(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】純水製造装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20231031BHJP
B01D 61/12 20060101ALI20231031BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20231031BHJP
B01D 61/00 20060101ALI20231031BHJP
C02F 1/469 20230101ALI20231031BHJP
C02F 1/20 20230101ALI20231031BHJP
B01D 61/44 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C02F1/44 J
B01D61/12
B01D61/58
B01D61/00
C02F1/469
C02F1/20 A
B01D61/44 520
(21)【出願番号】P 2022150103
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2019047371の分割
【原出願日】2019-03-14
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 洋
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-184384(JP,A)
【文献】特開平04-160319(JP,A)
【文献】特開2017-164320(JP,A)
【文献】特開2005-296945(JP,A)
【文献】特開2013-169537(JP,A)
【文献】特開2015-100766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C02F 1/469
C02F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を、
給水ポンプ、第1配管、加圧ポンプ及び
第2配管を介して第1RO装置
に供給し、
該第1RO装置の透過水を第3配管を介して第2RO装置に供給し、
該第2RO装置の透過水を第4配管を介して脱気装置に供給し、
該脱気装置からの脱気処理水を第5配管を介して電気脱イオン装置に供給し、電気脱イオン処理して純水を製造する純水製造装置を制御する方法であって、
前記
第1配管、第3配管及び第4配管に設けられた
流量計の検出値の所定時間内における最大値と最小値の差と平均値との比が所定値以下である場合にアラームを出力する純水製造装置の制御方法。
【請求項2】
前記所定値は、2~20%の間から選定された値である請求項1の純水製造装置の制御方法。
【請求項3】
原水を、
給水ポンプ、第1配管、加圧ポンプ及び
第2配管を介して第1RO装置
に供給し、
該第1RO装置の透過水を第3配管を介して第2RO装置に供給し、
該第2RO装置の透過水を第4配管を介して脱気装置に供給し、
該脱気装置からの脱気処理水を第5配管を介して電気脱イオン装置に供給し、電気脱イオン処理して純水を製造する純水製造装置を制御する方法であって、
前記第1配管、第3配管及び第4配管に設けられた流量計の検出値が、
該流量計よりも上流側の前記給水ポンプ又は加圧ポンプの吐出量の仕様値よりも大きくなった場合にアラームを出力することを特徴とする純水製造装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は純水製造装置の制御方法に係り、特に原水供給機構から送水された原水を処理して純水を製造する純水製造装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧ポンプ、RO装置(逆浸透膜分離装置)、脱気装置、電気脱イオン装置等を有する純水製造装置(例えば特許文献1)においては、流量計によって透過水や濃縮水等の流量を検出し、加圧ポンプを制御する。また、純水製造装置には、流量計以外にも、温度、圧力、水質(pH、電気伝導度、シリカ濃度など)等を測定する種々のセンサが設けられている。
【0003】
流量計に気泡が混入したりすることにより、流量計の検出値が真値から大きく乖離し、例えば真値よりも著しく大きい検出値を出力することがある。従来の純水製造装置では、流量計の検出値が基準値を超えた場合には、RO装置などの機器保護のために加圧ポンプの送水量を低下させて純水製造装置を停止させた停止モードとするよう制御が行われる。その他のセンサに異常が生じた場合も同様である。
【0004】
なお、純水製造装置を停止させる代りに、加圧ポンプの送水量を少なくしたスロー運転モードにて純水製造装置の稼動を継続することも検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
純水製造装置本体に異常がない場合に、センサの異常で純水製造装置の稼動を停止したり、スロー運転モードとすると、それだけ純水の製造効率が低下する。
【0007】
本発明は、純水製造装置に設置されたセンサの異常を的確に判定することができる純水製造装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の純水製造装置の制御方法は、原水を、少なくとも加圧ポンプ及びRO装置を有する純水製造装置で処理して純水を製造する純水製造装置を制御する方法であって、前記純水製造装置に設けられたセンサの検出値の所定時間内における最大値が所定の上限値を上回るか又は最小値が所定の下限値を下回る場合にアラームを出力することを特徴とする。
【0009】
第2発明の純水製造装置の制御方法は、原水を、少なくとも加圧ポンプ及びRO装置を有する純水製造装置で処理して純水を製造する純水製造装置を制御する方法であって、前記純水製造装置に設けられたセンサの検出値の所定時間内における最大値と最小値の差と平均値との比が所定値以下である場合にアラームを出力する。
【0010】
第3発明の純水製造装置の制御方法は、原水を、少なくとも加圧ポンプ及びRO装置を有する純水製造装置で処理して純水を製造する純水製造装置を制御する方法であって、上流側にポンプが設置されている流量計の検出値が、当該ポンプの吐出量の仕様値よりも大きくなった場合にアラームを出力する。
【0011】
本発明の一態様では、前記純水製造装置は、直列に多段に設置されたRO装置と、最終段の該RO装置からの透過水を脱気処理する脱気装置と、該脱気装置からの脱気処理水が供給される電気脱イオン装置とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の純水製造装置の制御方法では、流量計等のセンサ検出値に異常が生じたどうかを運転担当者の経験や確認頻度によることなく、的確に判定することができ、純水製造装置が無駄に停止モード又はスロー運転モードとなることが防止されると共に、センサの異常を見逃すことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態を示す純水製造装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態を示している。河川水、井水、工業用水、回収水などを原水源とした原水が原水タンク1に送水される。原水タンク1内の原水は、給水ポンプ2、配管3、保安フィルタ4、配管5、加圧ポンプ6、配管7を介して第1RO装置8に供給される。第1RO装置8の透過水は、配管9を介して第2RO装置10に供給され、その透過水が配管11を介して脱気装置12に供給される。脱気装置12で脱気処理された水は、配管13を介して電気脱イオン装置14に供給され、その透過水が配管15より純水として需要先へ送水される。
【0016】
脱気装置12としては、膜脱気装置など各種のものが用いられる。膜脱気装置では、気体透過膜の1次側に水を通水し、2次側を真空ポンプで減圧する。
【0017】
なお、配管15に三方弁16を介して分岐配管17が接続されており、配管15からの純水を原水タンク1(配管3,5又はそれらに必要に応じて設けられる給水槽であってもよい。)に送水可能としている。
【0018】
また、RO装置8,10の濃縮水(第1濃縮水、第2濃縮水)を原水タンク1に返送する配管18,19が設けられている。図示は省略するが、電気脱イオン装置14の濃縮水を原水タンク1に返送するラインが設けられている。配管9,11,18,19にはそれぞれ流量制御弁(図示略)が設けられている。
【0019】
第1RO装置8の第1濃縮水は、脱塩処理された後、原水タンク1に返送される。第2RO装置10の第2濃縮水及び電気脱イオン装置14の濃縮水は、そのまま原水タンク1に返送される。
【0020】
前記配管3(又は配管5)に原水供給圧を測定する圧力センサ20が設けられ、配管9,11,18,19にそれぞれ流量計22~25が設けられ、該センサ20及び流量計22~25の検出信号が制御装置21に入力される。制御装置21は、これらの入力信号に基づいて、各配管9,11,18,19の流量が目標範囲となるように、加圧ポンプ6の回転数をPID制御すると共に、各配管9,11,18,19の流量制御弁の開度を制御する。
【0021】
制御装置21は、純水製造装置の1又は2以上の各所に設けられた温度センサ、圧力センサや流量計(流量センサ)のほか、pH計(pHセンサ)、水質(電気伝導度、シリカ濃度等)センサなど、各種センサの検出値が入力されており、純水製造装置の作動に異常がないか判定し、異常と判定される場合には、アラームを管理センターや運転担当者の携帯端末等に送信する。
【0022】
本発明では、これら温度センサ、圧力センサ、流量計、pH計、水質センサ等に異常が生じたかどうかを次のようにして判定する。異常と判定されたセンサは、直ちに、又は次回のメンテナンス時に修理又は交換する。
【0023】
[レンジオーバーに基づく判定]
センサ検出値の直近の所定時間(例えば24時間特に60min程度)における最大値が所定の上限値を上回るか、又は最小値が所定の下限値を下回るときに、センサに異常が生じたものと判定し、アラームを出力する。
【0024】
所定の上限値としては、当該センサの出力範囲の95%として設定される。ただし、95%は一例であり、90~98%の間から選定されればよい。
【0025】
所定の下限値としては、当該センサの出力範囲の5%として設定される。ただし、5%は一例であり、2~10%の間から選定されればよい。
【0026】
[変動幅/平均値の比に基づく判定]
センサの検出値の直近の所定時間(例えば24時間特に60min程度)における検出値の変動幅すなわち(最大値-最小値)の値と、当該所定時間内における検出値の平均値との比[変動幅]/[平均値]が所定値以下、例えば2~20%の間から選択された値以下である場合、センサがフリーズしているものと判定し、アラームを出力する。
【0027】
[流量計の異常の判定]
流量計の上流側にポンプが設けられた流量計については、流量計測値が、該ポンプの吐出量の仕様値(カタログ値)よりも大きくなった場合、流量計に異常が生じたものと判定し、アラームを出力してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 原水タンク
4 保安フィルタ
6 加圧ポンプ
20 圧力センサ
21 制御装置
22~25 流量計