(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】ガス供給システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231027BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231027BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
C23C16/44 Z
(21)【出願番号】P 2019199623
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤地 淳
(72)【発明者】
【氏名】網倉 紀彦
【審査官】川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110215(JP,A)
【文献】特開2007-048926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間接続点を有し、処理ガス供給源と基板処理容器との間に接続される第1ガス供給管と、
パージガス供給源と前記中間接続点との間に接続される第2ガス供給管と、
前記第1ガス供給管の前記中間接続点の上流に設けられた
、空気作動式バルブである第1バルブと、
前記第1ガス供給管の前記第1バルブの上流に設けられた
、空気作動式バルブである第2バルブと、
前記処理ガス供給源から前記基板処理容器に処理ガスを供給する第1モードにおいて、前記第1バルブ及び前記第2バルブを開き、前記パージガス供給源から前記基板処理容器にパージガスを供給する第2モードにおいて、前記第1バルブ及び前記第2バルブを閉じるように前記第1バルブ及び前記第2バルブを制御する制御部と、
分岐点を有し、空気供給源と前記第1バルブとの間に接続される第1空気供給管と、
前記分岐点と前記第2バルブとの間に接続される第2空気供給管と、
前記第1空気供給管の前記分岐点の上流に設けられた電磁バルブと
を有
し、
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記電磁バルブを開き、前記第2モードにおいて前記電磁バルブを閉じるように前記電磁バルブを制御する、ガス供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記第1バルブ及び前記第2バルブを同時に開き、前記第2モードにおいて前記第1バルブ及び前記第2バルブを同時に閉じるように前記第1バルブ及び前記第2バルブを制御する、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項3】
前記第2空気供給管に設けられ、前記空気供給源から前記第2バルブへの空気の供給を遮断可能な遮断バルブをさらに有する、請求項
1に記載のガス供給システム。
【請求項4】
前記遮断バルブは、空気作動式バルブである、請求項
3に記載のガス供給システム。
【請求項5】
前記遮断バルブに接続された第3空気供給
管と、
前記第3空気供給
管に配置された手動バルブとをさらに有する、請求項
4に記載のガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス供給システム、基板処理装置及びガス供給システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板処理に用いられる処理ガスが通流する配管にパージガス導入管を接続し、配管に通流させるガスを処理ガスからパージガスへ切り替える際に配管の上流側に設けられたバルブを開状態から閉状態へ切り替えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、配管の上流側へのパージガスの逆流を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるガス供給システムは、基板処理に用いられる処理ガスが通流する配管と、前記配管に接続され、前記配管へパージガスを導入するパージガス導入管と、前記配管の、前記パージガス導入管との接続点よりも上流側に設けられた第1バルブと、前記配管の、前記第1バルブよりも上流側に設けられた第2バルブと、前記配管に前記処理ガスを通流させる場合、前記第1バルブ及び前記第2バルブを開状態に維持し、前記配管を通流するガスを前記処理ガスから前記パージガスへ切り替える場合、前記第1バルブ及び前記第2バルブを開状態から閉状態へ切り替える制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、配管の上流側へのパージガスの逆流を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置の断面の一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るガス供給システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態のガスの切り替えを説明する図である。
【
図4】
図4は、実施形態のガスの切り替えを説明する図である。
【
図5】
図5は、実施形態のリークチェックの一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態のリークチェックの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
ところで、基板処理装置では、配管に通流させるガスを処理ガスからパージガスへ切り替える際に、配管の上流側に設けられたバルブにリークが発生することがある。配管の上流側に設けられたバルブにリークが発生している状況下でパージガス導入管から配管へのパージガスの導入が開始されると、導入されるパージガスがバルブを通過して配管の上流側へ逆流する。配管の上流側へのパージガスの逆流は、処理ガスに対するパージガスの混入が発生する要因となり、好ましくない。このため、配管の上流側へのパージガスの逆流を抑制することが期待されている。
【0010】
[基板処理装置の構成]
実施形態に係る基板処理装置の構成について説明する。基板処理装置は、ウエハ等の基板に対して所定の基板処理を行う装置である。本実施形態では、基板処理装置を、基板としてウエハWに対してプラズマエッチング等の処理を行うプラズマ処理装置10とした場合を例に説明する。
図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置の断面の一例を概略的に示す図である。
図1に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型平行平板のプラズマエッチング装置である。プラズマ処理装置10は、略円筒状の処理容器12を備えている。
【0011】
処理容器12内には、載置台16が設けられている。載置台16は、支持部材18および基台20を含んでいる。支持部材18の上面は、プラズマ処理の対象となる被処理体が載置される載置面とされている。本実施形態では、被処理体として、プラズマエッチングの対象となるウエハWが支持部材18の上面に載置される。基台20は、略円盤形状を有しており、その主部において、例えばアルミニウムといった導電性の金属から構成されている。基台20は、下部電極を構成している。基台20は、支持部14によって支持されている。支持部14は、処理容器12の底部から延びる円筒状の部材である。
【0012】
基台20には、整合器MU1を介して第1の高周波電源HFSが電気的に接続されている。第1の高周波電源HFSは、プラズマ生成用の高周波電力を発生する電源であり、27~100MHzの周波数、一例においては40MHzの高周波電力を発生する。整合器MU1は、第1の高周波電源HFSの出力インピーダンスと負荷側(基台20側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
【0013】
また、基台20には、整合器MU2を介して第2の高周波電源LFSが電気的に接続されている。第2の高周波電源LFSは、ウエハWにイオンを引き込むための高周波電力(高周波バイアス電力)を発生して、当該高周波バイアス電力を基台20に供給する。高周波バイアス電力の周波数は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数であり、一例においては3MHzである。整合器MU2は、第2の高周波電源LFSの出力インピーダンスと負荷側(基台20側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
【0014】
基台20上には、支持部材18が設けられている。支持部材18は、例えば、静電チャックである。支持部材18は、クーロン力等の静電力によりウエハWを吸着し、当該ウエハWを保持する。支持部材18は、セラミック製の本体部内に静電吸着用の電極E1を有している。電極E1には、スイッチSW1を介して直流電源22が電気的に接続されている。なお、支持部材18は、ウエハWの温度に制御するため、ヒーターが設けられてもよい。
【0015】
基台20の上面の上、且つ、支持部材18の周囲には、フォーカスリングFRが設けられている。フォーカスリングFRは、プラズマ処理の均一性を向上させるために設けられている。フォーカスリングFRは、実行すべきプラズマ処理に応じて適宜選択される材料から構成されており、例えば、シリコン、又は石英から構成され得る。
【0016】
基台20の内部には、冷媒流路24が形成されている。冷媒流路24には、処理容器12の外部に設けられたチラーユニットから配管26aを介して冷媒が供給される。冷媒流路24に供給された冷媒は、配管26bを介してチラーユニットに戻るようになっている。
【0017】
処理容器12内には、ウエハWに向けてガスを噴出するシャワーヘッドを兼ねる上部電極30が設けられている。上部電極30は、載置台16の上方において、基台20と対向配置されており、基台20と上部電極30とは、互いに略平行に設けられている。上部電極30と下部電極LEとの間は、ウエハWにプラズマ処理を行うためのプラズマが生成される処理空間Sである。
【0018】
上部電極30は、絶縁性遮蔽部材32を介して、処理容器12の上部に支持されている。上部電極30は、電極板34および電極支持体36を含み得る。電極板34は、処理空間Sに面している。電極板34には、複数のガス吐出孔34aが設けられている。
【0019】
電極支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から構成され、電極板34を着脱自在に支持する。電極支持体36は、水冷構造を有していてもよい。電極支持体36の内部には、円板状の空間からなるガス拡散室37が設けられている。ガス拡散室37からは、それぞれガス吐出孔34aに連通する複数のガス通流孔36bが下方にそれぞれ延びている。
【0020】
プラズマ処理装置10には、プラズマ処理に用いる各種のガスを供給するガス供給源40が設けられている。また、電極支持体36には、ガス供給源40から供給されるガスをガス拡散室37に供給するガス供給システム110が接続されている。ガス供給システム110の詳細は、後述する。
【0021】
ガス拡散室37に供給されたガスは、ガス通流孔36bおよびガス吐出孔34aを介して処理空間Sに吐出される。プラズマ処理装置10は、ガス供給源40およびガス供給システム110を制御することにより、ガス拡散室37のガス吐出孔34aから処理空間Sに吐出される処理ガスの流量を個別に制御可能とされている。
【0022】
処理容器12の底部側においては、支持部14と処理容器12の内壁との間に排気プレート48が設けられている。排気プレート48は、例えば、アルミニウム材にY2O3等のセラミックスを被覆することにより構成されている。処理容器12は、排気プレート48の下方に排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、処理容器12内を所望の真空度まで減圧することができる。また、処理容器12は、側壁にウエハWの搬入出口12gが設けられている。搬入出口12gは、ゲートバルブ54により開閉可能となっている。
【0023】
上記のように構成されたプラズマ処理装置10は、制御部100によって、動作が統括的に制御される。制御部100は、例えば、コンピュータであり、プラズマ処理装置10の各部を制御する。プラズマ処理装置10は、制御部100によって、動作が統括的に制御される。
【0024】
制御部100は、CPUを備え、プラズマ処理装置10の各部を制御するプロセスコントローラ101と、ユーザインターフェース102と、記憶部103とを有する。
【0025】
ユーザインターフェース102は、工程管理者がプラズマ処理装置10を管理するためにコマンドの入力操作を行うキーボードや、プラズマ処理装置10の稼動状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成されている。
【0026】
記憶部103には、プラズマ処理装置10で実行される各種処理をプロセスコントローラ101の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記憶されたレシピが格納されている。そして、プロセスコントローラ101が、ユーザインターフェース102からの指示等に応じて、任意のレシピを記憶部103から呼び出して実行することで、プロセスコントローラ101の制御下で、プラズマ処理装置10での所望の処理が行われる。例えば、プロセスコントローラ101は、後述するガス供給システム110の制御方法を実行するようにプラズマ処理装置10の各部を制御する。なお、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータで読み取り可能なコンピュータ記録媒体(例えば、ハードディスク、CD、フレキシブルディスク、半導体メモリ等)などに格納された状態のものを利用してもよい。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用してもよい。
【0027】
次に、実施形態に係るガス供給システム110の構成について説明する。
図2は、実施形態に係るガス供給システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0028】
ガス供給源40は、プラズマエッチングなどのプラズマ処理に用いる複数種類のガスソースを備えたガスソース群を有している。ガス供給源40は、ガスソース群の複数のガスソースそれぞれに不図示のバルブや流量制御器などを備えており、プラズマ処理に応じて、1又は複数種類のガスを混合した処理ガスを供給する。
【0029】
ガス供給システム110は、ガス供給源40から供給される処理ガスをガス拡散室37に供給する。
【0030】
ガス供給源40には、ガス拡散室37に対して供給される処理ガスが通流する配管としてガス供給管111が接続されている。ガス供給源40は、1又は複数種類のガスを混合した処理ガスをガス供給管111に供給する。例えば、処理ガスは、CF系ガス、SiCl4、BCl4、SO2又はこれらを混合したガスである。ガス供給管111は、ガス拡散室37に接続されている。
【0031】
ガス供給管111は、ガス拡散室37に至る途中に、ガス拡散室37に対して供給される処理ガスの流量を調整可能な流量制御器112が設けられている。ガス供給管111に供給された処理ガスは、流量制御器112によって流量が調整された後、ガス拡散室37に到達する。
【0032】
また、ガス供給管111は、流量制御器112よりも上流側に、パージガス導入管121が接続されている。パージガス導入管121は、不図示のパージガス供給源に接続され、パージガス供給源から供給されるパージガスをガス供給管111へ導入する。例えば、パージガス導入管121は、パージガスとして、N2等の不活性ガスをガス供給管111へ導入する。ガス供給管111へパージガスが導入されることにより、ガス供給管111内や流量制御器112内に残留する処理ガスがパージされる。パージガス導入管121は、パージガス導入管121の開閉状態を切り替えるバルブ122が設けられている。
【0033】
ガス供給管111は、パージガス導入管121が接続される接続点111aよりも上流側に、バルブ131が設けられている。また、ガス供給管111は、バルブ131よりも上流側に、バルブ132が設けられている。バルブ131及びバルブ132は、空気により閉状態から開状態に切り替わる空気作動式バルブである。バルブ131には、空気供給管131aを介して電磁バルブ141が接続されている。バルブ132には、空気供給管131aから分岐する分岐管132aが接続されている。電磁バルブ141は、不図示の空気供給源に接続され、空気供給管131aを介してバルブ131に空気を供給するとともに、分岐管132aを介して空気供給管131aを流れる空気をバルブ132に供給する。
【0034】
分岐管132aは、供給許容状態と遮断状態とに選択的に切り替え可能な状態切替バルブ142が設けられている。状態切替バルブ142は、供給許容状態において、電磁バルブ141から分岐管132aを介したバルブ132への空気の供給を許容する。一方、状態切替バルブ142は、遮断状態において、電磁バルブ141から分岐管132aを介したバルブ132への空気の供給を遮断する。状態切替バルブ142が遮断状態に切り替えられてバルブ132への空気の供給が遮断されることにより、バルブ132は、常に閉状態となる。状態切替バルブ142は、空気を供給可能であり、手動により開閉状態が切り替え可能な手動バルブ143に接続され、手動バルブ143から空気が供給されることにより遮断状態から供給許容状態へ切り替わる。また、状態切替バルブ142は、手動バルブ143からの空気の供給が停止されることにより供給許容状態から遮断状態へ切り替わる。状態切替バルブ142は、基本的には供給許容状態に維持されるが、バルブ132のリークチェックが行われる場合に供給許容状態から遮断状態へ切り替えられる。
【0035】
また、ガス供給管111は、流量制御器112よりも下流側に、ガス供給管111の開閉状態を切り替えるバルブ133が設けられている。バルブ133は、プラズマ処理装置10の稼働中において常に開状態に維持される。
【0036】
ところで、プラズマ処理装置10では、ガス供給管111に通流させるガスを処理ガスからパージガスへ切り替える際に、ガス供給管111の、パージガス導入管121の接続点111aよりも上流側に設けられたバルブ131を開状態から閉状態へ切り替える。このとき、バルブ131にリークが発生することがある。バルブ131にリークが発生している状況下でパージガス導入管121からガス供給管111へのパージガスの導入が開始されると、導入されるパージガスがバルブ131を通過してガス供給管111の上流側へ逆流する可能性がある。ガス供給管111の上流側へのパージガスの逆流は、処理ガスに対するパージガスの混入が発生する要因となり、好ましくない。
【0037】
そこで、プラズマ処理装置10は、ガス供給管111の、バルブ131よりも上流側にバルブ132を設け、ガス供給管111を通流するガスを処理ガスからパージガスへ切り替える際に、バルブ131及びバルブ132の両方を開状態から閉状態へ切り替える。
【0038】
図3及び
図4は、実施形態のガスの切り替えを説明する図である。
図3は、ガス供給管111に処理ガスを通流させる場合を示している。
図4は、ガス供給管111にパージガスを通流させる場合を示している。ガス供給管111に処理ガスを通流させる場合、制御部100は、
図3に示すように、バルブ131及びバルブ132を開状態に維持する。具体的には、制御部100は、パージガス導入管121に設けられたバルブ122を閉状態に維持した状態で、電磁バルブ141から空気を供給することによりバルブ131及びバルブ132を開状態に維持する。これにより、ガス供給管111を通流する処理ガスがガス拡散室37に供給される。
【0039】
ガス供給管111を通流するガスを処理ガスからパージガスへ切り替える場合、制御部100は、
図4に示すように、バルブ131及びバルブ132を開状態から閉状態へ切り替える。具体的には、制御部100は、電磁バルブ141からの空気の供給を停止することによりバルブ131及びバルブ132を開状態から閉状態へ切り替える。そして、制御部100は、バルブ131及びバルブ132を開状態から閉状態へ切り替えた後に、パージガス導入管121に設けられたバルブ122を閉状態から開状態へ切り替える制御を行う。これにより、パージガス導入管121からガス供給管111へパージガスが導入される。
【0040】
このように、プラズマ処理装置10は、ガス供給管111を通流するガスを処理ガスからパージガスへ切り替える際に、バルブ131及びバルブ132の両方を開状態から閉状態へ切り替えることで、ガス供給管111の上流側を二重のバルブにより遮断できる。これにより、ガス供給管111の上流側へのパージガスの逆流を抑制できる。
【0041】
ところで、ガス供給管111を通流するガスを処理ガスからパージガスへ切り替える際に、バルブ131及びバルブ132の両方にリークが発生すると、ガス供給管111の上流側へのパージガスの逆流が発生してしまう可能性がある。そこで、バルブ131及びバルブ132のリークチェックを個別に行うことが好ましい。バルブ131及びバルブ132のリークチェックについて説明する。
【0042】
図5及び
図6は、実施形態のリークチェックの一例を説明する図である。
図5は、バルブ131のリークチェックを行う場合を示している。
図6は、バルブ132のリークチェックを行う場合を示している。
【0043】
バルブ131のリークチェックを行う場合、まず、制御部100は、バルブ131及びバルブ132を所定期間だけ開状態に維持した後、
図5に示すように、バルブ131及びバルブ132を開状態から閉状態へ切り替える。具体的には、制御部100は、電磁バルブ141から空気を供給することによりバルブ131及びバルブ132を所定期間だけ開状態に維持した後、電磁バルブ141からの空気の供給を停止することによりバルブ131及びバルブ132を開状態から閉状態へ切り替える。これにより、ガス供給管111のうち、バルブ131とバルブ132との間の部分に処理ガスが閉じ込められる。バルブ131とバルブ132との間の部分に処理ガスが閉じ込められた状態で、制御部100は、排気装置50による真空引きを行い、不図示の圧力計による処理容器12内の圧力の測定結果を参照し、バルブ131のリークチェックを行う。
【0044】
バルブ131のリークチェックが終了すると、
図6に示すように、状態切替バルブ142が供給許容状態から遮断状態へ切り替えられ、バルブ132のリークテストが開始される。バルブ132のリークチェックを行う場合、まず、制御部100は、バルブ131を閉状態から開状態へ切り替える。具体的には、制御部100は、電磁バルブ141から空気を供給することによりバルブ131を閉状態から開状態へ切り替える。ここで、状態切替バルブ142が遮断状態へ切り替えられているため、電磁バルブ141から分岐管132aを介したバルブ132への空気の供給が遮断される。バルブ132への空気の供給が遮断されることにより、バルブ132は、常に閉状態となり、バルブ131のみが閉状態から開状態へ切り替わる。これにより、ガス供給管111のうち、バルブ131とバルブ132との間の部分に閉じ込められていた処理ガスがバルブ131の下流側へ解放される。その後、制御部100は、排気装置50による真空引きを行い、不図示の圧力計による処理容器12内の圧力の測定結果を参照し、バルブ132のリークチェックを行う。
【0045】
プラズマ処理装置10では、状態切替バルブ142を用いてバルブ132への空気の供給を遮断することで、バルブ132とは独立にバルブ131の開閉状態を切り替えることができ、バルブ131及びバルブ132のリークチェックを個別に行うことができる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係るガス供給システム110は、ガス供給管111と、パージガス導入管121と、バルブ131と、バルブ132と、制御部100と、を有する。ガス供給管111は、基板処理に用いられる処理ガスが通流する。パージガス導入管121は、ガス供給管111に接続され、ガス供給管111へパージガスを導入する。バルブ131は、ガス供給管111の、パージガス導入管121との接続点111aよりも上流側に設けられている。バルブ132は、ガス供給管111の、バルブ131よりも上流側に設けられている。制御部100は、ガス供給管111に処理ガスを通流させる場合、バルブ131及びバルブ132を開状態に維持する。また、制御部100は、ガス供給管111を通流するガスを処理ガスからパージガスへ切り替える場合、バルブ131及びバルブ132を開状態から閉状態へ切り替える。これにより、ガス供給システム110は、ガス供給管111の上流側へのパージガスの逆流を抑制することができる。
【0047】
また、ガス供給システム110において、バルブ131及びバルブ132は、供給される空気により閉状態から開状態へ切り替わる空気作動式バルブである。また、ガス供給システム110は、空気供給管131aを介してバルブ131に空気を供給するとともに、空気供給管131aから分岐する分岐管132aを介して空気供給管131aを流れる空気をバルブ132に供給する電磁バルブ141をさらに有する。そして、制御部100は、ガス供給管111に処理ガスを通流させる場合、電磁バルブ141から空気を供給することによりバルブ131及びバルブ132を開状態に維持する。また、制御部100は、ガス供給管111を通流するガスを処理ガスからパージガスへ切り替える場合、電磁バルブ141からの空気の供給を停止することによりバルブ131及びバルブ132を開状態から閉状態へ切り替える。これにより、ガス供給システム110は、ガス供給管111の上流側を二重の空気作動式バルブにより遮断できるので、ガス供給管111の上流側へのパージガスの逆流を抑制することができる。
【0048】
また、ガス供給システム110は、分岐管132aに設けられ、供給許容状態と遮断状態とに選択的に切り替え可能である状態切替バルブ142をさらに有する。状態切替バルブ142は、供給許容状態において、電磁バルブ141から分岐管132aを介した132バルブへの空気の供給を許容し、遮断状態において、電磁バルブ141から分岐管132aを介したバルブ132への空気の供給を遮断する。これにより、ガス供給システム110は、バルブ132とは独立にバルブ131の開閉状態を切り替えることができ、バルブ131及びバルブ132のリークチェックを個別に行うことができる。
【0049】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 プラズマ処理装置
100 制御部
101 プロセスコントローラ
102 ユーザインターフェース
103 記憶部
110 ガス供給システム
111 ガス供給管
121 パージガス導入管
131、132 バルブ
131a 空気供給管
132a 分岐管
141 電磁バルブ
142 状態切替バルブ
143 手動バルブ