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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】エッジコンピュータ
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20231027BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20231027BHJP
   F04B 51/00 20060101ALI20231027BHJP
   F04D 15/00 20060101ALI20231027BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
F04B49/06 311
F04B49/06 321B
F04B49/10 311
F04B51/00
F04D15/00 D
F04D15/00 Z
G05B23/02 T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020021693
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021127710
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】田村 拡海
(72)【発明者】
【氏名】駒井 正和
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝志
(72)【発明者】
【氏名】畑林 希美
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-210873(JP,A)
【文献】特開2018-084854(JP,A)
【文献】特開2018-155243(JP,A)
【文献】特開2017-097666(JP,A)
【文献】特開2009-052532(JP,A)
【文献】特開2019-049230(JP,A)
【文献】国際公開第2019/234826(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/00-51/00
F04D 15/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ装置の状態を監視するエッジコンピュータであって、
前記ポンプ装置の制御盤、ドライバもしくはコントローラ、ポンプ装置の構成要素及びセンサのうちの少なくとも一つと通信する通信部と、
前記通信部が受信したデータを予め定められた評価ルールに適用して、ポンプ装置の構成要素の異常の推定、及び/または前記ポンプ装置の診断結果の生成、及び/または当該診断結果に応じた前記ポンプの制御を実行するプロセッサと、
を備え、
ポンプ装置を識別するポンプ装置識別情報と、当該ポンプ装置の状態を表す物理量である状態値データが関連付けられて記憶されているストレージを備え、
前記プロセッサは、前記通信部がユーザ端末から状態値のデータ要求を受信した場合、他のエッジコンピュータに状態値データを要求し、当該要求に応じて前記他のエッジコンピュータが送信した状態値データを受信し、受信した状態値データと前記ストレージに保存されている状態値データとを含む状態値データを前記ユーザ端末へ送信する
エッジコンピュータ
【請求項2】
ポンプ装置の状態を監視するエッジコンピュータであって、
前記ポンプ装置の制御盤、ドライバもしくはコントローラ、ポンプ装置の構成要素及びセンサのうちの少なくとも一つと通信する通信部と、
前記通信部が受信したデータを予め定められた評価ルールに適用して、ポンプ装置の構成要素の異常の推定、及び/または前記ポンプ装置の診断結果の生成、及び/または当該診断結果に応じた前記ポンプの制御を実行するプロセッサと、
を備え、
ポンプ装置を識別するポンプ装置識別情報と、当該ポンプ装置の状態を表す物理量である状態値データが関連付けられて記憶されているストレージを備え、
前記プロセッサは、他のエッジコンピュータから、当該他のエッジコンピュータが通信可能なポンプ装置のポンプ装置識別情報を受信した場合、前記ストレージを参照して、当該ポンプ装置識別情報と重複しないポンプ装置識別情報に関連付けられて前記ストレージに蓄積されている状態値データを前記他のエッジコンピュータへ送信する
エッジコンピュータ
【請求項3】
ポンプ装置の状態を監視するエッジコンピュータであって、
前記ポンプ装置の制御盤、ドライバもしくはコントローラ、ポンプ装置の構成要素及びセンサのうちの少なくとも一つと通信する通信部と、
前記通信部が受信したデータを予め定められた評価ルールに適用して、ポンプ装置の構成要素の異常の推定、及び/または前記ポンプ装置の診断結果の生成、及び/または当該診断結果に応じた前記ポンプの制御を実行するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、他のエッジコンピュータに対して、当該他のエッジコンピュータのストレージに蓄積されている状態値データに関連付けられたポンプ装置識別情報を要求し、要求に応じて前記他のエッジコンピュータから送信されたポンプ装置識別情報を受信し、当該受信したポンプ装置識別情報のうち、自身の前記ストレージに蓄積されていないポンプ装置識別情報の状態値データを当該他のエッジコンピュータへ要求する
エッジコンピュータ
【請求項4】
ポンプ装置の状態を監視するエッジコンピュータであって、
前記ポンプ装置の制御盤、ドライバもしくはコントローラ、ポンプ装置の構成要素及びセンサのうちの少なくとも一つと通信する通信部と、
前記通信部が受信したデータを予め定められた評価ルールに適用して、ポンプ装置の構成要素の異常の推定、及び/または前記ポンプ装置の診断結果の生成、及び/または当該診断結果に応じた前記ポンプの制御を実行するプロセッサと、
を備え、
制御盤が設けられていない第1のポンプと、制御盤が設けられている第2のポンプが混在している場合、前記プロセッサは、吐出圧力または吐出流量が基準値より下がった場合、前記制御盤が設けられている第2のポンプの運転周波数を上げるよう指令する指令信号を、前記制御盤が設けられている前記第2のポンプの制御盤へ、前記通信部から送信させる
エッジコンピュータ
【請求項5】
ポンプ装置の状態を監視するエッジコンピュータであって、
前記ポンプ装置の制御盤、ドライバもしくはコントローラ、ポンプ装置の構成要素及びセンサのうちの少なくとも一つと通信する通信部と、
前記通信部が受信したデータを予め定められた評価ルールに適用して、ポンプ装置の構成要素の異常の推定、及び/または前記ポンプ装置の診断結果の生成、及び/または当該診断結果に応じた前記ポンプの制御を実行するプロセッサと、
を備え、
制御盤が設けられていない第1のポンプと、制御盤が設けられている第2のポンプが混在している場合であって、前記制御盤が設けられている第2のポンプの制御盤から応答がない場合、且つ前記制御盤が設けられている第2のポンプのインバータの出力電流もしくは吐出圧力が所定の範囲内の場合、前記制御盤が設けられていない第1のポンプを継続するよう指令する指令信号を、当該第1のポンプを駆動する電動機もしくは当該第2のポンプを駆動する第2の電動機を可変速制御するインバータへ前記通信部から送信させる
エッジコンピュータ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置の状態を監視するエッジシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給水ユニットは、センサで建物内の末端の圧力を検出し、建物内の末端の圧力に必要な圧力の水を安定して供給するようにポンプを運転制御する方法がある。その際に例えば特許文献1では、遠隔センサ間にて通信を行い、他の遠隔センサを介して、センサの検出結果を給水装置へ送信するマルチホップ機能を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-183696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポンプを設置している施設、あるいはポンプ設置施設が存在する地域において、稼働中のポンプの状態の情報を取得し、管理者に通知するという要求が増えている。上記の課題を解決する方法として、一つまたは複数のポンプやそれに設置されたセンサと中央の監視機器などでネットワークを構築し、中央の監視機器でデータの取得と各種計算を実施する機器またはシステムが考えられる。
【0005】
しかし、ポンプの設置場所が建物の地下室である場合や、ポンプ室の壁が厚い場合、中央の監視機器(例えばクラウド、集中管理システムまたはサーバ)がポンプ設置場所から遠いなど、ポンプ設置環境によっては、中央の監視機器までネットワークを直接構築できないことがある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、中央の監視機器までネットワークを直接構築できない場合であっても、一つまたは複数のポンプを監視または制御することを可能とするエッジシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るエッジシステムは、ポンプ装置の状態を監視するエッジシステムであって、前記ポンプ装置の制御盤、ドライバもしくはコントローラ、ポンプ装置の構成要素及びセンサのうちの少なくとも一つと通信する通信部と、前記通信部が受信したデータを予め定められた評価ルールに適用して、ポンプ装置の構成要素の異常の推定、及び/または前記ポンプ装置の診断結果の生成、及び/または当該診断結果に応じた前記ポンプの制御を実行するプロセッサと、を備える。
【0008】
この構成によれば、中央の監視機器までネットワークを直接構築できない場合であっても、エッジシステムが一つまたは複数のポンプを監視または制御することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係るエッジシステムは、第1の態様に係るエッジシステムであって、ポンプ装置を識別するポンプ装置識別情報と、当該ポンプ装置の状態を表す物理量である状態値データが関連付けられて記憶されているストレージを備え、前記プロセッサは、前記通信部がユーザ端末から状態値のデータ要求を受信した場合、他のエッジシステムに状態値データを要求し、当該要求に応じて前記他のエッジシステムが送信した状態値データを受信し、受信した状態値データと前記ストレージに保存されている状態値データとを含む状態値データを前記ユーザ端末へ送信する。
【0010】
この構成によれば、各エッジシステムが管理しているポンプ装置の状態値を、まとめてユーザ端末へ送信することができるので、ユーザ端末には、各エッジシステムが管理しているポンプ装置の状態値がまとめて表示される。これにより、ユーザは、ポンプ装置それぞれを容易に一括管理することができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係るエッジシステムは、第1または2の態様に係るエッジシステムであって、ポンプ装置を識別するポンプ装置識別情報と、当該ポンプ装置の状態を表す物理量である状態値データが関連付けられて記憶されているストレージを備え、前記プロセッサは、他のエッジシステムから、当該他のエッジシステムが通信可能なポンプ装置のポンプ装置識別情報を受信した場合、前記ストレージを参照して、当該ポンプ装置識別情報と重複しないポンプ装置識別情報に関連付けられて前記ストレージに蓄積されている状態値データを前記他のエッジシステムへ送信する。
【0012】
この構成によれば、エッジシステムは、蓄積されていないポンプ装置の状態値データを受信して蓄積することができる。
【0013】
本発明の第4の態様に係るエッジシステムは、第1から3のいずれかの態様に係るエッジシステムであって、前記エッジシステムの前記プロセッサは、他のエッジシステムに対して、当該他のエッジシステムのストレージに蓄積されている状態値データに関連付けられたポンプ装置識別情報を要求し、要求に応じて前記他のエッジシステムから送信されたポンプ装置識別情報を受信し、当該受信したポンプ装置識別情報のうち、自身の前記ストレージに蓄積されていないポンプ装置識別情報の状態値データを当該他のエッジシステムへ要求する。
【0014】
この構成によれば、エッジシステムは、蓄積されていないポンプ装置の状態値データを受信して蓄積することができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係るエッジシステムは、第1から4のいずれかの態様に係るエッジシステムであって、制御盤が設けられていない第1のポンプと、制御盤が設けられている第2のポンプが混在している場合、前記プロセッサは、吐出圧力または吐出流量が基準値より下がった場合、前記制御盤が設けられている第2のポンプの運転周波数を上げるよう指令する指令信号を、前記制御盤が設けられている前記第2のポンプの制御盤へ、前記通信部から送信させる。
【0016】
この構成によれば、吐出圧力または吐出流量が少なくなっても、第2のポンプの運転周波数を上げることで、吐出圧力または吐出流量を補うことができる。
【0017】
本発明の第6の態様に係るエッジシステムは、第1から5のいずれかの態様に係るエッジシステムであって、制御盤が設けられていない第1のポンプと、制御盤が設けられている第2のポンプが混在している場合であって、前記制御盤が設けられている第2のポンプの制御盤から応答がない場合、且つ前記制御盤が設けられている第2のポンプのインバータの出力電流もしくは吐出圧力が所定の範囲内の場合、前記制御盤が設けられていない第1のポンプを継続するよう指令する指令信号を、当該第1のポンプを駆動する電動機もしくは当該第2のポンプを駆動する第2の電動機を可変速制御するインバータへ前記通信部から送信させる。
【0018】
この構成によれば、第2のポンプの制御盤が通信不能になった場合において、第2のポンプのインバータの出力電流もしくは吐出圧力が所定の範囲内である場合、第2のポンプ自体は正常に動作しているものとみなして、第1のポンプの運転も継続させる。これにより、送水を正常に継続しつつ、この間に、第2のポンプの制御盤の通信部を点検して修理をすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、中央の監視機器までネットワークを直接構築できない場合であっても、エッジシステムが一つまたは複数のポンプを監視または制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
図2】各実施形態に係るポンプ装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図3】各実施形態に係るエッジコンピュータの構成の一例を示す概略構成図である。
図4】エッジコンピュータ1-1のストレージに記憶されているセンサマスタテーブルの一例である。
図5】エッジコンピュータ1-1のストレージに記憶されている状態値データテーブルの一例である。
図6】エッジコンピュータ1-2のストレージに記憶されているセンサマスタテーブルの一例である。
図7】エッジコンピュータ1-2のストレージに記憶されている状態値データテーブルの一例である。
図8】エッジコンピュータ1-3のストレージに記憶されているセンサマスタテーブルの一例である。
図9】エッジコンピュータ1-3のストレージに記憶されている状態値データテーブルの一例である。
図10】第2の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
図11】第3の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
図12】第4の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0022】
各実施形態に係る情報処理システムでは、エッジコンピュータを、ポンプに搭載したセンサや通信機能を有した制御装置(例えば制御盤)またはポンプ装置とネットワークを構築できる場所に設置し、各センサと通信をする。あるいはエッジコンピュータは、直接接続されたセンサや通信機能を有した制御装置、ポンプ装置から信号を検出する。これにより、各測定値、データ、制御状態などの情報を収集する。
【0023】
また、検出した複数個、複数種のデータを解析することで現在のポンプの状態をより詳細に判断することができる。例えば、エッジコンピュータは、エッジコンピュータに接続した電流センサと圧力センサ、あるいは流量センサの変化量を比較することで、ポンプの状態を判断する。エッジコンピュータは例えば、電流が大きくなるものの、圧力及び流量が著しく減少した場合、ポンプ羽根車やモータの固着などの異常と判断できる。
【0024】
また、クラウドやサーバに接続できる環境であれば、エッジコンピュータは、エッジコンピュータで収集したデータを送信することもでき、エッジコンピュータで解析した結果とさらにクラウドやサーバでより詳細に解析した結果をユーザは確認することもできる。クラウドやサーバの有無にかかわらず、エッジコンピュータは、インバータなどの制御機能を搭載したポンプ装置に制御信号を送信することもできる。
【0025】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。図1に示すように、情報処理システム101は、エッジコンピュータ1-1、1-2、1-3と、ポンプ装置2-1、…、2-9と、情報処理装置の一例であるサーバ9とを備える。サーバ9は、エッジコンピュータ1-1、1-2、1-3と通信線で接続されている。
【0026】
ポンプ装置2-1、2-2、2-3は、エッジコンピュータ1-1に通信線で接続されており、エッジコンピュータ1-1と通信可能である。ポンプ装置2-4、2-5、2-6は、エッジコンピュータ1-2に通信線で接続されており、エッジコンピュータ1-2と通信可能である。ポンプ装置2-7、2-8、2-9は、エッジコンピュータ1-3に通信線で接続されており、エッジコンピュータ1-3と通信可能である。以下、エッジコンピュータ1-1、1-2、1-3を総称してエッジコンピュータ1と呼ぶことがあり、ポンプ装置2-1、…、2-9を総称してポンプ装置2と呼ぶことがある。
【0027】
図2は、各実施形態に係るポンプ装置の構成の一例を示す概略構成図である。図2に示すように、ポンプ装置2は例えば、受水槽(図示せず)に連通する配管10を介して当該受水槽に接続されているポンプ3と、モータとその外表面に設置されているインバータとが一体となったインバータ一体型モータ8とを備える。インバータ一体型モータ8は、ポンプ3を駆動する電動機4と、電動機4の回転周波数を制御し電動機4を駆動するインバータ5と、インバータ5を冷却するためのファン6とを備える。ポンプ装置2は更にインバータ5を制御する制御部の一例である制御盤7を備える。なお、モータの中にインバータを内蔵させる形態もある。
【0028】
ポンプ3の吐出側には、吐出管20が接続されており、ポンプ3により受水槽(図示せず)内の水道水が住宅等の末端の需要先に供給されるようになっている。吐出管20にはチェッキ弁22およびセンサ23の一つとしてフロースイッチ24がそれぞれ設けられており、フロースイッチ24の出力信号は制御盤7に入力される。なお、チェッキ弁22はポンプ3が停止した場合に吐出側から吸込側に水が逆流することを防止するための逆流防止弁であり、フロースイッチ24は吐出管20内の水量が少なくなったことを検出するためのものである。
【0029】
吐出管20には一例として、センサ23の一つとして、ポンプ3の吐出圧力を検出する圧力センサ26が設置されており、この圧力センサ26の出力信号は制御盤7に入力されている。
【0030】
また、吐出管20には圧力タンク28が接続されており、フロースイッチ24により水量が少なくなったことが検出された場合には、ポンプ3の締切運転を防止するために、ポンプ3を停止する。このポンプ3を停止する前に、一度ポンプ3を加速して、圧力タンク28に蓄圧してからポンプ3の運転を停止してもよい。
【0031】
制御盤7は、エッジコンピュータ1-1、1-2、1-3のいずれかと通信可能な通信部71と、通信部71を制御するプロセッサ72とを有する。通信部71は、フロースイッチ24の出力信号、及び圧力センサ26からの出力信号を受信する。そして、通信部71は、通信可能なエッジコンピュータ1-1、1-2または1-3へ、これらの出力信号を送信する。これにより、エッジコンピュータ1-1、1-2、1-3は、吐出圧力、吐出流量を蓄積することができる。
【0032】
通信部71は、インバータ5の通信部51と通信可能であり、インバータ5の通信部51へ制御信号を送信する。これにより、インバータ5の出力電流、出力周波数(すなわちポンプの運転周波数)を制御することができる。通信部71は、通信可能なエッジコンピュータ1-1、1-2または1-3へ、インバータ5の出力電流を送信する。これにより、エッジコンピュータ1-1、1-2、1-3は、インバータ5の出力電流を蓄積することができる。
【0033】
図3は、各実施形態に係るエッジコンピュータの構成の一例を示す概略構成図である。図3に示すように、エッジコンピュータ1は、ストレージ11と、一時的にデータを格納するメモリ12と、通信部13と、プロセッサ14とを備える。
ストレージ11には、ポンプ装置を識別するポンプ装置識別情報(ここでは一例としてポンプID)と、当該ポンプ装置の状態を表す物理量である状態値データが関連付けられて記憶されている。ここで、当該ポンプ装置の状態を表す物理量(例えば、吐出圧力、吐出流量、インバータ5の出力電流)である状態値データは、対応するポンプ装置それぞれから受信したデータである。
【0034】
通信部13は、ポンプの制御盤、ドライバもしくはコントローラ、ポンプ装置の構成要素及びセンサのうちの少なくとも一つと通信する。この通信は、有線であっても無線であってもよい。
プロセッサ14は例えば、通信部13が受信したデータを予め定められた評価ルールに適用して、ポンプ装置の構成要素の異常の推定、及び/またはポンプ装置の診断結果の生成、及び/または当該診断結果に応じたポンプの制御を実行する。
【0035】
本実施形態では、一例としてポンプ装置2-1~2-3が第1のグループに属し、ポンプ装置2-4~2-6が第2のグループに属し、ポンプ装置2-4~2-9が第3のグループに属する。
エッジコンピュータ1-1のプロセッサ14は、第1のグループに属するポンプ装置2-1~2-3の運転データを収集し、蓄積し、分析し、対応する診断結果を出力し、診断結果に応じた制御方法を実行してもよい。
エッジコンピュータ1-2のプロセッサ14は、第2のグループに属するポンプ装置2-4~2-6の運転データを収集し、蓄積し、分析し、対応する診断結果を出力し、診断結果に応じた制御方法を実行してもよい。
エッジコンピュータ1-3のプロセッサ14は、第3のグループに属するポンプ装置2-7~2-9の運転データを収集し、蓄積し、分析して、対応する診断結果を出力し、診断結果に応じた制御方法を実行してもよい。
【0036】
例えば、ポンプに設けられた振動センサ(図示せず)が検出した振動値が閾値を超える場合、エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、ベアリングの摩耗を推定してもよい。
【0037】
グループ内の機器(例えば、制御盤、センサ、エッジ基板、コントローラ、ユーザ端末(スマートフォン・PC・タブレットなど)内アプリケーション)はそれぞれ相互に接続を維持するための通信と、データ収集やポンプ制御を実施するための通信を行う機能を備える。各接続機器とは、無線・有線問わず任意の方式で通信を行う。
【0038】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、ポンプ用の制御盤、ドライバ、またはコントローラといった、ポンプの運転を制御するポンプ制御機器ともネットワークを構築し、ポンプ制御機器に対して通信する機能を備える。
【0039】
上位機器からポンプに対する指令を、ネットワークを経由してエッジコンピュータ1-1~1-3に送り、エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、エッジコンピュータ1-1~1-3に接続している対象のポンプ制御機器に対して指令を送る機能を備える。
【0040】
エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、各種センサが固有情報を保有している場合はそれを取得または参照し、センサの識別を行ってもよい。エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、自身が保持または記録した各データを任意のタイミングで計算し、残りのポンプの寿命及び/または状態値の傾向と予測値を算出してもよい。
【0041】
エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、ポンプに設置した各種センサ、通信機器を搭載した制御盤またはポンプ装置から情報を取得し管理者側の機器に送信してもよい。
【0042】
エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、各種センサ・制御盤・ポンプ装置から取得したデータを解析し、設置・稼働中のポンプの状態を適切に診断してもよい。
【0043】
エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、各種センサ・制御盤・ポンプ装置から取得したデータを解析し、設置・稼働中のポンプの寿命を推定してもよい。
【0044】
エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、各種センサ・制御盤・ポンプ装置からの取得データ、解析データ、稼働状況などのデータを適切に記録してもよい。
【0045】
エッジコンピュータ1-1~1-3と各種センサ・制御盤・ポンプ装置でネットワークを作成する。Bluetooth(登録商標)やWi-Fi、LPWA(Low Power Wide Area)などといった無線通信やLAN、PLC(Power Line Communication)のような有線通信などネットワーク構築のための通信方式は問わない。
【0046】
エッジコンピュータ1-1~1-3と各種センサ・制御盤・ポンプ装置で構築したネットワークにより、施設内・地域内で情報を整理、ユーザが任意の端末で施設内・地域内のポンプの情報を確認・収集できる。
【0047】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、複数種のセンサから収集したデータを組み合わせて解析する機能を有する為、より詳細な解析を可能とする。
【0048】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、各種センサからのデータを一定期間保持するため、ユーザが確認したい任意の期間のデータをクラウドやサーバを介さずに確認することができる。
【0049】
エッジコンピュータ1-1~1-3と各種センサでネットワークを生成する為、クラウドやサーバなどと通信できない環境下でもネットワーク範囲内のポンプの情報を確認・収集できる。
【0050】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、通信が届く範囲であればポンプ装置や給水装置の制御盤だけではなくポンプが接続されている配電盤などの中に設置しても良い。
【0051】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、各種センサ・制御盤・給水装置と無線にて接続できる範囲に設置するが、それができない場合は、PLCで通信させてもよい。
【0052】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、状態検出機能を有したポンプ(例えば、センサ付ポンプ)などとも通信し、ネットワークを構築し、各種データの収集・解析・通知・記録を実施してもよい。これにより、エッジコンピュータ1-1~1-3は、個々のポンプのデータを整理する機能を有するため、ユーザは煩雑な情報を見ることなしにポンプの状態を確認できる。
【0053】
エッジコンピュータ1-1~1-3によって構築されるネットワーク範囲は問わないため、施設・地域問わず機器が設置された場所のポンプの情報は同地域・施設内の管理場所で確認することができる。
【0054】
エッジコンピュータ1-1~1-3とポンプのコントローラまたは制御盤などを接続することで、エッジコンピュータ1-1~1-3を経由したポンプ制御が可能となる。
【0055】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、前述の推定寿命または診断結果から、ポンプを稼働できる時間範囲で制御してもよい。
【0056】
図4は、エッジコンピュータ1-1のストレージに記憶されているセンサマスタテーブルの一例である。図4に示すように、センサマスタテーブルM1には、ポンプ装置IDが1~3すなわちポンプ装置2-1~2-3までについて、ポンプ装置ID、センサを識別するセンサ識別情報であるセンサID、センサ種別、センシング対象の組のレコードが保存されている。
【0057】
図5は、エッジコンピュータ1-1のストレージに記憶されている状態値データテーブルの一例である。図5において、ポンプ装置ID=1の状態値データテーブルT2-1は、ポンプ装置2-1の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=1の状態値データテーブルT2-1において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0001のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0002のセンサデータ、ポンプ装置2-1のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。
【0058】
同様に、ポンプ装置ID=2の状態値データテーブルT2-2は、ポンプ装置2-2の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=2の状態値データテーブルT2-2において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0003のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0004のセンサデータ、ポンプ装置2-2のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。
【0059】
同様に、ポンプ装置ID=3の状態値データテーブルT2-3は、ポンプ装置2-3の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=3の状態値データテーブルT2-3において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0005のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0006のセンサデータ、ポンプ装置2-3のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。センサID=S0002、S0004、S0006のセンサデータは、フロースイッチ24の出力信号のデータであり、流量として例えばハイレベルH(流量無し)とローレベルL(流量あり)の値を取る。
【0060】
例えば状態値データテーブルT2-1、T2-3の一行目のレコードのデータは、流量がないにもかかわらずインバータの出力電流値が存在する為、ポンプあるいはモータ等の固着あるいは固着を要因とする回転不良と判断できるため、プロセッサ14は例えば診断結果を「異常」とし、その異常内容を「回転体固着・不良」として、診断結果と異常内容を出力する。そして、プロセッサ14は、状態値データテーブルT2-1、T2-3の一行目のレコードに、当該診断結果と当該異常内容を格納する。ここでストレージ11には、予め診断基準が記憶されており、プロセッサ14は例えば、一つ以上のセンサデータ(例えばフロースイッチ24の出力信号とインバータの出力電流値との組)を診断基準と比較して、異常か否か判定してもよく、異常の場合は異常内容を判定してもよく、診断結果及び/または異常内容を出力してもよい。ここで、診断基準は例えば、フロースイッチ24の出力信号のデータがハイレベル(流量なし)にもかかわらずインバータの出力電流値が存在する場合、診断結果を「異常」とし異常内容を「回転体固着・不良」とするというものである。
【0061】
図6は、エッジコンピュータ1-2のストレージに記憶されているセンサマスタテーブルの一例である。図6に示すように、センサマスタテーブルM2には、ポンプ装置IDが4~6すなわちポンプ装置2-4~2-6までについて、ポンプ装置ID、センサを識別するセンサ識別情報であるセンサID、センサ種別、センシング対象の組のレコードが保存されている。
【0062】
図7は、エッジコンピュータ1-2のストレージに記憶されている状態値データテーブルの一例である。図7において、ポンプ装置ID=4の状態値データテーブルT2-4は、ポンプ装置2-4の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=4の状態値データテーブルT2-4において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0007のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0008のセンサデータ、ポンプ装置2-4のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。
【0063】
同様に、ポンプ装置ID=5の状態値データテーブルT2-5は、ポンプ装置2-5の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=5の状態値データテーブルT2-5において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0009のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0010のセンサデータ、ポンプ装置2-5のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。
【0064】
同様に、ポンプ装置ID=6の状態値データテーブルT2-6は、ポンプ装置2-6の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=6の状態値データテーブルT2-6において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0011のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0012のセンサデータ、ポンプ装置2-6のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。センサID=S0008、S0010、S0012のセンサデータは、フロースイッチ24の出力信号のデータであり、流量として例えばハイレベルH(流量無し)とローレベルL(流量有り)の値を取る。
【0065】
前記データテーブルのうちT2-5は、流量がないにもかかわらずインバータの出力電流値が存在する為、ポンプあるいはモータ等の固着あるいは固着を要因とする回転不良と判断できるため、プロセッサ14は例えば診断結果の内容と異常状態を出力する。
【0066】
図8は、エッジコンピュータ1-3のストレージに記憶されているセンサマスタテーブルの一例である。図8に示すように、センサマスタテーブルM3には、ポンプ装置IDが7~9すなわちポンプ装置2-7~2-9までについて、ポンプ装置ID、センサを識別するセンサ識別情報であるセンサID、センサ種別、センシング対象の組のレコードが保存されている。
【0067】
図9は、エッジコンピュータ1-3のストレージに記憶されている状態値データテーブルの一例である。図9において、ポンプ装置ID=7の状態値データテーブルT2-7は、ポンプ装置2-7の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=7の状態値データテーブルT2-7において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0013のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0014のセンサデータ、ポンプ装置2-7のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。
【0068】
同様に、ポンプ装置ID=8の状態値データテーブルT2-8は、ポンプ装置2-8の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=8の状態値データテーブルT2-8において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0015のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0016のセンサデータ、ポンプ装置2-8のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。
【0069】
同様に、ポンプ装置ID=9の状態値データテーブルT2-9は、ポンプ装置2-9の状態値データが格納されているテーブルである。ポンプ装置ID=9の状態値データテーブルT2-9において、時刻、当該時刻におけるセンサID=S0017のセンサデータ、当該時刻におけるセンサID=S0018のセンサデータ、ポンプ装置2-9のインバータ5の出力電流値のデータ、これらのデータからプロセッサ14によって診断された診断結果、当該診断結果が異常な場合のその異常内容の組のレコードが蓄積されている。センサID=S0014、S0016、S0018のセンサデータは、フロースイッチ24の出力信号のデータであり、流量として例えばハイレベルH(流量無し)とローレベルL(流量有り)の値を取る。
【0070】
前記データテーブルのうちT2-7、T2-9は、流量がないにもかかわらずインバータの出力電流値が存在する為、ポンプあるいはモータ等の固着あるいは固着を要因とする回転不良と判断できるため、プロセッサ14は例えば診断結果の内容と異常状態を出力する。
【0071】
前記までのデータテーブル、状態値データテーブルは電流・圧力・フロースイッチのものであるが、振動センサや温度センサによる検出・診断など、接続しているセンサの種類を問わず用いることが出来る。
【0072】
例えば、エッジコンピュータ1-1のプロセッサ14は、他のエッジコンピュータ1-2から、当該他のエッジコンピュータ1-2が通信可能なポンプ装置のポンプ装置識別情報(ここではポンプID=4、5、6)を受信した場合、エッジコンピュータ1-1のストレージ11を参照して、当該ポンプ装置識別情報(ここではポンプID=4、5、6)と重複しないポンプ装置識別情報(ここではポンプID=1、2、3)に関連付けられてエッジコンピュータ1-1のストレージ11に蓄積されている状態値データを、他のエッジコンピュータ1-2へ送信する。これにより、エッジコンピュータ1-2は、蓄積されていないポンプ装置(ここではポンプID=1、2、3)の状態値データを受信して蓄積することができる。
【0073】
なお、上記の処理に替えて、エッジコンピュータ1-2のプロセッサは、他のエッジコンピュータ1-1に対して、当該他のエッジコンピュータのストレージに蓄積されている状態値データに関連付けられたポンプ装置識別情報を要求し、要求に応じて他のエッジコンピュータ1-1から送信されたポンプ装置識別情報(ここではポンプID=1、2、3)を受信し、当該受信したポンプ装置識別情報のうち、自身の前記ストレージに蓄積されていないポンプ装置識別情報(ここではポンプID=1、2、3)の状態値データを当該他のエッジコンピュータ1-1へ要求してもよい。これにより、エッジコンピュータ1-2は、蓄積されていないポンプ装置(ここではポンプID=1、2、3)の状態値データを受信して蓄積することができる。
【0074】
その後に、エッジコンピュータ1-2のプロセッサ14は、他のエッジコンピュータ1-3から、当該他のエッジコンピュータ1-3が通信可能なポンプ装置のポンプ装置識別情報(ここではポンプID=7、8、9)を受信した場合、エッジコンピュータ1-1のストレージ11を参照して、当該ポンプ装置識別情報(ここではポンプID=7、8、9)と重複しないポンプ装置識別情報(ここではポンプID=1、2、3、4、5、6)に関連付けられてエッジコンピュータ1-2のストレージ11に蓄積されている状態値データを、他のエッジコンピュータ1-3へ送信する。これにより、エッジコンピュータ1-3は、蓄積されていないポンプ装置(ここではポンプID=1、2、3、4、5、6)の状態値データを受信して蓄積することができる。
【0075】
以上、第1の実施形態に係る情報処理システム101は、ポンプ装置の状態を監視する情報処理システムであって、少なくとも一つのエッジコンピュータを備える。エッジコンピュータ1-1~1-3は、ポンプの制御盤、ドライバもしくはコントローラ、ポンプ装置の構成要素及びセンサのうちの少なくとも一つと通信する通信部13と、通信部13が受信したデータを予め定められた評価ルールに適用して、ポンプ装置の構成要素の異常の推定、及び/またはポンプ装置の診断結果の生成、及び/または当該診断結果に応じたポンプの制御を実行するプロセッサ14と、を備える。
【0076】
この構成により、中央の監視機器までネットワークを直接構築できない場合であっても、エッジコンピュータ1-1~1-3が複数のポンプを監視または制御することができる。
【0077】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について説明する。図10は第2の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。図10に示すように、第2の実施形態に係る情報処理システム102では、第1の実施形態に係る情報処理システム101とはネットワーク形態が異なり、サーバが削除された構成になっている。
【0078】
<第3の実施形態>
続いて第3の実施形態について説明する。図11は第3の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。図11に示すように、第3の実施形態に係る情報処理システム103では、第1の実施形態に係る情報処理システム101とはネットワーク形態が異なり、ユーザ端末30が追加された構成になっている。
【0079】
エッジコンピュータ1-1~1-3が、測定値、解析結果を、さらに保持または蓄積しておくことで、ユーザが任意のユーザ端末でエッジコンピュータと通信することで保持したデータを確認することができる。この通信は例えば、Bluetooth(登録商標)やNFCなど、通信方式は問わない。
【0080】
さらに、エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、有線または無線によりサーバ(もしくはクラウドなどの集中管理できるシステム)へ送り、全体の状況把握と分析して、対応する診断結果を出力し、診断結果などの情報をユーザまたはサービス員が使用するユーザ端末30へ送信してもよい。これにより、ユーザまたはサービス員へ、診断結果などの情報を提示するようにしてもよい。
【0081】
エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、センサからの取得データを保持または記録しておき、ユーザが使用するユーザ端末からの指示によりデータを提供してもよい。
【0082】
その際、例えば、エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、通信部13がユーザ端末30から状態値のデータ要求を受信した場合、他のエッジコンピュータに状態値データを要求し、当該要求に応じて他のエッジコンピュータが送信した状態値データを受信し、受信した状態値データとストレージに保存されている状態値データとを含む状態値データをユーザ端末30へ送信する。
【0083】
この構成により、各エッジコンピュータが管理しているポンプ装置の状態値を、まとめてユーザ端末へ送信することができるので、ユーザ端末には、各エッジコンピュータが管理しているポンプ装置の状態値がまとめて表示される。これにより、ユーザは、ポンプ装置それぞれを容易に一括管理することができる。
【0084】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、ユーザが使用するユーザ端末30から送信されたポンプ制御信号を対象ポンプに通知する。これにより、遠隔地からのエッジコンピュータ1-1~1-3を経由したポンプ制御が可能となる。
【0085】
<第4の実施形態>
続いて第4の実施形態について説明する。図12は第4の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。図12に示すように、第4の実施形態に係る情報処理システム104では、第3の実施形態に係る情報処理システム103とはネットワーク形態が異なり、サーバが削除された構成になっている。
【0086】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、センサからのデータを収集及び/または解析することで、ポンプ装置からクラウドやサーバに直接接続できるネットワークを構築できなくとも、センサの情報を蓄積及び/または解析した結果をユーザ端末に送信することができる。これにより、ユーザに解析した結果を通知することができる。
【0087】
エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、センサからの取得データを保持または記録しておき、ユーザが使用するユーザ端末からの指示によりデータを提供してもよい。
【0088】
エッジコンピュータ1-1~1-3は、ユーザが使用するユーザ端末30から送信されたポンプ制御信号を対象ポンプに通知する。これにより、遠隔地からのエッジコンピュータ1-1~1-3を経由したポンプ制御が可能となる。
【0089】
なお、各実施形態に係る情報処理システムにおいて、制御盤が設けられていない第1のポンプと、制御盤が設けられている第2のポンプが混在している場合、エッジコンピュータ1-1~1-3のプロセッサ14は、吐出圧力または吐出流量が基準値より下がった場合、制御盤7が設けられている第2のポンプの運転周波数を上げるよう指令する指令信号を、制御盤7が設けられている第2のポンプの制御盤へ、エッジコンピュータ1-1~1-3の通信部13から送信させる。これにより、吐出圧力または吐出流量が少なくなっても、第2のポンプの運転周波数を上げることで、吐出圧力または吐出流量を補うことができる。
【0090】
なお、各実施形態に係る情報処理システムにおいて、制御盤が設けられていない第1のポンプと、制御盤が設けられている第2のポンプが混在している場合であって、制御盤7が設けられている第2のポンプの制御盤から応答がない場合、且つ制御盤が設けられている第2のポンプのインバータの出力電流もしくは吐出圧力が所定の範囲内の場合、制御盤が設けられていない第1のポンプを継続するよう指令する指令信号を、当該第1のポンプを駆動する電動機もしくは当該第2の電動機を可変速制御するインバータへ、エッジコンピュータ1-1~1-3の通信部13から送信させる。この構成により、第2のポンプの制御盤が通信不能になった場合において、第2のポンプのインバータの出力電流もしくは吐出圧力が所定の範囲内である場合、第2のポンプ自体は正常に動作しているものとみなして、第1のポンプの運転も継続させる。これにより、送水を正常に継続しつつ、この間に、第2のポンプの制御盤の通信部を点検して修理をすることができる。
【0091】
なお、各実施形態に係る情報処理システムにおいて、1つの配管系統に複数のポンプが混在している場合であって、各ポンプに接続されているセンサからの検出された異常値あるいはその検出値から推定したポンプ・モータの寿命に近づいているポンプが存在する場合、同系統内の各ポンプの運転頻度の切替や、そのポンプを停止させ他のポンプの運転を継続させる。これにより寿命に近づいているポンプの延命措置や交換までの猶予を持たせると同時に送水を正常に継続することができる。
【0092】
なお、第1及び第3の実施形態においてサーバ9は、クラウドなどの集中管理システムで代替されてもよい。また各実施形態において一例としてエッジコンピュータが3台であるものとして説明したがこれに限らず、2台以下であっても、4台以上であってもよい。また各実施形態において一例としてポンプ装置が9台であるもとして説明したがこれに限らず、8台以下であっても、10台以上であってもよい。なお、各実施形態におけるエッジコンピュータそれぞれを、一つもしくは複数の情報処理装置を含むエッジシステムで構成してもよい。
【0093】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 エッジコンピュータ
10 配管
101、102、103、104 情報処理システム
11 ストレージ
12 メモリ
13 通信部
14 プロセッサ
20 吐出管
22 チェッキ弁
23 センサ
24 フロースイッチ
26 圧力センサ
28 圧力タンク
30 ユーザ端末
4 電動機
5 インバータ
51 通信部
7 制御盤
71 通信部
72 プロセッサ
8 インバータ一体型モータ
9 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12