(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】ポンプ用舌片部材、ポンプ装置及び舌部の補修方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20231030BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
F04D29/42 A
F04D29/42 F
F04D29/42 G
F04D29/66 A
(21)【出願番号】P 2019111641
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2021-12-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】能見 基彦
(72)【発明者】
【氏名】早房 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】中本 浩章
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】菊田 恭輔
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0116958(US,A1)
【文献】特開昭56-066403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0142610(US,A1)
【文献】実開平05-030495(JP,U)
【文献】特開2013-227970(JP,A)
【文献】特開2014-231844(JP,A)
【文献】特開平3-290099(JP,A)
【文献】米国特許第5915921(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/42
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流路を構成するボリュート室を形成するポンプケーシングと、前記ポンプケーシングに収容される羽根車とを備えたポンプ装置に取り付けられる
着脱可能な舌部材であって、
前記ポンプケーシングは、前記羽根車の回転軸に平行な平面で分割される2つのケーシング部材から構成され、前記舌部材は前記ケーシング部材の双方と係合する位置に取り付けられ、
前記舌部材は、前記ポンプケーシング内の吸込ボリュートに設けられ、
前記ボリュート室と前記羽根車とを仕切るための舌部と、
前記ポンプケーシングの内壁に形成された係合溝と係合する係合部と、
を備えたことを特徴とする、ポンプ用舌部材。
【請求項2】
前記係合部には、前記舌部材が前記ポンプケーシングから脱落するのを防止する嵌合部が設けられていることを特徴とする、請求項1記載のポンプ用舌部材。
【請求項3】
前記ポンプケーシングと同じ材料または前記ポンプケーシングよりも耐キャビテーション壊食性に優れた材料から構成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のポンプ用舌部材。
【請求項4】
前記係合部は、その断面がくさび形状であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のポンプ用舌部材。
【請求項5】
回転軸に固定される羽根車と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、請求項1~4のいずれか一項に記載の
着脱可能な舌部材とを備え、
前記ポンプケーシングは、前記羽根車の回転軸に平行な平面で分割される2つのケーシング部材から構成され、前記舌部材は前記ケーシング部材の双方と係合する位置に取り付けられ、
前記舌部材は、前記ポンプケーシング内の吸込ボリュートに設けられ、
前記舌部材の係合部が前記ポンプケーシングに形成された係合溝と係合することを特徴とする、ポンプ装置。
【請求項6】
前記舌部材は、締結具を介して前記ポンプケーシングの外壁と締結されていることを特徴とする、請求項
5記載のポンプ装置。
【請求項7】
回転軸に固定される羽根車と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、ボリュート室と吐出部との間を仕切る舌部がポンプケーシングに一体に設けられたポンプ装置における舌部の補修方法であって、
前記ポンプケーシングは、前記羽根車の回転軸に平行な平面で分割される2つのケーシング部材から構成され、請求項1~4のいずれか一項に記載のポンプ用舌部材は着脱可能であって前記ケーシング部材の双方と係合する位置に取り付けられ、
前記舌部材は、前記ポンプケーシング内の吸込ボリュートに設けられており、
前記ポンプケーシングのうち、前記舌部が設けられた部分を含む領域において、係合溝を形成するよう切削加工し、
前記舌部材を、前記係合部が前記ポンプケーシングに形成された前記係合溝と係合するように、前記ポンプケーシングに取り付けることを特徴とする、舌部の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を移送するためのポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を移送するための遠心ポンプでは、回転軸に固定された羽根車と、この羽根車を収容するポンプケーシングが設けられており、ポンプケーシング内で回転する羽根車の遠心力により液体が昇圧され、ポンプケーシングの吐出部から吐出される。羽根車の出口から吐出部までの流路は渦巻形状とされているのが一般的であり、この渦巻形状の巻き始めには舌部(カットウォーター)と呼ばれる楔板状の部材が設けられる。舌部に衝突した液体の流れは、板状の舌部の表側と裏側に二分される。
【0003】
遠心ポンプのうち両吸込遠心ポンプでは、ポンプケーシングの吸込口から入った液体は二分され、それぞれ渦巻状の形状をとる流路を通じて、ポンプ内の二箇所に設けられた羽根車入口に導かれる。この渦巻形状の流路は吸込ボリュートと呼ばれており、この吸込ボリュートの巻き終わりにも楔板状の舌部(旋回止め、ホワールストップ、バッフル、ケーシングバッフルとも呼ばれる)が設けられている。この舌部は、渦巻型やセミボリュート型の両吸込遠心ポンプに設けられる。
【0004】
この舌部は、ポンプケーシング内で内側に突出しており、他の部分に比べてキャビテーションによる衝撃を受けて壊食が発生する場合があることから、高い耐摩耗性が要求されている。キャビテーションによる壊食は、圧力が低い吸込ボリュート(羽根車の入口側)の舌部で発生する場合が殆どであるが、吐出ボリュート(羽根車の出口側)の舌部で発生する場合もある。
【0005】
この点につき、特許文献1に記載のポンプにおいては、舌部の先端部分に硬質ゴムである耐摩材をボルト止めすることで、舌部における耐摩耗性を高めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】浦西和夫著、「渦巻形吸込ケーシング内の流れとポンプ性能」、ターボ機械第14巻第2号35頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献に記載のポンプにおいては、舌部に相当する耐摩材とボルトとが別部材であることから、ポンプの使用に伴いボルトが欠落するおそれがある。また、上記特許文献に記載のポンプでは、ボルトの耐摩耗性については考慮されていないため、キャビテーションによりボルトが損傷するおそれがある。さらに、上記特許文献に記載されたポンプを使用した場合には、舌部を交換に際し舌部を取り付けるためにボルト止めの作業が必要となるが、舌部がケーシングの奥に位置する場合(例えば、ポンプを軸方向に組み立てる輪切りタイプの場合)には、舌部のボルト止めの作業は容易ではない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、舌部の補修を簡便に行うことができるポンプ用舌片部材及びこれを用いたポンプを提供することを目的とする。また、本発明は、舌部の補修を簡便に行うことができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、液体流路を構成するボリュート室を形成するポンプケーシングと、前記ポンプケーシングに収容される羽根車とを備えたポンプ装置に取り付けられる舌部材であって、前記ボリュート室と前記羽根車とを仕切るための舌部と、前記ポンプケーシングの内壁に形成された係合溝と係合する係合部とを備えたことを特徴とする。この構成により、着脱自在な舌部材をポンプケーシングに取り付けることで、舌部の補修を容易に行うことができる。
【0011】
上記のポンプ用舌部材において、係合部には、舌部材が前記ポンプケーシングから脱落するのを防止する嵌合部が設けられていることが好ましい。また、舌部材をポンプケーシングと同じ材料またはポンプケーシングより耐キャビテーション壊食性に優れた材料で形成することが好ましく、その断面をくさび形状とすることが好ましい。
【0012】
本発明の一実施形態におけるポンプは、回転軸と、回転軸に固定される羽根車と、羽根車を収容するポンプケーシングと、上記の舌部材とを備え、舌部材の係合部がポンプケーシングに形成された係合溝と係合する構成を備える。この構成によっても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0013】
上記のポンプにおいて、ポンプケーシングは少なくとも2つのケーシング部材から構成され、舌部材はケーシング部材の双方と係合する構成とすることが好ましい。また、舌部材は、締結具を介してポンプケーシングの外壁と締結されていることが好ましい。
【0014】
本発明の一実施形態におけるポンプにおける舌部の交換方法は、回転軸に固定される羽根車と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、ボリュート室と吐出部との間を仕切る舌部がポンプケーシングに一体に設けられたポンプ装置における舌部の補修方法であって、前記ポンプケーシングのうち、前記舌部が設けられた部分を含む領域において、係合溝を形成するよう切削加工し、上記ポンプ用舌部材を、前記係合部が前記ポンプケーシングに形成された前記係合溝と係合するように、前記ポンプケーシングに取り付ける構成を備える。この構成によっても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ポンプケーシング内壁に取り付けられるポンプ用舌部材において、ボリュート室と吐出部とを仕切るための舌部と、ポンプケーシング内壁に形成された係合溝と係合する係合部とを備えた構成としたから、着脱自在な舌部材をポンプケーシングに取り付けることで、舌部の補修を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る両吸込渦巻ポンプの外観を示す側面図である。
【
図2】
図1に示す両吸込渦巻ポンプの縦断面図である。
【
図3】
図1に示す両吸込渦巻ポンプの横断面図である。
【
図4】舌部材とポンプケーシングの位置関係を示す斜視図である。
【
図6】(A)は舌部材の外観斜視図であり、(B)は矢印A方向から舌部材を見た場合の平面図である。
【
図7】破損したポンプケーシングを補修する手順を示す説明図である。
【
図8】舌部材をポンプケーシングに取り付ける例を示す説明図である。
【
図9】舌部材をポンプケーシングの位置関係の別の例を示す説明図である。
【
図10】舌部材とポンプケーシングの位置関係のさらに別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るポンプについて、図面を参照して説明する。なお、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0018】
図1及び
図2において、両吸込渦巻ポンプ10は、水などの液体を吸込口12から吸い込むとともに、羽根車14で加圧して吐出口16から吐出するポンプである。両吸込渦巻ポンプ10の外装となるケーシングは、羽根車14の回転中心となる主軸18を含む水平面で上下方向に分割される上部ケーシング20と下部ケーシング22から構成される。上部ケーシング20と下部ケーシング22とは、フランジ20a、20bが合わせられた状態でボルト24を挿通することで締結される。
【0019】
図2において、上部ケーシング20と下部ケーシング22の内部には、上部吸込室26a及び下部吸込室26bからなる吸込室と、上部吐出室28a及び下部吐出室28bからなる吐出室とが形成されている。また、両吸込渦巻ポンプ10の中央部には、円板上の羽根車14が主軸18に固定されており、羽根車14が主軸18により回転駆動される。羽根車14は複数枚の羽根(図示せず)を備えており、回転により吸込口12から吸い込まれた液体を遠心力により加圧する。
【0020】
上部吸込室26a及び下部吸込室26bは渦巻状の流路を形成しており、吸込口12から吸い込まれた液体は、下部吸込室26b及び上部吸込室26aを経て羽根車14にその中央部から流入する。羽根車14の回転により、流入した液体が加圧されて羽根車14の周方向の外側に形成された上部吐出室28a及び下部吐出室28bに流れ込み、吐出口16から吐出される。
【0021】
ポンプケーシングには、吸込側の渦巻状の流路(吸込ボリュート)の巻き終わりの部分に舌部(旋回止め)が設けられている。この舌部はポンプケーシング内で内側に突出しており、他の部分に比べてキャビテーションによる衝撃を受けやすく、それにより舌部が壊食されてしまうと、ポンプの性能が著しく低下してしまう。この点は、吐出側の流路(吐出ボリュート)に設けられた舌部においても同様である。
【0022】
このため、本実施形態に係るポンプにおいては、
図3及び
図4に示すとおり、舌部に相当する部分が着脱式の舌部材30~33で構成されている。舌部材30は、舌部本体40と、この舌部本体40から突出した舌部42とを備え、これらは、例えば硬質ゴムなどの衝撃に強い材料で一体に形成されている。なお、舌部材30を、ポンプケーシング20、22と同じ材料または耐キャビテーション壊食性に優れた材料で形成するようにしても良い。
【0023】
これら舌部材30~33はいずれも同じ構成を備えており、舌部材30、31は吸込側の流路(吸込ボリュート)に、舌部材32,33は吐出側の流路(吐出ボリュート)に、それぞれ取り付けられている。なお、
図4では、図面の簡略化のために吐出側の舌部材32,33は省略している。
【0024】
舌部材30の外観を示す
図5及び
図6(A)において、舌部本体40のうち、舌部42が設けられていない側の側面44,46は、ポンプケーシング20、22の内壁面と整合するように、平面状に形成されている。また、舌部本体40の側面44,46には、くさび形状の係合部40a,40bが設けられている。さらに、
図6(A)(B)に示すように、本実施形態の舌部材30の側面44,46には、これらを跨ぐように凹部48が形成されている。
【0025】
図4に示すように、下部ケーシング22の内壁面に一対の係合溝22a,22bが形成されており、これらは舌部本体40の係合部40a,40bと係合しており、これにより、舌部材30がポンプケーシングに対して着脱自在となるように取り付けられる。
【0026】
また、舌部材31(他の舌部材も同様)は、その一部が下部ケーシング22から突出しており、当該突出した部分は、上部ケーシング20に形成された係合溝(図示せず)と係合する。すなわち、舌部材30~33は、上部ケーシング20と下部ケーシング22の双方に挟み込まれて係止された状態で、ポンプケーシングに取り付けられる。これにより、舌部材30~33を確実にポンプケーシングに取り付けることができる。
【0027】
舌部材30~33の交換は、次のようにして行うことができる。
図4に示すように、二つ割りのポンプケーシング20,22の内部を露呈させて、使用済みの(あるいは壊食された)舌部材を上方にスライド移動させることで、舌部材を取り外す。その後、新品の舌部材30を、図中矢印で示す下方向にスライド移動させて、下部ケーシング22の係合溝22a,22bと舌部本体40の係合部40a,40bとを係合させる。その後、上部ケーシング20に形成された係合溝(図示せず)と舌部本体40の係合部40a,40bが係合するように、上部ケーシング20と下部ケーシング22とを組み合わせてボルト止めする。これにより、舌部材30~33の交換が完了する。
【0028】
本実施形態に係るポンプによれば、舌部材を着脱自在に構成するようにしたので、ポンプの使用に伴い舌部に壊食が発生した場合には、舌部材のみを交換すれば足り、舌部をポンプケーシングに溶接し、あるいはポンプケーシング全体を交換する必要のあった従来のポンプと比べ、簡単かつ低コストにて補修を行うことが可能となる。
【0029】
また、舌部材30の係合部40a,40bに段差を設けて、ポンプケーシング(上部ケーシング20と下部ケーシング22)の内壁面に別途形成した突起(嵌合部)にはめ込まれるように構成しても良い。これにより、ポンプの駆動中に、ポンプケーシングに取り付けられた舌部材30~33が脱落するのを防止することができる。
【0030】
上記実施形態においては、舌部材30~33にくさび形状の係合部を形成しているが、係合部の形状はこれに限られることはなく、長方形、台形、円形といった他の形状にてポンプケーシング(上部ケーシング20と下部ケーシング22)との係合部を構成するようにしてもよい。
【0031】
また、舌部材との係合溝が形成されていない従来のポンプケーシングにおいて、例えばポンプケーシングと一体に形成された舌部が壊食した場合には、舌部材の交換は次のようにして行うことができる。
図7(A)において、ポンプケーシング50の内部を露呈させて、壊食部分50aを含むポンプケーシング50の一部が除去されるように、
図7(A)の点線51に沿って切削し、舌部材30の係合部40a,40bと対応する位置に係合溝50a、50bを形成する(
図7(B)参照)。その後、新品の舌部材30を、
図4の矢印で示す下方向にスライド移動させて、係合溝50a,50bと舌部本体40の係合部40a,40bとを係合させる。
【0032】
この場合、舌部材30の側面44,46には、これらを跨ぐように凹部48が形成されており、ポンプケーシング50に係合される際に、当該舌部材30が外気にさらされてしまうおそれがある。このため、舌部材30の凹部48の周囲にOリングやゴム紐でシールする、あるいは舌部材30とポンプケーシング50の継ぎ目に硬化性シリコンゴムを埋めることで、舌部材30が外気にさらされないようにすることが好ましい。
【0033】
なお、上記の実施形態では、舌部材30の側面44,46を跨ぐように凹部48が形成されているが、本発明において舌部材の側面に凹部を形成する必要はなく、舌部本体40と同じ材料にて、当該凹部が埋められるように舌部材を形成しても良い。
【0034】
上記実施形態では、舌部材30が二つ割りのポンプケーシング(上部ケーシング20と下部ケーシング22)の双方に挟み込まれるように(二つ割りのポンプケーシングの二つ割り面54を跨ぐように)構成されているが(
図8(A)参照)、例えば
図8(B)及び(C)で示すように、舌部材30が上部ケーシング20または下部ケーシング22の一方に完全に入り込むように構成しても良い。
【0035】
上記実施形態では、ポンプケーシングの二つ割り面をポンプ装置の水平面と平行になるように構成しているが、舌部材が設置される位置に応じて、二つ割り面を適宜変更するようにしても良い。
【0036】
例えば、
図9に示す例では、吸込口62と吐出口73が略90度となるように構成されたポンプケーシング60,61において、吸込口62側(吸込ボリュート側)の舌部材30と、吐出口63側(吐出ボリュート側)の舌部材32とが、ポンプ装置の鉛直方向に沿って配置されている。この場合には、ポンプケーシング60、61の二つ割り面64が、ポンプ装置の鉛直方向と平行になるように、ポンプケーシング60、61を設計することで、舌部材30,32を二つ割りのポンプケーシングの双方に挟み込むように構成することができる。
【0037】
また、
図10に示す例では、吸込口72と吐出口73が略180度となるように構成されたポンプケーシング70,71において、吸込口72側(吸込ボリュート側)の舌部材30と、吐出口73側(吐出ボリュート側)の舌部材32とが、ポンプ装置の鉛直方向に沿って配置されている。この場合においても、ポンプケーシング70、71の二つ割り面74が、ポンプ装置の鉛直方向と平行になるように、ポンプケーシング70、71を設計することで、舌部材30,32を二つ割りのポンプケーシングの双方に挟み込むように構成することができる。
【0038】
上記実施形態では、舌部材に突起状の係合部を設けてポンプケーシングに取り付けるように構成しているが、ポンプ内の液体が通過しない部分(例えば、ポンプケーシングの外部)において、舌部材をボルト等の締結具によって締結するようにしても良い。例えば、ポンプケーシングに貫通孔を形成し、当該貫通孔に舌部材をはめ込んだ状態で、舌部材をボルト止めすることで、舌部材を着脱可能となるようにポンプケーシングに締結することができる。この場合、ボルト止めとともに、上記実施形態と同様の係合部を舌部材に形成し、これをポンプケーシング側の係合溝と係合させるように構成しても良く、これにより、舌部材をより強固にポンプケーシングに取り付けることができる。
【0039】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0040】
10 両吸込渦巻ポンプ
12 吸込口
14 羽根車
16 吐出口
20 上部ケーシング
22 下部ケーシング
22a,22b 係合溝
30~33 舌部材
40a,40b、52a、52b 係合部
42 舌部本体