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  • 特許-回折導光板および回折導光板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】回折導光板および回折導光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
G02B5/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021506483
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2020005194
(87)【国際公開番号】W WO2020218784
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0048581
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0046117
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジェヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンスク・キム
(72)【発明者】
【氏名】スンファ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンレ・チャン
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-530406(JP,A)
【文献】国際公開第2012/132959(WO,A1)
【文献】特開2006-003624(JP,A)
【文献】特開2016-084381(JP,A)
【文献】特開2017-156388(JP,A)
【文献】特開2016-013932(JP,A)
【文献】特開2007-093803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0297107(US,A1)
【文献】特開2012-068376(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107144904(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板型下部基板、平板型上部基板、前記平板型下部基板と前記平板型上部基板の間に位置する緩衝型スペーサ、および前記平板型下部基板または平板型上部基板に含まれる回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(template)を含み、前記緩衝型スペーサによりモールディング空間が区画されるモールド装備を準備する段階;
前記モールディング空間に硬化性組成物を充填する段階;および
前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階;を含み、
前記硬化性組成物は、エピスルフィド化合物およびチオール化合物を含み、
前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階は下記式1を満たすように行われ、
前記平板型上部基板の荷重は、3.4N乃至34Nである、回折導光板製造方法。
[式1]
{(平板型上部基板の荷重(N)+硬化性組成物の硬化収縮力(N))Х0.95}≦緩衝型スペーサの圧縮応力(N)≦{(平板型上部基板の荷重(N)+硬化性組成物の硬化収縮力(N))Х1.05}
【請求項2】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の屈曲弾性率は、それぞれ3GPa以上である、請求項に記載の回折導光板製造方法。
【請求項3】
前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートは、屈曲弾性率が1乃至20GPaである、請求項またはに記載の回折導光板製造方法。
【請求項4】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の表面平坦度は、それぞれ5μm以下である、請求項からのいずれか一項に記載の回折導光板製造方法。
【請求項5】
前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数は、0.1乃至10MPaである、請求項からのいずれか一項に記載の回折導光板製造方法。
【請求項6】
前記緩衝型スペーサは、非弾性層と弾性層が積層された構造、非弾性層の間に弾性層が備えられた構造、または弾性層間に非弾性層が備えられた構造である、請求項からのいずれか一項に記載の回折導光板製造方法。
【請求項7】
前記硬化性組成物の硬化収縮率は、15%以下である、請求項からのいずれか一項に記載の回折導光板製造方法。
【請求項8】
前記エピスルフィド化合物は、ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ブタン、およびビス(2,3-エピチオプロピルチオエチル)スルフィドからなる群より選択される1種以上である、請求項からのいずれか一項に記載の回折導光板製造方法。
【請求項9】
前記チオール化合物は、m-キシリレンジチオール、p-キシリレンジチオール、o-キシリレンジチオール、2,2’-チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、および1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパンからなる群より選択された一つ以上である、請求項からのいずれか一項に記載の回折導光板製造方法。
【請求項10】
前記硬化性組成物は、イソシアネート化合物をさらに含む、請求項からのいずれか一項に記載の回折導光板製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2019年4月25日付韓国特許出願第10-2019-0048581号および2020年4月16日付韓国特許出願第10-2020-0046117号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、回折導光板および回折導光板製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、仮想現実デバイス(Virtual Reality Device)および拡張現実デバイス(Augmented Reality Device)などを利用して、ユーザーに3次元の画像を提供する装置の開発が行われている。
【0004】
仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイスは、一般的な眼鏡のようなレンズに回折導光パターンを形成して所望するイメージをユーザーに見えるようにすることができる。
【0005】
一般に、仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイス用途のレンズは、屈折率が高いガラスを使用するようになるが、ガラスは高い屈折率、光透過度、平坦度および強度を有することができるが、破損時にユーザーの眼球に致命的な損傷を加えることがあり、密度が高くて重量が重いため、長時間着用に不便さがある。
【0006】
そのために、仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイス用途に使用できるように、高い光透過度および高い屈折率を有し、ひいては軽く、破損時に相対的に安全なレンズに対する研究が必要である。
【0007】
ガラスに代替するための高屈折プラスチックの場合、非常に軽く、多様な色具現が可能であるが、表面平坦度および厚さ均一度のような物性が既存のガラスには遥かに劣るという問題点がある。
【0008】
ひいては、回折格子を形成するインプリント工程の際、強度が低くて形態変形が発生したり、高屈折具現のために無機粒子を多量使用する場合、最終製品のヘイズを誘発するだけでなく、高屈折プラスチック基材と回折格子間の界面接着力が不良であり、高い鉛筆硬度を確保することが難しいという問題点があるため、その改善のための研究が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、優れた厚さ均一度および平坦度を有すると同時に、ヘイズが低く、鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れた回折導光板を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、簡単な工程で前記回折導光板を製造する回折導光板製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書では、回折格子パターンが一面に形成された光学層を含み、前記回折格子パターンは、前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造から形成され、前記回折格子パターンと前記光学層の一面との間の屈折率差は、0.01以下である、回折導光板が提供される。
【0012】
また、本明細書では、平板型下部基板、平板型上部基板、前記平板型下部基板と前記平板型上部基板の間に位置する緩衝型スペーサ、および前記平板型下部基板または平板型上部基板に含まれる回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(template)を含み、前記緩衝型スペーサによりモールディング空間が区画されるモールド装備を準備する段階;前記モールディング空間に硬化性組成物を充填する段階;および前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階;を含み、前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階は、下記式1を満たすように行われる回折導光板製造方法が提供される。
[式1]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х0.95}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х1.05}。
【0013】
以下、発明の具体的な実施形態に係る回折導光板および回折導光板製造方法についてより詳細に説明する。
【0014】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
また、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという時、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0016】
また、使用される程度の用語「~(する)段階」または「~の段階」は、「~のための段階」を意味しない。
【0017】
発明の一実施形態によれば、回折格子パターンが一面に形成された光学層を含み、前記回折格子パターンは、前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造から形成され、前記回折格子パターンと前記光学層の一面との間の屈折率差は0.01以下である、回折導光板が提供され得る。
【0018】
本発明者らは、回折導光板に含まれる回折格子パターンが一面に形成された光学層において、前記回折格子パターンは、前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造から形成される場合、回折導光板の鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れている。また、前記回折格子パターンと前記光学層の一面との間の屈折率差が殆どないため、屈折率が異なる層の間に形成される界面により生じる透過率低下の問題またはヘイズ発生の問題がないばかりか、回折導光板に入射された光(つまり、導波(light guide)される光)が回折導光板内で全反射される効率を上げて、これを仮想現実デバイスなどに使用する場合、より輝度が高い高解像度イメージをディスプレイすることができる。
【0019】
従来の回折導光板の場合、プラスチック(またはガラス)基材上にインプリント用樹脂組成物を塗布し乾燥して樹脂層を形成した後、前記樹脂層上に回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(Template)をインプリントする工程を通じてパターン部を有する導光板を製造したが、このような方法で製造された回折導光板は、プラスチック基材とパターン部間に界面が存在し、また、界面接着力が不良で鉛筆硬度などの機械的物性を確保することが難しかった。しかし、前記一実施形態に係る回折導光板は、前記回折格子パターンが前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造から形成されて高い鉛筆硬度および強度などの優れた機械的特性を示すことができる。
【0020】
また、前記回折導光板は、ガラス(Glass)と類似する高屈折率を有してウェアラブルデバイスの回折導光レンズとして使用することができる。これによって、従来ガラスの破損で発生する問題点およびガラスの重い重量で長時間着用が難しいという問題点などを防止することができる。ひいては、前記回折導光板は、無機粒子を追加的に含まなくても高屈折率の具現が可能であり、無機粒子によるヘイズを誘発せず、ヘイズが低くて視認性が高い。また、前記回折導光板は、後述する回折導光板製造方法により製造され得、これによって優れた厚さ均一度および平坦度を有することができる。
【0021】
前記回折格子パターンと前記光学層の一面との間の屈折率差は、0.01以下、0.05以下、0.001以下、または0.001乃至0.0001であり得る。前記回折格子パターンと前記光学層の一面との間の屈折率差が0.01を超えれば界面で生じる透過率低下の問題またはヘイズが発生することがある。したがって、前記回折格子パターンと前記光学層の一面との間の屈折率差が前記範囲を満たすことによって、前記界面で生じる透過率低下の問題またはヘイズ発生の問題がないばかりか、導波(light guide)される光の全反射効率を上げてこれを仮想現実デバイスなどに使用する場合、より輝度が高いイメージをディスプレイすることができる。
【0022】
図1は前記一実施形態に係る回折導光板に含まれる光学層の断面を概略的に示した図面である。具体的に、前記光学層300は、一面に回折格子パターン200が形成されており、前記回折格子パターンは、1以上のパターン単位体400を含むことができる。
【0023】
具体的に、前記回折格子パターン200は、一側面から他側面方向に沿って離隔して備えられる2以上のパターン単位体400を含むことができる。前記パターン単位体は導波される光の回折が可能なパターンであれば特に限定しないが、四角柱、六角柱、三角錐、円錐、楕円錐、または半球などの形態を有する格子パターンであるか、バー(Bar)または縞柄パターンであり得る。一方、前記パターン単位体断面の形状は特に限定しないが、例えば、四角形、三角形、菱形、台形、放物線形状などを有することができる。前記パターン単位体断面の方向は回折導光板と垂直な方向であり得る。
【0024】
また、前記回折格子パターン200に含まれる前記パターン単位体400間の周期(pitch)は、0.1乃至1μm、0.2乃至0.9μm、0.3乃至0.8μmまたは0.4乃至0.7μmであり、高さ(height)は0.1乃至1μm、0.2乃至0.9μm、0.3乃至0.8μmまたは0.4乃至0.7μmであり得る。
【0025】
前記周期(pitch)は、パターン単位体400が繰り返される間隔を意味し、具体的に、一つのパターン単位体の一地点とこれと隣接する他の一つのパターン単位体の一地点との間の長さを意味し得る。また、一つのパターン単位体の一地点と他の一つのパターン単位体の一地点は、パターン単位体間に互いに対応する位置を意味し得、その長さの方向は光学層300と平行な方向である。また、前記高さ(height)の方向は前記光学層と垂直な方向である。
【0026】
前記回折格子パターン200に含まれる2以上のパターン単位体400を含む場合、2以上のパターン単位体の形態は同一であってもよく、具体的に、断面の形状、周期、高さなどが互いに同一であってもよい。これによって、前記回折導光板全領域で回折される光量が同一であってもよい。また、回折格子パターン200に含まれる2以上のパターン単位体400の形態は異なってもよく、具体的に、断面の形状は同一であるが周期および高さが異なってもよく、また、周期は同一であるが断面の形状および高さが異なってもよい。
【0027】
前記光学層300の厚さは、0.1乃至10mm、0.2乃至9mm、0.3乃至8mm、0.4乃至7mm、または0.5乃至5mmであり得る。前記光学層の厚さが過度に薄ければ、前記光学層を含む回折導光板に入射された光が回折導光板内部で不必要に全反射される回数が多くなり、これによって回折導光板で出射される出射光の輝度が低くなるため、このような回折導光板を仮想現実デバイスなどに使用する場合、解像度が低下することがある。一方、前記光学層の厚さが過度に厚ければ、前記光学層を含む回折導光板に対する外部光の透過率が減少して外部映像の輝度が低くなり、これによって視認性が低下することがある。
【0028】
前記回折格子パターン200が一面に形成された光学層300は、エピスルフィド化合物およびチオール(Thiol)化合物を含む高分子の連続相であり得る。
【0029】
前記回折導光板は、後述する回折導光板製造方法によりワンステップ(One-step)工程で前記回折格子パターンが一面に形成された光学層が形成されて、前記回折格子パターンは前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造から形成され、前記光学層と前記光学層の一面に形成された回折格子パターンは同一の硬化性組成物の硬化物を含むことができる。つまり、前記回折格子パターンが一面に形成された光学層は、エピスルフィド化合物およびチオール(Thiol)化合物を含む高分子の連続相であり得る。また、前記高分子の連続相は、無機粒子を含まなくても、高屈折率の具現が可能であるため、多量の無機粒子を使用する場合に発生するヘイズ誘発に関する問題点を防止することができる。
【0030】
前記エピスルフィド化合物は、1分子中にエピスルフィド基を1個以上有する化合物であれば特に制限しないが、例えば、ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ブタン、およびビス(2,3-エピチオプロピルチオエチル)スルフィドからなる群より選択される1種以上であり得る。
【0031】
前記エピスルフィド化合物の含有量は、エピスルフィド化合物およびチオール化合物100重量部を基準として、50乃至98質量部、60乃至95質量部または70乃至90質量部であり得る。
【0032】
前記チオール化合物は、1分子中にメルカプト基を1個以上有する化合物であれば特に制限しないが、例えば、m-キシリレンジチオール、p-キシリレンジチオール、o-キシリレンジチオール、2,2’-チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、および1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパンからなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0033】
前記チオール化合物の含有量は、エピスルフィド化合物およびチオール化合物100重量部を基準として、2乃至50重量部、5乃至40重量部、または10乃至30重量部であり得る。
【0034】
前記高分子の連続相は、イソシアネート化合物をさらに含むことができる。前記イソシアネート化合物は、1分子当たりイソシアネート基を1個以上有する化合物であれば特に制限しないが、例えば、キシリレンジイソシアネート化合物、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0035】
前記高分子の連続相でイソシアネート化合物の含有量は、前記高分子の連続相100重量部を基準として、1乃至20重量部、2乃至10重量部、または3乃至9重量部であり得る。
【0036】
前記高分子の連続相は、重合触媒をさらに含むことができる。重合触媒は、重合硬化を発現するものであればその種類は特に限定されないが、例えば、アミン類、ホスフィン類、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、アルデヒドとアミン系化合物の縮合物、カルボン酸とアンモニアの塩、ウレタン類、チオウレタン類、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩、第3級スルホニウム塩類、第2級ヨードニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸類、過酸化物、アゾ系化合物、酸性リン酸エステル類が挙げられる。
【0037】
より具体的に、前記重合触媒は、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、1-n-ドデシルピリジニウムクロリドなどの第4級アンモニウム塩、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミドなどの第4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0038】
前記高分子の連続相で重合触媒の含有量は、前記高分子の連続相100重量部を基準として、0.001乃至10重量部、0.005乃至5重量部、または0.01乃至3重量部であり得る。
【0039】
前記回折格子パターン200および前記光学層300の一面は、532nm波長での屈折率がそれぞれ1.65以上であり得る。一般的なガラス基材の場合、光屈折率が532nm波長で1.65以上である。したがって、前記回折格子パターンが一面に形成された光学層を含む回折導光板は、プラスチック材質にもかかわらず、ガラス基材と同等な水準の光屈折率を具現することができるため、ガラス基材に代替することができる。また高い光屈折率によりウェアラブルデバイスのレンズとして使用される場合、光損失を最小化し、光情報の移動を図ることができる。
【0040】
また、前記回折導光板のガラス転移温度は、40℃以上、40℃乃至150℃、50℃乃至130℃、または80乃至100℃であり得る。ウェアラブルデバイスの場合、持続的な映像の伝送および出力が行われ得、そのためにレンズの温度が上昇することがある。一方、前記回折導光板は、ガラス転移温度が40℃以上に具現することができるため、ウェアラブルデバイスのレンズとして使用しても温度による物性変化を最小化して高い耐久性を具現することができる。
【0041】
前記回折導光板のヘイズは、4.0%以下、2%以下、1%以下、または0.1乃至1%であり得る。前記回折導光板は、無機粒子を含まずに屈折率が1.65以上に示されることによって、ヘイズを誘発せず、視認性が高い。
【0042】
また、回折導光板の鉛筆硬度は、HB以上、H以上、または2H以上であり得る。前記回折格子パターン200は、前記光学層300の一面に界面なしに一体化した構造から形成されることによって、鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れている。
【0043】
また、前記回折導光板は、1以上のパターン単位体400を含んでいるにもかかわらず、厚さ偏差は3.0%以下、2.5%以下、1%以下、または0.1乃至1%であり得る。前記厚さ偏差の値が低いほど前記回折導光板の厚さ均一度は高いため、前記一実施形態に係る回折導光板は優れた厚さ均一度を有することができる。前記回折導光板の厚さは、0.1乃至10mmである。
【0044】
また、前記回折導光板の厚さ偏差は、下記一般式1のように導き出され得る。
[一般式1]
厚さ偏差(%)=(最大偏差/平均厚さ)Х100
【0045】
厚さは、25℃および50RH%雰囲気で、Mitsutoyo社のDigimatic Thick 547-401装備を利用した接触式測定方法を利用して、最大厚さまたは最小厚さを測定することができる。または、厚さは、25℃および50RH%でMicro-Epsilon社のIFS-2405-1またはIFC-2451-MP装備を利用した非接触式測定方法を利用して最大厚さまたは最小厚さを測定することができる。
【0046】
一方、平均厚さは、25℃および50RH%雰囲気で、Mitsutoyo社のDigimatic Thick 547-401装備を利用した接触式測定方法を利用して、任意に配置された試片の任意の点を原点として、半径10mmおよび22.5度の間隔で測定された厚さの平均値であり得る。または、平均厚さは、25℃および50RH%雰囲気で、FIBERPRO社のOWTM(Optical Wafer Thickness Measurement system)装備を利用した非接触式測定方法を利用して、任意に配置された試片の任意の点を原点として、横および縦のそれぞれに対して1mm間隔で測定された厚さの平均値であり得る。
【0047】
前記回折導光板のワープ(Warp)は、100μm以下、50μm以下、20μm以下、10μm以下、または0.1乃至10μmであり得る。前記一実施形態に係る回折導光板製造方法により製造された回折導光板は、前記ワープ範囲を満たすことができ、回折導光板のワープが100μmを超えれば回折導光板に入射された光の反射角が維持されず、これを仮想現実デバイスなどに使用する場合、解像度が低下することがある。
【0048】
ワープ(Warp)は、前記回折導光板の全体的な屈曲を数値で示したものであり、下記一般式2のように導き出され得る。
[一般式2]
ワープ=中央面と基準面の最大偏差-中央面と基準面の最小偏差
【0049】
前記一般式2で中央面は回折導光板の厚さの中間に該当する面であり、基準面は測定領域内での中央面に対する最小二乗法(Least squares fit)で計算された面である。したがって、前記ワープは、前記基準面と中央面間の最大偏差および最小偏差の差に該当する。
【0050】
一方、前記中央面は、25℃および50RH%雰囲気で、FIBERPRO社のOWTM(Optical Wafer Thickness Measurement system)装備を利用した非接触式測定方法を利用して導き出され得る。
【0051】
前記回折導光板は、ウェアラブルデバイスの回折導光レンズ用であり得る。具体的に、前記ウェアラブルデバイスは、拡張現実デバイスまたは仮想現実デバイスであり、前記回折導光板は、前記ウェアラブルデバイスのレンズとして含まれ得、前記回折導光板に含まれている回折格子パターンにより、光情報の入力、移動および送出を容易にすることができる。
【0052】
発明の他の実施形態によれば、前述した回折導光板を製造する方法を提供する。
【0053】
本発明者らは、硬化性組成物を通常のモールド装備に注入した後、硬化してプラスチック基材だけを製造する場合、硬化性組成物の硬化収縮により硬化途中に硬化物がモールド基板から剥離されて、製造されるプラスチック基材の表面に剥離痕跡が残り、厚さ均一度が大きく害される問題点があることを認識していた。また、前記モールディング工程により製造されたプラスチック基材上にインプリント用樹脂組成物を塗布し乾燥して樹脂層を形成した後、前記樹脂層上にインプリント工程を通じて回折導光板を製造する場合、プラスチック基材とインプリントされた樹脂層間の界面接着力が不良であり、高い鉛筆硬度を確保することが難しいという点を認識した上で、本発明を開発するに至った。
【0054】
前記他の実施形態に係る回折導光板製造方法は、平板型下部基板、平板型上部基板、前記平板型下部基板と前記平板型上部基板の間に位置する緩衝型スペーサ、および前記平板型下部基板または平板型上部基板に含まれる回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(template)を含み、前記緩衝型スペーサによりモールディング空間が区画されるモールド装備を準備する段階;
前記モールディング空間に硬化性組成物を充填する段階;および
前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階;を含み、
前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階は下記式1を満たす。
[式1]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х0.95}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х1.05}
【0055】
前記他の実施形態に係る回折導光板製造方法は、前記緩衝型スペーサを利用することによって、硬化性組成物の硬化時に硬化性組成物の硬化収縮により硬化物がモールド装備の平板型下部基板および平板型上部基板から剥離される現象を最小化して、表面平坦度および厚さ均一度が非常に優れた回折導光板を製造することができる。
【0056】
また、前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(template)を利用することによって、硬化性組成物が硬化されると同時に、テンプレートに陰刻された回折格子パターンが硬化物の上部または下部に圧着されて、最終製造される回折導光板の一面に回折格子パターンが形成され得る。これによって、追加的な樹脂層形成工程およびインプリント工程を行う必要なしに、簡単なワンステップ(One-Step)工程で回折格子パターンが一面に形成された光学層を含む回折導光板を製造することができ、前記回折格子パターンは、前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造から形成されることによって鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れている。
【0057】
一方、前記緩衝型スペーサの圧縮応力は、前記式1を満たす。前記緩衝型スペーサの圧縮応力は、前記平板型上部基板の荷重と前記硬化性組成物の硬化収縮力の合計の5%以内の差を有しているため、前記硬化性組成物を硬化する段階で前記硬化性組成物の硬化時に収縮により前記平板型上部基板が前記硬化性組成物に密着するようになる。そのために、製造される回折導光板は優れた表面平坦度を示すようになり、厚さ均一度も優れるように具現され得る。
【0058】
また、前記緩衝型スペーサの圧縮応力は、前記式1を満たすことによって、前記平板型下部基板または平板型上部基板に含まれる前記テンプレートも硬化性組成物に密着することができ、これによって、前記テンプレートに陰刻された回折格子パターンが硬化物の一面に回折格子パターンで鮮明に示され得る。
【0059】
一方、前記緩衝型スペーサの圧縮応力が{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х0.95}より小さい場合、平衡が到達する前に硬化が完了して回折導光板厚さの不均一が発生し、回折格子パターンが鮮明に示されないことがある。そして、前記緩衝型スペーサの圧縮応力が{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х1.05}より大きい場合、硬化時に収縮の不均一が発生して回折導光板の外観特性が不良になることがある。
【0060】
具体的に、本発明の一実施状態によれば、前記式1は下記式1-1、式1-2、または式1-3を満たすことができる。
[式1-1]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х0.97}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х1.03}
[式1-2]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х0.98}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х1.02}
[式1-3]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х0.99}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)Х1.01}
【0061】
具体的に、前記緩衝型スペーサの圧縮応力は、前記平板型上部基板の荷重と前記硬化性組成物の硬化収縮力の合計の3%以内、2%以内、または1%以内の差を有することができ、これによって、製造される回折導光板はより優れた表面平坦度を示すようになり、厚さ均一度もより優れるように具現され得る。
【0062】
前記平板型上部基板の荷重、前記硬化性組成物の硬化収縮力および前記緩衝型スペーサの圧縮応力の単位はkgfまたはNであり得る。
【0063】
前記緩衝型スペーサは、前記硬化性組成物の硬化収縮により硬化性組成物の硬化物が前記平板型上部基板から剥離されることを防止するようにする役割を果たすことができる。具体的に、前記緩衝型スペーサは、前記硬化性組成物が硬化することによって硬化収縮する程度および前記平板型上部基板の荷重を考慮した圧縮応力を有するため、前記硬化性組成物の硬化収縮により前記平板型上部基板の荷重により圧縮されて、前記硬化性組成物を硬化する段階で前記硬化性組成物と前記平板型上部基板が密着した状態を維持するようにする役割を果たすことができる。また、前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートが前記平板型上部基板に含まれて前記平板型上部基板上に位置する場合、前記緩衝型スペーサは、前記硬化性組成物を硬化する段階で前記テンプレートと硬化性組成物が密着した状態を維持するようにする役割を果たすことができる。
【0064】
前記平板型上部基板の荷重は、3.4N乃至34N、5.9N乃至27N、または7N乃至25Nであり得る。前記平板型上部基板の荷重が前記範囲内である場合、前記硬化性組成物の硬化時に硬化収縮による変形を最小化することができ、前記硬化性組成物の光硬化時に透過率低下を最小化することができ、また前記硬化性組成物の熱硬化時に反応熱の排出不均一を最小化して、前記硬化性組成物の均一な硬化を誘導することができる。一方、前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートが前記平板型上部基板に含まれて前記平板型上部基板上に位置する場合、前記平板型上部基板の荷重は前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートによる荷重を含む荷重に該当する。
【0065】
前記式1で、硬化性組成物の硬化収縮力は下記のような方法で測定され得る。具体的に、25℃および50RH%雰囲気でTA社のTexure Analyzer装備を使用し、下部ジグの上に一定量の硬化性組成物を塗布後、上部ジグを下降して硬化性組成物と接触させて力の初期値を記録する。そして、温度を90℃に上昇させて5時間維持した後、力の最終値を記録して力の最終値と初期値間の差で得られた値で測定され得る。
【0066】
前記式1で、緩衝型スペーサの圧縮応力は下記のような方法で測定され得る。具体的に、25℃および50RH%雰囲気で、TA社のTexture Analyzerを用いて試片面積5Х5mm、圧縮速度1mm/minで圧縮時、試片の変形((初期厚さ-変形後厚さ)/初期厚さ)に到達する瞬間の力の測定値であり得る。
【0067】
前記モールディング空間は、前記緩衝型スペーサにより区画され得る。具体的に、前記平板型下部基板上に回折格子パターンが陰刻されたテンプレートが備えられる場合、前記モールディング空間は、前記緩衝型スペーサにより区画され、前記テンプレートと前記平板型上部基板の間に備えられる空いた空間を意味し得る。または、前記平板型上部基板上に回折格子パターンが陰刻されたテンプレートが備えられる場合、前記モールディング空間は前記緩衝型スペーサにより区画され、前記テンプレートと前記平板型下部基板の間に備えられる空いた空間を意味し得る。
【0068】
前記他の実施形態に係る導光板製造方法は、前記モールディング空間に硬化性組成物を充填する段階を含むことができる。
【0069】
具体的に、前記硬化性組成物を充填する段階は、前記モールディング空間に前記硬化性組成物を注入して前記硬化性組成物が前記平板型下部基板(または前記平板型上部基板)と回折格子パターンが陰刻されたテンプレートに密着するように十分に満たすことを意味し得る。特に、前記硬化性組成物は、前記テンプレートの陰刻されたパターン表面全体に隙間なく密着することができる。具体的に、前記硬化性組成物を充填する段階は、前記モールディング空間に前記硬化性組成物を95vol%以上、97vol%以上、99vol%以上または100vol%で注入することを意味し得る。
【0070】
また、前記硬化性組成物を充填する段階は、前記緩衝型スペーサと平板型下部基板で区画されたモールディング空間に前記硬化性組成物を注入し、前記テンプレートを含む平板型上部基板を積層する方法;前記緩衝型スペーサと前記テンプレートを含む平板型下部基板で区画されたモールディング空間に前記硬化性組成物を注入し、前記平板型上部基板を積層する方法;または前記モールド装備に注入口を備えて前記硬化性組成物を注入する方法など多様な方法を利用することができる。
【0071】
一方、前記硬化性組成物は、光硬化性組成物または熱硬化性組成物であってもよく、回折導光板を製造するためのものであれば制限なしに適用することができる。具体的に、前記硬化性組成物は、モールドキャスティングを利用して回折導光板を製造できるものであれば制限なしに適用され得る。例えば、前記硬化性組成物は、エピスルフィド化合物およびチオール(Thiol)化合物を含むことができる。
【0072】
前記エピスルフィド化合物は、1分子中にエピスルフィド基を1個以上有する化合物であれば特に制限しないが、例えば、ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ブタン、およびビス(2,3-エピチオプロピルチオエチル)スルフィドからなる群より選択される1種以上であり得る。
【0073】
前記硬化性組成物でエピスルフィド化合物の含有量は、エピスルフィド化合物およびチオール化合物100重量部を基準として、50乃至98質量部、60乃至95質量部または70乃至90質量部であり得る。
【0074】
前記チオール化合物は、1分子中にメルカプト基を1個以上有する化合物であれば特に制限しないが、例えば、m-キシリレンジチオール、p-キシリレンジチオール、o-キシリレンジチオール、2,2’-チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、および1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパンからなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0075】
前記硬化性組成物でチオール化合物の含有量は、エピスルフィド化合物およびチオール化合物100重量部を基準として、2乃至50重量部、5乃至40重量部、または10乃至30重量部であり得る。
【0076】
前記硬化性組成物は、イソシアネート化合物をさらに含むことができる。前記イソシアネート化合物は、1分子当たりイソシアネート基を1個以上有する化合物であれば特に制限しないが、例えば、キシリレンジイソシアネート化合物、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0077】
前記硬化性組成物でイソシアネート化合物の含有量は、前記硬化性組成物100重量部を基準として、1乃至20重量部、2乃至10重量部、または3乃至9重量部であり得る。
【0078】
前記硬化性組成物は、重合触媒をさらに含むことができる。重合触媒は、重合硬化を発現するものであればその種類は特に限定されるのではないが、例えば、アミン類、ホスフィン類、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、アルデヒドとアミン系化合物の縮合物、カルボン酸とアンモニアの塩、ウレタン類、チオウレタン類、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩、第3級スルホニウム塩類、第2級ヨードニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸類、過酸化物、アゾ系化合物、酸性リン酸エステル類が挙げられる。
【0079】
より具体的に、前記重合触媒は、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、1-n-ドデシルピリジニウムクロリドなどの第4級アンモニウム塩、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミドなどの第4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0080】
前記硬化性組成物で重合触媒の含有量は、前記硬化性組成物100重量部を基準として、0.001乃至10重量部、0.005乃至5重量部、または0.01乃至3重量部であり得る。
【0081】
一方、前記硬化性組成物は、硬化収縮率が15%以下、1%乃至15%以下、1%以上12%以下、または1%以上10%以下であり得るが、これに限定するのではない。
【0082】
前記他の実施形態に係る導光板製造方法は、前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階を含むことができる。
【0083】
図2は硬化性組成物を硬化する段階で、モールド装備の断面を概略的に示した図面である。具体的に、図2は平板型下部基板501と回折格子パターンが陰刻されたテンプレート504を含む平板型上部基板502との間に備えられる緩衝型スペーサ503を含むモールディング装備のモールディング空間に、硬化性組成物600を注入して充填されたことを示したものである。このように、硬化性組成物が充填された後、光硬化および/または熱硬化して回折導光板を製造することができる。
【0084】
前記熱硬化するために前記硬化性組成物の熱処理時の昇温速度は2℃/min以下、1℃/min以下、または0.1乃至0.5℃/minであり得る。前記昇温速度が前記範囲内である場合、前記硬化性組成物に伝達される熱の位置間偏差を最小化し、反応熱の排出不均一を最小化して前記硬化性組成物の均一な硬化を誘導することができる。
【0085】
前記熱硬化時の最終温度は、50乃至100℃、または60乃至80℃であり得、前記最終温度到達前の最終温度より低い温度で等温維持区間を3つ以上有することによって前記硬化性組成物に伝達される熱の位置間偏差を最小化することができる。前記等温維持区間の間の温度差は10℃乃至20℃であり得、前記等温維持区間の維持時間はそれぞれ1時間乃至5時間であり得る。例えば、前記硬化性組成物を常温(25℃)で2時間放置した後、45℃で2時間、60℃で2時間、75℃で2時間、90℃で4時間熱硬化して回折導光板を製造することができる。
【0086】
前記硬化性組成物を硬化する段階で、前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートにより前記光学層の一面に回折格子パターンが形成され得る。前記回折格子パターンは先に言及した回折導光板に含まれる光学層の一面に形成された回折格子パターンに関する説明のとおりである。
【0087】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の屈曲弾性率は、それぞれ3GPa以上、10GPa以上、20GPa以上、または40GPa乃至300GPaであり得る。前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の屈曲弾性率が前記範囲内である場合、前記平板型上部基板のボーイング(bowing)現象を最小化することができるため、製造される回折導光板の厚さ均一度を大幅に増加させることができる。
【0088】
前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートの屈曲弾性率は、1乃至20GPa、1.5乃至15GPa、または2乃至10GPaであり得る。前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートの屈曲弾性率が1GPa未満であれば前記硬化性組成物が硬化収縮することによって回折格子パターンの均一性が損傷することがあり、20GPaを超えれば過度な剛性によりテンプレートに陰刻された回折格子パターンが損傷することがある。
【0089】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の表面平坦度は、それぞれ5μm以下、2μm以下、または0.01乃至1μmであり得る。前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の表面平坦度が前記範囲内である場合、製造される回折導光板の表面平坦度も一般的な回折導光板より顕著に向上することができる。
【0090】
前記表面平坦度の測定方法は、下記のとおりである。具体的に、25℃および50RH%雰囲気で、QED社のASI(aspheric stitching interferometry)装備で直径200mm領域で0.16Х0.16mm当たり一点を測定したり、またはDUKIN社の3次元形状測定器装備を使用し、直径200mm領域で任意の原点を基準として半径5mmおよび11.25度の間隔で測定された高さの最高値と最低値間の差で得られた値で測定され得る。
【0091】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板は、それぞれ透明基板であり得る。具体的に、前記平板型下部基板および前記平板型上部基板は、それぞれ有機基板であり得、これは優れた透光性により効果的に前記硬化性組成物の光硬化を行うことができる。
【0092】
前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数は、0.1MPa乃至10MPa、0.1MPa乃至5MPa、0.1MPa乃至3MPa、または0.1MPa乃至2MPaであり得る。前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数が前記範囲内である場合、前記平板型上部基板の接触時に均一に前記硬化性組成物に荷重を伝達して、前記回折導光板の厚さ均一度を高めることができ、前記テンプレートに陰刻された回折格子パターンが硬化物の一面に回折格子パターンで鮮明に示され得る。
【0093】
前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数の測定方法は下記のとおりである。25℃および50RH%の雰囲気で、TA社のTexture Analyzerを用いて試片面積5Х5mm、圧縮速度1mm/minで圧縮時に測定される力の試片変形((初期厚さ-変形後厚さ)/初期厚さ)に対する傾きを意味し得る。また、緩衝型スペーサが2以上の異なる層から構成される場合の緩衝型スペーサの圧縮弾性係数は、積層された試片を面積5Х5mmで準備して圧縮速度1mm/minで圧縮時に測定される力の試片変形((初期厚さ-変形後厚さ)/初期厚さ)に対する傾きの測定値であり得る。
【0094】
前記緩衝型スペーサは、非弾性層と弾性層が積層された構造、非弾性層の間に弾性層が備えられた構造、または弾性層の間に非弾性層が備えられた構造であり得る。一方、前記緩衝型スペーサが非弾性層と弾性層が積層された構造、非弾性層の間に弾性層が備えられた構造、または弾性層の間に非弾性層が備えられた構造である場合、前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数は、弾性層の圧縮弾性係数を意味するものであり得る。
【0095】
前記緩衝型スペーサは、前記硬化性組成物の収縮程度を考慮して設計され得るため、前記非弾性層で支持役割を果たし、前記弾性層で前記硬化性組成物の収縮による高さ変化を調節する役割を果たすことができる。
【0096】
前記硬化性組成物の硬化収縮率は、15%以下、1%乃至15%以下、1%以上12%以下、または1%以上10%以下であり得る。
【0097】
前記硬化性組成物の硬化収縮率は、下記一般式3のように導き出され得る。
[一般式3]
硬化収縮率(%)={(硬化前体積-完全硬化後体積)/硬化前体積}Х100
【0098】
前記他の実施形態に係る回折導光板製造方法は、前記モールド装備から回折導光板を得る段階をさらに含むことができる。具体的に、前記回折導光板を得る段階は、前記平板型上部基板、前記平板型下部基板および回折格子パターンが陰刻されたテンプレートを除去して回折導光板を得ることができる。前記平板型上部基板、前記平板型下部基板およびテンプレートを除去することは、前記硬化性組成物の硬化が完了した後、前記平板型上部基板、前記平板型下部基板およびテンプレートを前記硬化性組成物の硬化物である回折導光板から分離することを意味し得る。
【0099】
前記他の実施形態に係る回折導光板製造方法により製造される回折導光板の厚さおよび厚さ偏差、屈折率、ガラス転移温度、ヘイズなどの物性に対する説明は、先に記載された回折導光板で言及したとおりである。また、前記回折導光板は、先に言及したとおり、ウェアラブルデバイスの回折導光レンズ用であり得る。
【0100】
一方、回折導光板の厚さは、前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の離隔距離および前記硬化性組成物の硬化収縮率により調節され得、前記回折導光板の用途により前記範囲内で前記回折導光板の厚さを調節することができる。
【0101】
前記平板型下部基板、前記平板型上部基板および回折格子パターンが陰刻されたテンプレートの表面は、それぞれ離型剤で表面処理されたものであり得る。前記離型剤は当業界で一般に使用されるものであれば制限なしに適用することができる。一例として前記離型剤で表面処理したものは、フッ素系シランカップリング剤を利用して表面コーティングされたものであり得る。前記離型剤を利用して表面コーティングされた場合、前記回折導光板を得る段階で、前記回折導光板の表面の損傷を最小化し、前記平板型下部基板、前記平板型上部基板および前記テンプレートを除去することができる。
【発明の効果】
【0102】
本発明によれば、優れた厚さ均一度および平坦度を有すると同時に、ヘイズが低く、鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れた回折導光板を提供することができ、また、このような回折導光板を簡単なワンステップ(One-step)工程で製造することができる回折導光板製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
図1】本発明の一実施形態に係る回折導光板に含まれる光学層の断面を概略的に示した図面である。
図2】本発明の他の実施形態に係る回折導光板製造方法中の硬化性組成物を硬化する段階で、モールド装備の断面を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0104】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例により限定されるのではない。
【0105】
製造例:硬化性組成物の製造
ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド(Bis(2,3-epithiopropyl)disulfide)88.5重量部、2,2’-チオジエタンチオール(2,2’-Thiodiethanethiol)6.5重量部、イソホロンジイソシアネート(Isophoronediisocyanate)5.0重量部およびテトラブチルホスホニウムブロミド(Tetrabutylphosphonium bromide)0.07重量部を含む硬化性組成物を製造した。
【0106】
製造された硬化性組成物の硬化収縮力は、前述した硬化収縮力の測定方法で測定した結果、2.00Х10-4N/mmであった。
【0107】
実施例1
下部基板として屈曲弾性率70GPa、表面平坦度が0.5μm、厚さが30mm、直径が200mmであるガラス基板を準備し、前記下部基板上に回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(屈曲弾性率:3GPa)を付着した。この時、下部基板の円中心とテンプレートの円中心が接するように付着し、前記テンプレートの直径は150mm、厚さは200μmであるポリエチレンテレフタレート(PET)であり、陰刻された回折格子パターンの周期(pitch)は405nmであり、深さ(depth)は500nmであった。
【0108】
その後、圧縮弾性係数が1.0MPa、高さが1,007μm、断面積が10Х10mmであるシリコン材質の緩衝型スペーサを前記下部基板の円周に接するように120°間隔に備えてモールディング空間を形成した後、前記製造例により製造された硬化性組成物をモールディング空間に注入した後、上部基板として屈曲弾性率が70GPa、荷重が8.2N、直径が200mm、表面平坦度が0.5μmであるガラス基板を利用して前記硬化性組成物をモールディング空間に充填させた。
【0109】
ひいては、前記硬化性組成物をJEIO TECH社の対流オーブンに入れ、常温で2時間放置した後、昇温速度を1℃/minに設定した後、45℃で2時間、60℃で2時間、75℃で2時間、90℃で4時間熱硬化して0.8mm厚さの回折導光板を製造した。
【0110】
実施例2
下部基板でなく、上部基板に回折格子パターンが陰刻されたテンプレートを付着することを除いては、実施例1と同様な方法で回折導光板を製造した。
【0111】
実施例3
スペーサの高さが427μmであり、下部基板でなく、上部基板に回折格子パターンが陰刻されたテンプレートを付着することを除いては、実施例1と同様な方法で回折導光板を製造した。
【0112】
比較例1
下部基板として屈曲弾性率70GPa、表面平坦度が0.5μm、厚さが30mm、直径が200mmであるガラス基板を利用し、圧縮弾性係数が1.0MPa、高さが805μm、断面積が10Х10mmであるシリコン材質の緩衝型スペーサを前記下部基板の円周に接するように120°間隔に備えてモールディング空間を形成した後、前記製造例により製造された硬化性組成物をモールディング空間に注入した後、上部基板として屈曲弾性率が70GPa、荷重が8.2N、直径が200mm、表面平坦度が0.5μmであるガラス基板を利用して前記硬化性組成物をモールディング空間に充填させた。
【0113】
ひいては、前記硬化性組成物をJEIO TECH社の対流オーブンに入れ、常温で2時間放置した後、昇温速度を1℃/minに設定した後、45℃で2時間、60℃で2時間、75℃で2時間、90℃で4時間熱硬化してプラスチック基材を製造した。
【0114】
前記プラスチック基材に粒径20nmのジルコニア粒子8.3重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)8.3重量部、ブチルカルビトールアセテート83重量部およびエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート0.4重量部を含むインプリント樹脂組成物(屈折率1.70)を塗布後に乾燥して1μm厚さのインプリント樹脂層を形成した。その後、前記インプリント樹脂層上に周期(pitch)405nm、深さ(depth)1μmの回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(直径150mm、厚さ200μm、ポリエチレンテレフタレート)を40℃温度および20bar圧力条件で圧着して回折格子を形成した後、1000mJ/cmのUV(360nm光源)照射して硬化して0.8mm厚さの回折導光板を製造し、6Х5cmの長方形の形態に裁断した。
【0115】
評価
1.厚さ偏差の測定
実施例および比較例の回折導光板の厚さ偏差は下記一般式1を通じて計算し、その結果は下記表1に示した。
[一般式1]
厚さ偏差(%)=(最大偏差/平均厚さ)Х100
【0116】
具体的に、回折導光板の厚さは25℃および50RH%雰囲気で、Mitsutoyo社のDigimatic Thick 547-401装備を利用した接触式測定方法を利用して、最大厚さまたは最小厚さを測定し、また、試片の任意の点を原点として半径10mmおよび22.5度の間隔で測定された厚さの平均値を平均厚さで測定した。
【0117】
2.ワープ(Warp)の測定
実施例および比較例の回折導光板を長軸600mmおよび短軸400mmの直四角領域の試片を準備し、下記一般式2を通じてワープを計算し、その結果は下記表1に示した。
[一般式2]
ワープ=中央面と基準面の最大偏差-中央面と基準面の最小偏差
【0118】
前記中央面は25℃および50RH%雰囲気で、FIBERPRO社のOWTM(Optical Wafer Thickness Measurement system)装備を利用した非接触式測定方法を利用して、前記回折導光板の厚さおよび前記回折導光板の下部に設けられた基準光学体と前記回折導光板の間の距離を測定して導き出され得る。一方、前記基準面は、中央面に対する最小二乗法(Least squares fit)で計算され得る。
【0119】
3.ヘイズの測定
実施例および比較例の回折導光板のヘイズをASTMD-1003に準拠して測定し、その結果を下記表1に示した。
【0120】
4.鉛筆硬度の測定
実施例および比較例の回折導光板の表面に荷重0.5kg、角度45°に鉛筆を固定させた後、鉛筆硬度別に掻いて肉眼で掻かれるか否かを判断し、スクラッチが生じない最大鉛筆硬度を下記表1に示した。
【表1】
【0121】
下記表1によれば、前記回折格子パターンが一面に形成された光学層が含まれている実施例の回折導光板は、プラスチック基材と回折格子パターンの間に界面がある比較例に比べて鉛筆硬度が顕著に優れていることを確認した。また、前記実施例は、無機粒子を含まないため、無機粒子を含む比較例に比べてヘイズが顕著に低くて視認性が高いことを予測できる。ひいては、実施例は比較例に比べてワープが顕著に低いことを確認した。
【符号の説明】
【0122】
200:回折格子パターン
300:光学層
400:パターン単位体
501:平板型下部基板
502:平板型上部基板
503:緩衝型スペーサ
504:回折格子パターンが陰刻されたテンプレート
600:硬化性組成物
図1
図2