(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】ポゴブロック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20231027BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20231027BHJP
G01R 1/06 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R1/073 E
G01R1/06 D
(21)【出願番号】P 2020058492
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】望月 純
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-017713(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0018778(US,A1)
【文献】特開2019-149447(JP,A)
【文献】特開昭59-189641(JP,A)
【文献】特開平07-035777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 1/073
G01R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査部の基板の端子に接続される第1端子と、プローブカードの端子に接続される第2端子と、前記第1端子及び前記第2端子の間を連結し、弾性的に伸縮可能な連結部と、を有し、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向において伸縮可能な導体と、
前記第1端子を保持する第1保持部と、前記第2端子を保持する第2保持部と、前記連結部が挿通され、前記第1保持部及び前記第2保持部を前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向に移動可能に案内するガイド部と、を有する筐体と、
を含む、ポゴブロック。
【請求項2】
検査部の基板の端子に接続される第1端子と、プローブカードの端子に接続される第2端子と、前記第1端子及び前記第2端子の間を連結する連結部と、を有し、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向において伸縮可能な導体と、
前記第1端子を保持する第1保持部と、前記第2端子を保持する第2保持部と、前記連結部が挿通され、前記第1保持部及び前記第2保持部を前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向に移動可能に案内するガイド部と、を有する筐体と、
前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向において、前記第1保持部、前記第2保持部、及び前記ガイド部とを弾性的に支持する弾性部材と、
を含む、ポゴブロック。
【請求項3】
前記第1保持部は、前記ガイド部に対して前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向において前記第2端子側に向かう移動を制限する第1制限部を有する、請求項1又は2に記載のポゴブロック。
【請求項4】
前記第2保持部は、前記ガイド部に対して前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向において前記第1端子側に向かう移動を制限する第2制限部を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポゴブロック。
【請求項5】
前記ガイド部は、
本体部と、
前記本体部に対して前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向に移動可能であるとともに、前記第1保持部を前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向に移動可能に案内する第1可動部と、
を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポゴブロック。
【請求項6】
前記第1可動部は、前記検査部の基板に当接する当接部を有する、請求項5に記載のポゴブロック。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記本体部に対して前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向に移動可能であるとともに、前記第2保持部を前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向に移動可能に案内する第2可動部をさらに有する、請求項5又は6に記載のポゴブロック。
【請求項8】
前記第1端子、前記第2端子、及び前記連結部は、金属ばねで構成され、
前記連結部のばね定数は、前記第1端子及び前記第2端子のばね定数よりも大きい、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポゴブロック。
【請求項9】
前記導体は、ワイヤである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポゴブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポゴブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポゴフレームとポゴブロックの熱膨張差による位置ずれを抑制することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、検査部の基板とプローブカードとの間において、検査部の基板の反りに応じて伸縮することで電気的接続を確保できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、検査部の基板の端子に接続される第1端子と、プローブカードの端子に接続される第2端子と、前記第1端子及び前記第2端子の間を連結し、弾性的に伸縮可能な連結部と、を有し、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向において伸縮可能な導体と、前記第1端子を保持する第1保持部と、前記第2端子を保持する第2保持部と、前記連結部が挿通され、前記第1保持部及び前記第2保持部を前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ方向に移動可能に案内するガイド部と、を有する筐体と、を含む、ポゴブロックが提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、検査部の基板とプローブカードとの間において、検査部の基板の反りに応じて伸縮することで電気的接続を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る検査装置を複数搭載した検査システム10の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図2】検査室11内に設けられた検査装置20を示す概略構成図である。
【
図4】ポゴブロック42及びその周囲の断面構造を示す図である。
【
図5】ポゴブロック42A、42B、42Cがテスタマザーボード31の反りに対応して伸縮している状態を示す図である。
【
図6】実施形態の変形例のポゴブロック42Mを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付すことにより重複した説明を省く場合がある。
【0009】
<実施形態>
図1は、一実施形態に係る検査装置を複数搭載した検査システム10の一例を概略的に示す斜視図である。本実施形態の検査システム10は、被検査体である半導体ウエハ(ウエハ)に形成された複数の被検査デバイス(Device Under Test;DUT)の電気的特性を検査するものである。
【0010】
検査システム10は、全体形状が直方体状であり、複数の検査室(セル)11を有する検査領域12と、各検査室11に対してウエハWの搬出入を行うロードポート領域13とを備えている。検査領域12は、検査室11が水平方向に4つ配列されてセル列をなし、セル列が上下方向に3段配置されている。また、検査領域12とロードポート領域13との間には搬送領域14が設けられており、搬送領域14内にはロードポート領域13と各検査室11との間でウエハWの受け渡しを行う搬送機構(図示せず)が設けられている。各検査室11内には、後述する検査装置が設けられている。検査領域12の前面からは、各検査室11の内部へ、検査装置の一部をなすテスタ30が挿入されるようになっている。なお、
図1において、検査室11の奥行方向がX方向、検査室11の配列方向がY方向、高さ方向がZ方向である。
【0011】
図2は、検査室11内に設けられた検査装置20を示す概略構成図である。検査装置20は、テスタ30と、中間接続部材40と、プローブカード50とを有している。検査装置20においては、ウエハWに形成されているDUTの電気特性の検査を、プローブカード50を介してテスタ30により行う。
【0012】
テスタ30は、検査部の一例であり、水平に設けられたテスタマザーボード31と、テスタマザーボード31のスロットに立設状態で装着された複数の検査回路ボード32と、検査回路ボード32を収容する筐体33とを有している。テスタマザーボード31は、検査部の基板の一例であり、テスタマザーボード31の底部には複数の端子(図示せず)が設けられている。
【0013】
プローブカード50は、上面に複数の端子(図示せず)を有する板状の基部51と、基部51の下面に設けられた複数のプローブ52とを有している。複数のプローブ52は、ウエハWに形成されているDUTに接触されるようになっている。ウエハWはチャックトップ(ステージ)60に吸着された状態でアライナ(図示せず)により位置決めされ、複数のDUTのそれぞれに、対応するプローブが接触する。
【0014】
中間接続部材40は、テスタ30とプローブカード50とを電気的に接続するためのものであり、ポゴフレーム41と、ポゴブロック42とを有する。
【0015】
ポゴフレーム41は高強度で剛性が高く、熱膨張係数が小さい材料、例えばNiFe合金で構成されている。ポゴフレーム41は、
図3に示すように開口部が長方形の複数の貫通孔43が設けられており、各貫通孔43内にポゴブロック42が1つずつ挿嵌される。
【0016】
ポゴブロック42は、後述するように、ポゴフレーム41に対して位置決めされ、テスタ30におけるテスタマザーボード31の端子と、プローブカード50における基部51の端子とを接続する。テスタマザーボード31の端子は、検査部の基板の端子の一例であり、プローブカード50における基部51の端子は、プローブカードの端子の一例である。
【0017】
テスタマザーボード31とポゴフレーム41との間にはシール部材71が設けられ、ポゴフレーム41とプローブカード50との間にはシール部材72が設けられている。そして、テスタマザーボード31と中間接続部材40との間の空間が真空引されることにより、シール部材71を介して中間接続部材40がテスタマザーボード31に吸着される。また、中間接続部材40とプローブカード50との間の空間が真空引きされることにより、シール部材72を介してプローブカード50が中間接続部材40(ポゴフレーム41)に吸着される。また、チャックトップ60の上面にはウエハWを囲繞するようにシール部材73が設けられている。各段に設けられたアライナ(図示せず)によりチャックトップ60を上昇させて、プローブカード50のプローブ52をウエハWに形成されたDUTの電極に接触させる。それとともに、シール部材73を中間接続部材40のポゴフレーム41に当接させて、シール部材73で囲繞された空間を真空引きすることにより、チャックトップ60が吸着される。
【0018】
図4は、ポゴブロック42及びその周囲の断面構造を示す図である。
図4に示す断面は、一例として、YZ平面に平行な断面である。また、
図4では、一例として、ポゴフレーム41はテスタマザーボード31の下に真空吸着されており、プローブカード50はポゴフレーム41の下に真空吸着されている。
【0019】
ポゴブロック42は、筐体110と、導体150とを有する。筐体110は、ガイド部120、保持部130、及び保持部140を有する。このため、ガイド部120、保持部130、及び保持部140には、符号110を括弧書きで記す。保持部130は第1保持部の一例であり、保持部140は第2保持部の一例である。ガイド部120、保持部130、及び保持部140は、一例として樹脂製の部材であるが、表面に絶縁被覆が形成された金属製の部材であってもよい。
【0020】
ガイド部120は、本体部120A、可動部120B、及び可動部120Cを有する。可動部120Bは第1可動部の一例であり、可動部120Cは第2可動部の一例である。
【0021】
本体部120Aは、外形が直方体状であり、上下方向に貫通する貫通孔121Aを有する。貫通孔121Aは、平面視で略矩形状である。貫通孔121Aの周り(四方)は、本体部120Aの壁で囲まれている。貫通孔121Aには、導体150の連結部153が挿通されている。
【0022】
本体部120AのZ方向の高さは、ポゴフレーム41の高さよりも低い。本体部120Aの上端と下端は、貫通孔43内に収まっている。すなわち、本体部120Aの上端は、ポゴフレーム41の上面よりも低い位置にあってポゴフレーム41の上面から上側には突出しておらず、本体部120Aの下端は、ポゴフレーム41の下面よりも上側にあり、プローブカード50には触れていない。本体部120Aの下端とプローブカード50との間には、ギャップがある。
【0023】
以下では、ポゴブロック42の各構成要素のY方向の位置関係について、ポゴブロック42のY方向における中心側から見た±Y方向側をY方向外側と称す。また、Y方向外側から見たポゴブロック42の中心側をY方向内側と称す。
【0024】
また、本体部120Aは、貫通孔121Aの他に、凸部122A、凹部123A、及び凸部124Aを有する。凸部122Aは、本体部120Aの外表面の上端側においてY方向外側に突出した部分である。貫通孔43の内壁には、凸部122Aに対応した段差部43Aが設けられている。貫通孔43は、段差部43Aよりも上側の方が平面視における開口が大きく、段差部43Aよりも下側の方が平面視における開口が小さい。すなわち、貫通孔43の内壁面は、段差部43Aよりも下側の方が、段差部43Aよりも上側よりもY方向内側に位置する。
【0025】
凸部122Aは、段差部43Aに係合している。貫通孔43の上側からポゴブロック42を挿入すると、凸部122Aが段差部43Aに引っ掛かった状態で、ポゴフレーム41に対するポゴブロック42の上下方向の位置決めが行われる。
【0026】
凹部123Aは、本体部120Aの貫通孔121Aに面した内表面からY方向外側に凹んだ部分であり、一例として、凸部122Aと略同じ高さ位置に設けられている。凹部123Aには、可動部120Bの延在部123Bの下端のY方向外側に突出した凸部123B1が係合する。凹部123Aの上下方向の長さ(凹部123Aの上側の面(上端)と下側の面(下端)との間の上下方向の長さ(間隔))は、凸部123B1の上下方向の長さよりも長い。凸部123B1は、凹部123Aの下端と上端との間で、上下方向に移動可能である。
【0027】
凸部124Aは、凸部122A及び凹部123Aよりも下方において、本体部120Aの内表面からY方向内側に突出した部分である。凸部124Aの上下方向の位置は、可動部120Cの延在部122Cの上端からY方向外側に突出した凸部122C1の位置と合わせられている。凸部124Aには、可動部120Cの延在部122Cの上端の凸部122C1が引っ掛かるようになっている。
【0028】
可動部120Bは、基部121B、当接部122B、及び延在部123Bを有し、本体部120Aの上側に位置する。基部121Bは、本体部120Aの貫通孔121Aの上側に設けられており、貫通孔121Aのうちの凹部123Aよりも上側のY方向の幅に合わせたY方向の長さを有し、X方向に延在する板状の部材である。基部121Bは、上下方向に貫通する複数の貫通孔を有し、複数の貫通孔には複数の導体150の連結部153の上端が挿通されている。基部121Bと連結部153の上端は、固定されている。また、基部121Bは、Y方向の両端側に上側に折り曲げられた部分を有する。
【0029】
当接部122Bは、基部121BのY方向の両端側で上側に折り曲げられた部分に接続されている。当接部122Bは、X方向に延在する梁のような部分であり、一例としてYZ平面に平行な断面形状は矩形状である。当接部122Bの上面は、テスタマザーボード31の下面に当接する。
【0030】
また、当接部122Bは、下端側からY方向内側に突出する凸部122B1を有する。凸部122B1は、保持部130に合わせた形状を有する。
【0031】
延在部123Bは、基部121BのY方向の両端から下方に延在している。延在部123Bの下端のY方向外側に突出した凸部123B1は、本体部120Aの凹部123Aに係合する。
【0032】
このような構成を有する可動部120Bは、本体部120Aの凹部123Aの上側の面と下側の面との間の範囲で、延在部123Bが本体部120Aに対して上下方向に移動可能である。
【0033】
可動部120Cは、基部121C、及び延在部122Cを有し、本体部120Aの貫通孔121A内で可動部120Bよりも下側に設けられる。基部121Cは、保持部140の凹部143の内側のY方向の寸法に合わせたY方向の長さを有し、X方向に延在する板状の部材である。基部121Cは、上下方向に貫通する複数の貫通孔を有し、複数の貫通孔には複数の導体150の連結部153の下端が挿通されている。基部121Cと連結部153の下端は、固定されている。
【0034】
延在部122Cは、基部121CのY方向の両端から、上方向に延在している。延在部122Cは、X方向に延在する板状の部材である。延在部122Cの上端には、Y方向外側に突出する凸部122C1が設けられている。凸部122C1は、本体部120Aの凸部124Aに係合する。
【0035】
このような構成を有する可動部120Cは、凸部122C1の下端と本体部120Aの凸部124Aの上側の面とが係合した位置から、本体部120Aに対して上方向に移動可能である。
【0036】
保持部130は、基部131及びストッパ132を有する。基部131は、XY平面に平行な板状の部材である。ストッパ132は、第1制限部の一例であり、基部131のY方向の両端から下方に延在するとともに、X方向に延在する梁状の部分である。
【0037】
基部131には、上下方向に貫通する複数の貫通孔が設けられており、各貫通孔には、導体150の端子151が挿通された状態で固定されている。また、ストッパ132は、基部131のY方向の両端よりもY方向外側に張り出しており、張り出した部分に段差部133が形成されている。ストッパ132は、保持部130の下方向への移動を制限するために設けられている。段差部133は、保持部130の上方向への移動を制限するために設けられている。
【0038】
保持部130は、可動部120Bに対して、段差部133が凸部122B1の下面に当接する位置と、ストッパ132が可動部120Bの基部121Bの上面に当接する位置との間で、上下方向に移動可能である。換言すれば、可動部120Bは、このような上下方向の限られた範囲内で、保持部130を上下方向に移動可能に案内する。
【0039】
保持部140は、基部141、延在部142、及び凹部143を有する。基部141は、本体部120Aの貫通孔121Aの下端のY方向の長さに合わせたY方向の長さを有し、X方向に延在する板状の部分である。基部141には、上下方向に貫通する複数の貫通孔が設けられており、各貫通孔には端子152が挿通された状態で固定されている。
【0040】
延在部142は、基部141のY方向の両端から上方向に延在するとともに、X方向に延在する梁状の部分である。延在部142のY方向内側には、Y方向外側に凹んだ凹部143が設けられている。凹部143の下側の面(下端)は、基部141の上面よりも高い位置にある。Y方向における両側に設けられる凹部143には、可動部120Cの基部121Cの両端が挿入されており、基部121CのZ方向の長さ(厚さ)は、凹部143の上側の面(上端)と下側の面(下端)との間の上下方向の長さ(間隔)よりも短い。
【0041】
このため、保持部140は、可動部120Cに対して、凹部143の下側の面が基部121Cの両端の下面に当接する位置と、凹部143の上側の面が基部121Cの両端の上面に当接する位置との間で移動可能になっている。換言すれば、可動部120Cは、このような上下方向の限られた範囲内で、保持部140を上下方向に移動可能に案内する。
【0042】
導体150は、上下方向に伸縮可能であり、ポゴブロック42の上端と下端の間に複数本設けられている。導体150は、一例として、導体製のワイヤである。導体150は、一例として、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びタングステン(W)等の金属、又は、ベリリウム銅(BeCu)等の合金で作製可能である。導体150は、金属又は合金が剥き出しであってもよいし、絶縁膜等で覆われていてもよい。複数の導体150は、互いに絶縁されていればよい。
【0043】
導体150は、端子151、端子152、及び連結部153を有する。端子151は第1端子の一例であり、端子152は第2端子の一例である。端子151及び152は、上下方向において弾性的に伸縮可能なばね部材であれば、どのような形状であってもよい。一例として、端子151、152は、YZ面視で楕円状の端子である。また、端子151、152は、ばね部材のような弾性を持たず、上下方向に伸縮可能な電気的接触子であってもよい。
【0044】
端子151の上端は、
図4に示すように、ポゴブロック42が装着されたポゴフレーム41がテスタマザーボード31の下に真空吸着された状態で、テスタマザーボード31の下面の端子に押し当てられて接触する。この状態で、端子151は、自然長の状態よりも上下方向に収縮している。端子151の下端は、連結部153の上端に接続されている。端子151の中央部分は、保持部130の基部131の貫通孔に挿通された状態で固定されている。
【0045】
端子152の上端は、連結部153の下端に接続されている。端子152の下端は、ポゴブロック42が装着されたポゴフレーム41に対してプローブカード50が真空吸着された状態で、プローブカード50の上面の端子に押し当てられて接触する。この状態で、端子152は、自然長の状態よりも上下方向に収縮している。端子152の中央部分は、保持部140の基部141の貫通孔に挿通された状態で固定されている。
【0046】
連結部153は、端子151及び152と同様にばね部材である。連結部153は、上端が端子151に接続され、下端が端子152に接続されている。連結部153は、端子151及び152と一体的に形成されていてもよく、別々に形成されてから溶接又は半田付け等で接続されていてもよい。連結部153の上端は、可動部120Bの基部121Bの貫通孔に挿通された状態で固定され、連結部153の下端は、可動部120Cの基部121Cの貫通孔に挿通された状態で固定されている。
【0047】
以上のような構成の導体150では、端子151が基部121Bに対して保持部130を上側に付勢している。また、連結部153が可動部120Bと可動部120Cとを上下方向において離間する方向に付勢している。また、端子152が可動部120Cに対して保持部140を下方向に付勢している。
【0048】
ここで、連結部153のばね定数は、端子151及び152のばね定数以上であり、一例として、端子151及び152のばね定数よりも大きいことが好ましい。テスタマザーボード31の平面視における中央部分が下側に反ると、テスタマザーボード31とプローブカード50との間隔には、平面視で分布が生じる。間隔が狭いほどポゴブロック42に掛かる押圧力は大きくなる。
【0049】
上述のようなばね定数の関係を持たせるのは、このような間隔の分布が生じたときに、端子151及び152が伸縮して間隔に対応しやすくするためである。また、このような間隔の分布が生じたときに、保持部130及び140が可動部120B及び120Cよりも上下方向に動きやすくすることで、押圧力が比較的小さいときは保持部130及び140の動きで対応するためである。また、このような間隔の分布が生じたときに、押圧力が比較的大きいときは、可動部120B及び120Cを動かすことで、様々な間隔に対応しやすくするためである。
【0050】
また、以上のような構成を有するポゴブロック42は、次のような動作が可能である。
【0051】
可動部120Bの当接部122Bがテスタマザーボード31の下面に当接して押し当てられると、端子151がテスタマザーボード31の下面の端子に押し当てられ、端子151が変形し、押圧力が大きくなると保持部130が可動部120Bに対して下方向に移動する。また、さらに押圧力が大きくなると、可動部120Bは、本体部120Aに対して下方向に移動する。保持部130は、ストッパ132が基部121Bに当接すると、可動部120Bに対する下方向の移動が制限され、可動部120Bは、凸部123B1の下面が凹部123Aの下側の面に当接すると、本体部120Aに対する下方向への移動が制限される。なお、ストッパ132の基部121Bへの当接と、可動部120Bの本体部120Aに対する下方向への移動とのどちらが先に生じるかは、端子151、152、及び連結部153のばね定数の関係によって異なる。
【0052】
また、端子152の先端(下端)がプローブカード50の端子に押し当てられると、端子152が変形し、押圧力が大きくなると保持部140が可動部120Cに対して上方向に移動する。また、さらに押圧力が大きくなると、可動部120Cは、本体部120Aに対して上方向に移動する。保持部140は、凹部143の下側の面が基部121Cの両端の下面に当接すると、可動部120Cに対する移動が制限される。凹部143の下側の面の基部121Cの両端の下面への当接と、可動部120Cの本体部120Aに対する上方向への移動とのどちらが先に生じるかは、端子151、152、及び連結部153のばね定数の関係によって異なる。
【0053】
図5は、ポゴブロック42A、42B、42Cがテスタマザーボード31の反りに対応して伸縮している状態を示す図である。ここでは一例として、3つのポゴブロック42A、42B、42Cは、すべて
図4に示すポゴブロック42と同様であるが、
図5では簡略化して示す。
【0054】
一例として、Y方向に配列されるポゴブロック42A、42B、42Cに対して、テスタマザーボード31に反りが生じており、ポゴブロック42Bの部分でテスタマザーボード31とプローブカード50との間隔が最も狭くなっている。このような場合に、テスタマザーボード31とプローブカード50との間で、ポゴブロック42Bは収縮し、ポゴブロック42A、42Cは、ポゴブロック42Bほど収縮していない。ポゴブロック42A、42Cは、テスタマザーボード31に反りが生じる前の状態よりも上下方向に伸びる場合もある。
【0055】
このように、ポゴブロック42A、42B、42Cは、テスタマザーボード31に反りが生じることによってテスタマザーボード31とプローブカード50との間隔に分布が生じても、間隔の分布に対応して伸縮することで上下方向の長さを調整する。これにより、ポゴブロック42A、42B、42Cは、テスタマザーボード31の下面の端子と、プローブカード50の上面の端子との間を確実に接続できる。このため、テスタマザーボード31とプローブカード50との間の電気的な接続を確保できる。
【0056】
したがって、テスタマザーボード31(検査部の基板)とプローブカード50との間において、テスタマザーボード31(検査部の基板)の反りに応じて伸縮することで電気的接続を確保できるポゴブロック42を提供することができる。
【0057】
なお、以上では、ポゴブロック42A、42B、42Cが弾性的に伸縮可能な導体150を含む形態について説明したが、
図6のような構成であってもよい。
図6は、実施形態の変形例のポゴブロック42Mを示す図である。
【0058】
ポゴブロック42Mは、
図4に示すポゴブロック42の導体150(端子151、152、連結部153)を弾性を有しない金属性でワイヤ状の導体に変更し、ばね161~163を追加した構成を有する。ばね161~163は、弾性部材の一例である。
【0059】
ばね161は、保持部130の基部131と可動部120Bの基部121Bとの間に設けられており、ばね162は、可動部120Bの基部121Bと、可動部120Cの延在部122Cの上面との間に設けられている。また、ばね163は、可動部120Cの基部121Cと保持部140の基部141との間に設けられている。
【0060】
ばね161は、可動部120Bと保持部130との間を弾性的に支持し、ばね162は、可動部120Bと可動部120Cとの間を弾性的に支持し、ばね163は、可動部120Cと保持部140との間を弾性的に支持する。このため、
図6に示すポゴブロック42Mは、
図4に示すポゴブロック42と同様に、テスタマザーボード31とプローブカード50との間隔に分布に対応して伸縮することで上下方向の長さを調整できる。これにより、ポゴブロック42Mは、テスタマザーボード31の下面の端子と、プローブカード50の上面の端子との間を確実に接続できる。このため、テスタマザーボード31とプローブカード50との間の電気的な接続を確保できる。
【0061】
したがって、テスタマザーボード31(検査部の基板)とプローブカード50との間において、テスタマザーボード31(検査部の基板)の反りに応じて伸縮することで電気的接続を確保できるポゴブロック42Mを提供することができる。
【0062】
なお、3つのばね161~163のうちの少なくとも1つを省き、その部分にだけ導体150に弾性を持たせてもよい。
【0063】
以上、本開示に係るポゴブロックの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0064】
30 テスタ
31 テスタマザーボード
41 ポゴフレーム
42 ポゴブロック
50 プローブカード
110 筐体
120 ガイド部
120A 本体部
120B 可動部
120C 可動部
130 保持部
140 保持部
150 導体
151、152 端子
153 連結部