(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】レーザー加工装置および保護ウィンドウ確認方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20231027BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20231027BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
B23K26/00 Q
B23K26/00 M
B23K26/364
H01L21/78 B
(21)【出願番号】P 2019166609
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】九鬼 潤一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優作
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-029474(JP,A)
【文献】特開2010-240674(JP,A)
【文献】特開2019-042756(JP,A)
【文献】特開2015-208775(JP,A)
【文献】特開2017-220480(JP,A)
【文献】特開昭63-016891(JP,A)
【文献】特開2016-010809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/364
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された被加工物に対して吸収性を有する波長のレーザービームを照射して被加工物を加工するレーザービーム照射ユニットと、
を有するレーザー加工装置であって、
該レーザービーム照射ユニットは、
レーザー発振器と、
該レーザー発振器が発振したレーザービームを該チャックテーブルに保持された被加工物に集光させる集光レンズと、
該レーザー発振器から発振されたレーザービームを反射して該集光レンズに導く反射面を備えた光学素子と、
該集光レンズを汚れから保護する保護ウィンドウと、を備え、
該保護ウィンドウに光を照射
し、該光を該集光レンズの外縁に向けて放射状に拡散する点光源と、
該点光源から該保護ウィンドウに照射された光を撮像する撮像ユニットと、
該点光源から該保護ウィンドウに照射され
て透過した光
の全体を投影する投影手段と、を有し、
該撮像ユニットは、該投影手段に投影された像を撮像し、
該撮像ユニットで撮像された画像に基づいて該保護ウィンドウの汚れを検出することが可能なレーザー加工装置。
【請求項2】
該点光源は、
該光学素子の反射面とは反対側から該光学素子を介して該保護ウィンドウに光を照射することを特徴とする、請求項
1に記載のレーザー加工装置。
【請求項3】
該点光源は、筐体と、該筐体内に設けられかつ該光を出射する光源ユニットと、ピンホールと、を備え、該光を該ピンホールから拡散して、該保護ウィンドウに照射する請求項1又は請求項2に記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
レーザー発振器と、
該レーザー発振器が発振したレーザービームを被加工物に集光させる集光レンズと、
該レーザー発振器から発振されたレーザービームを反射して該集光レンズに導く反射面を備えた光学素子と、
該集光レンズを汚れから保護する保護ウィンドウと、を含むレーザービーム照射ユニットを備えたレーザー加工装置において、
該保護ウィンドウの汚れを確認する保護ウィンドウ確認方法であって、
一点から拡散する点光源を準備する点光源準備ステップと、
該点光源から該保護ウィンドウに対して光を照射する照射ステップと、
該保護ウィンドウに照射され
て透過した光
の全体を投影手段に投影する投影ステップと、を含み、
該投影ステップで投影手段に投影された像から該保護ウィンドウの汚れを確認することを特徴とする、保護ウィンドウ確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工装置および保護ウィンドウ確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー加工装置において、被加工物にレーザービームを照射して加工を施すとデブリと呼ばれる微細な粉塵が発生することが知られている。
【0003】
このために、デブリがデバイス表面に堆積するとデバイスの品質を低下させるため、被加工物表面に保護膜を塗布してからレーザービームを照射し、保護膜上に堆積したデブリを保護膜ごと洗浄して除去する加工方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、装置内に浮遊したデブリが集光レンズ等の光学部品に付着して加工不良を起こさないよう、ブロー機構を用いて光学部品を保護するレーザー加工装置も存在する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-188475号公報
【文献】特開2013-184188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、デブリの光学部品への付着を完全に無くすのは困難であり、特許文献2等に示された加工装置は、定期的に保護ウィンドウの清掃を行う必要がある。現状、ウィンドウの清掃は、加工装置を停止させてウィンドウを取り外し、目視で確認して必要があれば清掃する、という手順で行っており、清掃が必要でない場合にもダウンタイムが発生してしまうという課題があった。
【0007】
本願発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、保護ウィンドウの汚れを保護ウィンドウを取り外すことなく装置上で監視することが可能なレーザー加工装置および保護ウィンドウ確認方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のレーザー加工装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に対して吸収性を有する波長のレーザービームを照射して被加工物を加工するレーザービーム照射ユニットと、を有するレーザー加工装置であって、該レーザービーム照射ユニットは、レーザー発振器と、該レーザー発振器が発振したレーザービームを該チャックテーブルに保持された被加工物に集光させる集光レンズと、該レーザー発振器から発振されたレーザービームを反射して該集光レンズに導く反射面を備えた光学素子と、該集光レンズを汚れから保護する保護ウィンドウと、を備え、該保護ウィンドウに光を照射し、該光を該集光レンズの外縁に向けて放射状に拡散する点光源と、該点光源から該保護ウィンドウに照射された光を撮像する撮像ユニットと、該点光源から該保護ウィンドウに照射されて透過した光の全体を投影する投影手段と、を有し、該撮像ユニットは、該投影手段に投影された像を撮像し、該撮像ユニットで撮像された画像に基づいて該保護ウィンドウの汚れを検出することが可能なことを特徴とする。
【0010】
前記レーザー加工装置において、該点光源は、該光学素子の反射面とは反対側から該光学素子を介して該保護ウィンドウに光を照射しても良い。
前記レーザー加工装置において、該点光源は、筐体と、該筐体内に設けられかつ該光を出射する光源ユニットと、ピンホールと、を備え、該光を該ピンホールから拡散して、該保護ウィンドウに照射しても良い。
【0011】
本発明の保護ウィンドウ確認方法は、レーザー発振器と、該レーザー発振器が発振したレーザービームを被加工物に集光させる集光レンズと、該レーザー発振器から発振されたレーザービームを反射して該集光レンズに導く反射面を備えた光学素子と、該集光レンズを汚れから保護する保護ウィンドウと、を含むレーザービーム照射ユニットを備えたレーザー加工装置において、該保護ウィンドウの汚れを確認する保護ウィンドウ確認方法であって、一点から拡散する点光源を準備する点光源準備ステップと、該点光源から該保護ウィンドウに対して光を照射する照射ステップと、該保護ウィンドウに照射されて透過した光の全体を投影手段に投影する投影ステップと、を含み、該投影ステップで投影手段に投影された像から該保護ウィンドウの汚れを確認することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、保護ウィンドウの汚れを保護ウィンドウを取り外すことなく装置上で監視することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るレーザー加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたレーザー加工装置のレーザービーム照射ユニットの構成を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る保護ウィンドウ確認方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3に示された保護ウィンドウ確認方法の投影ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係るレーザー加工装置の保護ウィンドウ確認方法の投影ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るレーザー加工装置及び保護ウィンドウ確認方法を図面に基づいて説明する。
【0016】
実施形態1に係る
図1に示すレーザー加工装置1は、被加工物200に対してパルス状のレーザービーム21を照射し、被加工物200をレーザー加工する装置である。
【0017】
(被加工物)
図1に示されたレーザー加工装置1の加工対象である被加工物200は、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素などの基板201を有する円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。被加工物200は、
図1に示すように、基板201の表面202に格子状に設定された分割予定ライン203と、分割予定ライン203によって区画された領域に形成されたデバイス204と、を有している。デバイス204は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。
【0018】
実施形態1において、被加工物200は、被加工物200の外径よりも大径な円板状でかつ外縁部に環状フレーム210が貼着された粘着テープ211が表面202の裏側の裏面205に貼着されて、環状フレーム210の開口内に支持される。実施形態1において、被加工物200は、分割予定ライン203に沿って個々のデバイス204に分割される。
【0019】
(レーザー加工装置)
レーザー加工装置1は、
図1に示すように、被加工物200を保持面11で保持するチャックテーブル10と、レーザービーム照射ユニット20と、移動ユニット30と、撮像ユニット40と、制御ユニット100とを有する。
【0020】
チャックテーブル10は、被加工物200を保持面11で保持する。保持面11は、ポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。チャックテーブル10は、保持面11上に載置された被加工物200を吸引保持する。実施形態1では、保持面11は、水平方向と平行な平面である。チャックテーブル10の周囲には、被加工物200を開口内に支持する環状フレーム210を挟持するクランプ部12が複数配置されている。また、チャックテーブル10は、回転ユニット13によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転される。なお、Z軸方向は、保持面11に対して直交し、鉛直方向と平行な方向である。回転ユニット13及びチャックテーブル10は、移動ユニット30のX軸移動ユニット31により水平方向と平行なX軸方向に移動されるとともに、Y軸移動ユニット32により水平方向と平行でかつX軸方向と直交するY軸方向に移動される。
【0021】
レーザービーム照射ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物200に対して、被加工物200が吸収性を有する波長のパルス状のレーザービーム21を照射して、被加工物200をアブレーション加工するユニットである。実施形態1では、レーザービーム照射ユニット20の一部は、
図1に示すように、装置本体2から立設した立設壁3に設けられた移動ユニット30のZ軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動される昇降部材4に支持されている。
【0022】
レーザービーム照射ユニット20は、
図2に示すように、被加工物200を加工するためのレーザービーム21(
図2に一点鎖線で示す)を発振するレーザー発振器22と、レーザー発振器22が発振したレーザービーム21をチャックテーブル10の保持面11に保持した被加工物200に集光させる集光レンズ24と、レーザー発振器22から発振されたレーザービーム21を反射して、集光レンズ24に導く反射面25を備えた光学素子であるミラー23と、ミラー23及び集光レンズ24を収容する筐体26と、保護ウィンドウ27とを備える。
【0023】
ミラー23は、レーザー発振器22から出射されたレーザービーム21を被加工物200を加工する加工点へと伝搬する光学素子であり、集光レンズ24は、レーザー発振器22から出射されたレーザービーム21を被加工物200を加工する加工点に集光する光学素子である。なお、
図2には、ミラー23が一つのみ示されているが、本発明では、レーザービーム照射ユニット20は、ミラー23を複数備えても良い。
【0024】
筐体26は、遮光性を有する材料で構成され、チャックテーブル10の保持面11に対面する位置に開口28が設けられている。
【0025】
保護ウィンドウ27は、集光レンズを汚れから保護するものであり、板状に形成されている。保護ウィンドウ27は、開口28を塞ぐ状態で筐体26に取り付けられている。保護ウィンドウ27は、チャックテーブル10の保持面11に保持された被加工物200と対面し、レーザー発振器22が発振して集光レンズ24が集光するレーザービーム21を透過する。保護ウィンドウ27は、レーザービーム21を被加工物200に照射してアブレーション加工を施す際に生じるデブリが集光レンズ24に付着することを抑制するものである。前述した構成の保護ウィンドウ27は、外表面にデブリが付着して、汚れることがある。
【0026】
移動ユニット30は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射ユニット20とをX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に相対的に移動させるものである。なお、X軸方向及びY軸方向は、保持面11と平行な方向である。移動ユニット30は、チャックテーブル10をX軸方向に移動させる加工送り手段であるX軸移動ユニット31と、チャックテーブル10をY軸方向に移動させる割り出し送り手段であるY軸移動ユニット32と、レーザービーム照射ユニット20をZ軸方向に移動させるZ軸移動ユニット33とを備える。
【0027】
実施形態1では、Y軸移動ユニット32は、レーザー加工装置1の装置本体2上に設置されている。Y軸移動ユニット32は、X軸移動ユニット31を支持した移動プレート14をY軸方向に移動自在に支持している。X軸移動ユニット31は、移動プレート14上に設置されている。X軸移動ユニット31は、チャックテーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転ユニット13を支持した第2移動プレート15をX軸方向に移動自在に支持している。Z軸移動ユニット33は、立設壁3に設置され、昇降部材4をZ軸方向に移動自在に支持している。
【0028】
X軸移動ユニット31、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のパルスモータ、移動プレート14,15をX軸方向又はY軸方向に移動自在に支持するとともに、昇降部材4をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0029】
また、レーザー加工装置1は、チャックテーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、チャックテーブル10のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、レーザービーム照射ユニット20のZ軸方向の位置を検出するZ軸方向位置検出ユニットとを備える。各位置検出ユニットは、検出結果を制御ユニット100に出力する。
【0030】
撮像ユニット40は、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮像するものである。撮像ユニット40は、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮像するCCD(Charge Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子等の撮像素子を備える。実施形態1では、撮像ユニット40は、レーザービーム照射ユニット20の筐体26の先端に取り付けられて、集光レンズ24とX軸方向に並ぶ位置に配置されている。撮像ユニット40は、被加工物200を撮像して、被加工物200とレーザービーム照射ユニット20との位置合わせを行うアライメントを遂行するための画像を得て、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0031】
制御ユニット100は、レーザー加工装置1の上述した構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作をレーザー加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、レーザー加工装置1を制御するための制御信号を入出力インターフェース装置を介してレーザー加工装置1の上述した構成要素に出力して、制御ユニット100の機能を実現する。
【0032】
また、レーザー加工装置1は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット101と、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる図示しない入力ユニットとを備える。表示ユニット101、及び入力ユニットは、制御ユニット100に接続している。入力ユニットは、表示ユニット101に設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。表示ユニット101は、表示面102に表示される情報や画像が入力ユニット等からの操作により切り換えられる。
【0033】
また、レーザー加工装置1は、
図2に示す点光源50と、
図1に示す第2撮像ユニット60とを有する。
【0034】
点光源50は、保護ウィンドウ27に光51(
図2に点線で示す)を照射するものである。実施形態1では、点光源50は、レーザービーム照射ユニット20の
図2に示すミラー23の上方に配置されて、ミラー23の反射面25の反対側からミラー23を介して保護ウィンドウ27に光51を照射する。
【0035】
点光源50は、筐体52と、筐体52内に設けられかつ光51を出射する光源ユニット53と、ピンホール55と、を備える。点光源50は、光源ユニット53が出射した光51をピンホール55を通して保護ウィンドウ27に照射するとともに、光51をピンホール55から保護ウィンドウ27の集光レンズ24の外縁に向けて放射状に拡散する。実施形態1は、点光源50は、照射する光51をピンホール55から拡散して、光51を保護ウィンドウ27の全面に照射する。
【0036】
また、実施形態1では、ピンホール55は、直径が200μm以上でかつ400μm以下である。ピンホール55の直径が200μm以上でかつ400μm以下である理由は、直径が200μm未満であると保護ウィンドウ27の全面に照射される光の光量が不足し、400μmを超えると点光源50が面光源化して明瞭な陰影を得ることが困難となるからである。
【0037】
第2撮像ユニット60は、点光源50から保護ウィンドウ27に照射された光51を撮像するものである。実施形態1において、第2撮像ユニット60は、チャックテーブル10の保持面11上を撮像することで、保護ウィンドウ27を介してチャックテーブル10の保持面11上に投影された光51を撮像する。実施形態1では、第2撮像ユニット60は、撮像ユニット40に取り付けられて、撮像ユニット40とX軸方向に並ぶ位置に配置されて、チャックテーブル10の保持面11上を斜め上方から撮像する。なお、本発明では、第2撮像ユニット60の配置位置、撮像方向は、実施形態1に示されたものに限定されない。なお、第2撮像ユニット60は、特許請求の範囲に記載された撮像ユニットに相当する。
【0038】
第2撮像ユニット60は、チャックテーブル10の保持面11上を撮像するCCD(Charge Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子等の撮像素子を備える。第2撮像ユニット60は、撮像して得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0039】
前述したレーザー加工装置1は、オペレータが加工内容情報を制御ユニット100に登録し、粘着テープ211を介してチャックテーブル10の保持面11に被加工物200を載置し、制御ユニット100が入力ユニットからオペレータの加工動作開始指示を受け付けると、登録された加工内容情報に基づいて加工動作を開始する。
【0040】
加工動作では、レーザー加工装置1は、被加工物200を粘着テープ211を介して、チャックテーブル10の保持面11に吸引保持し、クランプ部12で環状フレーム210をクランプする。次に、移動ユニット30がチャックテーブル10を撮像ユニット40の下方に向かって移動して、撮像ユニット40が被加工物200を撮影する。レーザー加工装置1は、撮像ユニット40が撮像して得た画像に基づいて、アライメントを遂行する。
【0041】
レーザー加工装置1は、加工内容情報に基づいて、移動ユニット30により、レーザービーム照射ユニット20と被加工物200とを分割予定ライン203に沿って相対的に移動させて、レーザービーム照射ユニット20からパルス状のレーザービーム21を分割予定ライン203に照射する。実施形態1では、レーザー加工装置1は、レーザービーム21を照射して、分割予定ライン203にアブレーション加工を施して、被加工物200を個々のデバイス204に分割、又は各分割予定ライン203にレーザー加工溝を形成する。レーザー加工装置1は、全ての分割予定ライン203に沿ってレーザー加工すると、レーザービーム21の照射を停止して、加工動作を終了する。
【0042】
レーザー加工装置1は、立ち上げた時、エラーが生じた時、所望の加工結果が得られない時、又は所定枚数の被加工物200を加工した毎等において、実施形態1に係る保護ウィンドウ確認方法が実施される。
【0043】
(保護ウィンドウ確認方法)
実施形態1に係る保護ウィンドウ確認方法は、保護ウィンドウ27の汚れを確認する方法である。保護ウィンドウ確認方法は、
図3に示すように、点光源準備ステップST1と、照射ステップST2と、投影ステップST3とを含む。
【0044】
(点光源準備ステップ)
点光源準備ステップST1は、前述した点光源50を準備するステップである。実施形態1において、点光源準備ステップST1では、レーザー発振器22からのレーザービーム21の発振を停止し、点光源50の光源ユニット53の光51の出射を準備して、照射ステップST2に進む。
【0045】
(照射ステップ)
照射ステップST2は、点光源50から保護ウィンドウ27の全面に対して光51を照射するステップである。実施形態1において、照射ステップST2では、点光源50の光源ユニット53から光51を出射して、投影ステップST3に進む。なお、光51は、保護ウィンドウ27の全面に照射される。
【0046】
(投影ステップ)
投影ステップST3は、保護ウィンドウ27に照射された光51を
図4に示す投影手段70に投影するステップである。実施形態1において、投影ステップST3では、オペレータがチャックテーブル10の保持面11上に投影手段70を載置する。投影手段70は、保護ウィンドウ27に照射されて透過した光51の全体が投影可能な大きさを有している。実施形態1では、投影手段70は、蛍光紙であるが、本発明では、例えば、紙又はスクリーン等の蛍光紙以外のものでも良い。
【0047】
実施形態1において、投影ステップST3では、オペレータの入力ユニットからの操作を受け付けるなどして、レーザー加工装置1が移動ユニット30を制御してチャックテーブル10をレーザービーム照射ユニット20の保護ウィンドウ27の下方に位置付ける。すると、
図4に示すように、保護ウィンドウ27を透過した光51は、投影手段70に照射され、保護ウィンドウ27を透過した光51で構成される像が投影手段70に投影されることとなる。
【0048】
なお、投影手段70に投影された像は、保護ウィンドウ27を透過する際に光51がデブリにより遮られるので、デブリが付着した箇所を投影した部分の光量が低くなる。投影ステップST3では、レーザー加工装置1の第2撮像ユニット60が、保持面11上に載置された投影手段70に投影された像を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット100に出力する。実施形態1において、投影ステップST3では、制御ユニット100が、第2撮像ユニット60が投影手段70に投影された像を撮像して得た画像を表示ユニット101に表示し、オペレータが表示ユニット101に表示された画像を確認することで、保護ウィンドウ27の汚れを把握して、終了する。
【0049】
保護ウィンドウ27が汚れている場合には、オペレータが保護ウィンドウ27を取り外して清掃する。このように、投影ステップST3では、投影手段70に投影された像から保護ウィンドウ27の汚れを確認するとともに、レーザー加工装置1は、第2撮像ユニット60で撮像された画像に基づいて保護ウィンドウ27の汚れを検出することが可能となる。
【0050】
以上説明したように、実施形態1に係るレーザー加工装置1及び保護ウィンドウ確認方法は、点光源50から拡散する光51を保護ウィンドウ27を透過させて、第2撮像ユニット60で撮像するので、第2撮像ユニット60が撮像して得た画像を確認することで、保護ウィンドウ27の汚れを把握することができる。その結果、レーザー加工装置1及び保護ウィンドウ確認方法は、保護ウィンドウ27の汚れを保護ウィンドウ27を取り外すことなく装置上で監視することが可能となるという効果を奏する。また、保護ウィンドウ27の汚れを保護ウィンドウ27を取り外すことなく装置で確認することができるため、レーザー加工装置1自体のダウンタイムを最小限にすることが可能となり、生産性の向上に貢献する。
【0051】
また、レーザー加工装置1は、第2撮像ユニット60が点光源50から拡散し保護ウィンドウ27を透過して光51が投影手段70に投影された像を撮像することで、よりはっきりと保護ウィンドウ27の汚れを把握することができる。
【0052】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るレーザー加工装置及び保護ウィンドウ確認方法を図面に基づいて説明する。
図5は、実施形態2に係るレーザー加工装置の保護ウィンドウ確認方法の投影ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。なお、
図5は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
実施形態2に係るレーザー加工装置1-2は、
図5に示すように、投影ユニット80を備える。投影ユニット80は、チャックテーブル10の外周面に取り付けられる筐体81と、筐体81内に設置される投影手段70及び第2撮像ユニット60を有する。投影手段70は、点光源50から保護ウィンドウ27に投射されて保護ウィンドウ27を透過した光51が投影される。投影手段70は、チャックテーブル10の外周方向に向かうにしたがって徐々に下方に向かうように鉛直方向と水平方向との双方と交差している。第2撮像ユニット60は、投影手段70の光51が投影される表面を撮像可能な位置に配置されて、投影手段70に投影された像を撮像する。
【0054】
実施形態2に係る保護ウィンドウ確認方法は、投影ステップST3において、オペレータの入力ユニットからの操作を受け付けるなどして、レーザー加工装置1が移動ユニット30を制御して投影ユニット80の投影手段70をレーザービーム照射ユニット20の保護ウィンドウ27の下方に位置付ける。すると、
図5に示すように、保護ウィンドウ27を透過した光51は、投影手段70に照射され、保護ウィンドウ27を透過した光51で構成される像が投影手段70に投影されることとなる。投影ステップST3では、実施形態1と同様に、レーザー加工装置1の第2撮像ユニット60が、保持面11上に載置された投影手段70に投影された像を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0055】
実施形態2に係るレーザー加工装置1-2及び保護ウィンドウ確認方法は、点光源50から拡散する光51を保護ウィンドウ27を透過させて、第2撮像ユニット60で撮像するので、第2撮像ユニット60が撮像して得た画像を確認することで、保護ウィンドウ27の汚れを把握することができる。その結果、レーザー加工装置1-2及び保護ウィンドウ確認方法は、実施形態1と同様に、保護ウィンドウ27の汚れを保護ウィンドウ27を取り外すことなく装置上で監視することが可能となるという効果を奏するとともに、レーザー加工装置1-2自体のダウンタイムを最小限にすることが可能となり、生産性の向上に貢献する。
【0056】
また、実施形態2に係るレーザー加工装置1-2は、筐体81内に投影手段70を設置した投影ユニット80を備えるので、投影手段70をチャックテーブル10の保持面11に載置する手間が不要となる。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本発明では、点光源50を任意の位置に設置したり、光源ユニット53からの光51を光ファイバで伝送して、任意の位置から光51を保護ウィンドウ27に照射しても良い。また、本発明では、保護ウィンドウ27を透過した光51を投影手段70に投影せずに、保護ウィンドウ27を透過した光51を直接第2撮像ユニット60で撮像しても良い。また、本発明では、制御ユニット100が、第2撮像ユニット60で撮像された画像に周知の画像処理を施して、保護ウィンドウ27が汚れているか否かを判定し、判定結果を表示ユニット101に表示しても良い。
【符号の説明】
【0058】
1,1-2 レーザー加工装置
10 チャックテーブル
20 レーザービーム照射ユニット
21 レーザービーム
22 レーザー発振器
23 ミラー(光学素子)
24 集光レンズ
25 反射面
27 保護ウィンドウ
50 点光源
60 第2撮像ユニット(撮像ユニット)
70 投影手段
200 被加工物
ST1 点光源準備ステップ
ST2 照射ステップ
ST3 投影ステップ