向上させることができる。
【0087】
図2~6に示す形態を有する車輪3は、移動体2の車輪3であって、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有する受電装置5を備え、受電コイル51の少なくとも一部を内部に収容しており、受電コイル51は、積層された複数のスパイラルコイル層52a、52bを有する。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、車輪3は、無線給電における受電効率を向上させることができる。また、受電コイル51が、積層された複数のスパイラルコイル層52a、52bを有することにより、同様の受電性能を有する単層構造の受電コイルに比べて、受電コイル51の軸方向から見たコイル面の面積を小さくすることができる。このため、受電コイル51の設置範囲の自由度が向上し、車輪3の広い範囲に収容可能となる。また、送電コイル41に近い位置に設置し易くなるため、受電装置5の受電効率を更に向上させることができる。
【0088】
また、図7、8に示す形態を有する無線受電システム1は、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有し、受電コイル51の少なくとも一部が移動体2の車輪3に収容された、受電装置5と、車輪3に設置され、受電装置5が受電した電力により車輪3を駆動させる駆動装置61と、を備え、受電装置5は、受電コイル51に生じた交流電力を直流電力に変換するコンバータ56aと、コンバータ56aからの直流電力を交流電力に変換して駆動装置61に送電可能なインバータ56bとを備え、コンバータ56aの少なくとも一部及びインバータ56bの少なくとも一部は、車輪3に収容されており、コンバータ56aは、受電コイル51よりも鉛直方向上方に位置し、インバータ56bは、コンバータ56aよりも鉛直方向上方に位置する。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、無線受電システム1は、無線給電における受電効率を向上させることができる。
【0089】
また、図7、8に示す形態を有する無線受電システム1によれば、コンバータ56aが受電コイル51よりも鉛直方向上方に位置し、インバータ56bがコンバータ56aよりも鉛直方向上方に位置することにより、受電コイル51を送電コイル41に近接して配置し易く、且つ、送電コイル41から受電コイル51への給電がインバータ56b及びコンバータ56aによって阻害され難くなる。よって、受電効率を高めることができる。また、受電コイル51とコンバータ56aとを近接して配置し易いため、受電コイル51からコンバータ56aに送電する際の送電損失を低減することができる。また、受電コイル51からコンバータ56a及びインバータ56bを介して駆動装置61に達するまでの送電経路を短くし易い。そのため、送電損失を低減することができ、また、車輪3内の空間を有効に活用し易くなる。
【0090】
図7、8に示す形態を有する無線受電システム1では、コンバータ56a及びインバータ56bが、車輪3に同軸配置される円環状の基板56c上に設けられている。かかる構成によれば、コンバータ56a及びインバータ56bを車輪3の軸部の周囲に効率よく設置することができ、車輪3内の空間を有効に活用することができる。
【0091】
図7、8に示す形態を有する無線受電システム1では、駆動装置61は、車輪3と同軸配置されるダイレクトドライブモータ63である。かかる構成によれば、ダイレクトドライブモータ63の回転力を、間接的機構(ギアボックスなど)を介さずに直接、車輪3に伝達することができるので、動力の損失を低減して効率的に車輪3を駆動することができる。
【0092】
図7、8に示す形態を有する無線受電システム1では、受電装置5は、受電コイル51を収容するコイルケース55を有し、コイルケース55は、コンバータ56aを収容するケース56dと一体、またはケース56dに連結されている。かかる構成によれば、受電コイル51とコンバータ56aとの位置関係が安定し易くなる。また、コイルケース55とコンバータ56aを収容するケース56dとを一体化することで受電装置5を小型化し易い。
【0093】
図7、8に示す形態を有する移動体2は、車輪3と、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有し、受電コイル51の少なくとも一部が車輪3に収容された、受電装置5と、車輪3に設置され、受電装置5が受電した電力により車輪3を駆動させる駆動装置61と、を備え、受電装置5は、受電コイル51に生じた交流電力を直流電力に変換するコンバータ56aと、コンバータ56aからの直流電力を交流電力に変換して駆動装置61に送電可能なインバータ56bとを備え、コンバータ56aの少なくとも一部及びインバータ56bの少なくとも一部は、車輪3に収容されており、コンバータ56aは、受電コイル51よりも鉛直方向上方に位置し、インバータ56bは、コンバータ56aよりも鉛直方向上方に位置する。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、無線受電システム1は、無線給電における受電効率を向上させることができる。また、コンバータ56aが受電コイル51よりも鉛直方向上方に位置し、インバータ56bがコンバータ56aよりも鉛直方向上方に位置することにより、受電コイル51を送電コイル41に近接して配置し易く、且つ、送電コイル41から受電コイル51への給電がインバータ56b及びコンバータ56aによって阻害され難くなる。よって、受電効率を高めることができる。また、受電コイル51とコンバータ56aとを近接して配置し易いため、受電コイル51からコンバータ56aに送電する際の送電損失を低減することができる。また、受電コイル51からコンバータ56a及びインバータ56bを介して駆動装置61に達するまでの送電経路を短くし易い。そのため、送電損失を低減することができ、また、車輪3内の空間を有効に活用し易くなる。
【0094】
図7、8に示す形態を有する車輪3は、移動体2の車輪3であって、路面に設置された送電装置4の送電コイル41から無線により供給される電力を受電する受電コイル51を有する受電装置5と、受電装置5が受電した電力により車輪3を駆動させる駆動装置61と、を備え、受電装置5は、受電コイル51に生じた交流電力を直流電力に変換するコンバータ56aと、コンバータ56aからの直流電力を交流電力に変換して駆動装置61に送電可能なインバータ56bとを備え、車輪3はコンバータ56aの少なくとも一部及びインバータ56bの少なくとも一部を内部に収容しており、コンバータ56aは、受電コイル51よりも鉛直方向上方に位置し、インバータ56bは、コンバータ56aよりも鉛直方向上方に位置する。かかる構成によれば、路面と直接接触する車輪3に、受電コイル51の少なくとも一部が収容されることで、路面に設けられた送電コイル41と受電コイル51との間の空間に障害物が入り込むおそれを低減させることができる。このため、無線受電システム1は、無線給電における受電効率を向上させることができる。また、コンバータ56aが受電コイル51よりも鉛直方向上方に位置し、インバータ56bがコンバータ56aよりも鉛直方向上方に位置することにより、受電コイル51を送電コイル41に近接して配置し易く、且つ、送電コイル41から受電コイル51への給電がインバータ56b及びコンバータ56aによって阻害され難くなる。よって、受電効率を高めることができる。また、受電コイル51とコンバータ56aとを近接して配置し易いため、受電コイル51からコンバータ56aに送電する際の送電損失を低減することができる。また、受電コイル51からコンバータ56a及びインバータ56bを介して駆動装置61に達するまでの送電経路を短くし易い。そのため、送電損失を低減することができ、また、車輪3内の空間を有効に活用し易くなる。
【0095】
本発明を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本発明に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態又は各実施例に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態又は他の実施例に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0096】
例えば、上述した実施形態において、制御装置7の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、受電装置5又は車載装置6の機能又は処理として実現されてもよい。例えば、実施形態に係る制御装置7の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、受電装置5又は車載装置6が備えるメモリ等に記憶させ、受電装置5又は車載装置6のプロセッサ等によって当該プログラムを読み出して実行させてもよい。
【0097】
また例えば、上述した実施形態において、受電コイル51のコイル面は、車輪3の接地面と略平行となるように配置されているものとして説明したが、この限りではない。受電コイル51のコイル面は、車輪3の接地面と0度から90度の任意の角度で配置されていてもよい。受電コイル51のコイル面と車輪3の接地面との角度は、受電装置5の用途、及び受電すべき電力量等に応じて、任意に定められてもよい。
【0098】
また例えば、上述した実施形態において、タイヤ31は、空気を充填されるものとして説明したが、この限りではない。例えば、タイヤ31には、窒素等の気体を充填することができる。また、例えば、タイヤ31には、気体に代えて又は加えて、液体、ゲル状物質、又は粉粒体等を含む、任意の流体を充填することができる。
【符号の説明】
【0099】
1:無線受電システム、 2:移動体、 21:ハブ、 22:シャフト、 3:車輪、 31:タイヤ、 311:ビード部、 312:サイドウォール部、 313:トレッド部、 32:ホイール、 321:リム部、 322:ディスク部、 4:送電装置、 41:送電コイル、 5:受電装置、 51:受電コイル、 52a:第1スパイラルコイル層 52b:第2スパイラルコイル層 56a:コンバータ 56b:インバータ 6:車載装置、 61:駆動装置、 62:蓄電装置、 7:制御装置、 71:制御部、 72:記憶部、 73:通信部、 74:出力部、 75:入力部
図1
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