(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及びプログラム、読取装置並びに印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231027BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20231027BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20231027BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/21
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/393 101
H04N1/407
(21)【出願番号】P 2020096761
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋介
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-218577(JP,A)
【文献】特開2004-338199(JP,A)
【文献】特開2016-198899(JP,A)
【文献】米国特許第6172692(US,B1)
【文献】特開2018-132664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/393
H04N 1/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサに実行させるための命令を記憶するメモリと、
メモリに記憶された命令を実行するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
基材に印刷された画像の読取画像を取得し、
前記画像が印刷された際のインク色情報を含む印刷情報と、前記画像が読み取られた際の照明情報を含む読取条件と、の少なくとも一方を取得し、
前記印刷情報と前記読取条件との少なくとも一方に基づいて複数の読取画像階調情報処理テーブルから少なくとも1つの読取画像階調情報処理テーブルを選択し、
前記選択した読取画像階調情報処理テーブルを使用して前記読取画像の階調情報を処理する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷情報は、前記画像の階調に関する情報を含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像の階調に関する情報は、インク量と濃度との少なくとも一方を含む請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷情報は、前記読取画像の階調情報が処理された階調情報処理画像を用いる後工程の機能情報を含む請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記機能情報は、前記画像を印刷したインクジェットヘッドのノズルの曲がり量検知と、ムラ補正と、印刷物の検品との少なくとも1つを含む請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記印刷情報は、前記基材に関する情報を含む請求項2から5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記基材は透明であり、
前記基材に関する情報は、厚みと、光透過度との少なくとも一方を含む請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記照明情報は、反射照明と透過照明とのいずれかの情報を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記複数の読取画像階調情報処理テーブルをそれぞれ前記読取画像に使用して階調情報を処理した複数の階調情報処理画像を保持し、
前記複数の階調情報処理画像から後工程で使用する階調情報処理画像を少なくとも1つ選択する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記読取画像の階調情報の処理は、階調ビット数を縮小する処理を含む請求項1から9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記基材に印刷された画像に照明光を照射する照明と、
前記照明光が照射された画像を読み取って前記読取画像を生成するインラインセンサと、
請求項1から10のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
を備えた読取装置。
【請求項12】
前記基材にインクを付与して前記画像を印刷するインクジェットヘッドと、
請求項11に記載の読取装置と、
を備えた印刷装置。
【請求項13】
基材に印刷された画像の読取画像を取得する読取画像取得工程と、
前記画像が印刷された際のインク色情報を含む印刷情報と、前記画像が読み取られた際の照明情報を含む読取条件と、の少なくとも一方を取得する印刷情報読取条件取得工程と、
前記印刷情報と前記読取条件との少なくとも一方に基づいて複数の読取画像階調情報処理テーブルから少なくとも1つの読取画像階調情報処理テーブルを選択するテーブル選択工程と、
前記選択した読取画像階調情報処理テーブルを使用して前記読取画像の階調情報を処理する階調情報処理工程と、
を備える画像処理方法。
【請求項14】
請求項13に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させ
るプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、画像処理方法及びプログラム、読取装置並びに印刷装置に係り、特に印刷された基材を読み取った読取画像を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
透明基材に対して、プロセスカラーインクと白インクとを用いてインクジェット印字を実施する印刷装置が知られている。このような印刷装置において高画質な印字行うためには、白インクについてもプロセスカラーインクと同等のムラ補正及び印刷物の検品等の検知及び補正を実施する必要がある。しかしながら、透明基材を扱う場合には、紙を基材とした場合と読取装置による読取結果が異なるため、プロセスカラーインクの検知及び補正であっても工夫が必要となる。
【0003】
特許文献1には、透明基材の表面に印刷された印刷画像を検査する検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検知及び補正を可能にするために読取装置の読取条件を工夫すると、読取条件によって読取画像の特性が大きく異なってしまい、共通の前処理では後工程の検知及び補正を期待通りに実施できないという課題があった。特許文献1は、このような課題を解決するものではない。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、印刷又は読み取りに応じて読取画像の階調情報を処理する画像処理装置、画像処理方法及びプログラム、読取装置並びに印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための画像処理装置の一の態様は、プロセッサに実行させるための命令を記憶するメモリと、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサと、を備え、プロセッサは、基材に印刷された画像の読取画像を取得し、画像が印刷された際のインク色情報を含む印刷情報と、画像が読み取られた際の照明情報を含む読取条件と、の少なくとも一方を取得し、印刷情報と読取条件との少なくとも一方に基づいて複数の読取画像階調情報処理テーブルから少なくとも1つの読取画像階調情報処理テーブルを選択し、選択した読取画像階調情報処理テーブルを使用して読取画像の階調情報を処理する、画像処理装置である。
【0008】
本態様によれば、印刷又は読み取りに応じて読取画像の階調情報を処理することができる。
【0009】
印刷情報は、画像の階調に関する情報を含むことが好ましい。これにより、画像の階調に応じた読取画像階調情報処理テーブルを選択することができる。
【0010】
画像の階調に関する情報は、インク量と濃度との少なくとも一方を含むことが好ましい。これにより、画像のインク量と濃度との少なくとも一方に応じた読取画像階調情報処理テーブルを選択することができる。
【0011】
印刷情報は、読取画像の階調情報が処理された階調情報処理画像を用いる後工程の機能情報を含むことが好ましい。これにより、後工程の機能に応じた読取画像階調情報処理テーブルを選択することができる。
【0012】
機能情報は、画像を印刷したインクジェットヘッドのノズルの曲がり量検知と、ムラ補正と、印刷物の検品との少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、インクジェットヘッドのノズルの曲がり量検知と、ムラ補正と、印刷物の検品とに応じた読取画像階調情報処理テーブルを選択することができる。
【0013】
印刷情報は、基材に関する情報を含むことが好ましい。これにより、基材に応じた読取画像階調情報処理テーブルを選択することができる。
【0014】
基材は透明であり、基材に関する情報は、厚みと、光透過度との少なくとも一方を含むことが好ましい。これにより、透明基材の厚みと、光透過度との少なくとも一方に応じた読取画像階調情報処理テーブルを選択することができる。
【0015】
照明情報は、反射照明と透過照明とのいずれかの情報を含むことが好ましい。これにより、反射照明と透過照明とに応じた読取画像階調情報処理テーブルを選択することができる。
【0016】
プロセッサは、複数の読取画像階調情報処理テーブルをそれぞれ読取画像に使用して階調情報を処理した複数の階調情報処理画像を保持し、複数の階調情報処理画像から後工程で使用する階調情報処理画像を少なくとも1つ選択することが好ましい。これにより、後工程に適した階調情報処理画像を選択することができる。
【0017】
読取画像の階調情報の処理は、階調ビット数を縮小する処理を含んでもよい。本態様は、読取画像の階調ビット数を縮小しつつ階調情報を処理する場合に好適である。
【0018】
上記目的を達成するための読取装置の一の態様は、基材に印刷された画像に照明光を照射する照明と、基材に印刷された画像を読み取って読取画像を生成するインラインセンサと、上記に記載の画像処理装置と、を備えた読取装置である。
【0019】
本態様によれば、印刷又はインラインセンサによる読み取りに応じて読取画像の階調情報を処理することができる。
【0020】
上記目的を達成するための印刷装置の一の態様は、基材にインクを付与して画像を印刷するインクジェットヘッドと、上記に記載の読取装置と、を備えた印刷装置である。
【0021】
本態様によれば、インクジェットヘッドによる印刷又はインラインセンサによる読み取りに応じて読取画像の階調情報を処理することができる。
【0022】
上記目的を達成するための画像処理方法の一の態様は、基材に印刷された画像の読取画像を取得する読取画像取得工程と、画像が印刷された際のインク色情報を含む印刷情報と、画像が読み取られた際の照明情報を含む読取条件と、の少なくとも一方を取得する印刷情報読取条件取得工程と、印刷情報と読取条件との少なくとも一方に基づいて複数の読取画像階調情報処理テーブルから少なくとも1つの読取画像階調情報処理テーブルを選択するテーブル選択工程と、選択した読取画像階調情報処理テーブルを使用して読取画像の階調情報を処理する階調情報処理工程と、を備える画像処理方法である。
【0023】
本態様によれば、印刷又は読み取りに応じて読取画像の階調情報を処理することができる。
【0024】
上記目的を達成するためのプログラムの一の態様は、上記に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。このプログラムが記録された、コンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体も本態様に含んでよい。
【0025】
本態様によれば、印刷又は読み取りに応じて読取画像の階調情報を処理することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、印刷又は読み取りに応じて読取画像の階調情報を処理することができる。したがって、後工程の検知及び補正を適切に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、読取階調値の10bitから8bitへの変換を説明するための図である。
【
図2】
図2は、読取階調値の10bitから8bitへの変換を説明するための図である。
【
図3】
図3は、同一の濃度チャートを読み取った読取画像と読取画像から取得した読取階調値との一例を示す図である。
【
図4】
図4は、白インクで印刷された濃度チャートの読取画像を示す図である。
【
図5】
図5は、画像検査装置10の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る画像検査方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、画像検査方法における画像検査装置の処理を示すプロセス図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る画像検査方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、画像検査方法における画像検査装置の処理を示すプロセス図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る画像検査方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、画像検査方法における画像検査装置の処理を示すプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0029】
<読取画像の階調変換>
インクジェット印刷装置で使用しているインラインセンサは、読取階調値が10bitである。このインラインセンサの読取階調値を10bitから8bitに変換する際に線形変換すると、低階調領域(高濃度部)において読取階調値が0に張り付いてしまう「黒つぶれ」現象が発生する。
【0030】
図1は、読取階調値の10bitから8bitへの変換を説明するための図である。
図1に示すF1Aは、読取画素位置と10bitの読取階調値との関係の一例を表している。
図1に示すF1Bは、10bitから8bitへの階調変換に用いる階調変換テーブルを表している。F1Bの横軸は階調変換前の入力である10bitの階調値であり、縦軸は階調変換後の出力である8bitの階調値である。F1Bに示す階調変換テーブルは、線形の入出力特性を有している。また、
図1に示すF1Cは、F1Aの10bitの読取階調値をF1Bの階調変換テーブルを用いて8bitの読取階調値に階調変換した場合の読取画素位置と8bitでの読取階調値との関係を表している。
【0031】
F1Cに示すように、10bit(0~1023)から8bit(0~255)への階調変換を線形に実施すると、10bitのうち下位3bitの階調値は8bitでは全て0になる。
【0032】
このため、10bitから8bitへの階調変換の際に高濃度部の分解能を相対的に高くするような階調変換テーブルを用いて階調変換を行う。
【0033】
図2は、読取階調値の10bitから8bitへの階調変換を説明するための図である。
図2に示すF2Aは、読取画素位置と10bitでの読取階調値との関係の一例を表しており、
図1に示したF1Aと同様の関係である。
図2に示すF2Bは、低階調領域の分解能を相対的に高くし(階調を持ち上げ)、高階調領域の分解能を相対的に低くする(階調を寝かせる)入出力特性を有する階調変換テーブルを表している。また、
図2に示すF2Cは、F2Aの10bitの読取階調値をF2Bの階調変換テーブルを用いて8bitの読取階調値に階調変換した場合の読取画素位置と8bitでの読取階調値との関係を表している。
【0034】
F2Cに示すように、F2Bに示すような階調変換テーブルを用いることで、黒つぶれ現象が発生することなく適切に8bitに変換することができる。この黒つぶれ現象は、インラインセンサの特性によるものであるため、全ての読取画像に対して共通の階調変換テーブルを使用している。
【0035】
<技術的課題>
共通の階調変換テーブルを使用する場合、印刷及び読み取りによっては最適な階調変換テーブルが異なる場合に対応できない。例として、読取装置の照明が反射照明の場合と透過照明の場合とで適した階調変換テーブルが異なることが考えられる。
【0036】
図3は、同一の濃度チャートを読み取った読取画像と読取画像から取得した読取階調値との一例を示す図である。ここでは、レッド(R)、グリーン(G)、及びブルー(B)のカラーCCD(Charge Coupled Device)リニアイメージセンサを用いて読取画像を取得しており、読取階調値はグリーン(G)の値を示している。
図3のF3Aは反射照明によって基材に照明光を照射して読み取った読取画像を示している。
図3のF3BはF3Aの読取画像から取得した読取階調値を示しており、F3Bの横軸は濃度パッチの位置であり、縦軸は読取階調値である。
【0037】
また、
図3のF3Cは透過照明によって基材に照明光を照射して読み取った読取画像を示している。
図3のF3DはF3Cの読取画像から取得した読取階調値を示しており、F3Bの横軸は濃度パッチの位置であり、縦軸は読取階調値である。
【0038】
F3BとF3Dとを比較すると、同一の濃度チャートにもかかわらず読取階調値が大きく異なっており、読取特性が大きく変化していることがわかる。階調変換テーブルは読取装置の読取特性に大きく影響するため、反射照明と透過照明との2条件でそれぞれ異なる階調変換テーブルを保持しておき、使い分ける必要があることがわかる。
【0039】
さらに、プロセスカラーインクで印刷された画像と白インクで印刷された画像についても同様に、適した階調変換テーブルが異なることが考えられる。
【0040】
図4は、白インクで印刷された濃度チャートの読取画像を示す図である。
図4のF4Aは白インクの濃度チャートを読み取った読取画像そのものを示しており、F4BはF4Aの読取画像の階調を反転させた読取画像を示している。F4Bに示すように、白インクで印刷された濃度チャートは、読取画像の階調を反転させることにより、プロセスカラーインクの濃度チャートと同様の検知及び補正アルゴリズムを使用することが可能となる。したがって、プロセスカラーインクで印刷された画像と白インクで印刷された画像とでそれぞれ異なる階調変換テーブルを保持しておき、使い分ける必要がある。
【0041】
さらに、インラインセンサによって読み取った読取画像を用いた機能については、インクジェットヘッドのノズルの曲がり量検知(NCP:Nozzle Check Print)、ムラ補正(ACP:Auto Calibration Print)、及び印刷物の検品等が挙げられるが、これらにおいても適した階調変換テーブルが異なることがある。
【0042】
例えば、ムラ補正では特に高濃度部まで有効な読取値が必要なため、前述のように高濃度部の分解能を相対的に高くする階調変換が有効である。これに対し、ノズル曲がり検知においては、低~中濃度の領域において検知を実施しているため、ムラ補正とは異なる階調変換が有効となる。さらに、印刷物の検品においては、不特定多数の画像に対して検査を行うため、検査画像の中で使用している階調値に応じて階調変換テーブルを使い分けることが有効的である。
【0043】
なお、インラインセンサの複数の受光素子の感度差を補正する感度補正のためのキャリブレーション時においては、共通の階調変換テーブルを使用する必要がある。
【0044】
<画像検査装置の構成>
画像検査装置10について説明する。画像検査装置10は、基材に印刷された画像の読取画像を取得し、取得した読取画像から画像を印刷した印刷装置の補正及び検知等を行うための装置である。
【0045】
図5は、画像検査装置10の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、画像検査装置10は、上位システム12と、読取システム16と、画像処理部24とを備える。
【0046】
上位システム12は、入力装置14と、不図示のディスプレイとを備える。入力装置14は、操作ボタン、キーボード、及びタッチパネル等を備える。上位システム12は、入力装置14からのユーザに応じて読取システム16と画像処理部24とを制御する。
【0047】
また、上位システム12は、不図示の通信インターフェースを備え、不図示の印刷装置と通信可能に接続される。
【0048】
読取システム16は、基材に印刷された画像の読取画像を取得する。ここでは、基材に印刷された画像は、カラーインクと、白インクとの少なくとも一方を用いて印刷されている。読取システム16は、インラインセンサ18と、反射照明20と、透過照明22とを備える。
【0049】
インラインセンサ18は、基材に印刷された画像を撮像して電気信号に変換し、読取画像を生成する撮像デバイスを含む。撮像デバイスとしてカラーCCDリニアイメージセンサを用いることができる。なお、カラーCCDリニアイメージセンサに代えて、カラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)リニアイメージセンサを用いることもできる。
【0050】
反射照明20は、基材のインラインセンサ18側から基材に向けて照明光を照射する光源である。反射照明20は、基材に向けてリング状に光を照射するリング照明であってもよい。
【0051】
透過照明22は、基材のインラインセンサ18とは反対側から基材に向けて照明光を照射する光源である。
【0052】
画像処理部24(画像処理装置の一例)は、読取システム16から出力された読取画像に対して階調変換処理を含む画像処理を施し、画像処理後の画像に基づいて印刷装置の補正及び検知等を行う。
【0053】
画像処理部24は、プロセッサ26と、メモリ28と、読取画像階調情報制御部30と、補正検知等処理部34とを備える。
【0054】
プロセッサ26は、メモリ28に記憶された命令を実行する。メモリ28は、プロセッサ26に実行させるための命令を記憶する。プロセッサ26とメモリ28とにより、画像処理部24は読取画像に対して所望の画像処理を行う。
【0055】
プロセッサ26のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、画像処理に特化したプロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0056】
プロセッサ26は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、或いはCPUとFPGAの組み合わせ、又はCPUとGPUの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0057】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0058】
読取画像階調情報制御部30は、読取画像階調変換テーブル記憶部32を備える。読取画像階調変換テーブル記憶部32は、複数の読取画像階調変換テーブル(読取画像階調情報処理テーブルの一例)を、それぞれ印刷情報と読取条件との少なくとも一方に紐付けて記憶している。読取画像階調情報制御部30は、読取画像階調変換テーブルを使用して読取画像の階調情報を処理する。
【0059】
補正検知等処理部34は、印刷装置に関する補正及び検知を行う。例えば、補正検知等処理部34は、印刷装置に備えられた不図示のインクジェットヘッドの濃度補正値を算出する。また、補正検知等処理部34は、インクジェットヘッドの不図示の複数のノズルから不吐ノズル等の不良ノズルを検知する。算出された濃度補正値と、検知された不良ノズルの情報とは、上位システム12を介して印刷装置に出力される。
【0060】
ここでは、画像処理部24が読取画像階調情報制御部30を備えているが、この構成に限定されず、読取システム16が読取画像階調情報制御部30を備えてもよい。また、読取画像階調情報制御部30と、補正検知等処理部34との処理は、プロセッサ26が行ってもよい。さらに、読取画像階調変換テーブル記憶部32に代えて、メモリ28が複数の読取画像階調変換テーブルを記憶してもよい。
【0061】
<第1の実施形態>
図6は、第1の実施形態に係る画像検査方法の一例を示すフローチャートである。また、
図7は、画像検査方法における画像検査装置10の処理を示すプロセス図である。画像検査方法は、コンピュータに実現させるプログラムとして構成されてもよい。また、プログラムは、CD-ROM(Compact Disc read-only memory)等の非一時的な情報記憶媒体に記録されてもよい。プログラムは、インターネット等の通信ネットワークを利用してダウンロードサービスとして提供されてもよい。
【0062】
第1の実施形態では、反射照明を用いて読み取りを行った読取画像に対し、印刷情報に応じて階調変換処理を施す例を説明する。なお、処理順序及び通信経路等は
図6及び
図7の例に限定されない。
【0063】
ステップS1では、ユーザは入力装置14を用いて印刷情報の一例として画像のインク色を入力する。上位システム12は、入力装置14からの入力に従ってインク色を決定する。ここでは、決定したインク色は白であるとする。
【0064】
ステップS2では、上位システム12は、読取画像階調情報制御部30に決定したインク色を伝達する。ここでは、上位システム12は、読取画像階調情報制御部30にインク色が白であることを伝達する。
【0065】
ステップS3(印刷情報読取条件取得工程の一例、テーブル選択工程の一例)では、読取画像階調情報制御部30は、上位システム12からインク色を取得する。また、読取画像階調情報制御部30は、読取画像階調変換テーブル記憶部32に記憶された複数の読取画像階調変換テーブルの中から、取得したインク色に紐付けられた読取画像階調変換テーブルを選択する。ここでは、読取画像階調情報制御部30は、白のインク色に紐付けられた読取画像階調変換テーブルBを選択する。
【0066】
ステップS4では、上位システム12は、読取システム16に対して画像の読取を指示する。ここでは、上位システム12は、反射照明20を用いた画像の読取を指示する。この画像は、白のインクによって基材に印刷された画像である。
【0067】
ステップS5(読取画像取得工程の一例)では、読取システム16は、読取画像を取得する。すなわち、読取システム16は、反射照明20によって基材に向けて照明光を照射して、インラインセンサ18によって基材に印刷された画像を読み取る。
図7に示すI
1は、読取システム16が取得した読取画像の一例である。ここでは、読取画像は10bitの階調情報を有するデータである。
【0068】
ステップS6では、読取システム16は、取得した読取画像I1を画像処理部24に伝達する。
【0069】
ステップS7(階調情報処理工程の一例)では、画像処理部24の読取画像階調情報制御部30は、ステップS6で取得した読取画像I
1に対して、ステップS3で選択した読取画像階調変換テーブルBを使用して階調変換処理を施す。
図7に示すI
2は、階調変換処理後の画像(階調情報処理画像の一例)の一例である。階調変換処理は、階調ビット数を縮小する処理を含む。ここでは、階調変換処理後の画像は8bitの階調情報を有するデータである。
【0070】
最後に、ステップS8では、補正検知等処理部34は、画像I2に対して画像処理を実施する。ここでは、基材に印刷された画像は濃度補正用チャートであるので、補正検知等処理部34は、画像I2に基づいてノズルごとの濃度補正値を算出する処理を実施する。
【0071】
以上により、画像検査方法を終了する。なお、画像検査方法のステップS2~S7は、画像処理方法を構成する。
【0072】
以上のように、上位システム12から画像の印刷情報を取得し、複数の読取画像階調変換テーブルの中から取得した印刷情報に紐付いた読取画像階調変換テーブルを選択し、選択した読取画像階調変換テーブルを使用してその印刷情報で印刷された画像を読み取った読取画像の階調変換を施すようにしたので、読取画像に対して最適な階調変換処理を行うことができ、階調変換処理後の画像を用いて高品質な検知及び補正等の後工程を行うことができる。
【0073】
本実施形態によれば、印刷情報としてインク色情報を使用し、カラーインクに紐付いた読取画像階調変換テーブルと白インクに紐付いた読取画像階調変換テーブルとを選択可能にしたので、白インクのように他のカラーインクとは異なる読取特性のものに対しても、独自の階調変換を適用することができ、後工程の画処理アルゴリズムを他のカラーインクと共通化することができる。
【0074】
上位システム12は、印刷情報を不図示の通信インターフェースを介して印刷装置から取得してもよい。
【0075】
印刷情報は、画像の階調に関する情報を含んでもよいし、基材に関する情報を含んでもよいし、読取画像の階調情報が処理された階調情報処理画像を用いる後工程の機能情報を含んでもよいし、画像の種類の情報を含んでもよい。
【0076】
画像の階調に関する情報は、インク量と濃度との少なくとも一方を含んでもよい。例えば、インク量が相対的に多い画像に紐付いた読取画像階調変換テーブルとインク量が相対的に少ない画像に紐付いた読取画像階調変換テーブルとを選択可能にしてもよい。また、インク量を多段階に分割し、それぞれのインク量に紐付いた読取画像階調変換テーブルを選択可能にしてもよい。
【0077】
基材に関する情報は、厚みと、光透過度との少なくとも1つを含んでもよい。基材の光透過度は、基材の種類として取得してもよい。
【0078】
後工程の機能情報は、画像を印刷したインクジェットヘッドのノズルの曲がり量検知と、ムラ補正と、印刷物の検品との少なくとも1つを含んでもよい。ノズルの曲がり量検知とは、各ノズルから吐出されるインクの着弾位置と理想的な着弾位置との差を検知することである。ムラ補正とは、各ノズルから吐出されるインク量の調整を行うことで、ノズル毎の吐出量のばらつきを解消し、画像の濃度ムラを補正することである。印刷物の検品とは、印刷物の良否を判定するために印刷物に発生した画像不良を検出することである。
【0079】
後工程の機能情報は、印刷装置のモードとして取得してもよい。画像の種類の情報は、NCP用チャートと、ACP用チャート(濃度チャート)との少なくとも一方を含んでもよい。
【0080】
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態に係る画像検査方法の一例を示すフローチャートである。また、
図9は、画像検査方法における画像検査装置10の処理を示すプロセス図である。第2の実施形態では、白インクで印刷された画像を読み取った際の読取条件に応じて読取画像に階調変換処理を施す例を説明する。
【0081】
ステップS11では、ユーザは入力装置14を用いて読取条件の一例として照明情報を入力する。照明情報は、読取システム16で使用する照明に関する情報であり、ここでは反射照明20と透過照明22とのいずれかの情報を含む。上位システム12は、入力装置14からの入力に従って使用する照明を反射照明20と透過照明22とのいずれかに決定する。ここでは、決定した照明は透過照明22であるとする。
【0082】
ステップS12では、上位システム12は、読取画像階調情報制御部30に決定した照明情報を伝達する。ここでは、上位システム12は、読取画像階調情報制御部30に照明が透過照明22であることを伝達する。
【0083】
ステップS13(印刷情報読取条件取得工程の一例、テーブル選択工程の一例)では、読取画像階調情報制御部30は、上位システム12から照明情報を取得する。また、読取画像階調情報制御部30は、読取画像階調変換テーブル記憶部32に記憶された複数の読取画像階調変換テーブルの中から、取得した照明情報に紐付けられた読取画像階調変換テーブルを選択する。ここでは、読取画像階調情報制御部30は、透過照明22に紐付けられた読取画像階調変換テーブルAを選択する。
【0084】
ステップS14では、上位システム12は、読取システム16に対して画像の読取を指示する。ここでは、上位システム12は、ステップS11で決定した透過照明22を用いた画像の読取を指示する。この画像は、白のインクによって基材に印刷された画像である。
【0085】
ステップS15(読取画像取得工程の一例)では、読取システム16は、読取画像を取得する。すなわち、読取システム16は、透過照明22によって基材に向けて照明光を照射して、インラインセンサ18によって基材に印刷された画像を読み取る。
図9に示すI
11は、読取システム16が取得した読取画像の一例である。
【0086】
ステップS16では、読取システム16は、取得した読取画像I11を画像処理部24に伝達する。
【0087】
ステップS17(階調情報処理工程の一例)では、画像処理部24の読取画像階調情報制御部30は、ステップS16で取得した読取画像I
11に対して、ステップS13で選択した読取画像階調変換テーブルAを使用して階調変換処理を施す。
図9に示すI
12は、階調変換処理後の画像の一例である。
【0088】
最後に、ステップS18では、補正検知等処理部34は、画像I12に対して画像処理を実施する。ここでは、補正検知等処理部34は、画像I12に基づいてノズルごとの濃度補正値を算出する処理を実施する。
【0089】
以上により、画像検査方法を終了する。第1の実施形態と同様に、画像検査方法のステップS12~S17は、画像処理方法を構成する。
【0090】
以上のように、画像検査装置10は、上位システム12から読取条件を取得し、複数の読取画像階調変換テーブルの中から取得した読取条件に適した読取画像階調変換テーブルを選択し、選択した読取画像階調変換テーブルを使用して画像をその読取条件で読み取った読取画像の階調変換を施すようにしたので、読取画像に対して最適な階調変換処理を行うことができ、階調変換処理後の画像を用いて高品質な検知及び補正等の後工程を行うことができる。
【0091】
本実施形態によれば、読取条件として読取システム16で使用する照明に関する情報を使用することで、反射照明20と透過照明22とのいずれを使用する場合であっても独自の階調変換処理を適用することができ、後工程の画処理アルゴリズムを他のカラーインクと共通化することができる。
【0092】
上位システム12は、読取条件を読取システム16から取得してもよい。画像処理部24は、読取条件を読取システム16から直接取得してもよい。照明情報は、照明光の照度の情報であってもよい。
【0093】
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態に係る画像検査方法の一例を示すフローチャートである。また、
図11は、画像検査方法における画像検査装置10の処理を示すプロセス図である。第3の実施形態は、1つの読取画像に対して複数の読取画像階調変換テーブルを使用し、それぞれ階調変換処理を施した複数の画像を保持する例を説明する。
【0094】
ステップS21では、上位システム12は、読取システム16に対して画像の読取を指示する。ここでは、上位システム12は、反射照明20を用いた画像の読取を指示する。
【0095】
ステップS22(読取画像取得工程の一例)では、読取システム16は、読取画像を取得する。すなわち、読取システム16は、反射照明20によって基材に向けて照明光を照射して、インラインセンサ18によって基材に印刷された画像を読み取る。
図11に示すI
21は、読取システム16が取得した読取画像の一例である。
【0096】
ステップS23では、読取システム16は、取得した読取画像I21を画像処理部24に伝達する。
【0097】
ステップS24(テーブル選択工程の一例、階調情報処理工程の一例)では、画像処理部24の読取画像階調情報制御部30は、ステップS22で取得した読取画像I
21に対して、読取画像階調変換テーブル記憶部32に記憶された複数の読取画像階調変換テーブルを使用して階調変換処理を施す。
図11に示すI
22は、読取画像階調変換テーブルCを使用して階調変換処理を施した階調変換後の画像の一例であり、I
23は、読取画像階調変換テーブルDを使用して階調変換処理を施した階調変換後の画像の一例である。
【0098】
ステップS25では、画像処理部24は、ステップS24で階調変換した複数の階調変換後の画像をメモリ28に保存する。
【0099】
ステップS26では、画像処理部24は、階調変換後の画像を使用する後工程の機能を取得する。画像処理部24は、後工程の機能を例えば上位システム12から取得する。また、画像処理部24は、ステップS25で保存した複数の階調変換後の画像のうち、後工程の機能に適した階調変換後の画像を選択する。例えば、複数の階調変換後の画像についてそれぞれ画像全体のコントラストを算出し、コントラストが大きい階調変換後の画像を選択する。画像処理部24は、この処理を行う不図示の画像選択部を備えてもよい。また、画像を選択する処理を補正検知等処理部34において行ってもよいし、補正検知等処理部34が画像選択部を備えてもよい。
【0100】
最後に、ステップS27では、補正検知等処理部34は、ステップS26で選択された階調変換後の画像に対して画像処理を実施する。ここでは、補正検知等処理部34は、ステップS26で選択された階調変換後の画像に基づいてノズルごとの濃度補正値を算出する。
【0101】
以上により、画像検査方法を終了する。画像検査方法のステップS21~S26は、画像処理方法を構成する。
【0102】
以上のように、読取画像に対して複数の読取画像階調変換テーブルを使用して階調変換処理を施し、階調変換処理が施された複数の階調変換後の画像の中から後工程に適した階調変換後の画像を選択するようにしたので、補正及び検知等の後工程を適切に行うことができる。
【0103】
第3の実施形態では、複数の読取画像階調変換テーブルを用いてそれぞれ階調変換処理を施すため、第1の実施形態及び第2の実施形態と比較して処理量が増加する。しかしながら、読取画像に基づいて基材に印刷された画像の良否を判定する検品を実施する場合、不特定多数の画像を検品するため、検品に最適な読取画像階調変換テーブルは画像によって異なってくる。第3の実施形態によれば、複数の階調変換後の画像を比較することができるため、検品に適した階調変換後の画像を選択することができる。例えば、後工程が印刷物の検品であれば、画像不良の検出を実施しやすい階調変換処理後画像を選択すればよい。
【0104】
<インクジェット印刷装置>
画像検査装置10を適用したインクジェット印刷装置50について説明する。
図12は、インクジェット印刷装置50の概略図である。インクジェット印刷装置50は、非浸透媒体であるウェブ状のフィルム基材1にシングルパス方式で画像を印刷する印刷装置である。
【0105】
フィルム基材1は、軟包装に用いられる透明の媒体である。フィルム基材1は、例えばONY(Oriented Nylon)、OPP(Oriented Poly Propylene)、PET(Polyethylene Terephthalate)である。透明とは、可視光の透過率が30%以上100%以下であることをいい、好ましくは70%以上100%以下であることをいう。
【0106】
インクジェット印刷装置50は、フィルム基材1に対して印刷対象が印刷面とは反対側の面から視認される裏刷りの印刷物を製造する。
【0107】
図12に示すように、インクジェット印刷装置50は、複数のパスローラ52と、インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wと、読取システム16とを備える。
【0108】
インクジェット印刷装置50は、フィルム基材1を不図示のメインフィードローラによって、インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wと対向する位置に搬送し、続いて読取システム16のインラインセンサ18と対向する位置に搬送する。複数のパスローラ52は、フィルム基材1の搬送経路に沿って所定の間隔で配置され、フィルム基材1の裏面側をガイドする。
【0109】
インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wは、それぞれ搬送されるフィルム基材1に対して1回の走査によって印刷可能なライン型記録ヘッドである。インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wは、それぞれ複数のヘッドモジュールをフィルム基材1の幅方向に繋ぎ合わせて構成される。
【0110】
インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wは、搬送経路に沿って一定の間隔で、それぞれ不図示のノズル面がパスローラ52に対向して配置される。インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wのそれぞれのノズル面には、水性インクの吐出口である複数のノズルが二次元配列されている。
【0111】
インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wは、それぞれクロ(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びホワイト(W)の水性インクを吐出する。K、C、M、及びYの水性インクは、カラーインクである。Wの水性インクは、白インクである。水性インクとは、水と水に可溶な溶媒に染料、顔料等の色材とを溶解又は分散させたインクをいう。各水性インクの顔料は、有機系の顔料が用いられる。インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wには、それぞれ対応する色の不図示のインクタンクから不図示の配管経路を経由して、水性インクが供給される。
【0112】
インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wのうち少なくとも1つは、搬送されるフィルム基材1の印刷面に向けて水性インクの液滴を吐出する。吐出された液滴はフィルム基材1の印刷面に付与され、フィルム基材1に画像が印刷される。インクジェット印刷装置50は、インクジェットヘッド54K、54C、54M、及び54Yにより画像を印刷した後、インクジェットヘッド54Wにより白色背景画像を印刷することで、裏刷りの印刷物を製造することができる。
【0113】
なお、ここでは4色のカラーインクと白インクとを用いる構成を示したが、インク色と色数については本実施形態に限定されない。また、各色のインクジェットヘッドの配置順序も限定されない。
【0114】
読取システム16のインラインセンサ18と反射照明20とは、フィルム基材1の印刷面とは反対面側に、フィルム基材1に対向して配置される。透過照明22は、インラインセンサ18と対向する位置であって、フィルム基材1の印刷面側に配置される。インラインセンサ18と反射照明20とをフィルム基材1の印刷面側に配置し、透過照明22をフィルム基材1の印刷面とは反対面側に配置してもよい。読取システム16は、上位システム12(
図5参照)と、画像処理部24(
図5参照)とに通信可能に接続される。
【0115】
読取システム16は、インクジェットヘッド54K、54C、54M、54Y、及び54Wにおいてフィルム基材1に印刷された濃度チャート等のテストパターン画像を読み取る。
【0116】
<その他>
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0117】
1…フィルム基材
10…画像検査装置
12…上位システム
14…入力装置
16…読取システム
18…インラインセンサ
20…反射照明
22…透過照明
24…画像処理部
26…プロセッサ
28…メモリ
30…読取画像階調情報制御部
32…読取画像階調変換テーブル記憶部
34…補正検知等処理部
50…インクジェット印刷装置
52…パスローラ
54C…インクジェットヘッド
54K…インクジェットヘッド
54M…インクジェットヘッド
54W…インクジェットヘッド
54Y…インクジェットヘッド
S1~S8…画像検査方法の各ステップ
S11~S18…画像検査方法の各ステップ
S21~S27…画像検査方法の各ステップ