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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】収容カセット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20231027BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20231027BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H01L21/68 V
B65D25/20 V
B65D85/30 500
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019170582
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021048309
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 勉
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-33247(JP,U)
【文献】特開2012-231045(JP,A)
【文献】特開平11-154700(JP,A)
【文献】特開2006-93274(JP,A)
【文献】実開平6-2699(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 25/20
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被加工物を支持する複数のガイドレールを本体の内側に備え、被加工物が通過する開口と、該開口の反対側の背面側とを有する収容カセットであって、
載置台に載置された際に、該開口が斜め上向きに傾いた状態を維持する傾斜支持部を備え、
該傾斜支持部は、
該載置台に接する支持部材と、
該支持部材を該本体に回転自在に連結する位置付け機構と、
を含み、
該位置付け機構は、
該開口が斜め上向きに傾いた姿勢では、自重により垂下することで該本体から突出して該載置台に接する作用位置に該支持部材を位置付け
該開口における該被加工物の出し入れ方向が水平方向である姿勢では、自重により垂下することで該載置台から退避した退避位置に該支持部材を位置付ける、
容カセット。
【請求項2】
該傾斜支持部は、該背面側の下側を支点にして、該開口のある前面側に重心がある状態を維持する
請求項1に記載の収容カセット。
【請求項3】
該傾斜支持部は、該背面側の下側を支点にして、該背面側に重心がある状態を維持する
請求項1に記載の収容カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造工程において、集積回路毎にウエーハ等の被加工物を切断分離するダイシング工程、またはレーザー加工工程等では、被加工物が粘着テープを介して環状フレームに固定され、搬送用の収容カセットに収容されて各加工装置に搬送される。被加工物の搬送は、半導体ウエーハ、光デバイスウエーハ、樹脂基板等のパッケージ基板、セラミックス基板等の各種板状の被加工物に対しても同様に行われる。収容カセットは、一般に、環状フレームの外縁を保持する複数の溝等からなる棚と棚との間に、棚の一端側に設けられた挿入口から被加工物を固定した環状フレームが挿入されることで、複数枚の被加工物を収容できる(例えば、特許文献1参照)。被加工物を研削する研削工程または集積回路を製造する工程等、環状フレームに固定されず被加工物単体で収容カセットに収容され、搬送、加工される場合、被加工物は、複数枚の被加工物を各々の棚に収容できる収容カセットによって搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-080989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製造工程中に、オペレータが収容カセットから1枚または適宜の被加工物を取り出して、被加工物の状態を確認することがよくある。環状フレームに固定された被加工物を取り出す際に、収容カセットの挿入口が横向きの状態であると取り出しにくく、挿入口を真上に向けると収容カセット内の環状フレーム同士が揺れて隣接する被加工物や粘着テープに接触してしまう恐れがある。そのため、オペレータは、収容カセットを斜め上向きにして、被加工物が棚に載置されかつ隣接する被加工物に接触しない状態を維持しながら、目的の被加工物を取り出す必要がある。しかしながら、複数枚の被加工物を収容する収容カセット全体の重量は重いので、収容カセットを斜め上向きに維持しながら被加工物を取り出すことは、オペレータに重労働を強いることになる。また、特に直径300mmのウエーハを収容する収容カセット等、収容カセット全体の重量が非常に重い場合、誤って収容カセットを落として、被加工物を破損させてしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、収容カセットの挿入口が斜め上向きとなる姿勢を維持することができる収容カセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の収容カセットは、板状の被加工物を支持する複数のガイドレールを本体の内側に備え、被加工物が通過する開口と、該開口の反対側の背面側とを有する収容カセットであって、載置台に載置された際に、該開口が斜め上向きに傾いた状態を維持する傾斜支持部を備え、該傾斜支持部は、該載置台に接する支持部材と、該支持部材を該本体に回転自在に連結する位置付け機構と、を含み、該位置付け機構は、該開口が斜め上向きに傾いた姿勢では、自重により垂下することで該本体から突出して該載置台に接する作用位置に該支持部材を位置付け該開口における該被加工物の出し入れ方向が水平方向である姿勢では、自重により垂下することで該載置台から退避した退避位置に該支持部材を位置付けることを特徴とする。
【0007】
該傾斜支持部は、該背面側の下側を支点にして、該開口のある前面側に重心がある状態を維持してもよい。
【0008】
該傾斜支持部は、該背面側の下側を支点にして、該背面側に重心がある状態を維持してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、収容カセットの挿入口が斜め上向きとなる姿勢を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る収容カセットを設置するレーザー加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る収容カセットの構成例を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示された収容カセットの一状態を示す側面図である。
図4図4は、図2に示された収容カセットの別の一状態を示す側面図である。
図5図5は、図2に示された収容カセットのさらに別の一状態を示す側面図である。
図6図6は、変形例に係る収容カセットの一状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
実施形態に係る収容カセット10について、図面に基づいて説明する。まず、収容カセット10に収容される被加工物100、および収容カセット10が載置される加工装置の一例としてのレーザー加工装置200の構成について説明する。図1は、実施形態に係る収容カセット10を設置するレーザー加工装置200の構成例を示す斜視図である。以下の説明において、X軸方向は、水平面における一方向である。Y軸方向は、水平面において、X軸方向に直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向およびY軸方向に直交する方向である。
【0013】
実施形態に係る収容カセット10は、図1に示すように、板状の被加工物100を複数枚収容して、半導体製造工程で用いられる各種の加工装置間で搬送するためのものである。被加工物100は、実施形態において、ウエーハ101、環状フレーム102および粘着テープ103を含むフレームユニットである。
【0014】
ウエーハ101は、各種の加工装置により加工される加工対象である。ウエーハ101は、シリコン(Si)、サファイア(Al)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板とする円板状の半導体ウエーハまたは光デバイスウエーハ等のウエーハである。ウエーハ101は、基板の表面に形成される複数の分割予定ラインと、格子状に交差する複数の分割予定ラインによって区画された各領域に形成されるデバイスとを有する。環状フレーム102は、ウエーハ101の外形より大きな開口を有する。粘着テープ103は、外周が環状フレーム102の裏面に貼着される。ウエーハ101は、環状フレーム102の開口の所定位置に位置決めされ、裏面が粘着テープ103に貼着されることによって、環状フレーム102の開口内に保持される。被加工物100は、ウエーハ101が環状フレーム102の開口に保持された状態で収容カセット10に複数枚収容される。
【0015】
なお、本発明では、被加工物100は、ウエーハ101の代わりに、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミック基板、ガラス板等を含んでもよい。また、本発明の収容カセット10は、ウエーハ101等を環状フレーム102で支持した被加工物100を収容することなく、被加工物100として、ウエーハ101やパッケージ基板等を直接収容してもよい。
【0016】
収容カセット10は、各種の加工装置間を搬送され、各種の加工装置に設置される。収容カセット10は、実施形態において、図1に示すように、レーザー加工装置200の載置台270に載置される。加工装置の一例としてのレーザー加工装置200は、チャックテーブル210と、レーザー光線照射ユニット220と、X軸方向移動ユニット230と、Y軸方向移動ユニット240と、撮像ユニット250と、洗浄ユニット260と、載置台270と、搬送ユニット280と、制御ユニット290と、を備える。
【0017】
チャックテーブル210は、被加工物100を保持面211で保持する。チャックテーブル210は、Z軸と平行な軸心回りに回転される。チャックテーブル210は、X軸方向移動プレート231を介して、X軸方向移動ユニット230によりX軸方向に移動される。チャックテーブル210は、Y軸方向移動プレート241を介して、Y軸方向移動ユニット240によりY軸方向に移動される。レーザー光線照射ユニット220は、チャックテーブル210に保持された被加工物100のウエーハ101に対してレーザービームを照射するユニットである。
【0018】
X軸方向移動ユニット230は、チャックテーブル210とレーザー光線照射ユニット220とを加工送り方向であるX軸方向に相対移動させるユニットである。Y軸方向移動ユニット240は、チャックテーブル210とレーザー光線照射ユニット220とを割り出し送り方向であるY軸方向に相対移動させるユニットである。レーザー加工装置1は、さらに、レーザー光線照射ユニット220の焦点位置を調整するために、チャックテーブル210とレーザー光線照射ユニット220とをZ軸方向に相対移動させるZ軸方向移動ユニットを含んでもよい。
【0019】
レーザー加工装置200は、チャックテーブル210とレーザー光線照射ユニット220とを相対的に移動させながら、レーザー光線照射ユニット220によりウエーハ101にレーザービームを照射することによって、ウエーハ101にレーザー加工を施す。レーザー加工装置200によるレーザー加工は、例えば、ステルスダイシングによってウエーハ101の内部に改質層を形成する改質層形成加工、ウエーハ101の表面に溝を形成する溝加工、または分割予定ラインに沿ってウエーハ101を切断する切断加工等である。
【0020】
撮像ユニット250は、チャックテーブル210に保持されたウエーハ101を撮像する。撮像ユニット250は、実施形態において、レーザー光線照射ユニット220とX軸方向に並列する位置に固定される。撮像ユニット250は、チャックテーブル210に保持されたウエーハ101を撮像するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを使ったカメラであり、赤外線カメラ等を含む。撮像ユニット250は、ウエーハ101を撮像して、ウエーハ101とレーザー光線照射ユニット220との位置合わせを行うアライメントを遂行するための画像を得て、得た画像を制御ユニット90に出力する。
【0021】
洗浄ユニット260は、レーザー光線照射ユニット220によりレーザー加工が施されたウエーハ101を洗浄するユニットである。洗浄ユニット260は、例えば、被加工物100を保持する保持部と、洗浄液を供給する洗浄液供給部と、保持部および洗浄液供給部を収容する洗浄室と、を有する。洗浄ユニット260は、洗浄後のウエーハ101を乾燥させるためにウエーハ101に対してエアを噴出させるエア供給部をさらに有してもよい。
【0022】
載置台270は、上面の載置面271に収容カセット10が載置される。載置面271は、Z軸方向に昇降自在である。載置台270は、載置面271に載置された収容カセット10をZ軸方向に移動させる。
【0023】
搬送ユニット280は、被加工物100を載置台270に載置された収容カセット10と、チャックテーブル210と、洗浄ユニット260との間で搬送するユニットである。搬送ユニット280は、X軸方向およびY軸方向に移動自在であるように、レーザー加工装置200の装置本体の天井を構成する壁等に設けられている。搬送ユニット280は、レーザー加工前の被加工物100を、載置台270に載置された収容カセット10から取り出してチャックテーブル210に載置させる。搬送ユニット280は、レーザー加工後の被加工物100を、チャックテーブル210から洗浄ユニット260に搬送する。搬送ユニット280は、洗浄ユニット260により洗浄した後の被加工物100を、載置台270に載置された収容カセット10内に収容する。
【0024】
制御ユニット290は、レーザー加工装置200の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、ウエーハ101に対する加工動作をレーザー加工装置200に実行させる。制御ユニット290は、演算手段としての演算処理装置と、記憶手段としての記憶装置と、通信手段としての入出力インターフェース装置と、を含むコンピュータである。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサを含む。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等のメモリを有する。演算処理装置は、記憶装置に格納された所定のプログラムに基づいて各種の演算を行う。演算処理装置は、演算結果に従って、入出力インターフェース装置を介して各種制御信号を上述した各構成要素に出力し、レーザー加工装置200の制御を行う。制御ユニット290は、例えば、加工動作の状態を表示する表示手段や、オペレータが加工内容情報等を登録する際に用いる操作手段等と接続する。
【0025】
次に、実施形態に係る収容カセット10の構成、および被加工物100の出し入れ動作について説明する。図2は、実施形態に係る収容カセット10の構成例を示す斜視図である。図3は、図2に示された収容カセット10の一状態を示す側面図である。図4は、図2に示された収容カセット10の別の一状態を示す側面図である。図5は、図2に示された収容カセット10のさらに別の一状態を示す側面図である。
【0026】
図2に示すように、収容カセット10は、本体20の内部に複数の被加工物100を上下方向に並列して収容する。本体20は、互いに対向する一対の側壁21と、連結部22と、開口23と、背面側24と、底面25と、複数対のガイドレール26と、を有する。
【0027】
一対の側壁21および連結部22は、平板状に形成されている。一対の側壁21は、収容カセット10がレーザー加工装置200の載置台270に載置された際に、X軸方向に対向する。一対の側壁21は、互いの間である本体20内に複数の被加工物100を収容する。一対の側壁21は、底面25が載置面271上に載置された状態で搬送ユニット280により被加工物100が出し入れされる。連結部22は、一対の側壁21の上端同士を連結する。連結部22の上面には、各種の加工装置のオペレータ等が掴んで収容カセット10を搬送するための持ち手部30が設けられる。
【0028】
開口23は、一対の側壁21の一方の端部であって、本体20の内外に連通する。収容カセット10は、開口23を被加工物100が通過することで、被加工物100を本体20内外に収容または排出する。背面側24は、一対の側壁21に対して開口23の反対側の端部側である。背面側24は、実施形態では開口しているが、本発明では閉塞していてもよい。
【0029】
複数対のガイドレール26は、一対の側壁21の内側に形成される。ガイドレール26は、一方の側壁21から他方の側壁21に向かって突出する板状に形成される。各々のガイドレール26は、収容カセット10がレーザー加工装置200の載置台270に載置された際にY軸方向と平行となる出し入れ方向27に沿って直線状に形成される。各々の側壁21に形成されるガイドレール26は、上下方向に所定の間隔をあけて配置される。各々対のガイドレール26は、上下方向の高さが互いに等しい。各々対のガイドレール26は、上面に被加工物100の縁部が載置されることにより被加工物100を支持する。収容カセット10は、各々対のガイドレール26が被加工物100を支持することによって、複数の被加工物100を本体20内に収容する。
【0030】
収容カセット10は、載置台270の載置面271に載置された際に、開口23が斜め上向きに傾いた状態を維持する傾斜支持部40をさらに有する。傾斜支持部40は、支持部材41と、位置付け機構42と、を含む。
【0031】
支持部材41は、本体20に対して左右方向に平行な軸心回りに搖動可能に各々の側壁21に取り付けられる。支持部材41は、位置付け機構42により長手方向の一端部411が側壁21に回転自在に連結される。支持部材41は、自重により長手方向の他端部412が一端部411よりも下方に位置する垂下した状態を維持する。支持部材41は、実施形態において、側壁21の外面およびガイドレール26の内側端部を互いの間に位置付ける互いに平行な一対の平行部材413、414と、一対の平行部材413、414の背面側24の端部同士を連結する連結部材415と備える。一対の平行部材413、414および連結部材415は、平面視がコ字形状に形成されている。支持部材41は、実施形態において、底面25が載置面271に載置されると、側壁21およびガイドレール26の背面側24の端部を囲む。支持部材41は、実施形態において、底面25が載置面271に載置されると、他端部412が載置台270から間隔をあけて退避する図3に示す退避位置に位置付けられる。支持部材41は、位置付け機構42により各々の側壁21の背面側24かつ上側の端部に取り付けられる。
【0032】
位置付け機構42は、実施形態において、ねじ43と、長穴44と、を含む。長穴44は、側壁21の一対の平行部材413、414のうち外側の一方の平行部材413に形成される。長穴44は、支持部材41の一方の平行部材413の一端部411に形成される。長穴44は、図3に示す退避位置に位置付けられると、一端部411から他端部412に向かうに従って徐々に背面側24に向かうように上下方向に対して傾斜している。
【0033】
ねじ43は、長穴44を通って本体20の側壁21に固定される。ねじ43の軸方向は、本体20に対して左右方向に平行な方向である。より詳しくは、ねじ43のねじ軸は、長穴44内を回転自在であり、支持部材41を回転自在に側壁21に連結する。これにより、支持部材41は、長穴44内を回転自在なねじ43のねじ軸により、ねじ軸回りに搖動可能に側壁21に支えられる。
【0034】
また、ねじ43は、長穴44内をスライド移動可能である。すなわち、支持部材41は、長穴44内をスライド移動可能なねじ43のねじ軸により、側壁21に対して長穴44の長手方向に平行な方向にスライド移動可能である。なお、収容カセット10が、図3に示す被加工物100の出し入れ方向27が水平方向である姿勢では、支持部材41が自重によりねじ43に対して最も下方に位置して前述した退避位置に位置するので、ねじ43は、長穴44の前端部に位置する。
【0035】
位置付け機構42は、支持部材41を作用位置と退避位置とに位置付ける。作用位置は、支持部材41が収容カセット10の本体20から突出して載置台270に接する図5に一例を示す位置である。退避位置は、支持部材41が載置台270から退避する図3に一例を示す位置である。
【0036】
収容カセット10が図3に示す被加工物100の出し入れ方向27が水平方向である姿勢では、支持部材41は、自重により垂下して、側面視において、収容カセット10の本体20と重なって他端部412の本体20からの突出量が最小限となる。この際、支持部材41の他端部412は、載置台270の載置面271から間隔をあけて退避する。すなわち、支持部材41は、位置付け機構42によって、載置台270から退避する退避位置に位置付けられている。
【0037】
収容カセット10が図3に示す被加工物100の出し入れ方向27が水平方向である姿勢から、オペレータによって背面側24の下側を支点50として後方に回転されると、図4に示すように、開口23が斜め上向きに傾いた姿勢になる。この際、支持部材41は、自重により他端部412が後方に向かうようにねじ43のねじ軸回りに揺動して垂下した姿勢を維持するので、側面視において、他端部412が収容カセット10の本体20から突出する。
【0038】
収容カセット10は、さらに、オペレータによって背面側24の下端を支点50として後方に回転されると、図5に示すように、支持部材41の他端部412が収容カセット10の本体20から突出して載置台270の載置面271に接する。これにより、収容カセット10は、支持部材41の他端部412よりも底面25側および開口23のある前面側に本体20の重心がある状態で、支点50と支持部材41とによって、開口23が斜め上向きに傾いた姿勢に維持される。この際、支持部材41の他端部412が載置台270の載置面271に載置されるので、ねじ43は収容カセット10の本体20の自重により、長穴44内を後端部に向かってスライド移動する。これにより、支持部材41は、位置付け機構42によって、他端部412が収容カセット10の本体20から突出して載置台270に接する作用位置に位置付けられ固定される。オペレータは、任意の被加工物100を、収容カセット10から出し入れ方向27に沿って、斜め上方向に取り出すことが可能である。
【0039】
以上説明したように、実施形態に係る収容カセット10は、載置台270に載置された際に、支持部材41を載置台270に接する作用位置に位置付けることによって、オペレータの作業を要せず開口23が斜め上向きに傾いた状態を維持する傾斜支持部40を備える。これにより、収容カセット10の開口23が斜め上向きに傾いた状態を維持したまま、オペレータによって被加工物100を斜め上方向に取り出すことができるので、オペレータの負担を減らしつつ被加工物100の取り出しを容易にできるという効果を奏する。また、傾斜支持部40は、シンプルな構成であるため、部品追加による収容カセット10の重量増加を抑制することができる。
【0040】
〔変形例〕
次に、本発明の変形例に係る収容カセット10-2について、図面に基づいて説明する。図6は、変形例に係る収容カセット10-2の一状態を示す側面図である。変形例の収容カセット10-2は、実施形態の収容カセット10に比べて、傾斜支持部40の代わりに、傾斜支持部40-2を備える点で異なる。
【0041】
傾斜支持部40-2は、収容カセット10-2が載置台270の載置面271に載置された際に、開口23が斜め上向きに傾いた状態を維持する。傾斜支持部40-2は、支持部材41-2と、位置付け機構42-2と、を含む。
【0042】
支持部材41-2は、本体20に対して左右方向に平行な軸心回りに搖動可能に、各々の側壁21に取り付けられる。支持部材41-2は、位置付け機構42により長手方向の一端部411が側壁21に回転自在に連結される。支持部材41は、自重により長手方向の他端部412が一端部411よりも下方に位置する垂下する。支持部材41-2は、変形例において、側壁21の外面に沿う板形状である。支持部材41-2は、位置付け機構42-2より各々の側壁21の開口23を有する前面側かつ下側の端部に取り付けられる。
【0043】
位置付け機構42-2は、変形例において、軸部材45と、ロック部材46と、を含む。軸部材45は、支持部材41-2の軸心に形成された穴を通って本体20の側壁21に固定される。軸部材45の軸方向は、本体20に対して左右方向に平行な方向である。より詳しくは、軸部材45のねじ軸は、支持部材41-2の軸心に形成された穴内を回転自在であり、支持部材41-2を回転自在に側壁21に連結する。これにより、支持部材41は、支持部材41-2の軸心に形成された穴内を回転自在なねじ43のねじ軸により、ねじ軸回りに搖動可能に側壁21に支えられる。
【0044】
ロック部材46は、支持部材41-2の搖動を制限または解放可能に側壁21に設けられる。ロック部材46は、変形例において、出し入れ方向27と平行な方向である開閉方向47にスライド移動可能である。ロック部材46は、変形例において、開口23側に位置する際に支持部材41-2が自重により回転して垂下することを阻害し、背面側24に位置する際に支持部材41-2が自重により回転して垂下することを許容する。
【0045】
収容カセット10-2は、被加工物100の出し入れ方向27が水平方向である姿勢から、オペレータによって背面側24の下側を支点50として後方に回転されると、図6に示すように、開口23が斜め上向きに傾いた姿勢になる。この際、オペレータによってロック部材46を開閉方向47に沿って背面側24にスライド移動させると、支持部材41-2は、図6の矢印48に示す方向に搖動して自重により垂下する。オペレータによって支持部材41-2の下端が載置台270の載置面271に接するように調整すると、収容カセット10-2は、支持部材41の他端部412よりも背面側24に本体20の重心がある状態で、支点50と支持部材41-2とによって、開口23が斜め上向きに傾いた姿勢に維持される。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、実施形態の傾斜支持部40は、自重を利用して自動で回転させて支持部材41を作用位置に位置付けたが、本発明では、手動で作用位置に位置付けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10、10-2 収容カセット
20 本体
23 開口(前面側)
24 背面側
25 底面
26 ガイドレール
40、40-2 傾斜支持部
41、41-2 支持部材
411 一端部
412 他端部
413、414 平行部材
415 連結部材
42、42-2 位置付け機構
50 支点
100 被加工物
101 ウエーハ
200 レーザー加工装置
270 載置台
271 載置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6