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特許7374684成膜装置および成膜方法、情報取得装置、アライメント方法、ならびに電子デバイスの製造装置および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】成膜装置および成膜方法、情報取得装置、アライメント方法、ならびに電子デバイスの製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20231030BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20231030BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231030BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
C23C14/24 J
C23C14/04 A
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019172944
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050374
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高津 和正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】樽茶 友昭
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-147715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
C23C 14/04
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置であって、
前記基板を支持する基板保持手段と、
前記基板と略平行に前記マスクを支持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させる面内移動手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させる距離変化手段と、
前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備え
前記姿勢情報取得手段は、前記基板を保持している前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する傾きを示す情報を、前記姿勢情報として取得することを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記距離変化手段が前記基板と前記マスクを密着させるために前記基板保持手段と前記マスク保持手段を近づけている間、前記姿勢制御手段は、前記基板保持手段が前記マスク保持手段に対する前記傾きを維持するように、前記基板保持手段の姿勢を調整することを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記成膜装置は、前記成膜が行われるチャンバを有し、
前記マスク保持手段は、前記チャンバの内部に配置されており、
前記面内移動手段および前記距離変化手段は、前記基板保持手段に接続され、前記面内移動手段および前記距離変化手段を用いて前記基板保持手段を移動させることによって前記基板の前記マスクに対する位置合わせを行うものであり、
前記距離変化手段は、リニアガイドとキャリッジにより前記基板保持手段を前記マスク
保持手段に対して移動させるものであり、
前記姿勢情報取得手段は、前記リニアガイドと前記キャリッジの相対的な位置関係を取得し、
前記姿勢制御手段は、前記相対的な位置関係を維持するように、前記基板保持手段の姿勢を制御する
ことを特徴とする請求項またはに記載の成膜装置。
【請求項4】
前記姿勢情報取得手段はリニアスケールであり、前記姿勢制御手段は、ボイスコイルモータであることを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項5】
マスクを介して、基板の表面に成膜を行う成膜装置であって、
前記基板を支持する基板保持手段と、
前記基板と略平行に前記マスクを支持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させる面内移動手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させる距離変化手段と、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備え
前記姿勢制御手段は、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが前記基板と前記マスクが接触する直前の距離である所定距離まで接近したとき、前記基板保持手段と前記マスク保持手段の間の距離が前記所定距離以内となる範囲において、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を一定に維持するように制御することを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
マスクを介して、基板の表面に成膜を行う成膜装置であって、
前記基板を支持する基板保持手段と、
前記基板と略平行に前記マスクを支持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させる面内移動手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させる距離変化手段と、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備え、
前記面内移動手段は、前記基板とマスクが接触する直前に、前記相対的な位置関係の変化を行い、前記姿勢制御手段は、前記相対的な位置関係の変化の後の前記基板保持手段と前記マスク保持手段の相対的な姿勢を維持することを特徴とする成膜装置。
【請求項7】
マスクを介して、基板の表面に成膜を行う成膜装置であって、
前記基板を支持する基板保持手段と、
前記基板と略平行に前記マスクを支持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させる面内移動手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させる距離変化手段と、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備え、
前記姿勢情報は、前記マスク保持手段に対する前記基板保持手段の傾きであることを特徴とする成膜装置。
【請求項8】
基板を保持する基板保持手段と、前記基板と略平行にマスクを支持するマスク保持手段と、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることにより、前記基板と前記マスクを位置合わせする位置合わせ手段とを有し、前記マスクを介して前記基板の表面に成膜を行う成膜装置に取り付けられる情報取得装置であって、
前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する姿勢を示す姿勢情報を取得する、姿勢情報取得手段を備え
前記姿勢情報取得手段は、前記基板を保持している前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する傾きを示す情報を、前記姿勢情報として取得することを特徴とする情報取得装置。
【請求項9】
前記基板保持手段の姿勢を調整する姿勢調整手段をさらに有することを特徴とする請求項に記載の情報取得装置。
【請求項10】
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持している前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持している前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、基板保持手段の前記マスク保持手段に対する姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢情報取得手段は、前記基板を保持している前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する傾きを示す情報を、前記姿勢情報として取得することを特徴とする成膜方法。
【請求項11】
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢制御手段は、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが前記基板と前記マスクが接触する直前の距離である所定距離まで接近したとき、前記基板保持手段と前記マスク保持手段の間の距離が前記所定距離以内となる範囲において、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を一定に維持するように制御することを特徴とする成膜方法。
【請求項12】
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記面内移動手段は、前記基板とマスクが接触する直前に、前記相対的な位置関係の変化を行い、前記姿勢制御手段は、前記相対的な位置関係の変化の後の前記基板保持手段と前記マスク保持手段の相対的な姿勢を維持することを特徴とする成膜方法。
【請求項13】
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を
示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢情報は、前記マスク保持手段に対する前記基板保持手段の傾きであることを特徴とする成膜方法。
【請求項14】
成膜装置における成膜のためにマスクと基板をアライメントするアライメント方法であって、前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持している前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持している前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、基板保持手段の前記マスク保持手段に対する姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢情報取得手段は、前記基板を保持している前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する傾きを示す情報を、前記姿勢情報として取得することを特徴とするアライメント方法。
【請求項15】
成膜装置における成膜のためにマスクと基板をアライメントするアライメント方法であって、前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢制御手段は、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが前記基板と前記マスクが接触する直前の距離である所定距離まで接近したとき、前記基板保持手段と前記マスク保持手段の間の距離が前記所定距離以内となる範囲において、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を一定に維持するように制御することを特徴とするアライメント方法。
【請求項16】
成膜装置における成膜のためにマスクと基板をアライメントするアライメント方法であ
って、前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記面内移動手段は、前記基板とマスクが接触する直前に、前記相対的な位置関係の変化を行い、前記姿勢制御手段は、前記相対的な位置関係の変化の後の前記基板保持手段と前記マスク保持手段の相対的な姿勢を維持することを特徴とするアライメント方法。
【請求項17】
成膜装置における成膜のためにマスクと基板をアライメントするアライメント方法であって、前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢情報は、前記マスク保持手段に対する前記基板保持手段の傾きであることを特徴とするアライメント方法。
【請求項18】
請求項1~のいずれか1項に記載の成膜装置を備え、前記成膜装置によって前記基板に成膜を行うことにより電子デバイスを製造する、電子デバイスの製造装置。
【請求項19】
前記電子デバイスは、有機EL素子を備える電子デバイスであることを特徴とする請求項18に記載の電子デバイスの製造装置。
【請求項20】
請求項10~13のいずれか1項に記載の成膜方法によって基板とマスクの相対的な姿勢を制御して位置合わせするステップと、
前記基板に対して位置合わせされた前記マスクを介して前記基板に成膜を行うことにより電子デバイスを製造するステップと、
を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置および成膜方法、情報取得装置、アライメント方法、ならびに電子デバイスの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光型で、視野角、コントラスト、応答速度に優れた有機EL素子を用いた電子デバイスが、壁掛けテレビやモバイル機器をはじめとする種々の機器の表示部に盛んに応用されている。有機EL素子は、蒸着装置等の成膜装置内で、マスクを介して基板に有機膜等の薄膜を成膜することにより製造される。この製造工程では、減圧されたチャンバ内に基板を搬入したのち、基板とマスクとを密着させる前に、基板とマスクがアライメント(位置合わせ)される。
【0003】
アライメントの際には、例えば、基板側のアライメントマークとマスク側のアライメントマークとをCCDカメラ等で認識して相対距離(位置ズレ量)を検出し、検出した位置ズレ量に基づいて基板をマスク表面と平行な平面内で相対的に移動させて、基板側とマスク側のアライメントマークの位置を合わせる。その後、基板を垂直方向に移動させて、マスクをマグネット機構等により基板を介して吸着させることで、基板表面にマスクを密着させる。
【0004】
このとき、基板とマスクとを密着させる際に、基板とマスクとに若干の位置ズレが生じることがある。そこで、特許文献1には、基板とマスクの密着前および密着後にアライメントマークの位置ズレ量を取得し、この差分に基づいて、基板とマスクとを密着させる際に生じる位置ズレを、基板とマスクとを密着させる前にあらかじめ補正する技術が記載されている。
【0005】
すなわち、特許文献1では、光学手段で認識した画像データを用いて、基板とマスクの密着前および密着後にそれぞれ、基板側アライメントマークとマスク側アライメントマークとの位置ズレ量を算出する。そして、これらの差分に基づいて、アライメント用の駆動機構固有の誤差やバックラッシュ等の機械的誤差に起因する位置ズレを補正するためのメカオフセット量を算出する。そして、次回以降のアライメント工程では、基板とマスクとを密着させる前に、算出されたメカオフセット量の分だけあらかじめ基板を移動させておくことで、密着前後の位置ズレ量を相殺するようしてアライメント精度の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-4358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、アライメント用の駆動機構固有の機械的誤差をあらかじめ補正できたとしても、実際に基板とマスクとが接触する動作に伴って発生する位置ズレを補正しきることは困難である。
すなわち、本願発明者らの検討によれば、基板とマスクの接触時における、基板またはマスクの保持機構の微小な傾斜が、位置ズレの一つの原因であることが分かった。具体的には、基板とマスクが接触する際にそれぞれに微小なたるみや反り等があると、両者が均
一な面で密着せず、最初に接触した部分の摩擦が大きくなる。そして、基板とマスクの接近に伴って、最初の接触点に基板またはマスクの保持機構が引っ張られる方向に力が作用する。この力によって、基板またはマスクの保持機構に微小な傾斜が生じ、アライメント精度を低下させてしまう。さらに基板とマスクの擦れは、基板上の有機EL素子の品質低下を起こすおそれがある。
【0008】
この位置ズレの発生の仕方は、基板またはマスクの個体差、保持機構に対する保持姿勢、アライメント時の移動方向によって異なる。また、基板とマスクの接近時の最初の接触位置も、一様には定まらない。そのため、特許文献1のアライメント方法のように、前回までの基板とマスクの密着前後の誤差分を相殺するように、基板とマスクの密着前にあらかじめ移動補正しておくだけでは、この位置ズレを補正しきれない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板とマスクをアライメントした後に基板とマスクを密着させる際に、基板保持機構とマスク保持機構の相対的な姿勢変化に対応するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置であって、
前記基板を支持する基板保持手段と、
前記基板と略平行に前記マスクを支持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させる面内移動手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させる距離変化手段と、
前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備え
前記姿勢情報取得手段は、前記基板を保持している前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する傾きを示す情報を、前記姿勢情報として取得することを特徴とする成膜装置である。

【0011】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを介して、基板の表面に成膜を行う成膜装置であって、
前記基板を支持する基板保持手段と、
前記基板と略平行に前記マスクを支持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させる面内移動手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させる距離変化手段と、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備え
前記姿勢制御手段は、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが前記基板と前記マスクが接触する直前の距離である所定距離まで接近したとき、前記基板保持手段と前記マスク保持手段の間の距離が前記所定距離以内となる範囲におい
て、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を一定に維持するように制御することを特徴とする成膜装置である。
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを介して、基板の表面に成膜を行う成膜装置であって、
前記基板を支持する基板保持手段と、
前記基板と略平行に前記マスクを支持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させる面内移動手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させる距離変化手段と、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備え、
前記面内移動手段は、前記基板とマスクが接触する直前に、前記相対的な位置関係の変化を行い、前記姿勢制御手段は、前記相対的な位置関係の変化の後の前記基板保持手段と前記マスク保持手段の相対的な姿勢を維持することを特徴とする成膜装置である。
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを介して、基板の表面に成膜を行う成膜装置であって、
前記基板を支持する基板保持手段と、
前記基板と略平行に前記マスクを支持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させる面内移動手段と、
前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させる距離変化手段と、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備え、
前記姿勢情報は、前記マスク保持手段に対する前記基板保持手段の傾きであることを特徴とする成膜装置である。
【0012】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
基板を保持する基板保持手段と、前記基板と略平行にマスクを支持するマスク保持手段と、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることにより、前記基板と前記マスクを位置合わせする位置合わせ手段とを有し、前記マスクを介して前記基板の表面に成膜を行う成膜装置に取り付けられる情報取得装置であって、
前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する姿勢を示す姿勢情報を取得する、姿勢
情報取得手段を備え
前記姿勢情報取得手段は、前記基板を保持している前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する傾きを示す情報を、前記姿勢情報として取得することを特徴とする情報取得装置である。
【0013】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持している前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持している前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、基板保持手段の前記マスク保持手段に対する姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢情報取得手段は、前記基板を保持している前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する傾きを示す情報を、前記姿勢情報として取得することを特徴とする成膜方法である。
【0014】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢制御手段は、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが前記基板と前記マスクが接触する直前の距離である所定距離まで接近したとき、前記基板保持手段と前記マスク保持手段の間の距離が前記所定距離以内となる範囲において、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を一定に維持するように制御することを特徴とする成膜方法である。
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記面内移動手段は、前記基板とマスクが接触する直前に、前記相対的な位置関係の変化を行い、前記姿勢制御手段は、前記相対的な位置関係の変化の後の前記基板保持手段と前記マスク保持手段の相対的な姿勢を維持することを特徴とする成膜方法である。
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを介して基板の表面に成膜を行う成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢情報は、前記マスク保持手段に対する前記基板保持手段の傾きであることを特徴とする成膜方法である。
【0015】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
成膜装置における成膜のためにマスクと基板をアライメントするアライメント方法であって、前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持している前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持している前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、基板保持手段の前記マスク保持手段に対する姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢情報取得手段は、前記基板を保持している前記基板保持手段の前記マスク保持手段に対する傾きを示す情報を、前記姿勢情報として取得することを特徴とするアライメント方法である。
【0016】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
成膜装置における成膜のためにマスクと基板をアライメントするアライメント方法であって、前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢制御手段は、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが前記基板と前記マスクが接触する直前の距離である所定距離まで接近したとき、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段の間の距離が前記所定距離以内となる範囲において、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を一定に維持するように制御することを特徴とするアライメント方法である。
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
成膜装置における成膜のためにマスクと基板をアライメントするアライメント方法であって、前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記面内移動手段は、前記基板とマスクが接触する直前に、前記相対的な位置関係の変化を行い、前記姿勢制御手段は、前記相対的な位置関係の変化の後の前記基板保持手段と前記マスク保持手段の相対的な姿勢を維持することを特徴とするアライメント方法である。
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
成膜装置における成膜のためにマスクと基板をアライメントするアライメント方法であって、前記成膜装置は、基板保持手段、マスク保持手段、面内移動手段、距離変化手段、姿勢情報取得手段、および、姿勢制御手段を備えており、
前記面内移動手段が、前記基板を支持する前記基板保持手段および前記基板と略平行に前記マスクを支持する前記マスク保持手段の少なくとも一方を移動させることで、前記基板および前記マスクと略平行な平面における前記基板と前記マスクの相対的な位置関係を変化させるステップと、
前記距離変化手段が、前記基板保持手段および前記マスク保持手段の少なくとも一方を他方に対して移動させることで、前記基板と前記マスクの間の距離を変化させるステップと、
前記姿勢情報取得手段が、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を示す姿勢情報を取得するステップと、
前記姿勢制御手段が、前記距離変化手段によって、前記基板保持手段と前記マスク保持手段とが相対的に接近する方向に移動している際、前記姿勢情報に基づいて前記基板保持手段と前記マスク保持手段との相対的な姿勢を制御するステップと、
を有し、
前記姿勢情報は、前記マスク保持手段に対する前記基板保持手段の傾きであることを特徴とするアライメント方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板とマスクをアライメントした後に基板とマスクを密着させる際に、基板保持機構とマスク保持機構の相対的な姿勢変化に対応するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の蒸着装置の構成を示す模式的な断面図
図2】蒸着装置の上面図
図3】アライメント機構の一例を示す斜視図
図4】回転並進機構の一例を示す斜視図
図5】基板保持部の一例を示す斜視図
図6】基板保持部による基板の保持の様子を示す図
図7】基板およびマスクの保持の様子を示す平面図
図8】実施形態における処理の各工程を示すフローチャート
図9】フローチャートに対応する、基板とマスクの状態を示す側面図
図10】フローチャートに対応する、基板とマスクの状態を示す別の側面図
図11】フローチャートに対応する、基板とマスクの状態を示す別の側面図
図12】フローチャートに対応する、基板とマスクの状態を示す別の側面図
図13】実施形態の有機ELパネルの製造システムの模式的な構成図
図14】電子デバイスの構成を示す模式的な断面図
図15】実施形態の蒸着装置の各機構を制御するためのシステムブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態及び実施例を説明する。ただし、以下の実施形態及び実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲をそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特に特定的な記載がないかぎりは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0020】
本発明は、基板等の成膜対象物に、マスクを介して蒸着による成膜を行う蒸着装置に好適であり、典型的には有機ELパネルを製造するためにガラス等の基板に対して有機材料等を蒸着する蒸着装置に適用できる。本発明はまた、スパッタリングなど蒸着以外の方法で基板に成膜を行う成膜装置や成膜方法に適用できる。本発明はまた、蒸着装置内のアライメント機構に取り付け可能な、基板の傾斜に関する情報を取得する情報取得装置としても捉えられる。本発明はまた、基板とマスクのアライメントを行うアライメント装置やアライメント方法としても捉えられる。本発明はまた、電子デバイスの製造装置や電子デバイスの製造方法としても捉えられる。本発明はまた、蒸着装置や情報取得装置の制御方法や、当該制御方法をコンピュータに実行させるプログラムや、当該プログラムを格納した記憶媒体としても捉えられる。記憶媒体は、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。
【0021】
蒸着装置は、有機ELパネルに用いる有機EL素子の他、有機薄膜太陽電池、半導体デバイス、磁気デバイス、電子部品などの各種電子デバイスや、光学部品などの製造において、基板または基板上に積層体が形成されているものの上に薄膜を堆積形成することができる。典型的には、蒸着装置は、発光素子や光電変換素子、タッチパネルなどの電子デバイスの製造において好ましく用いられる。電子デバイスとして、有機EL素子を備えた表示装置や照明装置等を挙げても良い。
【0022】
[実施形態1]
(装置構成)
図1は、本実施形態の蒸着装置100の全体構成を示すための模式的な断面図であり、蒸着装置100が有する各部位の配置、構成および関係を説明する。蒸着装置の同一図面内に同一もしくは対応する部材を複数有する場合には、図面中にa、bなどの添え字を付与して示しているが、説明文において区別する必要がない場合には、a、bなどの添え字を省略して記述する。
【0023】
蒸着装置100は概略、チャンバ4と、基板5およびマスク6aを保持して相対位置合わせを行うアライメント装置1を備えている。チャンバ4の内部には蒸着材料71(成膜材料)を収納した蒸発源7(成膜源)を配置可能であり、これにより、チャンバ内部に減圧された成膜空間2が形成される。成膜空間2においては、蒸発源7から基板5に向けて蒸着材料が飛翔し、基板上に膜が形成される。
【0024】
図示例では成膜時に基板の成膜面が重力方向下方を向いた状態で成膜されるデポアップの構成について説明する。しかし、成膜時に基板の成膜面が重力方向上方を向いた状態で成膜されるデポダウンの構成でもよい。また、基板が垂直に立てられて成膜面が重力方向と略平行な状態で成膜が行われる、サイドデポの構成でもよい。
本発明は、基板とマスクを相対的に接近させるときに、該基板とマスクの少なくともいずれかの部材に発生する垂下や撓みによって、その部材の姿勢が変化するおそれがある場合に、好適に利用できる。
【0025】
チャンバ4は上部隔壁3a(天板)、側壁3b、底壁3cを有しており、側壁3bには、基板5をチャンバ4内に搬入/搬出するためのゲートバルブ15が設けられる。チャン
バ4は図1では格子状のハッチングで示される。チャンバ内部は、上述した減圧雰囲気の他、真空雰囲気や、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持されていても良い。
【0026】
蒸発源7は例えば、蒸着材料71を収容する坩堝などの容器72と、蒸着材料71の温度を上昇させて蒸発させて射出するシースヒータなどの加熱手段73を備えるものであっても良い。さらに、基板5およびマスク6aと略平行な平面内で容器72を移動させる機構を備えることで、蒸着材料71を射出する射出口を移動させ、基板上への成膜を均一化しても良い。なお、ここでは成膜源として蒸発源7を備えた蒸着装置について説明するが、本発明はこれに限定はされず、成膜源としてターゲットおよびカソードを有するスパッタリングカソードを備えたスパッタ装置にも適用可能である。
【0027】
アライメント装置1は、概略、チャンバ4の上部隔壁3aの上に搭載されて位置決めを行う部分と、チャンバ内部に存在して基板等を保持する部分が含まれる。アライメント装置1は、基板5を保持する基板保持部8(基板保持手段)と、マスク6aを保持するマスク保持部9(マスク保持手段)と、位置合わせ機構60(位置合わせ手段)と、を有している。基板保持部8は、図1では縦方向のハッチングで示される。マスク保持部9は、図1では上部隔壁3aに接続された白抜き部分として示される。
【0028】
位置合わせ機構60は、チャンバ4の外側に設けられており、蒸着時に所望の精度を実現できるように、基板5とマスク6aの相対的な位置関係を変化させたり安定的に保持したりする。位置合わせ機構60は、概略、回転並進機構11(面内移動手段)と、Z昇降ベース13と、Z昇降スライダ10を含んでいる。
【0029】
Z昇降ベース13は、回転並進機構11によって、基板およびマスクと略平行な水平面内を2次元方向(X,Y方向及び回転方向θ)に移動される。Z昇降スライダ10は、Z昇降ベース13とともにX,Y,θ方向に移動し、かつZ昇降ベース13に対してZ方向(基板およびマスクに対して垂直な方向)に昇降動作可能に支持されている。
【0030】
詳しくは後述するが、位置合わせ機構60には更に、姿勢情報取得手段(姿勢検出手段)であるリニアスケール52と、姿勢調整手段(姿勢制御手段)であるボイスコイルモータ51が含まれる。リニアスケール52は、Z昇降スライダ10の側面に配置されZ方向に目盛りが設けられたスケールで、このスケールと対向するZ昇降ベース13上に配置された検出器とともに、Z昇降ベース13とZ昇降スライダ10の相対位置関係を取得する。なおリニアスケール52としては光学式など任意のものを利用でき、図1では黒塗り部分として示される。
【0031】
ボイスコイルモータ51は、Z昇降スライダ10の側に配置された円筒コイル部材と、対向するZ昇降ベース13の側に配置されたインナーマグネット部材で構成され、非接触でギャップを保ったまま両者が互いに相対的に位置関係を変化させる。ボイスコイルモータ51は、図1では横方向のハッチングで示される。ボイスコイルモータ51は、Z昇降ベース13とZ昇降スライダ10の位置関係をボイスコイルの発生力によって調整することにより、基板5の姿勢を調整する。なおボイスコイルモータ51としてムービングコイル式やムービングマグネット式など任意のものを利用できる。
【0032】
このように、リニアスケール52を含む姿勢情報取得手段(姿勢検知手段)と、ボイスコイルモータ51を含む姿勢調整手段(姿勢制御手段)とで、Z昇降スライダ10の傾き(すなわち基板5の傾き)を検知し、その傾きを制御(調整あるいは保持など)することができ、基板下降中の姿勢を安定させることができる。
【0033】
なお、リニアスケール52を、既存のアライメント装置1に後から取り付けられる構成
としても良い。すなわち本発明は、蒸着装置のアライメント装置に配置される、基板の傾き等の姿勢情報を検知する姿勢情報取得手段を備える情報取得装置として捉えることができる。この場合で、既存のアライメント装置1にすでにボイスコイルモータ等の上下及び傾きを調整可能な機構が備わっていれば、リニアスケールと制御用のソフトウェアを付加することによって、姿勢制御を実現することができる。
さらに、情報取得装置としてのリニアスケール52及びボイスコイルモータ51を、既存のアライメント装置1に取り付けられる構成としても良い。この場合、既存のアライメント装置1に制御用のソフトウェアを付加することによって、姿勢制御を実現することができる。
【0034】
回転並進機構11は、チャンバ4の上部隔壁3aに取り付けられ、Z昇降ベース13をXYθ方向に駆動し、これによって基板とマスクの面方向内における位置合わせ(アライメント)を行う。またZ昇降ベース13は、Z方向には移動せず、基板5がZ方向に移動するときのベースとなる。図1においては右下がり対角線のハッチングで示される。
【0035】
Z昇降スライダ10は、Zガイド18に沿ってZ方向に移動可能な部材である。Zガイド18は、Z昇降ベース13の側面に固定される固定部分(符号18a1,18c1)と、該固定部分に沿ってZ方向に移動可能な、Z昇降スライダ10が接続される可動部分(符号18a2,18c2)を含む。Z昇降スライダ10は、図1では右上がり対角線のハッチングで示される。
Z昇降スライダ10は、基板保持シャフト12を介して基板保持部8に接続され、Z昇降ベース13に対して基板保持部8を昇降することにより、基板保持部8に保持された基板5と、マスク6aの間の距離を制御する。
【0036】
かかる構成において、回転並進機構11による基板5およびマスク6aに略平行な面内でのXYθ駆動の際には、Z昇降ベース13、Z昇降スライダ10および基板保持シャフト12が一体として移動し、基板保持部8に駆動力を伝達する。そして、基板5を、基板5およびマスク6aと略平行な平面内において移動させる。また、Zガイド18によってZ昇降スライダ10がZ昇降ベース13に対してZ方向に駆動する際には、駆動力が基板保持シャフト12を介して基板保持部8に伝達される。そして、基板5のマスク6aに対する距離を変化(離間または接近)させる。すなわち、Z昇降ベース13、Z昇降ベース13およびZガイド18は位置合わせ機構60による位置合わせの際の距離変化手段として機能する。
【0037】
また図示例のように、可動部を多く含む位置合わせ機構60を成膜空間の外に配置することで、成膜空間内の発塵を抑制することができる。
【0038】
ここで、上述したように、Z昇降ベース13とZ昇降スライダ10を接続する。Zガイド18は、例えば、リニアガイドとキャリッジの組により構成され、Z昇降ベース13側に接続されZ方向に延伸するリニアガイド上を、Z昇降スライダ10に接続されたキャリッジが移動することにより、Z昇降ベース13とZ昇降スライダ10の両部材を移動可能に接続する。
【0039】
またZガイド18は、所望の位置で移動を規制して相互の位置関係を固定可能である。ただし、高精度な位置制御が求められる場合(例えば、μmオーダー)は、外部からの力が作用することによりZガイド18により固定された位置関係がずれる場合がある。例えば、基板保持部8が下降して基板5とマスク6aが接触し、マスク6aから基板5への反力が作用した場合に、Z昇降ベース13に対してZ昇降スライダ10が支点であるボールねじ20のナットを回転中心として傾く場合がある。
すなわち基板とマスクとが接触する際、それぞれに微小なたるみや反り等があると、両
者が均一な面で密着せず、最初に接触した部分の摩擦が大きくなり、基板とマスクが互いに近づき対向する表面が互いに密着するまでの動作に伴って、その接触点に基板保持部8が引っ張られる方向に力が作用する。
【0040】
その結果、マスク保持部9がチャンバ4に固定されているため、マスク保持部9に対して基板保持部8が傾くことになり、基板保持シャフト12を介して基板保持部8を支持しているZ昇降スライダ10に対して微細な傾きが生じる。このような傾きの発生は、アライメント精度を低下させ、蒸着精度によっては問題となり得る。
このような問題は、基板、マスクの個体差、保持機構に対する保持姿勢、さらにはアライメント時の移動方向によっても異なり、基板とマスクを相対的に近づけた場合、最初に接触する位置が不定であるため、予測が難しい。
【0041】
なお、本実施形態のアライメント装置1はマスク保持部9がチャンバ4に固定され、基板保持部8が位置合わせ機構60によってマスク保持部9に対して回転並進駆動、近接離間駆動される構成としているが、これに限定はされない。すなわち、本発明は、基板保持部8がチャンバ4に固定され、マスク保持部9が位置合わせ機構60によって基板保持部8に対して回転並進駆動、近接離間駆動される構成のアライメント装置にも適用可能である。このような構成のアライメント装置においても、同様のメカニズムによって、基板保持部8に対してマスク保持部9が傾くことになる。
【0042】
基板保持シャフト12は、チャンバ4の上部隔壁3aに設けられた貫通穴16を通って、チャンバ4の外部と内部に渡って設けられている。成膜空間内では、基板保持シャフト12の下部に基板保持部8が設けられ、被成膜物である基板5を保持可能となっている。
なお、チャンバ内部に、冷却板やマグネット機構を設けても良い。冷却板は例えば、成膜時に、基板5の、マスク6aと接触する面とは反対側の面に接触し、成膜時の基板温度の上昇を抑制する板状部材である。これにより、有機材料の変質や劣化が抑制される。またマグネット板とは、磁力によってマスク6aを引き付けて、成膜時の基板5とマスク6aの密着性を高める部材である。
【0043】
そして上述したように、Z昇降スライダ10には、XY平面に対して矩形状のZ昇降スライダ10の3角に、ボイスコイルモータ51(サーボモータ)とリニアスケール52が、3セット配置されている。
図2は装置の上面図であり、ボイスコイルモータ51とリニアスケール52の配置を示したものである。
【0044】
ボールねじ20のナットを回転中心とする回転方向の姿勢制御は、ボイスコイルモータ51a、51b、51cの組み合わせで実現する。
ボイスコイルモータ51a、ボイスコイルモータ51b、ボイスコイルモータ51c各々の推力を、それぞれFa、Fb、Fcとする。X軸周りの回転力をFωx、X軸周りの回転力をFωyとすると、各ボイスコイルモータの推力と回転力の関係は以下の式(1)~(3)で示される。
Fa=1/Y1×Fωx+1/X1×Fωy …(1)
Fb=-1/Y1×Fωx …(2)
Fc=-1/X1×Fωy …(3)
ここで、X1はボイスコイルモータ51a、51cの間隔、Y1はボイスコイルモータ51a、51bの間隔を示す。
また、Z方向のトータル推力Fa+Fb+Fc=0となるので、Z方向に駆動するボールねじ20のZ方向推力と干渉することは無い。
【0045】
次に、姿勢の演算方法について説明する。
リニアスケール52a、52b、52c各々の測定値を、それぞれZa、Zb、Zcとする。回転中心におけるZ昇降スライダ10のX軸回りの回転角度をωx、Y軸回りの回転角度をωyとする。このとき、回転角度は以下の式(4)、(5)で算出できる。
ωx=(Zb-Za)/Y1 …(4)
ωy=(Za-Zc)/X1 …(5)
【0046】
すなわち、各リニアスケールによってωx、ωyの値を導出し、姿勢が設定した基準を保つように各ボイスコイルのモータ推力Fa、Fb、Fcの組み合わせで回転力Fωx、Fωyを発生し、フィードバックすることで、Z昇降スライダ10がZ方向のどの高さにあっても常時姿勢を制御できる構成となっている。
また、本実施例では3個のボイスコイルモータおよび3個のリニアスケールを使用している。しかし、より姿勢を安定させるために、Z昇降スライダ10の4隅それぞれに1個ずつ、合計4個のボイスコイルモータおよび4個のリニアスケールを用いて姿勢を制御することも可能である。
【0047】
なお、Z昇降スライダ10の姿勢情報取得手段はリニアスケールに限定されるものではなく、姿勢調整手段はボイスコイルモータに限定されるものではない。例えば、リニアスケールによる計測の代わりに、レーザ変位計による位置検出や、デジタル水準器によるZ昇降スライダの傾斜(姿勢)測定などを行っても良い。また、ボイスコイルモータ以外のモータを用いてもよい。その他、任意の機構を採用できる。
【0048】
基板保持シャフト12と上部隔壁3aとが干渉することのないよう、貫通穴16は基板保持シャフト12の外径に対して十分に大きく設計される。また、基板保持シャフト12のうち貫通穴16からZ昇降スライダ10への固定部分までの区間は、Z昇降スライダ10と上部隔壁3aとに固定されたベローズ40によって覆われる。これにより、基板保持シャフト12がチャンバ4と連通する閉じられた空間によって覆われるため、基板保持シャフト12全体を成膜空間2と同じ状態(例えば、真空状態)に保つことができる。ベローズ40には、Z方向およびXY方向にも柔軟性を持つものを用いるとよい。これにより、アライメント装置1の稼働によってベローズ40が変位した際に発生する抵抗力を十分に小さくすることができ、位置調整時の負荷を低減することができる。
【0049】
マスク保持部9は、チャンバ4の内部において、上部隔壁3aの成膜空間2の側の面に設置されており、マスクを保持可能となっている。例えば有機ELパネルの製造に用いられるマスクは、成膜パターンに応じた開口を有する箔状のマスク6aが高剛性のマスク枠6bに架張された状態で固定された構成を有している。この構成により、マスク保持部9はマスク6aの撓みを低減した状態で保持することができる。
【0050】
なお、図1の構成では、マスク保持部9はチャンバ4に固定され、基板保持部8のみが可動である。しかし、本発明の蒸着装置におけるアライメント装置は、この構成に限られない。基板保持部8とマスク保持部9のうち、少なくとも一方が他方に対して移動可能であれば良い。また、基板保持部8とマスク保持部9の両方が駆動可能でもよい。
【0051】
蒸着装置100による各種の動作(回転並進機構11によるアライメント、距離変化手段によるZ昇降スライダ10の昇降、基板保持部8による基板保持、蒸発源7による蒸着など)は、制御部50によって制御される。制御部50は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/Oなどを有するコンピュータにより構成可能である。この場合、制御部50の機能は、メモリ又はストレージに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを用いてもよいし、組込型のコンピュータ又はPLC(programmable logic controller)を用いてもよい。あるいは、制御部50の機能の一部又は全部を
ASICやFPGAのような回路で構成してもよい。なお、蒸着装置ごとに制御部50が設けられていてもよいし、1つの制御部50が複数の蒸着装置を制御してもよい。
【0052】
次にアライメント装置1の位置合わせ機構60の詳細について、図3を参照して説明する。図3は、アライメント機構の一形態を示す斜視図である。Z昇降スライダ10を鉛直Z方向に案内するガイドは、複数本(ここでは4本)のZガイド18a~18dを含んでおり、Z昇降ベース13の側面に固定されている。Z昇降スライダ中央には駆動力を伝達するためのボールネジ20が配設され、Z昇降ベース13に固定されたモータ19から伝達される動力が、ボールネジ20を介してZ昇降スライダ10に伝えられる。
【0053】
モータ19は不図示の回転エンコーダを内蔵しており、エンコーダの回転数により間接的にZ昇降スライダ10のZ方向位置を計測できる。モータ19の駆動を外部コントローラで制御することにより、Z昇降スライダ10のZ方向の精密な位置決めが可能となっている。なお、Z昇降スライダ10の昇降機構は、ボールネジ20と回転エンコーダに限定されるものではなく、リニアモータとリニアエンコーダの組み合わせなど、任意の機構を採用することができる。
【0054】
図4は、アライメント装置1の位置合わせ機構60の回転並進機構11の一形態を示す斜視図である。アライメント装置1では、Z昇降スライダ10およびZ昇降ベース13が回転並進機構11の上に配設されており、Z昇降ベース13とZ昇降スライダ10の全体を、回転並進機構11によってXY方向および回転方向θz(θzはZ軸に対する回転位置)に駆動させることが可能となっている。
【0055】
図4の構成では、回転並進機構11は複数の駆動ユニット21a~21dを、ベースの四隅に有している。各駆動ユニットは、隣接する隅に配置された駆動ユニットをZ軸周りに90度回転させた向きに配置されている。
【0056】
各駆動ユニット21は、駆動力を発生させる駆動ユニットモータ41を備えている。各駆動ユニット21は更に、駆動ユニットモータ41の力が駆動ユニットボールネジ42を介して伝達されることにより第1の方向にスライドする第1のガイド22と、XY平面において第1の方向と直交する第2の方向にスライドする第2のガイド23とを備えている。さらに、Z軸周りに回転可能な回転ベアリング24を備えている。例えば、駆動ユニット21cの場合は、X方向にスライドする第1のガイド22、X方向と直交するY方向にスライドする第2のガイド23、回転ベアリング24を有しており、駆動ユニットモータ41の力が駆動ユニットボールネジ42を介して第1のガイド22に伝達される。
【0057】
駆動ユニットモータ41は不図示の回転エンコーダを内蔵しており、第1のガイド22の変位量を計測可能である。各駆動ユニット21において、駆動ユニットモータ41の駆動を制御部50で制御することにより、Z昇降ベース13のXYθz方向における位置を精密に制御することが可能となっている。
例えば、Z昇降ベース13を+X方向へ移動させる場合は、駆動ユニット21bと21cのそれぞれにおいて+X方向にスライドさせる力を駆動ユニットモータ41で発生させ、Z昇降ベース13にその力を伝えるとよい。また、+Y方向へ移動させる場合には、駆動ユニット21aと21dのそれぞれにおいて+Y方向にスライドさせる力を駆動ユニットモータ41で発生させ、Z昇降ベース13にその力を伝えるとよい。
Z昇降ベース13を+θ回転(時計周りにθz回転)させる場合は、対角に配置された駆動ユニット21cと21bとを用いて、Z軸周りに+θz回転させるために必要な力を発生させ、Z昇降ベース13にその力を伝えるとよい。あるいは、駆動ユニット21aと21dとを用いて、Z昇降ベース13に回転に必要な力を伝えてもよい。
【0058】
次に、基板保持部8の詳細な構成について、図5および図6を用いて説明する。図5は、基板保持部8全体をアライメント装置1側から見た斜視図である。ここでは基板保持部8は、矩形の基板5を互いに対向する2辺(ここでは長辺)に沿って保持した状態である。図6(a)、図6(b)は、基板保持部8の、基板を保持する部分を拡大した側面図であり、図6(a)は基板を載置して保持している状態を、図6(b)は基板の両側を挟持して保持している状態を示している。なお、図6(a)および図6(b)では、基板5には自重による撓みが生じていないように見えるが、これは図示の便宜のためであり、実際には両端で支持された基板5は自重等の影響により変形している。
【0059】
図5に示すように、基板保持部8は、基板5の二つの長辺にそれぞれ対応する、保持ベース25aと保持ベース25bを有している。保持ベース25aは基板保持シャフト12aと基板保持シャフト12bの下部に固定され、保持ベース25bは基板保持シャフト12cと基板保持シャフト12dの下部に固定されている。保持ベース25aは、基板保持シャフト12aと基板保持シャフト12bにより、保持ベース25bは基板保持シャフト12cと基板保持シャフト12dにより、位置が制御される。保持ベース25a、保持ベース25bは、基板の長辺と同等の長さを有する板状部材であり、基板の長辺に沿って複数の受け爪26が設けられている。さらに、基板保持部8は、受け爪26a、26bと対向して、駆動シャフト34a、34bを介して位置が制御される複数のクランプ27を有している。複数の受け爪26a、26bに対する複数のクランプ27a、27bの位置を制御して、基板5の互いに対向する2辺の縁部(端部)を挟み込んで挟持することで、基板の位置を固定できる。
【0060】
なお、図5に示すように、マスク枠6bには、基板5をマスク6aに載置させる際に受け爪26a、26bとの干渉を回避するための複数の溝が掘られている。溝と受け爪26a、26bとのクリアランスを数mm程度設定しておけば、基板5の載置後に受け爪26a、26bがさらに下降しても、マスク枠6bと受け爪26a、26bが互いに衝突するのを避けることができる。
【0061】
保持ベース25a、25bの位置を制御するための基板保持シャフト12a~12dは、一括して制御してもよい。あるいは、基板保持シャフト12aおよび12bのグループと、基板保持シャフト12cおよび12dのグループに分けて、別々に制御してもよい。ここでは、保持ベース25a、25bごとに複数のクランプ27a、27bを1つのユニット(クランプユニット28a、28b)とし、ユニットごとに駆動機構で駆動する。ただし、それぞれが個別に設けられた駆動機構によってクランプ27a、27bを上下に駆動してもよい。クランプユニット28a、28bはクランプスライダ32a、32bに固定されており、基板保持部8の保持ベース25a、25bと保持部上板35a、35bの間に配設されたリニアブッシュ39a、39bによって、クランプスライダ32a、32bがZ方向にガイドされる。クランプスライダ32a、32bは、上部隔壁3aを貫通する駆動シャフト34a、34bを介してZ昇降スライダ10に固定される。クランプスライダ32a、32bは駆動シャフト34a、34bを介して電動シリンダ36a、36bから発生する力によってZ方向に駆動可能である。
【0062】
クランプ27a、27bの下降が下端に達すると、クランプ27a、27bは受け爪26a、26b上に載置された基板5の表面に当接し、受け爪26a、26bの挟持面とクランプ27a、27bの挟持面との間で基板5を固定する。これが、図6(b)の状態である。クランプ27a、27bによって一定の荷重を付加して基板5を保持するため、クランプ27a、27bの上部には保持力(荷重)を発生させるためのバネ29a、29bが配設される。なおクランプ27a、27bとバネ29a、29bの間にはロッド31a、31bが存在し、クランプ27a、27bはZ方向に案内される。バネ29a、29bは荷重調整ネジ30によってギャップLを変えることで全長を調整することができる。従
って、バネ29a、29bの押し込み量によって、ロッド31a、31bを介してクランプ27a、27bに発生する押し込み力(基板への押圧力)も調整可能である。
【0063】
次に、基板5とマスク6aとの位置を検出するために、それぞれのアライメントマークの位置を同時に計測するための撮像装置について説明する。図1図3に示すように、上部隔壁3aの外側の面には、マスク6a上のアライメントマーク(マスクマーク)および基板5上のアライメントマーク(基板マーク)の位置を取得するための位置取得手段である撮像装置14が配設されている。上部隔壁3aには、撮像装置14によりチャンバ4の内部に配置されたアライメントマークの位置を計測できるよう、カメラ光軸上に不図示の撮像用貫通穴が設けられている。撮像用貫通穴には、チャンバ内部の真空度を維持するために窓ガラス等が設けられる。さらに、撮像装置14の内部または近傍に不図示の照明を設け、基板およびマスクのアライメントマーク近傍に光を照射することで、正確なマーク像の計測を可能としている。
【0064】
図7(a)~図7(c)を参照して、撮像装置14を用いて基板マーク37とマスクマーク38の位置を計測する方法を説明する。
図7(a)は、基板保持部8に保持されている状態の基板5を上から見た図である。基板5上には撮像装置14で計測可能な基板マーク37a~基板マーク37dが基板の4隅に形成されている。この基板マーク37a~基板マーク37dを4つの撮像装置14によって同時計測し、各基板マークの中心位置である4点の位置関係から基板5の並進量、回転量を算出することにより、基板の位置情報を取得することができる。
【0065】
図7(b)は、マスク6aを上面から見た図である。箔状のマスク6aの四隅には撮像装置で計測可能なマスクマーク38a~マスクマーク38dが形成されている。このマスクマーク38a~マスクマーク38dを4つの撮像装置14a~撮像装置14dにより同時計測し、各マスクマークの中心位置である4点の位置関係からマスク6aの並進量、回転量などを算出して、マスクの位置情報を取得することができる。
【0066】
図7(c)は、マスクマーク38および基板マーク37の4つの組の中の1組を、撮像装置14によって計測した際の、撮像画像の視野43を模式的に示した図である。この例では、撮像装置14の視野43内において、基板マーク37とマスクマーク38が同時に計測されているので、マーク中心同士の相対的な位置を測定することが可能である。マーク中心座標は、撮像装置14の計測によって得られた画像に基づいて、不図示の画像処理装置を用いて求めることができる。なお、マスクマーク38および基板マーク37として四角形や丸形状のものを示したが、マークの形状はこれに限られるわけではない。例えば、×印や十字形などのように中心位置を算出しやすく対象性を有する形状を用いることが好ましい。
【0067】
精度の高いアライメントが求められる場合、撮像装置14として数μmのオーダーの位置ズレを検出可能な高解像度を有する高倍率CCDカメラが用いられる。このような高倍率CCDカメラは、視野の径が数mmと狭いため、基板5を受け爪26に載置した際の位置ズレが大きいと、基板マーク37が視野から外れてしまい、計測不可能となる。そこで、撮像装置14として、高倍率CCDカメラと併せて広い視野をもつ低倍率CCDカメラを併設するのが好ましい。その場合、マスクマーク38と基板マーク37が同時に高倍率CCDカメラの視野に収まるよう、低倍率CCDカメラを用いて大まかなアライメント(ラフアライメント)を行った後、高倍率CCDカメラを用いてマスクマーク38と基板マーク37の位置計測を行い、高精度なアライメント(ファインアライメント)を行う。
【0068】
撮像装置14として高倍率CCDカメラを用いることにより、マスク6aと基板5の相対位置を誤差数μm内の精度で調整することができる。ただし、撮像装置14はCCDカ
メラに限られるわけではなく、例えばCMOSセンサを撮像素子として備えるデジタルカメラでもよい。また、高倍率カメラと低倍率カメラを別個に併設しなくとも、高倍率レンズと低倍率レンズを交換可能なカメラや、ズームレンズを用いることにより、単一のカメラで高倍率と低倍率の計測を可能にしてもよい。
【0069】
撮像装置14によって取得したマスク6aの位置情報および基板5の位置情報から、マスク6aと基板5との相対位置情報を取得することができる。この相対位置情報を、アライメント装置の制御部50にフィードバックし、Z昇降スライダ10、回転並進機構11、基板保持部8など、それぞれの駆動部の駆動量を制御する。
【0070】
(制御システム)
上述した各機構は、すべて制御部50によって制御される。図15は、制御部50によって各制御対象とする機構を制御するためのシステムブロック200を説明するための図である。
【0071】
図15において、制御部50は前述のように、プロセッサによって構成され、ハードディスク(HDD)207に記憶された制御プログラム、あるいは入出力インタフェース(I/O)206を介してネットワーク209より制御プログラムをロードして実行することによって、制御対象とする各機構部の動作を制御する。またメモリ206は、各機構の動作制御に関連する種々のデータ処理に用いられる。
【0072】
制御部50は、姿勢制御ブロック201、Z昇降スライダ制御ブロック202、アライメントブロック203、および基板保持制御ブロック204を制御する。
アライメントブロック203は、撮像装置14によって検出された位置ズレ情報に基づいて、回転並進機構11を制御して基板、マーク間のアライメントを行う。姿勢制御ブロック201は、姿勢検出手段、姿勢制御手段によって基板とマスクとの傾きを制御する。Z昇降スライダ制御ブロック202は、Z昇降スライダ10を制御して、基板保持部8を昇降制御して基板をマスクへと昇降制御する。基板保持制御ブロック204は、基板保持部8に組み込まれている基板保持機構を制御する。
【0073】
(基板載置方法)
以下では、基板を基板保持部にセットし、基板とマスクとをアライメントし、基板をマスク上に載置するまでの、蒸着装置の一連の動作を説明する。この一連の動作は、図15のシステムブロック図に示す構成において、制御部50によって制御プログラムを実行し、各制御対象を制御することによって行われる。
【0074】
図8は、実施形態の蒸着装置において、制御部50によって実行される動作シーケンスを示すフローチャートである。また、図9図12は、図8のフローチャートの各ステップにおける基板とマスクの状態を示すための模式図である。なお、本フローの説明においては、蒸着装置100が撮像装置として、ラフアライメント用の低倍率カメラとファインアライメント用の高倍率カメラを有するものとする。
【0075】
まず、ステップS101では、不図示のロボットハンドに搭載された基板5がゲートバルブ15を介してチャンバ4内に搬入され、図9(a)に示すように、基板保持部の両側の受け爪26上に載置される。受け爪26aは、基板の一辺に沿って該基板を支持し、受け爪26bは、前記一辺と対向する第二辺に沿って該基板を支持する。
この工程では、ロボットハンドの動作スペースを十分に確保するために、受け爪26の上面とマスク6aとを隔てる距離H1を十分に大きく設定している。受け爪26上に載置された基板5は自重により撓み、Z方向における基板5とマスク6aの最短距離D1は、H1よりも短くなる。しかし、H1を十分大きく設定しているため、基板5がマスク6a
と接することはない。(基板5がマスク6aよりも上にある状態を正とすると、D1>0)。
【0076】
次に、ステップS102では、図9(b)に示すように、受け爪26と対向して配置されたクランプ27を駆動して、基板5をクランプ(挟持)する。具体的には、電動シリンダ36から発生する力が駆動シャフト34を介してクランプスライダ32に伝えられ、クランプスライダ32がZ方向に駆動する。すると、クランプスライダ32に取り付けられたクランプユニット28が下降して基板5に接触し、受け爪26との間に基板5を挟み込んでクランプする。本構成では、クランプ27aは、基板5を受け爪26aに向けて押圧し、クランプ27bは、基板を受け爪26bに向けて押圧する。
【0077】
次に、ステップS103では、図10(a)に示すように基板5を下降させ、低倍率CCDカメラで撮像する高さにセットする。すなわち、受け爪26を下降させ、受け爪26の上面とマスク6aの距離を、H1よりも小さなH2に変位させる。(H1>H2)。ただし、このとき、自重により撓んだ基板5がマスク6aと接触しない高さに設定する。したがって、本ステップでのZ方向における基板5とマスク6aの最短距離D2は、(D1>D2>0)を満たすようにする。なお、この基板5を保持する基板保持部8の昇降動作は、モータ19によってボールネジ20を回転し、Z昇降ベース13に対して、Z昇降スライダ10を昇降制御することによって行われる。
【0078】
次に、ステップS104では、低倍率CCDカメラで基板5に設けられた基板マーク37を撮像する。制御部50は、撮像された画像に基づき基板5の位置情報を取得してメモリ206あるいは制御部50内のメモリに保存する。
【0079】
ステップS105は、ステップS104に続いて実行される場合と、ステップS109またはステップS113での判定が「NO」のとき、これらのS109またはS113に続いて実行される場合とがある。
【0080】
ステップS104に続いて実行されるステップS105では、図10(b)に示す位置まで基板5を下降させ、アライメント動作高さにセットし、ステップS104で取得した位置情報に基づいて基板5の位置を調整する。
まず基板5の高さについて言えば、受け爪26の上面とマスク6aとを隔てる距離を、ステップS104の時より小さなH3(第1の高さ)に変更する(H2>H3)。ただしこの時、受け爪26の位置は、自重により撓んだ基板5がマスク6aと接触しない高さに設定する。このときの距離関係は、本ステップでのZ方向における基板5とマスク6aの最短距離をD3とすると、(D1>D2>D3>0)となる。
なお、場合によっては、ステップS105とステップS104を同じ高さで実行してもよく、その場合にはH2=H3、D2=D3>0とする。
【0081】
ステップS104に続いて実行されるステップS105におけるアライメント動作では、制御部50は、ステップS104で取得した基板5の位置情報に基づいて、アライメント装置1が備える位置合わせ機構を駆動する。すなわち、制御部50は、基板5の基板マーク37が高倍率CCDカメラの視野内に入るように基板5の位置を調整する。なお、マスク6aについては、マスクマーク38が高倍率CCDカメラの視野内(望ましくは視野中心)に入るように、予め、マスク6aと高倍率CCDカメラの相対位置が調整済みである。このため、ステップS104に続いて実行されるステップS105におけるアライメント動作により、基板マーク37とマスクマーク38の両方が高倍率CCDカメラの視野内に入るように調整される。ただしこの時点では、被写界深度の関係から、基板マークが高倍率CCDカメラで撮像できない可能性がある。なお、アライメント動作では、基板5をXYθz方向に移動させるが、前述のように自重により撓んだ基板5がマスク6aと接
触しない高さで移動させるため、ラフアライメント動作におけるマスク6aと基板5の相対移動量が大きくても、基板5の表面、あるいは、すでに形成された膜パターンがマスク6aと摺動して破損することはない。
【0082】
次に、ステップS106では、図11(a)に示すように基板5を下降させ、高倍率CCDカメラで撮像する高さに基板5をセットする。すなわち、クランプ27aとクランプ27bで基板5を押圧したまま受け爪26a、26bを下降させ、受け爪26a、26bの上面とマスク6aの距離を、H3よりも小さなH4(第2の高さ)に変更する。(H3>H4)。
ここでは、被写界深度が浅い高倍率CCDカメラを、基板マーク37とマスクマーク38の両方に合焦させて撮影するために、基板5の少なくとも一部(撓んだ部分)がマスク6aに接触して基板マスク当接部5cができる高さまで、基板5をマスク6aに近接させる。
【0083】
このように基板5の一部がマスク6aに当接すると、その当接部における摩擦力が大きいため、さらなる基板5の下降動作に伴い、基板とマスクの接触が進み、徐々に基板の撓みが減少するにつれて、基板5に対する水平方向における反力が発生し、その反力が基板保持部8、基板保持シャフト12を介してZ昇降スライダ10に伝わり、Z昇降スライダ10とZ昇降ベース13の位置関係が変化する(例えば、Z昇降スライダ10の姿勢が傾く)可能性がある。この状態で基板5とマスク6aを接近させ続けると、傾きも変化を続け、アライメントが不安定化する可能性もある。この傾きは、基板とマスクとが最初に接触する当接点である基板マスク当接部5cが基板によって不定であることから、それに起因する反力がどのように作用するかも不確定である。しかも基板、マスクが大きくなるほど、この問題は顕著になる。
【0084】
そこで本発明では、後述するように、このような当接が発生した後のステップでは、Z昇降スライダ10の傾きを計測し、その傾き(すなわち、基板保持部8とマスク保持部9の相対的な姿勢)を一定に維持するように姿勢を調整している。このような姿勢制御は、基板保持部とマスク保持部9が、基板5とマスク6aが接触する直前の距離である所定距離以内となる範囲において実行される。
【0085】
また更に、後のステップでの基板保持部8の傾き算出を良好に行うために、S106において基板5の垂下部分がマスク6aに当接する前に、リニアスケール52を用いてZ昇降ベース13に対するZ昇降スライダ10の位置関係を計測してメモリに保存しておくことが好ましい。このようなリニアスケール52による計測を、例えばS104またはS105から開始しておき、Z昇降によってZ昇降ベース13とZ昇降スライダ10の位置関係が変わるのに応じて随時計測を行っても良い。
【0086】
次にステップS107に移り、Z昇降スライダ10の姿勢制御をON状態とする。このステップS107は、本発明において特徴的な動作になる。まず、それぞれのリニアスケール52a~52cによってZ昇降ベース13に対するZ昇降スライダ10の移動を検知し、得られたリニアスケールの情報から式(4)、式(5)によって、Z昇降スライダ10の姿勢(傾き)を計測する。ここで算出した2軸の姿勢を記憶し、図2に示すボイスコイルモータ51をON状態にする、すなわち式(1)~(3)によって傾きを補正する推力を発生させる。つまり姿勢に応じで戻す力を発生する姿勢フィードバック制御をON状態とする。
【0087】
また、リニアスケール52によって、Z昇降スライダ10の姿勢を計測するこの工程は次のステップS108の工程の直前に実施するのが好適である。
また、上述したようにリニアスケール52による計測を予め行って結果をメモリに保存
してある場合、保存された当接直前の計測値と当接後の計測値を比較することで、基板5とマスク6aの当接による基板保持部8の傾きの変化算出の精度を向上させることができる。
【0088】
次に、ステップS108では、高倍率CCDカメラによって基板5の基板マーク37とマスク6aのマスクマーク38とを同時に撮像する。制御部50は、撮像された画像に基づき基板5とマスク6aの相対位置情報を取得する。ここでいう相対位置情報とは、具体的には、基板マーク37とマスクマーク38の中心位置どうしの距離と位置ズレの方向に関する情報である。ステップS108は、基板とマスクの相対位置情報(相対位置ズレ量)を取得し、基板とマスクの位置ズレ量を計測する計測工程(計測処理)である。
前述したように、ステップS107の工程は、本ステップS108の直前に行うことが有効である。その理由は、高倍率CCDカメラで基板とマスクの相対位置情報を取得した時の姿勢を記憶することが、基板とマスクの位置合せを高精度にする上で効果があるためである。
【0089】
次に、ステップS109では、制御部50はステップS108で計測した基板5とマスク6aの位置ズレ量が所定の閾値以下かどうかを判定する。所定の閾値は、基板5とマスク6aの位置ズレ量が成膜を行っても支障ない範囲内に収まるように、予め設定された値である。閾値は、求められる基板5とマスク6aの位置合わせ精度を達成し得るように設定される。閾値は例えば、誤差数μm内のオーダーとする。
【0090】
ステップS109において、基板5とマスク6aの位置ズレ量が所定の閾値を越えると判定した場合には(ステップS109:NO)、いったんリニアスケール52とボイスコイルモータ51による姿勢制御をOFFにしてステップS105に戻ってアライメント動作を実行し、さらにステップS106以降の処理を続行する。
ステップS109の判定がNOの場合に実行されるステップS105では、図10(b)に示す位置まで基板5を上昇させ、アライメント動作高さ(第1の高さ)にセットし、ステップS108で取得した相対位置情報に基づいて基板5の位置を調整する。
基板5の高さについて言えば、受け爪26の上面とマスク6aとを隔てる距離を、ステップS106の時より大きなH3に変更する(H3>H4)。この時、受け爪26の位置は、自重により撓んだ基板5がマスク6aと接触しない高さであるD3に設定する(D3>0)。
【0091】
ステップS109の判定がNOの場合に実行されるアライメント動作では、制御部50は、ステップS108で取得した基板5とマスク6aの相対位置情報に基づいて、アライメント装置1が備える位置合わせ機構を駆動する。すなわち、制御部50は、基板5の基板マーク37とマスク6aのマスクマーク38とがより近接する位置関係になるように、基板5をXYθz方向に移動させて位置を調整する。
アライメント動作では、基板5をXYθz方向に移動させるが、前述のように自重により撓んだ基板5がマスク6aと接触しない高さでの移動であるため、基板5の表面、あるいは、すでに形成された膜パターンがマスクと摺動して破損することはない。
【0092】
ステップS105は、基板とマスクの位置ズレ量が減少するように基板を移動させるアライメント工程(アライメント処理)であり、ステップS109の判定がNOの場合にはファインアライメントが行われる。
ステップS109の判定がNOの場合に、一旦姿勢制御はOFFにするが、再びステップS106の工程後に姿勢制御をONにして、その時の姿勢は最初に記憶したステップS107で取得した姿勢に補正する。
【0093】
ステップS109において、基板5とマスク6aの位置ズレ量が所定の閾値以下である
と判定した場合には(ステップS109:YES)、ステップS110に移り、図11(b)に示すようにZ昇降スライダ10を下降させて、基板5をマスク6aの上に載置する。ここで本実施形態では、Z昇降スライダ10が、下降中に、リニアスケール52によって計測したZ昇降スライダ10の姿勢(傾き)を維持しながら下降するという特徴がある。
【0094】
下降中のZ昇降スライダ10の姿勢制御は、制御部50で行われる。すなわち制御部50は、3台のリニアスケール52で取得した位置情報を基に、式(4)、式(5)により、Z昇降スライダ10の姿勢を、X軸周りの傾きとY軸周りの傾きを示す角度ωx、ωyに変換する。そして3台のボイスコイルモータ51に指令を与え、X軸周りの傾きとY軸周りの傾きを、下降中一定に維持するように補正を行う。
例えば、リニアスケール52での計測を所定の間隔で実行し、傾きが変化したと判断された場合には、その傾きをもとに戻す。所定の間隔は例えば、数Hz~数百Hzであっても良い。
なお、傾きの角度は非常に微細であるため、最終的に下降が終了した時点では、図11(b)に示すように、問題なく基板5とマスク6aが全面で当接して密着する。
【0095】
次に、ステップS111では、図12に示すように、受け爪26と、それに対向して配置されたクランプ27を駆動して、基板5をアンクランプ状態にして基板5を開放する。
基板5がアンクランプ状態になったら、ステップS112に移行し、高倍率CCDカメラで基板マーク37およびマスクマーク38を撮像し、基板5とマスク6aとの相対位置情報を取得する。
【0096】
次に、ステップS113では、制御部50はステップS112で取得した基板5とマスク6aの相対位置情報に基づき、基板5とマスク6aの位置ズレ量が所定の閾値以下かどうかを判定する。所定の閾値は、その閾値内であれば成膜を行っても支障ない範囲内である条件として、予め設定しておく。
ステップS113において、基板5とマスク6aの位置ズレ量が所定の閾値を越えると判定した場合には(ステップS113:NO)、受け爪26を基板5の高さに上昇させ、両側のクランプ27で基板を挟持する。なお、かかるNO判定は、例えばステップS109~ステップS114の間に、外部振動により位置ズレが発生した場合などに起こりえる。
そして、ステップS105に戻ってアライメント動作を実行する。その後、ステップS106以降の処理を続行する。
【0097】
一方、ステップS113において、基板5とマスク6aの位置ズレ量が所定の閾値以下であると判定した場合には(ステップS113:YES)、ステップS114に移行し、姿勢制御をOFFしてアライメントシーケンスは完了する(END)。
【0098】
図8のフローが終了した時点で、蒸着材料を収納した蒸発源7から蒸着材料を基板5に向けて飛翔させてパターンを形成するのに適した位置に基板がセットされたことになる。そこで、蒸発源7から基板に蒸着材料を飛翔させて成膜する成膜処理を行う。
【0099】
図14は、蒸着装置により製造される、有機EL素子の一般的な層構成を模式的に示している。有機EL素子は、基板5に陽極2001、正孔注入層2002、正孔輸送層2003、有機発光層2004、電子輸送層2005、電子注入層2006、陰極2007の順番に成膜された構成である。本実施形態の蒸着装置は、各層の形成において、基板5とマスク6aを精度良くアライメントする必要がある場合に好適に用いられる。本実施形態にかかる装置の適用場面は、有機膜の成膜に限定されず、金属材料や酸化物材料等であっても良い。
【0100】
本実施形態によれば、基板5とマスク6aの相対位置をアライメントする際に、リニアスケール52を用いることにより、マスク6aと接触する前の基板5を保持する基板保持部8の姿勢情報(傾き)を取得できる。そして、基板5をマスク6aに載置する際のZ昇降スライダ10の下降中、基板接触前に取得した姿勢情報(傾き)にしたがってボイスコイルモータ51を制御し、基板5とマスク6aの接触後も、基板保持部8の姿勢を一定に維持できる。その結果、基板5の下降中に基板5とマスク6aの相対的な傾きが変化してアライメント後の位置関係がずれることを防止することができるので、基板5とマスク6aの高精度な位置合せが可能となる。
【0101】
[実施形態2]
次に、本発明を実施した製造システムについて説明する。図13は、本発明を実施した製造システムの模式的な構成図であり、有機ELパネルを製造する製造システム300を例示している。
【0102】
製造システム300は、複数台の蒸着装置100、複数の搬送室1101~1103、基板供給室1105、マスクストック室1106、受渡室1107、ガラス供給室1108、貼合室1109、取出室1110等を備えている。それぞれの蒸着装置100は、有機EL素子の機能の異なる各層の成膜を行う場合がある。その場合、蒸着装置ごとに蒸着材料やマスクなどが相違する。各蒸着装置100は、基板とマスクの相対位置を調整するアライメント装置1を備え、実施形態1で説明した基板載置方法により安定したアライメントおよび蒸着を実施できる。
【0103】
各蒸着装置100は、一つのチャンバが一つのアライメント装置を備える装置であってもよいし、一つのチャンバが2つ以上のアライメント装置を備える装置であってもよい。例えば2つのアライメント装置を備える場合には、一方のアライメント装置側で基板に蒸着している間に、他方のアライメント装置側では蒸着済の基板の搬出と未蒸着の基板の搬入を行い、搬入した基板にアライメント動作を行うことができる。
【0104】
基板供給室1105には、外部から基板が供給される。搬送室1101~1103には夫々、搬送機構であるロボット1120が配置されている。ロボット1120は各室間で基板を搬送する。本実施形態の製造システム300が複数台備える蒸着装置100のうち、少なくとも一台は有機材料の蒸発源を備えている。製造システム300に含まれる複数の蒸着装置100は、お互いが同一材料を成膜する装置であってもよいし、異なる材料を成膜する装置であってもよい。例えば、各蒸着装置において、互いに異なる発光色の有機材料を蒸着してもよい。製造システム300では、基板供給室1105から供給された基板に有機材料を蒸着したり、金属材料等の無機材料の膜を形成したりして、有機ELパネルを製造する。
【0105】
マスクストック室1106には、各蒸着装置100にて用いられ、膜が堆積したマスクが、ロボット1120によって搬送される。マスクストック室1106に搬送されたマスクを回収することで、マスクを洗浄することができる。また、マスクストック室1106に洗浄済みのマスクを収納しておき、ロボット1120によって蒸着装置100にセットすることもできる。
ガラス供給室1108には、外部から封止用のガラス材が供給される。貼合室1109において、成膜された基板に封止用のガラス材を貼り合わせることで、有機ELパネルが製造される。製造された有機ELパネルは、取出室1110から取り出される。
【0106】
本製造システムに含まれる蒸着装置は、実施形態1で説明したように、基板とマスクの相対位置をアライメントした後、Z昇降スライダを下降させる際に、Z昇降スライダの姿
勢を保持したまま下降させ基板をマスク上に載置する。
このため、本製造システムに含まれる蒸着装置では、アライメント動作の精度を高めるとともに、安定的に再現させることができるようになり、成膜前に実行するアライメント動作回数を低減させた蒸着装置を備えた成膜システムを提供することができる。
【0107】
アライメント動作が極めて安定し高速化する本製造システムでは、大面積基板に高精度かつ高速に成膜できるため、高画質の有機ELパネルを高い歩留まりで、しかも高いスループットで製造することが可能である。
このように、本発明は有機EL素子を製造する製造システムにおいて好適に実施され得るが、それ以外のデバイスを製造するための製造システムにおいて実施してもかまわない。電子デバイスなどの製造する際に、アライメントに要する時間を低減し、タクトタイムを短縮して、生産性を高めることができる。
【0108】
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
例えば、基板を支持するための基板支持部、マスクを支持するためのマスク保持部、あるいはアライメント用カメラの配置や個数は、上述した実施形態の例に限られるものではない。基板の大きさや重さ、マスクの大きさや重さ、アライメントマークの数やレイアウト位置等によって、適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0109】
100:蒸着装置,1:アライメント装置,8:基板保持部,9:マスク保持部,60:位置合わせ機構,11:回転並進機構,10:Z昇降スライダ,13:Z昇降ベース,18:Zガイド,50:制御部,52:リニアスケール,5:基板,6a:マスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15