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  • 特許-自動分析装置 図1
  • 特許-自動分析装置 図2
  • 特許-自動分析装置 図3
  • 特許-自動分析装置 図4A
  • 特許-自動分析装置 図4B
  • 特許-自動分析装置 図5A
  • 特許-自動分析装置 図5B
  • 特許-自動分析装置 図5C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20231027BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20231027BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G01N35/00 Z
G01N35/02 F
G01N35/04 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022539998
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005311
(87)【国際公開番号】W WO2022024425
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2020128176
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩松 智昭
(72)【発明者】
【氏名】大草 武徳
(72)【発明者】
【氏名】末成 元
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-528531(JP,A)
【文献】米国特許第8087735(US,B1)
【文献】特開2006-17727(JP,A)
【文献】特開2003-177138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する分析部と、前記検体の分注に用いられる分注チップや前記検体と試薬との反応に用いられる反応セルを含む消耗品が収納される消耗品ケースと、前記消耗品ケースから前記消耗品を搬送する消耗品搬送部と、前記分析部と前記消耗品ケースと前記消耗品搬送部とを覆う本体カバーと、を備える自動分析装置であって、
前記消耗品ケースは、前記消耗品が配列されるトレーと、前記トレーを覆うとともに前記消耗品搬送部が通過する開放部が側面に設けられる消耗品カバーと、を有し、
前記消耗品カバーは、前記開放部の側の端部に上方へ突き出る障壁部を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記消耗品カバーの上面には、前記開放部の側が高い傾斜面が設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動分析装置であって、
前記開放部の側よりも奥の方向に、少なくともインキュベータ、チップバッファ、検体分注部のうち何れか一つが配置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記消耗品カバーには、前記開放部が設けられない側面の下端部に、水平方向に突き出る庇部が設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動分析装置であって、
前記消耗品ケースは、前記トレーが収納され、上方に開口を有する囲い部をさらに有し、
前記開口の周囲には、前記庇部の下面と対向する面を有する凸部が設けられ、
前記庇部は前記凸部よりも水平方向に突出することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項4に記載の自動分析装置であって、
前記庇部の外周部には、上方へ突き出る障壁部が設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自動分析装置であって、
前記庇部の根元または前記障壁部の根元には、R形状を有する隅部が設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記消耗品ケースは、前記トレーが収納され、上方に開口を有する囲い部をさらに有し、
前記開口の周囲には、上方へ突き出る障壁部が設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記消耗品カバーは、前記開放部が設けられない側面の端部にも前記障壁部を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記消耗品カバーは、前記試薬を収容する試薬容器が挿入される窪みを上面に有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項10に記載の自動分析装置であって、
前記窪みは、前記開放部が設けられる側面と直交する方向の長さが前記試薬容器の長辺の長さよりも短いことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記開放部の側の前記消耗品ケースの外側に、前記反応セルが搬送されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
検体を分析する分析部と、前記検体の分注に用いられる分注チップや前記検体と試薬との反応に用いられる反応セルを含む消耗品が収納される消耗品ケースと、前記消耗品ケースから前記消耗品を搬送する消耗品搬送部と、前記分析部と前記消耗品ケースと前記消耗品搬送部とを覆う本体カバーと、を備える自動分析装置であって、
前記消耗品ケースは、前記消耗品が配列されるトレーと、前記トレーを覆うとともに前記消耗品搬送部が通過する開放部が側面に設けられる消耗品カバーと、を有し、
前記消耗品カバーには、前記開放部が設けられない側面の下端部に、水平方向に突き出る庇部が設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項14】
請求項13に記載の自動分析装置であって、
前記消耗品カバーの上面には、前記開放部の側が高い傾斜面が設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項15】
請求項14に記載の自動分析装置であって、
前記開放部の側よりも奥の方向に、少なくともインキュベータ、チップバッファ、検体分注部のうち何れか一つが配置されることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、患者から供される血液や尿等の検体に含まれる特定成分を分析する装置であり、病院や検査施設で用いられる。検体の分注に用いられる分注チップや検体と試薬との反応に用いられる反応セルは、異物混入を防止するために使い捨ての消耗品として扱われ、消耗品用のケース等に収納される。
【0003】
特許文献1には、複数の分注チップが保持されるチップ保持板と、チップ保持板が嵌め込まれる開口を上方に有する四角箱体である本体部と、本体部が嵌め込まれる開口を下方に有する開閉可能な長方箱である蓋部と、を有するチップ収納ケースが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-221200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では分注チップを取り出すために蓋部を開く必要があり、分注チップ等の消耗品の搬出を自動化するには蓋部の四側面の少なくとも一面を開放しなければならない。四側面の少なくとも一面が開放された蓋部の上面には、自動分析装置における操作者の消耗品交換作業時に交換される試薬容器や、保守作業時に洗浄液の入った容器等が置かれることがあり、試薬容器等の転倒によって液体がこぼれる場合がある。こぼれた液体が、消耗品用のケースの中の分注チップや反応セル等に達すると、検体の分析精度に影響を及ぼす。
【0006】
そこで本発明は、消耗品が収納される消耗品ケースの上で液体がこぼれた場合であっても、検体の分析精度を維持可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、検体を分析する分析部と、前記検体の分注に用いられる分注チップや前記検体と試薬との反応に用いられる反応セルを含む消耗品が収納される消耗品ケースと、前記消耗品を搬送する搬送部と、前記分析部と前記消耗品ケースと前記消耗品搬送部とを覆う本体カバーと、を備える自動分析装置であって、前記消耗品ケースは、前記消耗品が配列されるトレーと、前記トレーを覆うとともに前記消耗品搬送部が通過する開放部が側面に設けられる消耗品カバーと、を有し、前記消耗品カバーの前記開放部の側の端部には上方に突き出る障壁部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消耗品が収納される消耗品ケースの上で液体がこぼれた場合であっても、検体の分析精度を維持可能な自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】自動分析装置の全体構成の一例を示す平面図。
図2】自動分析装置の外観の一例を示す斜視図。
図3】消耗品カバーの形状の一例を示す側面図。
図4A図3のA-A断面図。
図4B図4Aの点線部内の拡大図。
図5A】消耗品カバーの庇部の形状の他の例を示す断面図。
図5B】消耗品ケースの囲い部の形状の一例を示す断面図。
図5C】消耗品カバーの形状の他の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って本発明に係る自動分析装置の好ましい実施例について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【実施例1】
【0011】
図1図2を用いて自動分析装置1の全体構成の一例を説明する。なお、自動分析装置1の左右方向をX軸、前後方向をY軸、上下方向をZ軸とし、右方向、後ろ方向、上方向を各軸の正方向とする。自動分析装置1は、患者から供される血液や尿等の検体に含まれる特定成分を分析する装置である。免疫反応を利用した免疫分析法では、抗原抗体反応により特定成分と標識物質を結合させ、標識物質から得られる発光や吸光等の信号により、特定成分を定量分析したり定性分析したりする。
【0012】
自動分析装置1は、検体搬送路5、消耗品ケース100、試薬ディスク2、インキュベータ9、検体分注部6、試薬分注部15、攪拌部16、B/F分離部30、検出部31、本体カバー4、制御部200を有する。以下、各部について説明する。
【0013】
検体搬送路5は、検体を収容する複数の検体容器が搭載される検体ラック5aを検体分注部6がアクセス可能な位置へ搬送する。検体容器に収容される検体はインキュベータ9に保持される反応セル14へ検体分注部6によって分注される。
【0014】
消耗品ケース100には、消耗品である反応セル14や分注チップ10がトレー7に配列された状態で収納される。図1には、トレー7の左側半分に反応セル14が、右側半分に分注チップ10が配列された状態が例示される。反応セル14や分注チップ10が配列されたトレー7は、消耗品供給口27から操作者によって投入される。分注チップ10は消耗品搬送部8によって把持されてトレー7からチップバッファ11へ移送された後、検体分注部6のノズルの先端に取り付けられて検体の分注に使用される。異物混入を防止するために検体分注部6が検体を分注する毎に分注チップ10は交換され、使用済みの分注チップ10はチップ廃棄孔12へ廃棄される。反応セル14は消耗品搬送部8によって把持されてトレー7からインキュベータ9へ移送され、検体と試薬との混合液の収容に用いられる。検体と試薬との反応と、反応後の分析がなされる毎に反応セル14も交換される。消耗品ケース100については、図3図4A図4Bを用いて後述する。
【0015】
試薬ディスク2には試薬を収容する複数の試薬容器3が保管される。試薬の劣化を軽減するために試薬ディスク2の内部は常温よりも低温に保たれる。また試薬ディスク2は試薬ディスクカバー21によって覆われる。なお図1では試薬容器3の配置例を表すために、試薬ディスクカバー21の一部が除かれている。また試薬ディスクカバー21には、試薬容器3を出し入れするための試薬容器装填口20が設けられる。試薬容器3に収容される試薬は、検体が分注された反応セル14へ試薬分注部15によって分注される。試薬分注部15は、試薬を分注した後、試薬ノズル洗浄部19によって洗浄される。なお、試薬容器3に収容される試薬が磁性ビーズを含む場合、試薬の分注に先立ち、先端に攪拌パドル17を有する攪拌部16によって試薬が撹拌される。攪拌部16は、試薬を撹拌した後、パドル洗浄部18によって洗浄される。
【0016】
インキュベータ9は、検体と試薬との混合液が収容される複数の反応セル14を保持するとともに、混合液を反応させるための温度範囲である目標温度の範囲内に保たれる。混合液は、インキュベータ9に反応セル14が保持される過程で目標温度の範囲内で所定の時間をかけて反応させられることによって、分析に用いられる反応液になる。インキュベータ9の形状が、図1に例示される円形状である場合、反応セル14はインキュベータ9の縁に外周に沿って配列され、インキュベータ9の回転により検体分注部6や試薬分注部15がアクセス可能な位置へ移送される。
【0017】
B/F分離部30は、搬送部37、集磁部34、プローブ33、洗浄部35、再分散部36を有し、反応液を反応生成物(Bound)と未反応(Free)の物質に分離する。搬送部37は、反応セル14をインキュベータ9からB/F分離部30へ搬送したり、B/F分離部30から検出部31へ搬送したりする。集磁部34は、反応液に含まれる磁性ビーズを集磁することにより、磁性ビーズに付着している反応生成物を未反応の物質から分離させる。プローブ33は、反応生成物から分離された未反応の物質を吸引したり、反応生成物の再分散に用いられる緩衝液を吐出したりする。洗浄部35は、プローブ33を洗浄する。再分散部36は、集磁された磁性ビーズを再分散させる。反応生成物が付着した磁性ビーズを再分散させた溶液を収容する反応セル14は、搬送部37によって検出部31へ搬送され、検出部31での処理後に、セル廃棄孔38へ廃棄される。
【0018】
検出部31は、B/F分離部30から搬送される反応セル14に収容される溶液の発光や吸光度を測定するために、光源ランプや、分光器、光電子増倍管、フォトダイオード等を備える。また溶液を所定の温度に保つために、温調機能を備えても良い。検出部31は、B/F分離部30やインキュベータ9の一部とともに検出部カバー32によって覆われる。
【0019】
本体カバー4は、検体搬送路5、消耗品ケース100、試薬ディスク2、インキュベータ9、検体分注部6、試薬分注部15、攪拌部16、B/F分離部30、検出部31等を収納し、塵埃等の混入や操作者の接触を防止する。
【0020】
制御部200は、自動分析装置1の全体動作を制御する。制御部200は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等で構成される専用のハードウェアでも良いし、ソフトウェアを実行するMPU(Micro-Processing Unit)でも良い。制御部200には入出力装置が接続され、入力装置、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等を介して分析に必要なデータが入力されたり、出力装置、例えば液晶ディスプレイやタッチパネル等に分析結果が出力されたりする。
【0021】
図3図4A図4Bを用いて、消耗品ケース100の一例について説明する。消耗品ケース100は、前述のトレー7と、消耗品カバー25、囲い部26を有する。トレー7の上には、消耗品である反応セル14や分注チップ10が配列される。
【0022】
消耗品カバー25は、トレー7を覆うとともに、消耗品搬送部8が通過する開放部を側面に有する。本実施例では、後ろ側に開放部が設けられ、消耗品搬送部8が開放部を通じてトレー7からインキュベータ9やチップバッファ11へ反応セル14や分注チップ10を搬送する。トレー7の上の消耗品の残量を操作者が目視で確認できるように、消耗品カバー25は透明な材質、例えばアクリル樹脂にしても良い。操作者がトレー7を投入するタイミングに合わせて、消耗品である反応セル14や分注チップ10の残量管理を制御部200が行っても良い。
【0023】
囲い部26は、トレー7が収容される箱であり、消耗品搬送部8がトレー7の上の消耗品にアクセスするための開口を上方に有する。囲い部26は、消耗品カバー25と同様に、消耗品搬送部8が通過する開放部を側面に有しても良い。本実施例では、後ろ側に開放部が設けられる。なお図4Aに示されるように、囲い部26は必ずしも左右対称な形状ではなく、例えば消耗品搬送部8の駆動部の側がより大きい形状であっても良い。また囲い部26の後方には水平方向に突出する嵌合部105が設けられても良い。嵌合部105は自動分析装置1の本体に嵌め込まれる。嵌合部105が設けられることにより、囲い部26を自動分析装置1の本体に取り付ける際、固定用のネジの本数を削減できる。
【0024】
図3に示すように消耗品カバー25の上面には、開放部の側が高い傾斜面104が設けられる。消耗品カバー25の後ろ側には、インキュベータ9、チップバッファ11、検体分注部6等が配置される。なお消耗品カバー25の後ろ側を、開放部の側よりも奥の方向ともいう。傾斜面104と水平面とのなす角度である傾斜角度SAは、消耗品ケース100の高さ上限等の制約から設定されてもよく、例えば2度に設定される。傾斜面104が設けられることにより、保守作業時に消耗品カバー25の上面に置かれた試薬容器3が倒されて試薬容器3の中の試薬がこぼれた場合であっても、こぼれた試薬は開放部の側へは流れない。また傾斜面104は、インキュベータ9、チップバッファ11、検体分注部6等が配置される方向に試薬がこぼれないように傾斜する。その結果、検体の分析精度を維持できる。
【0025】
図3に示すように消耗品カバー25の開放部の側の端部には、上方に突き出る障壁部101が設けられても良い。障壁部101が設けられることにより、傾斜角SAが小さく、消耗品カバー25の上でこぼれた液体が開放部の側へ向かったとしても、障壁部101によって堰き止められる。
【0026】
図3図4A図4Bに示すように消耗品カバー25の開放部が設けられない側面の下端部には、水平方向に突き出る庇部107が設けられても良い。庇部107が設けられることにより、消耗品カバー25の機械的な強度を向上させることができる。庇部107は、囲い部26の開口の周囲にネジ102によって固定されても良い。
【0027】
囲い部26の開口の周囲の一部には庇部107と対向する面を有する凸部103が設けられても良い。凸部103は囲い部26の上面から上方向に突出し、両者の段差はHAで示される。凸部103が設けられる場合、庇部107は水平方向において凸部103よりも突出することが好ましい。庇部107の水平方向長さLAを凸部103の水平方向の幅よりも長くすることにより、こぼれた液体は図4Bの点線矢印で示されるように流れ、庇部107と凸部103の隙間を通じて消耗品ケース100の中へ液体が染み込むことを抑制できる。なお、庇部107と凸部103の根元には、清掃がしやすくなるように、R形状を有する隅部106が設けられても良い。
【0028】
図5Aを用いて、庇部107の変形例について説明する。図5Aには、上方へ突き出る障壁部101が外周部に設けられた庇部107が示される。庇部107の外周に高さHBの障壁部101が設けられることにより、消耗品カバー25の上でこぼれた液体は、庇部107に達したとしても障壁部101によって堰き止められる。また障壁部101の根元には、清掃がしやすくなるように、R形状を有する隅部106が設けられても良い。隅部106をR形状にすることにより、応力集中が緩和され、障壁部101の機械的強度を向上できる。
【0029】
図5Bを用いて、囲い部26の変形例について説明する。図5Bには、上方へ突き出る障壁部101が開口の周囲に設けられた囲い部26が示される。囲い部26の開口の周囲に高さHCの障壁部101が設けられることにより、消耗品カバー25の上でこぼれた液体は、庇部107を介して囲い部26の上面に達したとしても障壁部101によって堰き止められる。また障壁部101の根元には、清掃がしやすくなるように、R形状を有する隅部106が設けられても良い。なお障壁部101と消耗品カバー25の内面との間には、毛細管現象が生じない程度の隙間を設けることが好ましい。このような隙間を設けることにより、消耗品ケース100の中への液体の染み出しを抑制できる。
【0030】
図5Cを用いて、消耗品カバー25の変形例について説明する。図5Cには、上方へ突き出る障壁部101が上面の外周に設けられた消耗品カバー25が示される。消耗品カバー25の上面の外周に高さHDの障壁部101が設けられることにより、消耗品カバー25の上でこぼれた液体は、障壁部101によって堰き止められて消耗品カバー25の上面に留まる。また障壁部101の根元には、清掃がしやすくなるように、R形状を有する隅部106が設けられても良い。
【0031】
消耗品カバー25の上面には、試薬容器3が挿入される窪み108が設けられても良い。窪み108の中に試薬容器3が挿入されることにより、試薬容器3は安定的に消耗品カバー25の上面に置かれるので、試薬容器3の転倒を抑制できる。また窪み108は、開放部が設けられる側面と直交する方向の長さ、本変形例では前後方向の長さが試薬容器3の長辺の長さよりも短いことが好ましい。そのような大きさの窪み108にすることにより、窪み108に挿入される試薬容器3は、開放部が設けられる側面と試薬容器3の長辺が平行になるように置かれるので、転倒する方向が限られる。
【0032】
以上、本発明の実施例について説明した。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形しても良い。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0033】
1:自動分析装置、2:試薬ディスク、3:試薬容器、4:本体カバー、5:検体搬送路、5a:検体ラック、6:検体分注部、7:トレー、8:消耗品搬送部、9:インキュベータ、10:分注チップ、11:チップバッファ、12:チップ廃棄孔、14:反応セル、15:試薬分注部、16:攪拌部、17:攪拌パドル、18:パドル洗浄部、19:試薬ノズル洗浄部、20:試薬容器装填口、21:試薬ディスクカバー、25:消耗品カバー、26:囲い部、27:消耗品供給口、30:B/F分離部、31:検出部、32:検出部カバー、33:プローブ、34:集磁部、35:洗浄部、36:再分散部、37:搬送部、38:セル廃棄孔、100:消耗品ケース、101:障壁部、102:ネジ、103:凸部、104:傾斜面、105:嵌合部、106:隅部、107:庇部、108:窪み、200:制御部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C